説明

スロットマシン

【課題】 簡単な構造及び容易な操作でメダルの投入スピードを向上させる。
【解決手段】 メダル投入口2は、メダルの投入穴21と、複数の段差25Aが階段状に連なり、投入穴21へ向かって下り勾配を有する階段部23とを備える。階段部23に位置するメダルは、上段側の段差25Aから下段側の段差25Aへと、振動が与えられながら、順次滑り落ち、投入穴21に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを用いて遊技を行うスロットマシンに関し、特に、簡単な構造で、円滑なメダルの投入を実現するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダルをメダル投入口から投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字、文字等の図柄を表示した複数のリール(通常、3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押下されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組み合わせに応じて所定数のメダルがメダル払出口より払い出される遊技機である。
【0003】
図11は、従来のメダル投入口を示す断面図である。スロットマシンにおける従来の一般的なメダル投入口100は、投入穴101の手前に十枚程度のメダルMを載せるガイド溝部102が設けられる。遊技者は、複数枚のメダルMを縦置きに並べた状態でガイド溝部102に載置し、指で最後尾に位置するメダルMを押す。これにより、複数枚のメダルMがガイド溝部102にガイドされつつ、投入穴101に誘導される。そして、最前列に位置するメダルMから、順次投入穴101に投入されるようになっている。
【0004】
一方、所定枚数のメダルを投入できるように、投入穴の手前側に、メダル数枚分の幅を有し、投入穴に向けて下向きに傾斜した誘導座を形成した技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−45896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、メダルを連続投入する場合は、ガイド溝部に載置された複数枚のメダルをガイド溝部に沿って滑らせながら投入穴の方向へ押し進め、連続してメダルを投入するようになっている。
押し進められたメダルは、投入穴を越えて始めて落下動作に入るため、常にメダル1枚分の距離を推し進めるよう、メダルを押し込む力を加えなければならない。
そこで、特許文献1に記載の誘導座を投入穴の手前に設けることで、誘導座に位置するメダルを、その傾斜により、投入穴へ導くことができる。
【0007】
しかしながら、メダルは重なりながら推し進められることから、隣接するメダル同士の間に摩擦力が生じ、この摩擦力が個々のメダルの投入穴への落下を妨げる方向に作用していた。
その結果、誘導座に位置するメダルは重なり合ったまま滞留してしまい、円滑な投入が実現できなかった。
このように、誘導座の作用のみでは、円滑に投入されないことから、従来は、遊技者がメダルを投入している手を上下に震わせる等して、遊技者が故意にメダルに振動を与え、メダル同士の摩擦を緩和しながら投入していた。
【0008】
また、遊技者はできるだけ速く遊技を進行したいため、常に簡単に速く投入動作を行いたいと思っている。そのため、メダルの投入がしづらいと、遊技者に多大なストレスを与えることとなる。
そこで、メダルの投入を容易にするため、ローラ付きメダル投入ユニットを備えるスロットマシンが提案されている。
しかしながら、この場合には、ローラという別部品を設けなければならず、構造が複雑化して大きくなり、従前のスロットマシンに適用するのは容易ではない。また、可動部品を有するため故障の要因となることが否めず、コストも高くなる。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、簡単な構造で、メダルが円滑に投入されるとともに、投入スピードを向上させることができるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、メダルを投入可能な投入穴が開口されたメダル投入口を備えるスロットマシンであって、前記メダル投入口は、複数の段差が階段状に連なり、前記投入穴へ向う下り勾配を有する階段部を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスロットマシンによれば、投入穴に導かれるメダルに振動が与えられることで、多数のメダルが円滑に投入されるとともに、投入する際の投入スピードを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の各部の寸法を示した拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口にメダルが投入される状態を示す動作説明図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の断面図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の断面図である。
【図9】本発明の第四実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の断面図である。
【図10】本発明の第五実施形態に係るスロットマシンに設けられたメダル投入口の断面図である。
【図11】従来のメダル投入口を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0014】
[第一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す概略斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【0015】
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0016】
