説明

セメントアスファルトモルタル用急硬材及びそれを用いたセメントアスファルトモルタル

【課題】 より短時間強度発現性に優れ、施工時の気温の影響や、可使時間を長く確保するため凝結調整剤が過添加になるなどの影響による短時間強度発現性の低下を抑止する、鉄道の軌道用充填材に用いる本急硬材及びそれを用いたセメントアスファルトモルタルを提供する。
【解決手段】 カルシウムアルミネートと、硫酸カルシウムと、カルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤とを含有してなる本急硬材、セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、発泡剤、及び水を含有してなるA液と、本急硬材、凝結調整剤、及び水を含有してなるB液とからなり、A液中のセメント100部に対して、B液中の本急硬材が10〜50部であるセメントアスファルトモルタル、並びに、該セメントアスファルトモルタルからなる鉄道の軌道用充填材を構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントアスファルトモルタル用急硬材及びそれを用いたセメントアスファルトモルタルに関し、特に、鉄道の軌道用充填材に用いるセメントアスファルトモルタル用急硬材及びそれを用いたセメントアスファルトモルタルに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の軌道には、レール、枕木、及びバラストの三要素からなるバラスト道床軌道があり、このバラスト道床軌道では、バラスト敷設後に突き固め、狂いの整正、及びバラストの交換等、その保守作業に多大な労力を必要とし、また、人手不足、作業者の高齢化、及び賃金の高騰等の問題に対処するために各種の省力化軌道が検討され、種々の充填材が使用されるようになってきた。
【0003】
その代表例として、営業線用省力化軌道には、舗装軌道や填充道床軌道があり、それぞれの軌道構造に適する性能をもった充填材が使用されている。それらは、いずれも営業線の短い線路閉鎖時間内でバラスト内に注入し、列車荷重に耐える強度を速く発現させるために、急硬性セメント瀝青グラウト材を使用することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この急硬性セメントアスファルトモルタルは、施工時の気温の影響や、可使時間を長く確保するために凝結調整剤が過添加になるなどの影響により、短時間での強度発現性が悪くなる場合があり、より短時間強度発現性に優れたセメントアスファルトモルタルの開発が強く求められている。
【0005】
【特許文献1】特開平07−069698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者は、前記課題を解決すべく、種々の努力を重ねた結果、特定の急硬材を用いることにより、より短時間強度の発現性に優れる急硬性セメントアスファルトモルタルが得られることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カルシウムアルミネートと、硫酸カルシウムと、カルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤とを含有してなるセメントアスファルトモルタル用急硬材であり、セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、及び発泡剤と、該セメントアスファルトモルタル用急硬材と、凝結調整剤とを含有してなるセメントアスファルト組成物であり、セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、発泡剤、及び水を含有してなるセメントアスファルトモルタルと、該セメントアスファルトモルタル用急硬材、凝結調整剤、及び水を含有してなる急硬材スラリーとからなり、該セメントアスファルトモルタル中のセメント100部に対して、該急硬材スラリー中の該セメントアスファルトモルタル用急硬材が10〜50部である該急硬性セメントアスファルトモルタルであり、該急硬性セメントアスファルトモルタルからなる鉄道の軌道用充填材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、特定の急硬材を用いることにより、より短時間強度発現性に優れ、施工時の気温の影響や、可使時間を長く確保するため凝結調整剤が過添加になるなどの影響による短時間強度発現性の低下を抑止するなどの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、詳しく本発明を説明する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0010】
本発明の急硬性セメントアスファルトモルタル(以下、急硬CAモルタルという)とは、セメントアスファルトモルタルと急硬材スラリーを特定の割合で配合したモルタルである。
【0011】
セメントアスファルトモルタル(以下、A液という)としては、セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、発泡剤、及び水を配合したものが用いられる。
【0012】
本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水道汚泥焼却灰等を原料として製造された廃棄物利用セメント(エコセメント)、並びに、石灰石微粉末や高炉水砕スラグ微粉末等を混合した各種フィラーセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
