説明

セラミック焼結体およびセラミックフィルタ

再生処理等で熱応力がかかった際に、炭化珪素の粒子が破壊されることによって大きなクラックが発生するのを抑制でき、また、再生処理を繰り返し行った際に、担持した触媒が劣化するのを抑制でき、長期にわたって安定して使用することができるセラミック焼結体ならびにセラミックフィルタを提供することを目的とする。 本発明は、セラミック粗粒子、およびこのセラミック粗粒子群間にあってこれらを繋ぐように存在し、該セラミック粗粒子よりもその平均粒子径が小さなセラミック微粒子および/またはこれらの集合体からなる多結晶体の接合層とからなること特徴とするセラミック焼結体、ならびにこのセラミック焼結体を用いて作製されたセラミックフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
関連出願の記載
本出願は、2003年9月12日に出願された日本特許出願2003−361229号を基礎出願として、優先権主張する出願である。
[技術分野]
本発明は、セラミック焼結体およびこのセラミック焼結体を用いて作製されたセラミックフィルタ、とくに、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中のパティキュレート等を除去するために用いられるセラミックフィルタに関するものである。なお、このセラミックフィルタには、触媒を担持させることができる。
【背景技術】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガスは、微小なパティキュレートを多く含有していることから、環境や人体に害を及ぼすことが指摘されている。従って、この排気ガスについては、前記パティキュレートを除去して浄化することが求められている。このような要請に応えるために、排気ガス浄化用フィルタ、例えば、多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタが開発されている。
図6は、従来のハニカム構造のセラミックフィルタの例を示す。この従来フィルタは、排気ガス流路となる多数のセル31がセル壁33を隔てて長手方向に並列された円柱状のハニカム構造体30からなるものである。
前記セル31は、図6(b)に示すように、排気ガスの流入側または排出側の端部のいずれか一方が封止材32により目封じされ、あるセル31に流入した排気ガスは、これらのセル31を隔てるセル壁33を通過して、他のセル31から流出するようになっている。
このようなハニカム構造体30が内燃機関の排気通路に設置されると、内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、このハニカム構造体30を通過する際にセル壁33により捕捉され、その結果、排気ガスの浄化が行われる。
このようなハニカム構造のフィルタ材料としては、従来、コージェライト等の酸化物、炭化物等が用いられている。なかでも、炭化珪素は、熱伝導性、耐熱性、機械的特性および耐薬品性等に優れるという利点がある。
例えば、特開昭60−264365号公報には、平均アスペクト比が2〜50の板状結晶を主体として構成される三次元の網目構造を有する多孔質炭化珪素焼結体が開示されている。
特開平4−187578号公報には、平均粒径が0.3〜50μmのα型炭化珪素粉末と、平均粒径が0.1〜1.0μmのβ型炭化珪素粉末とを混合した原料粉末を成形し、焼成する多孔質炭化珪素焼結体の製造方法が開示されている。
特開平5−139861号公報には、平均粒径が0.5〜100μmの炭化珪素粉末と、平均粒径が0.1〜5μmのβ型多結晶炭化珪素粉末とを混合した原料粉末を焼成するβ型多孔質炭化珪素焼結体の製造方法が開示されている。
特開平6−182228号公報には、比表面積が0.1〜5m/gr、不純物成分が1.0〜5%の炭化珪素粉末を成形及び焼成する触媒担体の製造方法が開示されている。
特開平9−202671号公報には、平均粒径が0.3〜50μmのα型炭化珪素粉末、平均粒径が0.1〜1.0μmのβ型炭化珪素粉末等を混合した原料組成物を成形し、焼成する炭化珪素質ハニカムフィルタの製造方法が開示されている。
特開2000−16872号公報には、平均粒径が5〜100μmのα型炭化珪素粉末、平均粒径が0.1〜1μmのα型又はβ型炭化珪素粉末を混合した混合物を成形し、焼成する多孔質炭化珪素焼結体の製造方法が開示されている。
特開2001−97776号公報には、多孔質組織を構成する炭化珪素結晶粒子同士がネック部によって結合された焼結体であって、ネック部がなめらかな曲線状になっている多孔質炭化珪素焼結体等が開示されている。
排気ガス浄化用フィルタは、一般に、一定量のパティキュレートを捕集した後、そのパティキュレートを燃焼除去するための再生処理が施される。しかしながら、炭化珪素製フィルタは、これを再生処理すると、その際に発生する熱応力により、フィルタ自体に大きなクラックが発生することがあった。クラックが生じたフィルタは、これを長時間使用すると、そのクラックから排気ガスが漏れだし、パティキュレートの捕集が不完全になるという問題があった。このようなクラックは、炭化珪素粒子を横断して発生し、フィルタを破壊することもある。
また、特開2002−201082号公報には、炭化珪素粒子等の耐火性粒子と金属珪素とを含む多孔質のフィルタ用ハニカム構造体が開示されている。この種のハニカム構造体には、触媒が担持されており、その触媒は、パティキュレートの燃焼の活性化エネルギーを低下させたり、CO、HC及びNOx等の有害なガス成分を浄化する役割を担うものである。また、この触媒は、該ハニカム構造体への分散度が高いほどパティキュレートおよび有害なガス成分との反応サイトが増大し、活性が高くなる。しかし、高温になると、触媒の分散度を高くするために用いられたアルミナ等の触媒担体の比表面積が減少したり、触媒自身のシンタリングが起こる。その結果として、かえって分散度が悪くなることが知られている。また、この種のハニカム構造体は、炭化珪素のみからなるハニカム構造体に比べ、熱伝導率が低いため、再生処理時に、同量のパティキュレートを燃焼させた場合、セルの表面等のパティキュレートの燃焼部分からの熱が拡散しにくく、燃焼部分が極めて高温となり、担持した触媒の活性が低下してしまうことがあった。従って、耐火性粒子と金属珪素とを含むハニカム構造体は、これを再生処理すると、目視で確認できるような大きさのクラックが生じることがあった。
本発明の目的は、従来技術が抱えている上記課題を解決するためになされたものである。即ち、熱応力がかかったときに、セラミック粒子が破壊されることによって生じるクラックを抑制したり、繰り返しの熱応力がかかった際に、担持した触媒が劣化するのを抑制することができ、長期にわたって安定して使用することができるセラミック焼結体、およびこのセラミック焼結体を用いて作製されたセラミックフィルタを提供することにある。
【発明の開示】
本発明は、セラミック粗粒子と、このセラミック粗粒子の間にあってこれらを繋ぐように存在し、該セラミック粗粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径のセラミック微粒子を含む接合層と、からなることを特徴とするセラミック焼結体である。
本発明において、前記セラミック粗粒子は、単結晶体である。
また、本発明において、前記接合層は、前記セラミック粗粒子の平均粒径より小さい平均粒径のセラミック微粒子および/またはこれらの集合体の焼結体によって形成されていること、前記セラミック粗粒子よりも強度が小さい脆性体であること、複数個のセラミック微粒子からなる多結晶体であること、前記セラミック微粒子が粒界を残存しまま焼結したものによって形成されたものであること、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよび酸化物から選ばれるいずれか1種以上の焼結助剤を含有すること、そして、この焼結助剤の含有量は、セラミック粗粒子中に含まれる焼結助剤の量よりも多くしたこと、を特徴とする。
