説明

セメント組成物、空洞充填材、及びその使用方法

【課題】 有効に産業廃棄物を利用することができ、急激な粘度上昇を示し、強度の発現性に優れる、水中不分離性があるなどの効果を奏する、セメント組成物、空洞充填材、及びその使用方法を提供すること。
【解決手段】 セメント、本スラグ、及び可塑剤を含有してなるセメント組成物、本スラグが、セメント100部に対して、25部以上である該セメント組成物、可塑剤がアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンである該セメント組成物、硬化促進剤を含有してなる該セメント組成物、該セメント組成物を含有してなる空洞充填材、並びに、セメント、本スラグ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、可塑剤と水とを混合してB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合する空洞充填材の使用方法を構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木・建築分野で使用するセメント組成物、空洞充填材、及びその使用方法に関し、特に、地山の空洞や空隙部分の裏込め材において、セメント組成物を使用したセメントミルク、モルタル、又はコンクリートの粘度を急激に上昇させる必要がある用途に使用するセメント組成物、空洞充填材、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの覆工において、施工時や施工後に、覆工コンクリート背面に空洞が発生する場合がある。
この空洞をそのまま放置すると、(1) 空洞部への地山の崩落に伴い地表面が沈下する、(2) 地山崩落が激しい場合には、覆工コンクリートの変形や破壊、特に、トンネルの崩落が発生する、(3) 空洞への地下水の流入により覆工コンクリートが劣化する、及び(4) それに伴う劣化コンクリート片の走行車線への落下やクラック部からの漏水により冬季走行車線が凍結するなどの課題があった。
【0003】
近年、施工件数が増加しているトンネル補修工事の中に、覆工コンクリート背面の空洞に注入材を充填する裏込め注入工法がある。
裏込め注入工法は、この空洞部へ注入材を充填し、トンネルの安定化を図るもので、ここで、使用される注入材を裏込め材という。
従来、この裏込め材として、通常、セメント−ベントナイトが用いられてきたが、流動性が大きすぎ、裏込め材が遠方まで不必要に逸流したり、湧水があると裏込め材が流出したり、希釈され、物性が低下したりするなどの課題があった。
【0004】
そこで、セメントとベントナイトの主材に、高吸水性樹脂を添加してその粘度を大きくする方法や水ガラスを添加して硬化促進する方法が提案された(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、いずれの方法も、粘度が上昇するまでに時間がかかるうえ、高吸水性樹脂を添加する方法は高吸水性樹脂自体が高価であり、また、初めから注入材に投入し混練すると、主材の粘度が高く、圧送距離を短くせざるを得ず、施工が限定されるという課題があり、一方、水ガラスを添加する方法は、水ガラスのpH値が13以上と強アルカリであるため、作業が相当制限される、硬化体からの溶出水が環境に負荷を与える、及び硬化体の長期強度が低下するなどの課題があった。
【0005】
また、最近では裏込め材の持つ課題を解決する方法として、セメント−ベントナイトやセメント−石炭灰(フライアッシュ)の主材に、可塑化材としてポリマーを添加することにより瞬時に可塑化して、水中不分離性や安全性を改善したものが提案されている(特許文献1、特許文献3、及び特許文献4参照)。]
【0006】
一方、石炭ガス化複合発電において発生する副産物として石炭ガス化スラグがあり、セメント組成物への応用が提案されている(特許文献5〜特許文献8)。
しかしながら、未だに石炭ガス化スラグの利用方法の確立はなされていないのが実状である。
【0007】
【特許文献1】特開平10−237446号公報
【特許文献2】特開平11−061123号公報
【特許文献3】特開平10−238289号公報
【特許文献4】特開2000−280231号公報
【特許文献5】特開平11−139860号公報
【特許文献6】特開平12−302517号公報
【特許文献7】特開平14−121064号公報
【特許文献8】特開平14−154862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、種々検討を重ねた結果、特定のセメント組成物を用いることにより、急激な粘度上昇を示す、強度の発現性に優れる、水中不分離性がある、pH値が水ガラスを用いた場合に比べ低くできるなどの知見を得て本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、セメント、石炭ガス化スラグ、及び可塑剤を含有してなるセメント組成物であり、石炭ガス化スラグが、セメント100部に対して、25部以上である該セメント組成物であり、可塑剤がアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンである該セメント組成物であり、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるポリマーエマルジョンである該セメント組成物であり、硬化促進剤を含有してなる該セメント組成物であり、該セメント組成物を含有してなる空洞充填材であり、セメント、石炭ガス化スラグ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、可塑剤と水とを混合してB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合する空洞充填材の使用方法である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明でいう部や%は特に規定のない限り質量基準である。
