セグメント及び路面部品の搬送装置及び搬送方法
【課題】路面構築現場への路面部品の供給とトンネル構築現場へのセグメントの供給とを同時にでき、路面部品を用いた路面構築とセグメントを用いたトンネル構築とを同時できるセグメント及び路面部品の搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】セグメント3及び路面部品11用の共用ホイスト20と、共用ホイスト20で搬送されたセグメント3を複数貯蔵し、順次エレクタ4に受け渡すセグメントキャリヤ6と、共用ホイスト20で搬送された路面部品11が載置され、それを横送りするトラバーサ19と、トラバーサ19で横送りされた路面部品11を吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面Rを構築する専用ホイスト27とを備え、トラバーサ19上の路面部品11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成した。
【解決手段】セグメント3及び路面部品11用の共用ホイスト20と、共用ホイスト20で搬送されたセグメント3を複数貯蔵し、順次エレクタ4に受け渡すセグメントキャリヤ6と、共用ホイスト20で搬送された路面部品11が載置され、それを横送りするトラバーサ19と、トラバーサ19で横送りされた路面部品11を吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面Rを構築する専用ホイスト27とを備え、トラバーサ19上の路面部品11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルを構築するためのセグメントと、そのトンネル内の底部に平板状の路面を構築するための路面部品とを、トンネル軸方向に搬送する搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、掘進に応じてその掘進機本体内のエレクタによりセグメントをリング状に組み立ててトンネルを構築するものであるが、このトンネルを道路トンネル等に利用する場合、トンネル内の底部に、平板状の路面を二次覆工する必要がある。
【0003】
従来、トンネル内の底部にコンクリートを打設することで路面を構築し、その路面の上を後続台車(掘進機本体用の電源や油圧源等が積載されている)が走行するようにしたシステムが知られている(特許文献1、2)。このシステムでは、路面構築現場は、エレクタによるトンネル構築現場よりも後方で、且つ既に構築された路面よりも前方に位置することになる。
【0004】
【特許文献1】特許第3497670号公報
【特許文献2】特開平3−129099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、既設の路面上を走行する後続台車は、それに積載された電源や油圧源等で生成された電力や油圧を掘進機本体に供給する都合上、掘進機本体から大きく後方に離間させるわけにはいかない。このため、掘進機本体と後続台車との間に位置する路面構築現場と、掘進機本体内のトンネル構築現場(エレクタの位置)とは、近付くことになる。この結果、路面構築現場への路面部品の搬送ラインと、エレクタへのセグメントの搬送ラインとが干渉するおそれが生じる。
【0006】
この干渉が生じると、路面部品を路面構築現場に搬送しているときはエレクタへのセグメントの搬送を中断し、セグメントをエレクタに搬送しているときには路面構築現場への路面部品の搬送を中断しなければならず、結局、路面部品とセグメントとを各構築現場に同時に供給できない。よって、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行えず、工事期間の長期化を招く。
【0007】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、路面構築現場への路面部品の供給とトンネル構築現場へのセグメントの供給とを同時にでき、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行うことができるセグメント及び路面部品の搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係るセグメント及び路面部品の搬送装置は、セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、上記トラバーサ上に載置された路面部品の上方に、上記共用ホイストに吊下されたセグメントを通過させるための搬送スペースを形成したことを特徴とする装置である。
【0009】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面上に、トンネル軸方向に移動可能に載置されていてもよい。
【0010】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面よりもトンネル軸方向前方のトンネル底部に、トンネル軸方向に移動可能に載置されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係るセグメント及び路面部品の搬送方法は、セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、上記共用ホイストに吊下した路面部品を上記トラバーサに吊り降ろすことで、そのトラバーサ上の路面部品の上方に上記共用ホイストに吊下されたセグメントの搬送スペースを形成し、上記専用ホイストが路面部品をトンネル底部に組み付けて平板状の路面を構築しているとき、上記共用ホイストがセグメントを上記搬送スペースを通して上記セグメントキャリヤに搬送し、上記専用ホイストによる路面の構築と同時に上記エレクタによるトンネルの構築を可能としたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、路面構築現場への路面部品の供給とトンネル構築現場へのセグメントの供給とを同時にでき、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、シールド掘進機本体1の筒状シールドフレーム2の内部には、セグメント3をリング状に組み立ててトンネルTを構築するためのエレクタ4と、既設のセグメント3に反力を取って掘進機本体1を前進させるためのシールドジャッキ5とが設けられている。
【0015】
エレクタ4の直後のトンネルT内の底部には、図5にも示すように、セグメント3を複数(例えば1リング分)貯蔵し、それらを順次エレクタ4に受け渡すためのセグメントキャリヤ6(セグメント供給装置)が、前後方向(トンネル軸方向)に移動可能に配置されている。セグメントキャリヤ6は、掘進機本体1の前進に応じて、掘進機本体1に牽引されて或いは自力で前進するようになっている。
【0016】
セグメントキャリヤ6の上方には、掘進機本体1を操作するための操作盤や運転室等が設けられた運転台車7が、前後方向に移動可能に配置されている。運転台車7は、掘進機本体1から後方に延出されたフレーム8に連結されており、掘進機本体1の前進に伴って前進するようになっている。但し、運転台車7は、掘進機本体1と切り離されていて、自走するようになっていてもよい。
【0017】
図1に示すように、運転台車7の後方には、後続台車9が配置されている。後続台車9は、図1、図4、図5に示す連結材10を介して運転台車7に連結されていて、運転台車7と一体的に前進する。後続台車9は、その内部に掘進機本体用の電源や油圧源等が積載されており、トンネル底部に路面部品(コンクリートプレキャスト11)を組み付けることで平板状に構築された路面Rの上を走行する。プレキャスト11は、セグメント3と同じトンネル軸方向の寸法を有し、左右2個一組でセグメント1リング分に相当する長さの路面Rが構築されるようになっている。
【0018】
図1、図2に示すように、後続台車9は、路面Rの左側に敷設されたレール12上を走行する左側部13と、路面Rの右側に敷設されたレール14上を走行する右側部15と、これら左側部13と右側部15とを連結する連結材16とを備えている。後続台車9の左側部13と右側部15との間には、セグメント3及び
プレキャスト11を縦向きに積載してトンネル入口から走行して来た搬送台車17が停車し得るスペースが設けられている。搬送台車17は本実施形態では3両編成からなり、各車両に路面部品としてのプレキャスト11及びトンネル構築部品としてのセグメント3が縦向きに積載され、先頭車両の前部と後尾車両の後部とに夫々運転室18が設けられている。搬送台車17は、路面Rの上を直接走行し、路面Rの上に搬送台車17用のレールは敷設されていない。
【0019】
