説明

センサシステム及びセンサ取付装置

【課題】簡易な構成で通信距離の長短にかかわらず光通信による終端ユニットから制御ユニットへの送信を安定して行うことができるセンサシステムを提供する。
【解決手段】センサシステム11は、複数の直列に接続される検出ユニット12と、それらの検出ユニット12に両側から挟むように直列にそれぞれ接続された制御ユニット13とエンドユニット14とを備えている。検出ユニット12には、光信号を透過させる本体部とこの本体部の外周を覆い且つ本体部よりも光の屈曲率が小さい又は光の反射率が大きい外層部とを有する光通信ユニット34が検出ユニット12を貫通するように設けられている。光通信ユニット34は、エンドユニット14から送信された光信号を本体部と外層部との境界面で全反射させながら安定して制御ユニット13に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステム及びセンサ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば搬送装置等の各種設備において検出対象物を検出するためのセンサシステムとして、例えば光電センサ等の検出センサ(検出ユニット)が直列に複数個接続されたセンサシステムが知られている。このセンサシステムには、複数の検出センサを直列方向の両側から挟むように、光信号によるデータを送信する投光素子が設けられた制御ユニットと、光信号を受信する受光素子が設けられたエンドユニット(終端ユニット)とが配設されている。また、各検出センサには、通信上流側となる側面に受光素子が設けられているとともに、通信下流側となる側面には投光素子が設けられている。そして、制御ユニットから送信された伝送信号は、例えば各検出センサの検出結果等が反映されながら、通信上流側となる制御ユニット側から通信下流側となるエンドユニット側へと転送されるようになっている。
【0003】
また、エンドユニットと制御ユニットとの間は信号線で接続されている。そして、エンドユニットにおいて受信された伝送信号は、各検出センサの検出結果等の情報を含んだ状態で、この信号線を介して制御ユニットへフィードバック(送信)されるようになっている。
【0004】
このように、従来のセンサシステムでは、エンドユニットからのフィードバックに信号線を用いているため、ユーザーがセンサシステムを組み立てる際に、全体を組み立てた状態でフィードバック用の信号線を接続する必要があり作業工数が増加するという問題があった。また、フィードバック用の信号線が外部に出ているため、意図しない接触などにより信号線が引っ掛けられて断線したりするという問題もあった。そこで、特許文献1に記載されているように、信号線を用いずにエンドユニットから制御ユニットへのフィードバックを行うセンサシステムが提案されている。
【0005】
すなわち、この特許文献1のセンサシステムでは、受光素子が設けられているエンドユニットに投光素子が更に設けられているとともに、投光素子が設けられている制御ユニットに受光素子が更に設けられている。また、各検出センサには、その検出センサの両側面を貫くように透孔が形成されている。そして、センサシステムの組み立てに伴い各検出センサの透孔が連なってエンドユニットから制御ユニットまで至る空洞が形成され、その空洞を通過してエンドユニットに設けられた投光素子から制御ユニットの受光素子へと光信号をフィードバック(送信)するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−223694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、センサシステムにおける制御ユニットとエンドユニットの間に配設される検出センサの数はユーザーの検出センサの使用状況により変化する。そのため、検出センサの数が多数となって、エンドユニットの投光素子から制御ユニットの受光素子までの通信距離が長くなると、各検出センサの透孔が連なることによって形成された空洞を通過する光信号は光量の低下などが起こり、フィードバックが不安定になる。したがって、センサシステムのエンドユニットから制御ユニットまでの通信距離がどのような場合であっても光通信による安定したフィードバックを可能にするためには、センサシステムの光学設計が非常に精密で複雑になるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で通信距離の長短にかかわらず光通信による終端ユニットから制御ユニットへの送信を安定して行うことができるセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、被検出物を検出するための検出条件に基づいて被検出物を検出する複数の直列に接続される検出ユニットと、該検出ユニットに対して直列に接続されるとともに前記検出ユニットへ出力信号を送信可能な