説明

セファロスポリン誘導体の安定化された凍結乾燥配合物

本発明は、向上した安定性を有するセファロスポリン誘導体の凍結乾燥配合物、このような配合物を得るための溶液および製造方法、ならびに凍結乾燥配合物中でセファロスポリン誘導体を安定化するための特定の化合物の使用に関する。本発明による安定剤として使用するのが好ましい化合物は、マンニトール、トレハロース、およびPVPである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性の向上したセファロスポリン誘導体の凍結乾燥配合物、このような配合物を得るための溶液および製造方法、ならびに凍結乾燥配合物中でセファロスポリン誘導体を安定化するための特定の化合物の使用に関する。
【0002】
凍結乾燥は、配合物中の薬学的に活性な成分の分解にかなりの効果、ならびに凍結乾燥形態でのそれらの安定性に強い影響を及ぼす可能性があることが公知である。これらのパラメータに影響を及ぼす変数は、主に、pH、含まれる塩の量、配合物中の賦形剤の種類および量、ならびに凍結、昇華、および乾燥操作に選択する温度、圧力、および時間である。
【0003】
凍結乾燥生成物の安定化のために、アミノ酸、およびポリオールを多くの場合使用する;しかし、このテーマに関する極めて豊富な文献は、安定した薬学的組成物を得るという一般的な問題の解決法について情報を与えない。
【0004】
さらに詳しくは、文献には、アミノ酸、ポリオール、たとえばマンニトール、結晶性相、またはアモルファス相が存在すると、一定の利点のほかに、たとえばセファロスポリン誘導体のような特に敏感な活性成分を含有する凍結乾燥生成物の場合、それらの凍結乾燥生成物に対して、比較的短い保存寿命および/または低い貯蔵温度を導く欠点がある可能性があることが示されている。
【0005】
ポリオールおよびアミノ酸の役割が、ヒト成長ホルモン(hGH)に関して、別個に研究されているが、それらの相乗効果はまだ十分に解明されていない(Pikal M. J., Dellermann K. M., Roy M. L., Riggin M. N., The effects of formulation variables on the stability of freeze-dried Human Growth Hormone, Pharm. research., 1991, 8, No. 4, 427-436)。
【0006】
アミノ酸およびマンニトールの存在に関連する利点および欠点を次に示す。
【0007】
アミノ酸の存在に関連する利点。
【0008】
凍結乾燥生成物中にグリシンが存在すると、凍結乾燥の凍結段階中に、溶液中に含まれる分子の結晶化を引き起こすことが実証されている(Korey D. J., Schwartz J. B., Effects of excipients on the crystallization of pharmaceutical compounds during lyophilization, J. Parenteral Sci. Tech., 1989, 43(2): 80-83)。活性成分のこの結晶化が、その安定性を高めることを可能にする。
【0009】
結晶した形態中で、アラニンは、昇華および乾燥中に凍結乾燥生成物のつぶれを防止し、および/またはより大きな比表面積を有する凍結乾燥生成物の製造を可能にし、したがってより迅速な乾燥を可能にするという利点を有する(Pikal M. J., Freeze-drying of proteins, Biopharm., 26-30 October 1990)。
【0010】
アミノ酸の存在に関連する欠点。
【0011】
凍結乾燥する溶液中の糖またはポリオールへアミノ酸を添加すると、一般に、糖のガラス転移温度を低下させる効果がある(te Booy M. P. W. M., de Ruiter R. A., de Meere A. L. J., Evaluation of the physical stability of freeze-dried sucrose containing formulations by differential scanning calorimetry, Pharm. Research., 1992, 9, 109-114)。ここで、ガラス転移温度の低下は、一般に、凍結乾燥生成物の安定性の低下と同じ意味である(Franks F., Freeze-drying; from empiricism to predictability, Cryo-letters, 1990, 11, 93-110)。
【0012】
マンニトールの存在に関連する利点。
【0013】
凍結乾燥タンパク質生成物の組成物中のマンニトールの存在は、一般に増量剤として認められており、すなわち、凍結乾燥する溶液の容量に対応する、凍結乾燥生成物の容量の固体で硬い構造を維持するのを可能にするが、その存在は注入する再構成された溶液の等張性を調節するのも可能にする。マンニトールが凍結乾燥タンパク質生成物の組成物中の主な賦形剤である場合、それは結晶性形状であることが最も多い(Lyophilized formulations recombinant tumor necrosis factor, Hora M. S., Rana R. K., Smith F. W., Pharm. Res., 1992, 9 (1), 33-36)。
【0014】
マンニトールの存在に関連する欠点。
【0015】
コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムの、凍結乾燥形態での加水分解の度合いは、ラクトースの存在下でよりもマンニトールの存在下での方が高く、そしてこのレベルは、凍結乾燥生成物中に含まれるマンニトールの量に伴って増加することが報告されている。これは、凍結乾燥中のマンニトールの結晶化が凍結乾燥生成物のマトリックス中の水の分布を変えるという事実により説明されている。それから得られた活性成分の微環境中に含まれる水の量の増加は、活性成分の加水分解を高め、そしてその安定性を低減させる(The effect of bulking agent on the solid state stability of freeze dried methylprednisolone sodium succinate, Herman B. D., Sinclair B. D., Milton N., Nail S. L., Pharma. Res., 1994, 11 (10), 1467-1473)。
【0016】