図1に示すように、運転台車7と後続台車9との間には、搬送台車17上のセグメント3及びプレキャスト11を吊下してトンネル軸方向前方に搬送し、セグメント3を上述のセグメントキャリヤ6に移し替え、プレキャスト11を後述のトラバーサ19に移し替えるための共用ホイスト20が設けられている。共用ホイスト20は、後続台車9と運転台車7とを架け渡して設けられたホイストビーム21と、ホイストビーム21に係合しそれに沿って走行するホイスト台車22と、ホイスト台車22から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にセグメント3又はプレキャスト11を吊下すると共に吊下したセグメント3又はプレキャスト11を鉛直軸廻りに回転させて横向きとする吊下部23とを有する。
【0020】
ホイストビーム21は、図2に示すように後続台車9の上部にトンネル幅方向に間隔を隔てて左右一対配置されていて夫々前方に延出されており、それらの前端が図5に示すように運転台車7の上部に夫々支持されている。ホイスト台車22は、図3に示すように左右のホイストビーム21の上に架け渡すようにして載置され、それらビーム21の上を長手方向に走行する。吊下部23は、ホイスト台車22の内部に設けられたウインチと、ウインチから下方に繰り出されたワイヤの下端に設けられセグメント3又はプレキャスト11を把持するフックと、ウインチをホイスト台車22に対して鉛直軸廻りに回転させることでフックに把持されたセグメント3又はプレキャスト11を90度旋回させて横向きとする回転機構とを備えている。
【0021】
図1、図4に示すように、後続台車9の前方の路面Rの上には、共用ホイスト20で吊下されたプレキャスト11が載置され、載置されたプレキャスト11をトンネル幅方向の左又は右に横送りするトラバーサ19が、トンネル軸方向に移動可能に配置されている。トラバーサ19は、路面Rに敷設された後方台車用レール12、14を走行する車輪を有する独立台車24と、独立台車24に横方向(トンネル幅方向)に移動可能に設けられた載置台25からなる横送り機構とを備える。独立台車24は、本実施形態では連結材26を介して後続台車9と連結されていて後続台車9と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0022】
トラバーサ19で横送りされた左右のプレキャスト11の上方には、プレキャスト11を吊り上げて前方に搬送するための専用ホイスト27が、トンネルT内の上部左右に配置されている。専用ホイスト27は、左右のホイストビーム21の下部を抱き込むように形成されてそのビーム21に沿って走行するホイスト台車28と、ホイスト台車28から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にプレキャスト11を吊下する吊下部29とを有する。専用ホイスト27は、図1に矢印で示すように、トラバーサ19の上において左右に横送りされたプレキャスト11を吊り上げて前方に移送し、トンネル底部に吊り降ろして組み付け、平板状の路面Rを構築する。
【0023】
共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19に吊り降ろしたとき、そのトラバーサ19上のプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されるように、トラバーサ19の載置台25から共用ホイスト20までの高さが設定されている。詳しくは、トラバーサ19は、本実施形態ではプレキャスト11で構築された路面Rの上に配置されるため、トラバーサ19(載置台25)の設置高さをその路面Rの高さ以下に下げることはできず、そのトラバーサ19に載置されたプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成するためには、共用ホイスト20をトンネルT内の中央天井部の近傍に配置しなければならない。そして、搬送スペース30は、左右のホイストビーム21の間に挟まれた空間に形成される。
【0024】
以上の構成からなる本実施形態に係るセグメント及び路面部品(プレキャスト)の搬送装置の作用、すなわちセグメント及び路面部品の搬送方法を述べる。
【0025】
図1、図2に示すように、プレキャスト11及びセグメント3が縦向きに積載された搬送台車17が、トンネル入口から走行して来て後続台車9の内方に停車する。すると、共用ホイスト20が、搬送台車17上のプレキャスト11を吊り上げて縦向きのまま、トラバーサ19の上方位置まで前方に搬送する。その後、共用ホイスト20は、図4に示すように、プレキャスト11を左右のホイストビーム21と干渉しない旋回スペースが確保できる高さまで降下させて、そこでプレキャスト11を鉛直軸廻りに90度旋回させて横向きとした後、トラバーサ19の載置台25に載せ替える。トラバーサ19は、プレキャスト11を横送りする。横送りされたプレキャスト11は、図1に矢印で示すように、左側又は右側の専用ホイスト27に吊り上げられて既設の路面Rの前端まで移送され、トンネル底部に組み付けられて新たな路面Rが構築される。
【0026】
図4に示すように、共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19の載置台25に吊り降ろすと、吊り降ろされたプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3(図5参照)を通過させることができる搬送スペース30が形成される。そして、共用ホイスト20からトラバーサ19上に吊り降ろされたプレキャスト11は、以降、トラバーサ19で横送りされるときには設置高さが吊り降ろされたときから変化しないため上記搬送スペース30を通過するセグメント3と干渉せず、且つ、専用ホイスト27で前方に搬送されるときにはトラバーサ19から上方に僅かに吊り上げられるが吊り上げ量が僅かであるため同様に上記搬送スペース30を通過するセグメント3と干渉しない。
【0027】
よって、トラバーサ19でプレキャスト11を横送りしているとき及び専用ホイスト27でプレキャスト11を搬送して路面Rを構築しているとき、共用ホイスト20は、搬送台車17上のセグメント3を、搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6の上方位置まで前方に搬送し、セグメントキャリヤ6に受け渡すことができる。詳しくは、図1に示すように、搬送台車17上のセグメント3は、縦向きのまま共用ホイスト20で吊り上げられて上記搬送スペース30を通して前方に搬送されて、セグメントキャリヤ6の上方位置まで搬送され、図5にも示すように、その位置で左右のホイストビーム21と干渉しない旋回スペースが確保できる高さまで降下され、そこで鉛直軸廻りに90度旋回させて横向きとされた後、セグメントキャリヤ6に載置される。
【0028】
この結果、図1に示すセグメントキャリヤ6がその内部に貯蔵された複数のセグメント3を順次エレクタ4に供給するのに応じて、搬送台車17上のセグメント3を共用ホイスト20によってセグメントキャリヤ6に次々と供給でき、且つかかる共用ホイスト20によるセグメント3のセグメントキャリヤ6への搬送作業は、上記搬送スペース30を利用しているため、専用ホイスト27による路面構築作業と干渉しない。従って、セグメントキャリヤ6においてセグメント3が不足状態となることはなく、エレクタ4によるトンネルTの構築作業と、専用ホイスト27による路面Rの構築作業とを同時に行うことができ、高速施工が可能となって工事期間が短縮化される。
【0029】
また、プレキャスト11のトンネル軸方向の寸法は、セグメント3のトンネル軸方向の寸法と一致されているので、エレクタ4でセグメント3を1リング分組み立て、且つ専用ホイスト27で左右2個のプレキャスト11を組み立てたとき、セグメント3の組み立てに伴って前進するトンネル構築位置の前進量と、プレキャスト11の組み立てに伴って前進する路面構築位置の前進量とが等しくなる。よって、トンネル構築位置(エレクタ位置)に対する路面構築位置(トラバーサ直前方位置)が変化することはなく、エレクタ4に対するトラバーサ19のトンネル軸方向離間距離を固定できる。
【0030】
図6、図7に本発明の変形実施形態を示す。
【0031】
この変形実施形態は、トラバーサ19a及び専用ホイスト27aが前実施形態と異なっており、その他は前実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0032】
