スロットル装置
【課題】ECU基板の取付構造の工夫により、スロットルボディの組み付け性の向上や小型化等を図ることができるスロットル装置を提供する。
【解決手段】スロットル装置60の差込凹部63aに制御ユニット100を差し込むことで、制御ユニット100に設けられた第1端子101と差込凹部63aに設けられたケース側接点106とが係合して、制御ユニット100とスロットル開度センサ80等の電子機器とが電気的に接続されるように構成する。第1端子101を、制御ユニット100に対して、差込凹部63aに挿入する側の一端部に設け、制御ユニット100からの信号を出力するハーネス66が接続される第2端子102を他端部に設ける。ハーネス66と第2端子102との接続部分を絶縁性の封止部材104で覆い、制御ユニット100を挿入することで、封止部材104が差込凹部63aの開口部を密閉するように構成する。
【解決手段】スロットル装置60の差込凹部63aに制御ユニット100を差し込むことで、制御ユニット100に設けられた第1端子101と差込凹部63aに設けられたケース側接点106とが係合して、制御ユニット100とスロットル開度センサ80等の電子機器とが電気的に接続されるように構成する。第1端子101を、制御ユニット100に対して、差込凹部63aに挿入する側の一端部に設け、制御ユニット100からの信号を出力するハーネス66が接続される第2端子102を他端部に設ける。ハーネス66と第2端子102との接続部分を絶縁性の封止部材104で覆い、制御ユニット100を挿入することで、封止部材104が差込凹部63aの開口部を密閉するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置に係り、特に、スロットルバルブを収納するスロットルボディにエンジンの制御ユニットを取り付けるようにしたスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの燃料噴射量や点火時期等を制御する制御ユニット(ECU)と、スロットル開度センサや吸気圧センサ等の各種センサ類とをスロットル装置のスロットルボディに直接取り付けるようにした構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、スロットルボディの一壁面に、該スロットルボディと一体式の箱状ケース部を設け、この箱状ケース部の内部に制御ユニットのECU基板および吸気圧センサを収納するようにしたスロットル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−285898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された制御ユニットの取付構造では、吸気圧センサとECU基板との間を配線やハンダ付け等で接続するため、組立工数の増加やセンサ出力へのノイズ障害、さらに、ECU基板を樹脂ポッティング処理で絶縁固定する際の配線に対する配慮などが必要であった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ECU基板の取付構造を簡単にして、スロットルボディの組み付け性の向上や小型化等を図ることができるスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、吸気通路(67)を開閉するスロットルバルブ(70)が軸支されたスロットルボディ(61)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含む電子機器(80,81)と、エンジンの制御を行う制御ユニット(100)とを有するスロットル装置(60)において、前記スロットル装置(60)に、前記制御ユニット(100)が差し込まれる差込凹部(63a)が設けられており、前記差込凹部(63a)に前記制御ユニット(100)を差し込むことで、前記制御ユニット(100)に設けられた第1端子(101)と前記差込凹部(63a)に設けられた接点(106)とが係合して、該制御ユニット(100)と前記電子機器(80,81)とが電気的に接続されるように構成されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)における、前記差込凹部(63a)に挿入する側の一端部に設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記制御ユニット(100)における、前記一端部の反対側に位置する他端部に、前記制御ユニット(100)からの信号を出力するハーネス(66)が接続される第2端子(102)が設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記ハーネス(66)と前記第2端子(102)との接続部分が絶縁性の封止部材(104)で覆われており、前記制御ユニット(100)を前記差込凹部(63a)に挿入することで、前記封止部材(104)が前記差込凹部(63a)の開口部を密閉するように構成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)に取り付けられた制御ユニットケース(63)に形成されており、前記電子機器(80,81)は、前記制御ユニットケース(63)に収納されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)と一体形成された制御ユニットケース(63)に設けられている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記制御ユニット(100)および前記差込凹部(63a)は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、前記差込凹部(63a)は、前記スロットル装置(60)の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記電子機器(80,81)は、前記差込凹部(63a)の車幅方向側方の位置に配設されている点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)の厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、前記接点(106)は、前記第1端子(101)を挟むように該第1端子(101)の両側方から接触するように配設されている点に第9の特徴がある。
【0016】
さらに、前記制御ユニット(100)は、制御素子(110,111,112,113,114)が実装された制御基板(103)を備え、前記制御素子(110,111,112,113,114)に樹脂コーティング(120)が施されている点に第10の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
第1の特徴によれば、スロットル装置に、制御ユニットが差し込まれる差込凹部が設けられており、差込凹部に制御ユニットを差し込むことで、制御ユニットに設けられた第1端子と差込凹部に設けられた接点とが係合して、該制御ユニットと電子機器とが電気的に接続されるように構成されているので、スロットル装置に形成された差込凹部に制御ユニットを差し込むだけで、スロットル装置と制御ユニットとの電気的な接続と物理的な固定とを行うことができる。また、制御ユニットとスロットル装置との間の配線が不要となるので、制御ユニットをスロットル装置に取り付ける際にハンダ付け作業等が不要となり、組立工数の低減を図ることができる。さらに、制御ユニットと各センサ等の電子機器との間の配線が不要となるので、スロットル装置を小型化してスロットル装置まわりのスペース利用効率を向上させたり、電子機器がセンサ類である場合にノイズの影響も小さくすることができる。
【0018】
第2の特徴によれば、第1端子は、制御ユニットにおける、差込凹部に挿入する側の一端部に設けられているので、第1端子と接点との係合位置を差込凹部の入口から遠い位置に設定して、第1端子と接点との係合部分が水分や埃等の影響を受けにくくすることができる。また、差込凹部の奥で強固に制御ユニットを固定することができる。
【0019】
第3の特徴によれば、制御ユニットにおける、一端部の反対側に位置する他端部に、制御ユニットからの信号を出力するハーネスが接続される第2端子が設けられているので、制御ユニットを差込凹部に挿入した際に外部に露出する部分にハーネスが接続されることとなり、ハーネスの取付を容易に行うことができる。
【0020】
第4の特徴によれば、ハーネスと第2端子との接続部分が絶縁性の封止部材で覆われており、制御ユニットを差込凹部に挿入することで、封止部材が差込凹部の開口部を密閉するように構成されているので、封止部材によってハーネスと第2端子との接続部分が保護されると共に、第2差込凹部に制御ユニットを取り付けることで制御ユニットが水分や埃の影響を受けることを防ぐことができる。また、差込凹部に制御ユニットを挿入する構造のため、水分や埃の影響を避けるために必要な封止部材の量が少なくて済む。
【0021】
第5の特徴によれば、差込凹部は、スロットルボディに取り付けられた制御ユニットケースに形成されており、電子機器は、制御ユニットケースに収納されているので、制御ユニットケースに収納された電子機器と接点との連結等を小組作業によって先に実行してから、制御ユニットケースをスロットルボディに取り付けることができることとなり、スロットル組立作業が容易となる。
【0022】
第6の特徴によれば、差込凹部は、スロットルボディと一体形成された制御ユニットケースに設けられているので、部品点数を低減されると共に、スロットルボディと制御ユニットケースとの間に防水機構等を設ける必要がなくなる。
【0023】
