説明

スペクトル−空間形成の励起エコーを用いて代謝産物を組織特異的にMR撮像するためのシステム及び方法

【課題】スペクトル−空間形成の励起エコーを用いて代謝産物を組織特異的にMR撮像する。
【解決手段】システム制御部(32)はMRスペクトロスコピーシステム内に包含されると共に、複数の傾斜コイル(50)及びRFコイルアセンブリ(56)と結合されている。システム制御部(32)はRFコイルアセンブリ(56)に対して、少なくとも1つがスペクトル選択性でありかつ少なくとも1つが空間選択性であるような第1のRFパルス(104)及び第2のRFパルス(106)を放出させるようにプログラムされている。システム制御部(32)はさらにRFコイルアセンブリ(56)に対して、事前規定の時間遅延(110)後に励起エコー(114)を発生させるための第3のRFパルス(112)を放出させると共に励起エコー(114)から得られたMR信号を検出させるようにプログラムされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は全般的には磁気共鳴(MR)撮像に関し、さらに詳細にはスペクトル−空間形成の励起エコーを用いて代謝産物を組織特異的にMR撮像することに関する。
【背景技術】
【0002】
人体組織などの物質を均一な磁場(偏向磁場B)にかけると、組織中のスピンの個々の磁気モーメントはこの偏向磁場と整列しようとして、この周りをラーモアの特性周波数によってランダムな秩序で歳差運動することになる。この物質や組織に、x−y平面内にありラーモア周波数に近い周波数の磁場(励起磁場B)がかけられると、正味の整列モーメント(すなわち、「縦磁化」)Mは、x−y平面内に来るように回転させられ(すなわち、「傾けられ(tipped)」)、正味の横方向磁気モーメントMが生成される。励起信号Bを停止させた後、励起したスピンにより信号が放出され、さらにこの信号を受信し処理して画像を形成することができる。
【0003】
これらの信号を用いて画像を作成する際には、磁場傾斜(G、G及びG)が利用される。典型的には、撮像しようとする領域は、使用する具体的な位置特定方法に従ってこれらの傾斜を変更させている一連の計測サイクルによりスキャンを受ける。スキャンシーケンスから得られた受け取った核磁気共鳴(NMR)信号の組は、ディジタル化されてデータ処理ユニットに送られ、よく知られている多くの再構成技法のうちの1つを用いて画像再構成される。データ収集から再構成までの撮像過程は、患者の快適性及びスループットを向上させるためにできる限り迅速に実施することが望ましい。
【0004】
幾つかの手技や検査ではさらに、空間情報に加えてMR画像にスペクトル情報も表示させることが望ましい。こうした画像作成のための従来式の方法のことは「化学シフト撮像」(CSI)と呼ばれる。CSIは、患者の代謝過程その他の内部過程を監視するために利用されてきており、13Cラベル付けしたコントラスト薬剤及びその代謝産物などの過分極物質の撮像を含む。こうした13C撮像ではスペクトル組成は、組織種別及び当該組織の健康状態だけではなく、過分極13C薬剤の注入を基準とした画像の収集される時刻にも依存する。コントラスト薬剤の過分極は非常に限られた寿命を有する傾向がある。典型的なT1寿命はインビボにおいて概ね数分である。
【0005】
過分極した物質を撮像するためのシーケンスであるCSIは、組織種別及び該組織の健康状態に関する貴重な情報を提供するが、従来技術CSIは13C過分極式代謝撮像収集の際に代謝産物がどこでいつ形成されたのかを識別していない。すなわち、13C−1−ピルビン酸塩とその代謝産物の乳酸塩、アラニン及び重炭酸塩とに関する過分極式13C撮像によって組織特異的な代謝フィンガープリント(スペクトル)の提供が可能であるが、これらのフィンガープリントはその関心対象組織内で形成されていない代謝産物の局所的取り込みによる混乱を生じる可能性がある。例えば心臓または赤血球によって形成された血流中の乳酸塩が関心対象組織によって取り込まれ、これにより局所的に形成された乳酸塩の計測を混乱させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】

【特許文献1】米国特許第5804966号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、局所的な代謝活動から全身性のものを分離することを可能としたスペクトル情報及び過分極によるMR撮像のためのシステム及び方法があることが望ましい。具体的には、ある関心対象ボリュームについて過分極させた薬剤及びその代謝産物を励起し撮像する一方、該関心対象ボリュームの外部で形成された代謝産物は有効に除外することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、磁気共鳴(MR)スペクトロスコピーシステムは、複数の傾斜コイル、RFコイルアセンブリ及びシステム制御部を含む。このシステム制御部はRFコイルアセンブリに対して、その少なくとも1つがスペクトル選択性でありかつその少なくとも1つが空間選択性であるような第1のRFパルス及び第2のRFパルスを放出させるようにプログラムされている。このシステム制御部はさらにRFコイルアセンブリに対して、事前規定の時間遅延の後に第3のRFパルスを放出して励起エコーを生成させると共に該励起エコーから得られたMR信号を検出させるようにプログラムされている。
【0009】
