説明

セルロース系ストレッチ性織物及びその製造方法

【課題】優れたストレッチ性及びストレッチ回復性を有し、かつソフトな風合い、吸湿性を有するセルロース系ストレッチ性織物を提供する。
【解決手段】20℃、65%HRでの伸縮伸長率が15%以上のセルロース系捲縮繊維を含む織物で、20℃、65%HRでの織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜35%、伸長回復率が70%以上、20℃、90%HRでの織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜25%、伸長回復率が70%以上、目付が50〜350g/mの要件を満足する。また、アルカリ反応性の異なる2種のセルロースエステルを接合された前駆体複合繊維を経糸及び又は緯糸に配して製織した後、アルカリ処理を施して前駆体複合繊維のアルカリ反応性の高いセルロースエステル側を脱エステル化してセルロース化し、セルロースエステルとセルロースとが接合された捲縮複合繊維とし、織物にストレッチ性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系捲縮繊維を用いてなるセルロース系ストレッチ性織物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くの機能性素材の開発が行われ、機能性商品にあっては、さらに高度な機能性を発現させるための繊維素材、織編物構造、後加工等を組み合わせた開発も積極的に進められている。近年の新しい機能性素材の提案は、複合化、高次化が進化し、さらに衣料においては着用環境の変化に応じ機能性が変化する、いわゆる動的な機能性の提案が多くなされている。
【0003】
しかしながら、近年のファッショントレンドや消費者ニーズは極めて多様化、高級化しており、消費者の要望に沿った機能性素材を市場に提供するには、さらなる風合いの改良や特化された機能性の確立が必要となっている。
【0004】
セルロース系繊維は、合成繊維であるポリエステル繊維と比較して、ソフトな風合いや、優れた吸水性、吸湿性特性を有し、衣料用途を中心として幅広く使用されている。しかしながら着用感を向上する目的で繊維自体にストレッチ性を付与することは困難であるが、これまでに織編物としていくつかの提案がされている。
【0005】
特許文献1には、セルロース系繊維にストレッチ性を付与する手法として、セルロース系フィラメント糸に仮撚捲縮を付与することが開示されているが、染色等湿潤加工工程において、吸水性の高いセルロースフィラメントが膨潤するため、仮撚捲縮が消失しやすく、ストレッチ性が得られ難いものである。特許文献2には、セルロース系繊維を、ポリウレタン弾性糸と複合することによって得るストレッチ布帛が開示されているが、セルロース系繊維は、熱セット性がほとんど得られないため、生地の巾セット性が悪く、さらに加工工程の複雑さ及びコストが高い等の問題点がある。またコンジュゲートポリエステル繊維と複合した場合では合成繊維特有の風合いが強く感じられるものとなるため好ましくない。
【0006】
特許文献3には、セルロース系繊維にストレッチを付与する手法として、液体アンモニア処理によってセルロース系繊維を収縮させ、ストレッチ織編物を得ることが開示されているが、液体アンモニア処理工程自体が特殊工程であり、汎用的に加工できるものでは無い。また、特許文献4には、交織したアセテート繊維の表面から部分的にアルカリ処理し、収縮させることによりストレッチ性とシワ発生の軽減性を付与することが開示されているが、この手法は伸長回復率が60%程度と不充分なストレッチ性しか得られないものである。
【0007】
【特許文献1】特開2002−054044号公報
【特許文献2】特開2002−061050号公報
【特許文献3】特開2000−248461号公報
【特許文献4】特開2003−253542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、優れたストレッチ性及びストレッチ回復性を有し、かつソフトな風合い、吸湿性を有するセルロース系ストレッチ性織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の要旨は、20℃、65%HRにおける伸縮伸長率が15%以上のセルロース系捲縮繊維を含み、以下の要件(1)〜(3)を満足するセルロース系ストレッチ性織物にある。
(1)20℃、65%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜35%、伸長回復率が70%以上
(2)20℃、90%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜25%、伸長回復率が70%以上
(3)目付が50〜350g/m
