説明

セラミド産生促進剤

【課題】セラミド産生促進剤を提供する。
【解決手段】ブンドウ(Phaseolus radiatus)、エンドウ(Pisum sativum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、ゴマ(Sesamum orientale)、アマドコロ(Polygonatum officinale)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、イチジク(Ficus Carica)、ロクテイソウ(Pyrola rotundifolia)、アダトバ・ヴァシカ(Adhatoda vasica)、エンジュ(Styphnolobium japonicum)、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)、センナ(Cassia angustifolia)、レモン(Citrus limonum)及びソバ(Fagopyrum esculentum)からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミド産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミドは、スフィンゴ脂質の一種で、細胞膜を構成する要素の1つである。近年、細胞内セラミドの産生を亢進することにより、アポトーシス、分化誘導、増殖抑制といった現象が誘導されることが報告され、細胞の増殖、分化、アポトーシス等を制御する細胞内シグナル分子として注目を集めている。そのため、セラミドの産生を促進する物質には、動物細胞の増殖抑制、分化誘導、アポトーシスを誘導するなどの効果が期待でき、ひいては炎症性疾患、悪性腫瘍など、細胞の増殖あるいは分化の異常に起因する疾患に対する治療効果が期待できると考えられている(非特許文献1参照)。
また、セラミドには、骨吸収抑制作用、骨強化作用、歯槽骨減少抑制作用があり、骨粗鬆症、骨折、腰痛、リウマチなどの骨関節疾患の予防及び改善に有用であること(特許文献1参照)、歯周病の予防に効果があること(特許文献2参照)が報告されている。更に、セラミドには、毛髪のハリ、コシの付与及び感触改善作用があることも報告されている(特許文献3参照)。
このようにセラミドには種々の効能が期待できることもあり、セラミドの産出量を調節しうる物質の探求が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−158736号公報
【特許文献2】特開2001−158735号公報
【特許文献3】特開平10−152421号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sphingolipid targets in cancer therapy,David E.Modrakら,Molecular Cancer Therapeutics,2006 5(2):pp.200-8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高いセラミド産生促進効果を有するセラミド産生促進剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討を行った。その結果、ブンドウ(Phaseolus radiatus)、エンドウ(Pisum sativum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、ゴマ(Sesamum orientale)、アマドコロ(Polygonatum officinale)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、イチジク(Ficus Carica)、ロクテイソウ(Pyrola rotundifolia)、アダトバ・ヴァシカ(Adhatoda vasica)、エンジュ(Styphnolobium japonicum)、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)、センナ(Cassia angustifolia)、レモン(Citrus limonum)及びソバ(Fagopyrum esculentum)の植物抽出物が高いセラミド産生促進作用を有することを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成させたものである。
【0007】
本発明は、ブンドウ(Phaseolus radiatus)、エンドウ(Pisum sativum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、ゴマ(Sesamum orientale)、アマドコロ(Polygonatum officinale)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、イチジク(Ficus Carica)、ロクテイソウ(Pyrola rotundifolia)、アダトバ・ヴァシカ(Adhatoda vasica)、エンジュ(Styphnolobium japonicum)、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)、センナ(Cassia angustifolia)、レモン(Citrus limonum)及びソバ(Fagopyrum esculentum)からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高いセラミド産生促進効果を有するセラミド産生促進剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン及びソバの抽出物を用いた系でのセラミド産生量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセラミド産生促進剤は、ブンドウ(Phaseolus