セラミック構造体およびそれを備えるガスセンサ
【課題】セラミック層の機能を向上させることのできるセラミック構造体およびそれを備えるガスセンサを得る。
【解決手段】絶縁性材料で形成された基体21と、当該基体と一体に形成された多孔質のセラミック層27と、を備えるガスセンサ1において、セラミック層27を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料200,201を混合した混合剤202によって形成した。
【解決手段】絶縁性材料で形成された基体21と、当該基体と一体に形成された多孔質のセラミック層27と、を備えるガスセンサ1において、セラミック層27を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料200,201を混合した混合剤202によって形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック構造体およびそれを備えるガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスセンサとして、自動車の内燃機関を制御するために排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサがある。
【0003】
そして、このような酸素センサとして、セラミック材料によって形成された基体とガスの濃度を検知する基準極との間に配置した多孔質層内にガスを透過させて排気ガス中の酸素濃度を検出する検出素子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−351740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる検出素子においては、基準極と基体との間にガスを透過させやすくするために多孔質層の気孔率を大きくするのが好ましいが、多孔質層の気孔率を大きくすると当該多孔質層の強度が低下してしまう。
【0006】
このように、従来の技術にあっては、多孔質層の強度を確保するのが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、セラミック層の機能を向上させることのできるセラミック構造体およびそれを備えるガスセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、セラミック層が粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多孔質のセラミック層を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成したため、当該セラミック層の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る検出素子の要部を拡大して示す断面図(軸方向に沿った断面図)である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のA−A断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る検出素子を各層に分解した図である。
【図6】図6は、検出素子の空気通過層(セラミック層)を形成するセラミック材料の粒度分布を示すグラフである。
【図7】図7は、従来の空気通過層の構造と本発明の空気通過層の構造とを模式的に示した図である。
【図8】図8は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【図9】図9は、粒径の大きい他方のセラミック材料を混合した場合と混合しなかった場合における空気通過層の膜厚と固体電解質層に生じるクラック発生率との関係を示す特性図である。
【図10】図10は、セラミック材料に混合されるカーボン濃度を変化させた場合における粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【図11】図11は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比を変化させた場合におけるセラミック材料に混合されるカーボン濃度と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、内燃機関を搭載した自動車や2輪車等の車両の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサを例示する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図、図2は、酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)、図3は、検出素子の要部を拡大して示す断面図(軸方向に沿った断面図)、図4は、検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のA−A断面図、図5は、検出素子を各層に分解した図である。
【0013】
また、図6は、検出素子の空気通過層(セラミック層)を形成するセラミック材料の粒度分布を示すグラフ、図7は、従来の空気通過層の構造と本発明の空気通過層の構造とを模式的に示した図、図8は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図、図9は、粒径の大きい他方のセラミック材料を混合した場合と混合しなかった場合における空気通過層の膜厚と固体電解質層に生じるクラック発生率との関係を示す特性図、図10は、セラミック材料に混合されるカーボン濃度を変化させた場合における粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図、図11は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比を変化させた場合におけるセラミック材料に混合されるカーボン濃度と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【0014】
まず、本実施形態に係る酸素センサ1の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、エンジン101に接続された排気管102における触媒103とエンジン101との間の位置(触媒103の上流側)もしくは触媒の下流側に設けられるものである。
【0015】
また、図2に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、外面に段付きの外形略円柱状をなしている。酸素センサ1は、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子2と、検出素子2が挿通されている筒状のホルダ4と、このホルダ4と検出素子2との間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4内に位置決めするシール部5と、検出素子2に接続された端子6と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、端子6を支持している絶縁体である碍子7と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、碍子7の外面を覆っているケーシング8と、ホルダ4の他端部(下端部)に固定されるとともにホルダ4より突出し、検出素子2の外面を覆うプロテクタ9と、を備えている。
【0016】
図2ないし図4に示すように、本実施形態に示す検出素子2は、断面略円柱状をした棒状に形成され、その軸方向の一端部(上端部)には、後述する出力電極25b、およびヒータ電極22bを有する接続部2aが形成され、その軸方向の他端部(下端部)には酸素検知部2bが形成されている。詳しくは、検出素子2は、接続部2aを有する小径円柱部2cとこの小径円柱部2cの外径D1よりも略大径に形成された大径円柱部2dとを有する段付き円柱状に形成されて小径円柱部2cに接続部2aが形成され、大径円柱部2dに酸素検知部2bが形成されている。小径円柱部2cの先端は、その全周に亘って面取りが施されている。
【0017】
出力電極25bは、検出素子2の外部に対して露出しており、出力電極25bと酸素検知部2bとは、相互に電気的に接続されている。検出素子2では、酸素検知部2bが被測定ガスである排ガスに含まれる特定ガス成分として酸素を検出し、その検出結果として酸素濃度を出力電極25bから電気信号で出力するようになっている。
【0018】
そして、図2および図3に示すように、ホルダ4には、検出素子2が挿入されている素子挿入孔4aが形成されている。この素子挿入孔4aに挿入された検出素子2は、その酸素検知部2bがホルダ4の軸方向の他方側に露出している一方、接続部2aがホルダ4の軸方向の一方側に露出している。
【0019】
ホルダ4は、その上部に上方から見て六角形状を有する六角部4bを有し、この六角部4bに工具を嵌合してホルダ4に回転トルクを容易に作用させることができるようになっている。ホルダ4の下部の外面には、ネジ部4cが形成されている。ホルダ4の六角部4bとネジ部4cとの間には、ガスケット35が配置されている。
【0020】
また、ホルダ4の六角部4bの上面には、凸部4dが形成されている。凸部4dの上面は、碍子7の下端面7aと当接し碍子7におけるホルダ4側の端部(下端部)を支持する位置決め面4hとなっている。この凸部4dには、溝部4eが形成されている。そして、この溝部4eの内周壁が折り曲げられて加締め部4fとなっている。このホルダ4は、ステンレス等の金属によって形成されて、導電性を有している。
【0021】
シール部5は、素子挿入孔4aの軸方向の一端部に位置する粉充填スペース(シール材収納スペース)4gと、この粉充填スペース4gの近傍に設けられた加締め部4fとを有している。粉充填スペース4gは、素子挿入孔4aの一部がホルダ4の先端側(酸素検知部2b側)からホルダ4の後端側(接続部2a側)へ向けて拡径されることで形成されている。シール部5は、粉充填スペース4gに充填剤(シール材)12とこの充填剤12を押圧する押圧部材13とを収容し、検出素子2の径方向で、検出素子2の中心へ向かう方向へ全周加締め等の手段を用いて曲げ加工することで加締め変形した加締め部4fによって押圧部材13を圧縮し、この圧縮力で充填剤12を圧縮状態で充填することによって検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4に位置決めしている。つまり、充填剤12は、検出素子2をホルダ4に位置決めし、押圧部材13は、充填剤12を押圧して充填剤12に検出素子2の位置決めをさせている。
