説明

セミトレーラの車体構造

【課題】ホイールベースの変更時において、全長の伸縮を容易に且つ確実に行う。
【解決手段】メインフレーム3は、前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4を有し、トラクタに連結されて牽引される。ボギーフレーム6は、左右のメインビーム4の車幅方向外側で前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のボギービーム7を有し、車輪によって下方から支持される。ボギービーム7の後端部及び前端部は、後側ガイドローラ110及び前側ガイドローラを介して、メインビーム4を前後方向にスライド移動可能に下方から支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールベースを変更可能なセミトレーラの車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体とヘッド部とテール部とを備えたセミトレーラが記載されている。ヘッド部及びテール部は、それぞれ車体と完全に重なり合って約6mのコンテナの長さに対応する位置から約12mのコンテナの長さに対応する位置まで車体の前方及び後方に引き出される。車体の側梁の内側には第1のガイドレールと第2のガイドレールとが備えられ、ヘッド部の後側部分は第1のガイドレールに移動可能に支持され、テール部の前側部分は第2のガイドレールに移動可能に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−194635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造では、重量物であるヘッド部及びテール部がガイドレールに直接支持されているため、ヘッド部及びテール部の移動を容易に行うことができず、また、ヘッド部やテール部の移動によってガイドレールが損傷し易い。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑み、ホイールベースの変更時において、全長の伸縮を容易に且つ確実に行うことが可能なセミトレーラの車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のセミトレーラの車体構造は、前側のメインフレームと、後側のボギーフレームと、連結機構とを備える。メインフレームは、前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビームを有し、トラクタに連結されて牽引される。ボギーフレームは、左右のメインビームの車幅方向外側で前後方向に沿って略平行に延びるとともに、左右のメインビームを前後方向にスライド移動可能に下方からそれぞれ支持する左右1対のボギービームを有し、車輪によって下方から支持される。連結機構は、メインフレームとボギーフレームとの前後方向の相対位置が相違する複数の所定位置のそれぞれにおいて、左右のメインビームと左右のボギービームとを解除可能に連結する。
【0007】
左右のメインビームの車幅方向外側には、車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在にメインフレームの後端部に支持され、左右のボギービームの上面に上方から当接する左右1対の後側ガイドローラをそれぞれ設ける。左右のボギービームの車幅方向内側には、車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在にボギーフレームの前端部に支持され、左右のメインビームの下面に下方から当接する左右1対の前側ガイドローラをそれぞれ設ける。ボギービームは、後側ガイドローラ及び前側ガイドローラを介して、メインビームを前後方向にスライド移動可能に下方から支持する。
【0008】
上記構成では、連結機構によるメインビームとボギービームとの連結を解除し、メインフレームとボギーフレームとの前後方向の相対位置を1つの所定位置から他の所定位置に変更した後、連結機構によりメインビームとボギービームとを再度連結することによって、積載するコンテナの全長に応じた好適なホイールベースに変更して走行を行うことができる。従って、各車軸に対して荷重をバランス良く配分して、1つの車軸への荷重の集中を抑制することができる。
【0009】
また、メインビームの後端部と前端部とは、それぞれの左右において、後側ガイドローラ及び前側ガイドローラを介してボギービームによってスライド移動可能に支持される。従って、ボギーフレームに対するメインフレームの前後方向の移動を容易に行うことができ、ホイールベースの変更時において、全長の伸縮を容易に且つ確実に行うことができる。
【0010】
また、上記セミトレーラの車体構造において、左右のボギービームの車幅方向内側の側部に、前後方向に延びる左右1対のガイドレールをそれぞれ固定し、左右のメインビームに、左右のガイドレールの下方近傍で前後方向に延びる左右1対の上移動規制面をそれぞれ設けてもよい。ボギーフレームに対するメインフレームの上方への移動は、上移動規制面がガイドレールに下方から当接することによって規制される。
【0011】
上記構成では、車両の走行時において、メインフレームとボギーフレームとの上下方向の相対移動を確実に防止することができる。
【0012】
また、左右のメインビームの車幅方向外側の側部に、ガイドレールの車幅方向内側の近傍で前後方向に延びる横移動規制面をそれぞれ設けてもよい。ボギーフレームに対するメインフレームの車幅方向の移動は、横移動規制面がガイドレールに車幅方向内側から当接することによって規制される。
【0013】
上記構成では、車両の走行時において、メインフレームとボギーフレームとの左右方向の相対を確実に防止することができる。
【0014】
また、上記連結機構は、左右1対のロックピンと、複数対のピン挿入孔と、左右の付勢手段と、ピン駆動手段とを有してもよい。左右のロックピンは、ロック位置とロック位置よりも車幅方向内側のロック解除位置との間をスライド移動可能にボギーフレームに支持される。複数対のピン挿入孔は、複数の所定位置に対応して左右のメインビームにそれぞれ形成され、複数の所定位置うちの任意の1つの所定位置においてロック解除位置からロック位置へ移動したロックピンと係合する。左右の付勢手段は、左右のロックピンをロック位置へそれぞれ付勢する。ピン駆動手段は、ボギーフレームに支持され、左右のロックピンを付勢手段の付勢力に抗してロック解除位置へ移動させる。
【0015】
上記構成では、メインフレームとボギーフレームとの前後方向の相対位置を、1つの所定位置から他の所定位置へ移動する場合、ピン駆動手段によってロックピンをロック解除位置まで移動させ、メインビームを前方へ引き出した後、ピン駆動手段によるロックピンの駆動を解除する。ピン駆動手段による駆動を解除すると、付勢手段の付勢力によってロックピンはロック位置へ戻ろうとするが、ロックピンがピン挿入孔から外れている間は、ロックピンのロック位置への復帰はメインビームによって阻止される。メインビームを前方へさらに引き出し、メインビームが他の所定位置に達すると、付勢手段の付勢力によって、ロックピンがピン挿入孔へ進入して係合する。従って、作業者は、ロックピンとピン挿入孔との位置合わせを行うことなく、ロックピンをピン挿入孔に進入させることができる。また、駆動源を必要としない付勢手段の付勢力によってロックピンがロック位置に保持されるので、不用意なロック解除の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホイールベースの変更時において、セミトレーラの全長の伸縮を容易に且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のセミトレーラ(最短)を示す平面図である。
