説明

セグメント、シールドトンネルの施工方法、及びシールドトンネル

【課題】本発明は、裏込め材を用いることなく、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工可能なセグメント、それを用いたシールドトンネル施工方法、及びそのシールドトンネルを提供する。
【解決手段】セグメントは、セグメント本体部110と、セグメント本体部110の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体120と、袋体120の背面に設けられ、透水性を有する透水部130とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを構築するにあたり、特に裏込め材を用いることなく施工可能なセグメント、それを用いたシールドトンネル施工方法及びそのシールドトンネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シールドトンネルを構築するにあたり、地盤中を流通する地下水流がそのシールドトンネルにより遮断されるような場合に、これを回避するための技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、セグメント背面と地山との間の隙間であるテールボイドに多孔質材料等の透水性を有する裏込め材を充填することにより、トンネルの周囲に地下水を迂回させるような流路を形成するシールドトンネルが開示されている。
【特許文献1】特開平10−280888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されるシールドトンネルでは、透水性を有する裏込め材を特別に調達しなければならず、手間がかかるとともに材料コストも嵩む。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、裏込め材を用いることなく、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工可能なセグメント、それを用いたシールドトンネル施工方法、及びそのシールドトンネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工可能なセグメントであって、
シールドトンネルの構築に用いられるセグメントであって、
セグメント本体部と、
前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、
前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、を備えることを特徴とする(第1の発明)。
【0006】
本発明のセグメントによれば、このセグメントによりセグメントリングを組み立てた後、袋体に充填材を充填することにより、袋体が膨張して透水部が地山に押し付けられ、その反力により地盤中に固定される。ここで、地山と接触する透水部もリング状に構築されることから、地下水流はそのリング状の透水部の一部から流入し、リング状の透水部を周回してリング状の透水部の他部から流出することになるので、地下水流を遮断することないシールドセグメントを施工することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記充填材は、前記袋体への充填時には流動性を有し、前記袋体に充填された後、時間の経過とともに硬化して所定の圧縮強度を有する硬化体になるものであることを特徴とする。
本発明のセグメントによれば、充填材は、所定の圧縮強度を有する硬化体になるので、袋体を地山に押しつけた状態で、シールドセグメントを確実に所定の位置に固定することができる。
【0008】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記袋体は、内部に充填された前記充填材を、少なくとも前記透水部側へ漏洩させない素材からなることを特徴とする。
本発明のセグメントによれば、袋体に充填された充填材が透水部に漏洩することはないので、充填材が透水部の空隙に浸入してその空隙を封鎖することにより透水性を低下させることはない。
【0009】
第4の発明は、第1〜3の何れかの発明において、前記袋体は、その内面が、前記袋体内に前記充填材が充填される前に、前記セグメント本体部と前記透水部との間が固定されるように接着されており、前記充填材が充填されると、その充填圧により前記接着部が離脱されることを特徴とする。
本発明のセグメントによれば、セグメントを掘削したトンネル内に設置する際には、充填材が袋体に充填されない状態で、透水部がセグメント本体部に対して固定されるようになっているので、透水部を地山面に適切に設置することができる。
【0010】
第5の発明は、第1〜4の何れかの発明において、前記透水部の背面には、溶解前にテールシールを通過させない水溶性シートが設けられていることを特徴とする。
セグメントを掘削したトンネル内に設置する際には、テールボイドからトンネル内に地下水が浸入しないように遮水するため、セグメントの背面とシールド式掘削機の内面との間にテールブラシが設けられるとともに、その部分にテールシール(高粘度のグリース)が供給されているが、テールシールは、透水部の空隙に浸入して、透水部内の水の流通を低下させるおそれがある。