また、第2の要旨は、アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルとが質量比で20/80〜60/40の複合比で接合された前駆体複合繊維を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に配して製織した後、アルカリ処理を施して該前駆体複合繊維のアルカリ反応性の高いセルロースエステル側を脱エステル化してセルロース化し、セルロースエステルとセルロースとが接合されたセルロース系捲縮繊維とすることを特徴とする前記のセルロース系ストレッチ性織物の製造方法にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、セルロース系繊維を主体としながら優れたストレッチ性能を有する織物及びその製造方法に係わるものであって、合成繊維であるポリエステル系繊維と比較してソフトな風合いや吸湿性が高く優れたストレッチ性能を持った織物を提供することができ、衣料製品の全体のみならず、発汗や蒸れ感を感じ易く、また身体の動きが大きい脇部、腕部、背部等の部分使いの製品にも好適に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物において、織物に含まれるセルロース系繊維は、20℃、65%HR(相対湿度)における伸縮伸長率が15%以上のセルロース系捲縮繊維であることが必要であり、好ましくは伸縮伸長率が18%以上のセルロース系捲縮繊維であって、伸縮伸長率が15%未満では、織物に十分なストレッチ性を与えることができない。
【0012】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、20℃、65%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜35%、伸長回復率が70%以上という要件を満足するものであり、好ましくは、伸長率が10〜25%、伸長回復率が80%以上という要件を満足する。伸長率が5%未満或いは35%を超えると、ストレッチ性、伸長回復率が不十分であり、いわゆる織物のわらいが生じ、また伸長回復率が70%未満では、織物のわらいが発生し易くなる。
【0013】
また、本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、20℃、90%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜25%、伸長回復率が70%以上という要件を満足するものであり、好ましくは、伸長率が5〜20%、伸長回復率が80%以上という要件を満足する。伸長率が5%未満或いは25%を超えると、ストレッチ性、伸長回復率が不十分であり、いわゆる織物のわらいが生じ、また伸長回復率が70%以上未満では、織物のわらいが発生し易くなる。
【0014】
さらに、本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、目付が50〜350g/mという要件を満足するものであり、目付が50g/m未満では、織物の引裂き強度等の織物物性の点で劣るものとなり、350g/mを超えると、乾燥セット等の仕上げ加工の際、自重により伸長して捲縮性が低下した状態でセットされ、ストレッチ性能が発現し難くなる。
【0015】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物に含まれるセルロース系捲縮繊維は、20℃、65%HRで15%以上の伸縮伸長率を備えるうえで、セルロースエステルとセルロースとが接合された構造の捲縮複合繊維であることが好ましい。
【0016】
セルロース系捲縮繊維は、織物の経緯のいずれの方向に配されていてもよく、セルロース系捲縮繊維が無撚糸又は撚係数Kが11000以下、より好ましくは6000以下の甘撚糸として配されていることが優れたストレッチ性能を発現させるうえで好ましく、セルロース系捲縮繊維が撚係数Kが11000を超える撚糸状態にあるときにはストレッチ性織物として不満足なものとなる。
【0017】
なお、撚係数Kは、次の式で表される。
K=T×(D/1.1)1/2
T:撚数(T/m)、D:繊度(dtex)
【0018】
セルロース系捲縮繊維は、単独で織物の経糸方向、緯糸方向のいずれか一方或いは両方に配されるが、補強、風合い、吸湿・吸水性、形態安定性等の機能性の強化或いは付加のため、他の繊維と混繊、合撚、交織等の任意の形態で混合されていてもよい。
【0019】
特に、セルロース系捲縮繊維が他の繊維との複合糸である場合は、セルロース系捲縮繊維を25質量%以上有し、かつ引き揃えやエア交絡による無撚糸又は撚係数11000以下の甘撚糸とすることが好ましい。また、芯部には実撚が入り難いことからセルロース系捲縮繊維を芯糸とし他の繊維をカバー糸とするカバーリング加工糸である場合は、セルロース系捲縮繊維を20質量%以上有し、かつ無撚糸又は撚係数が11000以下の甘撚糸であることが好ましい。
【0020】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物の製造方法について、以下説明する。