radiatus)、エンドウ(Pisum sativum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、ゴマ(Sesamum orientale)、アマドコロ(Polygonatum officinale)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、イチジク(Ficus Carica)、ロクテイソウ(Pyrola rotundifolia)、アダトバ・ヴァシカ(Adhatoda vasica)、エンジュ(Styphnolobium japonicum)、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)、センナ(Cassia angustifolia)、レモン(Citrus limonum)及びソバ(Fagopyrum esculentum)からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有する。後述の実施例で実証するように、これらの抽出物は高いセラミド産生促進効果を有する。
【0011】
まず、本発明に用いられる植物について説明する。
本発明において、ブンドウ(学名:Phaseolus radiatus)は、マメ科(Leguminosae)の植物である。その種子は緑豆とも呼ばれ、食用に供される他、薬効として解熱作用、解毒作用、利尿作用が知られている。
エンドウ(学名:Pisum sativum)は、マメ科(Leguminosae)エンドウ属の植物である。その種子は食用に用いられ、便秘予防、疲労回復等の効用があるといわれている。
ホルトソウ(学名:Euphorbia lathyris)は、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)トウダイグサ属の植物である。その種子は、続随子(ゾクズイシ)と呼ばれる生薬として用いられ、利尿作用、瀉下作用が知られている。
ゴマ(学名:Sesamum orientale)は、ゴマ科(Pedaliaceae)ゴマ属の植物である。その種子は食用に用いられ、滋養強壮等の効用があるといわれている。
アマドコロ(学名:Polygonatum officinale)は、ユリ科(Liliaceae)アマドコロ属の植物である。その根茎を乾燥させたものは、玉竹(ギョクチク)と呼ばれる生薬として用いられ、滋養強壮等の効用があるといわれている。
ロサ・センチフォリア(学名:Rosa centifolia)は、バラ科(Rosaceae)バラ属の植物である。その花は、主に観賞用または香料原料として用いられている。
イチジク(学名:Ficus Carica)は、クワ科(Moraceae)イチジク属の植物である。その果実は食用に用いられる他、整腸作用があることが知られている。
ロクテイソウ(学名:Pyrola rotundifolia)は、イチヤクソウ科(Pyrolaceae)の植物である。
アダトバ・ヴァシカ(学名:Adhatoda vasica)は、キツネノマゴ科(Acanthaceae)の植物である。咳止めの民間薬としても用いられている。
エンジュ(学名:Styphnolobium japonicum)は、マメ科(Leguminosae)エンジュ属の植物である。その花蕾を乾燥したものは、槐花(カイカ)と呼ばれる生薬として用いられ、止血作用等の効能が知られている。
ポンカン(学名:Citrus reticulata Blanco)は、ミカン科(Rutaceae)ミカン属の植物である。その果皮は橘皮(キッピ)又は陳皮(チンピ)とも呼ばれ、生薬として用いられている。
センナ(学名:Cassia angustifolia)は、マメ科(Leguminosae)の植物で、瀉下作用があることが知られている。
レモン(学名:Citrus limonum)は、ミカン科(Rutaceae)ミカン属の植物である。その果実、外皮は食用に用いられている。
ソバ(学名:Fagopyrum esculentum)は、タデ科(Polygonaceae)ソバ属の植物である。その種子は食用に用いられる。
【0012】
本発明において用いる、ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン及びソバは、それら植物の全ての任意の部分が使用可能である。例えば、上記植物の全木、全草、又は任意の部位(根、根茎、幹、枝、茎、葉、樹皮、樹液、樹脂、花、果実、種子、果皮、莢、芽、花穂、心材等)、及びそれらの組み合わせのいずれか1つ又は複数を使用することができる。
【0013】
本発明においては、上記植物の各部位の中でも、特に下記の部位から抽出物を得ることが好ましい。
ブンドウの抽出物を得るためには、ブンドウの種子を抽出することが好ましい。エンドウの抽出物を得るためには、エンドウの種子を抽出することが好ましい。ホルトソウの抽出物を得るためには、ホルトソウの種子を抽出することが好ましい。ゴマの抽出物を得るためには、ゴマの種子を抽出することが好ましい。アマドコロの抽出物を得るためには、アマドコロの根茎を抽出することが好ましい。ロサ・センチフォリアの抽出物を得るためには、ロサ・センチフォリアの花を抽出することが好ましい。イチジクの抽出物を得るためには、イチジクの果実を抽出することが好ましい。ロクテイソウの抽出物を得るためには、ロクテイソウの全草を抽出することが好ましい。アダトバ・ヴァシカの抽出物を得るためには、アダトバ・ヴァシカの葉を抽出することが好ましい。エンジュの抽出物を得るためには、エンジュの花を抽出することが好ましい。ポンカンの抽出物を得るためには、ポンカンの果皮を抽出することが好ましい。センナの抽出物を得るためには、センナの葉を抽出することが好ましい。レモンの抽出物を得るためには、レモンの果皮(外皮)を抽出することが好ましい。ソバの抽出物を得るためには、ソバの種子を抽出することが好ましい。