制御ユニットと、前記検出ユニットを挟んで前記制御ユニットと対向する位置において前記検出ユニットに対して直列に接続されるとともに該検出ユニットを介した前記制御ユニットからの前記出力信号を受信可能な終端ユニットと、を備えたセンサシステムであって、前記終端ユニットに設けられるとともに前記検出ユニットの配列方向に沿って光信号を送信可能な投光部と、前記制御ユニットに設けられるとともに前記光信号を受信可能な受光部と、前記終端ユニットと前記制御ユニットとの間に前記検出ユニットの配列方向に沿って該検出ユニットを貫通するように設けられるとともに前記投光部からの光信号を前記受光部へ伝送する光通信ユニットと、を備え、該光通信ユニットは、前記検出ユニットの配列方向において該検出ユニット毎に前記投光部からの前記光信号を透過させる本体部と、該本体部の外周を覆い且つ前記本体部よりも光の屈折率が小さいか又は光の反射率が高い外層部とを有するように分割された複数の光通信部を含んでいる。
【0010】
この構成によれば、終端ユニットの投光部から送信された光信号のほとんどを、検出ユニット毎に分割された光通信部の本体部と外層部の境界面において反射を繰り返させながら制御ユニットの受光部へと安定して伝送することができる。また、検出ユニット毎に分割された光通信部により、検出ユニットの数に応じた通信距離の長短にかかわらず安定して光信号を伝達することができる光通信ユニットを簡易に構成することができる。したがって、簡易な構成で通信距離の長短にかかわらず光通信による終端ユニットから制御ユニットへの送信を安定して行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項2に記載のセンサシステムにおいて、前記光通信部は、前記検出ユニットの配列方向において一方側となる部位が他方側へ窪んだ凹状部に形成されるとともに、他方側となる部位が他方側へ突出した凸状部に形成され、且つ、前記凹状部及び前記凸状部が、前記配列方向において隣接する他の検出ユニットが有する前記光通信部の対向する前記凸状部及び前記凹状部と凹凸嵌合する。
【0012】
この構成によれば、複数の検出ユニットを直列に配置したときに光通信部同士を容易に接続することができる。したがって、終端ユニットから制御ユニットへ光信号を伝送する光通信ユニットを簡易に構成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2又は3に記載のセンサシステムにおいて、前記光通信部は、前記検出ユニットに一体形成されているとともに、前記光通信部における前記本体部は、前記検出ユニットの外殻を構成する筐体と同じ材質で形成されている。
【0014】
この構成によれば、光通信部の本体部と検出ユニットの筐体とが同じ材質なので検出ユニットの製造に伴い光通信部を容易に形成することができるとともに、検出ユニットを直列に配列することに伴い、各検出ユニットに一体形成された各光通信部を直列に接続して光通信ユニットを形成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2〜4のうち何れか一項に記載のセンサシステムにおいて、前記光通信部の前記外層部は、前記本体部の外周に形成された空気を有する空洞部である。
【0016】
この構成によれば、光通信部の外層部を容易に形成することができるため、光通信部を容易に構成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4又は5に記載のセンサシステムにおいて、前記検出ユニットは、前記被検出物の検出を行う検出センサ部と、該検出センサ部を取り付けた状態にて直列方向に配列される取付部とを備え、前記光通信部は前記取付部に一体形成されているとともに、前記光通信部における前記本体部は前記取付部を構成する部材と同じ材質により形成されている。
【0017】
この構成によれば、取付部を直列に配列することにより、各取付部に一体形成された各光通信部を接続して光通信ユニットを形成することができる。また、検出ユニットにおいて交換やメンテナンスなどにより検出センサ部を取り外す場合に、光通信ユニットを形成した状態のまま、検出センサ部だけを取り外すことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、被検出物を検出するための検出条件に基づいて被検出物を検出する複数の直列に接続される検出ユニットにおける前記被検出物の検出を行う検出センサを取り付けた状態にて前記検出ユニットの配列方向へ直列に接続される基部を備え、該基部には、光信号を透過させる本体部と、該本体部の外周を覆い且つ前記本体部よりも光の屈折率が小さいか又は光の反射率が高い外層部とを有する光通信部が設けられ、該基部が前記配列方向に直列に接続されることにより、前記検出ユニットの配列方向に沿って光信号を伝送する光通信ユニットが形成される。
【0019】