すなわち、本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルとが質量比で20/80〜60/40の複合比で接合された前駆体複合繊維を経糸及び緯糸の少なくとも一方に配して製織した後、アルカリ処理を施して前駆体複合繊維のアルカリ反応性の高いセルロースエステル側を脱エステル化してセルロース化し、セルロースエステルとセルロースとが接合されたセルロース系捲縮複合繊維とすることによって得ることができる。
【0021】
前駆体複合繊維を得る際には、アルカリ反応性の異なる2種のセルロースエステルが用いられる。セルロースアセテートとしては、セルロースの有する水酸基の全部又は一部がアセチル基に置換されたセルロース誘導体であり、理論上の置換度の上限は3.00であり、平均置換度に応じ、平均置換度2.76以上の高置換度のセルローストリアセテート、平均置換度2.22以上2.60未満のセルロースジアセテート或いは単にセルロースアセテートといわれる低置換度のセルロースアセテートに至るまでの各種セルロースアセテートが挙げられる。
【0022】
セルロースアセテートは、アルカリ処理によりアセチル基を脱エステル化し、水酸基を形成してセルロース化することは従来から知られているが、低置換度である程、水への親和性が高いために脱エステル化しやすい性質を有する。このように、アルカリ反応性の異なるセルロースエステルとは、ある特定のアルカリ条件で脱エステル化反応の速度が異なるセルロースエステルを示し、特定のアルカリ条件下では、アルカリ反応性の高いセルロースエステルはほとんど完全に脱エステル化し、アルカリ反応性の低いセルロースエステルは半分以上脱エステル化していない状態をとる組み合わせで用いることが好ましい。
【0023】
さらに好ましくは、アルカリ反応性の低いセルロースエステルは、その極表層以外が脱エステル化していない状態、或いは極表層を含めほとんど脱エステル化していない状態となるものであることが好ましい。このようなある特定のアルカリ条件下でアルカリ反応性の差を有する2種のセルロースエステル用い、アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルを、サイドバイサイド型、偏心した芯鞘型、好ましくはサイドバイサイド型の構造に接合し前駆体複合繊維とする。アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルの複合比は、質量比で20/80〜60/40、好ましくは30/70〜50/50とする。
【0024】
前駆体複合繊維の製造方法としては、例えば、特開平07-102419号公報等に示されるように、平均置換度2.91のセルローストリアセテートと平均置換度2.41のセルロースジアセテートを、それぞれ塩化メチレン91質量%/メタノール9質量%の混合溶剤に溶解し、セルローストリアセテート濃度22質量%の紡糸原液及びセルロースジアセテート濃度22質量%の紡糸原液を調製し、乾式紡糸法により、セルロースジアセテート成分とセルローストリアセテート成分が接合したサイドバイサイド型前駆体複合繊維を得ることができる。
【0025】
また、特開2004−115933号公報等には、セルロースアセテートよりも疎水性の高いセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等とのセルロース脂肪酸エステルからなる繊維の鹸化方法について開示されているが、例えばセルローストリアセテートとエステル化度が1.5〜3.0のセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等との成分が接合したサイドバイサイド型、エステル化度の異なるセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等との成分が接合したサイドバイサイド型等アルカリ反応性の異なるセルロースエステルがサイドバイサイド型に複合された前駆体複合繊維を用いることもできる。
【0026】
前駆体複合繊維は、単独で用いてもよいし、強度面の補強等の目的で、他の繊維との交織や1本毎や数本毎の交互配列で製織してもよいし、また引き揃えや、複合状態で用いてもよい。用いることのできる他の繊維としては、吸湿吸水性や風合いの点からレーヨンやベンベルグ等の再生セルロース繊維、リヨセル等のセルロース系繊維、繊維強度面での補強や織物での形態安定性を高めるために熱セット性を有するポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱可塑性繊維或いはこれらを捲縮加工した糸形態のものが挙げられる。
【0027】
前駆体複合繊維を複合糸として用いる場合、前記したように、前駆体複合繊維を25質量%以上有し、無撚糸又は撚係数Kが11000以下、より好ましくは6000以下の甘撚糸の複合糸であることが好ましい。前駆体複合繊維が25質量%未満の場合、捲縮複合繊維の形成が困難でストレッチ性織物が得られず、また撚係数Kが11000を超えると、後でのアルカリ処理での脱エステル化後の仕上げ乾燥時において充分な収縮が発生しがたく、形成される捲縮の低下によりストレッチ性が低いものとなりやすい。
