説明

セキュリティデバイスおよびシステム

セキュリティデバイス(100)に、少なくとも1つの磁気要素(102)が含まれる。磁気要素(102)は、印加される磁界に応答して、特有の応答を提供する。特有の応答を使用して、セキュリティシステムによって問い合わされる時に特定のセキュリティデバイス(100)を識別することができ、これによって、セキュリティデバイス(100)のコピーを妨げるのを助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティデバイスおよびセキュリティ方法に関する。具体的には、本発明は、セキュリティデバイスが適用される商品などの許可されないコピーを識別するセキュリティデバイスおよびセキュリティ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のように、また、本明細書で説明するように、例えば文書、パスポート、および商品などの様々な製品のコピーが、一般的な問題である。偽造者および/または海賊は、しばしば、様々なレベルのコピープロテクションを有する品目をコピーし、既存のより高いレベルのコピープロテクション方式をかわすのにますます熟達してきた。例えば、偽造者および/または海賊は、磁気ストリップの複製によってクレジットカードを、ホログラムを用いてパスポートなどの品目をますますコピーしつつある。
【非特許文献1】R.P.Cowburn、Journal of Physics D、33、R1(2000)
【非特許文献2】K.J.Kirk、J.N.Chapman、およびC.D.W.Wilkinson、J.Appl.Phys.85、5237(1999)
【非特許文献3】「Introduction to the Theory of Ferromagnetism」、by Amikam Aharoni(ISBN 0 19 851791 2)、pp.204〜214
【非特許文献4】Bozorth、Ferromagnetism、ISBN 0-7803-1032-2
【非特許文献5】Applied Physics Letters、Vol.73、p.3947、1998
【非特許文献6】「Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing」、W.H.Press、S.A.Teukolsky、W.T.VetterlingおよびB.P.Flannery、(Cambridge University Press、Cambridge、1993)
【非特許文献7】「Optimised process for the fabrication of mesoscopic magnetic structures」、Adeyeye et al、Journal of Applied Physics、Vol.82、No.1、pp.469〜473、1 July 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の様々な態様および実施形態は、偽造の効果を減らすために、コピーされた品目の検出を改善する形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの磁気要素を含むセキュリティデバイスが提供される。少なくとも1つの磁気要素は、印加される磁界に応答して、特有の応答をもたらす。この特有の応答は、磁気要素の構造の制御不能なナノスケールの変動に依存するので、元来複製が困難である。したがって、技量を有する科学者は、この技術を理解する者であっても、それを望む場合であっても現在の技術を使用してそのようなセキュリティデバイスをコピーすることができない。そのようなナノスケール変動の固有の可変性は、多数のそのような特有の応答が、個々のセキュリティデバイスについて得られ、これによって、それらを複製するための力ずくの(brute-force)手法が、許容可能なコピーを作る前に極度に多数のそのようなデバイスを作ることを必要とすることの保証ももたらすことができる(例えば、適当なコピーを作る前に、そのようなデバイスを数百万個または数億個作る必要が生じる場合がある)。
【0005】
セキュリティデバイスに、個々のセキュリティデバイスを識別する識別子を与えることができる。識別子は、一意とすることができる。一意識別子が与えられる場合に、力ずくのコピーの試みは、コピーする者が、1つの許容可能なコピーを作る前に、識別子ごとに極度に多数のデバイスを作ること必要とする。したがって、コピーする者は、識別子ごとに多数をストックしなければ、簡単に単純に多数のデバイスをストックし、特有の応答と一致するものを選択することができず、例えば、セキュリティデバイスをランダムにコピーする1/2×106の可能性があり、232個の識別子が設けられる場合に、捏造者は、単一のセキュリティデバイスをコピーする可能性を有するために、2×106×232個のコピーを作らなければならず、これは、膨大な数すなわち、8,589,934,592,000,000である。したがって、所与のデバイスをコピーすることの難しさが明らかになった。
【0006】
識別子は、磁気要素自体によって形成することができる。様々な実施形態で、1つまたは複数の識別子のパターンを使用して、一意識別子を定義することができる。そのような磁気要素は、特有の応答と一意識別子の両方を提供し、特有の応答と一意識別子の両方が、同一の物理構造によって分離不能に提供されるので、コピーがさらに困難になる。
【0007】
本発明のもう1つの態様によれば、少なくとも1つの磁気要素を提供することを含む、セキュリティデバイスを作る方法が提供され、少なくとも1つの磁気要素は、印加される磁界に応答して、特有の応答を提供する。提供される特有の応答は、それを生成したセキュリティデバイスの識別にその後に使用できる事前に測定された特有の応答を提供するのに使用することができる。
【0008】
本発明のもう1つの態様によれば、セキュリティデバイスに磁界を印加する磁界生成システムと、前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定する検出システムとを含む、セキュリティデバイスを読み取るシステムであって、前記システムが、測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを、事前に測定された特有の応答の1つまたは複数の各々のパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータおよび各々の事前に測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定するように実施可能であるシステムが提供される。
【0009】
本発明のもう1つの態様によれば、セキュリティデバイスに磁界を印加することと、前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定することと、測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを事前に測定された特有の応答の1つまたは複数の各々のパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータおよび各々の事前に測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定することとを含む、セキュリティデバイスを読み取る方法が提供される。
【0010】
セキュリティデバイスを、製造中および/またはその後に製品などに組み込むことができる。これらは、事前に測定された特有の応答を測定された特有の応答と比較することによって、商品、製品などの偽造を検出するのに使用することができる。様々な事前に測定された特有の応答は、セキュリティデバイスに関連する識別子に従って、事前に測定された特有の応答をセキュリティデバイスの測定された特有の応答と比較するのに使用することができる。
【0011】
セキュリティデバイスを、例えば、文書、パスポート、識別カード、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ソフトウェア製品、パッケージング、衣類、履物、スマートカード、クレジットカードまたは銀行カード、化粧品、エンジニアリング部品、アクセサリ、ならびに製造されるか他の形の他の商品および/または取引の品目などの製品に組み込むことができる。その偽造または捏造された変形を識別できるようにするために。
【0012】
用語磁気要素は、材料自体が固有の磁化を有するか否かにかかわらず、印加された磁界に応答して測定可能な信号を提供するすべての材料から形成された要素を含むことが意図されている。
【0013】
本発明の一態様は、例えば、別の物品と分離して、別の物品に関連して、別の物品に組み込まれて、または別の物品に取り付けられての使用のための識別デバイスおよび/または認証デバイスを含むセキュリティデバイスに関する。このセキュリティデバイスは、デバイスのコピーを制限するか困難にし、その結果、それに関連して使用される品目のコピーまたは偽造を制限するか困難にする形で、識別および/または認証のための特有の応答またはシグネチャを提供する。本発明のもう1つの態様は、そのような特有の応答/シグネチャを読み取るに特に適するデータリーダ、デバイスおよびリーダを含むセキュリティシステムでそのような特有の応答/シグネチャを作る/測定する方法、ならびに/あるいはそのようなデバイスおよび/またはシステムを使用する識別方法または認証方法に関する。
【0014】
多くのビジネスに対する収入の主要な損失および犯罪行為の実質的なソースは、品目の不正な偽造またはコピーから生じる。例に、下記が含まれるが、これに制限はされない。
・許可されないトランザクションおよびATMからの受け出しを可能にするための、クレジットカードまた銀行カードなどのペーパーレス金融取引に使用されるカードおよび類似デバイスのコピー
・パスポート、ビザ文書、運転免許、個人識別カード、および類似物などの識別に使用される品目の捏造およびコピー
・CDディスクおよびDVDディスクなどのデータ記憶媒体に担われた材料のコピー
・証明書などの公文書の捏造およびコピー
・例えば、セキュリティシステムの一部として区域へのアクセスを制御するため、有料TVなどのサービスへのアクセスを制御するため、複数ユーザ環境でコンピュータまたは他のオフィス機器などのハードウェアの使用を制御するかログ記録するために、識別/アクセス目的に使用されるスマートカードの複製
・高価なブランド商品、厳密な仕様の安全にクリティカルな商品、および類似物の許可されないコピーおよび/または劣等なコピーを作るための、偽造商品製造の一部としてのセキュリティラベルまたは信憑性ラベルのコピー
【0015】
これは、ペーパーレス金融取引および識別目的に使用されるカードおよび類似デバイスに関して特に識別された問題であり、この領域は、セキュリティシステムの開発につながったが、それでも、コピーが問題であるほとんどまたはすべての領域に一般に適用可能である可能性が高い。
【0016】
ペーパーレス商取引システムおよび一般的なセキュリティシステムが、洗練されるにつれて、品目での情報記憶容量の増加に結合された増加した自動化が、そのような文書をコピーすることによる金融詐欺および身元詐欺の可能性が高まった。クレジットカード、銀行カード、および識別文書を介してアクセス可能な富および/または情報の集中が、高まってきた。そのような品目の正確な検証および識別ならびに/または効果的なコピープロテクションの必要が高まっている。
【0017】
特にカードシステムおよび文書システムは、偽造を困難または不便にすることによってセキュリティを改善する処置を採用してきた。この手法は、特に、効果的にコピーするのが困難である、組込みデバイスあるいはカードまたは他の文書の組込みに集中している。例に、ホログラフィックイメージ、回折格子、特殊な物質(インク、材料など)、エンボス加工された構造、カードの材料内の構造などが含まれる。
【0018】
しかし、最終的に、これらのマーキングは、洗練された偽造者がコピーでき、報酬が十分であればコピーされる。実用的に偽造できないセキュリティマーキングに関する一般的な所望がある。
【0019】
品目の許可されないコピーに対する効果的な戦略は、「ランダムなシグネチャ」または特有の応答を、品目または品目に取り付けられるデバイスに関連付けることができる場合に存在する。ランダムなシグネチャ/特有の応答は、正確に複製することが絶対にできない、ある制御不能な製造プロセスから来るものとすることができる。したがって、オリジナル品目とそのコピーの間に、必ずある小さい差が存在する。この差を検出でき、オリジナル品目からとられた前に測定された応答(例えば、個々の磁気要素の応答が別々に記録されるベースライン応答、またはそのような磁気要素の集合の平均応答が記録される)と比較できる場合に、偽造を識別することができる。
【0020】
実用的なランダムシグネチャの4つの主要な好ましい要件がある。
・簡単に、過剰なコストなしでシグネチャを測定できること
・好ましくはデジタル数の小さいリストによって、ベースラインシグネチャを簡単に表せること
・すべてのシグネチャがわずかに異なるように、シグネチャの製造に固有の大きい度合のランダムさがあること
・シグネチャのランダムさをはぎ取るか抑止し、既存シグネチャの同一のコピーを作るようにするためのシグネチャの製造の制御が不可能であること
【0021】
この要件のすべてを達成する際の問題が、今まで、日常のシステムで大きいスケールでのこの概念の実用的な適用性を制限してきた。
【0022】
第1の展望から見ると、本発明は、コピーが本来困難であり、したがって偽造を制限する、品目のセキュリティデバイスを提供する。
【0023】
もう1つの展望から見ると、本発明は、高価値品目の認証/偽造防止に日常的に使用するのに適するスケールおよびコストで簡単に製造され、測定可能であるランダムシグネチャに基づく品目のセキュリティデバイスを提供する。
【0024】
もう1つの展望から見ると、本発明は、そのようなデバイスのシグネチャを読み取るのに特に適するデータリーダを提供する。
【0025】
したがって、本発明の第1の態様によれば、適当な基板に配置された、少なくとも1つ、好ましくは複数、より好ましくは多数の磁気要素を含み、所定のベースライン磁気シグネチャ応答読みと組み合わせて提供される機械可読磁気シグネチャ応答を有するセキュリティデバイスが提供される。
【0026】
様々な実施形態で、磁気要素に、薄い磁気ワイヤなどの薄層磁性材料を含めることができる。磁性材料に、機械可読磁気マーキングを与えるのに適当な形で適当な基板に置かれた巨視的なワイヤおよび/またはドット、微視的なワイヤおよび/またはドット、ならびに/あるいはナノワイヤおよび/またはナノドットを含めることができ、測定可能なベースラインシグネチャ信号は、正確な固有の構造に大きく依存する。所定の記録されたベースラインシグネチャ応答は、比較的な数字すなわち、測定された応答と関連してデバイスの認証に使用することができる「期待される」応答を与える。
【0027】
本明細書で使用される「デバイス」には、その最も広い意味で、例えばセキュリティデバイスが適用される品目の表面などの適当な基板に置かれる前述の磁気要素が含まれる。そのようなデバイスの適用の例に、制限なしに、識別、認証、鍵、または他の応用として独立して使用されるように適合された物体の一部を構成するか含むデバイス;特に例えば関連するセキュリティまたは他の目的に関する、認証、識別、または他のラベリングのための付属物としての第2の物体と共に使用されるために提供される物体の一部を構成するか含むデバイス;および識別、認証、あるいは関連するセキュリティまたは他の目的などのために第2の品目に組み込まれるデバイス部分が含まれる。具体的には、デバイスは、それがその一部を形成するか関連する物品のコピーまたはクローニングによる許可されない偽造を認証し、防ぐために提供される。
【0028】
磁気要素の適当な集合の例が、R.P.Cowburn、Journal of Physics D、33、R1(2000)に記載されている。本発明は、捏造防止のためのランダムシグネチャ作成でその独特の有効性に頼ることができる。
【0029】
磁気要素は、時間に伴って変動する磁界が要素に印加される時に、その磁気応答が、印加される磁界の非線形ヒステリシス関数になるものである。この非線形性は、ある印加された磁界の値での磁化の離散的ジャンプの特徴があるものとすることができる。この要素は、要素の間に自然に存在しなければならない製造中の小さい差が、要素ごとに磁気応答をわずかに変化させるようになっている。さらに、様々な実施形態で、この要素は、所与の要素が、時間に伴って変化する印加された磁界の各サイクルに、できる限り同じ形で応答するようになっている。
【0030】
磁気要素の集合のベースラインシグネチャ応答を判定するために、時間に伴って変化する磁界が、要素に印加され、その要素の磁気応答が記録される。応答は、本明細書に記載のデバイスを使用して、または他の手段によって測定することができる。
【0031】
ベースライン応答は、突然のジャンプ、またはスイッチング磁界の平均値および標準偏差などの特定の特徴を識別することによって圧縮することができる。その代わりに、ベースライン応答を、磁化測定値の時間領域シーケンスから測定値の周波数領域リストに変換することができる。その代わりに、ベースライン応答を未処理とすることができる。
【0032】
所定のベースライン応答の測定は、較正手順に類似する。所定のベースライン応答が、製造時に1回だけ測定されることと、例えばデバイスから離れて、または許可なしにアクセス不能な形でデバイスに関連して、ユーザにアクセス可能な形で所定のベースライン応答を保管されてデバイスがユーザに供給されることが予想される。具体的に言うと、所定のベースライン応答は、特にデバイス上またはデバイスと共に保持される場合に、セキュアに暗号化されることが望ましい。所定のベースラインシグネチャ応答が、非対称暗号化アルゴリズムを使用して暗号化され、暗号化に使用される秘密鍵が秘密に保たれ、暗号化解除に使用される公開鍵が、デバイスのすべてのリーダから使用可能にされ、期待される所定のベースラインシグネチャ応答を暗号化解除でき、測定された応答との比較を行えることが好ましい。
【0033】
ランダムシグネチャによって保護される品目の信憑性をテストするために、様々な実施形態で、時間に伴って変化する磁界を磁気要素に印加し、印加された磁界に対する要素の測定された磁気シグネチャ応答を記録することが必要である。同一の手順が、まず、所定の期待されるベースライン応答を判定するのに使用され、この応答が、上で述べたように保管され、次に、適当なリーダを使用することによって、その後に、測定されたベースライン応答が入手され、この応答が、デバイスを認証するために所定の期待されるベースライン応答と比較される。
【0034】