第7の特徴によれば、制御ユニットおよび差込凹部は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、差込凹部は、スロットル装置の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されているので、車体前後方向に吸気通路を有するスロットル装置において、制御ユニットをスロットル装置の車幅方向左右いずれかに配置することで、車幅方向の寸法を低減することができる。
【0024】
第8の特徴によれば、電子機器は、差込凹部の車幅方向側方の位置に配設されているので、制御ユニットの寸法が小さい部分に電子機器が配設されることとなり、電子機器の配設によるスロットル装置の大型化を抑えることができる。
【0025】
第9の特徴によれば、第1端子は、制御ユニットの厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、接点は、第1端子を挟むように該第1端子の両側方から接触するように配設されているので、制御ユニットと第1端子との接続部分の小型化を図ることで、スロットル装置の小型化が可能となる。
【0026】
第10の特徴によれば、制御ユニットは、制御素子が実装された制御基板を備え、制御素子に樹脂コーティングが施されているので、スロットル装置に取り付ける前の制御ユニット単体でも制御素子の防水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットル装置を備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】自動二輪車の要部拡大平面図である。
【図3】スロットル装置を車体左側から見た側面図である。
【図4】スロットル装置の上面図である。
【図5】スロットル装置を図3のA方向から見た一部断面正面図である。
【図6】ECU基板ユニットの正面図である。
【図7】ECU基板ユニットの側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るスロットル装置の一部断面正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るECU基板ユニットの正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るECU基板ユニットの側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るスロットル装置の一部断面正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るスロットル装置を車体左側から見た側面図である。
【図13】制御ユニットケースと制御ユニットとの間の接点構造の第1変形例を示す断面図である。
【図14】制御ユニットケースに制御ユニットとの間の接点構造の第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスロットル装置60を備えた自動二輪車1の左側面図である。また、図2は、自動二輪車1の要部拡大平面図である。自動二輪車1の車体フレーム3は、ヘッドパイプ30、第1メインフレーム31、第2メインフレーム32、ダウンフレーム33、リヤフレーム34、並びにこれらフレームに接合されるガセット、ブラケット、ステー等の部材からなる。
【0029】
ツインプラグ方式の単気筒4サイクルのエンジン2は、シリンダ20、シリンダヘッド21、およびシリンダヘッドカバー22を備え、下部にクランクケース4を備える。エンジン2は、エンジン2と一体に結合されているクランクケース4を車体フレーム3に複数個所で連結することにより車体フレーム3に保持される。クランクケース4の車体左側には、ACジェネレータ5が設けられる。ACジェネレータ5は、エンジン2のクランク軸6に連結されて駆動される。
【0030】
第1メインフレーム31上には、燃料ポンプ7を内蔵した燃料タンク8およびシート9が保持される。燃料タンク8とエンジン2との間にはバッテリを収容するバッテリケース10が設けられる。エンジン2のシリンダヘッド21の左壁には第1の点火プラグ11が設けられ、後壁には第2の点火プラグ12が設けられている。
【0031】
シリンダヘッドカバー22の車体前方側には、車幅方向中央の位置に点火コイル13が配置されている。第1の点火プラグ11および第2の点火プラグ12は、点火コイル13に対して第1のハイテンションコード14および第2のハイテンションコード15によってそれぞれ接続される。第1のハイテンションコード14は、シリンダヘッドカバー22の左側方を通って前方に配索されており、第2のハイテンションコード15はシリンダヘッドカバー22の上方を通って前方に配索されている。なお、第2のハイテンションコード15は、その中間部分がバッテリケース10の底面に保持され、シリンダヘッドカバー22の上面との間で所定の距離を維持して配索されている。
【0032】
第2メインフレーム32の下端部には、スイングアーム16を上下揺動自在に支持するピボットボス17が設けられる。第2メインフレーム32は、リヤクッション18を介してスイングアーム16を懸架する。スイングアーム16の後部には、後輪WRが回転自在に軸支されている。クランクケース4から車体左側に突出する減速機の出力軸19と後輪WRとの間には駆動チェーン23が架け渡されている。
【0033】
シリンダヘッド22の前部から引き出される排気管24は、クランクケース4の下を回って車体右後方に延長され、その後端部にマフラ25が連結されている。シリンダヘッド22の後部には、本発明に係るスロットル装置60および吸気管27が接続され、吸気管27の後端部にはエアクリーナボックス28が連結されている。
【0034】
ヘッドパイプ30は、ステアリング軸29を回動自在に保持し、ステアリング軸29の上下にはトップブリッジ35およびボトムブリッジ36がそれぞれ結合されている。左右一対のフロントフォーク37は、トップブリッジ35およびボトムブリッジ36によって保持されており、その下端には前輪WFが回転自在に軸支されている。フロントフォーク37には、前輪WFを覆うフロントフェンダ38が取り付けられている。
【0035】
トップブリッジ35には、ステアリングハンドル39が固定され、ステアリングハンドル39の左右にはグリップ40およびバックミラー41が設けられる。トップブリッジ35およびボトムブリッジ36から前方に延びるステー42には、ヘッドライト43、フロントウィンカ44およびメータ装置45が取り付けられている。第1メインフレーム31の後部に連なるリヤフレーム34の後端には、リヤカウル46に固定されたテールライト47およびリヤウィンカ48が配設されている。
【0036】
ACジェネレータ5から上方に延びるハーネス49は、車体前後方向に延びるメインハーネス50に合流する。メインハーネス50内の配線は、バッテリケース10内のバッテリや、ヘッドライト43、フロントウィンカ44、テールライト47、リヤウィンカ48等の灯火器やリレー等の電装部品に結線されている。
【0037】
車体フレーム3の車体前端部にはヘッドパイプ30が配されており、このヘッドパイプ30に接合される第1メインフレーム31が車体後部側に延在している。第1メインフレーム31および第2メインフレーム32は、いずれも車体左方向に張り出した左部材と車体右方向に張り出した右部材とからなる左右一対のパイプ材である。第2メインフレーム32は、第1メインフレーム31が接合されている位置よりも下方でヘッドパイプ30に接合され、車体後方側に途中まで延びてその先が下方に湾曲して終端する。
【0038】
ダウンフレーム33は、ヘッドパイプ30にその先端が接合されて車体下方に延在する矩形横断面のパイプ部材である。リヤフレーム34は、第2メインフレーム32の垂下部分に先端が接合され、かつ上後方に延びて第1メインフレーム31の後部に接合されている。ダウンフレーム33の車体前方側には、オイルクーラ51が取り付けられている。オイルクーラ51とクランクケース4とは、不図示のパイプによってオイルが循環されるように接続される。第2メインフレーム32の下端部に形成されたピボットボス17は、スイングアーム16およびクランクケース4の後部を連結するピボット軸を支持する。
【0039】
図2を参照して、バッテリ(不図示)を収納するバッテリケース10は、左右一対の第1メインフレーム31および左右一対の第2メインフレーム32の間の位置に配置される。バッテリケース10は、バッテリを収容する箱体から左右に張り出したウィング部10aを備え、該ウィング部10aが第1メインフレーム31の上面に当接する。
【0040】
第1点火プラグ11に一端が接続される第1のハイテンションコード14の他端は、点火コイル13の一方の高圧出力端子53に接続されている。一方、第2点火プラグ12に一端が接続される第2のハイテンションコード15の他端は、点火コイル13の他方の高圧出力端子52に接続されている。高圧出力端子52,53は、いずれも点火コイル13上でエンジン2のシリンダヘッドカバー22寄りで、かつ点火コイル13上で車体左右方向の一側部(本実施形態では車体左側)に向けて配置されている。点火コイル13の右側には、電源端子55、56が突出しており、電源端子55,56に接続されるハーネス54は前記メインハーネス50に統合される。
【0041】
本発明に係るスロットル装置60は、吸気通路が車体前後方向に指向するようにシリンダヘッド22の車体後方側に配置されている。スロットル装置60は、略直方体の吸気通路を開閉するスロットルバルブ70(図3参照)を内蔵した略直方体のスロットルボディ61を備える。スロットルボディ61の車体左壁面には、略直方体の制御ユニットケース63が配設されている。制御ユニットケース63には、所定の厚みを有する平板状の制御ユニット100が収納されており、この制御ユニット100の上部に、車体側のハーネス66が接続されている。また、制御ユニットケース63の内部には、スロットルバルブ開度センサをはじめ、各種センサ等の電子機器も収納されている。各センサ出力は、制御ユニット100に入力されて燃料噴射量や点火タイミング等の演算処理に用いられる。
