説明

センサネットワークシステム、センサノード、センサ情報収集装置、事象観測方法、およびプログラム

【課題】 センサネットワークシステムにおいて、高精度(高分解能)のセンサデータを収集し、かつ通信ネットワークや、センサデータの処理装置の輻輳を抑制する。
【解決手段】 センサノード1が、検出したセンサ情報が全体の精度(分解能)に与える影響を算出する寄与度算出手段123を備える。そして、一斉に多量のデータを送信して輻輳が発生することのないように、算出した寄与度に応じて、第1の通信手段121が、センサ情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワークシステム、センサノード、センサ情報収集装置、事象観測方法、およびプログラムに関し、特に高精度(高分解能)のセンサ情報収集機能と輻輳抑制機能とを有するセンサネットワークシステム、センサノード、センサ情報収集装置、事象観測方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋や建物などに設置された複数のセンサが検出した情報を収集するための手段として、センサネットワークがある。センサネットワークは、事象を検出して送信するセンサノードを含む。
【0003】
そして、センサが検出した情報の精度(分解能)を向上させるために、センサノードが情報を送信する間隔を短くして、時間分解能を向上させる装置(例えば、特許文献1参照。)や、情報を送信するセンサノードの空間密度を高くして、空間分解能を向上させる方法がある。
【0004】
また、同一事象を観測するセンサノード全てが一斉に多量の情報を送信してしまうという問題(応答集中問題)を回避するために、各センサノードが、センサノード毎に異なる遅延時間後に情報を送信するようにして、輻輳を回避する方法(例えば、特許文献2参照。)や、情報の送信を行うセンサノードをランダムに選択する方法(例えば、非特許文献1参照。)がある。
【0005】
なお、マルコフ確率場についての説明が、非特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭57−202161号公報 (図1)
【特許文献2】特開2001−45020号公報 (段落0022〜0041、図1)
【非特許文献1】C.Shen、外2名、「Sensor Information Networking Architecture and Applications」、IEEE Personal Communications、アメリカ合衆国、IEEE、2001年8月、p.52−59
【非特許文献2】田中和之、「画像修復に対する周辺ゆう度最大化によるハイパパラメータ推定のクラスタ変分法を用いた理論的検討」、電子情報通信学会論文誌(A)、vol.J83−A、no.10、p.1148−1160、2000年10月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されている装置のように、センサノードが情報を送信する間隔を短くしたり、センサノードが送信する情報の空間分解能を向上させるために、センサノードの空間配置密度を高くしたりすると、同一事象を観測したセンサノード全てが一斉に多量のデータを送信するという応答集中問題が発生する。そして、通信ネットワークが輻輳してしまったり、データを受信する受信側の情報処理能力を超えてしまったりする可能性がある。
【0008】
その理由は、従来の技術では、トラフィック量を増大させずにセンサノードが送信する情報の精度(分解能)を向上させることができないためである。
【0009】
また、特許文献2に記載されている方法や、非特許文献1に記載されている方法は、同一事象を観測するセンサノード全てが一斉に多量のデータを送信することを避けるために、センサデータの送信制御として、例えば、送信時のランダム遅延時間挿入や、データを送信するセンサノードのランダムな取捨選択を行う。そのため、単位時間当たりの情報通信量が減少したり、情報を送信するセンサノードの数が減少したりするため、情報の精度(分解能)が低下する可能性がある。
【0010】
その理由は、従来のセンサネットワークシステムでは、センサが送信する情報の精度(時間分解能および空間分解能)を低下させずにトラフィックを低減することについて、何ら考慮されていないためである。
【0011】
そこで、本発明は、精度(時間分解能および空間分解能)が高い情報を収集し、センサノードが送信した情報による輻輳を抑制することができるセンサネットワークシステム、センサノード、センサ情報収集装置、事象観測方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるセンサネットワークシステムは、発生した事象を検出するセンサを含む複数のセンサノードと、センサが検出した事象を示すセンサ情報を処理するアプリケーション装置とを備えたセンサネットワークシステムであって、センサノードは、センサが検出した事象が、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じたタイミングで、センサ情報を送信する通信手段を含み、アプリケーション装置は、センサ情報分布を用いてセンサ情報を処理することを特徴とする。
【0013】
センサノードの通信手段は、センサが検出した事象がセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど優先的にセンサ情報を送信してもよい。
【0014】
センサノードは、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定され、事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出手段を含み、通信手段は、寄与度算出手段が算出した寄与度に応じたタイミングで、センサ情報を送信してもよい。
【0015】
センサノードの寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0016】
センサノードの寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0017】
センサノードは、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新手段を含んでもよい。
【0018】
センサネットワークシステムは、センサノードからセンサ情報を受信するサーバを備え、サーバは、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を含んでもよい。
【0019】
サーバは、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含み、モデル決定手段は、推定手段に設定する事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定し、サーバは、モデル決定手段が決定した事象モデルを、推定手段に設定するモデル設定手段を含んでもよい。
【0020】
センサネットワークシステムは、センサノードからセンサ情報を受信するサーバを備え、サーバは、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段と、センサノードのモデル更新手段が更新する事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段とを含み、センサノードのモデル更新手段は、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを、モデル決定手段が決定した事象モデルに変更してもよい。
【0021】
サーバは、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含み、モデル決定手段は、推定手段に設定する事象モデルを決定し、サーバは、モデル決定手段が決定した事象モデルを、推定手段に設定するモデル設定手段を含んでもよい。
【0022】
サーバは、センサ情報分布をアプリケーション装置に送信するセンサ情報分布送信手段を含んでもよい。
【0023】
アプリケーション装置は、センサノードからセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を含んでもよい。
【0024】
アプリケーション装置は、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含んでもよい。
【0025】
本発明によるセンサノードは、発生した事象を検出するセンサを備えたセンサノードであって、センサが検出した事象が、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じて、センサが検出した事象を示すセンサ情報を送信する通信手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定され、事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出手段を備えてもよい。
【0027】
寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0028】
寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0029】
寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新手段を備えてもよい。
【0030】
本発明によるセンサ情報収集装置は、発生した事象を検出するセンサ、およびセンサが検出した事象を示すセンサ情報を送信する通信手段をそれぞれ備えた複数のセンサノードに接続されたセンサ情報収集装置であって、受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を備えてもよい。
【0032】
センサノードに設定される、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段を備えてもよい。
【0033】
推定手段に設定される、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段と、モデル決定手段が決定した事象モデルを、推定手段に設定するモデル設定手段とを備えてもよい。
【0034】
本発明による事象観測方法は、発生した事象を検出するセンサを含む複数のセンサノードと、センサが検出した事象を示すセンサ情報を処理するアプリケーション装置とを備えたセンサネットワークシステムを用いた事象観測方法であって、センサが事象を検出する事象検出ステップと、センサノードの通信手段が、事象検出ステップでセンサによって検出された事象が、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じたタイミングで、センサ情報を送信する情報送信ステップと、アプリケーション装置が、センサ情報分布を用いてセンサ情報を処理するセンサ情報処理ステップとを備えたことを特徴とする。
【0035】
センサ情報送信ステップで、センサが検出した事象がセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど、センサノードの通信手段が優先的に送信してもよい。
【0036】
センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定されたセンサノードの寄与度算出手段が、事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出ステップを備えてもよい。
【0037】
センサノードの寄与度算出手段が、寄与度算出ステップで、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0038】
センサノードの寄与度算出手段が、寄与度算出ステップで、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出してもよい。
【0039】
センサノードのモデル更新手段が、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新ステップを備えてもよい。
【0040】
