説明

スペクトル拡散通信ネットワークにおけるユーザー機器へのダウンリンク・パケット・アクセス・サービスの提供

【課題】スペクトル拡散通信ネットワークにおいて移動端末に対してパケットデータの送信サービスを行う方法を提供する。
【解決手段】送信局102において、ダウンリンク通信チャネル114を介して指示メッセージをセルに送信し、前記指示メッセージは移動端末108が利用可能なパケットデータ送信サービスを通知するものであり、前記移動端末108において、前記通信チャネル114において前記指示メッセージをモニタリングし、前記指示メッセージを受信すると、アップリンクコンテンションチャネル116を介して前記指示メッセージの検出を前記送信局102に対して知らせ、前記送信局102において、コンテンションが終了すると、前記通信チャネル114を介して前記移動端末108に対してパケットデータ送信サービスのコンフィギュレーション情報を送信する過程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル拡散通信ネットワークにおける移動局へのダウンリンク・パケット・アクセス・サービスの提供に関する。本発明は、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)により開発された3GPP−LTE標準に適合する通信ネットワークにおいて、ユーザー機器に対して、そのようなサービスを提供するのに適しており、この例示的かつ非限定的な用途に関連して、本発明を記述することが適当である。
【背景技術】
【0002】
高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)のようなパケット通信における近年の進歩により、さらには、アップリンク技術の進歩により、3GPP無線接続技術は極めて競争が激しくなっている。当該技術における競争が長く続くことを確実にするために、3GPP無線接続技術の長期的な展開が進められている。この新しい技術はスーパー3Gとして知られている。
【0003】
このスーパー3G技術の長期的な展開の重要部分としては、無線接続ネットワーク(RAN)における待ち時間の低減、ユーザーのデータ転送速度の上昇、システムの能力及び通信可能範囲の改良、ネットワーク提供者に対するコスト削減などがある。これらを実現するためには、無線ネットワーク・アーキテクチャとともに、無線インターフェイスの進化も考慮する必要がある。この進化の目的とするところは、フレームワークを開発し、高いデータ転送速度、短い待ち時間、パケットを最適化した無線アクセスを実現することにある。
【0004】
スーパー3Gシステムの発展は、進化型HSDPAなどのPSドメイン、多重媒体放送同報サービス(Multimedia Broadcast Multicast Services:MBMS)、高速アップリンクパケットアクセス(High Speed Uplink Packet Access:HSUPA)、あるいは、ボイスオーバーIP(Voice Over IP)に代表される、他の同様なパケットスイッチ型サービスにより提供されるサービスの支援策として注目されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広域コード分割多重アクセス(Wideband Code Division Multiple Access:WCDMA)システムにおける現存のHSDPAサービスは、現在では、他の専用RANサービスに依存した形で提供されている。この結果、プロトコールスタックの構造が極めて複雑なものになっており、さらに、WCDMAにおけるHSDPAの発展を阻害するものとなっている。
【0006】
このスーパー3Gシステムが発展することにより、進化型HSDPAや他の型式のパケットスイッチサービスが支援されることになると考えられる。しかしながら、WCDMAシステムのために開発された現在のHSDPA関連の手順を再使用すると、将来の3Gシステムが現在のWCDMA技術と結合し、さらに、将来の3Gシステムが機能的に現在のWCDMA技術に依存する状態に至るおそれがある。この相互依存性の結果として、さらに複雑なRANアーキテクチャがもたらされることが予想され、これにより、さらに、スーパー3Gシステムの設計、製作及び作動のコストが上げることとなる。
【0007】
