説明

スラッジの脱水と乾燥の方法と装置

スラッジを脱水し、さらに脱水スラッジを乾燥する方法、装置、およびシステム。スラッジ脱水装置内にポンプで送込まれるスラッジは、所定量のポリマーとインラインで混合されることによって、スラッジ内に混入した固体を凝集させる。凝集スラッジは、濾過チャンバを有する濾過ステーションに送られる。濾過チャンバには、工業規格フィルタバッグが装着される。凝集スラッジは、フィルタバッグ内で脱水を受け、脱水スラッジは、その後に圧縮、乾燥、および廃棄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁固体と他の不純物を含有する流体の処理に関する。特に、本発明は、海洋廃水の濾過と脱水に関連する。
【背景技術】
【0002】
現行のスラッジ脱水の常法は、スラッジ廃棄物を収集および管理すべく、多数のプロセスと複雑なシステムを包含する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−085517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特にオフショア海洋汚水スラッジ処理の専門分野において、スラッジの処理と廃棄は、増え続ける環境規制と廃棄物排出規則のために、問題になっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1あるいは複数の実施形態は、混入した固体粒子状物質を含む廃水またはスラッジを脱水する方法、装置、およびシステムに関連する。スラッジから実質的に全ての水を除去することで、より小容量の脱水スラッジまたはスラッジケーキの廃棄が可能になる。それによってこれは、廃棄費用を削減すると共にスラッジの廃棄に関連する環境への適合を容易にする。
【0006】
本発明の1あるいは複数の実施形態において、廃水処理中に生じるスラッジは、所定量の1あるいは複数のポリマーと混合されることによって、スラッジ中に混入した固体を凝集させる。混合は、スラッジを第1濾過ステーションに移送する配管内に設置されたインライン型混合器によって促進され得る。ポリマーの添加によって、スラッジ中に混入した固体の凝集が促進される。凝集スラッジは、第1濾過ステーションに送られる。第1濾過ステーションは、1あるいは複数の蓋で囲まれた第1濾過チャンバを含み得る。各々の第1濾過チャンバはさらに、少なくとも1つの工業規格フィルタバッグを受容する円筒空洞を規定し得る。凝集スラッジは、フィルタバッグ内で脱水を受け得る。実質的に浄化された廃液または濾液は、フィルタバッグの側壁から排出され、凝集スラッジは、工業規格フィルタバッグ内に保持される。本発明の別の実施形態において、廃水処理中に生成されたスラッジは、ポリマーによる処理の直前まで貯蔵タンク内に貯蔵され得る。さらに別の実施形態において、スラッジは、凝集ストリームを第1濾過ステーションにパイプで送込む前に、貯蔵タンク内でポリマーによって処理され得る。
【0007】
凝集スラッジは、フィルタバッグを機械的に圧迫することで、フィルタバッグ内で圧縮され得る。機械的圧迫は、凝集スラッジの脱水をさらに促進し得る。
凝集スラッジの脱水は、重力排水、送風乾燥、加熱、真空化、絞り、および圧迫からなる群から選択された機械的段階である。
【0008】
フィルタバッグを凝集ストリームで満たすのに要する時間が、測定され得るとともに、期間の測定に続いて時間をおいた後、付加容量の凝集ストリームが、同じフィルタバックか、1あるいは複数の未使用フィルタバッグに送られ得る。凝集ストリームの送りは、1あるいは複数の選択的に駆動可能なバルブによって制御され得る。
【0009】
一実施形態において、高容量の空気が、第1濾過チャンバ内に導入されることによって、凝集ストリームの加圧脱水と、その後のフィルタバッグ内に保持された凝集固体の乾燥を促進し得る。さらに別の実施形態において、加熱空気は、インライン型ヒータを用いて第1濾過チャンバ内に導入されることによって、脱水と、その後の乾燥を促進し得る。乾燥凝集固体を含む使用済みか汚れたフィルタバッグは、手動で廃棄され得る。本発明の別の実施形態において、使用済みフィルタバッグは、ロボット式か自動式の手段によって除去および廃棄され得る。
【0010】
フィルタバッグから排出された廃液は、共通配管ヘッダ内に収集され得る。配管ヘッダ内の廃液レベルが監視され得ると共に、廃液レベルが所定の域値に達すると、廃液は、排出され得る。
【0011】
別の実施形態において、複数の濾過ステーションは、脱水拡大を促進すべく、第1濾過ステーションに連結され得る。