本発明の別の態様では、磁気共鳴(MR)撮像のための方法は、コントラスト薬剤の励起をあるスライスまたは関心対象ボリュームに空間的に制限しながらコントラスト薬剤の共鳴周波数を励起する工程と、該コントラスト薬剤の空間的に制限された励起から第1組のMR信号を検出する工程と、を含む。本方法はさらに、代謝混合時間の後にコントラスト薬剤と該コントラスト薬剤から形成された少なくとも1つの代謝産物とに関する共鳴周波数を励起する工程と、代謝混合時間の後に該コントラスト薬剤及び少なくとも1つの代謝産物の励起から得られる第2組のMR信号を検出する工程と、検出された第1及び第2組のMR信号からスペクトロスコピー画像を作成する工程と、を含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータによって実行したときに該コンピュータに対して第1の周波数におけるスペクトル−空間パルスの送信を要求しかつフォローアップRFパルスの送信を要求し該スペクトル−空間パルス及びフォローアップRFパルスによってスピンエコーを生成させる命令からなるシーケンスを表したコンピュータプログラムをその上に保存して含む。この命令シーケンスはさらにコンピュータに対して、1つまたは複数の周波数を包含した少なくとも1つの読み取りRFパルスの送信を要求し、スペクトル−空間パルス、フォローアップRFパルス及び該少なくとも1つの読み取りRFパルスによって励起エコーを生成させている。この命令シーケンスはさらにコンピュータに対して、スピンエコー及び励起エコーから磁気共鳴(MR)信号を収集してスペクトロスコピー画像を作成させかつMR信号をコンピュータメモリ内に保存させている。
【0011】
これらの利点及び特徴、並びにその他の利点及び特徴は、添付の図面に関連して提供した本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによってより容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を組み込んだ例示的なMR撮像システムのブロック概要図である。
【図2】本発明の一実施形態による例示的なRFパルス列及びスペクトル−空間パルスのスライス傾斜波形のグラフである。
【図3】本発明の一実施形態によるスペクトル−空間パルスに関する励起プロフィールの3Dグラフである。
【図4】本発明の一実施形態による撮像シーケンスの図である。
【図5】本発明の別の実施形態による撮像シーケンスの図である。
【図6】本発明の一実施形態による代謝産物を選択励起周波数でMR撮像するための技法の流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態による13C−1−ピルビン酸塩とその代謝産物のスペクトル分離に関する2Dグラフである。
【図8】本発明の一実施形態による例示的なスペクトル−空間式励起エコー撮像シーケンスのタイミングを基準とした13C−1−ピルビン酸塩の代謝挙動に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面では、本発明を実施するために目下のところ企図される実施形態を図示している。
【0014】
代謝反応物に関する共鳴周波数をスライス選択的に励起するため並びに得られる代謝過程をスペクトロスコピー画像として読み出すためのシステム及び方法を提供する。このためには、関心対象内で指定の代謝反応物に関する周波数をスペクトル−空間励起するように1対のRFパルスを放出することができる。隣り合うスライスや近傍の周波数レンジに大きな影響を及ぼさずに指定の周波数プロフィールの磁化を生成するためにスペクトル−空間無線周波数(RF)パルスが使用されることがある。次いで、励起エコーを発生させると共に代謝反応物からインビボで導出される複数の代謝産物に関して関心対象内にレンジが広い周波数を励起するために第3のRFパルス(非スペクトル選択性かスペクトル選択性のいずれか)が放出されることがある。これらのパルスから得られた信号は、よく知られた幾つかの読み出しシーケンスのうちの1つまたは幾つかを用いて読み取られる。
【0015】
図1を参照すると、本発明の実施形態を組み込んだ例示的な磁気共鳴撮像(MRI)システム10の主要コンポーネントを表している。このシステムの動作は、キーボードその他の入力デバイス13、制御パネル14及び表示画面16を含むオペレータコンソール12から制御を受けている。コンソール12は、オペレータが画像の作成及び表示画面16上への画像表示を制御できるようにする単独のコンピュータシステム20と、リンク18を介して連絡している。コンピュータシステム20は、バックプレーン20aを介して互いに連絡している多くのモジュールを含んでいる。これらのモジュールには、画像プロセッサモジュール22、CPUモジュール24、並びに画像データアレイを記憶するためにフレームバッファを含むことがあるメモリモジュール26が含まれる。コンピュータシステム20は、画像データ及びプログラムを記憶するためにアーカイブ用媒体デバイス、永続的やバックアップ用メモリあるいはネットワークとリンクしており、さらに高速シリアルリンク34を介して単独のシステム制御部32と連絡している。入力デバイス13は、マウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボール、タッチ作動スクリーン、光学読取り棒、音声制御器、あるいは同様な任意の入力デバイスや同等の入力デバイスを含むことができ、また入力デバイス13は対話式幾何学指定のために使用することができる。
