スライドロック機構
【課題】 ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能なスライドロック機構を提供することにある。
【解決手段】 ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダ10とを備え、これらベース及びスライダ10のうちのいずれか一方には、互いのギア部13b、14bを対向させて平行に配置される一対のラック13,14がスライド方向に沿って設けられ、ベース及びスライダ10のうちのいずれか他方には、一対のラック13,14に個別に噛み合う一対のピニオンギア15,16と、これらピニオンギア15,16に同時に噛み合うことで一対のピ二オンギア15,16の回転を規制するストッパギア17,18と、該ストッパギア17,18を一対のピ二オンギア15,16に対し同時に噛み合ってスライダ10を停止させる状態と、同時には噛み合わずスライダ10を移動可能とする状態とに切り替える切替手段20とが設けられている。
【解決手段】 ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダ10とを備え、これらベース及びスライダ10のうちのいずれか一方には、互いのギア部13b、14bを対向させて平行に配置される一対のラック13,14がスライド方向に沿って設けられ、ベース及びスライダ10のうちのいずれか他方には、一対のラック13,14に個別に噛み合う一対のピニオンギア15,16と、これらピニオンギア15,16に同時に噛み合うことで一対のピ二オンギア15,16の回転を規制するストッパギア17,18と、該ストッパギア17,18を一対のピ二オンギア15,16に対し同時に噛み合ってスライダ10を停止させる状態と、同時には噛み合わずスライダ10を移動可能とする状態とに切り替える切替手段20とが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダのロック位置を可変設定可能とするスライドロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば乗用車等の自動車に装備されたアームレストにおいては、車両の前後方向に摺動可能に構成されているものが知られており、必要に応じて車両前方にスライドさせて肘掛として使用する構成となっている。
【0003】
スライド式構造としては、コンソールボックス本体と、このコンソールボックス本体の両側縁に設けられたガイドレールと、ガイドレールに沿って摺動可能に支持されたヒンジと、ヒンジに対して長手方向の一縁が揺動可能に枢支される開閉式カバーと、開閉式カバーの両側上面に設けたアームレスト部と、開閉式カバーの中央部に設けた開口部に沿って摺動可能なスライドドアとを含み、開閉式カバーが閉鎖位置にてロック機構によりロックされるとともに、ヒンジがガイドレールに沿って摺動することにより、開閉式カバーが水平方向に開放され、またヒンジに対して揺動して回転しながら開放される構成のものが開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−103289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主に、肘掛として使用されるアームレストにあっては、使用者の体型に応じて位置調整可能な使用性の良いものが要求されている。しかしながら、前述したような構成のものである場合、アームレスト部のスライドの停止は閉鎖位置及び開放位置の二箇所のみであるため、使用者の体型や好みに応じてアームレスト部のロック位置を自在に調整することができないといった問題点があった。そのため、アームレスト部のロック位置を段階的に設定することを可能にしたアームレスト部が提供されている。これは、閉鎖位置と開放位置との間において予め設定されたロック位置に段階的にアームレスト部を停止可能としたもので、従来のものと比べるとアームレスト部のロック位置をある程度調整できるようにはなったが、ロックさせる位置が決められているということは、使用者に合った適切な位置を必ずしも十分に確保することができるとは言い難い。そのため、アームレスト部を使用者の所望とする位置にフリーストップ可能とするスライドロック機構が望まれている。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能なスライドロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、互いのギア部を対向させて平行に配置される一対のラックがスライド方向に沿って設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、一対のラックに個別に噛み合う一対のピニオンギアと、これらピニオンギアに同時に噛み合うことで一対のピ二オンギアの回転を規制するストッパギアと、該ストッパギアを一対のピ二オンギアに対し同時に噛み合ってスライダを停止させる状態と、同時には噛み合わずスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段とが設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、切替手段は、ストッパギアを、一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態で該一方のピニオンギアの回転軸を中心に旋回させることで他方のピニオンギアに対し近接及び離間させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う前記ストッパギアを一対設け、これら一対のストッパギアは、前記切替手段によって、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合せるようにすることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿う固定側ラックが設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、該固定側ラックに対し、該固定側ラックのギア部にギア部を対向させた状態で配置され且つ近接及び離間可能に設けられた可動側ラックと、固定側ラックに常時噛み合うピニオンギアとが設けられていて、可動側ラックをピニオンギアに対し噛み合ってスライダを停止させる状態と、噛み合わずにスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってガイドレールが設けられ、前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、揺動可能な楔アームが設けられていて、該楔アームを所定の傾斜角度で前記ガイドレールに当接させることによって得られる楔作用で前記スライダを停止させる状態と前記楔アームを前記ガイドレールに対し離間させて前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、楔アームをスライド方向に一対設け、これら一対の楔アームを、相反する方向に傾斜させてガイドレールに当接させるよう構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってギア部を有するラックがスライド方向に設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、軸部において固定されるとともに該軸部に対し回転可能なギア部においてラックのギア部に噛み合うワンウェイクラッチが設けられていて、ワンウェイクラッチによりスライダを停止させる状態とワンウェイクラッチのロックを解除してスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ストッパギアを一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段を備えたことによって、ベースに対するスライダのロック位置を所望とする位置にフリーストップ可能となる。つまり、ストッパギアが一対のピニオンギアに同時に噛み合うことでこれら一対のピニオンギアの回転が規制され、同時には噛み合わない状態で一対のピニオンギアの回転が自在となることにより、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能とすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、一対のピニオンギアは両側のラックによって互いに位相関係が一定しているので、ストッパギアを一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態でこのピニオンギアの回転軸を中心にして旋回させることにより、再び他方のピニオンギアに良好に噛み合わせることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合わせるようにすることで、一方のストッパギアでスライダの前進が確実に規制され、他方のストッパギアでスライダの後退が確実に規制される。したがって、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、ベースに対するスライダのロック状態を確実に維持することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、切替手段によって可動側ラックのギア部を、固定側ラックに常時噛み合っているピニオンギアに噛み合わせることでピニオンギアの回転を規制するようにし、また、可動側ラックのギア部をピニオンギアに噛み合わない状態に切り替えることでピニオンギアの回転が自在となるようにする。これにより、ベースに対してスライドするスライダのロック位置を所望とする位置にフリーストップさせることが可能となる。したがって、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定することができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、楔アームを所定の傾斜角度でガイドレールに当接させることにより、ガイドレールを楔アームに対して相対的に移動させた際、ガイドレールに楔アームを食い込ませて楔作用を発揮させ、スライダを停止させることが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、楔アームをスライド方向に一対設け、互いに相反する方向に傾斜させてガイドレールに当接させるよう構成したことで、一方の楔アームから得られる楔作用でスライダの前進が規制でき、他方の楔アームから得られる楔作用でスライダの後退が規制できる。これにより、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、スライダを確実に停止させることが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、ベース及びスライダのうちのいずれか一方に、軸部において固定されるとともに該軸部に対して回転可能なギア部がラックのギア部に噛み合うワンウェイクラッチを設けることで、ギア部から軸部へと回転駆動を伝達させて軸部をギア部と一体とすることによりスライダを停止させることができる。また、ワンウェイクラッチのロックを解除して、ギア部から軸部へ回転駆動を伝達させずにギア部を空転状態とすることによりスライダを双方向にスライド可能とすることができる。よって、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能なものとなる。なお、ワンウェイクラッチを用いることにより、回転駆動力の伝達を容易に解除することができ、その解除作業を確実に行うことができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることにより、一方のワンウェイクラッチでスライダの前進を規制でき、他方のワンウェイクラッチでスライダの後退を規制することができる。これにより、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、ベースに対するスライダの停止を確実に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図1〜図15を参照して説明する。
以下に述べる第1〜6の実施形態は、本発明のスライドロック機構10,45,63,90,105,136を自動車の車体の座席間に配置されるセンターコンソール1として適用した場合を示す。
【0023】
センターコンソール1は、図1に示すように、小物類を収納するコンソールボックス(不図示)と、該コンソールボックスに取り付けられる基材4と、この基材4にスライドロック機構10を介してスライド可能に設けられるアームレスト5とにより構成されていて、このアームレスト5は、クッション性を有したアームレスト部5Aと、アームレスト基材5Bとからなるものである。センターコンソール1は、主に、アームレスト5が車体の前後方向にスライドするよう設置される。
【0024】
図2〜図4は、本発明におけるスライドロック機構の第1実施形態を示す。
スライドロック機構10は、図2に示すように、車体の前後方向に延在するベース11と、このベース11に対してスライド可能に取り付けられるスライダ12とを備えており、上記コンソールボックスに基材4を介して取り付けられるベース11に対して上記アームレスト5に取り付けられるスライダ12を所望の位置でロック可能としたものである。
【0025】
ベース11は、図2に示すように、スライダ12のストロークに対応する長さを有した一対のラック13,14を備えており、これら一対のラック13,14は互いのギア部13b,14bを対向させつつ互いに所定間隔をおいて平行に配置されるもので、スライド方向に沿って設けられる。なお、一対のラック13,14は、スライド方向において互いのギア部13b,14bの歯の位置を合わせている。
【0026】
一方、スライダ12は、上記アームレスト5の底部を覆うスライドベース22と、ベース11に設けられた一対のラック13,14に個別に噛み合う一対のピニオンギア15,16と、これらピニオンギア15,16に同時に噛み合うことでピニオンギア15,16の回転を規制する一対のストッパギア17,18と、ストッパギア17,18の各々を一対のピニオンギア15,16に対して同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段20とを備えて構成されている。
【0027】
ピニオンギア15,16及びストッパギア17,18には同型の歯車が用いられており、これら一対のピニオンギア15,16及び一対のストッパギア17,18は、長手方向一端に第1矩形孔21を有したスライドベース22と、図2に示すように、スライドベース22に連結ボルト44によって連結されるとともに一対のラック13,14の間に挿入可能な保持板23との間に、各々の回転軸15b,16b,17b,18bがスライド方向に対して垂直となるよう設けられている。一対のピニオンギア15,16は、互いの回転軸15b,16bがスライド方向で一致するように各ラック13,14にそれぞれ噛み合わせることで互いの歯の位相が合うように配設され、回転自在に各々の回転軸15b、16bの両端をスライドベース22及び保持板23に固定されてなる。これらピニオンギア15,16は、ラック13,14に沿って互いに相対回転を行う。一方、一対のストッパギア17,18は、個々が両方のピニオンギア15,16に噛み合うようにこれらピニオンギア15,16のスライド方向両側に配置され、両者がピニオンギア15,16に噛み合った状態で回転軸17b,18b同士を結ぶ方向が回転軸15b,16b同士を結ぶ方向に直交することになる。
【0028】
スライドベース22及び保持板23には、図3に示すように、ストッパギア17,18の回転軸17b,18bの両端を挿通支持可能な支持溝24,25が形成されていて、一方の支持溝24は、一対のピニオンギア15,16に噛み合うストッパギア17を、一方のピニオンギア15に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして、他方のピニオンギア16に対して近接及び離間可能となるようストッパギア17の回転軸17bを案内するものである。他方の支持溝25は、一対のピニオンギア15,16に噛み合うストッパギア18を一方のピニオンギア16に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして、他方のピニオンギア15に対して近接及び離間可能となるようストッパギア18の回転軸18bを案内するものである。
【0029】
そして、支持溝24は、保持板23の幅方向中央からラック13側へと湾曲し、支持溝25は、保持板23の幅方向中央からラック14側へと湾曲しながら各ピニオンギア15,16の周りに所定長さで延在する。支持溝24,25の長さは、ピニオンギア15,16に対するストッパギア17,18の噛合が解除可能となる位置へストッパギア17,18を移動できるような長さに設定されている。
【0030】
このような支持溝24,25により前方のストッパギア17は、図4に示すように、ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15が係合するラック13側へと所定の傾斜角度範囲で旋回可能となっており、後方のストッパギア18は、ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして該ピニオンギア16が係合するラック14側へと所定の角度範囲で旋回可能となっている。こうすることで、ストッパギア17,18とピニオンギア15,16との位相関係は一定で、離間したピニオンギア15,16に対するストッパギア17,18の噛み合いの位相関係も一定する。したがって、図3に示すように、ピニオンギア15,16とストッパギア17,18との噛合がスムーズに行われることになる。
【0031】
また、保持板23の前方中央部には、下方へと貫く固定ピン26が設けられており、該固定ピン26の下端に後述するコイルバネ41の一端を係止させるための係止孔26bが形成されている。
【0032】
切替手段20は、スライドベース22に対してスライド可能なスライドバー27と、該スライドバー27のスライドに伴って、後方のストッパギア18を一方のピニオンギア15に対して近接及び離間可能に移動させる回動部材28及び付勢ばね29と、スライドベース22に対してスライドバー27をスライドさせるレバー30とを有して構成される。
【0033】
スライドバー27は、保持板23の下方にスライド方向に沿って設けられるもので、長手方向一端側のスライドベース22側へと屈曲する係合部31には、第2矩形孔32が形成されている。さらに、スライドバー27の略中央部には長手方向へ延在するばね収容溝33が形成されており、このばね収容溝33の前端にスライドベース22側へ突出し且つその端部が前方へと折曲されるばね係合部34を設けている。ばね収容溝33よりも後方側に、スライドバー27の幅方向中央から一側へと延出するとともに所定位置から後方へと延出するL字状の案内溝35が形成され、一方の支持溝24内に挿入されるストッパギア17の回転軸17bが挿入される。さらに、案内溝35よりも後方側には、長方形状孔部36が形成されおり、支持溝25内に挿入されるストッパギア18の回転軸18bが挿入される。該長方形状孔部36は、スライドバー27がスライドしても平面視において他方の支持溝25が常に含まれるような大きさである。さらに、スライドバー27には、長方形状孔部36の前端辺りの幅方向一側から外方へと突出するとともに所定位置から前方へと延出する当接部37が設けられている。この当接部37は、保持板23の外側となるよう形成されており、その先端が保持板23側へと垂直に折曲されている。
【0034】
このようなスライドバー27は第1支持具38及び第2支持具39を介してスライドベース22スライドバー27をスライドベース22に対して平行と成るように設けられている。第1支持具38及び第2支持具39は、スライドバー27をスライドベース22及び保持板23に対してスライド可能に保持するもので、スライドバー27の両端を支持している。また、これら第1支持具38及び第2支持具39は、螺子等によってスライドバー27へ固定されるものであるが、第2支持具39を固定する一方の螺子には、例えば、軸部の長い螺子40が用いられる。
【0035】
また、スライドバー27はコイルバネ41によって保持板23と連結されている。このコイルバネ41は、スライドバー27のばね収容溝33内に収容されるもので、一端がばね係合部34へ係合され、他端が保持板23に設けられた固定ピン26の係止孔26bに係合されて設けられる。こうすることで、スライドバー27がスライド方向における保持板23側へと付勢されることになる。
【0036】
回動部材28は、保持板23の裏面側において、一方のピニオンギア16の回転軸16bに回転可能に保持されている。この回動部材28は、回転軸16bに取り付けられる中央部28aと、互いに相反する方向へ突出する突出部28bと、突出部28cとから構成され、ピニオンギア16の回転軸16bに対して垂直姿勢で取り付けられる。突出部28cは、突出部28bよりも長さを有して形成され、後方の支持溝25内に挿入されるストッパギア18の回転軸18bに内方側から係止するようになっている。また、スライドバー27の当接部37を回動部材28の突出部28cよりもスライドベース22側へ突出させておけば、スライドバー27のスライドと同時に回動部材28の突出部28cへ当接可能となる。
【0037】
付勢ばね29は、保持板23の裏面側において、スライドベース22と保持板27とを連結している連結ボルト44のうち後方の連結ボルト44の一方に外装されている。この付勢ばね29は、中央に、連結ボルト44の軸周りに巻回されるループ部を有しており、平面視V字状となるようその両端部を外方へ突出させたもので、そのうちの一端部29bが後方のストッパギア18の回転軸18bに係止していて、他端部29cが第2支持具39の螺子40に係止している。これにより、後方のストッパギア18を常時噛み合ってはいないピニオンギア16側へ付勢するようになっている。
【0038】
レバー30は、側面視略く字状となるよう例えば長方形状の板材を屈曲形成したもので、一端側に他端側に向けて曲折する取手部30bを有し、他端側にスライドベース22の第1矩形孔21及びスライドバー27の第2矩形孔32内に挿入可能な挿入部30cを設けて成るものである。また、このレバー30はその屈曲部分に幅方向に貫通する支持軸貫通孔30dを有し、スライドベース22の表面側に固定されてスライドベース22をアームレスト5側へと取り付ける取付部43に、支持軸貫通孔30d内に挿入される円柱状支持軸42によって回動可能に支持されることになる。よって、レバー30を回動させるとスライドバー27をスライドさせることができる。
【0039】