本発明の別の実施形態において、スラッジ脱水装置は、内臓型第1モジュールを含み、第1モジュールは、ハウジングと;一体型スラッジ移送ポンプと;ポリマー貯蔵または保持タンクと;ポリマー貯蔵タンクに連結されたポリマー注入ポンプと;1あるいは複数のポリマーを廃水処理中に生成されたスラッジと混合するため配管内に位置付けられたインライン型混合器と;各々の第1濾過チャンバが、1あるいは複数の工業規格フィルタバッグを受容するように構成された円筒空洞を規定する1あるいは複数の第1濾過チャンバを有する第1濾過ステーションと;垂直に向けられると共に第1取付ラックに固着された実質的に剛性の第1プラットホームとを有する。第1プラットホームは、第1濾過チャンバに隣接して位置付けられる。第1プラットホームは、オペレータの体重を支えるように構成される。
【0012】
濾過チャンバは、耐久性のある非腐食性物質を含む。一実施形態において、非腐食性物質は、塩化ポリビニル(PVC)プラスチックまたは被覆鋼を含む。
濾過チャンバは、上方アクセス蓋を含み得る。アクセス蓋はさらに、枢動可能に蓋に連結されたハンドルを有する。
【0013】
工業規格フィルタバッグは、オペレータが第1濾過チャンバから使用済みフィルタバッグを都合よく把持し、持ち上げるように構成された、少なくとも1対の組込式ハンドルをさらに有する。
【0014】
1対あるいは複数対の脱水プレートは、フィルタバッグの両側に位置付けられ得る。脱水プレートは、制御パネルによって制御され得るシリンダまたはピストンによって駆動され得る。プレートは、凝集スラッジの脱水と圧縮をさらに促進すべくフィルタバッグを圧縮する。
【0015】
スレッジ脱水装置は、凝集スラッジを1あるいは複数の濾過チャンバに移行させる第1配管手段;第1配管手段上に位置付けられた選択的に駆動可能な空気圧で駆動され得るバルブ;およびバルブを制御する手段をさらに含み得る。
【0016】
配管ヘッダは、濾過チャンバの真下に配置され得る。排出廃液は、配管ヘッダ内に集められる。スラッジ脱水装置は、配管ヘッダ内の廃液レベルを検出する自動化センサ手段、および共通の配管ヘッダに流体連結した排出ポンプをさらに有する。廃液レベルが、所定の域値に達すると、廃液は、排出され得る。
【0017】
スラッジ脱水装置は、濾過チャンバに隣接して配置された送風機をさらに含み得る。
別の実施形態において、スラッジ脱水装置は、側面に沿って配置された1あるいは複数の第2モジュールをさらに有する。第2モジュールは、1あるいは複数の第2濾過チャンバを有する第2濾過ステーションと第2プラットホームを有する。第2モジュールは、第1プラットホームに連結される。
【0018】
さらに別の実施形態において、スラッジ脱水システムは、脱塩素廃液とスラッジを生成すべく廃水を処理するように構成された廃水処理システムと;スラッジ排出管と;スラッジ排出管に設置された濁度計または濁度計センサと;廃水処理システムからスラッジを受容するように構成されたスラッジ脱水装置とを含む。スラッジ脱水装置は、内蔵型第1モジュールを含み、第1モジュールは、スラッジ移送ポンプと;ポリマー貯蔵タンクと;ポリマー貯蔵タンクに流体連結したポリマーポンプと;凝集ストリームを形成すべく、ポリマーとスラッジを混合する手段を有する配管手段と;各々の第1濾過チャンバが、1あるいは複数の工業規格フィルタバッグを受容するように構成される円筒空洞を規定する1あるいは複数の第1濾過チャンバを有する、凝集ストリームを受容する第1濾過ステーションと;第1取付ラックに垂直に並置されると共に固着された実質的に剛性の第1プラットホームとを取付ける第1取付ラックを有する。第1プラットホームは、第1濾過チャンバに隣接して位置付けられる。
【0019】
本発明の1あるいは複数の実施形態において、排出廃液は、25mg/l未満の生物学
的酸素要求量(BOD)、35ppm未満の総浮遊固体(TSS)、120mg/l未満
の化学的酸素要求量(COD)、および100cfu/100ml未満の大腸菌を含み得
る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】本発明のスラッジ脱水装置の一実施形態に従う図。
【図1b】本発明のスラッジ脱水装置の一実施形態に従って用いられる濾過バッグの一実施形態図。
【図1c】本発明のスラッジ脱水装置の一実施形態に従って用いられる送風機の一実施形態図。
【図2】本発明のスラッジ脱水装置の一実施形態の正面図。
【図3】本発明のスラッジ脱水装置の一実施形態に従う図。
【図4】本発明の別の実施形態に従う拡張型スラッジ脱水装置の図。
【図5】本発明の別の実施形態に従うスラッジ脱水システムのフローチャート。