この構成によれば、センサ取付装置を直列に接続することにより、光信号のほとんどを、検出ユニット毎に分割された光通信部の本体部と外層部の境界面において反射を繰り返させながら安定して伝送するとともに、検出ユニットの数に応じた通信距離の長短にかかわらず安定して光信号を伝達することができる光通信ユニットを簡易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態におけるセンサシステムの一部分解斜視図。
【図2】センサシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)(b)は取付台を示す斜視図。
【図4】直列に接続された光通信部の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をセンサシステムにおいて具体化した実施形態を図1〜図4について説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、各図中に矢印で示す「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいうものとする。また、この場合における「左右方向」は複数の検出ユニットの配列方向に相当すると共に、「上下方向」は鉛直方向に相当し、「前後方向」は各検出ユニットの配列方向及び鉛直方向に対して各々直交する方向に相当する。
【0022】
図1は、本実施形態のセンサシステム11の一部分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態のセンサシステム11は、直列に接続される同一構造の複数(本実施形態では3つ)の検出ユニット12を備えている。検出ユニット12は、例えば光電センサであって、先端を検出領域に向けた状態で互いに隣接配置された投光用及び受光用の光ファイバF(図2参照)を有しているとともに、両光ファイバFを介して検出対象物(被検出物)の有無を検出する。
【0023】
また、検出ユニット12は、それらの検出ユニット12を両側から挟むように配置された制御ユニット13と終端ユニットとしてのエンドユニット14とを備えている。そして、センサシステム11は、制御ユニット13から送信された伝送信号を、この制御ユニット13に隣接する検出ユニット12からエンドユニット14へと順次伝送したのち、エンドユニット14から制御ユニット13へとフィードバック(伝送)するようになっている。
【0024】
まず、センサシステム11における各ユニットの外部構成について説明する。
図1に示すように、制御ユニット13は、外殻をなす略長方形状に形成されたカバー21を備えている。カバー21の検出ユニット12側の左側面部21aには、投光用と受光用の一対の光通信用の通信窓(図示略)が形成されている。そして、制御ユニット13は、投光用の通信窓を介して光信号にて各検出ユニット12に同期信号などの制御信号を出力する。
【0025】
また、カバー21の上面部21bには、例えばパーソナルコンピューター等の上位機器との通信を行うケーブル(図示略)を接続するための接続部22と、検出ユニット12の設定操作を行うための複数の操作ボタン23とが設けられている。制御ユニット13は、上位機器と通信ケーブル(図示略)を通して双方向通信が可能である。そして、制御ユニット13は、上位機器から入力した設定データや制御信号を各検出ユニット12が対応可能な通信形式のデータに変換したり、各検出ユニット12の出力信号を上位機器に対応する通信形式に変換したりする変換処理を行う。
【0026】
検出ユニット12は、被検出物の検出を行う検出センサ部としての検出センサ24と、この検出センサ24を取り付ける取付部(センサ取付装置)としての取付台25とを備えている。検出ユニット12は、検出センサ24が取付台25に取り付けられた状態で隣接する他のユニット(制御ユニット13、エンドユニット14、及び他の検出ユニット12のうち何れか)と直列接続されるように配列されている。
【0027】
検出センサ24は、外殻をなす略長方形状に形成されたセンサカバー26を備えている。センサカバー26の前面部26aには、光ファイバF(図2参照)を装着するための一対の挿入孔27が設けられている。また、センサカバー26における制御ユニット13側及びエンドユニット14側の左右両側面部(図1においてはエンドユニット14側の左側面部26bのみ図示)には、受光用又は投光用の光通信用の通信窓(図1においてはエンドユニット14側の通信窓28のみ図示)がそれぞれ形成されている。
【0028】