そして、本実施形態のスロットマシン1は、メダルが投入されるメダル投入口2に、本発明の階段部23を備えることで、重なり合う多数のメダルを容易に投入できるようになっている。以下、本実施形態のスロットマシン1について詳述する。
【0017】
[スロットマシン本体]
本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部50及び必要な機械、装置等を収納可能な筐体状に構成されており、筐体1bの前面側が前扉1aによって開閉可能に覆われている。
【0018】
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る各装置等が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0019】
前扉1aの中央右側には、スロットマシン遊技に使用されるメダルを投入するメダル投入口2が配置され、所定数のメダルが投入されることで、メダル投入口2と連通するメダルセレクター20によってメダルが検出され、ゲーム可能な状態にすることができる。なお、メダル投入口2の詳細な構成については後述する。
【0020】
前扉1aの中央左側には、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、遊技者により、スタートレバー3が操作させることで、スタート信号が出力されるようになっている。そして、ゲーム可能な状態において、このスタート信号が制御部50に入力されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転を開始する。
【0021】
前扉1aの中央部には、各リール41a,41b,41cに対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されることで、回転している各リール41a,41b,41cを停止させることができる。
【0022】
前扉1aの中央上側には表示窓6が設けられており、停止状態にある各リール41a,41b,41cに表示された縦方向に連続する3つの図柄が、表示窓6を介して視認できるようになっている。前扉1aの下部には、メダル払出口8が設けられ、メダルがこのメダル払出口8から払い出されるようになっている。
【0023】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
【0024】
さらに、筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出するメダル払出装置7が設けられ、各リール41a,41b,41cに表示された縦方向に連続する3つの図柄の組み合わせが所定の組み合わせで停止表示された場合、所定数のメダルをメダル払出口8から払い出すようになっている。
【0025】
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルが、メダルセレクター20によりホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0026】
筐体1bの上部には、上述した各装置を制御することでスロットマシン遊技を管理し、制御手段として機能する制御部50が設けられ、上述したスタート信号の入力に基づき、各リール41a,41b,41cの回転を開始させる。
【0027】
それと同時に、制御部50において、ボーナスや小役等を抽せんする内部抽せんが行われ、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽せん結果に応じた図柄の組み合わせで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cを停止制御する。
【0028】
また、前扉1aの裏面左側には、メダル投入口2より投入されたメダルをフォトインタラプタ等の検出手段で検出し、ホッパー7aに誘導するメダルセレクター20が設けられている。
【0029】
この検出手段からの検出信号は、制御部50に入力され、所定数(例えば、3枚)のメダル投入が計数された場合に、ゲーム可能な状態に移行するようになっている。
【0030】
また、メダルセレクター20の下部には、シュート9が設けられている。シュート9には、メダル払出口8に連通する受入口が設けられ、メダルセレクター20から離脱・排除されたメダルが受入口に向けて落下し、シュート9を経由して、メダル払出口8から遊技者に返却される。
【0031】
[メダル投入口]
次に、本実施形態のメダル投入口2について、図3〜図6を参照して詳述する。
図3は、本実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口の一例を示す斜視図、図4は、図3に示したメダル投入口の断面図、図5は、図3に示したメダル投入口の各部の寸法を示した拡大断面図、図6は、図3に示したメダル投入口にメダルが投入される状態を示す動作説明図である。
【0032】
各図に示すように、メダル投入口2には、メダルMの投入穴21と、投入穴21の後面であって、投入穴21の上方に延出する背部22と、メダルMを投入穴21に誘導する階段部23と、メダルMを載置可能に形成され、メダルMを階段部23に誘導するガイド溝部24が形成されている。
【0033】
投入穴21は、メダルMを投入可能に開口されるとともに、メダルMの外形及び厚みを規制するように形成され、規定の大きさ以上のメダルは投入できないようになっている。そして、この投入穴21は、下流側に位置する前述のメダルセレクター20に連通している。
【0034】
背部22は、投入穴21の後面を上方に延出させ、メダルMを投入穴21に誘導する壁部として形成されたものである。また、この背部22は、階段部23によって誘導されるメダルMのオーバーランを制限するストッパーとしても機能している。
【0035】
階段部23は、複数の段差25A(本実施形態では、5段)が設けられ、各段差25Aが投入穴21に向かって下り勾配となるように連なり、階段状に形成される。
すなわち、階段部23は、投入穴21に向かう下り階段として構成されている。
【0036】
