説明

スロットマシン

【課題】特定の図柄を狙って停止させる目押しの負担を軽減する一方、目押しの苦手な遊技者に目押しの楽しみを提供し得るスロットマシンを提供すること。
【解決手段】スロットマシン1は、入賞ライン上で複数種類の図柄20を所定の配列に従って変動表示する第1のリール2L及び第2のリール2Cと、各リール2における図柄20の変動表示を制御する表示制御手段45と、内部当選フラグに対応する役の入賞図柄を各リール2毎に特定する入賞図柄特定手段43と、を備えている。表示制御手段45は、第1のリール2Lが入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから所定の遅延時間だけ遅れて第2のリール2Cが入賞図柄を入賞ライン上に表示するよう、第1及び第2のリール2L、Cを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入賞ラインに沿って停止表示された図柄の組み合わせに応じて入賞を与えるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場等に設置された遊技機としては、例えば、図柄を変動表示するリールを複数、備えたスロットマシンがある。このようなスロットマシンでは、スタートレバーの操作により各リールが図柄変動を開始し、リール毎に設けたストップボタンの停止操作により各リールが個別に停止する。スロットマシンは、停止した図柄の組み合わせに応じて入賞を与え、遊技者に特典を付与する。
【0003】
上記のようなスロットマシンとしては、内部当選役を抽選により決定し、その内部当選役が入賞可能な状態を表す内部当選フラグを成立させる内部抽選手段を備えたスロットマシンがある。内部抽選手段を備えたスロットマシンでは、停止操作のタイミングを基準とした所定の変動範囲内に成立状態の内部当選フラグに対応する役図柄があれば、その役図柄を引き込んで停止させる、いわゆる引込制御により各リールを停止させる。このスロットマシンでは、いずれかの役の内部当選フラグが成立しても、当該内部当選フラグに対応する役図柄を入賞ライン上に沿って停止できなければ入賞を得ることができない。
【0004】
例えば、変動表示中の図柄を全く判読できない遊技者や、特定の図柄を狙ってリールを停止させるという目押しの技術が十分ではない遊技者等にとっては、上記のごとく内部当選しても役図柄を停止できなければ入賞できないという仕様が若干、不利に作用し得る。そこで、内部当選フラグに対応する役の図柄を停止させるための停止操作のタイミングを光や音によってガイドするスロットマシンが提案されている(特許文献1参照。)。また、ゲーム開始後、所定の時間が経過したとき、内部当選フラグが成立した役の図柄が揃うようにリールを自動停止させるスロットマシンも提案されている(特許文献2参照。)これらのスロットマシンによれば、目押しの苦手な遊技者を救済して、上記のような不利をある程度、抑制できる。
【0005】
しかしながら、上記従来のスロットマシンでは、次のような問題がある。すなわち、停止操作のタイミングを光や音によってガイドするスロットマシンでは、例えば、ボーナス役の図柄に対する停止操作タイミングのガイドに応じてボーナスフラグの成立が報知されてしまう一方、ガイドがなければボーナスフラグ未成立ということになり遊技の興趣が阻害されてしまうおそれがある。また、リールの自動停止時に入賞を発生させるスロットマシンでは、自動停止までの時間が長く設定されるとゲームに要する時間が長くなり稼動が低下してしまうおそれがある一方、自動停止までの時間が短く設定されると目押しをする間もなく入賞してしまうことになりスロットマシン本来のゲーム性が損なわれるおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開平03−010346号公報
【特許文献2】特開2003−236056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特定の図柄を狙って停止させる目押しの負担を軽減する一方、目押しの苦手な遊技者に対して目押しの楽しみを提供し得るスロットマシンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、入賞ライン上で複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示する第1の図柄変動表示手段及び第2の図柄変動表示手段と、
ゲームを開始させるために遊技者が操作する開始操作手段と、
ゲームの開始に応じて複数種類の役の中から内部当選役を抽選により決定し、該内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段と、
入賞するために入賞ラインに沿って停止表示される必要がある図柄の組合せを役毎に記憶した図柄組合せ記憶手段と、
図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作するよう、上記図柄変動表示手段毎に設けられた停止操作手段と、
上記各図柄変動表示手段における図柄の変動表示を制御する表示制御手段と、
上記図柄組合せ記憶手段が記憶する図柄の組合せのうち、上記内部当選フラグに対応する図柄の組合せを構成する入賞図柄を上記図柄変動表示手段毎に特定する入賞図柄特定手段と、を備えており、
上記表示制御手段は、いずれかの役に対応する内部当選フラグが成立した際、上記第1の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第2の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示するよう、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を制御するように構成されていることを特徴とするスロットマシンにある(請求項1)。
【0009】
本発明のスロットマシンは、入賞に必要な図柄の組合せを役毎に記憶した上記図柄組合せ記憶手段と、上記内部当選フラグに対応する役を入賞させるための上記入賞図柄を上記各図柄変動表示手段毎に特定する上記入賞図柄特定手段とを備えている。上記スロットマシンにおける上記表示制御手段は、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段が所定の関係を維持しながら図柄を変動表示するように当該2基の図柄変動表示手段を制御する。