本発明のセグメントによれば、透水部の背面に、水溶性シートが設けられていることにより、セグメント設置の際に、テールシールが透水部内に浸入することなく、また、セグメント設置後に、地下水が水溶性シートに接触することにより、水溶性シートが溶解して、地下水によりテールシールと共に洗い流されることになるので、透水部の透水性が損なわれることはない。
【0011】
第6の発明は、第1〜5の何れかの発明において、前記透水部は、ヘチマロン、ポーラスコンクリート、又は透水性の袋に砂や砂利を充填したもので構成されることを特徴とする。
【0012】
第7の発明は、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工する方法であって、セグメント本体部と、前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、からなるセグメントを複数用いて、前記シールドトンネルの施工経路のうち、少なくとも地盤中を流通する地下水を横切る位置にセグメントリングを組み立てる工程と、前記袋体に前記充填材を充填することにより、前記透水部を前記地盤に押し当てる工程と、前記袋体に充填した前記充填材を養生する工程と、からなることを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、地下水流を遮断することのないシールドトンネルであって、セグメント本体部と、前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、からなるセグメントを複数用いて、前記シールドトンネルの施工経路のうち、少なくとも地盤中を流通する地下水を横切る位置にセグメントリングを組み立て、前記袋体に前記充填材を充填することにより、前記透水部を前記地盤に押し当て、前記袋体に充填した前記充填材を養生することにより構築されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、裏込め材を用いることなく、地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工可能なセグメント、それを用いたシールドトンネル施工方法、及びそのシールドトンネルを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は、第一の実施形態に係るセグメント100の概略構成を示すものであり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【0016】
図1(a)及び(b)に示すように、セグメント100は、セグメント本体部110と、セグメント本体部110の背面に設けられる袋体120と、袋体120の背面に設けられる透水部130とから構成される。なお、セグメント100は、通常のセグメントと同様に、覆工体となるリング状構造物をいくつかに分割したピースとして製造され、通常のセグメントと適宜組み合わせて使用できるようになっている。
【0017】
セグメント本体部110は、地山の崩落を防止するために地山から受ける土圧を支持する部分である。セグメント本体部110としては、通常よく使用されるセグメントの材質と同様に、鉄筋コンクリート、鋼製、ダクタイル、又はこれらを合成したものを用いることができる。
【0018】
セグメント本体部110には、トンネル内空間側から地山側に貫通孔112が形成されている。なお、通常のセグメントにも、セグメント背面と地山との間の隙間であるテールボイドに裏込め材を充填するためにこのような貫通孔が設けられているが、通常のセグメントをセグメント本体部110として用いる場合には、この貫通孔を本実施形態のセグメント100の貫通孔112としてもよい。
【0019】
また、貫通孔112には、トンネル内空間側から一旦充填された充填材が、トンネル内空間側に逆流しないように逆止弁114が設けられている。
【0020】
袋体120は、その内部に充填された充填材を、外部に漏洩させない不透水性を有する素材からなるもので、例えば、塩化ビニル製シートからなる。この袋体120は、その内部と貫通孔112とを連通させる開口部120aを備えており、貫通孔112のトンネル内空間側の孔口から充填材が充填されると、貫通孔112から開口部120aを介して袋体120内に充填材が導入されるようになっている。なお、袋体120の素材は、リング状に組み立てられたセグメント100を固定するような充填圧で充填材が充填された場合に、破裂しない程度の十分な強度を有する。
【0021】
袋体120は、例えば、セグメント本体部110の背面に沿って設けられるように扁平形状に形成され、その内部に充填材が充填されると、その厚さが増大するように膨張する。
【0022】
また、袋体120内に充填材が充填されない状態で、透水部130がセグメント本体部110に対して固定されるように、袋体120の内部の対向面が接着剤又はマジックテープ(登録商標)等により接着されており、透水部130を地山面に適切に設置することができるようになっている。そして、袋体120に充填材が充填されると、その充填圧により上記の接着部が離脱し、袋体120が膨張していく。