次に、スライドロック機構10の動きについて詳しく述べる。
まず、ベース11に対してスライダ12がロック状態にある場合、図2に示すように、一対のピニオンギア15,16に一対のストッパギア17,18が同時に噛み合っている。つまり、支持溝24及び案内溝35内に挿入されている前方のストッパギア17は、コイルバネ41によってスライドバー27がスライド方向で保持板23側へと付勢されることでスライダ12の中央に位置して、一対のピニオンギア15,16に噛合係合することになる。支持溝25及び長方形状孔部36内に挿入されている後方のストッパギア18は、その回転軸18bが付勢ばね29に付勢されることでスライダ12の中央に位置して、一対のピニオンギア15,16に噛合係合することになる。こうすることで、ラック13,14に対するピニオンギア15,16の回転が規制され、スライダ12の停止状態が維持される。
【0040】
スライダ12を移動させるには、図4に示すように、まずレバー30を上方へと引き上げる。すると、レバー30の挿入部30cがスライドバー27の第2矩形孔32に係止し、コイルバネ41の付勢力に抗してスライドバー27を前方へとスライドさせることによって一対のストッパギア17,18を所定の方向へと旋回させるようになる。つまり、スライドバー27がスライドすることによって前方のストッパギア17の回転軸17bが案内溝35に案内されながら支持溝24内を移動して、支持溝24の基部から端部に位置するとき案内溝35のL字をなす角部に位置する。そして、スライドバー27をさらに前方へとスライドさせることによって、支持溝24の基部及び案内溝35の端部側に回転軸17bが保持されることになる。このようにストッパギア17の回転軸17bが案内溝35に案内されながら支持溝24内を移動する際、ストッパギア17は一方のピニオンギア15に噛み合いながら、該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15の周りに旋回する。こうすることで、ストッパギア17は他方のピニオンギア16から離間して該ピニオンギア16との噛合係合が解除され、ピニオンギア15のラック13に対する回転が可能になる。他方のピニオンギア16と離間したストッパギア17は、一方のピニオンギア15に常時噛み合った状態のため該ピニオンギア15の回転に伴って回転することになる。
【0041】
これと同時に、スライドバー27がスライドすることによってスライドバー27の当接部37の先端が回動部材28の突出部28cへ当接し、回動部材28が図2から図4へ示されるように時計回りに回転することで一対のピニオンギア15,16に噛み合っていた後方のストッパギア18の回転軸18bを付勢ばね29の付勢に抗しながら支持溝25に沿ってラック14側へと移動させる。この際、ストッパギア18は、他方のピニオンギア16に噛み合いながら、該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして該ピニオンギア16の周りに旋回する。こうすることで、ストッパギア18は一方のピニオンギア15から離間して該ピニオンギア15との噛合係合が解除され、他方のピニオンギア16のラック14に対する回転が可能になる。一方のピニオンギア15と離間したストッパギア18は、他方のピニオンギア16に常時噛み合った状態のため該ピニオンギア16の回転に伴って回転する。スライダ12は、ピニオンギア15とストッパギア17、ピニオンギア16とストッパギア18とが噛合回転しているときスライドする。
【0042】
このように、スライドバー27によって各々のストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に同時には噛み合わない状態にすることにより、一対のピニオンギア15,16の回転規制が解除されて、スライダ12がラック13,14に沿ってスライド可能となる。
【0043】
移動させたスライダ12を所望の位置に停止させるには、停止させたい位置においてレバー30の引き上げを解除すると、コイルバネ41の弾性復帰に伴ってスライドバー27が後方へと引き戻され、案内溝35及び支持溝24間に保持されていた前方のストッパギア17の回転軸17bがスライドバー27の移動に伴って案内溝35のL字をなす角部へ位置すると、案内溝35で押圧されながら支持溝24に沿ってスライダ12の中央へと移動する。回転軸17bが支持溝24内を移動する際、噛み合っているピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15周りに旋回することで離間していた他方のピニオンギア16に近接して該ピニオンギア16に噛み合うことになる。また、スライドバー27が引き戻されることによって回動部材28の突出部28cに当接していたスライドバー27の当接部37の先端が突出部28cから離れると、付勢ばね29の弾性復帰に伴って後方のストッパギア18の回転軸18bを支持溝25に沿ってスライダ12の中央へと移動する。このとき、ストッパギア18に噛み合っているピニオンギア16の回転軸16bを中心にしてストッパギア18をピニオンギア16の周りに旋回させることで、離間していた一方のピニオンギア15に近接して該ピニオンギア15に噛み合うことになる。各々のストッパギア17,18が、互いに相対的に回転する一対のピニオンギア15,16に同時に噛み合うことで、これらピニオンギア15,16の回転が規制されて所望の位置にスライダ12を停止させることが可能になるのである。
【0044】
このように、ストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に対し同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段20を備えたことによって、ベース11に対するスライダ12のロック位置を所望とする位置にフリーストップ可能となる。つまり、各々のストッパギア17,18がスライド方向両側から一対のピニオンギア15,16に同時に噛み合う状態にすることにより、これら一対のピニオンギア15,16の回転が規制され、スライダを停止させることができる。一方、各々のストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に対して同時には噛み合わない状態にすることにより、一対のピニオンギア15,16の回転が自在となり、スライダの移動を可能にすることができる。これにより、ベース11に対するスライダ12のロック位置を無段階に設定可能とすることが可能となる。
【0045】
また、一対のピニオンギア15,16は両側のラック13,14によって互いに位相関係が決まっているので、ストッパギア17を一方のピニオンギア15に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして旋回をさせ、ストッパギア18を一方のピニオンギア16に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして旋回させることにより、ストッパギア17がピニオンギア15に、ストッパギア18がピニオンギア16に、良好に噛み合わせることが可能となる。つまり、ストッパギアとピニオンギアの歯同士が互いに干渉することなく瞬時に噛み合うため、使用者の所望とするスライダ12の停止位置をより正確に反映させることができる。
【0046】
さらに、互いに相対回転する一対のピニオンギア15,16に対して、ストッパギア17,18をスライド方向両側から同時に噛み合わせるようにしたので、例えば外力の方向が前進方向から後退方向に、或いはその逆に変わり、ピニオンギア15,16の回転方向が逆転しても、一対のストッパギア17,18のいずれか一方が必ずピニオンギア15,16に対して喰い込み方向に回転するようになり、したがって、ベース11に対するスライダ12のロック状態を、前進方向、後退方向のいずれについても確実に維持することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態を主に図5及び図6を参照して以下に説明する。
図5及び図6は、上記センターコンソール1に適応した第2実施形態のスライドロック機構45を示すものである。本実施形態のスライドロック機構45は、ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ46からなるもので、ベース11には、スライド方向に沿うとともに、スライダ46のスライドストロークに対応した所定長さの固定側ラック47が固定されている。
【0048】
スライダ46は、アームレスト5側に固定されるスライドベース48と、該スライドベース48に回転自在に設けられ上記固定側ラック47のギア部47dに常時噛み合うピニオンギア49と、固定側ラック47のギア部47dに自身のギア部50bを対向させるようにして固定側ラック47と平行に配置されるとともに、平行を維持したまま固定側ラック47に対して近接及び離間可能に設けられる可動側ラック50と、該可動側ラック50を常に固定側ラック47へと付勢する付勢手段51と、可動側ラック50をピニオンギア49に噛み合わせる状態と噛み合わせない状態とに切り替える切替手段52とを備えて構成されている。
【0049】
可動側ラック50は、固定側ラック47の半分程度の長さを有するもので、ギア部50bとは反対側の側部50cに設けられる付勢手段51によって常に固定側ラック47へと付勢されている。この可動側ラック50には、側部50cに対して垂直姿勢で設けられる一対のシャフト53,53が互いに間隔をおいて設けられており、一端側がスライドベース48の側部に摺動可能となるように保持され、これら一対のシャフト53,53にコイル状の押しばね54が外装されている。付勢手段51は、このような一対の一対のシャフト53,53と、押しばね54とから構成され、可動側ラック50を固定側ラック47に対して近接及び離間可能にするものである。これにより、可動側ラック50のギア部50bを固定側ラック47に常時噛み合っているピニオンギア49に噛み合わせることが可能となる。つまり、可動側ラック50の離間移動は、固定側ラック47に対して平行を維持したまま行われる。
このような可動側ラック50には、その長手方向略中央に円柱状の係合突起55が設けられている。
【0050】
切替手段52は、上記レバー30に連結されるスライドバー56と、該スライドバー56と可動側ラック50とを連結するとともにスライドバー56をスライド方向にスライドさせることで傾動するリンク部材57とから構成されている。
【0051】
スライドバー56は、スライド方向に延在する薄板状のもので固定側ラック47よりも長く形成され、固定側ラック47の上方に配置される。そして、レバー30とは反対側の端部にリンク部材57の一端が連結されている。
【0052】
リンク部材57は、細棒状を呈しその略中央部よりもやや一端側に設けられる基軸58をスライドベース48に回動可能に支持され、上述したようにこの一端側がスライドバー56に連結されている。一端側には、スライドベース48に形成される略正方形状の係止溝59内に挿入可能な円柱状の突起部60が設けられ、他端側には、可動側ラック50の係合突起55を挿入可能な支持溝61が形成されている。このようなリンク部材57によって、スライドバー56と可動側ラック50とを実質的に連結することになる。支持溝61は、リンク部材57の長手方向に延在するもので係合突起55をその延在方向に沿って移動可能なものとする。また、図5に示すように、可動側ラック50と固定側ラック47が互いに近接状態にあるとき、可動側ラック50の係合突起55及びスライドバー56の係合突起55は係止溝59及び支持溝61の内方側にそれぞれ位置していて互いに近接状態にある。この場合、押しばね54によって固定側ラック47へ付勢されている可動側ラック50がピニオンギア49に噛み合っており、ピニオンギア49の回転を規制している。
【0053】
次に、上記スライドロック機構45の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ46を移動させる場合には、図6に示すように、レバー30を引き上げてスライドバー56を前方へとスライドさせると、基軸58を基点としてリンク部材57の一端が前方へ、他端が後方へと移動するようにしてリンク部材57が傾動する。これにより、可動側ラック50の係合突起55を支持溝61内の外方側へと移動させながら可動側ラック50を押しばね54の付勢力に抗して押し上げることになる。このとき、一対のシャフト53,53の他端側がスライドベース48に移動可能に設けられていることから可動側ラック50の移動が可能となっている。したがって、可動側ラック50との噛み合い係合が外れてピニオンギア49の回転規制が解除されることによって、ピニオンギア49は固定側ラック47に沿って回転可能となり、ベース11に対するスライダ46の移動が可能となる。なお、スライダ46がスライド方向へ移動した際における可動側ラック50のギアの位相ズレ量は、ピニオンギア49の歯の間に可動側ラック50のギア部50bの歯が進入して良好な噛合が得られる量となっている。
【0054】
ベース11に対してスライダ46を停止させる場合には、図5に示すように、所望とする位置でレバー30の引き上げを解除する。すると、押しばね54の弾性復帰によってリンク部材57が元の姿勢に戻るように傾動し、スライドバー56が後方へと移動する。同時に、可動側ラック50が固定側ラック47へと近接して、可動側ラック50はピニオンギア49へ噛み合うことになる。したがって、固定側ラック47及び可動側ラック50によってピニオンギア49の回転が規制されるためスライダ46を停止させることができる。
【0055】
これにより、切替手段52によって可動側ラック50を、固定側ラック47に常時噛み合っているピニオンギア49に対し噛み合う状態にすることでピニオンギア49の回転が規制され、スライダ46の前進方向及び後退方向へのスライドを確実に規制することができる。また、噛み合わない状態に切り替えることでピニオンギア49の回転が可能とされるため、ベース11に対してスライドするスライダ46のロック位置を所望とする位置にフリーストップさせることが可能となる。したがって、ベース11に対するスライダ46のロック位置を無段階に設定することができるようになる。
【0056】
なお、可動側ラック50は、固定側ラック47に対して平行移動させることなく、一端側がピニオンギア49に近接及び離間するように他端側を回動可能に支持し、一端側のギア部50bがピニオンギア49に噛み合うように構成してもよい。このように構成することで、可動側ラック50のギア部50bの歯をピニオンギア49に噛み合わさせ、ピニオンギア49の回転を確実に規制することができる。また、可動側ラック50のギア部50bについては、例えば、一歯のみからなっていてもよく、その場合にも、この一歯からなるギア部50bをピニオンギア49に噛み合わせることでピニオンギア49の回転を規制することができる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態を主に図7及び図8を参照して以下に説明する。
図7及び図8は、上記センターコンソール1に適応した第3実施形態のスライドロック機構63を示すものである。
本実施形態のスライドロック機構63は、上記ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ64とから構成され、ベース11には、スライド方向に沿って一対のガイドレール70が設けられている。
【0058】
スライダ64は、上記アームレスト5(図1参照)の底部に取り付けられるスライドベース65と、揺動可能な第1楔アーム66を両側に備えた第1コマ67と、揺動可能な第2楔アーム68を両側に備えた第2コマ69と、第1コマ67或いは第2コマ69に設けられた第1楔アーム66或いは第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させることによって得られる楔作用で、スライダ64を停止させる状態と一対の第1楔アーム66及び第2楔アーム68をガイドレール70に対し傾斜させてスライダ64を移動可能とする状態とに切り替える切替手段71とを備えて構成されている。
【0059】
第1コマ67及び第2コマ69は、スライド方向に所定間隔をおいて配設される。第1コマ67は、幅方向両側に外方へと傾斜するテーパ部67bを設けて後方の側部67cよりも前方の側部67dをガイドレール70側に突出させ、スライド方向にテーパ部67bを介した段差を有して成るものである。第2コマ69は、幅方向両側に外方へと傾斜するテーパ部69bを設けて前方の側部69cよりも後方の側部69dをガイドレール70側に突出させ、スライド方向にテーパ部69bを介した段差を有して成るものである。第1コマ67には、その前方中央部を半円状に突出させた半円状部にコイルバネ74の一端を係止させる軸部76が設けられ、また、第2コマ69には、その後方中央部を半円状に突出させた半円状部に、第1コマ67に備えられるコイルバネ74とは別のコイルバネ75の一端を係止させる軸部77が設けられている。第1コマ67に設けられるコイルバネ74の他端は、スライドベース65の前方中央部に設けられる係止軸部78に係止させ、一方、第2コマ69に設けられるコイルバネの他端は、スライドベース65の後方中央部に設けられる係止軸部79に係止させることにより、各コイルバネ74,75が伸縮可能に取り付けられる。これによって、第1コマ67及び第2コマ69は、スライド方向に沿って互いに近接及び離間可能に設けられることになる。また、第1コマ67には、その表面略中央付近から垂直上方に突出する円柱状の突起部80が設けられている。一方、第2コマ69には、その表面中央から垂直上方に突出し上記突起部80よりも大径を成す円柱状の係止突起部81が設けられている。
【0060】
第1コマ67はその両側に第1楔アーム66を備え、第2コマ69はその両側に第2楔アーム68を備えている。第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、両端を半円状に形成してなる細長い棒状を呈したもので、これら第1楔アーム66及び第2楔アーム68の一端側にその上面から垂直上方へと突出する円柱状の第1突出部72が設けられており、さらに、長手方向中央にも同様の形状を成す第2突出部73が設けられている。第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、第2突出部73を基点としてそれぞれ揺動可能なものである。第1楔アーム66は、第1コマ67のスライド方向への移動に同期して第1コマ67の側部に沿って相対的に移動することで、ガイドレール70に当接し或いは離間する。第2楔アーム68は、第2コマ69のスライド方向への移動に同期して第2コマ69の側部に沿って相対的に移動することで、ガイドレール70に当接し又は離間する。ここで、第1楔アーム66の長さは、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長く形成されていて、第2楔アーム68の長さも第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長く形成されている。
【0061】
スライドベース65には、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第1突出部72を挿入保持する略矩形状の第1支持溝82と、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第2突出部73を挿入保持する長円形状の第2支持溝83とが形成されている。第1支持溝82のスライド方向長さは、互いに接離する第1コマ67及び第2コマ69の移動範囲から設定され、幅方向長さは、第1コマ67或いは第2コマ69の移動に伴う第1楔アーム66或いは第2楔アーム68の移動範囲を考慮して設定される。
【0062】
第2支持溝83は、スライドベース65の幅方向に沿って延在するとともに第1支持溝82のスライド方向長さの略中央に位置しており、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を回動させながら第1コマ67或いは第2コマ69の移動に伴う第1楔アーム66或いは第2楔アーム68の移動を許容するとともに、第1楔アーム66及び第2楔アーム68の移動を規制する。このような第2支持溝83により、スライドベース65に対する第1楔アーム66及び第2楔アーム68の位置決めがなされる。
【0063】
切替手段71は、一端側が上記レバー30に連結され他端側がスライドベース65内に挿入されるスライドバー84と、該スライドバー84の動きを第1コマ67へ伝動させるリンク部材85とによって構成されている。スライドバー84は、スライド方向に長さを有したもので、中央よりも一方のガイドレール70側へ若干偏るようにして設けられる。ここで、スライドバー84は、図2に示したようなレバー30を含むリンク機構に接続されているが、本実施形態では、図2に示した構成と異なり、レバー30を引き上げた際にスライドバー84が後方へとスライドし、引き下げた際にスライドバー84が前方へとスライドするようになっている。また、一側に第2コマ69側へと突出する第1当接部86が設けられており、該第1当接部86は第2コマ69の軸部77と係止突起部81との間に挿入され、スライドバー84が前方へスライドする際、この第1当接部86が第2コマ69の係止突起部81に当接するように形成したものである。さらに、第1当接部86よりも長手方向内側に位置した所定箇所の他側には、一方のガイドレール70側へと突出するとともにレバー30側へと延出する第2当接部87が形成されており、スライドバー84が前方へスライドする際、この第2当接部87がリンク部材85に当接するようになっている。
【0064】
リンク部材85は、中央の基軸85bをスライドベース65に回動可能に支持されたもので、一端側に、該リンク部材85の長手方向に延在する係止溝88が形成されている。該係止溝88内には、第1コマ67の突起部80が挿入され、該突起部80を係止溝88の基端側に係止させることによってリンク部材85は後方へと傾斜した状態で保持される。
【0065】
なお、第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、前述したように所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させられるようになっているが、ここでいう傾斜とは、ガイドレール70の長さ方向(スライド方向)に対して、垂直や平行にならず、したがって後述するように好ましい角度範囲はあるものの、原理的にはガイドレール70の長さ方向(スライド方向)に対して、0度(すなわち平行状態)を越え、90度(すなわち垂直状態)未満である状態をいう。
【0066】
次に、上記スライドロック機構63の動きについて詳しく述べる。