【図2】セミトレーラを最短長から伸長した状態を示す平面図である。
【図3】20ftコンテナを積載した後端合わせ時のセミトレーラ(最短)の側面図である。
【図4】20ftコンテナを積載した走行時のセミトレーラ(中間長)の側面図である。
【図5】40ftコンテナを積載したセミトレーラ(中間長)の側面図である。
【図6】45ftコンテナを積載したセミトレーラ(最長)の側面図である。
【図7】メインフレームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】ボギーフレームを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図9】メインフレームの後端部の平面図である。
【図10】図2のX−X矢視断面図である。
【図11】ボギーフレームの前端部の平面図である。
【図12】図1のXII−XII矢視断面図である。
【図13】メイン連結機構を示す平面図である。
【図14】ボギーフレームの後端部と伸縮ビームとを示す平面図である。
【図15】伸縮ビーム連結機構を示す平面図である。
【図16】図15のXVI−XVI矢視断面図である。
【図17】伸縮ビームの側面図である。
【図18】伸縮ビームの固定位置を説明する平面図であり、(a)は収納位置を、(b)は第1の突出位置を、(c)は第2の突出位置をそれぞれ示している。
【図19】突入防止装置を示す側面図である。
【図20】小型後側用緊締装置を示す断面図である。
【図21】大型後側用緊締装置を示す断面図である。
【図22】図21のXXII−XXII矢視断面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、特に説明のない限り左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0019】
図3〜図6に示すように、本実施形態のセミトレーラ1は、前後の長さが20フィートに設定された20ftコンテナ(小型コンテナ)20と、40フィートに設定された40ftコンテナ(第1の大型コンテナ)25と、45フィートに設定された45ftコンテナ(第2の大型コンテナ)30とを選択的に積載可能な兼用タイプのトレーラであり、トラクタ(図示省略)に連結されて牽引される。
【0020】
これらのコンテナ20,25,30は、ともに箱型タイプであり、各コンテナ20,25,30の後面は、左右に観音開き状に開移動してコンテナ内部を開放する扉(図示省略)によって閉止されている。各コンテナ20,25,30の前下端隅部と後下端隅部とには、前側の隅金具21,26,31と後側の隅金具22,27,32とがそれぞれ固定されている。
【0021】
20ftコンテナ20の前側及び後側の隅金具21,22には、下方へ開口する係合穴(図示省略)がそれぞれ設けられている。40ftコンテナ25と45ftコンテナ30の前側の隅金具26,31には、前方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられ、後側の隅金具27,32には、下方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられている。45ftコンテナ30の後方底側の側縁部には、中間位置の隅金具33が固定され、この隅金具33にも後側の隅金具32と同様に下方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられている。なお、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30の各底部の前側部分の車幅方向の略中央には、後述するメインフレーム3の段差16を吸収するための凹状のトンネルリセス部(図示省略)が設けられている。一方、20ftコンテナ20の底部には、トンネルリセス部は設けられていない。
【0022】
図1〜図8に示すように、セミトレーラ1のシャシフレーム2は、前側のメインフレーム3と後側のボギーフレーム6とによって構成される。
【0023】
メインフレーム3は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4と、左右のメインビーム4同士を連結する複数の直線状のクロスフレーム5とを有する。メインビーム4は、上下で離間して対向する板状の上フランジ4aと下フランジ4bとが上下に延びるウェブ4cによって連結されたI状断面を有する(図10参照)。
【0024】
左右のメインビーム4の前端部には、矩形平板状のエプロンプレート9が固定されている。エプロンプレート9の左右の両側部は、左右のメインビーム4の下フランジ4bに結合され、左右のメインビーム4の前端部の間はエプロンプレート9によって覆われている。エプロンプレート9の下面の車幅方向の略中央には、キングピン15が突設されている。キングピン15は、セミトレーラ1を牽引するトラクタのカプラ(図示省略)に解除可能に連結される。なお、キングピン15を、トラクタのカプラに対応した高さに合わせて配置するため、メインビーム4の前端部は、通称グースネックと称する段差16によって嵩上げされている。また、メインフレーム3には、トラクタから切り離されたシャシフレーム2を支持するためのジャッキ装置17が取り付けられている。
【0025】
左右のメインビーム4の前端部には、エプロンプレート9の前端上方で車幅方向に延びるフロントボルスタ40が固定され、フロントボルスタ40の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。フロントボルスタ40の上面には、左右1対のコンテナガイド39が固定されている。コンテナガイド39は、コンテナ25,30をセミトレーラ1に積載する際にコンテナ25,30の前端下部を所定の前後位置に案内する。
【0026】
左右のメインビーム4の後端部には、車幅方向に延びる上側リヤボルスタ50が固定され、上側リヤボルスタ50の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。また、左右のメインビーム4の中間部(段差16の直ぐ後方)には、中間ボルスタ60が固定され、中間ボルスタ60の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。
【0027】