【0010】
上記所定の関係とは、上記のごとく、上記第1の図柄変動表示手段が入賞ライン上に上記入賞図柄を表示するタイミングから上記所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第2の図柄変動表示手段が入賞ライン上に上記入賞図柄を表示するという関係である。換言すれば、この関係とは、上記入賞図柄を基準として、上記第1の図柄変動表示手段による図柄の変動周期と、上記第2の図柄変動表示手段による図柄の変動周期との間に上記所定の遅延時間に相当する位相差が生じている関係である。
【0011】
上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段が上記のような所定の関係を維持しながら図柄を変動表示する状態では、当該2基の図柄変動表示手段に対応する2つの停止操作手段に対する停止操作のやり方に応じて、入賞ラインに沿って上記入賞図柄を停止できる確率を高くできる。すなわち、上記所定の遅延時間に略一致する時間差をあけてテンポ良く、上記2つの停止操作手段を停止操作すれば、入賞確率を高めることができる。特定の図柄を狙って停止させる、いわゆる目押しの苦手な遊技者であっても比較的容易に入賞ライン上に上記入賞図柄を揃えて停止できる可能性がある。
【0012】
本発明のスロットマシンは、停止操作のタイミングを計るための光や音による停止操作のガイドを行わない。そのため、本発明のスロットマシンでは、上記図柄変動表示手段が自動的に停止するでもない。本発明のスロットマシンでは、従来のスロットマシンと同様、遊技者自らがタイミングを計って上記停止操作手段を停止操作する必要がある。それ故、上記スロットマシンでは、上記入賞図柄を実際に入賞ラインに沿って揃えることができたとき、遊技者が達成感や満足感を味わうことができる。本発明のスロットマシンの遊技者は、このような達成感等を通じて目押しの楽しみを味わうことができる。
【0013】
以上のように、本発明のスロットマシンは、特定の図柄を狙って停止させる目押しの負担を軽減する一方、目押しの苦手な遊技者に対して目押しの楽しみを提供し得るという優れた特性を備えたスロットマシンである。
【0014】
本発明のスロットマシンとしては、メダルやコインを遊技媒体とした狭義のスロットマシンのほか、パチンコ玉を遊技媒体としたパロット(登録商標)などであっても良い。
また、上記第1の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第2の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示するよう、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を制御する方法としては、様々な方法を採用することができる。例えば、当該2基の図柄変動表示手段の変動開始タイミングを異ならせる方法、変動速度を異ならせる方法、及び上記所定の配列を組み替える方法のうちのいずれかの方法、あるいはこれらの方法を適宜、選択して組み合わせた方法等がある。
【0015】
また、上記のごとく所定の遅延時間、タイミングをずらして上記入賞図柄を変動表示する2基の図柄変動表示手段の組み合わせ、及びいずれの図柄変動表示手段が先行しているかを遊技者に報知しても良いし、報知しなくても良い。上記2基の図柄変動表示手段の組み合わせは、固定的であっても良いし、流動的であっても良い。さらに、上記2基の図柄変動表示手段のうちのいずれのタイミングを先行させるかについても、固定的であっても良いし、入れ替えることも良い。
【0016】
また、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を遊技者に報知するように構成されていることが好ましい(請求項2)。
本発明のスロットマシンでは、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段がいずれかの図柄変動表示手段であるかを認識できれば、遊技者が有利に遊技できるようになる。それ故、上記のごとく上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を報知する場合には、遊技者にとってのメリットとなり得る。さらに、ゲーム毎に第1の図柄変動表示手段に当たる図柄変動表示手段を変更したり、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を報知する頻度を変更すれば多彩な遊技性を実現でき、遊技者に一定の緊張感を持って遊技するように仕向けることができる。
【0017】
また、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を予め設定してあることが好ましい(請求項3)。
上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を予め設定する方法としては、例えば、スロットマシンの機種毎あるいは台毎に設定する方法等がある。機種毎あるいは台毎等に予め、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を設定してある場合には、遊技者に遊技を円滑に進めさせることができ、遊技場におけるスロットマシンの稼動を高めることができる。
【0018】
また、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を設定するために遊技者が操作する押順設定手段を備えていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記押順設定手段を利用して上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段を設定することにより、遊技者が上記停止操作手段を停止操作する際の好みの押順に合わせて上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を設定できるようになる。
【0019】