【0011】
本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、通常のセメントが使用可能であり、具体的には、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末を混合したフィラーセメント、廃棄物利用型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が併用可能である。
【0012】
本発明で使用する石炭ガス化スラグ(以下、本スラグという)とは、石炭ガス化複合発電において、石炭ガス化炉から発生する副産物であり、ガラス質である。
本スラグの化学成分の平均的な値は、SiO2 65〜75%、Fe2O3 1〜4%、Al2O3 10〜17%、CaO 8〜12%、MgO 0.1〜1%、Na2O 0.1〜1%、K2O 0.1〜1%、及びSO3 0.2%以下である。
また、本スラグの粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で2,000〜9,000cm2/gが好ましく、3,000〜8,000cm2/gがより好ましい。2,000cm2/g未満では強度発現性が十分でなく、9,000cm2/gを超えるように粉砕することは不経済である。
本スラグの使用量は、本スラグの種類や品質により変わるため一義的に規定することはできないが、一般的には、セメント100部に対して、25〜300部が好ましく、50〜200部がより好ましい。25部未満では粘度が上昇せず、フローが大きくなり、水中不分離性が悪くなる場合があり、300部を超えると強度発現が悪くなる場合がある。
【0013】
本発明で使用する可塑剤とは、セメントを主材とした流動性の懸濁液を可塑状固結に変質させる材料であり、具体的には、水ガラス、アルミニウム塩、粘土鉱物、高吸水性ポリマー、及びアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンなどが挙げられ、そのうち、速効性、経済性、及び安全性の面から、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが好ましい。
【0014】
本発明で使用するアルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(以下、本エマルジョンという)とは、アルカリにより増粘するポリマーエマルジョンをいう。
【0015】
本エマルジョンとしては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合物等、種々挙げられるが、より優れた効果を示す面で、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるポリマーエマルジョンが好ましい。
不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の方法により、共重合する方法等が挙げられる。
【0016】
不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、アコニット酸、及びクロトン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸や無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、並びに、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、及びマレイン酸モノエチルなどの不飽和カルボン半エステルが挙げられ、これらの中では、より優れた効果を示す面で、不飽和カルボン酸が好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸がより好ましい。
【0017】
エチレン性不飽和化合物としては、エチレン、アクリルニトリルやメタクリロニチリルなどのシアノビニルモノマー、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びブチルアクリレートなどのアクリル酸エステルモノマー、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びグリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルモノマー、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、及びネオデカン酸ビニルエステルなどのC3〜18脂肪族カルボン酸ビニルエステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、及びフェニルビニルエーテルなどのビニルエーテルモノマー、並びに、アリルメタクリレートなどの多官能性ビニルモノマーなどが挙げられ、そのうち、より優れた効果を示す面で、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーが好ましい。
【0018】
本エマルジョンの不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合比は、より優れた効果を示す面で、不飽和カルボン酸類:エチレン性不飽和化合物=20:1〜1:20が好ましく、5:1〜1:5がより好ましい。この範囲外では良好なアルカリ増粘性が得られない場合がある。
【0019】
本エマルジョンの使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で0.1〜2部が好ましく、0.2〜1部がより好ましい。0.1部未満では増粘効果が少なくなり、フローが大きくなり、水中不分離性が悪くなる場合があり、2部を超えると初期強度発現性が悪くなる場合がある。