前実施形態のトラバーサ19は、図1に示すように、既設の路面Rの上にトンネル軸方向に移動可能に載置されているのに対し、この変形実施形態のトラバーサ19aは、図6に示すように、既設の路面Rよりもトンネル軸方向前方且つセグメントキャリヤ6よりもトンネル軸方向後方のトンネル底部に配置されており、プレキャスト11が載置される載置台25aの高さが既設の路面Rより低くなっている。このトラバーサ19aは、図7に示すように、トンネル底部を走行する車輪を有する独立台車24aと、独立台車24aに設けられた横送り機構としての載置台25aとを備える。独立台車24aは、本実施形態では図示しない連結材を介して運転台車7と連結されていて運転台車7と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0033】
図7に示すように、独立台車24aの上部には、共用ホイスト20で吊下されたプレキャスト11が縦向き状態で上下方向に通過することができる開口31が形成されており、開口31の下方の独立台車24内には、縦向き状態のプレキャスト11を鉛直軸廻りに90度旋回させて横向き状態とすることが可能なスペース32が確保されている。独立台車24aの上部の左右には、載置台25aで左右に横送りされたプレキャスト11を吊り上げて後方に搬送する専用ホイスト27aが、夫々設けられている。専用ホイスト27aは、独立台車24aの上部の左右から夫々図6に示すように後方に延出された左右のホイストビーム32aと、各ホイストビーム32aに沿って走行するホイスト台車28aと、ホイスト台車28aから下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にプレキャスト11を吊下する吊下部29aとを有する。この専用ホイスト27aは、図6に矢印で示すように、トラバーサ19aで横送りされた左右のプレキャスト11を吊り上げて後方の既設の路面Rの先端まで搬送し、そこでプレキャスト11をトンネル底部に吊り降ろして組み付け、新たな路面Rを構築する。なお、図6の33はカウンターウエイトである。
【0034】
この実施形態においても、共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19aの載置台25aに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたプレキャスト11の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成されている。よって、専用ホイスト27aがプレキャスト11をトンネル底部に組み付けて路面Rを構築しているとき、共用ホイスト20がセグメント3を搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6に搬送することが可能となり、前実施形態と同様の作用・効果を奏する。また、この実施形態では、図6に示すように、プレキャスト11を載置するトラバーサ19aの載置台25aの高さが既設の路面Rよりも低いため、図1に示す前実施形態のようにトラバーサ19が既設の路面Rの上に配置されたものと比べると、共用ホイスト20の設置高さを前実施形態よりも下げても上記搬送スペース30を確保することができ、より小口径トンネルに対応できる。
【0035】
図8〜図11に本発明の別の変形実施形態を示す。
【0036】
図示するようにこの変形実施形態は、路面部品34、35、36、路面R、トラバーサ19b及び専用ホイスト27bが図6の実施形態と異なっており、その他は図6の実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分のみ説明する。
【0037】
この変形実施形態の路面部品は、図9に示すように、トンネル底部の左右に組み付けられるPC側壁34と、中央に立てられる中柱35と、左右のPC側壁34に架け渡されると共に中柱35の頂部に支持される床板36とからなり、全てコンクリートプレキャスト品である。よって、路面Rを構築する際にコンクリートの現場打設は必要ない。床板36、中柱35、PC側壁34のトンネル軸方向の寸法は、セグメント3のトンネル軸方向の長さに合わせられている。図8に示すように、PC側壁34、中柱35、床板36は、セグメント3と共に搬送台車17に積載され、トンネル入口から後続台車9の内方の位置まで搬送されて来る。
【0038】
図8に示すように、トラバーサ19bは、既設の路面Rよりもトンネル軸方向前方且つセグメントキャリヤ6よりもトンネル軸方向後方のトンネル底部に配置されており、PC側壁34が載置される載置台25bの高さが既設の路面Rより低くなっている。このトラバーサ19bは、トンネル底部を走行する車輪を有する独立台車24bに設けられている。独立台車24bは、本実施形態では図示しない連結材を介して運転台車7と連結されていて運転台車7と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。また、独立台車24bには、専用ホイスト27bも設けられている。本実施形態では、専用ホイスト27bとトラバーサ19bとは、一体的に構成されている。すなわち、独立台車24bには、専用ホイスト27bの機能とトラバーサ19bの機能とを兼用する搬送装置が設けられている。
【0039】
この搬送装置について説明する。図8、図11に示すように、独立台車24bの上部には、トンネル幅方向に間隔を隔ててトンネル軸方向に延出された上桁37が設けられている。各上桁37の下部には、トンネル軸方向に沿ってホイストレール38が夫々設けられており、各ホイストレール38には、ホイスト台車39が夫々係合されている。ホイスト台車39の下部には、トンネル幅方向に延出されたホイストレール40が取り付けられており、ホイストレール40には、ホイスト台車41が2個係合されている。ホイスト台車40には、ワイヤを下方に巻上下げ自在に繰り出すウインチが設けられ、ワイヤの先端には、PC側壁34を吊下する吊下部(フック42)が設けられ、ウインチには、吊下したPC側壁34を鉛直軸廻りに回転させる回転機構が設けられている。
【0040】
図8、図10に示すように、独立台車24bの上桁37のトンネル後方側の部分には、トンネル軸方向に沿ってホイストレール43が夫々設けられており、各ホイストレール43には、ホイスト台車44が夫々係合されている。ホイスト台車44の下部には、トンネル幅方向に延出されたホイストレール45が取り付けられており、ホイストレール45には、ホイスト台車46が1個係合されている。ホイスト台車46には、ワイヤを下方に巻上下げ自在に繰り出すウインチが設けられ、ワイヤの先端には、中柱35又は床板36を吊下する吊下部(フック47)が設けられ、ウインチには、吊下した中柱35又は床板36を鉛直軸廻りに回転させる回転機構が設けられている。
【0041】
この実施形態においても、図8に示すように、共用ホイスト20に吊下したPC側壁34をトラバーサ19bの載置台25bに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたPC側壁34の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されている。すなわち、搬送台車17上のPC側壁34は、共用ホイスト20により吊り上げられて前方のトラバーサ19bの位置まで搬送され、図11に示すように、左右の上桁37の間を通過させて載置台25bに吊り降ろされるところ、載置台25bにPC側壁34を吊り降ろすことでPC側壁34を切り離してフリーとなった共用ホイスト20は、以降、搬送台車17上のセグメント3を、上記搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6まで搬送できる。よって、最初の実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0042】
トラバーサ19bの載置台25bに載置されたPC側壁34は、図11に示す吊下部42に吊下され、ホイスト台車41がホイストレール40に沿って移動することでトンネル幅方向の左又は右に横送りされ、2台のホイスト台車39が同期してホイストレール38に沿って移動することでトンネル軸方向に移動され、既にトンネル底部に組み付けられている既設のPC側壁34に繋げるようにしてトンネル底部の左右に組み付けられる。
【0043】
左右のPC側壁34の組み付け後、図8に示す共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられてホイストレール43の下方に仮置きされた中柱35が図10の吊下部47に吊下され、吊下された中柱35が、ホイスト台車46をホイストレール45に沿って移動させることでトンネル幅方向に移動され、2台のホイスト台車44をホイストレール43に沿って同期して移動させることでトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置される。
【0044】
