説明

スペクトルコード化ヘテロダイン干渉法を画像化に使用可能なシステム、方法、及び装置

三次元画像データを得るためのシステム、装置及び方法を提供する。例えば、広帯域光源(100)は特定の放射を提供できる。第1電磁放射は集束後に回折され、スペクトルコード化ラインを生成するため、サンプル(140)に与えられる。第2電磁放射は、ダブルパス高速走査光学遅延部(160)を含む参照部に与えられる。第1及び第2電磁放射は特定の放射に基づく。(第1電磁放射と関連する)第3電磁放射と、(第2電磁放射と関連する)第4電磁放射との間の干渉を検出する。スペクトルコード化ラインは、該ラインとほぼ直角をなす方向において、サンプル上で走査される。三次元情報を含む画像データは、干渉に基づいて取得できる。典型的な画像化法及びシステムは、小径の光ファイバプローブ又は内視鏡プローブで使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月31日に提出した米国特許出願番号第60/686,518号に基づき、優先権の利益を請求するとともに、その全ての開示を参照によってここに援用する。
【0002】
本発明の開発はその一部が、全米科学財団助成番号BES−0086709下で、米国政府によって支援された。よって、米国政府は本発明に係る特定の権利を保有し得る。
【0003】
本発明は光学的画像化に関し、より詳しくは、サンプルの少なくとも一部を画像化するために、スペクトルコード化ヘテロダイン干渉法を使用可能なシステム、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0004】
三次元(「3D」)内視鏡検査は、臨床医に立体情報を提供することによって、様々な最小限の侵襲性処置を支援できる。小径の柔軟な画像化プローブ、例えばボアスコープ、腹腔鏡、及び内視鏡を利用する場合に、広い三次元視野を有する深さ分解画像化の実現は困難である。高開口数レンズを使用したファイバ・バンドルによる共焦点画像化を用いることは、この課題に対処するために使用可能な技術の1つとされる。例えば、この技術は、Y.S.Sabharwal等の「Slit−scanning confocal microendoscope for high−resolution in vivo imaging(高解像度生体内画像化のためのスリット走査共焦点マイクロ内視鏡)」(Appl.Opt.38、7133(1999))に記載されている。しかし、この種の装置の3D視野は、対物レンズの小さい開口部及び高解像度光学セクショニング(切片化)に必要な小さいfナンバーに起因して、数ミリメートル未満に限定されてしまう。また、他の技術、例えば、ステレオ画像化及び構造化された照明が、3D内視鏡画像を得るために提案された。例えば、この種の技術は、M.Chan等の「Miniaturized three−dimensional endoscopic imaging system based on active stereovision(能動的ステレオビジョンに基づく小型三次元内視鏡画像システム)」(Appl.Opt.42、1888(2003))、D.Karadaglic等の「Confocal endoscope using structured illumination(構造化された照明を用いた共焦点内視鏡)」(Photonics West 2003、Biomedical Optics、4964−34)にそれぞれ記載されている。しかし、これらの技術では、プローブの構成部品が、ファイバ・バンドルを用いて行われる共焦点画像化に必要な構成部品よりも数多く必要となる。この追加的なハードウェアにより、この種の装置の寸法が大きくなり、コスト高、及び複雑化を招くことになる。
【0005】
スペクトルコード化内視鏡(「SEE」)技術では、サンプル中の横ラインに亘る反射率をスペクトル的にコード化するために、広帯域光源と回折格子を利用できる。例えば、二次元画像は、このスペクトルコード化ラインを低速で走査することによって形成できる。この技術は単一の光ファイバを使用して実施でき、これによって小径の柔軟なプローブによる画像化が可能となる。特に、SEE画像は、分解可能な多数のポイントをもつことができ、ファイバ・バンドル内視鏡を使用して得た画像と比べて、ピクシレーション・アーチファクトが比較的少ない。
【0006】