すなわち、検出センサ24を他のユニットと直列に接続した状態で制御ユニット13側となるセンサカバー26の右側面部(図示略)には受光用の通信窓(図示略)が形成されているとともに、エンドユニット14側となる左側面部26bには投光用の通信窓28が形成されている。それらの通信窓は、隣接する検出センサ24間において、受光用の通信窓と投光用の通信窓28とが対向するように配置されている。このため、隣接配置された検出センサ24間では、制御ユニット13側の検出センサ24からエンドユニット14側の検出センサ24への光信号による通信が可能となっている。また、制御ユニット13に隣接する検出センサ24における受光用の通信窓は、制御ユニット13における投光用の通信窓と対向するように配置されている。このため、制御ユニット13は、隣接配置された検出センサ24への光信号による通信が可能になっている。また、センサカバー26の底面部26cには、取付台25に対する取付用凹部29が形成されている。
【0029】
取付台25は、光透過性材料であって且つ空気よりも光の屈折率が大きいか又は光の反射率が低い樹脂材料(例えば、ポリカーボネイトやアクリルなど)により形成されているとともに、検出ユニット12の配列方向と交差する方向(図1において前後方向)に延びる基部31を有している。基部31の上面には、検出センサ24が取り付けられるようになっている。また、基部31の一端側(図1において後端側)には検出センサ24に給電などを行うコネクタ32が設けられている一方、他端側(図1において前端側)には光信号を伝送する光通信部33が形成されている。取付台25のコネクタ32及び光通信部33は、隣接する取付台25のコネクタ32及び光通信部33とそれぞれ接続可能になっている。そして、検出ユニット12を直列に配列した場合には、隣接する取付台25の光通信部33同士が接続されて光通信ユニット34を構成するようになっている。換言すると、光通信ユニット34は、検出ユニット12(より具体的には、その取付台25の基部31)を各検出ユニット12の配列方向へ貫通するように設けられている。また、制御ユニット13に隣接する取付台25の光通信部33は、制御ユニット13における投光用の通信窓と対向するようになっている。
【0030】
エンドユニット14は、外殻をなす略長方形状に形成されたカバー35を備えている。カバー35の検出ユニット12側の右側面部(図示略)には、受光用と投光用の一対の光通信用の通信窓(図示略)が形成されている。そして、エンドユニット14における受光用の通信窓は、隣接する検出センサ24における投光用の通信窓28と対向するように配置されている。このため、エンドユニット14は、受光用の通信窓を介して隣接配置された検出センサ24からの光信号による通信が可能になっている。また、エンドユニット14における投光用の通信窓は、隣接する取付台25の光通信部33と対向するように配置されている。このため、エンドユニット14は、投光用の通信窓及び光通信ユニット34を介して制御ユニット13への光信号による通信が可能になっている。
【0031】
次に、センサシステム11の電気的構成について説明する。
図2は、センサシステム11の電気的構成を示したブロック図である。図2に示すように、制御ユニット13は、操作設定部41、CPU42、投光回路43及び投光素子44を備えている。操作設定部41及び投光回路43は、CPU42と電気的に接続されている。また、操作設定部41は、カバー21に設けられた複数の操作ボタン23と電気的に接続されているとともに、操作ボタン23の操作による操作信号をCPU42に出力するようになっている。CPU42は操作設定部41からの操作信号や上位機器からの信号を入力するとともに、これら入力した信号に基づき設定データを作成した後、これを投光回路43に出力する。投光回路43は、入力した設定データに基づき投光素子44に駆動電流を供給して設定データを光信号として送信する。また、制御ユニット13は、受光回路45と受光素子46を備えている。受光回路45はCPU42と電気的に接続されている。受光素子46は、入射した光信号を受光回路45を介してCPU42に入力する。
【0032】
検出ユニット12における検出センサ24は、CPU51、受光回路52、受光素子53、投光回路54及び投光素子55を備えている。受光回路52及び投光回路54はCPU51と電気的に接続されている。受光素子53は入射した受光信号を受光回路52に出力するとともに、受光回路52は入力した受光信号に基づきデジタル信号を生成してCPU51に出力する。CPU51は受光回路52からのデジタル信号に基づき自身宛のアドレスであればそれを取得して設定データとしてメモリ(図示略)に記憶する。また、CPU51はデジタル信号を投光回路54へ出力し、投光回路54はデジタル信号に基づき投光素子55に駆動電流を供給して設定データを光信号として送信する。こうして設定データは制御ユニット13から光通信で各検出ユニット12の各検出センサを順次通って伝送される。
【0033】