中柱35の組み付け後、図8に示す共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられてホイストレール43の下方に横向きに仮置きされた床板36が図10の吊下部47に吊下され、吊下された床板36が、ホイスト台車46をホイストレール45に沿って移動させることでトンネル幅方向に移動され、2台のホイスト台車44をホイストレール43に沿って同期して移動させることでトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の上部で且つトンネル底部に立設された中柱35の頂部に載置される。こうしてセグメント1リング分の長さの路面が構築される。
【0045】
なお、図8、図10に示すホイストレール43、ホイスト台車44、ホイストレール45、ホイスト台車46を省略し、中柱35及び床板36を共用ホイスト20によって組み付けるようにしてもよい。但し、前述したように中柱35及び床板36を、共用ホイスト20によって仮置きした方が、共用ホイスト20によって組み付けるよりも、共用ホイスト20が中柱35及び床板36の移送及び組み付けに関わる時間を短縮できるので、その分、共用ホイスト20によって搬送台車17上のセグメント3をセグメントキャリヤ6に搬送する時間に当てることができ、全体的な搬送効率が向上する。
【0046】
図12、図13に本発明の別の変形実施形態を示す。
【0047】
この変形実施形態は、トラバーサ19c、専用ホイスト27cが図8の実施形態と異なっており、その他は図8の実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分のみ説明する。
【0048】
トラバーサ19cは、既設の路面Rの上に載置されており、共用ホイスト20から受け渡されたPC側壁34をトンネル幅方向の左右に横送りするものであり、路面Rに敷設された後方台車用レール12、14を走行する車輪を有する独立台車24cと、独立台車24cに設けられた横送り機構としての載置台25cとを備える。独立台車24cは、本実施形態では連結材26cを介して後続台車9と連結されていて後続台車9と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0049】
専用ホイスト27cは、載置台25cで横送りされた左右のPC側壁34を吊り上げて前方に搬送し、トンネル底部の左右に組み付けるものであり、横送りされた左右のPC側壁34の上方を通るように、後端が後続台車9に支持され、前端が運転台車7に支持された左右のホイストビーム50と、左右のホイストビーム50の下部を抱き込むように形成されてそのビーム50に沿って走行するホイスト台車51と、ホイスト台車51から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にPC側壁34を吊下する吊下部52とを有する。
【0050】
この実施形態においても、図12に示すように、共用ホイスト20に吊下したPC側壁34をトラバーサ19cの載置台25cに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたPC側壁34の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されている。すなわち、搬送台車17上のPC側壁34は、共用ホイスト20により吊り上げられて前方のトラバーサ19cの位置まで搬送され、図13に示すように、載置台25cに吊り降ろされるところ、PC側壁34を切り離してフリーとなった共用ホイスト20は、以降、搬送台車17上のセグメント3を、上記搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6まで搬送できる。よって、最初の実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0051】
トラバーサ19cの載置台25cに載置されたPC側壁34は、載置台25cがトンネル幅方向に移動することによってトンネル幅方向の左又は右に横送りされた後、専用ホイスト27cによってトンネル軸方向前方に搬送され、既にトンネル底部に組み付けられている既設のPC側壁34に繋げるようにしてトンネル底部の左右に組み付けられる。
【0052】
左右のPC側壁34の組み付け後、共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられて専用ホイスト27cのホイストレール50の下方に仮置きされた中柱35が、専用ホイスト27cに吊下されてトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置される。
【0053】
中柱35の組み付け後、共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられて専用ホイスト27cのホイストレール50の下方に横向に仮置きされた床板36が、専用ホイスト27cに吊下されてトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の上部で且つトンネル底部に立設された中柱35の頂部に載置される。こうしてセグメント1リング分の長さの路面が構築される。
【0054】
なお、中柱35及び床板36の組み付けを専用ホイスト27cではなく、共用ホイスト20によって行うようにしてもよい。この場合、共用ホイスト20が搬送台車17上の中柱35を吊り上げて前方に搬送し、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置し、その後、共用ホイスト20が搬送台車17上の床板36を吊り上げて前方の組付位置までに搬送し、床板36を鉛直軸廻りに90度旋回させ、左右のPC側壁34の上部で且つ中央の中柱35の頂部に載置する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】本発明の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明の別の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】図8のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の別の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【符号の説明】
【0056】
3 セグメント
4 エレクタ
6 セグメントキャリヤ
11 路面部品としてのプレキャスト
19 トラバーサ
19a トラバーサ(変形例)
19b トラバーサ(変形例)
19c トラバーサ(変形例)
20 共用ホイスト
27 専用ホイスト
27a 専用ホイスト(変形例)
27b 専用ホイスト(変形例)
27c 専用ホイスト(変形例)
30 搬送スペース
R 路面
T トンネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルを構築するためのセグメントと、そのトンネル内の底部に平板状の路面を構築するための路面部品とを、トンネル軸方向に搬送する搬送装置及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、掘進に応じてその掘進機本体内のエレクタによりセグメントをリング状に組み立ててトンネルを構築するものであるが、このトンネルを道路トンネル等に利用する場合、トンネル内の底部に、平板状の路面を二次覆工する必要がある。
【0003】
従来、トンネル内の底部にコンクリートを打設することで路面を構築し、その路面の上を後続台車(掘進機本体用の電源や油圧源等が積載されている)が走行するようにしたシステムが知られている(特許文献1、2)。このシステムでは、路面構築現場は、エレクタによるトンネル構築現場よりも後方で、且つ既に構築された路面よりも前方に位置することになる。
【0004】
【特許文献1】特許第3497670号公報
【特許文献2】特開平3−129099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、既設の路面上を走行する後続台車は、それに積載された電源や油圧源等で生成された電力や油圧を掘進機本体に供給する都合上、掘進機本体から大きく後方に離間させるわけにはいかない。このため、掘進機本体と後続台車との間に位置する路面構築現場と、掘進機本体内のトンネル構築現場(エレクタの位置)とは、近付くことになる。この結果、路面構築現場への路面部品の搬送ラインと、エレクタへのセグメントの搬送ラインとが干渉するおそれが生じる。
【0006】