従って、RANをベースとして考えた場合に、現在の3G−WCDMAシステムとは独立に作動可能であるように、進化型HSDPAサービスを将来のスーパー3Gシステムに導入することができるようにする必要性が存在する。さらに、HSDPAサービスの提供技術を改善するもしくは超えることができるように、進化型HSDPAサービスを提供する必要性も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スペクトル拡散通信ネットワークにおいて移動端末に対してパケットデータの送信サービスを行う方法であって、基地局において、ダウンリンクブロードキャストチャネルを介して指示メッセージをセルに送信し、前記指示メッセージは前記移動端末が利用可能なパケットデータ送信サービスを通知するものであり、前記移動端末において、前記ブロードキャストチャネルにおいて前記指示メッセージをモニタリングし、前記指示メッセージを受信すると、アップリンクコンテンションチャネルを介して前記指示メッセージの検出を前記基地局に対して知らせ、前記基地局において、コンテンションが終了すると、前記ブロードキャストチャネルを介して前記移動端末に対してパケットデータ送信サービスのコンフィギュレーション情報を送信する方法を提供する。
【0009】
本発明に係る上記方法は、定期的に前記移動端末をアクティブ状態にし、前記指示メッセージ用の前記ブロードキャストチャネルをモニターさせる過程と、前記指示メッセージが検出されないときには、前記移動端末を非アクティブ状態にする過程と、をさらに備えることができる。
【0010】
本発明に係る上記方法は、前記基地局において、ダウンリンク共有制御チャネルを介して、前記移動端末に対して、前記パケットデータ送信サービスの制御情報を送信する過程をさらに備えることができる。
【0011】
本発明に係る上記方法は、前記基地局において、ダウンリンク共有データチャネルを介して、前記移動端末に対して、前記パケットデータ送信サービスのデータを送信する過程をさらに備えることができる。
【0012】
本発明に係る上記方法は、前記移動端末において、アップリンク共有スケジュールチャネルを介して、前記基地局に対して、チャネルの品質測定結果を送信し、情報を報知する過程をさらに備えることができる。
【0013】
本発明に係る上記方法は、前記基地局から前記移動端末へのパケットデータ送信制御情報の送信を停止する過程と、前記移動端末において所定の時間内に前記パケットデータ送信制御情報を検出できないときに、パケットデータ送信サービスを終了する過程と、をさらに備えることができる。
【0014】
本発明に係る上記方法は、前記基地局において、パケットデータ送信制御情報のパケットのヘッダに終了メッセージを挿入することにより、パケットデータ送信サービスを終了することを前記移動端末に報知する過程と、前記移動端末において前記終了メッセージを検出したときに、パケットデータ送信サービスを終了する過程と、をさらに備えることができる。
【0015】
例えば、前記移動端末は携帯電話からなる。
【0016】
本発明は、さらに、スペクトル拡散通信ネットワークにおいて移動端末に対してパケットデータの送信サービスを行うために基地局の作動を制御する方法であって、ダウンリンクブロードキャストチャネルを介して指示メッセージをセルに送信し、前記指示メッセージは前記移動端末が利用可能なパケットデータ送信サービスを通知するものであり、前記移動端末は、前記ブロードキャストチャネルにおいて前記指示メッセージをモニタリングし、前記指示メッセージを受信すると、アップリンクコンテンションチャネルを介して前記指示メッセージの検出を前記基地局に対して知らせ、コンテンションが終了すると、前記ブロードキャストチャネルを介して前記移動端末に対してパケットデータ送信サービスのコンフィギュレーション情報を送信する方法を提供する。
【0017】
本発明に係る上記方法は、ダウンリンク共有制御チャネルを介して、前記移動端末に対して、前記パケットデータ送信サービスの制御情報を送信する過程をさらに備えることができる。
【0018】
本発明に係る上記方法は、ダウンリンク共有データチャネルを介して、前記移動端末に対して、前記パケットデータ送信サービスのデータを送信する過程をさらに備えることができる。
【0019】
本発明に係る上記方法は、前記移動端末へのパケットデータ送信制御情報の送信を停止する過程と、前記移動端末において所定の時間内に前記パケットデータ送信制御情報を検出できないときに、パケットデータ送信サービスを終了する過程と、をさらに備えることができる。
【0020】
本発明に係る上記方法は、パケットデータ送信制御情報のパケットのヘッダに終了メッセージを挿入することにより、パケットデータ送信サービスを終了することを前記移動端末に報知する過程と、前記移動端末において前記終了メッセージを検出したときに、パケットデータ送信サービスを終了する過程と、をさらに備えることができる。
【0021】
本発明は、さらに、上記の方法を、基地局内に設置されたコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0022】
