説明

スロットマシン

【課題】 投入メダルが返却される遊技状態において、投入したメダルを有効に活用し、遊技の円滑な進行を図る。
【解決手段】 メダル投入口から投入されたメダルを所定の検出手段で検出し、遊技を進行させるスロットマシンであって、メダル投入口2からメダルセレクターに至る流路に、メダルMを係止する係止手段を備え、係止手段が、少なくとも投入されたメダルを検出する検出部と、検出部によって検出されたメダルを保持する保持部と、を有する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシンに関し、特に、投入メダルが返却される場合に、投入されたメダルを有効に活用するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダルをメダル投入口から投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄を表示した複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始する。そして、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押下されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数のメダルがメダル払出口より払い出されるように構成されている。
【0003】
このようなスロットマシンには、メダル投入口から投入されるメダルを検出し、スロットマシン内部に誘導するメダルセレクターが設けられている。
メダルセレクターは、メダルを内部に誘導するだけでなく、以下のような遊技状態のときに、新たに投入されたメダルを、メダル払出口から遊技者に返却する機能を有している。
【0004】
例えば、スタートレバー操作が操作され、リールが回転を開始した後や、メダルを投入することなく再遊技が可能となる所謂リプレイに入賞したとき、又は、内部メモリに記憶した遊技に投入されるクレジットの上限数が、所定数(50枚)以上のとき、などの遊技状態である。
【0005】
このような遊技状態のときにメダルを返却する機能は、投入しても遊技に関与されないメダルを遊技者に適正に返還するうえで、不可欠な機能である。
なお、スロットマシン遊技が開始した後は、新たなメダルの投入のみならず、不正な治具等の侵入を防止すべく、メダル投入口を閉塞する発明が提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−313236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のメダルを返却する機能は、以下のような弊害も生じていた。
一般に、遊技者は、メダルをメダル投入口に投入するに際して、正確にメダル枚数を数えることはなく、連続的に投入する。
また、遊技者は、メダル投入や、スタートレバー操作、停止ボタン操作などの一連の遊技操作を、現在のクレジット数や、リプレイ入賞などの遊技状態を正確に把握せずに、無意識に流れ作業として行っている。
その結果、投入メダルが返却される遊技状態で、遊技に関与しない余分なメダルを投入することは頻繁にある。
このような場合、余分なメダルはメダル払出口から返却されるため、遊技者は、そのたびに、メダル払出口から返却メダルを取り出し、再びメダル投入口に投入しなければならなかった。このような動作は、遊技動作として二度手間であり、極めて煩わしいとともに、遊技者をいらだたせる要因にもなっていた。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、投入メダルが返却される遊技状態において、投入されたメダルを係止し、投入が有効となったときに係止解除することで、遊技に関与しない余分な投入メダルを有効に活用することができ、円滑に遊技が進行できる画期的なスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、メダル投入口から投入されたメダルを所定の検出手段で検出し、遊技を進行させるスロットマシンであって、前記メダル投入口から前記検出手段に至る流路における、前記メダル投入口近傍に、メダルを係止する係止手段を備え、前記係止手段が、少なくとも投入されたメダルを検出する検出部と、この検出部より下流側に配置され、検出部によって検出されたメダルを保持する保持部と、を有する構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスロットマシンによれば、投入メダルが返却される遊技状態において、投入したメダルが有効に活用され、遊技の円滑な進行が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
ここで、以下の実施形態に示す本発明のスロットマシンは、プログラムに制御されたコンピュータにより動作するようになっている。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、所定の制御、例えば、リールの回転開始,リールの停止制御,内部抽せん等を行わせる。このように、本発明に係るスロットマシンにおける各制御,動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現されるものである。なお、プログラムは予めROM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行される。