【0022】
このシール部5による検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間のシールによって、ホルダ4の内部に外部の水分等が浸入するのが遮断されるとともに、排気管102の内部の排気ガス等がケーシング8の内部に浸入するのが遮断される。
【0023】
ここで、押圧部材13としては、例えば円筒形状のリング部材が使用されている。
【0024】
また、本実施形態では、充填剤12として未焼結のタルクを用い、当該充填剤12を押圧部材13により押圧することでシール部5を形成している。なお、タルクの替わりにステアタイト等のセラミック粉を用いることも可能である。
【0025】
本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25b、アース電極26bおよび一対のヒータ電極22bに対応して4つ設けられている。これら4つの端子6は、酸素センサ1の軸心周りに略90度間隔に配置されている。この端子6は、板素材を折り曲げ加工等することにより形成されており、その一端部には、略板状の接触部6aが形成されている。端子6の他端部は、ばね性を有する形状に形成されている。具体的には、端子6の他端部には、板ばねである鉤状のばね部6bが形成されている。このばね部6bは、板素材を折返し加工することによって形成される。
【0026】
端子6は、ホルダ4の一端部側に配置されている。そして、ホルダ4の軸方向の一方にホルダ4から露出した検出素子2の出力電極25b、アース電極26bおよび一対のヒータ電極22bに対して、ばね部6bがそのばね性を利用して圧接している。
【0027】
端子6の接触部6aは、結合部14を介してハーネス15の後述する芯線15aに接続されている。接触部6aは、結合部14に例えばスポット溶接によって固着されている。ここで、結合部14は、金属材料などの導電性を有する材料によって形成されている。よって、検出素子2の酸素検知部2bは、出力電極25b、アース電極26b、端子6および結合部14を介して、ハーネス15の芯線15aと電気的に接続されている。
【0028】
ハーネス15は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられている。ハーネス15は、芯線15aとこの芯線15aを被覆している被覆材15bとから構成されている。芯線15aの端部は被覆材15bから露出しており、この芯線15aの露出部分が結合部14に接続されている。
【0029】
ケーシング8は、碍子7を覆う筒状に形成されている。このケーシング8の軸方向一端部の内側には、シーリングラバー16が配置され、このシーリングラバー16を介してハーネス15がケーシング8の内部から外部に導き出されている。シーリングラバー16は、ケーシング8の加締め部8aによる加締めによって、径方向であってシーリングラバー16の中心部に向かう方向に縮径された状態でケーシング8に固定されている。この加締めによってシーリングラバー16とハーネス15との間、およびシーリングラバー16とケーシング8との間のシール性(気密性)が確保されている。シーリングラバー16は、フッ素ゴム等の耐熱性を有する材質から構成されている。
【0030】
ケーシング8の軸方向の他端部は、ホルダ4に嵌着されるとともに、例えばレーザ溶接等の溶接(例えば、全周溶接)によってホルダ4に固定されている。この溶接によってケーシング8とホルダ4との間のシール性が確保されている。なお、この溶接部分は、図1中に符号17で示している。ケーシング8の内形は、碍子7の外形よりも十分に大きく形成され、これによってケーシング8と碍子7との間には、空隙部36が形成されている。
【0031】
図2に示すように、本実施形態による碍子7は、外形略円柱状に形成されてホルダ4の位置決め面4hに起立状態で配置されている。この碍子7は、絶縁材料からなり、その絶縁材料は、例えばセラミックである。
【0032】
碍子7の下端面(他端面)7aには、軸方向一方側に向けて凹む凹部7dが形成されている。この凹部7dの内周面7eに沿って、複数の端子6のばね部6bが配置され、これら複数の端子6の間に検出素子2の接続部2aが嵌合されるようになっている。すなわち、検出素子2と碍子7とが組み付けられた状態では、端子6のばね部6bが、碍子7の凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aの外面との間に形成される空間Sに配置され、当該凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aとに挟持されるようになっている。このように挟持された端子6は、当該挟持によってばね部6bに生じる反発力により検出素子2の接続部2aに圧接し、以て、当該接続部2aと電気的に接続する。
【0033】
凹部7dの天井部7f(碍子7の上部)には、端子6が貫通挿入される取付孔7gが周方向に間隔をもって複数形成されている。本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられており、これらの端子6を碍子7の周方向に、例えば等配置した場合には、これらの端子6に挟持される検出素子2を凹部7dの略中心に配置しやすくなる。
【0034】
ここで、碍子7と検出素子2の接続部2aとの間に形成された空間Sは、シール部5、シーリングラバー16およびケーシング8とホルダ4との溶接部分17によって略気密性が保持されるが、ハーネス15における芯線15aと被覆材15bとの微小な隙間のみを介して外部と連通しており、かかる連通によって、ケーシング8の内部に酸素濃度検出に用いる基準大気が導入されるようになっている。
【0035】
碍子7におけるホルダ4側とは反対側の端部である上端部7hにおいては、その外周面に、周方向が該碍子7の周方向に沿った円環状の段差部7bが形成されている。この段差部7bには、弾性部材37が外嵌されている。ここで、この段差部7bに対応してケーシング8にも円環状の段差部8bが形成されており、碍子7の段差部7bとケーシング8の段差部8bとによって弾性部材37が圧縮状態で挟持されている。弾性部材37は、例えばCリング状やOリング状に形成されている。かかる構造は、弾性部材37の弾性力によって碍子7をホルダ4へ押し付けるとともに、碍子7の振動を抑制している。また、酸素センサ1が外力によって振動した場合、弾性部材37が弾性変形することで、碍子7の振れが吸収または抑制されるので、酸素センサ1の耐振性を向上させることができる。
【0036】
プロテクタ9は、有底筒状で、且つ、2重構造に形成されている。プロテクタ9とホルダ4との固定は、例えばレーザ溶接等による全周溶接または部分溶接や全周加締め、部分加締め等によってなされている。図2中には、当該固定が溶接の場合の溶接箇所19が示されている。
【0037】
プロテクタ9は、内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bを有している。これら内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bは、例えば金属材料、セラミック材料等によって形成されている。プロテクタ9の内部には、ホルダ4から下方に突出した検出素子2の酸素検知部2bが挿入されている。かかる構造のプロテクタ9は、検出素子2の酸素検知部2bを覆うことで、酸素検知部2bを排気ガス中の異物等から保護する。
【0038】
プロテクタ9には、ガス流通用の流通孔9cが形成されており、検出ガスは、流通孔9cを経由してプロテクタ9の内部に進入して、酸素検知部2bに至る。
【0039】
かかる構成の酸素センサ1は、ホルダ4のネジ部4cを排気管102のネジ孔102aに螺入することにより排気管102に固定され、プロテクタ9で覆われた箇所が排気管102内に突出された状態で配置される。酸素センサ1と排気管102との間の気密および液密は、ガスケット35によって保持される。
【0040】
このような構成の酸素センサ1において、排気管102内を流通するガスがプロテクタ9の流通孔9cより内部に流入すると、そのガス内の酸素が検出素子2の酸素検知部2bに入り込む。すると、酸素検知部2bがガスの酸素濃度を検出し、この検出した酸素濃度を電気信号に変換する。この電気信号の情報が端子6およびハーネス15を経て外部に出力される。
【0041】
次に検出素子2に係る構成について説明する。
【0042】
検出素子2は、図4,図5に示すように、絶縁材料であるアルミナ等のセラミック材料により形成される細長い円柱ロッド状の基体21を有し、この基体21に接続部2aを構成する出力電極25bや、酸素検知部2bが形成されている。検出素子2は、このように基体21をロッド状に形成することにより、酸素センサ1をよりコンパクトな構成とすることができるとともに、取り付け時の方向やガスの流れ方向等による影響を受けなくすることができる。
【0043】
基体21の表面21a上には、ヒータパターン22が形成されており、このヒータパターン22は、絶縁層23によって被覆されている。そして、この基体21は、ヒータパターン22および絶縁層23とともに、ヒータ部28を構成している。
【0044】
ヒータパターン22は、例えばアルミナを混合した白金等の発熱性導体材料からなり、基体21の表面21aに曲面印刷等の手段を用いて形成されている。また、ヒータパターン22には、基体21の先端側から基体側に向けて延びる一対のリード部22aが一体的に連設されている。これらのリード部22aにおける基体21の基端側はヒータ電極22bとなっており、これらのヒータ電極22bが、図2に示すように端子6に接続されている。そして、ヒータパターン22は、外部のヒータ電源(図示せず)から各リード部22aを介して給電されることにより、例えば720〜800℃程度の温度に基体21を加熱する。
【0045】
絶縁層23は、ヒータパターン22をリード部22aと一緒に径方向外側から保護するために、例えばアルミナ等のセラミック材料を曲面印刷等の手段で基体21の外周側に厚膜印刷することにより形成されている。
【0046】