本発明のセラミック焼結体はまた、前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との平均粒径比が15:1〜1:200であること、前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との総重量比は1:1〜1:9であることを特徴とする。
次に、本発明は、ガスの流路となる多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並列しており、かつこれらのセルのうちのいずれか一方の端部が封止された、柱状の多孔質セラミック部材の1つまたは複数個の組合わせからなるハニカム構造のセラミックフィルタであって、このフィルタ本体が、セラミック粗粒子と、このセラミック粗粒子の間にあってこれらを繋ぐように存在し、該セラミック粗粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径のセラミック微粒子を含む接合層と、からなることを特徴とするセラミック焼結体によって形成されていることを特徴とするセラミックフィルタを提案する。
本発明の上記セラミックフィルタにおいて、前記セラミック粗粒子および前記接合層の具体的な構成については、上述したセラミック焼結体で説明したのと同じであるから、詳しい説明は省略する。
本発明において用いられるセラミックは、例えば、アルミナ、ジルコニア、ムライト、シリカ、コージェライトム、ムライト等が使用できる。
上記窒化物セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等がある。
また、炭化物セラミックとしては、例えば、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等がある。
これらのセラミックは、単独で用いてもよく、2種以上を混合したものであってもよい。
本発明において、上記セラミック焼結体は、前記セラミック粗粒子および前記接合層として炭化珪素を用いること、そして、そのセラミックは、粒子の粒径分布(縦軸:粒子数、横軸:粒径)によると、ピークを示す粒径が2つ存在するものであり、平均粒子径が30μm以上であるものを用いることが好ましい。
また、上記セラミック焼結体は、多孔質体であることが好ましい。
以下、本発明のセラミック焼結体について、主として炭化珪素を用いた例について説明する。従って、以下の説明において、セラミック焼結体は炭化珪素焼結体といい、炭化珪素からなる上記粗粒子は、炭化珪素粗粒子といい、セラミック微粒子を炭化珪素微粒子と言うことがある。
また、本発明のセラミックフィルタにおける構造の特徴であるハニカム構造体とは、排ガス流路となる多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並列配置された柱状のものであって、一体型のものと集合型の両方がある。ここで、一体化した構造を有する一体型ハニカム構造体とは、全体が単一体として成形されたものであり、一方、集合型ハニカム構造体とは、セラミック焼結体(ユニット)がシール材層を介して複数個組み合わされた構造を有するものである。
本発明のセラミックフィルタは、上記炭化珪素焼結体を用いた集合型ハニカム構造体を用いて作製することが好ましい。
集合型ハニカム構造のセラミックフィルタは、各ユニット間だけでなく、その外周面にも、シール材層が形成されていることが好ましく、これらのシール材層は、接着機能を有する接着剤を用いることが好ましい。
上述した構成を有する本発明のセラミック焼結体、即ち、炭化珪素焼結体は、上述したように、炭化珪素粗粒子と炭化珪素微粒子との平均粒径比を15:1〜200:1とし、かつ、総重量比を1:1〜9:1とすること、および前記炭化珪素粗粒子の間に、炭化珪素微粒子および/または炭化珪素微粒子群によって形成された多結晶質体からなる接合層を介在させたことから、この接合層が、上述した熱衝撃を緩和する機能を発揮して、該焼結体にクラックが入るのを効果的に阻止できるようにした点に特徴がある。
また、かかる炭化珪素焼結体では、炭化珪素粗粒子の平均粒子直径を30μm以上にすることで、上記接合層の数が少なくなる一方で、この接合層1個あたりの上記炭化珪素微粒子の数が多くなるので、上記炭化珪素微粒子および/または上記炭化珪素微粒子群により形成された多結晶質体からなる層(接合層)の厚みを充分に確保することが可能となり、上述した熱衝撃の緩和に対して有効に作用する。なお、上記接合層とは、上記炭化珪素粗粒子の個々の粒子どうしが1以上の上記炭化珪素微粒子および/または上記炭化珪素微粒子により形成された多結晶質体を介して結合している結合部分を意味する。
また、上記炭化珪素焼結体を用いて作製された本発明にかかるセラミックフィルタでは、シール材層の作用によりハニカム構造体全体を包囲圧縮することができ、衝撃や熱応力等による微小なクラックが目視できるような大きさにまで進展すること、およびクラックの発生に伴う炭化珪素粒子の脱粒を効果的に防止することができるようになる。
上記炭化珪素焼結体が用いられ、このような焼結体を用いて作製されたハニカム構造体がシール材層を介して複数個組み合わされて一体化してなる集合型セラミックフィルタでは、上記シール材層により熱応力を低減して耐熱性を向上させること、およびハニカム構造体の個数を増減させることで自由にその大きさを調できる点で有利であり、このようなフィルタでは、セルを隔てるセル壁により排気ガス中のパティキュレート等をより効率よく捕集することが可能となる。
また、本発明の上記セラミックフィルタを車両の排気ガス浄化装置に用いると、再生処理を繰り返し行っても、長期にわたって排気ガス中のパティキュレートを漏れなく捕集することができ、触媒を担持させた場合に該触媒の劣化を抑えることができ、衝撃や熱応力等によって生じる微小なクラックを目視できる程度の大きさにまで成長しないので、破壊することがなく、クラックの発生に伴う炭化珪素粒子の脱粒を防止することができ、耐熱性を向上させることができ、そして、自由にその大きさを調整すること等が可能である。
【図面の簡単な説明】
図1(a)は、本発明の炭化珪素焼結体を用いた一体型ハニカム構造体の一例を模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A矢視断面図である。
図2は、構成する炭化珪素粗粒子と炭化珪素微粒子との結合状態の一例(実施例10)を示す本発明の炭化珪素焼結体のSEM写真である。
図3は、構成する炭化珪素粗粒子と炭化珪素微粒子との結合状態の他の例(参考例1)を炭化珪素焼結体のSEM写真である。
図4は、参考例1における結合状態の断面の結晶状態を示す本発明の炭化珪素焼結体のTEM写真である。
図5(a)は、参考例1における結合状態の断面を2000倍のFE−SEM写真、図5(b)、図5(c)は、図5(a)中のA、Bそれぞれの位置における元素分析のX線スペクトル図である。
図6は、炭化珪素焼結体を用いた本発明の集合体型ハニカム構造体の一例を示した斜視図である。
図7は、本発明のセラミックフィルタを装着した車両の排気ガス浄化装置の一例を示した断面図である。
図8(a)は、従来のハニカム構造体の一例を示した斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のB−B矢視断面図である。