【0012】
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じく本実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。また、図3は、本実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口を示す概略斜視図であり、図4は、本実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機である。
【0013】
具体的には、本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部50及び必要な機械,装置等を収納可能な筐体状に構成されており、筐体1bの前面側が前扉1aによって開閉可能に覆われている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る各装置等が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0014】
前扉1aの中央右側には、遊技媒体となるメダルを投入するメダル投入口2が配置されている。
図3に示すように、メダル投入口2には、メダルの受入れ口である口部21と、この口部21の後面であって、上方に延出する背部22と、メダルを載置可能かつ、メダルを口部21に誘導可能に口部21に向けて傾斜する載置部23と、が形成されている。
口部21の寸法は、投入可能なメダルの外径及び厚みを規制するように形成され、規定の大きさ以上のメダルが投入できないようになっている。
【0015】
そして、この口部21から投入されたメダルは、この口部21より下流側に配置されたメダルセレクター10に流入する。
本実施形態のスロットマシン1には、このメダル投入口2からメダルセレクター10に至る流路に、本発明に係る係止手段が内設され、メダルが返却される遊技状態において、投入されたメダルを係止するように構成されている。なお、係止手段については、後述する。
【0016】
前扉1aの中央左側には、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、遊技者により、スタートレバー3が操作されることで、スタート信号が出力される。
そして、ゲーム可能な状態において、このスタート信号が出力されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転開始する。
【0017】
前扉1aの中央部には、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により、各停止ボタン5が押下操作されることで、ストップ信号が出力され、回転している各リール41を停止させることができるようになっている。
【0018】
前扉1aの中央上側には表示窓6が設けられており、各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が、当該表示窓6を介して視認できるようになっている。
【0019】
前扉1aの下部には、メダルが排出されるメダル払出口8が設けられている。
このメダル払出口8からは、入賞時に払出されるメダルのみならず、投入メダルが返却される遊技状態において、後述のメダルセレクター10に設けられたブロッカー12が作動しているときに投入されたメダルも、排出される。
【0020】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット4が設けられている。
ドラムユニット4は、制御部50によって制御され、ゲーム可能な状態で、スタートレバー3が操作されると、各リール41が一斉に回転を開始し、また、停止ボタン5が操作されると、この操作タイミングと、制御部50で行われるボーナス役や小役等を抽せんする内部抽せん結果とに基づき、各リール41が停止される。
【0021】
筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出すメダル払出装置7が設けられている。各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せが所定の組合せで停止表示された場合に、このメダル払出装置7が作動して、所定数のメダルがメダル払出口8から払出される。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられている。
メダル投入口2から投入されたメダルは、メダルセレクター10に流入し、検出手段11で検出された後に、当該ホッパー7aに貯留される。
【0022】
前扉1aの裏面には、上述のメダル投入口2と連通し、口部21から投入されたメダルを検出するとともに、ホッパー7aに誘導するメダルセレクター10が設けられている。