【0028】
また、前駆体複合繊維をカバーリング加工糸の芯糸として用いられ、カバーリング加工糸とすることは、芯部に形成した捲縮には実撚が入りにくく、捲縮性を良好に保つことができるため好ましいことである。この際、カバーリング加工糸の芯部に形成した捲縮の最大伸長が鞘糸との糸長差で規定されることとなるため、荷重による過剰な伸長や、湿潤下での過剰な伸長が制限され、織物の形態安定性の点からより好ましいものとなる。前駆体複合繊維を芯糸とするカバーリング加工糸は、前駆体複合繊維を芯糸として25質量%以上、より好ましくは40質量%以上上含まれていることが好ましい。前駆体複合繊維が25質量%未満では、捲縮複合繊維での捲縮発生が低くなり、織物としてのストレッチ性能が得られ難くなる。なお、カバーリング加工糸を編物として用いても、ストレッチ性と形態安定性が得られる。
【0029】
前駆体複合繊維は、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織し織物とする。織組織、製織手段については特に制限はないが、ストレッチ性織物を得るうえで、緯糸に過剰な張力がかかりやすいウォータージェットよりも、エアジェット又はレピア織機を用いることが好ましい。また製織の際、前駆体複合繊維を無撚糸又は甘撚糸として用いる必要があり、他の繊維との引き揃え又は空気交絡により、収束性を与えて織込むことが望ましい。
【0030】
織物の形態でのアルカリ処理は、前駆体複合繊維のアルカリ反応性の高いセルロースエステルのみを脱エステル化し、セルロース化することにあり、アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルが接合した前駆体複合繊維をセルロースエステルとセルロースが接合した複合構造の繊維に転化することが必要である。このアルカリ反応性の高いセルロースエステルの脱エステル化に伴い、繊維半径方向と共に繊維軸方向への収縮を発生しつつセルロースとなり、アルカリ反応性の低いセルロースエステルと貼り合せの状態で接合していることにより、乾燥状態での繊維に捲縮が発現して捲縮繊維となる。
【0031】
脱エステル化のアルカリ処理は、アルカリ剤の種類及び処理温度と時間との関係で適宜設定されるが、製品として耐えうる強度を維持するために糸物性への影響を最小限にすることが望ましい。アルカリ処理の具体例を挙げると、例えば、前駆体複合繊維としてセルローストリアセテートとセルロースジアセテートがサイドバイサイド型に接合してなる前駆体複合繊維を用いた場合、セルロースジアセテート成分のみを脱アセチル化するときには、アルカリ剤として水酸化ナトリウム1g/L水溶液を用い、60〜90℃の低温条件で15〜30分程度行い、また、セルローストリアセテートとエステル化度が2.5のセルロースアセテートプロピオネートがサイドバイサイド型に接合してなる前駆体複合繊維を用いた場合、セルローストリアセテート性分のみを脱エステル化するときには、水酸化ナトリウム1g/L水溶液を用い、沸騰温度条件で、30〜60分程度行なう。
【0032】
アルカリ処理は、湿潤下で行なわれ、この際セルロース側は湿潤によって膨潤伸長しおり、湿潤状態の繊維では捲縮は発現しておらず、仕上げ乾燥の際の乾燥収縮に伴う捲縮の発現が充分行われるよう後の加工工程を選定することが非常に重要である。つまり、アルカリ処理による脱エステル化した複合繊維を含む織物を、張力をかけずフリー乾燥させて求められる最大収縮織密度から、乾燥仕上げ等の工程を設計する必要がある。染色皺、シボ等最終仕上げ表面感とのを兼ね合いではあるが、おおよそ最大収縮織密度の0.85倍以内、好ましくは0.90倍以内、より好ましくは0.95倍以内の設定が寸法安定性の点から好ましい。過剰に伸長させた状態で仕上げ乾燥させた場合、緊張下で乾燥されるため、複合繊維の捲縮が発生しにくくなり、このためストレッチ性も低いものとなる。
【0033】
本発明のストレッチ性織物には、液流染色機やジッカー染色機等常法により染色仕上げ加工を施すことができる。また、本発明のストレッチ性織物には、水分、水滴による急激な伸長を防ぐため、繊維表面を撥水加工して、揉み込み加工することが好ましい。撥水加工を行うための撥水剤としては、シリコン系撥水剤やフッ素系撥水剤等の公知のものを用いればよく、その処理も一般に行われるパディング法、スプレー法等の方法を用いればよい。また、通常の撥水加工であるコーティングやラミネートでは繊維間の拘束が発生し、可逆変化が阻害される場合がある。このため、極力繊維表面だけに撥水加工を施すことが好ましいが、撥水加工により、繊維表面だけではなく、単繊維間隙や織編物の交絡点の間隙部に撥水剤が過剰に浸透し、繊維間の動き、すなわち自由度が妨げられた状態になるために、揉み込み加工、例えばタンブラーやカムフィット等を用いて繊維間の拘束点を取り除くことが好ましい。