また、これら植物の好ましい各抽出部位に対応する生薬があればそれらを用いてもよい。
【0014】
本発明において用いる、ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン及びソバの抽出物の製造方法については特に限定はなく、上記植物を通常の方法で抽出することにより抽出物を得ることができる。具体的には、上記植物を乾燥させた乾燥物、その粉砕物等を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水蒸気蒸留物、各種抽出溶剤による粗抽出物、粗抽出物を分配又はカラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで精製して得られた抽出物画分などを本発明における抽出物として用いることができる。
上記の植物は生のままで抽出に供することも可能であるが、より抽出効率を高めるために、乾燥、細断、粉砕などの工程を加えることも好ましい。また、本発明においては、上記の抽出物、水蒸気蒸留物、圧搾物等を、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、本発明の植物抽出物としては、上記植物を乾燥させた乾燥物又はその粉砕物から、抽出溶剤を用いて得られた抽出物を用いることがより好ましい。
【0015】
抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられる。あるいは、上記溶剤の2種以上を組み合わせた混合物を、抽出溶剤として用いることができる。このうち、水、アルコール類、水−アルコール混合液、プロピレングリコール、ブチレングリコールを用いるのが好ましく、エタノール水溶液を用いるのがより好ましい。
【0016】
本発明で用いられる抽出物を得るための抽出条件については、使用する溶剤によって異なり特に制限はないが、例えば水、アルコール類又は水−アルコール混合液、プロピレングリコール、ブチレングリコールにより抽出する場合、好ましくは植物1質量部に対して1〜50容量部の溶剤を用い、好ましくは3〜100℃、より好ましくは20〜80℃の温度で、好ましくは1時間〜数週間、より好ましくは1日〜30日間浸漬又は加熱還流するのが好ましい。また、抽出効率を上げる為、併せて攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
【0017】
上記溶媒で抽出して得られた抽出物はそのまま使用してもよいが、さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。本発明において、植物の抽出物とは、このようにして得られた各種抽出物、その希釈液、その濃縮液、その精製物又はそれらの乾燥末を包含するものである。
また、本発明のセラミド産生促進剤は、上記各植物の抽出物を単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。
【0018】
ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン及びソバから得られた植物抽出物(以下、本発明の植物抽出物ともいう。)は、後述の実施例に示すように優れたセラミド産生促進作用を有し、これらの抽出物を含有させることでセラミド産生促進剤を得ることができる。
また、前述のようにセラミドは細胞の増殖、分化、アポトーシス等の制御に関係することから、セラミドの産生を促進する本発明の植物抽出物は、動物細胞の増殖抑制、分化誘導、アポトーシスの誘導等により、炎症性疾患、悪性腫瘍など、細胞の増殖あるいは分化の異常に起因する疾患を予防又は治療するための医薬品、医薬部外品等として有用である。また、本発明の植物抽出物は、骨粗鬆症、骨折、腰痛、リウマチなどの骨関節疾患の予防又は改善、歯周病の予防又は改善のための医薬品、医薬部外品等としても使用しうる。さらに、本発明の植物抽出物は、毛髪にハリ・コシを付与したり毛髪の感触を改善するための医薬部外品、化粧品等の用途としても有用である。本発明のセラミド産生促進剤は、セラミド産生促進をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した医薬部外品、化粧品として使用することもできる。
ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン及びソバから得られた植物抽出物がセラミド産生促進作用を有することは従来全く知られておらず、本発明者等により得られた新しい知見である。
【0019】
本発明において、上記植物から得られた抽出物はそのままセラミド産生促進剤として用いてもよい。又は、その効果に影響を与えない範囲で、上記植物抽出物に各種添加剤等を加えてもよい。例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体または固体の賦形剤または増量剤を加えてセラミド産生促進剤として用いてもよい。
組成物とする場合、セラミド産生促進剤中の前記植物抽出物の量は特に制限されないが、前記抽出物が固形分換算で0.00001〜20質量%含まれるのが好ましく、0.0001〜10質量%程度含まれるのが特に好ましい。
【0020】
本発明のセラミド産生促進剤は、化粧料や医薬品用途に適用しうる。
本発明のセラミド産生促進剤を医薬品として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、外用剤、坐剤、経皮吸収剤等による非経口投与のいずれでもよい。当該医薬製剤を調製するには、本発明のセラミド産生促進剤を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。該製剤中の本発明の植物抽出物の含有量は、乾燥固形成分として0.00001〜20質量%が好ましく、特に0.0001〜10質量%含有することが好ましい。尚、本発明のセラミド産生促進剤を医薬品として使用する場合、成人1人当たりの1日の投与量は、本発明の植物抽出物(乾燥固形分換算)が、例えば0.001〜1000mgが好ましく、特に0.01〜100mgとなるのが好ましい。
