説明

センサノードの制御装置、生体情報の測定方法及びプログラム

【課題】センサノードにおいて電池の消耗を抑制しながらも生体情報の測定精度を向上させる。
【解決手段】センサを駆動して生体情報を測定する制御装置を備えたセンサノードにおける生体情報の測定方法であって、制御装置が生体の動きを検出する加速度センサに電池からの電力を供給して生体の動きを検出し、前記制御装置が、前記検出した生体の動きに基づいて脈拍センサによる測定が可能であるか否かを判定し(P330)、前記判定結果が、測定可能であるときには脈拍センサよりも消費電力の小さい加速度センサへの電力を遮断した後に、加速度センサよりも消費電力の大きい脈拍センサへ電力を供給して生体情報を測定する(P340)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットで利用可能な無線通信機能付きのセンサノードの改良に関し、特に人体に装着可能なセンサノードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサに無線通信機能を有する小型の電子回路を付加して、現実世界の様々な情報をリアルタイムに情報処理装置に取り込むネットワークシステム(以下、センサネットという)が検討されている。センサネットには幅広い応用が考えられており、例えば、無線回路、プロセッサ、センサ、電池を集積した小型電子回路により、脈拍等の生体情報を常時モニタし、モニタ結果は無線通信により診断装置等に送信され、モニタ結果に基づいて健康状態を判定するといったような医療応用も考えられている(例えば、特許文献1〜7)。
【0003】
センサネットを広く実用化するためには、無線通信機能、センサ、および、電池等の電源を搭載する電子回路(以下、センサノードという)を、長時間に渡ってメンテナンスフリー、かつセンサデータを送信し続けられるものとし、かつ外形も小型化することが重要になる。このため、超小型でどこにでも設置できるセンサノードの開発が進められている。現段階では、実用上、1年程度の期間、電池交換をせずに使用可能であることが、メンテナンスコストおよび使い勝手の両面から必要と考えられている。
【特許文献1】特開2000−041952号
【特許文献2】特開2001−070266号
【特許文献3】特開2003−118421号
【特許文献4】特開2004−275272号
【特許文献5】特開平09−075311号
【特許文献6】特開平09−113653号
【特許文献7】特開2003−000551号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のセンサノードでは、定期的にセンサを駆動してセンサデータを収集する構成となっている(例えば、特許文献5)。
【0005】
脈拍などの生体情報を収集するセンサノードでは常時人体に装着する必要があるが、例えば、発光素子と受光素子により血流の変化を検出して脈拍を測定する場合では、人体が動いているときには正確な測定を行うことができない。
【0006】
しかし、上記従来のセンサノードでは、所定の測定タイミングになるとセンサを駆動して測定を開始することになり、このとき、人体が動いていれば測定不能あるいは精度の低いセンサデータを収集することになり、いずれにしろデータとして利用することができないにもかかわらず電池を消耗する、という問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電池の消耗を抑制しながらも生体情報の測定精度を向上させることが可能なセンサノードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、センサを駆動して生体情報を測定する制御装置を備えたセンサノードにおける生体情報の測定方法であって、前記制御装置が生体の動きを検出する第1のセンサに電池からの電力を供給して生体の動きを検出し、前記制御装置が、前記検出した生体の動きに基づいて第2のセンサによる測定が可能であるか否かを判定し、前記判定結果が、測定可能であるときには第2のセンサよりも消費電力の小さい前記第1のセンサへの電力を遮断した後に、前記第1のセンサよりも消費電力の大きい第2のセンサへ電力を供給して生体情報を測定する。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明は、消費電力の大きな第2のセンサを駆動すべきか否かを、消費電力の小さい第1のセンサの測定結果により判断することで、正確な生体情報の測定を行うことが可能な状態以外では、測定を行うことがないので第2のセンサの駆動を禁止して無駄な電力消費を回避でき、電池の消耗を回避することが可能となって、センサノードの長期間の作動を保証できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明を腕輪型(または腕時計型)のセンサノードSN1に適用した例を示す正面図である。このセンサノードSN1は主に装着者の脈拍を測定する。
【0012】
<センサノードの概要>
四辺を有する方形のケースCASE1の中央には、メッセージなどを表示する表示装置LMon1が配置される。なお、表示装置LMon1としては液晶表示装置などを採用することができる。そして、腕時計における12時方向のケースCASE1端部である第1辺から腕時計における6時方向のケースCASE1端部であり第1辺と対向する第2辺には、センサノードSN1を腕に固定するためのバンドBAND1が取り付けられる。なお、図1ではセンサノードSN1を左腕(WRIST1)に装着した状態を示し、以下、腕時計における12時方向をケースCASE1の上方と言い、腕時計における6時方向をケースCASE1の下方という。
【0013】
ケースCASE1の下端のバンドBAND1と表示装置LMon1の間には、緊急スイッチSW1と測定スイッチSW2が腕の長さ方向に沿うように、後述する基板BO2に配置され、ケースCASE1の表面に露出しており、装着者により操作可能となっている。なお、スイッチSW1は、例えば、装着者が緊急時に操作することで外部に緊急を通知し、スイッチSW2は、生体情報(脈拍等)を測定する場合や、表示装置LMon1からの問いかけなどに対して装着者が応答する際などに操作されるものである。これらのスイッチとしては、典型的には押しボタンタイプのスイッチが使用可能であるが、その他のタイプのスイッチも使用可能である。
【0014】
そして、ケースCASE1の上端のバンドBAND1と表示装置LMon1の間には、ケースCASE1の内部の基板(第1の基板)BO2上にアンテナANT1が配置される。このアンテナANT1は、例えば、いわゆる高誘電体を使用したチップ型誘電体アンテナである。
【0015】
センサノードSN1は、脈拍を測定する脈拍センサ、体温または周囲温度を測定する温度センサ、装着者(生体)の動きを検出するセンサ、典型的には加速度センサを後述するように備える。なお、加速度センサに限らずに、動きを検出可能なセンサならば他のタイプのセンサも使用可能である。
【0016】
図2は、ケースCASE1の底面に配置した脈拍センサの配置を示す説明図である。本発明の腕輪型センサノードSN1で使用する脈拍センサは赤外線発光ダイオードと受光素子としてのフォトトランジスタで構成される。なお、受光素子としては、フォトトランジスタ以外にもフォトダイオードも使用可能である。ケースCASE1の底面に設けた3つの開口部H1〜H3に、一対の赤外線発光ダイオード(発光素子)LED1、LED2とフォトトランジスタ(受光素子)PT1を設け、各素子が皮膚と対向するように配置され、脈拍センサを構成する。
【0017】
この脈拍センサは、赤外線発光ダイオードLED1、2で発生させた赤外光を皮下の血管に照射し、血流変動による血管からの散乱光の強度変化をフォトトランジスタPT1にて検知し、その強度変化の周期から脈拍を推定する。
【0018】
ここで、ケースCASE1の底面の、ケースCASE1の上下方向(腕時計における12時と6時)を結ぶ線の中央部で直交する軸線axに沿って赤外線発光ダイオードLED1、2とフォトトランジスタPT1が並ぶよう赤外線発光ダイオードLED1、2とフォトトランジスタPT1とを後述する基板BO3上に配置し、さらに、フォトトランジスタPT1を挟むように赤外線発光ダイオードLED1とLED2の間にフォトトランジスタPT1を配置する。
【0019】
つまり、安定して脈拍を取得するためには、効率良く血流変動を捕らえる事が重要となる。図2に示す本発明に特有な配置、すなわち、赤外線発光ダイオードLED1とLED2及びフォトトランジスタPT1を一直線に配置する事により、本腕輪型センサノードSN1を腕に装着した際に、腕を流れる血管に、つまり、血管内の血流に沿った形で、LED1、2とフォトトランジスタ列を配置する事が可能となる。さらに、図2に示すように、腕輪型センサノードSNの中心に、これらの赤外LED1、2およびフォトトランジスタPT1を配置することにより、ユーザ(装着者)が動いた場合にも、赤外線発光ダイオードLED1、2およびフォトトランジスタPT1を、腕、つまり、センシング対象の血管に密着させる事が可能となる。その結果、安定して、血流変動による赤外散乱光の強度変動を効率よくフォトトランジスタPT1によって捕らえる事が可能となる。
【0020】
<センサネットの概要>
図3は、本発明の腕輪型センサノードSN1を使用して、健康管理センサネットシステムを構築した例を示すシステム構成図である。
【0021】
図3において、SN1〜SN3が本発明の腕輪型センサノードである。例えば、ユーザの健康状態をモニタする目的で、ユーザの腕に装着される。これら腕輪型センサノードSN1〜SN3は、無線WL1〜WL3により、基地局BS10と無線通信を行う。各センサノードSN1〜3は、センシングした温度や脈拍等のデータを基地局BS10に送信する。
【0022】
基地局BS10は、アンテナANT10、無線通信インタフェースRF10、プロセッサCPU10、メモリMEM10、二次記憶装置STR10、表示装置DISP10、ユーザインタフェース装置UI10、および、ネットワークインタフェースNI10から構成される。このうち、二次記憶装置STR10は、典型的には、ハードディスク等で構成される。また、表示装置DISP10はCRT等で構成される。ユーザインタフェース装置UI10は、典型的には、キーボード/マウス等である。
【0023】
なお、基地局BS10は、センサノードSN1〜3との無線通信以外にも、例えば、ネットワークインタフェースNI10経由で、広域ネットワーク網WAN10を介して、遠隔地にある管理サーバSV10とも通信可能である。管理サーバSV10は、CPU20とメモリMEM20と二次記憶装置DB20及びネットワークインタフェースNI20を備え、基地局BS10から収集したセンサデータをデータベースなどを用いて管理する。なお、広域ネットワーク網WAN10には、典型的には、インターネット等が使用可能である。
【0024】
図4は、図3の健康管理センサネットシステムにて各センサノードSN1〜3から基地局に送信されるセンサデータの構成例を示し、基地局BS10の二次記憶装置STR10に格納されたセンサデータの例を示す。
【0025】
各センサノードSN1〜3のセンサデータには、センサノードSN1〜3の識別子(センサノードID)と、各センサノードSN1〜3が測定する温度、加速度、脈拍のセンサIDをセンサ毎に有しており、基地局BS10は、センサノードIDとセンサID毎に測定値と測定時刻等を収集し、二次記憶装置STR10に格納する。そして、定期的あるいは管理サーバSV10の要求に応じて測定したセンサデータを送信する。
【0026】
<センサノードの構成>
図5は、センサノードSN1の内部を構成する基板ユニットの配置を示す図で、基板ユニットは、アンテナANT1や表示装置LMon1を取り付けたマザーボードBO2を中心に、計3枚の基板BO1〜BO3で構成され、図1に示したケースCASE1の内部に収容される。
【0027】
図5(B)の正面図において、マザーボードBO2の上方(腕時計における12時方向)左側にはアンテナANT1が配置され、中央部には表示装置LMon1が配置され、緊急スイッチESW1(図1のSW1)と測定スイッチGSW1(図1のSW2)がマザーボードBO2の下方(腕時計における6時方向)に配置される。そして、マザーボードBO2の背面には電池BAT1、と脈拍センサを設けた基板(第3の基板)BO3と、マイクロコンピュータ(制御装置)及び通信チップを設けた基板BO1が取り付けられる((C)底面図、(D)背面図、(E)右側面図、参照)。なお、マザーボードBO2の上方は、ケースCASE1の上方と一致する。
【0028】
このマザーボードBO2は、表示装置LMon1、基板BO1、BO3を取り付けた状態で、図1に示したケースCASE1に組み込まれる。ケースCASE1内では、マザーボードBO2の上方とケースCASE1の上方が一致するように組み込まれる。
【0029】
つまり、本発明の腕輪型センサノードSN1では、マザーボードBO2上の表面側(図1のケースCASE1の正面側)に、図5(B)の正面図の下方からから上方、つまり、本腕輪型センサノードSN1を装着したユーザ(装着者)の人体の近くから遠ざかる順に、緊急スイッチESW1、測定スイッチGSW1、表示装置LMon1、アンテナANT1、と配置する点に特徴がある。
【0030】
まず第1に、ユーザの視認性の観点から、表示装置LMon1は図1にも示したように、腕輪型センサノードSN1の中心に配置するのが好ましい。第2に、緊急スイッチESW1/測定スイッチGSW1の操作性の観点から、表示装置LMon1を見ながらの操作可能となる配置が好ましい。つまり、表示装置LMon1の下(腕時計における6時方向)、すなわち、人体側にこれらのスイッチESW1、GSW1を配置した本発明の配置が好ましい。第3に、アンテナANT1は無線通信感度が最大になる位置に配置するのが好ましい。
【0031】
一方、本発明の腕輪型センサノードSN1に内蔵可能なアンテナは、ケースCASE1のサイズの制約から、いわゆる高誘電体を使用したチップ型誘電体アンテナである。チップ型誘電体アンテナは、周知の通り、アンテナと垂直方向に指向性がある。
【0032】
具体的には、図5(B)の正面図においては、アンテナANT1は、紙面の上下方向(腕時計における12時方向と6時方向)に指向性を有する。このため、アンテナANT1を、図5に示す配置とは逆に、緊急スイッチSW1/測定スイッチSW2側に実装すると、表示装置LMon1が障害物となり、無線通信感度が大幅に劣化してしまう。また、アンテナANT1は、図5(B)の紙面で下方向(人体側)にも無線電波は指向性を有するが、腕および人体は、センサノードSN1が無線通信で使用する2.4GHz帯(特に限定するものではない)の無線信号から見るとグランド電位であり、無線電波を透過しない。このため、アンテナANT1をケースCASE1の下側に実装すると、人体に近づくため無線通信感度が著しく劣化してしまう。したがって、無線通信感度が最大となるケースCASE1の上方に位置するようにアンテナANT1を配置するのが最適な配置である。
【0033】
さらに、右利きのユーザが装着する例が高い左腕に腕輪型センサノードSN1を装着することを考慮すると、図5(B)でケースCASE1の上部右側にアンテナANT1を配置した場合、左手の甲の影響を受けて無線通信感度が低下する。このため、図示のように、ケースCASE1の上部左側にアンテナANT1を配置することで、左腕の甲から離れた位置に配置でき、無線通信感度を向上させることができる。なお、左利きの場合には右手に装着するのでアンテナはケース上部の右側にすることにより右手の甲の影響を低減してアンテナの指向性を向上させることが可能である。また、女性にみられるような、表示装置を掌と同じ面に向けて装着する方法では甲より掌に影響されるが、上記のようにアンテナがケースの上方に配置されるよう、基板の上部に配置することにより掌による影響を低減することが可能となる。 次に、マザーボードBO2の背面には、脈拍センサを構成する赤外線発光ダイオードLED1、2とフォトトランジスタPT1が、図2の軸線axに沿うように直列的に基板BO3上に配置される。図2で説明したように、これら赤外線発光ダイオードLED1、2及びフォトトランジスタPT1は、ケースCASE1に設けた開口部(H1〜H3)から皮膚と対向するように設置され、この基板BO3はマザーボードBO2の背面に支持される。なお、図5(E)において、表示装置LMon1側がケースCASE1の表面側であり、基板Bo1及びBO3側がケースCASE1の底面側となる。また、マザーボードBO2に支持された表示装置LMon1及び緊急スイッチSW1、操作スイッチSW2はケースCASE1の表面側に配置し、各々にカバーを設けることによってケース表面への露出を防止する構造(図示省略)を有する。