センサネットワークシステムのサーバのデータ収集手段が、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップを備えてもよい。
【0041】
サーバの推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備えてもよい。
【0042】
センサネットワークシステムのサーバのデータ収集手段が、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップと、モデル決定手段が、センサノードのモデル更新手段が更新する事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定ステップとを備え、センサノードのモデル更新手段が、モデル更新ステップで、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを、モデル決定手段がモデル決定ステップで決定した事象モデルに変更してもよい。
【0043】
サーバの推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備え、モデル決定手段が、モデル決定ステップで、推定手段に設定する事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定し、サーバのモデル設定手段が、モデル決定手段が決定した事象モデルを、推定手段に設定するモデル設定ステップを備えてもよい。
【0044】
サーバのセンサ情報分布送信手段が、センサ情報分布をアプリケーション装置に送信するセンサ情報分布送信ステップを備えてもよい。
【0045】
アプリケーション装置のデータ収集手段が、センサノードからセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップを備えてもよい。
【0046】
アプリケーション装置の推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備えてもよい。
【0047】
本発明によるセンサノードプログラムは、発生した事象を検出するセンサを備えたコンピュータに搭載されるセンサノードプログラムであって、コンピュータに、センサが検出した事象を示すセンサ情報であって、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど、優先的に送信する処理を実行させることを特徴とする。
【0048】
本発明によるセンサ情報収集プログラムは、発生した事象を検出するセンサを備えた複数のセンサノードに接続され、センサが検出した事象を示すセンサ情報を受信するコンピュータに搭載されるセンサ情報収集プログラムにおいて、コンピュータに、受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、センサノードの通信手段が、センサが検出した事象が、センサ情報分布に与える影響に応じたタイミングでセンサ情報を送信するため、センサノードが送信したセンサ情報による輻輳を抑制し、アプリケーション装置に、精度が高い情報を提供することができる。
【0050】
センサノードの通信手段が、センサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報を優先的に送信するように構成されている場合には、アプリケーション装置に、精度が高い情報を提供することができる。
【0051】
通信手段が、寄与度算出手段が算出した寄与度に応じたタイミングで、センサ情報を送信するように構成されている場合には、寄与度に応じて、アプリケーション装置に、精度が高い情報を提供することができる。
【0052】
センサノードの寄与度算出手段が、センサが現在検出した事象や、過去に検出した事象、または他のセンサノードのセンサが検出した事象にもとづいて寄与度を算出するように構成されている場合には、時間的または空間的に隣接するセンサ情報にもとづいて寄与度を算出することができる。
【0053】
寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新手段を含むように構成されている場合には、センサノードが設置されている状況に応じて、事象モデルを更新することができる。
【0054】
センサネットワークシステムがサーバを備え、サーバが、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段と、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段とを含むように構成されている場合には、一部のセンサ情報が欠損しても、センサ情報分布を修復することができる。
【0055】
サーバが、センサノードのモデル更新手段が更新する事象モデルを決定するモデル決定手段を含むように構成されている場合には、センサ情報分布に応じて、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを更新することができる。
【0056】
アプリケーション装置が、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段と、欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含むように構成されている場合には、一部のセンサ情報が欠損しても、センサ情報分布を修復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明によるセンサネットワークシステムの実施の形態の一構成例を示す説明図である。
【0058】
本発明によるセンサネットワークシステムの第1の実施の形態は、部屋等に設置され、事象を検出して、検出した事象を示す情報であるセンサ情報を送信する複数のセンサノード1、センサノード1が送信したセンサ情報を受信するサーバ2、センサ情報を利用するアプリケーション装置3、およびセンサノード1とサーバ(センサ情報収集装置)2とアプリケーション装置3と接続する通信ネットワーク4を含む。
【0059】
センサノード1は、センサ情報を、通信ネットワーク4を介してサーバ2に送信する。センサノード1は、例えば、小型で、消費電力が小さく電池で駆動し、部屋や建物、屋外等の空間に複数配置することができ、IEEE802.11b等による無線通信機能を有する。
【0060】
なお、センサノード1は、例えば、IEEE802.11b等の無線通信を有するものとしているが、ZigBee(登録商標)等の他規格の無線通信方式や、イーサネット(登録商標)等の有線通信等に対応していてもよい。また、センサノード1は、電池によって駆動されるものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の電力供給方式によって駆動されてもよい。
【0061】
サーバ2は、センサノード1から受信したセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報の分布を、通信ネットワーク4を介してアプリケーション装置3に送信する。サーバ2は、一般に、シンク(sink)とも呼ばれ、センサ情報の受信と共に、複数のセンサノード1の管理や、アプリケーション装置3への情報提供等、ゲートウェイとしての役割を果たしてもよい。
【0062】
アプリケーション装置3は、センサ情報を利用した種々のサービスを提供するための装置である。アプリケーション装置3は、例えば、受信したセンサ情報にもとづいて観測対象の部屋で発生した事象の分布情報を表示する「事象分布表示サービス」というサービスをユーザに提供する。
【0063】
なお、アプリケーション装置3は、センサノード1が設置された空間の環境や、設備の監視を行い、センサ情報に応じてユーザに提供するサービスを変更してもよい。
【0064】
通信ネットワーク4は、センサノード1、サーバ2、およびアプリケーション装置3を互いに接続する。通信ネットワーク4は、例えば、イーサネット等の有線通信方式や、無線LAN等の無線通信方式で実現される。なお、センサノード1とサーバ2との間の通信ネットワークとして無線通信方式を採用し、サーバ2とアプリケーション装置3との間の通信ネットワークとしてイーサネットを採用するなど、通信ネットワーク4は、分離されていてもよい。
【0065】
図2は、本発明によるセンサネットワークシステムの第1の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0066】
センサノード1は、発生した事象を検出し、検出した事象を示すセンサ情報を生成するセンサ11と、センサ情報を送信する通信ノード12とを含む。
【0067】
センサ11は、例えば、温度や照度等の物理量の測定や、映像データや音声データ等の取得、人や設備機器等の状態監視等を行い、事象を観測してセンサ情報を生成する機能を有する。
【0068】
通信ノード12は、センサ11からセンサ情報を取得するセンサ入力手段124と、センサ情報の寄与度を算出する寄与度算出手段123と、寄与度にもとづいて送信制御を行う通信制御手段122と、センサ情報を送信する第1の通信手段121とを含む。
【0069】
センサ入力手段124は、センサ11とのインタフェースを有し、センサ11が生成したセンサ情報を取得する。センサ入力手段124がセンサ情報を取得する方法は、情報のダウンロード型(プル型)であってもよいし、センサ11が事象の発生を検出すると非同期にセンサ情報を受信する方式(プッシュ型)であってもよいし、他の方式であってもよい。センサ入力手段124がセンサ情報を取得する方式は、本発明の適用範囲を限定するものではなく、センサ11の仕様や、特性、利用目的によって種々の方式で実現可能である。
【0070】
寄与度算出手段123は、センサデータの寄与度を算出する。寄与度算出手段123は、一のセンサノードが生成したセンサ情報や、そのセンサノードが生成した過去のセンサ情報、他のセンサノードが生成したセンサ情報等に応じて、事象モデルにもとづいて寄与度を算出する。
【0071】
なお、寄与度とは、アプリケーション装置3が受信するセンサ情報の分布(データ群)に対するセンサ情報の寄与を表す度合いであり、センサ情報の分布から、センサ情報の値が容易に予測・推定できる場合には小さい値(寄与度が低い)になり、予測・推定が困難な場合には寄与度が大きい値(寄与度が高い)になるような特性を有する。本発明では、この寄与度により、一のセンサ情報がセンサ情報の分布全体の精度(分解能)に与える影響度合いを測り、通信制御手段122が通信制御を行う。
【0072】
また、事象モデルとは、観測対象の事象をモデル化したものを表す。すなわち、事象モデルとは、各センサ情報の値間の関係をあらわす数式や、センサ情報の値を確率変数とした場合の確率分布が満たす関係式等であり、センサネットワークシステムが観測対象とする事象やセンサノードの配置等にもとづいて、最適な事象モデルが設定される。そして、寄与度算出手段123は、事象は事象モデルにもとづいて発生するという仮説にもとづいて、寄与度を算出する。
【0073】
通信制御手段122は、通信制御条件を保持し、寄与度と通信制御条件とにもとづいて通信制御手法を決定する。
【0074】
なお、通信制御手法とは、遅延送信、送信中止、周期的送信等の送信タイミングを制御する手法を意味する。そして、寄与度と通信制御条件とから、センサ情報の精度の向上とトラフィック量の低減に最適な手法が選択・決定される。
【0075】
そして、通信制御条件とは、通信制御手法およびそのパラメータを決定するためのアルゴリズムである。通信制御条件は、例えば、寄与度が大きいセンサ情報は通信制御手法として遅延送信が適用されて遅延時間が小さく設定され、寄与度が小さいセンサ情報は通信制御手法として遅延時間が適用されて遅延時間が大きく設定される。また、寄与度が極端に小さいセンサ情報は、送信しないように設定される。すなわち、寄与度が大きいセンサ情報が、優先的に送信される。なお、通信ネットワーク4の帯域やトラフィック等を通信制御条件として利用してもよい。
【0076】
通信制御条件として、例えば、寄与度と所定の値とを比較して、寄与度が所定の値よりも大きければ小さい遅延時間を設定したり、優先的に送信したり、寄与度が所定の値よりも小さければ大きい遅延時間を設定したりする。そのように構成すれば、寄与度が大きいセンサ情報を、寄与度が小さいセンサ情報よりも優先して送信することができる。また、寄与度と比較する所定の値は、所定の式によって算出される値であってもよい。また、寄与度を所定の式に適用して算出した値と、所定の値やランダムな値等とを比較してもよい。