【0034】
さらに、セルロース系繊維の形態安定加工剤であるグリオキサザール系等のアルデヒド類、ジクリシジルエーテル等のエポキシ化合物、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素系樹脂やジメチルジヒドロキシエチレン尿素系樹脂等の繊維素反応型Nメチロール化合物等により樹脂加工を併用することが望ましい。なお、樹脂加工の方法及び条件は、一般にセルロース系繊維に行なわれている方法及び条件でよい。この場合も撥水処理と同様、単繊維間隙や織編物の交絡点の間隙部に形態安定加工剤が過剰に浸透し、繊維間の動き、すなわち自由度が妨げられた状態にならないように、揉み込み加工、例えばタンブラーやカムフィット等を用いて繊維間の拘束点を取り除くことが好ましい。
【0035】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、繊維製品に用いる場合は、外衣として用いられのはもちろんであるが、肌側の部位に用いるのが最も好ましい。本発明のストレッチ性織物は、前述のように肌側から発生する湿気や汗を吸収し、通気性変化による快適性繊維製品、例えばスポーツ、インナー用途、ストレッチ裏地等に好適なものである。かかる繊維製品においては本発明のセルロース系ストレッチ性織物を100%用いるのが最も好ましいが、人体の脇等発汗の多い部位に部分的に用いてもよく、また湿潤時に伸長しない布帛に本発明の織物を部位毎の切替えで用いた場合、湿潤時に伸長する本発明のストレッチ性織物が肌面に対して凹凸部を形成する状態となり、肌面接触が低下することから、さらにベトツキを防ぐこととなる。製品として快適性を求めるには、本発明のセルロース系ストレッチ性織物を製品中に好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上用いることが望ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明における各特性値の測定は以下の方法に拠った。
【0037】
(1)織物伸長率、伸長回復率
20℃、65%HRの標準状態及び20℃、90%HRにおいて、それぞれ仕上げ加工した織物を用い、JIS L1096(定荷重法)に準拠して測定した。伸長回復率は1時間後の値である。
(2)伸縮伸長率
20℃、65%HR標準状態において、セルロース系複合捲縮繊維糸を用いて枠周1.125mのラップリールで10周のカセを作成し、20℃、65%HRの標準状態に一昼夜放置した後、荷重a(繊度dtex×(90/1000)×20g)をかけ30秒後の長さ長さLaを測定する。除重後2分放置し荷重b(繊度dtex×(0.36/1000)×20g)をかけ5分間放置後の長さLbを測定し、以下式によって求める。
伸縮伸長率(%)=[(La−Lb)/Lb]×100
【0038】
(3)平均置換度
平均置換度は、JIS L1013A法(酢化度)に準拠して求めた。
なお、各成分の置換度は、それぞれ単一成分の繊維を同一条件で処理した繊維を用いて測定し求めた。
(4)エステル化度
エステル化度は、JIS L1013A法を利用し、下式より求めた。
エステル化度=(M1×置換度)/(158+M2×置換度+1×(3−置換度))×100
M1:有機酸の分子量(酢酸の場合60)
M2:アシル基分子量(酢酸基の場合43)
なお、各成分の置換度はそれぞれの単一成分の繊維を同一条件で処理した繊維を用いて測定した。
【0039】
(5)繊維断面でのセルロースの確認
アルカリ反応性の高いセルロースエステルが脱アセチル化されセルロースに転化されているかを確認するため、繊維をセルロースのみ染色可能である直接染料を用いて次ぎの条件で染色した。
ダイレクトスカイブルー6B(住友化学工業社製) 2%owf(対繊維質量)
無水硫酸ナトリウム 20%owf
無水炭酸ナトリウム 4%owf
浴比50:1
温度80℃、時間20分
次いで、染色繊維をミクロトームにて薄くスライスし、その繊維断面サンプルを光学顕微鏡で観察し、セルロース成分がサイドバイサイド型の捲縮複合繊維の片側に存在するか否かを着色にて確認した。
(6)H2収縮
JIS L1096、8.64.4に準拠して求めた。
(7)撥水性能
JIS L1092スプレイ試験に準拠して求めた。
【0040】
(実施例1)
平均置換度2.91のセルローストリアセテートと平均置換度2.41のセルロースジアセテートを、それぞれ塩化メチレン91質量%、メタノール9質量%の混合溶剤に溶解し、セルローストリアセテートの22質量%濃度の紡糸原液及びセルロースジアセテートの22質量%濃度の紡糸原液を調製した。これらの紡糸原液を用い乾式紡糸法により、セルロースジアセテート成分とセルローストリアセテート成分を質量比で50:50の複合比にサイドバイサイドに複合紡糸された前駆体複合繊維(110dtex/26フィラメント(f))を得た。この前駆体複合繊維は、アルカリ処理(水酸化ナトリウム1質量%水溶液、浴比1:100、処理温度60℃、処理時間15分)にて脱エステル化したときに、繊維断面での確認によりセルロースジアセテート成分のみ脱エステル化されセルロース化しており、かつ捲縮のある繊維になることが確認され、その伸縮伸長率は18%であった。