また、検出ユニット12における検出センサ24は、投光部56及び受光部57を備えている。投光部56及び受光部57はCPU51と電気的に接続されている。CPU51は、投光部56及び受光部57を駆動させて投光部56に対向する投光用の光ファイバFの先端から光を出射させるとともに、受光用の光ファイバFと対向する受光部57からの受光信号を入力する。そして、CPU51は、その受光信号の値がメモリに記憶された所定の閾値を越えると、検出対象物を検出したと判定する。
【0034】
エンドユニット14は、受光素子61、受光回路62、中継アンプ63、投光回路64及び投光素子65を備えている。受光素子61は入射した受光信号を受光回路62に出力するとともに、受光回路62は入力した受光信号に基づき生成したデジタル信号を中継アンプ63に出力する。中継アンプ63は入力したデジタル信号を増幅させた後、増幅したデジタル信号を投光回路64に出力する。投光回路64は、入力したデジタル信号に基づき投光素子65に駆動電流を供給してデジタル信号を光信号として送信する。
【0035】
次に、検出ユニット12における取付台25の光通信部33について詳述する。
図3は取付台25の概略斜視図であり、図3(a)は取付台25をエンドユニット14側である左側から見た概略斜視図、図3(b)は取付台25を制御ユニット13側である右側から見た概略斜視図である。また、図4は、直列に接続された複数(本実施形態では3つ)の光通信部33からなる光通信ユニット34の部分を、鉛直方向における寸法の略中央において水平に切断した場合の概略断面図であり、取付台25における光通信部33以外の基部31の部分は図示を省略している。
【0036】
図3(a)及び(b)に示すように、光通信部33は、取付台25に一体形成されている。したがって、光通信部33は、取付台25と同一の光透過性材料であって且つ空気よりも光の屈折率が大きいか又は光の反射率が低い樹脂材料(例えば、ポリカーボネイトやアクリルなど)により形成されることになる。
【0037】
図3(a)及び図4に示すように、光通信部33のエンドユニット14側となる左側面部33aには、取付台25の配列方向においてエンドユニット14側となる左側に突出した円形状の凸状部としての凸部71が形成されている。凸部71におけるエンドユニット側となる端面(図4では左端面)は平面状になっている。また、図3(b)及び図4に示すように、光通信部33の制御ユニット13側となる右側面部33bにおいて凸部71と対応する位置には、取付台25の配列方向において左側に向かって凹んだ円形状で且つ凸部71と同径の凹状部としての凹部72が形成されている。
【0038】
図4に示すように、凹部72の底面には、凹部72よりも小径の円環状の溝部73が形成されている。そして、この円環状の溝部73によって、溝部73の底面から開口に向かって突出する円柱状の本体部74が形成されている。すなわち、光通信部33内には、エンドユニット14の投光素子65から出力された光信号の光軸L(図2参照)方向に向かって突出する本体部74が形成される。そして、その本体部74の外周側には、本体部74の外周を覆うように空気を含む空洞部としての溝部73が形成されることになる。この点で、溝部73は、本体部74の外周を覆い且つ本体部74よりも光の屈折率が小さい又は光の反射率が高い外層部として機能する。また、本体部74における凹部72側の端面(図4では右端面)は平面状に形成されている。
【0039】
また、光通信部33の凸部71及び凹部72は、取付台25の配列方向において隣接する他の光通信部33における対向する凹部72及び凸部71と、それぞれ凹凸嵌合可能になっている。このとき、光通信部33における凹部72内の本体部74の平面状端面(右端面)は、隣接する光通信部33における凸部71の平面状端面(左端面)と隙間なく面接触状態で当接するようになっている。そして、光通信部33の凸部71と隣接する光通信部33の凹部72を凹凸嵌合させることにより、隣接する光通信部33同士を接続して一続きの光通信ユニット34が形成されるようになっている。換言すると、光通信ユニット34は、検出ユニット12の配列方向において検出ユニット12毎に本体部74と溝部(外層部)73とを有するように分割された複数の光通信部33を含んでいる。
【0040】
次に、上記構成のセンサシステム11における作用を説明する。
さて、センサシステム11において、上位機器や操作ボタン23から設定データや設定信号が制御ユニット13に入力されると、それらの設定データや設定信号は、制御ユニット13から光信号によって隣接する検出ユニット12に送信される。検出ユニット12は、自身に割り当てられたアドレスが指定されると、そのアドレスデータに例えば検出値データなどを付加した光信号を隣接する次の(通信下流側の)検出ユニット12へと伝送する。すると、その光信号は直列に配置された複数の検出ユニット12間を通信上流側から通信下流側へと順次伝送される。各検出ユニット12から付加されたデータを含む光信号は、通信最下流側に配置された隣接する検出ユニット12からエンドユニット14へと伝送された後、エンドユニット14から一括して隣接する検出ユニット12における光通信部33に向かって送信される。