【0023】
充填材としては、例えば、通常シールドトンネルの裏込め材として使用される、セメントにベントナイトや水ガラス等を混合したものを用いることができる。なお、充填材はこれに限らず、袋体120への充填時に流動性を有し、袋体120に充填後時間の経過とともに硬化して、セグメント100を固定するために必要な圧縮強度を有する硬化体となるものであれば、どのようなものでもよい(例えば、セメントのみでもよい)。
【0024】
透水部130は、所定の圧縮強度と透水係数を有する素材からなる。具体的には、透水部130は、袋体120の膨張に伴う圧縮荷重が作用しても所定の厚みを保持する程度の剛性と、その状態で押し付けられた地盤に流通する地下水を導入して、内部に流通させることができる程度の透水性とを有するものであり、例えば、ヘチマロン(登録商標)やポーラスコンクリート、または透水性の袋に砂や砂利を充填したものを用いることができる。ヘチマロンとは、新光ナイロン社製のプラスチックからなる立体網状成形品である。また、これらに限らず、例えば、軽石、軽量骨材、パーライト、硬質スポンジなどの所定の透水性を有し、所定の強度を有する材料であればどのようなものを用いてもよい。
【0025】
また、透水部130の背面には、例えば、水溶性ポリマーや水解紙等からなる水溶性シート132が設けられている。掘削したトンネル内にセグメント100を設置する際に、テールボイドからトンネル内に地下水が浸入しないように遮水するため、セグメント100の背面とシールド式掘削機の内面との間にテールブラシが設けられ、その部分にテールシール(高粘度のグリース)が供給されるが、水溶性シート132が設けられることにより、テールシールが透水部130に浸入するのを防止できる。すなわち、テールシールが透水部130の空隙に浸入すると、透水部130の透水性が低下するが、水溶性シート132により、そのような透水性の低下を防止できるのである。なお、セグメント100設置後、水溶性シート132は、地下水と接触することにより溶解して、テールシールと共に地下水によって洗い流されることになり、その結果、地下水が透水部130内に浸入して流通できるようになる。
【0026】
上記したセグメント100の厚さは、セグメント本体部110の厚さと、充填材が充填された袋体120の厚さと、透水部130の厚さとの和になるため、セグメント本体部110の厚さを一般的なセグメントに対して袋体120及び透水部130の厚さの分だけ小さくする必要がある。この場合、セグメント本体部110内部に設ける鉄筋の量を増加したり、高強度のコンクリートを使用したりすることにより、セグメント100の強度を低下させないような処置を講ずることが好ましい。
【0027】
次に、セグメント100を用いたシールドトンネルの施工におけるセグメント100の設置方法について説明する。
図2は、セグメント100の設置方法を示すフローである。なお、図2は、シールド掘削機により掘削されたトンネルの壁面近傍の領域を示している。
図2に示すように、セグメント100の設置方法は、セグメントリングの組み立て工程S10と、シールド式掘削機の前進移動工程S20と、袋体120内に充填材を充填する充填材充填工程S30と、袋体120内に充填した充填材を養生する養生工程S40とからなる。
【0028】
先ず、セグメントリングの組み立て工程S10では、シールドトンネルの施工経路のうち、少なくとも地盤中を流通する地下水を横切る位置にセグメント100を用いてセグメントリングを組み立てる。セグメントリングの組み立て方は通常のセグメントの組み立てと同様であり、すなわち、セグメント台車等によりトンネル先端にセグメント100を運搬し、シールド式掘削機のスキンプレート50の内周面内の位置に、エレクター又は人力によりリング状になるように組み立てる。
【0029】
例えば、リングの下部から順次左右対称に組み立てていき、最後に最長部にキーセグメントを挿入する。これらセグメント100の組み立てを行う際には、トンネル軸方向に隣接するセグメント100(又は通常のセグメント)と、ボルト又はピン等により固定し、また継手部には止水のためのゴムや合成樹脂系のパッキンが設ける。
このようにしてセグメントリングを組み立てた後、次にシールド式掘削機の前進移動工程S20を行う。
【0030】
シールド式掘削機のスキンプレート50の内周面には、セグメント100の最背面に添わせるようにテールブラシ52が設けられるとともに、高粘度グリースであるテールシール53が供給されており、これによりシールド式掘削機の内周面とセグメント100最背面とが密閉されて、地山60側の地下水や土砂がトンネル内空間に侵入するのを防止している。なお、上記したように、セグメント100の最背面である透水部130の表面には水溶性シート132が設けられているので、透水部130内にはテールシール53が浸入しないようになっている。
【0031】
シールド式掘削機が前進すると、地山60とゼグメントの最背面に位置する透水部130との間に隙間(テールボイド54)が生じる。
【0032】