種々の炭水化物、多価アルコールの水溶液中の種々のセファロスポリン誘導体に対する分解の反応速度論は、ヒドロキシル化合物濃度の濃度増加に伴って増加することを示した(The influence of carbohydrates and polyhydric alcohols on the stability of cephalosporins in aqueous solutions, Hans Bundgaard, Claus Larsen, Intl. Journal of Pharmaceutics, October 1983, 16, 3, 319-325)。
【0017】
さらに、凍結乾燥において、マンニトールは、良好な外観を有する均質な、安定したケークをもたらすための、キャリヤまたは構成剤(constituting agent)として通常用いられ、非タンパク質化合物、特にセファロスポリン誘導体に対する安定剤として公知ではない(たとえばHandbook of Pharmaceutical Excipients, Rowe, R. C., Sheskey, P. J, Weller, P. J, Fourth Edition, PhP, London, 373-377を参照)。
【0018】
終わりに、薬学的活性成分の安定化に対する賦形剤の効果のテーマに関する科学文献は、それらの特性について矛盾した情報を与え、さらに、凍結乾燥生成物の構造とその安定性の関係というテーマに関する何らかの情報を得ることを可能にしない。同様に、単独または組み合わせでのポリオールおよびアミノ酸の役割は、一式の一般化できる特性によって記載されていないが、検討する活性の原理および用いる賦形剤の量によって、矛盾した結果と一緒に観察されている。
【0019】
上述の従来技術の水準に基づいて、本発明の目的は、配合物の製造中および/または後続の貯蔵中に向上した安定性を示す、セファロスポリン誘導体の凍結乾燥配合物を提供することである。
【0020】
この目的は、請求項1記載の凍結乾燥配合物、請求項14記載の凍結乾燥配合物を得るための溶液、請求項15記載のこのような配合物を製造する方法、そして請求項17記載の特定の安定剤の使用によって解決した。
【0021】
本発明によれば、驚くべきことには、特定の物質が、セファロスポリン誘導体の凍結乾燥配合物に予期せぬ安定化効果を及ぼすことを見出した。
【0022】
したがって、本発明は、凍結乾燥生成物の形態で提供され、そして活性成分として少なくとも1種のセファロスポリン誘導体と、炭水化物、多価アルコール、およびポリビニルピロリドン(PVP)よりなる群から選択される少なくとも1種の安定剤とを含有する薬学的組成物に関する。
【0023】
本発明の配合物中で、セファロスポリン誘導体は、25℃程度の高さ、またはそれより高くてよい温度で安定化され、保存寿命の増加を導く。
【0024】
該セファロスポリン誘導体の本発明の配合物による安定化は、生成物の製造中の安定化を含む。
【0025】
特に好ましい態様では、安定剤はマンニトール、トレハロース、およびPVPから選択される。
【0026】
本発明による配合物に含有される活性成分は、単独の活性成分であってもよく、またはタンパク質もしくは非タンパク質性の別の抗生物活性成分と組み合わせてもよい。
【0027】
配合物は、炭水化物、多価アルコール、および/またはPVPのほかに、緩衝剤、アミノ酸、pH調節のための酸もしくは塩基、界面活性剤、塩、防腐剤、酸化防止剤、キレート化剤から選択される1種以上の化合物をさらに含んでもよい。
【0028】
緩衝剤およびアミノ酸は、さらなる安定化効果を導くことができる一方で、上述した他の成分は、しばしば凍結乾燥形態で用いられる周知の薬学的に許容されうる賦形剤である。薬学的組成物の製造において当業者に公知の他の通常の添加剤、たとえばフレーバー剤または染料もまた添加することができる。
【0029】
本発明による配合物に導入することができる緩衝剤の中で、特に、クエン酸、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、炭酸、および炭酸水素緩衝剤、ならびに一酸の緩衝剤、たとえば乳酸、グリシン、または酢酸緩衝系を挙げることができる。該緩衝剤を構成する酸および塩基は、水和物を含めて単独で、ならびにこれらの任意の組合せで導入してもよいことが理解される。
【0030】
本発明による配合物に導入することができる界面活性剤の中で、ポリソルベート、ポロキサマー(poloxamer)、チロキサポール(tyloxapol)、レシチンを挙げることができる。
【0031】
本発明による配合物に導入することができる塩の中で、特に、ナトリウム塩、たとえばededate(EDTA四ナトリウム)、塩化物、ドキュセート(1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)、重炭酸塩、グルタミン酸塩、酢酸カリウム、炭酸二カリウム、およびステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0032】
本発明による配合物に導入することができる防腐剤の中で、特に、メチルおよびプロピルパラヒドロキシベンゾエート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムマーキュロチオラート(sodium mercurothiolate)、硝酸フェニル水銀、ベンジルアルコール、フェノール、ならびにメタクレゾールを挙げることができる。
【0033】
本発明による配合物は、非経口、筋内、もしくは経口経路によるその投与のために、適切な溶剤または再構成溶液を添加することにより、液状に再構成するか、あるいは経口経路によりヒトもしくは動物に直接に投与することができる。さらに、液体または乾燥形態を吸入により投与することができる。
【0034】
本発明におけるセファロスポリン誘導体は、薬学的に許容されうる塩および多形相ならびに水和物を全て含む。さらに、用語セファロスポリン誘導体は、ドラッグならびにプロドラッグを含むものでもある。
【0035】
好適な態様では、本発明の配合物は、次の一般式I:
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、R1は、水素、フルオロで置換されていてもよいC1-6−アルキル、またはC3-6−シクロアルキルであり;
2は、水素、または−CH2C(=CHR)−COOR、−CH2OCOR、−CH(R)OCOR、−CH(R)OCOOR、−CH(OCOR)OCOR、−CH2COCH2OCOR、および
【0038】
【化5】