本発明において、セメントは、3CaO・SiO2含有量が60%以上のものを使用することが、急硬CAモルタルの強度発現性の面から好ましい。
【0013】
本発明では、急硬CAモルタルに、粘弾性を付与させ、列車荷重の振動等に耐える目的でアスファルト乳剤を使用する。
アスファルト乳剤とは、天然に得られる又は石油の蒸留残渣として得られる瀝青物を主成分とするアスファルトの微粒子を、水中に分散させて得られるコロイド液体のことであり、本発明では、瀝青物、例えば、針入度40/60〜200/500程度のストレートアスファルトを主材とし、これに界面活性剤と多価金属塩とを加え、さらに、必要に応じて乳化助剤、分散剤、及び保護コロイドなどを適宜使用して水中に乳化させたものである。
また、本発明では、瀝青物に、ゴムや合成高分子重合体等を添加・混合して、改質した瀝青物を乳化したものを使用することも可能である。
アスファルト乳剤中の瀝青物含有量は、40〜70%が好ましく、55〜65%がより好ましい。40%未満では急硬CAモルタルに粘弾性を与える効果が得られない場合があり、70%を超えると強度の発現が低下する場合がある。
アスファルト乳剤の使用量は用途によって適宜選択することが可能であるが、通常、セメント100部に対して、5〜300部が好ましい。5部未満では急硬CAモルタルに粘弾性を与える効果が得られない場合があり、300部を超えると強度の発現が低下する場合がある。
【0014】
高分子系乳剤としては、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)などのゴムラテックス、合成高分子重合体エマルジョン、合成樹脂エマルジョン、及び水溶性高分子重合体等が使用可能であり、これらのうち、セメント、セメントアスファルトモルタル用急硬材、及びアスファルト乳剤等との混合性に優れるSBR系ゴムラテックスが好ましい。
高分子系乳剤の使用量は用途によって適宜選択することが可能であるが、通常、セメント100部に対して、5〜60部が好ましい。5部未満では脆性や耐候性等を与える効果が得られない場合があり、60部を超えると強度の発現が低下する場合がある。
【0015】
細骨材としては、天然砂や珪砂等が使用可能である。
細骨材の使用量は、セメント100部に対して、30〜300部が好ましく、60〜200部がより好ましい。30部未満では急硬CAモルタルの体積変化が大きく、ひび割れなどが発生する場合があり、300部を超えると細骨材が沈降したり、強度発現が低下する場合がある。
【0016】
凝結調整剤としては特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウムなどの塩等の有機酸類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩が挙げられ、本発明では、充分な作業時間と短時間強度発現性の双方を満足する面から、有機酸類とアルカリ炭酸塩の併用が好ましい。
凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメント100部に対して、0.1〜10部が好ましく、0.5〜5部がより好ましい。0.1部未満ではA液の作業時間確保が困難となる場合があり、10部を超えると凝結遅延効果が大き過ぎ短時間強度発現性が悪くなる場合がある。
【0017】
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤の他、アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アミン系消泡剤、アミド系消泡剤、エーテル系消泡剤、及び金属石鹸等が使用可能である。これらの消泡剤は、セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、発泡剤、及び水の各材料を混練するときに、不必要な抱き込み気泡の混入を減少させる効果がある。
消泡剤の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、0.05〜10部が好ましい。0.05部未満では抱き込み気泡の混入を減少させる効果が得られない場合があり、10部を超えても抱き込み気泡の混入を減少させる効果は向上せず、逆に、急硬CAモルタルの強度発現性に悪影響をおよぼす場合がある。
【0018】
発泡剤としては、例えば、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末、又は亜鉛粉末等がある。また、これらをステアリン酸等の有機酸で処理したものも使用可能である。
発泡剤の使用量は、セメント100部に対して、0.001〜0.1部が好ましく、0.005〜0.05部がより好ましい。0.001部未満ではA液がまだ固まらない状態で沈下や収縮するのを抑止する効果が得られない場合があり、0.1部を超えると発泡による膨張が過剰となり、強度の発現が低下する場合がある。
【0019】
A液中の水の使用量は、セメント100部に対して、1〜100部が好ましく、10〜50部がより好ましい。1部未満では急硬CAモルタルの充填性が悪い場合があり、100部を超えると細骨材が沈降したり強度発現が低下する場合がある。
【0020】
本発明のセメントアスファルトモルタル用急硬材(以下、本急硬材という)は、カルシウムアルミネートと、硫酸カルシウムと、カルシウム以外の金属の硫酸塩とからなる硬化促進剤とを含有してなるものである。
【0021】
ここで、カルシウムアルミネートとは、CaO原料とAl2O3原料を電気炉等によって溶融等、熱処理して得られたものが用いられる。
カルシウムアルミネート中のCaO含有量は、20〜70%が好ましく、35〜65%がより好ましい。20%未満では短時間強度が不足する場合があり、70%を超えると凝結時間のコントロールが困難となる場合がある。
