説明

センサーモジュールパッケージ

【解決手段】 センサーモジュールパッケージは、センサーキャビティ(6)への開口(4)を有するハウジング素子(3)を含み、外部の空気がセンサーキャビティ(6)内に位置されたセンサー装置(1)に到達可能であり、外部の空気の特性を感知する。センサー電子部品(9)は、センサー装置(1)に接続され出力信号を提供する。センサー装置(1)およびセンサー電子部品(9)は、基板(2)上に位置される。センサーキャビティ(6)は、基板(2)の少なくともキャビティ部分、ハウジング素子(3)の少なくとも一部、および開口(4)によって形成される。カバー部材(11)には、機械的の固定素子(13)が設けられ、センサーモジュールパッケージ(10)を車両に搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーキャビティへの開口を有するハウジング部材を有し、外部の空気がセンサーキャビティ内に位置されたセンサー装置に到達可能であり、外部の空気の特性を感知し、センサー電子部品がセンサー装置に接続され出力信号を提供し、センサー装置およびセンサー電子部品は基板上に位置されている、センサーモジュールパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物のガス検出装置は、ヨーロッパ特許出願EP−A−0712745に開示されている。この装置は、ガスセンサー素子および処理する電子部品が搭載されたプリント回路ボードと、プリント回路ボードを収容するハウジングとを有する。ハウジングは、ガスセンサー素子の感知面が突出するセンサーキャビティと、センサーキャビティへのフィルターを介して吸気開口からの外部の空気を排気開口の前方へ搬送するエアー迷路(ラビリンス)とを有する。センサーキャビティは、ハウジング、フィルター排気表面、およびセンサー素子表面によって完全に規定される。その結果、ガス検出装置のアッセンブリは、全く煩雑であり、かつ複雑である。
【0003】
汚染プローブは、EP−A−0779170に開示されている。この装置は、センサーハウジング内に搭載された評価電子部品を有するプリント回路ボードを含んでいる。センサー装置は、プリント回路ボードに接続され、センサーハウジングから外部に延在する舌部に配置される。センサーキャビティは、ハウジングカバーをセンサーを有する舌部上に配置することによって形成される。舌部上のセンサー装置を保護するためにハウジングカバーの配置が必要である。全体的に、この汚染プローブのアッセンブリもまた複雑である。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、組み立てが容易であり、外気の湿気またはパーティクルからセンサーが保護される、空気良質のセンサーモジュールを提供することを求める。
【0005】
本発明によれば、上記プレアンブルに規定されたセンサーモジュールパッケージが提供され、そこにはセンサーキャビティが、少なくとも基板の空洞部分、少なくともハウジング素子の部分および開口によって形成される。センサーキャビティの壁、例えば底壁、として基板の一部(キャビティの一部)を用いることによって、さらにセンサーキャビティのさらなる境界としてセンサーハウジング素子および開口を用いることによって、センサーモジュールパッケージのアッセンブリは非常に簡単となり、センサーパッケージモジュールは非常に効率よく製造することができる。
【0006】
更なる実施例において、センサー装置は、基板のキャビティ部分に配置され、センサー装置の感知面での外部の空気の直接的な相互作用を可能にする。例えば、表面実装技術を用いて、センサー装置を基板(プリント回路ボードのようなもの)に取り付けることが成し遂げられる。センサー装置にさらに搭載する素子または配置する素子は何ら必要とされない。上昇された動作温度を要求するセンサー装置が使用されるとき、センサー装置を基板に直接に取り付けることができるため、センサー装置それ自身には、熱絶縁するバリアが効果的に提供される。これは、MEMSセンサー装置を用いて成し遂げられ、感知面が自由なメンブレイン上に提供される。
【0007】
更なる実施例において、封止部材は、センサーキャビティの効果的な封止を可能にするため、ハウジング素子と基板との間に設けられ、外部の空気のみがセンサーキャビティに到達することを可能にする。更なる実施例において、外部の空気がセンサーキャビティに入ることのみを可能にするため、開口には、半浸透性のメンブレインが設けられ、メンブレインは、外部の空気がセンサーキャビティに入ることを可能にする。水蒸気および粒子は、効果的にセンサーキャビティに入り込むことが阻止され、これにより、センサー装置を可能性のある損傷から保護する。半浸透性のメンブレインは、例えば、ゴアテックス(Gore-Tex)のような材料から構成される。
【0008】
更なる実施例において、センサー電子部品は、基板上のセンサーキャビティと対向する側に配置される。センサー電子部品は、これによりセンサーキャビティ内の外部の空気による外部の影響から保護される。センサー装置と処理用の電子部品との間の接続には、例えばヴィア(vias)を用いた従来の方法が提供される。
【0009】