フロントボルスタ40の左右両側の端部には、大型コンテナ用前側緊締装置(以下、大型前側用緊締装置と称する)41が装着されている。上側リヤボルスタ50の左右両側の端部には、小型コンテナ用後側緊締装置(以下、小型後側用緊締装置と称する)51が装着されている。中間ボルスタ60の左右両側の端部には、小型コンテナ用前側緊締装置(以下、小型前側用緊締装置と称する)61が装着されている。小型後側用緊締装置51と小型前側用緊締装置61とは同様に構成され、各緊締装置51,61は、各ボルスタ50,60の上面よりも上方へ突出する使用位置と、使用位置から下降して各ボルスタ50,60の内部に収容される収納位置との間を昇降自在なツイストロック52を有する。20ftコンテナ20を積載する場合、ツイストロック52は使用位置に設定され、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30を積載する場合、ツイストロック52は収納位置に設定される。
【0028】
ボギーフレーム6は、左右のメインビーム4の車幅方向外側で前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のボギービーム7と、左右のボギーフレーム7同士を連結するクロスフレーム8とを有する。左右のボギービーム7の後端部には、左右1対の伸縮ビーム12が前後方向にスライド移動可能にそれぞれ支持されている。
【0029】
左右のボギービーム7は、メインビーム4のうち段差18よりも後方の領域(以下、グースネック後方領域と称する)よりも僅かに短い全長に設定され、左右のメインビーム4のグースネック後方領域を前後方向にスライド移動可能に下方からそれぞれ支持する。ボギービーム7のうち前端部を除く領域は、上下で離間して対向する板状の上板7aと下板7bとが車幅方向に離間して相対向する内側板7cと外側板7dとによって連結された矩形筒形状を有し(図10参照)、ボギービーム7の前端部は、上板7aと連続する上フランジ7eからウェブ7fが下方へ延びるT状断面を有する(図12参照)。ボギーフレーム6には、懸架装置10及び3本の車軸(図示省略)を介して車輪(タイヤ)11が装着され、ボギーフレーム6は、車輪11によって下方から支持される。
【0030】
左右の伸縮ビーム12は、後述する伸縮ビーム連結機構150によって、前方の収納位置と、収納位置よりも後方の第1の突出位置と、第1の突出位置よりも後方の第2の突出位置とのうち任意の1つの位置に固定的に支持される。左右の伸縮ビーム12の後端部には、車幅方向に延びる下側リヤボルスタ70が固定され、下側リヤボルスタ70の左右両端は、各伸縮ビーム12から車幅方向外側へ突出して延びている。下側リヤボルスタ70の左右両側の端部には、大型コンテナ用後側緊締装置(以下、大型後側用緊締装置と称する)71が装着されている。大型後側用緊締装置71は、下側リヤボルスタ70の上面の上方へ突出して起立する使用位置と、起立位置から傾倒した格納位置との間を回転自在である。
【0031】
下側リヤボルスタ70の下部には、突入防止装置80が前後方向にスライド移動可能に支持されている。突入防止装置80は、前方の収容位置又は後方の突出位置の何れかに固定的に支持される。
【0032】
シャシフレーム2の全長は、伸縮ビーム12が収納位置に支持され、且つメインビーム4の後端とボギービーム7の後端との前後位置がほぼ一致する最大重なり状態で最短となり、メインフレーム3は、最大重なり状態からボギーフレーム6に対して前方へ突出可能である。メインフレーム3の前方への突出によってシャシフレーム2の全長が伸長し、ホイールベース(トラクタに装着された前側の車輪の車軸とボギーフレーム6に装着された後側の車輪11の車軸との距離)が変更される。最大重なり状態では、大型後側用緊締装置71が格納位置に設定され、下側リヤボルスタ70の上方に上側リヤボルスタ50が重なる。
【0033】
左右のメインビーム4と左右のボギービーム7とは、メインフレーム3とボギーフレーム6との前後方向の相対位置が相違する複数の所定位置のそれぞれにおいて、後述するメイン連結機構(連結機構)130によって解除可能に連結される。本実施形態では、連結機構が両フレーム3,6を連結する複数の所定位置として、上記最大重なり状態(両ビーム4,7の全長が最短)となる最短位置と、両ビーム4,7の全長が最短よりも第1の所定距離長くなる第1の伸張位置と、両ビーム4,7の全長が最短よりも第2の所定距離(>第1の所定距離)長くなる第2の伸張位置(最長位置)とが設定されている。ホイールベースを変更する(ボギーフレーム6に対してメインフレーム3を前後方向に移動させる)場合、メインフレーム3にトラクタを連結し、メイン連結機構130を連結解除状態とし、車輪11に制動力を付与しながら(車輪11のブレーキを作動させながら)、トラクタを前進又は後進させる。
【0034】
図3に示すように、20ftコンテナ20を積載する場合、コンテナ20の前側の隅金具21を小型前側用緊締装置61によって緊締し、後側の隅金具22を小型後側用緊締装置51によって緊締する。すなわち、小型前側用緊締装置61と小型後側用緊締装置51との距離は、20ftコンテナ20の前側の隅金具21と後側の隅金具22との距離とほぼ等しく設定される。
【0035】
20ftコンテナ20を積載し、プラットホーム19との間で積荷の入出を行う場合(20ft後端合わせ時)、両ビーム4,7の全長を最短とし、伸縮ビーム12を収納位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。これにより、セミトレーラ1の後端をプラットホーム19に近接又は接触させて積荷の入出を行うことができる。
【0036】
図4に示すように、20ftコンテナ20を積載して走行する場合(20ft走行時)、20ft後端合わせ時からメインビーム4を前方へ引き出して両ビーム4,7の全長を第1の所定長とする。なお、伸縮ビーム12は収納位置に維持し、突入防止装置80は収容位置に維持する。両ビーム4,7の全長を第1の所定長とすることにより、各車軸に対して荷重がバランス良く配分され、1つの車軸に対する荷重の集中が抑制される。
【0037】
図5に示すように、40ftコンテナ25を積載する場合、両ビーム4,7の全長を第1の所定長とし、伸縮ビーム12を第2の突出位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。また、コンテナ25の前側の隅金具26を大型前側用緊締装置41によって緊締し、後側の隅金具27を大型後側用緊締装置71によって緊締する。すなわち、伸縮ビーム12の収納位置から第2の突出位置までの突出量は、40ftコンテナ25の前側の隅金具26と後側の隅金具27との距離から、両ビーム4,7の全長を第1の所定長としたときの大型前側用緊締装置41と大型後側用緊締装置71との距離を減じた距離とほぼ等しく設定される。
【0038】
図6に示すように、45ftコンテナ30を積載する場合、両ビーム4,7の全長を第2の所定長(最長)とし、伸縮ビーム12を第1の突出位置とし、突入防止装置80を突出位置とする。また、コンテナ30の前側の隅金具31を大型前側用緊締装置41によって緊締し、中間位置の隅金具33を大型後側用緊締装置71によって緊締する。すなわち、伸縮ビーム12の収納位置から第1の突出位置までの突出量は、45ftコンテナ30の前側の隅金具31と中間位置の隅金具33との距離から、両ビーム4,7の全長を第2の所定長としたときの大型前側用緊締装置41と大型後側用緊締装置71との距離を減じた距離とほぼ等しく設定される。なお、40ftコンテナ25の積載時及び45ftコンテナ30の積載時において、両ビーム4,7の全長及び伸縮ビーム12を上述のように設定することにより、20ftコンテナ走行時と同様に、各車軸に対して荷重がバランス良く配分され、1つの車軸に対する荷重の集中が抑制される。