また、基体21の表面21a上には、ヒータパターン22とは別の位置に機能層30および当該機能層30の外面を覆う保護層31等が曲面印刷等の手段を用いて積層化するように形成されている。本実施形態では、この機能層30および保護層31は、ヒータパターン22に対して基体21の表面21a上における径方向の対向位置に設けられている。
【0047】
機能層30は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層24と、この固体電解質層24の基体21側に位置する参照電極層25と、この参照電極層25に対して固体電解質層24の反対側に位置する検出電極層26と、固体電解質層24の基体21側に位置し、固体電解質層24に向けて基準ガスである外気(大気)を導く空気通過層27を含んで構成されている。
【0048】
固体電解質層24は、例えばジルコニアの粉体中に所定重量%のイットリアの粉体を混合させてペースト状物により形成される。そして、固体電解質層24は、参照電極層25と検出電極層26との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送する。
【0049】
これにより、固体電解質層24と一対の電極層である参照電極層25および検出電極層26とによって、酸素濃度を電気信号として取り出す酸素測定部29を形成する。
【0050】
また、固体電解質層24の一部は、空気通過層27に接している。すなわち、空気通過層27は、少なくとも基体21と固体電解質層24との界面に形成されている。
【0051】
参照電極層25および検出電極層26は、それぞれ白金等からなる導電性で、かつ酸素が通過できる材料により形成されている。そして、参照電極層25および検出電極層26にはそれぞれリード部25a,26aが一体的に延設されており、これらのリード部25a,26aを用いて参照電極層25と検出電極層26との間に現れた出力電圧を検出できるようになっている。詳しくは、これらリード部25a,26aにおける参照電極層25および検出電極層26側とは反対側の端部が、電極部としての出力電極25b、アース電極26bとなっている。アース電極26bおよび出力電極25bは、基体21の軸方向の一端側に保護層31よりも延出して外部に露出している(図示せず)。即ち、アース電極26bおよび出力電極25bは、検出素子2の外周に設けられている。
【0052】
空気通過層27は、例えばアルミナの粉体(所定重量%のジルコニアの粉体を混合してもよい)からなるペースト状物を曲面印刷等の手段を用いて基体21の表面21aの外周側に厚膜印刷することにより環状に形成されている。
【0053】
そして、空気通過層27は、連続気泡からなる空孔を有した多孔質構造に形成され、検出素子2の周囲を流れる被測定ガスの一部を、図5に示す軸方向の一端側の端面から矢示A方向(軸方向)へと空気通過層27の内部に拡散させつつ、この被測定ガスを参照電極層25に向けて透過させる機能を有している。
【0054】
また、本実施形態では、空気通過層27の固体電解質層24と対向する領域27iは、固体電解質層24の面積よりも小さく形成されて、絶縁性材料(例えばアルミナ)と固体電解質(例えばジルコニア)とのセラミック混合体により形成されることで、固体電解質層24の焼結時において固体電解質層24と基体21との間の応力差を緩和する機能も備えている。
【0055】
また、空気通過層27の領域27iは参照電極層25の領域25iよりも大きい面積で構成されることで、矢印A方向から拡散された被測定ガスを参照電極層25へ良好に透過することができる。
【0056】
また、空気通過層27は、充填剤12によって圧縮される。詳しくは、粉充填スペース4gがホルダ4の素子挿入孔4aの全外周に配置されており、押圧部材13を加締め部4fによって検出素子2の径方向内側へ向けて全周加締め等の手段を用いて曲げ加工することで、充填剤12が加圧状態で充填され、検出素子2をホルダ4に位置決めすることができる。この加圧状態で充填された充填剤12は、ホルダ4と検出素子2との間の隙間等を塞ぎ、ホルダ4内に外部の水分等が浸入するのを遮断するとともに、排気管内の排気ガス等がケーシング8側に侵入するのを遮断する機能を有している。そして、当該構造によって、充填剤12が充填される部分に対応する空気通過層27の受圧部分2fが圧縮される。
【0057】
さらに、固体電解質層24を除いた機能層30の外面(リード部25a,26aおよび空気通過層27の一部外面)には、保護層31が形成されており、この保護層31と絶縁層23の外面には、拡散層32が保護層31や固体電解質層24を覆うように形成されており、この拡散層32の外面には、スピネル保護層33が拡散層32の外面を含めた領域を覆うように形成されている。
【0058】
保護層31は、被測定ガス中の酸素が内面側に透過できない材料、例えば、アルミナ等のセラミック材料より形成されている。そして、この保護層31は、固体電解質層24の一部外面および両電極層25,26の領域を除いて、例えば検出電極層26が露出するように形成されている。
【0059】
拡散層32は、測定ガス中の有害ガス、ダスト等は内面側に通過できないが、測定ガス中の酸素は通過できる材質、例えば、アルミナと酸化マグネシウムの混合物の多孔質構造体によって形成されている。
【0060】
スピネル保護層33は、保護層31、拡散層32とともに、機能層30,ヒータ部28の外面を覆っており、測定ガス中の酸素を通過できる多孔質構造をしており、保護層31より粗い多孔質体によって形成されている。
【0061】
このような検出素子2は、一連の印刷工程で形成される。
【0062】
具体的には、まず、アルミナ等のセラミック材料を射出成形して基体21を製造した後、この基体21を回転させつつ、基体の表面21aの略半分の領域に、曲面スクリーン印刷によってヒータパターン22、リード部22aおよび絶縁層23を形成する。
【0063】
次に、基体21の表面21aで、且つ、ヒータパターン22の領域とは逆の半分の領域に、曲面スクリーン印刷によって空気通過層27を形成する。
【0064】
次に、基体21の表面21aに空気通過層27の上から白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して参照電極層25及びそのリード部25aを一体に形成する。
【0065】
次に、参照電極層25及び空気通過層27の上面に例えば、ジルコニアとイットリアからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して空気通過層27の面積よりも大きく酸素イオン伝導性の固体電解質層24を形成する。
【0066】
次に、固体電解質層24の上面に白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して検出電極層26及びそのリード部26aを一体に形成する。
【0067】
これらによって機能層30を形成するとともに、検出電極層26及び固体電解質層24の上面に、例えばアルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して保護層31を形成する。
【0068】
ここで、保護層31は、両電極層25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うように形成されており、リード部25a,26aを保護するとともに、空気通過層27をシールする機能を有している。
【0069】
このように、保護層31で両電極層25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うことで、空気通過層27に導入される空気の漏れを確実に防止できるようにしている。
【0070】
次いで、固体電解質層24、保護層31および絶縁層23の一部外面を覆うように拡散層32が形成される。
【0071】
拡散層32は、焼成後に多孔質構造となり、固体電解質層24を保護するとともに、被測定ガスを検出電極層26に拡散する機能を有している。
【0072】
次いで、検出電極層26及び固体電解質層24の外面のみならず絶縁層23の外面、つまり、基体21の外面の円周方向の全領域に亘って、例えば、アルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷してスピネル保護層33を形成し、円柱状作成物を形成することで曲面スクリーン印刷工程を終了する。
【0073】
そして、このような一連の印刷工程を終えた円柱状作成物を高熱(たとえば1400〜1500℃)で焼成することにより一体的に焼結された検出素子2を得ることができる。このとき、空気通過層27にはジルコニアとアルミニウムの混合材料に、さらに例えばカーボン(平均粒径2〜16μm)等の空孔形成剤(消失剤)を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成し、多孔質構造とする。
【0074】
また、参照電極層25は、貴金属材料(例えば白金等)に例えばテオブロミン等の空孔形成剤を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成することで、焼成時に空孔形成剤(消失剤)が焼き飛ばされて電極内に空孔ができ、電極を多孔質構造とすることができる。
【0075】
さらに、空気通過層27は、固体電解質層24を通じて参照電極層25へ輸送されてくる酸素を図示しない経路によって逃散させるガス逃散路としての機能もある。とくに、本実施形態の空気通過層27はセラミック混合体に空孔形成剤を混合して形成される。このように空孔形成剤を混合して形成することにより、焼成時に空孔形成剤が焼き飛ばされて層内に空孔ができ、空気通過層27を多孔質構造にすることができることから、参照電極層25から供給された余剰酸素を検出素子端部へ排出することができるので、酸素の圧力の上昇による素子割れを防止することが可能になる。
【0076】
このように、本実施形態では、検出素子2が、絶縁性材料で形成された基体21と、当該基体21と一体に形成された多孔質の空気通過層(セラミック層)27と、を備えるセラミック構造体に相当している。
【0077】
ところで、セラミック材料は粒径が小さいほど(比表面積が大きいほど)、粒界の接触面積が大きくなるため、固溶する際の移動量が少なくなってエネルギーを少なくすることができる。その結果、焼結温度を下げることができ、焼結させやすくなるという利点があるが、このように粒径が小さく、ほぼ一定であるセラミック材料を用いて空気通過層27を形成すると、割れの基点となる粒界が多く存在するため結合強度を増加させにくく、空気通過層27の破壊強度の増加を図りにくいという問題があった。