【0039】
から選択される基であり、
3は、水素、または−CH2C(=CH2)−COOR、−COOCH2C(=CHR)−COOR、−COOCH2OCOR、−COOCH(R)OCOR、−COOCH(R)OCOOR、−COOCH(OCOR)OCOR、−COOCH2COCH2OCOR、および
【0040】
【化6】

【0041】
から選択される基であり、
ただしR2およびR3の一方は、水素であり、そしてR2およびR3のもう一方は水素とは異なる、
Rは、水素またはC1-6−アルキルであり;
4は、水素またはヒドロキシであり、
5は、水素またはω−ヒドロキシアルキルであり;そして
Xは、CHまたはNである)
のセファロスポリン誘導体、ならびに該化合物の薬学的に許容されうる塩と多形相、および式Iの化合物とその塩の水和物を含む。
【0042】
凍結乾燥配合物において、安定性の問題を被ることが公知である、上式Iで表される化合物は、たとえば欧州特許EP 1 087 980 B1に記載されている。
【0043】
式Iの化合物の特に好ましい例は、R1、R2、R4、およびR5が全て水素であり、R3
【0044】
【化7】

【0045】
であり、そしてRがメチルである、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(アミノ−[1,2,4]チアジアゾール−3−イル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−(3’R,5’R)−5’−ヒドロキシメチル−1’−(5−メチル−2−オキソ−[1,3]ジオキソール−4−イルメチルオキシカルボニル−2−オキソ−[1,3’]ビピロリジニル−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−2−カルボン酸である。以下、この化合物をBAL5788と呼ぶ。
【0046】
本発明による配合物は、活性成分として少なくとも1種のセファロスポリン誘導体と、炭水化物、多価アルコール、およびPVPよりなる群から選択される少なくとも1種の安定剤とを含む水溶液の凍結乾燥により得ることができる。特に安定剤は、マンニトール、トレハロース、およびPVPから選択される。
【0047】
安定剤を、溶液中に、5〜80重量%の範囲の濃度で含有させるのが好ましい。特に、マンニトール、トレハロース、およびPVPは、濃度2〜40重量%で用いる。特に、10〜25重量%の範囲の濃度が好ましい。本発明において、重量%は常に乾燥重量のことを言う。
【0048】
溶液は、さらなる安定化のためおよび/またはpH調節のために、薬学的に許容されうる緩衝剤、たとえばクエン酸、酒石酸、炭酸、炭酸水素、乳酸、グリシン、酢酸、またはコハク酸緩衝剤も含有することができる。
【0049】
好ましいpH範囲は2.0〜6.5であり、4.0〜5.0が特に好ましい。
【0050】
含まれる活性成分の量は、水溶液中でのその溶解性により制限される。本発明の配合物は、活性成分が完全に溶解している水溶液の凍結乾燥から確かに生じる。
【0051】
本発明による配合物を形成するための特に好ましい溶液は、式Iで表されるセファロスポリン誘導体、安定剤としてマンニトール、およびクエン酸緩衝水溶液を含む。
【0052】
凍結乾燥する溶液は、たとえば、次の方法で調製する。
【0053】
望ましい量の、活性成分、安定剤、および緩衝剤、そして場合によりたとえば防腐剤のようなさらなる添加剤を、適量の、注入用水、または完全な溶解に達するまでそれらの可溶化に必要な可溶化剤に、適切な溶解温度で添加する。得られた溶液は、滅菌した媒体中でろ過し、コンテナ、好ましくはバイアルまたはカプセルに分配する。
【0054】
次に、以下のように、溶液の凍結乾燥を行うことができる。
【0055】
溶液は、凍結乾燥する容量および溶液を含有するコンテナに適合させた、凍結、次に昇華、および乾燥を含むサイクルをたどる。
【0056】
