説明

スペクトラム拡散ソフトウェア受信機

【課題】スペクトラム拡散信号を受信して処理するための電力効率のよいソフトウェアベースの解決策を提供する。
【解決手段】スペクトラム拡散信号受信機は、少なくとも部分的にプロセッサが実行するソフトウェアにより具現されるラジオ信号処理部を有する。処理部は、位置信号源(S1からS9)のうちの信号源のサブセットの候補の集合を決定する。集合の各要素は、サブセットから位置/時間関連データを取得するのに必要な予測処理力が、最大特定処理力と等しいかまたはそれ以下であるかという基準によって定められる一群の位置信号源のサブセットである。各サブセットは、位置/時間関連データを生成するのに必要な最小限の数の信号源を含む。処理部は、さらに、最大特定処理力を超えることなく、次の動作期間中に取得可能な最も予測品質が高い位置/時間関連データに関連付けられた候補のサブセットに基づいて、好適な信号源のセットを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、スペクトラム拡散信号の受信及び処理に関する。より具体的には、本発明は請求項1の前段に係るスペクトラム拡散受信機及び請求項11の前段に係る方法に関する。また、本発明は請求項21に係るコンピュータプログラム及び請求項22に係るコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
スペクトラム拡散の伝達は、例えばグローバルナビゲーションサテライトシステム(GNSS)においてより重要となってきている。現在、グローバルポジショニングシステム(GPS、米国政府によるもの。)は、主要なシステムであるが、これに代替するシステムが近い将来より重要性を取得するものと考えられる。今のところ、グローバルオービッティングナビゲーションサテライトシステム(GLONASS、ロシア国防総省によるもの)やガリレオシステム(グローバルナビゲーションサービス用のヨーロッパ版プログラム)が、主要な代替GNSSとなってきている。特定の領域における少なくとも一つのGNSSのカバー範囲、利用可能性、及び/または質を向上するため様々なシステムが存在する。準天頂衛星システム(Quasi−Zenith Satellite System)(QZSS、日本の新衛星ビジネス株式会社によるもの)、ワイドエリアオーグメンテーションシステム(WAAS、連邦航空局及び運輸省によるもの)、及びヨーロピアンジオステーショナリーナビゲーションオーバーレイサービス(EGNOS、ヨーロッパ宇宙局、ヨーロッパ委員会及びユーロコントロール(航空安全のためのヨーロッパ機関)のジョイントプロジェクトによるもの)がGPSの代替システムの例であり、後者がGPS及びGLONASSの代替システムの例である。
【0003】
残念ながら、異なるシステム間での周波数帯域の違い、特に信号フォーマットの違いが、次のような状況を作り出している。すなわち、一のシステムに適合するように構成された受信機は、一般的に、異なるシステムに属するソースからの信号を受信して処理することができない。従って、一種以上のシステムからの信号を受信可能とするためには、複数の受信機チェイン(chain)または複数の信号パスを備えた一の受信機チェインが必要である。一の信号装置に複数の受信機チェインを包含すれば、装置が高価となり、かさばるようになり、そして重くなる。従って、一のプロセッサ、例えばCPU(中央処理演算器)、DSP(デジタル信号プロセッサ)で複数の信号フォーマットを処理可能な、プログラマブルソフトウェア受信機が求められている。このような設計によれば、信号処理の原理を複数の信号フォーマットに適用できるようになる。また、ソフトウェアベースのGNSS受信機は、例えば、ラップトップコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の他の種類の信号受信機、信号処理装置及び/またはソフトウェアアプリケーションと効果的に共存することができる。
【0004】
しかしながら、ソフトウェア受信機の実現には、対応するハードウェアの設計と比較して、一の重要な障害がある。すなわち、一般のマイクロプロセッサでソフトウェアを実行すると、典型的には、(パワーのエネルギー対出力データという観点では)ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等に代表されるハードウェア上で実行する場合に比べてエネルギー効率が低い。
【0005】
上述した理由に関して、ソフトウェアベースの受信機をポータブル/携帯型の装置内に組み込めると有益であり、かかる組み込みにより、典型的には制限されているこれらの装置のバッテリ容量に対する問題が生じる。そこで、パワーソースの使用を最適化することが重要である。この点を踏まえて、以下、この技術分野の従来技術について説明する。
【0006】
米国特許第6710578号は、ラジオ内蔵電話等のハードウェアベースの携帯型通信装置においてパワーリソースを管理する方法を開示する。装置は、複数の動作モードで動作し、特定のユーザ選択モードになる前に、利用可能なパワーが推定、計算される。次に、そのリソースが選択モードに対して十分か否かが予測され、リソースが十分でないと推定された場合は、装置の操作が、少なくとも一の操作モードに対して制限されるようになる。しかしながら、使用されている信号源の選択は、かかる測定に影響されていない。さらに、全般的に、ハードウェア実装(hardware implementation)にのみ着目されている。
【0007】
米国特許第6727850号は、対象物を見つけるために最適な衛星を選択する方法及び受信機を開示する。視認可能な衛星の座標を含む衛星リストが生成される。次に、最も高い冗長性(redundancy)を有する衛星がリストから除去され、所望の数の衛星がリストに残る。これにより、リストを生成するのに必要な計算量が比較的低くなる。ここで、冗長性は、一の衛星がリスト中の他の衛星との重なる程度である。しかし、この冗長性の計算に加え、質に関係のないパラメータが受信機に用いられる衛星の選択に影響を与えている。さらに、ハードウェア実装用に設計されている。
【0008】