メダルセレクター10は、詳細には図示しないが、メダル投入口2とホッパー7aとの間に架設されたメダルのバイパス流路として形成され、このバイパス流路に、種々の装置が付設されたものである。
【0023】
具体的には、メダルセレクター10には、流入したメダルを、ホッパー7aへ誘導するか、メダル払出口8に誘導するかの流路切替えを行うブロッカー12と、このブロッカー12より下流側に設けられ、遊技に投入されるメダルを検出するセンサ等からなる検出手段11と、が設けられている。
【0024】
ブロッカー12は、例えば、ソレノイドを駆動源とし、励磁されることで、ホッパー7aへメダルを誘導するように構成された流路切替装置である。
そして、ソレノイドが非励磁となると、ブロッカー12が作動し、メダルセレクター10を通過するメダルは、メダルセレクター10から離脱し、メダルセレクター10の下部に設けられたシュート9を経て、メダル払出口8から排出され、遊技者に返却される。
【0025】
検出手段11は、投入メダルを返却する遊技状態以外の遊技状態であって、ブロッカー12が未作動時にメダルが到達するように、ブロッカー12より下流側に設けられ、この検出手段11によって検出されたメダルは、ホッパー7aへ誘導される。
検出手段11からの検出信号は、後述する制御部50に入力され、この検出信号に基づき、制御部50が、スタートレバー3が操作可能な状態、すなわちゲーム可能な状態に制御し、また、ゲームに賭け得るメダル数を制御部50の内部メモリ(RAM 50c)に記憶する、所謂クレジットすることができる。
【0026】
筐体1bの上部には、上記の各部、各装置を制御することでスロットマシン遊技を進行させる制御部50が設けられている。
制御部50は、中央演算処置装置(CPU 50a)、各種データや遊技プログラムが記録されたROM 50b、ワーク領域として機能するRAM 50c、上記各装置との信号を送受するI/O 50dなどが設けられたマイクロコンピュータとして構成されている。
【0027】
そして、制御部50は、I/O 50dを監視することで、メダルセレクター10の検出手段11からの検出信号を検出し、この検出信号に基づき、スロットマシン1をゲーム可能な状態に制御するとともに、所定の遊技状態においては、上述のブロッカー12を作動させ、メダル投入口2から投入されたメダルをメダル払出口8に誘導し、遊技者に返却する。
【0028】
具体的には、例えば、制御部50は、検出信号の入力数から投入メダル数を計数し、三枚のメダル数が計数されたときには、スロットマシン1をゲーム可能な状態、つまり、スタートレバー3の操作を有効な状態にする。
そして、スタートレバー3が操作されると、制御部50は、スタート信号を検出し、その結果、パルスモータを制御するパルス信号をドラムユニット4に送信して、各リール41の回転を開始させる。
また、スタート信号を検出したタイミングで、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口2から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
さらに、このタイミングで、所定数のメダルを獲得可能な小役、小役に高確率で当せんするボーナス役、メダル投入することなく再遊技可能なリプレイ役などの抽せん対象を抽せんする内部抽せんを行う。
【0029】
そして、各リール41が回転した状態で、各停止ボタン5が操作されると、制御部50は、ストップ信号を検出し、このストップ信号と内部抽せんの抽せん結果とに基づき、パルスモータを制御するパルス信号をドラムユニット4に送信し、各リール41を停止制御する。
そして、内部抽せんでリプレイ役に当せんし、各リール41が、このリプレイ役に対応した所定の図柄の組合せで停止表示した場合には、制御部50は、メダルを投入することなく再遊技可能な状態に制御し、スタート信号の入力を監視する。
このときには、ブロッカー12を作動させ、メダル投入口2から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
【0030】
また、制御部50は、ゲームに賭け得るメダル数をRAM 50cに記憶する、所謂クレジットを行う。
図示しない所定のクレジットボタンが操作され、クレジット可能な状態において、メダル投入口2からメダルが投入されたときや、小役に入賞したときには、制御部50は、検出信号の入力数や、払出される払出数を積算し、メダル枚数にして最大五十枚まで、RAM 50cに記憶する。
そして、RAM 50cに五十枚のメダルが記憶されている場合には、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口2から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
【0031】
このように、制御部50は、検出信号や、スタート信号、ストップ信号などの入力信号に基づき、各リール41を回転・停止させ、スロットマシン遊技の進行を制御するとともに、その時々の遊技状態に応じて、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口2から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