本発明は、さらに、スペクトル拡散通信ネットワークにおいてパケットデータの送信サービスを行うシステムであって、前記システムは、基地局と、移動端末と、を備え、基地局は、ダウンリンクブロードキャストチャネルを介して指示メッセージをセルに送信するように構成されており、前記指示メッセージは前記移動端末が利用可能なパケットデータ送信サービスを通知するものであり、前記移動端末は、前記ブロードキャストチャネルにおいて前記指示メッセージをモニタリングするように構成されており、前記指示メッセージを受信すると、アップリンクコンテンションチャネルを介して前記指示メッセージの検出を前記基地局に対して知らせ、前記基地局は、コンテンションが終了すると、前記ブロードキャストチャネルを介して前記移動端末に対してパケットデータ送信サービスのコンフィギュレーション情報を送信するように構成されているシステムを提供する。
【0023】
上記のシステムにおいては、前記移動端末は携帯電話からなるものとすることができる。
【0024】
本発明は、さらに、スペクトル拡散通信ネットワークにおいてパケットデータの送信サービスを行い、基地局と、移動端末と、を備えるシステムにおける前記基地局であって、基地局は、ダウンリンクブロードキャストチャネルを介して指示メッセージをセルに送信するように構成されており、前記指示メッセージは前記移動端末が利用可能なパケットデータ送信サービスを通知するものであり、前記移動端末は、前記ブロードキャストチャネルにおいて前記指示メッセージをモニタリングするように構成されており、前記指示メッセージを受信すると、アップリンクコンテンションチャネルを介して前記指示メッセージの検出を前記基地局に対して知らせ、前記基地局は、コンテンションが終了すると、前記ブロードキャストチャネルを介して前記移動端末に対してパケットデータ送信サービスのコンフィギュレーション情報を送信するように構成されている基地局を提供する。
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を説明する。以下の説明においては、高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)サービスを提供する方法及びシステムの好適な実施形態が示される。なお、本発明は図面に示された特定の実施形態に制限して解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、基地送信局からユーザーの機器に対してHSDPAサービスを提供するスペクトル拡散通信システムを概略図である。
【図2】図2は、HSDPAサービスの報知、受信通知、実行及び終了の間に基地送受信局及びユーザー機器の双方においてなされる過程を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の好適な実施形態を以下に説明する。
【0028】
図1を参照すると、スペクトル拡散通信システム100は、無線送信タワー104と機能的に接続されている基地送受信局(BTS)102と、ユーザー機器(UE)108と、を備えている。
【0029】
例えば、ユーザー機器108は携帯電話から構成されている。
【0030】
基地送受信局(BTS)102及び無線送信タワー104は、3GPPにより開発されたスーパー3Gシステムに適合する通信ネットワーク(スーパー3Gネットワーク)106に機能的に接続されている。
【0031】
基地送受信局102は、ユーザー機器108が通信セル110内にあるときに、ユーザー機器108と通信を行う。チャネル構造112によって高速ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)の提供がなされている間において、基地送受信局102とユーザー機器108との間で制御情報及び制御データの交換が行われる。チャネル構造112には、ダウンリンク(DL)ブロートキャストチャネル114と、アップリンク(UL)反転チャネル(コンテンション)116と、ダウンリンク(DL)共有制御チャネル118と、ダウンリンク(DL)共有データチャネル120と、アップリンクスケジュールチャネル(共有制御チャネル及び物理的制御チャネル)122とが含まれる。
【0032】
例えば、基地送受信局102は、中央処理装置(CPU)と、第一メモリと、第二メモリと、中央処理装置に命令及び/またはデータを入力するための入力インターフェイスと、中央処理装置によりなされた処理の結果を出力する出力インターフェイスと、中央処理装置と第一メモリ、第二メモリ、入力インターフェイス及び出力インターフェイスの各々とを電気的に接続するバスと、から構成されている。
【0033】
第一メモリ及び第二メモリの各々は、リード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)またはICメモリカードなどの半導体メモリ、あるいは、フレキシブルディスク、ハードディスクまたは光学磁気ディスクなどの記憶装置から構成されている。