【0021】
また、本発明のセラミド産生促進剤を医薬部外品や化粧品として用いる場合は、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等の態様とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の医薬部外品や化粧料は、本発明のセラミド産生促進剤を単独で、又は、その効果に影響を与えない範囲で、医薬部外品、皮膚化粧料、洗浄料等に配合されうる各種成分、薬効成分等を配合して調整することができる。例えば各種油剤、樹脂、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、粉体、香料、可溶化剤、洗浄剤、植物抽出物、既知のセラミド産生促進剤、擬似セラミド、天然セラミド、糖セラミド、スフィンゴミエリン、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿成分、皮膚老化防止剤、美白剤等が挙げられる。
既知のセラミド産生促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチルヒドロキシプロリン、グリチルリチン酸カリウム、L-カルニチン、アスコルビン酸、アスコルビルグルコシド、アスコルビルリン酸マグネシウム、dl-α-トコフェリル-dl-アスコルビルリン酸、dl-α-トコフェリルリン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸トコフェロール、L-乳酸、ビタミンC、アスパラガス抽出物、ブッチャーブルーム、ゲンクワニン、ローズマリー、ラベンダー、セージ、ナツメ、黒(赤)霊芝、トウキ、クジン、ヨクイニン、ベニセアンヌ抽出物、ライスパワーエキスなどが挙げられる。
また、擬似セラミドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、市販のセラミドR(ユニリーバ製)、セラミドPC-104(太平洋化学製)、セラミドHO3(sederma製)、エルデュウPS-203(味の素製)などが挙げられる。
また、糖セラミドとしては、特に限定されるものではないが、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等が挙げられるが、市販のものとしては、ニップンセラミド(日本製粉製)、オリザセラミド(オリザ油化製)、ニッサンセラミド、ネオリキッドセラミドN(日本油脂製)、セラミド(ユニチカ製)等が挙げられる。
当該医薬部外品、化粧料中の本発明の植物抽出物の含有量は、乾燥固形成分として0.00001〜20質量%とすることが好ましく、特に0.0001〜10質量%とすることが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
(製造例1)ブンドウ抽出物の調製
ブンドウの種子(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温・静置条件下で29日間抽出を行った。その後、濾過して、ブンドウ抽出物373mLを得た。得られた抽出物について、下記の方法で蒸発残分を算出したところ、蒸発残分は0.99(w/v%)であった。
<蒸発残分の算出>
ブンドウ抽出物1000μlを105℃で6時間乾燥させたところ(乾燥機:DRY Thermo Unit DTU-1C(TAITEC CORPORATION社製)使用)、乾燥物9.9mgが得られた。この抽出物の蒸発残分を、9.9/1000×100=0.99(w/v%)と算出した。なお、下記の製造例においても、各抽出物の蒸発残分は同様にして算出されたものである。
【0024】
(製造例2)エンドウ抽出物の調製
エンドウの種子(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温・静置条件下で29日間抽出を行った。その後、濾過して、エンドウ抽出物320mLを得た(蒸発残分0.75(w/v%))。
【0025】
(製造例3)ホルトソウ抽出物の調製
ホルトソウの種子(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温・静置条件下で26日間抽出を行った。その後、濾過して、ホルトソウ抽出物358mLを得た(蒸発残分0.63(w/v%))。
【0026】
(製造例4)ゴマ抽出物の調製
ゴマの種子(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温・静置条件下で27日間抽出を行った。その後、濾過して、ゴマ抽出物324mLを得た(蒸発残分0.7(w/v%))。
【0027】
(製造例5)アマドコロ抽出物の調製
アマドコロの根茎(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で28日間抽出を行った。その後、濾過して、アマドコロ抽出物319mLを得た(蒸発残分6.21(w/v%))。
【0028】
(製造例6)ロサ・センチフォリア抽出物の調製
ロサ・センチフォリアの花(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で15日間抽出を行った。その後、濾過して、ロサ・センチフォリア抽出物223mLを得た(蒸発残分4.53(w/v%))。
【0029】
(製造例7)イチジク抽出物の調製