充填材充填工程S30では、トンネル内空間側から充填材140をセグメント100の貫通孔112から充填することにより袋体120を膨張させて、テールボイド54が無くなるように透水部130を地山60に密着させる。
【0033】
そして、養生工程S40により、袋体120に充填された充填材140を所定時間養生させて硬化させることによりセグメント100の設置が完了する。
【0034】
以上説明した本実施形態に係るセグメント100によれば、セグメント本体部110と、セグメント本体部110の背面に設けられ、充填材140が充填されることにより膨張する袋体120と、袋体120の背面に設けられ、透水性を有する透水部130とからなることにより、このセグメント100によりセグメントリングを組み立てた後、袋体120に充填材140を充填することにより、袋体120が膨張して透水部130が地山に押し付けられ、その反力によりトンネル壁面に固定される。また、その後、充填材140は、所定の圧縮強度を有する硬化体になるので、袋体120を地山に押しつけた状態で、セグメント100を確実に所定の位置に固定することができる。
【0035】
図3は、トンネル壁面に固定された状態のセグメントリング10の、トンネル軸と直交する断面図である。
また、図3に示すように、地山と接触する透水部130もリング状に構築されることから、地下水流はそのリング状の透水部130の片側から流入し、リング状の透水部130を周回してリング状の透水部130の他側から流出することになるので、地下水流を遮断することないシールドセグメント100を施工することができる。
【0036】
また、通常の裏込め材は、セメントにベントナイトや水ガラスを混入して遮水性を備えさせ、セグメントと地山60との間の隙間であるテールボイド54に充填されることにより、セグメント間のジョイント等から地下水がトンネル内空間に浸入することを防止する機能を有するが、特許文献1に開示されるシールドトンネルでは、透水性を有する裏込め材を用いているので、地山60からセグメント間のジョイント等通じてトンネル内空間へ地下水が浸入するおそれがある。
【0037】
これに対し、本実施形態に係るセグメント100では、透水部130とセグメント本体部110のとの間に、不透水性を有する素材からなる袋体120が設けられるので、地山60から地下水がトンネル内空間に浸入するのを防止できる。さらに、袋体120内部には、遮水性を備える通常の裏込め材が充填されることにより、万一、袋体120が破損した場合でも、地下水のトンネル内空間への浸入が防止される。
【0038】
なお、本実施形態の袋体120は、内部に充填された充填材140を、外部に漏洩させない不透水性を有する素材からなるとしたが、これに限らず、内部に充填された充填材140を、少なくとも透水部130側へ漏洩させずに膨張する素材又は構造であればよい。すなわち、充填材140が透水部130へ浸出することによって、その充填材140が透水部130内で硬化して透水部130の透水性が損なわなければよい。
【0039】
また、本発明に係る実施形態を次のようにしてもよい。
図4は、第二の実施形態に係るセグメント200の概略構成を示すものであり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図である。
図4に示すように、第二の実施形態に係るセグメント200は、第一の実施形態に係るセグメント100と同様に、その断面構造が、セグメント本体部210と、セグメント本体部210の背面に設けられる袋体220と、袋体220の背面に設けられる透水部230とから構成されるが、鋼製で板状のリブ214が、地山方向に突出し、かつ、格子状に区画するようにセグメント本体部210の地山側に複数設けられ、そのリブ214により囲繞された領域に夫々、袋体220と透水部230とが、リブ214の先端よりも突出しないように、それら囲繞された領域に収納されるように設けられている。なお、リブ214により囲繞された領域に設けられた各透水部230の背面には水溶性シート132が設けられており、各袋体220にも、その内部に連通する貫通孔212が夫々設けられている。
【0040】
図5は、第二の実施形態に係るセグメント200が設置されたシールドトンネルのシールド式掘削機の前進移動工程S20における動作を示す図である。
図5に示すように、このようなセグメント200の構成にすることにより、図2で説明したシールド式掘削機が前進移動するときに、リブ214が、シールド式掘削機のスキンプレート50の内周面に設けられるテールブラシ52の先端を、水溶性シート132に到達しないように屈曲させるので、テールブラシ52の先端が水溶性シート132を引掻いて損傷させることを抑制することができる。これにより、損傷した水溶性シート132からテールシール53が浸入して、透水部230の透水性を低下させることを防止できる。
また、セグメント200の透水部230には、例えば、砂利を透水性の袋に充填したものを使用する。
【0041】
図6は、図4に示すセグメント200の袋体220内に充填材140を充填したときの断面図である。
