説明

セラミック対向弾道パネル構造物

セラミック層と複数の繊維裏地層から作製される弾道抵抗性パネル。第1の繊維裏地層がセラミック層に隣接しており、第2の繊維裏地層が第1の繊維裏地層に隣接している。繊維裏地層のそれぞれが高テナシティ繊維のネットワークから作製され、裏地層のそれぞれの繊維が異なった組成を有する。第1の繊維層が第2の繊維層より高い剛性を有するのが好ましい。本発明のパネルは、実質的に同じ面密度を有する第1と第2の繊維裏地層における高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維の単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して、実質的に等価であるか、又はそれより高い弾道抵抗性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック対向層を含む防弾具に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプの防弾具構造物が提唱されており、さまざまな用途で使用されている。これらの用途としては、陸上車や飛行機用の装甲、防弾チョッキ、および静止物体などがある。公知の有用な防弾具構造物(例えば、陸上車や飛行機における)の1つのタイプにおいては、セラミックプレートが高テナシティ繊維の層に接着している。セラミックプレートは、構造物の外側に面するように設計されていて、弾道発射体に対する初期防護をもたらす一次層として作用する。これらの構造物はセラミック表面仕上げパネル(ceramic-faced panels)と呼ばれている。これらのパネルは一般に、発射体や発射体破片からの運動エネルギーを吸収および散逸させるのに効果的である。
【0003】
このような用途に有用な高テナシティ繊維としては、高分子量ポリエチレン繊維やアラミド繊維などがある。しかしながら高テナシティ繊維は、製造手順が複雑であるために、一般には製造しにくい。その結果、生産能力が制限されていて、通常は、特殊なニーズのときに生産能力を速やかに増大させることができない。例えば軍事用途に対するニーズが増大するときがあり、この場合、商業用途に対するニーズと対立し、こうしたニーズが満たされないことがある。
【0004】
その結果、あるタイプの高テナシティ繊維に欠点がある場合に、このタイプの高テナシティ繊維を単に他のタイプの高テナシティ繊維で置き換えても、特定の最終用途に対する性能要件を満たさないというときがある。さらに、このような置き換えは、特定の用途に対して承認されないことがある。
【0005】
さらに、重量を考慮する場合、通常は、厚めのセラミックプレートを高テナシティ繊維層に対する代替物として使用することは許容されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要な弾道学的要件に適合し、且つ、絶えず変化する顧客のニーズを満たすのにより適した構造を有する、セラミック表面仕上げの弾道抵抗性パネルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外側表面と内側表面とを有する、外側に面するセラミック層;第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、第1の繊維層の外側表面が、セラミック層の内側表面に隣接している;および、第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、第2の繊維層の外側表面が、第1の繊維層の内側表面に隣接している;を含み、第1のタイプの高テナシティ繊維が、第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有していて、第1の繊維層が第2の繊維層より高い剛性を有する、弾道抵抗性パネルを提供する。
【0008】
パネルが、第1または第2のタイプの高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維を含む単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して実質的に等価又はそれ以上の弾道抵抗性を有し、単一の繊維層が、第1の繊維層と第2の繊維層との合計面密度と実質的に同じ面密度を有するのが好ましい。
【0009】
本発明はさらに、外側表面と内側表面とを有する、外側に面しているセラミック層;アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、第1の繊維層の外側表面が、セラミック層の内側表面に隣接している;および、アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、第2の繊維層の外側表面が、第1の繊維層の内側表面に隣接している;を含み、第1のタイプの高テナシティ繊維が、第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有していて、第1の繊維層が、第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約5%高い曲げモジュラスを有する、弾道抵抗性パネルを提供する。
【0010】
本発明はさらに、 外側表面と内側表面とを有する、外側に面しているセラミック層、セラミック層は炭化ケイ素を含む;アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、第1の繊維層の外側表面は、セラミック層の内側表面に隣接している;および、アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、該第2の繊維層の外側表面は、第1の繊維層の内側表面に隣接している;を含み、第1と第2の繊維層のそれぞれが、繊維と樹脂マトリックスとの一方向に配向した不織ネットワークの形態をとっており、第1のタイプの高テナシティ繊維が、第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有しており、第1の繊維層が、第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約15%高い曲げモジュラスを有しており、これによってパネルが、第1または第2のタイプの高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維を含む単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して実質的に等価又はそれ以上の弾道抵抗性を有し、前記単一の繊維層が、第1の繊維層と前記第2の繊維層との合計面密度と実質的に同じ面密度を有する、弾道抵抗性パネルを提供する。
【0011】
本発明は、セラミックプレートに対する背面防護を可能にする種々の繊維の複数層を有する弾道抵抗性パネルを提供する。さらに、セラミック層に隣接した繊維層が、弾道による脅威に対して改善された抵抗性をもたらすためには、内側に面した繊維層より高い剛性を有していなければならない、ということが見出されている。予想外のことに、例えば、アラミド繊維の層を第1の繊維層として、そして高分子量ポリエチレン繊維の層を第2の繊維層として使用することによって、アラミド繊維単独で作製された裏地層(但し、同等の面密度を有する)に比べて弾道防護の増強が達成される、ということが見出された。
【0012】
異なったタイプの繊維を用いた複数の繊維裏地層を供給することにより、単一の繊維層の代わりに幾つかの繊維層を使用することができ、そしてこの幾つかの繊維層を使用することで少なくとも同じ程度の防護を得ることができる、という点において種々の弾道脅威に対する顧客の要求を非常に柔軟に満たすことを可能にする。このように、単一タイプの繊維材料の供給が制限されることにより弾道抵抗性パネルの利用可能性が害されることはない。このことはさらに、製造により大きな柔軟性をもたらし、コストの低減に役立つ。
【0013】