この干渉が生じると、路面部品を路面構築現場に搬送しているときはエレクタへのセグメントの搬送を中断し、セグメントをエレクタに搬送しているときには路面構築現場への路面部品の搬送を中断しなければならず、結局、路面部品とセグメントとを各構築現場に同時に供給できない。よって、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行えず、工事期間の長期化を招く。
【0007】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、路面構築現場への路面部品の供給とトンネル構築現場へのセグメントの供給とを同時にでき、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行うことができるセグメント及び路面部品の搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係るセグメント及び路面部品の搬送装置は、セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、上記トラバーサ上に載置された路面部品の上方に、上記共用ホイストに吊下されたセグメントを通過させるための搬送スペースを形成したことを特徴とする装置である。
【0009】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面上に、トンネル軸方向に移動可能に載置されていてもよい。
【0010】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面よりもトンネル軸方向前方のトンネル底部に、トンネル軸方向に移動可能に載置されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係るセグメント及び路面部品の搬送方法は、セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、上記共用ホイストに吊下した路面部品を上記トラバーサに吊り降ろすことで、そのトラバーサ上の路面部品の上方に上記共用ホイストに吊下されたセグメントの搬送スペースを形成し、上記専用ホイストが路面部品をトンネル底部に組み付けて平板状の路面を構築しているとき、上記共用ホイストがセグメントを上記搬送スペースを通して上記セグメントキャリヤに搬送し、上記専用ホイストによる路面の構築と同時に上記エレクタによるトンネルの構築を可能としたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、路面構築現場への路面部品の供給とトンネル構築現場へのセグメントの供給とを同時にでき、路面部品を用いた路面の構築とセグメントを用いたトンネルの構築とを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、シールド掘進機本体1の筒状シールドフレーム2の内部には、セグメント3をリング状に組み立ててトンネルTを構築するためのエレクタ4と、既設のセグメント3に反力を取って掘進機本体1を前進させるためのシールドジャッキ5とが設けられている。
【0015】
エレクタ4の直後のトンネルT内の底部には、図5にも示すように、セグメント3を複数(例えば1リング分)貯蔵し、それらを順次エレクタ4に受け渡すためのセグメントキャリヤ6(セグメント供給装置)が、前後方向(トンネル軸方向)に移動可能に配置されている。セグメントキャリヤ6は、掘進機本体1の前進に応じて、掘進機本体1に牽引されて或いは自力で前進するようになっている。
【0016】
セグメントキャリヤ6の上方には、掘進機本体1を操作するための操作盤や運転室等が設けられた運転台車7が、前後方向に移動可能に配置されている。運転台車7は、掘進機本体1から後方に延出されたフレーム8に連結されており、掘進機本体1の前進に伴って前進するようになっている。但し、運転台車7は、掘進機本体1と切り離されていて、自走するようになっていてもよい。
【0017】
図1に示すように、運転台車7の後方には、後続台車9が配置されている。後続台車9は、図1、図4、図5に示す連結材10を介して運転台車7に連結されていて、運転台車7と一体的に前進する。後続台車9は、その内部に掘進機本体用の電源や油圧源等が積載されており、トンネル底部に路面部品(コンクリートプレキャスト11)を組み付けることで平板状に構築された路面Rの上を走行する。プレキャスト11は、セグメント3と同じトンネル軸方向の寸法を有し、左右2個一組でセグメント1リング分に相当する長さの路面Rが構築されるようになっている。
【0018】
図1、図2に示すように、後続台車9は、路面Rの左側に敷設されたレール12上を走行する左側部13と、路面Rの右側に敷設されたレール14上を走行する右側部15と、これら左側部13と右側部15とを連結する連結材16とを備えている。後続台車9の左側部13と右側部15との間には、セグメント3及び
プレキャスト11を縦向きに積載してトンネル入口から走行して来た搬送台車17が停車し得るスペースが設けられている。搬送台車17は本実施形態では3両編成からなり、各車両に路面部品としてのプレキャスト11及びトンネル構築部品としてのセグメント3が縦向きに積載され、先頭車両の前部と後尾車両の後部とに夫々運転室18が設けられている。搬送台車17は、路面Rの上を直接走行し、路面Rの上に搬送台車17用のレールは敷設されていない。
【0019】
図1に示すように、運転台車7と後続台車9との間には、搬送台車17上のセグメント3及びプレキャスト11を吊下してトンネル軸方向前方に搬送し、セグメント3を上述のセグメントキャリヤ6に移し替え、プレキャスト11を後述のトラバーサ19に移し替えるための共用ホイスト20が設けられている。共用ホイスト20は、後続台車9と運転台車7とを架け渡して設けられたホイストビーム21と、ホイストビーム21に係合しそれに沿って走行するホイスト台車22と、ホイスト台車22から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にセグメント3又はプレキャスト11を吊下すると共に吊下したセグメント3又はプレキャスト11を鉛直軸廻りに回転させて横向きとする吊下部23とを有する。
【0020】
ホイストビーム21は、図2に示すように後続台車9の上部にトンネル幅方向に間隔を隔てて左右一対配置されていて夫々前方に延出されており、それらの前端が図5に示すように運転台車7の上部に夫々支持されている。ホイスト台車22は、図3に示すように左右のホイストビーム21の上に架け渡すようにして載置され、それらビーム21の上を長手方向に走行する。吊下部23は、ホイスト台車22の内部に設けられたウインチと、ウインチから下方に繰り出されたワイヤの下端に設けられセグメント3又はプレキャスト11を把持するフックと、ウインチをホイスト台車22に対して鉛直軸廻りに回転させることでフックに把持されたセグメント3又はプレキャスト11を90度旋回させて横向きとする回転機構とを備えている。
【0021】
図1、図4に示すように、後続台車9の前方の路面Rの上には、共用ホイスト20で吊下されたプレキャスト11が載置され、載置されたプレキャスト11をトンネル幅方向の左又は右に横送りするトラバーサ19が、トンネル軸方向に移動可能に配置されている。トラバーサ19は、路面Rに敷設された後方台車用レール12、14を走行する車輪を有する独立台車24と、独立台車24に横方向(トンネル幅方向)に移動可能に設けられた載置台25からなる横送り機構とを備える。独立台車24は、本実施形態では連結材26を介して後続台車9と連結されていて後続台車9と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0022】
トラバーサ19で横送りされた左右のプレキャスト11の上方には、プレキャスト11を吊り上げて前方に搬送するための専用ホイスト27が、トンネルT内の上部左右に配置されている。専用ホイスト27は、左右のホイストビーム21の下部を抱き込むように形成されてそのビーム21に沿って走行するホイスト台車28と、ホイスト台車28から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にプレキャスト11を吊下する吊下部29とを有する。専用ホイスト27は、図1に矢印で示すように、トラバーサ19の上において左右に横送りされたプレキャスト11を吊り上げて前方に移送し、トンネル底部に吊り降ろして組み付け、平板状の路面Rを構築する。
【0023】