【図6】本発明のスラッジ脱水装置の別の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1あるいは複数の実施形態は、流体を脱水する方法、システム、および装置、特にスラッジを脱水し、その後に脱水スラッジを乾燥する方法、システム、および装置に関する。図1aを参照すると、廃水を脱水する装置100は、内蔵型第1モジュール110を有する。第1モジュール110は、ポリマー貯蔵タンク130と、ポリマーを分配または注入するポンプ140と、1あるいは複数の第1濾過チャンバ150を有する第1濾過ステーションと、第1濾過チャンバ150へのポリマー注入廃水ストリームの送りを自動制御するPLC(プログラム可能論理制御装置)を有する制御パネル160と、第1取付ラック120に結合された実質的に剛性の基部または第1プラットホーム170とを支持できる第1取付ラック120を有する。第1プラットホーム170は、第1濾過チャンバ150に隣接して位置付けられ得る。第1モジュール110は、サイズが1.524×1.828m〜2.438×2.438m(5×6フィート〜8×8フィート)、高さが1.524〜2.286m(60〜90インチ)であり得る。
【0022】
図3において例示されるように、本発明の別の実施形態300において、一体型スラッ
ジ移送ポンプ320は、スラッジをスラッジ排出ライン310から第1濾過チャンバ150に送込むのに用いられ得る。スラッジの送込みは、スラッジ排出ライン310上に設置された濁度センサ(表示なし)が、ライン中の濁度を検出すると、開始される。スラッジ排出ライン310は、廃水処理の副生成物としてスラッジを発生する廃水処理システムに反対端で接続され得る。センサは、スラッジ排出ライン310に連結され得る。
【0023】
図1と図3の両方を参照すると、スラッジ排出ライン310は、センサによって検出された濁度レベルに依存して指定された間隔で開閉され得るインライン型バルブ(表示なし)をさらに含み得る。濁度が検出されると、バルブが開き、センサは、信号を制御パネル160に送信することで、スラッジ脱水装置100へのスラッジ移送を開始する。
【0024】
スラッジの移送と同時に、ポリマー注入ポンプ140が、起動され得る。先に記載されるように、ポリマー注入ポンプ140は、制御パネル160によって制御されることによって、ポリマー注入地点330でポリマー貯蔵タンク130から一定量のポリマーをスラッジ内に注入し得る。本発明の一実施形態において、有機ポリマーは、スラッジ内に導入され得る。ポリマーは、取扱いが容易であると共に、小さな貯蔵スペースを必要とし得る。ポリマーは、スラッジを濾過チャンバ150に移送する配管340内でスラッジとインラインで混合され得る。ポリマーは、スラッジ内に混入した固体を凝集させることによって、凝集ストリームを生成する。凝集固体を含むスラッジは、フィルタバッグにパイプで送られ得る。凝集塊は、凝集固体をフィルタバッグ150の内壁に滑り落させ、フィルタバッグ150の底部に集めさせる滑らかな外面を有する。したがって、フィルタバッグの内壁面の汚染が削減され得る。これはさらに、次のスラッジバッチを処理するより有用なフィルタバッグ領域を与える。
【0025】
凝集ストリームは、第1濾過ステーションにパイプで送られ得る。凝集ストリームの送りは、配管340によって達成され得る。配管340は、選択的に駆動可能なバルブ265を有する。バルブ265は、制御パネル160に連結された空気式制御装置240(図2参照)によって制御され得る。制御パネル160は、バルブ265を選択的に駆動させることによって、凝集ストリームだけが、事前に選択した濾過チャンバ150に入ることを保証し得る。別の実施形態において、凝集ストリームは、1対か1つより多くの第1濾過チャンバ150に同時に入り得る。
【0026】
第1濾過ステーションは、1あるいは複数の第1濾過チャンバ150を有する。一実施形態において、第1濾過ステーションは、2〜8つの第1濾過チャンバ150を有する。図1aに例示されるような1模範的実施形態において、スラッジ脱水装置100は、4つの第1濾過チャンバ150を有する。第1濾過チャンバ150は、非腐食性物質を有する。一実施形態において、スラッジ脱水装置100が腐食性海上環境において用いられ得る場合、第1濾過チャンバ150は、より耐久性があり得る塩化ポリビニル(PVC)を含む。第1濾過チャンバ150は、直径が15.2〜25.4cm(6〜10インチ)、高さが96.5〜114.3cm(38〜45インチ)であり得る。
【0027】