前述したように、本発明の弾道抵抗性パネルは、セラミック材料と高テナシティ繊維の複数の繊維層から作製される。セラミック材料は、モノリシック構造の形態をとっていても、あるいは幾つかの仕方で連結される(例えば、支持体層や繊維層に接着させる)より小さな個別セラミックタイルの形態をとっていてもよい。単一のセラミック層が好ましいけれども、本発明の構造物においては、最終用途や重量の観点に応じて、複数のセラミック層を使用することができる。弾道抵抗の用途に有用であるこのようなセラミック層は、当業界で公知である。
【0014】
本発明の弾道抵抗性パネルにおいて有用である代表的なセラミック材料としては、金属窒化物、非金属窒化物、金属ホウ化物、非金属ホウ化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属酸化物、非金属酸化物、およびこれらの混合物がある。特定の材料としては、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、二ホウ化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、およびこれらの混合物がある。好ましいセラミック材料は炭化ケイ素である。
【0015】
セラミック層は、補強されていなくても、あるいは例えば繊維材料を使用して補強されていてもよく、多くの供給業者から入手可能である。例えば、セラミック層は、ガラス繊維やグラファイト繊維などに接着させたり、あるいはガラス繊維やグラファイト繊維などで巻きつけたりすることができる。セラミック層は、所望の厚さであってよく、当然ながら、セラミック層の厚さを選定する上で重量が考慮されている。このような層は、例えば約0.7インチ〜約1インチ(1.78mm〜25.4mm)の厚さを有してよく、好ましい厚さは約0.1インチ〜約0.5インチ(2.54mm〜12.7mm)であり、さらに好ましい厚さは約0.1インチ〜約0.4インチ(2.54mm〜10.16mm)である。約0.145インチ(3.68mm)の厚さを有する炭化ケイ素のセラミック層は、一般には約2.50psf(12.2ksm)の面密度を有してよい。
【0016】
本発明の種々の層は、一般には長方形や正方形の形状であるが、他の形状も使用することができる(例えば湾曲した層)。セラミック層は、外側面と内側面を有する。
セラミック層の内側面に隣接しているのが第1の繊維層であり、第1の繊維層は、適切な接着手段によって接着されているのが好ましい。第1の繊維層はさらに、内側面と外側面を有していて、第1の繊維層の外側面がセラミック層の内側面に隣接している。第1の繊維層に隣接しているのが第2の繊維層である。第2の繊維層はさらに、内側面と外側面を有していて、第2の繊維層の外側面が第1の繊維層の内側面に隣接している。第1と第2の繊維層は、互いに接着されているのが好ましい。
【0017】
第1と第2の繊維層の両方が高テナシティ繊維を含んでいる。本明細書で使用している“高テナシティ繊維”という用語は、約7g/d以上のテナシティを有する繊維を意味している。これらの繊維は、少なくとも約150g/dの初期引張モジュラスと少なくとも約8J/gの破断エネルギー(energies−to−break)(ASTM D2256に従って測定)を有するのが好ましい。本明細書で使用している“初期引張モジュラス”、“引張モジュラス”、および“モジュラス”という用語は、ヤーンに関してはASTM D2256によって、そしてエラストマー材料すなわちマトリックス材料に関してはASTM D638によって測定された弾性率を意味している。
【0018】
高テナシティ繊維は、約10g/d以上のテナシティを有するのが好ましく、約16g/d以上のテナシティを有するのがさらに好ましく、約22g/d以上のテナシティを有するのがさらに好ましく、そして約28g/d以上のテナシティを有するのが最も好ましい。
【0019】
本発明の目的に適うよう、繊維は細長い物体であり、その長さ寸法は、幅や厚さの横断寸法よりはるかに大きい。従って、“繊維”という用語は、モノフィラメント、マルチフィラメント、リボン、ストリップ、ステープル、および規則的もしくは不規則な断面を有するチョップト繊維、カット繊維、または不連続繊維という他の形態の繊維を含む。“繊維”という用語は、前記繊維のいずれかの複数繊維またはこれらの組み合わせ物を含む。ヤーンは、多くの繊維もしくはフィラメントで構成される連続ストランドである。
【0020】
本発明において有用な繊維の断面は、幅広く変動してよい。繊維の断面は、円形であっても、フラットであっても、あるいは長方形であってもよい。断面はさらに、繊維の直線軸もしくは長手方向軸から突き出た1つ以上の規則的もしくは不規則なローブを有する規則的または不規則なマルチローブ断面であってもよい。繊維は、実質的に円形、フラット、もしくは長方形の断面を有するのが好ましく、実質的に円形の断面を有するのが最も好ましい。
【0021】
第1と第2の繊維層のそれぞれが繊維のネットワークを含む。繊維は、織布の形態であっても、編物の形態であっても、あるいは不織布の形態であってもよい。布帛中の繊維の少なくとも50重量%が高テナシティ繊維であるのが好ましく、布帛中の繊維の少なくとも75重量%が高テナシティ繊維であるのがさらに好ましく、布帛中の繊維の実質的に全てが高テナシティ繊維であるのが最も好ましい。
【0022】
本発明において使用されるヤーンと布帛は、1種以上の異なった高強度繊維で構成されていてよい。ヤーンは、本質的に平行の配列であってもよいし、あるいはヤーンは、ねじれていても、部分的に重なっていても、または絡み合っていてもよい。本発明において使用される布帛は、異なった繊維を有するヤーンを使用して、縦方向と横方向に織ってもよいし、あるいは他の方向に織ってもよい。
【0023】
本発明のヤーンと布帛のために有用な高テナシティ繊維としては、高配向高分子量ポリオレフィン繊維、特に高いモジュラスのポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール(PBO)やポリベンゾチアゾール(PBT)等のポリベンザゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、液晶コポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維や他の鉱物繊維、剛性ロッドポリマー繊維(rigid rod polymer fiber)、およびこれらの混合物やブレンドがある。本発明において有用な好ましい高強度繊維としては、ポリオレフィン繊維とアラミド繊維がある。最も好ましいのは、高分子量ポリエチレン繊維とアラミド繊維である。
【0024】
米国特許第4,457,985号は、このような高分子量ポリエチレン繊維と高分子量ポリプロピレン繊維について一般的に説明しており、本発明と矛盾しない程度に、該特許の開示内容を参照により本明細書に援用する。ポリエチレンの場合、好適な繊維は、少なくとも約150,000の重量平均分子量を有するポリエチレン繊維であり、好ましくは少なくとも約100万の重量平均分子量を有するポリエチレン繊維であり、さらに好ましくは約200万〜約500万の重量平均分子量を有するポリエチレン繊維である。このような高分子量ポリエチレン繊維は、溶液中にて紡糸することもできるし(米国特許第4,137,394号と第4,356,138号を参照)、または溶液からフィラメント紡糸してゲル構造物を作製することもできるし(米国特許第4,413,110号、German Off.第3,004,699号、および英国特許第2051667号を参照)、あるいはポリエチレン繊維は、圧延・延伸プロセスによって製造することもできる(米国特許第5,702,657号を参照)。本明細書で使用している“ポリエチレン”という用語は、主鎖の炭素原子100個当たり5個の変性構造単位(modifying units)未満の少量の分岐もしくはコモノマーを含有し、そしてさらに、約50重量%以下の1種以上の高分子添加剤[例えば、アルケン−1−ポリマー(特に、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、モノオレフィンを一次モノマーとして含有するコポリマー、酸化ポリオレフィン、グラフトポリオレフィンコポリマー、およびポリオキシメチレン]とポリエチレンとの混合物、あるいは約50重量%以下の1種以上の低分子量添加剤(例えば、酸化防止剤、滑剤、紫外線スクリーニング剤、着色剤、および一般的に組み込まれる同類の物質)とポリエチレンとの混合物を含有する、主として線状のポリエチレン材料を意味している。