【0042】
スロットル装置60は、左右一対のフレームパイプ、すなわち、第1のメインフレーム31および第2のメインフレーム32の内側に配設されており、これにより、スロットル装置60の車幅方向左右をメインフレーム31,32で保護することができる。
【0043】
図3は、スロットル装置60を車体左側から見た側面図である。図4は、スロットル装置60の上面図である。図5は、スロットル装置60を図3のA方向から見た一部断面正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図5内の断面部分は、図3のB−B線による断面を示す。
【0044】
スロットル装置60のスロットルボディ61は、略円形断面の吸気通路67が形成されたアルミニウム等の金属からなる部品である。スロットルボディ61の車体前後方向の両端部には、エアクリーナボックス28(図2参照)と連結される入口側ダクト部68およびシリンダヘッド21の吸気通路と連結される出口側ダクト部69が形成されている。
【0045】
スロットルボディ61の内部には、プーリ72の回動軸71に連結されて吸気通路67を開閉するスロットルバルブ70が配設されている。プーリ72には、スロットルバルブ70を閉方向に常時付勢するスプリング73が取り付けられている。図5に示すように、バタフライ式のスロットルバルブ70は、回動軸71と同軸固定された抑え板74に対してネジ75で固定され、プーリ72の回転と同期して開閉するように構成されている。
【0046】
スロットルボディ61は、その長手方向に吸気通路が形成された略四角柱形状とされており、入口側ダクト部68および出口側ダクト部69を除いた4つの壁面90,91,92,93は、それぞれ平面形状を有している。スロットルボディ61の上壁面91および下壁面92は、それぞれ車体上下方向で対向するように配設され、左壁面90および右壁面93は、それぞれ車幅方向で対向するように配設されている。
【0047】
前記したように、スロットルボディ61の左壁面90には、各種センサおよび制御ユニット100を収納する制御ユニットケース63が取り付けられている。制御ユニットケース63には、電子機器として、スロットルバルブ70の開度を検知するスロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ(吸気圧センサ)81が収納されている。制御ユニットケース63の内部には、さらに、IACV(アイドルエアコントロールバルブ)のユニットやその駆動量センサ等の電子機器を収納することができる。
【0048】
制御ユニットケース63には、制御ユニット100が挿入される差込凹部63aが設けられており、その開口部が制御ユニットケース63の上面に形成されている。制御ユニット100は、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされる同様の形状とされており、差込凹部63aに着脱可能に構成されている。そして、制御ユニット100を所定位置まで差し込むことで、制御ユニット100とスロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ81とが電気的に接続されるように構成されている。ここで、図6および図7を併せて参照する。
【0049】
図6は、制御ユニット100の正面図であり、図7は同側面図である。制御ユニット100の外観は、ECU基板103と、複数の金属接点101aを有すると共にECU基板103の下端に一体に形成される薄板状の第1端子101と、ECU基板103の上部に固定される封止部材104とからなる。封止部材104の上部からはハーネス66が延出している。ゴム等の樹脂で形成される封止部材104は、ECU基板103の上端に一体に形成される板状の第2端子102と、ハーネス66の端部に連結されて第2端子と係合するハーネス側接点105とを覆っている。
【0050】
本実施形態では、封止部材104によってハーネス側接点105と第2端子102との係合が保持されるように構成されている。すなわち、制御ユニット100は、制御ユニットケース63の差込凹部63aに差し込むことで、板状端子101によって制御ユニットケース63に電気的に接続されると共に、制御ユニットケース63の内部に水や埃等が浸入しないように封止部材104によって封止される。なお、ハーネス側接点105と第2端子102とは、互いに着脱可能に構成してもよい。
【0051】
ECU基板103には、メインCPU110のほか、コンデンサ111,112、サブCPU113,114等の種々の制御素子が実装されている。また、ECU基板103には、第1端子101および第2端子102と各制御素子とを連結する配線101a,102aが配索されている。樹脂コーティング120は、これらの制御素子や配線を覆って、埃や水分、振動等の影響を低減する機能を有する。制御素子の種類や配置、配線の形状等は、種々の変形が可能である。
【0052】
再び図4,5を参照して、差込凹部63aの底部には、制御ユニット100の第1端子101と係合するケース側接点106が配設されている。ケース側接点106は、導体平板のプレス打ち抜き等により形成されるバスバー107に接続されており、このバスバー107を介して、スロットル開度センサ80およびPbセンサ81が接続されている。この構成によれば、制御ユニットケース63の差込凹部63aに制御ユニット100を差し込むことで、各センサとECU基板103とが電気的に接続されるので、制御ユニットケース63とECU基板103との間に配線やこれに伴うハンダ付け作業等が不要となり組立工数の低減を図ることができる。また、ECU基板103と各センサとの間の配線が不要となるので、制御ユニットケース63を小型化してスロットルボディ61まわりのスペース利用効率を向上させたり、センサ出力へのノイズの影響も小さくすることができる。
【0053】
さらに、制御ユニット100が簡単に着脱できるので、制御ユニット100の交換によって燃料噴射装置や点火装置のセッティングを変更したり、共通のスロットルボディ61を異なる車種に流用することが容易となる。そして、制御ユニット100を厚みのある板状に形成することにより、ECU基板を樹脂ポッティングする際のポッティング剤の使用量を減らすことが可能となる。
【0054】
なお、スロットルバルブ開度センサ80には、スロットルバルブ70の回動軸71の回転角度を検知するロータリ式センサが用いられるため、制御ユニットケース63は、スロットルバルブ開度センサ80が効率よく収納されるように、回動軸71の軸方向に対して略垂直の面に取り付けるのが好適である。これにより、本実施形態では、スロットルボディ61の左壁面90に制御ユニットケース63が取り付けられているが、プーリ72がスロットルボディ61の左壁面90に取り付けられる場合には、制御ユニットケース63を右壁面93に取り付けることができる。さらに、制御ユニットケース63は、スロットルバルブ70の回動軸71が車体上下方向に指向する場合には、スロットルボディ61の上壁面91または下壁面92に取り付けることができる。
【0055】
本実施形態では、スロットルボディ61と制御ユニットケース63とが別体式とされ、両者は締結部材(不図示)によって固定されている。これにより、制御ユニットケース63の内部の各センサとバスバー107の連結等を小組作業によって実行した後で、制御ユニットケース63をスロットルボディ61に取り付けることが容易になる。なお、制御ユニットケース63とスロットルボディ61とを一体に形成することもできる。
【0056】
ECU基板103には、パワートランジスタ等の発熱素子が含まれることがあるが、ECU基板103が差込凹部63aの内面に接触するように挿入されることで、発熱素子の熱は、制御ユニットケース63からスロットルボディ61に伝達されやすくなり、高い放熱性が得られることとなる。さらに、差込凹部63の開口部が車体上方に指向しているので、制御ユニット100への水はねやエンジン熱の影響が低減される。
【0057】
図8は、本発明の第2実施形態に係るスロットル装置60Aの一部断面正面図である。また、図9は、本発明の第2実施形態に係る制御ユニット200の正面図であり、図10は同側面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本実施形態では、制御ユニット200のECU基板203の側面に、制御ユニットケース163と電気的に接続するための第1端子210と、制御ユニットケース163の差込凹部163aの内壁面と係合するための係合突起220とが形成されている点に特徴がある。
【0058】
制御ユニット200の外観は、ECU基板203と、ECU基板203の上部に固定される封止部材204とからなる。封止部材204の上部からはハーネス66が延出している。封止部材204は、ECU基板203の上端に一体に形成される板状の第2端子202と、ハーネス66の端部に連結されて第2端子と係合するハーネス側接点205とを覆っている。そして、ECU基板203の一側面には、前記第1端子210が5箇所に配設されており、他側面には係合突起220が2箇所に配設されている。
【0059】
一方、制御ユニットケース163の差込凹部163aには、その車幅方向右側の内壁面に、ECU基板203の第1端子210に接触するケース側接点211が突出している。ケース側接点211は、導体平板のプレス打ち抜き等により形成されるバスバー207に接続されており、このバスバー207を介して、スロットル開度センサ80およびPbセンサ81が接続されている。また、差込凹部163aの車幅方向左側の内壁面には、ECU基板203の係合突起220と係合する係合凹部221が形成されている。
【0060】