第1濾過チャンバ150は、円筒空洞を規定し得る。ここで図2を参照すると、第1濾過チャンバ150は、上方アクセス蓋210を含み得る。アクセス蓋210は、第1濾過チャンバ150を閉じ込める。アクセス蓋210は、濾過チャンバ150の上方開口内にぴったりと合うようなサイズに形成され得る。それによって、第1濾過チャンバ150を密封し得る。第1濾過チャンバ150を密封することで、実質的な臭気の排除がもたらされ得る。さらに、安全の点では、アクセス蓋210は、凝集ストリームが、あふれ出ないことによって、スラッジ脱水装置100,200のオペレータに有害な環境もたらさないことを保証し得る。ハンドル手段220は、アクセス蓋210の上面に都合よく連結され得る。オペレータは、ハンドル手段220を把持し、ぐっと引っ張ることによって、蓋2
10を容易に除去でき得る。
【0028】
図1aと図1bを参照すると、第1濾過チャンバ150は、1あるいは複数のフィルタバッグ155が装着され得る。一実施形態において、フィルタバッグは、「ソックス」フィルタとしても公知の工業規格バッグ155であり得る。工業規格フィルタバッグは、費用抑制を可能にすると共に、取得するのに容易であり得る。フィルタバッグは、取付目的でバッグの開口に半剛性の取付カラーを有し得る。結果的に各々のフィルタバッグは、自己支持型であり得る。工業規格フィルタバッグは、第1濾過チャンバ150内から都合よく除去するための組込ハンドル157をさらに含み得る。
【0029】
凝集ストリームが、フィルタバック155内に入ると、より濃厚な凝集固体が、フィルタバッグ155の底部で捕獲され得ると共に保持され得る。凝集固体を実質的に欠き得る、より低密度の廃液は、フィルタバッグ155の側壁を通過し、さらに第1濾過チャンバ150の基部内に流れ出る。この実質的に浄化された廃液は、第1取付ラック120の真下に位置付けられた共通配管ヘッダ(表示なし)内に集められ得る。液体レベルスイッチは、共通配管ヘッダ内に集められた廃液のレベルを監視し得る。廃液が所定のレベルに到達すると、汚水ポンプ230(図2において示されるような)は、廃液を排出する。汚水ポンプ230は、共通配管ヘッダに隣接すると共に第1取付ラック120の真下に位置付けられ得る。
【0030】
凝集ストリームが、フィルタバッグ155内に導入されるとき、制御パネル160は、フィルタバッグ155を満たす時間を算出する。所定の期間で駆動バルブ265は、サイクル動作すると共に、1あるいは複数の新しいか未使用のフィルタバッグ内へ凝集ストリームを導入し始める。サイクル動作は、凝集固体の初期捕獲または収集、その後の固体の排出または脱水を可能にすることで、さらなる凝集ストリームの導入を可能にし得る。先に記載されるように、排出廃液は、共通の配管ヘッダ内に集められ、所定の廃液レベルに達すると、汚染ポンプ230が、廃液を共通配水管に排出し得る。
【0031】
本発明の別の実施形態において、流体レベル測定器が、第1濾過チャンバ150内に組み込まれることによって、フィルタバッグ155内の凝集ストリームのレベルを示し得る。フィルタバッグ155が最大充填容量に達したという信号を液体レベル測定器が発するまで、凝集ストリームは、同じフィルタバッグ155内に導入され続き得る。さらに別の実施形態において、フィルタバッグ150は、凝集ストリームの導入前後の密度を測定すべく、個々に重量測定され得る。所定の域値に達するまで、凝集ストリームは、同じフィルタバッグ155内に導入され続けられ得る。しかし、密度が所定の域値に到達するか、域値を超えると、フィルタバッグは、交換され得る。
【0032】
図1a、図1b、および図1cを参照すると、本発明の一実施形態において、任意の電気乾燥送風機180が用いられ得る。送風機180は、高容量の空気を濾過チャンバ150内に導入し得る。これは、濾過チャンバ150に僅かな圧力をかけると共に、フィルタバッグ155中に捕獲された凝集固体のさらなる脱水と、その後の乾燥を促進し得る。送風機180は、制御パネル160によって制御され得ると共に、必要に応じて自動的か手動的のいずれかで操作され得る。本発明の別の実施形態において、乾燥は、フィルタバッグ155を周囲空気に暴露することで達成され得る。
【0033】
送風機180は、任意数の指定サイクルか連続乾燥モードで動作するように設定され得る制御パネル160によって制御され得る。気流の一部は、湿ったフィルタバッグ155を乾燥すべく、フィルタバッグ155の外側に向けられる。一実施形態において、送風機の吸気口は、騒音防止用のマフラ(表示なし)を含み得る。スラッジ脱水装置100は、必要に応じて、任意の臭気を制御する活性炭の有無にかかわらず排気消音器(表示なし)
をさらに含み得る。乾燥空気は、周囲温度で供給され得る。別の実施形態において、スラッジ脱水装置100は、加熱乾燥空気または温度制御乾燥空気を提供するインライン型ヒータユニット(表示なし)を任意に有することによって、フィルタバッグの乾燥を促進する。有利なことに、スラッジ脱水装置100は、大気条件、あるいは乾燥気流のために大気条件を少し上回る条件で動作する。
【0034】