【0025】
高テナシティポリエチレン繊維(高分子量ポリエチレン繊維または伸び切り鎖ポリエチレン繊維とも呼ばれる)が、本発明の繊維層のために有用な繊維の1種として好ましい。このような繊維は、米国ニュージャージー州モリスタウンのハネウェル・インターナショナル社からスペクトラ(SPECTRA)(登録商標)の商品名で市販されている。
【0026】
作製方法、延伸比と延伸温度、および他の条件に応じて、これらの繊維に種々の特性を付与することができる。繊維のテナシティは、少なくとも約7g/dであり、好ましくは少なくとも約15g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約20g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約25g/dであり、そして最も好ましくは少なくとも約30g/dである。同様に、繊維の初期引張モジュラス(インストロン引張試験機により測定)は、好ましくは少なくとも約300g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約500g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約1,000g/dであり、そして最も好ましくは少なくとも約1,200g/dである。これらの初期引張モジュラスとテナシティの最高値は一般に、単に溶液成長法やゲル紡糸法を使用するだけで得られる。フィラメントの多くは、その原料であるポリマーの融点より高い融点を有する。従って、例えば、約150,000、約100万、および約200万の分子量を有する高分子量ポリエチレンは一般に、バルクでは138℃の融点を有する。これらの材料で作製された高配向ポリエチレンフィラメントは、これより約7℃〜約13℃高い融点を有する。このように融点が幾らか上昇するということは、バルクポリマーと比較して、フィラメントの結晶完全性と結晶配向がより高いということを表わしている。
【0027】
同様に、少なくとも約200,000(好ましくは少なくとも約100万、さらに好ましくは少なくとも約200万)の重量平均分子量を有する、高配向高分子量ポリプロピレン繊維も使用することができる。このような伸び切り鎖ポリプロピレンは、前記した種々の文献に記載の方法によって、そして特に、米国特許第4,413,110号に記載の方法によって適度に配向したフィラメントに作り上げることができる。ポリプロピレンは、ポリエチレンよりはるかに結晶性が低く、ベンダントのメチル基を含有するので、ポリプロピレンを使用して達成できるテナシティ値は一般に、ポリエチレンに関して対応する値より実質的に低い。従って、好適なテナシティは、好ましくは少なくとも約8g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約11g/dである。ポリプロピレンに対する初期引張モジュラスは、好ましくは約160g/dであり、さらに好ましくは少なくとも約200g/dである。ポリプロピレンの融点は、一般には配向プロセスによって数度高くなり、従ってポリプロピレンフィラメントは、好ましくは少なくとも168℃の、さらに好ましくは少なくとも170℃の主要融点を有するようになる。上記パラメーターに対する特に好ましい範囲は、改善された性能を最終物品に与えることができるので有利である。少なくとも約200,000の重量平均分子量を有する繊維を、上記パラメーター(モジュラスとテナシティ)に対する好ましい範囲と組み合わせて使用すると、有利に改善された性能を最終物品にもたらすことができる。
【0028】
アラミド繊維の場合、芳香族ポリアミドから作製される好適な繊維が、米国特許第3,671,542号(本発明と矛盾しない程度に、該特許を参照により本明細書に援用する)に記載されている。好ましいアラミド繊維は、少なくとも約20g/dのテナシティ、少なくとも約400g/dの初期引張モジュラス、および少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有し、そして特に好ましいアラミド繊維は、少なくとも約20g/dのテナシティと少なくとも約20J/gの破断エネルギーを有する。最も好ましいアラミド繊維は、少なくとも約23g/dのテナシティ、少なくとも約500g/dのモジュラス、および少なくとも約30J/gの破断エネルギーを有する。例えば、適度に高いモジュラス値とテナシティ値を有するポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)フィラメントが、弾道抵抗性複合物を作製する上で特に有用である。例えば、1000のデニール値を有する、帝人(株)から市販のトワロン(Twaron)(登録商標)T2000がある。他の例としては、500g/dの初期引張モジュラスと22g/dのテナシティを有するケブラー(Kevlar)(登録商標)29、ならびにデュポン社から400デニール、640デニール、および840デニールにて市販されているケブラー129とKM2が挙げられる。本発明においては、他のメーカーから市販のアラミド繊維も使用することができる。ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)のコポリマー[例えばco−ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)]も使用することができる。さらに、本発明を実施する上で有用なのは、デュポン社からノメックス(Nomex)(登録商標)の商品名で市販されているポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)繊維である。
【0029】
高い引張モジュラスを有する高分子量ポリビニルアルコール(PV−OH)繊維が、Kwonらの米国特許第4,440,711号(本発明と矛盾しない程度に、該特許を参照により本明細書に援用する)に記載されている。高分子量のPV−OH繊維は、少なくとも約200,000の重量平均分子量を有していなければならない。特に有用なPV−OH繊維は、少なくとも約300g/dのモジュラス、好ましくは少なくとも約10g/dの、さらに好ましくは少なくとも約14g/dの、そして最も好ましくは少なくとも約17g/dのテナシティ、ならびに少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有していなければならない。このような特性を有するPV−OH繊維は、例えば米国特許第4,599,267号に開示の方法によって製造することができる。
【0030】
ポリアクリロニトリル(PAN)の場合、PAN繊維は、少なくとも約400,000の重量平均分子量を有していなければならない。特に有用なPAN繊維は、好ましくは少なくとも約10g/dのテナシティと少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有していなければならない。少なくとも約400,000の分子量、少なくとも約15〜20g/dのテナシティ、および少なくとも約8J/gの破断エネルギーを有するPAN繊維が最も有用であり、このような繊維が、例えば米国特許第4,535,027号に開示されている。
【0031】
本発明を実施する上で好適な液晶コポリエステル繊維は、例えば米国特許第3,975,487号、第4,118,372号、および第4,161,470号に開示されている。
【0032】
本発明を実施する上での好適なポリベンザゾール繊維が、例えば米国特許第5,286,833号、第5,296,185号、第5,356,584号、第5,534,205号、および第6,040,050号に開示されている。ポリベンザゾール繊維は、東洋紡(株)から市販のザイロン(Zylon)(登録商標)ブランドのポリベンザゾール繊維であるのが好ましい。