【0034】
例えば、第一メモリはリード・オンリ・メモリ(ROM)からなり、第二メモリはランダム・アクセス・メモリ(RAM)からなる。
【0035】
第一メモリは、基地送受信局102の動作を制御して、スペクトル拡散通信システムにおいてユーザー機器108に対してパケットデータ送信サービスを行う方法を中央処理装置に実行させるためのプログラムを内蔵している。第二メモリは各種データ及びパラメータを記憶しており、さらに、中央処理装置に対して作業領域を提供する。中央処理装置は第一メモリから上記のプログラムを読み出し、実行する。すなわち、中央処理装置は第一メモリに記憶されているプログラムに従って作動する。
【0036】
図2を参照すると、ユーザー機器108が通信セル110内を移動しているとき、基地送受信局102及びユーザー機器108の双方は、ステップ200において、ユーザー機器108がスーパー3Gネットワーク106に対して登録を行い、それによって、基地送受信局102がユーザー機器108と直接的に通信可能になるように、動作する。
【0037】
ステップ202において、基地送受信局102は同期チャネル/共通パイロットチャネルを介してユーザー機器108に対して同期情報を送信し、ユーザー機器108が、データパケットとしてユーザー機器108に送信された関連情報を検出することができるようにする。
【0038】
ステップ202において同期情報を受信すると、ユーザー機器108は、ステップ204において、セルサーチ、フレームタイミングの検出、シンボルタイミング及びスクランブリングコード検出の各機能をWCDMA技術に従って実行し、スーパー3Gネットワーク106とユーザー機器108との間において通信を確立させる。
【0039】
HSDPAサービスをユーザー機器108に対して提供する場合、ステップ206において、指示メッセージを全てのセル110に対して送信する準備がなされる。この指示メッセージは、特定のユーザー機器ID番号を用いてユーザー機器108によって復号可能かつ特定可能であるようにコード化されている。特定のユーザー機器ID番号は、ステップ200において、スーパー3Gネットワーク106からユーザー機器108に対して割り当てられる。この指示メッセージは、ユーザー機器108が利用可能なHSDPAサービスをユーザー機器108に対して報知する役割を果たす。
【0040】
次いで、ステップ208において、このコード化された情報はダウンリンクブロードキャストチャネル114(一組のサブキャリア)に流され、ユーザー機器108は、ステップ200において、スーパー3Gネットワーク106に対して登録を行うと、ダウンリンクブロードキャストチャネル114を知らされる。
【0041】
ステップ210において、ユーザー機器108は、予め定められた期間を除いて、通常は非活性状態(睡眠状態)にある。予め定められた期間とは、ステップ212において、ユーザー機器108が、基地送受信局102から送信される指示メッセージを受信すべくダウンリンクブロードキャストチャネル114をモニターするために、活性状態(起床状態)にある期間である。
【0042】
指示メッセージを検出できない場合には、ユーザー機器108は再度、非活性状態になる。
【0043】
これに対して、指示メッセージが検出された場合には、ユーザー機器108は指示メッセージを処理し、さらに、コンテンションアプローチを用いて、アップリンク反転チャネル116を介して、基地送受信局102に対して、指示メッセージを検出した旨の受信通知214を送信する。受信通知214を送信するアップリンク反転チャネルの情報は指示メッセージにおいてユーザー機器108に示される。
【0044】
基地送受信局102は、ステップ216において、受信通知214の有無を確認するためにアップリンク反転チャネル116をモニターする。
【0045】
ユーザー機器108から受信通知214を受け取ると、基地送受信局102はコンテンションの完了をユーザー機器108に通知し、次いで、ダウンリンクブロードキャストチャネル114を介して、予め割り当てられた時間に、かつ、予め割り当てられた頻度で、RAN・HSDPAサービスコンフィギュレーション情報218の送信準備を開始し、送信を行う。このダウンリンクブロードキャストチャネル114は、指示メッセージの受信通知214を以前に送信したユーザー機器108のみがモニターすることができる。
【0046】
コンテンションが成功裏に完了すると、ユーザー機器108は、ステップ220において、コンテンション完了後の予め定められた時間に、ダウンリンクブロードキャストチャネル114を介して、情報を受信する準備を行う。このチャネルを介して受信されるコンフィギュレーション情報は、ユーザー機器108がレイヤ1(物理レイヤ)、レイヤ2(媒体アクセス制御/無線リンク制御)及びレイヤ3(無線リソース制御レイヤ)の各コンフィギュレーションを実行し、ダウンリンク共有制御チャネル118をモニターする際の手助けとなり、これにより、ハイブリッド自動反復要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat Request)に関連する機能が形成されるとともに、チャネルの品質測定の実行及び報告が行われる。
