説明

セロトニン様作用薬としてのインダゾールアミド化合物

【課題】セロトニン様作用を有するインダゾールアミド化合物、その製造方法および同化合物を含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】一般式(I)の化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩。当該化合物を含む医薬組成物は過敏性腸症候群、尿失禁、不整脈などの5−HT、受容体の拮抗薬に応答する病変に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン様作用を有するインダゾールアミド化合物、その製造方法および同化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの既知のセロトニン受容体族の中で、5HT受容体だけが、最近になって、膀胱、平滑筋、心筋および中枢神経系の特定領域において見出された。上記の受容体に対して作動作用、部分的作動作用および拮抗作用を有する化合物は、胃腸運動能力障害、中枢神経系障害、尿失禁、不整脈等に対する薬物治療において大きい興味をひいている。このような化合物は、現に、腸運動を刺激するセロトニンの作用に類似あるいは拮抗した作用により、腸神経細胞を活性化して腸運動を刺激したり、訓練、記憶、不安をつかさどる重要な脳の働きを調整したり、膀胱の弛緩を誘発したり、心房収縮の回数を増加したりする効果を示している。
【発明の概要】
【0003】
インダゾールアミド化合物族が、5HTと親和性を有する受容体であること、およびセロトニンの部分的作動薬または拮抗薬として作用することを、本発明でもって発見した。
【0004】
したがって、本発明の第一の目的は次の一般式で表わされるインダゾールアミド化合物の提供である:
【化1】


式中、
は水素;
はイソプロピル;
およびR'は水素;
およびRは水素;
は下記の基から選択される。C1−3アルキル、C3−7シクロアルキル、5〜6員を有する複素環(そのうちの1〜4員は、N、OおよびSよりなる群から選ばれる相互に同じあるいは相異したヘテロ原子である)、ジメチルアミノC1−3アルキル、メトキシC1−3アルキル、N−フェニルアミド、アミノスルホニルメチル、ジヒドロキシC2−3アルキル、アリール、ハロゲンおよびヒドロキシよりなる群から選ばれる少なくとも一つの基によって置換されたアリール、アリールC1−3アルキル;
を有する化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩。
【0005】
アリールの好ましい例は、フェニル、ナフチル、ビフェニルである。
【0006】
複素環の好ましい例は、チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラザニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピぺラジニル、モルホリニル、トリアジニル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリルである。Rの典型的な例は、シクロプロピル、シクロヘキシル、ピリジニル、テトラゾリル、モルホリニル、メトキシメチル、メトキシプロピル、フェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ヒドロキシフェニル、フェネチル、ジメチルアミノメチル、アミノスルホニルメチルである。
【0007】
本発明の第二の目的は、式(I)の化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩の製造方法の提供であり、その製法は次の工程を含む:
a)式(II)
【化2】


式中、R、R'、R、Rは前記の意味を有し、
Pは適当な保護基である;
の4−アミノメチルピペリジンを、
式(III)
【化3】

式中、RおよびRは前記の意味を有し、
Xはハロゲンである;
の1−アルキル−インダゾール−3−カルボン酸ハライドによってアシル化して、
式(IV)
【化4】

式中、R、R、R、R'、R、RおよびPは前記の意味を有する;
の化合物を得る、
b)式(IV)の化合物を脱保護して、
式(V)
【化5】


式中、R、R、R、R'、RおよびRは前記の意味を有する;
の化合物を得る、
c)次の反応式にしたがい、式(V)の化合物を式(VI)の化合物でアルキル化して、式(I)の化合物を得る、
【化6】