【0033】
剛性ロッド繊維は、例えば米国特許第5,674,969号、第5,939,553号、第5,945,537号、および第6,040,478号に開示されている。このような繊維は、マゼラン・システムズ・インターナショナル社(Magellan Systems International)からM5(登録商標)繊維の名称で市販されている。
【0034】
高テナシティ繊維から作製されるさらなる裏地繊維層(例えば、第3の繊維層や第4の繊維層など)も、本発明のパネルにおいて使用することができる。これらの層は、第2の繊維層の内側に配置することもできるし、第1の繊維層と第2の繊維層との間に配置することもできるし、あるいは第1の繊維層と第2の繊維層との間であって、且つ第2の繊維層の内側に配置することもできる。
【0035】
前述したように、繊維層は、織布の形態であっても、編物の形態であっても、あるいは不織布の形態であってもよい。布帛が織布である場合、布帛は、所望の織り方のいずれであってもよい(例えば粗い織目など)。
【0036】
繊維層は、不織布の形態(例えば、一方向に配向した繊維もしくはランダム配向にてフェルトに作り上げられた繊維のプライなど)をとっているのが好ましく、これらのプライが、当業界に公知の好適な樹脂マトリックス中に埋め込まれる。一方向に配向した繊維から作製される布帛は一般に、共通の繊維方向に沿って互いに平行に整列している第1の繊維層、および第1の繊維の方向に対して90°の角度をなす共通の繊維方向に沿って互いに平行に整列している、一方向に配向した繊維の第2の層を有する。個々のプライが一方向に配向した繊維である場合、連続したプライは、互いに対して回転している(例えば、0°/90°、0°/90°/0°/90°、もしくは0°/45°/90°/45°/0°の角度で、または他の角度で)のが好ましい。このような回転させられた一方向整列が、例えば米国特許第4,623,574号、第4,737,402号、第4,748,064号、および第4,916,000号に開示されている。
【0037】
繊維層が樹脂マトリックス中に存在するのが好ましい。繊維プライに対する樹脂マトリックスは、所望の特性を有する様々なエラストマー材料から作製することができる。1つの実施態様においては、このようなマトリックスに使用されるエラストマー材料は、ASTM D638による測定にて約6,000psi(41.4MPa)以下の初期引張モジュラス(弾性率)を有する。エラストマー材料は、約2,400psi(16.5MPa)以下の初期引張モジュラスを有するのがさらに好ましい。エラストマー材料は、約1,200psi(8.23MPa)以下の初期引張モジュラスを有するのが最も好ましい。これらの樹脂材料は、一般には熱可塑性であるが、熱硬化性材料も有用である。
【0038】
これとは別に、樹脂マトリックスは、硬化させたときに、少なくとも約1×10psi(6895MPa)のような高い引張モジュラスを有するように選択することもできる。このような材料の例は、例えば米国特許第6,642,159号(本発明と矛盾しない程度に、該特許の開示内容を参照により本明細書に援用する)に開示されている。
【0039】
複合層における樹脂マトリックス材料と繊維との比は、最終用途に応じて幅広く変動してよい。樹脂マトリックス材料は、繊維と樹脂マトリックスの総重量を基準として約1〜約98重量%を構成するのが好ましく、約5〜95重量%を構成するのがさらに好ましく、約5〜約40重量%を構成するのが最も好ましい。
【0040】
熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を含めたさまざまな材料を樹脂マトリックスとして使用することができる。例えば、下記材料のいずれも使用することができる:ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリスルフィドポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、フタル酸ジオクチルもしくは当業界でよく知られている他の可塑剤を使用した可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエン−アクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、熱可塑性エラストマー、およびエチレンのコポリマー。熱硬化性樹脂の例としては、炭素−炭素飽和溶媒(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、エチルアセトン、およびこれらの組み合わせ物)に対して溶解性の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、ジアリルフタレート樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの混合物がある(前述の米国特許第6,642,159号に開示)。ポリエチレン繊維の布帛に対する好ましい熱硬化性樹脂は、少なくとも1種のビニルエステル、ジアリルフタレート、および必要に応じて、ビニルエステル樹脂を硬化させるための触媒を含む。
【0041】
1つの好ましい材料群は、共役ジエンのブロックコポリマーとビニル芳香族コポリマーである。ブタジエンとイソプレンは、好ましい共役ジエンモノマーである。スチレン、ビニルトルエン、およびt−ブチルスチレンは、好ましい共役芳香族モノマーである。ポリイソプレンを組み込んだブロックコポリマーを水素化して、飽和炭化水素エラストマーセグメントを有する熱可塑性エラストマーを得ることができる。ポリマーは、R−(BA)(x=3〜150)(式中、Aは、ポリビニル芳香族モノマーからのブロックであり;Bは、共役ジエンエラストマーからのブロックである)というタイプの単純なトリブロックコポリマーであってよい。好ましい樹脂マトリックスは、イソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマー[例えば、クレイトンポリマーLLCから市販のクレイトン(Kraton)(登録商標)D1107イソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマー]である。
【0042】
他の好ましい樹脂マトリックスは、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ポリウレタン樹脂の水中コポリマー混合物)である。
樹脂材料にカーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合してもよく、また樹脂材料をオイルで増量したり、ゴム技術者に公知の方法を使用して、イオウ、過酸化物、金属酸化物、もしくは放射線硬化システムによって硬化させたりすることもできる。異なった樹脂のブレンド物も使用することができる。
【0043】
本発明の繊維層は一般に、最初に繊維ネットワークを作り上げ、次いでこのネットワークをマトリックス組成物でコーティングすることによって作製するのが好ましい。本明細書で使用している“コーティング”という用語は、個々の繊維が、繊維を取り囲んでいるマトリックス組成物の連続層、または繊維の表面上にあるマトリックス組成物の不連続層を有する場合の繊維ネットワークを表わすよう広い意味で使用されている。前者のケースにおいては、繊維がマトリックス組成物中に完全に埋め込まれている、と言うことができる。“コーティング”と“含浸”という用語は、本明細書においては同じ意味で使用されている。繊維ネットワークは、種々の方法によって作り上げることができる。一方向に整列した繊維ネットワークの好ましいケースにおいては、高テナシティフィラメントのヤーン束を、クリールガイドとレッドスルーガイド(led through guide)および1つ以上のスプレッダーバーからコリメーティングコーム(a collimating comb)に供給してから、マトリックス材料でコーティングする。コリメーティングコームにより、フィラメントが同一平面上に、そして実質的に一方向に整列される。
【0044】