図1aに戻って参照すると、実質的に剛性の第1プラットホーム170は、第1取付ラック120にヒンジで連結され得る。第1プラットホーム170は、第1濾過チャンバ150に隣接して並置され得る。第1プラットホーム170は、オペレータの体重を支えるように構成され得る。オペレータは、アクセス蓋のカバーを外すことによって、汚れているか使用済みのフィルタバッグを除去し、さらに交換するのに都合よく第1プラットホーム170に立つ。これは、任意の付加的道具あるいは、たとえばドリーなどの器具を用いることなく行われ得る。凝集ストリームの脱水は、重力排出によって、および最小圧を適用することで生じ得るので、汚れた工業規格フィルタバッグの除去は、スラッジ脱水装置100が動作中の場合であっても促進され得る。またオペレータは、スラッジ脱水装置100が動作中の場合に、使用済みフィルタバッグを新しいか未使用のフィルタバッグと交換し得る。
【0035】
脱水中に放出された廃液または流体は、潜在的に有害な固体廃棄物を実質的に欠き得る。廃液は、環境的に良性であり得ると共に海上または無害の廃棄物処理施設で安全に処分され得る。本発明の一実施形態において、廃液は、排出前に脱塩素され得る。
【0036】
図4を参照すると、内蔵型第1モジュール110は、第1モジュールに第2モジュール410を連結することで、さらに別かより大きな規模のスラッジを脱水すべく、拡張され得る。第2モジュール410は、1あるいは複数の第2濾過チャンバ450を有する第2濾過ステーションを支える第2取付ラック420をさらに有する。第2濾過チャンバ450は、構造的に第1濾過チャンバ150に対応する。第2モジュール410は、第2濾過チャンバ450から使用済みフィルタバッグをオペレータが除去できるように、第2プラットホーム470をさらに有する。第1プラットホーム170は、脱水容量を拡大すべく第2取付ラック420に連結され得る。第2配管手段(表示なし)は、第1モジュール110と第2モジュール410の真下を走行する。第2配管手段は、第2濾過チャンバ450において濾過すべく、凝集化または重合体化した廃水ストリームを第2モジュール410に移送する。第2配管手段は、第1モジュール110における制御パネル160によって制御される選択的に駆動可能なバルブ(表示なし)を有する。凝集ストリームは、所定の充填レベル、または所定の時間経過に達するまでか、充填フィルタバッグの密度が、所定のレベルを超えるまで、フィルタバッグ内に導入され得る。次に凝集ストリームは、第2濾過チャンバ450内の1あるいは複数の新しいか未使用のフィルタバッグ内に導入され得る。脱水装置400は、第3モジュール430の取付ラックに第2プラットホーム470を連結することでさらに拡張され得る。また第3モジュール430は、凝集ストリームの脱水と、その後の乾燥を促進する複数の濾過チャンバ440とオペレータの体重を支えるプラットホーム460を含み得る。このモジュール設計は、スラッジ脱水装置400の濾過および脱水の総容量を増やす目的で、複数のモジュールが第1モジュール110に連結できるようにし得る。
【0037】
図1aに戻って参照すると、スラッジ脱水装置100は、スラッジ移送信号を受信し続ける限り、動作し続ける。スラッジ移送信号の受信が停止または中断されると、スラッジ脱水装置100は、アイドルモードに入り、スラッジ移送およびポリマー注入ポンプ140の動作を停止させ、それによってフィルタバッグ内に捕獲された固体が、重力排水および乾燥できるようにし得る。電気送風機が用いられる場合、送風機は、スラッジ脱水装置100が、アイドルモードの場合であっても、加速乾燥を促すべく、動作し続け得る。制
御パネル160は、空気式および他の電気制御要素と共に動作の全サイクルを監視することで、バルブとポンプを作動させると共に、連続した脱水および濾過動作を提供する。
【0038】
図5を参照すると、スラッジを脱水するシステム500は、先に記載したスラッジ脱水装置100に流体連結した廃水処理装置(廃水処理システム)515を含み得る。廃水510は、廃水処理装置515内に導入され、廃水処理装置において、脱塩素および消毒された廃液525を生成する処理を受ける。混入した固体を含有するスラッジ520は、廃水処理装置515から排出され得る。スラッジ520は、スラッジ排出ラインにある濁度センサ530が、所定の濁度レベルを検出すると、スラッジ脱水装置100にポンプで送込まれ得る。
【0039】