認証は、このデバイスの固有のランダムな性質に頼る。人工的に作られる磁気要素は、各要素の切り替わる磁界が、要素の端の物理構造にクリティカルに依存するので、非常によい実用的なランダムシグネチャを作る。サイズが数ナノメートルにすぎない構造的変動は、切り替わる磁界に対する大きい変化を引き起こすことができる(K.J.Kirk、J.N.Chapman、およびC.D.W.Wilkinson、J.Appl.Phys.85、5237(1999))。したがって、ランダムシグネチャを複製するためには、原子に近い精度で要素の正確な形状を複製する必要がある。これは、現在の技術を使用して実現可能ではなく、数十年にわたってそのままになる可能性が高い。原子に近いレベルの操作が、本発明で説明されるデバイスをコピーするのに必要であるが、信憑性を検査するには、巨視的測定で十分である。というのは、この構造が、磁気スイッチング(magnetic switching)をうける時に、構造全体が一緒に切り替わり、磁気応答が非常に測定しやすくなるからである。したがって、本発明によるランダムシグネチャは、問い合わせるのに低コストの単純な処理を必要とするが、コピーするには実現不可能な困難なエンジニアリングを必要とする。これは、実用的なランダムシグネチャに理想的である。
【0035】
要素の集合の磁気応答が、アンサンブル測定(ensemble measurement)として一緒に記録される場合に、本発明が基づく統計変動が減衰されることを諒解しなければならない。減衰率は、1/√Nになる。ここで、Nは、アンサンブル中の名目上同一の要素の個数である。したがって、個々の要素の集合が、10Oeの標準偏差を有する切り替わる磁界を有する場合に、100個の要素のアンサンブルの集合は、1Oeだけの標準偏差を有する。したがって、磁気応答の測定は、より注意深く行われなければならない。その一方で、磁性材料の全体積は、係数Nだけ増やされ、これによって、測定を行いやすくなる。
【0036】
様々な実施形態で、認証は、デバイスの測定されたベースライン応答と、セキュアに、特に暗号化された形で保管される所定のベースライン応答との間の一致に頼る。事前に記録されたベースライン応答を暗号化された形で組み込んだデバイスの捏造を試みる捏造者は、暗号化された事前に記録されたオリジナルと一致する測定された磁気シグネチャ応答を有する完全な捏造を作る可能性が極端に低い。純正のデバイスでは、所定のベースライン応答が、製造する会社またはそれによって許可された者だけが知っている暗号化で記録される。見込みのある捏造者が、単に、シグネチャデバイスとそれから導出される暗号の両方のコピーを試みる場合に、その捏造は失敗する。というのは、暗号が正確にコピーされた場合であっても、コピーされたデバイスの磁気シグネチャ応答が、オリジナルと異なるからである。したがって、捏造では、測定されたシグネチャ応答と、所定の記録されたシグネチャ応答が一致しない。捏造者が、シグネチャデバイスのコピーを作成する場合に、その捏造者は、その代わりに、捏造されたデバイスのベースライン応答を簡単に測定することができる。しかし、捏造者は、暗号化を知らないので、捏造されたベースライン応答に対応する適当な有効な暗号を作成することができない。したがって、両方の可能なコピー戦略が失敗する。
【0037】
したがって、本発明の様々な態様に従って、実用的な目的でコピーがほぼ不可能であり、したがってオリジナルを認証でき、オリジナルのコピーによる偽造を防げるセキュリティデバイスを提供する、人工的に構成された磁性材料を使用するランダムシグネチャの生成および読み取りの実用的な方法を説明する。
【0038】
様々な実施形態の磁気要素に、好ましくは1μm未満の厚さ、より好ましくは100nm未満の厚さの磁性材料の薄い層が含まれる。これらは、10nm以下の厚さとすることができるが、なるべくなら、一般に約40nmの厚さである
【0039】
要素は、すべて、形状が名目上同一であり、規則的に分布する配置であるものとすることができ、あるいは、それらの間の差および/または配置の不規則なパターンを意図的に導入することができる。磁気応答のランダムな性質が、要素の形状、構成、および分布パターンに依存するのではなく、材料製造の固有の結果であることを強調しなければならない。
【0040】
要素は、全般的に長方形の形状、具体的には、全般的に平行の磁性の細長い長方形の要素のアレイを含む細長い長方形とすることができ、あるいは、例えば正方形もしくは円形、または例えば2次元アレイに形成することができる他の規則的な幾何形状の磁性材料の区域を含めることができる。
【0041】
本明細書で使用されるように、磁気ワイヤ、マイクロワイヤ、またはナノワイヤへの言及は、細長い形の要素、特に細長い長方形要素および/または全般的に平行のアレイ内の細長い要素を指すと解釈されなければならないが、例示のために本明細書で与えられる平行の長方形の例に制限されない。本明細書で使用されるように、磁気ドット、マイクロドット、またはナノドットへの言及は、より細長くない、より正方形の形の、具体的には規則的な幾何形状の、および/または2次元アレイに形成される磁性材料の区域を含む要素を指すと解釈されなければならないが、例示のために本明細書で与えられる円形の幾何形状に制限されない。
【0042】
要素は、離散的で、それらを接続する磁性材料がないものとすることができ、あるいは、磁性材料によって複数のネットワークに部分的に接続することができ、あるいは、磁性材料によって単一のネットワークに完全に接続することができる。
【0043】
要素は、磁性材料から作ることができ、この磁性材料は、なるべくなら、例えばニッケル、鉄、コバルト、ならびに、ニッケル鉄合金、コバルト鉄合金、鉄シリコン合金、またはコバルトシリコン合金など、これらとお互いまたはシリコンとの合金に基づく、軟磁性である。
【0044】
要素に、保護上層をコーティングして、酸化または機械的損傷を避けることができ、前記保護上層には、例えばセラミック、ガラス、またはプラスティック材料の層を含むなど、適当な機械的特性および/または耐環境特性ならびに/あるいは表面処理および/またはコーティングを有する非磁性材料の薄い層が含まれる。そのような上層は、便利に透明にすることができる。保護上層の特定の例に、酸化チタン、透明なエポキシ樹脂、プラスティックまたはガラス、透明な改質シリコン樹脂コンフォーマルコーティング、および透明アクリルコンフォーマルコーティングが含まれる。
【0045】
要素は、適当な基板に置かれる。下層が、要素と基板の間に存在することができる。デバイスを、保護される品目の中または上に直接に組み込むことができ、その場合に、基板を、偽造自体から保護される品目、またはそのためにその上に置かれるかその中に組み込まれる適当な基板材料とすることができる。その代わりに、デバイスを、タグ、ラベル、証明書など、保護される品目に関して取付け可能または他の形で使用可能な別々のユニットに組み込むことができ、この取付け可能なユニットに、ある適当な基板材料が含まれるか組み込まれる。適当な基板材料に、シリコン、ガラス、プラスティック、または滑らかな表面を有する他の材料が含まれる。
【0046】
取付け可能なユニット上で形成される磁気要素の場合に、取付け可能なユニットを、保護される品目に直接に取り付けることができ、あるいは、取付け可能なユニットが、保護される品目に関連する証明書または他の文書の一部を形成することができる。取付け可能なユニットに関連して手段を設けて、本発明による識別デバイスを含むユニットと保護される品目の間の取付けをもたらすことができる。そのような手段は、保護される品目への取付け可能なユニットの解放可能で取外し可能の係合または永久的係合を提供することができる。前者の場合に、取付けに、さらに、許可された人だけがユニットを取り外せることを保証するロッキング手段を含めることができる。どちらの場合でも、接続手段に、さらに、アンチタンパ保護および/または許可されない人によるタンパリングを示す機構を含めることができる。
【0047】
そのような取付け可能ユニットに適する使用に、制限なしに、例えば物品の識別、純正としての物品の認証、物品の出所の検証、および類似物を可能にするための、および/または例えば物品に関する情報、価格設定情報、ストック制御情報などを有するラベルをセキュアで制御された形で物品に付けるための、セキュリティが重要であるか他のクリティカルな重要性を有する貴重な品目のラベルが含まれる。
【0048】
保護される品目の上に直接に形成される磁気要素の場合に、類似する使用を心に描くことができる。しかし、保護される品目へのデバイスのそのような直接の組込みは、シグネチャデバイスのランダムな、したがって固有に制御不能に再生可能な性質によって、許可されない複製を防ぐのに特に効果的であり、したがって、デバイスが品目のオリジナルとしての簡単な認証のために提供されるので、偽造コピーの作成の疑いがある品目に関連して特に有用になる。
【0049】
要素は、例えば本明細書に記載の方法を使用して、光リソグラフィによって形成することができるが、エンボス加工または密着焼き付けの他の形を使用することができる。
【0050】
デバイスを構成する複数の要素は、一般に、同一のサイズおよび形状を有するものとすることができ、あるいは、デバイスにまたがって連続的にまたは不連続に変化するサイズおよび/または形状を有することができる。複数の異なる要素-サイズが、1つのアンサンブルに存在することが好ましい。
【0051】
一実施形態で、各グループ内の要素が全般的に類似するサイズまたは形状を有する、異なるサイズおよび/または形状の要素の複数の別個のグループが、設けられ、その結果、複数の異なる切り替わる磁界を識別できるようになる。例えば、平行のアレイの長方形要素のアンサンブルに、異なる幅の複数の別個のグループを含めることができる。
【0052】
適切な例に、100個の長方形要素が含まれ、要素のそれぞれは、長さ1mmであり、10個は幅5.0μm、20個は幅2.5μm、30個は幅1.7μm、40個は幅1.2μmである。そのようなアンサンブルの磁気応答は、切り替わる磁界の4つの別個のグループを示し、このグループのそれぞれは、あるタグから次のタグへの統計的変動を示し、これを使用してランダムシグネチャを形成することができる。
【0053】
第2の例に、450個の長方形要素が含まれ、要素のそれぞれは、長さ1mmであり、150個は幅1.0μmであり、120個は幅1.25μmであり、90個は幅1.67μmであり、60個は幅2.5μmであり、30個は幅5μmである。そのようなアンサンブルの磁気応答は、切り替わる磁界の5つの別個のグループを示す。
【0054】
この例では、各グループの要素の個数は、各グループが全般的に同一の面積を占めるものにされている。リーダからの検出された信号の強さは、通常、カバレッジの総面積に依存し、したがって、切り替わる磁場の4つまたは5つのグループのそれぞれが、リーダで同一の強度を示す。これは、多数の応用例で好ましい特徴であるが、他の応用例について、異なるサイズおよび/または形状の要素の複数の別個のグループを設け、異なるグループがデバイスの異なる面積を占めるようにすることを心に描くことができる。
【0055】
代替実施形態で、異なるサイズおよび/または形状の要素が、連続的に変化するアレイ内で設けられ、その結果、要素とその隣との間のサイズおよび/または形状の変動が最小化されて、大きい不連続が防がれる。例えば、要素の面積を、その隣と5%以内で変更し、具体的には約1%だけ変更しなければならない。その結果、切り替わる磁界の滑らかに変化する集合が作られる。変動は、線形または非線形とすることができる適当な関数の形に従って同調することができる。
【0056】
例えば、平行アレイの長方形要素を有する上で説明したものに類似するデバイスで、要素の幅が、アレイに沿って滑らかな関数として変化する。アンサンブルは、2.5μm幅のワイヤから開始し、次が2.53μmになり、次が2.56μmであり、以下同様で、最後に、56本後のワイヤで幅が5μmになる。ワイヤ幅の合計は、この例では200μmになる。代替アンサンブルは、1μm幅のワイヤから始まり、次が1.01μm、次が1.02μmであり、以下同様で、最後に、450本後のワイヤで幅が5μmになる。例えば線形、2次などの異なる関数の形を使用して、アンサンブルに沿った幅の進行を決定することができる。前の例と異なって、これは、切り替わる磁界の別個のグループを与えるのではなく、切り替わる磁界の滑らかな集合を与える。
【0057】
一実施形態で、デバイスに、多数のシグネチャ要素を含むシグネチャアレイのほかに、例えば比較的幅広い磁気ナノワイヤまたは幅広いマイクロワイヤなどの、基準要素として使用される単一の比較的大面積の磁気要素が含まれる。前述の例では、そのような単一の幅広ワイヤを、長さ1mm、幅150μmとすることができる。そのように大きく幅広いワイヤについて、磁気特性は、通常は非常に明確に画定されるバルク材料とほぼ同一である。したがって、常軌を逸した切り替わる磁界を有する5つのブロックのほかに、明確に画定された切り替わる磁界が設けられ、これを使用してリーダを較正することができる。この較正に、例えば地球の磁界の影響を減ずること、温度の変化を補償することなどの環境ベースの調整を行うことを含めることができる。
【0058】
所定のベースライン磁気シグネチャ応答が、本発明の様々な実施形態によるセキュリティデバイスと組み合わされて提供する必要がある。しかし、そのような所定のベースライン磁気シグネチャ応答が、セキュリティデバイスに物理的に関連して提供される必要はなく、単に、そのような応答が、本明細書に記載の磁気シグネチャ読み取り手段などの適当な手段によってデバイスが読み取られる時の実際の応答と比較される「期待される」応答を与えるために比較のためにデバイスの許可されたユーザから使用可能である必要があることを理解されたい。
【0059】
様々な実施形態を提供することができる。第1に、事前に記録されたベースラインを、デバイスまたは保護される品目に物理的に関連して提供することができる。第2に、事前に記録されたベースラインを、デバイスリーダによって保管することができる。第3に、事前に記録されたベースラインを、許可された人からアクセス可能な形でデバイスおよびリーダの両方から離れて保管することができ、期待される(すなわち事前に記録された)ベースライン読みと実際の(測定された)ベースライン読みの間の必要な比較を、認証のために行えるようにすることができる。
【0060】
上で述べた第1の実施形態では、事前に記録されたベースライン応答が、デバイスまたは保護される品目に物理的に密に関連して提供される。1つの代替案で、事前に記録されたベースラインが、機械可読の形で物理的にデバイスに近接して保管される。例えば、事前に記録されたベースラインは、デバイスの一部として保管することができ;デバイスに隣接するかその下の共通基板に保管され;任意選択としてスマートカード、識別文書、キーカード、キーフォブ(key fob)または類似物などの他のセキュリティ特徴または情報特徴あるいは保護される物品のラベルと共に、本発明のセキュリティデバイスを組み込むユニットの一部としてデバイスの近くで保管され;保護される物品が本発明によるデバイスと共に提供される、保護される物品にまたはこれを用いて保管され;あるいは、その証明書または他の文書も本発明の様々な実施形態によるデバイスを組み込むことができる保護される品目に関連する証明書または他の文書の一部として保管される。
【0061】
この実施形態では、事前に記録されたベースラインを、可読だが暗号化された形で保管しなければならない。例えば、圧縮されたまたは未圧縮のベースライン応答が、RSAなどの非対称暗号化アルゴリズムを使用してデジタル署名される。暗号化に使用される秘密鍵は、製造会社だけが知っており、暗号化解除に使用される公開鍵は、デバイスを読み取るのに使用できるすべてのリーダ端末で保持される。
【0062】
デジタル署名され、暗号化されたベースライン応答は、好ましくは例えば要素の下または横に印刷されるという点で磁気要素と共に品目に保管されるか、代替案では、磁気データストリップに記録することによって、光学バーコードに記録することによって、スマートカードチップに記録することによって、または他の手段によって保管される。所有者の名前、一意の識別コード、またはチェックサムなどであるがこれに制限されない他の情報を、同一のデータストリームおよびデジタル署名に暗号化して、磁気要素が別の品目に転送されることを防ぐか、文書または証明書の重要な情報が変更されるのを防ぐこともできる。
【0063】
上で言及した第2の実施形態では、事前に記録された/事前に測定されたベースライン応答が、デバイスリーダで、これによって、またはこれに密に関連して保管される。そのような実施形態は、「ロックアンドキー」タイプシステムに特に向いているが、このシステムでは、デバイスが、鍵として働き、特定の区域へのアクセス、特定の品目の動作、または指定されたキーホルダへの特定のサービスの使用を制限するためのロックとして働くリーダに関連して使用される。
【0064】
この実施形態では、事前に記録されたベースラインシグネチャデータを、デバイス自体または保護される品目でまたはこれらに密に関連して保管する必要がない。しかし、任意選択として、データを、例えば上で説明した形で、セキュリティのために暗号化された形で保管することができ、あるいは、他のセキュリティ保護を行うことができる。
【0065】
上で言及した第3の実施形態では、事前に記録された/事前に測定されたベースラインシグネチャデータが、デバイスおよび保護される品目とデバイスリーダの両方から離れて保管される。そのような動作のモードは、特に、例えば複数の販売場所を伴うクレジットカードおよび類似物、複数のアクセスポイントを有するセキュリティシステムおよび識別システムの場合など、それぞれが多数のデバイスに問い合わせることが期待される多数のリーダを含むネットワークが想定されるシステムに向いているが、これに制限はされない。
【0066】
この実施形態によれば、デバイスに関する、および特に複数の異なるデバイスに関する事前に記録されたシグネチャデータが、例えば分散ネットワーク上の複数のリーダに接続された、中央データストアで保管されることが好ましい。そのようなネットワークで、2つの代替の動作モードを心に描くことができる。1番目では、リーダは、デバイスを読み取り、事前に記録されたシグネチャデータについて中央データストアに問い合わせ、比較を行うように適合される。第2に、デバイスリーダは、デバイスを読み取り、検証のために実際のシグネチャデータを中央データストアに渡すように適合される。本質的な原理は、同一のままである。
【0067】
本発明のもう1つの態様では、少なくとも1つの前に説明したデバイスと少なくとも1つのデバイスリーダを含むセキュリティシステムが提供され、前記デバイスリーダは、デバイスの磁気応答を読み取る手段を含む。具体的に言うと、デバイスリーダは、時間に伴って変化する磁界を要素に印加する磁界ジェネレータを含むかこれに関連し、印加された磁界に対する磁気要素の応答を記録する磁気応答レコーダを有する。デバイスリーダの実施形態は、本明細書に記載されている。
【0068】
異なる応用例に関して、適切なシステムに、複数のそのようなリーダおよび/または複数のそのようなデバイスを含めることができる。複数のそのようなリーダを含むシステムは、各リーダが独立に分離して機能するように、あるいはリーダの一部またはすべてが分散ネットワークでリンクされるように配置することができる。
【0069】