共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19に吊り降ろしたとき、そのトラバーサ19上のプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されるように、トラバーサ19の載置台25から共用ホイスト20までの高さが設定されている。詳しくは、トラバーサ19は、本実施形態ではプレキャスト11で構築された路面Rの上に配置されるため、トラバーサ19(載置台25)の設置高さをその路面Rの高さ以下に下げることはできず、そのトラバーサ19に載置されたプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成するためには、共用ホイスト20をトンネルT内の中央天井部の近傍に配置しなければならない。そして、搬送スペース30は、左右のホイストビーム21の間に挟まれた空間に形成される。
【0024】
以上の構成からなる本実施形態に係るセグメント及び路面部品(プレキャスト)の搬送装置の作用、すなわちセグメント及び路面部品の搬送方法を述べる。
【0025】
図1、図2に示すように、プレキャスト11及びセグメント3が縦向きに積載された搬送台車17が、トンネル入口から走行して来て後続台車9の内方に停車する。すると、共用ホイスト20が、搬送台車17上のプレキャスト11を吊り上げて縦向きのまま、トラバーサ19の上方位置まで前方に搬送する。その後、共用ホイスト20は、図4に示すように、プレキャスト11を左右のホイストビーム21と干渉しない旋回スペースが確保できる高さまで降下させて、そこでプレキャスト11を鉛直軸廻りに90度旋回させて横向きとした後、トラバーサ19の載置台25に載せ替える。トラバーサ19は、プレキャスト11を横送りする。横送りされたプレキャスト11は、図1に矢印で示すように、左側又は右側の専用ホイスト27に吊り上げられて既設の路面Rの前端まで移送され、トンネル底部に組み付けられて新たな路面Rが構築される。
【0026】
図4に示すように、共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19の載置台25に吊り降ろすと、吊り降ろされたプレキャスト11の上方に、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3(図5参照)を通過させることができる搬送スペース30が形成される。そして、共用ホイスト20からトラバーサ19上に吊り降ろされたプレキャスト11は、以降、トラバーサ19で横送りされるときには設置高さが吊り降ろされたときから変化しないため上記搬送スペース30を通過するセグメント3と干渉せず、且つ、専用ホイスト27で前方に搬送されるときにはトラバーサ19から上方に僅かに吊り上げられるが吊り上げ量が僅かであるため同様に上記搬送スペース30を通過するセグメント3と干渉しない。
【0027】
よって、トラバーサ19でプレキャスト11を横送りしているとき及び専用ホイスト27でプレキャスト11を搬送して路面Rを構築しているとき、共用ホイスト20は、搬送台車17上のセグメント3を、搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6の上方位置まで前方に搬送し、セグメントキャリヤ6に受け渡すことができる。詳しくは、図1に示すように、搬送台車17上のセグメント3は、縦向きのまま共用ホイスト20で吊り上げられて上記搬送スペース30を通して前方に搬送されて、セグメントキャリヤ6の上方位置まで搬送され、図5にも示すように、その位置で左右のホイストビーム21と干渉しない旋回スペースが確保できる高さまで降下され、そこで鉛直軸廻りに90度旋回させて横向きとされた後、セグメントキャリヤ6に載置される。
【0028】
この結果、図1に示すセグメントキャリヤ6がその内部に貯蔵された複数のセグメント3を順次エレクタ4に供給するのに応じて、搬送台車17上のセグメント3を共用ホイスト20によってセグメントキャリヤ6に次々と供給でき、且つかかる共用ホイスト20によるセグメント3のセグメントキャリヤ6への搬送作業は、上記搬送スペース30を利用しているため、専用ホイスト27による路面構築作業と干渉しない。従って、セグメントキャリヤ6においてセグメント3が不足状態となることはなく、エレクタ4によるトンネルTの構築作業と、専用ホイスト27による路面Rの構築作業とを同時に行うことができ、高速施工が可能となって工事期間が短縮化される。
【0029】
また、プレキャスト11のトンネル軸方向の寸法は、セグメント3のトンネル軸方向の寸法と一致されているので、エレクタ4でセグメント3を1リング分組み立て、且つ専用ホイスト27で左右2個のプレキャスト11を組み立てたとき、セグメント3の組み立てに伴って前進するトンネル構築位置の前進量と、プレキャスト11の組み立てに伴って前進する路面構築位置の前進量とが等しくなる。よって、トンネル構築位置(エレクタ位置)に対する路面構築位置(トラバーサ直前方位置)が変化することはなく、エレクタ4に対するトラバーサ19のトンネル軸方向離間距離を固定できる。
【0030】
図6、図7に本発明の変形実施形態を示す。
【0031】
この変形実施形態は、トラバーサ19a及び専用ホイスト27aが前実施形態と異なっており、その他は前実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0032】
前実施形態のトラバーサ19は、図1に示すように、既設の路面Rの上にトンネル軸方向に移動可能に載置されているのに対し、この変形実施形態のトラバーサ19aは、図6に示すように、既設の路面Rよりもトンネル軸方向前方且つセグメントキャリヤ6よりもトンネル軸方向後方のトンネル底部に配置されており、プレキャスト11が載置される載置台25aの高さが既設の路面Rより低くなっている。このトラバーサ19aは、図7に示すように、トンネル底部を走行する車輪を有する独立台車24aと、独立台車24aに設けられた横送り機構としての載置台25aとを備える。独立台車24aは、本実施形態では図示しない連結材を介して運転台車7と連結されていて運転台車7と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0033】
図7に示すように、独立台車24aの上部には、共用ホイスト20で吊下されたプレキャスト11が縦向き状態で上下方向に通過することができる開口31が形成されており、開口31の下方の独立台車24内には、縦向き状態のプレキャスト11を鉛直軸廻りに90度旋回させて横向き状態とすることが可能なスペース32が確保されている。独立台車24aの上部の左右には、載置台25aで左右に横送りされたプレキャスト11を吊り上げて後方に搬送する専用ホイスト27aが、夫々設けられている。専用ホイスト27aは、独立台車24aの上部の左右から夫々図6に示すように後方に延出された左右のホイストビーム32aと、各ホイストビーム32aに沿って走行するホイスト台車28aと、ホイスト台車28aから下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にプレキャスト11を吊下する吊下部29aとを有する。この専用ホイスト27aは、図6に矢印で示すように、トラバーサ19aで横送りされた左右のプレキャスト11を吊り上げて後方の既設の路面Rの先端まで搬送し、そこでプレキャスト11をトンネル底部に吊り降ろして組み付け、新たな路面Rを構築する。なお、図6の33はカウンターウエイトである。
【0034】
この実施形態においても、共用ホイスト20に吊下したプレキャスト11をトラバーサ19aの載置台25aに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたプレキャスト11の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30を形成されている。よって、専用ホイスト27aがプレキャスト11をトンネル底部に組み付けて路面Rを構築しているとき、共用ホイスト20がセグメント3を搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6に搬送することが可能となり、前実施形態と同様の作用・効果を奏する。また、この実施形態では、図6に示すように、プレキャスト11を載置するトラバーサ19aの載置台25aの高さが既設の路面Rよりも低いため、図1に示す前実施形態のようにトラバーサ19が既設の路面Rの上に配置されたものと比べると、共用ホイスト20の設置高さを前実施形態よりも下げても上記搬送スペース30を確保することができ、より小口径トンネルに対応できる。
【0035】
図8〜図11に本発明の別の変形実施形態を示す。
【0036】
図示するようにこの変形実施形態は、路面部品34、35、36、路面R、トラバーサ19b及び専用ホイスト27bが図6の実施形態と異なっており、その他は図6の実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分のみ説明する。
【0037】