図9は、比較例7における炭化珪素焼結体のSEM写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
ハニカム構造体を有するセラミック焼結体の望ましい具体例として、図1に、炭化珪素を用いた一体型ハニカム構造のセラミックフィルタ(以下、単に「一体型ハニカムフィルタ」という)20を示す。この一体型ハニカムフィルタ20は、四角柱状の多孔質体であり、その長手方向に多数のセル21がセル壁23を隔てて並列して配置されている。これらのセル21は、排気ガスの流入側又は排出側の端部のいずれかが封止材22により封止され、これらのセル21どうしを隔てるセル壁23がフィルタとして機能するようになっている。即ち、一のセル21に流入した排気ガスは、必ずセル壁23を通過した後、他のセル21から流出するようになっている。
この一体型ハニカムフィルタ20の本体は、とくに前記セル壁23は、粒径の大きい炭化珪素粗粒子101と粒径の小さい炭化珪素微粒子102および/またはその集合体からなる接合層とからなる多孔質の焼結体により形成されている。即ち、図2および図3に示すように、この一体型ハニカムフィルタは、個々の炭化珪素粗粒子101が、炭化珪素微粒子102、および/またはこれらの炭化珪素微粒子102の群からなる集合体の多結晶質体103(接合層)を介して結合した構造を具えるものである。
このような一体型ハニカムフィルタ20では、再生処理のとき等に発生する熱応力が、上述したように、炭化珪素微粒子102および/または前記多結晶質体103からなる接合層の部分の役割によって緩和を受ける。このような緩和のメカニズムは定かでないが、以下のように考えられる。例えば、図3に示すようなSEM等で観察しないと確認できない程度の微細なクラック104が、この多結晶質体103からなる接合層に発生しても、このクラックは、骨格粒子である炭化珪素粗粒子101に伝播し、目視で確認できるような大きなクラックに進展するのを防止するのである。それは、炭化珪素微粒子102および/またはそれらの集合体からなる多結晶質体103によって形成される接合層では、炭化珪素微粒子102がランダムな方向に複雑に入り組んで結合しているためではないかと考えられる。従って、一体型ハニカム構造体20では、再生処理等の後も継続して排気ガス中のパティキュレートを確実に捕集することができる。
なお、炭化珪素微粒子102群により形成された多結晶質体103からなる接合層は、接着・接合作用を有するセラミック接合体またはセラミック粗粒子に比べて強度が小さく破壊しやすいセラミック脆性体としての特性を示すものである。また、これらのセラミック接合体またはセラミック脆性体は、炭化珪素微粒子102が粒子形状を維持したまま多結晶状に凝集したものである。従って、炭化珪素微粒子102が粒子形状を維持することなく融合して一体化したものとは、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察により、区別することができる。
また、接合層を構成するこれらの微粒子の界面に、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム等の金属、それらの金属酸化物を含むことが望ましい。
これらは、セラミックの焼結助剤としての働きの他、応力を緩和作用があるものと考えられる。即ち、セラミックの融点が2000℃程度であるのに比べて、金属の融点は、鉄1540℃、アルミニウム660℃、ニッケル1450℃、チタン1660℃、クロム1860℃のように、低温で溶けやすい。その結果、たとえば、フィルタとして用いる場合、一番熱応力がかかる高温の時、即ち、セラミックが熱膨張等を引き起こす際に、金属が溶け弾性体のようになってセラミック粒子間の応力を緩和したり、セラミック粒子間に空隙を生じさせることによって、セラミックの粒子間の圧縮力が緩和され、その結果として、応力の緩和ができるものと考えられる。
また、特に微粒子が、炭化物、窒化物セラミックである場合、粒界は酸化物セラミック(例えば、シリカ)であることが好ましい。炭化物セラミックや窒化物セラミックよりも、酸化物セラミックの方が熱伝導率が低いので、接合層が、炭化物セラミックや窒化物セラミックのみのものに比べて、部分的な断熱効果が生まれ、急激な温度差が生じにくくなって、熱応力を緩和できるものと考えられる。また、焼成を阻害する物質として働くこともある。
本発明において、セラミック焼結体の骨格粒子となる炭化珪素粗粒子101は、炭化珪素微粒子102の平均粒径よりも大きい平均粒径であればよい。好ましい下限の大きさは30μm、好ましい上限の大きさは70μmである。その理由は、30μm未満だと、上記接合層の数が多くなり、厚さが薄くなりすぎるため、該接合層において応力を充分に緩和することができなくなるからである。一方、平均粒径が70μmを超えると、逆に該接合層の数が少なくなり、該接合層を厚く形成することが困難になるため、ハニカム構造体20の強度が低くなり、形状が保持できなくなることがある。その上、70μmを超えると、成形して作製する際に、成形不良を発生してしまうことがある。
本発明において、セラミック焼結体の前記接合層を構成している前記炭化珪素微粒子102は、炭化珪素粗粒子101の平均粒径よりも小さい平均粒径であればよく、好ましい下限の大きさは0.1μm、好ましい上限の大きさは2.0μmである。その理由は、0.1μm未満だと、炭化珪素微粒子の焼成が促進されてしまうので、接合層が粗粒子に取り込まれてしまい、接合層が生じにくくなるものと考えられる。また、炭化珪素微粒子102の製造単価が上昇し、コストアップにつながってしまう。一方、2.0μmを超えると、炭化珪素微粒子102による前記接合層の形成が困難になり、該接合層において応力を効果的に緩和することができないからであると考えられる。
前記炭化珪素粗粒子101と炭化珪素微粒子102との平均粒径比(炭化珪素粗粒子101の平均粒径/炭化珪素微粒子102の平均粒径)の望ましい下限は15倍であり、望ましい上限は200倍である。その理由は、15倍未満であると、炭化珪素微粒子102による結合部の形成が困難になり、前記接合層において充分に応力を緩和することができないことがある。一方、200倍を超えると、一体型ハニカム構造体20の強度が極端に低下し、製造時や車両に搭載して使用したときの振動等で、容易に破壊するからである。
前記炭化珪素粗粒子101と炭化珪素微粒子102との総重量比(炭化珪素粗粒子101の総重量/炭化珪素微粒子102の総重量)の望ましい下限は1倍であり、望ましい上限は9倍である。その理由は、1倍未満だと、炭化珪素微粒子102の割合が多いために、前記接合層以外にも炭化珪素微粒子102の凝集部分が形成され、緻密化され、多孔体となりにくく、また、その部分に熱応力が集中することによって、一体型ハニカム構造体20が容易に破壊されることが考えられる。一方、9倍を超えると、炭化珪素微粒子102の割合が少ないために、炭化珪素微粒子102による前記接合層の形成が困難になり、該接合層において充分に応力を緩和することができないからである。
セル31の端部を塞ぐための前記封止材22は、セル壁23と同じ多孔質セラミックからなる材料であることが望ましい。その理由は、両者の接着強度を高くなるとともに、封止材22の気孔率をセル壁23と同様に調整することで、セル壁23の熱膨張率と封止材22の熱膨張率との整合を図ることができる。その結果として、製造時や使用時の熱応力によって封止材22とセル壁23との間に隙間が生じたり、封止材22やこれと接するセル壁23にクラックが発生したりするのを防止することができる。