模範的廃水処理システムは、米国特許出願番号第12/621291号に記載されている。その内容は、本明細書において参照文献によって盛り込まれている。廃水、特に海洋廃水には、未処理下水、黒水、家庭雑排水、およびその組み合わせ、有機および無機の固体、細菌およびガスが含まれる。廃水中に懸濁した固体は、集めた廃水をパルプ製造機ポンプに通すことによって、粉砕され得る。細かく粉砕した固体を含む第1浸軟廃水ストリームは、電解槽に通され得る。電解槽は、第1浸軟廃水ストリームを酸化および消毒する。消毒廃水ストリーム中の粉砕固体はさらに、電気凝固槽内で凝集または凝縮され得る。凝集固体、残存ガス、および実質的に浄化された廃液は、流体が脱気チャンバを通過し、その後に続いて1あるいは複数の沈殿槽と浄化槽において流体を沈殿させることによって、互いに分離され得る。凝集固体を含むスラッジは、タンクの底部に沈殿し、さらにスラッジ排出ライン内に排出される。
【0040】
図5に戻って参照すると、スラッジ脱水装置100は、ポリマー貯蔵タンク130内に貯蔵された所定量の1あるいは複数のポリマー、または1あるいは複数を組み合わせたポリマーをスラッジ脱水装置100内に入るスラッジ530内に導入するポリマー注入ポンプ140を有する。ポリマーは、インライン型混合器340を用いてスラッジと混合され、凝集固体粒子を含むストリームは、1あるいは複数の第1濾過チャンバ150を有する第1濾過ステーション内に導入される。第1濾過チャンバ150は、工業規格フィルタバッグを有する。凝集ストリームは、任意の送風機180を用いて高容量空気乾燥にかけられる。これによって、スラッジの脱水が生じ、無固体廃液は、フィルタバッグの側壁で濾過される。脱水スラッジ540は、使用済みフィルタバッグを除去することで廃棄され得る。廃液は、配管ヘッダ内に集められ得る。排出レベルスイッチ231が、所定レベルの収集廃液を検出すると、排出ポンプ230は、廃液545を海上場所または別の指定の廃液廃棄場所に排出または廃棄する。
【0041】
汚れているか、使用済みのフィルタバッグ155は、焼却によってか、他の公知の廃棄手段によって処分され得る。このとき、きれいなフィルタバッグ155が、濾過チャンバ150内に設置されることによって、凝集スラッジの別のストリームを受容し得る。汚れたフィルタバッグの除去ときれいなフィルタバッグ155の挿入は、スラッジ脱水装置100が、運転可能な場合に行われ得る。
【0042】
典型的な液体バッグフィルタにおいて、バッグが可能な限り多量の粒子状物質を濾過したなら、バッグは、その密封されたハウジングから除去されなければならない。この使用済みバッグは、通常まだ非常に湿って重い。なぜならバッグは、それを通過する一定の液体ストリームのため、隙間が塞がれている(あるいは塞がれている)からである。塞がれたバッグは、それ以上の脱水を促さないので、この湿ったバッグは、バッグに一定量の液体が保持されることによって、除去することが困難である。これによって、バッグを除去するオペレータにとって、i)バッグの除去による液体の漏洩、ii)保持液体がバッグをより重くさせるため、バッグ除去の困難さ、iii)バッグを除去するオペレータまた
は職員を液体のしぶきが飛び散ってぬれる危険性か、液体と接触する危険性にさらすこと、iv)回り回って必要とされるよりも大きな処分容器か瓶の提供を必要とする、適切な廃棄を保証する非標準的処分方法の要件を含む、幾つかの潜在的な健康と安全性の問題がバッグを除去するオペレータにもたらされる。対照的に、スラッジ脱水装置100の1あるいは複数の実施形態は、廃棄のために乾燥フィルタバッグを提供する。フィルタバッグ155は、微量の残存流体しか保持しないので、フィルタバッグの廃棄は、衛生的、環境的に良性であり、オペレータにもたらされる健康被害は、制限される。
【0043】
別の実施形態において、第1濾過ステーションは、1あるいは複数の第1濾過チャンバを取付けるハウジングを有する。別の実施形態において、ハウジングは、1あるいは複数の第1濾過チャンバを受容する1あるいは複数の開口を有するターンテーブルをさらに有する。
【0044】
図6において例示されるような1あるいは複数の実施形態において、ハウジング610は、1対あるいは複数対の一体型駆動性脱水プレートまたはフィルタバッグ圧迫プレート620をさらに有する。1対のフィルタバッグ圧迫プレート620は、フィルタバッグ150に集中することで、フィルタバッグ150内に捕獲された粒子状物質の塊をさらに濃縮した脱水状態に効果的に絞り得る。フィルタバッグ150は、内部で繋がることによって、スラッジを脱水し得る。フィルタバッグ圧迫プレート620は、陽極酸化アルミか被覆鋼を含み得る。シリンダは、各々のフィルタバッグ圧迫プレート630に取付けられ得る。シリンダ630は、空気式、電気式、または油圧式で駆動され得る。シリンダ630は、制御パネル内のプログラム可能論理制御装置によって制御され得る。フィルタバッグ150を圧縮することで、凝集ストリーム中の粒子状物質の塊が圧縮し、その後にフィルタバッグ150の底部に沈殿する。脱水流体は、フィルタバッグ150を通過し、汚水槽領域または配管ヘッダ内に集められる。