【0034】
図5(D)の背面図において、基板BO3の上方(ケースCASE1の下方)には、マザーボードBO2の背面に取り付けられた電池BAT1と、マイクロコンピュータや通信チップを備えた基板BO1が配置され、この基板BO1はマザーボードBO2の背面に支持される。そして、基板BO1と電池BAT1は互いに重ならないように図中水平方向に配置される。このように、マザーボードBO2の裏面に厚みのある電池BAT1と基板BO1とを配置することにより、アンテナと生体、すなわち腕との間に距離を確保することができ、アンテナの指向性を向上させることが可能になる。
【0035】
次に、上記マザーボードBO2及び基板BO1、BO3の詳細について以下に説明する。
【0036】
図6は、本発明の腕輪型センサノードSN1を構成する3枚の基板のうち、基板BO1の一方の主面SIDE1である。また、図7は、基板BO1のSIDE1とは逆の主面SIDE2である。同様に、図8は、本発明の腕輪型センサノードSN1を構成するマザーボードBO2の第1の主面SIDE1を示し、図9に基板BO2の第2の主面SIDE2を示す。さらに、図10に、本発明の腕輪型センサノードSN1を構成する基板BO3の第1の主面SIDE1を示し、図11に基板BO3の第2の主面SIDE2を示す。これらの3枚の基板は、図12に示すように、後述する接続コネクタ(CN1、CN2、SCN1、SCN2)、および、アンテナ接続ケーブルCA1により接続される。そして、これらの3枚の基板BO1〜BO3の形状の概要と接続コネクタの位置関係の概要は、上記図5のようになる。
【0037】
まず、図6および図7に従って、基板BO1(以下、本体ボードBO1とする)の構成の説明する。図6において、本体ボードBO1の第1の主面SIDE1には、図中右側に第1の無線通信半導体集積回路チップ(CHIP1、以下、RFチップと略す)が配置される。そしてRFチップの上方にはRFチップにクロックを供給する第1の水晶振動子X1と、装着者または周囲の温度を測定する温度センサTS1が配置される。なお、温度センサTS1は、後述する信号インタフェースIF1に接続される。
【0038】
図中左側にはアンテナ接続コネクタSMT1と、このアンテナ接続コネクタSMT1に接続されるマッチング回路MA1が配置され、マッチング回路MA1はRFチップの高周波インタフェースRFIOに接続される。
【0039】
図中右上には、第1の主面SIDE1および第2の主面SIDE2の間のインタフェース信号線を通すための基板貫通穴(V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8)、これらの信号線から構成された信号インタフェースIF1、第1の主面SIDE1および第2の主面SIDE2の電源およびグランドを接続するための基板貫通穴VP1、VP2が配置される。また、主面SIDE1の所定の位置にはLED表示器LSC1と電源ラインの電源バイパスコンデンサC1が配置される。
【0040】
本体ボードBO1の第2の主面SIDE2は、図7のように、ほぼ中央部に配置された第2のマイクロコンピュータ半導体集積回路チップ(CHIP2、以下、マイコンチップと略す)と、マイコンチップにクロックを供給する第2の水晶振動子X2が配置される。
【0041】
第2の主面SIDE2の右上には、第1の主面SIDE1との信号インタフェースIF1が配置され、基板BO1の表裏で通信を行う。
【0042】
また、マイコンチップの下方には、IRQ1に接続されたリアルタイムクロック回路RTC1と、マイコンチップCHIP2との接続を制御する第1のシリアルバス制御回路BS1が配置される。
【0043】
図中左下には、第2の基板BO2との接続コネクタCN1が配置され、その上方には、電源回路の電源バイパスコンデンサC2が配置される。
【0044】
なお、図7は、第2の主面SIDE2を裏側(=図6の第1の主面SIDE1)から透視した図面である。このため、本体ボードBO1を第2の主面SIDE2から眺めた場合には、実際には本図面と左右対称に部品配置される。本明細書においては、以下の図面も同様の方式で表示する。
【0045】
マイコンチップには、ランダム書き換え可能なメモリや、プログラムを搭載する不揮発メモリの他に、搭載プログラムで制御可能なプログラマブル入出力回路PIO、アナログ信号をマイコンチップ内部で演算処理可能なデジタル信号に変換可能なアナログ−デジタル変換回路ADC、信号をシリアル線にて外部とデータのやり取りを実行可能なシリアルインタフェース回路(SIO1、SIO2)、外部からの信号によりプログラムの割り込み実行を実現する外部割り込み回路IRQ、および、プログラム書き換えインタフェースDIF等をワンチップに集積されている。
【0046】
また、RFチップには、無線信号を生成するための発振回路、マイコンチップからのデジタル信号を無線信号に変換する変復調回路、無線回路等がワンチップに集積されている。本マイコンチップは、水晶振動子X2で生成されるクロック信号により動作する。同様に、RFチップは、水晶振動子X1にて生成されるクロック信号によって動作する。
【0047】
次に、図8および図9に従って、マザーボードBO2の構成を説明する。図8において、マザーボードBO2の第1の主面SIDE1の上方には、マザーボードBO2の図中上方左側に配置されたアンテナANT1と、アンテナANT1を取り囲むように設置されて電源やグランドの回路パターンを設けない図中斜線の矩形領域で示すグランド/電源層禁止領域NGA20と、グランド/電源層禁止領域NGA20の右側に隣接する位置に配置されたマッチング回路MA2と、このマッチング回路MA2に接続されるアンテナ接続コネクタSMT2と、マザーボードBO2の上方右側に配置されたリセットスイッチRSW1に接続されるパワーオンリセット回路POR1と、パワーオンリセット回路POR1の下方に配置されて表示装置LMon1に接続されるシリアルパラレル変換回路SPC1と、が配置される。グランド/電源層禁止領域NGA20は、アンテナANT1の取り付け位置と、アンテナANT1の周囲の領域で、マザーボードBO2の表面、裏面及び内部に電源やグランド回路の形成を禁止する領域である。換言すれば、マザーボードBO2では、グランド/電源層禁止領域NGA20を除く領域に電源やグランド回路が形成される。
【0048】
そして、マザーボードBO2の主面SIDE1の中央部には、図1で示したように、ケースCASE1の正面でほぼ中央部となるように表示装置LMon1が配置される。ただし、表示装置LMon1は、グランド/電源層禁止領域NGA20に重ならないように設置される。
【0049】
マザーボードBO2の主面SIDE1の中央部に配置された表示装置LMon1の下方には、マザーボードBO2に電力を供給する電源安定化レギュレータREG1と、電池BAT1への充電電力を制御する充電制御回路BAC1と、外部の電源に接続するための充電端子PCN1が、図中下方の左側に配置される。
【0050】
そして、表示装置LMon1とマザーボードBO2の下端の間の主面SIDE1のほぼ中央部には、上記緊急コールスイッチESW1と、センサノードSN1に加わる加速度を測定する加速度センサAS1と、上記測定スイッチGSW1が設けられる。なお、加速度センサAS1は、緊急スイッチESW1と測定スイッチGSW1の間に配置される。
【0051】
そして、マザーボードBO2の周囲の所定の位置には、ケース取り付け穴(TH20、TH21、TH22)と、アンテナケーブル通過穴AH20が形成され、取り付け穴TH20〜22を介してケースCASE1に取り付けられる。
【0052】
また、マザーボードBO2の所定の位置には、第1主面SIDE1および第2主面SIDE2の間のインタフェース信号線を通すための基板貫通穴(V20、V21、V22、V23、V24、V25、V26、V27、V28、V29)が形成され、また、第1の主面SIDE1および第2の主面SIDE2の電源およびグランドを接続するための基板貫通穴(VP20、VP21、VP22、VP23、VP24、VP25)、および、電源バイパスコンデンサC20、C21が所定の位置に配置される。
【0053】
次に、図9はマザーボードBO2の第2の主面SIDE2を示す。図9において、マザーボードBO2の図中上方左側には、電源やグランド回路パターンを設けないグランド/電源層禁止領域NGA20が形成される。そして、マザーボードBO2の図中下方の左側には、電池BAT1が取り付けられる。この電池BAT1は、例えば、充電可能な二次電池などで構成することができる。
【0054】
さらに、マザーボードBO2の第2の主面SIDE2の所定の位置には、データなどを格納する不揮発メモリSROM1と、マザーボードBO2上に電力を供給するための電源安定化レギュレータREG2と、電源安定化レギュレータREG2に接続されて基準電位を生成するアナログ基準電位生成回路AGG1と、基板BO3に接続される接続コネクタSCN1と、電源安定化レギュレータREG2への電力を制御する電源遮断制御スイッチPS21と、本体ボードBO1との接続コネクタCN2に接続されるシリアルバス制御回路BS2と、本体ボードBO1との接続コネクタCN2に接続されて電池BAT1に重なるように配置されたブザーBuz1と、電源バイパスコンデンサC22、C23から構成される。
【0055】
本発明の腕輪型センサノードでは、ユーザ(装着者)が腕に本発明の腕輪型センサノードSN1を装着した場合に安定した無線通信が可能なように、以下のような特有の部品配置を採用している点に特徴がある。すなわち、アンテナANT1を装着時に人体から最も離れた位置、つまり、図8の上辺となるCA−CBライン側に設置する。さらに、アンテナANT1の周囲に、電源やグランド回路パターンを形成しないグランド/電源層禁止領域NGA20を設置する。
【0056】
次に、図10および図11に、マザーボードBO2の背面上部に取り付けられる基板BO3(以下、脈拍センサボードBO3)の構成について説明する。
【0057】
図10において、脈拍センサボードBO3の第1の主面SIDE1は、図中左上の所定の領域に電源やグランド回路パターンを形成しないグランド/電源層禁止領域NGA30を有する。このグランド/電源層禁止領域NGA30は、図5(E)のように、脈拍センサボードBO3は、マザーボードBO2のアンテナANT1を取り付けたグランド/電源層禁止領域NGA20と重なるため、マザーボードBO2のグランド/電源層禁止領域NGA20と対向する領域を、同様に回路パターンを形成しない領域としたものである。
【0058】
そして、脈拍センサボードBO3の第1の主面SIDE1の図中右下には、マザーボードBO2と接続するための接続コネクタSCN2が配置され、接続コネクタSCN2の上方には、第1主面SIDE1および第2主面SIDE2の間のインタフェース信号線および電源/グランド線を接続するための基板貫通穴V30、V31、V32、V33、V34、V35、V36、V37から構成される。
【0059】
そして、脈拍センサボードBO3の周囲の所定の位置には、ケース取り付け穴TH30、TH31、TH32、アンテナケーブル通過穴AH30が形成される。
【0060】
次に、図11は脈拍センサボードBO3の第2の主面SIDE2を示す。この第2の主面SIDE2には、グランド/電源層禁止領域が、主面SIDE1のグランド/電源層禁止領域NGA30領域に対応して図中上方の左側に配置される。
【0061】
そして、脈拍センサボードBO3の第2の主面SIDE2の下端には、図中左右方向に赤外線発光ダイオードLED1、フォトトランジスタPT1、赤外線発光ダイオードLED2からなる脈拍センサヘッド回路PLS1が配置されて脈拍センサを構成する。脈拍センサボードBO3の第2の主面SIDE2の図中左下には赤外線発光ダイオードLED1、2への電力を制御する脈拍センサLED光量制御回路LDD1と、この脈拍センサLED光量制御回路LDD1への電力を制御する電源安定化レギュレータREG3と、この電源安定化レギュレータREG3への電源供給のオン/オフを制御する電源遮断制御スイッチPS31が配置される。
【0062】
そして、主面SIDE2の図中右側の領域には、フォトトランジスタPT1の出力を増幅する脈拍センサ信号増幅回路AMP1が配置される。この脈拍センサ信号増幅回路AMP1の出力などは、第1主面SIDE1および第2主面SIDE2の間のインタフェース信号線および電源/グランド線を接続するための基板貫通穴V30、V31、V32、V33、V34、V35、V36、V37のうち基板貫通穴V31〜V34に接続される。
【0063】
また、ケース取り付け穴TH30、アンテナケーブル通過穴AH30は主面SIDE1と同一である。
【0064】
さらに、脈拍センサボードBO3上の所定の位置には、電源バイパスコンデンサC30、C31が配置される。
【0065】
マザーボードBO2に配置されたグランド/電源層禁止領域NGA20に対向する領域を、脈拍センサボードBO3のグランド/電源層禁止領域NGA30として回路パターンを形成しない領域とした点に特徴がある。これにより、ユーザ(装着者)US1が腕に腕輪型センサノードSN1を装着した場合に、安定した無線通信が実現可能である。
【0066】
図12は、本発明の腕輪型センサノードSN1の基板ユニットの全体の構成を示した図である。上記で説明したように、本発明の腕輪型センサノードSN1は、本体ボードBO1、マザーボードBO2、脈拍センサボードBO3から構成される。このうち、本体ボードBO1とマザーボードBO2は、接続コネクタCN1およびCN2にて接続される。
【0067】
また、マザーボードBO2および脈拍センサボードBO3は、脈拍センサ接続コネクタSCN1およびSCN2にて接続される。さらに、アンテナ接続ケーブルCA1により、本体ボードBO1のアンテナ接続端子SMT1およびマザーボードBO2のアンテナ接続端子SMT2を接続する。これによりマザーボード上のアンテナANT1を使用した無線通信が実現される。
【0068】
接続コネクタCN1およびCN2は、マイコンチップデジタル信号線DP、マイコンチップリセット信号線RES、マイコンシリアルバス制御信号線BC、マイコンチップシリアルバス信号線SB、マイコンチッププログラム書き換え信号線DS、マイコンチップ外部割り込み信号線INT、マイコンチップアナログ信号線AP、電源線VDD、および、グランド線GNDから構成される。これらの信号線のうち、デジタル信号線DP、シリアルバス制御信号線BCは、マイコンチップCHIP2のプログラマブル入出力回路PIOに接続され、マイコンチップ搭載プログラムにより制御可能である。後述するように、マイコンチップ搭載プログラムにより、本発明の腕輪型センサノード特有の動作を実現するために使用される。
【0069】
シリアルバス信号線SBは、マイコンチップ搭載の第2のシリアルインタフェースSIO2に接続される。後述するように、シリアルバス制御信号線BC経由で、本体ボードBO1搭載のシリアルバスセレクト回路BS1、および、マザーボードBO2搭載の第2のシリアルバスセレクト回路BS2を制御する事により、本体ボードBO1に搭載されたリアルタイムクロック回路RTC1、マザーボードBO2に搭載された不揮発メモリSROM1、表示装置LMon1、シリアルパラレル変換回路SPC1といわゆるバス形式にてデータのやり取りが可能である。
【0070】