干渉法技術とシステムを組み合わせると、SEEは三次元画像を提供できる。深さ分解画像化は、例えば、SEEプローブを、マイケルソン干渉計のサンプルアームに組み込むことで実現できる。この種の装置を使用して、二次元(「2D」)スペックルパターンを参照ミラーの複数の縦位置で記録でき、その際、電荷結合素子(「CCD」)型カメラを使用する。その後、深さ情報を、連続的な参照ミラー位置で得られた干渉信号同士の比較によって抽出できる。この技術を使うと、参照ミラーが光学波長以内で静止状態に保たれ、単一画像(ライン)がフリンジの可視性低下を回避するために得られる。多数の離散的な深さに亘ってこの精度で位置される参照ミラーを走査することは、リアルタイムでの立体画像化に必要な高速レートでは非常に難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、従来技術のシステムのもつ欠陥及び欠点(上記したものを含む)を克服して、サンプルと関連した三次元画像データを生成可能な典型的なSEE技術、システム及び装置を提供することにある。本発明の例示的実施形態は、サンプルの高速な立体画像化を行える方法、システム及び装置を提供できる。これらのシステム及び装置の例示的実施形態は、光ファイバプローブ又は内視鏡プローブの中に設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特定の例示的実施形態では、光源又は他の電磁放射を生成する装置を含むシステムが提供される。光源は、電磁放射を提供できる広帯域光源とすることができる。システムの例示的実施形態では、光源からの放射を第1放射及び第2放射に分けるように構成したビームスプリッタを含むことができる。システムは、第1放射をサンプルに向けて送出するように構成できる。この第1放射は、レンズ−格子装置(回折格子及びレンズを含む)を通過し、該装置は第1放射を集束させ、修正し及び/又は第1放射を方向付ける。レンズ−格子システムは、第1放射に関連したスペクトルコード化ラインをサンプルに向けるように構成できる。また、前記ラインとほぼ直交する方向においてサンプルの少なくとも一部の上に前記ラインの走査を行うように構成した走査機構を設けることができる。第3放射は、スペクトルコード化ラインの一部とサンプルとの間の相互作用に基づいて生成される。レンズ−格子装置及び/又は走査機構は、例えば、プローブ内に付設できる。このプローブは、内視鏡及び/又はカテーテルを含むことができる。
【0009】
システムの例示的実施形態は、高速スキャン(走査)光学遅延(「RSOD」)装置を更に含むことができ、第2放射はRSOD装置を通過して影響を受けるものとされ、これによって第4の放射が生じる。また、第3放射と第4放射との間の干渉を検出するように構成した検出装置を設けることができる。この検出装置は、例えば、干渉に基づいて原データを生成可能な電荷結合素子を含むことができる。
【0010】
処理装置、例えばコンピュータ及び/又は該処理装置によって実行可能なソフトウェアが設けられ、これらは、第3放射と第4放射との間で検出される干渉に基づいて、画像データを生成するように構成される。処理装置及び/又はソフトウェアは、例えば、画像データを生成するためにフーリエ変換を原データに施すように構成できる。また、表示装置は、画像データに基づいてサンプルの少なくとも一部の画像を表示するために設けることができる。任意選択的に、これらの画像は、リアルタイムで、例えば、第1放射をサンプルに向けて送出しながら、表示することができる。
【0011】
本発明の更なる例示的実施形態において、方法は、サンプルの少なくとも一部の三次元画像データを生成するために提供できる。サンプルに向けられる第1放射及び参照部に向けられる第2放射を含む特定の放射を提供できる。例えば、第1放射は、サンプルに向けられるスペクトルコード化ラインを提供するために、レンズ及び回折格子を通って送出される。このラインについては、該ラインとほぼ直交する方向においてサンプルの一部の上に走査することができる。第3放射は、第1放射とサンプルとの間の相互作用に基づいて生成される。第4放射は、第2放射を高速スキャン光学遅延部に導くことによって生成される
【0012】
その後、干渉は、第3放射と第4の放射との間で検出される。この干渉は、サンプルの少なくとも一部の特徴を表す三次元画像データを生成するために用いることができる。画像データは、ディスプレイ上にサンプルの画像を表示するために使用できる。
【0013】
本発明の上記目的及び他の目的、特徴及び利点については、添付請求項を参照しながら、本発明の実施形態に係る以下の詳細な説明を読む際に明らかとなる。
【0014】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の実施形態を示す添付図面に関連した以下の詳細な説明から明らかになる。