【0077】
センサノード1の通信ノード12の第1の通信手段121は、通信ネットワーク4を介して、センサ情報をサーバ2へ送信する。また、第1の通信手段121は、センサ情報だけでなく、寄与度、通信制御手法、およびそのパラメータ等の通信制御情報、測定時間、有効期限等の付加情報を送信してもよい。また、第1の通信手段121は、他のセンサノードが通信ネットワーク4を介して送信したセンサ情報を受信し、寄与度算出手段123に入力して寄与度の算出条件に利用させてもよい。また、第1の通信手段121は、通信ネットワーク4のトラフィック量を計測し、計測したトラフィック量を通信制御手段122に入力して、通信制御条件の1つとして利用させてもよい。
【0078】
サーバ2は、センサ情報を受信する第2の通信手段221と、センサ情報を収集するデータ収集手段222と、アプリケーション装置3にセンサ情報の分布を示す情報を送信する第3の通信手段(センサ情報分布送信手段)224とを含む。
【0079】
第2の通信手段221は、通信ネットワーク4を介して複数のセンサノード1からセンサ情報を受信する。
【0080】
データ収集手段222は、第2の通信手段221が受信したセンサ情報を収集し、統計処理等が容易になるように配列等をメモリ等の記憶媒体に集合(センサ情報の分布)として保持・管理する。すなわち、データ収集手段222は、第2の通信手段221が受信したセンサ情報にもとづいて、センサ情報の分布を示す情報を生成する。以下、この集合(センサ情報の分布を示す情報)をセンサ情報分布という。第3の通信手段224は、センサ情報分布をアプリケーション装置3へ送信する。
【0081】
アプリケーション装置3は、センサ情報分布を受信する通信手段321と、アプリケーションソフトウェアを実行するアプリケーション部328とを含む。
【0082】
通信手段321は、サーバ2からセンサ情報分布を受信する。アプリケーション部328は、センサ情報分布を利用するアプリケーションソフトウェアを実行する。
【0083】
センサノード1は、コンピュータに、センサが検出した事象を示すセンサ情報であって、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど、優先的に送信する処理を実行させることを特徴とするセンサノードプログラムを搭載している。
【0084】
サーバ2は、コンピュータに、受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集処理を実行させることを特徴とするセンサ情報収集プログラムを搭載している。
【0085】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作について、図面を参照して説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【0086】
センサノード1のセンサ11は、発生した事象を検出し、検出した事象を示すセンサ情報を生成する。センサ入力手段124は、センサ11からセンサ情報を取得し(ステップS101)、寄与度算出手段123に入力する。
【0087】
寄与度算出手段123は、設定されている事象モデルにもとづいて、入力されたセンサ情報が示す事象が起こりうる確率や予測・推定できる度合いに応じて、センサ情報分布に対するセンサ情報の寄与度を算出する(ステップS102)。
【0088】
通信制御手段122は、寄与度算出手段123が算出した寄与度と通信制御条件とにもとづいて、寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するのに最適な通信制御手法を決定する(ステップS103)。
【0089】
第1の通信手段121は、通信制御手段122が決定した通信制御手法にもとづいて、センサ情報をサーバ2へ送信する(ステップS104)。
【0090】
サーバ2の第2の通信手段221は、センサノード1からセンサ情報を受信する(ステップS105)。データ収集手段222は、第2の通信手段221が各センサノード1から受信したセンサ情報をセンサ情報分布として保持する(ステップS106)。
【0091】
第3の通信手段224は、センサ情報分布をアプリケーション装置3へ送信する(ステップS107)。
【0092】
アプリケーション装置3の通信手段321は、サーバ2からセンサ情報分布を受信する。アプリケーション部328は、センサ情報分布を利用するアプリケーションソフトウェアを実行し、通信手段321が受信したセンサ情報分布の処理を行う。
【0093】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、センサノード1が寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するように構成しているので、アプリケーション装置3が得るセンサ情報分布を寄与度が大きい(情報量が多い)センサ情報によって構成することができる。また、通信ネットワーク4のトラフィック量を削減することができるので、センサ情報分布において高い精度および分解能が求められる領域で、輻輳等による欠損データを少なくすることができる。
【0094】
また、この実施の形態によれば、センサノード1が寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するように構成することでセンサ情報の送信タイミングおよびセンサ情報を送信するセンサノードを分散させている。そのため、センサ情報の送信が時間的および空間的に分散され、応答集中問題の発生を回避することができる。
【0095】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0096】
本発明の第2の実施の形態は、図2に示した第1の実施の形態の構成に対して、サーバ2を含まず、センサノード1からセンサ情報を受信する第2の通信手段221とデータ収集手段222とアプリケーション部328とを備えた複数のアプリケーション装置(センサ情報収集装置)3を含む点が異なる。その他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様なため、図2と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0097】
この実施の形態では、センサノード1はサーバ2と多対一通信するのではなく、複数のアプリケーション装置3と多対多通信を行う。
【0098】
アプリケーション装置3は、コンピュータに、受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集処理を実行させることを特徴とするセンサ情報収集プログラムを搭載している。
【0099】
本発明の第2の実施の形態の動作について説明する。この実施の形態の各手段の動作は、第1の実施の形態におけるそれぞれの手段の動作と同様なため、説明を省略する。
【0100】
第1の実施の形態では、センサノード1が送信したセンサ情報をサーバ2が収集し、センサ情報分布を各アプリケーション装置3に配布する。それに対して、この実施の形態では、センサノード1がセンサ情報を直接アプリケーション装置3に送信し、各アプリケーション装置3のデータ収集手段222がセンサ情報分布を生成する。
【0101】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、応答集中問題の発生を回避し、センサ情報分布を高精度(高分解能)化することができる。
【0102】
また、この実施の形態によれば、センサノード1は全てのアプリケーション装置3と直接通信している。そのため、アプリケーション装置3毎にデータ収集手段222の動作を変更・カスタマイズすることが可能になり、各アプリケーション装置3が搭載している各アプリケーションソフトウェアの要望に応じたセンサ情報の処理が可能になる。
【0103】
実施の形態3.
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0104】
この実施の形態の構成は、図2に示した第1の実施の形態の構成に対して、サーバ2が推定手段223を有する点が異なる。その他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様なため、図2と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0105】
推定手段223は、欠損したセンサ情報以外のセンサに関する情報(寄与度、通信制御情報、有効期限等付加情報を含む)や、過去のセンサ情報(寄与度、通信制御情報、有効期限等付加情報を含む)から、事象モデルにもとづいて、欠損したセンサ情報を予測・推定・補完し、最新のセンサ情報の推定を行い、センサ情報分布を修復する。なお、欠損したセンサ情報を推定してセンサ情報分布を生成することを、センサ情報分布を修復するという。
【0106】
なお、欠損したセンサ情報とは、センサノード1または通信ネットワーク4の障害等によってサーバ2が未受信のセンサ情報や、有効期限切れのセンサ情報、何らかの理由により破棄されたセンサ情報をいう。また、推定手段223は、現時点で最新とみなせて信頼できるセンサ情報がないときに、最新のセンサ情報の推定を行う。
【0107】
次に、本発明の第3の実施の形態の動作について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【0108】
センサノード1のセンサ11は、発生した事象を検出し、検出した事象を示すセンサ情報を生成する。センサ入力手段124は、センサ11からセンサ情報を取得し(ステップS301)、寄与度算出手段123に入力する。
【0109】
寄与度算出手段123は、設定されている事象モデルにもとづいて、入力されたセンサ情報が示す事象が起こりうる確率や予測・推定できる度合いに応じて、センサ情報分布に対するセンサ情報の寄与度を算出する(ステップS302)。
【0110】
通信制御手段122は、寄与度算出手段123が算出した寄与度と通信制御条件とにもとづいて、寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するのに最適な通信制御手法を決定する(ステップS303)。
【0111】
第1の通信手段121は、通信制御手段122が決定した通信制御手法にもとづいて、センサ情報をサーバ2へ送信する(ステップS304)。
【0112】
サーバ2の第2の通信手段221は、センサノード1からセンサ情報を受信する(ステップS305)。データ収集手段222は、第2の通信手段221が各センサノード1から受信したセンサ情報をセンサ情報分布として保持し(ステップS306)、センサ情報分布として推定手段223に出力する。推定手段223は、過去のセンサ情報等から、事象モデルにもとづいて、欠損したセンサ情報を予測・推定・補完し、最新のセンサ情報分布の修復を行う(ステップS307)。
【0113】
第3の通信手段224は、修復したセンサ情報分布をアプリケーション装置3へ送信する(ステップS308)。
【0114】
アプリケーション装置3の通信手段321は、サーバ2からセンサ情報分布を受信する。アプリケーション部328は、センサ情報分布を利用するアプリケーションソフトウェアを実行し、通信手段321が受信したセンサ情報分布の処理を行う。
【0115】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、センサ情報分布において高い精度および分解能が求められる領域で欠損データを少なくすることができる。そのため、欠損データがあった場合でも、推定手段223が、欠損データを予測・推定・補完して、センサ情報分布の修復が成功する可能性を向上させることができる。
【0116】
また、この実施の形態では、推定手段223が欠損データを予測・推定・補完してセンサ情報分布の修復を行う。そのため、この実施の形態のセンサネットワークシステムは、センサ情報未到着による欠損(低精度・低分解能)のないセンサ情報分布を提供することが可能である。すなわち、センサネットワークシステムの最大精度(分解能)で表現されたセンサ情報分布を提供することが可能である。
【0117】
実施の形態4.