【0041】
得られた前駆体複合繊維を、双糸とし、ダブルツイスター(村田製作所製302型、回転数7000rpm)にて撚数200T/mS方向(撚係数K2800)に撚糸し、70℃で40分の条件でスチームによる熱セットを行なった。この撚糸を経糸及び緯糸に用い、2/2綾組織で、経密度180本/2.54cm、緯密度75本/2.54cmにて製織し織物とした。この織物を、精練及び液流染色機でのリラックス処理(100℃で20分)後、液流染色機にて、水酸化ナトリウム1質量%水溶液、浴比1:100、処理温度60℃、処理時間15分の条件でアルカリ処理を施し、織物の前駆体複合繊維のセルロースジアセテート成分のみ脱エステル化を行い、捲縮繊維とした。この処理後の繊維についても繊維断面での確認を行った結果、セルロースジアセテート成分のみが脱エステル化しセルロース化しており、セルロースエステルとセルロースとが接合していることを確認した。
【0042】
その後、織物を、分散染料を用いて温度120℃、時間30分の条件で高圧染色を行った。予備乾燥後、グリオキサザール系樹脂による樹脂加工及びシリコン系撥水剤による撥水加工をパディング法によって行った後、タンブラー乾燥機にて揉み込み加工を行った。染色上がり織物の最大収縮密度の0.9倍の密度で仕上げ加工セットを行った。仕上げ規格は経密度205本/2.54cm、緯密度99本/2.54cm、目付340g/mのツイル織物であった。得られた織物は、セルロース系繊維の織物でありながら、前駆体複合繊維から生成させたセルロース系捲縮繊維によって、経方向伸長率24%、緯方向伸長率5%、経方向伸長回復率82%、緯方向伸長回復率91%で、良好なストレッチ性能を有する織物であった。またこの織物は、経方向H2収縮−2.8%、緯方向H2収縮0.4%であり、初期撥水性能4級、洗濯10回後撥水性能2.5級の性能を有し、降雨等の水滴による過剰な浸透を防ぎながら衣服内の湿気を吸湿する性能が高く、非常に快適な織物であった。
【0043】
(比較例1)
平均置換度2.91のセルローストリアセテートを塩化メチレン91質量%、メタノール9質量%の混合溶剤に溶解し、セルローストリアセテートの22質量%濃度の紡糸原液を調製し、乾式紡糸法により、伸縮伸長率が0.5%以下の非捲縮性繊維であるセルローストリアセテート繊維(110dtex/26f)を得た。この繊維を用い、実施例1と同様に撚糸、製織を行い、脱エステル化のためのアルカリ処理をしない以外は、実施例1と同様の加工を行い、染色上がり織物の最大収縮密度から0.98倍の密度で仕上げ加工セットを行った。仕上げ規格は経密度190本/2.54cm、緯密度80本/2.54cm、目付255g/mの織物であった。得られた織物は、ストレッチ性能はなく、経方向伸長率2%、緯方向伸長率3%、経方向伸長回復率94%、緯方向伸長回復率92%のかっちりしたコンパクトなツイル織物であった。
【0044】
(比較例2)
実施例1において、水酸化ナトリウム1質量%水溶液、浴比1:100、処理温度60℃、処理時間15分のアルカリ処理を、水酸化ナトリウム2質量%水溶液、処理浴比1:100、処理温度90℃、処理時間15分の条件でのアルカリ処理に代えた以外は、実施例1と同様に加工を行い仕上げた。仕上げ規格は経密度195本/2.54cm、緯密度90本/2.54cm、目付295g/mの織物であった。なお、前駆体複合繊維(110dtex/26f)は、繊維断面での確認によりセルロースジアセテート部分のみならずセルローストリアセテート部分もおよそ半分程度脱エステル化した繊維となっており、その伸縮伸長率は9%であった。得られた織物は、経方向伸長率7%、緯方向伸長率3%、経方向伸長回復率65%、緯方向伸長回復率75%で若干のストレッチ性はあるものの回復性の劣る織物であった。
【0045】
(実施例2)
実施例1で得られた前駆体複合繊維(110dtex/26f)、及び実施例1におけると同様の方法で製造した細繊度の前駆体複合繊維(84dtex/20f、実施例1と同様にアルカリ処理したときに得たセルロース系捲縮繊維の伸縮伸長率は23%)を用い、それぞれ単糸でダブルツイスター(村田製作所製302型、回転数8000rpm)にて撚数200T/m、S方向(撚係数K2000、1700)で撚糸を行ない、70℃で40分の条件でスチームによる熱セットを行なった。細繊度の前駆体複合繊維の撚糸を経糸に、太繊度の前駆体複合繊維の撚糸を緯糸に用い、平組織で、経密度110本/2.54cm、緯密度88本/2.54cmにて製織し織物とした。この織物を、実施例1におけると同様に、アルカリ処理、及び染色、樹脂加工、タンブラー加工を行なった後、染色上がり織物の最大収縮密度から0.95倍の密度で仕上げ加工セットを行った。仕上げ規格は、経密度130本/2.54cm、緯密度100本/2.54cm、目付85g/mの織物であった。得られた織物は、セルロース系のタフタ織物でありながら、前駆体複合繊維から生成させたセルロース系捲縮繊維によって経緯方向に適度なストレッチ性が得られ、経方向伸長率6%、緯方向伸長率5%、経方向伸長回復率90%、方向緯伸長回復率85%の良好なストレッチ性能を有する平織物であった。またこの織物は、経方向H2収縮−0.3%、緯方向H2収縮−0.2%であり、初期撥水性能4級、洗濯10回後撥水性能3級の性能を有し、従来のセルローストリアセテート繊維100%のタフタ織物では得られないストレッチ性が兼ね備えられた裏地用途に最適なストレッチタフタ織物であった。