マトリックス樹脂組成物は、任意の適切な形態(例えば、溶液、分散液、またはエマルジョン)で繊維層(好ましくは一方向の繊維ネットワーク)上に塗布することができる。次いで、マトリックスコーティングされた繊維ネットワークを乾燥する。マトリックス樹脂の溶液、分散液、またはエマルジョンをフィラメント上に噴霧することができる。これとは別に、浸漬またはロールコーター等の手段によって、フィラメント構造物に水溶液、分散液、またはエマルジョンをコーティングすることもできる。コーティング後、コーティングされた繊維層をオーブンに通して乾燥する。このときコーティングされた繊維ネットワーク層(ユニテープ)には、マトリックス組成物中の水もしくは他の液体を蒸発させるのに十分な熱を加える。次いでコーティングされた繊維ネットワークをキャリヤーウェブ(ペーパー支持体であっても、フィルム支持体であってもよい)上に配置することができる。あるいは繊維を最初にキャリヤーウェブ上に配置してからマトリックス樹脂でコーティングすることもできる。次いで支持体とユニテープを、公知の方法で連続ロールに巻き上げることができる。
【0045】
繊維層に有用なヤーンは、任意の適切なデニール(例えば、約50デニール〜約3000デニール)であってよい。その選定は、所望する特性とコストを考慮して決定される。より細いヤーンは、製造するのに、そして織るのによりコストがかかるが、より優れた特性(例えば、単位重量当たりのより高い弾道抵抗有効性)を得ることができる。ヤーンは、約200デニール〜約3000デニールであるのが好ましい。ヤーンは、約650デニール〜約1500デニールであるのがさらに好ましい。ヤーンは、約800デニール〜約1300デニールであるのが最も好ましい。
【0046】
前述したように、第1と第2の繊維層中の繊維は異なった組成を有する。このような繊維層に関して前述した高テナシティ繊維のうちで好ましいのは、伸び切り鎖ポリエチレン繊維とアラミド繊維である。第1と第2の繊維層の重量比は、必要に応じて変えてよい。第1の繊維層と第2の繊維層の重量比は、約10:1〜約1:10の範囲であるのが好ましく、約3:1〜約1:3の範囲であるのがさらに好ましく、約1.5:1〜約1:1.5の範囲であるのが最も好ましい。最も好ましい実施態様においては、第1と第2の繊維層がほぼ同じ重量を有する。第1と第2の層を合わせた厚さは、特定の用途、コスト、および重量制限に応じて変動してよい。例えば、第1と第2の層を合わせた厚さは、約0.1インチ〜約0.8インチ(2.54mm〜20.32mm)の範囲でよく、約0.2インチ〜約0.6インチ(5.08mm〜15.24mm)の範囲であるのがさらに好ましく、約0.3インチ〜約0.5インチ(7.62mm〜12.70mm)の範囲であるのが最も好ましい。
【0047】
第1の繊維層は、第2の繊維層の曲げモジュラスより高い曲げモジュラスを有するのが好ましい。この場合に用いる曲げモジュラスは、繊維層全体(樹脂マトリックスを含む)の曲げモジュラスである。従って、セラミック層(第1の繊維層)に隣接している層は、セラミック層から隔離している層(第2の繊維層)より剛性が高い。
【0048】
第1の繊維層の曲げモジュラスは、第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約5%高い。第1の繊維層の曲げモジュラスが、第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約15%高いのがさらに好ましい。第1の繊維層の曲げモジュラスが、第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約25%高いのが最も好ましい。本明細書で使用している曲げモジュラスは、ASTM D790に従って室温にて測定される。
【0049】
1つの好ましい実施態様においては、第1の繊維層が、高分子量ポリエチレン繊維から一方向の不織布もしくは織布の形態て作り上げられ、第2の繊維層が、アラミド繊維から織布の形態または一方向の不織布の形態に作り上げられる。他の好ましい実施態様においては、第1の繊維層が、織布の形態もしくは一方向の不織布の形態であるアラミド繊維から作製され、第2の繊維層が、高分子量ポリエチレン繊維から一方向の不織布もしくは織布の形態に作り上げられる。
【0050】
さらに、第1と第2の繊維層(並びに任意のさらなる繊維層)は、一緒に積層される複数のプライで形成されるのが好ましい。各層におけるプライの数は、所望の面密度、厚さ、および防護のレベル等に依存する。例えば、繊維層が、高分子量ポリエチレン繊維またはアラミド繊維から作製されるとき、個々のプライの数は、約2〜約200の範囲であってよく、約10〜約150の範囲であるのがさらに好ましく、約50〜約100の範囲であるのが最も好ましい。理解しておかなければならないことは、個々のプライは、マルチプライプリプレグ(a multiply prepreg)に予備形成できるという点である。例えば、プリプレグが4つのプライから作製される場合、上記プライの数は明記した量の1/4に減少する。
【0051】
個別のプライはさらに、2または4ユニットのサブアセンブリの形態をとっているのが好ましく、2プライユニットの場合は0°/90°にて方形直交(cross−plied)されており、4プライユニットの場合は0°/90°/0°/90°にて方形直交されている。繊維層は、こうした複数の方形直交ユニットから作製することができる。
【0052】
本発明の繊維層を形成する2つ以上のプライの積層物は、連続方形直交操作(a continuous cross−ply operation)を使用して、一方向プリプレグの連続ロールから製造するのが好ましい。このような方法が、米国特許第5,173,138号と第5,766,725号(本発明と矛盾しない程度に、該特許を参照により本明細書に援用する)に開示されている。これとは別にプライは、手作業によっても、または他の任意の適切な手段によっても積層することができる。プライ(例えば2プライ)は、方形直交プロセスにて熱と圧力を加えることで圧密化される。使用される繊維とマトリックスシートのタイプに応じて、温度は約90℃〜約160℃の範囲であってよく、また圧力は約100〜約2500psi(69〜17,0000kPa)の範囲であってよい。“圧密化させる(consolidating)”とは、マトリックス材料と繊維プライとを合わせて単一の層にすることを意味している。圧密化は、乾燥、冷却、加熱、加圧、またはこれらの組み合わせによって実施することができる。
【0053】
本発明の繊維層を構成する種々のプライの集成体は、剛性集成体または柔軟性集成体を含んでよい。剛性集成体は通常、例えば前述の条件下にてプレス中でプライを積み重ねて圧密化させることによって作製される。柔軟性集成体は、プライをゆるく積み重ねることによって(このときプライは、結び付けられないか、あるいは例えば縫い合わせることによって、1つだけのエッジにて、またはそれ以上のエッジにて結び付けられる)作製することができる。
【0054】
各繊維層の柔軟性の程度は、使用される繊維と樹脂の種類、およびプロセシング条件に依存する。これらの点については、当業者に公知である。
所望の形状にするのを容易にするために、例えば異なった層が互いの上を滑るよう、繊維層に1つ以上のプラスチックフィルムを組み込むことができる。これらのプラスチックフィルムは一般に、各繊維層の一方もしくは両方の面に、または繊維層を形成している2プライもしくは4プライの各圧密化プリプレグの一方もしくは両方の面に接着することができる。ポリオレフィンで作られたフィルム[例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムや超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルム]、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、およびポリカーボネートフィルム等の、任意の適切なプラスチックフィルムを使用することができる。これらのフィルムは、任意の望ましい厚さであってよい。一般的な厚さは約0.1〜約1.2ミル(2.5〜30μm)の範囲であり、さらに好ましくは約0.2〜約1ミル(5〜25μm)の範囲であり、そして最も好ましくは約0.3〜約0.5ミル(7.5〜12.5μm)の範囲である。最も好ましいのはLLDPEのフィルムである。