上記した構成によれば、制御ユニットケース163aの差込凹部163aに制御ユニット200を差し込むことにより、係合突起210と係合凹部221とが係合すると共に第1端子210とケース側接点211とが接続されて、制御ユニットケース163aと制御ユニット200との電気的な接続および物理的な固定が同時に完了する。本実施形態に係る制御ユニット200では、第1端子210がECU基板203の側面に設けられるので、制御ユニット200の上下方向の寸法を低減することができる。また、制御ユニットケース163aと制御ユニット200とが、係合突起210および係合凹部221の係合構造によって固定されるので、ECU基板制御ユニット200を挿入した後に締結部材で固定する作業が不要となり、組立工数を低減することができる。
【0061】
図11は、本発明の第3実施形態に係るスロットル装置60Bの一部断面正面図である。また、図12は、このスロットル装置60Bを車体左側から見た側面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図11内の断面部分は、図12のC−C線による断面を示す。本実施形態では、前記第1実施形態に示したものと同様の制御ユニット100を挿入するために形成される制御ユニットケース263の差込凹部263aが、第1実施形態のような直方体ではなく、車幅方向左側の面を廃されて形成されている点に特徴がある。この構造のため、図12に示すように、車体左側から見た場合には、ECU基板103および封止部材104の側面が視認できることとなる。
【0062】
制御ユニット100の車体前後方向の両端面は、ユニットケース263の側壁264に当接している。この構成により、制御ユニット100は、この両端面における当接と、第1端子101およびケース側端子250,251間による係合とによって制御ユニットケース263の所定の位置に配設されることとなる。制御ユニット100を制御ユニットケース263に取り付ける際に必要な力は、第1端子101をケース側端子250,251へ挿入する圧力のみとなり、制御ユニット100の着脱作業が容易となる。
【0063】
図13および図14は、制御ユニットケースにECU基板を差し込んで固定する接点構造の変形例を示す断面図である。図12に示す第1変形例、図13に示す第2変形例のいずれも、ECU基板の板状端子と係合するケース側接点に接続される配線が、ECU基板の両側に振り分けられて配索される点に特徴がある。
【0064】
図13に示す第1変形例では、制御ユニットケース300の差込凹部303に、ECU基板304を差し込む構成において、差込凹部303の壁部301,302に配線としてのバスバー306a,308aが配設されている。バスバー306aの下端部にはケース側接点306が接続されており、バスバー308aの下端部にはケース側接点308が接続されている。ECU基板304の下端には、図示左右方向の両面に複数の金属接点が設けられた板状端子305が取り付けられている。板状端子305は、ECU基板304を所定位置まで押し込むことにより、ケース側接点306,308に両側から挟まれることとなる。バスバー306a,308aの上部には、配線307,309がそれぞれ接続されている。この第1変形例によれば、いずれか一方の壁に2本の配線を配索する方法に比して、制御ユニットケース300の図示左右方向の寸法が低減される。また、差込凹部303の下部にバスバーを取り回す必要がないため、バスバーの長さを短縮できると共に、制御ユニットケース300の図示上下方向の寸法を低減することも可能となる。
【0065】
また、図14に示す第2変形例では、制御ユニットケース400の差込凹部403に、ECU基板404を差し込む構成において、差込凹部403の壁部401にバスバー406aが配設されると共に、壁部401に対向する壁部402に、センサ409に連結されるバスバー408aが配設されている。バスバー406aの下端部にはケース側接点406が接続されており、バスバー408aの下端部にはケース側接点408が接続されている。ECU基板404の下端には、図示左右方向の両面に複数の金属接点が設けられた板状端子405が取り付けられている。板状端子405は、ECU基板404を所定位置まで押し込むことにより、ケース側接点406,408に両側から挟まれることとなる。この第2変形例によれば、制御ユニットケース402に収納されたセンサ409とECU基板404とを電気的に接続したい場合でも、いずれか一方の壁に2本の配線を配索する方法に比して、制御ユニットケース400の図示左右方向の寸法が低減できる。また、差込凹部403の下部にバスバーを取り回す必要がないため、バスバーの長さを短縮できると共に制御ユニットケース400の図示上下方向の寸法を低減することも可能となる。
【0066】
上記したように、本発明に係るスロットル装置によれば、スロットル装置に設けられた差込凹部に制御ユニットを差し込むことで、制御ユニットに設けられた第1端子と差込凹部に設けられた接点とが係合して、該制御ユニットと電子機器としての各センサとが電気的に接続されるように構成されているので、制御ユニットをスロットル装置に取り付ける際にハンダ付け作業等が不要となり、組立工数の低減を図ることができる。また、ECU基板と各センサとの間の配線が不要となるので、制御ユニットケースを小型化してスロットル装置まわりのスペース利用効率を向上させたり、電子機器がセンサ類である場合にノイズの影響も小さくすることができる。
【0067】
なお、スロットルボディ、制御ユニット、制御ユニットケース、ECU基板、差込凹部の形状や構造、制御ユニットケースに収納される電子機器の種類等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、制御ユニットおよび差込凹部の形状は、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状に限られず、その一部に曲面を有する形状であってもよい。本発明に係るスロットル装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両および汎用エンジン等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…自動二輪車、31…第1のメインフレーム、32…第2のメインフレーム、60…スロットル装置、61…スロットルボディ、63…制御ユニットケース、63a…差込凹部、70…スロットルバルブ、71…回動軸、72…プーリ、80…スロットルバルブ開度センサ、81…Pbセンサ(吸気圧センサ)、90…左壁面、91…上壁面、92…下壁面、93…右壁面、100…制御ユニット、101…第1端子、102…第2端子、103…ECU基板、104…封止部材、105…ハーネス側接点、106…ケース側接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置に係り、特に、スロットルバルブを収納するスロットルボディにエンジンの制御ユニットを取り付けるようにしたスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの燃料噴射量や点火時期等を制御する制御ユニット(ECU)と、スロットル開度センサや吸気圧センサ等の各種センサ類とをスロットル装置のスロットルボディに直接取り付けるようにした構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、スロットルボディの一壁面に、該スロットルボディと一体式の箱状ケース部を設け、この箱状ケース部の内部に制御ユニットのECU基板および吸気圧センサを収納するようにしたスロットル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−285898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された制御ユニットの取付構造では、吸気圧センサとECU基板との間を配線やハンダ付け等で接続するため、組立工数の増加やセンサ出力へのノイズ障害、さらに、ECU基板を樹脂ポッティング処理で絶縁固定する際の配線に対する配慮などが必要であった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ECU基板の取付構造を簡単にして、スロットルボディの組み付け性の向上や小型化等を図ることができるスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、吸気通路(67)を開閉するスロットルバルブ(70)が軸支されたスロットルボディ(61)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含む電子機器(80,81)と、エンジンの制御を行う制御ユニット(100)とを有するスロットル装置(60)において、前記スロットル装置(60)に、前記制御ユニット(100)が差し込まれる差込凹部(63a)が設けられており、前記差込凹部(63a)に前記制御ユニット(100)を差し込むことで、前記制御ユニット(100)に設けられた第1端子(101)と前記差込凹部(63a)に設けられた接点(106)とが係合して、該制御ユニット(100)と前記電子機器(80,81)とが電気的に接続されるように構成されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)における、前記差込凹部(63a)に挿入する側の一端部に設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記制御ユニット(100)における、前記一端部の反対側に位置する他端部に、前記制御ユニット(100)からの信号を出力するハーネス(66)が接続される第2端子(102)が設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