【0046】
(比較例3)
いずれも伸縮伸長率が0.5%以下の非捲縮性繊維である三菱レイヨン社製セルロースジアセテート繊維(84dtex/21f)及びセルロースジアセテート繊維(110dtex/27f)を用いて、実施例2と同様に撚糸、製織を行い、織物にアルカリ処理を施さない以外は、実施例2と同様にして織物を得た。染色上がり織物の最大収縮密度から0.98倍の密度で仕上げ加工セットを行った。仕上げ規格は経密度116本/2.54cm、緯密度89本/2.54cm、目付69g/mの織物であった。得られた織物は、ストレッチ性能が乏しく、経方向伸長率1%、緯方向伸長率3%、経方向伸長回復率60%、緯方向伸長回復率85%のストレッチ性の乏しいタフタ織物であった。
【0047】
(実施例3)
実施例1で得た前躯体複合繊維(110dtex/26f)、及び特許2829893号に記載の方法によって製造された自発伸長性ポリエチレンテレフタレート糸(三菱レイヨン社製、SD135dtex/72f、沸水処理時収縮率−0.7%、沸水処理後の180℃乾熱収縮率-1.8%)を用い、供給比率を0.5%のオーバーフィド率にてインターレース混繊により複合糸(糸繊度246dtex、交絡度34個/m)とした。この複合糸を無撚糸で緯糸に、ポリエチレンテレフタレート1ヒーターウーリー加工糸(三菱レイヨン社製、SD270dtex/48f、Z仮撚)を経糸に用い、2/2綾組織で、経密度118本/2.54cm、緯密度65本/2.54cmにて製織しツイル織物とした。この織物を、実施例1におけると同様に、アルカリ処理、及び染色、樹脂加工、タンブラー加工を行なった後、染色上がり織物の最大収縮密度から0.95倍の密度で仕上げ加工セットを行った。織物でのセルロース系捲縮繊維の含有量はインターレース混繊糸として約40質量%であった。仕上げ規格は経密度128本/2.54cm、緯密度88本/2.54cm、目付230g/mの織物であった。得られた織物は、前駆体複合繊維からのセルロース系捲縮繊維によって緯方向にストレッチ性が得られ、緯方向の伸長率12%、伸長回復率74%の良好なストレッチ性能を有する織物であった。この織物は、経方向H2収縮−1.8%、緯方向H2収縮0.2%であり、初期撥水性能4級、洗濯10回後撥水性能3級の性能を有しており、従来のポリエステル繊維100%の織物では得られない、湿気の吸湿性能と過剰に濡れた状態でのベトツキ感が少なく、かつストレッチ性が兼ね備えられた織物であった。
【0048】
(比較例4)
実施例3で得たインターレース混繊による複合糸を、ダブルツイスター(村田製作所製310C型、回転数9000rpm)にて 撚数800T/mS方向(撚係数K11500)の撚糸を行ない、80℃で40分の条件でスチームによる熱セットを行なった。この撚糸を緯糸に用い、実施例2と同様にして製織して織物を得た。仕上げ規格は経密度122本/2.54cm、緯密度88本/2.54cm、目付220g/mの織物であった。得られた織物は、捲縮繊維の捲縮が充分に形成されず、緯方向の伸長率3%、伸長回復率78%と緯方向にストレッチ性が低いものであった。
【0049】
(実施例4)
実施例1で得た前駆体複合繊維(110dtex/26f)を芯糸とし、ポリエチレンテレフタレート普通糸(三菱レイヨン社製、SD110dtex/48f、沸水処理時収縮率12.4%)をカバー糸に用い、SZ方向各500T/Mのダブルカバーリング加工糸(糸繊度333dtex)を得た。このカバーリング加工糸を緯糸に用い、ポリエチレンテレフタレート1ヒーターウーリー加工糸(三菱レイヨン社製、SD270dtex/48f、Z仮撚)を経糸に用いて、石目組織で、経密度96本/2.54cm、緯密度50本/2.54cmにて製織し織物とした。この織物を、実施例3におけると同様に、アルカリ処理、及び染色、樹脂加工、タンブラー加工を行なった後、染色上がり反末の最大収縮密度から0.95倍の密度で仕上げ加工セットを行った。織物でのセルロース系捲縮繊維の含有量はカバーリング加工糸として約28質量%であった。仕上げ規格は経密度110本/2.54cm、緯密度55本/2.54cm、目付160g/mの織物であった。得られた織物は、前駆体複合繊維からのセルロース系捲縮繊維によって緯方向にストレッチ性が得られ、緯方向の伸長率5%、伸長回復率75%の良好なストレッチ性能を有する織物であった。またこの織物は、経方向H2収縮−0.9%、緯方向H2収縮−0.5%であり、初期撥水性能4級、洗濯10回後撥水性能3級の性能を有しており、非常に快適なる織物であった。