【0045】
当業者によって理解され認められるべきことながら、本発明の実施形態は、バッグの量、乾燥温度速度、目的に適合する一般的配置および特殊なアーティキュレーション原理における特定の変更を包含し得るが、請求される本発明の趣旨は、低下しない。
【0046】
各々の添付請求項は、特許侵害のために請求項において特定された種々の要素か制約の同等物を含むと認められる別個の発明を規定する。文脈に依存して、「発明」に対する下記の全参考文献は、場合によっては若干の特定実施形態のみを指し得る。別の場合では、「発明」に対する参考文献は、必ずしも請求項の全てではないが、1あるいは複数の請求項において列挙された主題を指すことになる。
【0047】
本明細書において用いられるような種々の用語を以下に示す。請求項において用いられる用語が、下記で規定されない限りにおいて、関連技術者が、出願時に刊行物および交付済み特許において示されるような用語に付与した広義の定義が与えられるべきである。
【0048】
本明細書において記載される実施形態は、たとえば船およびプラットホームを有する船舶などの海洋施設で使用され得ると考えられる。海洋施設内の狭い区域は、多くの商業用応用にとって不可能ではないにしても、一般的に廃水処理システムの搬入を困難にする。しかし、本発明の実施形態は、設置面積と外形寸法が小さく、それによって搬入に関する懸念を軽減するスラッジ脱水装置をさらに提供する。
【0049】
前述は、本発明の実施形態を対象にするが、本発明の他の実施形態およびさらに別の実施形態は、その基本的範囲から逸脱せずに考案され得る。さらにその範囲は、以下の請求項によって決定される。本発明は、本特許の情報が、利用可能な情報および技術と組み合わされる場合、当業者が本発明を作り、発明を使用できるようにすべく含まれる記載の実
施形態、バージョンまたは実施例に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラッジを脱水するスラッジ脱水方法であって、前記スラッジ脱水方法は、
所定量の1あるいは複数のポリマーを前記スラッジ内に導入することで、混入した固体を凝集させることと;
前記スラッジが凝集した凝集スラッジを、一体型の第1濾過ステーションに送ることであって、前記第1濾過ステーションは1あるいは複数の濾過チャンバを含み、各々の前記第1濾過チャンバは、少なくとも1つの工業規格フィルタバッグを受容する円筒空洞を規定することと;
前記フィルタバッグ内の前記凝集スラッジを脱水することと
を有する、スラッジ脱水方法。
【請求項2】
前記スラッジ脱水方法はさらに、前記第1濾過ステーションに前記凝集スラッジを送る前に、前記スラッジと前記ポリマーをインラインで混合することを有する、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項3】
前記スラッジ脱水方法はさらに、1あるいは複数のバルブを選択的に駆動することで、前記凝集スラッジの送りを制御することを含み、
前記バルブは、前記凝集スラッジを前記フィルタバッグに移送する配管に接続される、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項4】
前記スラッジ脱水方法はさらに、前記凝集スラッジの脱水を促進すべく、高容量の空気を前記第1濾過チャンバ内に導入することを有する、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項5】
前記スラッジ脱水方法はさらに、前記フィルタバッグ内に保持された前記凝集スラッジの乾燥を促進すべく、前記第1濾過チャンバ内に加熱空気を導入することを有する、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項6】
前記スラッジ脱水方法はさらに、前記フィルタバッグを機械的に圧迫することで、前記フィルタバッグ内の前記凝集スラッジを圧縮することを含み、
前記機械的圧迫は、前記凝集スラッジの脱水をさらに促進する、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項7】
前記凝集スラッジの前記脱水は、重力排出、送風乾燥、加熱、真空化、絞り、および圧迫からなる群から選択された機械的段階である、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項8】
前記スラッジ脱水方法は、前記脱水中に前記フィルタバッグの側壁から排出された廃液を集めることを含み、
前記廃液が収集された収集廃液のレベルである廃液レベルは、監視され、
