センサー式小型ヘリオスタットのレーザー位置決め治具
【課題】センサーミラーの反射点を目視でき、センサーミラーの反射点を目視でき、ヘリオスタットの設置位置調整を容易にするレーザー位置決め治具を提供する。
【解決手段】レーザー位置決め治具20が同一直線状で互いに反対方向にレーザー光Zを照射可能であるため、センサーミラー18内におけるレーザーZの反射点Pを目視することができる。従って、ヘリオスタット4の傾きを変えながら、反射点Pがセンサーミラー18の範囲内から外れないかどうか目視で確認することができ、ヘリオスタット4の設置位置調整が容易になる。
【解決手段】レーザー位置決め治具20が同一直線状で互いに反対方向にレーザー光Zを照射可能であるため、センサーミラー18内におけるレーザーZの反射点Pを目視することができる。従って、ヘリオスタット4の傾きを変えながら、反射点Pがセンサーミラー18の範囲内から外れないかどうか目視で確認することができ、ヘリオスタット4の設置位置調整が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽を追尾しながら、太陽光を反射して一点に集光させることができるセンサー式小型ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光の有効利用のために、太陽を追尾した状態で、複数のメインミラーを同時に制御し、メインミラーで反射した太陽光を一点に集光させる集光装置としてヘリオスタットが知られている。このようなメインミラーの制御は、メインミラーとは別に設けられた一枚のセンサーミラーにて反射された太陽光を利用している。
【0003】
メインミラーに位置固定されたセンサーミラーで反射された太陽光を、集光方向に設置されたセンサーにて受光し、そのセンサーミラーからの太陽光が常にセンサーにて受光されるように、メインミラーの駆動部をフィードバック制御している。センサーミラーとメインミラーは動きが一緒のため、センサーミラーからの太陽光が常に同じ方向に向けば、メインミラーからの太陽光も常に同じ方向を向くようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
センサーミラーにて実質的に平行光である太陽光を反射する反射点は第1軸11と第2軸13の回転中心の近傍ではあるがオフセットしているので、メインミラーの傾斜方向に応じて、センサーミラー内を移動するため、センサーミラーはある程度の大きさを有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3784021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、太陽光の反射点がセンサーミラーの範囲内を移動するにもかかわらず、その反射点を目視することができないため、センサーとヘリオスタットとの設置位置調整が面倒であった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、センサーミラーの反射点を目視でき、ヘリオスタットの設置位置調整を容易にするレーザー位置決め治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、回転自在な第1軸と、第1軸と直交する回転自在な第2軸と、第2軸に支持される複数のメインミラーと、第2軸に中央付近に支持されるセンサーミラーと、センサーミラーとターゲットとの間に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部を備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、レーザ位置決め治具はセンサーミラーの位置に配置され、1つのレーザ光がターゲットを指向し他のレーザ光がセンサーミラーを指向するときに、ターゲットにおける反射点とセンサーミラーにおける反射点を視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、レーザーがHe−Neレーザーであることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、地球の自転軸と平行で且つ軸心を中心に太陽の日周運動に関連する赤経方向で回転自在な第1軸と、第1軸の先端に固定されたコ字形のフレームと、フレームを第1軸と直交する方向で貫通し且つ軸心を中心に太陽の季節運動に関連する赤緯方向で回転自在な第2軸と、第2軸におけるフレームの両外側に支持される複数のメインミラーと、第2軸におけるフレームの内側に支持されるセンサーミラーと、第1軸及び第2軸に対する不動位置に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部とを備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、レーザー位置決め治具が同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射可能であるため、センサーの設置予定位置に当該レーザー位置決め治具を設置し、一方のレーザーをターゲットに向け、他方のレーザーをセンサーミラーに向けると、センサーミラー内におけるレーザーの当たった点が太陽光の反射点であり、その反射点を目視することができる。従って、ヘリオスタットの傾きを変えながら、反射点がセンサーミラーの範囲内から外れないかどうか目視で確認することができ、ヘリオスタットの設置位置調整が容易になる。
【0013】
請求項2の発明によれば、センサーミラーの回転中心の位置を特定しなくても容易にヘリオスタットの位置決めをすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、レーザーがHe−Neレーザーであるため、例えば反射点を赤色で示すことができ、目視しやすい。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、特に、センサーミラーにおける横方向への反射点の移動が赤道儀式のヘリオスタットに用いる場合も、反射点の目視が容易なため、反射点がセンサーミラーから外れないようにヘリオスタットの設置調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ビームダウン型の集光装置を示す側面部。
【図2】ヘリオスタットを示す斜視図。
【図3】ヘリオスタットを示す分解斜視図。