【0050】
(実施例5)
実施例1で得た前駆体複合繊維(110dtex/26f)を芯糸とし、常圧カチオン染料可染性ポリエステルフィラメント糸(三菱レイヨン社製、B33dtex/12f、沸水処理時収縮率9.5%)をカバー糸として用い、SZ方向各600T/Mのダブルカバーリング加工糸(糸繊度178dtex)を得た。得られたカバーリング加工糸を経糸及び緯糸に用い、平組織で、経密度65本/2.54cm、緯密度60本/2.54cmにて製織して織物とした。この織物を、実施例1におけると同様に、アルカリ処理、及び染色、樹脂加工、タンブラー加工を行なった後、染色上がり織物の最大収縮密度から0.95倍の密度で仕上げ加工セットを行った。織物でのセルロース系捲縮繊維の含有量はカバーリング加工糸として約55質量%であった。仕上げ規格は経密度80本/2.54cm、緯密度65本/2.54cm、目付103g/mの織物であった。得られた織物は、前駆体複合繊維からのセルロース系捲縮繊維によって経、緯方向に適度なストレッチ性が得られ、経方向伸長率7%、緯方向伸長率8%、経方向伸長回復率85%、緯方向伸長回復率75%の良好なストレッチ性能を有する平織物であった。またこの織物は、経方向H2収縮−1.3%、緯方向H2収縮−1.3%であり、初期撥水性能4級、洗濯10回後撥水性能3級の性能を有しており、吸湿性に優れ適度なストレッチ性が兼ね備えられ、かつ引裂き強力や湿潤時の形態安定性に優れた、インナー用途に最適な薄手織物であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のセルロース系ストレッチ性織物は、セルロース系繊維で構成されながら、伸縮伸長率、伸長回復率が高く、優れたストレッチ性性能を有するものであり、また、湿気や汗を吸収するもので快適性に優れ、ソフトな風合い有することから、例えばスポーツ衣料、インナー衣料、ストレッチ裏地等に好適なるものであり、また、衣料等の繊維製品におけるストレッチ性、吸湿性の要求される部分の素材として好適なるものであり、本発明は、従来のセルロース系繊維の用途分野を拡大するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃、65%HRにおける伸縮伸長率が15%以上のセルロース系捲縮繊維を含み、以下の要件(1)〜(3)を満足するセルロース系ストレッチ性織物。
(1)20℃、65%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜35%、伸長回復率が70%以上
(2)20℃、90%HRにおける織物のセルロース系捲縮繊維が配された方向の伸長率が5〜25%、伸長回復率が70%以上
(3)目付が50〜350g/m
【請求項2】
セルロース系捲縮繊維が、セルロースエステルとセルロースとが接合された複合捲縮繊維である請求項1に記載のセルロース系ストレッチ性織物。
【請求項3】
セルロース系捲縮繊維が、無撚糸又は撚係数Kが11000以下の甘撚糸として配された請求項1又は2に記載のセルロース系ストレッチ性織物。
【請求項4】
無撚糸又は甘撚糸が、セルロース系捲縮繊維を25質量%以上有する複合糸又はセルロース系捲縮繊維を芯糸としセルロース系捲縮繊維を20質量%以上有するカバーリング加工糸から形成される無撚糸又は甘撚糸である請求項3に記載のセルロース系ストレッチ性織物。
【請求項5】
アルカリ反応性の低いセルロースエステルとアルカリ反応性の高いセルロースエステルとが質量比で20/80〜60/40の複合比で接合された前駆体複合繊維を経糸及び緯糸の少なくとも一方に配して製織した後、アルカリ処理を施して前駆体複合繊維のアルカリ反応性の高いセルロースエステル側を脱エステル化してセルロース化し、セルロースエステルとセルロースとが接合されたセルロース系捲縮繊維とする請求項1に記載のセルロース系ストレッチ性織物の製造方法。
【請求項6】
前駆体複合繊維を、無撚糸又は撚係数Kが11000以下の甘撚糸として用いる請求項5に記載のセルロース系ストレッチ性織物の製造方法。
【請求項7】
無撚糸又は甘撚糸を、前駆体複合繊維を25質量%以上有する複合糸又はセルロース系捲縮繊維を芯糸としセルロース系捲縮繊維を20質量%以上有するカバーリング加工糸で形成する請求項6に記載のセルロース系ストレッチ性織物の製造方法。

【公開番号】特開2008−297672(P2008−297672A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146538(P2007−146538)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(301067416)三菱レイヨン・テキスタイル株式会社 (102)
【Fターム(参考)】