【0016】
システム制御部32は、バックプレーン32aにより互いに接続させたモジュールの組を含んでいる。これらのモジュールには、CPUモジュール36や、シリアルリンク40を介してオペレータコンソール12に接続させたパルス発生器モジュール38が含まれる。システム制御部32は、実行すべきスキャンシーケンスを指示するオペレータからのコマンドをこのリンク40を介して受け取っている。パルス発生器モジュール38は、各システムコンポーネントを動作させて所望のスキャンシーケンスを実行させ、発生させるRFパルスのタイミング、強度及び形状、並びにデータ収集ウィンドウのタイミング及び長さを指示するデータを発生させている。パルス発生器モジュール38は、スキャン中に発生させる傾斜パルスのタイミング及び形状を指示するために1組の傾斜増幅器42と接続させている。パルス発生器モジュール38はさらに、生理学的収集制御器44から患者データを受け取ることができ、この生理学的収集制御器44は、患者に装着した電極からのECG信号など患者に接続した異なる多数のセンサからの信号を受け取っている。また最終的には、パルス発生器モジュール38はスキャン室インタフェース回路46と接続されており、スキャン室インタフェース回路46はさらに、患者及びマグネット系の状態に関連付けした様々なセンサからの信号を受け取っている。このスキャン室インタフェース回路46を介して、患者位置決めシステム48はスキャンのために患者を所望の位置に移動させるコマンドを受け取っている。
【0017】
パルス発生器モジュール38が発生させる傾斜波形は、Gx増幅器、Gy増幅器及びGz増幅器を有する傾斜増幅器システム42に加えられる。各傾斜増幅器は、収集した信号の空間エンコードに使用する磁場傾斜を生成させるように全体を番号50で示す傾斜コイルアセンブリ内の物理的に対応する傾斜コイルを励起させている。傾斜磁場コイルアセンブリ50は、偏向マグネット54及び全身用RFコイル56を含むマグネットアセンブリ52の一部を形成している。システム制御部32内の送受信器モジュール58は、RF増幅器60により増幅を受けて送信/受信スイッチ62によりRFコイル56に結合されるようなパルスを発生させている。患者内の励起された原子核が放出して得られた信号は、同じRFコイル56により検知し、送信/受信スイッチ62を介して前置増幅器64に結合させることができる。増幅したMR信号は、送受信器58の受信器部分で復調され、フィルタ処理され、さらにディジタル化される。送信/受信スイッチ62は、パルス発生器モジュール38からの信号により制御し、送信モードではRF増幅器60をコイル56と電気的に接続させ、受信モードでは前置増幅器64をコイル56に接続させている。送信/受信スイッチ62によりさらに、送信モードと受信モードのいずれに関しても単独のRFコイル(例えば、表面コイル)を使用することが可能となる。
【0018】
RFコイル56により取り込まれたMR信号は送受信器モジュール58によりディジタル化され、システム制御部32内のメモリモジュール66に転送される。未処理のk空間データのアレイをメモリモジュール66内に収集し終わると1回のスキャンが完了となる。この未処理のk空間データは、各画像を再構成させるように別々のk空間データアレイの形に配置し直しており、これらの各々は、データをフーリエ変換して画像データのアレイにするように動作するアレイプロセッサ68に入力される。この画像データはシリアルリンク34を介してコンピュータシステム20に送られ、コンピュータシステム20において画像データはメモリ内に格納される。この画像データは、オペレータコンソール12から受け取ったコマンドに応じて長期記憶内にアーカイブしたり、画像プロセッサ22によりさらに処理してオペレータコンソール12に伝達しディスプレイ16上に表示させたりすることができる。
【0019】
ここで図2を参照すると、スペクトル−空間タイプの例示的な励起パルス80を表している。上で検討したようにスペクトル−空間撮像は、撮像中の物質の種類に関するスペクトルデータを一般のMR撮像の典型的なスライス選択と組み合わせたタイプの撮像である。励起パルス80は多くのRF下位要素82を含む。図示のようにこれらのRF下位要素82は、振幅が段階的に増加し次いで減少するような周期的なsinc関数を示す。しかしRF下位要素82は、ガウス波形など単なるsinc関数以外の多くの形態を取ることがあり得ることを理解されたい。RF下位要素82の周波数は、スペクトルエンコードのためにある具体的な関心対象物質の共鳴周波数に対応するように選択されることがある。例えば、過分極物質の原子核の共鳴周波数をパルス80の標的とすることがある。
【0020】
RF下位要素82に加えて、スライスエンコード傾斜84が印加される。スライスエンコード傾斜84はその符号が交替する周期的傾斜である。RF下位要素82及び傾斜84は組み合わされて、指定の周波数レンジ内部のスライス選択励起を可能にする。パルス80のスペクトル励起プロフィール(以下で説明する)は、1/ΔHz(ここで、ΔはRF波形80の下位要素82同士の時間間隔を意味する)の周期をもつ周期性となっている。好ましい一実施形態では、概ね90度の総フリップ角を生じさせるように励起パルス80が印加されている、別のフリップ角も適当なものと企図される。例えば、コントラスト薬剤のRF磁化破壊に対する偏向及び感度、所望の励起数、あるいは所望の画像分解能は、印加しようとするパルスの強度に影響を及ぼすことがある。
【0021】