長所のある実施例において、ハウジング素子は、基板をハウジング素子に固定するロック部材を有する。ハウジング部材に基板を固定することにより、半製品(セミプロダクト)が得られる。これは、例えば、1つの位置で基板(センサー装置を有する)をハウジング素子に組み立てることを可能にし、半製品のキャリブレーションを他の位置で実行することを可能にする。
【0010】
センサーモジュールパッケージはさらに、更なる実施例においてカバー部材を有し、カバー部材は、ハウジング素子、基板およびカバー部材によって形成された電子部品キャビティを封止するように配置される。カバー部材は、ハウジング素子と同様の材料から構成することができ、カバー部材は、例えばレーザー溶接、接着等を用いてハウジング素子に取り付けられる。
【0011】
センサーモジュールパッケージの組み立てられた状態においてセンサーキャビティの適切な封止を確実にするため、カバー部材は、基板をハウジング素子に押圧するための延在部材を含む。延在部材は、ピンまたはその他の形状のカバー部材の延長であることができ、カバー部材の一体部分を形成することが効果的である(例えば、延長部分を有するカバー部材をインジェクションモールドする)。
【0012】
センサーモジュールパッケージを乗り物等の車両に搭載することを可能にするため、カバー部材は、センサーモジュールパッケージを車両に搭載するための機械的な固定素子(部材)を含むことが効果的である。このような機械的な固定素子は、標準化された形状であることができ、広い種々の車両のタイプにおいてセンサーモジュールパッケージを搭載することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、添付された図面を参照し、いくつかの例を用いて、以下により詳細に説明される。
【0014】
本センサーモジュールパッケージ10の実施例が、図1に模式的な断面で示されている。センサーモジュールパッケージ10は、センサー装置1を含み、これは、外気の所定の物質、例えば、一酸化炭素、酸化窒素(NOx)、炭化水素(HC)、または揮発性有機化合物(VOC)に感度を有する。センサー装置1は、単一のセンサー素子を有してもよいが、複数のセンサー素子が提供されてもよく、例えば、検出されるべき物質につき1つである。
【0015】
センサーモジュールパッケージ10は、例えば、プラスティックモールドから形成されたハウジング素子3を含む。ハウジング素子3は、側壁7によって規定された開口4を含む。本実施例では、開口4は、円形状であるが、他の形状、例えば矩形状または四角形状が用いられても良い。開口は、メンブレイン(薄膜)5によって覆われ、メンブレイン5は、センサーモジュール10の内部を外気に含まれる湿気やパーティクルから保護しようとする。メンブレインは、例えば、半透明性または半浸透性の材料から構成され、例えば外部の空気のようなガスを通過させるが、水分や埃の粒子がセンサーモジュール10内に入り込むのを防止する。
【0016】
センサーモジュールパッケージ10は、プリント回路ボードのような基板2を含む。センサー装置1は、基板2の一方の側に、例えば公知の接着またははんだ付けの技術を用いて配置される。基板2の他方の側には、処理用の電子部品(エレクトロニクス)9が配置され、これは、公知の技術、例えば基板2のヴィアを用いてセンサー装置1に接続される。上昇された動作温度を要求するセンサー装置1が使用されるとき、基板2に直接的にセンサー装置1を取り付けることができるため、センサー装置1それ自身には熱的な絶縁バリアが好都合に与えられる。
【0017】
基板2は、ハウジング素子3の側壁7とメンブレイン5との共働によってセンサーキャビティ(空洞)6を形成する。側壁7は、基板2との気密接続を提供するように適合される。ここに示される実施例では、側壁7と基板2との間の気密封止は、例えば、ラバーまたはシリコーン材料などから構成されるOリング形状の封止部材8を用いて成し遂げられる。ハウジング素子3と共働する基板2は、センサーモジュールパッケージ10にセンサーキャビティ6を提供するため、センサーモジュールパッケージ10のアッセンブリは非常に簡単であり、かつセンサーモジュールパッケージ10は非常に効率よく製造される。
【0018】
製造プロセス中に、センサーモジュールパッケージ10は、幾つかのステージで組み立てられる。第1に、ハウジング素子3が製造され、例えば、インジェクションモールドまたは他のキャスティング技術を用いて製造される。ハウジング素子3には、コネクタ部分15が一体成型される。コネクタ部分15にはさらに、端子16(図1では1つが示されているが、多数の例えば3つの端子16があってもよい)が設けられ、これは、例えばハウジング素子3に予め規定された搭載穴を用いて位置決めされる。端子16と基板との間の電気的な接続は、導電性のスプリング17によって提供され、これは、組み立てられた状態で基板2上の接続パッドに抗して押圧され、本実施例における電気的な接続を提供する。代替的な例では、接続は、例えばピンと穴の接続を用いて得ることができる。コネクタ部分15は、好ましくは、標準的なタイプのコネクタとして形成され、例えば、MQS(マイクロ クワドロック システムMicro Quadlock System)コネクタのような標準的な自動車のコネクタとして形成される。
【0019】