【0055】
本発明の複合材料中に存在する高テナシティ繊維の繊維層に加えて、他の層も使用することができる。例えば、ガラス繊維複合物および/またはグラファイト複合物を、第1の繊維層とセラミック層との間に挿入することができる。このような複合物は、所望の樹脂(例えば、熱硬化性エポキシ樹脂)を使用して作製することができる。こうした層が存在する場合、このような追加層は、第1の繊維層より高い曲げモジュラスを有するのが望ましい。これとは別に、このような複合材料は、本発明の物品中の他の位置に存在してもよい。
【0056】
本発明の特に好ましい実施態様においては、セラミック層が炭化ケイ素から作製され、第1の繊維層がアラミド繊維から作製され、第2の繊維層が高分子量ポリエチレン繊維から作製され、そして第1と第2の繊維層の面密度がほぼ同じである。
【0057】
セラミック層、第1の繊維層、および第2の繊維層は、適切な条件の下で(例えば、単に室温で接着するか、又は適切な熱と圧力のもとで接着することによって)一緒に接着されるのが好ましい。任意の適切な手段(例えば、固体接着フィルムや液体接着剤等)を使用して、複数の層を一緒に結びつけることができる。ポリウレタン接着剤、エポキシ接着剤、およびポリエチレン接着剤等を使用した接着剤フィルムが好ましい。層を接着させるのに熱と圧力が使用される場合、使用される温度は、上記の繊維層の圧密化において使用される温度より約20〜約30°F(11.1〜16.7℃)低いのが好ましく、あるいは繊維裏地層において使用されている繊維の融点より約20〜約30°F(11.1〜16.7℃)低いのが好ましい。圧力は、繊維層の圧密化において使用される圧力[例えば、約20〜約500psi(0.14〜3.4MPa)]より低くてよい。オートクレーブが使用される場合、圧力は、例えば約50〜約250psi(0.34〜1.7MPa)の範囲であってよい。最初に、例えば適切な熱と圧力にて第1と第2の繊維層を組み合わせ(好ましくは接着剤なしで)、次いでこれをセラミック層に接着するのが好ましい。
【0058】
本発明の理解をより深めるために、以下に実施例を挙げて説明するが、これらの実施例によって本発明が限定されることはない。本発明の原理を説明するために記載されている特定の方法、条件、材料、割合、および引用データは代表的なものであって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【実施例】
【0059】
実施例1(比較例
セラミックタイルからセラミック表面仕上げパネルを作製した。セラミックタイルは、炭化ケイ素セラミック[SiC−N、セルコム・セラミックス社(Cercom Ceramics)から市販されており、3.20g/cmのバルク密度、3〜5μmの平均粒径、および85ksi(586MPa)の曲げ強度(室温にて4−pt MOR)を有すると報告されている]であった。0.145インチ(3.68mm)の厚み、2.50psf(12.2ksm)の面密度、および5.25×5.25インチ(13.34×13.34cm)プレートの形態を有する4つのタイルを使用した。
【0060】
4−プライ高分子量ポリエチレン繊維複合物[ハネウェル・インターナショナル社から市販のスペクトラ・シールド(SPPECTRA SHIELD)(登録商標)PCR]から繊維層を作製した。この材料は、一方向に配向した不織構造物であって、マトリックス樹脂[16重量%のクレイトンD1107イソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマー(クレイトンポリマーLLCから市販)]を含む。4−プライ構造物は、0°/90°/0°/90°にて方形直交した個別のプライを含んだ。スペクトラ・ポリエチレン繊維は、30g/dのテナシティ、850g/dの引張モジュラス、および45g/dの破断エネルギーを有する。
【0061】
4−プライ・プリプレグの合計42層を12×12インチ(30.48×30.48cm)サイズにカットし、積み重ねた(各プリプレグは、隣接のプリプレグ層に対して90°配向している)。プリプレグのスタックを、240°F(116℃)で1500psi(10.3MPa)にて10分成形し、次いで冷却した。繊維裏地層は、2.05psf(10.0ksm)の面密度、0.422インチ(10.72mm)の厚さ、および117.5ksi(809.6MPa)の曲げモジュラスを有した。
【0062】
接着フィルムを使用して、成形された高分子量ポリエチレン不織布層上に4つのセラミックプレートを据え付け、一体になった構造物を、オートクレーブ中において240°F(116℃)の温度および100psi(0.69MPa)の圧力にて圧密化した。接着フィルムは、スティーブンス・ウレタン社(Stevens Urethane)から市販のポリエーテル脂肪族ポリウレタンであり、120〜140℃の融点、450%の破断点伸び、および1.07g/ccの比重を有する。全体の面密度は4.55psf(22.2ksf)であった。オートクレーブから取り出した後、試験用に、パネル全体にスペクトラ・シールドPCR不織布を両方向にて巻き付けた。パネルに巻き付けることで、セラミック材料は、幾つかの弾道衝撃の後でも、その完全性を保持することができる(粉々に砕けた構成材を放出させない)。
【0063】
MIL−STD−662Eに従って、パネルを弾道抵抗性能に関して試験した。発射体は、重量が149グレインのロシアドラグノフ弾丸(Russian Dragnov bullet)であった。クレイ裏地材料を使用して背面の変形を調べた[Roma Plastilina #1、4インチ(10cm)厚さ]。得られた結果を下記の表1に示す。
【0064】
実施例2(比較例
異なった繊維裏地材料を使用して実施例1に記載の手順を繰り返した。裏地材料は、マトリックス樹脂(16重量%の熱可塑性ポリウレタン樹脂;メーカーによれば、ポリウレタン樹脂の水中コポリマー混合物であると説明されている)を含む、一方向に配向した4−プライアラミド不織構造物であるゴールド・シールド(GOLD SHIELD)(登録商標)RS(ハネウェル・インターナショナル社から市販)から作製した。4−プライ構造物は、0°/90°/0°/90°にて方形直交している個別のプライを含んだ。アラミド繊維は、1000のデニール値と26g/dのテナシティ値を有する。
【0065】
4−プライ・プリプレグの合計44層を実施例1の場合と同じサイズにカットし、積み重ねた(各プリプレグは、隣接のプリプレグ層に対して90°配向している)。プリプレグのスタックを、240°F(116℃)で1500psi(10.3MPa)の圧力にて10分成形し、次いで冷却した。繊維裏地層は、2.00psf(9.76ksm)の面密度、0.324インチ(8.23mm)の厚さ、および159.0ksi(1095.5MPa)の曲げモジュラスを有した。
【0066】
実施例1の接着フィルムを使用して、成形されたアラミド不織布層上に4つのセラミックプレートを据え付け、一体になった構造物を、実施例1に記載のように、オートクレーブの中で圧密化した。全面密度は4.50psf(21.96ksf)であった。次いで、パネル全体にスペクトラ・シールドPCR不織布を両方向にて巻き付けた。
【0067】
このパネルを、実施例1に記載のように、弾道抵抗特性に関して試験した。得られた結果を下記の表1に示す。
実施例3
第1の高分子量ポリエチレン繊維層を使用し、そして第2のアラミド繊維層を裏地層として使用したこと以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。高分子量ポリエチレン層は、実施例1の4−プライ高分子量ポリエチレンプリプレグの合計20層から作製し、これを第1の繊維裏地層として使用した。アラミド層は、実施例2の4−プライアラミドプリプレグの合計22層から作製し、これを第2の繊維裏地層として使用した。
【0068】