ここで図3を参照すると、任意のスペクトル−空間パルス(例えば、図2に関連して説明したパルス)の磁化に対する効果を示している。上側のプロット86は横磁化Mxyを表しており、また下側のプロット88は縦磁化Mzを表している。プロット86、88の水平軸はスペクトル周波数を意味し、前後軸はz軸に沿った幾何学的位置を意味し、また垂直軸は磁化を意味している。図示したように、主横磁化92はz位置軸に沿った0mmのマークを付けた位置に沿った中央に来ている。このスペクトル軸の方向で、磁化92は0Hzの位置の中央に揃った周期性を示している。上で検討したように、磁化92の周期性は印加したスペクトル−空間パルスのΔ成分に依存する。したがってスペクトル−空間パルスのこの特性を変化させることによって所望の周期1/ΔHzを実現することができる。比較すると主スライスの外部の磁化94はかなり弱い。同様に、主磁化92の両側にあるスペクトル位置100Hzにおける磁化はほとんど存在していない。
【0022】
図3の下側のプロット88は縦磁化に対する逆の効果を表している。対応する縦磁化96の主低下はz位置(前後)軸に沿った0mmマークを付けた位置で中央に揃っている。磁化96の主低下は横磁化の場合と同様に0Hzの位置の中央に揃った周期性を示している。主縦磁化低下96の周期も同じく1/ΔHzであり、印加したスペクトル−空間パルスに依存する。主磁化低下96の両側の概ね100Hzの位置における磁化は元の強度のままである(すなわち、スペクトル−空間パルスの印加によって本質的に変化していない)。同様に、z位置軸に沿った主スライスの外部の磁化98も比較的変化しないままである。
【0023】
ここで図4を参照すると、上述のようなスペクトル−空間パルス104、106を組み込んだデータ収集シーケンス102の一実施形態を表している。好ましい一実施形態では、シーケンス102は代謝過程を撮像するように適応させている。このためには、スペクトル−空間パルス104、106の励起周波数を過分極コントラスト薬剤(すなわち、代謝反応物)の共鳴周波数に対応させることがある。例えば、スペクトル空間パルス104、106の励起周波数は過分極13Cラベル付けピルビン酸塩の原子核を励起するように設計されることがある。しかし、別の励起可能原子核をもつ別の物質(15−N、31−P、19−F、29−Si、129−Xeの原子核やNMR対応の別の原子核を有する13C濃縮した別の化合物や物質など)も等しく適用可能であることを理解されたい。
【0024】
収集シーケンス102は第1のスペクトル−空間パルス104の放出で開始され、これによって対応する共鳴周波数の物質の励起が生じる。次いで第2のスペクトル−空間パルス106(すなわち、フォローアップRFパルス)が第1のスペクトル−空間パルス104と同じ周波数で送信される。第2のスペクトル−空間パルス106は第1のスペクトル−空間パルス104の印加とスピンエコー108のピークの中間の時点(すなわち、エコー時間(TE)の半分であるTE/2の位置)で印加されることが好ましい。スペクトル−空間パルス104、106は概ね90度のフリップ角を有することが好ましい。図4に示すように、第1と第2のスペクトル−空間パルス104、106の組み合わせによってスピンエコー108(すなわち、Hahnエコー)が生成される。第2のスペクトル−空間パルス106を印加した後に読み出しすなわちデータサンプリング/収集段109が開始されると共に、スピンエコー108からの信号がサンプリングあるいは収集される(すなわち、第1組のMR信号が収集される)。読み出しはエコープラナー撮像(EPI)読み出し(例えば、スピンエコーEPI)、緩和強調式高速収集(RARE)読み出し、定常歳差運動真正高速撮像(trueFISP)読み出し、あるいはこれらの変形法など幾つかのよく知られた収集シーケンスの形態をとることができる。スピンエコーから収集されるMR信号は励起した物質(例えば、13−Cラベル付けピルビン酸塩)からの信号を含んでおり、またあるスライスまたは関心対象ボリュームに限定される。
【0025】
スピンエコー108からのスペクトル及び空間的に制限された信号を収集した後、収集シーケンス102は事前規定の遅延期間110の残りの間(その長さは第2のスペクトル−空間パルス106の印加から計測される)だけ遅延する。図4ではこの事前規定の遅延期間110が第2のスペクトル−空間パルス106の印加後から計測されているように示しているが、事前規定の遅延期間110は患者への過分極コントラスト薬剤の導入から計測した時間期間とすることも可能であることを理解されたい。事前規定の遅延期間110は過分極コントラスト薬剤の十分な代謝の発生を可能とするような代謝混合時間Tmを含む。すなわち、代謝混合時間Tmによって過分極コントラスト薬剤の複数の代謝産物への代謝を可能にしている。これらの代謝産物には、乳酸塩、アラニン及び重炭酸塩(ただし、これらに限らない)を含むことができる。代謝混合時間Tmの長さはシステムオペレータによって選択することが可能であり、またT1崩壊の数周期(例えば、T1の3周期)にわたる範囲とすることができ、この長さはコントラスト薬剤が過分極状態に留まる時間長によってのみ制限される。
【0026】
