説明

セロトニン5−HT2C受容体のリガンドとしてのチオフェニルおよびピロリルアゼピンならびにこの使用

本発明は、一般に一連の化合物、本化合物を含む医薬組成物、ならびに治療薬としての本化合物および組成物の使用に関する。より具体的には、本発明の化合物は、チオフェニルおよびピロリルアゼピン化合物である。これらの化合物は、セロトニン受容体(5−HT2c)リガンドであり、セロトニン受容体(5−HT20)の活性の調節が望まれる疾患、障害および状態(例えば、嗜癖、不安、うつ病、肥満など)を治療するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に一連の化合物、本化合物を含む医薬組成物、ならびに治療薬としての本化合物および組成物の使用に関する。より具体的には、本発明の化合物は、チオフェニルおよびピロリルアゼピン化合物である。これらの化合物は、セロトニン受容体(5−HT2c)リガンドであり、セロトニン受容体(5−HT2c)の活性の調節が望まれる疾患、障害および状態(例えば、嗜癖、不安、うつ病、肥満など)を治療するために有用である。
【背景技術】
【0002】
セロトニンは、例えば、睡眠、摂食、知覚痛、体温制御、血圧制御、うつ病、不安、嗜癖および総合失調症に関連する疾患、障害および状態を含む中枢神経系に由来する多くの疾患、障害および状態に関係している。また、セロトニンは、様々な収縮、分泌および電気生理学的作用を媒介することが発見されている胃腸系などの末梢系において重要な役割を果たす。
【0003】
体内の広範なセロトニンの分布により、セロトニン作動系に作用する薬物の必要性がある。特に、セロトニン作動系のアゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニストは、不安、うつ病、高血圧症、片頭痛、肥満、強迫性障害、総合失調症、自閉症、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン症候群およびハンチントン舞踏病)および化学療法誘発性の嘔吐などの広範囲にわたる障害の治療における関心事である。
【0004】
セロトニン受容体(5−HT1−7)の主なクラスは、正式に分類されている1種から7種の別々の受容体を含む。Glennonら、Neuroscience and Behavioral Reviews、1990、14、35;およびD.Hoyerら、Phannacol.Rev.1994、46、157−203を参照のこと。
【0005】
例えば、受容体の5−HTファミリーは、一次構造、二次情報伝達物質系(secondary messenger system)、および作動的プロフィールを基にして一緒に分類されている、5−HT2a、5−HT2bおよび5−HT2cサブタイプを含む。3種すべての5−HTサブタイプは、Gタンパク質共役型であり、主要な伝達メカニズムとしてホスホリパーゼCを活性化し、7回膜貫通型ドメイン構造を含む。哺乳動物において、3種の5−HTサブタイプの分布に明白な相違が見られる。5−HT2bおよび5−HT2a受容体は、末梢神経系に広く分布しており、5−HT2aは、脳においても発見されている。5−HT2c受容体は、中枢神経系でのみ発見されており、ヒトの脳の多くの領域で高頻度に発現している。G.Baxterら、Trends in Pharmacol.Sci.1995、16、105−110を参照のこと。
【0006】
サブタイプ5−HT2aは、特定のCNS作用だけでなく、血管収縮、血小板凝集および気管支収縮などの作用に関連しており、一方、サブタイプ5−HT2cは、うつ病、不安、強迫性障害、嗜癖、恐慌性障害、恐怖症、精神医学的症候群および肥満を含む疾患に関連している。5−HT2b受容体の薬理学的役割についてはほとんど知られていない。F.Jenckら、Exp.Opin.Invest.Drugs、1998、7、1587−1599;M.Bosら、J.Med.Chem、1997、40、2762−2769;J.R.Martinら、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、1998、286、913−924;S.M.Bromidgeら、1.Med.Chem.、1998、41、1598−1612;G.A.Kennett、Drugs、1998、1、4、456−470;およびA.Dekeyneら、Neurophannacology、1999、38、415−423を参照のこと。
【0007】
WO93/13105、米国特許第5691330号、第5532240号は、チオフェン誘導体を開示し;米国特許第4414225号は、チオフェン、フランおよびピロール誘導体を開示し;米国特許第4575504号は、チエノチアゾール(thienothiazole)誘導体を開示し;米国特許第5258378号は、特定のピロロアゼピン(pyrroloazepine)化合物を開示し;米国特許第4414225号および第4904653号は、特定のアゼピン誘導体を開示し;WO2005/019179は、特定のベンズアゼピンを開示し、WO2005/003096、WO2005/042490およびWO2005/042491は、ベンズアゼピン誘導体を開示し;WO96/11201は、フラン誘導体を開示し;WO2005/040169は、セロトニン調節物質である特定の融合ピロールおよびピラゾール含有複素環式化合物を開示し;WO2004/024065は、置換二環式チオフェン誘導体を開示している。これらの特許および特許出願において、本発明の化合物を開示しているものはない。
【発明の開示】
【0008】
発明の要旨
本発明は、次式の化合物および薬学的に許容されるこの塩を対象とする。
【0009】
【化2】