また、上記内部当選フラグに関連するフラグ情報を遊技者に提示する演出手段を備えていると共に、全ての図柄変動表示手段のうちで上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を上記内部当選フラグに応じて設定するように構成されていることが好ましい(請求項5)。
【0020】
上記のごとく内部当選フラグに対応する役に応じて上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を設定すれば、入賞させるために有利となる停止操作の順番が役毎に変更されることになり、多彩な遊技性が実現され得る。さらに、上記のごとく演出手段を利用して上記フラグ情報を提示すれば、遊技者が当該フラグ情報に応じて上記内部当選フラグを予測でき、予測した内部当選フラグに応じて停止操作の順番を適宜、変更するという遊技性を提供できる。
【0021】
なお、上記フラグ情報としては、上記内部当選フラグに対応する役の図柄や役の名称等により当該役を特定する情報のほか、内部当選フラグをある程度、予測し得る表示や音や光等による演出情報等であっても良い。
従来のスロットマシンでは、例えば、演出等に応じて内部当選フラグを予測等できたとしても目押しの苦手な遊技者にとっては特にメリットが生じ得なかった。本発明のスロットマシンによれば、目押しの苦手な遊技者であっても、予測等できた内部当選フラグに応じた遊技を楽しむことができるようになる。
【0022】
また、上記図柄変動表示手段としては、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段のほかに第3の図柄変動表示手段があり、上記表示制御手段は、いずれかの役に対応する内部当選フラグが成立した際、上記第2の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから上記所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第3の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示するようによう、上記第2及び第3の図柄変動表示手段を制御するように構成されていることが好ましい(請求項6)。
【0023】
この場合には、上記第1〜上記第3の図柄変動表示手段に対応する各停止操作手段をテンポ良く停止操作することで、上記内部当選フラグが成立している役が入賞する確率を高めることができる。さらに、上記各停止操作手段をテンポ良く停止操作するように仕向けることでゲームに要する時間を短縮でき、スロットマシンの稼動を向上させることができる。
【0024】
また、上記所定の遅延時間を設定するために遊技者が操作する遅延時間設定手段を備えていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記遅延時間設定手段を利用して上記所定の遅延時間を設定することで、遊技者が上記停止操作手段を順次操作する際の好みのテンポを設定できる。
【0025】
また、上記開始操作手段による操作の受け付け後、所定の停止操作禁止期間に渡って上記停止操作手段による停止操作を無効化する停止操作無効化手段を備えており、
上記表示制御手段は、上記停止操作禁止期間内に、上記所定の関係を呈するように上記各図柄変動表示手段が図柄を変動表示するタイミングを調整するように構成されていることが好ましい(請求項8)。
【0026】
この場合には、変動表示状態の上記各図柄変動表示手段が上記所定の関係になる前に、上記図柄変動表示手段が停止するおそれを未然に回避できる。それ故、この場合には、上記所定の遅延時間に略一致する時間差を設けて上記停止操作手段をテンポ良く停止操作したが故に、逆に、上記入賞図柄を入賞ライン上に停止できなくなってしまうという遊技者の不利を未然に抑制できる。上記停止操作無効化手段によれば、上記所定の遅延時間に略一致する時間差を設けて上記停止操作手段をテンポ良く停止操作することにより、入賞の可能性を確実性高く向上し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、入賞ラインに沿って揃った図柄20の組み合わせに応じて入賞を与えるスロットマシン1に関する例である。この内容について、図1〜図7を用いて説明する。
本例のスロットマシン1は、入賞ライン上で複数種類の図柄20を所定の配列に従って変動表示する3基の図柄変動表示手段2(以下、リール2という。)と、ゲームを開始させるために遊技者が操作する開始操作手段62(以下、スタートレバー62という。)と、ゲームの開始に応じて複数種類の役の中から内部当選役を抽選により決定し、この内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段42と、入賞するために入賞ラインに沿って停止される必要がある図柄20の組合せを役毎に記憶した図柄組合せ記憶手段44と、図柄20の変動表示を停止させるために遊技者が操作するよう、リール2毎に設けられた停止操作手段61(以下、ストップボタン61という。)と、各リール2における図柄20の変動表示を制御する表示制御手段45と、図柄組合せ記憶手段44が記憶する図柄20の組合せのうち、内部当選フラグに対応する役に関する図柄の組合せを抽出し、当該図柄の組合せを構成する入賞図柄を各リール2毎に特定する入賞図柄特定手段43と、を備えている。
【0028】
表示制御手段45は、ボーナス役に対応する内部当選フラグであるボーナスフラグあるいは5枚役に対応する5枚役フラグが成立した際、第1のリールが入賞図柄を入賞ライン上に表示するタイミングから所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで第2のリールが入賞図柄を入賞ライン上に表示すると共に、第2のリールが入賞図柄を入賞ライン上に表示するタイミングから所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで第3のリールが入賞図柄を入賞ライン上に表示するように各リール2を制御する。
ここで、本例では、上記第1のリール、上記第2のリール、及び上記第3のリールとして、それぞれ、左リール2L、中リール2C、右リール2Rを設定してある。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0029】