代謝混合時間Tmが経過した後、第3のRFパルス112(すなわち、読み取りパルス)を印加して所望の数の周波数を励起させる。一実施形態では、第3のRFパルス112は、過分極コントラスト薬剤に関する共鳴周波数並びに代謝産物の各々の共鳴周波数を励起させるように設計された非スペクトル選択性の読み取りRFパルスである。しかし別の実施形態では、第3のRFパルス112は指定の代謝産物に関してスペクトル選択性となるように設計したスペクトル選択性パルスである。第3のRFパルス112を印加した後に励起エコー114が形成され、これから第2組のMR信号がサンプリングあるいは収集される。より具体的には、第1のスペクトル空間パルス104、第2のスペクトル−空間パルス106及び第3のRFパルス112を組み合わせることによって励起エコー114が生成される。印加される第3のRFパルス112のスペクトル選択性(すなわち、第3のRFパルスがスペクトル選択性であるか非スペクトル選択性であるか)に応じて、励起エコー114内に包含される信号は、元の過分極コントラスト薬剤、指定の代謝産物、あるいは過分極コントラスト薬剤と代謝混合時間Tm中に形成された代謝産物のうちの幾つかからの信号を含む可能性がある。
【0027】
図4に示すように、収集シーケンス102内にはスペクトル選択性または非スペクトル選択性の追加の読み取りRFパルス116がさらに印加される得ることが企図される。すなわち、元の過分極コントラスト薬剤に関する信号及び/または1つまたは複数の代謝産物からの信号を追加の励起エコー118による追加の様々な代謝混合時間(Tm2、Tm3、...)において収集することが可能である。したがって、過分極コントラスト薬剤の代謝並びに代謝産物の形成を、励起した過分極コントラスト薬剤のT1崩壊周期内の様々な時点において(すなわち、励起した過分極コントラスト薬剤の幾つかのT1崩壊周期にわたって)計測することができる。1つまたは複数の読み取りRFパルス112、116から形成される励起エコー114、118の各々の信号強度を維持するために、読み取りRFパルス112、116は低い(例えば、15度などの)フリップ角(α)を有することができる。低フリップ角のパルスによって、複数の励起エコー114、118の生成を可能とすると共に、これらの励起エコー114、118の各々からの信号の収集が可能となる。収集シーケンス102に付与できる追加の読み取りRFパルス116の数は励起した過分極コントラスト薬剤の縦緩和時間のみによって制限される。
【0028】
図4に示すように、収集シーケンス102、120の間にG1及びG2傾斜という傾斜パルス140も印加される。傾斜G1、G2は任意の1対の軸(例えば、直交する軸)に沿って印加される傾斜に対応すると共に、この傾斜パルス140は、スピンエコー応答をスポイルさせると共に励起エコー応答をリフェーズするように機能する粉砕(crusher)傾斜となる。指定の収集シーケンスからの所望のデータ収集と対応するように様々な傾斜G1、G2を印加することが可能であること、また傾斜パルスパターンは図4に示したパターンに限定されないことが企図されよう。
【0029】
ここで図5を参照すると、スペクトル−空間パルス122を組み込んだデータ収集シーケンス120の別の実施形態を表している。図5の実施形態では、収集シーケンス120はスペクトル−空間パルス122の放出で開始されており、これが対応する共鳴周波数をもつ過分極コントラスト薬剤を励起させる。次いで非スペクトル選択性RFパルスの形態をしたフォローアップRFパルス124が送信される。フォローアップRFパルス124によって、過分極コントラスト薬剤のインビボ導入に続いて形成が始まる多数の代謝産物に関する励起が生じる。スペクトル−空間パルス122及びフォローアップRFパルス124は概ね90度のフリップ角を有することがことが好ましく、またフォローアップRFパルス124はスペクトル−空間パルス122の後のTE/2の時点で印加することが好ましい。第1のスペクトル−空間パルス122及びフォローアップRFパルス124から、自由誘導減衰(FID)信号126及びスピンエコー信号128が生成される。具体的には非スペクトル選択性のフォローアップRFパルス124によって、過分極コントラスト薬剤関する並びに過分極コントラスト薬剤の代謝から形成された代謝産物の各々に関するFID信号126が生成される。スペクトル−空間パルス122とフォローアップRFパルス124を組み合わせることによって、過分極コントラスト薬剤のみからのスピンエコー(すなわち、Hahnエコー)信号128が生成される。フォローアップRFパルス124の放出後に、FID信号126及びスピンエコー信号128を収集するための読み出しすなわちデータサンプリング/収集段129が開始され、またこのFID信号及びスピンエコー信号126、128は読み出しすなわちデータサンプリング/収集段129の間にサンプリングあるいは収集される。
【0030】
さらに図5を参照すると、スピンエコー128から及びFID信号126からのスペクトル及び空間的に制限された信号を収集した後、収集シーケンス120は事前規定の遅延期間130(すなわち、代謝混合時間Tm)の残りの部分を経過させている。代謝混合時間Tmによって十分な過分極コントラスト薬剤の代謝が生じ、これによって乳酸塩、アラニン及び重炭酸塩などの複数の代謝産物の形成が可能となる。
【0031】
代謝混合時間Tmが経過した後、スペクトル選択性または非スペクトル選択性の読み取りRFパルス132を印加し複数の周波数を励起させる。読み取りRFパルス132は、指定の代謝産物に関する共鳴周波数、あるいは過分極コントラスト薬剤並びに代謝産物の各々に関する共鳴周波数の励起を可能とするように設計することが可能である。読み取りRFパルス132が印加されると、励起エコー134が形成される。励起エコー134内に包含される信号は元の過分極コントラスト薬剤に関する信号、並びに代謝混合時間Tm中に形成された1つまたは複数の代謝産物からの信号を含む可能性がある。