上で概要を示した動作の第1モードに従って動作するシステム用に提供されるリーダは、さらに、デバイスまたは保護される物品と共に、またはそれに関連して保管された、事前に記録された所定のベースラインシグネチャ応答、具体的には事前に記録され暗号化されたシグネチャ応答を読み取る手段を含むことが好ましく、さらに、事前に記録されたベースラインシグネチャ応答と測定されたベースラインシグネチャ応答を比較する比較器手段を含むことが好ましい。上で説明した動作の第2モードに従って使用されるシステムに適合されたリーダは、さらに、それと共に使用されることを意図されたデバイスの所定のベースラインシグネチャ応答を保管するストレージ手段を含むことが好ましく、さらに、保管されたベースライン応答と測定されたベースライン応答の間の比較を行う比較器手段を含むことが好ましい。上で説明した動作の第3モードによる使用を意図されたリーダは、所定の応答を測定された応答と比較する比較器手段と共に、例えばユーザによるデータの直接入力を介してまたは分散ネットワーク上のリモートデータベースの問合せを介して、リモートに保管された所定のベースラインシグネチャ応答に関するデータを受信する手段;または、代替案で、測定された応答をリモート比較器に送信する手段(この比較器は、所定の応答のストアを組み込まれるか、これとデータ通信する)を含むことが好ましい。
【0070】
どの場合でも、デバイスリーダは、例えば所定の許容限度に対して、測定されたベースライン磁気シグネチャ応答と所定のベースライン磁気シグネチャ応答の間の比較を行い、これらのシグネチャが、例えば許容限度以内で同一であるかどうかに応じて応答機構を作動させるのが好ましい。
【0071】
応答機構に、デバイスが認証されることの、視覚インジケータ、聴覚インジケータ、英数字インジケータ、および類似物を含む適当な形の単純な表示手段を含めることができる。さらにまたはその代わりに、他の応答を提供することができる。例えば、認証は、実際のロックまたは仮想ロックを解放するように働くことができ、制限された区域へのアクセス、制限された機器の品目の動作、特定のサービスへのアクセス、または類似物を可能にする。
【0072】
本発明のもう1つの態様によれば、小面積の薄膜磁性材料の磁気応答を測定できる単純なデバイスが説明される。このデバイスは、上で説明したものなどのデバイスの磁気ランダムシグネチャを測定するのによく適するが、これに制限はされない。小面積は、なるべくなら、0.2mm×0.2mm以上のサイズであり、磁性材料は、1nmから500nmの範囲の厚さ、なるべくなら1nmから50nmの範囲の厚さである。磁性材料は、連続する薄膜とするか、磁気要素の集合とすることができる。磁性材料は、透明の保護上層を有することができる。様々な実施形態で、磁性材料は、光学的に反射するままにされる。
【0073】
本発明のこの態様による様々な実施形態で、時間に伴って変化する磁界が磁性材料に印加される時の磁性材料の区域の磁気応答測定のデバイスに、照明源、具体的には赤外線照明源;磁性材料の表面に照明を集めるコリメータ;および反射された照明を集め、時間に伴って変化する磁界が適用される時間中のこの反射の変化する応答を監視するコリメータが含まれる。任意選択として、このデバイスは、そのような磁界を生成する磁界ジェネレータが組み込まれるか、設けられる。
【0074】
様々な実施形態で、横光磁気カー効果が、時間に伴って変化する磁界が磁性材料に印加される時の磁性材料の区域の磁気応答を測定するのに使用される。この効果は、文献で周知である。応答測定デバイスに、調査中の磁性材料の区域にそのような時間に伴って変化する磁界を印加する追加の手段を組み込むことができ、あるいは、別々のデバイスを使用してこれを印加することができる。
【0075】
様々な実施形態で、デバイスは、偏光なしで動作する。通常、横カー効果は、入射光が平面偏光であることを必要とする。これは、通常、ポラロイドまたは他の偏光光学要素のシートを入ってくるビーム経路に挿入することによって達成される。驚くべきことに、本発明への適用で、偏光器を除去して、製造コストを下げ、デバイスのサイズを減らせることがわかった。本発明のデバイスの好ましい実施形態に、偏光器はない。これは、多くの応用例に適する。それにもかかわらず、望ましいか必要な場合に、例えば入ってくるビーム経路に普通の形で、偏光器を含めることができることを理解されたい。
【0076】
コリメータに、ピンホールが含まれることが好ましい。デバイス動作のスケールで、これは、レンズの使用を必要とせずに光を効果的に集めることがわかっている。これによって、やはり、製造コストが減り、デバイスのサイズが小さくなる。便利なことに、ピンホールは、0.2mmから5mmの範囲のサイズの直径を有する。
【0077】
光は、次に、磁気薄膜の表面で反射される。0.2mmから5mmの範囲のサイズの直径を有する第2のピンホールが、反射光を集光するために設けられることが好ましい。第2のピンホールが、第1のピンホールと同一の直径を有することが好ましい。光は、光感知デバイスを含むコリメータに渡され、この光感知デバイスは、なるべくなら、光源によって作られる放射に敏感なフォトトランジスタまたはフォトダイオードである。
【0078】
様々な実施形態で、光源に、発光ダイオードが含まれる。これは、レーザ、放電ランプ、または白熱電球が使用される、光磁気カー効果を測定する従来技術の大規模なデバイスと対照的である。本発明のデバイスは、より小さく、より安価であり、レーザを含む製品に関連する危険が除去される。
【0079】
赤外線発光ダイオード(LED)は、次の2つの理由から可視スペクトルLEDより好ましい:赤外線LEDが維持できるより多い電流に起因して、赤外線で高い光強度を達成可能である;光レシーバを可視光に鈍感にすることができ、したがって環境光からの影響が減る。
【0080】
様々な実施形態で、光源に、レーザダイオードが含まれる。レーザダイオードは、比較的安価であり、高い強度の光を提供することができる。
【0081】
本発明のもう1つの態様では、セキュリティデバイスを製造する方法に、上で説明した磁気要素を少なくとも1つ、好ましくは多数形成することと;要素のベースラインシグネチャ磁気応答を入手することと;任意選択として暗号化し、可読の形でデバイスに物理的に関連して保管することによる、デバイスのユーザがアクセス可能な形で所定のベースライン応答としてベースライン応答を保管することとが含まれる。
【0082】
様々な実施形態で、要素は、光リソグラフィによって形成される。
【0083】
本発明のこの態様による様々な実施形態で、コスト節約は、全般的に長方形の構造のアレイを含む磁気要素の場合にリソグラフィプロセスで行うことができる。フォトレジストを、普通の形で基板に塗布し、光学的露出とその後の現像によってパターン形成する。次に、磁性材料を、パターン形成されたフォトレジストに堆積する。通常、フォトレジストは、その後、溶剤に溶かされる(リフトオフ(lift-off)プロセス)。しかし、フォトレジストをその場に残すことができる。というのは、その上に堆積される磁性材料が、長方形の磁気要素の第2の組を形成するからである。例えば、レジストが、幅0.5μmの長方形構造にパターン形成され、中心間間隔が1.5μmであると仮定する。フォトレジストがその場に残される場合に、構造に、基板に取り付けられた0.5μmワイヤの組が含まれ、等しい個数(引く1)の1μmワイヤが、基板の最上部に取り付けられる。
【0084】
もう1つの態様で、本発明に、前述のデバイス、システム、および/または方法の使用による、特に前に説明したデバイスに関連付けることによる、セキュリティ、識別、または認証のために品目にマークする方法が含まれる。
【0085】
もう1つの態様で、本発明に、前述のデバイス、システム、および/または方法の使用による、特に、前に説明したデバイスに関連付けることと、例えば上で説明したリーダを使用して、測定されたベースライン磁気シグネチャ応答を入手するために要素に時間に伴って変化する磁界を印加することと、測定された応答を所定の記録されたベースライン磁気シグネチャ応答と比較することによる、品目を識別しまたは認証する方法が含まれる。
【0086】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して、例としてのみこれから説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
様々な実施形態で、磁性材料が、印加された磁界に対する磁気要素を形成するのに使用される。印加された磁界に対するこの磁気要素の特有の応答が、そのような磁気要素の組を含むセキュリティデバイスを識別する測定可能な特有の応答またはシグネチャを生じさせる。
【0088】
様々な2次元および3次元の形状、例えば磁気ワイヤ、平たいワイヤ、棒、ドット、ランダムスポット、ランダムブロブ(blob)などの磁気要素を形成するのに使用できる多数のタイプの磁性材料が入手可能である。そのような材料の多くを、本発明の実施形態で使用することができるが、ある材料は、印加される磁界にさらされた時に、特に材料の磁気スイッチング特性が測定可能な特有の応答またはその一部として使用される場合に、他の材料よりよい磁気応答を与える。
【0089】
本発明の実施形態が、特有の応答を作るために材料の磁気スイッチング特性を使用する場合に、軟磁性材料が有用である。軟磁性材料は、磁化を簡単に反転できる強磁性材料である。これらの材料は、一般に、狭い正方形のヒステリシスループを有する。したがって、そのような材料から作られた磁気要素の磁化は、印加される磁界に比較的鋭く応答してその方向を切り替える。そのような材料の保磁力(すなわち、そのような材料から作られた磁気要素の磁化を、飽和の後に0に駆動するのに必要な逆の磁場)は、比較的低い傾向があり、これによって、比較的低い場強度の磁石を使用して、磁気要素の磁化方向を切り替えさせることができることが保証される。そのような比較的低い場強度の磁石は、かなり安価であり、全般的にコンパクトで、よい均一性の制御された磁界を作るために簡単に駆動することができる。
【0090】
図1に、セキュリティデバイス100を示す。セキュリティデバイス100に、シリコン基板104上に形成された複数の磁気要素102が含まれる。磁気要素102は、パーマロイ材料から作られる。
【0091】
図2に、セキュリティデバイス200を示す。セキュリティデバイス200に、シリコン基板204上に形成された複数の磁気要素202が含まれる。磁気要素202は、パーマロイ材料から作られる。暗号化された事前に測定された特有の応答の情報および/またはセキュリティデバイス200を識別する一意識別子を保管するデータ区域206が、基板204内に設けられる。
【0092】
この実施形態のデータ区域206には、例えばコンパクトディスクに類似する形で光学リーダ(図示せず)によって読み取ることができる、暗号化された事前に測定された特有の応答の情報および/または一意識別子に対応する2進データをエンコードするエッチングされたピット(図示せず)の組が含まれる。
【0093】
この実施形態のもう1つの変形では、データ区域206に、その代わりにまたはそれに加えて、特有の応答および/または一意識別子の情報を保持する電子回路(図示せず)を含めることができる。
【0094】
図3に、セキュリティデバイス300を示す。セキュリティデバイス300に、シリコン基板304上に形成された複数の磁気要素302が含まれる。磁気要素302は、パーマロイ材料から作られる。暗号化された事前に測定された特有の応答の情報および/またはセキュリティデバイス300を識別する一意識別子を保管するデータ区域306が、基板304内に設けられる。
【0095】
この実施形態のデータ区域306に、しるし308が設けられる。しるし308は、リーダ(図示せず)によって読み取ることができる暗号化された事前に測定された特有の応答の情報および/または一意識別子に対応するデータをエンコードする。この実施形態の変形では、可視のしるし308が、暗号化された事前に測定された特有の応答および一意識別子の両方の情報をエンコードする機械可読バーコード(図示せず)によって提供される。この実施形態のもう1つの変形では、可視のしるし308が、一意識別子情報だけをエンコードする機械可読バーコード(図示せず)によって提供される。
【0096】
図4に、セキュリティデバイス400を示す。セキュリティデバイス400に、シリコン基板404上に形成された複数の磁気要素402が含まれる。磁気要素402は、パーマロイ材料から作られる。各磁気要素402は、例えば金、アルミニウム、クロム、および/またはタンタルから作られる反射層410によって裏打ちされる。反射層410は、磁気要素402とシリコン基板404の間の高められた反射率コントラストを提供する。したがって、この実施形態は、例えば本明細書に記載のタイプの読取装置などの読取装置によってセキュリティデバイス400が問い合わされている時に、改善された信号対雑音比(SNR)を提供する。高められたSNRの長所は、捏造されたか否かを判定するためにセキュリティデバイス400に素早く問い合わせることを可能にし、かつ/または問い合わされるためにより低いレベルの入射光(例えば200nmから1500nmなどの、例えば紫外線から赤外線)を必要とすることである。
【0097】
図5に、セキュリティデバイス500のもう1つの実施形態を平面図で示す。セキュリティデバイス500に、シリコン基板504上に形成された複数の磁気要素502aから502eが含まれる。磁気要素502aから502eは、ワイヤまたは平らにされたワイヤの形に形成されたパーマロイ材料から作られる。磁気要素の端505および507は、角のある形状として形成される。
【0098】
この実施形態では、方向A-Aでの磁気要素502aから502eの幅を、様々な幅にすることができる。この例では、磁気要素502cおよび502eの幅が、磁気要素502a、502b、および502dの幅の約2倍である。特定の要素によって作られる特有の応答信号の振幅は、その要素を構成する材料の体積に比例するので、より大きい要素は、より大きい信号を生じさせ、したがってより簡単に測定される。
【0099】
さらに、磁気要素502aから502e自体を使用して、識別子をエンコードすることができる。図示の実施形態では、5つの磁気要素502aから502eは、約1×1mmの面積を占め、幅40μmおよび長さ900μmの磁気要素502a、502b、および502dの7個から12個の磁気要素に十分なスペースがある。5つの磁気要素502aから502eのパターンは、セキュリティデバイス500の識別子を提供するのに使用される。このパターンは、特定のセキュリティデバイス500を識別するバーコードに類似し、製造される各個々のセキュリティデバイス500に一意とすることができる。
【0100】
この実施形態の変形によって提供できる一意識別子の数は、磁気要素502の個数および密度に依存する。例えば、可能な32個の磁気要素を有する実施形態は、可能な232(すなわち4,294,967,296)個の一意識別子を提供する。さらに、2次元スキャニングパターンを使用して磁気要素を識別可能である場合、例えば、磁気要素502が32×32ドットのアレイで設けられる場合に、この数をその二乗にすることができる。
【0101】
図5aに、もう1つの実施形態を示す。異なる長さの様々な磁気要素81および82が設けられている。この実施形態では、磁気要素81のそれぞれによって提供される識別子の有効ビットが、まだ応答を提供するので、識別子パターンの部分として「スペース」に見えるものからも、特有の応答を測定することができる。読みは、例えば長さ1mm幅20μまでの、1次元で集光されることだけができるレーザビームを使用して達成される。したがって、例えば本明細書で説明する光磁気カー効果を使用して測定される反射される強度は、バーの長さに従って変化する。通常、約700μmの長さのより長いバー82および例えば300mmの長さのより短いバー81を有する30μm幅のバーを設けることができる。
【0102】
図6に、セキュリティデバイス600の実施形態の断面図を示す。この実施形態では、反射率を高める材料およびコントラストを高める材料の両方が組み込まれるが、様々な他の実施形態で、これらを別々に設けることができる。
【0103】
セキュリティデバイス600は、シリコン基板604から形成される。基板604は、例えば金、アルミニウム、クロム、および/またはタンタルから作られる磁気要素602の下に形成される反射層603を組み込まれている。反射層603は、基板材料に直接に形成される磁気要素と比較して、磁気要素602から反射される光学信号(下で説明するように、カー効果信号を含む)を増やす。
【0104】
磁気要素602に隣接して、例えば炭素から作られる吸収層605が形成される。吸収層605は、低い反射率を有し、したがって、そこから反射される光と隣接する磁気要素602から反射される光の間のコントラストを高める。
【0105】
図6に示された実施形態のもう1つの変形では、例えば、吸収層605の代わりの散乱材料として、堆積またはエッチングによって形成される荒らされた表面が使用される。散乱材料の効果は、磁気要素602に隣接する区域から反射される光信号を減衰させることであり、セキュリティデバイス600がそれほど多くの光エネルギを吸収する必要がなくなるという追加の長所を有する。
【0106】
印加される磁界に対する所望の応答を有することができる様々な材料の特徴を表すために、この時点で、様々なタイプの強磁性材料の磁化方向の切り替えに伴う物理学の一部を説明することが有用である。そのような強磁性材料を、様々な実施形態で使用することができる。
【0107】
図7aを参照すると、磁気要素102が示されている。この例では、磁気要素102が、平らにされたワイヤの形の形状を有する強磁性材料から形成される。磁気要素102は、矢印150によって示される初期の大きさおよび方向を有する磁化Mを有する。印加される磁界Hは、磁気要素102の縦軸に実質的に平行な方向で磁気要素102に印加されて図示され、初期磁化と反対の極性を有する。
【0108】
印加される磁界Hは、磁気要素102の磁化の極性を反転するように働く。磁気要素102の磁化を反転できる様々な物理的機構がある。これらのそれぞれが、磁化Mに特有の異なる磁気スイッチングにつながる。
【0109】
第1のスイッチングモード(時々コヒーレント回転(coherent rotation)モードと称する。図7bに概略的に図示)では、複数の磁区152の個々の磁化が、破線154によって概略的に示されているように、コヒーレントに回転する。したがって、このモードでは、磁気要素102の全体的な磁化が、滑らかな方向回転を受け、磁化の大きさが、印加された磁界Hにそろうように変化する。
【0110】
第2のスイッチングモード(時々、複数核形成(multiple nucleation)モードと称する。図7cに概略的に図示)では、印加された磁界Hが存在する時に、多数の磁区156が、磁気要素102の磁化のスイッチングを左右する。個々の磁区156の磁化は、当初は、図7cに示されているように、印加された磁界Hに整列して回転する。その後、磁区の数が増える。しかし、このモードでは、磁気要素102の全体の磁化の時間的変化が、簡単に見分けることができず、温度などの環境条件に応答してランダムに変化する可能性がある。
【0111】