カルシウムアルミネートは、結晶質、非晶質いずれも使用可能であるが、非晶質のものが好ましい。
カルシウムアルミネート中にSiO2やMgOなどの成分を含有していても良い。
カルシウムアルミネートの粉末度は、強度発現性を考慮して、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で2,000cm2/g以上が好ましく、4,000〜8,000cm2/gがより好ましい。さらに微粉でも使用可能である。
【0022】
硫酸カルシウムとしては特に限定されるものではないが、強度発現性の面から、通常、無水石膏が好ましい。
硫酸カルシウムの使用量は、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部中、10〜80部が好ましく、30〜70部がより好ましい。10部未満では長期強度の発現性が悪くなる場合があり、80部を超えると膨張量が大きくなり過ぎて膨張破壊を起こす場合がある。
【0023】
本急硬材には、短時間強度発現性を向上させるためにカルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤を配合する。
カルシウム以外の金属の硫酸塩とは、アルカリ金属、カルシウム以外のアルカリ土類金属、及びアルミニウム、又は、その復塩の硫酸塩を総称するものである。これらの中ではナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、及びアルミニウムの硫酸塩が、短時間強度発現性の面から好ましく、中でも、カリウムを含有する硫酸塩が最も好ましい。その具体例としては、硫酸カリウムやミョウバン類が挙げられる。
硬化促進剤の使用量は、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して、0.5〜10部が好ましく、1〜5部がより好ましい。0.5部未満では短時間強度発現性を向上できない場合があり、10部を超えると凝結調整剤を用いても作業時間の確保が困難となる場合がある。
【0024】
本発明では更に短時間強度発現性を向上させるために、本急硬材中に、アルカリ炭酸塩を配合することも可能である。
【0025】
ここで、アルカリ炭酸塩とは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらの中では、炭酸カリウムが短時間強度発現性の面から最も好ましい。
アルカリ炭酸塩の使用量は、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して、0.5〜10部が好ましく、1〜5部がより好ましい。0.5部未満では短時間強度発現性が向上できない場合があり、10部を超えると凝結調整剤を用いても作業時間の確保が困難となる場合がある。
【0026】
本発明では、本急硬材、凝結調整剤、及び水を混合して急硬材スラリー(以下、B液という)とする。
【0027】
凝結調整剤としては、A液に含有するものが使用可能である。
凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、本急硬材100部に対して、0.1〜10部が好ましく、0.5〜5部がより好ましい。0.1部未満ではB液単独の硬化時間が短くなるため作業効率が悪くなる場合があり、10部を超えると凝結遅延効果が大き過ぎ急硬CAモルタルの短時間強度発現性が悪くなる場合がある。
【0028】
B液中の水の使用量は、本急硬材100部に対して、30〜200部が好ましく、50〜100部がより好ましい。30部未満ではB液の作業性が悪い場合があり、200部を超えるとA液の細骨材が沈降したり強度発現が低下する場合がある。
【0029】
本発明では、B液に、さらに、アスファルト乳剤を混合することも可能である。B液に混合するアスファルト乳剤は、セメントと混合するものと同じものが使用可能である。
【0030】
調製したA液、B液はミキサで混合し、ポンプで圧送注入を行う。
A液やB液の調製方法は特に限定でれるものではないが、例えば、A液は、まず、水、消泡剤、及び凝結調整剤を混ぜ、それにアスファルト乳剤を加え、次に、セメントを、最後に砂と発泡剤を加えてミキサで混合して調製する。また、B液は、例えば、まず、水と凝結調整剤を混ぜ、それに本急硬材を加えてミキサで混合する。このようにして調製したA液とB液は、いずれもポンプでの圧送に必要な流動性と可使時間を持つ流体となる。
【0031】
調製したA液とB液は、圧送ポンプにて各々圧送され、バラスト内に注入される直前に混合する。
A液とB液の配合割合は、A液中のセメント100部に対して、B液中の本急硬材が10〜50部となるようにすることが好ましく、20〜40部となるようにすることがより好ましい。10部未満ではA液の施工後の短時間強度が悪い場合があり、50部を超えると異常膨張が発生する場合がある。注入は、通常、バラスト内に流し込むことにより注入される。
【0032】
本発明のA液には、必要に応じて、市販の減水剤を使用することも可能である。
【実施例】
【0033】
実験例1
セメント100部、アスファルト乳剤150部、高分子系乳剤30部、細骨材130部、凝結調整剤1部、消泡剤0.3部、発泡剤0.015部、及び水25部を混合し、A液を調製した。
一方、表1に示すカルシウムアルミネートと硫酸カルシウム、並びに、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して、硬化促進剤3部を配合し本急硬材を調製し、本急硬材100部に対して、凝結調整剤1部と水70部を配合してB液を調製した。
調製したA液とB液とを、A液中のセメント100部に対して、B液中の本急硬材が30部となるように混合し、急硬CAモルタルとし、その流動性、可使時間、圧縮強度、及び初期膨張率を測定した。結果を表1に併記する。