【0015】
図全体を通して、同一の参照番号及び文字は、特に明記しない限り、図示した実施例における同様の特徴部、構成要素、又は部分を示すために用いる。更に、対象発明を図面に関して詳述するが、これは実施例との関連において行われる。なお、記載した実施形態に対する変更及び改変については、添付請求項によって規定される対象発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の例示的実施形態に従い、3D画像用のイメージ(画像)データを取得するように構成したシステムのブロック図を、図1に示す。例えば、光源100又は電磁放射の発生源が提供され(光や、他の広帯域の電磁放射を生成できる発生源、例えばチタニウム・サファイアレーザ)、これは、例えば、シングルモード光ファイバ50/50スプリッタ110又は別のタイプの光学スプリッタの入射ポートに接続できる。コンパクトなレンズ−格子装置が設けられ、該装置は光線を集光するように形成したレンズ120(例えばf=40mmのレンズ及び0.5mmのビーム直径)と、透過型回折格子130を含むことができ、該回折格子は1000 lines/mm(ホログラフィックスLLC)とされて、ビームを回折させ、(x軸に沿う)スペクトルコード化ラインをサンプル140の表面上に形成する。ガルバノ光走査装置150を、例えばy軸に沿った、ラインの低速走査用に設けることができる。
【0017】
例えば、この典型的なシステムでは、ほぼ80ミクロン(マイクロメートル)の空間的な横方向分解能を提供できる。画像は80個の横方向の解像可能ポイントを含み、横方向の各スポットは、例えば、1.9nm(ナノメートル)の帯域幅を使用して照射することができる。サンプルに供給される全電力は約4mWとされる。ダブルパス高速走査光学遅延部(「RSOD」)160を用いて、リファレンスアーム光の群遅延を制御できる。このRSOD160は、1秒間に約1000回の走査レートで、約1.5mmの距離に亘って走査を行える。干渉信号は、検出器170によって時間の関数として記録され、そして復調された上で、コンピュータ180を使ってリアルタイムで表示できる。
【0018】
空間分解能及び深さ方向の距離計測及び視覚化については、例えば、より広い帯域幅のソース(発信源)及び拡張範囲光学遅延線を使用することにより、本発明の例示的な実施形態に従って改善できる。この種の装置は、例えば、K.K.M.B.D.Silva、A.V. Zvyagin及びD.D.Sampsonの、「Extended range, rapid scanning optical delay line for biomedical interferometric imaging(生医学的干渉計画像化用の、拡張範囲、高速走査光学遅延線)」(Elec. Lett. 35, 1404 (1999))に記載されている。
【0019】
広域スペクトル照明を使用して横軸方向及び深さ方向の寸法をコード化するための、本発明による典型的な技術の一例を、図2に示す。例えば、サンプル200は、3つの離散的な散乱ポイントをx−z平面内に含むことができる。サンプル200についての走査によって時間の関数として記録される干渉信号210は、3つの干渉トレース220を含むことができる。各干渉トレースは、対応する遅延、つまりΔt=Δz/v)によって特性化される深さ情報を表すことができ、ここで、「Δz」は、対応する散乱体の深さ方向の位置であり、「v」は群遅延速度である。横方向の位置は搬送周波数、2v/λに対応し、ここで、「v」は位相速度を表し、「λ」は散乱体iの位置に対応する波長である。(例えば、図2に示す3つの散乱体を含むサンプルでは、i=1乃至3である。)
【0020】
各トレースの幅、Tは、深さ分解能を決定し、「T=0.44Nλ/(vΔλ)」と表わされる。ここで、「Δλ」は全帯域幅を表し、「N」はスペクトルコード化ラインに沿った解像可能ポイントの数である。二次元のデータセット230(x軸及びz軸の位置に対応する)は、「Δt」に中心として「T」の幅をもつガウス窓を使用して、短時間フーリエ変換(「STFT」)を干渉データ220に適用することで得られる。与えられた遅延「Δt」に対応する周波数分布は、対応する深さ「Δz」における空間情報を提供できる。これに代えて、又は、これに加えて、深さを統合した横方向における画像は、一組の干渉データの一部又は全体に対して周波数変換を同時に適用することによって得られ、又は、個々の深さ分解画像データを総計することによって得られる。周波数変換は、例えば、フーリエ変換、短時間フーリエ変換又はウィグナー変換とすることができる。立体データは、サンプル200に亘ってスペクトルコード化ラインを横方向に走査することで得られる。