そして、ブロッカー12が作動した場合には、メダル投入口2から新たに投入されたメダルは、遊技に供されることなく、余分なメダルとして、メダル払出口8から遊技者に返却される。
そこで、本実施形態のスロットマシン1には、ブロッカー12が作動した状態、すなわち、投入したメダルが返却される遊技状態で投入されたメダルを係止する、本発明の係止手段が設けられている。以下、係止手段について、図5〜7を参照しつつ詳述する。
【0032】
[係止手段]
係止手段60は、メダル投入口2から投入されたメダルを検出する検出部61と、検出部61が検出したメダルを保持する保持部62とから構成され、各々制御部50によって制御される(図4参照)。
そして、係止手段60は、図3におけるメダル投入口2のA−A断面である図5(a)、図6(a)、図7や、メダル投入口2のB−B断面である図5(b)、図6(b)に示すように、メダル投入口2に内設され、口部21からメダルセレクター10に至る流路211に配置されている。
【0033】
検出部61は、図示しない赤外線を発光するLEDなどの発光素子と、赤外線を受光すると電流が流れるフォトトランジスタなどの受光素子とを備え、各素子は、図5(a)に示すように、口部21下側に配置された光ファイバー611,612と光伝播可能に接続されている。
各光ファイバー611,612は、メダルが流下する流路211を挟んで、対向して設けられている。
【0034】
そして、発光素子から照射された光は、光ファイバー611内を全反射しつつ伝播し、一旦流路211に放出された後、受光素子側の光ファイバー612に入射する。さらに、光ファイバー612内を全反射しつつ伝播した後に、受光素子に到達する。
このような構成とすることで、口部21からメダルが投入されると、メダルによって、伝播光が遮られ、受光素子から遮光信号が出力されることで、制御部50が、これを検知し、メダルの投入を検出できるようになっている。
【0035】
ここで、本実施形態では、発光素子と受光素子とを流路211を挟んで直接対向して配置せずに、光ファイバー611,612を介して光伝播可能に接続したのは、なるべく口部21近傍でメダルを検出し、検出したこの一枚のメダルのみを後述の保持部22によって保持したいがためである。
すなわち、投入メダルが返却される遊技状態において、メダルが投入されたときに、流路211に複数のメダルが連なって係止される事態を回避し、一枚のメダルだけ係止するためには、なるべく口部21近傍でメダルを検出する必要があるからである。
【0036】
一般に、発光素子と受光素子とがパッケージ化された既成のフォトインタラプタなどは、その外形によって、設置場所が制限されるが、本実施形態のように、光ファイバー611,612を用いる構成であれば、設置場所が限られた狭いスペースであっても、制限を受けることなく、設置できる。
このことから、本実施形態では、なるべく口部21近傍で、投入されるメダルを検出するために、光ファイバー611,612を用いている。
【0037】
本実施形態の保持部62は、図5に示すように、流路211に開口された挿通孔211aを介して、流路211内に進退可能に設けられた突出部622aが先端に形成されたプランジャ622と、プランジャ622が挿入されるソレノイド621と、ソレノイド621が励磁(オン)されていないとき、プランジャ622を、弾性をもって、流路211の壁面211b側に押し付けるバネ623と、を備えている。
なお、検出部61で検出したメダルそのものを保持部62が保持するように構成する必要性から、本実施形態では、保持部62の動力源として、瞬間的な応答性を重視すべく、ソレノイド621を採用している。また、ソレノイド621は、市場で安価に入手可能であることから、製造コストの低減も図られる。
【0038】
このような構成からなる保持部62は、制御部50が、ソレノイド621をオン制御すると、プランジャ622が、バネ623に抗して、吸引されることになる。
このときには、図5(a)に示すように、流路211が開放され、口部21から投入されたメダルが流下可能となり、下流側のメダルセレクター10に流入することになる。
そして、投入メダルが返却される遊技状態以外の遊技状態であって、クレジットが可能な遊技状態においては、このようなメダルが流下可能な状態となっている。
【0039】
一方、上述したような、各リール41が回転中の場合、リプレイに入賞した場合や、RAM 50cに五十枚のメダルが記憶され、クレジットできない場合などの投入メダルが返却される遊技状態においては、制御部50は、検出部61からの遮光信号を検出したときに、ソレノイド621をオフ制御する。
その結果、図6(a)に示すように、プランジャ622は、ソレノイド621の吸引から開放されることから、バネ623の弾性力によって、流路211の壁面211b側に押し付けられる。そして、このときに、この遮光信号に係るメダルMを、突出部622aと壁面211bとの間に挟持するようになっている。