それから、ハウジング素子3の開口4は、例えば溶接技術または接着剤を用いて、メンブレイン5によってカバーされ、図1に示されるように、Oリング8が側壁の周囲に位置決めされる。引き続いて、センサー装置1と処理用の電子部品9が完成された予め製造された基板2がハウジング素子3に位置決めされ、センサーキャビティ6が自動的に形成される。基板2は、固定手段14を用いてハウジング素子3に固定されることができ、これは都合の良い実施例であり、固定手段14は、ハウジング素子3の一体部分である。基板2の固定は、基板2が固定手段14の延長する部分を越えるように単に押圧する(スナップフィット)ことで成し遂げられる。代替的に、固定手段14は、ハウジング素子3に基板2を留めるように形成される。
【0020】
センサーモジュールパッケージ10は、キャリブレーション(校正)に供される。処理用の電子部品は、ハウジング素子3の開口された側から容易に到達し得るので、キャリブレーションは、間単に実行することができる。キャリブレーション後、センサーモジュールパッケージ10には、カバー素子11が設けられ、また処理用電子部品9は、損傷や外部の影響から保護される。カバー素子11には、ピン12が設けられ、ピン12は、ハウジング3への基板2のさらなる固定を提供する。カバー素子11にはさらに、搭載手段13を設けらことができ、搭載手段13は、例えば乗り物へのセンサーモジュールパッケージ10の固定を可能にする。代替的に、ハウジング素子3には、センサーモジュールパッケージ10の正面側(ガス開口側)に、例えばバイオネット(銃剣)接続の形状の搭載手段13が設けられるようにしてもよい。最後の工程として、カバー素子11およびハウジング素子3は、例えばレーザー溶接または接着剤により互いに取り付けられ、使用の準備ができた完全に閉じたセンサーモジュールパッケージ10が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明によるセンサーモジュールパッケージの実施例の断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーキャビティ(6)への開口(4)を有するハウジング素子(3)を含み、センサーキャビティ(6)内に位置されたセンサー装置(1)に外部の空気が到達し外部の空気の特性を感知し、さらにセンサー装置(1)に接続され出力信号を提供するセンサー電子部品(9)を含み、センサー装置(1)およびセンサー電子部品(9)が基板(2)に配置されたセンサーモジュールパッケージにおいて、
センサーキャビティ(6)は、基板(2)の少なくともキャビティ部分、ハウジング素子(3)の少なくとも一部、および開口(4)によって形成される、センサーモジュールパッケージ。
【請求項2】
センサー装置(1)は、基板のキャビティ部分に位置される、請求項1に記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項3】
封止部材(8)がハウジング素子(3)と基板(2)の間に設けられる、請求項1または2に記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項4】
開口(4)には、半浸透性のメンブレイン(5)が設けられ、外部の空気をセンサーキャビティ(6)に入らせる、請求項1ないし3いずれか1つに記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項5】
センサー電子部品(9)は、基板(2)のセンサーキャビティ(6)と対向する側に位置される、請求項1ないし4いずれか1つに記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項6】
ハウジング素子(3)は、ロック部材(14)を含み、基板(2)をハウジング素子(3)に固定する、請求項1ないし5いずれか1つに記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項7】
センサーモジュールパッケージ(10)はさらに、カバー部材(11)を含み、カバー部材は、ハウジング素子(3)、基板(2)およびカバー部材(11)によって形成された電子部品キャビティを封止するように配置される、請求項1ないし6いずれか1つに記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項8】
カバー部材(11)は、基板(2)をハウジング素子(3)に押圧する延在部材(12)を含む、請求項7に記載のセンサーモジュールパッケージ。
【請求項9】
カバー部材(11)は、センサーモジュールパッケージ(10)を車両に搭載するための機械的な固定部材(13)を含む、請求項7または8に記載のセンサーモジュールパッケージ。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−541087(P2008−541087A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511066(P2008−511066)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000350
【国際公開番号】WO2006/121321
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(508077539)センサータ テクノロジーズ ホランド ビー ヴイ (2)
【Fターム(参考)】