図7は、アームレスト5が使用(ロック)状態にあるスライドロック機構を63を示したもので、ベース11に対してスライダ64がロックされている。この際、レバー30は引き下げられた状態に保持されていて、スライドバー84を相対的に前方へとスライドさせた状態に保持している。ロックされたスライダ64は、スライドバー84及びリンク部材85を介して第1コマ67及び第2コマ69が互いに近接状態にあり、それぞれに設けられた第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に当接している。
【0067】
このようにロックされているスライダ64を移動させようとするときには、レバー30を引き上げる。すると、図8に示すように、スライドバー84がスライド方向において後退し、コイルバネ74,75が弾性復帰することによって第1コマ67が前方へスライドし、第2コマ69が後方へとスライドする。そして、第1コマ67の突起部80を係止溝88における長手方向外側へ係止させるようにリンク部材85が傾動することになる。その結果、リンク部材85の一端に当接していたスライドバー84の第2当接部87が離れる。また、第1コマ67が前進することによって、両側の第1楔アーム66が第1コマ67の側部67dからテーパ部67b側へと落ち込むように移動して、第1楔アーム66がガイドレール70から離間することで当接状態が解除される。このとき、第1楔アーム66は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。一方、第2コマ69が後退することによって両側の第2楔アーム68が第2コマ69の側部69dからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第2楔アーム68がガイドレール70から離間することで当接状態が解除される。このとき、第2楔アーム68は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0068】
このようにして、一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68をスライダ64の内方側へと移動させることでガイドレール70から離間させ、スライダ64の前進方向及び後退方向への規制、すなわちロック状態を解除することができる。
【0069】
そして、スライダ64を移動させ、所望の位置で停止させようとするときには、上記レバー30を引き下げる。すると、図7に示すようにスライドバー84が前進し、スライドベース65の第1当接部86が第2コマ69の係止突起部81に当接して、コイルバネ75の付勢力に抗して第2コマ69を前方へとスライドさせる。そして、第2コマ69のテーパ部69b側に落ち込んでいる両側の第2楔アーム68は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして後方へと回動しながら第2コマ69のテーパ部69bに沿ってガイドレール70側へと移動し、第2楔アーム68の一端側が側部69d上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第2楔アーム68は、第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の傾斜角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。このように、第2コマ69に設けられた一対の第2楔アーム68が所定の傾斜角度でガイドレール70に当接し、後方へと傾斜した姿勢で保持されることで、特にガイドレール70が第2楔アーム68に対し相対的に前進する方向への力が働いた際、ガイドレール70への食い込みによる楔作用が発揮されるようになる。
【0070】
また、これに同期して、スライドバー84の第2当接部87がリンク部材85の一端に当接することによってリンク部材85を前方へと傾動させる。このときリンク部材85は、係止溝88内に挿入された第1コマ67の突起部80を係止溝88における長手方向内側へ移動させながら傾動することになる。リンク部材85が傾動することによって第1コマ67がコイルバネ74の付勢力に抗して後方へとスライドすると、両側の第1楔アーム66は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして前方へと傾動しながら第1コマ67のテーパ部67bに沿ってガイドレール70側へと移動する。これにより、第1楔アーム66の一端側が側部67d上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第1楔アーム66は、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の傾斜角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。このように、第1コマ67に設けられた一対の第1楔アーム66が所定の傾斜角度でガイドレール70に当接し、前方へと傾斜した姿勢で保持されることで、特にガイドレール70が第1楔アーム66に対し相対的に後退する方向への力が働いた際、ガイドレール70への食い込みによる楔作用が発揮されるようになる。
【0071】
このように、第1楔アーム66及び第2楔アーム68をスライド方向において相反する方向に傾斜させてガイドレール70へと当接させるよう構成したことにより、第1楔アーム66の楔作用によってスライダ64の前進が規制され、第2楔アーム68の楔作用によってスライダの後退が規制される。これにより、スライダ64が確実にロックされる。
【0072】
つまり、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させることによって、ガイドレール70に対する一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68におけるそれぞれの食い込みから楔作用を得ることができ、したがって、スライダ64を確実に停止させることが可能となる。すなわち、第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に対して垂直に当接していた場合、楔効果が十分に得られず、ロック状態におけるスライダ64に対して過度の外力が加わった際に、加えられた外力の方向へとスライダ64が同伴されてしまう虞がある。しかしながら本実施形態では、前記したように第1楔アーム66及び第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させているので、このような虞を回避して、ベース11に対するスライダ64のロック状態を、前進方向、後退方向のいずれにおいても確実に維持することができる。また、一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68をガイドレール70に対して離間させることで楔作用を解除させてスライダ64を移動可能にしたので、ベース11に対するスライダ64の位置決めを円滑に行うことができ、スライダ64のロック位置を無段階に設定することができる。
【0073】
さらに、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を互いにスライド方向で相反する方向に傾斜させてガイドレール70に当接させることにより、第1楔アーム66から得られる楔作用でスライダ64の前進が規制でき、第2楔アーム68から得られる楔作用でスライダ64の後退が規制できる。これにより、スライダ64の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、スライダ64を確実に停止させることが可能となる。
【0074】
次に、本発明の第4実施形態を主に図9及び図10を参照して以下に説明する。
図9及び図10は、上記センターコンソール1に適応した第4実施形態のスライドロック機構90を示すもので、上記第3実施形態と異なる点は、第1コマ67及び第2コマ69同士の離間をバネの付勢力で行うのではなく、第1リンク部材91によって行うようにした点である。なお、第3実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0075】
本実施形態のスライドロック機構90の第1コマ67は、前方の側部67dよりも後方の側部67cの方がガイドレール70側へ突出しており、これら側部67dと側部67cとの間にテーパ部67bを有したものである。この第1コマ67には、円柱状の係止突起部94が設けられている。また、第2コマ69は、後方の側部69dよりも前方の側部69cの方がガイドレール70側に突出しており、側部69dと側部69cとの間にテーパ部69bを有したものである。この第2コマ69には、上記係止突起部94よりも小径を成す円柱状の突起部95が設けられている。
【0076】
スライドベース96には、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第1突出部72を挿入保持する第1支持溝82と、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第2突出部73を挿入保持する第2支持溝83とが形成されていて、さらに、一方のガイドレール70側の第1支持溝82同士の間にスライド方向に対して若干湾曲を成して延在する第3支持溝97が形成されている。
【0077】
切替手段89は、一端側が上記レバー30に連結され他端側がスライドベース96内に挿入されるスライドバー98と、一端がスライドバー98に連結され他端が第2コマ69に当接可能な第1リンク部材91と、一端が第2コマ69に連結され他端がスライドバー98に当接される第2リンク部材92とによって構成されている。
【0078】
第1リンク部材91は、長手方向中央に設けられている基軸91bがスライドベース96の中央に回動可能に支持されたもので、その一端に、スライドベース96の第3支持溝97内に挿入可能な突部99が形成されている。該突部99が第3支持溝97内を摺動することによって該第1リンク部材91が揺動することになる。図9に示すように、第1リンク部材91は、突部99を第3支持溝97の基部に係止させ、他端で第2コマ69をスライド方向後方へと押圧した状態で保持される。
【0079】
第2リンク部材92は、中央の基軸92bがスライドベース96の所定箇所に回動可能に支持されるもので、一端に、該第2リンク部材92の長手方向に延在する案内溝100が形成されている。該案内溝100内には第1コマ67の突起部95が挿入され、該突起部95を案内溝100の基端に係止させることによって第2リンク部材92他端が前方へと傾斜した状態で保持される。
【0080】
スライドバー98は、スライド方向に長さを有したものでスライドベース96の中央よりも一方のガイドレール70側へ若干偏るようにして設けられている。そして、一側には、一方のガイドレール70側へと突出するとともに後方へと延在する第1当接部101が形成されており、第2リンク部材92の一端に当接可能となっている。また、他側には第1コマ67側へ突出する一対の第2当接部102が互いに所定間隔をおいて形成されており、これら第2当接部102間に第1コマ67の係止突起部94が位置するようにしたもので、スライドバー98がスライド方向へスライドされるとどちらか一方の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接可能となっている。このようなスライドバー98には、上述した第1リンク部材91の一端が連結されており、該スライドバー98のスライドに伴って第1リンク部材91を揺動させる。
【0081】
なお、第1コマ67及び第2コマ69に、対向する第1コマ67或いは第2コマ69の端面に切欠きをそれぞれ形成しておくことにより、スライドバー98の先端が第2コマ69に直接当接することを避けることができる一方、第1リンク部材91の端部が第1コマ67に当接することを避けることができる。
【0082】
次に、上記スライドロック機構90の動きについて詳しく述べる。
図9は、アームレスト5が使用(ロック)状態にあるスライドロック機構を90を示したもので、ベース11に対してスライダ93がロックされている。この際、レバー30は引き下げられた状態に保持されていて、スライドバー84を相対的に前方へとスライドさせた状態に保持している。ロックされたスライダ93は、スライドバー98や該スライドバー98に連係する第1リンク部材91を介して第1コマ67及び第2コマ69が互いに離間状態にあり、それぞれに設けられた第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に当接している。
【0083】
このようにロックされているスライダ64を移動させようとするときには、上記レバー30を引き上げる。すると、図10に示すように、スライドバー98が後方へとスライドし、スライドバー98における前方側の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接して第1コマ67を後方へと移動させる。それに連動して、両側の第1楔アーム66が第1コマ67の側部67cからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第1楔アーム66がガイドレール70から離間する。これにより、第1楔アーム66のガイドレール70に対する当接状態が解除される。そして、第1楔アーム66は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0084】
また、スライドバー98のスライドに伴って、該スライドバー98に連結された第1リンク部材91の突部99がスライドベース96の第3支持溝97内を移動しながら第1リンク部材91をスライド方向に対して略垂直な姿勢となる。これにより、第2コマ69に対する第1リンク部材91の当接状態が解除される。そして、スライドバー98の第1当接部101が第2リンク部材92の一端に当接してさらにこの第2リンク部材92を押圧しながら傾動させることにより、案内溝100内における第2コマ69の突起部95の位置を変化させながら第2コマ69を前方へと移動させることになる。それに連動して、両側の第2楔アーム68が第2コマ69の側部69cからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第2楔アーム68がガイドレール70から離間する。これにより第2楔アーム68のガイドレール70に対する当接状態が解除される。そして、第2楔アーム68は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0085】
そして、スライダ93を移動させ、所望の位置で停止させようとするときには、レバー30を引き下げる。すると、図9に示すように、スライドバー98が前方へとスライドし、後方の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接して第1コマ67を前方へとスライドさせる。そして、第1コマ67のテーパ部67b側に落ち込んでいた両側の第1楔アーム66は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして後方へと回動しながら第2コマ67のテーパ部67bに沿って相対的にガイドレール70側へと移動することで、第1楔アーム66の一端側が側部66c上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第1楔アーム66は、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。
【0086】
また、スライドバー98が前方へとスライドすることによって、スライドバー98に連結している第1リンク部材91の他端が前方へと引っ張られ、突部99が第3支持溝97に沿って移動しながら第1リンク部材91が傾動することで、その一端側が第2コマ69を押圧することになる。これによって第2コマ69が後方へと移動させられて、第2楔アーム68は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして前方へと回動しながら第2コマ69のテーパ部69bに沿って相対的にガイドレール70側へと移動することで、第2楔アーム68の一端側が側部69c上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。この第2楔アーム68は、第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。
【0087】
このように、第1楔アーム66と第2楔アーム68とが互いにスライド方向で相対する角度でガイドレール70へと当接することにより、第1楔アーム66の楔作用によってスライダ93の後退が規制され、第2楔アーム68の楔作用によってスライダ93の前進が規制される。したがって、レバー30を引き上げることによってスライダ93をロックさせることができる。以上のことから、上記第3実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0088】
なお、ガイドレール70に対する第1楔アーム66及び第2楔アーム68の当接角度範囲は、上記したものに限らず、構成要素の寸法設定や所望とする楔作用等によっても適宜設定される。すなわち、スライダ64,93を確実にロックすることが可能な楔作用を発揮できる角度であれば良い。
【0089】
次に、本発明の第5実施形態を主に図11から図13を参照して以下に説明する。
図12及び図13は、上記センターコンソール1に適応した第5実施形態のスライドロック機構105を示すもので、図12は、本実施形態のスライドロック機構105に設けられるワンウェイクラッチの構成を示したものである。
【0090】
本実施形態のスライドロック機構105は、図12に示すように、ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ106とから構成され、ベース11には、スライド方向に沿ってギア部を有するラック104がスライド方向に沿って設けられている。一方、スライダ106は、上記アームレスト5の底部を覆うスライドベース107と、ワンウェイクラッチ本体A(軸部)に固定されるとともに該ワンウェイクラッチ本体Aに対して回転可能なギア部Bがラック104のギア部104bに噛み合う一対のワンウェイクラッチC1,C2(図11参照)と、これらワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bの回転を制御してスライダ106を停止させる状態とワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110(ロック)を解除してスライダ106を移動可能とする状態とに切り替える切替手段112とから構成されている。
【0091】
図11に示すように、ワンウェイクラッチC1,C2は、ワンウェイクラッチ本体Aとギア部Bとから構成されている。ワンウェイクラッチ本体Aは、図11に示すように、基体部113、回転部114、密着コイルバネ115及び円筒部材117を備えた構成となっている。
【0092】
一方のワンウェイクラッチC1の基体部113は、ガイド部118と、第1の円柱部119と、保持部120とを有しており、これらガイド部118と第1の円柱部119と保持部120とは、軸線O方向に互いに一体とされ、軸線O方向にわたって貫通する貫通孔121が形成されている。この貫通孔121には、スライドベース107に取り付けられる支持軸122(図12参照)が挿通される。第1の円柱部119には、後述する密着コイルバネ115の一方側が巻着されている。保持部120は、円柱形状をなしており、回転部114の挿通孔125に挿通されて回転部114を軸線O回りに回転可能に支持するものである。
【0093】
回転部114は、係合凸部123と該係合凸部123と一体となっている第2の円柱部124とから構成され、これら係合凸部123及び第2の円柱部124の軸線O方向にわたって貫通する挿通孔125内に保持部120が挿通されている。係合凸部123は、ギア部Bの係合孔126を係合させて、ギア部Bと一体となって回転するものである。第2の円柱部124は、第1の円柱部119と同等の径を有し、密着コイルバネ115の他方側が巻着されている。
【0094】
密着コイルバネ115は、図11に示すように、断面略矩形状のバネ材を密着させて巻回した、密着コイルバネ115からなる。この密着コイルバネ115は右巻き、すなわち、図中R方向に巻回されている。密着コイルバネ115の内周面には、上記したように、第1の円柱部119及び第2の円柱部124の双方が当接される。この密着コイルバネ115の一端部115aは、軸線O方向に向かって突出し、基体部113のガイド部118の係止穴118aに挿入されることにより係止される。また密着コイルバネ115の他端部115bは、密着コイルバネ115の径方向に突出し、円筒部材117の係止溝117bに係止される。
【0095】
円筒部材117は、基体部113に回動可能に支持されるもので、密着コイルバネ115を径方向から取り囲むようにして配置され、基体部113に対して軸線O回りに回動可能とされている。円筒部材117の回転部114側には、密着コイルバネ115の他端部115bを係止させる係止溝117bが、また、外周面にはトルク解除ボス110が、それぞれ形成されている。トルク解除ボス110を周方向に押圧して円筒部材117を図中R方向に回動させると、他端部115bもR方向に回動されて、密着コイルバネ115は拡径されるようになる。
【0096】
ギア部Bは、ワンウェイクラッチ本体Aと係合してワンウェイクラッチC1を構成するもので、外周部全域に歯が形成された略円盤形状をなし、その外周部は、ベース11側に設けられたラック104のギア部104bと係合している。
【0097】
他方のワンウェイクラッチC2は、上述したワンウェイクラッチC1と略同様の構成をなし、図11中L方向に巻回される左巻きの密着コイルバネ116を備えたものである。このワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111は、ワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110よりも短い長さとなっている。
【0098】
そして、これらワンウェイクラッチC1,C2は、互いのギア部Bの上面同士を突き合わせるとともに軸心を一致させ両ギア部Bを同位相で固定した状態でスライドベース107に設けられる。このとき、スライドベース107の中央において両ワンウェイクラッチC1,C2の軸心がスライド方向に直交するように配列させ、各支持軸122はスライドベース107の側部に固定されている。各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111は同軸上で一致させておく。
【0099】