【0047】
ステップ220においてコンフィギュレーションが一旦生じると、ユーザー機器108は、ステップ222において、チャネルの品質測定を開始するとともに、ダウンリンク共有制御チャネル118をモニタリングし、ユーザー機器108に対する高速シグナリングと、ダウンリンク共有データチャネル120を介して情報を受信するための現時点でのHSDPA関連手順とを検出する。
【0048】
このように、予め定められたスケジュールに従って、ユーザー機器108から基地送受信局102に対してチャネル品質情報(CQI)224が送信され、ダウンリンク共有データチャネル120においてどの頻度チャンク(frequency chunk)が、その特定のユーザー機器108が頻度スケジュールを最適化するのにもっとも適切であるかについての情報が基地送受信局102に提供される。
【0049】
チャネル品質情報224はアップリンクスケジュールチャネル122を介して送信される。一旦、基地送受信局102が最初のチャネル品質情報224を受信すると、基地送受信局102は、ステップ226において、チャネルスケジューリングを行い、ダウンリンク共有制御チャネル118を介して、高速シグナリング情報228をユーザー機器108に対して送信する。
【0050】
次いで、それに対応するパケットデータ230がダウンリンク共有データチャネル120を介してユーザー機器108に送信される。ステップ232において、ユーザー機器108は、割り当てられた時間−頻度のスロットでダウンリンク共有制御チャネル118のモニタリングを継続する。
【0051】
一旦、ユーザー機器108が自らに向けられた制御情報を検出すると、ユーザー機器108は、ダウンリンク共有データチャネル120を介して送信されてきたパケットデータ230の受信及び復号を開始する。
【0052】
次いで、対応するアップリンクスケジュールチャネル122を介して、データパケット受領の結果(H−ARQ処理に対するACK/NACK/POST/PRE/DTX)が基地送受信局102に報告される。
【0053】
同様に、ダウンリンクパケットスケジューリングに対するチャネル品質情報(CQI)236が再びアップリンクスケジュールチャネル122を介して送信される。
【0054】
ステップ238において、一旦、H−ARQフィードバック情報及びチャネル品質情報が受信されると、基地送受信局102は、各ユーザー機器108に対して、適応変調及びコード化(AMC:Adaptive Modulation and Coding)、スケジューリング並びに再送信を実行する。再送信は、ユーザー機器108からNACKメッセージを受信したときに、行われる。
【0055】
次いで、HSDPAサービスがユーザー機器108に対して提供されている間、上記のステップ228−238は基地送受信局102及びユーザー機器108の双方において繰り返される。
【0056】
ユーザー機器108に対して提供されていたHSDPAサービスが一旦終了すると、基地送受信局102は、ステップ240において、ダウンリンク共有制御チャネル118を介してユーザー機器108に対して送信されていた制御情報の送信を停止するようにすることもできる。
【0057】
この場合には、ユーザー機器108が、ステップ242において、所定の時間内にHSDPA制御情報の検出を行えないときには、HSDPAサービスは終了し、ユーザー機器108は再び非活性状態になる。
【0058】
あるいは、HSDPAサービスは、ダウンリンク共有データチャネル120を介してユーザー機器108に送信されるHSDPA制御情報パケットのヘッダに終了メッセージを挿入することにより、終了させることもできる。ユーザー機器108が終了メッセージを検出すると、HSDPAサービスは終了するようにすることができる。
【0059】
以上の説明から明らかであるように、ユーザー機器に対してHSDPAサービスを提供する上記の方法は、現在のWCDMAネットワークにおいて使用されているような専用のデータチャネルの使用を必要とすることなく、HSDPAサービスに対する特定のページング手順及び特定のページング指示を導入するという利点をもたらす。
【0060】
さらに、上述の方法は、スリープモードを導入することにより、スーパー3Gタイプのユーザー機器の使用時の電力を低減することを可能にする。現在のWCDMAシステムにおける専用チャネルに依存することなく、新しいチャネルを導入することにより、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)レイヤのピア−ピア(peer to peer)通信を確立することができる。