次に、本発明の第4の実施の形態について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第4の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0118】
この実施の形態の構成は、図4に示した第2の実施の形態の構成に対して、アプリケーション装置3が推定手段223を有する点が異なる。その他の構成は、第2の実施の形態の構成と同様なため、図4と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0119】
この実施の形態の各手段の動作は、第4の実施の形態におけるそれぞれの手段の動作と同様なため、説明を省略する。なお、推定手段223の動作は、第3の実施の形態における推定手段223の動作と同様なため、説明を省略する。
【0120】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、応答集中問題の発生を回避し、センサ情報分布を高精度(高分解能)化することができる。
【0121】
さらに、第2の実施の形態と同様にアプリケーション装置3毎にデータ収集手段222の動作を変更・カスタマイズすることが可能になる。また、第3の実施の形態と同様に、推定手段223がセンサ情報分布を修復することができる。
【0122】
実施の形態5.
次に、本発明の第5の実施の形態について、図面を参照して説明する。図8は、本発明の第5の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0123】
この実施の形態の構成は、図2に示した第1の実施の形態の構成に対して、センサノード1が、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルを更新するモデル更新手段126と、情報をサーバ2から受信する第5の通信手段127とを含み、サーバ2が、寄与度算出手段123に設定する事象モデルを決定するモデル決定手段225と、情報をセンサノード1に送信する第4の通信手段227とを含む点が異なる。その他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様なため、図2と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0124】
モデル決定手段225は、センサ情報分布にもとづいて事象モデルを決定し、決定した事象モデルを示す更新事象モデル情報を生成する。
【0125】
なお、事象モデルの決定とは、センサ情報分布にもとづいて、事象モデルが事象を最適に表現するように、(センサ情報が示すデータ(事象)間の関係式や、確率分布を満たす関係式等で表される)事象モデルにおけるパラメータを求める操作である。なお、複数の選択可能な事象モデルから、最適な事象モデルを選択してもよい。
【0126】
具体的には、例えば、あるセンサ情報が示すデータが、隣接するセンサ情報が示すデータと相関関係があり、隣接するセンサ情報が示すデータと同じ値である確率が高いとする事象モデルを採用している場合、モデル決定手段225は、センサ情報分布が含むセンサ情報が示すデータ間の相関を求める。
【0127】
センサ情報が示すデータ間の相関を求めるとは、例えば、隣接する4つのセンサ情報が示すデータと同じ値のセンサ情報が示すデータの個数の、センサ情報分布全体に対する割合(確率)を求めることをいう。
【0128】
そして、モデル決定手段225は、確率値を求めることを事象モデルを決定することとし、その確率値を更新事象モデル情報として生成する。
【0129】
なお、本説明では事象モデルの決定を、隣接するセンサ情報が示すデータ(事象)間の相関(同値をとる確率)にもとづいて行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方法で事象モデルを決定してもよい。
【0130】
更新事象モデル情報とは、事象モデルを特徴付けるパラメータ、または事象モデルを表現する数式・数値・その他の情報である。つまり、更新事象モデル情報は、個々のセンサノード1における事象を特徴付けるミクロなパラメータではなく、事象を全体的に特徴づけるマクロなパラメータである。
【0131】
したがって、更新事象モデル情報は、個々のセンサノード1における事象を特徴付けるミクロなパラメータである場合に比べてデータ量が少なく、サーバ2からセンサノード1へ送信される更新事象モデル情報のデータ量は少ない。
【0132】
第4の通信手段227は、更新事象モデル情報をセンサノード1へ送信する。また、第5の通信手段127は、更新事象モデル情報をサーバ2から受信する。モデル更新手段126は、更新事象モデル情報にもとづいて、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルを更新する。
【0133】
なお、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルを更新するとは、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルを変更することであって、寄与度算出手段123に事象モデルとして設定されている数式を変更したり、数式のパラメータを変更したり、数値を変更したりすることをいう。
【0134】
次に、本発明の第5の実施の形態の動作について、図面を参照して説明する。図9は、本発明の第5の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【0135】
サーバ2の第2の通信手段221が、センサノード1からセンサ情報を受信すると(ステップS501)、データ収集手段222は、第2の通信手段221が各センサノード1から受信したセンサ情報をセンサ情報分布として保持する(ステップS502)。
【0136】
モデル決定手段225は、センサ情報分布にもとづいて事象モデルの決定を行う(ステップS503)。第4の通信手段227は、事象モデルが更新されると、更新事象モデル情報をセンサノード1に送信する(ステップS504)。
【0137】
センサノード1のセンサ11は、発生した事象を検出し、検出した事象を示すセンサ情報を生成する。センサ入力手段124は、センサ11からセンサ情報を取得し(ステップS505)、寄与度算出手段123に入力する。
【0138】
第5の通信手段127が更新事象モデル情報をサーバ2から受信すると(ステップS506)、モデル更新手段126は、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルの更新を行う(ステップS507)。
【0139】
寄与度算出手段123は、設定されている事象モデルにもとづいて、入力されたセンサ情報が示す事象が起こりうる確率や予測・推定できる度合いに応じて、センサ情報の分布に対するセンサ情報の寄与度を算出する(ステップS508)。
【0140】
通信制御手段122は、寄与度算出手段123が算出した寄与度と通信制御条件とにもとづいて、寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するのに最適な通信制御手法を決定する(ステップS509)。
【0141】
第1の通信手段121は、通信制御手段122が決定した通信制御手法に従って、センサ情報をサーバ2へ送信する(ステップS510)。
【0142】
また、第3の通信手段224は、ステップS502でデータ収集手段222が保持したセンサ情報分布を、アプリケーション装置3へ送信する(ステップS511)。
【0143】
アプリケーション装置3の通信手段321は、サーバ2からセンサ情報分布を受信する。アプリケーション部328は、センサ情報分布を利用するアプリケーションソフトウェアを実行し、通信手段321が受信したセンサ情報分布の処理を行う。
【0144】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、応答集中問題の発生を回避し、センサ情報分布を高精度(高分解能)化することができる。
【0145】
また、この実施の形態によれば、モデル決定手段225が、寄与度の算出に用いる事象モデルの更新を行い、事象モデルを実際の事象に応じたモデルに修正している。そのため、実際に発生した事象が従う事象モデルの変化・変遷に追従することが可能となり、より精度の高い(より効果のある)寄与度の算出が可能になる。
【0146】
また、事象モデルの決定と事象モデルの更新とが反復されるので、事象モデルが未知の場合でも、最初に初期事象モデルを設定すれば、真の事象モデルに近づけることができる。そのため、事象モデルが未知の場合でも、応答集中問題の発生を回避し、センサ情報分布を高精度(高分解能)化することができる。
【0147】
実施の形態6.