したがって、第2のスイッチングモードに従って動作する材料を、様々な実施形態の磁気要素に使用することはできるが、測定される特有の応答を提供する磁気スイッチング特性の変動がより小さいので比較的簡単にコピーされるので、これらは最適ではない。
【0112】
第3のスイッチングモード(時々、ブラウンの逆説(Brown's paradox)、鋭いスイッチング(sharp switching)または脆いモード(brittle mode)と称する。図7dに概略的に図示)では、単一の磁区158の増大が、磁気要素102の磁化の変化を左右する。そのような磁区158は、例えば制御可能にまたは正確に複製することが事実上不可能であるランダムなナノスケール材料欠陥(例えば、約0.5nmから約500nmまでのサイズスケールで発生する欠陥)から生じる制御不能な製造ノイズによる、製造プロセス中にランダムに導入される磁気要素102内の構造的欠陥に関連する可能性がある。このモードでは、磁区158の増大が、様々な物理的条件および環境条件にまたがって、磁気要素102の磁化のスイッチングを左右する。したがって、この第3モードに従って動作する材料は、複製可能に測定可能な特有の応答を提供する、安定しているが事前に決定されない磁気スイッチング特性の提供に理想的に適する。
【0113】
様々な可能な欠陥が、核形成の中心を形成することができ、例えば、これには、例えば要素のチップの縁からの小さい(ミクロンまたはサブミクロン)ノッチなどのリソグラフィ定義のローカル障害;転位、介在物、ナノメートルスケールのボイドなどのローカル結晶学的欠陥;磁気異方性のローカルな変化につながる科学組成または科学量論でのローカル変動;およびブラウンが心に描いたオレンジピールフィールド(Orange Peel field)を生成できる表面のくぼみにつながる厚さのローカルな短いスケールの変動の1つまたは複数を含めることができる。
【0114】
文献「Introduction to the Theory of Ferromagnetism」、by Amikam Aharoni(ISBN 0 19 851791 2)、pp.204〜214に、前述の概念の多くの有用な概要が示されている。
【0115】
図8aに、パーマロイ材料から作られた磁気要素102の磁化Mが、印加される磁界Hの関数としてどのように変化するかを示す理想化された単一のヒステリシスループ160を示す。破線169は、理想化された単一のヒステリシスループ160が、実際の磁気要素102について理想からどのように変化するかを示す。磁気要素102は、初期磁化172から開始する。印加される磁界Hは、値170に達するまで増やされる。その後、印加される磁界Hは、スイッチング値168まで増やされ、そこで、ヒステリシスに起因して、磁気要素102が、その磁化Mを初期磁化172から磁化164に素早くスイッチングする。その後、印加される磁界Hが、スイッチング値174まで減らされ、そこで、ヒステリシスに起因して、磁気要素102が、その磁化Mを磁化164から初期磁化162に素早くスイッチングする。
【0116】
図8aからわかるように、パーマロイ材料から作られた磁気要素102に特有の磁気スイッチングは、ある極性から他の極性への磁化の遷移が鮮明に定義されるので、実際のヒステリシスが理想から離れる時であっても、鋭いスイッチングモードで動作することがわかる。
【0117】
図8bに、図8aのヒステリシスループをめぐるパーマロイ材料から作られた磁気要素102の多数の(例えば約100)サイクルの平均のヒステリシスループ180を示す。各個々の磁気サイクル160について鋭い遷移が発生する場合であっても、平均のヒステリシスループ180が、磁気要素102の磁化の状態の鋭い遷移を示さないことがわかる。これの理由は、各個々の磁気サイクル160のスイッチング値168および174が、サイクルの間で変動し、これがジッタを生じさせるからである。
【0118】
様々な磁気サイクル160のスイッチング値168の差の標準偏差として判定されるジッタ196の大きさΔが、平均のヒステリシスループ180に関して図示されている。ジッタの大きさΔは、それを生成する磁気要素102の特有の応答を提供する。ジッタの大きさは、磁化反転の責任を負う核形成中心の正確な体積およびエネルギに依存する。したがって、2つの核形成欠陥が同一である可能性が高くないので、ジッタの大きさは、磁気要素ごとに異なる。
【0119】
保磁力も、独自性を示す特有の測定値である。様々な実施形態で、保磁力は、ジッタよりよい特有の応答を提供する。そのような実施形態で、ジッタを、追加の特有の応答パラメータとして測定することができる。ある展望から見ると、多数の反転/スイッチングにまたがって観察される反転/スイッチング磁界(単一の磁気要素の)を表す分布関数は、保磁力に対応する分布の中央値と、ジッタを表す幅分布を有する。
【0120】
磁気要素を組み込んだセキュリティデバイスの様々な実施形態を提供することができる。光リソグラフィを使用してシリコン基板上で様々なそのようなセキュリティデバイスを製造するプロセスの1つを、実例としてこれから説明する。
【0121】
この製造プロセスを、図9aから9hに示す。このプロセスは、図9aで、洗浄され研磨されたシリコンウェハ704から開始される。様々な実施形態で、シリコン基板は、ハンドリングを容易にし、でこぼこのあるセキュリティデバイスを提供するために、約0.5mmの厚さである。フォトレジスト層714を、ウェハ上でスピンさせて、図9bに示された滑らかなコーティングをもたらす。ウェハおよびフォトレジスト層714が、フォトレジスト層714をセットするために焼結される。
【0122】
図9cに、UV放射または近UV放射(例えば405nmでの)への図9bのデバイスの後露光を示す。領域708は、露光される領域を表す。露光される領域708は、例えばDurham Magneto Optics Ltd.社によって供給される、LaserWriterアドオンを有するNanoMOKE2システムなどの市販の直接書き込みスキャニング光リソグラフィシステムを使用して、フォトレジスト層714の上面701に直接に書き込まれる。この形で、個々の1次元または2次元のパターンを、製造されるセキュリティデバイスごとにフォトレジスト層714に書き込むことができる。このパターンは、例えば図1に示されたものなど、複数のワイヤ形状を画定することができる。
【0123】
図9dに、露光されたフォトレジスト708を除去するために現像された後の図9cのデバイスを示す。露光されたフォトレジスト708の除去によって、基礎になるシリコン基板704の部分710が露出される。
【0124】
その後、図9eに示されているように、例えばNi80Fe20などのパーマロイ材料(さらなる情報については、Bozorth、Ferromagnetism、ISBN 0-7803-1032-2を参照されたい)から形成された磁気要素702が、スパッタ堆積または蒸着プロセスによって、通常は約10nmから約100nmの範囲の厚さまで、例えば約40nmまで、露光された部分710に堆積される。さらに、パーマロイ材料の層712も、スパッタ堆積プロセス中に残りの未露光フォトレジスト706の上に形成される。
【0125】
次に、金またはアルミニウムの金属キャップ層716および718が、図9fに示されているように、パーマロイ層712および磁気要素702の上に形成される。キャップ層718は、パーマロイ層を酸化から保護するように設計され、高められた光学反射率も提供する。
【0126】
上に横たわるパーマロイ層712およびキャップ層716と共に、未露光フォトレジスト706が、例えばアセトンなどの適切な溶液を使用して除去されて、図9gに示された構造が残される。結果の構造に、露出されたシリコン基板領域720によって分離された、シリコン基板704上で形成された磁気要素702が含まれる。磁気要素702の上面は、キャップ層718によってキャップされている。
【0127】
前述の結果の構造は、PECVD(plasma enhanced chemical vapour deposition)室に置かれ、ここで、二酸化ケイ素(SiO2)層722が、上側の露出されたシリコン基板領域720およびキャップ層718の上に堆積される。二酸化ケイ素層722は、光学的に透明の層(なかんずく、赤外電磁放射に実質的に透明の層)を形成する。結果のセキュリティデバイス700を、図9hに示す。
【0128】
複数のセキュリティデバイス700が、単一のシリコン基板704の上で製造される場合に、その後、シリコン基板704を、複数の個々のセキュリティデバイス700にダイシングすることができる。
【0129】
本出願人は、前に説明したプロセスを使用して複数のプロトタイプのセキュリティデバイスを作った。これらのプロトタイプセキュリティデバイスの製造中に使用されたスパッタ堆積プロセスパラメータは、次の通りである:250W電力設定;ベース圧力5×10-7mbar;アルゴンガス;ガス圧1から2mTorr;5cc/分のフロー;基板回転速度10rpm;堆積レート1から1.5Å/秒;基板温度22から27℃。製造プロセス中にデバイスの平面に沿って磁界を印加することも可能である。
【0130】
本出願人は、このプロトタイプセキュリティデバイスの分析から、磁気要素の成長速度および/またはスパッタ圧の微調整によって、鋭いスイッチングモード磁気スイッチング特性に対する改善を提供できることに気付いた。本出願人は、このプロトタイプセキュリティデバイスの分析から、軟磁性材料が、望ましい磁気スイッチング特性を生じさせる傾向があることにも気付いた。
【0131】
セキュリティデバイスを製造したならば、単独でまたはセキュリティデバイスのバッチの一部としてのいずれかでセキュリティデバイスをテストして、特有の応答を判定する。特有の応答は、それが特定のセキュリティデバイスの適当な識別を提供することを保証するために測定される。
【0132】
磁気要素は、まず、鋭いスイッチングモードで動作するか否かを判定するためにテストされる。Applied Physics Letters、Vol.73、p.3947、1998に記載のカー磁力計を使用して、各個々の磁気要素の複数の点で保磁力を測定する。例えば、各要素の5つの点を使用し、各点で保磁力を測定することができる。磁気的に鋭いスイッチングは、ある磁気要素からの測定された保磁力値の間の変動が、複数の要素にまたがる測定された保磁力の間の変動と比較して小さい場合に、存在するとみなされる。実際には、磁気的に鋭い構造は、要素にまたがる0.2Oe未満の変動でスイッチングし、1つの要素は、約1から2Oeだけ別の要素と保磁力が異なる可能性がある。
【0133】
ジッタ測定も、磁気要素ごとにまたはそのような要素のグループごとに、その要素/グループの測定を繰り返し、測定の組の間で保磁力がどれほど変動するかを判定することによって、行うことができる。この測定の組は、セキュリティデバイスの磁気要素/グループごとに何度も繰り返される。1つの例で、保磁力を、セキュリティデバイスの1つの点で、磁気要素/磁気要素のグループごとに100回、室温で測定することができる。測定された保磁力値を、ガウス正規分布曲線にあてはめ、平均保磁力およびジッタ(あてはめられたガウス曲線の平均値および標準偏差Δとしてそれぞれ示される)を計算する。
【0134】
本出願人は、様々な実施形態について、通常のありそうな動作温度にわたって(例えば、霧防止手段がリーダに設けられる場合の-20℃から50℃)、ジッタが、弱い温度依存性だけを示すことに気付いた。
【0135】
様々な実施形態で、温度に対する平均保磁力の測定可能な依存性がある。しかし、複数の磁気要素の平均保磁力が温度に伴って同一の形で変化すると仮定すると、磁気要素の間の保磁力の差も、ほぼ一定になる。したがって、測定された平均保磁力を事前に測定された特有の応答と比較する時に、この2組の間の一定のオフセットを見込んで、異なる温度を補償することができる。
【0136】
しかし、様々な他の実施形態について、望まれるか必要である場合に、保磁力およびジッタの測定を、通常の動作温度範囲の外の温度を含む複数の温度で行うことができる。例えば、約-20℃から約50℃までで動作するレーティングのセキュリティデバイスについて、測定の組を、それぞれの要素において-50℃、0℃、および65℃で行うことができる。
【0137】
実際には、単一の磁気要素について測定された測定された保磁力値の間で許容される許される変動の上限を設定しなければならない。これは、絶対値(例えば0.2Oe)とするか、ジッタの大きさに対して相対的に決定する(例えば測定されたジッタ位置の10%)ことができる。許容される変動を超える保磁力変動値を生じさせる1つまたは複数の磁気要素を有するセキュリティデバイスは、拒絶されなければならない。
【0138】
望ましい特性は、平均保磁力の測定を容易にするために、ジッタに起因するすべての変動が小さいことである。平均保磁力は、事前に測定される特有の応答のパラメータとして使用することができる。ジッタも、例えば各々の磁気要素またはそのような要素のグループの平均保磁力に加えて、事前に測定される特有の応答のパラメータとして使用することができる。
【0139】
様々な実施形態で、セキュリティデバイスは、様々な磁気要素または磁気要素のグループについて、平均保磁力値および/またはジッタ値Δによって定義される事前に測定される特有の応答を有することができる。様々な他の実施形態では、例えば、平均保磁力値またはジッタ値のいずれかを使用して、事前に測定される特有の応答を表す。使用中に、あるセキュリティデバイスの事前に測定された特有の応答が、測定された特有の応答と比較されて、そのセキュリティデバイスが捏造されたかどうかが判定される。
【0140】
事前に測定された特有の応答は、例えば平均保磁力および/またはジッタ値Δの値をデジタル化することによって、エンコードすることができる。様々な実施形態で、これらの値は、一意とすることができる識別子と共にまたはそのような識別子なしのいずれかで、対応するセキュリティデバイスに暗号化された形で保管される。様々な他の実施形態で、これらの値が、対応するセキュリティデバイスと別々に保管される。様々な実施形態で、読取動作(下で説明する)中に、事前に測定された特有の応答を表す平均保磁力および/またはジッタ値Δのデジタル化された値を、特定のセキュリティデバイスについて取り出し/回復し、同一デバイスと主張するセキュリティデバイスの平均保磁力および/またはジッタ値Δの測定された値と比較して、特有の応答が測定されたセキュリティデバイスが捏造されたか否かを判定することができる。
【0141】
物品を純正または非偽造として識別するのを助けるために、セキュリティデバイスをそのような物品に取り付けることができる。使用時に、例えばベースライン応答などの事前に測定された特有の応答と比較できるようにするために、特定のセキュリティデバイスの特有の応答を読み取る必要がある。許容可能な限度の外の、測定された応答と事前に測定された応答の間の差は、読み取られたセキュリティデバイスが捏造されたことを示す。磁気核形成中心の製造は、製造業者の制御を超えるので、デバイスのすべてのコピーが、ほぼ必ず、平均保磁力およびジッタ値などの異なる特有の応答をもたらす。
【0142】
ハンドヘルドおよび他の形の両方の様々なシステムの実施形態が、心に描かれている。そのような様々な実施形態を、下で図10から17に関して説明する。
【0143】
図10に、セキュリティデバイス900が印加される磁界932にさらされている間にセキュリティデバイス900の測定される特有の応答を得るセキュリティデバイス読み取りシステムのコンポーネントを形成する読み取り配置930を示す。読み取り配置930は、光磁気カー効果(MOKE)を使用して、磁気要素から反射される光の偏光の変化を検出することができる。
【0144】
読み取り配置930に、黒いつや消しの反射防止ペイントを使用して内面および外面を黒くされたアルミニウムブロック934が含まれる。アルミニウムブロック934のサイズは、通常は2cm×2cm×1cmである。アルミニウムブロック934に、ビーム経路チャネル938、940、および942が含まれる。平行光学系(図示せず)と共に提供される近赤外または可視のレーザダイオード936が、例えば600から1500nmの波長で、平行化されたレーザビーム944を作るように実施可能である。一実施形態で、670nmで動作するレーザダイオードが使用される。レーザビーム944は、第1ビーム経路チャネル938を通過した後に、アルミニウムブロック934を出、ミラー950に入射する。
【0145】
レーザビーム944は、ミラー950から、アルミニウムブロック934内に形成された第2ビーム経路チャネル940に反射される。偏光器952が、第2ビーム経路チャネル940内に置かれて、レーザビーム944を平面偏光レーザビーム947に変換する。平面偏光レーザビーム947は、第2ビーム経路チャネル940から出る。
【0146】
アルミニウムブロック934に、第3ビーム経路チャネル942も含まれる。第3ビーム経路チャネル942は、読み取られる時にセキュリティデバイス900から反射される反射光949を集める向きにされる。通常、セキュリティデバイス900が、ワイヤ形状または平らなワイヤ形状の磁気要素902を有する場合に、印加される磁界932は、磁気要素902の軸に実施的に平行の方向で印加される。
【0147】
様々な実施形態で使用される、任意選択の1/4波長板および偏光器を組み込まれた分析器954が、第3ビーム経路チャネル942に置かれる。分析器954は、第1の極性の光を通し、第2の直交の極性の光をブロックする。第1の極性の光は、第1の飽和磁化状態の時に磁気要素902から反射され、第2の極性の光は、第1磁化状態に関して大きく反転した極性または変更された強度を有する第2飽和磁化状態の時に磁気要素902から反射される。
【0148】
偏光器952および分析器954は、平面偏光レーザビーム947が磁気要素902に入射する時に作られる縦光磁気カー効果信号を測定するように配置される。例えば、偏光器および/または分光器なしの配置ならびに/あるいは横または極配置の使用を含む他の光磁気カー効果配置も、使用することができる。しかし、縦光磁気カー配置を使用することの利益は、一般に、横配置または極配置と比較して改善された信号がもたらされることである。
【0149】
第3ビーム経路チャネル942に整列されているのが、検出器ユニット956であり、これは、この実施形態で、集光レンズと、照明放射に敏感なフォトダイオード回路またはフォトトランジスタ回路を組み込まれている。フォトダイオード回路は、分析器954を透過した光に応答して、平面偏光レーザビーム947によって照らされたあらゆる磁気要素902の磁化に比例する信号を供給する。
【0150】
図11に、ミラー950を移動するミラーアクチュエータ969を示す。そのようなミラーアクチュエータ969は、本明細書に記載の読み取り配置930と共に使用することができる。ミラーアクチュエータ969に、それに取り付けられた軟鋼の偏向要素982を偏向させるように実施可能な電磁石971が含まれる。電磁石971に、磁心980の第1領域に巻き付けられた第1アクチュエータコイル986と、磁心980の第2領域に巻き付けられた第2アクチュエータコイル988が含まれる。磁心980に、ギャップ992が含まれ、このギャップ992で、電磁石にエネルギが与えられる時に、偏向させる磁場が作られる。