【0039】
次に、メインビーム4をボギービーム7によってスライド移動可能に支持する構造について、図9〜図12を参照して説明する。
【0040】
メインフレーム3の後端部には、左右1対の後側ガイドローラ110が設けられ、ボギーフレーム6の前端部には、左右1対の前側ガイドローラ120が設けられている。
【0041】
メインフレーム3の後端部には、上側リヤボルスタ50の前方で車幅方向に沿って延びるクロスフレーム5と、左右にそれぞれ配置される2枚1組のローラ支持プレート111とが設けられている。クロスフレーム5の左右の端部は、メインビーム3から車幅方向外側に突出し、左右のローラ支持プレート111は、車両前後方向に沿って相対向して起立し、上側リヤボルスタ50とクロスフレーム5とを連結する。後側ガイドローラ110は、2枚のローラ支持プレート111の間に配置され、車幅方向に沿った回転軸112を中心として回転自在にローラ支持プレート111によって左右から支持されている。各後側ガイドローラ110の下部は、ローラ支持プレート111の下端よりも下方へ突出し、左右のボギービーム7の上面に上方から当接する。本実施形態では、左右のボギービーム7の上板7aの上面に、該上面の一部を構成する長板状のガイドプレート113が貼着され、ローラ支持プレート111の外周面がガイドプレート113の上面に当接しながら回転(転動)する。ガイドプレート113は、上板7aの上面の前後方向の範囲のうち後側ガイドローラ110の移動範囲全域に亘って配置されている。
【0042】
ボギーフレーム6の前端部には、車幅方向に沿って略平行に延びる2本のクロスフレーム8と、左右にそれぞれ配置される2枚1組のローラ支持プレート121とが設けられている。左右のローラ支持プレート121は、車両前後方向に沿って相対向して起立し、2本のクロスフレーム8同士を連結する。前側ガイドローラ120は、2枚のローラ支持プレート121の間に配置され、車幅方向に沿った回転軸122を中心として回転自在にローラ支持プレート121によって左右から支持されている。各前側ガイドローラ120の上部は、ローラ支持プレート121の上端よりも上方へ突出し、左右のメインビーム4の下面に下方から当接しながら回転する。
【0043】
ボギービーム7は、後側ガイドローラ110及び前側ガイドローラ120を介して、メインビーム4の後端部の左右及び前端部の左右を、前後方向にスライド移動可能に下方から支持する。
【0044】
左右のボギービーム7の車幅方向内側の側部である内側板7cの車幅方向内側表面には、前後方向に延びる左右1対のガイドレール125が複数のブラケット126を介してそれぞれ固定されている。左右のメインビーム4の下フランジ4bのうちウェブ4cよりも車幅方向外側部分の上面は、左右のガイドレール125の下方近傍で前後方向に延びる左右1対の上移動規制面127として機能する。ボギーフレーム6に対するメインフレーム2の上方への移動は、上移動規制面127がガイドレール125に下方から当接することによって規制される。ガイドレール125は、ボギービーム7の前後方向のほぼ全域に亘って配置されている。
【0045】
左右のメインビーム4の車幅方向外側の側部であるウェブ4cの車幅方向外側表面には、前後方向に延びる左右1対のストッパプレート128がそれぞれ固定されている。左右のストッパプレート128の車幅方向外側の表面は、ガイドレール125の車幅方向内側の近傍で前後方向に延びる横移動規制面129として機能する。ボギーフレーム6に対するメインフレーム3の車幅方向の移動は、横移動規制面129がガイドレール125に車幅方向内側から当接することによって規制される。
【0046】
次に、メイン連結機構130について、図7、図12及び図13を参照して説明する。
【0047】
メイン連結機構130は、前後位置が相違する3箇所(左右で計6箇所)のピン挿入孔131(図7参照)と、左右1対のロックピン装置132と、エアチャンバ(駆動手段)133と、リンク機構134と、ケース体135とを備え、ボギーフレーム6の前端部に配置される。3箇所のロックピン挿入孔131は、上述の最短位置と第1の伸長位置と第2の伸長位置とにそれぞれ対応したメインビーム4の前後方向の所定位置で、ウェブ4cに形成されている。最も前方のロックピン挿入孔131が短縮位置に対応し、最も後方のロックピン挿入孔131が第2の伸長位置に対応し、その間のロックピン挿入孔131が第1の伸長位置に対応する。ケース体135は、左右のメインビーム4の間に配置され、クロスフレーム8を介して左右のボギービーム7に支持される。ケース体135の内部には、ロックピン装置132の主要部とリンク機構134とが収容される。
【0048】
ロックピン装置132は、ハウジング136と、ロックピン137と、コイルバネ(付勢手段)138とを有する。ハウジング136は、筒形状であり、車幅方向外側の端部がケース体135を貫通した状態でケース体135の車幅方向外側の側壁に固定される。ロックピン137は、ハウジング136の車幅方向外側の端部から車幅方向外側へ突出してロックピン挿入孔131を挿通するロック位置と、ロック位置から車幅方向内側へ移動してロックピン挿入孔131から外れるロック解除位置との間を車幅方向に沿ってスライド移動自在に、ハウジング136に支持されている。コイルバネ138は、ロックピン137をロック位置へ付勢する。ロックピン137から車幅方向内側へ延びるピン軸部139の先端は、ハウジング136から突出する。
【0049】
メインビーム4とボギービーム7とは、3箇所のピン挿入孔131のうち最前方のピン挿入孔131をロックピン137が挿通することによって短縮位置で固定され、最後方のピン挿入孔131をロックピン137が挿通することによって第2の伸長位置で固定され、その間のピン挿入孔131をロックピン137が挿通することによって第1の伸長位置で固定される。
【0050】
エアチャンバ133は、車幅方向の略中央に配置され、ケース体135の後板の後面上に固定される。エアチャンバ133の駆動軸140はケース体135の後板を挿通した状態で前後方向に移動し、その前端部には長穴状のピン連結穴141が形成されている。ピン連結穴141には、連結ピン142が挿通する。
【0051】
リンク機構134は、ケース体135に回転自在に支持される板状の回転部材143と、車幅方向に延びる左右のリンク144とを有する。回転部材143は、回転中心を挟んで対峙する2箇所のリンク連結端部143aと、これら2箇所のリンク連結端部からほぼ等距離に位置するエアチャンバ連結端部143bとを一体的に有するT形状である。リンク144の一端部(車幅方向外側の端部)は、ピン軸部139に回転自在に連結され、他端部(車幅方向内側の端部)は、回転部材143のリンク連結端部143aに回転自在に連結される。回転部材143のエアチャンバ連結端部143bは、連結ピン142(ピン連結穴141)を介してエアチャンバ133の駆動軸140に連結されている。
【0052】