リセット信号線RESは、マザーボードBO2に搭載されたパワーオンリセット回路POR1により制御される。本パワーオンリセット回路により、電源投入時のマイコンチップのリセット動作が実現される。なお、マザーボードBO2搭載の手動リセットスイッチRSW1により、必要に応じて、リセット信号を発生可能であり、プログラム動作中に強制的に動作を手動でリセットする事も可能である。
【0071】
本体ボードBO1のアナログ信号線APは、マザーボードBO2搭載の加速度センサAS1に接続されるとともに、脈拍センサ接続コネクタSCN1およびSCN2経由で、脈拍センサボードBO3搭載の脈拍センサ信号増幅回路AMP1に接続される。本アナログ信号線AP経由で、マイコンチップ内蔵のアナログ−デジタル変換回路ADCを使用して加速度センサおよび脈拍センサの出力電圧値を読み取る事が可能である。後述するように、本発明の腕輪型センサノードSN1に特有なセンシング制御プログラムにより、これらの2種類のセンサを組み合わせて使用する事により、低消費電力な脈拍センシング動作が実現される。
【0072】
外部割り込み信号線INTは、マザーボードBO2上に搭載された緊急コールスイッチESW1および測定スイッチGSW1に接続され、これらのスイッチを押す事により、マイコンチップに対して割り込み要求を発生させる事が可能である。後述するように、本発明の腕輪型センサノードに特有な緊急コールプログラムと組み合わせて使用する事により、緊急コールのレスポンス性能、すなわち、応答時間を劣化させる事なく、消費電力をほぼ待機状態と同等のレベルにまで抑える事に成功している。
【0073】
書き換え信号線DSは、マイコンチップ搭載プログラムの書き換えに使用する信号線である。適切なインタフェースを有するボードおよびプログラム開発ツールと組み合わせる事により、マイコンチップ搭載プログラムのデバックや書き換え環境を提供するための信号線である。なお、開発環境および書き換え環境その他に関してはここでは特に説明しない。
【0074】
マザーボードBO2と脈拍センサボードBO3を接続する接続コネクタSCN1およびSCN2は、電源線Vbb、AVcc、アナログ基準電位線AAG1、グランド線GND、脈拍センサLED光量制御信号線LDS、脈拍センサLED電源遮断制御信号線PSS、脈拍センサ信号線SAAから構成される。
【0075】
アナログ基準電位信号線AAG1は、マザーボードBO2搭載のアナログ基準電位生成回路AGG1により生成される。本アナログ基準電位AGG1は、脈拍センサボードBO3搭載の脈拍センサヘッド回路PLS1、および、脈拍センサ信号増幅回路AMP1にて、脈拍センサ受光部フォトトランジスタPT1の基準電位として使用される。
【0076】
脈拍センサLED光量制御信号線LDSは、脈拍センサボードBO3搭載の脈拍センサLED光量制御回路LDD1に接続される。マザーボードBO2搭載のシリアルパラレル変換回路SPC1により、シリアルバスSB経由でマイコンチップから本制御信号線をコントロールする事が可能である。本信号線を制御する事により、マイコンチップ搭載プログラムから、赤外線発光ダイオードLED1、2の赤外線の光量を制御可能である。本発明の腕輪型センサノードSN1では、本発明に特有な脈拍センシング制御プログラムとこの制御信号線を組み合わせる事により、消費電力を抑えると同時に安定的な脈拍センシングを実現する。
【0077】
脈拍センサLED電源遮断制御信号線PSSは、光量制御信号線LDSと同様に、マザーボードBO2搭載のシリアルパラレル変換回路SPC1により、シリアルバスSB経由でマイコンチップより制御される。マイコンチップ搭載ソフトウェアにより本制御信号線を非活性化する事により、赤外線発光ダイオードLED1、2への電流供給を遮断する事が可能である。そして、本発明に特有な脈拍センシング制御プログラムと組み合わせる事により、脈拍センサ未使用時の消費電流を最小限に抑える事が可能となる。
【0078】
脈拍センサ信号線SAAは、接続コネクタCN1およびCN2を経由して、マイコンチップ内蔵のアナログ−デジタル変換回路ADCに入力される。本信号線SAA経由で、脈拍センサからの信号をマイコンチップに取り込む事が可能となる。なお、後述するように、本発明に特有な脈拍センシング制御プログラムと組み合わせて使用する事により、脈拍信号を、低消費電力で安定して取得する事が可能となる。
【0079】
<各ボードの動作>
以上が本発明の腕輪型センサノードSN1の構成である。以下、各ボードの動作を本体ボードBO1から順に説明する。
【0080】
図6、図7において、本体ボードBO1は、RFチップCHIP1とマイコンチップCHIP2から構成される。これらの2つのチップはIF1により相互に接続される。マイコンチップは、本ボード搭載の温度等センサTS1や、脈拍センサボードBO3搭載の脈拍センサを制御して、センサデータを取得する。
【0081】
さらに、IF1経由でRFチップを制御してセンサデータの送受信を行う。RFチップは、マイコンチップから送られてくるセンサデータを適切な方式で無線信号に変換して、基地局BS10(図3参照)に設置された無線端末にアンテナANT1を介して無線にて送信する。
【0082】
さらに、必要に応じて、RFチップはアンテナANT1を介して上記基地局BS10からの無線信号を受信する。基地局BS10からは、典型的には、センサデータの取得時間間隔(取得頻度)や、無線通信に使用する無線周波数や伝送レート等の動作パラメータや、後述するように本腕輪型センサノードSN1に搭載する表示装置LMon1に表示させるメッセージ等が送られてくる。
【0083】
なお、基地局BS10から送信されてきた無線信号は、RFチップ内でマイコンチップが取り扱えるデジタルデータに変換された後に、IF1経由でマイコンチップに引き渡される。マイコンチップは、基地局BS10からのデジタルデータの内容を解析して必要な処理を実行する。例えば、動作パラメータを受信した場合には、次回からの無線通信時やセンサ駆動時の設定に反映させる。また、表示メッセージを受信した場合には、シリアルインタフェースを制御してマザーボードBO2搭載の表示装置LMon1に必要なメッセージを表示させる。なお、後述するように、本発明の腕輪型センサノードSN1では、マイコンチップに搭載するプログラムを適宜設定すれば、脈拍や温度等のセンサ情報のみではなく、その他のデータも基地局に送信可能である。例えば、本腕輪型センサノードSN1を装着したユーザUS1の体調が急におかしくなった場合等には、緊急スイッチを押せば、無線通信にて緊急コールを基地局BS10に発報する事も可能である。
【0084】
インタフェースIF1(図6、図7参照)は、RFチップデータ信号線DIO、RFチップセレクト信号線CS、RFチップリセット信号線Rst、RFチップ電源制御信号線Reg、および、RFチップデータ割り込み信号線Dirqから構成される。これらの信号線のうち、RFチップデータ信号線DIOは、マイコンチップの第1のシリアルインタフェースSIO1に接続され、センサデータの送信や動作パラメータ/表示メッセージ等の受信に使用される。また、RFチップセレクト信号線CSは、マイコンチップのプログラマブルデータ入出力ポートPIOによって制御され、無線送受信を行う場合のみ活性化される。同様に、RFチップ電源制御信号線Regは、RFチップの電源オン/オフの目的で使用する信号線であり、マイコンチップのPIOにより制御される。さらに、RFチップリセット信号線Rstは、RFチップ電源投入後にRFチップ内部の各回路ブロックを初期状態に設定して所定の動作を行わせるための制御信号線である。RFチップ電源制御信号線Regと同様に、マイコンチップのPIOにより制御される。
【0085】
また、RFチップデータ割り込み信号線Dirqは、RFチップがデータの送信準備が完了した、あるいは、RFチップ内に基地局から受信されたデータが存在する場合等に、RFチップからマイコンチップへ適切な処理をリクエストする目的の信号線である。このため、マイコンチップの外部割り込み線IRQに接続される。なお、以上で説明した信号線に関してあくまで一例である。使用するRFチップやマイコンチップの種類によって適宜変更すればよい。しかし、それによって本発明の本質が影響されるものではない。
【0086】
図13は、本体ボードBO1の断面図である。この図に示されるように、本体ボードBO1内部には、第1のグランドプレーンGPL1および第1の電源プレーンVPL1が設置されている。グランドプレーンGPL1は、グランド電位に接続される信号線、例えば、VP2等に基板内部で接続され、グランド電位に固定されている。また、電源プレーンVPL1は、同様に、電源ラインVDDに接続された信号線、例えば、VP1等に基板内部で接続され、電源ラインVDDに固定されている。なお、本発明の腕輪型センサノードでは、これらの2つの導電プレーン層を本体ボードBO1の2つの主面SIDE1とSIDE2間のシールドとして使用する。通常、SIDE2に実装されたマイコンチップに代表されるデジタル回路にて発生するノイズは、そのままであればSIDE1上に搭載されたRFチップに回り込んでしまい、受信感度に悪影響を及ぼす。しかし、基板内部にこれらグランド電位あるいは電源電位に接続した導電層を設置すると、そのシールド効果により、SIDE1面に回りこむノイズ成分を低減する事が可能となる。その結果、限られた実装面積制限の中で、ノイズを効果的に抑えてRFチップの実効的な受信感度を向上させる事が可能となる。本方式は、受信感度の向上以外にも、デジタル回路で発生したノイズが、不要なスプリアス成分としてアンテナから放射されるのを防止するのにも効果的である。
【0087】
<本体ボードBO1の詳細な動作>
以下、図6、図7を参照して、本発明の本体ボードBO1のRF部の構成および動作を説明する。RFチップは、本発明に特有なものではないので、内部構成の詳細については特に説明しない。一般的には、デジタルインタフェース(図6のDIO、CS、Rst、Reg、Dirq)部、高周波インタフェース部RFIO、クロック発振部OS1、および、電源部Vddから構成される。
【0088】
デジタルインタフェース部は、マイコンチップとのデータのやり取りを行なう。既に説明したように、本発明の腕輪型センサノードSN1で使用しているRFチップでは、マイコンチップからの制御信号により発振回路OSCを停止させて、さらに、RFチップの電源供給を遮断する事により、RFチップ全体を待機状態に移行させる事も可能である。この場合、RFチップの消費電流を、典型的には1μA以下にまで削減可能である。
【0089】
高周波インタフェース部RFIOでは、RFチップ内部で生成されたキャリア信号と、マイコンチップからのデータ信号から、無線通信信号を生成し、マッチング回路MA1経由でアンテナANT1に送信する。受信時には、無線信号が、アンテナANT1からマッチング回路MA1を経由して、高周波インタフェース部で復調された後に、復調後のデータ信号をデジタルインタフェース部DIO経由でマイコンチップに送る。クロック発振部では、水晶振動子X1からRFチップが動作するのに必要なクロックを生成する。
【0090】
なお、以上のRFチップの説明においては、本発明の説明に必要な部分のみに簡略化してある。実際には、これ以外にも様々な回路ブロックが集積可能である。しかし、それによって、本発明の本質がそれで影響されるものではない事は言うまでもない。以下、その他の構成部品について動作および構成を説明する。
【0091】
マッチング回路MA1の役割は以下である。すなわち、RFチップの入出力インピーダンスと、アンテナANT1の入出力インピーダンスをマッチングさせ、高周波無線信号がこれらの素子の間でロスなく伝達できるようにするための回路である。このマッチング回路MA1は、基本的には、インダクタ/コンデンサ等の受動部品で構成される。本発明の本質に関わる部分ではないためここでは詳細は説明しない。
【0092】
次に本体ボードBO1のデジタル部について説明する。デジタル部の主要部品であるマイコンチップCHIP2は、ランダムアクセスメモリ/不揮発メモリ、プロセッサ、シリアルインタフェース、A/D変換回路、プログラマブル入出力回路、外部割込み回路等から構成される。これらの回路ブロックは、内部バスにより相互に結合され、データのやり取りや、制御が相互に可能となっている。なお、上記図7では、本発明の説明に必要な部分のみ図示してある。なお、マイコンチップの不揮発メモリ上には、後述する本発明に特有な制御方式を実現するためのソフトウェアが搭載される。搭載されたソフトウェアに従ってプロセッサCPUがマイコンチップ内の他の回路ブロックを制御して、所望の動作を実現する。また、既に説明したようにシリアルインタフェース回路SIOは、RFチップとのデータのやり取りに使用される。さらに、RTC等データのやり取りにも使用される。さらに、AD変換回路ADCにより、アナログタイプのセンサのデータを読み込む。さらに、プログラマプル入出力回路PIOにより、既に説明した各種信号線を制御して、本発明の腕輪型センサノードの回路の各ブロックを所望の動作モードに設定する。
【0093】
温度センサTS1はアナログタイプのセンサであり、本発明の腕輪型センサノードSN1を装着したユーザ(装着者)の体温や環境温度を測定する。センサTS1からの温度データは、図7のADCにて、デジタル量に変換され、必要に応じてマイコンチップのランダムアクセスメモリあるいは不揮発メモリに格納される。なお、後述する間欠動作による低消費電力化の目的で、本発明のセンサノードSN1では、マイコンチップのPIO(P8)により、温度センサTS1の電源供給を行なう。すなわち、温度センサの使用時のみ、図7のパラレル信号線P8を“1”に設定し、温度センサに電源供給してセンサを起動して、温度センサTS1の値を読み取る。読み取り終了後、PIO/P8を“ハイインピーダンス状態”に戻して、電源供給を遮断する。これにより、温度センサTS1の不要な電力消費を抑える。温度センサTS1は典型的には消費電流が5μAであるので、マイコンチップのPIO出力を直接、温度センサTS1の電源として使用可能である。
【0094】
なお、温度センサTS1に、例えば、高精度なタイプを使用したい場合等は、消費電流が数mA以上になってしまう、この場合には、後述する電源遮断スイッチをマイコンチップのPIOにより制御して、センサへの電源供給を制御する構成がより好適である。
【0095】
図16は、LED表示器LSC1の構成例である。通常は、図16(b)で示すように、マイコンチップのPIOにて直接駆動するタイプで十分である。LED表示器の光量をより明るくしたい場合等には、図16(a)で示すように、インバータIV1により電流増幅を行なうタイプのものも使用可能である。なお、インバータは単に電流増幅の目的で使用している。このため、特にインバータに限らずに、例えば、バイポーラトランジスタや、MOS型トランジスタ等の、電流増幅が可能な他の素子も使用する事も可能である。
【0096】
図7のリアルタイムクロックモジュールRTC1は、マイコンチップの待機時の消費電流を削減して、間欠動作時の消費電力を低減する目的で使用される。間欠動作では、ある一定間隔で回路を起動して、所望の動作を行い、動作終了後に即座に回路を待機状態に移行させる事により、平均的な消費電力を抑える方式である。
【0097】