次に、本発明の第6の実施の形態について、図面を参照して説明する。図10は、本発明の第6の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【0148】
この実施の形態の構成は、図8に示した第5の実施の形態の構成に対して、サーバ2が、推定手段223と第2のモデル更新手段(モデル設定手段)226とを有する点が異なる。その他の構成は、第5の実施の形態の構成と同様なため、図8と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0149】
推定手段223の動作は、図3で示した第3の実施の形態における動作と同様であるので説明を省略する。
【0150】
第2のモデル更新手段226は、更新事象モデル情報にもとづいて、推定手段223に設定されている事象モデルを更新する。
【0151】
次に、本発明の第6の実施の形態の動作について、図面を参照して説明する。図11は、本発明の第6の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【0152】
サーバ2の第2の通信手段221は、センサノード1からセンサ情報を受信する(ステップS601)。データ収集手段222は、第2の通信手段221が各センサノード1から受信したセンサ情報をセンサ情報分布として保持する(ステップS602)。
【0153】
モデル決定手段225は、センサ情報分布にもとづいて事象モデルの決定を行う(ステップS603)。第4の通信手段227は、事象モデルが更新されると、更新事象モデル情報をセンサノード1に送信する(ステップS604)。
【0154】
センサノード1のセンサ11は、発生した事象を検出し、検出した事象を示すセンサ情報を生成する。センサ入力手段124は、センサ11からセンサ情報を取得し(ステップS605)、寄与度算出手段123に入力する。
【0155】
第5の通信手段127が更新事象モデル情報をサーバ2から受信すると(ステップS606)、モデル更新手段126は、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルの更新を行う(ステップS607)。
【0156】
寄与度算出手段123は、設定されている事象モデルにもとづいて、入力されたセンサ情報が示す事象が起こりうる確率や予測・推定できる度合いに応じて、センサ情報の分布に対するセンサ情報の寄与度を算出する(ステップS608)。
【0157】
通信制御手段122は、寄与度算出手段123が算出した寄与度と通信制御条件とにもとづいて、寄与度の大きいセンサ情報を優先的に送信するのに最適な通信制御手法を決定する(ステップS609)。
【0158】
第1の通信手段121は、通信制御手段122が決定した通信制御手法に従って、センサ情報をサーバ2へ送信する(ステップS610)。
【0159】
また、サーバ2の推定手段223は、ステップS602で保持されたセンサ情報分布と、過去のセンサ情報等から、事象モデルにもとづいて、欠損したセンサ情報を予測・推定・補完し、最新のセンサ情報分布の修復を行う(ステップS611)。
【0160】
第3の通信手段224は、修復したセンサ情報分布をアプリケーション装置3へ送信する(ステップS612)。
【0161】
アプリケーション装置3の通信手段321は、サーバ2からセンサ情報分布を受信する。アプリケーション部328は、センサ情報分布を利用するアプリケーションソフトウェアを実行し、通信手段321が受信したセンサ情報分布の処理を行う。
【0162】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、センサ情報分布において高い精度および分解能が求められる領域で欠損データを少なくすることができる。そのため、欠損データがあった場合であっても、推定手段223が、欠損データを予測・推定・補完して、センサ情報分布の修復が成功する可能性を向上させることができる。
【0163】
また、この実施の形態では、推定手段223が欠損データを予測・推定・補完してセンサ情報分布の修復を行う。そのため、この実施の形態のセンサネットワークシステムは、センサ情報未到着による欠損(低精度・低分解能)のないセンサ情報分布を提供することが可能である。すなわち、センサネットワークシステムの最大精度(分解能)で表現されたセンサ情報分布を提供することが可能である。
【0164】
さらに、この実施の形態では、モデル決定手段225が、寄与度の算出およびセンサ情報分布の修復に用いる事象モデルを更新し、事象モデルを実際の発生した事象に応じたモデルに修正している。
【0165】
従って、実際に発生した事象に追従して、事象モデルを変化させることが可能になり、より精度の高い(より効果のある)寄与度の算出およびセンサ情報分布の提供が可能となる。
【0166】
また、事象モデルの決定と事象モデルの更新とが反復されるので、事象モデルが未知の場合でも、最初に初期事象モデルを設定すれば、真の事象モデルに近づけることができる。そのため、事象モデルが未知の場合でも、応答集中問題の発生を回避し、センサ情報分布を高精度(高分解能)化することができる。
【実施例1】
【0167】
次に、具体的な実施例を用いて本発明を実施するための動作を説明する。なお、第1の実施例は、本発明の第1の実施の形態に対応している。
【0168】
図12は、第1の実施例の一構成例を示す説明図である。本発明の第1の実施例では、センサネットワークシステムが、温度センサを備えたセンサノード1、サーバ2、およびアプリケーション装置3によって構成されている。また、各装置は、図2のブロック図に示した構成とそれぞれ同様の構成であるものとする。
【0169】
すべてのセンサノード1の通信ノード11、サーバ2、およびアプリケーション装置3は、それぞれソフトウェアを搭載しているパーソナルコンピュータ(以下、PCという)によって実現される。
【0170】
なお、センサノード1の通信ノード11は、空間的に隣接する他のセンサノードが送信したセンサ情報を受信している。
【0171】
第1の実施例では、N個のセンサノード1が、観測対象の部屋の温度分布を測定するために、観測対象の部屋の天井に線上に設置されている。すなわち、各センサノード1は1次元上に等間隔に設置されており、それぞれ固有のセンサノード番号i(i=1〜N)が設定されているものとする。なお、このようなセンサ配置やセンサノード番号は説明のために設けられているものであり、センサノードをそれぞれ別個に識別可能であり、かつ、他のセンサノードとの関係を容易に求められるものであれば他の仕組みを用いてもよい。
【0172】
サーバ2は、センサノード1からセンサ情報を受信して、アプリケーション装置3に適した形式でセンサ情報分布をアプリケーション装置3に送信する。アプリケーション装置3は、受信したセンサ情報分布にもとづいて、観測対象の部屋の温度分布情報を表示する「温度分布表示サービス」をユーザに提供する。
【0173】
センサノード1、サーバ2、およびアプリケーション装置3はそれぞれIEEE802.11b規格の通信ネットワーク4で接続されており、相互にインターネットプロトコル(IP)を用いて通信可能であり、各装置には通信に必要なアドレスが割り当てられている。なお、通信に無線通信ネットワークやIPを用いることは本発明の適用範囲を限定するものではなく、他の通信ネットワークやIP以外の方式を用いて装置間の通信を実現してもよい。
【0174】
なお、以下の説明ではセンサ情報は温度T[ケルビン(K)](T≧0)を示すものとする。これは説明のために設定するものであり、他の単位や異なる種類のセンサにも本発明が適用可能なことは言うまでもない。
【0175】
また、第1の実施例におけるセンサネットワークシステムが仮定する事象モデルとして、センサ情報が示す値は、隣接する他のセンサノードが送信したセンサ情報が示す値の中間値(平均値)である確率が高いものとする。なお、以下、センサ情報が示す値を、センサデータという。
【0176】
サーバ2の第2の通信手段221は、各センサノード1からセンサデータs(0≦i≦N,s≧0)を示すセンサ情報を受信する。
【0177】
データ収集手段222は、センサデータsを集合としてメモリ(図示せず)に保存する。これをセンサ情報分布{s|0≦i≦N}とする。ただし、未受信の欠損センサデータはs=0とする。
【0178】
センサノード1のセンサ11は、温度を測定してセンサデータとして温度T[ケルビン(K)](T≧0)を示すセンサ情報を出力する。
【0179】
センサ入力手段124は、周期的に時間τpの間隔でセンサデータs=Tを取得する。このτpは、このシステムの基本的なクロックの1つに相当し、以下、プローブ時間という。ここでは、τp=0.1[秒]とする。
【0180】
寄与度算出手段123は、一のセンサデータsと、一のセンサデータsに隣接するセンサデータsi−1およびsi+1(センサノード1に隣接する他のセンサノードが送信したセンサ情報が示すセンサデータ)を用いて、寄与度を算出する。
【0181】
まず、事象モデルから、隣接するセンサデータsi−1およびsi+1が存在した時に予想されるセンサデータs’は、si−1とsi+1の中間値(平均値):
s’=(si−1+si+1)/2である。
【0182】
この値(s’:予想値)と実測値との差の絶対値ε=|s−s’|とする(ε≧0)。
【0183】
センサデータは隣接するセンサデータの中間値(平均値)をとる確率が高いとする事象モデルより、実測値は予想値に近い確率が高いと考えられる。すなわち、予想値と実測値との差εが小さいセンサデータを示す事象が発生する確率は高く、逆にεが大きいセンサデータを示す事象が発生する確率は低い。
【0184】
このような差εを持つセンサデータの発生確率p(ε)を、
p(ε)=1/(exp(β(ε−μ))+1)とする(0≦p≦1)。
【0185】
ここで、μ(μ≧0)はセンサデータの予想値からのずれの大きさを特徴付けるパラメータであり、β(β≧0)は、ずれの揺らぎを特徴付けるパラメータである。
【0186】
ここで、p(ε)=1/(exp(β(ε−μ))+1)はフェルミ分布関数と呼ばれ、β→∞の極限においてε<μではp(ε)=1、ε>μではp(ε)=0となって階段状になり、βが有限値の場合、上記の階段状の形状が、ε=μの両側にほぼ1/βの幅をもって崩れた形状になることが知られている。
【0187】
なお、μおよびβは、センサ11の仕様や観測対象の事象にもとづき調整して決定されるが、ここでは予想値と実測値との差εは0<ε<1[K]の領域に主に分布するとし、μ=1とし、領域のエッジ部分では0.3[K]程度の広がり(ゆらぎ)を持つとして、β=3(≒1/0.3)とする。
【0188】
次に、実測値と予想値との差εを持つセンサデータsの寄与度Iを、I(ε)=ln(1/p)とする(0≦I≦∞)。
【0189】
図13は、μ=1、β=3とした時の、差の絶対値ε、発生確率p、寄与度I、および送信確率qの関係を示したグラフである。
【0190】
このように寄与度を定義することにより、容易にセンサデータを予測・推定することができる。すなわち、発生する確率が高いセンサデータに対しては寄与度が小さくなる。一方、発生する確率が低いセンサデータは、予測・推定が困難であり、寄与度が大きな値をもつように構成される。
【0191】
通信制御手段122は、通信制御手法として、プローブ時間τpごとに確率qで送信可否を判断する確率的送信手法を採用する。
【0192】
また、この送信確率qを決定する通信制御条件(アルゴリズム)として、q=1−exp(−I)=1−pとする。
【0193】
従って、通信制御手段122は、プローブ時間τp毎に乱数R(Rは実数、0≦R<1)を発生し、乱数Rがqよりも小さければ(R<q)、センサ情報を送信するように第1の通信手段121に指示し、乱数Rがqよりも大きければ(R≧q)、センサ情報を送信しないように第1の通信手段121に指示する。
【0194】
第1の通信手段121は、通信ネットワーク4を介してサーバ2へセンサデータsを示すセンサ情報を送信する。また、第1の通信手段121は、通信ネットワーク4を流れるセンサ情報を傍受し、センサ番号iに隣接するセンサデータsi−1およびsi+1を収集する。
【0195】
次に、第1の実施例における具体的な動作例を説明する。
【0196】
動作例1.