【0151】
偏向要素982は、ねじ山付きのボルト984によって磁心980に接続される。ねじ山付きのボルト984を締め付けることによって、偏向要素982が、偏向要素982の基部に近い一端で磁心980に固定される。偏向要素982のねじ山付きのボルト984から遠い固定されていない端は、これによって、偏向させる磁場と偏向要素982の軟鋼材料の間で生成される引力に起因する偏向させる磁場の影響の下で磁心980に関して移動することができる。ミラー950は、偏向要素982の一部に取り付けられ、偏向要素982の移動に応答して移動する。
【0152】
動作時に、エネルギを与える電流が、第1および第2のアクチュエータコイル986および988を通る。第1および第2のアクチュエータコイル986および988を直列に接続し、同一のエネルギを与える電流が両方のコイルを通るようにすることができる。第1および第2のアクチュエータコイル986および988を通って最初のエネルギを与える電流を通すことによって、偏向要素982が矢印990によって示される方向に偏向され、これによって、ミラー950も偏向される。
【0153】
図12に、上で説明した読み取り配置930と共にセキュリティデバイス読み取りシステムの一実施形態のさらなる部分を形成する、磁場生成システム935、検出システム937、制御処理システム939、およびビームスキャニングシステム941を示す。
【0154】
磁場生成システム935には、セキュリティデバイス900に印加される時間に伴って変化する印加される磁界932を作るコンポーネントが含まれる。磁場生成システム935には、コイル駆動信号970に応答して磁場生成コイル933aおよび933bを駆動するように実施可能なドライバ回路966が含まれる。コイル駆動信号970は、100Hzの周波数で発振する複数の個々の正弦波波形972からなる周期的な正弦波信号(図13および15を参照されたい)であって、100Hzで発振する正弦波的に発振する磁界を作るために駆動磁場生成コイル933aおよび933bを駆動する。この実施形態で、100Hz正弦波波形は、普通の電子発振器回路(図示せず)によって作られる。
【0155】
磁場生成システム935に、さらに、コイル駆動信号970の極性変化を検出するクロスオーバ検出器968が含まれる。クロスオーバ検出器968は、駆動回路966によって駆動されることに応答して、図17に示された同期信号981を作る。同期信号981は、コイル駆動信号970の極性が変化する時にそれぞれが作られるスパイク983のシーケンスからなる。様々な他の実施形態では、カー信号をログ記録するのと同一のマイクロコントローラが、印加される磁場シーケンスの生成(デジタルアナログ変換器を介する)に使用され、したがって、マイクロコントローラがそれとの同期化を制御することができる。
【0156】
検出システム937に、入射光948に応答する信号を作る検出器ユニット956が含まれる。検出器ユニット956は、増幅器958に結合される。検出器ユニット956によって作られた信号は、増幅器958によって増幅されて、単極検出器(unipolar detector)信号973が作られる(図16を参照されたい)。単極検出器信号973は、デジタル化のためにアナログデジタル変換器(ADC)960に供給される。ADC 960は、10kHzサンプリング周波数で動作する10ビットデバイスであり、これによって、100Hzサイクルの1サイクルを完了するのに要する時間にわたってとられる100個のサンプルのそれぞれの1024個の可能な離散データレベルが与えられる。
【0157】
一実施形態で、ADC 960は、10kHzで動作し、印加される磁界サイクルごとに約100個のデータ点を獲得する。印加される磁界は、約10kHz/100=100Hzの周波数で印加される。データは、約0.5秒にわって平均され、すなわち、単一の磁気要素について平均をとられる50個のデータセットがある。これから、平均保磁力およびジッタが測定される。この処理が、別の磁気要素について繰り返される。合計で、約8個の磁気要素がこの形で分析される。
【0158】
制御処理システム939は、検出システム937からのセキュリティデバイス900の特有の応答を表す測定されたデータを獲得し、その測定されたデータを分析し、セキュリティデバイス900が純正であるかどうかを判定するためにそれを事前に測定された特有の応答と比較するのに使用される。様々な実施形態で、制御処理システム939は、ビームスキャニングシステム941も制御して、平面偏光レーザビーム947にセキュリティデバイス900の表面で移動させる。
【0159】
制御処理システム939には、関連するデータストア974を有する処理ユニット962が含まれる。様々な実施形態で、処理ユニット962に、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラと、リングバッファがマイクロプロセッサによってイネーブルされる時にADC 960からのデータサンプルが絶えず供給されるリングバッファを含む関連するメモリ(図示せず)とが含まれる。
【0160】
セキュリティデバイス読み取りシステムが始動される時に、リングバッファは、マイクロプロセッサによってディスエーブルされる。リングバッファへのデータの蓄積を開始するために、最初のスパイク983が、マイクロプロセッサによって受け取られる。これによって、マイクロプロセッサがトリガされて、受け取られる同期化スパイク983の個数のカウントが開始されると同時に、リングバッファがイネーブルされる。したがって、データは、印加される磁界932で発生する極性遷移と同期してリングバッファに蓄積され始める。マイクロプロセッサが、N番目のスパイク983(例えば100番目)を検出する時に、リングバッファへのデータのさらなる蓄積を抑止する信号が送られる。この時に、リングバッファに、それぞれが印加される磁界972の1/2サイクル中に蓄積されるN組のデータが含まれ、データの各組は、データ蓄積の時間持続期間t(t=N×印加される磁界周波数/2)中の各々の時の単極検出器信号973のデジタル化された各々の部分975および977を表す(例えば、100HzでN=100の100サイクルのt=0.5秒持続期間で、5000個の個々の測定が、10kHzにセットされたADCレートで行われる)。
【0161】
ミラーアクチュエータ969に結合されたビームスキャニングシステム941を含む実施形態では、処理ユニット962を使用して、ミラー950の部分を移動する制御信号を提供することもできる。ビームスキャニングシステムには、ドライバ回路964が含まれ、このドライバ回路964には、第1アクチュエータコイル986および第2アクチュエータコイル988を通って供給される電流をセットするデジタルアナログ変換器が含まれる。スイッチング回路は、第1および第2のアクチュエータコイル986および988を直列に接続し、処理ユニット962によって供給される制御電圧994(図14を参照されたい)に比例する駆動電流を印加するように構成される。
【0162】
一実施形態で、リングバッファは、N組のデータを含む複数の組を蓄積する。N組のデータの組が蓄積されたならば、リングバッファは、そのN組のデータがストア974に保管されるまで、マイクロプロセッサによってディスエーブルされる。次に、処理ユニット962は、制御電圧994を増やして、ミラー950に、平面偏光ビーム947をセキュリティデバイス900の別の区域に偏向させる。ミラーアクチュエータ969が安定するための短い遅延期間の後に、マイクロプロセッサは、最初のスパイク983を待ち、その後、次のN組のデータの獲得を開始する。この処理は、ミラー950の位置ごとにN組のデータが蓄積され、保管されるまで継続される。
【0163】
上で示したように、データセットは、様々な形で蓄積することができる。獲得されたならば、データを処理して、測定された特有の信号応答に関する様々な情報を抽出することができる。標準的なアルゴリズムをデータセットに適用して、平均測定保磁力および/または保磁力測定値の標準偏差の測定によって与えられるジッタを計算することができる。そのようなアルゴリズムの例は、例えば、「Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing」、W.H.Press、S.A.Teukolsky、W.T.VetterlingおよびB.P.Flannery、(Cambridge University Press、Cambridge、1993)に記載されている。
【0164】
データあてはめは、測定された特有の信号応答を判定するものと同一のマイクロプロセッサ/マイクロコントローラによって、または接続されたコンピュータシステムによってのいずれかで行うことができる。例えば、リモートデータベースに、事前に測定された特有の応答が保管される場合に、生の測定された特有の信号応答データを、リモートプロセッサに送信して、ガウスあてはめを実行することができる。同様に、詐欺検出システムの一部として使用される場合に、リーダをパームトップコンピュータに接続し、このパームトップコンピュータが、インターネットからダウンロードすることによって事前に測定された特有の応答を保管し、これを測定された特有の信号応答と比較することができる。様々な実施形態で、パームトップコンピュータを、リーダの対話型ディスプレイとして、また、例えばGSM電話機を使用するなどによってリモートデータベースにアクセスする手段として、使用することができる。
【0165】
セキュリティデバイスの事前に測定された特有の応答を判定する様々形が存在する。これらの形は、セキュリティデバイスのタイプに従って変化し、例えば、事前に測定された特有の応答がセキュリティデバイスに保管/エンコードされるか否か;事前に測定された特有の応答が暗号化されるか否か;および一意識別子がセキュリティデバイスに関連して供給されるか否かに依存する。これらの可能性のすべてが、実行可能な実施形態を提供する。
【0166】
様々な実施形態で、一意識別子および、平均保磁力および測定されたジッタの標準偏差を表すエンコードされたデータを含む暗号化された事前に測定された特有の応答は、セキュリティデバイスで、ピットのシーケンスとしてエンコードされる。ピットは、ビームアクチュエータ969によって与えられるビームスキャニング方向と同一直線上の方向で形成される。測定された特有の応答を判定する前に、ビームアクチュエータ969が、セキュリティデバイス上でピットがあると予想される点にビームを与えるように駆動される。そのような点のそれぞれで、検出器ユニット956からの信号を測定する。高い反射率は、各々の点に対応するデータビットの論理0を示し、低い反射率は、論理0を示す。
【0167】
もちろん、様々な実施形態の平面偏光レーザビーム947を、レンズ系を使用して集光して、セキュリティデバイス900での小さい焦点サイズを提供することができる。同様に、集光する光学系をビーム経路チャネル942内に設けて、セキュリティデバイス900から反射された光を集めるのを助けることができる。
【0168】
様々な他の実施形態で、スマートカードは、セキュリティデバイスおよび一意識別子を担持し、暗号化された事前に測定された特有の応答の情報が、スマートカードに保管される。スマートカードは、普通の形で読み取られ、測定された特有の応答が、本明細書に記載されているように測定される。
【0169】
ある実施形態で、セキュリティデバイス自体の磁気要素を使用して、さらなる情報をエンコードすることができる。これらの磁気要素は、例えば、形状のパターンを形成することによって一意識別子をエンコードすることができる。そのようなセキュリティデバイスをスキャンして、まず、様々な可能な位置に磁気要素が存在するかどうかを調べることができる。反射される信号の直線スキャンパターンを使用して、セキュリティデバイスの2進値識別子を得ることができる。これを視覚化する形は、磁気要素のパターンを検討して、ある形のバーコードを表すことである。
【0170】
一意識別子をエンコードする磁気要素を含むセキュリティデバイスの実施形態について、特有の応答を、個々の要素ごとに、前に説明したように測定することができる。しかし、様々なリーダは、読み取り処理を高速化するために、磁気要素のサブセットの特有の応答だけを測定することができる。
【0171】
セキュリティデバイス読み取りシステムの実施形態で、事前に測定された特有の応答の情報が、1つまたは複数の処理ユニットがアクセスできるデータベースに保管される。事前に測定された特有の応答の情報は、暗号化されることが好ましい。そのようなシステムは、分散することができ、ネットワークを介して1つまたは複数のセキュリティデバイスリーダに結合されたリモートサーバを含めることができる。この実施形態によるシステムは、磁気要素のパターンからまたは他の手段によって各セキュリティデバイスの一意識別子を判定し、セキュリティデバイス読み取りシステムによって判定された一意識別子に対応する事前に測定された特有の応答の情報を取り出すように実施可能である。事前に測定された特有の応答の情報は、各々のセキュリティデバイスリーダによる必要に応じて暗号化解除することができる。
【0172】
セキュリティデバイス読み取りシステムの実施形態で、測定された特有の信号応答に関する情報は、抽出されたならば、マイクロプロセッサによって、おそらくは秘密非対称データ鍵を使用して暗号化解除された事前に測定された特有の応答と比較されて、セキュリティデバイスを非偽造として分類できるか否かが判定される。そのような比較は、例えば温度変動によって誘導される変動について許容される誤差のマージン内で行われる。例えば、平均保磁力/ジッタについて、これは、測定された保磁力/ジッタが、平均保磁力/ジッタ値の分布の1標準偏差を超えて事前に測定された保磁力/ジッタと異ならない時とすることができる。
【0173】
図18から20を参照すると、磁気要素の3つの例の構造の図が、平面図で示されている。
【0174】
1番目では、規則的な長方形磁気要素(1)の集合が、概略的に示されており、原寸通りではない。要素の材料は、Ni80Fe20である。この材料は、40nmの厚さになるように置かれる。シグネチャ部分の総面積は、1mm×1mmである。この図は、概略的にすぎず、原寸通りではない。具体的に言うと、1mm×1mmの区域のそれぞれに、ミクロンスケールの幅の非常に多数の要素が含まれることを諒解されたい。
【0175】
さらに、要素が等しい幅であることの表現は、概略的にすぎない。1μm幅のアレイが、いくつかの応用例に適する可能性がある。しかし、上で注記したように、複数の別個のスイッチング磁界を与える異なるワイヤ幅の別個のグループのアレイ(例えば上で説明したもの)または線形もしくは他の関数の形で変化する幅を有する連続的に変化するアレイ(例えば上で説明したもの)が、しばしば、好ましい。
【0176】
図19に、全般的に類似する寸法を有する全般的に類似する構造を示す。図示の幅の概略的な性質に関する上の警告が、やはりあてはまる。しかし、この例では、長方形部分(2)が、四角い端を有するのではなく、尖った端を与えられる。異なる形状の端は、スイッチング磁界に影響する可能性があり、したがって、ある応用例に好ましい可能性がある。適当な端の形状を、本発明の原理から逸脱せずに利用することができる。
【0177】
図20に、もう1つの代替案を示すが、このシグネチャ部分には、円形の磁気マイクロドット(3)の全般的に正方形の1mm×1mmアレイが含まれる。この例では、材料の厚さが、約100nmである。各マイクロドットは、100μmの直径である。やはり、これも例示にすぎない。複製可能に測定可能なベースラインシグネチャ応答を得ることができるという本発明によるデバイスの基本要件が満たされるならば、代替の形状、やはり、離散的にまたは連続的に変化するサイズおよび/形状の要素を検討することができる。
【0178】
薄膜は、適切な方法によって、具体的には本明細書に記載の方法などを使用する光リソグラフィによって置かれる。
【0179】
図21に、本発明による磁気シグネチャ、例えば図18から20に示されたシグネチャを含む磁気薄膜などの薄い磁気薄膜の小さい面積の磁気応答を測定するのに適する小さいデバイスの例の機械的図面を示す。
【0180】
磁気応答を測定するデバイスに、高輝度光源、この例ではハウジング(11)内の赤外線発光ダイオードが含まれる。光は、0.2mmから5mmのサイズ範囲の直径の単一のピンホール(12)によって平行化される。次に、光は、位置(15)に置かれた磁気薄膜の表面から反射され、0.2mmから5mmのサイズ範囲の直径を有する、好ましくは第1ピンホールと同一の直径の第2のピンホール(13)を通過する。
【0181】
反射された光は、ハウジング内の光感知デバイス(14)に渡され、この光感知デバイスは、なるべくなら、赤外放射に敏感なフォトトランジスタまたはフォトダイオードである。この図示の実施形態では、光感知デバイスが、可視光に対する低い感度を有するように選択され、光学的スクリーニングなしでデバイスを使用できるようにされる。また、迷光反射を減らすために、このデバイスを黒に塗装することができる。
【0182】
磁界コイル(図示せず)が、このデバイスに取り付けられて、0から500Oeの磁界が、テスト中の磁性材料に印加される。テスト中の磁性材料に、長方形などの細長い要素のアレイが含まれる場合に、なるべくなら、磁界コイルが、薄膜の平面内で、細長い構造の長軸に沿うか、長軸に対して0°から60°の範囲の角度のいずれかの磁界を印加する向きにされる。追加の磁界コイルを存在させて、ワイヤの長軸に横向きの追加の磁界を印加することができる。
【0183】
フォトトランジスタまたは他の光受け取りデバイスが、適当なエレクトロニクス(図示せず)に接続され、このエレクトロニクスは、交流がコイルを通り、印加される磁界を生成している間に磁性材料から反射される強さを記録する。デジタル信号プロセッサチップまたはマイクロコントローラチップを使用する信号処理エレクトロニクスが、印加される磁界の複数のサイクルにわたって測定された応答を記録し、これらを一緒にコヒーレントに加算して雑音を減らす。記録されるサイクル数は、総獲得時間が10秒を超えず、便宜上5秒を超えないような値である。信号処理エレクトロニクスは、記録された信号の主要なスイッチング遷移のそれぞれの平均スイッチング磁界を識別する。これらが、他のエレクトロニクス(図示せず)に渡され、このエレクトロニクスは、磁気ストリップ、スマートカード、光学バーコード、またはリモートテキストソースもしくは電子データストアもしくは他の手段から事前に記録されたベースライン応答を獲得し、必要な場合に暗号化解除し、あるいは、その代わりに、事前に記録されたベースライン応答にアクセスできるリモートデータ比較器に測定された応答を送信し、比較が行われる。
【0184】
図22に、それ以外は全般的に普通の設計のスマートチップを有するカードへの本発明の適用を示す。カード(21)は、通常は、クレジットカードまたは類似物と同一のサイズおよび形状にされ、実際にクレジットカードまたは類似物として使用することができるが、上(A)および下(B)の両方からの平面図で示されている。カードは、ある英数字情報を担持するが、その主情報ストレージシステムは、スマートチップ(22)である。これは、任意選択のバーコード(23)および磁気ストライプ(24)によってバックアップされ、この磁気ストライプは、通常は、磁気ストライプのみのシステムとの後方互換性のために設けられる。