【0021】
本願明細書に記載した本発明による典型的な検出法は、従来の光学コヒーレンストモグラフィ(「OCT」)で用いる技法と同様である。従来のOCT技術は、例えば、D.Huang等によりScience 254、1178(1991)に記載されている。典型的OCT技術では広帯域光源を利用して、例えば、約10μm(マイクロメートル)未満の、軸方向における高解像度を得ることができる。従来のOCT技術を使った三次元画像化を行うために、プローブのビームは二次元で走査することを要し、これには高速のビーム走査機構が必要である。これに対して、スペクトルコード化内視鏡技術は、横方向と軸方向の両解像度を同時に得るために、スペクトル帯域幅を利用することができ、これにより、三次元データセットを得るために1つの遅軸走査を利用するだけで済む。所与のソースの帯域幅を使用して、二次元での解像度を、低下した軸方向の解像度とともに実現できる。
【0022】
ショットノイズを制限する典型的な検出法を利用し、一様に平坦なスペクトルを有するソースを用いる場合に、反射率Rの空間ポイントに関連した信号対ノイズ比(「SNR」)を下式で表すことができる。
【数1】

ここで、「P」はリファレンスアームの全パワーを示し、「P」はサンプルアームの全パワーを示し、「τ」はライン走査期間を表し、「B」はサンプリング帯域幅を示しており、「B=N/2τ」と書くことができ、「N」は軸方向の解像可能ポイントの数を示す。上記SNRの式は、横方向の解像可能ポイント数の二乗に反比例し、その理由は、リファレンスアームのパワーの割合(すなわちP/N)だけが、単一の横位置からの戻り光と干渉するからである。
【0023】
本発明の特定の例示的実施形態に従う、典型的な3Dスペクトルコード化法を用いて得られる指先の画像例を、図3A及び図3Bに示す。これらの画像例のフレームサイズは、約15×9mmである。三次元画像データは、毎秒2.5フレームのレートで得られた。図3A及び図3Bに示す画像の各フレームは、(空間的な走査軸に沿う)200ポイント×(波長コード化軸に沿う)80ポイント×(サンプル内の深さを示す)10ポイントの解像度をもつ。深さ分解能は、ほぼ145μmであった。
【0024】
例えば、図3Aに示す二次元の(深さを統合した)画像300は、1回の走査につき約4000ポイントを収集して、これらのデータにフーリエ変換を施すことで得られる。各走査は、三次元情報を得るために個別的に変換される約10の時間窓(ウィンドウ)に分けることができる。また、三次元データは、図3Bで示すように、等高線図310で表示できる。更に、擬似カラー画像を生成して、これを二次元画像上に重畳させることで、三次元視覚化を提供できる。
【0025】
生物組織において、組織サンプル内における特定の深さから発生する単一の散乱信号は、組織表面付近で散乱された信号に比して大幅に低い強度をもつことになる。散乱信号のこの特性に基づき、各STFTの最大周波数成分が組織内での表面高さ、つまり深さに対応すると考えられる。
【0026】
三次元画像データは、図1に示すRSOD160によって直接与えられる、例えば、深さ1.5mmよりも大きい深さ範囲をもつサンプルから得ることができる。より大きな深さ範囲は、2組以上の立体データセットを得ることによって分析することができ、各セットは異なるリファレンスアームの経路長を使用して得られる。
【0027】
本発明の例示的実施形態において、システムの特定の構成要素は、体内に導入可能なプローブの形態をもって、小サイズで設けることができる。例えば、レンズ−格子装置及び/又は走査機構は、カテーテル及び/又は内視鏡を使って体に入れ、つまり体内へと導入可能な、カプセル又は他の囲繞部又はハウジング内に設けることができる。導波路は、光源によって発生される放射の少なくとも一部を、レンズ−格子装置、参照部、及び/又はサンプルに向けて導くために用いることができる。導波路には、例えば、単一モード光ファイバ、マルチモード光ファイバ、及び/又はマルチクラッド光ファイバが挙げられる。
【0028】