ロックピン137がロック位置に突出した状態では、エアチャンバ133からエアが排出され、駆動軸140は最も短縮する(図13参照)。ロックピン137のロックを解除する場合、エアチャンバ133へエア(圧縮空気)を供給する。これにより、駆動軸140が前方へ伸長し、ピン連結穴141の後端縁によって連結ピン142が前方へ押されて移動し、回転部材143が図13中で時計回り(矢印方向)に回転し、リンク144が車幅方向内側へ移動し、ロックピン137がコイルバネ138の付勢力に抗して車幅方向内側へ移動する。連結ピン142が図13中に二点差線で示す位置に達すると、ロックピン137がロック解除位置に達し、ボギービーム7に対するメインビーム4のスライド移動が許容される。例えば、短縮位置のメインビーム4を第1の伸長位置へ移動する場合、エアチャンバ133にエアを供給し、ロックピン137をロック解除位置まで移動させ、トラクタを前進させてメインビーム4を前方へ引き出した後、エアチャンバ133からエアを排出する。エアが排出されると、駆動軸140が短縮し、連結ピン142がピン連結穴141の後端縁近傍に位置し、コイルバネ138の付勢力によってロックピン137はロック位置へ戻ろうとするが、ロックピン137がピン挿入孔131から外れているため、ロックピン95のロック位置への復帰はメインビーム4のウェブ4cによって阻止される。トラクタを前進させてメインビーム4を前方へさらに引き出し、メインビーム4が第1の伸長位置に達すると、コイルバネ138の付勢力によって、連結ピン142がピン連結穴141内を後方へ移動してロックピン137が前側のピン挿入孔131へ進入する。
【0053】
本実施形態では、図7(a)に示すように、メインビーム4を移動させる際に作業者からオン操作されるスイッチ145と、隣接するピン挿入孔131の間に配置されてボギービーム7を検出する前後2箇所のセンサ(検出手段)146,147と、スイッチ145及びセンサ146,147からの入力信号に応じてエアチャンバ133へのエアの供給及び排出を制御する制御装置(制御手段)148とが設けられている。両ビーム4,7の相対位置が短縮位置の場合、前方及び後方のセンサ146,147はともにボギービーム7を検出する。両ビーム4,7の相対位置が第1の伸長位置の場合、前方のセンサ146はボギービーム7を検出しないが、後方のセンサ147はボギービーム7を検出する。両ビーム4,7の相対位置が第1の伸長位置の場合、前方及び後方のセンサ146,147はともにボギービーム7を検出しない。制御装置148は、スイッチ146がオン操作されると、制御バルブ等に対してエアチャンバ133へのエアの供給を指示する。作業者がトラクタを前進又は後進し、メインビーム4がボギービーム7に対して移動し、センサ146,147のうち一方の検出状態が変化すると、制御装置148は、制御バルブ等に対してエアチャンバ133からのエアの排出を指示する。従って、作業者は、スイッチ145を操作した後、トラクタを前進又は後進させるだけで、両ビーム4,7の全長を変更することができる。
【0054】
なお、スイッチ145は、前後に隣接するピン挿入孔131間での移動(1段階の移動)と、最短位置と最長位置との間での移動(2段階の移動)とを区別した入力を受け付けてもよい。制御装置148は、1段階の移動が入力操作された場合には、上記と同様にエアを制御する。一方、2段階の移動が入力操作された場合、そのときのセンサ146,147の検出状態から移動前の位置が最短位置と第2の伸長位置との何れであるかを判定する。最短位置であると判定したときには、前方のセンサ146の検出状態の変化によってエアの排出を指示せず、後方のセンサ147の検出状態の変化に応じてエアの排出を指示する。反対に、第2の伸長位置であると判定したときには、後方のセンサ147の検出状態の変化によってエアの排出を指示せず、前方のセンサ146の検出状態の変化に応じてエアの排出を指示する。なお、2段階の移動が入力操作された場合において、移動前の位置が第1の伸長位置であると判定したときには、誤操作であるため、1段階の移動が入力操作された場合の制御を行う。
【0055】
次に、伸縮ビーム12、伸縮ビーム連結機構150及び伸縮ビーム駆動装置170について、図14〜図18を参照して説明する。
【0056】
左右のボギービーム7の後端部は略筒状であり、その内部に前後方向に延びる左右の伸縮ビーム12の前端部が挿入され、伸縮ビーム12は、ボギービーム7に対して入れ子式にスライド可能に装着されている。伸縮ビーム12は、2つの矩形筒状体を上下に重ねて結合することによって形成されている。ボギービーム7の後端部及び伸縮ビーム12には、前方の収納位置(図18(a)参照)と、収納位置よりも後方の第1の突出位置(図18(b)参照)と、第1の突出位置よりも後方の第2の突出位置(図18(c)参照)とのそれぞれにおいて、伸縮ビーム12を左右のボギービーム7に対して解除可能に固定する伸縮ビーム連結機構150が設けられている。
【0057】
伸縮ビーム連結機構150は、前後位置が相違する3箇所(左右で計6箇所)のピン挿入孔151(図17参照)と、左右1対のロックピン装置152と、エアチャンバ153と、リンク機構154とを備える。前後のロックピン挿入孔151は、伸縮ビーム12の車幅方向内側の側壁の所定位置に形成されている。
【0058】
ロックピン装置152は、ハウジング155と、ロックピン156と、コイルバネ157とを有する。ハウジング155は、筒形状であり、車幅方向外側の端部がボギービーム7を貫通した状態でボギービーム7の車幅方向内側の側壁に固定される。ロックピン156は、ハウジング155の車幅方向外側の端部からボギービーム7の内部へ突出するロック位置と、ロック位置から車幅方向内側へ移動してボギービーム7の内部へ突出しないロック解除位置との間を車幅方向に沿ってスライド移動自在に、ハウジング155に支持されている。コイルバネ157は、ロックピン156をロック位置へ付勢する。ロックピン156から車幅方向内側へ延びるピン軸部158の先端は、ハウジング155から突出する。
【0059】
伸縮ビーム12は、3箇所のピン挿入孔151のうち最も後方のピン挿入孔151をロックピン156が挿通することによって収納位置に固定され、最も前方のピン挿入孔151をロックピン156が挿通することによって第2の突出位置に固定され、その間のピン挿入孔151をロックピン156が挿通することによって第1の突出位置に固定される。
【0060】
エアチャンバ153は、車幅方向の略中央に配置され、クロスフレーム8に固定された周辺機器支持プレート171の下面にブラケット(図示省略)を介して固定される。エアチャンバ153の駆動軸159は前後方向に移動し、その先端部には長穴状のピン連結穴160が形成されている。ピン連結穴160には、連結ピン161が挿通する。
【0061】
リンク機構154は、周辺機器支持プレート171に回転自在に支持される板状の回転部材162と、車幅方向に延びる左右のリンク163とを有する。回転部材162は、回転中心を挟んで対峙する2箇所のリンク連結端部162aと、これら2箇所のリンク連結端部からほぼ等距離に位置するエアチャンバ連結端部162bとを一体的に有するT形状である。リンク163の一端部(車幅方向外側の端部)は、ピン軸部158に回転自在に連結され、他端部(車幅方向内側の端部)は、回転部材162のリンク連結端部162aに回転自在に連結される。回転部材162のエアチャンバ連結端部162bは、連結ピン161(ピン連結穴160)を介してエアチャンバ153の駆動軸159に連結されている。このように、伸縮ビーム連結機構150は、メイン連結機構130と同様の構成を有しており、エアの供給及び排気によってメイン連結機構130と同様に作動するため、基本的な動作についての説明は省略する。