この変形実施形態の路面部品は、図9に示すように、トンネル底部の左右に組み付けられるPC側壁34と、中央に立てられる中柱35と、左右のPC側壁34に架け渡されると共に中柱35の頂部に支持される床板36とからなり、全てコンクリートプレキャスト品である。よって、路面Rを構築する際にコンクリートの現場打設は必要ない。床板36、中柱35、PC側壁34のトンネル軸方向の寸法は、セグメント3のトンネル軸方向の長さに合わせられている。図8に示すように、PC側壁34、中柱35、床板36は、セグメント3と共に搬送台車17に積載され、トンネル入口から後続台車9の内方の位置まで搬送されて来る。
【0038】
図8に示すように、トラバーサ19bは、既設の路面Rよりもトンネル軸方向前方且つセグメントキャリヤ6よりもトンネル軸方向後方のトンネル底部に配置されており、PC側壁34が載置される載置台25bの高さが既設の路面Rより低くなっている。このトラバーサ19bは、トンネル底部を走行する車輪を有する独立台車24bに設けられている。独立台車24bは、本実施形態では図示しない連結材を介して運転台車7と連結されていて運転台車7と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。また、独立台車24bには、専用ホイスト27bも設けられている。本実施形態では、専用ホイスト27bとトラバーサ19bとは、一体的に構成されている。すなわち、独立台車24bには、専用ホイスト27bの機能とトラバーサ19bの機能とを兼用する搬送装置が設けられている。
【0039】
この搬送装置について説明する。図8、図11に示すように、独立台車24bの上部には、トンネル幅方向に間隔を隔ててトンネル軸方向に延出された上桁37が設けられている。各上桁37の下部には、トンネル軸方向に沿ってホイストレール38が夫々設けられており、各ホイストレール38には、ホイスト台車39が夫々係合されている。ホイスト台車39の下部には、トンネル幅方向に延出されたホイストレール40が取り付けられており、ホイストレール40には、ホイスト台車41が2個係合されている。ホイスト台車40には、ワイヤを下方に巻上下げ自在に繰り出すウインチが設けられ、ワイヤの先端には、PC側壁34を吊下する吊下部(フック42)が設けられ、ウインチには、吊下したPC側壁34を鉛直軸廻りに回転させる回転機構が設けられている。
【0040】
図8、図10に示すように、独立台車24bの上桁37のトンネル後方側の部分には、トンネル軸方向に沿ってホイストレール43が夫々設けられており、各ホイストレール43には、ホイスト台車44が夫々係合されている。ホイスト台車44の下部には、トンネル幅方向に延出されたホイストレール45が取り付けられており、ホイストレール45には、ホイスト台車46が1個係合されている。ホイスト台車46には、ワイヤを下方に巻上下げ自在に繰り出すウインチが設けられ、ワイヤの先端には、中柱35又は床板36を吊下する吊下部(フック47)が設けられ、ウインチには、吊下した中柱35又は床板36を鉛直軸廻りに回転させる回転機構が設けられている。
【0041】
この実施形態においても、図8に示すように、共用ホイスト20に吊下したPC側壁34をトラバーサ19bの載置台25bに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたPC側壁34の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されている。すなわち、搬送台車17上のPC側壁34は、共用ホイスト20により吊り上げられて前方のトラバーサ19bの位置まで搬送され、図11に示すように、左右の上桁37の間を通過させて載置台25bに吊り降ろされるところ、載置台25bにPC側壁34を吊り降ろすことでPC側壁34を切り離してフリーとなった共用ホイスト20は、以降、搬送台車17上のセグメント3を、上記搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6まで搬送できる。よって、最初の実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0042】
トラバーサ19bの載置台25bに載置されたPC側壁34は、図11に示す吊下部42に吊下され、ホイスト台車41がホイストレール40に沿って移動することでトンネル幅方向の左又は右に横送りされ、2台のホイスト台車39が同期してホイストレール38に沿って移動することでトンネル軸方向に移動され、既にトンネル底部に組み付けられている既設のPC側壁34に繋げるようにしてトンネル底部の左右に組み付けられる。
【0043】
左右のPC側壁34の組み付け後、図8に示す共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられてホイストレール43の下方に仮置きされた中柱35が図10の吊下部47に吊下され、吊下された中柱35が、ホイスト台車46をホイストレール45に沿って移動させることでトンネル幅方向に移動され、2台のホイスト台車44をホイストレール43に沿って同期して移動させることでトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置される。
【0044】
中柱35の組み付け後、図8に示す共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられてホイストレール43の下方に横向きに仮置きされた床板36が図10の吊下部47に吊下され、吊下された床板36が、ホイスト台車46をホイストレール45に沿って移動させることでトンネル幅方向に移動され、2台のホイスト台車44をホイストレール43に沿って同期して移動させることでトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の上部で且つトンネル底部に立設された中柱35の頂部に載置される。こうしてセグメント1リング分の長さの路面が構築される。
【0045】
なお、図8、図10に示すホイストレール43、ホイスト台車44、ホイストレール45、ホイスト台車46を省略し、中柱35及び床板36を共用ホイスト20によって組み付けるようにしてもよい。但し、前述したように中柱35及び床板36を、共用ホイスト20によって仮置きした方が、共用ホイスト20によって組み付けるよりも、共用ホイスト20が中柱35及び床板36の移送及び組み付けに関わる時間を短縮できるので、その分、共用ホイスト20によって搬送台車17上のセグメント3をセグメントキャリヤ6に搬送する時間に当てることができ、全体的な搬送効率が向上する。
【0046】
図12、図13に本発明の別の変形実施形態を示す。
【0047】
この変形実施形態は、トラバーサ19c、専用ホイスト27cが図8の実施形態と異なっており、その他は図8の実施形態と基本的に同様の構成となっているので、同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分のみ説明する。
【0048】
トラバーサ19cは、既設の路面Rの上に載置されており、共用ホイスト20から受け渡されたPC側壁34をトンネル幅方向の左右に横送りするものであり、路面Rに敷設された後方台車用レール12、14を走行する車輪を有する独立台車24cと、独立台車24cに設けられた横送り機構としての載置台25cとを備える。独立台車24cは、本実施形態では連結材26cを介して後続台車9と連結されていて後続台車9と一体的に前進するようになっているが、自力で走行するものであってもよい。
【0049】
専用ホイスト27cは、載置台25cで横送りされた左右のPC側壁34を吊り上げて前方に搬送し、トンネル底部の左右に組み付けるものであり、横送りされた左右のPC側壁34の上方を通るように、後端が後続台車9に支持され、前端が運転台車7に支持された左右のホイストビーム50と、左右のホイストビーム50の下部を抱き込むように形成されてそのビーム50に沿って走行するホイスト台車51と、ホイスト台車51から下方に巻上下げ自在に繰り出されたワイヤの下端にPC側壁34を吊下する吊下部52とを有する。
【0050】
この実施形態においても、図12に示すように、共用ホイスト20に吊下したPC側壁34をトラバーサ19cの載置台25cに吊り降ろしたとき、吊り降ろされたPC側壁34の上方には、共用ホイスト20に吊下されたセグメント3を通過させるための搬送スペース30が形成されている。すなわち、搬送台車17上のPC側壁34は、共用ホイスト20により吊り上げられて前方のトラバーサ19cの位置まで搬送され、図13に示すように、載置台25cに吊り降ろされるところ、PC側壁34を切り離してフリーとなった共用ホイスト20は、以降、搬送台車17上のセグメント3を、上記搬送スペース30を通してセグメントキャリヤ6まで搬送できる。よって、最初の実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0051】