記ハーネス(66)と前記第2端子(102)との接続部分が絶縁性の封止部材(104)で覆われており、前記制御ユニット(100)を前記差込凹部(63a)に挿入することで、前記封止部材(104)が前記差込凹部(63a)の開口部を密閉するように構成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)に取り付けられた制御ユニットケース(63)に形成されており、前記電子機器(80,81)は、前記制御ユニットケース(63)に収納されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)と一体形成された制御ユニットケース(63)に設けられている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記制御ユニット(100)および前記差込凹部(63a)は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、前記差込凹部(63a)は、前記スロットル装置(60)の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記電子機器(80,81)は、前記差込凹部(63a)の車幅方向側方の位置に配設されている点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)の厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、前記接点(106)は、前記第1端子(101)を挟むように該第1端子(101)の両側方から接触するように配設されている点に第9の特徴がある。
【0016】
さらに、前記制御ユニット(100)は、制御素子(110,111,112,113,114)が実装された制御基板(103)を備え、前記制御素子(110,111,112,113,114)に樹脂コーティング(120)が施されている点に第10の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
第1の特徴によれば、スロットル装置に、制御ユニットが差し込まれる差込凹部が設けられており、差込凹部に制御ユニットを差し込むことで、制御ユニットに設けられた第1端子と差込凹部に設けられた接点とが係合して、該制御ユニットと電子機器とが電気的に接続されるように構成されているので、スロットル装置に形成された差込凹部に制御ユニットを差し込むだけで、スロットル装置と制御ユニットとの電気的な接続と物理的な固定とを行うことができる。また、制御ユニットとスロットル装置との間の配線が不要となるので、制御ユニットをスロットル装置に取り付ける際にハンダ付け作業等が不要となり、組立工数の低減を図ることができる。さらに、制御ユニットと各センサ等の電子機器との間の配線が不要となるので、スロットル装置を小型化してスロットル装置まわりのスペース利用効率を向上させたり、電子機器がセンサ類である場合にノイズの影響も小さくすることができる。
【0018】
第2の特徴によれば、第1端子は、制御ユニットにおける、差込凹部に挿入する側の一端部に設けられているので、第1端子と接点との係合位置を差込凹部の入口から遠い位置に設定して、第1端子と接点との係合部分が水分や埃等の影響を受けにくくすることができる。また、差込凹部の奥で強固に制御ユニットを固定することができる。
【0019】
第3の特徴によれば、制御ユニットにおける、一端部の反対側に位置する他端部に、制御ユニットからの信号を出力するハーネスが接続される第2端子が設けられているので、制御ユニットを差込凹部に挿入した際に外部に露出する部分にハーネスが接続されることとなり、ハーネスの取付を容易に行うことができる。
【0020】
第4の特徴によれば、ハーネスと第2端子との接続部分が絶縁性の封止部材で覆われており、制御ユニットを差込凹部に挿入することで、封止部材が差込凹部の開口部を密閉するように構成されているので、封止部材によってハーネスと第2端子との接続部分が保護されると共に、第2差込凹部に制御ユニットを取り付けることで制御ユニットが水分や埃の影響を受けることを防ぐことができる。また、差込凹部に制御ユニットを挿入する構造のため、水分や埃の影響を避けるために必要な封止部材の量が少なくて済む。
【0021】
第5の特徴によれば、差込凹部は、スロットルボディに取り付けられた制御ユニットケースに形成されており、電子機器は、制御ユニットケースに収納されているので、制御ユニットケースに収納された電子機器と接点との連結等を小組作業によって先に実行してから、制御ユニットケースをスロットルボディに取り付けることができることとなり、スロットル組立作業が容易となる。
【0022】
第6の特徴によれば、差込凹部は、スロットルボディと一体形成された制御ユニットケースに設けられているので、部品点数を低減されると共に、スロットルボディと制御ユニットケースとの間に防水機構等を設ける必要がなくなる。
【0023】
第7の特徴によれば、制御ユニットおよび差込凹部は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、差込凹部は、スロットル装置の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されているので、車体前後方向に吸気通路を有するスロットル装置において、制御ユニットをスロットル装置の車幅方向左右いずれかに配置することで、車幅方向の寸法を低減することができる。
【0024】
第8の特徴によれば、電子機器は、差込凹部の車幅方向側方の位置に配設されているので、制御ユニットの寸法が小さい部分に電子機器が配設されることとなり、電子機器の配設によるスロットル装置の大型化を抑えることができる。
【0025】
第9の特徴によれば、第1端子は、制御ユニットの厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、接点は、第1端子を挟むように該第1端子の両側方から接触するように配設されているので、制御ユニットと第1端子との接続部分の小型化を図ることで、スロットル装置の小型化が可能となる。
【0026】
第10の特徴によれば、制御ユニットは、制御素子が実装された制御基板を備え、制御素子に樹脂コーティングが施されているので、スロットル装置に取り付ける前の制御ユニット単体でも制御素子の防水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットル装置を備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】自動二輪車の要部拡大平面図である。
【図3】スロットル装置を車体左側から見た側面図である。
【図4】スロットル装置の上面図である。
【図5】スロットル装置を図3のA方向から見た一部断面正面図である。
【図6】ECU基板ユニットの正面図である。
【図7】ECU基板ユニットの側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るスロットル装置の一部断面正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るECU基板ユニットの正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るECU基板ユニットの側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るスロットル装置の一部断面正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るスロットル装置を車体左側から見た側面図である。
【図13】制御ユニットケースと制御ユニットとの間の接点構造の第1変形例を示す断面図である。
【図14】制御ユニットケースに制御ユニットとの間の接点構造の第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスロットル装置60を備えた自動二輪車1の左側面図である。また、図2は、自動二輪車1の要部拡大平面図である。自動二輪車1の車体フレーム3は、ヘッドパイプ30、第1メインフレーム31、第2メインフレーム32、ダウンフレーム33、リヤフレーム34、並びにこれらフレームに接合されるガセット、ブラケット、ステー等の部材からなる。
【0029】
ツインプラグ方式の単気筒4サイクルのエンジン2は、シリンダ20、シリンダヘッド21、およびシリンダヘッドカバー22を備え、下部にクランクケース4を備える。エンジン2は、エンジン2と一体に結合されているクランクケース4を車体フレーム3に複数個所で連結することにより車体フレーム3に保持される。クランクケース4の車体左側には、ACジェネレータ5が設けられる。ACジェネレータ5は、エンジン2のクランク軸6に連結されて駆動される。
【0030】
第1メインフレーム31上には、燃料ポンプ7を内蔵した燃料タンク8およびシート9が保持される。燃料タンク8とエンジン2との間にはバッテリを収容するバッテリケース10が設けられる。エンジン2のシリンダヘッド21の左壁には第1の点火プラグ11が設けられ、後壁には第2の点火プラグ12が設けられている。
【0031】
シリンダヘッドカバー22の車体前方側には、車幅方向中央の位置に点火コイル13が配置されている。第1の点火プラグ11および第2の点火プラグ12は、点火コイル13に対して第1のハイテンションコード14および第2のハイテンションコード15によってそれぞれ接続される。第1のハイテンションコード14は、シリンダヘッドカバー22の左側方を通って前方に配索されており、第2のハイテンションコード15はシリンダヘッドカバー22の上方を通って前方に配索されている。なお、第2のハイテンションコード15は、その中間部分がバッテリケース10の底面に保持され、シリンダヘッドカバー22の上面との間で所定の距離を維持して配索されている。