センサノードSN1の低消費電力化には極めて好適な低電力方式である。例えば、本発明の腕輪型センサノードSN1では、特別な事情がない限り、典型的には、5分〜1時間間隔でセンシングが実行できれば十分である。残りの時間は、不要な部分への電源供給を遮断して、電池の長寿命化が達成できた方が好ましい。この間欠動作には、タイミング信号、すなわち、センシングの時間間隔等の基準時間信号が不可欠である。一般には、このタイミング信号は、センサノードSN1に搭載されるマイコンチップにより生成される。しかし、マイコンチップにてタイミング信号を発生させるには、クロックX2にてマイコンチップを継続的に動作させ続ける必要がある。現状の半導体テクノロジの場合、典型的には、マイコンチップによりタイミング信号を発生させると、現状の半導体テクノロジでは、10μA程度の電流が消費されてしまう。このため、本発明の腕輪型センサノードSN1では、専用の低消費電力なリアルタイムクロックモジュールRTC1を外付けとして、このモジュールRTC1によりこのタイミング信号を発生させる方式を採用した。なお、専用のリアルタイムクロックモジュールとしては、現時点の半導体テクノロジにおいても、消費電流が0.5μA程度のものが入手可能である。また、マイコンチップは上記間欠動作のタイミング信号を生成する必要がなくなるため、クロックX2を停止することが可能となる。つまり、マイコンチップをより低消費電力な動作モードに移行させる事が可能となる。典型的には、マイコンチップ内のレジスタおよびランダムアクセスメモリの内容保持が保障される、いわゆるソフトウェアスタンバイ動作モードでも、消費電流を1μA以下に抑える事が可能となる。つまり、消費電力をマイコンチップにてタイミング信号を発生させた場合の1/10に削減する事が可能となる。
【0098】
間欠動作のタイミング信号をRTC1にて発生させる方式では、RTC1からのタイミング信号によって、マイコンチップをソフトウェアスタンバイ動作モードから復帰させる必要がある。また、基地局からの動作パラメータ変更要求等に応じるためには、間欠動作間隔等を変更できるようにする必要がある。これらの目的で、本発明の腕輪型センサノードSN1では、リアルタイムクロックモジュールRTC1のタイマ出力をマイコンチップの外部割込み回路IRQの入力端子I1に接続する。これにより、RTC割込みによりソフトウェアスタンバイ動作モードからの復帰が可能となり、適切なプログラムをマイコンチップに搭載すれば間欠動作によるセンシングが実現される。さらに、RTC1をシリアルバス信号線SBに接続する事により、RTC1のタイミング信号間隔等を変更可能な構成としている。
【0099】
図7のシリアルバス信号線SBには、RTC1以外にも様々なデバイスが接続される。例えば、マザーボードBO2搭載の表示装置LMon1、不揮発メモリSROM1等が、いわゆるバス形式で本シリアルバス信号線に接続される。このため、これらのデバイスとの間でシリアルバスの排他制御を行なう必要がある。本目的を達成するために、本発明の腕輪型センサノードSN1では、シリアルバス制御回路BS1、BS2を搭載する。
【0100】
図17に上記シリアルバス制御回路の構成例を示す。シリアルバス制御回路BS1の入力端子BI1〜BI3は、シリアルバス制御信号線BCに接続され、マイコンチップ搭載のPIO(P9、P10、P11)により制御される。本入力端子からの論理信号は、論理ゲートAG100〜AG107の8ビットにてデコードされる。例えば、BI1、BI2、BI3=”0”,”0“,”0“の場合にのみ、BE0出力が”1“になり正論理で活性化するデバイスの活性化信号として使用可能である。また、負論理で活性化するデバイスの場合には、例えば、AG107に示すタイプの論理ゲートを使用すれば良い。このような方式で、図17に示すシリアルバス制御回路BS1により、シリアルバス信号線SBに接続される各デバイスを排他的に選択する事が可能となる。なお、図17に示す論理回路はあくまでも原理説明のためのものである。実際には、様々な形式の回路構成が使用可能である。
【0101】
以上が本体ボードBO1の説明である。以下、マザーボードBO2に関して説明する。
【0102】
<マザーボードBO2の詳細>
図8、図9において、マザーボードBO2で最も特徴的なのは、良好な無線通信感度を得る目的で、図中上辺となるCA−CBライン寄りに設置したアンテナANT1と、ANT1周囲に設置した、グランド/電源層禁止領域NGA20である。これらに関しては、既に説明したように、センサノードSN1を腕に装着したときに、アンテナANT1を人体から最も離れた位置、つまり、CA−CBライン側に設置する。さらに、アンテナANT1の周囲に、グランド/電源層禁止領域NGA20を設置することにより良好な感度と安定した通信を実現できるのである。
【0103】
以下、マザーボードBO2の他の回路ブロックに関して説明する。
【0104】
まず、マッチング回路MA2およびアンテナ接続コネクタSMT2であるが、これらは、アンテナ接続ケーブルCA1経由で本体ボードのRFチップに接続される。マッチング回路MA2の目的は以下である。すなわち、アンテナANT1とアンテナ接続コネクタSMT2間のインピーダンスマッチングを行なって、アンテナ接続ケーブルからの高周波無線信号をロスなくアンテナに伝達する。同時に、アンテナANT1で受信された高周波無線信号をロスなくアンテナ接続ケーブル経由でRFチップに伝達する。なお、マッチング回路MA2に関しては、通常のタイプのものが使用可能であり、本発明に特有のものではないので、ここでは詳細に説明しない。
【0105】
次に、パワーオンリセット回路POR1であるが、本回路は、電源投入時に本体ボードBO1搭載のマイコンをリセットするための信号を生成する回路である。なお、本パワーオンリセット回路は、手動スイッチRSW1を押す事によってもリセット信号を発生可能である。マイコンチップが動作中に何らかの原因で暴走した場合等に有効である。なお、本パワーオンリセット回路に関しても、一般的な回路が使用可能であり、特に本発明に特有なものではないので、詳細に関してはここでは説明しない。
【0106】
次に、シリアルパラレル変換回路SPC1は、脈拍センサLED光量制御信号線LDS、および、脈拍センサ電源遮断制御信号線PSS経由で、脈拍センサの動作モードを設定するための回路である。本シリアルパラレル変換回路SPC1回路は、シリアルバス信号線SBに接続され、シリアルバス経由でマイコンチップ搭載プログラムにより制御可能である。なお、既に説明したように、シリアルバスSB経由でマイコンチップからアクセスする際には、SIDE2面に実装されたシリアルバス制御回路BS2(図9)にて、あらかじめ本SPC1回路を活性化する必要がある。
【0107】
次に、表示装置LMon1は、マイコンチップからの表示リクエストにより、文字列およびグラフィックスを表示可能な表示装置である。本表示装置は、小型電池BAT1で長時間動作可能とするために、低消費電流のものが好ましい。このため、低消費電力で表示可能なモノクロLCD等の表示装置が好適である。また、視認性その他の観点からあまり細かいドット(解像度)は不適切である。さらに、腕輪型センサノードSN1ではサイズの制約が厳しい。このため、典型的には32×64ドット程度の表示ドットを有するモノクロタイプのLCDが本腕輪型センサノード好適である。消費電流はLCD表示サイズによって大きく変わるが、32×64程度のドット数の場合、典型的には、消費電流値は0.1mA程度である。なお、本LCD表示装置に関しても、ユーザが未使用な場合(例えば、就寝時など)には、電池寿命の観点から消費電流を低減できるスタンバイモードを有するタイプのものが好適である。現状のテクノロジだと、典型的には、スタンバイ時の消費電流を1μA以下のものが入手可能である。特に本発明に特有なLCDは不要である。一般的なLCDが使用可能である。ここでは詳細に関しては説明しない。
【0108】
表示装置LMon1への表示制御は、シリアルバス信号線SBにてマイコンチップ搭載プログラムによって実行する。なお、既に説明したように、LMon1へのアクセスに先立って、シリアルバス制御回路にて、シリアルバスの使用権をLMon1に設定して、LMon1のチップイネーブル端子CEを活性化する必要がある。なお、表示するデータに関してはドットタイプなのでグラフィックス表示が可能である。しかし、基地局BS10からただ単に文字列メッセージを表示させたい場合に、その都度、文字列メッセージを32×64ドットのグラフィクスに変換してダウンロードさせるのは、無線データのサイズが大きくなってしまって、無線区間の利用効率の点から不利である。一方、マイコンチップ内蔵の不揮発メモリにあらかじめ文字フォントを用意しておけば、基地局BS10からダウンロードさせるのは、表示させたいメッセージの文字コードのみとなり、無線データサイズを大幅に削減可能となる。しかし、通常のマイコンチップ内蔵の不揮発メモリのサイズは、現状の半導体テクノロジでは、大きいものでもせいぜい128KB程度であり、すべての漢字を文字フォントとして内蔵するのは不可能である。つまり、漢字を含んだ任意の表示メッセージに対応するのは、現実的ではない。このため、本発明の腕輪型センサノードでは、よく使う文字(漢字も含む)のみマイコンチップ内蔵の不揮発メモリにフォントを内蔵し、それ以外の文字を表示させたい場合には、文字メッセージのダウンロードに先立って、必要な文字フォントを基地局よりダウンロードさせる方式を採用している。本方式により、無線区間の利用効率を低下させずに、また、通常のマイコンチップのみで、漢字を含む任意の文字を表示させる事が可能となる。以上のように本方式は、腕輪型センサノードに好適な表示制御方式である。
【0109】
次に、レギュレータREG1(図8)は、SIDE2に搭載する2次電池BAT1から供給される電源ラインVbbから、安定化した電源ラインVDDを生成するのに使用する。2次電池BAT1に関しては、典型的には、小型化が可能で、しかも、大電流放電特性に優れた、リチウムイオン2次電池が好適である。しかし、リチウムイオン2次電池は、放電開始電圧が4.2V程度である。一方、現時点で最もポピュラーは半導体テクノロジを使用した場合には、RFチップおよびマイコンチップともに、動作電圧の最大値は、3.8V程度である。つまり、リチウムイオン電池BAT1からそのまま電源供給を行なう事は不可能である。さらに、リチウムイオン電池は、放電に伴って比較的なだらかに電池電圧が減少し、一般的な放電終了電圧の推奨値は、3.2V程度である。つまり、放電深度によって広範囲にわたって電池電圧が変動する。このため、レギュレータによる電源電圧VDDの安定化が好ましい。なお、本レギュレータに関しては、一般的な、低ドロップ/低消費電流タイプのものが使用可能であるので、ここでは詳細に説明しない。現状の半導体テクノロジだと、ドロップ電圧が0.2V以下で、消費電流が1μA程度のものが入手可能である。
【0110】
次に、緊急スイッチ回路ESW1、測定スイッチ回路GSW1に関して説明する。図18の(a)、(b)にこれらの回路構成例を示す。図18(a)は緊急スイッチESW1の構成を示し、(b)は測定スイッチGSW1を示す。本図に示されるように、これらのスイッチ回路ESW1、GSW1は、ケースCASE1からアクセス可能な押しボタン型のスイッチSW1、SW2とプルアップ抵抗RI1、RI2、および、ノイズ除去コンデンサCI1、CI2から構成される。スイッチ回路の出力EIRQ、GIRQは、マイコンチップの外部割込み入力IRQ/I2、I3線に接続される。装着者がスイッチSW1またはSW2を押す事により、プルアップ抵抗RI1、RI2によりプルアップされている割込み入力線が“0”レベルに落ちる事により、マイコンチップに対して割込み信号を生成可能である。後述するように、本スイッチとマイコンチップ搭載プログラムを組み合わせて使用する事により、緊急コール等を基地局に通知可能である。なお、図18に示す回路において、コンデンサCI1、CI2は、チャタリング信号除去の他に、ノイズによって誤って割込みがかかるのを防ぐ目的のコンデンサである。本図に示されるように、スイッチSW1、あるいは、SW2が押されている場合には、RI1、RI2のプルアップ抵抗に電流が流れてしまう。このため、消費電流を抑えるためには、プルアップ抵抗RI1、RI2を高抵抗値に設定する必要がある。典型的には、100KΩ以上に設定するのが好ましい。しかし、一方で、プルアップ抵抗を高く設定すると、一般には、ノイズに対して敏感になり、ノイズ耐性が悪化してしまう。このため、本図に示すように、コンデンサにより積分回路を構成させる方式が、消費電力と耐ノイズの観点から好適である。
【0111】
次に、図19(a)は充電制御回路BAC1を示し、(b)は充電端子PCN1を示す。外付けの充電器と充電端子PCN1と組み合わせて使用する事により、内蔵する2次電池BAT1を取り外さずに、なおかつ、腕輪型センサノードSN1の動作を中断せずに充電可能とするための回路である。
【0112】
以下、本図に従って動作を説明する。まず、通常動作時には、充電制御回路PI端子には何も接続されない。このため、図8の内蔵電池BAT1を接続されたBA端子→ダイオードD2→PO端子の経路にて、内蔵電池BAT1から、マザーボードのレギュレータREG1へ電力供給が行なわれる。次に、充電時の動作を説明する。充電時には、まず、外部充電器にて、充電端子PCN1経由で充電制御回路BAC1の充電制御端子CIを“0”レベルに設定する。充電端子CIを“0”に設定する事により、充電制御のP型MOSトランジスタMP5が導通状態になり、外部充電器→PI端子→MP5→BA端子→内蔵電池BAT1の経路にて充電が可能となる。あとは、外部充電器側で、充電制御回路BAC1の端子PIの電圧を適切にモニタする。そして、端子PIの電圧が、規定電圧に達したら、充電制御端子CIを“1”に設定して、P型MOSトランジスタを遮断して、充電を終了させる。なお、充電制御方式に関しては、一般的なCCCV等の充電制御方式が適用可能であるため、ここでは詳細に関しては説明しない。
【0113】
充電の際にも、本腕輪型センサノードSN1への電源供給は、PI端子→ダイオードD1→PO端子の経路にて供給可能である。つまり、充電状態でも腕輪型センサノードへの電源供給は遮断されない。言い換えると、腕輪型センサノードの動作を中断させる事なく充電が可能である。以上のように、本充電制御回路BAC1を使用する事により、使いながらの充電が可能となり、本腕輪型センサノードに好適な充電が実現可能である。
【0114】
次に、加速度センサAS1であるが、本センサは、ユーザが動いているかどうかを検出する目的のセンサである。本加速度AS1センサは、典型的には、アナログタイプものであり、マイコンチップ内蔵のAD変換回路によりデジタル値に変換して適切な検知プログラムにより、ユーザの状態を検知可能である。後述するように、本加速度センサで取得したユーザ状態とマイコンチップ搭載プログラムを組み合わせて使用する事により、低消費電力で安定して脈拍をセンシングする事が可能となる。本加速度センサAS1には、スタンバイ動作モードをサポートしたタイプのものを使用する。これは、小型電池BAT1にて長時間動作を実現するために、本腕輪型センサノードSN1では、未使用時には加速度センサAS1を待機状態に設定して消費電力を抑える必要があるからである。現状の半導体テクノロジでは、特に問題なく、スタンバイ時の消費電流が1μA以下の加速度センサAS1が入手可能である。また、動作時の消費電流に関しても、1mA程度以下、典型的には0.5mA程度の加速度センサが入手可能である。なお、スタンバイ状態への移行制御であるが、本腕輪型センサノードでは、加速度センサAS1のスタンバイ設定端子STBをマイコンチップのPIOにて活性化する事により実現している。
【0115】
その他、図8、図9のケース取り付け穴TH20、TH21、TH22、AH20に関しては、既に説明したのでここでは説明しない。また、コンデンサC20、および、C21は、電源の安定化を目的とした、いわゆるパスコンである。
【0116】
以上が、マザーボードBO2のSIDE1であったが、次に、SIDE2に関して説明する。まず、SIDE1と同様に、アンテナANT1の無線通信感度を確保するために、グランド/電源層禁止領域NGA20を、SIDE1に実装したアンテナANT1の裏面に設置する。
【0117】
次に、不揮発メモリSROM1回路であるが、本回路は、ランダムにアクセス可能であり、しかも、電源オフ時に消滅して欲しくないデータ、例えば、無線で使用するMACアドレス等の情報を格納する目的の回路である。この種の不揮発メモリとしては、シリアルEEPROMが最もポピュラーである。コストやメモリ容量の点で一番有利である。典型的には100KB程度のメモリサイズのEEPROMが安価に入手可能である。このため、本腕輪型センサノードでも、シリアルEEPROMが好適である。なお、シリアルEEPROMは、シリアルインタフェースにてデータの読み書きを行なう必要がある。この目的で、本腕輪型センサノードでは、マイコンチップから表示装置LMon1等と同様の方式で、シリアルインタフェース経由でアクセスする方式を使用している。