【0032】
図5に示すように、収集シーケンス120内にさらに追加の読み取りRFパルス136を付与することが可能である。すなわち追加の代謝混合時間(Tm2、Tm3、...)において、追加の励起エコー138によって元の過分極コントラスト薬剤に関する信号及び/または1つまたは複数の代謝産物からの信号を収集することができる。したがって、過分極コントラスト薬剤の代謝と代謝産物の形成を、T1崩壊周期内の様々な時点で計測することが可能である。
【0033】
図5に示すように、収集シーケンス102、120の間にはG1及びG2傾斜という傾斜パルス140が印加されており、これは1対の任意の軸(例えば、直交する軸)に沿って印加される傾斜に対応する。傾斜パルス140はFID及び/またはスピンエコー応答をスポイルさせると共に励起エコー応答をリフェーズするように機能する粉砕傾斜となる。指定の収集シーケンスからの所望のデータ収集と対応するように様々な傾斜G1、G2を印加することが可能であること、また傾斜パルスパターンは図5に示したパターンに限定されないことが企図されよう。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態による過分極コントラスト薬剤とその代謝産物をスペクトロスコピー撮像するための技法142を表した流れ図である。ブロック144では撮像対象内に過分極コントラスト薬剤が導入される。次に146において、連続する2つのRFパルスが送信される。組織内への潅流を可能にするため、あるいは薬剤が診断対象の臓器まで到達できるようにするため、この連続する2つのRFパルスは薬剤の導入後ある指定の時間期間だけ遅延させることがある。2つのRFパルスの少なくとも一方はコントラスト薬剤の励起を誘導するようにコントラスト薬剤の共鳴周波数で送信されており、また2つのRFパルスの少なくとも一方はその励起があるスライスまたは関心対象ボリュームに制限されたスペクトル−空間パルスを形成するようなスライス選択傾斜を伴って送信される。148において、連続する2つのRFパルスの第2のパルスを印加した時点で代謝混合時間遅延が開始される。励起が完了した後、150において信号読み出しが開始され、この間においてその信号が励起した過分極コントラスト薬剤に限定されるような連続する2つのRFパルスから得られたスピンエコー信号からMRデータが収集される。さらに一実施形態ではそのMRデータは追加として、連続する2つのRFパルスのうちの一方が非スペクトル選択性であるときに連続する2つのRFパルスから得られたFID信号を含む。
【0035】
148において連続する2つのRFパルスの第2のパルスの印加の間に開始される代謝混合時間遅延の残りの待機によって技法142は継続される。この代謝混合時間遅延によって患者内における過分極コントラスト薬剤の代謝及び代謝産物の形成が可能となる。代謝混合時間遅延が完了した時点で、152において読み取りRFパルス(スペクトル選択性または非スペクトル選択性)が印加され、過分極コントラスト薬剤及び/または1つまたは複数の代謝産物の共鳴周波数が励起される。励起が完了した後に154において信号読み出しが開始され、この間に読み取りRFパルス(例えば、スペクトル選択性または非スペクトル選択性パルス)の印加から形成される励起エコーからMRデータが収集される。このMRデータは、過分極コントラスト薬剤及び/または1つまたは複数の代謝産物からの信号を含む。156では、1つまたは複数の追加の読み取りRFパルス(スペクトル選択性または非スペクトル選択性)を印加することができる、この各パルスは追加の励起エコー信号を生成しこれが158で読み取られる。すべてのMRデータを収集し終えた後、そのデータは160において周知の再構成技法のいずれかに従って空間マッピングを実施してスペクトロスコピー画像を再構成するように処理される。
【0036】
技法142の応用は指定のタイプの空間マッピングに限定されないことを理解されたい。例えば技法142は、直交する傾斜によって代謝関心対象ボリュームの選択するために3つのRFパルスからなるシーケンス(上で詳細に記載)を使用しているSTEAMなどの単一ボクセルモードにおいて追加の空間マッピングを要することなく使用することができる。しかし技法142はさらに、空間的に制限また非空間的に制限された別のスペクトロスコピー撮像技法にも利用可能である。
【0037】
ここで図7を参照すると、3Tにおける13C−1−ピルビン酸塩とその代謝産物のスペクトル分離を表している。図示したように、13C−1−ピルビン酸塩の選択励起は、スペクトル制限されたRF励起パルスによって実現される。13C−1−ピルビン酸塩及び代謝産物からの信号は図6で図示した技法から収集することが可能である。
【0038】