【0032】
第2メインフレーム32の下端部には、スイングアーム16を上下揺動自在に支持するピボットボス17が設けられる。第2メインフレーム32は、リヤクッション18を介してスイングアーム16を懸架する。スイングアーム16の後部には、後輪WRが回転自在に軸支されている。クランクケース4から車体左側に突出する減速機の出力軸19と後輪WRとの間には駆動チェーン23が架け渡されている。
【0033】
シリンダヘッド22の前部から引き出される排気管24は、クランクケース4の下を回って車体右後方に延長され、その後端部にマフラ25が連結されている。シリンダヘッド22の後部には、本発明に係るスロットル装置60および吸気管27が接続され、吸気管27の後端部にはエアクリーナボックス28が連結されている。
【0034】
ヘッドパイプ30は、ステアリング軸29を回動自在に保持し、ステアリング軸29の上下にはトップブリッジ35およびボトムブリッジ36がそれぞれ結合されている。左右一対のフロントフォーク37は、トップブリッジ35およびボトムブリッジ36によって保持されており、その下端には前輪WFが回転自在に軸支されている。フロントフォーク37には、前輪WFを覆うフロントフェンダ38が取り付けられている。
【0035】
トップブリッジ35には、ステアリングハンドル39が固定され、ステアリングハンドル39の左右にはグリップ40およびバックミラー41が設けられる。トップブリッジ35およびボトムブリッジ36から前方に延びるステー42には、ヘッドライト43、フロントウィンカ44およびメータ装置45が取り付けられている。第1メインフレーム31の後部に連なるリヤフレーム34の後端には、リヤカウル46に固定されたテールライト47およびリヤウィンカ48が配設されている。
【0036】
ACジェネレータ5から上方に延びるハーネス49は、車体前後方向に延びるメインハーネス50に合流する。メインハーネス50内の配線は、バッテリケース10内のバッテリや、ヘッドライト43、フロントウィンカ44、テールライト47、リヤウィンカ48等の灯火器やリレー等の電装部品に結線されている。
【0037】
車体フレーム3の車体前端部にはヘッドパイプ30が配されており、このヘッドパイプ30に接合される第1メインフレーム31が車体後部側に延在している。第1メインフレーム31および第2メインフレーム32は、いずれも車体左方向に張り出した左部材と車体右方向に張り出した右部材とからなる左右一対のパイプ材である。第2メインフレーム32は、第1メインフレーム31が接合されている位置よりも下方でヘッドパイプ30に接合され、車体後方側に途中まで延びてその先が下方に湾曲して終端する。
【0038】
ダウンフレーム33は、ヘッドパイプ30にその先端が接合されて車体下方に延在する矩形横断面のパイプ部材である。リヤフレーム34は、第2メインフレーム32の垂下部分に先端が接合され、かつ上後方に延びて第1メインフレーム31の後部に接合されている。ダウンフレーム33の車体前方側には、オイルクーラ51が取り付けられている。オイルクーラ51とクランクケース4とは、不図示のパイプによってオイルが循環されるように接続される。第2メインフレーム32の下端部に形成されたピボットボス17は、スイングアーム16およびクランクケース4の後部を連結するピボット軸を支持する。
【0039】
図2を参照して、バッテリ(不図示)を収納するバッテリケース10は、左右一対の第1メインフレーム31および左右一対の第2メインフレーム32の間の位置に配置される。バッテリケース10は、バッテリを収容する箱体から左右に張り出したウィング部10aを備え、該ウィング部10aが第1メインフレーム31の上面に当接する。
【0040】
第1点火プラグ11に一端が接続される第1のハイテンションコード14の他端は、点火コイル13の一方の高圧出力端子53に接続されている。一方、第2点火プラグ12に一端が接続される第2のハイテンションコード15の他端は、点火コイル13の他方の高圧出力端子52に接続されている。高圧出力端子52,53は、いずれも点火コイル13上でエンジン2のシリンダヘッドカバー22寄りで、かつ点火コイル13上で車体左右方向の一側部(本実施形態では車体左側)に向けて配置されている。点火コイル13の右側には、電源端子55、56が突出しており、電源端子55,56に接続されるハーネス54は前記メインハーネス50に統合される。
【0041】
本発明に係るスロットル装置60は、吸気通路が車体前後方向に指向するようにシリンダヘッド22の車体後方側に配置されている。スロットル装置60は、略直方体の吸気通路を開閉するスロットルバルブ70(図3参照)を内蔵した略直方体のスロットルボディ61を備える。スロットルボディ61の車体左壁面には、略直方体の制御ユニットケース63が配設されている。制御ユニットケース63には、所定の厚みを有する平板状の制御ユニット100が収納されており、この制御ユニット100の上部に、車体側のハーネス66が接続されている。また、制御ユニットケース63の内部には、スロットルバルブ開度センサをはじめ、各種センサ等の電子機器も収納されている。各センサ出力は、制御ユニット100に入力されて燃料噴射量や点火タイミング等の演算処理に用いられる。
【0042】
スロットル装置60は、左右一対のフレームパイプ、すなわち、第1のメインフレーム31および第2のメインフレーム32の内側に配設されており、これにより、スロットル装置60の車幅方向左右をメインフレーム31,32で保護することができる。
【0043】
図3は、スロットル装置60を車体左側から見た側面図である。図4は、スロットル装置60の上面図である。図5は、スロットル装置60を図3のA方向から見た一部断面正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図5内の断面部分は、図3のB−B線による断面を示す。
【0044】
スロットル装置60のスロットルボディ61は、略円形断面の吸気通路67が形成されたアルミニウム等の金属からなる部品である。スロットルボディ61の車体前後方向の両端部には、エアクリーナボックス28(図2参照)と連結される入口側ダクト部68およびシリンダヘッド21の吸気通路と連結される出口側ダクト部69が形成されている。
【0045】
スロットルボディ61の内部には、プーリ72の回動軸71に連結されて吸気通路67を開閉するスロットルバルブ70が配設されている。プーリ72には、スロットルバルブ70を閉方向に常時付勢するスプリング73が取り付けられている。図5に示すように、バタフライ式のスロットルバルブ70は、回動軸71と同軸固定された抑え板74に対してネジ75で固定され、プーリ72の回転と同期して開閉するように構成されている。
【0046】
スロットルボディ61は、その長手方向に吸気通路が形成された略四角柱形状とされており、入口側ダクト部68および出口側ダクト部69を除いた4つの壁面90,91,92,93は、それぞれ平面形状を有している。スロットルボディ61の上壁面91および下壁面92は、それぞれ車体上下方向で対向するように配設され、左壁面90および右壁面93は、それぞれ車幅方向で対向するように配設されている。
【0047】
前記したように、スロットルボディ61の左壁面90には、各種センサおよび制御ユニット100を収納する制御ユニットケース63が取り付けられている。制御ユニットケース63には、電子機器として、スロットルバルブ70の開度を検知するスロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ(吸気圧センサ)81が収納されている。制御ユニットケース63の内部には、さらに、IACV(アイドルエアコントロールバルブ)のユニットやその駆動量センサ等の電子機器を収納することができる。
【0048】
制御ユニットケース63には、制御ユニット100が挿入される差込凹部63aが設けられており、その開口部が制御ユニットケース63の上面に形成されている。制御ユニット100は、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされる同様の形状とされており、差込凹部63aに着脱可能に構成されている。そして、制御ユニット100を所定位置まで差し込むことで、制御ユニット100とスロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ81とが電気的に接続されるように構成されている。ここで、図6および図7を併せて参照する。
【0049】
図6は、制御ユニット100の正面図であり、図7は同側面図である。制御ユニット100の外観は、ECU基板103と、複数の金属接点101aを有すると共にECU基板103の下端に一体に形成される薄板状の第1端子101と、ECU基板103の上部に固定される封止部材104とからなる。封止部材104の上部からはハーネス66が延出している。ゴム等の樹脂で形成される封止部材104は、ECU基板103の上端に一体に形成される板状の第2端子102と、ハーネス66の端部に連結されて第2端子と係合するハーネス側接点105とを覆っている。
【0050】
本実施形態では、封止部材104によってハーネス側接点105と第2端子102との係合が保持されるように構成されている。すなわち、制御ユニット100は、制御ユニットケース63の差込凹部63aに差し込むことで、板状端子101によって制御ユニットケース63に電気的に接続されると共に、制御ユニットケース63の内部に水や埃等が浸入しないように封止部材104によって封止される。なお、ハーネス側接点105と第2端子102とは、互いに着脱可能に構成してもよい。
【0051】