イチジクの果実(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で25日間抽出を行った。その後、濾過して、イチジク抽出物325mLを得た(蒸発残分3.05(w/v%))。
【0030】
(製造例8)ロクテイソウ抽出物の調製
ロクテイソウの全草(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で25日間抽出を行った。その後、濾過して、ロクテイソウ抽出物275mLを得た(蒸発残分1.38(w/v%))。
【0031】
(製造例9)アダトバ・ヴァシカ抽出物の調製
アダトバ・ヴァシカの葉(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で14日間抽出を行った。その後、濾過して、アダトバ・ヴァシカ抽出物188mLを得た(蒸発残分1.94(w/v%))。
【0032】
(製造例10)エンジュ抽出物の調製
エンジュの花(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で14日間抽出を行った。その後、濾過して、エンジュ抽出物262mLを得た(蒸発残分3.61(w/v%))。
【0033】
(製造例11)ポンカン抽出物の調製
ポンカンの果皮(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で14日間抽出を行った。その後、濾過して、ポンカン抽出物289mLを得た(蒸発残分6.82(w/v%))。
【0034】
(製造例12)センナ抽出物の調製
センナの葉(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で14日間抽出を行った。その後、濾過して、センナ抽出物248mLを得た(蒸発残分2.97(w/v%))。
【0035】
(製造例13)レモン抽出物の調製
レモンの外皮(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で14日間抽出を行った。その後、濾過して、レモン抽出物214mLを得た(蒸発残分4.13(w/v%))。
【0036】
(製造例14)ソバ抽出物の調製
ソバの種子(新和物産株式会社製)40gを細切し、50%エタノール400mLを加え、室温、静置条件下で19日間抽出を行った。その後、濾過して、ソバ抽出物330mLを得た(蒸発残分0.58(w/v%))。
【0037】
(試験例)セラミド産生促進効果の検証
培養プレートを用い、培養液(商品名:EpiLife-KG2、KURABO社製)中にて、正常ヒト表皮角化細胞(商品名:NHEK(F)、KURABO社製)を37℃、5%CO2で培養した。
その後、培養液を上皮成長因子などの増殖因子を除いたEpiLife-KG2に換え、上記製造例で調製した抽出物を、濃度が固形分換算で1w/v%となるように調整したもの、又はコントロール溶液(50%エタノール)を、0.1%量添加した。
3日間培養した後、各々の細胞を1wellごと回収した。
【0038】
回収した細胞からBligh and Dyer法により脂質を抽出した有機相をガラス管に移し、窒素乾固した後、クロロホルム、メタノールで再溶解し、脂質サンプルとした。
また、脂質を抽出した後の細胞に0.1N NaOH、1%SDS水溶液を加え、60℃で2時間加熱することにより、タンパク質を可溶化し、室温まで冷却した後2N HClを加えて中和し、タンパク量をBCA法により定量した。
【0039】
調製した脂質サンプルを薄膜クロマトグラフィー(TLC)でクロロホルム:メタノール:酢酸=190:9:1で2回水平展開した。硫酸銅液をスプレーで噴霧し、ホットプレートで焼き付けセラミドを検出し、セラミド量とした。
結果を図1に示す。なお、図1に示すグラフの縦軸は、コントロール溶液添加群のセラミド量を1とした場合の相対値を示している。
【0040】
図1から明らかなように、ブンドウ、エンドウ、ホルトソウ、ゴマ、アマドコロ、ロサ・センチフォリア、イチジク、ロクテイソウ、アダトバ・ヴァシカ、エンジュ、ポンカン、センナ、レモン又はソバの抽出物を添加した系においては、コントロールの系に比べてセラミド産出量が上昇していることが認められた。したがって、これらの植物抽出物を有効成分として含有する本発明のセラミド産生促進剤は、セラミド産生を促進することができることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブンドウ(Phaseolus radiatus)、エンドウ(Pisum sativum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、ゴマ(Sesamum orientale)、アマドコロ(Polygonatum officinale)、ロサ・センチフォリア(Rosa centifolia)、イチジク(Ficus Carica)、ロクテイソウ(Pyrola rotundifolia)、アダトバ・ヴァシカ(Adhatoda vasica)、エンジュ(Styphnolobium japonicum)、ポンカン(Citrus reticulata Blanco)、センナ(Cassia angustifolia)、レモン(Citrus limonum)及びソバ(Fagopyrum esculentum)からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含有するセラミド産生促進剤。

【図1】
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【公開番号】特開2011−79755(P2011−79755A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231848(P2009−231848)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】