切替手段112は、一端が上記レバー30に連結され、他端が一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に係合する第1スライドバー127と、ラック104を介して第1スライドバー127と平行に配置されその一端が他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接する第2スライドバー128と、第1スライドバー127及び第2スライドバー128同士を連結するリンク部材129とによって構成されている。これら第1スライドバー127及び第2スライドバー128はスライドベース107の幅方向両側に配置され、第2スライドバー128は、第1スライドバー127の長さに対してその長さは短く形成されている。
【0100】
第1スライドバー127は、他端側に一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110を挿入可能な第1溝部130がスライド方向に沿って形成されている。さらに、この第1溝部130よりも長手方向内側に位置した所定箇所には、その表面から垂直に突出する円柱状の第1突起部131が設けられている。
【0101】
第2スライドバー128は、一端側が長手方向に対して垂直な端部となっていて他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接するようになっている。また、他端側にはその表面から垂直に突出する円柱状の第2突起部132が設けられている。
【0102】
スライドベース107には、他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111を挿入可能な第2溝部133が形成されており、該第2溝部133及び上記第1溝部130は、スライドベース107の長手方向中央からスライド方向に沿って互いに相反方向に延在するように形成されている。そして、各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111は、図12に示すように、互いの位置がスライドベース107の中央で一致するように第1溝部130及び第2溝部133内に挿入される。
【0103】
リンク部材129は、第1スライドバー及び第2スライドバー同士を連結可能な長さを有して形成された細棒状のもので、その略中央部に設けられる基軸129bがスライドベース107に傾動可能に支持されている。リンク部材129の両端には長方形状の一対の支持溝134が形成されている。これら支持溝134内に、第1スライドバー127及び第2スライドバー128に形成された第1突起部131及び第2突起部132がそれぞれ挿入されると、リンク部材129は、図12に示すような傾斜姿勢で設けられる。これにより、リンク部材129を介して第1スライドバー127及び第2スライドバー128同士は実質的に連結されることになる。このようなリンク部材129は、第1スライドバー127をスライド方向にスライドさせると基軸129bを基点として傾動し、第2スライドバー128を第1スライドバー127のスライド方向とは逆の方向へスライドさせる。リンク部材129が傾動する際、支持溝134内における第1突起部131及び第2突起部132の位置を変化させながら傾動することになる。
【0104】
次に、上記スライドロック機構105の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ106をスライドさせようとするときには、上記レバー30を引き上げ、第1スライドバー127を前方へとスライドさせると、第1スライドバー127の第1溝部130の一端に係合しているトルク解除ボス110がスライド方向前方へと傾動することによってワンウェイクラッチC1のワンウェイクラッチ本体A(基体部)が密着コイルバネ115を拡径させるように回動する。また、第1スライドバー127を前方へとスライドさせることによって、リンク部材129が図中の矢印方向に傾動して第2スライドバー128を後方へとスライドさせる。これにより、第2スライドバー128の端部がスライドベース107の第2溝部133に係合しているトルク解除ボス111を後方側へと傾動させることによって、ワンウェイクラッチC2のワンウェイクラッチ本体(基体部)Aが密着コイルバネ116を拡径させるように回動する。すると、各ワンウェイクラッチC1,C2において、密着コイルバネ115,116と基体部113及び回転部114との間に隙間ができ、これによって、回転部114は、基体部113に対してスライド方向への回転が許容されて空転するので、ギア部Bから基体部113には回転駆動力(動力)は伝達されない。したがって、各ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bはラック104のギア部104bに対して回転自在となり、スライダ106をスライド方向にスライド可能なものとする。
【0105】
一方、ベース11に対してスライダ106を所望の位置で停止させようとするときには、レバー30を引き上げを解除すると、拡径していた密着コイルバネ115,116の縮径に伴う弾性復帰により各ワンウェイクラッチ本体(基体部)Aが回転して各ワンウェイクラッチC1、C2のトルク解除ボス110,111が互いに同軸方向で一致するように元の位置に戻る。同時に、図中の矢印で示すようにリンク部材129が傾動して第2スライドバー128が前方へとスライドし、第1スライドバー127が後方へとスライドする。このように、コイルバネ115,116が縮径することによって各ワンウェイクラッチC1,C2の基体部113とギア部Bとが一体となることにより、ギア部Bは、基体部113に対する相対回転(回転)が規制されるため空転せず、スライダ106がロックされることになる。
【0106】
これにより、スライダ106に、互いに巻回方向が逆となるコイルバネ115,116を備えた一対のワンウェイクラッチC1,C2を、回転規制方向がスライド方向で互いに逆となるように設けることで、スライダ106の双方向へのスライドが規制され、スライダ106を確実に停止させることができる。つまり、ワンウェイクラッチC1によってスライダ106の後退が規制され、ワンウェイクラッチC2によってスライダ106の前進が規制される。したがって、スライダ106の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮することができるので、スライダ106を確実に停止させることができる。また、第1スライドバー127及び第2スライドバー128でワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111を押圧してコイルバネ115,116を拡径させてギア部Bからワンウェイクラッチ本体Aへ回転駆動が伝達しないようにすることでギア部Bを空転状態とすることができ、スライダ106を双方向にスライド可能にすることができる。よって、ベース11に対するスライダ106のロック位置を無段階に設定可能なものとなる。なお、ワンウェイクラッチC1,C2にトルク解除ボス110,111を設けたことにより、回転駆動力の伝達を容易に解除することができ、その解除作業を確実に行うことができる。
【0107】
次に、本発明の第6実施形態を図11を参照しながら主に図14及び図15に基づいて以下に説明する。
図14及び図15は、上記センターコンソール1に適応した第6実施形態のスライドロック機構136を示すもので、第5実施形態と異なる点は、ベース11(図2参照)に一対のラック13,14が互いのギア部13b,14bを対向させて設け、該ギア部13b,14bにそれぞれ個別に噛み合うようにして一対のワンウェイクラッチC1,C2をスライダ137に設けた点である。なお、第5実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0108】
本実施形態のスライドロック機構136のスライダ137は、アームレスト5(図1参照)の底部に取り付けられるスライドベース138と、一対のラック13,14のギア部13b,14bに個別に噛み合うギア部Bを有した一対のワンウェイクラッチC1,C2と、該ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bの回転を制御してスライダ137を停止させる状態とワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111(ロック)を解除してスライダ137を移動可能と停止する状態とに切り替える切替手段139とから構成されている。
【0109】
各ワンウェイクラッチC1,C2は、上述したワンウェイクラッチC1,C2と略同様の構成のワンウェイクラッチC1,C2が設けられており、一方のワンウェイクラッチC1は右巻きの密着コイルバネ115を備え、他方のワンウェイクラッチC2は左巻きの密着コイルバネ116を備えたものである。そして、互いのトルク解除ボス110,111を対向させて、一方のラック14のギア部14bにワンウェイクラッチC1(右巻き)のギア部Bが噛み合うように、他方のラック13のギア部13bにワンウェイクラッチC2(左巻き)のギア部Bが噛み合うようにして各ワンウェイクラッチC1,C2の支持軸122が上記スライドベース138に取り付けられる。なお、ここで用いるワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111の長さは、同じ長さでよい。
【0110】
切替手段139は、一端側が上記レバー30に連結され他端側が一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接可能な第1スライドバー140と、該第1スライドバー140と平行に配置されその一端側が他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接可能な第2スライドバー141と、これら第1スライドバー140及び第2スライドバー141同士を連結するリンク部材142とによって構成されている。第1スライドバー140及び第2スライドバー141はスライド方向に沿って配置され互いに平行をなしている。
【0111】
第1スライドバー140は、スライド方向に長さを有したもので、他端側における一側にラック14側へと突出する当接部143を有しており、該当接部143がワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接するようになっている。さらに、この当接部143よりも長手方向内側に位置した所定箇所には、その表面から垂直に突出する円柱状の第1突起部144が設けられている。
【0112】
第2スライドバー141は、略長方形を呈し、その一側からスライド方向に沿って後方へと延出する当接部145が設けられており、該当接部145がワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接するようになっている。そして、第2スライドバー141の略中央には、その表面から垂直に突出する円柱状の第2突起部146が設けられている。
【0113】
リンク部材142は、第1スライドバー140及び第2スライドバー141同士を連結可能な長さを有して形成された細棒状のもので、その略中央部に設けられる基軸142bがスライドベース138に傾動可能に支持されている。該リンク部材142には、上記第1スライドバー140及び第2スライドバー141の第1突起部144及び第2突起部146を個別に挿入可能な一対の長方形状の支持溝147が形成されている。これら支持溝147内の外方側に係止するよう第1突起部144及び第2突起部146がそれぞれ挿入されると、リンク部材142は、図14に示すように、スライド方向に対して垂直な姿勢で設けられる。第1スライドバー140及び第2スライドバー141はこのようなリンク部材142を介して実質的に連結されることになる。また、リンク部材142は、第1スライドバー140をスライド方向にスライドさせると基軸142bを基点として傾動し、第2スライドバー141を第1スライドバー140のスライド方向とは逆の方向へスライドさせる。リンク部材142が傾動する際、支持溝147内における第1突起部144及び第2突起部146の位置を変化させながら傾動することになる。
【0114】
次に、上記スライドロック機構136の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ137をスライドさせようとするときには、上記レバー30を引き上げ、図15に示すように、第1スライドバー140を前方へとスライドさせると、ワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接している当接部143がトルク解除ボス111を押圧してワンウェイクラッチ本体(基体部113)Aを前方へと回転させることによって密着コイルバネ115を拡径させる。また、第1スライドバー140を前方へとスライドさせることによって、リンク部材142が図中の矢印方向に傾動して他方の第2スライドバー141を後方へとスライドさせる。そして、第2スライドバー141の当接部145がトルク解除ボス111を後方側へと押圧してワンウェイクラッチC2の基体部113が密着コイルバネ116を拡径させるように回動する。すると、各ワンウェイクラッチC1,C2において、各密着コイルバネ115,116と、基体部113及び回転部114との間に隙間ができ、これにより、回転部114は、基体部113に対してスライド方向への回転が許容されて空転するので、ギア部Bから基体部113には回転駆動力(動力)は伝達されない。すなわち、各ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bはラック13,14のギア部13b、14bに対して回転自在となり、スライダ137をスライド方向にスライド可能なものとする。
【0115】
一方、ベース11に対してスライダ137を所望の位置で停止させようとするときには、レバー30の引き上げを解除すると、図14に示すように、拡径していた密着コイルバネ115,116の縮径に伴う弾性復帰により基体部113が後方へと回転し、各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111が元の位置に戻る。同時に、図中の矢印で示すようにリンク部材142を傾動させて第2スライドバー141を前方へとスライドさせ、第1スライドバー140を後方へとスライドさせる。このように、コイルバネが縮径することによって基体部113とギア部Bとが一体となることにより、ギア部Bは基体部113に対する相対回転(回転)が規制されて空転しない。そのため、スライダ137がロックされることになる。
【0116】
このように、スライド方向において互いに回転規制方向が異なるワンウェイクラッチC1,C2によってスライダ106をロックさせることができる。つまり、ワンウェイクラッチC1によってスライダ106の後退が規制され、ワンウェイクラッチC2によってスライダ106の前進が規制されることによって、スライダ106の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮することができるので、スライダ106を確実に停止させることが可能となる。
【0117】
以上述べた実施形態により、アームレスト5を使用者の所望とする位置にフリーストップ可能とすることができる。よって、使用者に合った適切なアームレスト5の位置を十分に確保することが可能となる。
【0118】
なお、ワンウェイクラッチC1,C2においては上記実施形態に限らず、複数のラチェットを揺動可能に収容するアウターレースと外周にラチェットに係止するツメを等間隔で設けたインナーレースとから成り、バネによってラチェットを起立させる方向に常に付勢しておくことでツメに係合するようにしたワンウェイクラッチ(特開2002−054659号公報)や、周方向所定ピッチで径内側へ突設された爪部を有したクラッチアウタと該クラッチアウタの爪部と同ピッチで係止突起が設けられているクラッチインナとを備え、径外方向へ向けて弓状に湾曲する板状の弾性変形部を周方向に等間隔で有した金属製の接続部材をクラッチインナの外周面に設けることで爪部に係止可能としたワンウェイクラッチ(特開2000−170798号公報)や、外輪の内周面にテーパー部と急峻な段部とを形成した第1クラッチ要素部と、内輪に外輪のテーパー部に位置して楔形空間部を形成する外周面部と外輪の段部に係合するストッパー部と周面の一部が径方向内方及び外方に突出するニードルローラーとを設けてなる第2クラッチ要素部とから構成され、ニードルローラーをバネ部材によって径方向外方へ押し出すことで軸心のズレを防止するワンウェイクラッチ(特開平09−144777号公報)、及び、駆動軸と従動軸との間に楔作用を有する転動体を保持器なしで拘束介在させてなり、従動軸側からの負荷トルクを楔作用を有する転動体により駆動軸を停止可能にしたワンウェイクラッチ(特開平07−103260号公報)等を用いてもよい。
【0119】
また、上記では本発明の具体的な実施形態を車体のコンソールボックスに適用することを例に挙げて述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、車内の小物入れや灰皿等の引き出し或いは引き戸に応用しても良い。また、車体の内装機構に限らず、スライドすることを前提としそのスライドを所望の箇所で停止させることを必要としたスライド式構造であれば、あらゆる物に応用可能なものである。その際、スライダの規制は、そのスライド方向における両方向に作用させるのではなく一方向のみの規制であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明における第1〜6の実施形態のスライドロック機構を備えたセンターコンソールを示す分解斜視図である。
【図2】本発明における第1実施形態のスライドロック機構の側断面図である。
【図3】本発明における第1実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライロック機構の平面図である。
【図4】本発明における第1実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図5】本発明における第2実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図6】本発明における第2実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図7】本発明における第3実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図8】本発明における第3実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図9】本発明における第4実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図10】本発明における第4実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図11】本発明における第5実施形態のスライドロック機構に用いられるワンウェイクラッチの分解斜視図である。
【図12】本発明における第5実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図13】本発明における第5実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図14】本発明における第6実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図15】本発明における第6実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【符号の説明】
【0121】
10,45,63,90,105,136 スライドロック機構
11 ベース
13,14,104 ラック
47 固定側ラック
50 可動側ラック
12,46,64,93,106,137 スライダ
13b,14b,104b ギア部
15,16 ピニオンギア
17,18 ストッパギア
20,52,71,89,112,139 切替手段
15b、16b 回転軸
66 第1楔アーム
68 第2楔アーム
70 ガイドレール
B ギア部
C1,C2 ワンウェイクラッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダのロック位置を可変設定可能とするスライドロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば乗用車等の自動車に装備されたアームレストにおいては、車両の前後方向に摺動可能に構成されているものが知られており、必要に応じて車両前方にスライドさせて肘掛として使用する構成となっている。
【0003】