【0118】
次に、レギュレータREG2であるが、本レギュレータは、加速度センサや脈拍センサの動作に必要なアナログ電源電圧AVccを生成するための回路である。既に説明したREG1とは異なり、電圧安定の他にも電源ラインから、これらのセンサに回り込むノイズを最小限するのが主たる目的である。これは、後述するように、脈拍センサボードBO3搭載の脈拍センサ信号増幅回路AMP1がその構成上ハイゲインアンプを内蔵するため、ノイズに敏感である。このため、電源から回り込むノイズも最小限に抑える必要がある。なお、このような低ノイズタイプのレギュレータは、消費電流が大きいという欠点がある。例えば、典型的には、100μA程度の電流を常時消費してしまい、そのままだと本腕輪型センサノードには使用できない。この問題を解決するために、本腕輪型センサノードでは、電源遮断スイッチPS21により、アナログ電源電圧AVccが不要な場合には、レギュレータREG2への電流供給を遮断する。これにより、待機時の消費電流を抑えた上で、上記ノイズの問題を解決する事が可能となる。
【0119】
図20に電源遮断スイッチPS21(PS31)の構成例を示す。図20の(a)に示すタイプでは、制御線SC10を“1”にする事により、VI10端子→VO10端子への電源供給を遮断可能である。また、図20の(b)に示すタイプでは、制御線SC20を“0”にする事により、VI20端子→VO20端子への電源供給を遮断可能である。なお、図20の(a)のタイプは、制御線SC10を駆動する制御回路の電源電圧とVI10に印加される電圧が同じ場合に好適な電源遮断スイッチである。一方、図20の(b)のタイプは、制御線SC20を駆動する制御回路の電源電圧とVI20端子に印加される電圧が違う場合に好適な電源遮断スイッチである。
【0120】
次に、アナログ電位生成回路AGG1であるが、本回路は、後述する脈拍センサ信号増幅回路AMP1で必要なアナログ基準電位を生成する回路である。図21に本回路の構成例を示す。図21に示されるように、R30およびR31で分割されて生成された中間電圧を、オペアンプA30で構成したボルテージフォロワにて安定化して、AG端子に出力する回路である。なお、本回路においては、R30およびR31による抵抗分割により中間電圧を発生するため、動作時には定常的に電流が流れてしまう。本回路の電源VccはAVccであるため、AVccを電源遮断スイッチPS21によってオフにすれば電流は一切流れない。しかし、動作時に不要な電流が消費されるのは好ましい事ではない。このため、R30、R31を高抵抗に設定して、電流消費を抑えるのが好適である。また、R30、R31を高抵抗にすると、中間電位点にノイズが乗りやすくなり、好ましくない。この問題を解決するために、ノイズ除去用のコンデンサC30、C31、C32、C33を追加するのが好適である。
【0121】
その他、ブザーBuz1は、ユーザインタフェースに使用するデバイスであり、マイコンチップ搭載プログラムにより、ブザーのオン/オフが設定可能なタイプである。また、コンデンサC22、C23は、電源用のバイパスコンデンサである。残りの、接続コネクタSCN1、CN2、および、内蔵電池BAT1に関しては、既に説明したので、ここでは説明しない。
【0122】
<脈拍センサボードBO3の詳細>
以下、脈拍センサボードBO3に関して説明する。脈拍センサボードは、既に説明したように、赤外LED(赤外線発光ダイオードLED1、LED2)により、赤外光を腕に照射して、腕の皮下に流れている血流の変動を散乱光の変動として、フォトトランジスタPT1にて検知して脈拍を抽出する。この目的を達成するために、本ボードは、上述のような脈拍センサヘッド回路PLS1(図11)を搭載する。脈拍センサヘッド回路PLS1は図23(a)のように、赤外LED(LED1、LED2)と、フォトトランジスタPT1から構成される。
【0123】
これらのデバイスを使用して脈拍を検知する方法に関しては既に説明したのでここでは説明は省略する。なお、図23(b)に示すように、脈拍センサヘッド回路PLS1は、フォトトランジスタではなく、フォトダイオードも使用可能である(図中PLS20)。
【0124】
次に、脈拍センサ信号増幅回路AMP1に関して説明する。既に説明したように、脈拍センサヘッド回路のフォトトランジスタPT1にて、血流強度変化に応じた電流変化が得られる。しかし、一般には、その電流変化量は極めて微弱である。このため、本信号増幅回路にて、マイコンチップ内蔵のAD変換回路にて十分に検知可能なレベルにまで増幅する必要がある。
【0125】
図24に本信号増幅回路の構成例を示す。フォトトランジスタPT1からの電流は、オペアンプA40、R40で構成されたI−V変換回路にて電圧信号に変換される。本I−V変換回路では、R40、C40にて構成されるLPF特性を持たせる事により、蛍光灯のちらつきなどに伴う電流変動分、つまり、目的の血流変動信号からみると単なるノイズでしかない信号成分を除去する。なお、R40およびC40で形成されるカットオフ周波数は、脈拍周期よりも十分高く設定する必要がある。
【0126】
以上のようにして、電圧信号に変換した後に、オペアンプA41、R43、R42、C42で形成した非反転増幅回路にてさらに増幅を行ない、マイコンチップ内蔵のAD変換回路に必要なレベルにまで増幅を行なう。なお、本非反転僧服回路にてもC42およびR43にてLPF特性を持たせているが、これも、蛍光灯のちらつき等に起因するノイズ信号を除去するためである。
【0127】
図25に、本信号増幅回路の各部の信号波形例を示す。この図で、TP1区間は、本脈拍センサが腕に装着されてない場合の波形例である。
【0128】
図中WD1が、図24のDO出力端子、すなわち、1段目のI−V変換回路の出力波形例である。また、WA1が、図25のAA出力端子、すなわち、2段目の非反転増幅器の出力波形例である。この場合、外乱光により、過大な電流がフォトトランジスタから出力され、その結果、1段目のオペアンプA40が飽和状態であることがわかる。
【0129】
次に、TP2区間は、脈拍センサが腕に適切に装着され、しかも、赤外LEDの光量の必要かつ十分な場合である。WD2がD0出力端子、WA2がAA出力端子の波形例である。この場合には、1段目のオペアンプも飽和せずに正常動作する。しかも、蛍光灯のちらつき等によるノイズ成分もきれいに除去される。なお、この場合には、WA2の振幅は照射する赤外LEDによって制御可能である。すなわち、振幅が不足気味の場合、脈拍センサLED光量制御回路LDD1を制御して、赤外LED光量を多くする。また、振幅が十分で、1段目のオペアンプA40が飽和気味の場合には、逆に赤外LED光量を少なくする。このように、LED光量制御回路LDD1と組み合わせる事により最適な状態での脈拍センシングが可能となる。
【0130】
最後にTP3区間は、脈拍センサは腕に装着されているが、ユーザ(装着者)が動いている、例えば、走っている場合の、D0およびA0出力の波形例である。この場合には、WA3およびWD3に示されるように乱れた波形しか取得できずに正常な脈拍は検知できない。これは、脈拍センサが腕に密着されずに、脈拍周期よりもずっと短い時間間隔で、外乱光にさらされ、その結果、1段目のオペアンプA40が飽和状態と正常動作状態を行きしているためである。このように、信頼できる脈拍を検知するためには、ユーザが安静状態にある間に、センシングを行なう必要がある。
【0131】
次に、LED光量制御回路LDD1を説明する。図22に本回路の構成例を示す。本回路はN型MOSトランジスタMN0〜MN3および抵抗RL1〜RL3により構成した回路例である。本回路では、ED光量制御信号線LDCを制御して、MOSトランジスタMN1〜MN2のオン/オフを制御する事により、LEDに流れる電流を制御する事が可能である。
【0132】
次に、レギュレータREG3は、脈拍センサ赤外LEDに供給する電源のノイズを除去するためのレギュレータである。LED駆動電源にノイズが乗ってしまうと、LEDから照射される赤外光がノイズ信号にて変調されてしまって、結局、フォトトランジスタPT1で、ノイズ成分が電流変動として検出されてしまう。その結果、脈拍センサ信号増幅回路にて増幅され、脈拍を誤検出する可能性がある。このため、可能な限り、クリーンな、ノイズ除去された電源にてLEDは駆動するのが好ましい。このため、マザーボードBO2に搭載した同じタイプの低ノイズタイプのレギュレータを使用する。なお、図5の説明の項で既に説明したように、低ノイズタイプのレギュレータは消費電流が無視できない。このため、未使用には、図5と同様の方式、すなわち、電源遮断スイッチPS31(図11)にて、レギュレータへの電源供給を遮断するのが、消費電力の観点から好ましい。
【0133】
<センサノードの構成による効果>
本発明のセンサノードSN1では、上述のように、チップ型誘電体アンテナで構成されたアンテナANT1を、人体から最も遠ざかった腕時計における12時方向のケースCASE1内に配置することで、無線通信感度が最大となるように設定でき、この結果、無駄な電力の消費を抑制できるのである。
【0134】
上述したように、図5(B)の正面図において、紙面の上下方向(腕時計における12時方向と6時方向)に指向性を有する。このため、アンテナANT1を、図5に示す配置とは逆に、ケースCASE1の下部に配置すると、表示装置LMon1が障害物となり、また、人体に近づくため無線通信感度が大幅に劣化してしまう。したがって、無線通信感度が最大となるケースCASE1の上方(アナログ式腕時計における12時方向)にアンテナANT1を配置することで、無線通信感度を向上させることができる。
【0135】
さらに、右利きのユーザが装着する例が高い左腕に腕輪型センサノードSN1を装着することを考慮すると、図5(B)でケースCASE1のように、ケースCASE1の上部左側にアンテナANT1を配置することで、左腕の甲から離れた位置に配置でき、無線通信感度をさらに向上させることができる。
【0136】
さらに、本発明の腕輪型センサノードSN1では、マザーボードBO2および脈拍センサボードBO3に、良好な無線通信感度を得るために、アンテナANT1を取り囲むように電源やグランド回路を配置しないグランド/電源層禁止領域NGA20、NGA30を設置した点に特徴がある。
【0137】
このグランド/電源層禁止領域NGA20およびNGA30には、部品を配置する事ができない。このため、単純に実装の小型化の観点から考えると不利である。しかし、サイズの制約から、腕輪型センサノードに内蔵可能なアンテナは、無線電波の波長よりも短いサイズで良好な感度を実現可能なチップ型誘電体アンテナである。このチップ型誘電体アンテナは、原理上、良好な無線通信感度を得るためには、グランドからの距離をある程度を離した位置に実装して使用する必要がある。上記理由で、本発明の腕輪型センサノードSN1では、グランド/電源層禁止領域を設置する事により、良好な無線通信性能を確保する。つまり、基板ユニット(マザーボードBO2、脈拍センサボードBO3、本体ボードBO1)上でアンテナANT1のインピーダンスマッチングを取った上で、上述のように腕時計における12時方向にアンテナANT1を配置することで、人体の影響を受けにくくして無線通信感度を向上させることができるのである。
【0138】
なお、図14、図15に示すように、これらのグランド/電源層禁止領域NGA20、NGA30は、基板表面だけではなく、基板の内装に実装しているシールド目的のグランド/電源層にも設置する必要がある。図14は、マザーボードBO2の基板内部に実装された、グランド層GPL20、および、電源層VPL20の構成を示した図である。また、図15には、マザーボードBO2に重なる脈拍センサボードBO3の基板内部の、グランド層GPL30、および、電源層VPL30の構成を示した図である。本発明の腕輪型センサノードSN1では、上記理由により、これらのグランド/電源層GPL20、30/VPL20、30にも、グランド/電源層禁止領域NGA20、NGA30を設置する点に特徴がある。さらに、図14、図15に示したグランド/電源層では、アンテナ自体のグランドも確保することにより、安定した通信を実現することが可能になる。
【0139】
さらに、本発明の腕輪型センサノードSN1では、アンテナANT1を搭載したマザーボードBO2を、腕に装着した場合に、腕に接する面と反対側の面に来るように配置する点に特徴がある。2.4GHz等の無線信号から見ると、腕はグランド電位と等しく見える。つまり、腕からアンテナまでの距離がいわゆるアンテナの地上高に相当する。良好な無線通信性能を実現するためには、一般に、アンテナの地上高を高く設定するのが望ましい。このため、アンテナANT1をマザーボードBO2のSIDE1面に実装し、その他の、本体ボードBO1および脈拍センサボードBO3を、マザーボードの裏面に配置して、アンテナの地上高を稼ぐという、本発明に特有な配置により、アンテナの放射特性を劣化させずに良好な無線通信感度が実現可能となる。
【0140】
さらに、図5(E)に示したように、本発明の腕輪型センサノードSN1に特有な配置として、本体ボードBO1、および、内蔵電池BAT1を、アンテナANT1から見て、マザーボードBO2の反対側に実装する。既に説明したように、本体ボードBO1の内部には、本体ボードSIDE2に搭載したデジタル回路から、SIDE1に実装したRFチップに回り込むノイズを抑える目的で、電源およびグランド電位に接続された2枚の金属導電層を設置してある。さらに、電池に関しても、一般に電解液の漏出を防止する目的で金属ケースに封止されている。電位的にはこの電池の金属ケースもグランド電位である。一方、既に説明したように、小型のチップ型誘電体アンテナを使用する場合には、アンテナからグランド電位面との距離を離す必要がある。このため、良好な無線通信感度を得るためには、図5に示すアンテナANT1の配置が最適な配置となる。すなわち、アンテナANT1と、一面のグランド層を持った本体ボードBO1および2次電池BAT1を、マザーボードBO2の裏面に配置する。さらに、これらの本体ボードBO1と2次電池BAT1を、マザーボードBO2のCA−CBライン側ではなくCC−CDラインに寄せた配置にて実装する事により、アンテナANT1から離して最適な配置が実現される。
【0141】
また、図1で示したように、ユーザ(装着者)が操作する緊急スイッチSW1と測定スイッチSW2等からなる操作スイッチをケースCASE1の表面下部に配置することで、ユーザがセンサノードを操作する際に、指などの人体の部分がアンテナANT1に近づくのを抑制することで、常時良好な無線通信感度を確保することができるのである。
【0142】
また、本発明のセンサノードSN1では、図2に示したように、ケースCASE1の上下方向の中心を通る軸線axに沿って赤外LEDとフォトトランジスタPT1を配置し、さらに、フォトトランジスタPT1を挟むように赤外線発光ダイオードLED1とLED2の間にフォトトランジスタPT1を配置する。
【0143】
つまり、発光素子と受光素子を腕のほぼ中心に沿って一直線に配置する事により、本腕輪型センサノードSN1を腕に装着した際に、腕を流れる血管に、つまり、血管内の血流に沿った形で、赤外LEDとフォトトランジスタ列を配置する事が可能となり、ユーザ(装着者)が動いた場合にも、赤外LEDおよびフォトトランジスタPT1を、腕、つまり、センシング対象の血管に密着させる事が可能となる。その結果、安定して、血流変動による赤外散乱光の強度変動を効率よくフォトトランジスタPT1によって捕らえる事が可能となる。
【0144】
また、一対の赤外線発光ダイオードLED1、2の間にフォトトランジスタPT1を配置することで、受光素子であるフォトトランジスタPT1が外部の光の影響を受けにくくすることが可能となって、安定した脈拍の測定を実現することができる。
【0145】
<制御の詳細>