この拡張範囲でのデータ取得の実施例として、25セント硬貨の約2.4mm前方に配置した10セント硬貨の表面が、本発明の特定の例示的実施形態による方法、装置及びシステムを使用して、図4A乃至4Dに示すように撮影された。例えば、f値65mmのレンズが、より広い視野及び焦点深度を提供するために使用された。2つの立体データセットは、RSODダブルパスミラーの2つの位置の各々についてSTFTを算出することで得られた。各セットの画像データ、つまり200本の水平ラインを含み、1秒当たり5個のボリュームセットのレートでキャプチャーされたデータが処理され、毎秒2.5フレームのレートで、コンピュータ画面上に表示された。
【0029】
図4A乃至4Dに示す2個の硬貨の画像は、各種状況下で与えられる。図4Aの第1画像400は、1mmの長さをもつスケールバーを含み、この画像はまた、図4B乃至4Dに示す画像に相当する。撮像された両硬貨の表面はレンズの焦点深度内にあるが、10セント硬貨は、RSODの限定された走査範囲のために、図4Aの第1画像400には現れていない。図1に示すRSOD160のダブルパスミラーを2.4mmずつ段階的に動かすことによって、リファレンスアームの光路長を調整した後では、図4Bの第2画像410に示すように、10セント硬貨の表面が見えるようになる。
【0030】
第1画像400及び第2画像410の形成に用いる2つの立体データセットを組み合わせて、図4Cに示す深さを統合した二次元の第3画像420や、図4Dに示す拡張範囲での深さ分解された第4画像430を得ることができる。深さ分解された第4画像430の表面高さはグレースケールでの参照テーブルによって表すことができ、レンズにより近い深さ位置ほど大きな画素強度を有する。よって、10セント硬貨の画像はより明るく見えるのに対し、背後の25セント硬貨の凹部は本画像において最も暗く見える。他の典型的な画像処理技術を使って、3次元画像データ、つまり本願明細書に記載した典型的な方法及び装置を使用して得たデータについての別の表示を提供することもできる。
【0031】
本発明の例示的実施形態による方法500について、典型的な流れ図を図5に示す。第1電磁放射及び第2電磁放射を含む特定の放射を提供できる(ステップ510)。例えば、この特定の放射は、広帯域光源又はレーザによって与えられる。該放射は、同時に与えられる複数の波長を含むことができ、又は、任意選択として、経時的に変化する1つ以上の波長を含むことができる。第1電磁放射及び第2電磁放射は、例えば、前記特定の放射を、ビームスプリッタ等の光学装置に通すように導くことで与えられる。
【0032】
放射のスペクトル分散ラインが生成され、これは第1電磁放射と関連している(ステップ520)。このラインは、例えば第1電磁放射を、レンズ−格子装置に通すように導くことで生成でき、該装置は、例えば、第1電磁放射を集束させ及び/又は第1電磁放射を方向付けるように構成した回折格子及びレンズを含むことができる。スペクトル分散ラインは一度に生成するか、あるいは、時間とともに変化する少なくとも1つの波長を有する光源を使用する場合に、ラインの異なる部分を順次に生成することができる。
【0033】
スペクトル分散ラインは、画像化されるサンプルの一部に向けて送出される(ステップ530)。また、このラインは、該ラインとほぼ直交する方向において走査され(ステップ540)、その際には、ガルバノ光学スキャナ等の走査装置が用いられ、これによって、画像化されるサンプルの領域にラインが及ぶことになる。
【0034】
第2電磁放射は、例えばRSOD等の光学遅延装置(ステップ550)又は、他の装置に向けて送出され、該装置は、制御された時間依存の方法で第2電磁放射に影響を及ぼすことができる。その後に、第1電磁放射及び第2電磁放射に関連した信号が検出される(ステップ560)。この信号は、例えば、第2電磁放射(光学遅延装置に向けられた後の放射)と、第1電磁放射と画像化されるサンプルとの間の相互作用によって生成される電磁放射とを重ね合わせて得られる干渉信号である(ステップ570)。そして、該信号と関連する三次元画像データは、処理装置又はコンピュータを使って生成することができる。該データは、例えば、フーリエ変換を信号に適用し及び/又は信号を復調することにより生成できる。その後、1つ以上の画像は、画像データを用いて表示できる(ステップ580)。任意選択的に、画像をリアルタイムで表示できる。
【0035】