式中、R、R、R、R'、R、RおよびRは前記の意味を有し、
Yはハロゲンである;
d)場合によっては、式(I)のインダゾールアミド化合物の薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、または式(I)のインダゾールアミド化合物の薬学的に許容される第四級塩を形成する。
【0008】
保護基(P)の典型的な例は、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、テルブトキシカルボニル、トリメチルシリルエトキシカルボニルである。
【0009】
工程(a)の好ましい実施は、式(II)の化合物を式(III)(式中、Xは塩素)の化合物と、適当な希釈剤の存在下に0℃〜140℃の温度で0.5時間〜20時間、反応せしめることである。
【0010】
希釈剤は、非プロトン性で、極性または無極性であることが好ましい。非プロトン性無極性であることが更に好ましい。適当な非プロトン性無極性希釈剤の例は、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素である。適当な非プロトン性極性希釈剤の例は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドである。
【0011】
反応は温度15℃〜40℃で1時間〜14時間行うのが更に好ましい。
【0012】
引き続いて、工程(b)が保護基に詳しい専門家に知られている技法で実行される(Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts,“Protective groups in organic synthesis”, pp.309-406, John Wiley & Sons, Inc., N.Y.,1991)。ベンジルおよびベンジルオキシカルボニルの場合、保護基の脱離は触媒水素化によって行われるのが好ましい。適当な触媒の例は、活性炭素上のパラジウムである。
【0013】
脱保護は適当な希釈剤の存在下に水素化で行われるのが好ましい。希釈剤は、例えば低脂肪族アルコール、低脂肪酸およびその混合物である。
【0014】
工程(c)は、式(VI)(式中、Yが塩素または臭素)の化合物を、例えばアルカリ炭酸塩、重炭酸塩、低トリアルキルアミンのような適当な酸受容体と、例えば芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、低脂肪族アルコールのような適当な希釈剤の存在下で、使用して行うのが好ましい。
【0015】
本発明の付加塩形成(工程d)のために、好ましい有機酸および無機酸の典型的な例は、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、臭化水素、塩化水素である。
【0016】
メチルアイオダイドは、本発明の薬学的に許容される第四級塩の形成に好ましい化合物の典型的な例である。
【0017】
上記の塩の製造は、薬学上許容される有機酸や無機酸またはメチルアイオダイドを工程(c)において得た式(I)のインダゾールアミド化合物に加えること(工程d)を含む。
【0018】
式(IV)および(V)の中間体は、新規に発見されたものであり、本発明の第三の目的である。
【0019】
別法として、式(I)のインダゾールアミド化合物は、適当な4−アミノメチルピペリジンを式(III)の化合物でアシル化して製造できる。
【0020】
本発明の医薬組成物による処置で効果をあげられる病理的症状の典型的な例は、5−HT受容体の拮抗薬による処置で応答するすべての病変であって、例えば過敏性腸症候群(IBS)のような過敏腸運動に関連した胃腸障害、尿失禁、心房細動のような不整脈などである。
【0021】
本発明の医薬組成物は、適当な剤形に調製される。この剤形には、有効用量の式(I)の化合物、その薬学的に許容される酸付加塩またはその第四級塩の少なくとも1種、および薬学的に許容される不活性成分の少なくとも1種を含む。
【0022】
適切な剤形の例は、経口投与として錠剤、カプセル剤、被覆錠剤、顆粒剤、液剤、シロップなど;局所投与としてクリーム、軟膏、薬用テープなど;直腸投与として座薬;注射用、エアゾール用、眼科用の投与として滅菌液剤などである。
【0023】
また剤形には他に、安定剤、防腐剤、表面活性剤、緩衡剤、浸透圧調整剤、乳化剤、中和剤、着色剤、香味剤のような通常の材料も含まれる。
【0024】
特別な治療が必要な場合には、本発明の医薬組成物は、付随的に投与して治療に効果のある他の薬理学的活性部分を含み得る。
【0025】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、よく知られている要因に依存して大きく変化する。例えば、処置する病気のタイプ、患者の体重、剤形、選択投与経路、一日に投与する用量、式(I)の選択化合物の効力などの要因である。しかし、最適量は専門家なら通常の手順で容易に決定できる。
【0026】
典型的には、本発明の医薬組成物における式(I)の化合物または塩の量は、一日に0.001〜50mg/kgの投与量のレベルを確保した量である。
【0027】
本発明の医薬組成物の剤形は、薬学の専門家に知られている方法によって製造でき、混合、造粒、圧縮、溶解、滅菌のような作業を含む。
【0028】
次に述べる実施例は、本発明の説明を目的とするものであって、なんら制限を意味するものではない。
【実施例1】
【0029】
1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボニルクロライドの製造
(III:R=H、R=C
a)2−メチルプロピル−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキシレート
2−メチルプロピル−1H−3インダゾールカルボキシレート50g(0.24モル)の1,2−ジメトキシ−エタン300ml溶液に、イソプロピルブロマイド27.5ml(0.29モル)の1,2−ジメトキシ−エタン100mlおよびKOH 1.35g(0.24モル)の溶液を加えて、その混合物を8時間加熱還流した。溶媒を除去した後に残留物をトルエン300mlに溶解し、得た溶液をIN NaOH 100ml,HO 2X100ml混合液で洗い、次にそれを真空乾燥して残留物を2−メチルプロピル−2−イソプロピル−2H−3−インダゾールカルボキシレート異性体からフラッシュクロマトグラフィー(溶出液はヘキサン:エチルアセテート=95:5)で精製して標題の化合物23gを油状物として得た。
1HNMR(CDCl3,δ): 1.07(d,J=7Hz,6H); 1.66(d,J=7Hz,6H); 1.95-2.48(m,1H); 4.26(d,J=7Hz,2H); 4.96(hept.J=7Hz,1H); 7.15-7.70(m,3H); 8.03-8.33(m,1H).
【0030】
b)1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボン酸
実施例1a)の化合物10g(0.04モル)の0.75N NaOH 100ml懸濁液を12時間加熱還流した。その溶液を冷やし、6N HCl 40mlで酸性化し、固形沈殿物を濾過して、ヘキサン/エチルアセテート1:1の溶出液から再結晶して標題の化合物5.5g(融点162〜3℃)を得た。(Harada H. et al.,“Chem. Pham. Bull.”43(11), 1912−1930, 1995).