図6に示すように、袋体220に充填材140が充填され、袋体220が膨張すると、透水部230が、囲繞されていたリブ214内から放出されることにより、地山60に押し付けられるとともに、水平方向に膨張する。これにより、セグメント200は地山60に固定され、外周に透水領域を有するシールドトンネルが構築されることになり、地下水流の遮断が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第一の実施形態に係るセグメント100の概略構成を示すものであり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図2】セグメント100の設置方法を示すフローである。
【図3】トンネル壁面に固定された状態のセグメントリング10の、トンネル軸と直交する断面図である。
【図4】第二の実施形態に係るセグメント200の概略構成を示すものであり、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図である。
【図5】第二の実施形態に係るセグメント200が設置されたシールドトンネルのシールド式掘削機の前進移動工程S20における動作を示す図である。
【図6】図4に示すセグメント200の袋体220内に充填材140を充填したときの断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 セグメントリング
50 スキンプレート
52 テールブラシ
53 テールシール
54 テールボイド
60 地山
100,200 セグメント
110,210 セグメント本体部
112,212 貫通孔
114 逆止弁
120,220 袋体
130,230 透水部
132 水溶性シート
140 充填材
214 リブ
S10 組み立て工程
S20 前進移動工程
S30 充填材充填工程
S40 養生工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドトンネルの構築に用いられるセグメントであって、
セグメント本体部と、
前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、
前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、を備えることを特徴とするセグメント。
【請求項2】
前記充填材は、前記袋体への充填時には流動性を有し、前記袋体に充填された後、時間の経過とともに硬化して所定の圧縮強度を有する硬化体になるものであることを特徴とする請求項1に記載のセグメント。
【請求項3】
前記袋体は、内部に充填された前記充填材を、少なくとも前記透水部側へ漏洩させない素材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のセグメント。
【請求項4】
前記袋体は、その内面が、前記袋体内に前記充填材が充填される前に、前記セグメント本体部と前記透水部との間が固定されるように接着されており、
前記充填材が充填されると、その充填圧により前記接着部が離脱されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のセグメント。
【請求項5】
前記透水部の背面には、溶解前にテールシールを通過させない水溶性シートが設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のセグメント。
【請求項6】
前記透水部は、ヘチマロン、ポーラスコンクリート、又は透水性の袋に砂や砂利を充填したもので構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のセグメント。
【請求項7】
地下水流を遮断することのないシールドトンネルを施工する方法であって、
セグメント本体部と、前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、からなるセグメントを複数用いて、前記シールドトンネルの施工経路のうち、少なくとも地盤中を流通する地下水を横切る位置にセグメントリングを組み立てる工程と、
前記袋体に前記充填材を充填することにより、前記透水部を前記地盤に押し当てる工程と、
前記袋体に充填した前記充填材を養生する工程と、からなることを特徴とするシールドトンネルの施工方法。
【請求項8】
地下水流を遮断することのないシールドトンネルであって、
セグメント本体部と、前記セグメント本体部の背面に設けられ、充填材が充填されることにより膨張する袋体と、前記袋体の背面に設けられ、透水性を有する透水部と、からなるセグメントを複数用いて、前記シールドトンネルの施工経路のうち、少なくとも地盤中を流通する地下水を横切る位置にセグメントリングを組み立て、
前記袋体に前記充填材を充填することにより、前記透水部を前記地盤に押し当て、
前記袋体に充填した前記充填材を養生することにより構築されることを特徴とするシールドトンネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−138442(P2009−138442A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316404(P2007−316404)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】