【0041】
ここで、光通信部33の本体部74は光透過性材料であって且つ空気よりも光の屈折率の大きいか又は光の反射率が低い樹脂材料により形成されている。換言すると、溝部(すなわち、空気層)73は、本体部74よりも光の屈折率が小さくか又は光の反射率が高くなるように形成されていることになる。そのため、エンドユニット14側から隣接する本体部74に制御ユニット13側へまっすぐ入射した光信号は、その本体部74を通過して隣接する光通信部33の本体部74へと伝送される。また、本体部74への入射時に広がった光信号のほとんどは、本体部74とこの本体部74の外周を覆う溝部(すなわち、空気層)73との境界面において反射を繰り返しながら隣接する光通信部33の本体部74へと伝送される。すなわち、エンドユニット14から出力された光信号は、各検出ユニット12の光通信部33が接続されて一続きとなった光通信ユニット34内を伝送によって損失することなく安定して制御ユニット13に向かって伝送される。そして、光通信ユニット34を伝送された光信号は、制御ユニット13に入力される。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)エンドユニット14の投光素子65から送信された光信号のほとんどを、光通信ユニット34の本体部74と溝部73の境界面において反射を繰り返させながら制御ユニット13の受光素子46へと安定して伝送することができる。また、検出ユニット12毎に分割された光通信部33により、検出ユニット12の数に応じた通信距離の長短にかかわらず安定して光信号を伝送可能な光通信ユニット34を簡易に構成することができる。したがって、簡易な構成で通信距離の長短にかかわらず光通信によるエンドユニット14から制御ユニット13への送信を安定して行うことができる。
【0043】
(2)複数の検出ユニット12を直列に配置したときに光通信部33同士を容易に接続することができる。したがって、エンドユニット14から制御ユニット13へ光信号を伝送する光通信ユニット34を簡易に構成することができる。
【0044】
(3)光通信部33の本体部74と検出ユニット12における取付台25とが同じ材質なので検出ユニット12における取付台25の製造に伴い光通信部33を容易に形成することができる。また、検出ユニット12を直列に配列することに伴い、各検出ユニット12に一体形成された各光通信部33を直列に接続して光通信ユニット34を形成することができる。
【0045】
(4)光通信部33の凹部72の底面に円環状の溝を形成することにより、外層部となる溝部73を容易に形成することができるため、光通信部を容易に構成することができる。
【0046】
(5)取付台25を直列に配列することにより、各取付台25に一体形成された各光通信部33を接続して光通信ユニット34を形成することができる。また、検出ユニット12において交換やメンテナンスなどにより検出センサ24を取り外す場合に、光通信ユニット34を形成した状態のまま、検出センサ24だけを取り外すことができる。
【0047】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・光通信部33は、樹脂材料により形成されているものに限らず、例えば石英など樹脂でない材料により形成されていてもよい。
【0048】
(6)取付台25を直列に接続することによって、光信号のほとんどを、検出ユニット12毎に分割された光通信部33の本体部74と溝部73の境界面において反射を繰り返させながら安定して伝送するとともに、検出ユニット12の数に応じた通信距離の長短にかかわらず安定して光信号を伝達することができる光通信ユニット34を簡易に構成することができる。
【0049】
・光通信部33は、検出ユニット12における取付台25に一体形成されたものに限らず、取付台25と別体に形成されているとともに、取付台25及び検出センサ24に着脱可能であってもよい。また、光通信部33は、検出センサ24のセンサカバー26と一体形成されたものであってもよい。さらに検出ユニット12は、検出センサ24と取付台25が一体形成されたものであってもよい。ただし、そのような場合には、検出センサ24のセンサカバー26及び検出ユニット12の外殻をなす筐体が光通信部33と同じ光透過性材料であって且つ空気よりも光の屈折率が大きいか又は光の反射率が低い材料により形成されていることが望ましい。換言すると、外層部となる溝部(すなわち、空気層)73は、検出センサ24のセンサカバー26及び検出ユニット12の外殻をなす筐体よりも光の屈折率が小さくか又は光の反射率が高くなるように形成されていることになる。
【0050】
・光通信部33における本体部74の外周を覆う外層部は空気を有する溝部73に限らず、例えば樹脂材料や石英ガラスなどによって形成されていてもよい。ただし、その場合には、外層部を形成する材料は本体部を形成する材料よりも光の屈折率が小さいか又は光の反射率が高いものであることが望ましい。