あるi番目のセンサノード1に隣接するセンサノードが検出したセンサデータsi−1=si+1=25.00+273.16[K]であり、センサデータの発生確率p=0.95であり、寄与度I=0.049であるものとする。
【0197】
そして、プローブ時間τpの待ち受け(スリープ)後、センサデータとしてs=25.10+273.16[K]を取得したとすると、予想値s’=(si−1+si+1)/2=25.00+273.16[K]になり、予想値と実測値の差ε=0.10になり、寄与度I=0.065になり、送信確率q=0.063になる。この場合の平均送信間隔τp/q=15.9[秒]である。
【0198】
動作例2.
動作例1に引き続き、i−1番目、i番目、およびi+1番目のセンサノード1が存在する領域を含む広がりを持った領域で温度が上昇した場合であって、i−1番目とi+1番目とのセンサノードが、センサ情報を送信していない場合について考える。
【0199】
i番目のセンサノードがセンサデータとしてs=26.70+273.16[K]を取得したとすると、予想値s’=(si−1+si+1)/2=25.00+273.16[K]になり、予想値と実測値の差ε=1.70になり寄与度I=2.22になり送信確率q=0.89になる。この場合の平均送信間隔τp/q=1.1[秒]である。
【0200】
動作例3.
動作例2に引き続き、i−1番目およびi+1番目のセンサノード1がセンサ情報を送信した場合について考える。
【0201】
i−1番目およびi+1番目のセンサデータを、それぞれ、si−1=26.50+273.16[K]、si+1=26.60+273.16[K]とし、i番目のセンサノードがセンサデータとしてs=26.75+273.16[K]を取得したとすると、予想値s’=(si−1+si+1)/2=26.55+273.16[K]になり、予想値と実測値の差ε=0.20になり、寄与度I=0.13になり、送信確率q=0.087になる。この場合の平均送信間隔τp/q=12.0[秒]である。
【0202】
上述した動作例1と動作例2とから、温度の変化がほとんどない定常状態時には寄与度は低く送信確率も低い(I=0.065,q=0.063)が、ある領域の温度が上昇すると、寄与度も送信確率も上昇する(I=2.22,q=0.89)ことがわかる。
【0203】
また、動作例3から、サーバ2においてセンサデータの収集が進んでいくと、寄与度も送信確率も低くなっていく(I=0.087,q=0.083)ことがわかる。
【0204】
以上に述べたように、この実施例によれば、ある領域において温度が上昇し、空間的に精度が必要な場合には、寄与度に応じた処理により、空間的精度を向上させることができる。そして、サーバ2は、高い空間的精度のセンサ情報分布を提供することができる。
【0205】
また、寄与度に従って送信確率を決定しているため、寄与度が高いセンサ情報の送信を優先しつつ、センサ情報の一斉送信を確率的に分散させて応答集中問題の発生を回避することができる。
【0206】
なお、この実施例では、センサデータは隣接するセンサデータの中間値(平均値)をとる確率が高いという事象モデルを用いたが、本発明の適用範囲は本事象モデルに限定されるものではない。例えば、中間値などの線形関係だけではなく、2次以上の高次の相関性を用いることも可能である。また、あるセンサノードが、他のセンサノードのセンサデータから自己のセンサデータの寄与度を算出可能な方式であれば、他の方式を用いてもよい。
【実施例2】
【0207】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、第2の実施例は、本発明の第3の実施の形態に対応している。
【0208】
第2の実施例のセンサネットワークシステムにおけるセンサノードの配置(図12)および目的等は、第1の実施例と同様とする。また、各装置は、図5のブロック図に示した構成と同様の構成であるものとする。
【0209】
サーバ2の推定手段223以外の動作は、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0210】
推定手段223は、欠損しているセンサデータ(以下、単に欠損データという)の推定方法として線形補完を採用する。すなわち、欠損データsの推定値s’は、欠損データsに空間的に隣接するセンサデータsi−1およびsi+1を用いて、s’=(si−1+si+1)/2で求められる。そして、センサ情報分布{s|0≦i≦N}の欠損データを推定値s’に置き換える。
【0211】
次に、第2の実施例における具体的な動作例について、図面を参照して説明する。図14は、動作例1〜動作例3でのセンサ情報分布例を示す説明図である。
【0212】
図14において、×は欠損データを示し、括弧内は推定手段223が行った推定結果を示している。動作例1では、欠損データは多いが、欠損していないセンサデータの値の変動がない。動作例2では、欠損データは少ないが、欠損していないデータの値の変動が大きい。動作例3では、欠損データが多いが、欠損していないデータの値の変動が小さい。
【0213】
動作例1および動作例3では、送信確率が低く、欠損センサデータが多くなるが、この状態は寄与度が低く、温度変化がほとんどない定常状態であるので、精度(分解能)はそれほど必要ではなく、欠損データの推定が容易である。
【0214】
動作例2では、ある領域において温度が上昇し温度分布の変動が大きくなり、精度(分解能)が必要となっている状態である。このような状態では、寄与度が高くなり、送信確率が高くなることで、センサデータの空間的密度を上げている。従って、欠損データが存在してもわずかであり、推定手段223の推定による欠損データの修復の可能性が高い。
【0215】
以上に述べたように、この実施例によれば、欠損していないセンサ情報が示す値の変動に応じてセンサデータの空間的密度を変動させ、欠損データを推定することができる。
【0216】
なお、寄与度算出手段123は、メモリ(図示せず)に、入力されたセンサ情報が示すセンサデータを記憶させてもよい。また、寄与度算出手段123には、過去に入力されたセンサ情報および寄与度を算出すべきセンサ情報の次に入力されたセンサ情報がそれぞれ示すセンサデータにもとづいて寄与度を算出する事象モデルが設定されていてもよい。すなわち、寄与度算出手段123は、寄与度を算出すべきセンサ情報に時間的に隣接するセンサ情報にもとづいて、寄与度を算出してもよい。
【0217】
そして、データ収集手段222は、一のセンサノードが送信したセンサ情報にもとづいて、センサ情報分布を生成してもよい。また、推定手段223は、時間的に隣接するセンサ情報にもとづいて、欠損データを推定してもよい。
【0218】
そのように構成すれば、寄与度算出手段123は、時間的に隣接しているセンサ情報にもとづいて、センサ情報の寄与度を算出する。また、データ収集手段222は、一のセンサノードが送信したセンサ情報にもとづいて、時間的なセンサ情報の分布としてのセンサ情報分布を生成する。そのため、サーバ2は、アプリケーション装置3に、センサ情報の時間的な分布としてのセンサ情報分布を提供することができる。すなわち、サーバ2は、アプリケーション装置3に、時間的な精度の高いセンサ情報分布を提供することができる。
【実施例3】
【0219】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、第3の実施例は、本発明の第5の実施の形態に対応している。
【0220】
図15は、第3の実施例の一構成例を示す説明図である。センサネットワークシステムは、運動している物体の存在を検知するための動物体センサを備えたセンサノード1、サーバ2、アプリケーション装置3によって構成されている。また、各装置は、図8のブロック図に示した構成と同様の構成であるものとする。
【0221】
そして、すべてのセンサノード1の通信ノード11、サーバ2、およびアプリケーション装置3は、それぞれソフトウェアを搭載したPCによって実現されている。
【0222】
第3の実施例では、M×N個のセンサノード1が、観測対象の部屋内の動物体の分布を測定するために、観測対象の部屋の天井に、2次元正方格子状(M個×N個)で設置されている。すなわち、各センサノード1は2次元上に等間隔に設置されており、それぞれ固有のセンサノード番号(x,y)(ここでx=1〜M,y=1〜N)が設定されているものとする。
【0223】
なお、このようなセンサ配置や、センサノード番号は説明のために設けられているものであり、センサノード1をそれぞれ別個に識別可能であり、他のセンサノードとの関係を容易に求められるものであれば他の仕組みを用いてもよい。
【0224】
サーバ2は、センサノード1からセンサ情報を受信して、アプリケーション装置3に適した形式でセンサ情報分布をアプリケーション装置3に送信する。アプリケーション装置3は、受信したセンサ情報分布にもとづいて、観測対象の部屋内の動物体分布情報を表示する「動物体分布表示サービス」をユーザに提供する。
【0225】
センサノード1、サーバ2、およびアプリケーション装置3は、互いに第1の実施例と同様に接続されている。
【0226】
なお、以下の説明ではセンサデータはブーリアン値σ(σ=1:検出時、σ=−1:非検出時)とする。これは説明のために設定するものであり、他の単位や異なる種類のセンサにも本発明が適用可能なことは言うまでもない。
【0227】
本システムが仮定する事象モデルとして、2値のセンサデータの値を確率変数として、その確率変数は隣接するセンサノードが検出したセンサデータの値と同値をとる確率が高いとするマルコフ確率場に従うとする。
【0228】
マルコフ確率場は、画像修復技術等では一般的に用いられる確率モデルであり、非特許文献2に記載されている。なお、ここではマルコフ確率場モデルおよびベイズ推定等の説明は省略する。
【0229】
真のセンサデータ(確率変数)、すなわち事象そのものの確率変数をfx,yとすると、確率場f={fx,y|x=1,2,・・・,M,y=1,2,・・・,N}の確率分布P(f)は、以下のように求められる。
【0230】
P(f)=(exp(−(1/2)αΣx=1Σy=1((fx,y−fx+1,y+(fx,y−fx,y+1)))/(Σexp(−(1/2)αΣx=1Σy=1((fx,y−fx+1,y+(fx,y−fx,y+1)))
【0231】
ここで、Σは以下のようになる。
【0232】
Σ=Σf11=±1Σf1,2=±1・・・ΣfM,N=±1
【0233】
また、α(α>0)は確率分布を特徴付けるパラメータ(ハイパパラメータ)である。