ECU基板103には、メインCPU110のほか、コンデンサ111,112、サブCPU113,114等の種々の制御素子が実装されている。また、ECU基板103には、第1端子101および第2端子102と各制御素子とを連結する配線101a,102aが配索されている。樹脂コーティング120は、これらの制御素子や配線を覆って、埃や水分、振動等の影響を低減する機能を有する。制御素子の種類や配置、配線の形状等は、種々の変形が可能である。
【0052】
再び図4,5を参照して、差込凹部63aの底部には、制御ユニット100の第1端子101と係合するケース側接点106が配設されている。ケース側接点106は、導体平板のプレス打ち抜き等により形成されるバスバー107に接続されており、このバスバー107を介して、スロットル開度センサ80およびPbセンサ81が接続されている。この構成によれば、制御ユニットケース63の差込凹部63aに制御ユニット100を差し込むことで、各センサとECU基板103とが電気的に接続されるので、制御ユニットケース63とECU基板103との間に配線やこれに伴うハンダ付け作業等が不要となり組立工数の低減を図ることができる。また、ECU基板103と各センサとの間の配線が不要となるので、制御ユニットケース63を小型化してスロットルボディ61まわりのスペース利用効率を向上させたり、センサ出力へのノイズの影響も小さくすることができる。
【0053】
さらに、制御ユニット100が簡単に着脱できるので、制御ユニット100の交換によって燃料噴射装置や点火装置のセッティングを変更したり、共通のスロットルボディ61を異なる車種に流用することが容易となる。そして、制御ユニット100を厚みのある板状に形成することにより、ECU基板を樹脂ポッティングする際のポッティング剤の使用量を減らすことが可能となる。
【0054】
なお、スロットルバルブ開度センサ80には、スロットルバルブ70の回動軸71の回転角度を検知するロータリ式センサが用いられるため、制御ユニットケース63は、スロットルバルブ開度センサ80が効率よく収納されるように、回動軸71の軸方向に対して略垂直の面に取り付けるのが好適である。これにより、本実施形態では、スロットルボディ61の左壁面90に制御ユニットケース63が取り付けられているが、プーリ72がスロットルボディ61の左壁面90に取り付けられる場合には、制御ユニットケース63を右壁面93に取り付けることができる。さらに、制御ユニットケース63は、スロットルバルブ70の回動軸71が車体上下方向に指向する場合には、スロットルボディ61の上壁面91または下壁面92に取り付けることができる。
【0055】
本実施形態では、スロットルボディ61と制御ユニットケース63とが別体式とされ、両者は締結部材(不図示)によって固定されている。これにより、制御ユニットケース63の内部の各センサとバスバー107の連結等を小組作業によって実行した後で、制御ユニットケース63をスロットルボディ61に取り付けることが容易になる。なお、制御ユニットケース63とスロットルボディ61とを一体に形成することもできる。
【0056】
ECU基板103には、パワートランジスタ等の発熱素子が含まれることがあるが、ECU基板103が差込凹部63aの内面に接触するように挿入されることで、発熱素子の熱は、制御ユニットケース63からスロットルボディ61に伝達されやすくなり、高い放熱性が得られることとなる。さらに、差込凹部63の開口部が車体上方に指向しているので、制御ユニット100への水はねやエンジン熱の影響が低減される。
【0057】
図8は、本発明の第2実施形態に係るスロットル装置60Aの一部断面正面図である。また、図9は、本発明の第2実施形態に係る制御ユニット200の正面図であり、図10は同側面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本実施形態では、制御ユニット200のECU基板203の側面に、制御ユニットケース163と電気的に接続するための第1端子210と、制御ユニットケース163の差込凹部163aの内壁面と係合するための係合突起220とが形成されている点に特徴がある。
【0058】
制御ユニット200の外観は、ECU基板203と、ECU基板203の上部に固定される封止部材204とからなる。封止部材204の上部からはハーネス66が延出している。封止部材204は、ECU基板203の上端に一体に形成される板状の第2端子202と、ハーネス66の端部に連結されて第2端子と係合するハーネス側接点205とを覆っている。そして、ECU基板203の一側面には、前記第1端子210が5箇所に配設されており、他側面には係合突起220が2箇所に配設されている。
【0059】
一方、制御ユニットケース163の差込凹部163aには、その車幅方向右側の内壁面に、ECU基板203の第1端子210に接触するケース側接点211が突出している。ケース側接点211は、導体平板のプレス打ち抜き等により形成されるバスバー207に接続されており、このバスバー207を介して、スロットル開度センサ80およびPbセンサ81が接続されている。また、差込凹部163aの車幅方向左側の内壁面には、ECU基板203の係合突起220と係合する係合凹部221が形成されている。
【0060】
上記した構成によれば、制御ユニットケース163aの差込凹部163aに制御ユニット200を差し込むことにより、係合突起210と係合凹部221とが係合すると共に第1端子210とケース側接点211とが接続されて、制御ユニットケース163aと制御ユニット200との電気的な接続および物理的な固定が同時に完了する。本実施形態に係る制御ユニット200では、第1端子210がECU基板203の側面に設けられるので、制御ユニット200の上下方向の寸法を低減することができる。また、制御ユニットケース163aと制御ユニット200とが、係合突起210および係合凹部221の係合構造によって固定されるので、ECU基板制御ユニット200を挿入した後に締結部材で固定する作業が不要となり、組立工数を低減することができる。
【0061】
図11は、本発明の第3実施形態に係るスロットル装置60Bの一部断面正面図である。また、図12は、このスロットル装置60Bを車体左側から見た側面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図11内の断面部分は、図12のC−C線による断面を示す。本実施形態では、前記第1実施形態に示したものと同様の制御ユニット100を挿入するために形成される制御ユニットケース263の差込凹部263aが、第1実施形態のような直方体ではなく、車幅方向左側の面を廃されて形成されている点に特徴がある。この構造のため、図12に示すように、車体左側から見た場合には、ECU基板103および封止部材104の側面が視認できることとなる。
【0062】
制御ユニット100の車体前後方向の両端面は、ユニットケース263の側壁264に当接している。この構成により、制御ユニット100は、この両端面における当接と、第1端子101およびケース側端子250,251間による係合とによって制御ユニットケース263の所定の位置に配設されることとなる。制御ユニット100を制御ユニットケース263に取り付ける際に必要な力は、第1端子101をケース側端子250,251へ挿入する圧力のみとなり、制御ユニット100の着脱作業が容易となる。
【0063】
図13および図14は、制御ユニットケースにECU基板を差し込んで固定する接点構造の変形例を示す断面図である。図12に示す第1変形例、図13に示す第2変形例のいずれも、ECU基板の板状端子と係合するケース側接点に接続される配線が、ECU基板の両側に振り分けられて配索される点に特徴がある。
【0064】
図13に示す第1変形例では、制御ユニットケース300の差込凹部303に、ECU基板304を差し込む構成において、差込凹部303の壁部301,302に配線としてのバスバー306a,308aが配設されている。バスバー306aの下端部にはケース側接点306が接続されており、バスバー308aの下端部にはケース側接点308が接続されている。ECU基板304の下端には、図示左右方向の両面に複数の金属接点が設けられた板状端子305が取り付けられている。板状端子305は、ECU基板304を所定位置まで押し込むことにより、ケース側接点306,308に両側から挟まれることとなる。バスバー306a,308aの上部には、配線307,309がそれぞれ接続されている。この第1変形例によれば、いずれか一方の壁に2本の配線を配索する方法に比して、制御ユニットケース300の図示左右方向の寸法が低減される。また、差込凹部303の下部にバスバーを取り回す必要がないため、バスバーの長さを短縮できると共に、制御ユニットケース300の図示上下方向の寸法を低減することも可能となる。
【0065】
また、図14に示す第2変形例では、制御ユニットケース400の差込凹部403に、ECU基板404を差し込む構成において、差込凹部403の壁部401にバスバー406aが配設されると共に、壁部401に対向する壁部402に、センサ409に連結されるバスバー408aが配設されている。バスバー406aの下端部にはケース側接点406が接続されており、バスバー408aの下端部にはケース側接点408が接続されている。ECU基板404の下端には、図示左右方向の両面に複数の金属接点が設けられた板状端子405が取り付けられている。板状端子405は、ECU基板404を所定位置まで押し込むことにより、ケース側接点406,408に両側から挟まれることとなる。この第2変形例によれば、制御ユニットケース402に収納されたセンサ409とECU基板404とを電気的に接続したい場合でも、いずれか一方の壁に2本の配線を配索する方法に比して、制御ユニットケース400の図示左右方向の寸法が低減できる。また、差込凹部403の下部にバスバーを取り回す必要がないため、バスバーの長さを短縮できると共に制御ユニットケース400の図示上下方向の寸法を低減することも可能となる。