以上では、本発明腕輪型センサノードSN1の、主に、ハードウェア構成と、その特徴に関して説明した。以下では、本腕輪型センサノードSN1に搭載するプログラムの構成に関して、本発明の腕輪型センサノードに特有な制御方式/ルーチンを中心に説明する。
【0146】
以下、図26に従って、本発明に特有な制御方式を説明する。
【0147】
本発明の腕輪型センサノードにおいては、電源投入(P1)後、まず、ノード初期化ルーチン(P100)を実行する。図27に、ノード初期化ルーチン(P100)の概要を示す。図27に示されるように、本ルーチンでは、まず、ハードウェアの初期化サブルーチン(P110)を実行する。ハードウェアの初期化サブルーチンでは、まず、マイコンチップを初期化する(P111)。次に、センサ電源AVcc、脈拍センサLED電源Vllが確実にオフになるように、これらの制御信号線を非活性化状態に設定する(P112、P113)。さらに、シリアルバス信号線SB経由で、リアルタイムクロックモジュールRTC1にアクセスして、リアルタイムクロックモジュールRTC1を初期化する(P114)。なお、リアルタイムクロックモジュールRTC1の初期化にあたっては、あらかじめマイコンチップCHIP2内蔵のメモリ回路の不揮発メモリ部分に格納された、動作のパラメータ等を格納した動作設定ファイルPD1を読み出して(PR1)、その情報を元に、どのくらいの時間間隔で待機状態から動作状態に移行するかを決定する間欠動作の基準時間信号を設定する。なお、図27のPD1ファイルには、間欠動作基準時間信号以外にも、例えば、無線通信の伝送レート、無線通信で使用するチャネル、脈拍センサの動作パラメータ等が格納される。
【0148】
次に、基地局サーチサブルーチン(P120)を実行する。本サブルーチンにおいては、まず、RFチップの電源制御信号線等を活性化して、RFチップを起動する(P121)。次に、RFチップを送信状態に設定して、基地局BS1に対して、基地局サーチビーコン信号を送信し、自ノードが電源投入され通信可能状態になった旨を通知する(P122)。次にRFチップを受信状態に切り替えて、サーチビーコン信号に対する基地局からの応答を待つ。基地局からの応答信号を正常に受信した場合には、使用した無線チャネル等の情報をPD1ファイルに格納する(PW1)。なお、応答が受信されない場合には、使用する無線チャネルを変更して、再度P122より実行しなおす。最後に、RFチップのクロックを停止してから電源をオフにして(P125)、次のルーチンに移動する。
【0149】
ノード初期化ルーチンP100が終了したら、次に、図26に戻り、動作モード決定ルーチン(P200)を実行する。本動作モード決定ルーチン(P200)からは、データ検知ルーチン(P300)、データ送受信ルーチン(P400)、待機移行ルーチン(P510)の、複数のルーチンが実行可能である。本ルーチンでは、スケジューラにより、これらの3つのルーチンを適宜起動する事が可能である。典型的には、データ検知ルーチンP300→データ送受信ルーチンP400→待機移行ルーチンP510の順で起動する事により、間欠動作を実現する。なお、起動順番その他は、PD1ファイルにより変更可能である。
【0150】
データ検知ルーチンP300では、本発明に特有な複数のサブルーチンを起動する事により、無駄な消費電力を抑え、なおかつ、安定した脈拍センシングを実現する。以下、順に説明する。まず、センシングに備えて、マイコンチップ内蔵のAD変換回路の電源を起動する(P310)。次に、温度センシングサブルーチン(P320)を実行する。温度センシングサブルーチンP320では、まず、マイコンチップのPIOを制御して、温度センサTS1の電源をオンにする(P321)。次に、温度センサTS1に対応するADチャネルを読み出し、センサデータファイルSD1に格納する(P322、DW1)。最後に、温度センサTS1の電源をオフに戻す。
【0151】
既に説明したように、温度センサTS1の消費電流は、典型的には5μA程度であり、それ程大きい電流ではない。しかし、本発明の腕輪型センサノードでは、現状のテクノロジでは、サイズ制約のため、30mAh程度の容量の電池しか内蔵できない。このため、この程度の消費電流でも未使用時には、遮断する必要がある。例えば、5μAの電流を常時消費すると、
30mAh/5μA=6000時間=250日
となり、1年間もたたずに電池を使い切ってしまう。
【0152】
温度センシングサブルーチンP320終了後、本発明に特有な安静状態判定サブルーチン(P330)を実行する。以下、順に説明する。本サブルーチンでは、まず、センサ電源AVccをオンにして、加速度センサAS1への電源供給を開始する(P331)。次に、マイコンチップの該当するPIO端子を制御して、加速度センサAS1のスタンバイ入力端子を活性化し、加速度センサAS1を起動する(P332)。加速度センサ起動後、加速度センサAS1に対応するADチャネルを読み出して、加速度を検出する(P333)。検出した加速度を元に、ユーザ状態の判定を行なう(P334)。具体的には、検出した加速度の大きさ、つまり、加速度の絶対値を算出し、この絶対値と予め設定したしきい値とを比較して、絶対値がしきい値未満であれば静止状態(=安静状態)と判定する。ユーザ、より正確には、本腕輪型センサノードSN1を装着したユーザの腕が、静止状態にある場合は、脈拍の測定開始が可能と判定し、加速度センサAS1のスタンバイ入力を非活性化(P335)して、次に、脈拍センシングサブルーチンを起動する。静止状態にない場合には、安静状態待ちサブルーチン(P336)にて、動作設定ファイルPD1にて指定された所定時間だけ待った後に、再度、P333から再実行する。この繰り返しにより、本腕輪型センサノードSN1が装着された腕が、安静状態になるのを待つ。
【0153】
なお、動作設定ファイルPD1で指定された待ち回数の上限に達したら、センサデータSD1に、“安静状態でないため測定不能”の旨を出力して、AD電源およびセンサ電源AVccをオフ(P360)にして、動作決定サブルーチンP200に移行する。
【0154】
安静状態判定サブルーチンP330の目的は以下である。すなわち、図25にて説明したように、脈拍センサは、その原理上、ユーザの腕が安静状態でない限り、安定したセンシングが期待できない(図25のWD3およびWA3)。また、このような状態で検出された脈拍数は信頼性が乏しい。言い換えると、脈拍を正確に取るためには、ユーザ、より正確には本腕輪型センサノードSN1を装着した腕が安静状態であることが大前提である。このため、本発明の腕輪型センサノードSN1では、脈拍センシングに先立って、内蔵した加速度センサを使用して安静状態にあるかどうかを判断する。そして、安静状態にある場合のみ脈拍センシングを実行する。
【0155】
なお、とりあえず脈拍センサを起動して、一通り波形を取得して、その波形を吟味して、安定したものかどうかを判断するという手法も考えられる。例えば、図25のWA1/WD1の波形か、あるいは、WA3/WD3の波形か、あるいは、WA2/WD2の波形かを判断して、WA2/WD2の場合のみ採用するという方式である。このような方式はもっとも手軽であり一般的である。しかし、既に説明したように、本腕輪型センサノードSN1では、サイズの制約から、電池容量が30mAh程度の電池しか内蔵できない。一方、図30に示すように、脈拍センサは、その原理上、赤外LEDを発光させる必要があるため、典型的には、動作に10〜50mA程度の電流が必要である。このため、とりあえず脈拍センサを駆動して、波形を取ってから波形データを吟味して選別する方法を採用すると、電池の消耗が激しく、電池寿命がかなり短くなってしまう。これに対して、本発明の制御方式では、無駄な脈拍センシングを極力抑える事が可能であり、電池の消耗を抑えて、電池の長寿命化が可能となる。
【0156】
安静状態判定サブルーチンP330の次には、脈拍センシングサブルーチン(P340)を実行する。本サブルーチンP340では、まず、マイコンチップの該当PIOを制御して、LED電源Vllをオンする(P341)。次に、本発明に特有なLED光量調整サブルーチン(P350)を起動して、脈拍センサLEDの光量を最適化する。本サブルーチンの詳細に関しては後ほど説明する。次に、脈拍センサに対応するADチャンネルを読み出す(P342)。本読み出しにあたっては、脈拍数を判定するのに必要なサンプル数分を繰り返し読み出す。典型的には、脈拍波形にして数波形分を読み出す。読み出し終了後、取得された脈拍波形から脈拍数を算出して、結果をセンサデータファイルSD1に書き出す(P343、DW5)。最後に、LED電源をオフにして、本サブルーチンを終了する(P345)。さらに、AD電源およびセンサ電源AVccをオフにして(P360)、データ検知ルーチンを終了する。
【0157】
以下、図28を参照して、本発明に特有なLED光量調整サブルーチンP350に関して説明する。本サブルーチンでは、まず、動作設定ファイルPD1より、LED強度設定のデフォルト値を読み出す(P351、PR2)。次に、読み出した値に従って、マイコンチップから、シリアルパラレル変換回路SPC1経由で、脈拍センサLED光量調整回路LDD1を制御して、赤外LEDの電流強度を設定する(P352)。次に、マイコンチップ内蔵のAD変換回路にて、脈拍センサ信号増幅回路のDO出力の電圧値を取得する(P353)。取得された強度から、フォトトランジスタPT1の出力電流強度を判定する(P354)。赤外LEDの光量が不足している場合には、LED電流強度を上げる(P357)。なお、LED電流を最大強度に設定しても、フォトトランジスタPT1の出力電流が不足している場合(P356)には、センサデータファイルSD1に、“LED強度不足のため測定不能”という旨を書き込んで、動作モード決定ルーチンP200に移行する。なお、フォトトランジスタPT1の出力電流強度が十分の場合に、LED強度を更新した場合には、その強度設定値を動作設定ファイルPD1に書き込んで、次回からのデフォルト値として使用する。
【0158】
本サブルーチンの目的は以下である。まず第1に、本腕輪型センサノードSN1が腕に装着されているかどうかを検知して、腕に装着されていない場合には無駄に脈拍センシングを実行するのを防止する。加速度センサAS1を使用した安静判定ルーチンだけでは、腕に装着されていないかどうかまでを判定するのは不可能である。しかし、本ルーチンを併用する事により、本腕輪型センサノードが腕に装着されているかどうかを検出する事が可能となり、無駄な脈拍センシングに伴う電池BAT1の消耗を極力防止する事が可能となる。つまり、フォトトランジスタPT1の出力に基づく電圧が、図25のWA1またはWD1となるときは、センサノードSN1が非装着状態であると判定するのである。
【0159】
本サブルーチンのもうひとつの目的は、ユーザ(装着者)による個人差を補正して安定した脈拍センシングを実現する点にある。フォトトランジスタPT1によって検知される血流変動による光量変化の強度は、一般に、ユーザの皮下にどのくらいの脂肪がついているか等によってかなり変動してしまう。つまり、脂肪が多いユーザの場合には、赤外LEDの光量を強く設定する必要がある。逆に、脂肪が少ない場合には、赤外LEDの光量を弱く設定しないと、脈拍センサ信号増幅回路内のオペアンプが飽和してしまって、正常な動作が期待できない。このため、本ルーチンを使用して、赤外LEDの光量を調整する事が、安定して脈拍センシングを行なうためには、必要不可欠である。
【0160】
以上のようにして、本発明の腕輪型センサノードSN1では、本発明に特有なサブルーチンにより、無駄な電力消費を抑えながら、安定したセンシング動作を実現する。
【0161】
次に、図26のデータ送受信ルーチンP400に関して説明する。
【0162】
データ送受信ルーチンP400では、まず、マイコンチップの該当するPIOを制御して、RFチップの電源をオンして、リセットを発行する。さらに、RFチップのクロックX1を起動して、RFチップを使用可能状態に設定する(P410)。なお、RFチップ起動後に、動作設定ファイルPD1を参照して、使用する無線チャネル、その他のパラメータを取得し、RFチップの設定を更新する。
【0163】
次に、センサデータ送受信サブルーチン(P420)にて、センサデータSD1を基地局に送信する。本サブルーチンでは、まず、センサデータSD1を読み出して、無線通信用のデータフォーマットに加工する(P421)。典型的には、エラー訂正コードや、自センサノードの識別子(=センサノードID)などをセンサデータに付加する。無線通信用のデータフォーマットに加工した後に、RFチップを送信状態に設定して、先程のデータを無線送信する(P422)。無線送信終了後、RFチップを受信状態に設定し、基地局からACK信号が送信されてくるのを待ち受ける(P423)。ACK信号は、通常、無線通信にてポピュラーな信号であり、送信したデータがちゃんと目的の相手先に届いているかを確認する目的で使用される信号である。本ルーチンでは、省略しているが、ACK信号を待っても基地局から送信されてこない場合には、再度送信する事によって、確実に基地局にデータを届ける事が可能となる。
【0164】
本発明の腕輪型センサノードSN1に特有な処理として、センサデータ送信ルーチン終了後に、次に、コマンド取得ルーチン(P430)を実行する。コマンド取得ルーチンP430では、まず、RFチップを送信状態に切り替えて、基地局BS10に対して、自分宛に送信したいコマンドがないかどうかを問いかける信号を送信する(P431)。センサデータ送信サブルーチンと同様に問いかけ信号送信後に、RFチップを受信状態に切り替えて、ACK信号を受信待ちする(P432)。基地局BS10では、問いかけに対して、発送したいコマンドがあるかどうかを判断し、上記ACK信号に、発送したいコマンドがあるかどうかに関しての情報も入れ込んで、センサノードSN1にACK信号を返答する。センサノードSN1はACK信号の内容を判定して、基地局BS10からのコマンドが存在しない場合には、P440に移行して、RFチップのクロックを停止して、電源を落とし、動作モード決定ルーチンP200に移行する。一方、コマンドが存在すると判定された場合には、RFチップを引き続き受信状態で待機させ、コマンドが基地局から送信されてくるのを待ち受ける(P433)。コマンドを受信したら、直ちに、RFチップを送信状態に変更する。基地局BS10に対して、正常にコマンドが受信できた旨のACK信号を送信(P434)して、P440に移行して処理を終了する。なお、本ルーチンで言うコマンドには、動作パラメータや、本腕輪型センサノード搭載の表示装置LMon1への表示メッセージ等も含まれる。
【0165】
コマンド取得ルーチンP430の目的は以下である。すなわち、本腕輪型センサノードSN1では、消費電力を削減するための間欠動作により、RFチップは必要な場合のみ、つまり、センシングしたセンサデータを基地局に送信する場合しか起動しない。一方、基地局からは、例えば、センサの動作パラメータを変更したり、表示装置LMon1の表示メッセージを変更したり、腕輪型センサノードに対してデータをダウンロードしたい場合が存在する。基地局BS10からのダウンロードだけを単純に実現したい場合には、センサノードのRFチップの電源を常時オンにして受信待機しておけば良い。しかし、既に説明したように、このような方式では、電池が瞬時に消耗してしまい、長期間使用することができない。この問題を解決するため、本方式では、センサノードSN1がデータを送信した場合に、必ず、自分宛にダウンロードしたいデータがあるかどうかを問い合わせる。本方式により、低消費電力と基地局からのダウンロードの両方が可能となる。
【0166】
データ送受信ルーチン終了後、基地局からのコマンドが存在する場合には、コマンド解析ルーチン(P450)を実行する。本ルーチンでは、基地局から送られてきた信号を解析して(P451)、まず、動作パラメータか、表示装置LMon1への表示メッセージ等のコマンドかの判定を行なう。次に、動作パラメータの場合には、パラメータ設定サブルーチン(P452)により、動作設定ファイルPD1を更新する。また、コマンドの場合には、コマンド実行サブルーチン(P460)にて、必要な処理を実行する。典型的には、表示装置LMon1のメッセージの書き換え等である。以上のようにして、必要な処理を終了後、動作モード決定ルーチンP200に移行する。