図8は、図4及び5に示したパルスシーケンスなどのスペクトル−空間励起エコーシーケンスの印加タイミングを基準として、13C−1−ピルビン酸塩の動的かつ代謝性の挙動並びにその代謝産物への代謝を表示している。図8に示した例示的なパルスシーケンスに関する図示した実施形態では、連続する2つのRFパルス162、164が送信される。2つのRFパルスの少なくとも一方はコントラスト薬剤の励起を誘導するようにコントラスト薬剤(すなわち、13C−1−ピルビン酸塩)の共鳴周波数で送信されており、また2つのRFパルスの少なくとも一方はその励起があるスライスまたは関心対象ボリュームに制限されるようなスペクトル−空間パルスが形成されるようにスライス選択傾斜と共に送信される。図示のように連続する2つのRFパルス162、164は、第1のRFパルス162の印加と連続する2つのRFパルス162、164により生成されるスピンエコー(図示せず)のピークとの間の時間の半分にあたる時間TE/2だけ分離されている。図8でさらに示しているように、励起エコーを生成するための非スペクトル選択性RFパルス166の印加は、13C−1−ピルビン酸塩の十分な範囲での代謝を可能にさせるための事前決定の遅延期間167(すなわち、代謝混合時間、Tm)が経過する後まで実施されない。次いで、第3のRFパルス166により生成した励起エコーの読み出しによってスペクトロスコピー画像収集168を実施することができる。
【0039】
開示した方法及び装置の技術的貢献はスペクトル−空間性に形成された励起エコーを用いた代謝産物に対するコンピュータ実現の組織特異的なMR撮像を提供できることである。スペクトル−空間無線周波数(RF)パルスを用いて隣り合うスライスや近傍の周波数レンジに大きな影響を及ぼすことなく指定の周波数プロフィールの磁化を生成している。次いでスペクトル選択性または非スペクトル選択性RFパルスを用いて励起エコーを生成し、広い周波数プロフィールにわたり磁化が生成されており、これによって代謝過程をスペクトロスコピー画像として読み出すことが可能である。
【0040】
したがって本発明の一実施形態では、磁気共鳴(MR)スペクトロスコピーシステムは、複数の傾斜コイル、RFコイルアセンブリ及びシステム制御部を含む。このシステム制御部はRFコイルアセンブリに対して、その少なくとも1つがスペクトル選択性でありかつその少なくとも1つが空間選択性であるような第1のRFパルス及び第2のRFパルスを放出させるようにプログラムされている。このシステム制御部はさらにRFコイルアセンブリに対して、事前規定の時間遅延の後に第3のRFパルスを放出して励起エコーを生成させると共に該励起エコーから得られたMR信号を検出させるようにプログラムされている。
【0041】
本発明の別の実施形態では、磁気共鳴(MR)撮像のための方法は、コントラスト薬剤の励起をあるスライスまたは関心対象ボリュームに空間的に制限しながらコントラスト薬剤の共鳴周波数を励起する工程と、該コントラスト薬剤の空間的に制限された励起から第1組のMR信号を検出する工程と、を含む。本方法はさらに、代謝混合時間の後にコントラスト薬剤と該コントラスト薬剤から形成された少なくとも1つの代謝産物とに関する共鳴周波数を励起する工程と、代謝混合時間の後に該コントラスト薬剤及び少なくとも1つの代謝産物の励起から得られる第2組のMR信号を検出する工程と、検出された第1及び第2組のMR信号からスペクトロスコピー画像を作成する工程と、を含む。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータによって実行したときに該コンピュータに対して第1の周波数におけるスペクトル−空間パルスの送信を要求しかつフォローアップRFパルスの送信を要求し該スペクトル−空間パルス及びフォローアップRFパルスによってスピンエコーを生成させる命令からなるシーケンスを表したコンピュータプログラムをその上に保存して含む。この命令シーケンスはさらにコンピュータに対して、1つまたは複数の周波数を包含した少なくとも1つの読み取りRFパルスの送信を要求し、スペクトル−空間パルス、フォローアップRFパルス及び該少なくとも1つの読み取りRFパルスによって励起エコーを生成させている。この命令シーケンスはさらにコンピュータに対して、スピンエコー及び励起エコーから磁気共鳴(MR)信号を収集してスペクトロスコピー画像を作成させかつMR信号をコンピュータメモリ内に保存させている。
【0043】
本発明を好ましい実施形態に関して記載してきたが、明示的に記述した以外に等価、代替及び修正が可能であり、これらも添付の特許請求の範囲の域内にあることを理解されたい。処理過程または方法の工程の順序及びシーケンスは代替的な実施形態に応じて変更またはシーケンス配列し直すことができる。
【符号の説明】
【0044】
10 磁気共鳴撮像(MRI)システム
12 オペレータコンソール
13 キーボードその他の入力デバイス
14 制御パネル
16 表示画面
18 リンク
20 コンピュータシステム
20a バックプレーン
22 画像プロセッサモジュール
24 CPUモジュール
26 メモリモジュール
32 システム制御部
32a バックプレーン
34 高速シリアルリンク
36 CPUモジュール
38 パルス発生器モジュール
40 シリアルリンク
42 傾斜増幅器
44 生理学的収集制御器
46 スキャン室インタフェース回路
48 患者位置決めシステム
50 傾斜コイルアセンブリ
52 マグネットアセンブリ
54 偏向マグネット
56 全身用RFコイル
58 送受信器モジュール
60 RF増幅器
62 送信/受信スイッチ
64 前置増幅器
66 メモリモジュール
68 アレイプロセッサ
80 スペクトル−空間タイプの励起パルス
82 RF下位要素
84 スライスエンコード傾斜
86 上側プロット
88 下側プロット
92 主横磁化
94 主スライス外部の横磁化
96 縦磁化
98 主スライス外部の縦磁化
102 データ収集シーケンス
104 第1のスペクトル−空間パルス
106 第2のスペクトル−空間パルス
108 スピンエコー