[式中、Xは、SまたはNR11であり;
およびRは、独立に、H、ハロゲン、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、ペルハロアルキル、C1−8アルキルペルハロアルキル、−CN、OR、SR、−SO10、−C(=O)R10、−C(=O)NR、−NRCO10、−SONR、−NRSO10、アリールまたはヘテロアリール、C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、アルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の炭素環または複素環を形成することができ;
は、H、C1−8アルキル、OR、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され;
3aは、HもしくはC1−8であり;またはRおよびR3aは、一緒になって−CHCH−であり;
およびRは、一緒になってアルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の炭素環または複素環を形成し;
は、H、C1−8アルキルまたはORであり;
4aは、H、C1−8アルキルであり;または、RおよびR4aは、一緒になって−CHCH−であり;
は、H、C1−8アルキル、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
5aは、Hまたは−C1−8アルキルであり;
は、H、−C1−8アルキル、C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、C1−9アルキルアリールまたはヘテロアリール、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
6aは、Hまたは−C1−8アルキルであり;
は、H、−C1−8アルキル、および−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
、Rは、独立に、H、−C1−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、アリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、5員から7員の複素環を形成し;
10は、−C1−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、アリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
11は、H、−C1−8アルキル、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、−SO10、−C(=O)R10、−C(=O)OR10、アリールおよびヘテロアリール、またはC1−8アルキルアリールもしくはヘテロアリールから成る群から選択され;
11およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、−C1−8アルキル、CF3および−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の複素環を形成することができ;
11およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、−C1−8アルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の複素環を形成することができ;
ここで、アリールおよびヘテロアリールは、−C1−8アルキル、ハロゲン、CNおよびアルコキシから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換されている。]
【0010】
本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物または薬学的に許容されるこの塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、5−HT2c受容体が関係し、5−HT2c機能の調節が望まれる哺乳動物(例えば、動物またはヒト)における疾患、障害および/または状態を治療する方法を提供する。本方法は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるこの塩の治療有効量を、哺乳動物に投与することを含む。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるこの塩の有効量で5−HT受容体機能を調節する方法を含む。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、中枢神経系の疾患、障害および/または状態を治療または予防する方法を提供する。本方法は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるこの塩の治療有効量を、哺乳動物に投与することを含む。
【0014】
式(I)の化合物が活性を有する可能性のある特定の疾患、障害および/または状態は、肥満、うつ病、総合失調症、不安、強迫性障害、嗜癖、恐慌性障害、睡眠障害、片頭痛、II型糖尿病、てんかん、恐怖症および精神医学的症候群を含む。
【0015】
発明の詳細な説明
特に記載しない限り、以下の定義を使用する。
【0016】
本明細書では、「アルキル」という用語は、示された炭素原子数を含む直鎖および分枝鎖の炭化水素基の典型的にメチル、エチル、ならびに直鎖および分枝鎖のプロプルおよびブチル基を含む。また、「アルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのシクロアルキル(すなわち、環式C−C炭化水素基)を含む。「プロピル」などの個々の基または部分についての言及は、直鎖基または部分のみを含む。「イソプロピル」などの分枝鎖の異性体を特に指す。
【0017】
本明細書では、「アルケニル」という用語は、単独または組合せで、2から10個の炭素原子を含む置換もしくは非置換の直鎖または置換もしくは非置換の分枝鎖のアルケニル基を指す。このような基の例は、エテニル、E−およびZ−ペンテニル、デセニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本明細書では、「アルキニル」という用語は、単独または組合せで、2から10個の炭素原子を含む置換もしくは非置換の直鎖または置換もしくは非置換の分枝鎖のアルキニル基を指す。このような基の例は、エチニル、プロピニル、プロパルギル、ブチニル、ヘキシニル、デシニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本明細書では、「アルコキシ」という用語は、単独または組合せで、「アルキル」という用語が上記の定義の通りであるアルキルエーテル基を指す。適したアルキルエーテル基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書では、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを含むものと定義される。同様に、本明細書では「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含むものと定義される。
【0021】
「アミノ」という用語は、単独または組合せで、RおよびRが、独立に、水素、アルキル、アルキルアリールまたはアリールである−NHまたは−NR基を含む。
【0022】
本明細書では、「アリール」という用語は、単独または組合せで、非置換であるか、または例えば、RおよびRが、独立に、水素、アルキル、アルキルアリールもしくはアリールである以下のH、ハロ、CN、NO、CF、N、C1−6アルキル、OH、NR、OC1−6アルキル、OR、C(=O)NR、C(=S)NR、テトラゾイル、トリアゾイル、アミジニル、グアニジニル、チオグアニジニル、シアノグアナジニルおよびアリールから成る群から選択された1つもしくは複数の特に1つから3つの置換基で置換することができる単環式または二環式芳香族基(例えば、フェニルまたはナフチル)と定義される。一般に、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチルまたはテトラヒドロナフチル)である9から10個の環原子を有するフェニル基またはオルト融合二環式炭素環式基を意味する。また、「アリール」という用語は、様々な化学構造において「Ar」と省略されている。
【0023】
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、1つ、2つまたは3つの芳香環を含み、芳香環に少なくとも1個の窒素、酸素またはイオウ原子を含み、非置換であるか、または例えば1つもしくは複数の特に1つから3つのハロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニルおよびアルキルスルホニルなどの置換基で置換できる単環式、二環式または三環式系と定義される。ヘテロアリール基の例は、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、4H−カルバゾリル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンザチアゾリル、13−カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンナオリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、ナフト[2,3−b]、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびキサンテニルを含むが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、炭素と非ペルオキシド(non−peroxide)酸素、イオウおよびN(Z)(Zは、存在しないか、またはH、O、C1−4アルキル、フェニルもしくはベンジルである。)から成る群から独立に、選択された1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5または6個の環原子を含む単環式芳香環を意味する。他の実施形態では、ヘテロアリールは、これから誘導された約8から10個の環原子のオルト融合二環式複素環、特にベンズ誘導体、またはこれに対してプロピレンもしくはテトラメチレンジラジカルを融合することにより誘導されたものを意味する。
【0024】
「Het」または「複素環」という用語は、一般に、酸素、窒素およびイオウから成る群から選択された少なくとも1個のヘテロ原子を含み、C1−6アルキルまたはC(=O)ORで場合によって置換された飽和または部分的に不飽和の複素環式基を表す。典型的に、「Het」は、酸素、窒素およびイオウから成る群から選択された1個または複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式基である。また、「Het」基は、環に結合したオキソ基(=O)を含むことができる。Het基の限定を意図しない例は、1,3−ジヒドロベンゾフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,4−ジチアン、2H−ピラン、2−ピラゾリン、4H−ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルホリン、ピペラジニル、ピペリジン、ピペリジル、ピラゾリジン、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジンおよびチオモルホリンを含む。
【0025】
現時点で好ましい化合物は、以下を含む。
2,2−ジメチル−1−(3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;
3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−エタンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
(R,S)−3,3−ジメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−エタンスルホニル−3,4−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−2,2−ジメチル−1−(4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;
1−(3−ブロモ−4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン;
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン;
(R,S)−2−ブロモ−3,3−ジメチル−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン;
(R,S)−2−ブロモ−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
4−メチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
3,3,4−トリメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
2,2−ジメチル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;および
1−(3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン。
【0026】
本発明の特定の化合物は、異なる異性体(例えば、エナンチオマーおよびジステレオ異性体)の形態で存在することができる。本発明は、純粋な形態およびラセミ混合物を含む混合物の両方でこのようなすべての異性体を企図する。また、エノール形態を含む。
【0027】
本発明の化合物は、水和した形態(例えば、半水和物)を含む、非溶媒和および溶媒和の形態において存在することができる。本発明の目的において、通常は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒で溶媒和された形態は、非溶媒和の形態と同等である。
【0028】
また、本発明の特定の化合物は、薬学的に許容される塩(例えば、酸付加塩)を形成する。例えば、窒素原子は、酸付加塩を形成することができる。塩形成のために適した酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸および当業者に周知の他の金属カルボン酸である。従来の様式で塩を生成させるために、この塩は、遊離塩基形態を十分量の所望の酸と接触させることにより調製する。遊離塩基形態を、炭酸カリウム、アンモニアおよび炭酸水素ナトリウムの水酸化物の希釈水溶液などの適切な希釈塩基水溶液で塩を処理することにより再生させることができる。この遊離塩基形態は、極性溶媒中の溶解性などの特定の物理的性質において、これらのそれぞれの塩の形態とはいくぶん異なるが、本発明の目的において、酸性塩は、これらのそれぞれの遊離塩基形態と同等である。(例えば、S.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、66:1−19(1977)を参照のこと、参照することにより本明細書に援用する。)。
【0029】
本明細書では、「組成物」という用語は、特定の量における特定の成分を含む生成物、および特定の量における特定の成分の組合せから直接または間接的に生じるあらゆる生成物を含むことを意図する。
【0030】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導された薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。「薬学的に許容される塩」という句は、正しい医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよびより下等な動物の組織と接触させる使用に適しており、合理的な有益性/リスク比と見合ったこれらの塩を意味する。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences.、1977、66:1(以下参照)に詳細に薬学的に許容される塩について記載している。この塩は、本発明の化合物の最終の単離および精製の間に原位置で、または遊離塩基機能を適した有機酸で反応させることにより別々に調製することができる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホネート、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタノエート、ヘキサノエート、フマル酸塩、ハイドロクロライド、臭化水素酸塩、よう化水素酸塩、2−ヒロドキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチネート、2−ナフタレンスルホネート、シュウ酸塩、パルミトエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−プロピオン酸フェニル、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。また、塩基性の窒素含有基を、メチル、エチル、プロピル、ならびに塩化ブチル、臭化物およびヨウ化物などの低ハロゲン化アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸塩などの硫酸ジアルキル;デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物、ならびにヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物などのアリールアルキルハロゲン化物などの薬剤で四級化することができる。水または油溶性もしくは分散性生成物が、それによって得られる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用することができる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸を含む。
【0031】
塩基付加塩を、本発明の化合物の最終の単離および精製の間に原位置で、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩などの適した塩基、あるいはアンモニアまたは有機一級、二級もしくは三級アミンとカルボン酸含有部分とを反応させることにより調製することができる。薬学的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびに特にアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびエチルアンモニウムを含む非毒性四級アンモニアおよびアミンカチオンを含むが、これらに限定されるものではない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどを含む。
【0032】
本発明の化合物の局所投与の剤形は、粉末、噴霧剤、軟膏および吸入剤を含む。活性化合物を、無菌状態下で、薬物的に許容される担体およびあらゆる必要な保存剤、緩衝液または必要とされる可能性のある噴霧剤と混合する。眼科用製剤、眼軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲内であると企図される。
【0033】
本発明の医薬組成物における活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物および投与様式における所望の治療的反応を達成するために有効な活性化合物の量を得るために変えることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療されている状態の重症度、ならびに治療されている患者の状態および以前の病歴によって決められる。しかし、所望の治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで本化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増加することは当業者の範囲内である。
【0034】
上記または他の治療において使用するとき、本発明の化合物うちの1つの治療有効量を、純粋な形態、または薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの形態が存在する場合、このような形態で使用することができる。代わりに、化合物を、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、当該の化合物を含む医薬組成物として投与することができる。本発明の化合物の「治療有効量」という句は、あらゆる治療に適用できる合理的な有益性/リスク比で、障害を治療するための化合物の十分な量を意味する。しかし、当然のことながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、主治医による正しい医療判断の範囲内で決定される。あらゆる特定の患者に対する特定の治療有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別および食事;投与時間、投与経路、および使用する特定の化合物の排出率;治療の持続時間;使用する特定の化合物との組合せまたは同時に使用する薬剤;ならびに医学で周知の要因などを含む様々な要因により決められる。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるより低いレベルで本化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増加することは十分に当業者の範囲内である。
【0035】
ヒトまたはより下等な動物に投与する本発明の化合物の1日当たりの総量は、約0.0001から約1,000mg/kg/日までの範囲にすることができる。経口投与の目的において、より好ましい用量は、約0.001から約5mg/kg/日までの範囲であり得る。必要に応じて、投与の目的のために、有効な1日量を、複数の用量に分けることができ;この結果として、1回量の組成物は、1日量を構成する量またはこの分量を含むことができる。
【0036】
また、本発明は、1種または複数の無毒性の薬学的に許容される担体と一緒に配合された本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物を、固体もしくは液体の形態で経口投与用、非経口注射用または直腸内投与用に特別に製剤することができる。
【0037】
本発明の医薬組成物を、ヒトおよび他の哺乳動物に、経口的、直腸的、非経口的、大槽内、膣内、腹膜内、局所的(粉末、軟膏または点滴剤によるように)、頬内的(bucally)に投与するか、または経口スプレーもしくは鼻用スプレーとして投与することができる。本明細書では、「非経口的」という用語は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内注射および注入を含む投与の様式を指す。
【0038】
別の態様では、本発明は、本発明の成分および生理的に容認できる希釈剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は、特に非経口注射用、鼻腔内送達用、固体または液体形態の経口投与用、直腸または局所投与用として、本明細書では集合的に希釈剤を指す、1種または複数の無毒性の生理的に容認または許容できる希釈剤、担体、補助剤またはビヒクルと一緒になって、前述のように組成物に配合された1種または複数の化合物を含む。
【0039】
また、本組成物を、冠動脈内ステント(細い金網から成る管状器具)または生分解性ポリマーを通して、標的部位の局所送達用カテーテルにより送達することができる。また、本化合物を、標的送達のために抗体などのリガンドと複合体にすることができる。
【0040】
非経口注射のために適した組成物は、生理学的に許容される無菌の水溶液または非水溶液、分散剤、懸濁液または乳濁液、および無菌注射溶液または分散剤への再構成用の無菌の粉末を含むことができる。適した水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油(オリーブ油など)、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルおよびこれらの適切な混合物を含む。
【0041】
また、これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分配剤(dispensing agent)などの補助剤を含むことができる。微生物の活動の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤により確実にすることができる。また、例えば、砂糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい。注射用薬剤形態の持続的吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の使用により生じさせることができる。
【0042】
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、またはこれらの物質の混合物などの懸濁化剤を含むことができる。
【0043】
一部の例では、薬物の作用を持続させるために、皮下または筋肉内注射から薬物の吸収を遅らせることが望ましい。このことは、低水溶性の結晶性または無定形物質の液体懸濁液の使用により達成することができる。このとき、薬物の吸収速度は、この溶解速度により決まり、そして次に結晶サイズおよび結晶形状により決まる可能性がある。代わりに、非経口的投与の薬物形態の吸収遅延は、油ビヒクルに薬物を溶解または懸濁させることにより達成される。
【0044】
注射用の貯蔵形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を形成することによって生成される。ポリマーに対する薬物の割合および使用する特定のポリマーの性質により、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。また、注射用の貯蔵調合薬は、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を捕捉することによっても調製される。
【0045】
注射用の調合薬を、例えば、細菌保持フィルターでの濾過によって、あるいは、使用直前に滅菌水または他の注射用の滅菌媒質に溶解または分散されることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を混入させることによって滅菌することができる。
【0046】
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末および顆粒を含む。このような固体剤形では、活性化合物を、少なくとも1種類の不活性な、薬学的に許容される賦形剤または担体(例えば、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウム)ならびに/またはa)充填剤または増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸など);b)結合剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム(acacia)など);c)湿潤剤(グリセロールなど);d)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなど);e)溶解遅延剤(パラフィンなど);f)吸収促進剤(四級アンモニウム化合物など);g)湿潤剤(wetting agents)(セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロールなど);h)吸収剤(カオリンおよびベントナイト粘土など)およびi)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど)ならびにこれらの混合物と混合することができる。カプセル、錠剤およびピルの場合、剤形は、緩衝剤も含むことができる。
【0047】
ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として、同様のタイプの固体組成物も用いることができる。
【0048】
腸溶コーティング剤および製薬調合技術上周知の他のコーティング剤などのコーティング剤および外皮(shell)で、錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体剤形を調製することができる。また、固形剤形は、乳白剤を場合によって含有でき、これらが活性成分のみを放出するか、または優先的に腸管の特定の部分において、場合によって遅延させる様式で放出する組成物であることもできる。使用することができる包埋組成物(embedding compositions)の例は、ポリマー物質およびワックスを含む。
【0049】
また、活性化合物を、必要に応じて、上記の1種または複数の賦形剤とマイクロカプセル形態にすることもできる。
【0050】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般に使用されている不活性希釈剤(例えば水または他の溶媒など)、可溶化剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルなど)、ならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0051】
経口組成物は、不活性希釈剤の他に、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香料ならびに芳香剤などの補助剤も含むこともできる。
【0052】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、坐薬であり、本組成物は、本発明の化合物を適切な非刺激性賦形剤または担体(カカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ワックスなど)と混合することによって調製することができ、この非刺激性賦形剤または担体は、室温では固体だが、体温で液体となり、このため、直腸腔または膣腔で溶解し、前記活性化合物を放出する。
【0053】
本発明の化合物は、リポソームの形態でも投与することができる。当技術分野で公知のように、リポソームは、一般に、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒質中に分散された単膜または多重膜水和液晶によって形成される。リポソームを形成できるあらゆる無毒性の生理的に許容され、代謝性の脂質を使用することができる。リポソームの形態における本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定化剤、保存剤、賦形剤などを含むことができる。好ましい脂質は、別々にまたは一緒に使用される、天然および合成のリン脂質およびフォスファチジルコリン(レシチン)である。
【0054】
リポソームを形成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott編集、Methods in Cell Biology、第XIV巻、Academic Press、New York、N.Y.(1976)、33頁以下を参照のこと。
【0055】
本明細書では、「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、正しい医学的判定の範囲内で、過度の毒性、刺激およびアレルギー反応などを伴うことなく、ヒトおよびより下等な動物の組織と接触させる使用に適し、合理的な有益性/リスク比に見合い、これらの使用目的上有効であり、ならびに、可能であれば、本発明の化合物の両性イオン形態(zwitterionic forms)である本発明の化合物のプロドラッグを表す。本発明のプロドラッグは、インビボにおいて、例えば、血中の加水分解により上記の式の親化合物に速やかに変換することができる。詳細な考察が、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、the A.C.S.Symposium Seriesの第14巻ならびにEdward B.Roche編集、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987)に提供されており、これらは参照することにより本明細書に援用する。
【0056】
本発明の化合物を、スキーム1から7に記載された手順により調製することができる。スキームの後に記載された全般的な分析条件は、すべての実施例において利用された。
【0057】
【化3】