また、階段部23は、各段差25Aが所定の曲率を有して連なり、全体として、U字の樋状に凹設されている。
すなわち、階段部23は、メダルMを流下させる樋として機能し、この流下方向は、投入穴21に向けられている。
また、各段差25Aが有する曲率は、メダルMの外形とほぼ等しい又は僅かに小さい値となっている。
これにより、メダルMは、各段差25Aが有する曲率に案内されて、投入穴21に導かれる。
【0037】
また、各段差25Aは、図5に示すように、幅Aと高さBで構成されている。
各段差25Aの幅Aは、図6に示すメダルMの幅(厚さ)tより小さい値にしてある。例えば、スロットマシン1で使用される一般的なメダルの幅である1.6mmより小さい値としてある。
これにより、各段差25Aに位置するメダルMを、不安定な状態にさせることができ、投入穴21への移動が促進される。
【0038】
本実施形態における各段差25Aは、平面部26aと曲面部27aで形成してある。
平面部26aは、投入穴21に向かって下り勾配となるように、任意の角度θで傾斜が付けられている。
また、各段差25Aの角部を円弧状にした曲面部27aが形成され、階段状に連なる各段差25Aの平面部26aの間が滑らかにつなげられている。
【0039】
なお、階段部23における各段差25Aの高さBは任意の値であるが、段差25Aの高さを大きくすると、ガイド溝部24から投入穴21に至る段差の数が少なくなってしまうことから、段差が少なくとも3段以上は取れる高さとすることが好ましい。
【0040】
次に、ガイド溝部24は、メダルMの外形とほぼ等しい又は僅かに小さい曲率を有する円弧状の凹部として形成され、所定枚数のメダルMを縦置きに並べて載置できる長さを有している。
すなわち、ガイド溝部24は、U字の樋状に凹設され、メダルMが円弧状の凹部が有する曲率に案内されて、投入穴21に導かれるように構成されている。
さらに、ガイド溝部24は、階段部23に通じる、メダルMを投入穴21に向かって滑動可能な継ぎ目のない滑らかな面で形成されている。
本実施形態のガイド溝部24は、ほぼ水平とし、勾配を設けていないが、投入穴21に向かって下り勾配、又は上り勾配とすることもできる。
なお、載置可能な形状とは、手や指等で支持することで、メダルが載置されることも含むものとする。
【0041】
このような構成からなるメダル投入口2は、以下に示すような作用効果を奏する。特に、本発明のメダル投入口2は、図6に示すように、多数のメダルM(約十枚以上)を重ねて一度に投入しようとするときに、その効果を発揮する。
【0042】
図6に示すように、ガイド溝部24に載置された多数のメダルMが、矢印Fで示す方向に押し込む力を受けると、投入穴21に対向する最前列に位置するメダルMから、順次、階段部23に到達する。
さらに、矢印Fで示す方向に押し込む力を受けて、最初の段差25Aに位置したメダルMaは、平面部26aと曲面部27aを経て、下段側の段差25Aに滑り落ちる。
このときには、押し込む力を与えずとも、各段差25Aは投入穴21に向けた下り勾配の段差(下り階段)であるうえ、各段差25Aの幅Aは、メダルMの幅tより小さい値であるので、段差25Aに位置したメダルMは不安定な状態となるため、停滞することなく、自重によって下段側の段差25Aへ、さらに下段側の段差25Aへと自動的に滑り落ち、投入穴21へ導かれる。
そのうえ、平面部26aと曲面部27aは、投入穴21に向かう下り勾配で形成されていることから、メダルMaがこれらの面を滑り落ちるように投入穴21へ導かれる。
【0043】
そして、このメダルMaに続き、階段部23まで押し込まれた次のメダルMaも、順次、自重によって下段側の段差25Aへ、さらに下段側の段差25Aへと自動的に滑り落ち、投入穴21へ導かれる。
【0044】
このとき、階段部23を移動している各メダルMaは、上段側の段差25Aから下段側の段差25Aへ移動するに伴い、上段側の曲面部27aと下段側の平面部26aとの勾配の変化により振動が与えられ、重なり合うメダルMaのうち、前を進むメダルMaと後続するメダルMaとが、各々1枚ずつに分離される。
これにより、遊技者が人為的にメダルMaに振動を与えるような面倒な操作を行わなくても、メダルMaの移動に伴い自動的に振動が与えられることから、落下を妨げる方向に作用するメダル間の接触抵抗を低減させることができ、メダルMaの投入スピードを上げることができる。
【0045】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口2について、図7を参照して説明する。
図7は、第二実施形態のメダル投入口の断面図である。
第二実施形態のメダル投入口2では、階段部23を構成する各段差25Bが、水平な平面部26bにより形成され、その他の構成は、第一実施形態と同様となっている。
なお、本実施形態の各段差25Bの角部は略直角としてある。
【0046】
このような構成からなる本実施形態の階段部23では、平面部26bが水平であるものの、各段差25Bの幅Aが第一実施形態と同様、メダルの幅より小さい値であるため、平面部26bに位置するメダルを不安定な状態にさせることができ、投入穴21へのメダルMの移動が促進される。
【0047】
また、本実施形態では、角部を略直角とすることで、上段側の平面部26bと下段側の平面部26bとが鉛直面でつながることから、勾配の変化が大きくなり、階段部23を移動している各メダルMに加わる振動を増大させることができる。
これにより、重なり合う複数のメダルMは、1枚ずつへの分離が促進され、遊技者が人為的にメダルMに振動を与えるような面倒な操作を行うことなく、メダル間の接触抵抗を低減させて、メダルMの投入スピードを上げることができる。
【0048】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口2について、図8を参照して説明する。
図8は、第三実施形態のメダル投入口の断面図である。
第三実施形態のメダル投入口2では、階段部23を構成する各段差25Cが、水平な平面部26cと、各段差25Cの角部を投入穴21に向けて下り勾配で傾斜させた斜面部28とにより形成され、その他の構成は、第二実施形態と同様となっている。
【0049】