トラバーサ19cの載置台25cに載置されたPC側壁34は、載置台25cがトンネル幅方向に移動することによってトンネル幅方向の左又は右に横送りされた後、専用ホイスト27cによってトンネル軸方向前方に搬送され、既にトンネル底部に組み付けられている既設のPC側壁34に繋げるようにしてトンネル底部の左右に組み付けられる。
【0052】
左右のPC側壁34の組み付け後、共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられて専用ホイスト27cのホイストレール50の下方に仮置きされた中柱35が、専用ホイスト27cに吊下されてトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置される。
【0053】
中柱35の組み付け後、共用ホイスト20によって搬送台車17から吊り上げられて専用ホイスト27cのホイストレール50の下方に横向に仮置きされた床板36が、専用ホイスト27cに吊下されてトンネル軸方向に移動され、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の上部で且つトンネル底部に立設された中柱35の頂部に載置される。こうしてセグメント1リング分の長さの路面が構築される。
【0054】
なお、中柱35及び床板36の組み付けを専用ホイスト27cではなく、共用ホイスト20によって行うようにしてもよい。この場合、共用ホイスト20が搬送台車17上の中柱35を吊り上げて前方に搬送し、トンネル底部に組み付けられた左右のPC側壁34の間に立てた状態で設置し、その後、共用ホイスト20が搬送台車17上の床板36を吊り上げて前方の組付位置までに搬送し、床板36を鉛直軸廻りに90度旋回させ、左右のPC側壁34の上部で且つ中央の中柱35の頂部に載置する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】本発明の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明の別の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】図8のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の別の変形実施形態に係るセグメント及び路面部品の搬送装置を示す側断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【符号の説明】
【0056】
3 セグメント
4 エレクタ
6 セグメントキャリヤ
11 路面部品としてのプレキャスト
19 トラバーサ
19a トラバーサ(変形例)
19b トラバーサ(変形例)
19c トラバーサ(変形例)
20 共用ホイスト
27 専用ホイスト
27a 専用ホイスト(変形例)
27b 専用ホイスト(変形例)
27c 専用ホイスト(変形例)
30 搬送スペース
R 路面
T トンネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、
該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、
該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、
該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、
上記トラバーサ上に載置された路面部品の上方に、上記共用ホイストに吊下されたセグメントを通過させるための搬送スペースを形成したことを特徴とするセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項2】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面上に、トンネル軸方向に移動可能に載置された請求項1に記載のセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項3】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面よりもトンネル軸方向前方のトンネル底部に、トンネル軸方向に移動可能に載置された請求項1に記載のセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項4】
セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、
該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、
該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、
該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、
上記共用ホイストに吊下した路面部品を上記トラバーサに吊り降ろすことで、そのトラバーサ上の路面部品の上方に上記共用ホイストに吊下されたセグメントの搬送スペースを形成し、
上記専用ホイストが路面部品をトンネル底部に組み付けて平板状の路面を構築しているとき、上記共用ホイストがセグメントを上記搬送スペースを通して上記セグメントキャリヤに搬送し、
上記専用ホイストによる路面の構築と同時に上記エレクタによるトンネルの構築を可能としたことを特徴とするセグメント及び路面部品の搬送方法。
【請求項1】
セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、
該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、
該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、
該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、
上記トラバーサ上に載置された路面部品の上方に、上記共用ホイストに吊下されたセグメントを通過させるための搬送スペースを形成したことを特徴とするセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項2】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面上に、トンネル軸方向に移動可能に載置された請求項1に記載のセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項3】
上記トラバーサが、上記専用ホイストにより構築された路面よりもトンネル軸方向前方のトンネル底部に、トンネル軸方向に移動可能に載置された請求項1に記載のセグメント及び路面部品の搬送装置。
【請求項4】
セグメント及び路面部品をトンネル軸方向前方に搬送する共用ホイストと、
該共用ホイストで搬送されて来たセグメントを受け取って複数貯蔵し、順次エレクタに受け渡すセグメントキャリヤと、
該セグメントキャリヤよりもトンネル軸方向後方に配置され、上記共用ホイストで搬送されて来た路面部品が載置され、載置された路面部品をトンネル幅方向の左右に横送りするトラバーサと、
該トラバーサでトンネル幅方向の左右に横送りされた路面部品を夫々吊下し、トンネル軸方向に搬送してトンネル底部に組み付けて路面を構築するための左右の専用ホイストとを備え、
上記共用ホイストに吊下した路面部品を上記トラバーサに吊り降ろすことで、そのトラバーサ上の路面部品の上方に上記共用ホイストに吊下されたセグメントの搬送スペースを形成し、
上記専用ホイストが路面部品をトンネル底部に組み付けて平板状の路面を構築しているとき、上記共用ホイストがセグメントを上記搬送スペースを通して上記セグメントキャリヤに搬送し、
上記専用ホイストによる路面の構築と同時に上記エレクタによるトンネルの構築を可能としたことを特徴とするセグメント及び路面部品の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−75306(P2008−75306A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254380(P2006−254380)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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