一体化させた層を、実施例1の場合と同じサイズにカットして積み重ねた(高分子量ポリエチレン繊維とアラミド繊維の隣接プライは、互いに対して90°回転している)。一体化させた層を、実施例1に記載の条件で成形した。合わせた繊維裏地層は、2.02psf(9.86ksm)の面密度、0.374インチ(9.50mm)の厚さ、および211.6ksi(1457.9MPa)の曲げモジュラスを有した。
【0069】
実施例1の接着フィルムを使用して、高分子量ポリエチレン不織布層とアラミド不織布層とが一体になった成形品上に、高分子量ポリエチレン層を、セラミックプレートに隣接させた状態で、4つのセラミックプレートを据え付けた。一体になった構造物を、実施例1に記載のように、オートクレーブの中で圧密化した。全面密度は4.52psf(22.05ksf)であった。次いで、パネル全体にスペクトラ・シールドPCR不織布を両方向にて巻き付けた。
【0070】
このパネルを、実施例1に記載のように、弾道抵抗特性に関して試験した。得られた結果を下記の表1に示す。
実施例4
高分子量ポリエチレン繊維層とアラミド繊維層の配置を逆にしたこと以外は、実施例3に記載の手順を繰り返した[アラミド層が第1の繊維層(セラミック層に隣接)を形成し、高分子量ポリエチレン層が第2の繊維層を形成した]。
【0071】
一体になった層を、実施例1の場合と同じサイズにカットして積み重ねた(高分子量ポリエチレン繊維とアラミド繊維の隣接プライは、互いに対して90°回転している)。合わせた層を、実施例1に記載の条件にて成形した。合わせた繊維裏地層は、2.02psf(9.86ksm)の面密度、0.3714インチ(9.42mm)の厚さ、および193.9ksi(1336.0MPa)の曲げモジュラスを有した。
【0072】
実施例1の接着フィルムを使用して、高分子量ポリエチレン不織布層とアラミド不織布層とが合わさった成形品上に、アラミド層をセラミックプレートに隣接させた状態で、4つのセラミックプレートを据え付けた。合わせた構造物を、実施例1に記載のように、オートクレーブの中で圧密化した。全面密度は4.52psf(22.05ksf)であった。次いで、パネル全体にスペクトラ・シールドPCR不織布を両方向に巻き付けた。
【0073】
このパネルを、実施例1に記載のように、弾道抵抗特性に関して試験した。得られた結果を下記の表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
これらの実施例は、本発明の繊維裏地付きセラミック物品が、1タイプの繊維裏地層だけから作製される比較用材料と比較して、ほぼ同じか又はそれ以上の弾道抵抗性を有するということを示している。実施例1と3を比較することによって、別個のアラミド繊維層と別個の高分子量ポリエチレン繊維層を使用すると(このときアラミドプライの約半分が高分子量ポリエチレンプライで置き換えられる)、アラミド繊維の単一層で形成されるパネルと比較して改善された弾道抵抗性パネルが得られる(パネルは実質的に同じ面密度を有する)、ということがわかる。さらに、本発明の実施例においては、背面の変形が改善された。実施例2と4を比較することによって、別個の高分子量ポリエチレン繊維層と別個のアラミド繊維層を使用すると(このとき高分子量ポリエチレンプライの約半分がアラミドプライで置き換えられる)、同様に、高分子量ポリエチレン繊維の単一層で形成されるパネルと比較して改善された弾道抵抗性パネルが得られる(パネルは実質的に同じ面密度を有する)、ということがわかる。この場合、背面の変形は実質的に同等である。
【0076】
従って本発明は、異なった繊維組成を有するにもかかわらず弾道抵抗性は損なわれない、少なくとも2種の繊維層から作製されるセラミックパネルを提供する、ということがわかる。実際、V50特性によって評価すると、弾道抵抗性は増大している。このことは、高テナシティ繊維の単一層のセラミック裏地を2層の異なった高テナシティ繊維(実質的に同じ面密度の)で置き換えることができ、そして必要とされる弾道抵抗性能を達成することができる、ということを意味している。従って、ある繊維材料が供給不足となっているときに、当該材料の実質的な部分を他の高テナシティ繊維材料で置き換えることができ、そしてさらに所望の特性を達成することができる。これにより、多くの重要な用途向けのパネルを柔軟に製造・供給することができる。
【0077】
本発明のパネルは、陸上車や飛行機の弾道防護に対して特に有用である。本発明のパネルはさらに、防弾チョッキ(例えば、静止デバイスや本土防衛用途におけるベストやヘルメット)用の挿入物としても有用である。
【0078】
本発明を詳細に説明してきたが、このような詳細に厳格に拘泥する必要はなく、当業者には更なる変形や改良形が想起され得るはずであり、これらの変形や改良形も全て、特許請求の範囲に規定の本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側表面と内側表面とを有する、外側に面しているセラミック層;第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、前記第1の繊維層の前記外側表面が、前記セラミック層の前記内側表面に隣接している;および、第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、前記第2の繊維層の前記外側表面が、前記第1の繊維層の前記内側表面に隣接している;を含み、前記第1のタイプの高テナシティ繊維が、前記第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有し、且つ、前記第1の繊維層が前記第2の繊維層より高い剛性を有する、弾道抵抗性パネル。
【請求項2】
前記パネルが、前記第1または第2のタイプの高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維を含む単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して実質的に等価又はそれ以上の弾道抵抗性を有し、前記単一の繊維層が、前記第1の繊維層と前記第2の繊維層との合計面密度と実質的に同じ面密度を有する、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約15%高い曲げモジュラスを有する、請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約25%高い曲げモジュラスを有する、請求項2に記載のパネル。
【請求項5】
前記第1のタイプの高テナシティ繊維が、高分子量ポリエチレン繊維、高分子量ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリエステル繊維、および剛性ロッド繊維からなる群から選択され、前記第2のタイプの高テナシティ繊維が、高分子量ポリエチレン繊維、高分子量ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリエステル繊維、および剛性ロッド繊維からなる群から選択される、請求項2に記載のパネル。
【請求項6】
前記第1と第2のタイプの高テナシティ繊維が、少なくとも約22g/dのテナシティを有する、請求項5に記載のパネル。
【請求項7】
前記第1と第2のタイプの高テナシティ繊維が、少なくとも約28g/dのテナシティを有する、請求項5に記載のパネル。
【請求項8】
前記第1と第2の繊維層の少なくとも一方が、繊維と樹脂マトリックスとの一方向に配向した不織ネットワークの形態をとっている、請求項5に記載のパネル。
【請求項9】
前記樹脂が、前記第1と第2の繊維層の前記少なくとも一方を約5重量%〜約40重量%含む、請求項8に記載のパネル。
【請求項10】
前記第1と第2の繊維層の前記少なくとも一方が、互いに対して配向している複数の個別プライを含む、請求項8に記載のパネル。
【請求項11】
前記プライが、隣接したプライに対して90°の角度で配向している、請求項10に記載のパネル。
【請求項12】
前記第1と第2の繊維層の両方が、繊維と樹脂マトリックスとの一方向に配向した不織ネットワークの形態をとっている、請求項5に記載のパネル。