【0234】
サーバ2の第1の通信手段221は、各センサノード1からセンサデータgx,y(gx,y=±1)を受信する。
【0235】
データ収集手段222は、センサデータgx,yからセンサ情報分布
g={gx,y|x=1,2,・・・,M, y=1,2,・・・,N}
を収集する。センサ情報分布gには、センサノード1の動作不良等や、センサデータの有効期限満了に伴う欠損データが含まれている可能性がある。また、通信ネットワーク4の通信経路で劣化したデータである劣化データが含まれている可能性がある。
【0236】
モデル決定手段225は、欠損データを含むセンサ情報分布gにもとづいて、事象モデルの決定を行う。なお、事象モデルの決定とは、真のセンサデータの確率分布P(f)を求めることであり、ここではハイパパラメータαを決定することである。
【0237】
事象モデルを特徴づけるハイパパラメータαを求める場合や、欠損データを含むセンサ情報分布から事象モデルを推定(この場合はハイパパラメータαの推定)する場合に、EMアルゴリズムを用いることが有効であることが知られている。ここではEMアルゴリズムを用いてセンサ情報分布gからハイパパラメータαを求める。
【0238】
第4の通信手段227は、モデル決定手段225が求めたハイパパラメータαをセンサノード1に送信する。
【0239】
センサノード1のセンサ11は動物体を検出し、センサ情報としてブーリアン値σ(σ=1:検出時,σ=−1:非検出時)をセンサ入力手段124に出力する。センサ入力手段124は、実施例1と同様の動作を行う。
【0240】
モデル更新手段126は、第5の通信手段127がサーバ2から受信したハイパパラメータαを、寄与度算出手段123に設定されている事象モデルに適用する。
【0241】
寄与度算出手段123は、一のセンサデータfx,yと、隣接するセンサデータfx−1,y、fx+1,y、fx,y−1、およびfx,y+1を用いて寄与度を算出する。
【0242】
まず、寄与度算出手段123が算出する、fx,yの値(±1)に対する確率p(fx,y)は、マルコフ確率場より、以下のようになる。
【0243】
p(fx,y
=P(fx,y|{fu,v|u=1,2,・・・,M,v=1,2,・・・,N,但し(u,v)=(x,y)を除く})
=exp(α(fx−1,y+fx+1,y+fx,y−1+fx,y+1)fx,y)/Σfx,y
=±1exp(α(fx−1,y+fx+1,y+fx,y−1+fx,y+1)fx,y)
【0244】
ここで、fx−1,y、fx+1,y、fx,y−1、およびfx,y+1は、真のセンサデータであるが、ここでは最新の隣接するセンサデータを適用する。つまり、隣接するセンサデータは、現時点での真のセンサデータを表しているのではないが、真のセンサデータとして扱うこととする。
【0245】
寄与度は第1の実施例と同様に、I(fx,y)=ln(1/p)とする(0≦I≦∞)。また、通信制御手段122および第1の通信手段121は、第1の実施例1と同様の動作を行うとし、通信制御手法および通信制御条件も同様とする。
【実施例4】
【0246】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。なお、第4の実施例は、本発明の第6の実施の形態に対応している。
【0247】
第4の実施例のセンサネットワークシステムにおけるセンサノードの配置(図12)および目的等は、第2の実施例と同様とする。また、各装置は、図10のブロック図に示した構成と同様の構成であるものとする。
【0248】
サーバ2の推定手段223とモデル更新手段226以外の手段の動作は、第3の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0249】
モデル更新手段226は、モデル決定手段225が求めたハイパパラメータαを、推定手段223が用いる事象モデルに適用する。
【0250】
推定手段223は、センサ情報分布gから真のセンサデータfの推定を行う。このような推定の方法として、以下に示すベイズの公式によるベイズ推定が一般的に用いられる。
【0251】
P(f|g)=(P(g|f)・P(f))/(ΣP(g|f)・P(f))
【0252】
すなわち、事後確率分布P(f|g)から、以下に示す真のセンサデータの期待値を求める。
【0253】
x,y=Σx,yP(f|g)
【0254】
ここでは、劣化過程P(g|f)として、2元対象通信路(BSC:Binary Symmetric Channel)であるものとすると、劣化過程P(g|f)は以下の式で求められる。
【0255】
P(g|f)=(exp(−(1/2)βΣx=1Σy=1(fx,y−gx,y))/(1+exp(−2β))MN
【0256】
ここで、βは劣化過程を特徴付けるパラメータであり、モデル決定手段225が、事象モデルの決定時にハイパパラメータαと同様に推定する。また、第4の実施例では、平均場近似を用いて、真のセンサデータの期待値mx,yを決定する。そして、センサ情報分布gを推定結果mx,yに置き換えて、第3の通信手段224を通じてアプリケーション装置3に送信する。
【0257】
以上の各実施の形態および各実施例の説明で述べたように、本発明によれば、センサノードが、空間的または時間的に寄与度の高いセンサ情報を優先的にサーバ装置等に送信するため、通信ネットワーク4の輻輳を抑制し、精度(時間分解能および空間分解能)が高い情報(センサ情報分布)をユーザに提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0258】
本発明は、事象を観測し、観測した情報を送信するセンサネットワークシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0259】
【図1】本発明によるセンサネットワークシステムの実施の形態の一構成例を示す説明図である。
【図2】本発明によるセンサネットワークシステムの第1の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【図4】第2の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図5】第3の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図6】第3の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【図7】第4の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図8】第5の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図9】第5の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【図10】第6の実施の形態の一構成例を示すブロック図である。
【図11】第6の実施の形態の動作を説明するシーケンス図である。
【図12】第1の実施例の一構成例を示す説明図である。
【図13】μ=1、β=3とした時の、差の絶対値ε、発生確率p、寄与度I、および送信確率qの関係を示したグラフである。
【図14】動作例1〜動作例3でのセンサ情報分布例を示す説明図である。
【図15】第3の実施例の一構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0260】
1 センサノード
2 サーバ
3 アプリケーション装置
4 通信ネットワーク
11 センサ
12 通信ノード
121 第1の通信手段
122 通信制御手段
123 寄与度算出手段
124 センサ入力手段
126 モデル更新手段
127 第5の通信手段
221 第2の通信手段
222 データ収集手段
223 推定手段
224 第3の通信手段
225 モデル決定手段
226 第2のモデル更新手段
227 第4の通信手段
321 通信手段
328 アプリケーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生した事象を検出するセンサを含む複数のセンサノードと、前記センサが検出した事象を示すセンサ情報を処理するアプリケーション装置とを備えたセンサネットワークシステムにおいて、
前記センサノードは、前記センサが検出した事象が、前記事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じたタイミングで、センサ情報を送信する通信手段を含み、
前記アプリケーション装置は、センサ情報分布を用いてセンサ情報を処理する
ことを特徴とするセンサネットワークシステム。
【請求項2】
センサノードの通信手段は、センサが検出した事象がセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど優先的に送信する
請求項1記載のセンサネットワークシステム。
【請求項3】
センサノードは、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定され、前記事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出手段を含み、
通信手段は、前記寄与度算出手段が算出した寄与度に応じたタイミングで、センサ情報を送信する
請求項1または請求項2記載のセンサネットワークシステム。
【請求項4】
センサノードの寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項3記載のセンサネットワークシステム。
【請求項5】
センサノードの寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項3記載のセンサネットワークシステム。
【請求項6】
センサノードは、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新手段を含む
請求項3から請求項5のうちいずれか1項記載のセンサネットワークシステム。
【請求項7】
センサネットワークシステムは、センサノードからセンサ情報を受信するサーバを備え、
前記サーバは、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を含む
請求項1から請求項6のうちいずれか1項記載のセンサネットワークシステム。
【請求項8】
サーバは、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含む