スライド式構造としては、コンソールボックス本体と、このコンソールボックス本体の両側縁に設けられたガイドレールと、ガイドレールに沿って摺動可能に支持されたヒンジと、ヒンジに対して長手方向の一縁が揺動可能に枢支される開閉式カバーと、開閉式カバーの両側上面に設けたアームレスト部と、開閉式カバーの中央部に設けた開口部に沿って摺動可能なスライドドアとを含み、開閉式カバーが閉鎖位置にてロック機構によりロックされるとともに、ヒンジがガイドレールに沿って摺動することにより、開閉式カバーが水平方向に開放され、またヒンジに対して揺動して回転しながら開放される構成のものが開示されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−103289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主に、肘掛として使用されるアームレストにあっては、使用者の体型に応じて位置調整可能な使用性の良いものが要求されている。しかしながら、前述したような構成のものである場合、アームレスト部のスライドの停止は閉鎖位置及び開放位置の二箇所のみであるため、使用者の体型や好みに応じてアームレスト部のロック位置を自在に調整することができないといった問題点があった。そのため、アームレスト部のロック位置を段階的に設定することを可能にしたアームレスト部が提供されている。これは、閉鎖位置と開放位置との間において予め設定されたロック位置に段階的にアームレスト部を停止可能としたもので、従来のものと比べるとアームレスト部のロック位置をある程度調整できるようにはなったが、ロックさせる位置が決められているということは、使用者に合った適切な位置を必ずしも十分に確保することができるとは言い難い。そのため、アームレスト部を使用者の所望とする位置にフリーストップ可能とするスライドロック機構が望まれている。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能なスライドロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、互いのギア部を対向させて平行に配置される一対のラックがスライド方向に沿って設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、一対のラックに個別に噛み合う一対のピニオンギアと、これらピニオンギアに同時に噛み合うことで一対のピ二オンギアの回転を規制するストッパギアと、該ストッパギアを一対のピ二オンギアに対し同時に噛み合ってスライダを停止させる状態と、同時には噛み合わずスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段とが設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、切替手段は、ストッパギアを、一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態で該一方のピニオンギアの回転軸を中心に旋回させることで他方のピニオンギアに対し近接及び離間させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う前記ストッパギアを一対設け、これら一対のストッパギアは、前記切替手段によって、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合せるようにすることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿う固定側ラックが設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、該固定側ラックに対し、該固定側ラックのギア部にギア部を対向させた状態で配置され且つ近接及び離間可能に設けられた可動側ラックと、固定側ラックに常時噛み合うピニオンギアとが設けられていて、可動側ラックをピニオンギアに対し噛み合ってスライダを停止させる状態と、噛み合わずにスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってガイドレールが設けられ、前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、揺動可能な楔アームが設けられていて、該楔アームを所定の傾斜角度で前記ガイドレールに当接させることによって得られる楔作用で前記スライダを停止させる状態と前記楔アームを前記ガイドレールに対し離間させて前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、楔アームをスライド方向に一対設け、これら一対の楔アームを、相反する方向に傾斜させてガイドレールに当接させるよう構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってギア部を有するラックがスライド方向に設けられ、ベース及びスライダのうちのいずれか他方には、軸部において固定されるとともに該軸部に対し回転可能なギア部においてラックのギア部に噛み合うワンウェイクラッチが設けられていて、ワンウェイクラッチによりスライダを停止させる状態とワンウェイクラッチのロックを解除してスライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ストッパギアを一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段を備えたことによって、ベースに対するスライダのロック位置を所望とする位置にフリーストップ可能となる。つまり、ストッパギアが一対のピニオンギアに同時に噛み合うことでこれら一対のピニオンギアの回転が規制され、同時には噛み合わない状態で一対のピニオンギアの回転が自在となることにより、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能とすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、一対のピニオンギアは両側のラックによって互いに位相関係が一定しているので、ストッパギアを一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態でこのピニオンギアの回転軸を中心にして旋回させることにより、再び他方のピニオンギアに良好に噛み合わせることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合わせるようにすることで、一方のストッパギアでスライダの前進が確実に規制され、他方のストッパギアでスライダの後退が確実に規制される。したがって、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、ベースに対するスライダのロック状態を確実に維持することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、切替手段によって可動側ラックのギア部を、固定側ラックに常時噛み合っているピニオンギアに噛み合わせることでピニオンギアの回転を規制するようにし、また、可動側ラックのギア部をピニオンギアに噛み合わない状態に切り替えることでピニオンギアの回転が自在となるようにする。これにより、ベースに対してスライドするスライダのロック位置を所望とする位置にフリーストップさせることが可能となる。したがって、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定することができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、楔アームを所定の傾斜角度でガイドレールに当接させることにより、ガイドレールを楔アームに対して相対的に移動させた際、ガイドレールに楔アームを食い込ませて楔作用を発揮させ、スライダを停止させることが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、楔アームをスライド方向に一対設け、互いに相反する方向に傾斜させてガイドレールに当接させるよう構成したことで、一方の楔アームから得られる楔作用でスライダの前進が規制でき、他方の楔アームから得られる楔作用でスライダの後退が規制できる。これにより、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、スライダを確実に停止させることが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、ベース及びスライダのうちのいずれか一方に、軸部において固定されるとともに該軸部に対して回転可能なギア部がラックのギア部に噛み合うワンウェイクラッチを設けることで、ギア部から軸部へと回転駆動を伝達させて軸部をギア部と一体とすることによりスライダを停止させることができる。また、ワンウェイクラッチのロックを解除して、ギア部から軸部へ回転駆動を伝達させずにギア部を空転状態とすることによりスライダを双方向にスライド可能とすることができる。よって、ベースに対するスライダのロック位置を無段階に設定可能なものとなる。なお、ワンウェイクラッチを用いることにより、回転駆動力の伝達を容易に解除することができ、その解除作業を確実に行うことができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることにより、一方のワンウェイクラッチでスライダの前進を規制でき、他方のワンウェイクラッチでスライダの後退を規制することができる。これにより、スライダの前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、ベースに対するスライダの停止を確実に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図1〜図15を参照して説明する。
以下に述べる第1〜6の実施形態は、本発明のスライドロック機構10,45,63,90,105,136を自動車の車体の座席間に配置されるセンターコンソール1として適用した場合を示す。
【0023】
センターコンソール1は、図1に示すように、小物類を収納するコンソールボックス(不図示)と、該コンソールボックスに取り付けられる基材4と、この基材4にスライドロック機構10を介してスライド可能に設けられるアームレスト5とにより構成されていて、このアームレスト5は、クッション性を有したアームレスト部5Aと、アームレスト基材5Bとからなるものである。センターコンソール1は、主に、アームレスト5が車体の前後方向にスライドするよう設置される。
【0024】
図2〜図4は、本発明におけるスライドロック機構の第1実施形態を示す。
スライドロック機構10は、図2に示すように、車体の前後方向に延在するベース11と、このベース11に対してスライド可能に取り付けられるスライダ12とを備えており、上記コンソールボックスに基材4を介して取り付けられるベース11に対して上記アームレスト5に取り付けられるスライダ12を所望の位置でロック可能としたものである。
【0025】
ベース11は、図2に示すように、スライダ12のストロークに対応する長さを有した一対のラック13,14を備えており、これら一対のラック13,14は互いのギア部13b,14bを対向させつつ互いに所定間隔をおいて平行に配置されるもので、スライド方向に沿って設けられる。なお、一対のラック13,14は、スライド方向において互いのギア部13b,14bの歯の位置を合わせている。
【0026】
一方、スライダ12は、上記アームレスト5の底部を覆うスライドベース22と、ベース11に設けられた一対のラック13,14に個別に噛み合う一対のピニオンギア15,16と、これらピニオンギア15,16に同時に噛み合うことでピニオンギア15,16の回転を規制する一対のストッパギア17,18と、ストッパギア17,18の各々を一対のピニオンギア15,16に対して同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段20とを備えて構成されている。
【0027】
ピニオンギア15,16及びストッパギア17,18には同型の歯車が用いられており、これら一対のピニオンギア15,16及び一対のストッパギア17,18は、長手方向一端に第1矩形孔21を有したスライドベース22と、図2に示すように、スライドベース22に連結ボルト44によって連結されるとともに一対のラック13,14の間に挿入可能な保持板23との間に、各々の回転軸15b,16b,17b,18bがスライド方向に対して垂直となるよう設けられている。一対のピニオンギア15,16は、互いの回転軸15b,16bがスライド方向で一致するように各ラック13,14にそれぞれ噛み合わせることで互いの歯の位相が合うように配設され、回転自在に各々の回転軸15b、16bの両端をスライドベース22及び保持板23に固定されてなる。これらピニオンギア15,16は、ラック13,14に沿って互いに相対回転を行う。一方、一対のストッパギア17,18は、個々が両方のピニオンギア15,16に噛み合うようにこれらピニオンギア15,16のスライド方向両側に配置され、両者がピニオンギア15,16に噛み合った状態で回転軸17b,18b同士を結ぶ方向が回転軸15b,16b同士を結ぶ方向に直交することになる。
【0028】
スライドベース22及び保持板23には、図3に示すように、ストッパギア17,18の回転軸17b,18bの両端を挿通支持可能な支持溝24,25が形成されていて、一方の支持溝24は、一対のピニオンギア15,16に噛み合うストッパギア17を、一方のピニオンギア15に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして、他方のピニオンギア16に対して近接及び離間可能となるようストッパギア17の回転軸17bを案内するものである。他方の支持溝25は、一対のピニオンギア15,16に噛み合うストッパギア18を一方のピニオンギア16に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして、他方のピニオンギア15に対して近接及び離間可能となるようストッパギア18の回転軸18bを案内するものである。
【0029】
そして、支持溝24は、保持板23の幅方向中央からラック13側へと湾曲し、支持溝25は、保持板23の幅方向中央からラック14側へと湾曲しながら各ピニオンギア15,16の周りに所定長さで延在する。支持溝24,25の長さは、ピニオンギア15,16に対するストッパギア17,18の噛合が解除可能となる位置へストッパギア17,18を移動できるような長さに設定されている。
【0030】
このような支持溝24,25により前方のストッパギア17は、図4に示すように、ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15が係合するラック13側へと所定の傾斜角度範囲で旋回可能となっており、後方のストッパギア18は、ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして該ピニオンギア16が係合するラック14側へと所定の角度範囲で旋回可能となっている。こうすることで、ストッパギア17,18とピニオンギア15,16との位相関係は一定で、離間したピニオンギア15,16に対するストッパギア17,18の噛み合いの位相関係も一定する。したがって、図3に示すように、ピニオンギア15,16とストッパギア17,18との噛合がスムーズに行われることになる。
【0031】
また、保持板23の前方中央部には、下方へと貫く固定ピン26が設けられており、該固定ピン26の下端に後述するコイルバネ41の一端を係止させるための係止孔26bが形成されている。
【0032】
切替手段20は、スライドベース22に対してスライド可能なスライドバー27と、該スライドバー27のスライドに伴って、後方のストッパギア18を一方のピニオンギア15に対して近接及び離間可能に移動させる回動部材28及び付勢ばね29と、スライドベース22に対してスライドバー27をスライドさせるレバー30とを有して構成される。
【0033】
スライドバー27は、保持板23の下方にスライド方向に沿って設けられるもので、長手方向一端側のスライドベース22側へと屈曲する係合部31には、第2矩形孔32が形成されている。さらに、スライドバー27の略中央部には長手方向へ延在するばね収容溝33が形成されており、このばね収容溝33の前端にスライドベース22側へ突出し且つその端部が前方へと折曲されるばね係合部34を設けている。ばね収容溝33よりも後方側に、スライドバー27の幅方向中央から一側へと延出するとともに所定位置から後方へと延出するL字状の案内溝35が形成され、一方の支持溝24内に挿入されるストッパギア17の回転軸17bが挿入される。さらに、案内溝35よりも後方側には、長方形状孔部36が形成されおり、支持溝25内に挿入されるストッパギア18の回転軸18bが挿入される。該長方形状孔部36は、スライドバー27がスライドしても平面視において他方の支持溝25が常に含まれるような大きさである。さらに、スライドバー27には、長方形状孔部36の前端辺りの幅方向一側から外方へと突出するとともに所定位置から前方へと延出する当接部37が設けられている。この当接部37は、保持板23の外側となるよう形成されており、その先端が保持板23側へと垂直に折曲されている。
【0034】
このようなスライドバー27は第1支持具38及び第2支持具39を介してスライドベース22スライドバー27をスライドベース22に対して平行と成るように設けられている。第1支持具38及び第2支持具39は、スライドバー27をスライドベース22及び保持板23に対してスライド可能に保持するもので、スライドバー27の両端を支持している。また、これら第1支持具38及び第2支持具39は、螺子等によってスライドバー27へ固定されるものであるが、第2支持具39を固定する一方の螺子には、例えば、軸部の長い螺子40が用いられる。
【0035】
また、スライドバー27はコイルバネ41によって保持板23と連結されている。このコイルバネ41は、スライドバー27のばね収容溝33内に収容されるもので、一端がばね係合部34へ係合され、他端が保持板23に設けられた固定ピン26の係止孔26bに係合されて設けられる。こうすることで、スライドバー27がスライド方向における保持板23側へと付勢されることになる。
【0036】
回動部材28は、保持板23の裏面側において、一方のピニオンギア16の回転軸16bに回転可能に保持されている。この回動部材28は、回転軸16bに取り付けられる中央部28aと、互いに相反する方向へ突出する突出部28bと、突出部28cとから構成され、ピニオンギア16の回転軸16bに対して垂直姿勢で取り付けられる。突出部28cは、突出部28bよりも長さを有して形成され、後方の支持溝25内に挿入されるストッパギア18の回転軸18bに内方側から係止するようになっている。また、スライドバー27の当接部37を回動部材28の突出部28cよりもスライドベース22側へ突出させておけば、スライドバー27のスライドと同時に回動部材28の突出部28cへ当接可能となる。
【0037】
付勢ばね29は、保持板23の裏面側において、スライドベース22と保持板27とを連結している連結ボルト44のうち後方の連結ボルト44の一方に外装されている。この付勢ばね29は、中央に、連結ボルト44の軸周りに巻回されるループ部を有しており、平面視V字状となるようその両端部を外方へ突出させたもので、そのうちの一端部29bが後方のストッパギア18の回転軸18bに係止していて、他端部29cが第2支持具39の螺子40に係止している。これにより、後方のストッパギア18を常時噛み合ってはいないピニオンギア16側へ付勢するようになっている。
【0038】
レバー30は、側面視略く字状となるよう例えば長方形状の板材を屈曲形成したもので、一端側に他端側に向けて曲折する取手部30bを有し、他端側にスライドベース22の第1矩形孔21及びスライドバー27の第2矩形孔32内に挿入可能な挿入部30cを設けて成るものである。また、このレバー30はその屈曲部分に幅方向に貫通する支持軸貫通孔30dを有し、スライドベース22の表面側に固定されてスライドベース22をアームレスト5側へと取り付ける取付部43に、支持軸貫通孔30d内に挿入される円柱状支持軸42によって回動可能に支持されることになる。よって、レバー30を回動させるとスライドバー27をスライドさせることができる。
【0039】
次に、スライドロック機構10の動きについて詳しく述べる。
まず、ベース11に対してスライダ12がロック状態にある場合、図2に示すように、一対のピニオンギア15,16に一対のストッパギア17,18が同時に噛み合っている。つまり、支持溝24及び案内溝35内に挿入されている前方のストッパギア17は、コイルバネ41によってスライドバー27がスライド方向で保持板23側へと付勢されることでスライダ12の中央に位置して、一対のピニオンギア15,16に噛合係合することになる。支持溝25及び長方形状孔部36内に挿入されている後方のストッパギア18は、その回転軸18bが付勢ばね29に付勢されることでスライダ12の中央に位置して、一対のピニオンギア15,16に噛合係合することになる。こうすることで、ラック13,14に対するピニオンギア15,16の回転が規制され、スライダ12の停止状態が維持される。
【0040】
スライダ12を移動させるには、図4に示すように、まずレバー30を上方へと引き上げる。すると、レバー30の挿入部30cがスライドバー27の第2矩形孔32に係止し、コイルバネ41の付勢力に抗してスライドバー27を前方へとスライドさせることによって一対のストッパギア17,18を所定の方向へと旋回させるようになる。つまり、スライドバー27がスライドすることによって前方のストッパギア17の回転軸17bが案内溝35に案内されながら支持溝24内を移動して、支持溝24の基部から端部に位置するとき案内溝35のL字をなす角部に位置する。そして、スライドバー27をさらに前方へとスライドさせることによって、支持溝24の基部及び案内溝35の端部側に回転軸17bが保持されることになる。このようにストッパギア17の回転軸17bが案内溝35に案内されながら支持溝24内を移動する際、ストッパギア17は一方のピニオンギア15に噛み合いながら、該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15の周りに旋回する。こうすることで、ストッパギア17は他方のピニオンギア16から離間して該ピニオンギア16との噛合係合が解除され、ピニオンギア15のラック13に対する回転が可能になる。他方のピニオンギア16と離間したストッパギア17は、一方のピニオンギア15に常時噛み合った状態のため該ピニオンギア15の回転に伴って回転することになる。
【0041】
これと同時に、スライドバー27がスライドすることによってスライドバー27の当接部37の先端が回動部材28の突出部28cへ当接し、回動部材28が図2から図4へ示されるように時計回りに回転することで一対のピニオンギア15,16に噛み合っていた後方のストッパギア18の回転軸18bを付勢ばね29の付勢に抗しながら支持溝25に沿ってラック14側へと移動させる。この際、ストッパギア18は、他方のピニオンギア16に噛み合いながら、該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして該ピニオンギア16の周りに旋回する。こうすることで、ストッパギア18は一方のピニオンギア15から離間して該ピニオンギア15との噛合係合が解除され、他方のピニオンギア16のラック14に対する回転が可能になる。一方のピニオンギア15と離間したストッパギア18は、他方のピニオンギア16に常時噛み合った状態のため該ピニオンギア16の回転に伴って回転する。スライダ12は、ピニオンギア15とストッパギア17、ピニオンギア16とストッパギア18とが噛合回転しているときスライドする。
【0042】
このように、スライドバー27によって各々のストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に同時には噛み合わない状態にすることにより、一対のピニオンギア15,16の回転規制が解除されて、スライダ12がラック13,14に沿ってスライド可能となる。
【0043】
移動させたスライダ12を所望の位置に停止させるには、停止させたい位置においてレバー30の引き上げを解除すると、コイルバネ41の弾性復帰に伴ってスライドバー27が後方へと引き戻され、案内溝35及び支持溝24間に保持されていた前方のストッパギア17の回転軸17bがスライドバー27の移動に伴って案内溝35のL字をなす角部へ位置すると、案内溝35で押圧されながら支持溝24に沿ってスライダ12の中央へと移動する。回転軸17bが支持溝24内を移動する際、噛み合っているピニオンギア15の回転軸15bを中心にして該ピニオンギア15周りに旋回することで離間していた他方のピニオンギア16に近接して該ピニオンギア16に噛み合うことになる。また、スライドバー27が引き戻されることによって回動部材28の突出部28cに当接していたスライドバー27の当接部37の先端が突出部28cから離れると、付勢ばね29の弾性復帰に伴って後方のストッパギア18の回転軸18bを支持溝25に沿ってスライダ12の中央へと移動する。このとき、ストッパギア18に噛み合っているピニオンギア16の回転軸16bを中心にしてストッパギア18をピニオンギア16の周りに旋回させることで、離間していた一方のピニオンギア15に近接して該ピニオンギア15に噛み合うことになる。各々のストッパギア17,18が、互いに相対的に回転する一対のピニオンギア15,16に同時に噛み合うことで、これらピニオンギア15,16の回転が規制されて所望の位置にスライダ12を停止させることが可能になるのである。