上記一体型ハニカムフィルタ20は、パティキュレートの燃焼の活性化エネルギーを低下させたり、排気ガス中のCO、HC及びNOx等の有害な成分を浄化するための触媒を担持させてもよい。即ち、セル壁23の表面等に触媒を担持した一体型ハニカムフィルタ20は、排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタとして機能する他、排気ガスに含有されるCO、HC及びNOx等を浄化するための触媒コンバータとしても機能するものになる。
上記一体型ハニカムフィルタ20は、主として炭化珪素粗粒子101と炭化珪素微粒子102とを素材として用いているため、高熱伝導性を示す。従って、熱伝導性に劣る炭化珪素粒子を金属珪素により結合してなる従来のハニカム構造体に比べ、再生処理時にフィルタ内の最高温度が高くなることはなく、触媒の活性を低下させることもない。
前記ハニカムフィルタ20に担持させる触媒としては、パティキュレートの燃焼の活性化エネルギーを低下させたり、排気ガス中のCO、HC及びNOx等の有害な成分を浄化することができるものであればよく、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属等を使用することができる。なかでも、白金、パラジウム、ロジウムからなる、いわゆる三元触媒が好ましい。また、貴金属に加えて、アルカリ金属(元素周期表1族)、アルカリ土類金属(元素周期表2族)、希土類元素(元素周期表3族)、遷移金属元素等が好ましい。
この触媒は、ハニカムフィルタ20の気孔表面に担持させていてもよいし、セル壁23上に、所定の厚みをもって均一に担持させていてもよい。また、この触媒は、セル壁23の表面および/または気孔の表面に均一に担持していてもよいし、ある一定の場所に偏って担持したものでもよい。なかでも、流入側のセル21内におけるセル壁23の表面又は表面付近の気孔の表面に担持したものが望ましく、その両方に担持したものであることがより好ましい。それは、上記触媒とパティキュレートとが接触しやすいため、パティキュレートの燃焼を効率よく行うことができるからである。
ハニカムフィルタ20に上記触媒を付与するときは、ハニカム構造体の表面を予めアルミナ等のサポート材により被覆した後に、該触媒を付与することが望ましい。その理由は、ハニカム構造体の比表面積を大きくして、触媒の分散度を高め、触媒の反応部位を増やすことができるからである。また、サポート材によって触媒金属のシンタリングを防止することができるので、触媒の耐熱性も向上し、圧力損失を小さくすることができる。
触媒を担持した一体型ハニカム構造体は、公知の触媒付DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)と同様のガス浄化装置として機能するものである。なお、ここでは、本発明の一体型ハニカム構造体が触媒担持体としても機能する場合の詳しい説明は省略する。
図1に示した一体型ハニカムフィルタ20は、四角柱状であるが、本発明の一体型ハニカム構造体の形状としては、柱状体であれば特に限定されず、例えば、長手方向に垂直な断面の形状が多角形、円形、楕円形、扇形等からなる柱状体を挙げることができる。
一体型ハニカムフィルタ20を構成する炭化珪素ハニカム構造体の気孔率は特に限定されないが、望ましい下限は30%であり、望ましい上限は80%である。その理由は、構造体の気孔率が30%未満だと、該ハニカムフィルタ20がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、80%を超えると、一体型ハニカムフィルタ20の強度が低下して容易に破壊することがある。なお、上記気孔率は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法及び走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
一体型ハニカムフィルタ20の平均気孔径は5μm以下が望ましく、一方、上限は50μm以下である。その理由は、5μm未満だと、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがある。一方、50μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートの捕集効率が下がり、フィルタとして機能しないことがある。
また、図示を省略したが、本発明の一体型ハニカムフィルタでは、外周面にシール材層が形成することが望ましい。
このような一体型ハニカムフィルタは、その外周面にシール材層を形成したものであってもよい。それは、このハニカム構造体外周面にシール材層が形成されることにより、このシール材層により本発明の一体型ハニカム構造体を結束するのに有効であり、衝撃や更なる熱応力等により微小なクラックが目視できるような大きさにまで進展することや、クラックの発生に伴う炭化珪素粒子の脱粒を防止することができるからである。
上記シール材層を構成する材料としては、例えば、無機バインダーと、有機バインダーと、無機繊維および/または無機粒子からなるシール材等を使用することができる。
上記無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダーのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダーのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、シリカ−アルミナファイバーが望ましい。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等からなる無機粉末またはウィスカー等が望ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が望ましい。
次に、本発明にかかるセラミックフィルタとしては、上述したような1個のみからなる一体型セラミックフィルタの他、接着性シール材層を介してその複数個を結束してなる集合体型セラミックフィルタとして構成したものがある。
このような集合体型ハニカムフィルタの場合、上記シール材層により熱応力を緩和してフィルタの耐熱性を向上させることができる他、セラミック構造体をユニットとしてその個数を増減させることにより、大きさを自由に調整することができる点で望ましい実施形態である。なお、一体型ハニカムフィルタと集合体型ハニカムフィルタとは、フィルタ機能は同じである。
図4は、本発明の他の実施形態を示すものであり、ハニカム構造体のセラミック(炭化珪素)焼結体のユニット複数個を、シール材層を介して円柱状に結束させて集合型ハニカムフィルタとしたものを示す斜視図である。この図に示すように、集合型ハニカムフィルタ10は、排気ガス浄化用フィルタとして用いられるものであり、ハニカム構造の前記ユニットをシール材層14を介してその複数個を円柱状に結束してハニカムブロック15として構成し、このハニカムブロック15の周囲にはさらに、排気ガスの漏洩を防止するための別のシール材層13を被覆したものである。
この集合型ハニカムフィルタ10において、シール材層14は、セラミックハニカム構造体ユニット20間に介挿され、複数個のセラミックハニカム構造体ユニットどうしを結束して接着する接着剤として機能するものである。一方、シール材層13は、前記ユニットの集合体であるハニカムブロック15の外周面を取り囲むように形成され、集合型ハニカムフィルタ10を内燃機関の排気通路に設置した際、ハニカムブロック15の外周面からセルを通過する排気ガスが漏れ出すのを防止するためのシール材層として機能するものであり、セラミック焼結体本体よりも気体を通過させにくい材質からなることが望ましい。