【0167】
動作モード決定ルーチンP200では、データ送信ルーチン終了後、待機移行ルーチンP510を起動して、待機状態P500に移行する。待機移行ルーチンP510では、マイコンチップのクロックX2を停止して、ソフトウェアスタンバイ動作モードに移行する等の、待機状態への移行に必要な処理を実行する。また、リアルタイムクロックモジュールRTC1にアクセスして、次回起動するまでの時間間隔を設定するとともに、リアルタイムクロックRTCからの割り込み、緊急スイッチ(ESW1)から割り込み等の外部割込みを許可する。なお、待機時間終了後に待機状態P500からの起動は、既に説明したように、上記のリアルタイムクロックRTC割り込みにより実現される。
【0168】
図29に本プログラムにより制御される一連の処理の流れと、典型的な電流波形例を示す。また、図30に各処理状態での消費電流の典型値を示す。
【0169】
時間TC1は、マイコンチップがソフトウェアスタンバイモードにあり、消費電流は1μA以下に抑えられている。そして、リアルタイムクロック回路RTC1が所定の時間を経過すると、時間TC2に入り、リアルタイムクロックRTC割り込みを発生し、水晶振動子X2を起動し、マイコンチップを起動して待機状態から動作モード決定ルーチンP200を経てデータ検知ルーチンP300に入る。マイコンチップの起動により、時間TC2では、I1(=5mA)の電流に増大する。
【0170】
データ検知ルーチンP300は、時間TC3〜TC5にて実行される。まず、マイコンチップのADC回路をオンにし、温度センサTS1の電源をオンにして温度センサTS1の測定値を取得する。時間TC3では、温度センサTS1の起動により電流値は、I1+I2となる。
【0171】
温度を取得した後には、温度センサTS1を停止し、時間TC4で加速度センサAS1を起動して安静状態を検出する(P330)。加速度センサAS1の起動により、時間TC4では、センサノードSN1の消費電力はI1+I3(=0.5mA)となる。
【0172】
安静状態検出の結果、安静状態であれば加速度センサAS1をオフにしてから、時間TC5で徐々に赤外LEDの出力をデフォルト値から上昇させて最適化を行う。そして、所定の時間TC6で赤外LEDとフォトトランジスタPT1で脈拍のセンシングを行う。この時間TC6の期間が最大の消費電流となり、I1+I4(=10〜50mA)の電力を消費する。
【0173】
脈拍のセンシングが完了すると、赤外LED及びフォトトランジスタPT1をオフにしてから、時間TC7にてRFチップの駆動を開始する。そして、時間TC7の期間で基地局BS10と通信を行って上述のようにデータの送信やコマンドの受信を行う。この時間TC7の期間の消費電流はI1+I5(=20mA)となり、2番目に大きな消費電流となる。
【0174】
時間TC7の送受信が終了すると、RFチップ及びクロックX1をオフにしてから、時間TC8でマイコンチップの待機状態に移行する。リアルタイムクロックRTCなどの設定を行ってからマイコンチップは時間TC9で待機状態に移行し、上記TC1〜TC8のサイクルを繰り返す。
【0175】
以上により、本発明のセンサノードSN1では、ソフトウェアスタンバイモードのマイコンチップをリアルタイムクロックRTC割り込みで起動してから、順次測定を行い、各測定(通信)が終了する度に、起動していたセンサやチップを停止させることで消費電流(消費電力)を抑制する。つまり、測定及び通信の際には、マイコンチップに加えて各処理に関連するセンサやチップのみを駆動し、他のセンサやチップは停止させておくことで、必要最小限の消費電力に抑制できる。
【0176】
そして、最も消費電力の大きな脈拍センサを駆動すべきか否かを、消費電力の遙かに小さい加速度センサAS1の測定結果により判断することで、正確な脈拍の測定を行うことが可能な安静状態以外では、時間TC6〜TC7の脈拍センサとRFチップの駆動をキャンセルすることが可能となり、安静状態以外では赤外LED等の駆動を禁止して無駄な電力消費を回避でき電池BAT1の消耗を回避し、センサノードSN1の長期間の作動を保証できるのである。
【0177】
なお、加速度センサAS1は、生体(人体)の動きを検出する第1のセンサを構成し、脈拍センサ(赤外LED1、2、フォトトランジスタPT1)は生体の情報を測定する第2のセンサを構成する。
【0178】
次に、図31に示すように、本発明の腕輪型センサノード特有の機能として、緊急スイッチESW1割り込みにより、待機状態P500から、本発明に特有なルーチンである緊急発報ルーチンP600に移行可能である。以下、緊急発報ルーチンP600に関して説明する。
【0179】
緊急発報ルーチンでは、まず、誤動作防止サブルーチン(P610)を実行する。誤動作防止サブルーチンでは、まず、リアルタイムクロックモジュールRTC1にアクセスして、一時スタンバイ時間T1経過後にリアルタイムクロックRTC割り込みが入るように設定する(P612)。一時スタンバイ時間T1としては、典型的には、3(s)程度を設定する。次に、緊急スイッチ割り込みを禁止状態に設定して、マイコンチップのクロックX2を停止して、ソフトウェアスタンバイ動作モードに移行する。設定した一時スタンバイ時間T1が経過して、リアルタイムクロックRTC割り込みが発生したら、マイコンチップを起動して(P614)、緊急スイッチ入力のレベルを再判定(P615)して、緊急スイッチが押され続けていたら、次の緊急データ送信サブルーチンP620を起動する。再判定の際に、緊急スイッチが押されていなかったら、待機移行サブルーチンP510を実行して、待機状態P500に再度移行する。
【0180】
本誤動作防止サブルーチンの目的は以下である。すなわち、緊急スイッチの誤操作に起因する、無駄な電力消費を極力抑える点にある。本腕輪型センサノードSN1では、低消費電力化のために、センシングを実行していない場合には、マイコンチップその他を待機状態に移行させて、消費電力を徹底的に抑える。一方、ユーザが体調の悪い等で、緊急コールを呼びたい場合には、待機状態のままでは、ユーザの要求に応えられない。この問題に対処するために、既に説明したように、本発明の腕輪型センサノードでは、緊急スイッチESW1(SW1)をマイコンチップの外部割込みに割り当てて、緊急スイッチ(ESW1)が押された場合には、即座に待機状態から復帰して、ユーザの要求に応えられるように設計されている。しかし、スイッチには、誤操作が付き物である。また、チャタリングも存在する。このため一般には、このような緊急度の高いスイッチの場合には、ある一定時間以上、押し続けられないと反応しないように構成される。この動作を実現するには、単純には、マイコンチップにてタイマを構成して、指定された時間が経過した後に、再度、本方式のようにスイッチがまだ押され続けているかを判定すれば良い。しかし、このような単純な方式だと、マイコンチップを一定時間以上起動し続ける必要あり、典型的には、5mA程度の電流が消費されてしまう(図30)。つまり、低消費電力化が最重要項目である本発明の腕輪型センサノードには適用できない。さらに、スイッチの誤操作等により、誤って、緊急スイッチ割り込みが頻繁に発生した場合には、マイコンチップは起動状態が継続してしまい、消費電力が増大してしまう。
【0181】
この問題を解決するために考案したのが、本方式である。本方式では、マイコンチップは、緊急スイッチ割込み発生後に起動した後に、リアルタイムクロックRTCを設定して、即座にソフトウェアスタンバイ動作モードに移行する。スイッチSW1が押され続けているかどうかを判断するための時間中は、ずっと、ソフトウェアスタンバイ動作モードで待機可能である。つまり、緊急スイッチ割り込みが、誤って頻繁に押された場合にも、消費電流を確実に待機状態にまで抑えることが可能となる。
【0182】
図32(a)に示すグラフが、上記緊急発報ルーチンによる効果である。また、図32の(b)が本方式(緊急発報ルーチン)を採用しない場合である。
【0183】
図中TC13が緊急スイッチ再判定のための待ち時間である。また、時間TC15が緊急コールのデータ通信にかかる時間である。この図では、時間TC13もTC15の大差ないように書かれているが、実際には、
TC13: 〜3(s)
TC15: 0.1(s)以下
であり、本方式による消費電流の削減は非常に効果的である。
【0184】
以上のようにして、緊急スイッチESW1が本当に押されていると判断された場合には、次に、緊急データ送信サブルーチン(P620)が実行される。本サブルーチンでは、まず、RFチップを起動する(P621)。次に、基地局向けに送信する緊急データを作成する(P622)。次に、RFチップを送信状態に設定して、緊急データを送信(P623)する。さらに、RFチップを受信状態に設定して、緊急コールが確実に基地局に届いたかどうかをチェックするために基地局からのACK信号を受信待ちする。なお、必要に応じて、P626〜P628ルーチンを実行して、基地局からのメッセージをダウンロードして、表示装置LMon1にメッセージを表示させることも可能である。
【0185】
<第2実施形態>
図33は、第2の実施形態を示し、前記第1実施形態の温度センサTS1が、温度に加えて、湿度を測定するようにしたものである。
【0186】
温度、湿度をセンシングする温湿度センサTS1を実装するセンサノードSN1の場合には、室内や屋外の空気を直接、温湿度センサTS1でセンシングする必要がある。このため、温湿度センサTS1とセンサノードSN1の制御回路を室内や屋外と同じ環境上に実装することになる。制御回路は、制御回路の回りの温度や湿度の変化により、回路の表面が結露し、誤動作や故障の原因になる。
【0187】
よって、通常は、温湿度センサTS1は、センサノードSN1の制御回路と別々に実装される。例えば、制御回路を密閉されたケースに実装し、温湿度センサTS1をケースの外に出して、温湿度センサTS1とケースをケーブルで接続する。しかし、この場合には、温湿度センサがケースの外に出るので、温湿度センサの固定方法やセンサ設置の実装を別途考える必要が生じ、実装が複雑になり、実装のコストが高くなるという問題がある。
【0188】
そこで、本発明は、一つのケースに温湿度センサTS1とセンサノードSN1の制御回路を実装できるようにしたものである。
【0189】
図33に温湿度をセンシングするセンサノードの一実施例を示す。
【0190】
外部ケースSN−NODEには、前記第1実施形態と同様に、RFチップとマイコンが搭載されている基板BO1、電源制御回路とセンサとのインタフェース回路を搭載する基板BO2−2、電源BAT、アンテナANT1を接続するコネクタSMA1、温湿度センサ基板BO3−2を内蔵する内部ケースSN−CAP(隔壁)が実装される。
【0191】
内部ケースSN−CAP内には、温湿度センサ基板BO3−2が内蔵される。内部ケースSN−CAPには、外部の空気を取り込む温湿度通過窓WN1があり、この通過窓WN1により、外部の空気の温度、湿度の測定が可能になる。つまり、内部ケースSN−CAPの内側が湿度センサ基板BO3−2を収容する空間となり、内部ケースSN−CAPの外部と、外部ケースSN−NODEの内周が基板BO1、基板BO2−2、電源BATを収容する第2の空間となる。
【0192】
外部ケースSN−NODEは、内部ケースSN−CAPと外部ケースSN−NODEの接触面に防水用のOリングORNG1を実装し、アンテナ用コネクタSMA1と外部ケースSN−NODEとの接触面にOリングORNG2を実装する。これにより、外部ケースSN−NODE内の空気とケース外の空気が完全に分離される。
【0193】
また、基板BO2−2と基板BO3−2とのインタフェース信号は、内部ケースSN−CAPを貫通するが、内部ケースSN−CAPと外部ケースSN−NODEの接触面に防水用のOリングORNG3を実装する。これにより、内部ケースSN−CAP内の空気と外部ケースSN−NODEの内部の空気は完全に分離される。
【0194】
これらの3つのOリングにより、外部ケースSN−NODE内は、密閉されているため、温度や湿度の変化によって結露することが無く、制御回路の信頼性が向上する。また、温湿度センサもケースに実装されるので、センサも含めて一つのケースに実装されるので、実装がコンパクトになり、センサノードの設置が容易になるという効果がある。
【0195】
図34に本実施例で用いる基板BO2−2とBO3−2の構成図を示す。基板BO2−2は、RFとマイコンが搭載されている基板BO1とのインタフェースと、温湿度センサ基板BO3−2とのインタフェースと、電源BATのインタフェースを有し、基板BO2−2には、基板BO1とBO2−2に実装される各種回路に供給される電源用のレギュレータREG1と、パワーオンリセッスイッチRSW1と、パワーオンリセット回路POR1と、バスセレクト回路BS2と、不揮発性メモリSRAOM1と、温湿度センサ用電源レギュレータREG2と、温湿度センサ用電源レギュレータのオンオフ制御回路PS21が搭載される。これらの回路は、基板BO1からの制御信号(ディジタルポートDP、バス制御信号BC、シリアルバス制御SB)により制御される。
【0196】
温湿度センサ基板BO3−2は、温湿度センサTMP−SNを搭載している。基板BO1からの制御信号DPは、基板BO2−2を経由して、温湿度センサTMP−SNを制御する。制御信号DPは、センサを制御する双方向データ信号と、データ信号が有効なタイミングであるかどうかを示すクロック信号から構成されていて、クロック信号のタイミングで、制御信号およびデータの送受信を行うことが可能である。
【0197】
温湿度センサTMP−SNのセンシングの手順に関して簡単に説明する。基板BO1は、温湿度をセンシングする間隔を制御する。たとえば、測定周期が5分であれば、その5分の周期を測定し、5分経過したら、温湿度センサTMP−SNから温度と湿度のデータを制御信号DPにより読み出し、RF回路により基地局へ無線通信でデータを転送する。基地局BS10は、インターネットやイントラネット等の通信回線を用いて、データサーバやアプリケーションシステムに温度、湿度情報を転送する。
【0198】
温湿度の測定とその測定データの転送を周期的に行うようにするが、本実施例で示す構成により低コストで安定して動作するセンサノードを実現することができる。
【0199】
本実施例では、デジタル信号で制御される温湿度センサTMP−SNに関して説明しているが、アナログ信号で制御される温湿度センサの場合には、基板BO1でアナログ信号をデジタル信号に変換してから無線通信でデータを転送すればよい。本実施例の実装構成はアナログ出力の温湿度センサにも適用可能である。
【0200】
なお、上記各実施形態では、センサノードSN1を腕に装着する例を示したが、脈拍を測定可能な部位(例えば、足)であれば装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0201】
以上のように、本発明では、腕輪型のセンサノードにおいてチップ型誘電体アンテナを人体から離すことで、高感度と安定した無線通信を確保でき、少ない消費電力で安定した無線通信を行うことが可能なセンサノードに適用できる。
【0202】
そして、複数のセンサを搭載しながら極めて低い消費電力で長期間に渡ってセンサノードを継続的に使用できるため、医療や介護などメンテナンスフリーで長期間の使用が要求されるセンサノードに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の第1実施形態を示す腕輪型センサノードの正面及びアンテナの配置を示す部分透視図で、センサノードを左腕に装着した場合を示す。
【図2】ケースの底面を表面側から透視した場合の脈拍センサの配置を示す説明図。
【図3】本発明の腕輪型センサノードにより実現される健康管理センサ・ネットワーク・システムの構成例を示したブロック図。
【図4】基地局BS10で収集したセンサデータの一例を示す説明図。