米国特許公開公報第2005/0140545号は、ソフトウェア実行(software−implemented)型の相関器を備えたGPS受信機を開示し、この受信機は、パフォーマンスレベルにおける低下がなく、またカスタマイズドされたハードウェアの必要なく複数の技術のシームレスな一体化を図るものである。かかる設計によれば、ハードウェア要素の数が少ないこと及びサンプリング周波数を変更する能力により、電力消費を低減する。しかしながら、宇宙ビークル(SV)選択アルゴリズムにおいて、パワーリソースの最適化が全くなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、スペクトラム拡散信号を受信して処理するための電力効率のよいソフトウェアベースの解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的は受信機によって達成することができ、この受信機の処理部は、一群の位置信号源のうちの信号源のサブセットの候補の集合を決定する。集合の各要素は、サブセットから前記位置/時間関連データを取得するのに必要な予測処理力が最大特定処理力と等しいかまたはそれより小さいかという基準によって決定された一群の位置信号源のサブセットである。また、処理部は、さらに、受信機の次の動作期間中に最大特定処理力を超えることなく取得可能な最も推定品質が高い位置/時間関連データに関連付けられた候補のサブセットに基づいて、好適な信号源のセットを選択する。
【0011】
かかる設計の利点は、受信機のエネルギー消費量が、非常に低く抑えられるか、あるいは、少なくとも所定の閾値以下に制御されるとともに、位置/時間関連データの質を高く維持することである。また、別の処理能力が利用可能であれば、位置/時間関連データの質を向上すると予測される場合には処理要求を所定の量だけ増加させることができるように受信機を構成することができる。サブセットの候補の集合は、位置信号源の論理的に利用可能な衛星のすべてを含まなくてもよい。例えば、非常に好ましくない、または、機能しない組み合わせを表すサブセットは、除去される。
【0012】
本発明の一の好適な実施の形態によれば、前記一群の位置信号源のうちの少なくとも二つの信号源が、相互に異なる信号フォーマットで信号を発信する。そこで、処理部は、前記信号フォーマットのそれぞれの信号を処理するための計算複雑性を考慮して予測処理力を推定する。従って、各フォーマット(例えば、GPS、ガリレオ)の信号を処理するのに必要な典型的な演算密度が、処理要求の推定により測定される。
【0013】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、特定の信号源から発信された信号のフォーマット及び/または受信機に対する当該信号源の仰角を反映したパラメータに基づいて、当該信号源から位置/時間関連データを取得するのに必要な処理力の所定の概算を考慮することにより、予測処理力を推定する。これにより、予測処理力の最初の推定を、非常に直接的に取得することができる。
【0014】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、好適な信号源のセット中の各信号源からの信号を処理するために割り振られたそれぞれの処理力を調整する。当該調整は、最大特定処理力を超えないようにして行われる。従って、処理資源の多数は、比較的品質が低い信号を処理するのに用いられ、少数が比較的品質が高い信号を処理するのに用いられる。この種の割り当ては、信号源の仰角が低いことにより、信号の品質が低くなるような場合に有益である。
【0015】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、一群の位置信号源のそれぞれの信号の信号品質を考慮することにより、予測処理力を推定する。信号品質は、信号電力パラメータの推定、ノイズ密度パラメータの推定、疑似距離エラーパラメータの推定、干渉の検出を示すパラメータ、及び特定の信号源が現在利用可能か否かを示す信号源の状態データ、のうちの一つ以上を反映したものである。信号電力パラメータの推定及びノイズ密度パラメータの推定は、信号対ノイズ比を推定するのに用いられる。疑似距離エラーパラメータの推定は、マルチパスの歪みのパラメータ、推定大気(電離層及び/または対流圏)遅延のパラメータ、及び/または衛星に基づく信号の歪み(例えば、衛星に依拠する信号の非理想性)のパラメータの推定を含む。検出された干渉は、低帯域干渉、広帯域干渉、妨害及び/またはなりすましに分割される。これらのテスト及び推定の結果は、組み合わされて、特定の信号の取得または捕捉の可能性の判断、及び、要求される処理力の推定に用いられる。従って、処理要求を評価するための信頼できる基準が確立されることになる。
【0016】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、一群の位置信号源中の各信号源の、受信機の現在の位置/時間に対する空間的位置を反映した少なくとも一つの幾何学的パラメータを考慮することにより、予測処理力を推定する。例えば、いわゆる精度低下率(dilution of precision)(DOP)の考え方が上記幾何学的パラメータを要約する。これらのパラメータは、個々の信号源についての測定されたまたは推定されたエラーのセットと組み合わされて、位置固定の正確さを推定するのに用いられる。各信号源は、予測計算負荷と関連付けられており、少なくとも一つの幾何学的パラメータが、特定の処理力で得られる位置固定の精度の指標となる。
【0017】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、受信機の次の動作モードが次の動作期間において現在の動作モードと同一であるか否かを判別することにより、予測処理力を推定する。好適には、次の動作モードが現在の動作モードと異なる場合、処理部は、当該次の動作モードにおいて位置/時間関連データを候補の集合のサブセット中のそれぞれのサブセットから取得するのに必要なそれぞれの予測処理力を推定する。そこで、処理要求により正確な推定が可能となる。