【0062】
伸縮ビーム駆動装置170は、周辺機器支持プレート171の上面に固定されたエアシリンダ172によって構成されている。エアシリンダ172のシリンダロッド173は、後方へ伸長可能であり、シリンダロット173の先端は下側リヤボルスタ70の車幅方向の略中央の前面に連結され、シリンダロッド173に対するエアの供給及び排気によって、伸縮ビーム12が伸長又は短縮する。エアシリンダ172には、リミットスイッチが内蔵され、制御装置(図示省略)には、作業者から伸長又は短縮の指示が入力されるスイッチ(図示省略)からの信号とリミットスイッチからの信号とが入力する。リミットスイッチは、伸縮ビーム12が収納位置と第1の突出位置との間で移動するときに検出信号の状態が変化するスイッチと、第1の突出位置と第2の突出位置との間で移動するときに検出信号の状態が変化するスイッチとを含み、制御装置は、メイン連結機構130の制御装置148と同様に、これらの入力信号に応じてエアチャンバ153へのエアの供給及び排出を制御する。すなわち、制御装置は、スイッチが操作されると制御バルブ等に対してエアチャンバ153へのエアの供給を指示した後、スイッチに入力された伸長指示又は短縮指示に基づいてエアシリンダ172へのエアの供給又は排出を制御し、伸縮ビーム12をボギービーム7に対して移動させる。リミットスイッチのうち一方の検出状態が変化すると、制御装置は、制御バルブ等に対してエアチャンバ153からのエアの排出を指示する。従って、作業者は、スイッチを操作しただけで、下側リヤボルスタ70の位置を変更することができる。なお、伸縮ビーム連結機構150についても、メイン連結機構130と同様に、1段階の移動と2段階の移動とを区別して制御してもよいなお、エアシリンダ172に代えて、油圧シリンダ等の他の駆動装置を設けてもよい。
【0063】
次に、突入防止装置80について、図19を参照して説明する。
【0064】
突入防止装置80は、後方から追突した乗用車などの潜り込みを防止するフレーム状の部材であり、前方へ延びる左右1対の支持アーム81を一体的に有する。下側リヤボルスタ70の左右の下面には、下方へ延びる左右1対の支持フレーム82がそれぞれ結合され、各支持フレーム82の下端部には、前後方向に貫通する貫通穴(図示省略)を形成する枠体部83が一体的に設けられている。左右の支持アーム81が支持フレーム82の貫通穴を挿通することによって、突入防止装置80がボギービーム7に対して前後方向にスライド移動自在に支持される。
【0065】
支持アーム81と支持フレーム82の枠体部83との間には、40ftコンテナ25及び後方20ftコンテナ20Rに対応する収納位置と、収納位置よりも後方であって45ftコンテナ30に対応する突出位置とのそれぞれにおいて、突入防止装置80を左右のボギービーム7(支持フレーム82)に対して解除可能に固定する突入防止装置固定機構84が設けられている。45ftコンテナ30は、40ftコンテナ25及び後方20ftコンテナ20Rよりもボギービーム7の後端(下側リヤボルスタ70)から後方に突出した状態で積載されるため、40ftコンテナ25及び後方20ftコンテナ20Rを積載する場合には、収容位置に突入防止装置80を固定し、45ftコンテナ30を積載する場合には、収容位置よりも後方の突出位置に突入防止装置80を固定する。
【0066】
突入防止装置固定機構84は、支持フレーム82の枠体部83に設けられたフレーム側ピン挿入孔85と、支持アーム81に形成された前後2箇所にアーム側ピン挿入孔86(前方のみ図示)と、フレーム側及びアーム側のピン挿入孔を挿通するロックピン87とから構成される。突入防止装置80は、前後のアーム側ピン挿入孔のうち後側のピン挿入孔をロックピン87が挿通することによって収納位置に固定され、前側のピン挿入孔86をロックピン87が挿通することによって突出位置に固定される。
【0067】
次に、各緊締装置41,51,61,71について説明する。
【0068】
図7に示すように、大型前側用緊締装置41は、スレッドピン42と、レバー43と、レバーロックプレート(図示省略)とを備え、フロントボルスタ40の端部の中空内部に配置されている。スレッドピン42は、係合位置と係合解除位置との間を前後方向に沿って移動自在であり、シャシフレーム2に載置されたコンテナ25,30の隅金具26,31の直ぐ前方に配置される。係合位置のスレッドピン42は、40ftコンテナ25又は45ftコンテナ30がシャシフレーム2に載置された状態で、フロントボルスタ40の後面から後方へ突出し、前側の隅金具26,31の係合穴へ進入し係合して、コンテナ25,30の移動を規制する。係合解除位置のスレッドピン42は、係合位置から前方へ移動し、係合穴から離脱して、コンテナ25,30の移動を許容する。
【0069】
レバー43は、その一端がスレッドピン42の後端部に連結されて車幅方向内側へ延びる。レバー43が後方へ押されると、スレッドピン42が後方の係合位置へ移動し、レバー43が前方へ引かれると、スレッドピン42が前方の係合解除位置へ移動する。フロントボルスタ40には、前後方向に沿って起立するガイドプレート(図示省略)が固定され、ガイドプレートには、レバー43の他端が挿入されるガイド穴(図示省略)が形成されている。ガイド穴は、前後方向に延びる中間直線部と、中間直線部の前後の両端からそれぞれ下方へ延びる前端部及び後端部とを有する。レバー43は、その他端がガイド穴の中間直線部に位置する状態で前後方向への移動が許容され、ガイド穴の前端部及び後端部に位置する状態で前後方向への移動が規制される。レバーロックプレートは、フロントボルスタ40に回転自在に支持され、スレッドピン42が係合位置に設定された状態と係合解除位置に設定された状態との双方において、レバー43の他端側と係合することによって、スレッドピン42を係合位置又は係合解除位置に保持する。
【0070】
図20に示すように、小型後側用緊締装置51は、昇降型ツイストロック装置であり、ボディ53と、ツイストロック52と、レバー54と、ハンドル回転規制アーム(図示省略)とを備える。ボディ52は、上側リヤボルスタ50の端部に固定される。ツイストロック52は、前後方向が長い矩形筒状であり、略鉛直上方に起立する。ツイストロック52の内径部には、回転軸(図示省略)が回転自在に支持された状態で挿通し、回転軸の上端には、ツイストロック52の頭部52aが固定される。回転軸の下端部に一体的に設けられたハンドル55を回転することにより、頭部52aは、前後方向が長い係合解除位置(図20に示す位置)と、係合解除位置から略90°回転した係合位置との間で、回転軸と一体的に回転する。レバー54は、昇降許容位置と昇降禁止位置との間で回転自在であり、頭部52aを係合解除位置に設定し、レバー54を昇降許容位置に設定すると、ツイストロック52は、頭部52aがボディ53の上方へ突出する使用位置と頭部52がボディ53の内部に埋没する収納位置との間で昇降可能となる。昇降可能な状態のツイストロック52は、自重によって収納位置に維持され、収納位置のツイストロック52を使用位置まで持ち上げてレバー54を昇降禁止位置に回転すると、ツイストロック52は使用位置に保持される。この状態で、ハンドル55を持ち上げながら回転すると、頭部52aは係合位置へ回転する。頭部52の回転位置は、ハンドル回転規制アームをハンドル55の外周部分に係合することによって保持される。