【0078】
そこで、本発明では、粒径の小さなセラミック材料200の中に粒径の大きなセラミック材料201を混合した混合剤202によって空気通過層27を形成することで、粒径の小さなセラミック材料200の中に粒径の大きなセラミック材料201を点在させ、粒界の圧力を増加させて結合強度を向上させた。
【0079】
なお、この混合剤202は、少なくとも充填剤12により押圧される受圧部分2fの領域に用いられており、好ましくは受圧部分2fを含む空気通過層27の全範囲に用いられているのがよい。
【0080】
この混合剤202としては、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.05〜0.5μm、若しくは、比表面積が8〜20m2/gであるセラミック材料(一方のセラミック材料)200を主とし、かかるセラミック材料200に、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.8〜5.0μm、若しくは、比表面積が0.5〜2.0m2/gであるセラミック材料(他方のセラミック材料)201を混合させたものを用いるのが好適であり、より好ましくは、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.1〜0.3μm、若しくは、比表面積が12〜15m2/gであるセラミック材料200を主とし、かかるセラミック材料200に、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で1.0〜2.0μm、若しくは、比表面積が0.9〜1.3m2/gであるセラミック材料201を混合させたものを用いるのが好適である。
【0081】
ここで、セラミック材料200、201の粒度は、公知の粒度解析装置(例えば「マイクロトラック」登録商標)により測定し、セラミック材料200、201の比表面積は、公知のBET法によって測定した。
【0082】
そして、このセラミック材料200とセラミック材料201とを、セラミック材料200が90〜99wt%含有され、セラミック材料201が1〜10wt%含有されるように混合するのが好適である。
【0083】
また、空気通過層27は、当該空気通過層27の膜厚が5μm〜100μmとなるように形成するのが好適であり、このときの気孔率が50%以上70%以下となるように形成するのが好適である。
【0084】
ここで、気孔率、膜厚の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって資料の断面画像を取り込んで画像解析を行い、気孔の専有面積を算出するという測定方法によって行われる。
【0085】
この空気通過層27の気孔率が50%未満である場合には、空気通過層27を通過する外気の拡散速度が低下し、参照電極層25に対して充分な外気の導入が困難となる。一方、70%を超えた場合には、空気通過層27の強度が低下してしまう虞がある。
【0086】
以上の気孔率は、空気通過層27を形成するセラミック材料に、平均粒径が1μm〜20μmである空孔形成剤としてのカーボン204を重量比率で45wt%〜55wt%含有させることで、好適に実現することができる。なお、本実施形態では、空孔形成剤としてカーボンを用いているが、空孔形成剤はカーボンに限らず種々の材料を用いることが可能である。
【0087】
ここで、空気通過層27の気孔率とは、空気通過層27の所定の単位体積あたりの気孔(空隙)205の体積の割合である。この空孔形成剤としてのカーボン204は検出素子2の焼成時に焼き飛ばされて空気通過層27の内部に連続気泡となる空孔を形成するものである。
【0088】
本実施形態では、図6,図7に示すように、50%粒径で0.05μmのセラミック材料200と有機ビヒクル203とを混合したスクリーン用ペーストに、50%粒径で2.0μmのセラミック材料201をセラミック材料200に対して1wt%添加した混合剤202に対して、空孔形成剤としてのカーボン204を45wt%含有させ、三本ロールミルにより均一に分散させたペースト状物を用いており、このペースト状物を焼成させることで、気孔205を有する多孔質構造の空気通過層27を形成している。
【0089】
有機ビヒクル203は、溶剤成分と、バインダーとしての樹脂成分とからなる媒体であり、溶剤成分や樹脂成分は特に制限されず、スクリーン用ペーストとして従来から汎用されているものを用いることができる。
【0090】
次に、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合することによる効果を説明する。
【0091】
まず、図8のグラフより、セラミック材料200に、当該セラミック材料200よりも粒径の大きいセラミック材料201を1〜10wt%含有するように混合させた場合、その他の混合比率の場合と比べて、空気通過層の破壊強度が大きくなっていることが理解される。
【0092】
すなわち、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有することで、空気通過層の破壊強度を目標破壊強度である100(MPa)よりも大きくすることができる。また、空気通過層27の膜厚を薄く形成する場合、空間容積を確保する必要があり、その場合は破壊強度が低下するが、本実施形態における構成の場合は強度を確保することができるので、その結果、空気通過層の膜厚を薄く(例えば5μm程度)することが可能となる。
【0093】
なお、本実施形態では、空気通過層の目標破壊強度を100(MPa)としているが、この100(MPa)という値は、酸素センサ1の製造時の歩留まりを向上させることのできる強度として便宜上設定した値に過ぎず、空気通過層の破壊強度を100(MPa)以上としなければならないことを意味するものではない。
【0094】
また、破壊強度の測定は、JIS規格に基づく3点曲げ試験によって測定したものである。
【0095】
また、図9のグラフより、セラミック材料200にセラミック材料201を1wt%含有させて形成したものの方が、セラミック材料200だけで形成したものよりも、製造時に生じる固体電解質層のクラックを抑制できるようになることが理解される。特に、空気通過層の膜厚を厚くした場合において、クラック発生率の上昇が低く抑えられる(例えば、空気通過層の膜厚が100μm以下であればクラック発生率を10%以下に抑えることができる)ことが理解される。
【0096】
すなわち、セラミック材料200にセラミック材料201を1wt%含有することで、酸素センサ1の製造時の歩留まりを向上させることができ、空気通過層の膜厚を厚くすることが可能となる。なお、図9に示す添加剤とはセラミック材料201のことである。
【0097】
さらに、図10に示すように、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有した場合、気孔形成のために添加するカーボン204の濃度を45〜50wt%の間で変化させたとしても、空気通過層の破壊強度を目標破壊強度である100(MPa)よりも大きくすることができる。
【0098】
このように、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有することで、空気通過層の気孔率を大きくした際に、空気通過層の破壊強度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0099】
また、図11に示すように、気孔205形成のために添加するカーボン204の濃度を45wt%とすると、空気通過層を通過する外気の拡散速度の低下を抑制しつつ空気通過層の破壊強度をより一層向上させることができる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の酸素センサ1では、絶縁性材料で形成された基体21と一体に形成された多孔質の空気通過層(セラミック層)27を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成したため、当該空気通過層27の強度を向上させることができる。そして、このような空気通過層が形成された検出素子2を用いることで、酸素センサ(ガスセンサ)1の製造時に検出素子2が割れしてしまうのを抑制することができるようになる。また、充填材12の加圧によって検出素子2の内部に形成された空気通過層27の少なくとも受圧部分2fの座屈(損傷)を抑制することもできる。
【0101】
さらに、本実施形態では、検出素子2がロッド形状に形成されているので、酸素センサ1をコンパクトな構成とすることができる。
【0102】
以上、本発明にかかるセラミック構造体およびガスセンサの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 酸素センサ(ガスセンサ)
2 検出素子(セラミック構造体)
2f 受圧部分(シール材の充填時に荷重がかかる部位)
4 ホルダ
4a 素子挿入孔
4g 粉充填スペース(シール材収納スペース)
5 シール部
12 セラミック粉(シール材)
27 空気通過層(セラミック層)
102 排気管
103 触媒
200 セラミック材料(一方のセラミック材料)
201 セラミック材料(他方のセラミック材料)
202 混合剤
204 カーボン(気孔形成助剤)
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック構造体およびそれを備えるガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスセンサとして、自動車の内燃機関を制御するために排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサがある。
【0003】
そして、このような酸素センサとして、セラミック材料によって形成された基体とガスの濃度を検知する基準極との間に配置した多孔質層内にガスを透過させて排気ガス中の酸素濃度を検出する検出素子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−351740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる検出素子においては、基準極と基体との間にガスを透過させやすくするために多孔質層の気孔率を大きくするのが好ましいが、多孔質層の気孔率を大きくすると当該多孔質層の強度が低下してしまう。
【0006】