【図5】センサノードの内部の基板ユニットの構成を示す図で、(A)は基板ユニットの上面図を示し、(B)は基板ユニットの正面図を示し、(C)は基板ユニットの底面図を示し、(D)は基板ユニットの背面図を示し、(E)は基板ユニットの右側面図を示す。
【図6】腕輪型センサノードを構成する本体ボードBO1の第1の面(SIDE1)の構成図。
【図7】腕輪型センサノードを構成する本体ボードBO1の第2の面(SIDE2)の構成図。
【図8】腕輪型センサノードを構成するマザーボードBO2の第1の面(SIDE1)の構成図。
【図9】腕輪型センサノードを構成するマザーボードBO2の第2の面(SIDE2)の構成図。
【図10】腕輪型センサノードを構成する脈拍センサボードBO3の第1の面(SIDE1)の構成図。
【図11】腕輪型センサノードを構成する脈拍センサボードBO3の第2の面(SIDE1)の構成図。
【図12】腕輪型センサノードを構成する本体ボードBO1、マザーボードBO2、脈拍センサボードBO3の構成と各基板間の接続関係を示した構成図。
【図13】本体ボードBO1の断面図。
【図14】腕輪型センサノードのマザーボードBO2の内部に設けられたグランド層(GPL20)、電源層(VPL20)、および、それらの禁止領域(NGA20)を示す正面図。
【図15】腕輪型センサノードの脈拍センサボードBO3の内部に設けられたグランド層(GPL30)、電源層(VPL30)、および、それらの禁止領域(NGA30)を示す正面図。
【図16】腕輪型センサノードで使用するLED表示器(LSC1)の一例を示す回路図で、(a)はインバータIV1による電流増幅にてLEDを駆動する例を示し、(b)はマイコンチップのPIOにてLEDを直接駆動する例を示す。
【図17】腕輪型センサノードで使用するバスセレクタ(BS1、BS2)の一例を示す回路図。
【図18】腕輪型センサノードで使用する緊急スイッチ(ESW1)、および、測定スイッチ(GSW1)の一例を示し、(a)は緊急スイッチESW1の回路図を示し、(b)は測定スイッチGSW1の回路図を示す。
【図19】腕輪型センサノードで使用する充電制御回路BAC1の一例を示し、(a)は充電制御回路BAC1の回路図で、(b)は充電端子PCN1の回路図。
【図20】腕輪型センサノードで使用する電源遮断スイッチ(PS21、PS31)の一例を示し、(a)は制御線SC10で電源を制御する回路図を示し、(b)制御線SC10で電源を制御する回路図を示す。
【図21】腕輪型センサノードで使用するアナログ基準電位生成回路AGG1の一例を示す回路図。
【図22】腕輪型センサノードで使用する脈拍センサ光量調整回路LDD1の一例を示す回路図。
【図23】腕輪型センサノードで使用する脈拍センサヘッド回路(PLS10、PLS20)の一例を示す回路図で、(a)はフォトトランジスタPT1を用いた例を示し、(b)はフォトダイオードを用いた例を示す。
【図24】腕輪型センサノードで使用する脈拍センサ信号増幅回路AMP1の一例を示す回路図。
【図25】脈拍センサ信号増幅回路の波形例を示すグラフで、(a)は脈拍センサ信号増幅回路の出力AAと時間の関係を示し、(b)は脈拍センサ信号増幅回路の出力D0の出力と時間の関係を示す。
【図26】腕輪型センサノードで実行される制御の一例を示すフロチャート。
【図27】図26のP100で行われるセンサノードの初期化ルーチンのフロチャート。
【図28】図26のP350で行われるLED光量調整のサブルーチンのフロチャート。
【図29】腕輪型センサノードの消費電流と時間の関係を示すグラフ。
【図30】腕輪型センサノードの各素子の消費電流を示す説明図。
【図31】緊急発報ルーチンの一例を示すフロチャート。
【図32】腕輪型センサノードの緊急発報時の消費電流と時間の関係を示すグラフで、(a)は本発明の緊急発報ルーチンを用いた場合を示し、(b)は本発明の緊急発報ルーチンを用いない場合を示す。
【図33】第2の実施形態を示し、センサノードの概略図。
【図34】同じく、第2の実施形態を示し、基板BO2−2と温湿度センサ基板BO3−2の一例を示す構成図。
【符号の説明】
【0204】
CASE1 ケース
ANT1 アンテナ
LMon1 表示装置
LED1、2 赤外線発光ダイオード
PT1 フォトトランジスタ
SW1(ESW1) 緊急スイッチ
SW2(GSW1) 測定スイッチ
BO1 本体ボード
BO2 マザーボード
BO3 脈拍センサボード
BAT1 電池
CHIP1 RFチップ
CHIP2 マイコンチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを駆動して生体情報を測定する制御装置と、
前記制御装置が取得した生体情報を送信する無線通信回路と、
前記制御装置と無線通信回路及びセンサに電力を供給する電池と、
を備えて生体に装着されるセンサノードの制御装置であって、
前記センサは、生体の動きを検出する第1のセンサと、生体情報を測定する第2のセンサとから構成され、
前記制御装置は、
前記第1のセンサに電池からの電力を供給して生体の動きを検出し、この生体の動きに基づいて第2のセンサによる測定が可能であるか否かを判定する測定開始判定部と、
前記測定開始判定部の判定結果が、測定可能であるときには前記第1のセンサへの電力を遮断した後に、第2のセンサに前記電力の供給を開始して生体情報を測定する生体情報測定部と、
を有し、
前記第1のセンサの消費電力が、前記第2のセンサの消費電力よりも小さいことを特徴とするセンサノードの制御装置。
【請求項2】
前記生体情報測定部は、前記第2のセンサの測定状態が最適となるように第2のセンサの状態を調整する調整部を含み、
前記調整部は、第2のセンサの測定結果がセンサノードの装着状態を示すときに測定を継続する一方、前記第2のセンサの測定結果がセンサノードの非装着状態を示すときには測定を停止して、前記第2のセンサへの電力を遮断することを特徴とする請求項1に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項3】
前記第2のセンサは、生体の皮下の血流から脈拍を測定する発光素子と受光素子とから構成され、
前記調整部は、前記発光素子の光量を徐々に増大して前記光量を最適化し、前記受光素子の測定開始後のセンサデータに基づいて、当該センサノードが装着状態または非装着状態のいずれであるかを判定することを特徴とする請求項2に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項4】
前記第1のセンサは、生体の動きを加速度に基づいて検出する加速度センサで構成され、
測定開始判定部は、前記加速度の検出値がしきい値未満のときに第2のセンサによる生体情報の測定が可能であると判定することを特徴とする請求項1に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記センサ及び無線通信回路を制御するマイクロコンピュータと、
予め設定した周期で前記マイクロコンピュータに割り込みをかけるクロック回路と、を含み、
前記マイクロコンピュータはクロック回路から割り込みがあるまでスタンバイ状態で待機し、前記クロック回路から割り込みがあると前記マイクロコンピュータを起動して前記第1のセンサへ電力の供給を開始することを特徴とする請求項1に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記生体情報を測定した後に、前記第2のセンサへの電力を遮断してから、前記無線通信回路に電力を供給して前記測定した生体情報を送信する通信処理部を含むことを特徴とする請求項1に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項7】
前記通信処理部は、
前記生体情報を送信した後に、当該センサノードへの情報を受信し、前記受信完了後に前記無線通信回路への電力を遮断することを特徴とする請求項1に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
緊急時に送信を行うためのスイッチを有し、当該スイッチが操作されてから予め設定した時間後に再度スイッチ操作の有無を判定し、当該判定でスイッチ操作があれば無線通信回路に電力を供給して緊急の通信を行うことを特徴とする請求項5に記載のセンサノードの制御装置。
【請求項9】
生体に装着されたセンサノードのセンサから生体情報を測定する処理をマイクロコンピュータに実行させるプログラムであって、
生体の動きを検出する第1のセンサに電池からの電力を供給して生体の動きを検出する手順と、
前記検出した生体の動きに基づいて第2のセンサによる測定が可能であるか否かを判定する手順と、
前記判定結果が、測定可能であるときには第2のセンサよりも消費電力の小さい前記第1のセンサへの電力を遮断した後に、前記第1のセンサよりも消費電力の大きい第2のセンサへ電力を供給して生体情報を測定する手順と、
をマイクロコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記生体情報を測定する手順は、
第2のセンサの測定結果がセンサノードの装着状態を示すときに測定を継続する一方、前記第2のセンサの測定結果がセンサノードの非装着状態を示すときには測定を停止して、前記第2のセンサへの電力を遮断することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第2のセンサは、生体の皮下の血流から脈拍を測定する発光素子と受光素子とから構成され、
前記生体情報を測定する手順は、
前記発光素子の光量を徐々に増大して前記光量を最適化する手順と、
前記受光素子の測定開始後のセンサデータに基づいて、当該センサノードが装着状態または非装着状態のいずれであるかを判定する手順と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】
前記第1のセンサは、生体の動きを加速度に基づいて検出する加速度センサで構成され、
前記判定する手順は、
前記加速度の検出値がしきい値未満のときに第2のセンサによる生体情報の測定が可能であると判定することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項13】
前記センサノードは、予め設定した周期で前記マイクロコンピュータに割り込みをかけるクロック回路を有し、
前記生体の動きを検出する手順は、
前記クロック回路から割り込みがあるまでスタンバイ状態で待機する手順と、
前記クロック回路から割り込みがあると当該マイクロコンピュータを起動して前記第1のセンサへ電力の供給を開始する手順と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項14】
前記生体情報を測定した後に、前記第2のセンサへの電力を遮断する手順と、
無線通信回路に電力を供給して前記測定した生体情報を送信する手順と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項15】
前記生体情報を送信する手順は、
前記生体情報を送信した後に、当該センサノードへの情報を受信し、前記受信完了後に前記無線通信回路への電力を遮断することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項16】
前記センサノードは、緊急時に送信を行うためのスイッチを有し、
当該スイッチが操作されてから予め設定した時間が経過するまで待機する手順と、
前記予め設定した時間が経過した後に、再度スイッチ操作の有無を判定する手順と、
当該判定でスイッチ操作があれば無線通信回路に電力を供給して緊急の通信を行う手順と、
を含むことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項17】
センサを駆動して生体情報を測定する制御装置を備えたセンサノードにおける生体情報の測定方法であって、
前記制御装置が生体の動きを検出する第1のセンサに電池からの電力を供給して生体の動きを検出するステップと、
前記制御装置が、前記検出した生体の動きに基づいて第2のセンサによる測定が可能であるか否かを判定するステップと、
前記判定結果が、測定可能であるときには第2のセンサよりも消費電力の小さい前記第1のセンサへの電力を遮断した後に、前記第1のセンサよりも消費電力の大きい第2のセンサへ電力を供給して生体情報を測定するステップと、
を含むことを特徴とする生体情報の測定方法。
【請求項18】
前記生体情報を測定するステップは、
第2のセンサの測定結果がセンサノードの装着状態を示すときに測定を継続する一方、前記第2のセンサの測定結果がセンサノードの非装着状態を示すときには測定を停止して、前記第2のセンサへの電力を遮断することを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項19】
前記第2のセンサは、生体の皮下の血流から脈拍を測定する発光素子と受光素子とから構成され、
前記生体情報を測定するステップは、
前記発光素子の光量を徐々に増大して前記光量を最適化するステップと、
前記受光素子の測定開始後のセンサデータに基づいて、当該センサノードが装着状態または非装着状態のいずれであるかを判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項20】
前記第1のセンサは、生体の動きを加速度に基づいて検出する加速度センサで構成され、
前記判定するステップは、
前記加速度の検出値がしきい値未満のときに第2のセンサによる生体情報の測定が可能であると判定することを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項21】
前記制御装置は、センサを制御するマイクロコンピュータと、予め設定した周期で前記マイクロコンピュータに割り込みをかけるクロック回路とを有し、
前記生体の動きを検出するステップは、
前記クロック回路から割り込みがあるまでスタンバイ状態で前記マイクロコンピュータを待機するステップと、
前記クロック回路から割り込みがあると前記マイクロコンピュータを起動して前記第1のセンサへ電力の供給を開始するステップと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項22】
前記制御装置が、前記生体情報を測定した後に、前記第2のセンサへの電力を遮断するステップと、
無線通信回路に電力を供給して前記測定した生体情報を送信するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項23】
前記生体情報を送信するステップは、
前記生体情報を送信した後に、当該センサノードへの情報を受信し、前記受信完了後に前記無線通信回路への電力を遮断することを特徴とする請求項17に記載の生体情報の測定方法。
【請求項24】
前記制御装置は、緊急時に送信を行うためのスイッチを有し、
当該スイッチが操作されてから予め設定した時間が経過するまで待機するステップと、
前記予め設定した時間が経過した後に、再度スイッチ操作の有無を判定するステップと、
当該判定でスイッチ操作があれば無線通信回路に電力を供給して緊急の通信を行うステップと、
を含むことを特徴とする請求項21に記載の生体情報の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図14】
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【図15】
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【図34】
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【公開番号】特開2006−312010(P2006−312010A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246385(P2005−246385)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】