まず、このスロットマシン1の役、内部当選役、入賞役について、図1〜図3を用いて説明する。本例のスロットマシン1は、BIGボーナス役(図3中、BBと表示。)、12枚役等の小役等を含む5種類の役を有している。図3では、左列にそれぞれの役の名称を、中列にそれぞれの図柄20の組み合わせを、右列に賞品として付与する特典を示してある。スロットマシン1では、内部抽選手段42により内部当選した役が内部当選役になる。この内部当選役を構成する図柄20である入賞図柄が入賞ライン211〜215のいずれかに沿って揃ったとき、その役が入賞役となる。
【0030】
次に、本例のスロットマシン1は、図2に示すごとく外観的な構成を有している。スロットマシン1では、遊技者に対面する前面部分が、略矩形状の図柄表示窓11を略中央に設けた前面枠体10によって形成されている。前面枠体10は、図柄表示窓11の鉛直方向上側に、液晶表示部53、左右一対のスピーカ520及び左右一対のランプ部56を配設してなる。そして、鉛直方向下側に、スロットマシン1の基部をなすベース部100を有してなる。
【0031】
ベース部100は、図2に示すごとく、遊技者から奥まって位置する図柄表示窓11に対して、遊技者に向って相対的に張り出すように形成されている。ベース部100は、図柄表示窓11に隣り合う上端部にテーブル状の操作面14を有し、下端部にメダルを払い出すメダル受け皿15を有し、操作面14とメダル受け皿15との間に操作パネル13を有している。
【0032】
操作面14には、図1及び図2に示すごとく、クレジット(貯留)されたメダルを賭けるためのベットボタン64と、クレジットされたメダルを払い出させるための精算ボタン65と、遊技に賭けるメダルを投入するメダル投入口630とを配設してある。操作パネル13には、リール2の図柄変動を開始させるためのスタートレバー62と、図柄変動を停止させるためのストップボタン61と、上記遅延時間を変更するための遅延時間設定ボタン67とを配設してある。
【0033】
ベットボタン64は、図1及び図2に示すごとく、遊技賭け数としてマックスベット数である3ベットを指定するためのボタンである。このベットボタン64は、遊技賭け数3を表す3ベット信号を発生するように構成されている。ただし、残りのクレジットが2又は1である場合には、2ベット信号又は1ベット信号を発生し、クレジットがゼロの場合は、ベット信号を発生しない。
【0034】
スロットマシン1では、メダルを直接投入するか、ベットボタン64の操作によりメダルが賭けられたとき、スタートレバー62が有効状態に設定される。なお、本例のスロットマシン1に代えて、遊技(ゲーム)毎に3枚のメダルを賭ける、いわゆる3ベット専用機のスロットマシンであっても良い。なお、上記ベットボタン64としては、3ベット信号を発生するマックスベットボタンのほか、シングルベット信号を発生するシングルベットボタンを設けることも良い。
【0035】
スタートレバー62は、図1及び図2に示すごとく、リール2の制御信号である変動開始信号を遊技者が操作したタイミングで発生する操作レバーである。
ストップボタン61は、リール2の制御信号である変動停止信号を遊技者が操作したタイミングで発生する操作ボタンである。本例のストップボタン61は、左リール2Lに対応する左ストップボタン61L、中リール2Cに対応する中ストップボタン61C、右リール2Rに対応する右ストップボタン61Rを組み合わせてなる。
【0036】
遅延時間設定ボタン67は、入賞図柄を基準とした第1のリール2L(左リール2L)と第2のリール2C(中リール2C)との変動タイミングのズレ、及び第2のリール2C(中リール2C)と第3のリール2R(右リール2R)との変動タイミングのズレを表す遅延時間を遊技者の操作により変更するための操作ボタンである。
【0037】
図柄表示窓11は、図2に示すごとく、3行3列の2次元マトリクス状に配置された9個の図柄20を表示するように構成してある。前面枠体10における図柄表示窓11に当たる部分は、遊技者側から図柄20が見えるように透明な樹脂プレートにより形成してある。上記2次元マトリクス状の9個の図柄20に対しては、入賞の対象となる図柄の並び方向である入賞ライン211〜215を設定してある。入賞ラインとしては、水平方向の入賞ライン211〜213と、対角方向の入賞ライン214、215とがある。
【0038】
図柄表示窓11の向かって右側には、クレジット数表示部553及び払出数表示部552を配置してある。クレジット数表示部553は、スロットマシン1が電子的に貯留したメダル枚数であるクレジット数を表示する表示部である。払出数表示部552は、入賞に応じて払い出すメダル枚数を表示する表示部である。
【0039】
リール2は、図1、図2及び図4に示すごとく、左リール2Lと、中リール2Cと、右リール2Rとよりなる。各リール2L、C、Rは、略円柱形状をなし、その外周面に略一定の間隔を設けて6種類21個の図柄20を配置した回転式のリールである。各リール2L、C、Rは、その回転方向における1カ所の基準位置に基準位置片(図示略)を有している。この基準位置片は、後述する基準位置検知部66が検知する被検知片としての部材である。
【0040】
左リール2Lは、図1、図2及び図4に示すごとく、図柄表示窓11に表示する3行×3列の2次元マトリクスにおける左端の一列をなす。右リール2Rは、2次元マトリクスにおける右端の一列をなす。中リール2Cは、2次元マトリクスにおける中央の一列をなしている。なお、リール2としては、本例の回転式のリールに代えて、液晶ディスプレイに図柄を変動表示する画像式のリールを採用することもできる。
【0041】
次に、本例のスロットマシン1は、図1に示すごとく、機械的な構成を備えている。
図1及び図2を用いて、スロットマシン1の全体動作を制御する制御基板3、及びこの制御基板3に電気的に接続された各部について説明する。制御基板3に対しては、上記の構成のほか、遊技媒体として投入されたメダルを検知する投入メダル検知部63と、リール2を回転駆動するリール駆動部51と、リール2の回転位置を検知する基準位置検知部66と、メダルを払い出すメダル払出部54と、遊技を演出するための各種表示部55と、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定する設定値操作部68と、スピーカ520を制御する音声出力部52とを電気的に接続してある。