このように、従来の技術にあっては、多孔質層の強度を確保するのが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、セラミック層の機能を向上させることのできるセラミック構造体およびそれを備えるガスセンサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、セラミック層が粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多孔質のセラミック層を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成したため、当該セラミック層の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る検出素子の要部を拡大して示す断面図(軸方向に沿った断面図)である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のA−A断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る検出素子を各層に分解した図である。
【図6】図6は、検出素子の空気通過層(セラミック層)を形成するセラミック材料の粒度分布を示すグラフである。
【図7】図7は、従来の空気通過層の構造と本発明の空気通過層の構造とを模式的に示した図である。
【図8】図8は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【図9】図9は、粒径の大きい他方のセラミック材料を混合した場合と混合しなかった場合における空気通過層の膜厚と固体電解質層に生じるクラック発生率との関係を示す特性図である。
【図10】図10は、セラミック材料に混合されるカーボン濃度を変化させた場合における粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【図11】図11は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比を変化させた場合におけるセラミック材料に混合されるカーボン濃度と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、内燃機関を搭載した自動車や2輪車等の車両の排気管に装着された空燃比検出用の酸素センサを例示する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る酸素センサを排気管に取り付けられた状態で示す側面図、図2は、酸素センサの断面図(軸方向に沿った断面図)、図3は、検出素子の要部を拡大して示す断面図(軸方向に沿った断面図)、図4は、検出素子を示す図であって、(a)は、検出素子の側面図、(b)は、図4(a)のA−A断面図、図5は、検出素子を各層に分解した図である。
【0013】
また、図6は、検出素子の空気通過層(セラミック層)を形成するセラミック材料の粒度分布を示すグラフ、図7は、従来の空気通過層の構造と本発明の空気通過層の構造とを模式的に示した図、図8は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図、図9は、粒径の大きい他方のセラミック材料を混合した場合と混合しなかった場合における空気通過層の膜厚と固体電解質層に生じるクラック発生率との関係を示す特性図、図10は、セラミック材料に混合されるカーボン濃度を変化させた場合における粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図、図11は、粒径の小さい一方のセラミック材料と粒径の大きい他方のセラミック材料との混合比を変化させた場合におけるセラミック材料に混合されるカーボン濃度と空気通過層の破壊強度との関係を示す特性図である。
【0014】
まず、本実施形態に係る酸素センサ1の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、エンジン101に接続された排気管102における触媒103とエンジン101との間の位置(触媒103の上流側)もしくは触媒の下流側に設けられるものである。
【0015】
また、図2に示すように、本実施形態の酸素センサ1は、外面に段付きの外形略円柱状をなしている。酸素センサ1は、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出する検出素子2と、検出素子2が挿通されている筒状のホルダ4と、このホルダ4と検出素子2との間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4内に位置決めするシール部5と、検出素子2に接続された端子6と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、端子6を支持している絶縁体である碍子7と、ホルダ4の軸方向の一端部(上端部)側に配置され、碍子7の外面を覆っているケーシング8と、ホルダ4の他端部(下端部)に固定されるとともにホルダ4より突出し、検出素子2の外面を覆うプロテクタ9と、を備えている。
【0016】
図2ないし図4に示すように、本実施形態に示す検出素子2は、断面略円柱状をした棒状に形成され、その軸方向の一端部(上端部)には、後述する出力電極25b、およびヒータ電極22bを有する接続部2aが形成され、その軸方向の他端部(下端部)には酸素検知部2bが形成されている。詳しくは、検出素子2は、接続部2aを有する小径円柱部2cとこの小径円柱部2cの外径D1よりも略大径に形成された大径円柱部2dとを有する段付き円柱状に形成されて小径円柱部2cに接続部2aが形成され、大径円柱部2dに酸素検知部2bが形成されている。小径円柱部2cの先端は、その全周に亘って面取りが施されている。
【0017】
出力電極25bは、検出素子2の外部に対して露出しており、出力電極25bと酸素検知部2bとは、相互に電気的に接続されている。検出素子2では、酸素検知部2bが被測定ガスである排ガスに含まれる特定ガス成分として酸素を検出し、その検出結果として酸素濃度を出力電極25bから電気信号で出力するようになっている。
【0018】
そして、図2および図3に示すように、ホルダ4には、検出素子2が挿入されている素子挿入孔4aが形成されている。この素子挿入孔4aに挿入された検出素子2は、その酸素検知部2bがホルダ4の軸方向の他方側に露出している一方、接続部2aがホルダ4の軸方向の一方側に露出している。
【0019】
ホルダ4は、その上部に上方から見て六角形状を有する六角部4bを有し、この六角部4bに工具を嵌合してホルダ4に回転トルクを容易に作用させることができるようになっている。ホルダ4の下部の外面には、ネジ部4cが形成されている。ホルダ4の六角部4bとネジ部4cとの間には、ガスケット35が配置されている。
【0020】
また、ホルダ4の六角部4bの上面には、凸部4dが形成されている。凸部4dの上面は、碍子7の下端面7aと当接し碍子7におけるホルダ4側の端部(下端部)を支持する位置決め面4hとなっている。この凸部4dには、溝部4eが形成されている。そして、この溝部4eの内周壁が折り曲げられて加締め部4fとなっている。このホルダ4は、ステンレス等の金属によって形成されて、導電性を有している。
【0021】
シール部5は、素子挿入孔4aの軸方向の一端部に位置する粉充填スペース(シール材収納スペース)4gと、この粉充填スペース4gの近傍に設けられた加締め部4fとを有している。粉充填スペース4gは、素子挿入孔4aの一部がホルダ4の先端側(酸素検知部2b側)からホルダ4の後端側(接続部2a側)へ向けて拡径されることで形成されている。シール部5は、粉充填スペース4gに充填剤(シール材)12とこの充填剤12を押圧する押圧部材13とを収容し、検出素子2の径方向で、検出素子2の中心へ向かう方向へ全周加締め等の手段を用いて曲げ加工することで加締め変形した加締め部4fによって押圧部材13を圧縮し、この圧縮力で充填剤12を圧縮状態で充填することによって検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間をシールし、且つ、検出素子2をホルダ4に位置決めしている。つまり、充填剤12は、検出素子2をホルダ4に位置決めし、押圧部材13は、充填剤12を押圧して充填剤12に検出素子2の位置決めをさせている。
【0022】
このシール部5による検出素子2の外面2eとホルダ4の内周面4iとの間のシールによって、ホルダ4の内部に外部の水分等が浸入するのが遮断されるとともに、排気管102の内部の排気ガス等がケーシング8の内部に浸入するのが遮断される。
【0023】
ここで、押圧部材13としては、例えば円筒形状のリング部材が使用されている。
【0024】
また、本実施形態では、充填剤12として未焼結のタルクを用い、当該充填剤12を押圧部材13により押圧することでシール部5を形成している。なお、タルクの替わりにステアタイト等のセラミック粉を用いることも可能である。
【0025】
本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25b、アース電極26bおよび一対のヒータ電極22bに対応して4つ設けられている。これら4つの端子6は、酸素センサ1の軸心周りに略90度間隔に配置されている。この端子6は、板素材を折り曲げ加工等することにより形成されており、その一端部には、略板状の接触部6aが形成されている。端子6の他端部は、ばね性を有する形状に形成されている。具体的には、端子6の他端部には、板ばねである鉤状のばね部6bが形成されている。このばね部6bは、板素材を折返し加工することによって形成される。
【0026】
端子6は、ホルダ4の一端部側に配置されている。そして、ホルダ4の軸方向の一方にホルダ4から露出した検出素子2の出力電極25b、アース電極26bおよび一対のヒータ電極22bに対して、ばね部6bがそのばね性を利用して圧接している。
【0027】
端子6の接触部6aは、結合部14を介してハーネス15の後述する芯線15aに接続されている。接触部6aは、結合部14に例えばスポット溶接によって固着されている。ここで、結合部14は、金属材料などの導電性を有する材料によって形成されている。よって、検出素子2の酸素検知部2bは、出力電極25b、アース電極26b、端子6および結合部14を介して、ハーネス15の芯線15aと電気的に接続されている。
【0028】