【0044】
このように、ストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に対し同時に噛み合う状態と同時には噛み合わない状態とに切り替える切替手段20を備えたことによって、ベース11に対するスライダ12のロック位置を所望とする位置にフリーストップ可能となる。つまり、各々のストッパギア17,18がスライド方向両側から一対のピニオンギア15,16に同時に噛み合う状態にすることにより、これら一対のピニオンギア15,16の回転が規制され、スライダを停止させることができる。一方、各々のストッパギア17,18を一対のピニオンギア15,16に対して同時には噛み合わない状態にすることにより、一対のピニオンギア15,16の回転が自在となり、スライダの移動を可能にすることができる。これにより、ベース11に対するスライダ12のロック位置を無段階に設定可能とすることが可能となる。
【0045】
また、一対のピニオンギア15,16は両側のラック13,14によって互いに位相関係が決まっているので、ストッパギア17を一方のピニオンギア15に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア15の回転軸15bを中心にして旋回をさせ、ストッパギア18を一方のピニオンギア16に常時噛み合わせた状態で該ピニオンギア16の回転軸16bを中心にして旋回させることにより、ストッパギア17がピニオンギア15に、ストッパギア18がピニオンギア16に、良好に噛み合わせることが可能となる。つまり、ストッパギアとピニオンギアの歯同士が互いに干渉することなく瞬時に噛み合うため、使用者の所望とするスライダ12の停止位置をより正確に反映させることができる。
【0046】
さらに、互いに相対回転する一対のピニオンギア15,16に対して、ストッパギア17,18をスライド方向両側から同時に噛み合わせるようにしたので、例えば外力の方向が前進方向から後退方向に、或いはその逆に変わり、ピニオンギア15,16の回転方向が逆転しても、一対のストッパギア17,18のいずれか一方が必ずピニオンギア15,16に対して喰い込み方向に回転するようになり、したがって、ベース11に対するスライダ12のロック状態を、前進方向、後退方向のいずれについても確実に維持することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態を主に図5及び図6を参照して以下に説明する。
図5及び図6は、上記センターコンソール1に適応した第2実施形態のスライドロック機構45を示すものである。本実施形態のスライドロック機構45は、ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ46からなるもので、ベース11には、スライド方向に沿うとともに、スライダ46のスライドストロークに対応した所定長さの固定側ラック47が固定されている。
【0048】
スライダ46は、アームレスト5側に固定されるスライドベース48と、該スライドベース48に回転自在に設けられ上記固定側ラック47のギア部47dに常時噛み合うピニオンギア49と、固定側ラック47のギア部47dに自身のギア部50bを対向させるようにして固定側ラック47と平行に配置されるとともに、平行を維持したまま固定側ラック47に対して近接及び離間可能に設けられる可動側ラック50と、該可動側ラック50を常に固定側ラック47へと付勢する付勢手段51と、可動側ラック50をピニオンギア49に噛み合わせる状態と噛み合わせない状態とに切り替える切替手段52とを備えて構成されている。
【0049】
可動側ラック50は、固定側ラック47の半分程度の長さを有するもので、ギア部50bとは反対側の側部50cに設けられる付勢手段51によって常に固定側ラック47へと付勢されている。この可動側ラック50には、側部50cに対して垂直姿勢で設けられる一対のシャフト53,53が互いに間隔をおいて設けられており、一端側がスライドベース48の側部に摺動可能となるように保持され、これら一対のシャフト53,53にコイル状の押しばね54が外装されている。付勢手段51は、このような一対の一対のシャフト53,53と、押しばね54とから構成され、可動側ラック50を固定側ラック47に対して近接及び離間可能にするものである。これにより、可動側ラック50のギア部50bを固定側ラック47に常時噛み合っているピニオンギア49に噛み合わせることが可能となる。つまり、可動側ラック50の離間移動は、固定側ラック47に対して平行を維持したまま行われる。
このような可動側ラック50には、その長手方向略中央に円柱状の係合突起55が設けられている。
【0050】
切替手段52は、上記レバー30に連結されるスライドバー56と、該スライドバー56と可動側ラック50とを連結するとともにスライドバー56をスライド方向にスライドさせることで傾動するリンク部材57とから構成されている。
【0051】
スライドバー56は、スライド方向に延在する薄板状のもので固定側ラック47よりも長く形成され、固定側ラック47の上方に配置される。そして、レバー30とは反対側の端部にリンク部材57の一端が連結されている。
【0052】
リンク部材57は、細棒状を呈しその略中央部よりもやや一端側に設けられる基軸58をスライドベース48に回動可能に支持され、上述したようにこの一端側がスライドバー56に連結されている。一端側には、スライドベース48に形成される略正方形状の係止溝59内に挿入可能な円柱状の突起部60が設けられ、他端側には、可動側ラック50の係合突起55を挿入可能な支持溝61が形成されている。このようなリンク部材57によって、スライドバー56と可動側ラック50とを実質的に連結することになる。支持溝61は、リンク部材57の長手方向に延在するもので係合突起55をその延在方向に沿って移動可能なものとする。また、図5に示すように、可動側ラック50と固定側ラック47が互いに近接状態にあるとき、可動側ラック50の係合突起55及びスライドバー56の係合突起55は係止溝59及び支持溝61の内方側にそれぞれ位置していて互いに近接状態にある。この場合、押しばね54によって固定側ラック47へ付勢されている可動側ラック50がピニオンギア49に噛み合っており、ピニオンギア49の回転を規制している。
【0053】
次に、上記スライドロック機構45の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ46を移動させる場合には、図6に示すように、レバー30を引き上げてスライドバー56を前方へとスライドさせると、基軸58を基点としてリンク部材57の一端が前方へ、他端が後方へと移動するようにしてリンク部材57が傾動する。これにより、可動側ラック50の係合突起55を支持溝61内の外方側へと移動させながら可動側ラック50を押しばね54の付勢力に抗して押し上げることになる。このとき、一対のシャフト53,53の他端側がスライドベース48に移動可能に設けられていることから可動側ラック50の移動が可能となっている。したがって、可動側ラック50との噛み合い係合が外れてピニオンギア49の回転規制が解除されることによって、ピニオンギア49は固定側ラック47に沿って回転可能となり、ベース11に対するスライダ46の移動が可能となる。なお、スライダ46がスライド方向へ移動した際における可動側ラック50のギアの位相ズレ量は、ピニオンギア49の歯の間に可動側ラック50のギア部50bの歯が進入して良好な噛合が得られる量となっている。
【0054】
ベース11に対してスライダ46を停止させる場合には、図5に示すように、所望とする位置でレバー30の引き上げを解除する。すると、押しばね54の弾性復帰によってリンク部材57が元の姿勢に戻るように傾動し、スライドバー56が後方へと移動する。同時に、可動側ラック50が固定側ラック47へと近接して、可動側ラック50はピニオンギア49へ噛み合うことになる。したがって、固定側ラック47及び可動側ラック50によってピニオンギア49の回転が規制されるためスライダ46を停止させることができる。
【0055】
これにより、切替手段52によって可動側ラック50を、固定側ラック47に常時噛み合っているピニオンギア49に対し噛み合う状態にすることでピニオンギア49の回転が規制され、スライダ46の前進方向及び後退方向へのスライドを確実に規制することができる。また、噛み合わない状態に切り替えることでピニオンギア49の回転が可能とされるため、ベース11に対してスライドするスライダ46のロック位置を所望とする位置にフリーストップさせることが可能となる。したがって、ベース11に対するスライダ46のロック位置を無段階に設定することができるようになる。
【0056】
なお、可動側ラック50は、固定側ラック47に対して平行移動させることなく、一端側がピニオンギア49に近接及び離間するように他端側を回動可能に支持し、一端側のギア部50bがピニオンギア49に噛み合うように構成してもよい。このように構成することで、可動側ラック50のギア部50bの歯をピニオンギア49に噛み合わさせ、ピニオンギア49の回転を確実に規制することができる。また、可動側ラック50のギア部50bについては、例えば、一歯のみからなっていてもよく、その場合にも、この一歯からなるギア部50bをピニオンギア49に噛み合わせることでピニオンギア49の回転を規制することができる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態を主に図7及び図8を参照して以下に説明する。
図7及び図8は、上記センターコンソール1に適応した第3実施形態のスライドロック機構63を示すものである。
本実施形態のスライドロック機構63は、上記ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ64とから構成され、ベース11には、スライド方向に沿って一対のガイドレール70が設けられている。
【0058】
スライダ64は、上記アームレスト5(図1参照)の底部に取り付けられるスライドベース65と、揺動可能な第1楔アーム66を両側に備えた第1コマ67と、揺動可能な第2楔アーム68を両側に備えた第2コマ69と、第1コマ67或いは第2コマ69に設けられた第1楔アーム66或いは第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させることによって得られる楔作用で、スライダ64を停止させる状態と一対の第1楔アーム66及び第2楔アーム68をガイドレール70に対し傾斜させてスライダ64を移動可能とする状態とに切り替える切替手段71とを備えて構成されている。
【0059】
第1コマ67及び第2コマ69は、スライド方向に所定間隔をおいて配設される。第1コマ67は、幅方向両側に外方へと傾斜するテーパ部67bを設けて後方の側部67cよりも前方の側部67dをガイドレール70側に突出させ、スライド方向にテーパ部67bを介した段差を有して成るものである。第2コマ69は、幅方向両側に外方へと傾斜するテーパ部69bを設けて前方の側部69cよりも後方の側部69dをガイドレール70側に突出させ、スライド方向にテーパ部69bを介した段差を有して成るものである。第1コマ67には、その前方中央部を半円状に突出させた半円状部にコイルバネ74の一端を係止させる軸部76が設けられ、また、第2コマ69には、その後方中央部を半円状に突出させた半円状部に、第1コマ67に備えられるコイルバネ74とは別のコイルバネ75の一端を係止させる軸部77が設けられている。第1コマ67に設けられるコイルバネ74の他端は、スライドベース65の前方中央部に設けられる係止軸部78に係止させ、一方、第2コマ69に設けられるコイルバネの他端は、スライドベース65の後方中央部に設けられる係止軸部79に係止させることにより、各コイルバネ74,75が伸縮可能に取り付けられる。これによって、第1コマ67及び第2コマ69は、スライド方向に沿って互いに近接及び離間可能に設けられることになる。また、第1コマ67には、その表面略中央付近から垂直上方に突出する円柱状の突起部80が設けられている。一方、第2コマ69には、その表面中央から垂直上方に突出し上記突起部80よりも大径を成す円柱状の係止突起部81が設けられている。
【0060】
第1コマ67はその両側に第1楔アーム66を備え、第2コマ69はその両側に第2楔アーム68を備えている。第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、両端を半円状に形成してなる細長い棒状を呈したもので、これら第1楔アーム66及び第2楔アーム68の一端側にその上面から垂直上方へと突出する円柱状の第1突出部72が設けられており、さらに、長手方向中央にも同様の形状を成す第2突出部73が設けられている。第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、第2突出部73を基点としてそれぞれ揺動可能なものである。第1楔アーム66は、第1コマ67のスライド方向への移動に同期して第1コマ67の側部に沿って相対的に移動することで、ガイドレール70に当接し或いは離間する。第2楔アーム68は、第2コマ69のスライド方向への移動に同期して第2コマ69の側部に沿って相対的に移動することで、ガイドレール70に当接し又は離間する。ここで、第1楔アーム66の長さは、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長く形成されていて、第2楔アーム68の長さも第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長く形成されている。
【0061】
スライドベース65には、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第1突出部72を挿入保持する略矩形状の第1支持溝82と、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第2突出部73を挿入保持する長円形状の第2支持溝83とが形成されている。第1支持溝82のスライド方向長さは、互いに接離する第1コマ67及び第2コマ69の移動範囲から設定され、幅方向長さは、第1コマ67或いは第2コマ69の移動に伴う第1楔アーム66或いは第2楔アーム68の移動範囲を考慮して設定される。
【0062】
第2支持溝83は、スライドベース65の幅方向に沿って延在するとともに第1支持溝82のスライド方向長さの略中央に位置しており、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を回動させながら第1コマ67或いは第2コマ69の移動に伴う第1楔アーム66或いは第2楔アーム68の移動を許容するとともに、第1楔アーム66及び第2楔アーム68の移動を規制する。このような第2支持溝83により、スライドベース65に対する第1楔アーム66及び第2楔アーム68の位置決めがなされる。
【0063】
切替手段71は、一端側が上記レバー30に連結され他端側がスライドベース65内に挿入されるスライドバー84と、該スライドバー84の動きを第1コマ67へ伝動させるリンク部材85とによって構成されている。スライドバー84は、スライド方向に長さを有したもので、中央よりも一方のガイドレール70側へ若干偏るようにして設けられる。ここで、スライドバー84は、図2に示したようなレバー30を含むリンク機構に接続されているが、本実施形態では、図2に示した構成と異なり、レバー30を引き上げた際にスライドバー84が後方へとスライドし、引き下げた際にスライドバー84が前方へとスライドするようになっている。また、一側に第2コマ69側へと突出する第1当接部86が設けられており、該第1当接部86は第2コマ69の軸部77と係止突起部81との間に挿入され、スライドバー84が前方へスライドする際、この第1当接部86が第2コマ69の係止突起部81に当接するように形成したものである。さらに、第1当接部86よりも長手方向内側に位置した所定箇所の他側には、一方のガイドレール70側へと突出するとともにレバー30側へと延出する第2当接部87が形成されており、スライドバー84が前方へスライドする際、この第2当接部87がリンク部材85に当接するようになっている。
【0064】
リンク部材85は、中央の基軸85bをスライドベース65に回動可能に支持されたもので、一端側に、該リンク部材85の長手方向に延在する係止溝88が形成されている。該係止溝88内には、第1コマ67の突起部80が挿入され、該突起部80を係止溝88の基端側に係止させることによってリンク部材85は後方へと傾斜した状態で保持される。
【0065】
なお、第1楔アーム66及び第2楔アーム68は、前述したように所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させられるようになっているが、ここでいう傾斜とは、ガイドレール70の長さ方向(スライド方向)に対して、垂直や平行にならず、したがって後述するように好ましい角度範囲はあるものの、原理的にはガイドレール70の長さ方向(スライド方向)に対して、0度(すなわち平行状態)を越え、90度(すなわち垂直状態)未満である状態をいう。
【0066】
次に、上記スライドロック機構63の動きについて詳しく述べる。
図7は、アームレスト5が使用(ロック)状態にあるスライドロック機構を63を示したもので、ベース11に対してスライダ64がロックされている。この際、レバー30は引き下げられた状態に保持されていて、スライドバー84を相対的に前方へとスライドさせた状態に保持している。ロックされたスライダ64は、スライドバー84及びリンク部材85を介して第1コマ67及び第2コマ69が互いに近接状態にあり、それぞれに設けられた第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に当接している。
【0067】
このようにロックされているスライダ64を移動させようとするときには、レバー30を引き上げる。すると、図8に示すように、スライドバー84がスライド方向において後退し、コイルバネ74,75が弾性復帰することによって第1コマ67が前方へスライドし、第2コマ69が後方へとスライドする。そして、第1コマ67の突起部80を係止溝88における長手方向外側へ係止させるようにリンク部材85が傾動することになる。その結果、リンク部材85の一端に当接していたスライドバー84の第2当接部87が離れる。また、第1コマ67が前進することによって、両側の第1楔アーム66が第1コマ67の側部67dからテーパ部67b側へと落ち込むように移動して、第1楔アーム66がガイドレール70から離間することで当接状態が解除される。このとき、第1楔アーム66は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。一方、第2コマ69が後退することによって両側の第2楔アーム68が第2コマ69の側部69dからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第2楔アーム68がガイドレール70から離間することで当接状態が解除される。このとき、第2楔アーム68は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0068】
このようにして、一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68をスライダ64の内方側へと移動させることでガイドレール70から離間させ、スライダ64の前進方向及び後退方向への規制、すなわちロック状態を解除することができる。
【0069】
そして、スライダ64を移動させ、所望の位置で停止させようとするときには、上記レバー30を引き下げる。すると、図7に示すようにスライドバー84が前進し、スライドベース65の第1当接部86が第2コマ69の係止突起部81に当接して、コイルバネ75の付勢力に抗して第2コマ69を前方へとスライドさせる。そして、第2コマ69のテーパ部69b側に落ち込んでいる両側の第2楔アーム68は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして後方へと回動しながら第2コマ69のテーパ部69bに沿ってガイドレール70側へと移動し、第2楔アーム68の一端側が側部69d上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第2楔アーム68は、第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の傾斜角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。このように、第2コマ69に設けられた一対の第2楔アーム68が所定の傾斜角度でガイドレール70に当接し、後方へと傾斜した姿勢で保持されることで、特にガイドレール70が第2楔アーム68に対し相対的に前進する方向への力が働いた際、ガイドレール70への食い込みによる楔作用が発揮されるようになる。
【0070】
また、これに同期して、スライドバー84の第2当接部87がリンク部材85の一端に当接することによってリンク部材85を前方へと傾動させる。このときリンク部材85は、係止溝88内に挿入された第1コマ67の突起部80を係止溝88における長手方向内側へ移動させながら傾動することになる。リンク部材85が傾動することによって第1コマ67がコイルバネ74の付勢力に抗して後方へとスライドすると、両側の第1楔アーム66は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして前方へと傾動しながら第1コマ67のテーパ部67bに沿ってガイドレール70側へと移動する。これにより、第1楔アーム66の一端側が側部67d上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第1楔アーム66は、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の傾斜角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。このように、第1コマ67に設けられた一対の第1楔アーム66が所定の傾斜角度でガイドレール70に当接し、前方へと傾斜した姿勢で保持されることで、特にガイドレール70が第1楔アーム66に対し相対的に後退する方向への力が働いた際、ガイドレール70への食い込みによる楔作用が発揮されるようになる。