【0018】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、各信号源が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションサテライトシステムの所定の衛星から構成され、一群の位置信号源が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションシステムの、受信機の現在の位置/時間から視認できる全ての衛星から構成される。例えば、一群の位置信号源が、時間上で衛星の動きを表すいわゆる暦及び/または衛星軌道暦データから決定される。また、GNSSを補完するものにより、補助的な情報が提供される。
【0019】
本発明の別の好適な実施の形態によれば、処理部は、位置/時間関連データに対するデータ品質レベルの関数として処理力を表すコスト関数を最適化する。この関数は、最大特定処理力で次の動作期間中に取得できる最も高い予測品質の位置/関連データに関連付けられた候補のサブセットを決定するのに用いられる。そこで、最適化された候補のセットが、例えば線形計画法により効率良く決定されることとなる。
【0020】
本発明の別の観点によれば、上記の目的は、下記の方法によって達成され、当該方法は、一群の位置信号源のうちの信号源のサブセットの候補の集合を決定し、集合の各要素は、サブセットから前記位置/時間関連データを取得するのに必要な予測処理力が最大特定処理力と等しいかまたはそれより小さいかという基準によって決定された一群の位置信号源のサブセットであり、受信機の次の動作期間中に最大特定処理力を超えることなく取得可能な最も推定品質が高い位置/時間関連データに関連付けられた候補のサブセットに基づいて、好適な信号源のセットを選択するステップを含む。
【0021】
この方法の利点は、上述した受信機の説明及び好適な実施の形態から明らかである。
【0022】
本発明の他の観点によれば、上記目的は、コンピュータプログラムによって達成され、当該コンピュータプログラムは、コンピュータのメモリにローディング可能で、当該コンピュータに実行されたときに上述した方法を制御するソフトウェアを含む。
【0023】
本発明の他の観点によれば、上記目的は、コンピュータ読み取り可能な媒体によって達成され、当該媒体は、プログラムを記録し、当該プログラムは、コンピュータを、上記の方法を実行するように制御する。
【0024】
本発明のさらなる利点、有益な特徴、及び用途は、以下の説明及び従属項により明らかとなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、スペクトラム拡散信号を受信して処理するための電力効率のよいソフトウェアベースの解決策が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るスペクトラム拡散式受信機100を示すブロック図である。受信機100は、ラジオフロントエンド部110、インターフェース部120、及びラジオ信号処理部135を備える。好ましくは、受信機100は、本発明の原理に従って動作するように処理部135を制御するためのプログラムを記憶したメモリーバッファ等のコンピュータ読み取り可能な媒体140をさらに備える。
【0027】
ラジオフロントエンド部110は、複数の信号源、例えば、一以上のGNSSに属する一組の衛星からラジオ信号SHFを受信するアンテナ105を備える。このようにするため、アンテナは、少なくとも一つの周波数帯域、例えば、L1、L2、及び/またはL5帯域の、スペクトルレンジが1563MHzから1587MHz、1215MHzから1240MHz、1155MHzから1197MHzのラジオ周波数信号を受信するように設計されている。さらに、ラジオフロントエンド部110は、受信したラジオ信号SHFをサンプリングしてデジタル化し、ラジオ信号処理部135が関連した次の信号処理を実行して位置/時間関連データDPTを生成できるように、デジタル表示SBPを生成する。例えば、ラジオフロントエンド部110は、直接バンドパス(bandpass)方式のラジオ信号SHFをサンプリングし、あるいは、I/Qバンドパスサンプリングを行い、受信した信号SHFの周波数をベースバンドまでダウンコンバートする。
【0028】
インターフェース部120は、ラジオフロントエンド部110からのデジタル表示SBPを、ラジオ信号処理部135が処理しやすいデータフォーマットdに変換することにより、ラジオフロントエンド部110とラジオ信号処理部135との間を相互接続する。
【0029】
ラジオ信号処理部135は、少なくともその一部がプロセッサ130に実行されるソフトウェア135sによって具現される。好ましくは、ラジオ信号処理部135は、ソフトウェア135sによって全体的に具現される。しかしながら、FPGA(Field Programmable Gate Array)設計またはASICによって実現される一以上の別々のユニットが、処理部135の処理機能の少なくとも一部を実行するように構成することもできる。
【0030】
本発明によれば、処理部135は、スペクトラム拡散信号SHFを受信して位置/時間関連データDPTを生成するために好適な信号源のセットを選択する。このようにするため、処理部135は、一群の位置(potential)信号源のうちから信号源のサブセットの候補の集合を判別する。集合の各要素は、一群の位置信号源のサブセットであり、そのサブセットから位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な予想処理力(processing intensity)が、最大特定処理力と等しいかまたはそれ以下であるかを判別する基準となる。候補のサブセットは、位置信号源の全ての可能性のある衛星を含む必要はない。好ましくは、非常に有益でない、または、機能しない組み合わせを直接表すものと推定されるサブセットは、(例えば、信号源のそれらのサブセットからの信号に基づいて、位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な予測処理力を実際に判別することなく)破棄される。処理部135は、候補のサブセットに基づいて、受信機100の次の動作期間中に最大特定処理力を越えることなく取得可能な位置/時間関連データDPTの質が最も高いと予測される好適な信号源のセットを選択する。換言すると、好適な信号源のセットは、本発明の処理の所定の量で、最も質が高いデータDPTを生成できると予想される候補のサブセットである。信号源の選択については、図3及び図4を参照して、後述して詳細に説明する。