1H NMR(DMSO,δ); 1.54(d,J=7Hz,6H); 5.13(hept,J=7Hz,1H); 7.20-7.65(m,2H); 7.85(d,J=8Hz,1H); 8.14(d,J=7Hz,1H); 13.08(s broad,1H).
【0031】
c)1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボニルクロライド
チオニルクロライド4ml(0.054モル)を実施例1b)の化合物の溶液に攪拌しながら加え、この混合溶液を2時間還流攪拌した。溶媒を真空下で除去した後に、残留物をヘキサン溶出から再結晶して標題の化合物3.5gを得た。融点63〜4℃。
C11H11ClN2Oの元素分析
C H N
実測値(%) 59.29 5.20 12.76
計算値(%) 59.33 4.98 12.58
1H NMR(CDCl3,δ); 1.69(d,J=7Hz,6H); 5.00(hept.,J=7Hz,1H); 7.20-7.70(m,3H); 8.03-8.33(m,1H).
【実施例2】
【0032】
N3−{[1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジニル]メチル}−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド塩酸塩(AFR306)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=C
EP−A−0 343 307記述の方法で製造した[1−(2−フェニルエチル)−1−ピペリジニル]メチルアミン3g(0.014モル)のトルエン30ml溶液を実施例1c)3g(0.014モル)のトルエン30ml溶液に滴下した。室温で3時間の後に、固形物を濾過して水溶液とし、6N NaOH溶液で塩基性として、CHCl(2×200ml)で抽出した。溶媒を留去して、残留物をシリカゲルカラムに付して(溶出液はCHCl:MeOH=95:5)精製し、対応する塩酸塩に変換した。得た生成物(2g)は211〜212℃で溶融した。
C25H33CIN4Oの元素分析
C H N Cl
実測値(%) 68.13 7.52 12.78 8.03
計算値(%) 68.09 7.54 12.70 8.04
1H NMR(DMSO,δ); 1.56(d,J=7Hz,6H); 1.50−2.30(m,5H); 2.70−3.90(m,10H); 5.10(hept,J=7Hz,1H); 7.05−7.63(m,7H); 7.81(d,J=8Hz,1H); 8.21(d,J=8Hz,1H); 8.47(t,J=6Hz,1H); 11.05(s broad,1H)
IR(KBr):VCO 1652cm-1.
【実施例3】
【0033】
N3−{[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル}−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミドの製造
(IV:R=R=R'=R=R=H、R=C、P=−CH
1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボニルクロライド52g(0.234モル)のトルエン300ml攪拌溶液に、WO94/10174記述の方法で製造した[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチルアミン47.7g(0.234モル)のトルエン200ml溶液を滴下して加えた。5時間後に溶媒を減圧下で蒸発留去した。その反応混合物を2N NaOHで処理して、ジクロロメタンで抽出し、真空下で濃縮した。固形残留物95gを溶出液ヘキサン/エチルアセテート7:3から再結晶して、標題の化合物45gを白色の固体物として得た。融点は72〜74℃。
C24H30N4Oの元素分析
C H N
実測値(%) 73.78 7.87 14.35
計算値(%) 73.81 7.74 14.35
1H NMR(CDCl3,δ); 1.59(d,J7=Hz,6H); 1.10−2.25(m,7H); 2.80-3.15(m,2H); 3.27-3.60(m,4H); 4.86(hept,J=7Hz,1H); 7.00-7.60(m,9H); 8.27-8.52(m,1H).
IR(KBr):VCO 1641cm-1.
【実施例4】
【0034】
N3−(4−ピペリジニルメチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド塩酸塩
(V:R=R=R'=R=R=H、R=C
実施例3の生成物28g(0.076モル)のエチルアルコール1500mlおよび氷酢酸66mlの懸濁液を10%Pd−C(13.4g)で35psi、24時間水素添加した。混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残留物を水に溶解し、5N NaOHで処理して室温で2時間攪拌した。得た固体16.6gを濾取し、対応する塩酸塩9.5gに変換した。融点は211〜214℃(分解)。
C17H25CIN4O.1/2 H2Oの元素分析
C H N
実測値(%) 58.82 7.68 16.36
計算値(%) 59.03 7.58 16.20
1H NMR(DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 1.31-2.18(m,5H); 2.58-3.64(m,7H); 5.09(hept,J=7H,1H);7.12-7.60(m,2H); 7.80(d,J=8Hz,1H);
IR(KBr):Vco 1658cm-1.
【実施例5】
【0035】
N3−{[1−(4−フェニルブチル)−4−ピペリジニル]メチル}−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド オキサレート(AFR603)の製造
(I:R=R=R=R'=R=R=H、R=C、R=−CHCH
実施例4の生成物の遊離塩基5.27g(15.6mモル)のエチルアルコール攪拌懸濁液20mlに、KCO6.5g(50mモル)および4−フェニルブロモブタン(“Braun”,B−44,2872,1911)36g(17.1mモル)を加えた。反応混合物を10時間還流攪拌した。溶媒を除去した後、残留物をエチルアセテートと1N HClに分離した。水相を2N NaOHで塩基性にし、エチルアセテートで抽出し、真空下で濃縮した。固体物を対応するオキサレート2gに変換した。融点は154〜155℃。
C29H38N4O5.1/2H20の元素分析
C H N
実測値(%) 65.87 7.47 10.62
計算値(%) 65.52 7.39 10.54
1H NMR (DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 1.31-2.18(m,5H); 2.30-3.64(m.14H); 5.08(hept,J=7Hz,1H); 7.12-7.60(m,7H); 7.80(d,J=8Hz,1H);8.19(d,J=8Hz,1H); 8.41(t,J=6Hz,1H).
【実施例6】
【0036】
N3−{[1−(2−シクロヘキシルエチル)−4−ピペリジニル]メチル}−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド塩酸塩(AFR604)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=C11