【0071】
ツイストロック52を使用位置に設定し、ツイストロック52の頭部52aを係合解除位置に設定し、20ftコンテナ20をシャシフレーム2の所定位置に載置すると、ツイストロック52の頭部52aは、隅金具22の係合穴に下方から進入し、ハンドル55を持ち上げながら操作して略90°回転することによって、係合位置に達して係合穴と係合する。また、40ftコンテナ25又は45ftコンテナ30を積載する場合、ボディ52の上面から突出する頭部52aがコンテナ25,30の下面と干渉するため、ツイストロック52を収納位置に設定する。なお、小型後側用緊締装置51と小型前側用緊締装置61とは同様に構成されているため、小型前側用緊締装置61の詳細な説明は省略する。
【0072】
図21〜図23に示すように、大型後側用緊締装置71は、回転嵩上げ型ツイストロック装置であり、ボディ73と、ツイストロック72と、ロックフック74と、ロックシャフト75と、アシストグリップ76と、回転防止落とし錠77とを備える。ボディ73は、矩形箱体状であり、ボディ73の下端部は、車両前後方向に沿った回転軸78を中心として回転自在に下側リヤボルスタ70に支持されている。大型後側用緊締装置71は、回転軸78を中心として、下側リヤボルスタ70に対して起立する使用位置(図22中に実線で示す)と、使用位置から車幅方向内側下方へ90°回転した格納位置(図22中に二点鎖線で示す)との間で回転可能である。格納位置の大型後側用緊締装置71は、下側リヤボルスタ70の内部に格納された状態で、下側リヤボルスタ70によって支持される。使用位置の大型後側用緊締装置71は、下側リヤボルスタ70に回転自在に支持されたロックフック74の先端部をボディ73に固定されたロックシャフト75に係合することによって回転移動が規制される。格納位置では、メインビーム4を短縮位置に設定した際に上側リヤボルスタ50と干渉しないように、大型後側用緊締装置71の全体が上側リヤボルスタ50の下面よりも下方に待避する。
【0073】
ボギービーム7の上面はメインビーム4の上面よりも低く、下側リヤボルスタ70の上面も上側リヤボルスタ50の上面よりも低いため、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30のうちメインフレーム3よりも後側は、ボギービーム7の上面から上方に離間する。このため、使用位置の大型後側用緊締装置71(ボディ73)の上面の高さは、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30に当接して下方から支持する高さに設定される。このように、使用位置の大型後側用緊締装置71は、シャシフレーム2に載置された40ftコンテナ25の隅金具27又は45ftコンテナ30の隅金具33の直ぐ下方に配置されて、コンテナ25,30の後部を下方から支持する。
【0074】
ツイストロック72は、前後方向が長い矩形筒状であり、ボディ73に固定されてボディ73の上面(使用位置での上面)から突出する。大型後側用緊締装置71を使用位置に設定した使用状態において、ツイストロック72は、略鉛直上方に起立する。ツイストロック72の内径部には、回転軸72bが回転自在に支持された状態で挿通し、回転軸72bの上端には、ツイストロック72の頭部72aが固定される。回転軸72bの下端部に一体的に設けられたハンドル79を回転することにより、頭部72aは、前後方向が長い係合解除位置(図21及び図22に示す)と、係合解除位置から略90°回転した係合位置との間で、回転軸72bと一体的に回転する。
【0075】
アシストグリップ76を把持して格納位置の大型後側用緊締装置71を使用位置に回転移動し、ツイストロック72の頭部72aを係合解除位置に設定し、40ftコンテナ25又は45ftコンテナ30をシャシフレーム2の所定位置に載置すると、ツイストロック72の頭部72aは、隅金具27,33の係合穴に下方から進入し、ハンドル79を操作して略90°回転することによって、係合位置に達して係合穴と係合する。回転防止落とし錠77は、起立したボディ73に対して昇降自在に支持され、上方位置に仮保持された回転防止落とし錠77を下降させると、回転防止落とし錠77はハンドル79の外周部分と係合して頭部72の回転を阻止する。また、メインビーム4を短縮位置に設定する場合、大型後側用緊締装置71を格納位置に設定する。
【0076】
なお、上述した各緊締装置51,61,71は、要求される機能を奏するものであれば上記の構造に限定されない。
【0077】
本実施形態によれば、20ftコンテナ20を積載する場合、コンテナ20の前側の隅金具21を小型前側用緊締装置61によって緊締し、後側の隅金具22を小型後側用緊締装置51によって緊締する。そして、20ft後端合わせ時には、両ビーム4,7の全長を最短とし、伸縮ビーム12を収納位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。これにより、セミトレーラ1の後端をプラットホーム19に近接又は接触させて積荷の入出を行うことができる。
【0078】
20ft走行時には、20ft後端合わせ時からメインビーム4を前方へ引き出して両ビーム4,7の全長を第1の所定長とする。40ftコンテナ25を積載する場合は、両ビーム4,7の全長を第1の所定長とし、伸縮ビーム12を第2の突出位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。45ftコンテナ30を積載する場合は、両ビーム4,7の全長を第2の所定長(最長)とし、伸縮ビーム12を第1の突出位置とし、突入防止装置80を突出位置とする。
【0079】
従って、積載するコンテナ20,25,30の全長に応じた好適なホイールベースに変更して走行を行うことができ、各車軸に対して荷重をバランス良く配分して、1つの車軸への荷重の集中を抑制することができる。
【0080】
また、メインビーム4の後端部と前端部とは、それぞれの左右において、後側ガイドローラ110及び前側ガイドローラ120を介してボギービーム7によってスライド移動可能に支持されるので、ボギーフレーム6に対するメインフレーム3の前後方向の移動を円滑に行うことができ、ホイールベースの変更時において、全長の伸縮を容易に且つ確実に行うことができる。
【0081】
また、ボギーフレーム6に対するメインフレーム3の上方への移動は、メインビーム4の上移動規制面127がガイドレール125に下方から当接することによって規制されるので、車両の走行時において、メインフレーム3とボギーフレーム6との上下方向の相対移動を確実に防止することができる。
【0082】
また、ボギーフレーム6に対するメインフレーム3の車幅方向の移動は、横移動規制面127がガイドレール125に車幅方向内側から当接することによって規制されるので、車両の走行時において、メインフレーム3とボギーフレーム6との左右方向の相対を確実に防止することができる。