ハーネス15は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられている。ハーネス15は、芯線15aとこの芯線15aを被覆している被覆材15bとから構成されている。芯線15aの端部は被覆材15bから露出しており、この芯線15aの露出部分が結合部14に接続されている。
【0029】
ケーシング8は、碍子7を覆う筒状に形成されている。このケーシング8の軸方向一端部の内側には、シーリングラバー16が配置され、このシーリングラバー16を介してハーネス15がケーシング8の内部から外部に導き出されている。シーリングラバー16は、ケーシング8の加締め部8aによる加締めによって、径方向であってシーリングラバー16の中心部に向かう方向に縮径された状態でケーシング8に固定されている。この加締めによってシーリングラバー16とハーネス15との間、およびシーリングラバー16とケーシング8との間のシール性(気密性)が確保されている。シーリングラバー16は、フッ素ゴム等の耐熱性を有する材質から構成されている。
【0030】
ケーシング8の軸方向の他端部は、ホルダ4に嵌着されるとともに、例えばレーザ溶接等の溶接(例えば、全周溶接)によってホルダ4に固定されている。この溶接によってケーシング8とホルダ4との間のシール性が確保されている。なお、この溶接部分は、図1中に符号17で示している。ケーシング8の内形は、碍子7の外形よりも十分に大きく形成され、これによってケーシング8と碍子7との間には、空隙部36が形成されている。
【0031】
図2に示すように、本実施形態による碍子7は、外形略円柱状に形成されてホルダ4の位置決め面4hに起立状態で配置されている。この碍子7は、絶縁材料からなり、その絶縁材料は、例えばセラミックである。
【0032】
碍子7の下端面(他端面)7aには、軸方向一方側に向けて凹む凹部7dが形成されている。この凹部7dの内周面7eに沿って、複数の端子6のばね部6bが配置され、これら複数の端子6の間に検出素子2の接続部2aが嵌合されるようになっている。すなわち、検出素子2と碍子7とが組み付けられた状態では、端子6のばね部6bが、碍子7の凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aの外面との間に形成される空間Sに配置され、当該凹部7dの内周面7eと検出素子2の接続部2aとに挟持されるようになっている。このように挟持された端子6は、当該挟持によってばね部6bに生じる反発力により検出素子2の接続部2aに圧接し、以て、当該接続部2aと電気的に接続する。
【0033】
凹部7dの天井部7f(碍子7の上部)には、端子6が貫通挿入される取付孔7gが周方向に間隔をもって複数形成されている。本実施形態における端子6は、検出素子2の出力電極25bおよび一対のヒータ電極22bに対応して3つ設けられており、これらの端子6を碍子7の周方向に、例えば等配置した場合には、これらの端子6に挟持される検出素子2を凹部7dの略中心に配置しやすくなる。
【0034】
ここで、碍子7と検出素子2の接続部2aとの間に形成された空間Sは、シール部5、シーリングラバー16およびケーシング8とホルダ4との溶接部分17によって略気密性が保持されるが、ハーネス15における芯線15aと被覆材15bとの微小な隙間のみを介して外部と連通しており、かかる連通によって、ケーシング8の内部に酸素濃度検出に用いる基準大気が導入されるようになっている。
【0035】
碍子7におけるホルダ4側とは反対側の端部である上端部7hにおいては、その外周面に、周方向が該碍子7の周方向に沿った円環状の段差部7bが形成されている。この段差部7bには、弾性部材37が外嵌されている。ここで、この段差部7bに対応してケーシング8にも円環状の段差部8bが形成されており、碍子7の段差部7bとケーシング8の段差部8bとによって弾性部材37が圧縮状態で挟持されている。弾性部材37は、例えばCリング状やOリング状に形成されている。かかる構造は、弾性部材37の弾性力によって碍子7をホルダ4へ押し付けるとともに、碍子7の振動を抑制している。また、酸素センサ1が外力によって振動した場合、弾性部材37が弾性変形することで、碍子7の振れが吸収または抑制されるので、酸素センサ1の耐振性を向上させることができる。
【0036】
プロテクタ9は、有底筒状で、且つ、2重構造に形成されている。プロテクタ9とホルダ4との固定は、例えばレーザ溶接等による全周溶接または部分溶接や全周加締め、部分加締め等によってなされている。図2中には、当該固定が溶接の場合の溶接箇所19が示されている。
【0037】
プロテクタ9は、内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bを有している。これら内側プロテクタ9aおよび外側プロテクタ9bは、例えば金属材料、セラミック材料等によって形成されている。プロテクタ9の内部には、ホルダ4から下方に突出した検出素子2の酸素検知部2bが挿入されている。かかる構造のプロテクタ9は、検出素子2の酸素検知部2bを覆うことで、酸素検知部2bを排気ガス中の異物等から保護する。
【0038】
プロテクタ9には、ガス流通用の流通孔9cが形成されており、検出ガスは、流通孔9cを経由してプロテクタ9の内部に進入して、酸素検知部2bに至る。
【0039】
かかる構成の酸素センサ1は、ホルダ4のネジ部4cを排気管102のネジ孔102aに螺入することにより排気管102に固定され、プロテクタ9で覆われた箇所が排気管102内に突出された状態で配置される。酸素センサ1と排気管102との間の気密および液密は、ガスケット35によって保持される。
【0040】
このような構成の酸素センサ1において、排気管102内を流通するガスがプロテクタ9の流通孔9cより内部に流入すると、そのガス内の酸素が検出素子2の酸素検知部2bに入り込む。すると、酸素検知部2bがガスの酸素濃度を検出し、この検出した酸素濃度を電気信号に変換する。この電気信号の情報が端子6およびハーネス15を経て外部に出力される。
【0041】
次に検出素子2に係る構成について説明する。
【0042】
検出素子2は、図4,図5に示すように、絶縁材料であるアルミナ等のセラミック材料により形成される細長い円柱ロッド状の基体21を有し、この基体21に接続部2aを構成する出力電極25bや、酸素検知部2bが形成されている。検出素子2は、このように基体21をロッド状に形成することにより、酸素センサ1をよりコンパクトな構成とすることができるとともに、取り付け時の方向やガスの流れ方向等による影響を受けなくすることができる。
【0043】
基体21の表面21a上には、ヒータパターン22が形成されており、このヒータパターン22は、絶縁層23によって被覆されている。そして、この基体21は、ヒータパターン22および絶縁層23とともに、ヒータ部28を構成している。
【0044】
ヒータパターン22は、例えばアルミナを混合した白金等の発熱性導体材料からなり、基体21の表面21aに曲面印刷等の手段を用いて形成されている。また、ヒータパターン22には、基体21の先端側から基体側に向けて延びる一対のリード部22aが一体的に連設されている。これらのリード部22aにおける基体21の基端側はヒータ電極22bとなっており、これらのヒータ電極22bが、図2に示すように端子6に接続されている。そして、ヒータパターン22は、外部のヒータ電源(図示せず)から各リード部22aを介して給電されることにより、例えば720〜800℃程度の温度に基体21を加熱する。
【0045】
絶縁層23は、ヒータパターン22をリード部22aと一緒に径方向外側から保護するために、例えばアルミナ等のセラミック材料を曲面印刷等の手段で基体21の外周側に厚膜印刷することにより形成されている。
【0046】
また、基体21の表面21a上には、ヒータパターン22とは別の位置に機能層30および当該機能層30の外面を覆う保護層31等が曲面印刷等の手段を用いて積層化するように形成されている。本実施形態では、この機能層30および保護層31は、ヒータパターン22に対して基体21の表面21a上における径方向の対向位置に設けられている。
【0047】
機能層30は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層24と、この固体電解質層24の基体21側に位置する参照電極層25と、この参照電極層25に対して固体電解質層24の反対側に位置する検出電極層26と、固体電解質層24の基体21側に位置し、固体電解質層24に向けて基準ガスである外気(大気)を導く空気通過層27を含んで構成されている。
【0048】
固体電解質層24は、例えばジルコニアの粉体中に所定重量%のイットリアの粉体を混合させてペースト状物により形成される。そして、固体電解質層24は、参照電極層25と検出電極層26との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送する。
【0049】
これにより、固体電解質層24と一対の電極層である参照電極層25および検出電極層26とによって、酸素濃度を電気信号として取り出す酸素測定部29を形成する。
【0050】
また、固体電解質層24の一部は、空気通過層27に接している。すなわち、空気通過層27は、少なくとも基体21と固体電解質層24との界面に形成されている。
【0051】
参照電極層25および検出電極層26は、それぞれ白金等からなる導電性で、かつ酸素が通過できる材料により形成されている。そして、参照電極層25および検出電極層26にはそれぞれリード部25a,26aが一体的に延設されており、これらのリード部25a,26aを用いて参照電極層25と検出電極層26との間に現れた出力電圧を検出できるようになっている。詳しくは、これらリード部25a,26aにおける参照電極層25および検出電極層26側とは反対側の端部が、電極部としての出力電極25b、アース電極26bとなっている。アース電極26bおよび出力電極25bは、基体21の軸方向の一端側に保護層31よりも延出して外部に露出している(図示せず)。即ち、アース電極26bおよび出力電極25bは、検出素子2の外周に設けられている。
【0052】
空気通過層27は、例えばアルミナの粉体(所定重量%のジルコニアの粉体を混合してもよい)からなるペースト状物を曲面印刷等の手段を用いて基体21の表面21aの外周側に厚膜印刷することにより環状に形成されている。
【0053】