【0058】
【化4】

【0059】
【化5】

【0060】
【化6】

【0061】
【化7】

【0062】
【化8】

【0063】
【化9】

【0064】
全般的な分析条件
以下の全般的な分析条件を実施例において使用した。HPLC分析および精製を、ウォーターズ(Waters)2525バイナリーグラジェントポンプ(binary gradient pump)、ウォーターズ2767サンプルマネージャー、ウォーターズ2487UVディテクター(detector)(220および254nM)、およびウォーターズマイクロマス(Micromass)ZQエレクトロスプレー質量分析計を使用して実施した。マイクロマスZQは、正および負イオン化(それぞれ、コーン電圧(cone voltage)=25および50)の両方に設定した。分析的HPLC分析は、以下のように実施した。
【0065】
ウォーターズエクステラ(XTerra)MS C18 50×4.6mm 3.5μmカラム
移動相:pH5.75の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液およびアセトニトリル
アセトニトリル:3.5分で10から75%、3.9分で75から99%、4.2分まで99%を維持、4.5分で99から10%、再平衡化。
【0066】
分取HPLCは、以下のように実施した。
ウォーターズエクステラプレップ(Prep)MS C18 50×19mm 5μmカラム
移動相:pH5.75の10mM 酢酸アンモニウム緩衝液およびアセトニトリル
アセトニトリル:8分で10から99%、9分まで99%を維持、9.5分で99から10%、再平衡化。
【0067】
NMR分析は、ブルカーバイオスピン(Bruker BioSpin)ウルトラシールド(UltraShield)NMR(300MHz)を使用して実施した。
【0068】
以下の実施例は、本発明の代表的化合物の調製の例示となる。
【実施例1】
【0069】
2,2−ジメチル−1−(3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン(スキーム1)
【0070】
【化10】

a.)[エトキシカルボニル−(2−チオフェン−2−イル−エチル)−アミノ]−酢酸エチルエステル:
2−チオフェン−2−イル−エチルアミン(21.0g、165mmol)を、DCM1リットル中で撹拌した。グリオキシル酸エチル(165mmol、トルエン中で50%)を加え、引き続いて50μL HOAcを加えた。反応物を、10分間撹拌した後、NaBH(OAc)(214mmol、45g)をゆっくりと加えた。15分後、HOAcを加え(214mmol)、反応物を20分間撹拌した。反応物を濃縮し、粗物質をTHFおよび水(各500mL)に再溶解した。NaHCO(42g、500mmol)を加え、引き続いてクロロギ酸エチル(21mL、214mmol)を加えた。飽和NaHCOを、ガス発生が最少になるまで、反応物にゆっくりと加えた。終夜撹拌した後、反応物をEtOAc(400mL)で希釈した。生成物を、EtOAcに2回抽出し、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、暗色の油として副題生成物を得た。
【0071】
b.)[エトキシカルボニル−(2−チオフェン−2−イル−エチル)−アミノ]−酢酸:
ステップ(a)で得た粗物質(165mmol、約47g)を、EtOH(700mL)に溶解し、1M NaOH600mLで処理した。終夜撹拌した後、反応物をpH約1まで濃HClで酸性化した。粗反応物を、EtOAc(400mL)で希釈し、水で洗浄した。水をEtOAcで逆抽出した。混合した有機抽出液を、水で2回洗浄し、MgSOにより乾燥させた。トルエンからの2回の濃縮および蒸発により、固体として副題の生成物を得た。
【0072】
c.)4−オキソ−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2.3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル
ステップ(b)の生成物(約165mmol、約42g)を、DCM 1Lに溶解した。DMF(100uL)を加え、引き続いてゆっくりと塩化オキサリル(21.7mL、247mmol)を加えた。1時間後、反応物を乾燥するまで濃縮し、粗物質をDCE(1L)に再溶解した。AlCl(55g、410mmol)を、慎重に加え、反応物を室温で1/2時間撹拌した。粗反応物を、氷でクエンチし、水で3回洗浄し、MgSOにより乾燥させた。表題生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン中で30%EtOAc)、白色の固体として副題化合物10.5gを得た。MS:ESI(ポジティブ):240(M+H)。
【0073】
d.)4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
AlCl(3.95g、29.7mmol)を、0℃で50mL DCMに加えた。ボラン−t−ブチルアミン複合体(5.2g、59.5mmol)を加え、引き続いてDCM(50mL)に溶解したステップ(c)の生成物(2.37g、9.9mmol)を加えた。反応物を、室温で2時間撹拌した後、別のAlCl3.95g(29.7mmol)を加えた。10分間撹拌した後、反応物を0.1M HCl(約50mL)で慎重にクエンチした。有機溶媒の濃縮後、粗反応混合物を、1M HClとEtOAc(それぞれ70mL)との間で分配した。水層を、EtOAcで1回逆抽出した。混合した有機層を、MgSOにより乾燥させ、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0から35%EtOAc)による精製後、副題生成物(1.45g)を得た。MS:ESI(ポジティブ):226(M+H)。
【0074】
e.)2,3−ジブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(d)の生成物(1.45g、6.44mmol)およびNaHCO(3.2g、38.6mmol)を、60mLシクロヘキサン中で撹拌した。臭素(1.0mL、19.3mmol)を、ゆっくりと加え、反応物を遮光下において15分間撹拌した。反応物を5%NaSOでクエンチし、素早く15分間撹拌した。副題化合物をEtOAcに2回抽出した。MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物(2.6g)を黄色の油として得た。
【0075】
f.)3−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(e)の生成物(1.3g、3.39mmol)を、1:1 HOAc:水(40mL)に溶解し、亜鉛末(Zn dust)(0.44g、6.79mmol)で処理し、1時間加熱還流した。反応物を冷却し、水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。有機抽出物を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物0.76gを得た。
【0076】
g.)3−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル
ステップ(f)の生成物(375mg、1.23mmol)を、4mLジオキサンに溶解し、MeZn(トルエン中で2Mの1.25mL)およびPb(dppf)Clで処理した。100℃まで3時間加熱した後、反応物を冷却し、水でクエンチし、シリカゲル(EtOAcにより洗浄)により濾過し、濃縮し、油として副題化合物337mgを得た。
【0077】
h.)2−ブロモ−3−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(g)の生成物(337mg、1.4mmol)を、1:1 CHCl:HOAcの10mLに溶解し、NBS(301mg、1.7mmol)で処理した。1/2時間撹拌した後、反応物をDCMに希釈し、水(50mL)および1M NaOH(2×50mL)で洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、副題化合物235gを得た。
【0078】
i.)2,2−ジメチル−1−(3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン:
ステップ(h)の生成物(60mg、0.19mmol)を、2mL THFに溶解し、−78℃まで冷却した。ブチルリチウム(1.6Mの0.15mL)を加え、反応物を5分間撹拌した。塩化トリメチルアセチル(36uL、0.3mmol)を加え、反応物を室温まで昇温した。反応物を水(5mL)でクエンチし、生成物をDCMに2回抽出した。抽出物を、乾燥するまで濃縮し、1:1 EtOH:40%KOH(aq)の4mLで処理し、100℃まで14時間加熱した。反応物を冷却し、水で希釈した。生成物をDCM(2×5mL)に抽出した。抽出物を濃縮し、表題化合物を分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CD3OD)δ 3.38−3.31(m,4H)、3.23(t,J=5.1Hz,2H)、3.04(t,J=5.2Hz,2H)、2.30(s,3H)、1.32(s,9H);MS:ESI(陽イオン):252(M+H)。
【実施例2】
【0079】
3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム2)
【0080】
【化11】