【0031】
本発明の一の好適な実施の形態によれば、一群の位置信号源のうちの少なくとも二つの信号源が、相互に異なる信号フォーマットの信号を発信している。例えば、多数の信号源がガリレオ衛星に相当し、少なくとも一つの信号源がガリレオ衛星でない衛星、即ち、例えばGPS、QZSS衛星、あるいは、EGNOS衛星の静止信号源に相当する。
【0032】
処理部135は、それぞれのフォーマット、例えば、上記の場合では、ガリレオフォーマット、若しくは、GPS、GLONASS及び/またはQZSS等の関連するその他のフォーマットの信号の処理の計算の複雑さを考慮することにより、予測処理力を推定する。GPS及びガリレオフォーマットの仕様に関しては、同一の物理的環境では、GPS信号は位置/時間関連データを得るのに比較的少ない処理能力を必要とする。しかしながら、実際には、多数のその他の要素、例えば、干渉の検出を示すパラメータ、信号源の状態(特定の信号源が現在利用可能か否かを示すデータ)、疑似距離(pseudorange)エラーパラメータの予測や幾何学的要素が、このデータの生成に必要な予測処理要求に影響を与える。これらの要素は、DOPと呼ばれる。
【0033】
本発明の一の好適な実施の形態によれば、処理部135は、所定の信号源から位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な処理力の所定の概算を考慮することにより、予測処理力を推定する。この所定の概算は、信号源から発射される信号のフォーマット及び/または信号源の受信機100に対する仰角を反映するパラメータに基づく。
【0034】
図2は、地球200の軌道を回る多数の信号源である衛星S1からS21を概略的に示す。衛星は、すべて単一のGNSSに属するものであってもよく、あるいは、二以上の異なるシステムに属するものであってもよい。例えば、衛星S1、S4、S7、S10、S13、S16及びS19がGSP衛星で、衛星S2、S5、S8、S11、S14、S17、及びS20がガリレオ衛星で、衛星S3、S6、S9、S12、S15、S18及びS21がGLONASS衛星である。なお、GPS、GLONASS及びガリレオ衛星の総数は、図示する衛星の数よりもはるかに大きいので、図2の表示は完全なものではない。
【0035】
図3は、所定の受信機位置で所定の時間に、すなわち、ある位置/時間PTに視認できる、図2に示す衛星の一群の位置信号源S1からS9を示す。ここで、可視性の限界H(PT)は、おおむね位置/時間PTで見える水平線である。実際には、受信機は、マルチパスエラーを避けるため、高い位置に、好ましくは、例えば水平線から5度の高さ位置に配置される。
【0036】
上記のとおり、位置信号源の仮のグループが、受信機中の暦(almanac)から取得される。このデータは、時間に対する衛星の移動を表す。あるいは、これを補完するものとして、上記のグループは、放送される衛星軌道暦(ephemeris)データ及び/または受信機が利用可能な一以上の補助GNSSサービスから取得されてもよい。通常、衛星軌道暦データは、軌道暦データ発行時(IODE)パラメータに関連し、情報がどの程度古いかを示す。受信機の位置及び/または時間基準の最近の更新以来の時間の間隔に依拠して、仮のグループの予測される構成及び上記のグループ中の各構成要素の位置は、不完全であったり、正しくない場合がある。
【0037】
一般に、ガリレオ信号に基づくよりも、GPS信号に基づいて位置/時間関連データを取得するほうが、より多くの処理能力を必要とする。しかしながら、IODEがGPS衛星よりもガリレオ衛星のより新しい更新を示す場合は、ガリレオ衛星の信号源の好適なセットを選択したほうが有益である。これは、仮のグループについての知識(knowledge)のほうがより正確であると予測できるからである。実際に利用可能なすべての信号源からの信号を登録する完全取得処理によれば、位置信号源S1からS9のグループの最も正確な特性を提供され、どのサブセットが位置/時間関連データを取得するために最大処理力と等しいまたはそれ以下の予測処理力を必要とするかを特定することができる。すなわち、一以上の信号源は、正常に機能しない場合があり、及び/または、受信機は、一以上の信号源に対して信号が届かない(radio shadow)位置に位置する場合がある。この種の情報は、上述した暦または衛星軌道暦データからは取得できない。
【0038】
それでもなお、上述したGNSSの例の場合を仮定すると、位置信号源S1からS9のグループは、3つのGPS衛星S1、S4及びS7、3つのガリレオ衛星S2、S5及びS8、3つのGLONASS衛星S3、S6及びS9を含む。結果として、一群の位置信号源S1からS9のうちの信号源は、相互に異なる信号フォーマットの信号を発射する。
【0039】
原則として、処理部135は、位置信号源S1からS9の組み合わせのそれぞれから位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な予測処理力を推定する。各組み合わせについて、処理部135はそれらの信号源を含むサブセットからの信号に基づいて、最大処理力を超えることなく位置/時間関連データDPTを取得することができるか否かを判別する。しかしながら、実際は、処理部135は、一群の位置信号源S1からS9のうちの信号源のサブセットのより制限された候補の集合を決定する。例えば、処理部135は、所定の信号源から発射された信号のフォーマット及び/または受信機100に対する当該信号源の仰角を反映するパラメータに基づいて、当該信号源から位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な処理力の所定の概算を利用する。
【0040】