【0020】
本発明では、強度発現性や材料の分離抵抗性の面から、例えば、アルミン酸塩と硫酸塩を含有する硬化促進剤を併用することは好ましい。
【0021】
ここで、アルミン酸塩としては、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸カルシウムなどが挙げられ、強度発現性の面でアルミン酸カルシウムが好ましい。
【0022】
アルミン酸カルシウムとは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAl2O3の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した物質、あるいは、CaOとAl2O3とを主成分とするものに、これらが固溶した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであってもよい。
これらの中では、反応活性の面で、非晶質のアルミン酸カルシウムが好ましく、12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のアルミン酸カルシウムがより好ましい。
アルミン酸カルシウムの粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明では、本発明の目的を阻害しない範囲でClやFなどのハロゲン類等を含有していても差し支えない。
なお、本発明において、アルミン酸カルシウムは硫酸塩と併用せず、単独でも本エマルジョンの可塑化助剤として使用することが可能である。
【0023】
硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、カリウム明礬、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、及び硫酸鉄等が挙げられ、強度発現性の面で、硫酸カルシウム及び/又は硫酸アルミニウムが好ましい。
硫酸カルシウムとしては、無水石膏、半水石膏、又は二水石膏等が挙げられ、これらの中では、強度発現性の面で、無水石膏が好ましい。
硫酸塩の粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が低下する場合がある。
【0024】
アルミン酸塩と硫酸塩の配合割合は、アルミン酸塩100部に対して、硫酸塩20〜500部が好ましく、50〜150部がより好ましい。20部未満では強度発現性が小さくなる場合があり、500部を超えるとフローが大きくなり、また、水中不分離性が悪くなり、さらに、長期強度発現性が小さくなる場合がある。
【0025】
硬化促進剤の使用量は、セメント100部に対して、1〜30部が好ましく、2〜20部がより好ましい。1部未満ではフローが大きくなる場合があり、水中不分離性が悪くなる場合があり、強度発現性が小さくなる場合があり、30部を超えると長期強度が小さくなる場合がある。
【0026】
本発明のセメント組成物に、砂や砂利等の骨材、減水剤、及び防凍剤等を併用することも可能である。
【0027】
本発明でセメントと混合する水の量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、100〜250部が好ましく、150〜200部がより好ましい。100部未満では空洞充填材の混練が困難になる場合があり、250部を超えるとフローが大きくなり、水中不分離性が悪くなる場合がある。
【0028】
本発明の空洞充填材は、セメント、本スラグ、及び本エマルジョンを混合して得られる。
空洞充填材の混合方法は特に規定されるものではないが、セメントと本スラグをあらかじめ水と混合したセメント−本スラグ液をA液とし、本エマルジョンと水とを混合してなる本エマルジョン液をB液とし、使用直前にA液とB液とを混合することにより粘度を急激に上昇させる方法が好ましい。
なお、本エマルジョンをあらかじめ水と混合して溶液又は懸濁液とすることは、混合性が良好となり、増粘性の面から好ましい。
【0029】
実際の使用にあたって本エマルジョンや硬化促進剤は、添加混合がしやすい面から、水と混合して使用することが好ましい。
その場合の水の使用量は特に限定されるものではないが、本エマルジョンの場合は、本エマルジョンの固形分の5〜20倍の水で希釈することが好ましく、硬化促進剤の場合は、その1〜3倍に希釈することが好ましい。水の量がこれより少ないと粘性が高くなり混合性が悪くなる場合があり、水の量が多くなると、その希釈水の希釈効果が多くなり、水中不分離性が悪くなる場合がある。
【0030】
空洞充填材の合流混合の方法としては、Y字管等の混合管を使用する方法、三重管を使用する方法、及び本エマルジョン液のB液と硬化促進剤液のC液を、それぞれシャワー状にセメント−本スラグ液のA液に合流混合させるためのインレットピースを使用する方法等が挙げられる。
また、空洞充填材をより均一に混合するため、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサをセットし、さらに空洞充填材を混合する方法も挙げられる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の空洞充填材及びその注入工法は、有効に産業廃棄物を利用することができ、急激な粘度上昇を示し、強度の発現性に優れる、水中不分離性があるなど、その性能も優れることがわかる。
【実施例1】
【0032】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
セメント100部に対して、表1に示す本スラグと水とをミキサーで混練してA剤を作製した。
次に、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部を混合してB剤とし、A剤に、B剤を投入し、5秒間混練し、混練物を調製した。