a.)3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例1、ステップ(e)の生成物(200mg、0.52mmol)を、5mL THFに溶解し、−78℃まで冷却し、BuLi(1.6Mの0.33mL)で処理した。−78℃で15分間撹拌した後、トリフルオロアセチル2,2,2−トリフルオロエタノール(132uL、0.68mmol)を加え、反応物を室温まで昇温させた。反応物を、水(50uL)でクエンチし、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、副題化合物73mgを得た。
【0081】
b.)3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(73mg、0.18mmol)を、3mL EtOH中で撹拌し、NaBH(20mg、0.5mmol)で処理した。20分間撹拌した後、泡立ちが観察されなくなるまで、反応物をHOAcでクエンチした。反応物を水(5mL)で希釈し、粗生成物をDCM(3×5mL)に抽出した。混合した有機抽出液を濃縮し、残渣をHOAc(2mL)および濃HCl(1mL)に溶解した。SnCl(225mg、1mmol)を加え、反応物を80℃まで2時間加熱した。粗反応物を水(10mL)で希釈し、生成物をDCM(3×5mL)に抽出した。混合した有機抽出液を、乾燥するまで濃縮し、さらなる精製なしに使用した。
【0082】
c.)3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(b)の生成物(0.18mmol)を、CHCl(3mL)に溶解し、TMSI(1mmol、200uL)で処理した。70℃で1/2時間加熱した後、さらにTMSI200uLを加え、1/2時間加熱を続けた。反応物を冷却し、EtOHおよび水(それぞれ0.5mL)で慎重にクエンチした。反応物を1M NaOH(3mL)で希釈し、生成物をDCM(2×5mL)に抽出した。有機抽出物を濃縮し、残渣を分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 3.75(q,J=10.5Hz,2H)、3.43−3.34(m,4H)、3.26(t,J=5.4Hz,2H)、3.16(t,J=5.4Hz,2H)、3.16(t,J=5.4Hz,2H);MS:ESI(陽イオン):316、314(M+H)。
【実施例3】
【0083】
2−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム1)
【0084】
【化12】

実施例1、ステップ(d)の生成物(75mg、0.33mmol)を、2mL DCEに溶解し、塩化フェニルスルホニル(83uL、0.66mmol)で処理し、引き続いてAlCl(88mg、0.66mmol)で処理した。80℃まで1/2時間加熱した後、反応物を冷却し、1M NaOHで慎重にクエンチした。生成物を、DCMに2回抽出した。有機抽出物を濃縮し、残渣をEtOHおよび40%KOH水溶液(それぞれ3mL)に溶解した。反応物を100℃まで14時間加熱し、冷却し、水で希釈した。表題化合物をDCM(2×5mL)に抽出し、分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 7.96(d,J=8.1Hz,2H)、7.67−7.56(m,3H)、5.56(s,1H)、3.38−3.32(m,4H)、3.27−3.23(m,2H)、3.09(t,J=5.4Hz,2H);MS:ESI(陽イオン):294(M+H)。
【実施例4】
【0085】
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン
(スキーム2)
【0086】
【化13】

a.)2−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル
実施例1、ステップ(d)の生成物(410mg、1.82mmol)を、20mL DCEに溶解し、トリフルオロ酢酸無水物(510uL、3.64mmol)およびAlCl(484mg、3.64mmol)で処理した。反応物を、50℃まで2時間加熱し、次いで冷却し、過剰量の水でクエンチした。生成物を、DCM(2×15mL)に抽出し、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、半固体物質として副題化合物360mgを得た。
【0087】
b.)2−(1−トリフルオロメチル−ビニル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
臭化トリフェニルホスホニウム(393mg、1.1mmol)を、7mL THF中で撹拌した。KHMDS(199mg、1.0mmol)を加え、黄色い溶液を室温で30分間撹拌した。ステップ(a)の生成物(180mg、0.56mmol)を、7mL THFに溶解し、上記の反応物に加えた。溶液を、室温で1時間撹拌し、次いでEtOAc(25mL)で希釈し、水(2×20mL)で洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex中で30%EtOAc)により精製し、副題化合物100mgを得た。
【0088】
c.)(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル
ステップ(b)の生成物(40mg、0.12mmol)を、5mL EtOHに溶解し、10%Pd/C(ウエット(wet)、デグサ(Degussa)グレードE101)10mgで処理した。反応物を、水素雰囲気下で14時間素早く撹拌した。セライトによる濾過および濃縮により、副題化合物37mgを得た。
【0089】
d.)(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(c)の生成物(37mg、0.11mmol)を、1mL CHClに溶解し、TMSI(47uL、0.35mmol)で処理した。60℃まで2時間加熱した後、反応物を冷却および濃縮した。粗残渣を、分取HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(CD3OD)δ 6.86(s,1H)、3.80(七重線,J=7.9Hz,1H)、3.39−3.30(m,4H)、3.17(t,J=5.2Hz,2H)、3.05(t,J=5.2Hz,2H)、1.48(d,J=7.2Hz,3H);MS:ESI(陽イオン):250(M+H)。
【実施例5】
【0090】
2−エタンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム1)
【0091】
【化14】

a.)2−ブロモ−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例1、ステップ(d)の生成物(80mg、0.35mmol)を、1:1 CHCl:HOAcの2mLに溶解し、NBS(62mg、0.35mmol)で処理した。15分後、反応物を乾燥するまで濃縮し、EtOAcの最少量に溶解し、シリカゲルパッドにより濾過した。濾液を蒸発させ、副題化合物105mgを得た。
【0092】
b.)2−エチルスルファニル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(105mg、0.35mmol)を、1mL NMPに溶解し、NaSEt(59mg、0.7mmol)、KI(5mg、0.03mmol)およびCuO(14mg、0.18mmol)で処理した。反応物を、120℃まで24時間加熱した。さらにNaSEt(59mg、0.7mmol)、KI(5mg、0.03mmol)およびCuO(14mg、0.18mmol)を加え、24時間加熱を続けた。反応物を、水およびDCM(それぞれ約5mL)で希釈し、濾過により暗色の粉末状沈殿物を除去した。粗生成物を、DCM(3×5mL)に抽出し、約1mLに濃縮した。粗残渣を、DCM(2mL)で希釈し、EtN(140uL、1.05mmol)およびクロロギ酸エチル(50uL、0.52mmol)で処理した。終夜撹拌した後、反応物をEtOAc(5mL)で希釈し、水で5回洗浄し、残留性NMPを除去した。有機溶液を濃縮し、副題化合物80mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0093】
c.)2−エタンスルホニル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(80mg、0.28mmol)を、3mL HOAcに溶解し、H(30%の300uL、約3mmol)で処理した。室温で3日間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈し、水で4回洗浄した。有機抽出物を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物62mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0094】
d.)2−エタンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(c)の生成物(21mg、0.066mmol)を、2mL EtOHに溶解し、40%KOH2mLで処理し、続いて密封容器内で100℃まで終夜加熱した。反応物を冷却し、水で希釈した。表題化合物を、DCMに3回抽出し、分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 7.47(s,1H)、3.25(q,J=7.2Hz,2H)、3.24−3.01(m,8H)、1.28(t,J=7.2Hz,3H);MS:ESI(陽イオン):246(M+H)。
【実施例6】
【0095】
(R,S)−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン(スキーム3)
【0096】
【化15】

a.)(R,S)−4,4,4−トリフルオロ−3−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−酪酸:
トリエチルホスホノアセテート(56mg、0.25mmol)および実施例4、ステップ(a)の生成物(40mg、0.12mmol)を、2mL THF中で撹拌した。反応物を、LiHMDS(1Mの0.2mL)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応物を、5mLの水でクエンチし、生成物をDCM(2×5mL)に抽出し、MgSOにより乾燥させた。有機抽出物を、乾燥するまで濃縮し、残渣を5mL EtOHに溶解し、10%Pd/C(ウエット、デグサグレードE101)の約10mgで処理した。水素下で3日間撹拌した後、反応物を、セライトを通して濾過し、1M NaOH(1mL)で処理した。60℃で2時間撹拌した後、反応物を水で希釈し、生成物をDCM(3×5mL)に抽出し、副題化合物45mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0097】
b.)(R,S)−3−オキソ−1−トリフルオロメチル−2,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−1H−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(45mg、0.12mmol)を、DCE(2mL)に溶解し、塩化オキサリル(43uL、0.49mmol)および1滴のDMFで処理した。室温で5分間撹拌した後、反応物を乾燥するまで濃縮し、2mL DCMで溶解した。AlCl(66mg、0.50mmol)を加え、反応物を5分間撹拌した。反応物を水でクエンチし、粗生成物をDCMに2回抽出し、暗色の油32mgを得て、この油をさらなる精製なしに使用した。副題化合物のエナンチオマーは、キラルテクノロジーズ(Chiral Technologies)(MeOH移動相)のChiralpak(登録商標)AD−RH(登録商標)20×250mmカラムを使用して分離し、エナンチオマー1(反応時間=9.8分)およびエナンチオマー2(反応時間=11.5分)を得ることができた。
【0098】
c.)(R,S)−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン:
ステップ(b)の生成物(ラセミ、32mg、0.10mmol)を、DCE(1mL)に溶解し、ZnI(64mg、0.2mmol)およびNaCNBH(44mg、0.7mmol)で処理した。終夜撹拌した後、濃いスラリーが形成した。反応物を濾過し、固体をDCMで洗浄した。混合した濾液を、水(1×5mL)で洗浄し、乾燥するまで濃縮した。残渣をCHCl(2mL)に溶解し、TMSI(70uL、0.5mmol)で処理した。60℃まで1時間加熱した後、さらにTMSI50uLを加え、14時間加熱を続けた。反応物を冷却し、乾燥するまで濃縮し、分取HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(CDOD)δ 4.02−3.97(m,1H)、3.40−3.33(m,4H)、3.18(t,J=5.2Hz,2H)、2.97(t,J=5.4Hz,2H)、2.83−2.65(m,3H)、2.57−2.47(m,1H);MS:ESI(陽イオン):262(M+H)。
【実施例7】
【0099】
(R,S)−3,3−ジメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン(スキーム3)
【0100】
【化16】