請求項7記載のセンサネットワークシステム。
【請求項9】
センサネットワークシステムは、センサノードからセンサ情報を受信するサーバを備え、
前記サーバは、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段と、
センサノードのモデル更新手段が更新する事象モデルを、前記センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段とを含み、
前記センサノードの前記モデル更新手段は、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを、前記モデル決定手段が決定した事象モデルに変更する
請求項6記載のセンサネットワークシステム。
【請求項10】
サーバは、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含み、
モデル決定手段は、前記推定手段に設定する事象モデルを、前記センサ情報分布にもとづいて決定し、
前記サーバは、前記モデル決定手段が決定した事象モデルを、前記推定手段に設定するモデル設定手段を含む
請求項9記載のセンサネットワークシステム。
【請求項11】
サーバは、センサ情報分布をアプリケーション装置に送信するセンサ情報分布送信手段を含む
請求項7から請求項10のうちいずれか1項記載のセンサネットワークシステム。
【請求項12】
アプリケーション装置は、センサノードからセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を含む
請求項1から請求項6のうちいずれか1項記載のセンサネットワークシステム。
【請求項13】
アプリケーション装置は、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を含む
請求項12記載のセンサネットワークシステム。
【請求項14】
発生した事象を検出するセンサを備えたセンサノードにおいて、
センサが検出した事象が、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じて、前記センサが検出した事象を示すセンサ情報を送信する通信手段を備えた
ことを特徴とするセンサノード。
【請求項15】
センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定され、前記事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出手段を備えた
請求項14記載のセンサノード。
【請求項16】
寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項15記載のセンサノード。
【請求項17】
寄与度算出手段は、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項15記載のセンサノード。
【請求項18】
寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新手段を備えた
請求項15から請求項17のうちいずれか1項記載のセンサノード。
【請求項19】
発生した事象を検出するセンサを備えた複数のセンサノードに接続され、前記センサが検出した事象を示すセンサ情報を受信するセンサ情報収集装置において、
受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集手段を備えた
ことを特徴とするセンサ情報収集装置。
【請求項20】
他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定手段を備えた
請求項19記載のセンサ情報収集装置。
【請求項21】
センサノードに設定される、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段を備えた
請求項19または請求項20記載のセンサ情報収集装置。
【請求項22】
推定手段に設定される、センサが検出する事象をモデル化した事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定手段と、
前記モデル決定手段が決定した事象モデルを、前記推定手段に設定するモデル設定手段とを備えた
請求項20記載のセンサ情報収集装置。
【請求項23】
発生した事象を検出するセンサを含む複数のセンサノードと、前記センサが検出した事象を示すセンサ情報を処理するアプリケーション装置とを備えたセンサネットワークシステムを用いた事象観測方法において、
前記センサが事象を検出する事象検出ステップと、
前記センサノードの通信手段が、前記事象検出ステップで前記センサによって検出された事象が、前記事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響に応じたタイミングで、センサ情報を送信する情報送信ステップと、
前記アプリケーション装置が、センサ情報分布を用いてセンサ情報を処理するセンサ情報処理ステップとを備えた
ことを特徴とする事象観測方法。
【請求項24】
センサ情報送信ステップで、センサが検出した事象がセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど、センサノードの通信手段が優先的に送信する
請求項23記載の事象観測方法。
【請求項25】
センサが検出する事象をモデル化した事象モデルが設定されたセンサノードの寄与度算出手段が、前記事象モデルにもとづいて、センサ情報分布に与える影響の度合いである寄与度を算出する寄与度算出ステップを備えた
請求項23または請求項24記載の事象観測方法。
【請求項26】
センサノードの寄与度算出手段が、寄与度算出ステップで、センサが現在検出した事象と、過去に検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項25記載の事象観測方法。
【請求項27】
センサノードの寄与度算出手段が、寄与度算出ステップで、センサが現在検出した事象と、他のセンサノードのセンサが検出した事象と、事象モデルとにもとづいて寄与度を算出する
請求項25記載の事象観測方法。
【請求項28】
センサノードのモデル更新手段が、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを変更して設定するモデル更新ステップを備えた
請求項25から請求項27のうちいずれか1項記載の事象観測方法。
【請求項29】
センサネットワークシステムのサーバのデータ収集手段が、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップを備えた
請求項23から請求項28のうちいずれか1項記載の事象観測方法。
【請求項30】
サーバの推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備えた
請求項29記載の事象観測方法。
【請求項31】
センサネットワークシステムのサーバのデータ収集手段が、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップと、
モデル決定手段が、センサノードのモデル更新手段が更新する事象モデルを、前記センサ情報分布にもとづいて決定するモデル決定ステップとを備え、
前記センサノードの前記モデル更新手段が、モデル更新ステップで、寄与度算出手段に設定されている事象モデルを、前記モデル決定手段が前記モデル決定ステップで決定した事象モデルに変更する
請求項28記載の事象観測方法。
【請求項32】
サーバの推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備え、
モデル決定手段が、モデル決定ステップで、前記推定手段に設定する事象モデルを、センサ情報分布にもとづいて決定し、
前記サーバのモデル設定手段が、前記モデル決定手段が決定した事象モデルを、前記推定手段に設定するモデル設定ステップを備えた
請求項31記載の事象観測方法。
【請求項33】
サーバのセンサ情報分布送信手段が、センサ情報分布をアプリケーション装置に送信するセンサ情報分布送信ステップを備えた
請求項29から請求項32のうちいずれか1項記載の事象観測方法。
【請求項34】
アプリケーション装置のデータ収集手段が、センサノードからセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報にもとづいてセンサ情報分布を生成するデータ収集ステップを備えた
請求項23から請求項28のうちいずれか1項記載の事象観測方法。
【請求項35】
アプリケーション装置の推定手段が、他のセンサノードから受信したセンサ情報、または欠損しているセンサ情報に時間的または空間的に隣接しているセンサ情報と、設定されている事象モデルとにもとづいて、前記欠損しているセンサ情報を推定し、センサ情報分布を修復する推定ステップを備えた
請求項34記載の事象観測方法。
【請求項36】
発生した事象を検出するセンサを備えたコンピュータに搭載されるセンサノードプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記センサが検出した事象を示すセンサ情報であって、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布に与える影響が大きいセンサ情報ほど、優先的に送信する処理を実行させる
ためのセンサノードプログラム。
【請求項37】
発生した事象を検出するセンサを備えた複数のセンサノードに接続され、前記センサが検出した事象を示すセンサ情報を受信するコンピュータに搭載されるセンサ情報収集プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
受信したセンサ情報にもとづいて、事象の時間的な分布または空間的な分布を示すセンサ情報分布を生成するデータ収集処理を実行させる
ためのセンサ情報収集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−80190(P2007−80190A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270483(P2005−270483)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】