なお、この集合型ハニカムフィルタ10において、シール材層13とシール材層14とは、同じ材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。さらに、シール材層13及び接着剤層14が同じ材料からなるものである場合、その材料の配合比は同じものでもよく、違うものでもよい。
ただし、シール材層14は、排気ガスの流入が可能な多孔質材料でもよいが、緻密質材料らなるものが好ましく、一方、シール材層13は、緻密質材料からなるものが望ましい。それは、シール材層13の場合は、集合型ハニカムフィルタ10を内燃機関の排気通路に設置した際、ハニカムブロック15の外周面から排気ガスが漏れ出すのを防止する目的で用いるものだからである。
シール材層13およびシール材層14を構成する材料としては、例えば、上述した無機バインダー、有機バインダー、無機繊維、無機粒子を配合してなるものを用いることができる。
かかる集合型ハニカムフィルタ10は、図6に示すような円柱状でもよいが、柱状体であれば、例えば、長手方向に垂直な断面の形状が多角形、円形、楕円形等であってもよい。
かかる集合型ハニカムフィルタ10は、ハニカム構造体ユニットを複数個結束させた後、長手方向に垂直な断面の形状が多角形、円形又は楕円形等となるように外周部を加工してもよいし、予め前記ハニカム構造体ユニットの断面形状を加工した後に、それらを接着剤により結束させることによって、長手方向に垂直な断面の形状を多角形、円形又は楕円形等としてもよい。、例えば、長手方向に垂直な断面の形状が円を4分割した扇形である柱状の一体型ハニカム構造体を4個結束させて円柱状の集合型ハニカムフィルタとしたものでもよい。
次に、上述した本発明に係る炭化珪素焼結体を用いてハニカムフィルタを製造する方法の一例について説明する。
上記ハニカム構造体が、その全体が単一の炭化珪素焼結体(ハニカム構造体ユニット)から構成された一体型ハニカムフィルタである場合、まず、上述したような炭化珪素粗粒子及び炭化珪素微粒子を主成分とする原料ペーストを用いて押出成形を行い、所望の一体型ハニカムフィルタと略同形状の炭化珪素生成体を作製する。
上記原料ペーストとしては特に限定されないが、製造後の一体型ハニカムフィルタの気孔率が30〜80%となるものを用いることが望ましく、例えば、上述したような炭化珪素粗粒子及び炭化珪素微粒子に、バインダー及び分散媒液等を加えたものを用いることができる。
上記バインダーとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等をもちいることができる。上記バインダーの配合量は、通常、炭化珪素粒子100重量部に対して、1〜20重量部程度が望ましい。
上記分散媒液としては、例えば、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール、水等を用いることができる。上記分散媒液は、上記原料ペーストの粘度が一定範囲内となるように適量配合される。
これら炭化珪素粉末、バインダー及び分散媒液は、アトライター等で混合し、ニーダー等で充分に混練した後、押出成形工程に供される。
なお、上記原料ペーストには、焼成を阻害する物質、および/または、焼成を進行させる焼結助剤を添加してもよい。上記炭化珪素微粒子の平均粒径、粒径分布及び配合量に応じて、上記焼成を阻害する物質や上記焼結助剤の平均粒径、粒件分布及び配合量を調整することにより、焼成後のハニカム構造体のセラミック成形体を、上記炭化珪素粗粒子の個々の粒子どうしが、上記炭化珪素微粒子、および/または、上記炭化珪素粒子により形成された多結晶質体からなる接合層を介して結合した構造のものにすることができる。
また、上記原料ペーストには、必要に応じて成形助剤を添加してもよい。この成形助剤としては、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリビニルアルコール等を用いることができる。
上記原料ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を用いることができる。これらのなかでは、フライアッシュバルーンが望ましい。
次に、上記セラミック成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥し、セラミック乾燥体とした後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填し、上記セルのいずれか一方の端部を目封じする封口処理を施す。
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜80%となるものが望ましく、例えば、上記原料ペーストと同様のものを用いることができる。上記原料ペーストは、炭化珪素粒子に潤滑剤、溶剤、分散剤及びバインダーを添加したものであることがより望ましい。その理由は、上記封口処理の途中で封止材ペースト中の炭化珪素粒子が沈降するのを防止できるからである。
次に、上記封止材ペーストが充填された炭化珪素成形体の乾燥体に対して、所定の条件で脱脂、焼成を行うことにより、全体が一の多孔質の焼結体から構成された炭化珪素の一体型ハニカムフィルタを製造することができる。
上記乾燥体の脱脂の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
上記乾燥体の焼成の条件は、焼成後のハニカム構造体を、上記炭化珪素粗粒子の個々の粒子どうしが、上記炭化珪素微粒子および/または上記炭化珪素粒子の集合体により形成された多結晶質体の接合層を介して結合した構造のものにすることができるように、上記炭化珪素粗粒子、上記炭化珪素微粒子、上記焼成を阻害する物質、上記焼成を進行させる焼結助剤等の平均粒径、粒度分布および配合量に応じて決定される。具体的には、例えば、1800〜2200℃、3時間の条件等が好適に用いられる。
なお、上記一体型ハニカムフィルタに触媒を担持させる場合には、焼成して得られたセラミック焼成体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に白金等の触媒を付与することが望ましい。
炭化珪素焼結体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液を、炭化珪素焼結体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液を炭化珪素焼結体に含浸させて加熱する方法等がある。
アルミナ膜に助触媒等を付与する方法としては、例えば、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液を炭化珪素焼結体に含浸させて加熱する方法等を用いることができる。
アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO)等をセラミック焼成体に含浸させて加熱する方法等を用いることができる。
また、上記ハニカム構造体が、図6に示したような、ハニカムユニットをシール材層14を介して複数個結束して構成した集合体型ハニカムフィルタ10である場合、ハニカム構造体ユニットの側面に、シール材層14となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布し、順次他のハニカム構造体ユニットを積層する工程を繰り返し、所定の大きさの角柱状の集合型ハニカム構造体の積層体を作製する。
なお、上記シール材ペーストを構成する材料としては、既に説明しているのでここではその説明を省略する。