実施例5の手順にしたがって、N3−(4−ピペリジニルメチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド4.42gおよび(2−ブロモエチル)−シクロヘキサン(“J. A. C. S”, 48, 1089-1093, 1926)4.63gから標題の化合物2.5gを得た。融点は244〜246℃(分解)。
C25H39N4O. 1/2H2Oの元素分析
C H N Cl
実測値(%) 65.51 9.05 12.57 7.89
計算値(%) 65.83 8.84 12.28 7.77
1H NMR (DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 0.68-2.18(m,17H); 2.63-3.70(m,10H); 5.09(hept,J=7Hz,1H); 7.12-7.60(m.2H); 7.80(d,J=8Hz,1H); 8.20(d,J=8Hz,1H); 8.41(t,J=6Hz,1H); 10.70(s broad 1H).
IR(KBr):Vco 1656cm-1.
【実施例7】
【0037】
N3−({1−[3−ジメチルアミノ)プロピル]−4−ピペリジニル}メチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド ジマレエート(AFR606)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=−CHNC
実施例5の手順に従って、N3−(4−ピペリジニルメチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド3gおよびN−(3−クロロプロピル)−N、N−ジメチルアミン塩酸塩580mgから標題の化合物950mgを得た。融点は155〜156℃。
C30H43N5O9. 1/2H20の元素分析
C H N
実測値(%) 57.83 7.01 11.11
計算値(%) 57.50 7.08 11.18
1H NMR(DMSO,δ); 1.55(d,7Hz,6H); 1.68-2.28(m,7H); 2.81(s,6H); 2.75-3.75(m,11H); 5.09(hept,J=7Hz 1H); 6.09(s,4H); 7.12-7.60(m,2H); 7.81(d,J=8Hz,1H); 8.20(d,J=8Hz,1H); 8.45(t,J=6Hz,1H).
【実施例8】
【0038】
N3−({1−[2−(4−モルホリニル)エチル]−4−ピペリジニル}メチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド二塩酸塩(AFR607)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=CNO)
実施例5の手順にしたがって、N3−(4−ピペリジニルメチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド3gおよび4−(2−クロロエチル)−モルホリン3.42gから標題の化合物3.2gを得た。融点は266〜267℃(分解)。
C23H37Cl2N5O2. 1/2H2Oの元素分析
C H N Cl
実測値(%) 55.74 7.61 13.96 14.12
計算値(%) 55.75 7.73 14.13 14.31
1H NMR(DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 1.30-2.25(m.5H); 2.75-4.30(m,19H); 5.09(hept,J=7Hz,1H); 7.12-7.60(m.2H); 7.81(d,J=8Hz,1H); 8.20(d,J=8Hz,1H); 8.45(t,J=6Hz,1H); 10.80(s broad,1H); 10.60(s broad,1H).
IR(KBr):Vco 1652cm-1.
【実施例9】
【0039】
N3−[(1−{2−[(メチルスルホニル)アミノ]エチル}4−ピペリジニル)メチル]−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド塩酸塩(AFR703)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=CHSONH−)
実施例5の手順にしたがって、N3−(4−ピペリジニルメチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド5gおよびN−(2−ブロモエチル)−メタンスルホンアミド(WO93/18036)3gから標題の化合物1.5gを得た。融点は186〜187℃。
C20H32ClN5O3Sの元素分析
C H N S Cl
実測値(%) 52.15 7.22 15.30 6.98 7.77
計算値(%) 52.45 7.04 15.29 7.00 7.74
1H NMR(DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 1.40-2.30(m,5H); 3.00(s,3H); 2.75-3.80(m.10H); 5.09(hept,J=7Hz,1H); 7.12-7.70(m,3H); 7.80(d,J=8Hz,1H); 8.20(d,J=8Hz,1H); 8.45(t,J=6Hz,1H); 10.73(s broad,1H).
IR(KBr):CO 165/cm-1.
【実施例10】
【0040】
N3−({1−[2−(2−ピリジニル)エチル]4−ピペリジニル}メチル)−1−イソプロピル−1H−3−インダゾールカルボキサミド塩酸塩(AFR605)の製造
(I:R=R=R'=R=R=H、R=C、R=CN)
実施例4の生成物の遊離塩基10g(33.3mモル)の攪拌懸濁液に、2−ビニルピリジン3.6g(34mモル)、氷酢酸2mlおよび水2.5mlを加えた。95℃で16時間後に反応混合物を2N NaOHで塩基性にし、エチルアセテートで抽出して、真空下で濃縮した。残留物をCHCl:MeOH=97:3で溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると固体物が得られ、塩酸塩に変換した(5g)。融点は122〜123℃(dec.)。
C24H32ClN5O. H20の元素分析
C H N Cl
実測値(%) 62.80 7.42 15.18 7.78
計算値(%) 62.66 7.45 15.22 7.71
1H NMR(DMSO,δ); 1.55(d,J=7Hz,6H); 1.68-2.30(m,5H); 2.80-3.78(m,12H); 5.10(hept,J=7Hz,1H); 7.12-7.60(m,4H); 7.68-8.00(m,2H); 8.12(d,J=7Hz,1H); 8.33-8.70(m,2H); 11.0.5(s broad,1H).
IR(KBr):Vco 1644cm-1.
【0041】
試験1
5−HT受容体に対する拮抗作用
式(I)の化合物の拮抗作用を評価するために、J. D. Gale 他が“British Journal of Pharmacology”, 111,332〜338(1994)で述べている方法にしたがって、あらかじめカルバコールで収縮したラット食道膜のセロトニン誘導弛緩に対する化合物の効果を調べた。
【0042】
試験した本発明の化合物すべてがpA2>8を示した。AFR603、AFR604、AFR306の特性値を下記の表1に示す。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