【0185】
本発明による適当な設計の磁気要素の1mm×1mmアレイを含む磁気シグネチャデバイス(26)が、スマートカードの背面に取り付けられる。便宜上、図示の例では、このデバイスが、破線(28)によって示されるスマートチップ自体のフットプリント内にある。多数の応用例について、磁気要素(26)がこのフットプリント内にあることが便利である可能性がある。同一の効果を達成する代替手法は、比較的小さい1mm幅磁気シグネチャデバイスを、スマートチップの接点の間の特に広げられたスペースに組み込むことである。しかし、そのような配置は、純粋に便宜上のものであり、磁気要素(26)は、カードのどこにでも置くことができる。
【0186】
カードの製造時に、最初のベースラインシグネチャ読みがとられる。これを行う形の1つが、スキャニング磁力計を使用することである。スマートカードの図示の実施形態では、ベースライン応答が、カードに保管され、まず、RSAなどの非対称暗号アルゴリズムを使用してデジタル署名される。公開鍵は、ユーザから使用可能にし、かつ/またはリーダ端末にもしくはセキュリティを危険にさらさずにカード自体に保管することができる。この署名を使用して、カードが製造業者の純正製品であることを検証し、金融取引詐欺および識別詐欺の両方の増加するソースを構成する、カードのクローン作成されたコピーの詐欺的不正使用の脅威をなくすことができる。
【0187】
使用時に、カードが、適当なカードリーダによって、具体的には図21に示されたものなどのシグネチャデバイスリーダを組み込んだカードリーダによって読み取られる。デバイスリーダを、既存のスマートカードリーダに組み込むことができる。例えば、図示の実施形態を用いると、磁気要素の読み取りデバイスは、カードの、スマートカードリーダによって読み取られる側と反対側を読み取る必要があり、したがって、エンジニアリングの問題が比較的少ない状態で普通のスマートカードリーダに組み込むことができる。この形で、カードおよびリーダは、現在は本明細書に記載の識別認証システムを有しない普通のカード/リーダ技術と後方互換のままになる。
【0188】
リーダは、カードからの実際の応答を測定する。期待されるベースライン応答も、カードに保管される。これは、任意の可読の形で保管することができるが、既存のデータ記憶デバイスの1つでカードに便利に組み込まれる。例えば、ベースラインシグネチャを、スマートチップ(22)、バーコード(23)、または磁気ストリップ(24)に暗号化された形で記録することができる。したがって、リーダは、実際の磁気シグネチャと事前に判定され事前に記録された期待される磁気シグネチャの両方を読み取ることができる。リーダは、ある許容限度内でこれらを比較し、その比較の結果としてカードが認証されるか否かを示すように適合される。
【0189】
本発明の様々な実施形態によるスマートカードは、銀行カード、クレジットカード、セキュア情報記憶カード、識別カード、認証カード、および類似物を制限なしに含む普通のスマートカード技術が使用されているすべての状況に適用可能である。このスマートカードは、純正としてそのカードを認証する手段を提供し、したがって、オリジナルカードの偽造コピーの詐欺的不正使用に対するかなりの障害を提供する。
【0190】
図22の実施形態によって表されるシステムは、単純なシステムであり、このシステムでは、本発明の様々な実施形態によるデバイスが、単に、純正の製造された製品としてカードを認証し、したがって偽造コピーを検出するように働き、その結果、所定のベースライン応答が、カードに便利に保管される。そのようなシステムが、動作の例のモードにすぎないことは、すぐに理解されるであろう。1つの代替案で、オリジナルの「期待される」シグネチャを、他所に保管することができる。例えば、例えばクレジットカードとしての、金融サービスシステムの一部としての図22に示されたカードの使用に関して、複数のカードが発行されるシステムを心に描くことができ、このシステムでは、複数のリーダが使用され、リーダに、本明細書に記載の原理による検証目的のシグネチャ情報を処理するようにさらに適合された、既に保持されている顧客詳細などの中央データストアとの分散ネットワークが含まれる。動作の他のモードも、すぐに心に浮かぶであろう。
【0191】
図23では、ロックアンドキー配置での本発明の実施形態の使用の図が示されている。適切な堅牢な材料の、例えば適切なプラスティック材料のキーカード(31)が、前に説明した磁気要素の1mm×1mmアレイを含むデバイス(36)と共に提供される。
【0192】
このキーカードは、図23の残りによって概略的に示されるカードリーダ/ロック配置に関連して提供される。
【0193】
ロック(32)に、キーカード(31)の端を受けることができるスロット(33)が組み込まれている。その中に適当に位置決めされた時に、デバイス(36)は、図21に示された全般的な設計のリーダ(34)に隣接する。
【0194】
リーダ(34)は、事前に記述された形でデバイス(36)からの磁気応答の読みを入手し、この応答を制御ユニット(35)に渡す。制御ユニット(35)は、任意選択として暗号化された形で、例えばロック内に保管して、所定の期待される応答を保管するか、他の形でこれにアクセスできる。制御ユニットは、比較を実行し、所定の許容範囲内での一致が見つかる場合に、制御手段(38)に命令を渡して、ロックレバー(39)を作動させ、ロックを開く。
【0195】
図23に示された例は、電気機械ロックであるが、もちろん、本発明の原理が、物理的ロック手段、仮想ロック手段、またはアクセス制御の他の手段を考慮できるすべての状況に同等に適用可能であることを理解されたい。例えば、制限なしに、図23に示された実施形態のようなデバイスを、ドアまたは他の閉じるものの電子ロックと共に、自動車の電子イグニッションと共に、自動車の電子イモビライザと共に、例えば機器を動作させる前に挿入を要求することによって1つの電子機器へのアクセスを制御する手段として、特定のサービスへのアクセスを制限する手段として、などとして使用することができる。
【0196】
図示の実施形態では、単一のカードが、ロックに関連して図示されている。実際には、単純な単一ユーザロックに関しても、複数のキーを提供する必要がある可能性が高い。これらが固有に異なるシグネチャデバイスを有することは、本質的に本発明の範疇に入る。したがって、ロックは、これらのデバイスごとにベースラインシグネチャを保管し、それに応答する必要がある。ロックが、複数のユーザにアクセスを提供するか、実際に、複数のロックが複数のユーザに関連して設けられる、より複雑な動作のモードを心に描くこともできる。
【0197】
そのような動作の第1の実施形態で、複数のロックおよび複数のキーが、セキュア区域への複数使用エントリシステムに関連して設けられる。そのような動作のモードの第2の例で、複数のオペレータカードが、複数ユーザオフィス機器の動作を制御するために設けられる。これらの例では、許可されるベースラインシグネチャのすべてを各ロックに保管することができ、あるいはその代わりに、ロックを、分散ネットワークで一緒に、すべての許可されるユーザのカードの詳細を保管する中央データベースにリンクすることができる。そのようなシステムは、偽造カードを作ることの難しさのゆえのよいセキュリティを可能にするだけではなく、能動的な形でのアクセスの制御および監視も可能にする。
【0198】
本発明のもう1つの実施形態を、図24に示す。図24では、本発明によるシグネチャデバイス(46)が、識別され/保護される品目に取付け可能なラベルに組み込まれる。このラベルに、任意選択で英数字情報が組み込まれるプラスティックタブ(41)と、ラベルを付けられる品目に関する、例えば識別情報、出所の情報、価格設定情報、および類似物を保管する、バーコード(44)などが含まれる。タブ(41)は、接続ストラップ(42)によって、ラベルを付けられる品目に取り付けられる。図示の実施形態で、接続ストラップ(42)は、単一ループアタッチメントと意図されている。取付けは、解放可能または永久的とすることができる。ラベルの取付けのセキュリティおよび永久性が特に重要である場合に、例えばロック機構、タンパ防止機構、タンパ表示機構、および類似物を含めることができる、より複雑な取付けを、すぐに心に描くことができる。
【0199】
図24の実施形態を用いると、本発明によるデバイスの品目自体への直接の組込みが実用的でないか望ましくない場合であっても、一時的にまたは永久的な形での品目のラベル付けが可能になる。使用のモードの例には、制限なしに、改善されたセキュリティ航空手荷物ラベル、高価値ブランド品目、特に衣類および類似品の信憑性ラベル;ストック制御目的、および例えばオリジナルを識別し、したがって別の市場向けの純正ブランド物品の許可されない輸入を制御するための高価値ブランド品目の出所ラベルおよび識別ラベル;ストック制御のための品目のマーキング;品目の価格マーキング(ラベルは購入者が詐欺的に安い価格で商品を得るための別の品目への(より安価な)価格ラベルの購入者による転送を困難にする形で使用される)が含まれる。
【0200】
図24に示されたタイプのラベルの動作の通常のモードは、認証である。したがって、事前に記録されたシグネチャ情報が、通常は、タブ(41)に保管される。事前に記録された情報は、適切な機械可読形式で保管される。示された例では、この情報をバーコードに組み込むことができる。デバイス(46)の磁気シグネチャおよび暗号化された期待されるシグネチャの両方を読み取り、ラベルを認証するための比較をもたらすように適合されたリーダが、提供される。このラベルのセキュリティ有効性は、シグネチャのランダムな性質が、コピーされたラベルがそのようなものとして即座に識別されることを意味するので、コピーが非常に難しいことにある。
【0201】
図25に、本発明によるデバイスが付けられたCD、DVD、または類似物などのデータ記憶ディスクを示す。ディスク(51)に、それ以外の形ではデータを担持しないデッド領域(53)内であることが好ましい、上で説明した磁気要素を含む磁気シグネチャタブ(56)が組み込まれている。シグネチャ(56)の暗号化された所定の読みが、ディスクの他所に設けられる。
【0202】
最も単純な、動作の第1のモードで、このシステムは、製造業者が、オリジナルCD/DVDを認証し、偽造コピーを識別し、適当なストック制御システムに関連して、純正オリジナルの出所および宛先を追跡し、許可されない輸入および類似物を識別することを可能にする。
【0203】
動作のより高度なモードでは、デバイス(56)を読み取り、ディスクを認証するためにデバイスリーダを組み込まれ、許可されないコピーの再生を不能にされたディスクリーダを製造することができる。そのような変更されたプレイヤを、エンドユーザライセンス協定の一部として本発明の識別/認証システムと共に使用できるシステムも、心に描くことができる。
【0204】
図26は、公式の識別文書での本発明の使用の例である。そのような文書は、パスポート、運転免許証、許可証明書、資格証明書、または類似物、物品に付随するかこれを検証するか他の形で識別することを意図された識別または許可証明、あるいは、偽造コピーが問題になる可能性がある他の文書などの識別文書または許可文書とすることができる。
【0205】
この例の文書(61)に、例えば写真などの視覚情報(62)、書かれた情報(63)、およびバーコード(64)が含まれる。この文書に、他のデータ記憶デバイスまたはセキュリティデバイスを含めることができる。
【0206】
上記の磁気要素を含むデバイス(66)が、文書に組み込まれる。このデバイスは、上で説明した形で読み取り可能である。動作の1つのモードで、デバイス(66)は、単に認証のために働き、その期待される磁気応答の暗号化された事前に記録された読みも、文書に組み込まれる。示された例では、便利に、これをバーコードに組み込むことができ、あるいは、他の形で、可読の形で保管される。しかし、より洗練されたシステムでは、任意選択として、さらなる識別詳細および/または他のセキュリティ詳細と共に、期待される磁気シグネチャが、リモートに保管されることを諒解されたい。
【0207】
この形で文書に付けられる本発明によるデバイスは、主にコピープロテクションの1つの形として働く。したがって、このデバイスは、例えば識別文書、公式の証明書、小切手、紙幣、および類似物などの金融ペーパーワーク、重要な法的文書、および他のそのような文書に関する、純正オリジナルの偽造から生じる詐欺に対する脆弱性があるすべての情況で、安価で便利な認証デバイスとして働く。
【0208】
別の態様から見ると、少なくとも1つの磁気要素手段を含み、前記磁気要素手段が、特有の応答を提供するために、印加される磁界に応答する、セキュリティデバイス手段が提供される。
【0209】
もう1つの態様から見ると、少なくとも1つの磁気要素を提供するステップを含み、前記少なくとも1つの磁気要素が、印加される磁界に応答して特有の応答を提供する、セキュリティデバイスを製造する方法が提供される。
【0210】
もう1つの態様から見ると、印加される磁界をセキュリティデバイスに印加する磁界生成手段と;前記印加される磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定される特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定する検出手段とを含む、セキュリティデバイスを読み取るシステムであって、前記システムが、測定された特有の応答を表す前記パラメータを事前に測定された特有の応答の1つまたは複数の各々のパラメータと比較して、前記パラメータのめいめいが実質的に同等であるかどうかを判定するように実施可能である、システムが提供される。
【0211】
もう1つの態様から見ると、印加される磁界をセキュリティデバイスに印加するステップと;前記印加される磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定するステップと;測定された特有の応答を表す前記パラメータを事前に測定された特有の応答の1つまたは複数の各々のパラメータと比較して、前記パラメータのめいめいが実質的に同等であるかどうかを判定するステップとを含む、セキュリティデバイスを読み取る方法が提供される。
【0212】
もう1つの態様から見ると、本明細書で説明したセキュリティデバイス手段を含む製品手段が提供される。
【0213】
他の技法を使用して、セキュリティデバイスを作ることができることを、当業者は理解するであろう。例えば、リフトオフ/湿式エッチングプロセスを使用してセキュリティデバイスを作るのではなく、イオンビームエッチングを使用することができる。セキュリティデバイスの様々な実施形態を、例えばシリコン、ガラス、プラスティック、金属などを含む様々な基板を使用して製造できることも、当業者は承知するであろう。
【0214】
本明細書で説明した例の材料の一部は、強磁性であるが、適当な測定可能な特有の応答を生じさせるものであるならば、他のタイプの磁気要素および/または非磁気要素を使用できることを、当業者は理解するであろう。例えば、非磁気要素が、印加される磁界で測定可能な応答を作り、その応答を測定して特有の応答を提供できる場合に、非磁気要素を使用することができる。
【0215】
当業者は、セキュリティデバイスに適する磁気要素を製造し、特性を表すのに使用できる様々な技法に気付くであろう。そのような製造技法の1つおよびそのような特性を表すプロセスの1つの例が、磁気特性に対する磁気要素サイズの影響を調査した、「Optimised process for the fabrication of mesoscopic magnetic structures」、Adeyeye et al、Journal of Applied Physics、Vol.82、No.1、pp.469〜473、1 July 1997に記載されている。
【0216】
本発明に従って作られる実施形態に、単独でまたは組み合わせてのいずれかで、反射率/コントラスト向上手段を組み込むことができる。金、アルミニウム、クロム、および/またはタンタルなどの材料を、磁気要素の下および/または上に置いて、その反射率および/または磁気要素が作るカー信号を高めることができる。磁気要素とその周囲の区域の間の反射率/コントラストを改善するために、セキュリティデバイスの諸区域を処理して、その反射率を減らすことができる。
【0217】
様々な実施形態で、ワイヤまたは平らにされたワイヤの形状の磁気要素が設けられる。そのようなワイヤの端の形状は、セキュリティデバイスの製造中に制御することができる。例えば約60°から約90°までのとがった端を設けることができる。様々な他の実施形態で、平らにされた端および/または半円形の端を設けて、磁気核形成に影響することができる。端の形状は、改善された磁気スイッチング特性を提供するように選択することができる。
【0218】
特定の実施形態に関して本発明を説明したが、本発明がこれに制限されないことと、本発明の範囲に含まれる多数の変形形態が可能であることを諒解されたい。
【0219】
上で説明した本発明の様々な実施形態のいくつかが、少なくとも部分的に、例えばハードウェア、ファームウェア、および/またはコンピュータプログラムを用いて構成されたコンピュータなどのデータ処理装置を使用して、実施可能かつ/または構成可能であることを諒解されたい。コンピュータプログラムは、データ処理装置が使用可能な形で担体媒体に保管することができる。担体媒体は、例えば、半導体メモリ、読み取り可能かつ/または書込可能なディスク、例えばコンパクトディスクおよびデジタル多用途ディスクなどの光メモリまたは光磁気メモリ、あるいはディスクまたはテープなどの磁気メモリとすることができ、データ処理装置は、動作のためにそれを構成するのにプログラムを使用することができる。コンピュータプログラムは、ラジオ周波数搬送波または光搬送波を含む電子信号などの担体媒体で実施されるリモートソースから供給することができる。
【0220】
本明細書の説明が、本発明を実施できる形の例示的な例にのみ関することと、例えば他の実施形態の、1つまたは複数のコンポーネントを組み込む多数の実施形態を、本明細書に明示的に記載されていないさらなる実施形態と共に心に描けることを、当業者は知るであろう。例えば、データ獲得レート、サンプルレート、サンプル量子化レベルの個数およびサイズ、適用される磁界のサイクリングレート、蓄積されるデータセットの個数などのすべてを、望み通りに変更し/選択することができる。そのようなパラメータは、例えばマイクロプロセッサの制御の下で、おそらくは例えば温度などの様々な測定される条件に依存して、プログラムによって変更することができる。
【0221】