a.)(R,S)−3,3−ジメチル−1−トリフルオロメチル−2,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−1H−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
DCM(3mL)を、−78℃まで冷却し、TiCl(190uL、1.73mmol)で処理し、引き続いてMeZn(トルエン中で2Mの0.86mL)で処理した。暗赤色の懸濁液を、−78℃で15分間撹拌した後、実施例6、ステップ(b)の生成物(ラセミ、100mg、0.29mmol)をDCM(3mL)溶液として加えた。反応物を0℃まで昇温し、3時間撹拌した。溶液を氷に注ぎ、生成物をDCM(2×10mL)に抽出した。有機抽出物をMgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物84mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0101】
b.)(R,S)−3,3−ジメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
ステップa)の生成物(37mg、0.10mmol)を、CHCl(2mL)に溶解し、TMSI(1mmol、140uL)で処理した。60℃まで2時間加熱した後、反応物をMeOHでクエンチし、乾燥するまで濃縮した。分取HPLC−MSによる粗残渣の精製後、表題化合物を得た。H NMR(CDOD)δ 4.09−3.94(m,1H)、3.41−3.32(m,4H)、3.17(t,J=5.2Hz,2H)、3.08(t,J=5.2Hz,2H)、2.53(dd,J=9,13.5Hz,1H)、2.31(dd,J=6.6,13.8Hz,1H)、1.39(s,3H)、1.31(s,3H);MS:ESI(陽イオン):290(M+H)。
【実施例8】
【0102】
2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム2)
【0103】
【化17】

a.)2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
DCM(2mL)を−78℃まで冷却し、TiCl(82uL、0.75mmol)で処理し、引き続いてMeZn(2Mに対して370uL)で処理した。−78℃で15分間撹拌した後、実施例4、ステップ(a)の生成物(40mg、0.125mmol)を、DCM(3mL)溶液として加えた。反応物を、0℃まで1時間昇温し、次いで室温まで6時間昇温した。反応物を氷によりクエンチし、DCM(2×5mL)に抽出する。有機抽出物を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物34mgを得て、本化合物をさらなる精製なしに使用した。
b.)2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(a)の生成物(34mg、0.1mmol)を、2mL CHClに溶解し、TMSI(140uL、1mmol)で処理した。60℃まで2時間加熱した後、反応物を乾燥するまで濃縮し、表題化合物を分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 6.91(s,1H)、3.39−3.32(m,4H)、3.21−3.17(m,2H)、3.09−3.05(m,2H)、1.55(s,6H);MS:ESI(陽イオン):264(M+H)。
【実施例9】
【0104】
3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム2)
【0105】
【化18】

a.)4−メチレン−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(6.3g、17.6mmol)を、150mL THFに溶解し、0℃まで冷却した。KHMDS(3.2g、16.2mmol)を部分的に加え、反応物を1/2時間撹拌した。実施例1、ステップ(c)の生成物(3.0g、12.5mmol)を、THF(25mL)溶液として加えた。反応物を室温まで昇温し、1時間撹拌した。混合物を濃縮し、表題生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で0%から40%EtOAc)により精製し、副題化合物2.6gを得た。
【0106】
b.)(R,S)−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物を、100mL EtOHに溶解し、10%Pd/C(ウエット、デグサタイプE101)0.5gで処理した。水素雰囲気下で14時間素早く撹拌した後、反応物をセライトを通して濾過し、濃縮し、透明な油として副題化合物2.3gを得た。MS:ESI(ポジティブ):240(M+H)。
【0107】
c.)2,3−ジブロモ−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(5.6mg、23.4mmol)を、250mL シクロヘキサンに溶解し、NaHCO(11.8g、140mmol)で処理した。臭素(3.6mL、70.3mmol)をゆっくりと加え、反応物を室温で1/2時間撹拌した後、NaSO(5%水溶液180mL)でクエンチした。素早く15分間撹拌した後、EtOAcを加え(約100mL)、有機層を除去し、MgSOにより乾燥させ、副題化合物を得た。2種のエナンチオマーを、キラルテクノロジーズのChiralpak(登録商標)AD−RH(登録商標)20×250mmカラム(10mL/分のMeOH移動相)を使用して分離し、副題化合物のエナンチオマー1(反応時間=9.8分)およびエナンチオマー2(反応時間=11.4分)を得た。
【0108】
d.)3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(c)の生成物(エナンチオマー2、60mg、0.15mmol)を、2mL 乾性(dry)THFに溶解し、−78℃まで冷却した。ブチルリチウム(1.6Mの0.11mL)を加え、溶液を5分間撹拌し、次いでトリフルオロアセチル2,2,2−トリフルオロエタノール(50uL、0.24mmol)でクエンチした。室温まで昇温した後、反応物をシリカゲル(EtOAcで洗浄)のパッドを通して濾過した。濾液を蒸発させ、副題化合物62mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0109】
e.)3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(d)の生成物(62mg、0.15mmol)を、2mL EtOHに溶解し、NaBH(0.6mmol)で処理した。15分後、反応物を泡立ちが消えるまでHOAcでクエンチし、水で希釈した。生成物を、DCM(2×5mL)に抽出し、MgSOにより乾燥させ、濃縮した。粗残渣を、1:1 HOAc:濃HClの3mLに溶解し、SnCl(225mg、1mmol)で処理した。反応物を、70℃まで1時間加熱し、次いで室温で3日間撹拌した。反応物を、EtOAc(10mL)で希釈し、水で2回、1M NaOHで2回洗浄した。有機溶液を、乾燥するまで濃縮し、副題化合物40mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0110】
f.)3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
実施例2、ステップ(c)に記載の手順に従って、ステップ(e)の生成物(40mg、0.10mmol)を脱保護および精製した。H NMR(CD3OD)δ 3.75(q,J=10.4Hz,2H)、3.63−3.55(m,3H)、3.42−3.31(m,2H)、3.24−3.15(m,2H)、1.35(d,J=7.2Hz,3H);MS:ESI(陽イオン):328、330(M+H)。
【実施例10】
【0111】
2−エタンスルホニル−3,4−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム4)
【0112】
【化19】

a.)3−ブロモ−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例9、ステップ(c)の生成物(エナンチオマー2、0.75g、1.9mmol)およびZn(0.25g、3.8mmol)を、水およびHOAc(それぞれ20mL)中で加熱還流した。1/2時間後、反応物を冷却し;EtOAcで希釈し、水で2回洗浄した。有機層を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、油として副題化合物490mgを得た。
【0113】
b.)3,4−ジメチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(150mg、0.47mmol)を、3mLジオキサンに溶解し、MeZn(トルエン中で2Mの0.47mL)およびPb(ddf)Cl(11mg、0.014mmol)で処理した。100℃まで3時間加熱した後、反応物を水でクエンチし、濾過した。濾液をEtOAcと水(それぞれ7mL)の間で分配した。有機層を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物92mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0114】
c.)2−ブロモ−3,4−ジメチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(92mg、0.36mmol)を、1:1 HOAc/CHClの4mLに溶解し、NBS(67mg、0.38mmol)で処理した。1/2時間撹拌した後、反応物をEtOAc(70mL)で希釈し、水(3×30mL)および1M NaOH(2×30mL)で洗浄した。有機溶液を、MgSOにより乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/Hex)で精製し、副題化合物90mgを得た。
【0115】
d.)2−エチルスルファニル−3,4−ジメチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(c)の生成物(60mg、0.18mmol)を、2mL NMPに溶解し、NaSEt(45mg、0.54mmol)、KI(3mg、0.018mmol)およびCuO(7mg、0.09mmol)で処理した。120℃で2日間加熱した後、NaSEt(45mg、0.54mmol)、KI(3mg、0.018mmol)およびCuO(7mg、0.09mmol)の追加量を加え、3日間加熱し続けた。反応物をDCMおよび水(それぞれ2mL)で希釈した。得られた黒色の沈殿物を、濾過し、廃棄した。濾液を、真空下で蒸発乾固し、次いでDCM(4mL)で希釈し、EtN(111uL、0.8mmol)およびクロロギ酸エチル(70uL、0.7mmol)で処理した。1/2時間撹拌した後、反応物をDCM(5mL)で希釈し、水(2×5mL)で洗浄した。有機層の濃縮により、副題化合物の約55mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0116】
e.)2−エタンスルホニル−3,4−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(d)の生成物(55mg、0.17mmol)を、2mL HOAcに溶解し、30%H(220uL、2mmol)で処理した。70℃で1時間加熱した後、反応物を水(8mL)で希釈し、生成物をDCM(3×5mL)に抽出した。粗残渣を1:1 EtOH:40%KOH(aq)の4mLに溶解し、100℃まで14時間加熱した。反応物を冷却し、水で希釈した。反応物をDCM(2×5mL)に抽出し、分取HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(CDOD)δ 3.64−3.19(m,7H)、3.25(q,J=7.5Hz,2H)、2.44(s,3H)、1.36(d,J=7.2Hz,3H)、1.27(t,J=7.4Hz,3H);MS:ESI(陽イオン):274(M+H)。
【実施例11】
【0117】
(R,S)−2,2−ジメチル−1−(4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン(スキーム4)
【0118】
【化20】

a.)(R,S)−2−ブロモ−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例9、ステップ(b)の生成物(ラセミ、80mg、0.35mmol)を、1:1 CHCl/HOAcの2mLに溶解した。N−ブロモ−コハク酸アミド(62mg、0.35mmol)を加え、反応物を15分間撹拌した。濃縮およびシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により、黄色の油として副題化合物を得た。
【0119】
b.)(R.S)−2,2−ジメチル−1−(4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン:
ステップ(a)の生成物(55mg、0.17mmol)を、THF(2mL)に溶解し、−78℃まで冷却した。ブチルリチウム(1.6Mの0.16mL)を加え、反応物を15分間撹拌した。塩化トリメチルアセチル(41uL、0.34mmol)でクエンチした後、反応物を室温まで昇温し、濃縮した。粗残渣を2mL EtOHに溶解し、40%KOH(aq)2mLで処理した。100℃まで終夜加熱した後、反応物を冷却し、水で希釈した。反応物を、DCMに2回抽出し、表題化合物を分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 7.69(s,1H)、3.51−3.12(m,7H)、1.46(d,J=7.2H,3H)、1.36(s,9H);MS:ESI(陽イオン):252(M+H)。
【実施例12】
【0120】
1−(3−ブロモ−4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン(スキーム4)
【0121】
【化21】