【0083】
また、例えば、短縮位置のメインビーム4を第1の伸長位置へ移動する場合、エアチャンバ133にエアを供給し、ロックピン137をロック解除位置まで移動させ、トラクタを前進させてメインビーム4を前方へ引き出した後、エアチャンバ133からエアを排出する。エアが排出されると、コイルバネ138の付勢力によってロックピン137はロック位置へ戻ろうとするが、ロックピン137がピン挿入孔131から外れているため、ロックピン95のロック位置への復帰はメインビーム4のウェブ4cによって阻止される。トラクタを前進させてメインビーム4を前方へさらに引き出し、メインビーム4が第1の伸長位置に達すると、コイルバネ138の付勢力によって、連結ピン142がピン連結穴141内を後方へ移動してロックピン137が前側のピン挿入孔131へ進入する。従って、作業者は、ロックピン137とピン挿入孔131との位置合わせを行うことなく、ロックピン137をピン挿入孔131に進入させることができ、作業が容易である。また、駆動源を必要としないコイルバネ137の付勢力によってロックピン137がロック位置に保持されるので、不用意なロック解除の発生を防止することができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、20ftコンテナ20と40ftコンテナ25と45ftコンテナ30とを選択的に積載可能な兼用タイプのセミトレーラ1を説明したが、前後方向の長さはこれらに限定されるものではない。
【0085】
また、メイン連結機構63や突入防止装置固定機構84やメイン連結機構130は、要求される機能を奏するものであれば上記の形状及び構造に限定されない。
【符号の説明】
【0086】
1:セミトレーラ
2:シャシフレーム
3:メインフレーム
4:メインビーム
4a:上フランジ
4b:下フランジ
4c:ウェブ
5:クロスフレーム
6:ボギーフレーム
7:ボギービーム
7a:上板
7b:下板
7c:内側板
7d:外側板
7e:上フランジ
7f:ウェブ
8:クロスフレーム
10:懸架装置
11:タイヤ
12:伸縮ビーム
15:キングピン
16:段差(グースネック)
20:20ftコンテナ(小型コンテナ)
25:40ftコンテナ(第1大型コンテナ)
30:45ftコンテナ(第2大型コンテナ)
40:フロントボルスタ
41:大型コンテナ用前側緊締装置(大型前側用緊締装置)
42:スレッドピン
50:上側リヤボルスタ
51:小型コンテナ用後側緊締装置(小型後側用緊締装置)
52:ツイストロック
60:中間ボルスタ
61:小型コンテナ用前側緊締装置(小型前側用緊締装置)
70:下側リヤボルスタ
71:大型コンテナ用後側緊締装置(大型後側用緊締装置)
80:突入防止装置
110:後側ガイドローラ110
112:回転軸
120:前側ガイドローラ120
122:回転軸
127:上移動規制面
129:横移動規制面
130:メイン連結機構(連結機構)
131:ピン挿入孔
132:ロックピン装置
133:エアチャンバ(駆動手段)
134:リンク機構
135:ケース体
137:ロックピン
138:コイルバネ(付勢手段)
150:伸縮ビーム連結機構
151ピン挿入孔151
153:エアチャンバ
156:ロックピン
157:コイルバネ
170:伸縮ビーム駆動装置
172:エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビームを有し、トラクタに連結されて牽引される前側のメインフレームと、
前記左右のメインビームの車幅方向外側で前後方向に沿って略平行に延びるとともに、前記左右のメインビームを前後方向にスライド移動可能に下方からそれぞれ支持する左右1対のボギービームを有し、車輪によって下方から支持される後側のボギーフレームと、
前記メインフレームと前記ボギーフレームとの前後方向の相対位置が相違する複数の所定位置のそれぞれにおいて、前記左右のメインビームと前記左右のボギービームとを解除可能に連結する連結機構と、を備えたセミトレーラの車体構造であって、
車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在に前記メインフレームの後端部に支持され、前記左右のボギービームの上面に上方から当接する左右1対の後側ガイドローラを、前記左右のメインビームの車幅方向外側にそれぞれ設け、
車幅方向に沿った回転軸を中心として回転自在に前記ボギーフレームの前端部に支持され、前記左右のメインビームの下面に下方から当接する左右1対の前側ガイドローラを、前記左右のボギービームの車幅方向内側にそれぞれ設け、
前記ボギービームは、前記後側ガイドローラ及び前記前側ガイドローラを介して、前記メインビームを前後方向にスライド移動可能に下方から支持する
ことを特徴とするセミトレーラの車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載のセミトレーラの車体構造であって、
前記左右のボギービームの車幅方向内側の側部に、前後方向に延びる左右1対のガイドレールをそれぞれ固定し、
前記左右のメインビームに、前記左右のガイドレールの下方近傍で前後方向に延びる左右1対の上移動規制面をそれぞれ設け、
前記ボギーフレームに対する前記メインフレームの上方への移動は、前記上移動規制面が前記ガイドレールに下方から当接することによって規制される
ことを特徴とするセミトレーラの車体構造。
【請求項3】
請求項2に記載のセミトレーラの車体構造であって、
前記左右のメインビームの車幅方向外側の側部に、前記ガイドレールの車幅方向内側の近傍で前後方向に延びる横移動規制面をそれぞれ設け、
前記ボギーフレームに対する前記メインフレームの車幅方向の移動は、前記横移動規制面が前記ガイドレールに車幅方向内側から当接することによって規制される
ことを特徴とするセミトレーラの車体構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のセミトレーラの車体構造であって、
前記連結機構は、
ロック位置とこのロック位置よりも車幅方向内側のロック解除位置との間をスライド移動可能に前記ボギーフレームに支持される左右1対のロックピンと、
前記複数の所定位置に対応して前記左右のメインビームにそれぞれ形成され、前記複数の所定位置うちの任意の1つの所定位置において前記ロック解除位置から前記ロック位置へ移動した前記ロックピンと係合する複数対のピン挿入孔と、
前記左右のロックピンを前記ロック位置へ付勢する左右の付勢手段と、
前記ボギーフレームに支持され、前記左右のロックピンを前記付勢手段の付勢力に抗して前記ロック解除位置へ移動させるピン駆動手段と、を有する
ことを特徴とするセミトレーラの車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−95206(P2013−95206A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238052(P2011−238052)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000229900)日本フルハーフ株式会社 (93)
【Fターム(参考)】