次に、ハニカム構造体ユニットの積層体(集合体)を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層14とし、その後、ダイヤモンドカッター等を用いて、その外周部を図6に示したような形状に切削することで、ハニカムブロック15を作製する。
そして、そのハニカムブロック15の外周に、上記シール材ペーストを用いてシール材層13を形成することで、複数個のハニカム構造体ユニットがシール材層14を介して結束されて形成された集合体型ハニカムフィルタ10を製造することができる。
本発明のセラミック焼結体が用いられたハニカムフィルタの用途としては、車両の排気ガス浄化装置に用いることが望ましい。図7は、ハニカム構造体が設置された車両の排気ガス浄化装置の一例を模式的に示した断面図である。
図7に示したように、排気ガス浄化装置600は、主に、ハニカムフィルタ60、ハニカムフィルタ60の外方を覆うケーシング630、ハニカムフィルタ60とケーシング630との間に介挿される保持シール材620、及び、ハニカムフィルタ60の排気ガス流入側に設けられた加熱手段610から構成されており、ケーシング630の排気ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管640が接続されており、ケーシング630の他端部には、外部に連結された排出管650が接続されている。なお、図7中、矢印は排気ガスの流れを示している。
また、図7において、ハニカムフィルタ60は、図1に示した一体型ハニカムフィルタ20であってもよく、図6に示した集合体型ハニカムフィルタ10であってもよい。
このような構成からなる排気ガス浄化装置600では、エンジン等の内燃機関から排出された排気ガスは、導入管640を通ってケーシング630内に導入され、流入側が開口したセルからハニカムフィルタ60内に流入し、セル壁を通過して、このセル壁でパティキュレートが捕集されて浄化された後、流出側が開口したセルからハニカムフィルタ60外に排出され、排出管650を通って外部へ排出されることとなる。
また、排気ガス浄化装置600では、ハニカムフィルタ60のセル壁に大量のパティキュレートが堆積し、圧力損失が高くなると、ハニカムフィルタ60の再生処理が行われる。
上記再生処理では、加熱手段610を用いて加熱されたガスをハニカムフィルタ60のセルの内部へ流入させることで、ハニカムフィルタ60を加熱し、セル壁に堆積したパティキュレートを燃焼除去する。また、ポストインジェクション方式を用いてパティキュレートを燃焼除去してもよい。
【実施例】
以下に実施例を掲げ、図面を参照して本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[本発明の実施例1]
(1)平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末(炭化珪素粗粒子)70重量%と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素粉末(炭化珪素微粒子)30重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を15重量部、水を20重量部加えて混練して原料ペーストを作製した。なお、上記炭化珪素微粒子としては、予め硝酸、フッ酸、塩酸等により酸洗浄した後に、焼結助剤として、平均粒子直径が0.1μm、粒径分布が平均粒径に対して±10%以内の鉄粉末を炭化珪素微粒子100重量部に対して0.7重量部添加したものを使用した。
次に、上記原料ペーストに可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押出成形を行い、図1(a)に示したものと略同じ断面形状のセラミック成形体を作製した。次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記セラミック成形体を乾燥し、セラミック乾燥体とした、その後、上記セラミック成形体と同じ組成のペーストを所定のセルに充填し、再び乾燥機を用いて乾燥した。次に、その乾燥体を400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下1900℃、3時間の条件で焼成を行い、図1に示すような、気孔率が50%、平均気孔径が12μm、大きさが34mm×34mm×150mm、セルの数が324個、セル壁23の厚さが0.4mmの炭化珪素焼結体からなるハニカムフィルタ20を製造した。
(2)繊維長0.2mmのアルミナファイバー30重量%、平均粒径0.6μmの炭化珪素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材ペーストを用いて、ハニカム構造のフィルタユニットを16個(4個×4個)結束し、次いで、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、図6に示すような、直径144mm×長さ150mmの円柱状のハニカムブロック15を作製した。このとき、一体型ハニカムフィルタユニットを結束するシール材層14の厚さは、1.0mmとなるように調整した。
次に、無機繊維としてアルミナシリケートからなるセラミックファイバー(ショット含有率:3%、繊維長:0.1〜100mm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化珪素粉末30.2重量%、無機バインダーとしてシリカゾル(ゾル中のSiOの含有率:30重量%)7重量%、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%、及び、水39重量%を混合、混練してシール材用ペーストを調製した。
上記シール材用ペーストを用いて、前記ハニカムブロック15の外周面に、厚さ1.0mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、図6に示すような円柱状で、主として炭化珪素焼結体からなる集合体型ハニカムフィルタ10を製造した。
(3)Al(NOを1,3−ブタンジオール中に投入し、60℃で5時間攪拌することによりAl(NOを30重量%含有する1,3−ブタンジオール溶液を作製した。この1,3−ブタンジオール溶液中に集合体型ハニカム構造体10を浸漬した後、150℃で2時間、400℃で2時間加熱し、更に80℃の水に2時間浸漬した後、700℃で8時間加熱して集合体型ハニカムフィルタ10の表面にアルミナ層を形成した。
Ce(NOをエチレングリコール中に投入し、90℃で5時間攪拌することによりCe(NOを6重量%含有するエチレングリコール溶液を作製した。このエチレングリコール溶液中に、表面にアルミナ層を有する集合体型ハニカムフィルタ10を浸漬し、次いで、150℃で2時間、窒素雰囲気中650℃で2時間加熱して、集合体型ハニカムフィルタ10の表面に、希土類酸化物含有アルミナ層からなる触媒層を形成した。
白金濃度4.53重量%のジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NH(NO]HNO)を蒸留水で希釈し、得られたその溶液中に、表面に希土類酸化物含有アルミナ層が形成された集合体型ハニカムフィルタ10を浸漬し、表面に、Ptが2g/Lとなるように付着させ、その後、110℃で2時間、窒素雰囲気中500℃で1時間加熱して、集合体型ハニカムフィルタ10の表面に、平均粒子直径2nmの白金触媒を担持させた。
[本発明の実施例2〜11]
原料ペーストを作製する際に使用する炭化珪素粗粒子及び炭化珪素微粒子の平均粒子直径、炭化珪素粗粒子と炭化珪素微粒子との配合比、及び、セラミック乾燥体を焼成して一体型ハニカムフィルタ20を製造する際の焼成温度を下記の表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、円柱状で、主として炭化珪素焼結体からなり、白金触媒を担持させた集合体型ハニカムフィルタ10を製造した。