【0061】
また、無線インターフェイスレベルにおいてパケット送信スキームを導入することにより、基地送受信局102とユーザー機器108との間のエアインターフェイスを介するトラフィック交換を最小にしつつ、基地送受信局102が一時的に、あるいは、永久的にダウンリンクパケット送信を終了させることができるようになる。
【0062】
最後に、スペクトル拡散通信ネットワークにおいてユーザー機器に対して高速ダウンリンクパケットアクセスサービスを提供する上記の方法には、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の変形及び追加を行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットデータ送信サービスを提供するスペクトル拡散通信システムに実装される方法であって、
ダウンリンクチャネルを介して前記パケットデータ送信サービスの指示を基地局からセルにブロードキャストする過程と、
前記基地局からの、前記ダウンリンクチャネルにおける前記パケットデータ送信サービスの前記指示をユーザ装置でモニタする過程と、
前記ダウンリンクチャネルを介してパケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報を前記基地局から前記ユーザ装置に送信する過程と、を含み、
前記ユーザ装置は非活性状態と前記ダウンリンクチャネルをモニタするための活性状態とを有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記指示の検出を知らせる通知を前記ユーザ装置から前記基地局に送信する過程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の方法であって、さらに、
前記パケットデータ送信サービスの制御情報を前記基地局から前記ユーザ装置にダウンリンク共有制御チャネルを介して送信する過程と、
前記ユーザ装置で、前記ダウンリンク共有制御チャネルにおける前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタする過程と、
前記パケットデータ送信サービスのデータを前記基地局から前記ユーザ装置にダウンリンク共有データチャネルを介して送信するする過程と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記請求項3に記載の方法であって、
前記ユーザ装置は前記ダウンリンク共有制御チャネルにおいて前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタするために前記パケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報を用いることを特徴とする、方法。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記ユーザ装置が前記基地局にチャネル品質情報を報告する過程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記基地局から前記ユーザ装置に前記パケットデータ送信サービスの終了の指示をダウンリンク共有制御チャネルを介して送信する過程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載の方法であって、
前記指示は前記パケットデータ送信サービスの通知からなることを特徴とする、方法。
【請求項8】
スペクトル拡散通信システムにおいてパケットデータ送信サービスを提供する基地局であって、
ダウンリンクチャネルを介して前記パケットデータ送信サービスの指示をセルにブロードキャストするブロードキャスト手段と、
前記ダウンリンクチャネルを介してパケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報をユーザ装置に送信する送信手段と、を含み、
前記ユーザ装置は前記ダウンリンクチャネルにおいて前記基地局からの前記パケットデータ送信サービスの前記指示をモニタし、
前記ユーザ装置は非活性状態と前記ダウンリンクチャネルをモニタするための活性状態とを有することを特徴とする、基地局。
【請求項9】
前記請求項8に記載の基地局であって、さらに、
前記指示の検出を知らせる通知を前記ユーザ装置から受信する受信手段を含むことを特徴とする、基地局。
【請求項10】
前記請求項8又は9に記載の基地局であって、
前記基地局は前記パケットデータ送信サービスの制御情報を前記ユーザ装置にダウンリンク共有制御チャネルを介して送信し、