a.)3−ブロモ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例9、ステップ(c)の生成物(エナンチオマー2、200mg、0.50mmol)を、5mL THFに溶解し、−78℃まで冷却した。ブチルリチウム(1.6Mの0.31mL)を加え、反応物を15分間撹拌した。塩化トリメチルアセチル(90uL、0.75mmol)でクエンチした後、反応物を室温まで昇温し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより粗残渣を精製し、副題化合物170mgを得た。
b.)1−(3−ブロモ−4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン:
ステップ(a)の生成物(56mg、0.14)を、2mL CHCl中で撹拌し、TMSI(57uL、0.42mmol)で処理した。70℃まで1時間加熱した後、さらにTMSI(0.42mmol)を加え、加熱を1時間続けた。反応物を冷却し、1M NaOHおよびCHClの間で分配した。有機層を濃縮し、HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(CDOD)δ 3.74−3.56(m,4H)、3.43−3.20(m,3H)、1.35(d,J=7.2Hz,3H)、1.30(s,9H);MS:ESI(陽イオン):330、332(M+H)。
【実施例13】
【0122】
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン(スキーム5)
【0123】
【化22】

a.)(E,Z)−4−エトキシカルボニルメチレン−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
THF(15mL)中の1.6M LHMDS溶液を、無水THF(100mL)中の実施例1、ステップ(c)の生成物(2.0g、8.37mmol)およびトリエチルホスホノアセテート(4mL、16.74mmol)に加えた。反応物を室温で終夜撹拌し、次いでさらなるLHMDS溶液(1.6Mの3.2mL)およびトリエチルホスホノアセテート(800μL、3.3mmol)で処理した。3時間撹拌した後、反応物を水でクエンチし、DCMで希釈した。有機層をMgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物を得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。MS:ESI(ポジティブ):310(M+H)。
【0124】
b.)(R,S)−4−エトキシカルボニルメチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(2.47g、8mmol)を、H下(1気圧)のメタノール(8mL)中で10%Pd/C(ウエット、デグサグレードE101)2.0gと共に72時間撹拌した。反応物を、セライトで濾過し、乾燥するまで濃縮し、油として副題化合物を得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。MS:ESI(ポジティブ):312(M+H)。
【0125】
c.)(R,S)−4−カルボキシメチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(2.47g、8mmol)を、周囲温度で、エタノール(60mL)および1M NaOH(30mL)中において終夜撹拌した。反応物を1M HClで酸性化し、DCMおよび水の間で分配した。有機層を水で洗浄し、MgSOにより乾燥させ、乾燥するまで濃縮し、黄色の油として副題化合物2.13gを得た。MS:ESI(ポジティブ):284(M+H)。
【0126】
d.)(R,S)−3−オキソ−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
塩化オキサリル(3mL、37.7mmol)およびDMFの触媒量を、ステップc)の生成物(2.13g、754mmol)のDCM(40mL)溶液に加え、反応物を周囲温度で1時間撹拌した。反応物を乾燥するまで濃縮し、ジクロロエタン(100mL)に再溶解した。AlCl(2.0g、15.1mmol)をこの溶液に加え、反応物を周囲温度で終夜撹拌した。反応物を氷でクエンチし、DCMおよび水の間で分配した。有機層を濃縮し、副題化合物を得て、この化合物を後のステップにおいて使用する前にクロマトグラフィー(EtOAc/Hex、1.02gを単離した)により精製した。MS:ESI(ポジティブ):266(M+H)。
【0127】
e.)(R,S)−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
AlCl(627mg、4.72mmol)を、0℃でDCM(2mL)中のBHtBuNH(492mg、5.66mmol)に加えた。溶液を10分間撹拌し、次いでDCM(1mL)中の溶液として、ステップ(d)の生成物(250mg、0.943mmol)で処理した。室温まで昇温した後、反応物を0.1M HClで1滴ずつクエンチし、乾燥するまで濃縮した。反応物を1M HClで希釈し、EtOAcに抽出した。有機層を濃縮し、副題化合物を得て、この化合物を後のステップにおいて使用する前に、クロマトグラフィー(EtOAc/Hex)により精製した。MS:ESI(ポジティブ):252(M+H)。
【0128】
f.)(R,S)−2−ブロモ−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
副題化合物を、ステップ(e)の生成物を使用して実施例1、ステップ(h)の方法により調製し、精製なしに粗生成物の形態で使用した。
【0129】
g.)(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
1.6M nBuLiのヘキサン(130μL)溶液を、−78℃でステップf)の生成物(69mg、0.208mmol)の無水THF(mL)溶液に加え、15分間撹拌した。トリフルオロ酢酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル(50μL、0.270mmol)を加え、反応物を周囲温度まで昇温した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルに抽出し、有機層を混合し、濃縮した。トリフルオロ酢酸無水物(750μL、5.36mmol)およびAlCl(600mg、4.51mmol)を、粗生成物のジクロロエタン(10mL)溶液に加え、反応物を80℃まで終夜加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、水でクエンチし、DCMに抽出した。有機層を濃縮し、副題化合物を得て、この化合物を精製なしに粗生成物の形態で使用した。MS:ESI(ポジティブ):348(M+H)。
【0130】
h.)(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−カルボン酸エチルエステル:
NaBH(15mg、0,208mmol)および酢酸の触媒量を、エタノール(3mL)中のステップ(g)(72mg、0.208mmol)の生成物に加え、反応物を周囲温度で20分間撹拌した。反応物を酢酸(1滴ずつ)でクエンチし、水およびDCMとの間で分配した。有機層を濃縮した。塩化スズ二水和物(187mg、0.832mmol)を、酢酸(2mL)中の粗生成物に加え、反応物を80℃まで2時間加熱した。さらにSnClを加え(150mg)、反応物をさらなる4時間加熱した。次いで、反応物を水で希釈し、DCMに抽出した。有機層を濃縮し、副題化合物を得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0131】
i.)(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン:
TMSI(45μL)を、DCM(2mL)中のステップ(h)の生成物に加え、遮光下で50℃まで2時間加熱した。反応物を、周囲温度まで冷却し、メタノールでクエンチした。反応物を濃縮し、分取LCMSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(CDOD)δ 3.58−3.71(m,2H)、3.51(q,J=10.8Hz,2H)、3.07−3.16(m,3H)、2.99−3.04(m,4H)、1.91−2.07(m,2H)。MS:ESI(陽イオン):262(M+H)。
【実施例14】
【0132】
(R,S)−2−ブロモ−3,3−ジメチル−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン(スキーム5)
【0133】
【化23】

a.)(R,S)−3,3−ジメチル−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
2M MeZnのトルエン(1mL)溶液を、−78℃でDCM中のTiCl(380mg、2.02mmol)に加え、10分間撹拌した。実施例13、ステップ(d)の生成物(89mg、0.336mmol)を加え、反応物を0℃まで昇温し、冷温で1時間撹拌した。反応物を水でクエンチし、DCMに抽出した。有機層を濃縮し、副題化合物を得て、この化合物を後のステップにおいて使用する前に、分取LCMSにより精製した。MS:ESI(ポジティブ):280(M+H)。
【0134】
b.)(R,S)−2−ブロモ−3,3−ジメチル−3,4,4a,5,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
副題化合物を、ステップ(a)の生成物を使用して実施例5、ステップ(a)の方法により調製し、精製なしに粗生成物の形態で使用した。
【0135】
c.)(R,S)−2−ブロモ−3,3−ジメチル−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン:
表題化合物を、ステップ(b)の生成物を使用して実施例5、ステップ(d)に記載の方法により調製し、分取HPLC−MSにより精製した。H NMR(CDOD)δ 3.31−3.58(m,3H)、2.85−3.07(m,3H)、2.63(t,J=10.5Hz,1H)、2.24(dd,J=6.9Hz,J=12.3Hz,1H)、1.86−1.95(m,1H)、1.44(s,3H)1.26(s,3H)。MS:ESI(陽イオン):288(M+H)。
【実施例15】
【0136】
(R,S)−2−ブロモ−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン(スキーム6)
【0137】
【化24】

a.)(R,S)−5−メチル−4−オキソ−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例1、ステップ(c)の生成物(1.06g、4.4mmol)を、20mL THFに溶解し、LHMDS(THF中で1Mの5.3mL)で処理した。室温で1時間撹拌した後、MeI(326uL、5.3mmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物をシリカゲル上へ蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中で10%から30%EtOAc)により精製し、副題化合物175mgを得た。
【0138】
b.)(R,S)−5−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物(75mg、0.30mmol)を、DCE(3mL)に溶解し、ZuI(143mg、0.45mmol)で処理し、引き続きNaCNBH3(132mg、2.1mmol)で処理した。室温で3日間撹拌し、反応物を濾過し、濾液をDCMで洗浄し、廃棄した。有機洗浄液(organic wash)を混合し、水(2×10mL)で洗浄し、MgSOにより乾燥させた。濃縮により、副題化合物とケトン出発物質の一方の還元(mono−reduction)に相当するアルコールとの混合物22mgを得た。この混合物を、後のステップで直接使用した。
【0139】
c.)(R,S)−2−ブロモ−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(b)の生成物(22mg、0.092mmol)を、1:1 HOAc:CHClの2mLに溶解し、NBS(25mg、0.14mmol)で処理した。1/2時間撹拌した後、反応物を乾燥するまで濃縮し、2mL EtOHおよび40%KOH2mLで処理した。100℃まで24時間加熱し、次いで120℃までさらに24時間加熱した後、反応物を冷却し、水で希釈し、DCMで3回抽出した。分取HPLC−MSによる精製により、表題化合物を得た。MS:ESI(ポジティブ):248(M+H)。
【実施例16】
【0140】
4−メチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン(スキーム3)
【0141】
【化25】