【0066】
上記したように、本発明に係るスロットル装置によれば、スロットル装置に設けられた差込凹部に制御ユニットを差し込むことで、制御ユニットに設けられた第1端子と差込凹部に設けられた接点とが係合して、該制御ユニットと電子機器としての各センサとが電気的に接続されるように構成されているので、制御ユニットをスロットル装置に取り付ける際にハンダ付け作業等が不要となり、組立工数の低減を図ることができる。また、ECU基板と各センサとの間の配線が不要となるので、制御ユニットケースを小型化してスロットル装置まわりのスペース利用効率を向上させたり、電子機器がセンサ類である場合にノイズの影響も小さくすることができる。
【0067】
なお、スロットルボディ、制御ユニット、制御ユニットケース、ECU基板、差込凹部の形状や構造、制御ユニットケースに収納される電子機器の種類等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、制御ユニットおよび差込凹部の形状は、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状に限られず、その一部に曲面を有する形状であってもよい。本発明に係るスロットル装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両および汎用エンジン等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…自動二輪車、31…第1のメインフレーム、32…第2のメインフレーム、60…スロットル装置、61…スロットルボディ、63…制御ユニットケース、63a…差込凹部、70…スロットルバルブ、71…回動軸、72…プーリ、80…スロットルバルブ開度センサ、81…Pbセンサ(吸気圧センサ)、90…左壁面、91…上壁面、92…下壁面、93…右壁面、100…制御ユニット、101…第1端子、102…第2端子、103…ECU基板、104…封止部材、105…ハーネス側接点、106…ケース側接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路(67)を開閉するスロットルバルブ(70)が軸支されたスロットルボディ(61)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含む電子機器(80,81)と、エンジンの制御を行う制御ユニット(100)とを有するスロットル装置(60)において、
前記スロットル装置(60)に、前記制御ユニット(100)が差し込まれる差込凹部(63a)が設けられており、
前記差込凹部(63a)に前記制御ユニット(100)を差し込むことで、前記制御ユニット(100)に設けられた第1端子(101)と前記差込凹部(63a)に設けられた接点(106)とが係合して、該制御ユニット(100)と前記電子機器(80,81)とが電気的に接続されるように構成されていることを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)における、前記差込凹部(63a)に挿入する側の一端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(100)における、前記一端部の反対側に位置する他端部に、前記制御ユニット(100)からの信号を出力するハーネス(66)が接続される第2端子(102)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記ハーネス(66)と前記第2端子(102)との接続部分が絶縁性の封止部材(104)で覆われており、
前記制御ユニット(100)を前記差込凹部(63a)に挿入することで、前記封止部材(104)が前記差込凹部(63a)の開口部を密閉するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)に取り付けられた制御ユニットケース(63)に形成されており、
前記電子機器(80,81)は、前記制御ユニットケース(63)に収納されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)と一体形成された制御ユニットケース(63)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(100)および前記差込凹部(63a)は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、
前記差込凹部(63a)は、前記スロットル装置(60)の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記電子機器(80,81)は、前記差込凹部(63a)の車幅方向側方の位置に配設されていることを特徴とする請求項7に記載のスロットル装置。
【請求項9】
前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)の厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、
前記接点(106)は、前記第1端子(101)を挟むように該第1端子(101)の両側方から接触するように配設されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項10】
前記制御ユニット(100)は、制御素子(110,111,112,113,114)が実装された制御基板(103)を備え、
前記制御素子(110,111,112,113,114)に樹脂コーティング(120)が施されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項1】
吸気通路(67)を開閉するスロットルバルブ(70)が軸支されたスロットルボディ(61)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含む電子機器(80,81)と、エンジンの制御を行う制御ユニット(100)とを有するスロットル装置(60)において、
前記スロットル装置(60)に、前記制御ユニット(100)が差し込まれる差込凹部(63a)が設けられており、
前記差込凹部(63a)に前記制御ユニット(100)を差し込むことで、前記制御ユニット(100)に設けられた第1端子(101)と前記差込凹部(63a)に設けられた接点(106)とが係合して、該制御ユニット(100)と前記電子機器(80,81)とが電気的に接続されるように構成されていることを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)における、前記差込凹部(63a)に挿入する側の一端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(100)における、前記一端部の反対側に位置する他端部に、前記制御ユニット(100)からの信号を出力するハーネス(66)が接続される第2端子(102)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記ハーネス(66)と前記第2端子(102)との接続部分が絶縁性の封止部材(104)で覆われており、
前記制御ユニット(100)を前記差込凹部(63a)に挿入することで、前記封止部材(104)が前記差込凹部(63a)の開口部を密閉するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)に取り付けられた制御ユニットケース(63)に形成されており、
前記電子機器(80,81)は、前記制御ユニットケース(63)に収納されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記差込凹部(63a)は、前記スロットルボディ(61)と一体形成された制御ユニットケース(63)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(100)および前記差込凹部(63a)は、それぞれ、対向する2つの面の面積が他の4面より大きな直方体形状とされており、
前記差込凹部(63a)は、前記スロットル装置(60)の車幅方向の寸法が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記電子機器(80,81)は、前記差込凹部(63a)の車幅方向側方の位置に配設されていることを特徴とする請求項7に記載のスロットル装置。
【請求項9】
前記第1端子(101)は、前記制御ユニット(100)の厚さ方向の寸法より薄い薄板状に形成され、
前記接点(106)は、前記第1端子(101)を挟むように該第1端子(101)の両側方から接触するように配設されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項10】
前記制御ユニット(100)は、制御素子(110,111,112,113,114)が実装された制御基板(103)を備え、
前記制御素子(110,111,112,113,114)に樹脂コーティング(120)が施されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のスロットル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−57521(P2012−57521A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200814(P2010−200814)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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