【0042】
投入メダル検知部63は、図1及び図2に示すごとく、メダル投入口630からメダルが投入されるごとに、インサート信号を出力するように構成してある。1回のインサート信号が1ベット信号に相当し、3回のインサート信号が3ベット信号に相当している。なお、スロットマシン1では、メダルを投入するか、ベットボタン64を押すとスタートレバー62が有効な状態に設定される。
【0043】
リール駆動部51は、図1に示すごとく、ステップ単位で制御し得るステッピングモータ(図示略)を含み、このステッピングモータの回転駆動力によりリール2を回転駆動するように構成されている。ステッピングモータは、制御基板3から取り込む制御パルス毎に、1ステップずつ回転する。
【0044】
基準位置検知部66は、図1に示すごとく、各リール2L、C、Rの上記基準位置片の通過を検知し、検知信号を出力するように構成されている。
メダル払出部54は、図1に示すごとく、制御基板3の制御により所定枚数のメダルをメダル受け皿15に払い出すように構成されている。
設定値操作部68は、図1に示すごとく、設定キー680を利用して、役の当選確率を6段階に設定する設定値を変更するための操作部である。
各種表示部55としては、上記クレジット数表示部553及び上記払出数表示部552がある。
【0045】
上記制御基板3は、図1及び図2に示すごとく、CPU31と、メモリ手段であるROM33、RAM34と、入出力インターフェースとしてのI/O部32とを有している。CPU31は、ROM33から読み込みしたソフトウェアプログラムを実行することにより、乱数を抽出する乱数抽出手段48、入賞役を判定する入賞役判定手段49、リール駆動部51を介してリール2を制御する表示制御手段45、内部当選役を抽選する内部抽選手段42、内部当選フラグを制御するフラグ制御手段41、内部当選フラグに対応する入賞図柄をリール2毎に特定する入賞図柄特定手段43、ストップボタン61の停止操作を無効化する停止操作無効化手段46、上記遅延時間を設定する遅延時間設定手段47の各機能を実現するように構成されている。
【0046】
メモリ手段としてのROM33は、図1に示すごとく、内部抽選手段42が内部当選役の抽選に用いる図示しない当選乱数テーブルを記憶している。当選乱数テーブルは、内部当選するための当選乱数を役毎に規定したものである。さらに、本例のROM33は、上記図柄組合せ記憶手段44としての機能を備えている。図柄組合せ記憶手段44は、図1及び図3に示すごとく、各役が入賞するための図柄の組合せを記憶する手段である。図柄組合せ記憶手段44は、図3に示すごとく、BIGボーナス役(BB)、12枚役「ハッチングのプラム」、5枚役「太陽」、2枚役「チェリー」、リプレイ役の5種類の役毎の図柄の組合せを記憶している。
【0047】
上記乱数抽出手段48は、図1及び図2に示すごとく、CPU31の内部演算により乱数を抽出する手段である。本例の乱数抽出手段48は、スタートレバー62の変動開始信号をトリガー信号として乱数を抽出し、内部抽選手段42に入力する。
上記内部抽選手段42は、図1に示すごとく、上記当選乱数テーブルに規定された各役の当選乱数に対して乱数抽出手段48による乱数を照合して内部当選役を決定し、その内部当選役に対応する内部当選フラグをオン状態(1)に設定する手段である。本例の内部抽選手段42が抽選する内部当選役は、図3に示すごとく、BIGボーナス役(BB)、12枚役「ハッチングのプラム」、5枚役「太陽」、2枚役「チェリー」、リプレイ役の5種類の役である。
【0048】
フラグ制御手段41は、図1に示すごとく各役が入賞可能な状態を表す内部当選フラグを制御する手段である。フラグ制御手段41は、リプレイ役を含む小役等の内部当選フラグについては、当該内部当選フラグが初めて設定されたゲームにおいて入賞したか否かに関わらず次のゲームを開始するまでにオフに切り換える。一方、フラグ制御手段41は、ボーナスフラグについては入賞するまで次のゲームに持ち越し、ボーナス役入賞に応じてオフに切り換える。上記のようなフラグ制御手段41の制御により、内部当選したゲームで入賞しなかったリプレイ役を含む小役等は、いわゆる取りこぼしとなる。一方、ボーナス役は、一度内部当選すれば、入賞するまでボーナス確定状態が維持される。
【0049】
上記入賞図柄特定手段43は、図1及び図3に示すごとく、内部当選フラグに対応する役の入賞図柄を各リール2毎に特定する手段である。入賞図柄特定手段43は、図柄組合せ記憶手段44が記憶する各役毎の図柄の組合せを参照して入賞図柄を特定する。例えば、5枚役の内部当選フラグである5枚役フラグの成立状態では、第1のリール(左リール2L)、第2のリール(中リール2C)及び第3のリール(右リール2L)の入賞図柄が全て「太陽」となる。また、ボーナスフラグの成立状態では、全てのリール2の入賞図柄が「7」となる。
【0050】
上記表示制御手段45は、図1及び図2に示すごとく、リール駆動部51を介してリール2L、C、Rの図柄変動を制御する手段である。表示制御手段45は、上記変動開始信号に応じてリール2の図柄変動を開始すると共に、上記変動停止信号に応じてリール2の図柄変動を停止させる。表示制御手段45は、リール駆動部51をなすステッピングモータに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつステッピングモータを回転させる。表示制御手段45は、リール駆動部51に入力した制御パルス数、すなわち、ステッピングモータが回転したステップ数をカウントする。特に、本例では、各リール2の上記基準位置片の検知信号を取り込むごとに上記ステップ数をゼロリセットすることで、直近の検知信号の後に生じた上記ステップ数をカウントしている。
【0051】
表示制御手段45は、図1に示すごとく、規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)等が定める所定の引込範囲内の図柄を入賞ライン上に停止させる、いわゆる引込制御を実施する。表示制御手段45では、上記ステップ数に基づいて各リール2L、C、Rが現在表示している図柄(入賞ライン上に位置する図柄。)を計算可能である。表示制御手段45は、上記変動停止信号を取り込み時のステップ数に基づいて、入賞ライン211〜215上に瞬間的に位置する図柄20であるビタ図柄を計算し、当該ビタ図柄を先頭にして後続する4つの図柄20を上記所定の引込範囲内の図柄として設定する。