そして、空気通過層27は、連続気泡からなる空孔を有した多孔質構造に形成され、検出素子2の周囲を流れる被測定ガスの一部を、図5に示す軸方向の一端側の端面から矢示A方向(軸方向)へと空気通過層27の内部に拡散させつつ、この被測定ガスを参照電極層25に向けて透過させる機能を有している。
【0054】
また、本実施形態では、空気通過層27の固体電解質層24と対向する領域27iは、固体電解質層24の面積よりも小さく形成されて、絶縁性材料(例えばアルミナ)と固体電解質(例えばジルコニア)とのセラミック混合体により形成されることで、固体電解質層24の焼結時において固体電解質層24と基体21との間の応力差を緩和する機能も備えている。
【0055】
また、空気通過層27の領域27iは参照電極層25の領域25iよりも大きい面積で構成されることで、矢印A方向から拡散された被測定ガスを参照電極層25へ良好に透過することができる。
【0056】
また、空気通過層27は、充填剤12によって圧縮される。詳しくは、粉充填スペース4gがホルダ4の素子挿入孔4aの全外周に配置されており、押圧部材13を加締め部4fによって検出素子2の径方向内側へ向けて全周加締め等の手段を用いて曲げ加工することで、充填剤12が加圧状態で充填され、検出素子2をホルダ4に位置決めすることができる。この加圧状態で充填された充填剤12は、ホルダ4と検出素子2との間の隙間等を塞ぎ、ホルダ4内に外部の水分等が浸入するのを遮断するとともに、排気管内の排気ガス等がケーシング8側に侵入するのを遮断する機能を有している。そして、当該構造によって、充填剤12が充填される部分に対応する空気通過層27の受圧部分2fが圧縮される。
【0057】
さらに、固体電解質層24を除いた機能層30の外面(リード部25a,26aおよび空気通過層27の一部外面)には、保護層31が形成されており、この保護層31と絶縁層23の外面には、拡散層32が保護層31や固体電解質層24を覆うように形成されており、この拡散層32の外面には、スピネル保護層33が拡散層32の外面を含めた領域を覆うように形成されている。
【0058】
保護層31は、被測定ガス中の酸素が内面側に透過できない材料、例えば、アルミナ等のセラミック材料より形成されている。そして、この保護層31は、固体電解質層24の一部外面および両電極層25,26の領域を除いて、例えば検出電極層26が露出するように形成されている。
【0059】
拡散層32は、測定ガス中の有害ガス、ダスト等は内面側に通過できないが、測定ガス中の酸素は通過できる材質、例えば、アルミナと酸化マグネシウムの混合物の多孔質構造体によって形成されている。
【0060】
スピネル保護層33は、保護層31、拡散層32とともに、機能層30,ヒータ部28の外面を覆っており、測定ガス中の酸素を通過できる多孔質構造をしており、保護層31より粗い多孔質体によって形成されている。
【0061】
このような検出素子2は、一連の印刷工程で形成される。
【0062】
具体的には、まず、アルミナ等のセラミック材料を射出成形して基体21を製造した後、この基体21を回転させつつ、基体の表面21aの略半分の領域に、曲面スクリーン印刷によってヒータパターン22、リード部22aおよび絶縁層23を形成する。
【0063】
次に、基体21の表面21aで、且つ、ヒータパターン22の領域とは逆の半分の領域に、曲面スクリーン印刷によって空気通過層27を形成する。
【0064】
次に、基体21の表面21aに空気通過層27の上から白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して参照電極層25及びそのリード部25aを一体に形成する。
【0065】
次に、参照電極層25及び空気通過層27の上面に例えば、ジルコニアとイットリアからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して空気通過層27の面積よりも大きく酸素イオン伝導性の固体電解質層24を形成する。
【0066】
次に、固体電解質層24の上面に白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して検出電極層26及びそのリード部26aを一体に形成する。
【0067】
これらによって機能層30を形成するとともに、検出電極層26及び固体電解質層24の上面に、例えばアルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して保護層31を形成する。
【0068】
ここで、保護層31は、両電極層25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うように形成されており、リード部25a,26aを保護するとともに、空気通過層27をシールする機能を有している。
【0069】
このように、保護層31で両電極層25,26のリード部25a,26a及び空気通過層27の一部を覆うことで、空気通過層27に導入される空気の漏れを確実に防止できるようにしている。
【0070】
次いで、固体電解質層24、保護層31および絶縁層23の一部外面を覆うように拡散層32が形成される。
【0071】
拡散層32は、焼成後に多孔質構造となり、固体電解質層24を保護するとともに、被測定ガスを検出電極層26に拡散する機能を有している。
【0072】
次いで、検出電極層26及び固体電解質層24の外面のみならず絶縁層23の外面、つまり、基体21の外面の円周方向の全領域に亘って、例えば、アルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷してスピネル保護層33を形成し、円柱状作成物を形成することで曲面スクリーン印刷工程を終了する。
【0073】
そして、このような一連の印刷工程を終えた円柱状作成物を高熱(たとえば1400〜1500℃)で焼成することにより一体的に焼結された検出素子2を得ることができる。このとき、空気通過層27にはジルコニアとアルミニウムの混合材料に、さらに例えばカーボン(平均粒径2〜16μm)等の空孔形成剤(消失剤)を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成し、多孔質構造とする。
【0074】
また、参照電極層25は、貴金属材料(例えば白金等)に例えばテオブロミン等の空孔形成剤を加えて混合したものをパターニングし、それを焼成することにより形成することで、焼成時に空孔形成剤(消失剤)が焼き飛ばされて電極内に空孔ができ、電極を多孔質構造とすることができる。
【0075】
さらに、空気通過層27は、固体電解質層24を通じて参照電極層25へ輸送されてくる酸素を図示しない経路によって逃散させるガス逃散路としての機能もある。とくに、本実施形態の空気通過層27はセラミック混合体に空孔形成剤を混合して形成される。このように空孔形成剤を混合して形成することにより、焼成時に空孔形成剤が焼き飛ばされて層内に空孔ができ、空気通過層27を多孔質構造にすることができることから、参照電極層25から供給された余剰酸素を検出素子端部へ排出することができるので、酸素の圧力の上昇による素子割れを防止することが可能になる。
【0076】
このように、本実施形態では、検出素子2が、絶縁性材料で形成された基体21と、当該基体21と一体に形成された多孔質の空気通過層(セラミック層)27と、を備えるセラミック構造体に相当している。
【0077】
ところで、セラミック材料は粒径が小さいほど(比表面積が大きいほど)、粒界の接触面積が大きくなるため、固溶する際の移動量が少なくなってエネルギーを少なくすることができる。その結果、焼結温度を下げることができ、焼結させやすくなるという利点があるが、このように粒径が小さく、ほぼ一定であるセラミック材料を用いて空気通過層27を形成すると、割れの基点となる粒界が多く存在するため結合強度を増加させにくく、空気通過層27の破壊強度の増加を図りにくいという問題があった。
【0078】
そこで、本発明では、粒径の小さなセラミック材料200の中に粒径の大きなセラミック材料201を混合した混合剤202によって空気通過層27を形成することで、粒径の小さなセラミック材料200の中に粒径の大きなセラミック材料201を点在させ、粒界の圧力を増加させて結合強度を向上させた。
【0079】
なお、この混合剤202は、少なくとも充填剤12により押圧される受圧部分2fの領域に用いられており、好ましくは受圧部分2fを含む空気通過層27の全範囲に用いられているのがよい。
【0080】
この混合剤202としては、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.05〜0.5μm、若しくは、比表面積が8〜20m2/gであるセラミック材料(一方のセラミック材料)200を主とし、かかるセラミック材料200に、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.8〜5.0μm、若しくは、比表面積が0.5〜2.0m2/gであるセラミック材料(他方のセラミック材料)201を混合させたものを用いるのが好適であり、より好ましくは、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で0.1〜0.3μm、若しくは、比表面積が12〜15m2/gであるセラミック材料200を主とし、かかるセラミック材料200に、重量積算度数における粒度分布が50%粒径で1.0〜2.0μm、若しくは、比表面積が0.9〜1.3m2/gであるセラミック材料201を混合させたものを用いるのが好適である。
【0081】
ここで、セラミック材料200、201の粒度は、公知の粒度解析装置(例えば「マイクロトラック」登録商標)により測定し、セラミック材料200、201の比表面積は、公知のBET法によって測定した。
【0082】
そして、このセラミック材料200とセラミック材料201とを、セラミック材料200が90〜99wt%含有され、セラミック材料201が1〜10wt%含有されるように混合するのが好適である。
【0083】
また、空気通過層27は、当該空気通過層27の膜厚が5μm〜100μmとなるように形成するのが好適であり、このときの気孔率が50%以上70%以下となるように形成するのが好適である。
【0084】
ここで、気孔率、膜厚の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって資料の断面画像を取り込んで画像解析を行い、気孔の専有面積を算出するという測定方法によって行われる。
【0085】