昇華および乾燥の時間、温度、および圧力を、凍結乾燥する溶液の容量、および凍結乾燥生成物中の望ましい残留水含量にしたがって調節する。
【0057】
ここから、本発明を、具体例として述べるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
次の溶液を調製し、凍結乾燥し、得られた配合物をその安定性に関して試験した。
【0059】
溶液Aの調製(マンニトールを使用):
192.0gのBAL5788(EP-A-1 087 980に記載されているように合成した)および34.38gのマンニトール(Roquette America, Inc.から得た)を、pH4.2〜4.8の水酸化ナトリウム/クエン酸緩衝系(クエン酸一水和物2.18gをWFI(注入用水)に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpHを適合させることにより調製した)に溶解させて溶液Aを調製して、最終重量1389.5gを得た。溶液をろ過し、バイアルに充填した。
【0060】
溶液Aの凍結乾燥:
次の表に示した方法にしたがって溶液Aを凍結乾燥して、配合物Aを得た。
【0061】
【表1】

【0062】
対照溶液B(マンニトールを使用せず)の調製:
マンニトールを加えないだけの相違点のある、溶液Aと同じ方法で、同じ量のBAL5788をWFI中の同じ水酸化ナトリウム/クエン酸緩衝系に溶解させることにより、対照溶液Bを調製した。溶液をろ過し、バイアルに充填した。
【0063】
対照溶液を、上で要点を述べたように凍結乾燥し、配合物Bを得た。
【0064】
溶液Aおよび溶液Bから得られた凍結乾燥生成物を、分析的に特徴を明らかにし、そして安定性試験プログラムを異なる温度の範囲にわたって開始した。
【0065】
配合物Aおよび配合物Bの組成(名称上)
【0066】
配合物Aの組成(バイアル当り):
【0067】
【表2】

【0068】
配合物Bの組成(バイアル当り):
【0069】
【表3】

【0070】
結果:
配合物A(マンニトールを使用)の製造中に形成された分解生成物の量は、配合物B(マンニトールを使用せず)に比べて約9%低かった。
【0071】
溶液A(マンニトールを使用)から得られた凍結乾燥生成物の貯蔵中(たとえば5℃で、12ヶ月後)に形成された分解生成物の量は、溶液B(マンニトールを使用せず)から得られた凍結乾燥生成物の貯蔵中に形成された量に比べて、約10%低かった。
【0072】
他の配合物を、トレハロースまたはPVPを用いて、ならびに他の緩衝系を用いて、同じ方法で調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として少なくとも1種のセファロスポリン誘導体と、炭水化物、多価アルコール、およびポリビニルピロリドン(PVP)よりなる群から選択される少なくとも1種の安定剤とを含む、薬学的に許容されうる、セファロスポリン誘導体の凍結乾燥配合物。
【請求項2】
炭水化物がトレハロースである、請求項1記載の凍結乾燥配合物。
【請求項3】
多価アルコールがマンニトールである、請求項1記載の凍結乾燥配合物。
【請求項4】
さらに抗生物活性成分を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の凍結乾燥配合物。
【請求項5】
さらに、緩衝剤、アミノ酸、pH調節のための酸または塩基、界面活性剤、塩、防腐剤、酸化防止剤、キレート化剤から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の凍結乾燥配合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の凍結乾燥配合物であって、その非経口経路、筋内経路、経口経路による、もしくは吸入による投与用の溶液を再構成するための;または経口経路によるもしくは吸入による直接の投与のための、配合物。
【請求項7】
セファロスポリンが、次の一般式I:
【化1】