109 データサンプリング/収集段
110 事前規定の遅延期間/混合時間
112 第3のRFパルス
114 励起エコー
116 追加の読み取りRFパルス
118 追加の励起エコー
120 データ収集シーケンス
122 スペクトル−空間パルス
124 フォローアップRFパルス
126 自由誘導減衰(FID)信号
128 スピンエコー信号
130 事前規定の遅延期間/混合時間
132 読み取りRFパルス
134 励起エコー
136 追加の読み取りRFパルス
138 追加の励起エコー
140 傾斜パルス
142 スペクトロスコピー撮像技法
144 過分極コントラスト薬剤を導入する
146 連続する2つのRFパルスを送信する
148 代謝混合時間遅延を開始する
150 信号読み出し
152 読み取りRFパルスを印加する
154 信号読み出し
156 追加の読み取りRFパルスを印加する
158 追加の励起エコー信号を読み出す
160 スペクトロスコピー画像の再構成
162 RFパルス
164 RFパルス
166 非スペクトル選択性RFパルス
167 事前決定の遅延期間
168 スペクトロスコピー画像の収集

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネット(52)のボアの周りに位置決めされた複数の傾斜コイル(50)と、
RFパルスシーケンスを放出するようにパルス発生器(38)と結合されかつ関心対象から得られるMR信号を受け取るように配列されたRFコイルアセンブリ(56)と、
前記複数の傾斜コイル(50)及びRFコイルアセンブリ(56)と結合されたシステム制御部(32)であって、該RFコイルアセンブリ(56)に対して、
そのうちの少なくとも1つがスペクトル選択性でありかつそのうちの少なくとも1つが空間選択性であるような第1のRFパルス(104)及び第2のRFパルス(106)を放出すること、
事前規定の時間遅延(110)の後で励起エコー(114)を発生させるための第3のRFパルス(112)を放出すること、
前記励起エコー(114)から得られたMR信号を検出すること、
を行わせるようにプログラムされたシステム制御部と、
を備える磁気共鳴(MR)スペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項2】
前記システム制御部(32)はさらに、第1及び第2のRFパルス(104、106)から得られたスペクトル−空間選択性MR信号を検出するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項3】
第1及び第2のRFパルス(104、106)から得られた前記スペクトル−空間選択性MR信号は、自由誘導減衰(FID)信号(126)とスピンエコー信号(108)のうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項4】
前記第1のRFパルスと第2のRFパルス(104、106)のうちのスペクトル選択性である少なくとも一方は代謝反応物を指定の周波数で励起するように設計されている、請求項1に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項5】
前記代謝反応物は13C−1−ピルビン酸塩を含む、請求項4に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項6】
前記事前規定の時間遅延(110)は第2のRFパルス(106)の放出から計測される混合時間を含んでおり、該混合時間(110)は代謝反応物の複数の代謝産物までの代謝を可能にするように設計されている、請求項4に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項7】
前記システム制御部(32)はRFコイルアセンブリ(56)に対して、事前規定の時間遅延(110)に続く追加の時間遅延の後に追加の励起エコー(118)を発生させるための追加のRFパルス(116)を放出させるようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項8】
前記第3のRFパルス(112)と追加のRFパルス(116)の少なくとも一方は非スペクトル選択性パルスであると共に、前記励起エコー(114、118)から得られるMR信号は代謝反応物からの信号を包含しかつ事前規定の時間遅延(110)の間に形成された複数の代謝産物からの信号を包含している、請求項7に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項9】
前記第3のRFパルス(112)と追加のRFパルス(116)の少なくとも一方は指定の代謝産物に対するスペクトル選択性である、請求項7に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。
【請求項10】
前記第3のRFパルス(112)及び追加のRFパルス(116)は低フリップ角パルスである、請求項7に記載のMRスペクトロスコピーシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−178547(P2009−178547A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8376(P2009−8376)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】