この開示の範囲に、請求される発明に関係し、または本発明によって対処される問題のいずれかまたはすべてを軽減するか否かにかかわらずに、明示的にまたは暗黙のいずれかで本明細書に開示された新規の特徴または特徴の組合せあるいはその一般化が含まれる。本出願人は、これによって、本願の手続き追行またはこれから導出されるさらなる出願の追行中に、そのような特徴に対して新しい請求項を定式化できることを通知する。具体的に言うと、請求項、節、態様、および段落に関して、従属請求項、節、態様、および/または段落から生じる特徴を、独立請求項、節、態様、および/または段落の特徴と組み合わせることができ、各々の独立請求項、節、態様、および/または段落からの特徴を、列挙された特定の組合せだけではなく、任意の適当な形で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】本発明によるセキュリティデバイスの実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明によるセキュリティデバイスの実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明によるセキュリティデバイスの実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明によるセキュリティデバイスの実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明によるセキュリティデバイスのもう1つの実施形態を示す平面図である。
【図5a】本発明によるセキュリティデバイスのもう1つの実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明によるセキュリティデバイスのもう1つの実施形態を示す断面図である。
【図7】(a)本発明の様々な実施形態に使用することができる磁気要素の磁気スイッチングモードを示す図である。(b)本発明の様々な実施形態に使用することができる磁気要素の磁気スイッチングモードを示す図である。(c)本発明の様々な実施形態に使用することができる磁気要素の磁気スイッチングモードを示す図である。(d)本発明の様々な実施形態に使用することができる磁気要素の磁気スイッチングモードを示す図である。
【図8】(a)本発明の様々な実施形態に使用することができるパーマロイ材料の磁気スイッチングの理想化された概略の実際のヒステリシス曲線および平均のヒステリシス曲線を示す図である。(b)本発明の様々な実施形態に使用することができるパーマロイ材料の磁気スイッチングの理想化された概略の実際のヒステリシス曲線および平均のヒステリシス曲線を示す図である。
【図9】(a)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(b)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(c)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(d)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(e)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(f)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(g)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。(h)本発明によるセキュリティデバイスの様々な実施形態を作る製造技法を示す図である。
【図10】本発明の様々な実施形態によるセキュリティ読み取りデバイスシステムの一部を形成する読み取り配置を示す図である。
【図11】本発明の様々な実施形態によるセキュリティデバイス読み取りシステムで使用されるミラーアクチュエータを示す図である。
【図12】本発明の様々な実施形態によるセキュリティデバイス読み取りシステムの一部を形成するさらなる部分を示す図である。
【図13】本発明の様々な実施形態による磁界ジェネレータを駆動する信号を示す図である。
【図14】本発明の様々な実施形態によるミラーアクチュエータを駆動する信号を示す図である。
【図15】図13の信号の1サイクルを示す図である。
【図16】本発明の様々な実施形態による特有の応答を表す単極検出器信号を示す図である。
【図17】本発明の様々な実施形態による様々なセキュリティデバイス読み取りシステムを同期化する同期化信号を示す図である。
【図18】本発明によるランダム磁気シグネチャ/特有の応答に使用される磁気要素の第1の集合を示す図である。
【図19】磁気要素の第2の集合を示す図である。
【図20】磁気要素の第3の集合を示す図である。
【図21】(a)薄い磁気薄膜の小さい面積の磁気応答を測定するデバイスを示す図である。(b)薄い磁気薄膜の小さい面積の磁気応答を測定するデバイスを示す図である。
【図22】(a)スマートカードでの本発明の実施形態を示す図である。(b)スマートカードでの本発明の実施形態を示す図である。
【図23】電子キーでの本発明の実施形態を示す図である。
【図24】保護される品目に取り付けられる識別タグでの本発明の実施形態を示す図である。
【図25】認証のためにCD/DVDに組み込まれる本発明の実施形態を示す図である。
【図26】認証のために証明書に組み込まれる本発明の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0223】
100 セキュリティデバイス
102 磁気要素
104 シリコン基板
932 印加される磁界
933a 磁場生成コイル
933b 磁場生成コイル
935 磁場生成システム
937 検出システム
939 制御処理システム
941 ビームスキャニングシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの磁気要素を含むセキュリティデバイスであって、前記少なくとも1つの磁気要素が印加磁界に応答して特有の応答を提供するセキュリティデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁気要素が、基板によって支持される、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気要素が、前記基板上で支持される、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁気要素が、前記印加される磁界に応答して、前記少なくとも1つの磁気要素の磁化または磁気分極を切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁気要素が、鋭いスイッチングモードで動作する材料から作られる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁気要素が、軟磁性材料から作られる、請求項1から5のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁気要素が、ニッケル、鉄、コバルト、および、ニッケル鉄合金、コバルト鉄合金、鉄シリコン合金、およびコバルトシリコン合金などの、お互いまたはシリコンとの合金の1つまたは複数から選択される軟磁性材料を含む、請求項6に記載のセキュリティデバイス。
【請求項8】
前記軟磁性材料が、パーマロイ材料である、請求項6または7のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁気要素が、実質的にワイヤ形状または平らにされたワイヤ形状である、請求項1から8のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの磁気要素が、光反射層によって裏打ちされる、請求項1から9のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの磁気要素が、基部の近くに、前記セキュリティデバイスの減らされた光反射率部分を設けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項12】
複数の前記少なくとも1つの磁気要素を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項13】
前記複数の磁気要素が、直線パターンを提供するように配置される、請求項12に記載のセキュリティデバイス。
【請求項14】
前記複数の磁気要素が、2次元パターンを提供するように配置される、請求項12に記載のセキュリティデバイス。
【請求項15】
前記パターンが、識別子をエンコードする、請求項13または14のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
【請求項16】
それに組み込まれた一意識別子をさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項17】
前記一意識別子が、光学的に可読のバーコード、1つまたは複数の光学的なしるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数によって提供される、請求項16に記載のセキュリティデバイス。
【請求項18】
スマートカードに取り付けられ、前記電子識別子が、前記スマートカード上で提供されるスマートカードチップによって提供される、請求項17に記載のセキュリティデバイス。
【請求項19】
前記特有の応答の1つまたは複数の測定可能なパラメータを表す事前に測定された特有の応答の情報が、前記セキュリティデバイスに保管される、請求項1から18のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項20】
前記事前に測定された特有の応答の情報が、暗号化された形である、請求項19に記載のセキュリティデバイス。
【請求項21】
少なくとも1つの磁気要素を備えることを具備し、前記少なくとも1つの磁気要素が、印加される磁界に応答して特有の応答を提供する、セキュリティデバイスを製造する方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの磁気要素を基板上で提供することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
リフトオフプロセスまたは湿式エッチングプロセスを使用して前記少なくとも1つの磁気要素を形成することを含む、請求項21または22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
イオンビームエッチングプロセスを使用して前記少なくとも1つの磁気要素を形成することを含む、請求項21または22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの磁気要素の1つまたは複数の磁気パラメータの大きさを測定することを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
保磁力値およびジッタ値の1つまたは複数を測定することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
事前に測定された特有の応答の情報を表すために、前記1つまたは複数の磁気パラメータの前記測定された大きさを使用することを含む、請求項25または26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記事前に測定された特有の応答の情報を暗号化することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形で前記セキュリティデバイスで保管することを含む、請求項27または28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形で前記セキュリティデバイスから離れた記憶媒体に保管することを含む、請求項27または28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形でデータベースに保管することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記セキュリティデバイスを一意識別子と共に提供することをさらに含む、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記事前に測定された特有の応答の情報に関連して前記一意識別子の表現を保管することを含む、請求項28から31のいずれか一項に依存する時の請求項32に記載の方法。
【請求項34】
セキュリティデバイスに磁界を印加する磁界生成システムと、
前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定する検出システムとを含む、セキュリティデバイスを読み取るシステムであって、
前記システムが、測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを、事前に測定された特有の応答の1つまたは複数の対応するパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータおよび各々の事前に測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定するように実施可能であるシステム。
【請求項35】
前記磁界生成システムが、時間に伴って変化する磁界をセキュリティデバイスに印加するように実施可能である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
光ビームが、前記セキュリティデバイスに問い合わせるのに使用される、請求項34または35のいずれかに記載のシステム。
【請求項37】
前記光ビームが、レーザダイオードによって作られる、可視ビームまたは近赤外ビームである、請求項34から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記パラメータが、保磁力値またはジッタ値の1つまたは複数を表す、請求項34から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記検出システムが、前記セキュリティデバイスの磁気要素によって前記光ビームに誘導される変化を検出する光磁気カー効果検出装置を含む、請求項36から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記光磁気カー効果検出装置が、横モードで動作するように構成される、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
さらに、前記セキュリティデバイスの表面を横切って前記光ビームを偏向させるように実施可能である、請求項36から40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
さらに、前記セキュリティデバイスから一意識別子を読み取るように実施可能である、請求項34から41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記一意識別子が、前記セキュリティデバイスによって支持される磁気要素のパターンを認識することによって識別される、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記一意識別子が、光学的に読み取り可能なバーコード、1つまたは複数の光学的しるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数を読み取ることによって識別される、請求項42または43のいずれかに記載のシステム。
【請求項45】
さらに、前記セキュリティデバイスから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定するように実施可能である、請求項34から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
さらに、データベースから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定するように実施可能である、請求項34から45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記データベースが、前記検出システムから離れて置かれる、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
さらに、事前に測定された特有の応答の情報を、それが暗号化された形で読み取られるか提供される場合に暗号化解除するように実施可能である、請求項34から47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
セキュリティデバイスに磁界を印加することと、
前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定することと、
測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを事前に測定された特有の応答の1つまたは各々の複数のパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータおよび各々の事前に測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定することと
を含む、セキュリティデバイスを読み取る方法。
【請求項50】
時間に伴って変化する磁界をセキュリティデバイスに印加することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定することが、保磁力値およびジッタ値の1つまたは複数を測定することを含む、請求項49または50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
光ビームを使用して前記セキュリティデバイスに問い合わせることを含む、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
可視ビームまたは近赤外ビームを作るためにレーザを動作させることを含む、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
光磁気カー効果を使用して、前記セキュリティデバイスの磁気要素によって前記光ビームに誘導された変化を検出することを含む、請求項52または53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
光磁気カー効果横モードを使用することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記セキュリティデバイスの表面を横切って前記光ビームを偏向させることを含む、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記セキュリティデバイスから一意識別子を読み取ることを含む、請求項49から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記セキュリティデバイスによって支持される磁気要素のパターンを認識することによって前記一意識別子を識別することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