前記廃液レベルが所定レベルに達した場合に、前記廃液は廃棄される、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項9】
前記スラッジ脱水方法はさらに、スラッジ脱水容量を拡張すべく、1あるいは複数の濾過ステーションを前記第1濾過ステーションに連結することを有する、
請求項1記載のスラッジ脱水方法。
【請求項10】
内蔵型の第1モジュールを有するスラッジ脱水装置であって、
前記第1モジュールは、
一体型のスラッジ移送ポンプと;
ポリマー貯蔵タンクと;
前記ポリマー貯蔵タンクに連結されたポリマー注入ポンプと;
1あるいは複数の第1濾過チャンバを有する第1濾過ステーションであって、各々の前記第1濾過チャンバは、1あるいは複数の工業規格フィルタバッグを受容するように構成された円筒空洞を規定することと;
垂直に方向付けられると共に第1取付ラックに固着された剛性の第1プラットホームであって、前記第1プラットホームは前記第1濾過チャンバに隣接して位置付けられることと
を有する、スラッジ脱水装置。
【請求項11】
前記第1濾過チャンバは、耐久性を有する非腐食性物質を有する、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項12】
前記非腐食性物質は、塩化ポリビニル(PVC)かあるいは被覆鋼を有する、
請求項11記載のスラッジ脱水装置。
【請求項13】
前記第1濾過チャンバはさらに、上方アクセス蓋を備え、
前記上方アクセス蓋は、前記アクセス蓋の上面に枢動自在に連結されたハンドルを備える、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項14】
前記フィルタバッグはさらに、少なくとも1対の組込ハンドルを有する、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項15】
前記スラッジ脱水装置はさらに
前記1あるいは複数の濾過チャンバに凝集スラッジを移送する配管手段と;
前記配管手段上に位置付けられる選択的駆動可能なバルブと;
前記バルブを制御するように構成されるプログラム可能論理制御装置(PLC)を備える制御パネルと
を有する、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項16】
前記スラッジ脱水装置はさらに、
前記濾過チャンバの真下に配置された配管ヘッダと;
前記配管ヘッダ内の廃液レベルを検出する自動化手段と;
共通の前記配管ヘッダに流体連結した排出ポンプと
を有する、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項17】
前記スラッジ脱水装置はさらに、1対あるいは複数対の脱水プレートを含み、
前記フィルタバッグは、前記脱水プレートの対の間に位置付けられる、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項18】
前記スラッジ脱水装置はさらに、前記脱水プレートを駆動すべく機械式手段と水圧式手段とのうちの少なくとも一方を有する、
請求項17記載のスラッジ脱水方法。
【請求項19】
前記スラッジ脱水装置はさらに、前記濾過チャンバに隣接して配置された送風機を有する、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。
【請求項20】
前記スラッジ脱水装置はさらに、側面に配置された1あるいは複数の第2モジュールを含み、
前記第2モジュールは第2濾過ステーションを含み、
前記第2濾過ステーションは、1あるいは複数の第2濾過チャンバと第2プラットホームとを含み、
前記第2モジュールは、前記第1プラットホームに連結される、
請求項10記載のスラッジ脱水装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−513890(P2012−513890A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543734(P2011−543734)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/000016
【国際公開番号】WO2010/080688
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(509329501)セバーン トレント デ ノラ,エルエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】SEVERN TRENT DE NORA,L.L.C.
【Fターム(参考)】