図4は、一群の位置信号源S1からS9から定められた比較的少数の候補のサブセットCSSからCSSを示す。この例では、説明を明確にするため、候補のサブセットCSS、CSS、CSS、CSS及びCSSは、比較的少数の信号源(4つまたは5つ)を含む。具体的には、候補のサブセットCSSは、信号源S1、S2、S3及びS4を含み、候補のサブセットCSSは、信号源S2、S3、S4及びS5を含み、候補のサブセットCSSは、信号源S4、S5、S6及びS7を含み、候補のサブセットCSSは、信号源S5、S6、S7、S8及びS9を含み、候補のサブセットCSSは、信号源S6、S7、S8及びS9を含む。通常、4つの信号源の一組のセットが、位置を推定するのに必要な最小限の数の信号源である。説明を明確にするため、ここでは、候補のサブセットCSSからCSSについては、各セットが互いに比較的近くに位置する一群の信号源を含むものとする。実際には、信号源が受信機からの可視性の限界H(PT)内にある場合、信号源と受信機との間では、どのような幾何学的相互関係が成立してもよい。さらには、本発明によれば、候補のサブセットCSSからCSSのそれぞれは、現在の動作モードで位置/時間関連データDPTを生成するのに必要な少なくとも所定の最小限の数の信号源を含む。特定の種類のタイミング測定については、単一の信号源で十分である。しかしながら、より正確な位置決めのため、8つ、12個あるいはそれ以上の信号源が必要である。特にそのような場合には、一以上のGNSSからの衛星信号を利用すると有益である。受信機がビルの谷間に位置する場合がこの場合の例である。位置の正確さの差は、7つと8つの衛星との間では大差がない。しかしながら、受信機が一以上のGNSSからの信号を追跡することができれば、ロバスト性は大幅に向上する。これは、視認できる信号源の可能性のある数が大きくなるからである。
【0041】
候補のサブセットCSSからCSSに基づいて、好適な信号源のセットが選択され、選択されたセット、例えば、CSSが、最大特定処理力を超えることなく取得することができる最も推定品質が高い位置/時間関連データDPTに関連付けられている。この推定は、受信機の次の動作期間中は、正しいものと仮定される。次の動作期間は、例えば、プロセッサクロックサイクル数で示される持続期間の未来の間隔である。いずれにしても、次の動作期間は、受信機の動作、例えば、取得、追跡、あるいはオシレーター同期等を含む。
【0042】
予測処理力の正確な概算を取得するため、本発明の一の好適な実施の形態においては、処理部135は、一群の位置信号源S1からS9のそれぞれの信号の予測信号品質を判別する。ここで、信号品質は、信号電力の予測及び/またはノイズ密度の予測を反映したものである。これら二つの予測は、受信する信号対ノイズ比を推定するために組み合わされる。
【0043】
代替として、あるいは、補完的に、信号品質は、疑似距離エラーパラメータの推定を反映したものであってもよい。この推定は、換言すると、マルチパスの歪みを示すパラメータ、予想大気遅延(すなわち、電離層及び/または対流圏による遅延)を示すパラメータ、及び/または衛星に基づく信号の歪み(すなわち、衛星の故障による信号の非理想性(non−ideality))を示すパラメータの推定を含む。
【0044】
代替として、あるいは、さらに補完的に、信号品質は、妨害の検出を示すパラメータを反映したものであってもよい。例えば、狭帯域の干渉(典型的には、望ましくない正弦波エネルギーである)が検出され、広帯域の干渉(典型的には、白または有色雑音エネルギーである)が検出され、妨害電波が検出され、及び/または、なりすまし信号、すなわち、受信機を妨害するために国際的に発信された信号が検出される場合がある。本発明の一の好適な実施の形態によれば、干渉パラメータは、好適なセット中の信号源の選択に対し、以下の影響を与える。すなわち、特定の周波数帯域が、狭帯域干渉または妨害電波の対象で、かかる干渉及び妨害が測距離及び/または位置測定処理を当該帯域で不能とする場合、利用可能であれば、代替的な周波数帯域の信号源が選択される。次に、位置/時間データの質が要求されるレベルに合うか否かが、処理力の制限の範囲内で利用可能な信号源を用いて判別される。一方、広帯域干渉または妨害電波が検出された場合には、処理は、所望の品質の範囲を得るのにどれ位平均化が必要かを算出すること、または、平均化の取得可能な量が十分でないことを判別することを含む。必要とされる処理要求の推定は、修正される。
【0045】
代替として、あるいは、さらに補完的に、信号源から送信されたいわゆるクロブチャー(klobuchar)パラメータにより表される大気遅延の推定は、処理要求の算出に含まれても良い。
【0046】
さらに、信号品質は、特定の信号源が現在利用可能か否かを示す信号源状態データを反映したものであってもよい。このようなデータは、典型的には、信号源から繰り返し送信されたメッセージに含まれる。
【0047】
本発明の他の実施の形態によれば、処理部135は、受信機の現在の位置/時間PTに対する一群の位置信号源S1からS9中のそれぞれの信号源の空間的位置を反映した少なくとも一つの幾何学的パラメータを考慮することにより、予測処理力を推定する。種々の形態のDOP測定が、かかる幾何学的パラメータの例を構成する。例えば、GDOP(Geometric DOP)、PDOP(Position DOP)、VDOP(Vertical DOP)、HDOP(Horizontal DOP)、及び、TDOP(Time DOP)が挙げられる。DOPは、衛星と受信機との特定の幾何学的関係に依拠するので、時間上で異なり、信号を、最適なDOPで他の要因が等しい衛星から受信することが好ましい。これは、衛星の選択を、最も低い可能性のあるDOPの値を取得するように最適化することに等しい。しかしながら、この最適化は、かかるDOP測定には、つきものである。実際の場合は、DOPに加えて様々な要因が位置/時間関連データDPT、ひいてはこのデータを生成するのに必要な処理要求に影響を与える。
【0048】
効率的な動作のため、本発明の一の好適な実施の形態によれば、処理部135は、候補のサブセット、例えば、コスト関数(cost function)を最適化することによって最大特定処理力を超えないで取得可能な位置/時間関連データDPTの最も高い質に関連した上記のCSSを推定する。この関数は、処理力を、位置/時間関連データDPTに対するデータの質のレベルの関数として表す。例えば、線形計画法(linear programming)(例えば、凸最適化)を適用することにより、上述したサブセットCSSは比較的迅速に決定される。
【0049】