このような構成からなる本実施形態の階段部23では、第二実施形態と比較すると、平面部26bの幅が狭まり、平面部26cに位置するメダルをさらに不安定な状態にさせることで、投入穴21へのメダルMの移動を促進させている。
また、本実施形態では、第二実施形態と同様な鉛直面を残しつつ、角部を斜面部28としていることから、階段部23を移動するメダルMは、上段側の平面部26cから、斜面部28、鉛直面、下段側の平面部26cへと、複数の勾配の変化を経ることになる。その結果、階段部23を移動している各メダルMに小刻みに速い振動が加わり、重なり合う複数のメダルMは、1枚ずつへの分離が促進される。
さらに、斜面部28により、メダルが斜面を滑り落ちるように投入穴21へ導かれる。
【0050】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口2について、図9を参照して説明する。
図9は、第四実施形態のメダル投入口の断面図である。
第四実施形態のメダル投入口2では、第一実施形態における平面部をなくし、階段部23を構成する各段差25Dを、すべて円弧状の曲面部27bにより形成してある。
【0051】
このような構成からなる本実施形態の階段部23では、各段差25Dをすべて円弧状の曲面部27bとすることで、重なり合う複数のメダルMが曲面部27bを滑らかに移動しつつ、上段側の曲面部27bと下段側の平面部27bとの勾配の変化により振動が与えられ、各メダルMが1枚ずつ分離しながら、投入穴21へ導かれる。
【0052】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口2について、図10を参照して説明する。
図10は、第五実施形態のメダル投入口の断面図である。
第五実施形態のメダル投入口2は、第二実施形態における平面部26bを傾斜させて平面部26dとして構成してある。
【0053】
このような構成からなる本実施形態の階段部23では、メダルMが接する平面部26dは、投入穴21に向かって下り勾配となるように、任意の角度θで傾斜が付けられていることから、重なり合う複数のメダルMが各段差25Eを滑り落ちつつ、鉛直面でつながる上段側の平面部26dと下段側の平面部26dとの勾配の変化により振動が与えられ、各メダルMが1枚ずつ分離しながら、投入穴21へ導かれる。
【0054】
以上述べたように、各実施形態に係るメダル投入口2では、ガイド溝部24から投入穴21に至る傾斜面を、複数の段差25Aが連なる階段状に形成することで、メダルMに各段差25Aによる振動が与えられつつ、投入穴21へ導かれることから、遊技者が人為的にメダルMに振動を与えるような面倒な操作を行うことなく、メダル間の接触抵抗を低減させて、メダルの滞留を抑制しつつ、メダルMの投入スピードを上げることができる。
【0055】
また、各実施形態に係るメダル投入口2では、階段部23に至る手前側をガイド溝部24で構成することで、メダルMの載置部分を確保しつつ、階段部23に至るまでメダルMが滑動する助走区間とすることができ、階段部23に至ったメダルの初期速度を速めることができ、メダルMの投入スピードをさらに上げることができる。
【0056】
以上説明したように、階段部を有する本発明のメダル投入口を備えることで、投入穴に導かれるメダルに振動が与えられ、多数のメダルを投入する際の投入が円滑になり、投入スピードを向上させることができる。
また、メダル投入口に、新たなローラ等の別部品を設ける必要もないことから、従来のスロットマシンに容易に適用することができる。
さらに、階段部は複雑な構造を必要としないため、製造コストの低減を図ることができるとともに、故障の要因を排除することができる。
【0057】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、階段部に至る手前側(遊技者側)をガイド溝部24で構成したが、ガイド溝部24をなくして、全部を階段部とすることもできる。
また、段差の幅Aは、メダルの幅tとほぼ同じ、又は、メダルの幅tより大きくすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、メダルを使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
21 投入穴
22 背部
23 階段部
24 ガイド溝部
25A〜25E 段差
26a〜26d 平面部
27a〜27b 曲面部
28 斜面部
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 メダル払出口
9 シュート
20 メダルセレクター
41(41a,41b,41c) リール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを投入可能な投入穴が開口されたメダル投入口を備えるスロットマシンであって、
前記メダル投入口は、
複数の段差が階段状に連なり、前記投入穴へ向う下り勾配を有する階段部を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記段差は、メダルの幅より小さい幅を有する請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記段差は、前記投入口に向かって下り勾配で傾斜する平面部及び/又は曲面部を有する請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記段差がつながる角部に曲面部または斜面部を形成した請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記メダル投入口は、複数枚のメダルが載置可能に形成され、前記階段部に通じるガイド溝部を備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−240056(P2010−240056A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89991(P2009−89991)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】