a.)4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例9、ステップ(c)の生成物(エナンチオマー2、1.0g、2.51mmol)を100mL EtOHに溶解し、Pd/C(ウエット、デグサグレードE101)1gで処理し、Hの1気圧下で、2時間素早く撹拌した。反応物を、セライトを通して濾過し、濃縮し、副題化合物600mgを得た。
【0142】
b.)4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(a)の生成物を、DCE(100mL)に溶解し、AlCl(3.3g、25mmol)で処理し、引き続いてトリフルオロ酢酸無水物(3.5mL、25mmol)で処理した。80℃まで2時間加熱した後、さらなるAlClおよびトリフルオロ酢酸無水物を加えた(それぞれ25mmol)。80℃で1時間撹拌した後、反応物を氷によりクエンチし、EtNを慎重に加えることにより塩基性にした。濃い沈殿物を濾過し、廃棄した。得られた混合物を、DCM(3×100mL)で抽出した。抽出物を約100mLまで濃縮した後、クロロギ酸エチルおよびDIEA(それぞれ0.5mL)を加えた。1/2時間撹拌した後、溶液を水で洗浄し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(25%EtOAc/Hex)により精製し、副題化合物460mgを得た。
【0143】
c.)2−(1−カルボキシメチル−2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4−メチル−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(460mg、1.37mmol)を、25mL THFに溶解し、トリエチルホスホン酢酸塩(550uL、2.74mmol)およびLHMDS(THF中で1Mの2.2mL)で処理した。15分間撹拌した後、反応物を水(100mL)でクエンチし、生成物をDCM(2×50mL)に抽出した。抽出物をMgSO4により乾燥させ、濃縮した後、粗残渣をEtOH(50mL)に溶解し、300mg Pd/C(10%、ウエット、デグサグレードE101)で処理した。Hの1気圧の下、2時間撹拌した後、反応物を、セライトを通して濾過し、1M NaOH(10mL)で処理した。室温で終夜撹拌した後、反応物を1M HClで酸性化し、生成物をDCM(2×25mL)に抽出した。抽出物を、MgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物0.5gを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。
【0144】
d.)4−メチル−3−オキソ−1−トリフルオロメチル−2,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−1H−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(c)の生成物(500mg、1.3mmol)を、DCM(20mL)に溶解し、DMF(50uL)で処理し、引き続いて塩化オキサリル(240uL、1.45mmol)で処理した。1/2時間撹拌した後、塩化オキサリル(240uL)のさらなる量を加えた。さらに1時間撹拌した後、反応物を乾燥するまで濃縮し、残渣をDCM(5mL)に再溶解した。AlCl(360mg、2.7mmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を氷水(10mL)でクエンチし、生成物をDCM/EtOH(4:1、2×30mL)に抽出した。抽出物をMgSOにより乾燥させ、濃縮し、副題化合物468mgを得て、この化合物をさらなる精製なしに使用した。ジアステレオマーを、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex中で25%から35%EtOAc)により分離し、ジアステレオマー1(上部スポット、最初の溶離生成物)およびジアステレオマー2(底部スポット、第2の溶離生成物)を得ることができた。
【0145】
e.)4−メチル−1−トリフルオロメチル−2,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−1H−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン−6−カルボン酸エチルエステル:
ステップ(d)の生成物(ジアステレオマーの混合物、234mg、1.54mmol)を5mL EtOHに溶解し、NaBH(117mg、3.1mmol)で処理した。15分間撹拌した後、反応物をHOAcでクエンチし、水(10mL)で希釈した。生成物をDCM(2×25mL)に抽出し、抽出物を乾燥するまで濃縮した。粗残渣をHOAc(8mL)および濃HCl(4mL)に溶解し、SnCl(1.4g、6.2mmol)で処理した。80℃まで1時間加熱した後、反応物を冷却し、水(15mL)で希釈した。生成物をDCM(3×25mL)に抽出し、抽出物をMgSOにより乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。ジアステレオマーを、HPLC(Novapak C−18、19×300mm、55% CHCN/水、10mL/分)により分離し、ジアステレオマー1(rt=23.0分)およびジアステレオマー2(rt=24.2分)を得た(ジアステレオマーごとに約20mgを得た。)。
【0146】
f.)4−メチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン
ステップ(e)の生成物(ジアステレオマー1およびジアステレオマー2、別々に、20mg、0.06mmol)を、3mL CHClに溶解し、TMSI(40uL、0.29mmol)で処理した。70℃まで終夜加熱した後、反応物をMeOH(5mL)および1M NaOH(2mL)でクエンチした。表題化合物を、CHCl(2×10mL)に抽出し、続いて分取HPLC−MSにより精製した。
ジアステレオマー1:H NMR(CDOD)δ 4.01−3.90(m,1H)、3.43−2.95(m,8H)、2.87−2.64(m,3H)、2.56−2.44(m,1H)、1.33−1.31(m,3H)。MS:ESI(陽イオン):276(M+H)。
ジアステレオマー2:H NMR(CDOD)δ 4.01−3.90(m,1H)、3.42−2.94(m,8H)、2.84−2.64(m,3H)、2.55−2.45(m,1H)、1.32−1.29(m,3H)。MS:ESI(陽イオン):276(M+H)。
【実施例17】
【0147】
3,3,4−トリメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン(スキーム3)
【0148】
【化26】

DCM(5mL)を−78℃まで冷却し、TiCl(91uL、0.83mmol)およびMeZn(トルエン中で2Mの0.4mL)で処理した。10分間撹拌した後、実施例16、ステップ(d)の生成物(ジアステレオマー1およびジアステレオマー2、別々に、それぞれ50mg、0.14mmol)を、5mL DCMに溶解し、得られた暗色のスラリーに加えた。反応物を、室温まで昇温し、3日間撹拌した。反応物を、氷によりクエンチし、生成物をDCM(2×15mL)に抽出した。MgSOにより乾燥させた後、抽出物を、濃縮し、CHCl(10mL)に再溶解し、TMSI(80uL、0.58mmol)で処理した。反応物を、70℃まで終夜加熱し、続いてMeOH(5mL)および1M NaOH(2mL)でクエンチした。表題化合物を、CHCl(2×10mL)に抽出し、分取HPLC−MSにより精製した。
ジアステレオマー1:H NMR(CDOD)δ 4.20−3.89(m,1H)、3.49−3.34(m,3H)、3.28−3.89(m,4H)、2.54(dd,J=9.3,13.8Hz,1H)、2.32(dd,J=5.4,13.5Hz,1H)、1.39(s,3H)、1.35(s,3H)、1.34(d,J=6.3Hz,3H)。MS:ESI(陽イオン):304(M+H)。
ジアステレオマー2:H NMR(CDOD)δ 3.98(六重線,J=8.1Hz,1H)、3.52−3.34(m,3H)、3.27−2.88(m,4H)、2.46(dd,J=8.4,13.2Hz,1H)、2.33(dd,J=6.0,13.5Hz,1H)、1.42(s,3H)、1.38−1.33(m,3H)、1.29(s,3H)。MS:ESI(陽イオン):304(M+H)。
当初の「実施例」は実施例28となっていたが、これは、19の実施例しかないの
で、明らかな誤打である。実施例16であろうが、100%確信があるわけではない

【実施例18】
【0149】
2,2−ジメチル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン(スキーム1)
【0150】
【化27】

a.)2−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−4,5,7,8−テトラヒドロ−チエノ[2,3−d]アゼピン−6−カルボン酸エチルエステル:
実施例1、ステップ(d)の生成物(160mg、0.71mmol)のジクロロエタン(5ml)溶液を、0℃で、塩化トリメチルアセチル(0.17mL、1.42mmol)およびAlCl(190mg、1.42mmol)で処理した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌し、次いで室温まで昇温させた。反応混合物を、飽和NaHCO溶液(30ml)を加えることによりクエンチし、ジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。混合した有機抽出液を、鹹水(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で溶媒を蒸発させ、黄褐色の油を得た。未精製油(crude oil)を、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex中で0%から50%EtOAc)により精製し、透明な油として副題化合物を得た(60mg、27%)。MS:ESI(ポジティブ):310(M+H)。
【0151】
b.)2,2−ジメチル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン
ステップa)の生成物(50mg、0.16mmol)のメタノール(5mL)溶液を、Ba(OH)(200mg、1.2mmol)で処理した。反応混合物を、封管において30時間加熱し、次いで室温まで放冷させた。反応混合物を、真空中で濃縮し、1N HClを添加することにより中和した。この溶液の一定分量を、分取HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得て、この化合物をこのHCl塩に変換した。H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 9.62(br s,2H);7.81(s,1H);3.08−3.23(m,8H);1.30(s,9H);MS:ESI(陽イオン):238(M+H)。
【実施例19】
【0152】
1−(3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン(スキーム7)
【0153】
【化28】