本発明の一の好適な実施の形態によれば、処理部135は、好適な信号源のセットCSS中の信号源S4、S5、S6及びS7のそれぞれからの信号を処理することに割り当てられるそれぞれの処理力を調整する。この調整は、最大特定処理力を超えないようにして行われる。従って、処理資源の大多数が、比較的品質の低い信号の処理に用いられ、少数が品質の高い信号の処理に用いられることとなる。この種の再割り振りは、比較的低い信号品質が、信号源の低い仰角によるものである場合は、有益である。
【0050】
処理部130は、適切な処理資源を備えており、処理部135中の一または複数のチャンネルを開放して、少なくとも一つの距離測定信号源の品質を繰り返して評価すると好ましく、あるいは、時間毎に上記の評価を一または複数のアクティブなチャンネルに対して行うとよい。従って、評価された信号源を含む信号源のセットが、現在の選択されたサブセットと比較して、本発明の処理に関してより良いデータ品質を提供できると推定される場合は、信号源の選択は、すでに選択された信号源に対して補完的に、あるいは、代替的に一または複数の評価された信号源を含むように変更されてもよい。
【0051】
本発明の一の好適な実施の形態によれば、処理部135は、次の動作期間の間に受信機100の次の動作モードが現在の動作モードと同一か否かを考慮することにより、予測処理力を推定する。動作モードは、リアルタイムのナビゲーションが行われる第一のモード(ここで、受信機は、好適には技術的に可能なレベルで頻繁に位置情報を更新する)、シングルポイントフィックス(single−point fixes)と呼ばれる、ユーザの特定の要求に応じてデータDPTを生成する第二のモード、時間のみが必要とされる(すなわち、データDPTは、時間のみを含み、単一の衛星をトラッキングするのに十分であり、受信機の発振器の品質に応じて、例えば10分おきに一度信号を受信する)第三の低電力モード、データDPTがユーザが指定する割合(第一のモードの割合から第三のモードの割合のうちのいずれかの割合)で更新される第四のモードを含む。与えられたデータ品質で、それらのモードのそれぞれは、典型的には他のモードにおいて異なる平均処理要求を時間単位で有する。従って、(プログラミングされているモードのスイッチまたはユーザコマンドによる)次の動作モードが現在の動作モードと異なっている場合、処理部135は、現在の動作モードに変わって次の動作モードでの位置/時間関連データDPTの生成に必要な処理要求を推定する。この場合、予測処理力の推定は、一群の位置信号源、例えばS1からS9のうちの信号源の多数の候補のサブセットに基づく。さらに、各候補のサブセットは、次の動作モードで位置/時間関連データDPTを生成するのに必要な最小限の数の信号源を少なくとも含む。
【0052】
次に、本発明に係るスペクトラム拡散信号受信機を制御する方法を図5のフローチャートとともに説明する。
【0053】
最初のステップ510において、一群の位置信号源から信号源のサブセットの候補の集合を決定する。集合の各要素は、位置信号源のサブセットであり、当該サブセットから位置/時間関連データDPTを取得するのに必要な予測処理力が、最大特定処理力と等しいかまたはそれ以下かという基準に基づいて決定される。
【0054】
次のステップ520で、一組の好適な信号源のセットを選択する。このセットは、候補のサブセットであり、最大特定処理力を超えないようにして取得できる最も予想品質が高い位置/時間データに関連している。本発明によれば、候補のサブセットのそれぞれは、位置/時間関連データを生成するのに必要最小限の数の信号源を少なくとも含む。従って、いくつかの動作モードにおいては、候補のサブセットの数は、比較的大きい。しかしながら、次の動作期間中の最も高品質な位置/時間関連データに関連付けられた候補のサブセットの決定は、比較的少量の処理資源を必要とする。そこで、信号源の選択を最適化することにより、処理部の処理資源の全体的な利用が、効率化される。
【0055】
続いて、ステップ530で、選択したセット中の信号源からスペクトラム拡散信号を受信する。この受信動作は、動作期間中継続される。受信機の構成及び現在の動作モードによっては、この期間の長さは、数プロセッサクロックサイクルから数分の間で異なる。好ましい品質で位置/時間関連データを生成するのに必要な上述した最低予測処理要求は、上記の動作期間中に必要な処理の予想総量を参照したものである。従って、初期処理ピークは、当該ピークが比較的短い場合は許容可能であり、処理の予測総量は、次の動作の間に十分低くなり、例えばユーザが特定した平均処理力の要求に適合する。言うまでもなく、本発明によれば、瞬時の(またはピークの)処理力は、ユーザによって特定されてもよい。
【0056】
図5に示した全てのステップ及びそのサブシーケンス(sub−sequence)は、プログラミングされたコンピュータ装置によって制御されてもよい。図を参照して説明した本発明の実施の形態は、コンピュータ装置と、コンピュータ装置内で実行される処理とから構成されたが、本発明はコンピュータプログラム、特に本発明を具現するように構成されたキャリア(carrier)上またはその中のコンピュータプログラムにまで拡張して適用することができる。このプログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、コンパイルされたオブジェクトコード、あるいは、本発明を実施するのに好適な他の形態のものであってもよい。プログラムは、オペレーティングシステムの一部であってもよいし、別々のアプリケーションであってもよい。キャリアは、プログラムを携行可能な装置である。例えば、キャリアは、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Video/Versatile Disk)、CD(Compact Disc)、EPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、フロッピーディスクやハードディスク等の磁気記録媒体等の記録装置から構成される。さらに、キャリアは、電気または光ケーブルまたはラジオ若しくはその他の手段を介して搬送可能な電気または光信号等の伝搬可能なものであってもよい。プログラムが、ケーブルやその他の装置や手段によって搬送される信号に重畳された場合、キャリアは、ケーブルや装置、その他の手段から構成される。あるいは、キャリアは、プログラムを内蔵した集積回路であってもよく、この集積回路は、関連した手順を実行する際に用いられる。