【0034】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製
アスファルト乳剤:B乳剤、東亜道路工業社製
高分子系乳剤:SBR系ラテックス、東亜道路工業社製
細骨材 :珪砂8号、東北硅砂社製
凝結調整剤:クエン酸と炭酸カリウムの質量比1:3、試薬1級
消泡剤 :シリコーン系消泡剤、市販品
発泡剤 :アルミニウム粉末、市販品
カルシウムアルミネート:非晶質、主成分12CaO・7Al2O3、ブレーン値6,300cm2/g
硫酸カルシウム:無水石膏、ブレーン値6,000cm2/g、市販品
硬化促進剤:硫酸アルミニウムカリウム、試薬1級
【0035】
<測定方法>
流動性 :JSCEに準じて、J10ロート流下値
可使時間 :J10ロート流下値が12秒を超え、充分な流し込みができなくなった時点
圧縮強度 :モルタルを型枠に詰めて4×4×16cmの供試体を作成し、材齢1時間、1日、及び28日の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定
初期膨張率:材齢1日の膨張率を土木学会「コンクリート標準示方書[規準編]PCグラウトの膨張率試験方法」に従い測定、表中の−は収縮側、+は膨張側を示す
【0036】
【表1】

【0037】
実験例2
カルシウムアルミネート50部、硫酸カルシウム50部、並びに、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して、表2に示す硬化促進剤とアルカリ炭酸塩を配合して本急硬材を調製し、本急硬材100部に対して、凝結調整剤1部と水70部を配合してB液を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0038】
<使用材料>
アルカリ炭酸塩:炭酸カリウム、試薬1級
【0039】
【表2】

【0040】
実験例3
セメント100部、アスファルト乳剤150部、高分子系乳剤30部、細骨材130部、消泡剤0.3部、発泡剤0.015部、及び水25部と表3に示す凝結調整剤を混合してA液を調製し、カルシウムアルミネート50部、硫酸カルシウム50部、並びに、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して表3に示す硬化促進剤を配合して本急硬材を調製し、本急硬材100部に対して、凝結調整剤1部と水70部を配合してB液を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0041】
【表3】

【0042】
実験例4
セメント100部、アスファルト乳剤150部、高分子系乳剤30部、細骨材130部、凝結調整剤1部、消泡剤0.3部、発泡剤0.015部、及び水25部を混合してA液を調製し、カルシウムアルミネート50部、硫酸カルシウム50部、並びに、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの合計100部に対して硬化促進剤3部を配合して本急硬材を調製し、本急硬材100部に対して、凝結調整剤1部と水70部を配合してB液を調製し、A液中のセメントとB液中の本急硬材の割合を表4に示すようにしたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0043】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の急硬材は、セメントアスファルトモルタルに用いると、より短時間強度発現性に優れ、施工時の気温の影響や、可使時間を長く確保するため凝結調整剤が過添加になるなどの影響による短時間強度発現性の低下を抑止するなどの効果があるセメントアスファルトモルタルとなり、バラスト道床軌道の省力化軌道用の充填材等に適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムアルミネートと、硫酸カルシウムと、カルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤とを含有してなるセメントアスファルトモルタル用急硬材。
【請求項2】
セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、及び発泡剤と、カルシウムアルミネート、硫酸カルシウム、及びカルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤を含有してなるセメントアスファルトモルタル用急硬材と、凝結調整剤とを含有してなるセメントアスファルト組成物。
【請求項3】
セメント、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、発泡剤、及び水を含有してなるセメントアスファルトモルタルと、カルシウムアルミネート、硫酸カルシウム、及びカルシウム以外の金属の硫酸塩からなる硬化促進剤を含有してなるセメントアスファルトモルタル用急硬材、凝結調整剤、並びに、水を含有してなる急硬材スラリーとからなり、該セメントアスファルトモルタル中のセメント100部に対して、該急硬材スラリー中の該セメントアスファルトモルタル用急硬材が10〜50部である急硬性セメントアスファルトモルタル。
【請求項4】
請求項3に記載の急硬性セメントアスファルトモルタルからなる鉄道の軌道用充填材。

【公開番号】特開2007−119317(P2007−119317A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315636(P2005−315636)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】