ここで、突出部622aと壁面211bとの間に、この遮光信号に係るメダルMが挟持されるまでの流れを、メダルMが落下する軌跡を示した図6(b)を参照して説明する。
【0040】
メダルMは、落下を開始する開始点a(口部21が原点)から、初速度ゼロで自由落下する。
次に、メダルMが検出点b(光ファイバー611,612の設置位置:口部21下側約6mm)に到達したとき、制御部50は、メダルMを検出する。
メダルMの検出と同時に、制御部50は、ソレノイド621をオフ制御し、その結果、突出部622aが、メダルMを挟持可能に流路211に突出する。
【0041】
ところが、メダルMの検出から、突出部622aがメダルMを挟持可能に流路211に突出するまでは、検出からオフ制御までの電気的な遅れ(ソフト、ハードの遅れ)や、慣性や摩擦などのメカ的な遅れによって、遅延時間(約40ミリ秒)が生じる。
この遅延時間が経過したときに、メダルMは、保持可能点cに位置することになる。なお、開始点a、検出点b、保持可能点cは、各々メダルMの中心を示している。
【0042】
そこで、本実施形態では、突出部622aを、ほぼ保持可能点cに突出するように設け(例えば、口部21下側約14mm)、図6に示すように、突出部622aが、メダルMの中心付近に確実に当接し、メダル表面を押圧して保持するようになっている。
このように、本実施形態の係止手段60は、検出部61で検出したメダルMそのものを保持部62が保持するようになっている。
そして、保持されたメダルMは、口部21の僅か下側に位置し、口部21から取り出し不能に係止される。
【0043】
さらに、光ファイバー611,612と突出部622aとを、限りなく口部21に近接させて配置することで、図6(a)に示すように、一枚のメダルMのみ係止可能に構成されている。これにより、投入メダルが返却される遊技状態において、遊技に関与しない余分なメダルの投入を、最小限(メダル一枚)に抑えることができる。
【0044】
そして、各リール41の回転中など投入メダルが返却される遊技状態以外の遊技状態であって、クレジットが可能な遊技状態になると、制御部50が、ソレノイド621をオン制御することで、保持されたメダルMが係止解除され、メダルセレクター10に流入する。
これにより、投入メダルが返却されるような、各リール41の回転中などの遊技状態で投入されたメダルが、遊技に関与しない余分なメダルとなって、メダル払出口8から返却されることがなくなり、遊技に有効に活用されることになる。
【0045】
また、従来のように、投入メダルが返却される遊技状態にもかかわらず、誤ってメダルを投入することで、メダル払出口8から返却されたメダルを取り出し、再びメダル投入を行うような煩わしい作業がなくなり、円滑な遊技の進行が図られる。
【0046】
なお、本実施形態では、投入メダルが返却される遊技状態において、制御部50は、検出部61からの遮光信号を検出したときに、ソレノイド621をオフ制御し、検出部61で検出したメダルMそのものを保持部62が保持するようにしたが、検出部61からの遮光信号の有無にかかわらず、ソレノイド621をオフ制御してもよい。
すなわち、制御部50は、投入メダルが返却される遊技状態になったときに、直ちにソレノイド621をオフ制御する。その結果、バネ623の弾性力によって、突出部622aが流路211の壁面211bに当接し、流路211を流下不能に閉塞する。このようにして、投入メダルが返却される遊技状態において、メダル投入口2からのメダル投入を阻止することもできる。
【0047】
さらに、本実施形態では、メダル投入口2の載置部23に縦置きに並んで載置したメダルMを、遊技者が手や指などを添えることなく、自動的に口部21に投入可能に構成されている。
【0048】
具体的には、図7に示すように、メダル投入口2は、口部21の後面であって、上方に延出する背部22と、メダルを載置可能かつ、メダルMを口部21に誘導可能に口部21に向けて傾斜する載置部23とを備えている。また、投入メダルが返却される遊技状態では、投入されるメダルMを一枚単位で係止可能な係止手段60が設けられている。
【0049】
投入メダルが返却される遊技状態以外の遊技状態であって、クレジットが可能な遊技状態で、載置部23に複数のメダルMを縦置きに並んで載置すると、メダルMは、自重により口部21に向かって移動する。そして、背部22に誘導されて、次々と口部2から流路211を流下することになる。
【0050】
一方、投入メダルが返却される遊技状態では、突出部622aによって、一枚のメダルMが保持されることから、この保持された一枚のメダルMに後続する載置された複数のメダルMは、移動を停止する。
そして、再び投入メダルが返却される遊技状態以外の遊技状態になると、載置されたメダルMは、自重により口部21に向かって移動する。
【0051】
このように、投入メダルが返却・非返却となる遊技状態に対応して、載置部23に載置されたメダルMは、移動・停止を繰り返すことになり、遊技に供される有効なメダルMのみが自動的に投入されるようになっている。
これにより、載置部23にメダルMを縦置きに並んで載置するだけで、メダルMが自動的に投入され、メダル投入に係る煩雑な作業を軽減することができる。
【0052】