【0057】
明細書中で使用した「構成する」という語は、上述した特徴、数(integer)、ステップまたは構成要素の存在を特定するために用いた。しかしながら、この語は、一以上の特徴、数、ステップ、構成要素、あるいはそれらのグループを追加することを否定する語ではない。
【0058】
本発明中の先行技術の参照は、先行技術がオーストラリアにおける周知技術の一部を構成するといった知識や示唆として用いられるべきものではない。
【0059】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲で自由に変更、応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るスペクトラム拡散信号受信機を示すブロック図である。
【図2】GNSSの衛星という形で信号源がどのように地球の軌道に乗るのかを示す図である。
【図3】特定の受信機位置から現在視認可能な一群の位置信号源を示す図である。
【図4】信号源の候補のサブセットが、本発明の一の実施の形態に従って、どのように位置信号源の一群において定められるのかを示す図である。
【図5】本発明に係るスペクトラム拡散受信機を動作させる方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ(130)により実行されるソフトウェア(135s)により少なくとも一部が具現されるラジオ信号処理部(135)から構成され、前記処理部(135)が、一群の位置信号源(S1からS9)のうちから一組の好適な信号源のセットを選択し、選択した信号源のセットからスペクトラム拡散信号(SHF)を受信し、受信した信号(SHF)に基づいて、位置/時間関連データ(DPT)を生成するスペクトラム拡散信号受信機(100)であって、
前記処理部(135)は、さらに、
一群の位置信号源(S1からS9)のうちの信号源のサブセット(CSSからCSS)の候補の集合を決定し、集合の各要素は、サブセットから前記位置/時間関連データ(DPT)を取得するのに必要な予測処理力が最大特定処理力と等しいかまたはそれより小さいかという基準によって決定された一群の位置信号源のサブセットであり、
受信機(100)の次の動作期間中に最大特定処理力を超えることなく取得可能な最も推定品質が高い位置/時間関連データ(DPT)に関連付けられた候補のサブセット(CSS)に基づいて、好適な信号源のセットを選択する、
ことを特徴とするスペクトラム拡散信号受信機(100)。
【請求項2】
前記一群の位置信号源(S1からS9)のうちの少なくとも二つの信号源が、相互に異なる信号フォーマットで信号を発信し、前記処理部(135)が、前記信号フォーマットのそれぞれの信号を処理するための各計算複雑性を考慮して予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の受信機(100)。
【請求項3】
前記処理部(135)が、特定の信号源から発信された信号のフォーマット、及び、受信機(100)に対する当該信号源の仰角を反映したパラメータのうちの少なくとも一つに基づいて、当該信号源から位置/時間関連データ(DPT)を取得するのに必要な処理力の所定の概算を考慮することにより、予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の受信機(100)。
【請求項4】
前記処理部(135)が、好適な信号源のセット(CSS)中の各信号源(S4、S5、S6、S7)からの信号(SHF)を処理するために割り振られたそれぞれの処理力を調整し、当該調整は、調整された配分が最大特定処理力を超えないようにして行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項5】
前記処理部(135)が、一群の位置信号源(S1からS9)のそれぞれの信号の信号品質を考慮することにより、予測処理力を推定し、前記信号品質は、
信号電力パラメータの推定、
ノイズ密度パラメータの推定、
疑似距離エラーパラメータの推定、
干渉の検出を示すパラメータ、及び
信号源の状態のデータ、のうちの少なくとも一つを反映したものである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項6】
前記処理部(135)が、一群の位置信号源(S1からS9)中の各信号源の、受信機(100)の現在の位置/時間(PT)に対する空間的位置を反映した少なくとも一つの幾何学的パラメータを考慮することにより、予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項7】
前記処理部(135)が、受信機(100)の次の動作モードが次の動作期間において現在の動作モードと同一であると予定されるか否かを考慮することにより、予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項8】
次の動作モードが現在の動作モードと異なる場合、前記処理部(135)は、当該次の動作モードにおいて位置/時間関連データ(DPT)を候補の集合のサブセット(CSSからCSS)中のそれぞれのサブセットから取得するのに必要なそれぞれの予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の受信機(100)。
【請求項9】
各信号源(S1からS21)が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションサテライトシステムの所定の衛星から構成され、一群の位置信号源(S1からS9)が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションシステムの、受信機(100)の現在の位置/時間(PT)から視認できる全ての衛星から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項10】
前記処理部(135)が、次の動作期間中に得られる最も推定品質が高い位置/時間関連データ(DPT)に関連した候補(CSS)のサブセットを決定するため、位置/時間関連データ(DPT)に対するデータ品質レベルの関数として処理力を表すコスト関数を最適化する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の受信機(100)。