調製した混練物の、フロー、水中不分離性、及び圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
なお、比較のため、本スラグの代わりにベントナイトを用いて同様な実験を行った。結果を表1に併記する。
【0034】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
本スラグA:ブレーン値2,000cm2/g、強熱減量 50%、SiO2 36%、Fe2O3 1.5%、Al2O3 6%、CaO 1.5%、MgO 3%、Na2O 0.2%、K2O 0.5%、SO3 0.4%
本スラグB:本スラグA粉砕品、ブレーン値3,000cm2/g
本スラグC:本スラグA粉砕品、ブレーン値4,000cm2/g
本スラグD:本スラグA粉砕品、ブレーン値6,000cm2/g
本スラグE:本スラグA粉砕品、ブレーン値8,000cm2/g
本スラグF:本スラグA粉砕品、ブレーン値9,000cm2/g
エマルジョンα:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート/メタクリル酸=45/55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン
ベントナイト:市販品
【0035】
<測定方法>
フロー :内径80mm、高さ80mmのシリンダーに混練物を入れ、シリンダーを引き抜いた後の広がりを2分後に測定
水中不分離性:土木学会の水中不分離コンクリート設計施工指針付属書の水中分離度試験に準じて実施、水の濁りが全くない場合が優、水の濁りがわずかにある場合が良、水の濁りはあるが実用可能の場合が可、及び材料が分離し、水の濁りが大の場合が不可
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
【0036】
【表1】

【実施例2】
【0037】
セメント100部、表2に示す本スラグ200部、及び水150部をミキサーで混練してA剤を作製し、セメント100部に対して、固形分換算で表2に示す量のエマルジョンと、エマルジョンの10倍量の水とを混合してB剤としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
なお、比較のため、本エマルジョンの代わりに、アルカリ増粘性を有さない非本エマルジョンを用いて同様な実験を行った。結果を表2に併記する。
【0038】
<使用材料>
エマルジョンβ:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート/メタクリル酸=45/55のエチレン/酢酸ビニル共重合ポリマーエマルジョン70部と、エチレン/酢酸ビニル=18/82のエチルアクリレート/アクリル酸共重合ポリマーエマルジョン30部の混合物
エマルジョンγ:非本エマルジョン、固形分濃度30%、スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート=45/55のスチレン/2-エチルヘキシルアクリレート共重合ポリマーエマルジョン
【0039】
【表2】

【実施例3】
【0040】
セメント100部、本スラグC300部、及び水150部をミキサーで混練してA剤を作製し、セメント100部に対して、固形分換算で0.1部のエマルジョンαと、エマルジョンの10倍量の水とを混合してB剤とし、セメント100部に対して、表3に示す量の硬化促進剤と該硬化促進剤の10倍量の水とを混合してC剤とし、A剤、B剤、及びC剤を混練したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0041】
<使用材料>
硬化促進剤:12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質で、ブレーン値6,000cm2/gのアルミン酸カルシウム4部と、ブレーン値5,400cm2/gの無水石膏の1部の混合物
【0042】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、石炭ガス化スラグ、及び可塑剤を含有してなるセメント組成物。
【請求項2】
石炭ガス化スラグが、セメント100部に対して、25部以上であることを特徴とする請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
可塑剤がアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
【請求項4】
アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の共重合により得られるポリマーエマルジョンであることを特徴とする請求項3に記載のセメント組成物。
【請求項5】
さらに、硬化促進剤を含有してなる請求項1〜請求項4のうちの一項に記載のセメント組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちの一項に記載のセメント組成物を含有してなる空洞充填材。
【請求項7】
セメント、石炭ガス化スラグ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、可塑剤と水とを混合してB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合することを特徴とする請求項6に記載の空洞充填材の使用方法。

【公開番号】特開2006−143539(P2006−143539A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336998(P2004−336998)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】