前述の記載は単に本発明の原理を示すものである。記載した実施形態に対する各種変更、改変については、本願明細書の教示から当業者には明らかである。実際、本発明の例示的な実施形態による装置構成、システム及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム又は他の画像処理システムで使用することができ、例えば国際特許出願PCT/US2004/029148(2004年9月8日出願)、米国特許出願番号第11/266,779号(2005年11月2日出願)、及び米国特許出願番号第10/501,276号(2004年7月9日出願)に記載されたシステムに使用できる。そして、それらの開示内容は全て本願明細書に援用される。本願明細書には明示的に示されないか又は記載されていないが、当業者は本発明の原理を具体化した多数のシステム、装置、及び方法を案出することができ、これらが本発明の趣旨及び範囲内にあることは勿論である。また、従来技術の知識が上記で本願明細書において明確に引用されなかった範囲についても、それは全体として本願明細書において明確に組み込まれる。上記に参照した全ての刊行物は、参照によりそのまま本願明細書に引用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による時間領域スペクトルコード化画像システムの実施形態を例示したブロック図である。
【図2】本発明の特定の例示的実施形態に従う、短時間フーリエ変換を使用した干渉トレースから横軸方向及び深さ方向の情報を得るために使用可能な典型技術を示す図である。
【図3A】本発明の例示的実施形態による方法、システム及び装置を使用して得られた指先の画像例を示す図である。
【図3B】深さ情報が等高線を使用して重畳された、図3Aに示す指先の画像例を示す図である。
【図4A】本発明の例示的実施形態による方法、システム及び装置を使用して得た25セント硬貨の表面画像を示す図である。
【図4B】図4Aに示す25セント硬貨の2.4mm手前に配置した10セント硬貨の表面画像を示す図である。
【図4C】図4A及び図4Bに示す2個の硬貨について、二次元の統合画像を例示した図であり、本発明の例示的実施形態による方法、システム及び装置を使用して得た図である。
【図4D】図4Cに示す2個の硬貨の深さ分解画像を示す図であり、レンズに近い表面の特徴部は、レンズから離れた表面の特徴部よりも明るい。
【図5】本発明の例示的実施形態による典型的な方法についての流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の放射を提供するように構成した1つ以上の第1装置であって、前記放射が、少なくとも1つのサンプルに向かう1つ以上の第1電磁放射及び参照装置に向かう1つ以上の第2電磁放射を含み、かつ、前記1つ以上の第1電磁放射又は前記1つ以上の第2電磁放射が複数の波長を有しており、前記サンプルの少なくとも一部分に沿って、前記1つ以上の第1電磁放射をスペクトル的に分散させるように構成した第1装置と、
前記1つ以上の第1電磁放射及び前記1つ以上の第2電磁放射に関連するデータを生成するように構成した1つ以上の第2装置と、を備え、前記データが前記サンプルの少なくとも一部分に関連し、該サンプルが前記1つ以上の第1電磁放射の方向に関する軸上に位置するシステム。
【請求項2】
前記参照装置が光学遅延装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学遅延装置が高速走査光学遅延部である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記データが、前記1つ以上の第1電磁放射の方向に対して横方向の軸上にある、前記サンプルの少なくとも一部分と更に関連している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データが、前記サンプルの少なくとも一部分の二次元画像又は三次元画像と更に関連している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのサンプルが解剖学的構造部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記解剖学的構造部の少なくとも一部が皮膚の表面下にある、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の第1装置が回折格子を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の第1装置がレンズを更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の第1装置が、前記サンプルの少なくとも一部分の上に放射ラインを生成させるように更に構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の第1装置が少なくとも1つの走査装置を更に備え、該走査装置は、前記放射ラインとほぼ直