【0052】
表示制御手段45が実施する引込制御は、上記所定の引込範囲内に内部当選フラグに対応する図柄があれば、その図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させるという制御である。一方、引込制御では、上記所定の範囲内に内部当選フラグに対応する図柄がない場合、ハズレ図柄が入賞ライン上に引き込まれて停止する。
【0053】
特に、本例の表示制御手段45は、5枚役の内部当選フラグである5枚役フラグ、あるいはボーナスフラグが成立したゲームでは、左リール2L(第1のリール)と中リール2C(第2のリール)との間、及び中リール2C(第2のリール)と右リール2R(第3のリール)との間に所定の関係が成立するように各リール2による変動表示を制御するように構成されている。
【0054】
この所定の関係とは、内部当選フラグに対応する役の図柄である入賞図柄を左リール2Lが入賞ライン上に表示した後、所定の遅延時間後に中リール2Cが入賞図柄を同じ入賞ライン上に表示する関係、あるいは中リール2Cが入賞ライン上に入賞図柄を表示した後、所定の遅延時間後に右リール2Rが入賞図柄を同じ入賞ライン上に表示する関係である。本例の表示制御手段45は、後述する停止操作無効化手段46が設定する所定の停止操作禁止期間内に上記のような所定の関係を成立させるよう、各リール2による変動表示のタイミングを調整する。
【0055】
上記入賞役判定手段49は、図1及び図2に示すごとく、各リール2L、C、Rが停止した後、各リール2L、C、Rに対応する各ステッピングモータ(リール駆動部51)に関する上記ステップ数を取り込む。入賞役判定手段49は、このステップ数を基にして入賞ライン211〜215上に停止した図柄20の種類を求め、その図柄20の組み合わせについて入賞役が成立するか否かを判定する。
【0056】
上記遅延時間設定手段47は、図1及び図2に示すごとく、上記所定の遅延時間を設定するための手段である。本例の遅延時間設定手段47は、ゲーム終了後、新たなゲームの開始前の状態、すなわち全リール2の停止状態での遅延時間設定ボタン67の操作に応じて遅延時間を設定する。遅延時間設定手段47は、遅延時間設定ボタン67の操作回数に応じて遅延時間を切り換え設定する。本例の遅延時間設定手段47は、遅延時間が未設定の状態で遅延時間設定ボタン67が1回操作されると図柄「7コマ」分、2回操作されると図柄「10コマ」分、3回操作されると図柄「13コマ」分の変動時間に相当する遅延時間を設定し、4回操作されると遅延時間の設定を解除する。
【0057】
上記停止操作無効化手段46は、図柄の変動開始直後の停止操作禁止期間において、ストップボタン61の操作を無効化する手段である。本例の停止操作無効化手段46では、上記停止操作禁止期間として、上記所定の関係を呈するように全てのリール2の変動タイミングを調整するのに要する期間を設定してある。
【0058】
次に、以上のように構成された本例のスロットマシン1の動作について、図5及び図6に示すフロー図に沿って説明する。図5は、遅延時間設定処理の流れを示すフローである。図6は、リール制御の流れを示すフローである。
【0059】
まず、図5を用いて遅延時間設定処理について説明する。ここでは、まず、ステップS101のごとく遅延時間設定ボタン67の操作が判断される。遅延時間設定ボタン67の操作があった場合には、ステップS102のごとく全てのリール2が停止中であるか否かが判断される。全てのリール2が停止中である場合には、ステップS103のごとく遅延時間の設定がされているか否かが判断される。
【0060】
遅延時間が未設定である場合には、ステップS104のごとく遅延時間が図柄「7コマ」分に設定される。一方、遅延時間が設定されている場合には、設定された遅延時間に応じたステップが実施される。遅延時間として図柄「7コマ」分が設定されている場合(ステップS114)には、ステップS115のごとく遅延時間が図柄「10コマ」分に設定変更される。遅延時間として図柄「10コマ」分が設定されている場合(ステップS125)には、ステップS126のごとく遅延時間が図柄「13コマ」分に設定変更される。さらに、遅延時間が図柄「13コマ」分に設定されている場合(ステップS103、S114、S125)には、ステップS136のごとく遅延時間の設定が解除される。
【0061】
次に、図6及び図7を用いてリール制御の流れについて説明する。ここでは、遅延時間設定処理により図柄7コマ分の遅延時間が設定された状態でのリール制御の流れを説明する。ここで、各リール2は、ゲーム終了時に、図7(A)に示すごとく停止しているものとする。
【0062】
まず、ステップS201のごとくスタートレバー62の操作が判断される。スタートレバー62が操作された場合には、ステップS202のごとくBIGボーナス役の内部当選フラグであるボーナスフラグのフラグ状態が判断される。ボーナスフラグが成立している場合、まず、ステップS203のごとく左リール2L(第1のリール)の回転が開始される(図7(B)参照。)。なお、ボーナスフラグに対応する入賞図柄は、図柄「7」である。
【0063】
その後、ステップS204のごとく左リール2Lの図柄番号21番の入賞図柄「7」と、中リール2C(第2のリール)の図柄番号14番の「R」とが横並びになったとき(図7(C)参照。)に、ステップS205のごとく中リール2Cの回転が開始される。中リール2Cでは、入賞図柄「7」が図柄番号21番に配置されており、図柄番号14番の「R」とは7コマずれている。したがって、上記のようなタイミングで中リール2Cの回転を開始させれば、第1のリールである左リール2Lと、第2のリールである中リール2Cとが上記所定の関係を維持しながら変動し得る。
【0064】
続いて、ステップS206のごとく、中リール2C(第2のリール)の図柄番号21番の入賞図柄「7」と、右リール2R(第3のリール)の図柄番号14番の「ハッチングのプラム」とが横並びになったとき(図7(D)参照。)に、ステップS207のごとく右リール2Rの回転が開始される。右リール2Rでは、入賞図柄「7」が図柄番号21番に配置されており、図柄番号14番の「ハッチングのプラム」とは7コマずれている。したがって、上記のようなタイミングで右リール2Rの回転を開始させれば、第2のリールである中リール2Cと、第3のリールである右リール2Rとが上記所定の関係を維持しながら変動し得る。