以上述べたように、本実施形態のスロットマシン1では、メダル投入口2からメダルセレクター10に至る流路であって、メダル投入口2の近傍に、メダルMを係止する係止手段60が設けられている。これにより、投入メダルが返却される遊技状態において、投入されたメダルMを係止し、投入が有効となったときに係止解除することができ、遊技に関与しない余分なメダルMの投入を防止しつつ、円滑に遊技が進行できる。
【0053】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0054】
例えば、本実施形態では、突出部622aがメダル表面を押圧することで、メダルを保持する構成としたが、突出部622aが、壁面211bに当接し、流路211を閉塞することで、メダルを保持する構成とすることもできる。
また、本実施形態では、保持部62を構成するソレノイド621は、オフ制御されることで、メダルMを保持するように設けたが、オン制御されることで、メダルMを保持するように設けることもできる。
また、検出部61に検出手段として光センサを設けたが、これに代えて、メダルの通過によりオンオフされるアクチュエータを備えるマイクロスイッチとすることもできる。
また、突出部622aを流路211に進退させる動力源として、ソレノイド621に代えて、モータを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、メダルを使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの係止手段の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口の断面図を示し、(a)は、突出部がメダル表面を押圧して保持した状態を示す断面図であり、(b)は、投入されたメダルの落下軌跡を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入口に複数のメダルを縦置きに載置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
211 流路
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
41(41a,41b,41c) リール
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 メダル払出口
9 シュート
10 メダルセレクター
11 検出手段
12 ブロッカー
50 制御部
60 係止手段
61 検出部
611,612 光ファイバー
62 保持部
621 ソレノイド
622a 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口から投入されたメダルを所定の検出手段で検出し、遊技を進行させるスロットマシンであって、
前記メダル投入口から前記検出手段に至る流路における、前記メダル投入口近傍に、メダルを係止する係止手段を備え、
前記係止手段が、少なくとも投入されたメダルを検出する検出部と、この検出部より下流側に配置され、検出部によって検出されたメダルを保持する保持部と、を有すること特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記保持部は、前記流路に進退可能に設けられ、メダル表面を押圧して保持する突出部を備える請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記係止手段は、一のメダルを係止可能に設けられた請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
メダルを載置可能かつ、メダルを前記メダル投入口に誘導可能にこのメダル投入口に向けて傾斜する載置部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記メダル投入口から投入されたメダルが返却される所定の遊技状態において、前記係止手段が作動する請求項1〜4のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記遊技状態において、前記検出部によるメダル検出の有無にかかわらず、前記保持部が作動する請求項5記載のスロットマシン。
【請求項7】
前記保持部が、メダルを保持する動力源としてソレノイドを備える請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項8】
前記検出部が、発光素子と受光素子とを有する光センサを備え、
メダルを検出する位置に、光伝播可能に前記各素子に接続された一対の光ファイバーを対向して設けた請求項1〜7のいずれか一項に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−75223(P2010−75223A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243647(P2008−243647)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】