式中、
は水素;
はイソプロピル;
およびR'は水素;
およびRは水素;
は下記の基から選択:C1−3アルキル、C3−7シクロアルキル、5〜6員を有する複素環(そのうちの1〜4員は、N、OおよびSよりなる群から選ばれる相互に同じあるいは相異したヘテロ原子である)、ジメチルアミノC1−3アルキル、メトキシC1−3アルキル、N−フェニルアミド、アミノスルホニルメチル、ジヒドロキシC2−3アルキル、ヒドロキシによって置換されたアリール;
を有する化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩。
【請求項2】
複素環が、チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラザニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピぺラジニル、モルホリニル、トリアジニル、チアゾリル、テトラゾリルおよびチアジアゾリルよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項3】
が、シクロプロピル、シクロヘキシル、ピリジニル、テトラゾリル、モルホリニル、メトキシメチル、メトキシプロピル、ヒドロキシフェニル、ジメチルアミノメチルおよびアミノスルホニルメチルよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項4】
、R、R'、RおよびRが水素で、Rがイソプロピル、およびRがシクロヘキシルであることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項5】
、R、R'、RおよびRが水素で、Rがイソプロピル、およびRがピリジニルであることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項6】
、R、R'、RおよびRが水素で、Rがイソプロピル、およびRがジメチルアミノエチルであることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項7】
、R、R'、RおよびRが水素で、Rがイソプロピル、およびRがモルホリニルであることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項8】
、R、R'、RおよびRが水素で、Rがイソプロピル、およびRがアミノスルホニルメチルであることを特徴とする、請求項1の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩の製造方法であり、次の工程:
a)式(II)
【化2】