【請求項13】
前記第1と第2の繊維層の両方が、互いに対して配向している複数の個別プライを含む、請求項11に記載のパネル。
【請求項14】
前記第1と第2の繊維層の少なくとも一方が、樹脂マトリックスを含む織布の形態をとっている、請求項5に記載のパネル。
【請求項15】
前記第1と第2の繊維層のそれぞれが、互いに対して配向している複数の個別プライを含み、プライの数が約2〜約200の範囲である、請求項5に記載のパネル。
【請求項16】
前記第1の繊維層が、高分子量ポリエチレン繊維とアラミド繊維からなる群から選択される繊維を含み、前記第2の繊維層が、高分子量ポリエチレン繊維とアラミド繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項5に記載のパネル。
【請求項17】
前記第1の繊維層がアラミド繊維を含み、前記第2の繊維層が高分子量ポリエチレン繊維を含む、請求項16に記載のパネル。
【請求項18】
前記セラミック層が、金属窒化物、非金属窒化物、金属ホウ化物、非金属ホウ化物、金属炭化物、非金属炭化物、金属酸化物、非金属酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるセラミック材料を含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項19】
前記セラミック層が、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、二ホウ化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択されるセラミック材料を含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項20】
前記セラミック層が炭化ケイ素を含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項21】
前記第1の繊維層と前記セラミック層との間に挿入された第3の繊維層をさらに含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項22】
前記第3の繊維層の前記繊維が、ガラス繊維とグラファイト繊維からなる群から選択される、請求項21に記載のパネル。
【請求項23】
プラスチックフィルムの層を少なくとも1つ含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項24】
外側表面と内側表面とを有する、外側に面したセラミック層;アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、前記第1の繊維層の前記外側表面が、前記セラミック層の前記内側表面に隣接している;および、アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、前記第2の繊維層の前記外側表面が、前記第1の繊維層の前記内側表面に隣接している;を含み、前記第1のタイプの高テナシティ繊維が、前記第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有し、且つ、前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約5%高い曲げモジュラスを有する、弾道抵抗性パネル。
【請求項25】
前記パネルが、前記第1または第2のタイプの高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維を含む単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して実質的に等価又はそれ以上の弾道抵抗性を有し、前記単一の繊維層が、前記第1の繊維層と前記第2の繊維層との合計面密度と実質的に同じ面密度を有する、請求項24に記載のパネル。
【請求項26】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約25%高い曲げモジュラスを有する、請求項24に記載のパネル。
【請求項27】
前記セラミック層が炭化ケイ素を含む、請求項24に記載のパネル。
【請求項28】
前記第1と第2の繊維層の少なくとも一方が、繊維と樹脂マトリックスとの一方向に配向した不織ネットワークの形態をとっている、請求項24に記載のパネル。
【請求項29】
前記第1と第2の繊維層のそれぞれが、互いに対して配向している複数の繊維プライを含んだ複数のプリプレグを含む、請求項28に記載のパネル。
【請求項30】
前記第1の繊維層がアラミド繊維を含み、前記第2の繊維層が高分子量ポリエチレン繊維を含む、請求項29に記載のパネル。
【請求項31】
前記第1の繊維層の前記樹脂マトリックスが熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、前記第2の繊維層の前記樹脂マトリックスがスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含む、請求項30に記載のパネル。
【請求項32】
外側表面と内側表面とを有する、外側に面したセラミック層、前記セラミック層は炭化ケイ素を含む;アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第1のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第1の繊維層、前記第1の繊維層の前記外側表面が、前記セラミック層の前記内側表面に隣接している;および、アラミド繊維と高分子量ポリエチレン繊維とからなる群から選択される第2のタイプの高テナシティ繊維のネットワークを含んでいて、外側表面と内側表面とを有する第2の繊維層、前記第2の繊維層の前記外側表面が、前記第1の繊維層の前記内側表面に隣接している;を含み、前記第1と第2の繊維層のそれぞれが、繊維と樹脂マトリックスとの一方向に配向した不織ネットワークの形態をとっており、前記第1のタイプの高テナシティ繊維が、前記第2のタイプの高テナシティ繊維の組成とは異なった組成を有し、且つ、前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層の曲げモジュラスより少なくとも約15%高い曲げモジュラスを有しており、これによって前記パネルが、前記第1または第2のタイプの高テナシティ繊維と同じタイプの高テナシティ繊維を含む単一の繊維層だけを有する類似のセラミックパネル構造物の弾道抵抗性と比較して実質的に等価又はそれ以上の弾道抵抗性を有し、前記単一の繊維層が、前記第1の繊維層と前記第2の繊維層との合計面密度と実質的に同じ面密度を有する、弾道抵抗性パネル。
【請求項33】
前記樹脂マトリックスは、前記繊維がアラミド繊維であるときには熱可塑性ポリウレタン樹脂であり、前記繊維が高分子量ポリエチレン繊維であるときはスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーである、請求項32に記載のパネル。
【請求項34】
前記第1の繊維層の厚さと前記第2の繊維層の厚さとの比が約1.5:1〜約1:1.5である、請求項33に記載のパネル。
【請求項35】
前記第1のタイプの高テナシティ繊維のデニールと前記第2のタイプの高テナシティ繊維のデニールが約50〜約3000である、請求項34に記載のパネル。
【請求項36】
前記第1の繊維層が接着フィルムによって前記セラミック層に接着されている、請求項35に記載のパネル。

【公表番号】特表2009−531648(P2009−531648A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503155(P2009−503155)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/064502
【国際公開番号】WO2008/014020
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】