交する方向において前記放射ラインを走査するように構成された、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の第2装置が光検出器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記光検出器が電荷結合素子を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記光検出器は、前記1つ以上の第1電磁放射及び前記1つ以上の第2電磁放射に基づいて信号を生成するように構成され、前記1つ以上の第2装置は、前記信号の時間−周波数変換を行うように構成された、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記時間−周波数変換が、フーリエ変換、短時間フーリエ変換、ウィグナー変換のうちの少なくとも1つである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記データに基づいて1つ以上の画像を提供するように構成した処理装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
1つ以上の前記処理装置がリアルタイムで前記1つ以上の画像を提供するように構成された、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の第1電磁放射が導波路装置を通して与えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記導波路装置が、単一モード光ファイバ、マルチモード光ファイバ、マルチクラッド光ファイバのうちの少なくとも1つである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の第1装置がプローブ内に設けられた、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記プローブが、内視鏡、カテーテルのうち、少なくとも1つを備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
三次元画像データを生成する方法であって、
1つ以上の第1電磁放射及び1つ以上の第2電磁放射を含む特定の放射を提供し、
前記1つ以上の第1電磁放射、すなわち、複数の波長を有し、少なくとも1つのサンプル上でスペクトル的に分散される前記第1電磁放射を前記サンプルに向けて送出し、
前記1つ以上の第2電磁放射を参照装置に向けて送出し、
前記1つ以上の第1電磁放射及び前記1つ以上の第2電磁放射に関連した信号を検出し、
前記信号に基づいて、前記1つ以上の第1電磁放射の方向に関する軸上に位置した前記サンプルの少なくとも一部分と更に関連する画像データを生成する、ことを含む方法。
【請求項23】
前記参照装置が光学遅延装置を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の第1電磁放射がライン状に与えられ、ラインとほぼ直交する方向において該ラインを走査することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記画像データを生成する際に、前記信号の時間−周波数変換を行うことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記時間−周波数変換が、フーリエ変換、短時間フーリエ変換、ウィグナー変換のうちの少なくとも1つである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記画像データに基づいて少なくとも1つの画像を表示することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの画像をリアルタイムで表示する、請求項27に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−542758(P2008−542758A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514872(P2008−514872)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/021343
【国際公開番号】WO2006/130797
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】