【0065】
一方、ボーナスフラグが未成立の場合(ステップS202)は、ステップS213のごとく5枚役の内部当選フラグ(以下、5枚役フラグという。)が判断される。5枚役フラグが成立している場合には、ステップS214のごとく、まず、左リール2Lの回転が開始される。その後、左リール2Lの図柄番号7番の入賞図柄「太陽」と、中リール2Cの図柄番号21番の「7」とが横並びになったとき、ステップS216のごとく中リール2Cの回転が開始される。中リール2Lでは、入賞図柄「太陽」が図柄番号7番に配置されており、図柄番号21番の「7」とは7コマずれている。したがって、上記のようなタイミングで中リール2Cの回転を開始させれば、第1のリールである左リール2Lと、第2のリールである中リール2Cとが上記所定の関係を維持しながら変動し得る。
【0066】
続いて、ステップS217のごとく、中リール2Cの図柄番号7番の入賞図柄「太陽」と、右リール2Rの図柄番号10番の「R」とが横並びになったとき、ステップS218のごとく右リール2Rの回転が開始される。右リール2Rでは、入賞図柄「太陽」が図柄番号17番に配置されており、図柄番号10番の「R」とは7コマずれている。したがって、上記のようなタイミングで右リール2Rの回転を開始させれば、第2のリールである中リール2Cと、第3のリールである右リール2Rとが上記所定の関係を維持しながら変動し得る。一方、ボーナスフラグ及び5枚役フラグが未成立の場合(ステップS202、ステップS213)には、ステップS224のごとく全てのリールの回転が同時に開始される。
【0067】
本例のスロットマシン1では、ボーナス役あるいは5枚役の入賞図柄を基準とした各リール2の変動タイミングのズレ(上記遅延時間)を一定としてあるため、当該遅延時間に略一致する時間差をあけてテンポ良く各ストップボタン61を操作することで、比較的容易にボーナス役あるいは5枚役を入賞させることができる。
【0068】
一方、本例のスロットマシン1では、ストップボタン61の操作を開始するタイミングや、操作するテンポ等については遊技者がタイミングをとる必要がある。それ故、このスロットマシン1では、ボーナス役あるいは5枚役を入賞させるに当たって、ある程度の目押しの技術が要求され、それ故、入賞できた際には、遊技者は、目押しを成功できたことに満足感や達成感を感じることができる。さらに、本例のスロットマシン1では、ストップボタン61をテンポ良く操作する遊技方法が有利となるため、遊技場側にとっては、時間当たりの稼動の向上を期待できる。
【0069】
以上のように、本例のスロットマシン1は、特定の図柄を狙って停止させる目押しの難易度を抑制すると一方、目押しの苦手な遊技者にも目押しの楽しみを提供し得るスロットマシンである。
なお、本例は、ボーナスフラグあるいは5枚役フラグが成立したゲームにおいて時間差をあけて各リール2を始動する一方、それ以外のゲームでは全リール2を同時に始動するように構成した例である。これに代えて、ボーナスフラグ及び5枚役フラグの不成立のゲームのうち、時間差をあけて各リール2を始動するゲームを設定しても良い。例えば、内部当選役の抽選とは別の抽選に当選した際にこのようなゲームを発生させたり、内部抽選手段が42が内部抽選に用いる乱数に応じてこのようなゲームを発生させたりすることができる。
【0070】
さらに、本例は、5枚役フラグあるいはボーナスフラグの成立に応じて、所定の関係を呈するようにリール2による図柄の変動表示を制御した例である。これに代えて、所定の関係を呈するようにリール2による図柄の変動表示を制御するための契機となる内部当選フラグを他のフラグに置き換えることもできる。
【0071】
さらに、本例では、遅延時間設定ボタン67を利用して遅延時間を設定させるように構成している。これに代えて、例えば、液晶表示部53の画面表示を利用して遅延時間を設定させるように構成することもできる。例えば、「7コマ」分の遅延時間を設定したい場合は左ストップボタン61L、「10コマ」に対しては中ストップボタン61C、「13コマ」に対しては右ストップボタン61Rを操作すべき旨を液晶表示部53に表示することも良い。
【0072】
さらに、本例では、遅延時間として、7コマ、10コマ、13コマの変動時間を設定したが、これらに限らず、様々な方法で遅延時間を設定可能である。また、本例では、図柄のコマ数により遅延時間を設定したが、これに代えて、0.5秒等の時間を遊技者に直接的に設定させることもできる。すなわち、遅延時間の設定方法としては、本例のごとく、図柄のコマ数を介して間接的に時間長さを設定できるほか、直接的に時間長さを指定して設定することも可能である。
【0073】
また、本例のスロットマシン1は、全てのリール2が所定の関係を満たして図柄の変動表示を行う例であるが、これに代えて、いずれか2基のリール2のみが所定の関係を満たして図柄の変動表示を行うスロットマシンであっても良い。この場合には、残りの1基のリール2については、スロットマシン1側の補助(アシスト)に依らない目押しに挑戦するように遊技者を仕向けることができる。さらになお、上記いずれか2基の組合せとしては、固定的に設定しても良く、流動的に設定しても良い。流動的に設定する場合には、スロットマシン1が抽選により決定しても良く、好みに応じて遊技者に設定させることも良い。
【0074】
本例のスロットマシン1では、左リール2L、中リール2C、右リール2Rの順番で押順を設定してあるが、これに代えて、好みに応じて押順を遊技者に設定させることも良い。遊技者に設定させる場合には、押順設定手段を設けることが好ましい。この押順設定手段としては、例えば、押順設定モードで遊技者がストップボタン61を操作した順番を上記押順として設定すること等ができる。
【0075】
なお、内部当選フラグが何も成立していない場合についても、各リールが図柄変動を開始するタイミングを異ならせることも良い。この場合には、入賞可能性が全く発生していないゲームについて、内部当選に対する遊技者の期待感を刺激するというガセ情報となり得る。
【0076】