(参考例1)
平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末(炭化珪素粗粒子)70重量%と、平均粒子直径0.5μmのα型炭化珪素粉末(炭化珪素微粒子)30重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を15重量部、水を20重量部加えて混練して原料ペーストを作製した。なお、上記炭化珪素微粒子としては、予め硝酸により酸洗浄した後に、焼結助剤として、平均粒子直径が0.1μm、粒径分布が平均粒径に対して±10%以内の鉄粉末を炭化珪素微粒子100重量部に対して0.7重量部添加したものを使用した。
次に、上記原料ペーストに可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押出成形を行い、図6に示したものと略同じ断面形状のセラミック成形体を作製した。次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記セラミック成形体を乾燥し、セラミック乾燥体とした後、上記セラミック成形体と同じ組成のペーストを所定のセル内に充填し、再び乾燥機を用いて乾燥した。次に、400℃で脱脂処理し、常圧のアルゴン雰囲気下1900℃、3時間の条件で焼成を行うことにより、図6に示したような、気孔率が50%、平均気孔径が12μm、直径144mm×長さ150mm、セル壁23の厚さが0.4mmの炭化珪素焼結体からなる円柱状のハニカムフィルタ30を製造した。
(2)上述の(1)で製造したハニカムフィルタ30に、本発明実施例1の(3)と同様にして、触媒を付与した。
(比較例1〜9)
原料ペーストを作製する際に使用する炭化珪素粗粒子および炭化珪素微粒子の平均粒径、炭化珪素粗粒子と炭化珪素微粒子との配合比、セラミック乾燥体を焼成して一体型ハニカムフィルタ20を製造する際の焼成温度、及び、炭化珪素微粒子に添加する鉄粉末の粒径分布を下記の表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、円柱状で、主として炭化珪素焼結体からなり、白金触媒を担持させた集合体型ハニカムフィルタ10を製造した。
なお、比較例2では、原料ペーストに可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練した後、押出成形を行い、図1(a)に示したものと略同じ断面形状のセラミック成形体を作製しようとしたが、成形不良であったため、以後の工程は行わなかった。
また、比較例5で製造されたハニカム構造体は、焼成不良のため強度が不充分なものであった。
(比較例10)
(1)平均粒径32.6μmのα型炭化珪素粉末70重量%と、平均粒径4.0μmの金属珪素30重量%とを湿式混合し、得られた混合物100重量部に対して、有機バインダー(メチルセルロース)を6重量部、界面活性剤を2.5重量部、水を24重量部加えて混練して原料ペーストを作製した。
次に、上記原料ペーストを用いて押出成形を行い、図1(a)に示したものと略同じ断面形状のセラミック成形体を作製した。次に、マイクロ波乾燥機を用いて上記セラミック成形体を乾燥し、セラミック乾燥体とした後、上記セラミック成形体と同じ組成のペーストを所定のセル内に充填し、再び乾燥機を用いて乾燥した。次に、酸化雰囲気において550℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下1600℃、3時間の条件で焼成を行うことにより、図1(a)に示したような、気孔率が50%、平均気孔径が20μm、大きさが34mm×34mm×150mm、セルの数が324個、セル壁23の厚さが0.4mmの炭化珪素−金属珪素焼結体からなる一体型ハニカムフィルタ20を製造した。
(2)上述の(1)で製造した一体型ハニカムフィルタ20を用いたこと以外は、実施例1の(2)及び(3)と同様にして、円柱状で、主として炭化珪素−金属珪素焼結体からなり、白金触媒を担持させた集合体型ハニカムフィルタ10を製造した。
(評価試験)
(1)炭化珪素粒子の結合状態
各実施例、参考例及び比較例に係るハニカムフィルタについて、10mm×10mmの範囲をSEMにより2000倍で観察し、炭化珪素粗粒子の個々の粒子どうしが1以上の炭化珪素微粒子、および/または、炭化珪素粒子により形成された多結晶質体を介して結合しているか否か、即ち、結合部の有無を確認した。その結果を下記の表1に示した。実施例10の2000倍のSEM写真を、図2に示す。比較例7の5000倍のSEM写真を、図9に示す。
(2)再生処理時におけるクラックの発生の有無
本発明実施例、参考例および比較例に係るハニカム構造体を用いて、図6に示したような排気ガス浄化装置を作製し、エンジンの排気通路に配設した。上記エンジンを回転数3000rpm、トルク50Nmで所定の時間運転し、その後に再生処理(ポストインジェクション方式)を100回繰り返し行い、ハニカム構造体にクラックが発生したか否かを目視観察及びSEM観察により確認した。その結果を下記の表1に示した。
なお、この実験後の、参考例1の5000倍のSEM写真を図3に示す。また、この実験前の実施例1のTEM写真を図4に示す。このとき、定性分析、元素マッピングを行った結果、左下部が粗粒子101の単結晶の炭化珪素であって、右上部には、微粒子102の炭化珪素が多結晶化して接合層103となっていることがわかった。また、微粒子間に鉄が含まれる場合105(白い箇所)であることがわかった。
図5(a)は、同じサンプルをFE−SEMで2000倍で測定した結果を示し、図5(b)、(c)に図5(a)中のA、Bそれぞれの位置における元素分析をX線で定性分析した結果のX線スペクトル図である。これらの図に示すように、Aには炭化珪素からなる粗粒子101がみられ、Bには鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムがみられた。
(3)再生処理後の白金触媒の平均粒径
評価試験(2)後の各実施例、参考例及び比較例に係るハニカム構造体について、白金触媒を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、その平均粒径を求めた。その結果を下記の表1に示した。

表1に示したように、実施例1〜実施例11にいたる接合層を有するハニカムフィルタでは、比較例1〜9と異なり、再生処理を繰り返し行っても目視できるような大きさのクラックは生じなかった。なお、参考例1に係るハニカムフィルタでは、外周面をシール材により締め付けていないため、SEM観察により微小クラックが見られた。
また、炭化珪素粒子のみを焼結させてなるハニカム構造体では、炭化珪素と金属珪素とを焼結させてなるハニカム構造体(比較例10)よりも、再生処理を繰り返し行った後の白金触媒の平均粒子直径が小さく、白金触媒の活性が高かった。
(従来例)
特開昭60−264365号公報に開示されている多孔質炭化珪素焼結体は、炭化珪素の板状結晶により三次元の網目構造を構成していることを特徴とするものであり、粒径の異なる炭化珪素粒子により多孔質構造を構成している本発明のセラミック焼結体とは全く異なるものである。
また、特開平4−187578号公報には、粒径の大きなα型炭化珪素粉末と、粒径の小さなβ型炭化珪素粉末とを用いた炭化珪素からなる焼結体の製造方法は、高温で安定なα型炭化珪素を粒成長させることなく、β型炭化珪素を粒成長させることで、焼結体を形成している。