式中、
、R'、R、Rは前記の意味を有し、
Pは適当な保護基である;
の4−アミノメチルピペリジンを、
式(III)
【化3】

式中、
およびRは前記の意味を有し、
Xはハロゲンである;
の1−アルキル−インダゾール−3−カルボン酸ハライドによってアシル化して、
式(IV)
【化4】

式中、
、R、R、R'、R、RおよびPは前記の意味を有する;
の化合物を得る、
b)式(IV)の化合物を脱保護して、
式(V)
【化5】

式中、
、R、R、R'、RおよびRは前記の意味を有する;
の化合物を得る、
c)次の反応式にしたがい、式(V)の化合物を式(VI)の化合物でアルキル化して、式(I)の化合物を得る、
【化6】


式中、
、R、R、R'、R、RおよびRは前記の意味を有し、
Yはハロゲンである;
d)場合によっては、式(I)のインダゾールアミド化合物の薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、または式(I)のインダゾールアミド化合物の薬学的に許容されるの第四級塩を形成する、
を含む方法。
【請求項10】
Pが、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、テルブトキシカルボニルおよびトリメチルシリルエトキシカルボニルよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項9の方法。
【請求項11】
工程(a)の実施が、式(II)の化合物を式(III)(式中、Xは塩素)の化合物と、適当な希釈剤の存在下に0℃〜140℃の温度で0.5時間〜20時間、反応せしめることを特徴とする請求項9または10の方法。
【請求項12】
Pがベンジルまたはベンジルオキシカルボニルの場合、工程(b)が触媒水素化によって行われることを特徴とする、請求項10の方法。
【請求項13】
式(IV)の化合物においてYが塩素または臭素である場合、工程(c)が酸受容体の存在および希釈剤の存在の下に実施されることを特徴とする、請求項9から11のいずれかの方法。
【請求項14】
メチルアイオダイドが、式(I)の化合物の薬学的に許容される第四級塩を形成する工程(d)を特徴とする、請求項9の方法。
【請求項15】
一般式、
【化7】

式中、
は水素;
はイソプロピル;
およびR'は水素;
およびRは水素;
Pはベンジルオキシカルボニル、テルブトキシカルボニルおよびトリメチルシリルエトキシカルボニルよりなる群から選ばれる;
を有する中間体化合物。
【請求項16】
、R、R'、RおよびRが水素であり、Rがイソプロピルであることを特徴とする、請求項14の化合物。
【請求項17】
医薬組成物であって、一般式、
【化8】

式中、
は水素;
はイソプロピル;
およびR'は水素;
およびRは水素;
は下記の基から選択:C1−3アルキル、C3−7シクロアルキル、5〜6員を有する複素環(そのうちの1〜4員は、N、OおよびSよりなる群から選ばれる相互に同じあるいは相異したヘテロ原子である)、ジメチルアミノC1−3アルキル、メトキシC1−3アルキル、N−フェニルアミド、アミノスルホニルメチル、ジヒドロキシC2−3アルキル、アリール、ヒドロキシによって置換されたアリール;
を有する化合物、その薬学的に許容される有機酸や無機酸との酸付加塩、およびその薬学的に許容される第四級塩の少なくとも1種の有効量を含むことを特徴とする組成物。

【公開番号】特開2010−195813(P2010−195813A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100701(P2010−100701)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【分割の表示】特願平10−543475の分割
【原出願日】平成10年4月2日(1998.4.2)
【出願人】(592160973)アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ (36)
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】