【0051】
・光通信部33における凹部72及び凸部71は、円形状のものに限らず、例えば多角形状など異なる形状であってもよい。また、また、光通信部33は凹部72及び凸部71を備えていなくてもよい。ただし、その場合には、光通信部33の本体部74と隣接する光通信部33とを隙間なく当接させた状態で接続させる接続部材を備えていることが望ましい。
【符号の説明】
【0052】
11…センサシステム、12…検出ユニット、13…制御ユニット、14…終端ユニットとしてのエンドユニット、24…検出センサ部としての検出センサ、25…取付部(センサ取付装置)としての取付台、33…光通信部、34…光通信ユニット、71…凸部、72…凹部、73…溝部、74…本体部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物を検出するための検出条件に基づいて被検出物を検出する複数の直列に接続される検出ユニットと、該検出ユニットに対して直列に接続されるとともに前記検出ユニットへ出力信号を送信可能な制御ユニットと、前記検出ユニットを挟んで前記制御ユニットと対向する位置において前記検出ユニットに対して直列に接続されるとともに該検出ユニットを介した前記制御ユニットからの前記出力信号を受信可能な終端ユニットと、を備えたセンサシステムであって、
前記終端ユニットに設けられるとともに前記検出ユニットの配列方向に沿って光信号を送信可能な投光部と、
前記制御ユニットに設けられるとともに前記光信号を受信可能な受光部と、
前記終端ユニットと前記制御ユニットとの間に前記検出ユニットの配列方向に沿って該検出ユニットを貫通するように設けられるとともに前記投光部からの光信号を前記受光部へ伝送する光通信ユニットと、を備え、
該光通信ユニットは、前記検出ユニットの配列方向において該検出ユニット毎に前記投光部からの前記光信号を透過させる本体部と、該本体部の外周を覆い且つ前記本体部よりも光の屈折率が小さいか又は光の反射率が高い外層部とを有するように分割された複数の光通信部を含んでいる
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサシステムにおいて、
前記光通信部は、前記検出ユニットの配列方向において一方側となる部位が他方側へ窪んだ凹状部に形成されるとともに、他方側となる部位が他方側へ突出した凸状部に形成され、且つ、前記凹状部及び前記凸状部が、前記配列方向において隣接する他の検出ユニットが有する前記光通信部の対向する前記凸状部及び前記凹状部と凹凸嵌合する
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンサシステムにおいて、
前記光通信部は、前記検出ユニットに一体形成されているとともに、前記光通信部における前記本体部は、前記検出ユニットの外殻を構成する筐体と同じ材質で形成されている
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のうち何れか一項に記載のセンサシステムにおいて、
前記光通信部の前記外層部は、前記本体部の外周に形成された空気を有する空洞部である
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のセンサシステムにおいて、
前記検出ユニットは、前記被検出物の検出を行う検出センサ部と、該検出センサ部を取り付けた状態にて直列方向に配列される取付部とを備え、前記光通信部は前記取付部に一体形成されているとともに、前記光通信部における前記本体部は前記取付部を構成する部材と同じ材質により形成されている
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項6】
被検出物を検出するための検出条件に基づいて被検出物を検出する複数の直列に接続される検出ユニットにおける前記被検出物の検出を行う検出センサを取り付けた状態にて前記検出ユニットの配列方向へ直列に接続される基部を備え、
該基部には、光信号を透過させる本体部と、該本体部の外周を覆い且つ前記本体部よりも光の屈折率が小さいか又は光の反射率が高い外層部とを有する光通信部が設けられ、
該基部が前記配列方向に直列に接続されることにより、前記検出ユニットの配列方向に沿って光信号を伝送する光通信ユニットが形成される
ことを特徴とするセンサ取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−79050(P2012−79050A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223053(P2010−223053)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】