さらに、内部当選フラグの種類に応じて、先行して図柄を変動表示させるリール(第1のリールあるいは第2のリール)を決定することも良い。この場合には、内部当選フラグの種類を示唆するフラグ情報を遊技者に提示する演出手段を設けることも良い。遊技者は、演出手段によるフラグ情報に基づいて内部当選フラグを予測し、予測できた内部当選フラグに応じて停止操作の順番を適宜、変更するという遊技を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1における、スロットマシンの機械的な構成を示すブロック図。
【図2】実施例1における、スロットマシンの外観を示す正面図。
【図3】実施例1における、スロットマシンの役、役図柄、払出メダル枚数を示す説明図。
【図4】実施例1における、リールの図柄配列を展開して示す展開図。
【図5】実施例1における、遅延時間設定処理の流れを示すフロー図。
【図6】実施例1における、リール制御の流れを示すフロー図。
【図7】実施例1における、ボーナスフラグ成立下でのリール制御を説明する説明図。
【符号の説明】
【0078】
1 スロットマシン
11 図柄表示窓
2 図柄変動表示手段(リール)
20 図柄
3 制御基板
41 フラグ制御手段
42 内部抽選手段
43 入賞図柄特定手段
44 図柄組合せ記憶手段
45 表示制御手段
46 停止操作無効化手段
47 遅延時間設定手段
48 乱数抽出手段
49 入賞役判定手段
61 ストップボタン
62 スタートレバー
67 遅延時間設定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞ライン上で複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示する第1の図柄変動表示手段及び第2の図柄変動表示手段と、
ゲームを開始させるために遊技者が操作する開始操作手段と、
ゲームの開始に応じて複数種類の役の中から内部当選役を抽選により決定し、該内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段と、
入賞するために入賞ラインに沿って停止表示される必要がある図柄の組合せを役毎に記憶した図柄組合せ記憶手段と、
図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作するよう、上記図柄変動表示手段毎に設けられた停止操作手段と、
上記各図柄変動表示手段における図柄の変動表示を制御する表示制御手段と、
上記図柄組合せ記憶手段が記憶する図柄の組合せのうち、上記内部当選フラグに対応する図柄の組合せを構成する入賞図柄を上記図柄変動表示手段毎に特定する入賞図柄特定手段と、を備えており、
上記表示制御手段は、いずれかの役に対応する内部当選フラグが成立した際、上記第1の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第2の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示するよう、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段を制御するように構成されていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
請求項1において、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を遊技者に報知するように構成されていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項3】
請求項1において、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を予め設定したことを特徴とするスロットマシン。
【請求項4】
請求項1において、全ての図柄変動表示手段のうち、上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を設定するために遊技者が操作する押順設定手段を備えたことを特徴とするスロットマシン。
【請求項5】
請求項1において、上記内部当選フラグに関連するフラグ情報を遊技者に提示する演出手段を備えていると共に、全ての図柄変動表示手段のうちで上記第1の図柄変動表示手段及び上記第2の図柄変動表示手段に対応する図柄変動表示手段を上記内部当選フラグに応じて設定するように構成されていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記図柄変動表示手段としては、上記第1及び上記第2の図柄変動表示手段のほかに第3の図柄変動表示手段があり、上記表示制御手段は、いずれかの役に対応する内部当選フラグが成立した際、上記第2の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示したタイミングから上記所定の遅延時間だけ遅れたタイミングで上記第3の図柄変動表示手段が上記入賞図柄を入賞ライン上に表示するようによう、上記第2及び第3の図柄変動表示手段を制御するように構成されていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記所定の遅延時間を設定するために遊技者が操作する遅延時間設定手段を備えたことを特徴とするスロットマシン。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、上記開始操作手段による操作の受け付け後、所定の停止操作禁止期間に渡って上記停止操作手段による停止操作を無効化する停止操作無効化手段を備えており、
上記表示制御手段は、上記停止操作禁止期間内に、上記所定の関係を呈するように上記各図柄変動表示手段が図柄を変動表示するタイミングを調整するように構成されていることを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284039(P2008−284039A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129801(P2007−129801)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】