この空気通過層27の気孔率が50%未満である場合には、空気通過層27を通過する外気の拡散速度が低下し、参照電極層25に対して充分な外気の導入が困難となる。一方、70%を超えた場合には、空気通過層27の強度が低下してしまう虞がある。
【0086】
以上の気孔率は、空気通過層27を形成するセラミック材料に、平均粒径が1μm〜20μmである空孔形成剤としてのカーボン204を重量比率で45wt%〜55wt%含有させることで、好適に実現することができる。なお、本実施形態では、空孔形成剤としてカーボンを用いているが、空孔形成剤はカーボンに限らず種々の材料を用いることが可能である。
【0087】
ここで、空気通過層27の気孔率とは、空気通過層27の所定の単位体積あたりの気孔(空隙)205の体積の割合である。この空孔形成剤としてのカーボン204は検出素子2の焼成時に焼き飛ばされて空気通過層27の内部に連続気泡となる空孔を形成するものである。
【0088】
本実施形態では、図6,図7に示すように、50%粒径で0.05μmのセラミック材料200と有機ビヒクル203とを混合したスクリーン用ペーストに、50%粒径で2.0μmのセラミック材料201をセラミック材料200に対して1wt%添加した混合剤202に対して、空孔形成剤としてのカーボン204を45wt%含有させ、三本ロールミルにより均一に分散させたペースト状物を用いており、このペースト状物を焼成させることで、気孔205を有する多孔質構造の空気通過層27を形成している。
【0089】
有機ビヒクル203は、溶剤成分と、バインダーとしての樹脂成分とからなる媒体であり、溶剤成分や樹脂成分は特に制限されず、スクリーン用ペーストとして従来から汎用されているものを用いることができる。
【0090】
次に、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合することによる効果を説明する。
【0091】
まず、図8のグラフより、セラミック材料200に、当該セラミック材料200よりも粒径の大きいセラミック材料201を1〜10wt%含有するように混合させた場合、その他の混合比率の場合と比べて、空気通過層の破壊強度が大きくなっていることが理解される。
【0092】
すなわち、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有することで、空気通過層の破壊強度を目標破壊強度である100(MPa)よりも大きくすることができる。また、空気通過層27の膜厚を薄く形成する場合、空間容積を確保する必要があり、その場合は破壊強度が低下するが、本実施形態における構成の場合は強度を確保することができるので、その結果、空気通過層の膜厚を薄く(例えば5μm程度)することが可能となる。
【0093】
なお、本実施形態では、空気通過層の目標破壊強度を100(MPa)としているが、この100(MPa)という値は、酸素センサ1の製造時の歩留まりを向上させることのできる強度として便宜上設定した値に過ぎず、空気通過層の破壊強度を100(MPa)以上としなければならないことを意味するものではない。
【0094】
また、破壊強度の測定は、JIS規格に基づく3点曲げ試験によって測定したものである。
【0095】
また、図9のグラフより、セラミック材料200にセラミック材料201を1wt%含有させて形成したものの方が、セラミック材料200だけで形成したものよりも、製造時に生じる固体電解質層のクラックを抑制できるようになることが理解される。特に、空気通過層の膜厚を厚くした場合において、クラック発生率の上昇が低く抑えられる(例えば、空気通過層の膜厚が100μm以下であればクラック発生率を10%以下に抑えることができる)ことが理解される。
【0096】
すなわち、セラミック材料200にセラミック材料201を1wt%含有することで、酸素センサ1の製造時の歩留まりを向上させることができ、空気通過層の膜厚を厚くすることが可能となる。なお、図9に示す添加剤とはセラミック材料201のことである。
【0097】
さらに、図10に示すように、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有した場合、気孔形成のために添加するカーボン204の濃度を45〜50wt%の間で変化させたとしても、空気通過層の破壊強度を目標破壊強度である100(MPa)よりも大きくすることができる。
【0098】
このように、セラミック材料200にセラミック材料201を1〜10wt%含有することで、空気通過層の気孔率を大きくした際に、空気通過層の破壊強度が低下してしまうのを抑制することができる。
【0099】
また、図11に示すように、気孔205形成のために添加するカーボン204の濃度を45wt%とすると、空気通過層を通過する外気の拡散速度の低下を抑制しつつ空気通過層の破壊強度をより一層向上させることができる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の酸素センサ1では、絶縁性材料で形成された基体21と一体に形成された多孔質の空気通過層(セラミック層)27を、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成したため、当該空気通過層27の強度を向上させることができる。そして、このような空気通過層が形成された検出素子2を用いることで、酸素センサ(ガスセンサ)1の製造時に検出素子2が割れしてしまうのを抑制することができるようになる。また、充填材12の加圧によって検出素子2の内部に形成された空気通過層27の少なくとも受圧部分2fの座屈(損傷)を抑制することもできる。
【0101】
さらに、本実施形態では、検出素子2がロッド形状に形成されているので、酸素センサ1をコンパクトな構成とすることができる。
【0102】
以上、本発明にかかるセラミック構造体およびガスセンサの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限ることなく要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 酸素センサ(ガスセンサ)
2 検出素子(セラミック構造体)
2f 受圧部分(シール材の充填時に荷重がかかる部位)
4 ホルダ
4a 素子挿入孔
4g 粉充填スペース(シール材収納スペース)
5 シール部
12 セラミック粉(シール材)
27 空気通過層(セラミック層)
102 排気管
103 触媒
200 セラミック材料(一方のセラミック材料)
201 セラミック材料(他方のセラミック材料)
202 混合剤
204 カーボン(気孔形成助剤)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料で形成された基体と、当該基体と一体に形成された多孔質のセラミック層と、を備えるセラミック構造体であって、
前記セラミック層は、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成されることを特徴とするセラミック構造体。
【請求項2】
ガス成分を検出する検出素子と、
前記検出素子を挿入する挿入孔を有し、当該検出素子を嵌挿するホルダと、
前記ホルダの挿入孔の外周に設けられたシール材収納スペース内に圧縮されたシール材を充填することで、前記検出素子の外周と前記ホルダとの間をシールするシール部と、を備えたガスセンサにおいて、
前記検出素子の少なくとも前記シール材の充填時に荷重がかかる部位には、粒径および比表面積のうち少なくともいずれか一方が異なる複数のセラミック材料の混合剤によって形成された多孔質のセラミック層が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
ガス成分を検出する検出素子と、
前記検出素子を挿入する挿入孔を有し、当該検出素子を嵌挿するホルダと、
前記ホルダの挿入孔の外周に設けられたシール材収納スペース内に圧縮されたシール材を充填することで、前記検出素子の外周と前記ホルダとの間をシールするシール部と、を備えたガスセンサにおいて、
前記検出素子の前記シール部と対向する部位には、粒度分布の小さい第1のセラミック材料を90〜99wt%含有し、前記第1のセラミック材料に比して粒度分布の大きな第2のセラミック材料を1〜10wt%含有して構成されるセラミック層が形成されることを特徴とするガスセンサ。
【請求項1】
絶縁性材料で形成された基体と、当該基体と一体に形成された多孔質のセラミック層と、を備えるセラミック構造体であって、
前記セラミック層は、粒度分布の異なる複数のセラミック材料を混合した混合剤によって形成されることを特徴とするセラミック構造体。
【請求項2】
ガス成分を検出する検出素子と、
前記検出素子を挿入する挿入孔を有し、当該検出素子を嵌挿するホルダと、
前記ホルダの挿入孔の外周に設けられたシール材収納スペース内に圧縮されたシール材を充填することで、前記検出素子の外周と前記ホルダとの間をシールするシール部と、を備えたガスセンサにおいて、
前記検出素子の少なくとも前記シール材の充填時に荷重がかかる部位には、粒径および比表面積のうち少なくともいずれか一方が異なる複数のセラミック材料の混合剤によって形成された多孔質のセラミック層が設けられていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
ガス成分を検出する検出素子と、
前記検出素子を挿入する挿入孔を有し、当該検出素子を嵌挿するホルダと、
前記ホルダの挿入孔の外周に設けられたシール材収納スペース内に圧縮されたシール材を充填することで、前記検出素子の外周と前記ホルダとの間をシールするシール部と、を備えたガスセンサにおいて、
前記検出素子の前記シール部と対向する部位には、粒度分布の小さい第1のセラミック材料を90〜99wt%含有し、前記第1のセラミック材料に比して粒度分布の大きな第2のセラミック材料を1〜10wt%含有して構成されるセラミック層が形成されることを特徴とするガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−217023(P2010−217023A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64720(P2009−64720)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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