【請求項11】
少なくとも一部がプロセッサ(130)により実行されるソフトウェア(135s)により構成されるラジオ信号処理部(135)を含む受信機(100)を動作させる方法であって、
一群の位置信号源(S1からS9)のうちから一組の好適な信号源のセットを選択し、
選択した信号源のセットからスペクトラム拡散信号(SHF)を受信し、
受信した信号(SHF)に基づいて、位置/時間関連データ(DPT)を生成し、さらに、
一群の位置信号源(S1からS9)のうちの信号源のサブセット(CSSからCSS)の候補の集合を決定し、集合の各要素は、サブセットから前記位置/時間関連データ(DPT)を取得するのに必要な予測処理力が最大特定処理力と等しいかまたはそれより小さいかという基準によって決定された一群の位置信号源のサブセットであり、
受信機(100)の次の動作期間中に最大特定処理力を超えることなく取得可能な最も推定品質が高い位置/時間関連データ(DPT)に関連付けられた候補のサブセット(CSS)に基づいて、好適な信号源のセットを選択する、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記一群の位置信号源(S1からS9)のうちの少なくとも二つの信号源が、相互に異なる信号フォーマットで信号を発信し、予測処理力の前記推定が、前記信号フォーマットのそれぞれの信号を処理するための計算複雑性を考慮することを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
特定の信号源から発信された信号のフォーマット、及び、受信機(100)に対する当該信号源の仰角を反映したパラメータのうちの少なくとも一つに基づいて、当該信号源から位置/時間関連データ(DPT)を取得するのに必要な処理力の所定の概算を考慮することにより、予測処理力を推定する、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
好適な信号源のセット(CSS)中の各信号源(S4、S5、S6、S7)からの信号(SHF)を処理するために割り振られたそれぞれの処理力を調整し、当該調整は、調整された配分が最大特定処理力を超えないようにして行われる、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
予測処理力の推定が、一群の位置信号源(S1からS9)のそれぞれの信号の予測信号品質を考慮することを含み、前記信号品質は、
信号電力パラメータの推定、
ノイズ密度パラメータの推定、
疑似距離エラーパラメータの推定、
干渉の検出を示すパラメータ、及び
信号源の状態のデータ、のうちの少なくとも一つを反映したものである、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
予測処理力の推定が、一群の位置信号源(S1からS9)中の各信号源の、受信機(100)の現在の位置/時間(PT)に対する空間的位置を反映した少なくとも一つの幾何学的パラメータを考慮することを含む、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
予測処理力が、受信機(100)の次の動作モードが次の動作期間において現在の動作モードと同一であると予定されるか否かを考慮することを含む、
ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
次の動作モードが現在の動作モードと異なる場合、当該次の動作モードにおいて位置/時間関連データ(DPT)を候補の集合のサブセット(CSSからCSS)中のそれぞれのサブセットから取得するのに必要なそれぞれの予測処理力をさらに推定する、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
各信号源が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションサテライトシステムの所定の衛星から構成され、一群の位置信号源(S1からS9)が、少なくとも一つのグローバルナビゲーションシステムの、受信機(100)の現在の位置/時間(PTR)から視認できる全ての衛星から構成される、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
次の動作期間中に得られる最も推定品質が高い位置/時間関連データ(DPT)に関連した候補(CSS)のサブセットを決定するため、位置/時間関連データ(DPT)に対するデータ品質レベルの関数として処理力を表すコスト関数を最適化する、
ことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
コンピュータのメモリに直接ローディング可能なコンピュータプログラムであって、当該コンピュータに実行されると請求項11乃至20のいずれか1項のステップを制御可能なソフトウェアから構成される、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項22】
プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体であって、当該プログラムが、コンピュータに請求項11乃至20のいずれか1項に記載のステップを制御させる、
ことを特徴とする媒体(140)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522919(P2009−522919A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549445(P2008−549445)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000015
【国際公開番号】WO2007/078223
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508159400)ノルドナブ テクノロジーズ エー ビー (4)
【Fターム(参考)】