光学的に可読のバーコード、1つまたは複数の光学的なしるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数を読み取ることによって前記一意識別子を識別することを含む、請求項57または58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記セキュリティデバイスから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記各々の1つまたは複数のパラメータを判定することを含む、請求項49から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
データベースから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定することを含む、請求項49から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記検出システムから離れて置かれたデータベースにアクセスすることを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
事前に測定された特有の応答の情報を、それが暗号化された形で読み取られるか提供される場合に、暗号化解除することをさらに含む、請求項49から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
請求項1から20のいずれか一項に記載の前記セキュリティデバイスを含む製品。
【請求項65】
文書、パスポート、識別カード、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ソフトウェア製品、パッケージング、衣類、履物、スマートカード、クレジットカードまたは銀行カード、化粧品、エンジニアリング部品、アクセサリ、ならびに、製造されるか他の形のいずれであれ、他の商品および/または商取引の品目の1つまたは複数を含む、請求項64に記載の製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの磁気要素を含むセキュリティデバイスであって、前記少なくとも1つの磁気要素が印加磁界に応答して特有の応答を提供するセキュリティデバイスにおいて、
前記少なくとも1つの磁気要素が、単一磁区の成長が各磁気要素の磁化の変化を支配する脆いモードスイッチングを引き起こす構造的欠陥を備えた材料から作られるセキュリティデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁気要素が、基板によって支持される、請求項1に記載のセキュリティデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気要素が、前記基板上で支持される、請求項2に記載のセキュリティデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁気要素が、前記印加される磁界に応答して、前記少なくとも1つの磁気要素の磁化または磁気分極を切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁気要素が、軟磁性材料から作られる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁気要素が、ニッケル、鉄、コバルト、および、ニッケル鉄合金、コバルト鉄合金、鉄シリコン合金、およびコバルトシリコン合金などの、お互いまたはシリコンとの合金の1つまたは複数から選択される軟磁性材料を含む、請求項5に記載のセキュリティデバイス。
【請求項7】
前記軟磁性材料が、パーマロイ材料である、請求項5または6のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁気要素が、実質的にワイヤ形状または平らにされたワイヤ形状である、請求項1から7のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁気要素が、光反射層によって裏打ちされる、請求項1から8のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの磁気要素が、基部の近くに、前記セキュリティデバイスの減らされた光反射率部分を設けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項11】
複数の前記少なくとも1つの磁気要素を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項12】
前記複数の磁気要素が、直線パターンを提供するように配置される、請求項11に記載のセキュリティデバイス。
【請求項13】
前記複数の磁気要素が、2次元パターンを提供するように配置される、請求項11に記載のセキュリティデバイス。
【請求項14】
前記パターンが、識別子をエンコードする、請求項12または13のいずれかに記載のセキュリティデバイス。
【請求項15】
それに組み込まれた一意識別子をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項16】
前記一意識別子が、光学的に可読のバーコード、1つまたは複数の光学的なしるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数によって提供される、請求項15に記載のセキュリティデバイス。
【請求項17】
スマートカードに取り付けられ、前記電子識別子が、前記スマートカード上で提供されるスマートカードチップによって提供される、請求項16に記載のセキュリティデバイス。
【請求項18】
前記特有の応答の1つまたは複数の測定可能なパラメータを表す事前に測定された特有の応答の情報が、前記セキュリティデバイスに保管される、請求項1から17のいずれか一項に記載のセキュリティデバイス。
【請求項19】
前記事前に測定された特有の応答の情報が、暗号化された形である、請求項18に記載のセキュリティデバイス。
【請求項20】
構造的欠陥を備えた少なくとも1つの磁気要素を備えることを具備し、前記少なくとも1つの磁気要素が、印加される磁界に応答して脆いモードスイッチングに特有の応答を提供する、セキュリティデバイスを製造する方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの磁気要素を基板上で提供することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
リフトオフプロセスまたは湿式エッチングプロセスを使用して前記少なくとも1つの磁気要素を形成することを含む、請求項20または21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
イオンビームエッチングプロセスを使用して前記少なくとも1つの磁気要素を形成することを含む、請求項20または21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの磁気要素の1つまたは複数の磁気パラメータの大きさを測定することを含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
保磁力値およびジッタ値の1つまたは複数を測定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
事前に測定された特有の応答の情報を表すために、前記1つまたは複数の磁気パラメータの前記測定された大きさを使用することを含む、請求項24または25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記事前に測定された特有の応答の情報を暗号化することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形で前記セキュリティデバイスで保管することを含む、請求項26または27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形で前記セキュリティデバイスから離れた記憶媒体に保管することを含む、請求項26または27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記事前に測定された特有の応答の情報を、暗号化された形または暗号化されない形でデータベースに保管することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記セキュリティデバイスを一意識別子と共に提供することをさらに含む、請求項20から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記事前に測定された特有の応答の情報に関連して前記一意識別子の表現を保管することを含む、請求項27から30のいずれか一項に従属するときの請求項31に記載の方法。
【請求項33】
セキュリティデバイスに磁界を印加する磁界生成システムと、
前記磁界に応答して前記セキュリティデバイスの脆いモードスイッチング測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定する検出システムとを含む、セキュリティデバイスを読み取るシステムであって、
前記システムが、前記の脆いモードスイッチング測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを、脆いモードスイッチング事前測定された特有の応答を1つまたは複数の対応するパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータと各々の事前測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定するように実施可能であるシステム。
【請求項34】
前記磁界生成システムが、時間に伴って変化する磁界をセキュリティデバイスに印加するように実施可能である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
光ビームが、前記セキュリティデバイスに問い合わせるのに使用される、請求項33または34のいずれかに記載のシステム。
【請求項36】
前記光ビームが、レーザダイオードによって作られる、可視ビームまたは近赤外ビームである、請求項33から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記パラメータが、保磁力値またはジッタ値の1つまたは複数を表す、請求項33から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記検出システムが、前記セキュリティデバイスの磁気要素によって前記光ビームに誘導される変化を検出する光磁気カー効果検出装置を含む、請求項35から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記光磁気カー効果検出装置が、横モードで動作するように構成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
さらに、前記セキュリティデバイスの表面を横切って前記光ビームを偏向させるように実施可能である、請求項35から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
さらに、前記セキュリティデバイスから一意識別子を読み取るように実施可能である、請求項33から40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記一意識別子が、前記セキュリティデバイスによって支持される磁気要素のパターンを認識することによって識別される、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記一意識別子が、光学的に読み取り可能なバーコード、1つまたは複数の光学的しるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数を読み取ることによって識別される、請求項41または42のいずれかに記載のシステム。
【請求項44】
さらに、前記セキュリティデバイスから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定するように実施可能である、請求項33から43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
さらに、データベースから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定するように実施可能である、請求項33から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記データベースが、前記検出システムから離れて置かれる、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
さらに、事前に測定された特有の応答の情報を、それが暗号化された形で読み取られるか提供される場合に暗号化解除するように実施可能である、請求項33から46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
セキュリティデバイスに磁界を印加することと、
前記磁界に応答して前記セキュリティデバイスの脆いモードスイッチング測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定することと、
前記の脆いモードスイッチング測定された特有の応答を表す前記1つまたは複数のパラメータを、脆いモードスイッチング事前測定された特有の応答を1つまたは複数の対応するパラメータと比較して、各々の測定されたパラメータと各々の事前測定されたパラメータが実質的に同等であるかどうかを判定することとを含む、セキュリティデバイスを読み取る方法。
【請求項49】
時間に伴って変化する磁界をセキュリティデバイスに印加することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記磁界に応答する前記セキュリティデバイスの測定された特有の応答を表す1つまたは複数のパラメータを測定することが、保磁力値およびジッタ値の1つまたは複数を測定することを含む、請求項48または49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
光ビームを使用して前記セキュリティデバイスに問い合わせることを含む、請求項48から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
可視ビームまたは近赤外ビームを作るためにレーザを動作させることを含む、請求項48から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
光磁気カー効果を使用して、前記セキュリティデバイスの磁気要素によって前記光ビームに誘導された変化を検出することを含む、請求項51または52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
光磁気カー効果横モードを使用することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記セキュリティデバイスの表面を横切って前記光ビームを偏向させることを含む、請求項51から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記セキュリティデバイスから一意識別子を読み取ることを含む、請求項48から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記セキュリティデバイスによって支持される磁気要素のパターンを認識することによって前記一意識別子を識別することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
光学的に可読のバーコード、1つまたは複数の光学的なしるし、磁気的にエンコードされた識別子、および電子識別子の1つまたは複数を読み取ることによって前記一意識別子を識別することを含む、請求項55または57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記セキュリティデバイスから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記各々の1つまたは複数のパラメータを判定することを含む、請求項48から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
データベースから前記1つまたは複数のパラメータを読み取ることによって、前記事前に測定された特有の応答の前記1つまたは複数の各々のパラメータを判定することを含む、請求項48から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記検出システムから離れて置かれたデータベースにアクセスすることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
事前に測定された特有の応答の情報を、それが暗号化された形で読み取られるか提供される場合に、暗号化解除することをさらに含む、請求項48から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
請求項1から19のいずれか一項に記載の前記セキュリティデバイスを含む製品。
【請求項64】
文書、パスポート、識別カード、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、ソフトウェア製品、パッケージング、衣類、履物、スマートカード、クレジットカードまたは銀行カード、化粧品、エンジニアリング部品、アクセサリ、ならびに、製造されるか他の形のいずれであれ、他の商品および/または商取引の品目の1つまたは複数を含む、請求項63に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2006−501541(P2006−501541A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535666(P2004−535666)
【出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003938
【国際公開番号】WO2004/025549
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
ポラロイド
【出願人】(505086680)インゲニア・ホールディングス・リミテッド (2)
【出願人】(505086679)インゲニア・テクノロジー・リミテッド (16)
【Fターム(参考)】