【0071】
このように、第1楔アーム66及び第2楔アーム68をスライド方向において相反する方向に傾斜させてガイドレール70へと当接させるよう構成したことにより、第1楔アーム66の楔作用によってスライダ64の前進が規制され、第2楔アーム68の楔作用によってスライダの後退が規制される。これにより、スライダ64が確実にロックされる。
【0072】
つまり、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させることによって、ガイドレール70に対する一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68におけるそれぞれの食い込みから楔作用を得ることができ、したがって、スライダ64を確実に停止させることが可能となる。すなわち、第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に対して垂直に当接していた場合、楔効果が十分に得られず、ロック状態におけるスライダ64に対して過度の外力が加わった際に、加えられた外力の方向へとスライダ64が同伴されてしまう虞がある。しかしながら本実施形態では、前記したように第1楔アーム66及び第2楔アーム68を所定の傾斜角度でガイドレール70に当接させているので、このような虞を回避して、ベース11に対するスライダ64のロック状態を、前進方向、後退方向のいずれにおいても確実に維持することができる。また、一対の第1楔アーム66及び一対の第2楔アーム68をガイドレール70に対して離間させることで楔作用を解除させてスライダ64を移動可能にしたので、ベース11に対するスライダ64の位置決めを円滑に行うことができ、スライダ64のロック位置を無段階に設定することができる。
【0073】
さらに、第1楔アーム66及び第2楔アーム68を互いにスライド方向で相反する方向に傾斜させてガイドレール70に当接させることにより、第1楔アーム66から得られる楔作用でスライダ64の前進が規制でき、第2楔アーム68から得られる楔作用でスライダ64の後退が規制できる。これにより、スライダ64の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮させることができ、スライダ64を確実に停止させることが可能となる。
【0074】
次に、本発明の第4実施形態を主に図9及び図10を参照して以下に説明する。
図9及び図10は、上記センターコンソール1に適応した第4実施形態のスライドロック機構90を示すもので、上記第3実施形態と異なる点は、第1コマ67及び第2コマ69同士の離間をバネの付勢力で行うのではなく、第1リンク部材91によって行うようにした点である。なお、第3実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0075】
本実施形態のスライドロック機構90の第1コマ67は、前方の側部67dよりも後方の側部67cの方がガイドレール70側へ突出しており、これら側部67dと側部67cとの間にテーパ部67bを有したものである。この第1コマ67には、円柱状の係止突起部94が設けられている。また、第2コマ69は、後方の側部69dよりも前方の側部69cの方がガイドレール70側に突出しており、側部69dと側部69cとの間にテーパ部69bを有したものである。この第2コマ69には、上記係止突起部94よりも小径を成す円柱状の突起部95が設けられている。
【0076】
スライドベース96には、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第1突出部72を挿入保持する第1支持溝82と、第1楔アーム66及び第2楔アーム68における第2突出部73を挿入保持する第2支持溝83とが形成されていて、さらに、一方のガイドレール70側の第1支持溝82同士の間にスライド方向に対して若干湾曲を成して延在する第3支持溝97が形成されている。
【0077】
切替手段89は、一端側が上記レバー30に連結され他端側がスライドベース96内に挿入されるスライドバー98と、一端がスライドバー98に連結され他端が第2コマ69に当接可能な第1リンク部材91と、一端が第2コマ69に連結され他端がスライドバー98に当接される第2リンク部材92とによって構成されている。
【0078】
第1リンク部材91は、長手方向中央に設けられている基軸91bがスライドベース96の中央に回動可能に支持されたもので、その一端に、スライドベース96の第3支持溝97内に挿入可能な突部99が形成されている。該突部99が第3支持溝97内を摺動することによって該第1リンク部材91が揺動することになる。図9に示すように、第1リンク部材91は、突部99を第3支持溝97の基部に係止させ、他端で第2コマ69をスライド方向後方へと押圧した状態で保持される。
【0079】
第2リンク部材92は、中央の基軸92bがスライドベース96の所定箇所に回動可能に支持されるもので、一端に、該第2リンク部材92の長手方向に延在する案内溝100が形成されている。該案内溝100内には第1コマ67の突起部95が挿入され、該突起部95を案内溝100の基端に係止させることによって第2リンク部材92他端が前方へと傾斜した状態で保持される。
【0080】
スライドバー98は、スライド方向に長さを有したものでスライドベース96の中央よりも一方のガイドレール70側へ若干偏るようにして設けられている。そして、一側には、一方のガイドレール70側へと突出するとともに後方へと延在する第1当接部101が形成されており、第2リンク部材92の一端に当接可能となっている。また、他側には第1コマ67側へ突出する一対の第2当接部102が互いに所定間隔をおいて形成されており、これら第2当接部102間に第1コマ67の係止突起部94が位置するようにしたもので、スライドバー98がスライド方向へスライドされるとどちらか一方の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接可能となっている。このようなスライドバー98には、上述した第1リンク部材91の一端が連結されており、該スライドバー98のスライドに伴って第1リンク部材91を揺動させる。
【0081】
なお、第1コマ67及び第2コマ69に、対向する第1コマ67或いは第2コマ69の端面に切欠きをそれぞれ形成しておくことにより、スライドバー98の先端が第2コマ69に直接当接することを避けることができる一方、第1リンク部材91の端部が第1コマ67に当接することを避けることができる。
【0082】
次に、上記スライドロック機構90の動きについて詳しく述べる。
図9は、アームレスト5が使用(ロック)状態にあるスライドロック機構を90を示したもので、ベース11に対してスライダ93がロックされている。この際、レバー30は引き下げられた状態に保持されていて、スライドバー84を相対的に前方へとスライドさせた状態に保持している。ロックされたスライダ93は、スライドバー98や該スライドバー98に連係する第1リンク部材91を介して第1コマ67及び第2コマ69が互いに離間状態にあり、それぞれに設けられた第1楔アーム66及び第2楔アーム68がガイドレール70に当接している。
【0083】
このようにロックされているスライダ64を移動させようとするときには、上記レバー30を引き上げる。すると、図10に示すように、スライドバー98が後方へとスライドし、スライドバー98における前方側の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接して第1コマ67を後方へと移動させる。それに連動して、両側の第1楔アーム66が第1コマ67の側部67cからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第1楔アーム66がガイドレール70から離間する。これにより、第1楔アーム66のガイドレール70に対する当接状態が解除される。そして、第1楔アーム66は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0084】
また、スライドバー98のスライドに伴って、該スライドバー98に連結された第1リンク部材91の突部99がスライドベース96の第3支持溝97内を移動しながら第1リンク部材91をスライド方向に対して略垂直な姿勢となる。これにより、第2コマ69に対する第1リンク部材91の当接状態が解除される。そして、スライドバー98の第1当接部101が第2リンク部材92の一端に当接してさらにこの第2リンク部材92を押圧しながら傾動させることにより、案内溝100内における第2コマ69の突起部95の位置を変化させながら第2コマ69を前方へと移動させることになる。それに連動して、両側の第2楔アーム68が第2コマ69の側部69cからテーパ部69b側へと落ち込むように移動して、第2楔アーム68がガイドレール70から離間する。これにより第2楔アーム68のガイドレール70に対する当接状態が解除される。そして、第2楔アーム68は、第2突出部73がスライドベース65の第2支持溝83の端部に係止した姿勢で保持される。
【0085】
そして、スライダ93を移動させ、所望の位置で停止させようとするときには、レバー30を引き下げる。すると、図9に示すように、スライドバー98が前方へとスライドし、後方の第2当接部102が第1コマ67の係止突起部94に当接して第1コマ67を前方へとスライドさせる。そして、第1コマ67のテーパ部67b側に落ち込んでいた両側の第1楔アーム66は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして後方へと回動しながら第2コマ67のテーパ部67bに沿って相対的にガイドレール70側へと移動することで、第1楔アーム66の一端側が側部66c上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。このとき、第1楔アーム66は、第1コマ67の側部67dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。
【0086】
また、スライドバー98が前方へとスライドすることによって、スライドバー98に連結している第1リンク部材91の他端が前方へと引っ張られ、突部99が第3支持溝97に沿って移動しながら第1リンク部材91が傾動することで、その一端側が第2コマ69を押圧することになる。これによって第2コマ69が後方へと移動させられて、第2楔アーム68は、第2支持溝83に係止する第2突出部73を基点にして前方へと回動しながら第2コマ69のテーパ部69bに沿って相対的にガイドレール70側へと移動することで、第2楔アーム68の一端側が側部69c上に案内されて他端側がガイドレール70へ当接する。この第2楔アーム68は、第2コマ69の側部69dからガイドレール70までの距離よりも長い長さを有して形成されているため、ガイドレール70に対して所定の角度(例えば、約5°〜10°)で当接することになる。
【0087】
このように、第1楔アーム66と第2楔アーム68とが互いにスライド方向で相対する角度でガイドレール70へと当接することにより、第1楔アーム66の楔作用によってスライダ93の後退が規制され、第2楔アーム68の楔作用によってスライダ93の前進が規制される。したがって、レバー30を引き上げることによってスライダ93をロックさせることができる。以上のことから、上記第3実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0088】
なお、ガイドレール70に対する第1楔アーム66及び第2楔アーム68の当接角度範囲は、上記したものに限らず、構成要素の寸法設定や所望とする楔作用等によっても適宜設定される。すなわち、スライダ64,93を確実にロックすることが可能な楔作用を発揮できる角度であれば良い。
【0089】
次に、本発明の第5実施形態を主に図11から図13を参照して以下に説明する。
図12及び図13は、上記センターコンソール1に適応した第5実施形態のスライドロック機構105を示すもので、図12は、本実施形態のスライドロック機構105に設けられるワンウェイクラッチの構成を示したものである。
【0090】
本実施形態のスライドロック機構105は、図12に示すように、ベース11(図2参照)と該ベース11に対してスライド可能に支持されるスライダ106とから構成され、ベース11には、スライド方向に沿ってギア部を有するラック104がスライド方向に沿って設けられている。一方、スライダ106は、上記アームレスト5の底部を覆うスライドベース107と、ワンウェイクラッチ本体A(軸部)に固定されるとともに該ワンウェイクラッチ本体Aに対して回転可能なギア部Bがラック104のギア部104bに噛み合う一対のワンウェイクラッチC1,C2(図11参照)と、これらワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bの回転を制御してスライダ106を停止させる状態とワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110(ロック)を解除してスライダ106を移動可能とする状態とに切り替える切替手段112とから構成されている。
【0091】
図11に示すように、ワンウェイクラッチC1,C2は、ワンウェイクラッチ本体Aとギア部Bとから構成されている。ワンウェイクラッチ本体Aは、図11に示すように、基体部113、回転部114、密着コイルバネ115及び円筒部材117を備えた構成となっている。
【0092】
一方のワンウェイクラッチC1の基体部113は、ガイド部118と、第1の円柱部119と、保持部120とを有しており、これらガイド部118と第1の円柱部119と保持部120とは、軸線O方向に互いに一体とされ、軸線O方向にわたって貫通する貫通孔121が形成されている。この貫通孔121には、スライドベース107に取り付けられる支持軸122(図12参照)が挿通される。第1の円柱部119には、後述する密着コイルバネ115の一方側が巻着されている。保持部120は、円柱形状をなしており、回転部114の挿通孔125に挿通されて回転部114を軸線O回りに回転可能に支持するものである。
【0093】
回転部114は、係合凸部123と該係合凸部123と一体となっている第2の円柱部124とから構成され、これら係合凸部123及び第2の円柱部124の軸線O方向にわたって貫通する挿通孔125内に保持部120が挿通されている。係合凸部123は、ギア部Bの係合孔126を係合させて、ギア部Bと一体となって回転するものである。第2の円柱部124は、第1の円柱部119と同等の径を有し、密着コイルバネ115の他方側が巻着されている。
【0094】
密着コイルバネ115は、図11に示すように、断面略矩形状のバネ材を密着させて巻回した、密着コイルバネ115からなる。この密着コイルバネ115は右巻き、すなわち、図中R方向に巻回されている。密着コイルバネ115の内周面には、上記したように、第1の円柱部119及び第2の円柱部124の双方が当接される。この密着コイルバネ115の一端部115aは、軸線O方向に向かって突出し、基体部113のガイド部118の係止穴118aに挿入されることにより係止される。また密着コイルバネ115の他端部115bは、密着コイルバネ115の径方向に突出し、円筒部材117の係止溝117bに係止される。
【0095】
円筒部材117は、基体部113に回動可能に支持されるもので、密着コイルバネ115を径方向から取り囲むようにして配置され、基体部113に対して軸線O回りに回動可能とされている。円筒部材117の回転部114側には、密着コイルバネ115の他端部115bを係止させる係止溝117bが、また、外周面にはトルク解除ボス110が、それぞれ形成されている。トルク解除ボス110を周方向に押圧して円筒部材117を図中R方向に回動させると、他端部115bもR方向に回動されて、密着コイルバネ115は拡径されるようになる。
【0096】
ギア部Bは、ワンウェイクラッチ本体Aと係合してワンウェイクラッチC1を構成するもので、外周部全域に歯が形成された略円盤形状をなし、その外周部は、ベース11側に設けられたラック104のギア部104bと係合している。
【0097】
他方のワンウェイクラッチC2は、上述したワンウェイクラッチC1と略同様の構成をなし、図11中L方向に巻回される左巻きの密着コイルバネ116を備えたものである。このワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111は、ワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110よりも短い長さとなっている。
【0098】
そして、これらワンウェイクラッチC1,C2は、互いのギア部Bの上面同士を突き合わせるとともに軸心を一致させ両ギア部Bを同位相で固定した状態でスライドベース107に設けられる。このとき、スライドベース107の中央において両ワンウェイクラッチC1,C2の軸心がスライド方向に直交するように配列させ、各支持軸122はスライドベース107の側部に固定されている。各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111は同軸上で一致させておく。
【0099】
切替手段112は、一端が上記レバー30に連結され、他端が一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に係合する第1スライドバー127と、ラック104を介して第1スライドバー127と平行に配置されその一端が他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接する第2スライドバー128と、第1スライドバー127及び第2スライドバー128同士を連結するリンク部材129とによって構成されている。これら第1スライドバー127及び第2スライドバー128はスライドベース107の幅方向両側に配置され、第2スライドバー128は、第1スライドバー127の長さに対してその長さは短く形成されている。
【0100】
第1スライドバー127は、他端側に一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110を挿入可能な第1溝部130がスライド方向に沿って形成されている。さらに、この第1溝部130よりも長手方向内側に位置した所定箇所には、その表面から垂直に突出する円柱状の第1突起部131が設けられている。
【0101】
第2スライドバー128は、一端側が長手方向に対して垂直な端部となっていて他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接するようになっている。また、他端側にはその表面から垂直に突出する円柱状の第2突起部132が設けられている。
【0102】
スライドベース107には、他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111を挿入可能な第2溝部133が形成されており、該第2溝部133及び上記第1溝部130は、スライドベース107の長手方向中央からスライド方向に沿って互いに相反方向に延在するように形成されている。そして、各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111は、図12に示すように、互いの位置がスライドベース107の中央で一致するように第1溝部130及び第2溝部133内に挿入される。
【0103】
リンク部材129は、第1スライドバー及び第2スライドバー同士を連結可能な長さを有して形成された細棒状のもので、その略中央部に設けられる基軸129bがスライドベース107に傾動可能に支持されている。リンク部材129の両端には長方形状の一対の支持溝134が形成されている。これら支持溝134内に、第1スライドバー127及び第2スライドバー128に形成された第1突起部131及び第2突起部132がそれぞれ挿入されると、リンク部材129は、図12に示すような傾斜姿勢で設けられる。これにより、リンク部材129を介して第1スライドバー127及び第2スライドバー128同士は実質的に連結されることになる。このようなリンク部材129は、第1スライドバー127をスライド方向にスライドさせると基軸129bを基点として傾動し、第2スライドバー128を第1スライドバー127のスライド方向とは逆の方向へスライドさせる。リンク部材129が傾動する際、支持溝134内における第1突起部131及び第2突起部132の位置を変化させながら傾動することになる。
【0104】
次に、上記スライドロック機構105の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ106をスライドさせようとするときには、上記レバー30を引き上げ、第1スライドバー127を前方へとスライドさせると、第1スライドバー127の第1溝部130の一端に係合しているトルク解除ボス110がスライド方向前方へと傾動することによってワンウェイクラッチC1のワンウェイクラッチ本体A(基体部)が密着コイルバネ115を拡径させるように回動する。また、第1スライドバー127を前方へとスライドさせることによって、リンク部材129が図中の矢印方向に傾動して第2スライドバー128を後方へとスライドさせる。これにより、第2スライドバー128の端部がスライドベース107の第2溝部133に係合しているトルク解除ボス111を後方側へと傾動させることによって、ワンウェイクラッチC2のワンウェイクラッチ本体(基体部)Aが密着コイルバネ116を拡径させるように回動する。すると、各ワンウェイクラッチC1,C2において、密着コイルバネ115,116と基体部113及び回転部114との間に隙間ができ、これによって、回転部114は、基体部113に対してスライド方向への回転が許容されて空転するので、ギア部Bから基体部113には回転駆動力(動力)は伝達されない。したがって、各ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bはラック104のギア部104bに対して回転自在となり、スライダ106をスライド方向にスライド可能なものとする。
【0105】
一方、ベース11に対してスライダ106を所望の位置で停止させようとするときには、レバー30を引き上げを解除すると、拡径していた密着コイルバネ115,116の縮径に伴う弾性復帰により各ワンウェイクラッチ本体(基体部)Aが回転して各ワンウェイクラッチC1、C2のトルク解除ボス110,111が互いに同軸方向で一致するように元の位置に戻る。同時に、図中の矢印で示すようにリンク部材129が傾動して第2スライドバー128が前方へとスライドし、第1スライドバー127が後方へとスライドする。このように、コイルバネ115,116が縮径することによって各ワンウェイクラッチC1,C2の基体部113とギア部Bとが一体となることにより、ギア部Bは、基体部113に対する相対回転(回転)が規制されるため空転せず、スライダ106がロックされることになる。