a.)(4,5−ジクロロ−チオフェン−2−イル)−オキソ−酢酸エチルエステル:
5−10℃で、クロロ−オキソ−酢酸エチルエステル(5.43ml、48.7mmol)を、2,3−ジクロロチオフェン(5g、32.6mmol)に加えた。ニトロメタン(13ml)に溶解したAlCl(6.49g、48.7mmol)溶液を、内部反応温度が10℃を超えて上がらないように1滴ずつ加えた。1時間後、反応混合物を氷水に注ぎ、CHCl(2×100ml)で抽出した。有機層を、10%NaHCO(2×50ml)、水(1×50ml)および鹹水(1×50ml)で洗浄した。乾燥(NaSO)および濃縮により、明るいオレンジ色の固体を得て、この固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン勾配)により精製し、副題化合物6.8g(82%)を得た。
【0154】
b.)(4,5−ジクロロ−チオフェン−2−イル)−ヒドロキシ−酢酸エチルエステル:
ステップa)の生成物(23.0g、90.9mmol)のTHF(500ml)溶液を、60℃でNaBH(OAc)(23.1g、109mmol)およびAcOH(250μl)で1時間処理した。反応物を、AcOH(8ml)でクエンチし、約250mlに濃縮した。内容物をHO(400ml)で希釈し、CHCl(1×400ml;1×100ml)で抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、副題化合物23gを得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 6.91(s,1H);5.25(dd,J=6Hz,J=1Hz,1H);4.22−4.40(m,2H);3.52−3.60(br m,1H);1.33(t,J=7Hz,3H)。
【0155】
c.)(4,5−ジクロロ−3−メトキシカルボニルメチル−チオフェン−2−イル)−酢酸エチルエステル:
ステップ(b)の生成物(12.2g、48.0mmol)のデカリン(145ml)溶液を、オルト酢酸トリメチル(24.5ml、192mmol)およびヘキサン酸(0.61ml)で処理した。フラスコにビグリュー(vigreux)カラムを備え付け、180℃まで加熱した。さらなるヘキサン酸(3ml)を、6時間かけて定期的に加え、反応物を終夜加熱した。反応物を、ロータバップ(rotavap)で濃縮し、残渣をMeOH(100ml×2)で抽出した。MeOH抽出物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン勾配)により精製し、副題化合物4.36g(29%)を得た。MS:ESI(ポジティブ):311、313(M+H)。
【0156】
d.)(3−カルボキシメチル−4,5−ジクロロ−チオフェン−2−イル)−酢酸:
ステップ(c)の生成物(1.14g、3.66mmol)のMeOH(7ml)溶液(0℃)を、2M NaOH(3.8ml)で1滴ずつ処理した。反応物を、22℃まで昇温し、終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を2M NaOH(50ml)に溶解し、エーテル(2×50ml)で抽出した。塩基性層を、0℃まで冷却し、6M HClでpH1まで酸性化した。酸性層をEtOAc(4×100ml)で逆抽出し、有機層を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。未精製の固体をヘキサンで摩砕し、濾過し、副題化合物2.75g(73%)を得た。MS:ESI(ネガティブ):267、269(M−H)。
【0157】
e.)2−[4,5−ジクロロ−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−チオフェン−2−イル]−エタノール:
ステップ(d)の生成物(2.5g、9.33mmol)のTHF(85ml)溶液を、0℃まで冷却し、1M BH−THF溶液(46.6ml、46.6mmol)を、1滴ずつ10分かけて加え、添加完了後、さらに20分間撹拌した。反応物を22℃まで昇温し、2時間撹拌した。反応物を氷冷飽和NaHCO(150ml)に注ぎ、EtOAcで抽出した。粗生成物を、シリカゲルのプラグを通し、EtOAcで洗浄した。溶離剤の濃縮により、副題化合物1.99g(88%)を得た。
【0158】
f.)メタンスルホン酸2−[4,5−ジクロロ−2−(2−メタンスルホニルオキシ−エチル)−チオフェン−3−イル]−エチルエステル:
ステップ(e)の生成物(1.99g、8.25mmol)のCHCl(41ml)溶液を、0℃まで冷却し、トリエチルアミン(3.4ml、24.7mmol)で処理し、引き続いて塩化メタンスルホニル(1.4ml、18.1mmol)を10分間かけて1滴ずつ加えた。45分後、粗反応物をCHCl(100ml)で希釈し、氷水(25ml)、10%クエン酸(2×25ml)、飽和NaHCO(2×25ml)および鹹水(1×25ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、20mlまで濃縮し、無水ジオキサン(76ml)で希釈した。この混合物を、残留しているCHClを除去するために濃縮し、得られたジオキサン溶液を次の反応に進めた。
【0159】
g.)6−ベンジル−2,3−ジクロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン:
ステップ(f)で生成したビスメシレートジオキサン溶液を、滴下漏斗および冷却器を備え付けた3首反応フラスコに移した。無水炭酸カリウム(4.93g、35.7mmol)を加え、内容物を加熱還流した。次に、ベンジルアミン(2.71g、25.3mmol)の無水ジオキサン(27ml)溶液を、45分間かけて1滴ずつ加え、加熱を16時間続けた。塩を濾過し、溶媒を濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン勾配)により精製し、副題化合物1.43g(62%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 7.20−7.40(m,5H);3.73(s,2H);2.68−2.89(m,8H);MS:ESI(陽イオン):312、314(M+H)。
【0160】
h.)1−(6−ベンジル−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン:
無水THF(5ml)中のステップ(g)の生成物(109mg、0.35mmol)を、窒素雰囲気下で−78℃まで冷却し、ヘキサン(0.25ml)中の1.6M n−ブチルリチウムで処理した。反応混合物を、−78℃で5分間撹拌し、引き続いて塩化トリメチルアセチル(0.22ml、1.75mmol)を加えた。−78℃でさらに10分後、反応混合物を室温まで昇温させた。反応物を飽和NaHCO(20ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。混合した有機抽出液を、鹹水(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で蒸発させ、オレンジ色の油として副題化合物を得て、この化合物をさらなる精製なしに次のステップで使用した。MS:ESI(ポジティブ):362、364(M+H)。
【0161】
i.)1−(3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン:
ステップ(h)の生成物(推定0.35mmol)の無水ジクロロエタン(2ml)溶液を、0℃まで冷却し、KCO(約50mg)および1−クロロエチルクロロギ酸エステル(0.38ml、3.5mmol)で処理した。反応物を18時間で22℃まで昇温させた。反応物を、CHCl(50ml)で希釈し、飽和NaHCO(2×50ml)、鹹水(50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で蒸発させ、油残渣を得て、この残渣を無水MeOH(10ml)に溶解し、1.5時間還流した。MeOHを真空中で蒸発させ、粗生成物を得た。一部の粗生成物を、分取HPLC−MSにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 6.25(br s,1H);3.05−3.19(m,8H);1.34(s,9H);MS:ESI(陽イオン):272、274(M+H)。
【0162】
以下の手順を、5HT2c受容体アゴニストとしての本発明の代表的な化合物を評価するために使用した。このアッセイの結果を表1に記載した。
【0163】
細胞培養
ヒト5HT2c受容体を発現するHEK293EBNA(VNVアイソフォーム)(Burnsら、NATURE 387:30308、1997 Fitzgeraldら、NEUROPSYCHO−PHARMACOLOGY 21:825−905、1999)を、5%CO雰囲気において、37℃で10%透析済FBS、9μg/mlブラストサイジンを含むDMEM中で増殖させた。
【0164】
カルシウム動員
ヒト5HT2c受容体を発現するHEK293EBNA細胞(2×10/ウェル)を、ブラック384−ウェルコラーゲンコートプレートに播種し、5%CO2/95%雰囲気において37℃で終夜インキュベートした。媒質を除去した後、細胞を、製造者の説明書に従って、カルシウム3色素(Molecular Device、カリフォルニア州)、2.5mM プロベネシドおよび0.08%プルロニック酸(pluronic acid)を含むHBSS緩衝液(137mM NaCl、5.4mM KCl、5.5mMグルコース、20mMヘペス、pH7.5、2.1mM MgCl、0.3mM CaCl、0.02mM MgSO、3.0mM NaHCOおよび0.64mM KHPO)で60分間処理した。化合物を、CsClリンゲル(Ringers)緩衝液(58.3mM CsCl、5.4mM KCl、5.5mMグルコース、20mMヘペス、pH7.5、2.1mM MgCl、1.2mM CaCl)で希釈した。5HTは、陽性対照として使用した。リガンド誘発カルシウム遊離および結果として生じる蛍光を、蛍光イメージングプレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader;FLIPR、Molecular Device、カリフォルニア州)で測定した。
【0165】
データ解析
すべてのデータは、プリズム(Prism)4.0ソフトウェアを使用して、非線形最小二乗カーブフィッティング(nonlinear least square curve fitting)により解析した。FLIPRにおけるカルシウム誘発の蛍光のアゴニスト刺激を、方程式Y=底部+(上部−底部)/(1+10^((LogEC50−X)))(Xは、化合物の濃度の対数であり、Yは、蛍光反応である。)を使用して、シグモイド用量反応に適合させた。
【0166】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物および薬学的に許容されるこの塩
【化1】

[式中、Xは、SまたはNR11であり;
およびRは、独立に、H、ハロゲン、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、ペルハロアルキル、C1−8アルキルペルハロアルキル、−CN、OR、SR、−SO10、−C(=O)R10、−C(=O)NR、−NRCO10、−SONR、−NRSO10、アリールまたはヘテロアリール、C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、アルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の炭素環または複素環を形成することができ;
は、H、C1−8アルキル、OR、アリールおよびヘテロアリールから成る群から選択され;
3aは、HもしくはC1−8であり;またはRおよびR3aは、一緒になって−CHCH−であり;
およびRは、一緒になってアルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の炭素環または複素環を形成し;
は、H、C1−8アルキルまたはORであり;
4aは、H、C1−8アルキルであり;またはRおよびR4aは、一緒になって−CHCH−であり;
は、H、−C1−8アルキル、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
5aは、Hまたは−C1−8アルキルであり;
は、H、−C1−8アルキル、C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、C1−9アルキルアリールまたはヘテロアリール、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
6aは、Hまたは−C1−8アルキルであり;
は、H、−C1−8アルキル、および−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
、Rは、独立に、H、−C1−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、アリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、5員から7員の複素環を形成し;
10は、−C1−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、アリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキルアリールまたはヘテロアリール、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、および−C1−8アルキル−O−アリールまたはヘテロアリールから成る群から選択され;
11は、H、−C1−8アルキル、−C1−8アルキル−O−C1−8アルキル、−SO10、−C(=O)R10、−C(=O)OR10、アリールおよびヘテロアリール、またはC1−8アルキルアリールもしくはヘテロアリールから成る群から選択され;
11およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、−C1−8アルキル、CF3および−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の複素環を形成することができ;
11およびRは、これらが結合している原子と一緒になって、−C1−8アルキル、CFおよび−ORから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換された5員から7員の複素環を形成することができ;
ここで、アリールおよびヘテロアリールは、−C1−8アルキル、ハロゲン、CNおよびアルコキシから選択された最高で2つまでの置換基で場合によって置換されている。]。
【請求項2】
XがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがSであり、RがC(=O)R10であり、RがC1−8アルキルであり、R、R3a、R、R4a、RおよびR5aがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがSであり、RがC1−8アルキルパーハロアルキルであり、RがBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
以下から成る群から選択された、請求項1に記載の化合物
2,2−ジメチル−1−(3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;
3−ブロモ−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−エタンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
(R,S)−3,3−ジメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
3−ブロモ−4−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
2−エタンスルホニル−3,4−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
(R,S)−2,2−ジメチル−1−(4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;
1−(3−ブロモ−4−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン;
(R,S)−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン;
(R,S)−2−ブロモ−3,3−ジメチル−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3H−1−チア−6−アザ−シクロペンタ[cd]アズレン;
(R,S)−2−ブロモ−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン;
4−メチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
3,3,4−トリメチル−1−トリフルオロメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−9−チア−6−アザ−シクロペンタ[a]アズレン;
2,2−ジメチル−1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−プロパン−1−オン;および
1−(3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−チエノ[2,3−d]アゼピン−2−イル)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
治療を必要とする患者に請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物の有効量を投与することを含む、5−HT2c機能の調節が望まれる患者における疾患、障害および/または状態を治療する方法。

【公表番号】特表2009−523809(P2009−523809A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551392(P2008−551392)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/001345
【国際公開番号】WO2007/084622
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(504156083)アサーシス, インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】ATHERSYS, INC.
【住所又は居所原語表記】3201 Carnegie Avenue, Cleveland, OH 44115 (US)
【Fターム(参考)】