説明

スライド機構

【課題】 レール部と可動部との間のガタ付きの問題を解消し得るようにする。
【解決手段】 レール部1と、レール部1に沿ってスライドされる可動部2とを有するスライド機構において、可動部2に、レール部1と干渉しつつスライド可能な樹脂バネ11を設けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライド機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内に各種の収納装置が設けられている。このような収納装置などには、スライド機構を備えたものが存在する。このスライド機構は、レール部と、このレール部に沿ってスライドされる可動部とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−113086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記スライド機構では、レール部と可動部との間に製造上のガタが生じるという問題があった。このガタを寸法精度によって小さくしようとした場合、寸法管理が厳しいものとなり、また、寸法管理を厳密に行ってもバラ付きを完全に抑えることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、レール部と、該レール部に沿ってスライドされる可動部とを有するスライド機構において、前記可動部に、前記レール部と干渉しつつスライド可能な樹脂バネを設けたスライド機構を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、可動部に設けた樹脂バネにより、レール部に樹脂バネが干渉した状態で、可動部がスライドされることとなるので、ガタの無い状態とすることができる。これにより、厳しい寸法管理を行うことなく、また、バラ付きを生じることなく、レール部と可動部との間のガタ付きをなくすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
レール部と可動部との間のガタ付きの問題を解消し得るようにするという目的を、可動部に、レール部と干渉しつつスライド可能な樹脂バネを設ける、という手段で実現した。
【実施例】
【0007】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0008】
図1〜図4は、この発明の実施例を示すものである。
【0009】
まず、構成を説明すると、自動車などの車両には、車室内に各種の収納装置が設けられている。このような収納装置などには、スライド機構を備えたものが存在する。スライド機構を備えた収納装置には、例えば、運転席と助手席との間に設けられるコンソールボックスなどがある。このコンソールボックスは、コンソールボックスの上面に形成された開口部に対して、リッド(蓋体)を開閉可能に備えたものである。そして、このリッドは、リッドロワ部材と、このリッドロワ部材の上部に車両前後方向へスライド可能に取付けられたリッドアッパ部材とを備えている。そして、リッドロワ部材とリッドアッパ部材との間に、上記スライド機構が設けられている。
【0010】
このスライド機構は、図1に示すように、例えば、レール部1と、このレール部1に沿ってスライドされる可動部2とを有している。レール部1は、可動部2の両側部に一対設けられている。レール部1と可動部2とは、それぞれ樹脂で構成されている。レール部1は、例えば、車両前後方向に延設される。
【0011】
このレール部1は、図2に示すように、内側に可動部2のスライド方向へ延びるスライド空間4を有している。この場合、スライド空間4の上下面が、スライド面4aとされている。
【0012】
また、可動部2は、図3に示すように、可動部本体6と、この可動部本体6の両側部に設けられて、スライド空間4に沿ってスライド可能な嵌合部7とを備えている。この場合、嵌合部7の上下部が摺接面7aとされている。
【0013】
この実施例のものでは、上記可動部2に、レール部1と干渉しつつスライド可能な樹脂バネ11を設ける。
【0014】
この樹脂バネ11は、嵌合部7の上下の摺接面7aに、スライド空間4の上下のスライド面4aと弱く干渉する干渉部12を設けると共に、この干渉部12の近傍に対して干渉部12を弾性変形可能な肉抜部13,14を設けることによって形成される。この肉抜部13,14は、干渉部12が全面に亘ってほぼ一定の当接圧でスライド面4aと干渉し得るよう、ほぼ均一な肉厚となるようなものとする。また、干渉部12は、所要の耐久性が確保できる範囲内で可能な限り薄肉とする。そのために、この実施例では、摺接面7aに沿った細長い台形状の肉抜部13の両端部に、小さな逆三角形状の肉抜部14を組合せるようにしている。 次に、この実施例の作用について説明する。
【0015】
左右一対のレール部1のスライド空間4に、可動部2の嵌合部7を嵌合させることにより、レール部1に沿って可動部2がスライドし得るようになる。この際、スライド空間4と嵌合部7とを樹脂バネ11を介して干渉させるようにする。
【0016】
この実施例によれば、可動部2に設けた樹脂バネ11により、レール部1に樹脂バネ11が干渉した状態で、可動部2がスライドされることとなるので、ガタの無い状態とすることができる。これにより、厳しい寸法管理を行うことなく、また、バラ付きを生じることなく、レール部1と可動部2との間のガタ付きをなくすことが可能となる。
【0017】
しかも、樹脂バネ11を、干渉部12と肉抜部13,14とで構成することにより、ガタの無いスライド構造を安価に得ることができる。
【0018】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例にかかるスライド機構の斜視図である。
【図2】図1のレール部の斜視図である。
【図3】図1の可動部の斜視図である。
【図4】樹脂バネ部分の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 レール部
2 可動部
11 樹脂バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部と、該レール部に沿ってスライドされる可動部とを有するスライド機構において、
前記可動部に、前記レール部と干渉しつつスライド可能な樹脂バネを設けたことを特徴とするスライド機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−336818(P2006−336818A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165065(P2005−165065)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】