前記基地局は前記パケットデータ送信サービスのデータを前記ユーザ装置にダウンリンク共有データチャネルを介して送信し、
前記ユーザ装置は前記ダウンリンク共有制御チャネルにおいて前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタすることを特徴とする、基地局。
【請求項11】
前記請求項10に記載の基地局であって、
前記ユーザ装置は前記ダウンリンク共有制御チャネルにおいて前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタするために前記パケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報を用いる過程を含むことを特徴とする、基地局。
【請求項12】
前記請求項8乃至11のいずれかに記載の基地局であって、
前記ユーザ装置は前記基地局にチャネル品質情報を報告することを特徴とする、基地局。
【請求項13】
前記請求項8乃至12のいずれかに記載の基地局であって、
前記基地局は前記ユーザ装置に前記パケットデータ送信サービスの終了の指示をダウンリンク共有制御チャネルを介して送信することを特徴とする、基地局。
【請求項14】
前記請求項8乃至13のいずれかに記載の基地局であって、
前記指示は前記パケットデータ送信サービスの通知からなることを特徴とする、基地局。
【請求項15】
スペクトル拡散通信システムにおいてパケットデータ送信サービスを受信するユーザ装置であって、
ダウンリンクチャネルにおいて基地局からの前記パケットデータ送信サービスの指示をモニタするモニタ手段と、
前記基地局から前記ダウンリンクチャネルを介してパケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報を受信する受信手段と、を含み、
前記基地局は前記ダウンリンクチャネルを介して前記パケットデータ送信サービスの前記指示をセルにブロードキャストし、
前記ユーザ装置は非活性状態と前記ダウンリンクチャネルをモニタするための活性状態とを有することを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項16】
前記請求項15に記載のユーザ装置であって、さらに、
前記指示の検出を知らせる通知を前記基地局に送信する送信手段を含むことを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項17】
前記請求項15又は16に記載のユーザ装置であって、
前記ユーザ装置がダウンリンク共有制御チャネルにおいて前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタし、
前記ユーザ装置は前記パケットデータ送信サービスの制御情報を前記基地局から前記ダウンリンク共有制御チャネルを介して受信し、
前記ユーザ装置は前記パケットデータ送信サービスのデータを前記基地局からダウンリンク共有データチャネルを介して受信することを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項18】
前記請求項17に記載のユーザ装置であって、
前記ユーザ装置は前記ダウンリンク共有制御チャネルにおいて前記パケットデータ送信サービスの前記制御情報をモニタするために前記パケットデータ送信サービスコンフィギュレーション情報を用いることを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項19】
前記請求項15乃至18のいずれかに記載のユーザ装置であって、
前記ユーザ装置は前記基地局にチャネル品質情報を報告することを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項20】
前記請求項15乃至19のいずれかに記載のユーザ装置であって、
前記ユーザ装置は前記基地局から前記パケットデータ送信サービスの終了の指示をダウンリンク共有制御チャネルを介して受信することを特徴とする、ユーザ装置。
【請求項21】
前記請求項15乃至20のいずれかに記載のユーザ装置であって、
前記指示は前記パケットデータ送信サービスの通知からなることを特徴とする、ユーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−257326(P2012−257326A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195842(P2012−195842)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2012−53368(P2012−53368)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】