また、特開平5−139861号公報、特開平9−202671号公報および特開2000−16872号公報においても、同様の炭化珪素からなる焼結体の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの従来例は、いずれも炭化珪素粗粒子同士の体積拡散、および、粒界拡散を充分に進行させており、加えて、不安定なβ型炭化珪素粉末をα型炭化珪素粉末に相転移させることで、炭化珪素粗粒子および炭化珪素微粒子を同一の結晶構造にして一体化させる技術であって、本発明の接合層とは異なるものである。
また、特開2001−97776号公報に開示されている多孔質炭化珪素焼結体は、ネック部がなめらかな曲線状になっていることを特徴とするものであり、ネック部がなめらかなものとなるように高温で焼成されていることから、焼成後においても炭化珪素微粒子が粒子形状をとどめるものではないし、多結晶質本により接合層が形成されたものでもないため、本発明のセラミック焼結体とは異なるものである。
【産業上の利用可能性】
上記セラミック焼結体の用途は特に限定されるものではないが、例えば、セラミックヒータ、プローブカード、ウエハプローバ用基板等の半導体製造および/または検査装置用の基板、集積回路基板、液晶表示装置に用いられる基板、セラミックフィルタの分野において有用である。

【図2】

【図3】

【図4】


【図6】

【図7】


【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック粗粒子と、このセラミック粗粒子の間にあってこれらを繋ぐように存在し、該セラミック粗粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径のセラミック微粒子を含む接合層と、からなることを特徴とするセラミック焼結体。
【請求項2】
前記セラミック粗粒子は、単結晶体であることを特徴とする請求の範囲1に記載のセラミック焼結体。
【請求項3】
前記接合層は、前記セラミック粗粒子より小さい平均粒径のセラミック微粒子および/またはこれらの集合体の焼結体によって形成されていることを特徴とする請求の範囲1に記載のセラミック焼結体。
【請求項4】
前記接合層は、前記セラミック粗粒子よりも強度が小さい脆性体であることを特徴とする請求の範囲1または3に記載のセラミック焼結体。
【請求項5】
前記接合層は、複数個のセラミック微粒子からなる多結晶体であることを特徴とする請求の範囲3に記載のセラミック焼結体。
【請求項6】
前記接合層は、前記セラミック微粒子が粒界を残存したまま焼結されたものであることを特徴とする請求の範囲5に記載のセラミック焼結体。
【請求項7】
前記接合層は、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよび酸化物から選ばれるいずれか1種以上の焼結助剤を含有することを特徴とする請求の範囲1または3に記載のセラミック焼結体。
【請求項8】
前記焼結助剤の含有量は、セラミック粗粒子中に含まれる焼結助剤の量よりも多くしたことを特徴とする請求の範囲7に記載のセラミック焼結体。
【請求項9】
前記セラミック粗粒子および前記接合層は、炭化珪素にて形成されていることを特徴とする請求の範囲1または3に記載のセラミック焼結体。
【請求項10】
前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との平均粒径比が、15:1〜1:200であることを特徴とする請求の範囲1または3に記載のセラミック焼結体。
【請求項11】
前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との総重量比は、1:1〜1:9であることを特徴とする請求の範囲1または3に記載のセラミック焼結体。
【請求項12】
多孔質体であることを特徴とする請求の範囲1に記載のセラミック焼結体。
【請求項13】
ガスの流路となる多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並列しており、かつこれらのセルのうちのいずれか一方の端部が封止された、柱状の多孔質セラミック部材の1つまたは複数個の組合わせからなるハニカム構造のセラミックフィルタであって、このフィルタ本体が、セラミック粗粒子と、このセラミック粗粒子の間にあってこれらを繋ぐように存在し、該セラミック粗粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径のセラミック微粒子を含む接合層と、からなることを特徴とするセラミック焼結体によって形成されていることを特徴とするセラミックフィルタ。
【請求項14】
前記セラミック粗粒子は、単結晶体であることを特徴とする請求の範囲13に記載のセラミックフィルタ。
【請求項15】
前記接合層は、前記セラミック粗粒子の平均粒径より小さい平均粒径のセラミック微粒子および/またはこれらの集合体の焼結体によって形成されていることを特徴とする請求の範囲13に記載のセラミックフィルタ。
【請求項16】
前記接合層は、前記セラミック粗粒子よりも強度が小さい脆性体であることを特徴とする請求の範囲13または15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項17】
前記接合層は、複数個のセラミック微粒子からなる多結晶体であることを特徴とする請求の範囲15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項18】
前記接合層は、前記セラミック微粒子が粒界を残存したまま焼結されたものであることを特徴とする請求の範囲17に記載のセラミックフィルタ。
【請求項19】
前記接合層は、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよび酸化物から選ばれるいずれか1種以上の焼結助剤を含有することを特徴とする請求の範囲13または15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項20】
前記焼結助剤の含有量は、セラミック粗粒子中に含まれる焼結助剤の量よりも多くしたことを特徴とする請求の範囲19に記載のセラミックフィルタ。
【請求項21】
前記セラミック粗粒子および前記接合層は、炭化珪素にて形成されていることを特徴とする請求の範囲13または15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項22】
前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との平均粒径比が、15:1〜1:200であることを特徴とする請求の範囲13または15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項23】
前記セラミック粗粒子と前記セラミック微粒子との総重量比は、1:1〜1:9であることを特徴とする請求の範囲13または15に記載のセラミックフィルタ。
【請求項24】
前記セラミック焼結体が、多孔質体であることを特徴とする請求の範囲13に記載のセラミックフィルタ。

【国際公開番号】WO2005/026074
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513983(P2005−513983)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013705
【国際出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】