(式中、R1は、水素、フルオロで置換されていてもよいC1-6−アルキル、またはC3-6−シクロアルキルであり;
2は、水素、または−CH2C(=CHR)−COOR、−CH2OCOR、−CH(R)OCOR、−CH(R)OCOOR、−CH(OCOR)OCOR、−CH2COCH2OCOR、および
【化2】


から選択される基であり、
3は、水素、または−CH2C(=CH2)−COOR、−COOCH2C(=CHR)−COOR、−COOCH2OCOR、−COOCH(R)OCOR、−COOCH(R)OCOOR、−COOCH(OCOR)OCOR、−COOCH2COCH2OCOR、および
【化3】


から選択される基であり、
ただしR2およびR3の一方は、水素であり、そしてR2およびR3のもう一方は水素とは異なり、
Rは、水素またはC1-6−アルキルであり;
4は、水素またはヒドロキシであり、
5は、水素またはω−ヒドロキシアルキルであり;そして
Xは、CHまたはNである)
の化合物、ならびに該化合物の薬学的に許容されうる塩と多形相、および式Iの化合物とその塩の水和物である、請求項1〜6のいずれか1項記載の凍結乾燥配合物。
【請求項8】
活性成分として少なくとも1種のセファロスポリン、炭水化物、多価アルコール、およびPVPよりなる群から選択される少なくとも1種の安定剤、ならびに水溶液を含む溶液を凍結乾燥した後に得られる、請求項1〜7のいずれか1項記載の配合物。
【請求項9】
安定剤が、マンニトール、トレハロース、またはPVPである、請求項8記載の配合物。
【請求項10】
水溶液が、緩衝液、好ましくはクエン酸、酒石酸、炭酸、炭酸水素、コハク酸、グリシン、乳酸、または酢酸緩衝液である、請求項8または9記載の配合物。
【請求項11】
水溶液が一酸の緩衝液、たとえば酢酸、グリシン、または乳酸緩衝液である、請求項8〜10のいずれか1項記載の配合物。
【請求項12】
溶液中の安定剤の濃度が5〜80重量%の範囲にある、請求項8〜11のいずれか1項記載の配合物。
【請求項13】
溶液のpHが、2.0〜6.5の範囲、特に4.0〜5.0の範囲にある、請求項8〜12のいずれか1項記載の配合物。
【請求項14】
水溶液中に、活性成分として少なくとも1種のセファロスポリン誘導体と、マンニトール、トレハロース、およびPVPよりなる群から選択される少なくとも1種の安定剤とを含む、凍結乾燥配合物を得るための溶液。
【請求項15】
セファロスポリン誘導体の薬学的に許容されうる安定化された凍結乾燥配合物を製造する方法であって、工程:
(a)炭水化物、多価アルコール、およびPVPから選択される少なくとも1種の安定剤を、セファロスポリン誘導体の水溶液に添加し;ついで
(b)上述の溶液を凍結乾燥すること
を含む方法。
【請求項16】
マンニトール、トレハロース、またはPVPを安定剤として添加することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
凍結乾燥配合物中のセファロスポリン誘導体を安定化するための、炭水化物、多価アルコール、およびPVPよりなる群から選択される化合物の使用。
【請求項18】
化合物が、マンニトール、トレハロース、またはPVPであることを特徴とする、請求項17記載の使用。

【公表番号】特表2008−519775(P2008−519775A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540473(P2007−540473)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000665
【国際公開番号】WO2006/050631
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501241380)バジリア ファルマスーチカ アーゲー (24)
【氏名又は名称原語表記】Basilea Pharmaceutica AG
【Fターム(参考)】