【0106】
これにより、スライダ106に、互いに巻回方向が逆となるコイルバネ115,116を備えた一対のワンウェイクラッチC1,C2を、回転規制方向がスライド方向で互いに逆となるように設けることで、スライダ106の双方向へのスライドが規制され、スライダ106を確実に停止させることができる。つまり、ワンウェイクラッチC1によってスライダ106の後退が規制され、ワンウェイクラッチC2によってスライダ106の前進が規制される。したがって、スライダ106の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮することができるので、スライダ106を確実に停止させることができる。また、第1スライドバー127及び第2スライドバー128でワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111を押圧してコイルバネ115,116を拡径させてギア部Bからワンウェイクラッチ本体Aへ回転駆動が伝達しないようにすることでギア部Bを空転状態とすることができ、スライダ106を双方向にスライド可能にすることができる。よって、ベース11に対するスライダ106のロック位置を無段階に設定可能なものとなる。なお、ワンウェイクラッチC1,C2にトルク解除ボス110,111を設けたことにより、回転駆動力の伝達を容易に解除することができ、その解除作業を確実に行うことができる。
【0107】
次に、本発明の第6実施形態を図11を参照しながら主に図14及び図15に基づいて以下に説明する。
図14及び図15は、上記センターコンソール1に適応した第6実施形態のスライドロック機構136を示すもので、第5実施形態と異なる点は、ベース11(図2参照)に一対のラック13,14が互いのギア部13b,14bを対向させて設け、該ギア部13b,14bにそれぞれ個別に噛み合うようにして一対のワンウェイクラッチC1,C2をスライダ137に設けた点である。なお、第5実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0108】
本実施形態のスライドロック機構136のスライダ137は、アームレスト5(図1参照)の底部に取り付けられるスライドベース138と、一対のラック13,14のギア部13b,14bに個別に噛み合うギア部Bを有した一対のワンウェイクラッチC1,C2と、該ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bの回転を制御してスライダ137を停止させる状態とワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111(ロック)を解除してスライダ137を移動可能と停止する状態とに切り替える切替手段139とから構成されている。
【0109】
各ワンウェイクラッチC1,C2は、上述したワンウェイクラッチC1,C2と略同様の構成のワンウェイクラッチC1,C2が設けられており、一方のワンウェイクラッチC1は右巻きの密着コイルバネ115を備え、他方のワンウェイクラッチC2は左巻きの密着コイルバネ116を備えたものである。そして、互いのトルク解除ボス110,111を対向させて、一方のラック14のギア部14bにワンウェイクラッチC1(右巻き)のギア部Bが噛み合うように、他方のラック13のギア部13bにワンウェイクラッチC2(左巻き)のギア部Bが噛み合うようにして各ワンウェイクラッチC1,C2の支持軸122が上記スライドベース138に取り付けられる。なお、ここで用いるワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111の長さは、同じ長さでよい。
【0110】
切替手段139は、一端側が上記レバー30に連結され他端側が一方のワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接可能な第1スライドバー140と、該第1スライドバー140と平行に配置されその一端側が他方のワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接可能な第2スライドバー141と、これら第1スライドバー140及び第2スライドバー141同士を連結するリンク部材142とによって構成されている。第1スライドバー140及び第2スライドバー141はスライド方向に沿って配置され互いに平行をなしている。
【0111】
第1スライドバー140は、スライド方向に長さを有したもので、他端側における一側にラック14側へと突出する当接部143を有しており、該当接部143がワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接するようになっている。さらに、この当接部143よりも長手方向内側に位置した所定箇所には、その表面から垂直に突出する円柱状の第1突起部144が設けられている。
【0112】
第2スライドバー141は、略長方形を呈し、その一側からスライド方向に沿って後方へと延出する当接部145が設けられており、該当接部145がワンウェイクラッチC2のトルク解除ボス111に当接するようになっている。そして、第2スライドバー141の略中央には、その表面から垂直に突出する円柱状の第2突起部146が設けられている。
【0113】
リンク部材142は、第1スライドバー140及び第2スライドバー141同士を連結可能な長さを有して形成された細棒状のもので、その略中央部に設けられる基軸142bがスライドベース138に傾動可能に支持されている。該リンク部材142には、上記第1スライドバー140及び第2スライドバー141の第1突起部144及び第2突起部146を個別に挿入可能な一対の長方形状の支持溝147が形成されている。これら支持溝147内の外方側に係止するよう第1突起部144及び第2突起部146がそれぞれ挿入されると、リンク部材142は、図14に示すように、スライド方向に対して垂直な姿勢で設けられる。第1スライドバー140及び第2スライドバー141はこのようなリンク部材142を介して実質的に連結されることになる。また、リンク部材142は、第1スライドバー140をスライド方向にスライドさせると基軸142bを基点として傾動し、第2スライドバー141を第1スライドバー140のスライド方向とは逆の方向へスライドさせる。リンク部材142が傾動する際、支持溝147内における第1突起部144及び第2突起部146の位置を変化させながら傾動することになる。
【0114】
次に、上記スライドロック機構136の動きについて詳しく述べる。
ベース11に対してスライダ137をスライドさせようとするときには、上記レバー30を引き上げ、図15に示すように、第1スライドバー140を前方へとスライドさせると、ワンウェイクラッチC1のトルク解除ボス110に当接している当接部143がトルク解除ボス111を押圧してワンウェイクラッチ本体(基体部113)Aを前方へと回転させることによって密着コイルバネ115を拡径させる。また、第1スライドバー140を前方へとスライドさせることによって、リンク部材142が図中の矢印方向に傾動して他方の第2スライドバー141を後方へとスライドさせる。そして、第2スライドバー141の当接部145がトルク解除ボス111を後方側へと押圧してワンウェイクラッチC2の基体部113が密着コイルバネ116を拡径させるように回動する。すると、各ワンウェイクラッチC1,C2において、各密着コイルバネ115,116と、基体部113及び回転部114との間に隙間ができ、これにより、回転部114は、基体部113に対してスライド方向への回転が許容されて空転するので、ギア部Bから基体部113には回転駆動力(動力)は伝達されない。すなわち、各ワンウェイクラッチC1,C2のギア部Bはラック13,14のギア部13b、14bに対して回転自在となり、スライダ137をスライド方向にスライド可能なものとする。
【0115】
一方、ベース11に対してスライダ137を所望の位置で停止させようとするときには、レバー30の引き上げを解除すると、図14に示すように、拡径していた密着コイルバネ115,116の縮径に伴う弾性復帰により基体部113が後方へと回転し、各ワンウェイクラッチC1,C2のトルク解除ボス110,111が元の位置に戻る。同時に、図中の矢印で示すようにリンク部材142を傾動させて第2スライドバー141を前方へとスライドさせ、第1スライドバー140を後方へとスライドさせる。このように、コイルバネが縮径することによって基体部113とギア部Bとが一体となることにより、ギア部Bは基体部113に対する相対回転(回転)が規制されて空転しない。そのため、スライダ137がロックされることになる。
【0116】
このように、スライド方向において互いに回転規制方向が異なるワンウェイクラッチC1,C2によってスライダ106をロックさせることができる。つまり、ワンウェイクラッチC1によってスライダ106の後退が規制され、ワンウェイクラッチC2によってスライダ106の前進が規制されることによって、スライダ106の前進方向及び後退方向に対してロック力を発揮することができるので、スライダ106を確実に停止させることが可能となる。
【0117】
以上述べた実施形態により、アームレスト5を使用者の所望とする位置にフリーストップ可能とすることができる。よって、使用者に合った適切なアームレスト5の位置を十分に確保することが可能となる。
【0118】
なお、ワンウェイクラッチC1,C2においては上記実施形態に限らず、複数のラチェットを揺動可能に収容するアウターレースと外周にラチェットに係止するツメを等間隔で設けたインナーレースとから成り、バネによってラチェットを起立させる方向に常に付勢しておくことでツメに係合するようにしたワンウェイクラッチ(特開2002−054659号公報)や、周方向所定ピッチで径内側へ突設された爪部を有したクラッチアウタと該クラッチアウタの爪部と同ピッチで係止突起が設けられているクラッチインナとを備え、径外方向へ向けて弓状に湾曲する板状の弾性変形部を周方向に等間隔で有した金属製の接続部材をクラッチインナの外周面に設けることで爪部に係止可能としたワンウェイクラッチ(特開2000−170798号公報)や、外輪の内周面にテーパー部と急峻な段部とを形成した第1クラッチ要素部と、内輪に外輪のテーパー部に位置して楔形空間部を形成する外周面部と外輪の段部に係合するストッパー部と周面の一部が径方向内方及び外方に突出するニードルローラーとを設けてなる第2クラッチ要素部とから構成され、ニードルローラーをバネ部材によって径方向外方へ押し出すことで軸心のズレを防止するワンウェイクラッチ(特開平09−144777号公報)、及び、駆動軸と従動軸との間に楔作用を有する転動体を保持器なしで拘束介在させてなり、従動軸側からの負荷トルクを楔作用を有する転動体により駆動軸を停止可能にしたワンウェイクラッチ(特開平07−103260号公報)等を用いてもよい。
【0119】
また、上記では本発明の具体的な実施形態を車体のコンソールボックスに適用することを例に挙げて述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、車内の小物入れや灰皿等の引き出し或いは引き戸に応用しても良い。また、車体の内装機構に限らず、スライドすることを前提としそのスライドを所望の箇所で停止させることを必要としたスライド式構造であれば、あらゆる物に応用可能なものである。その際、スライダの規制は、そのスライド方向における両方向に作用させるのではなく一方向のみの規制であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明における第1〜6の実施形態のスライドロック機構を備えたセンターコンソールを示す分解斜視図である。
【図2】本発明における第1実施形態のスライドロック機構の側断面図である。
【図3】本発明における第1実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライロック機構の平面図である。
【図4】本発明における第1実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図5】本発明における第2実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図6】本発明における第2実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図7】本発明における第3実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図8】本発明における第3実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図9】本発明における第4実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図10】本発明における第4実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図11】本発明における第5実施形態のスライドロック機構に用いられるワンウェイクラッチの分解斜視図である。
【図12】本発明における第5実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図13】本発明における第5実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図14】本発明における第6実施形態のスライダが停止状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【図15】本発明における第6実施形態のスライダが移動可能状態にあるときのスライドロック機構の平面図である。
【符号の説明】
【0121】
10,45,63,90,105,136 スライドロック機構
11 ベース
13,14,104 ラック
47 固定側ラック
50 可動側ラック
12,46,64,93,106,137 スライダ
13b,14b,104b ギア部
15,16 ピニオンギア
17,18 ストッパギア
20,52,71,89,112,139 切替手段
15b、16b 回転軸
66 第1楔アーム
68 第2楔アーム
70 ガイドレール
B ギア部
C1,C2 ワンウェイクラッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、互いのギア部を対向させて平行に配置される一対のラックがスライド方向に沿って設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、前記一対のラックに個別に噛み合う一対のピニオンギアと、これらピニオンギアに同時に噛み合うことで前記一対のピ二オンギアの回転を規制するストッパギアと、該ストッパギアを前記一対のピ二オンギアに対し同時に噛み合って前記スライダを停止させる状態と、同時には噛み合わず前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段とが設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項2】
前記切替手段は、前記ストッパギアを、一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態で該一方のピニオンギアの回転軸を中心に旋回させることで他方のピニオンギアに対し近接及び離間させることを特徴とする請求項1記載のスライドロック機構。
【請求項3】
前記一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う前記ストッパギアを一対設け、これら一対のストッパギアは、前記切替手段によって、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合せるようにすることを特徴とする請求項1記載のスライドロック機構。
【請求項4】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿う固定側ラックが設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、前記該固定側ラックに対し、該固定側ラックのギア部にギア部を対向させた状態で配置され且つ近接及び離間可能に設けられた可動側ラックと、固定側ラックに常時噛み合うピニオンギアとが設けられていて、
前記可動側ラックを前記ピニオンギアに対し噛み合って前記スライダを停止させる状態と、噛み合わずに前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項5】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってガイドレールが設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、揺動可能な楔アームが設けられていて、該楔アームを所定の傾斜角度で前記ガイドレールに当接させることによって得られる楔作用で前記スライダを停止させる状態と前記楔アームを前記ガイドレールに対し離間させて前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項6】
前記楔アームをスライド方向に一対設け、これら一対の楔アームを、相反する方向に傾斜させて前記ガイドレールに当接させるよう構成したことを特徴とする請求項5記載のスライドロック機構。
【請求項7】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってギア部を有するラックがスライド方向に設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、軸部において固定されるとともに該軸部に対し回転可能なギア部において前記ラックの前記ギア部に噛み合うワンウェイクラッチが設けられていて、
前記ワンウェイクラッチにより前記スライダを停止させる状態と前記ワンウェイクラッチのロックを解除して前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項8】
前記ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることを特徴とする請求項7記載のスライドロック機構。
【請求項1】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、互いのギア部を対向させて平行に配置される一対のラックがスライド方向に沿って設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、前記一対のラックに個別に噛み合う一対のピニオンギアと、これらピニオンギアに同時に噛み合うことで前記一対のピ二オンギアの回転を規制するストッパギアと、該ストッパギアを前記一対のピ二オンギアに対し同時に噛み合って前記スライダを停止させる状態と、同時には噛み合わず前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段とが設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項2】
前記切替手段は、前記ストッパギアを、一方のピニオンギアに常時噛み合わせた状態で該一方のピニオンギアの回転軸を中心に旋回させることで他方のピニオンギアに対し近接及び離間させることを特徴とする請求項1記載のスライドロック機構。
【請求項3】
前記一対のピニオンギアに対し同時に噛み合う前記ストッパギアを一対設け、これら一対のストッパギアは、前記切替手段によって、互いに相対的に回転する一対のピニオンギアに対して個々のストッパギアをスライド方向両側から噛み合せるようにすることを特徴とする請求項1記載のスライドロック機構。
【請求項4】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿う固定側ラックが設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、前記該固定側ラックに対し、該固定側ラックのギア部にギア部を対向させた状態で配置され且つ近接及び離間可能に設けられた可動側ラックと、固定側ラックに常時噛み合うピニオンギアとが設けられていて、
前記可動側ラックを前記ピニオンギアに対し噛み合って前記スライダを停止させる状態と、噛み合わずに前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項5】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってガイドレールが設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、揺動可能な楔アームが設けられていて、該楔アームを所定の傾斜角度で前記ガイドレールに当接させることによって得られる楔作用で前記スライダを停止させる状態と前記楔アームを前記ガイドレールに対し離間させて前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項6】
前記楔アームをスライド方向に一対設け、これら一対の楔アームを、相反する方向に傾斜させて前記ガイドレールに当接させるよう構成したことを特徴とする請求項5記載のスライドロック機構。
【請求項7】
ベースと該ベースにスライド可能に支持されるスライダとを備え、
これらベース及びスライダのうちのいずれか一方には、スライド方向に沿ってギア部を有するラックがスライド方向に設けられ、
前記ベース及び前記スライダのうちのいずれか他方には、軸部において固定されるとともに該軸部に対し回転可能なギア部において前記ラックの前記ギア部に噛み合うワンウェイクラッチが設けられていて、
前記ワンウェイクラッチにより前記スライダを停止させる状態と前記ワンウェイクラッチのロックを解除して前記スライダを移動可能とする状態とに切り替える切替手段が設けられていることを特徴とするスライドロック機構。
【請求項8】
前記ワンウェイクラッチとして、回転規制方向が互いに異なる一対のワンウェイクラッチを設けることを特徴とする請求項7記載のスライドロック機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−113629(P2007−113629A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304155(P2005−304155)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(391007024)株式会社アドバネクス (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(391007024)株式会社アドバネクス (45)
【Fターム(参考)】
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