【図4】センサーミラーによる太陽光の反射を示す側面部。
【図5】メインミラーによる太陽光の反射を示す断面図。
【図6】メインミラーの支持構造を示す概略説明図。
【図7】センサーミラーにおける反射点の移動を示す説明図。
【図8】レーザー位置決め治具を示す斜視図。
【図9】レーザー位置決め治具を示す断面図。
【図10】センサーミラーによる太陽の日周運動に関連した赤経方向での反射を示す断面図。
【図11】センサーミラーによる太陽の季節運動に関連した赤緯方向での反射を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図11は、本発明の好適な実施形態を示す図である。図1はビームダウン型の太陽集光装置を示している。中央には楕円鏡1が図示せぬ支持タワーにより所定の高さ位置に下向き状態で設置されている。楕円鏡1はその鏡面形状が回転楕円体の一部で、下方には、共焦点として第1焦点Aと、第2焦点Bが存在する。この楕円鏡1の下方には、太陽光Lを熱エネルギーに変換するための熱変換装置2が設置されており、該熱変換装置2の上部には、テーパ筒状の集光鏡3が設置されている。そして、熱変換装置2の周囲の地上には、楕円鏡1を取り囲んだ状態で、多数のヘリオスタット4が設けられている。
【0018】
各ヘリオスタット4は太陽光Lを必ず第1焦点Aに向かわせるように姿勢制御される。ヘリオスタット4で反射された太陽光Lが第1焦点Aを通過しさえすれば、楕円鏡1で下向きに反射されて、必ず第2焦点Bに集光され、集光鏡3を経由して熱変換装置2に到達する。
【0019】
楕円鏡1で反射された太陽光Lを狭い集光鏡3内に導入するために、ヘリオスタット4で反射される太陽光Lは小さいスポットで集光する必要がある。そのため、この実施形態におけるヘリオスタット4は、メインミラー5が4枚の小型構造になっている。
【0020】
次に、ヘリオスタット4の構造を説明する。ベース6には南側にはバー7が立設され、上端にセンサー8が設けられている。ベース6の北側には支柱9が設けられ、その上端には第1駆動部10が設けられている。第1駆動部10には、地球の自転軸と平行で地面に対して所定の角度を有する第1軸11設けられている。この第1軸11は第1駆動部10により軸心を中心に日周運動に関連する赤経方向X(図6参照)へ回転自在である。
【0021】
第1軸11の先端にはコ字形(U字型)のフレーム12が固定されている。このフレーム12は小型で、その両側のフランジには第1軸11と直交する方向に第2軸13が貫通している。第2軸13は所定径を有する金属パイプで、フランジの外側へ両側が突出している。フレーム12と第2軸13との間には、第2軸13を季節運動に関連する赤緯方向Y(図6参照)へ回転させる第2駆動部14が設けられている。第1軸11の仮想回転軸と第2軸13の仮想回転軸は直交し、仮想回転軸の直交点はメインミラー5の回転中心となる。
【0022】
フレーム12から外側へ突出した第2軸13の両端には支持パイプ15が直交方向に貫通している。第2軸13と支持パイプ15でH形を形成し、その四隅となる支持パイプ15の両端に円形のメインミラー5がそれぞれ金具16により取り付けられている。メインミラー5は径が50cmで、鏡面が凹球面になっている。メインミラー5の実質的な焦点距離はそれぞれ楕円鏡1の第1焦点Aまでの距離に設定されている。
【0023】
また、このメインミラー5の表面には光触媒層(酸化チタン)が蒸着により形成されている。メインミラー5が小さいため、蒸着釜に入れる際も多数枚を一度に入れて蒸着できるため、コスト的に有利である。
【0024】
フレーム12の内側の第2軸13には一対のブラケット17を介してセンサーミラー18が設けられている。センサーミラー18は横寸法が30cmで、縦寸法が20cmの横長の長方形である。センサーミラー18はメインミラー5に対して位置固定されるため回転中心は一致している。
【0025】
センサーミラー18で反射された太陽光Lはセンサー8により受光される。センサー8は、センサーミラー18と第1焦点Aの間に位置しており、センサーミラー18とセンサー8を結ぶ線の延長線上に第1焦点Aが存在する。従って、センサーミラー18からの太陽光Lを常にセンサー8にて受光されるように反射すると、その太陽光Lはセンサー8の先の第1焦点Aに必ず向かうことになる。第1焦点Aに向かう太陽光Lは、前述のように、楕円鏡1で反射されて必ず第2焦点Bに至る。
【0026】
4枚のメインミラー5は、図5に示すように、センサーミラー18にて反射された太陽光Lを光軸として、その光軸上に集光するように向きが予め調整されている。
【0027】
センサー8の内部には太陽光Lの上下方向及び左右方向での中立位置を検出する光検出素子が十字状に設けられており、センサー8から第1駆動部10及び第2駆動部14へ信号を出力している。センサー8が規定する光軸はセンサーミラー18の回転中心を通るように固定されている。そして、センサーミラー18で反射される太陽光Lが必ずセンサー8にて受光されるように、第1駆動部10及び第2駆動部14をフィードバック制御し、第1軸11及び第2軸13を回転させて、センサーミラー18とメインミラー5の姿勢を一体的に制御している。
【0028】
センサーミラー18は太陽の日周運動に関連する赤経方向Xでは第1軸11を中心に回転し、太陽の季節運動に関連する赤緯方向Yでは第2軸13を中心に回転するため、センサーミラー18の表面で太陽光Lを反射する反射点はセンサーミラー18のセンターMに対してそれぞれ移動する。
【0029】
本実施形態のような赤道儀式のヘリオスタット4の場合は、太陽Sの日周運動の方が季節運動よりも大きく、日周運動に関連する赤経方向Xでの反射点の移動量の方が多い。
【0030】
そのため、センサー8に対するヘリオスタット4の設置調整を正しく行わないと、反射点Pがセンサー8の範囲から外れて、ヘリオスタット4の正しい動作を行うことができない。
【0031】
そのため、この実施形態では、レーザー位置決め治具20を用いる。このレーザー位置決め治具20は、筒形状をしており、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光Zを照射自在な一対のレーザー照射部21、22を内部に備えている。レーザーはHe−Neレーザーで、反射点Pが赤色になる。ターゲット(第1焦点A)側の方のレーザー照射部20の方が高出力で、センサーミラー18側が低出力である。ターゲット側の方が照射距離が長いためである。
【0032】
図10及び図11に示すように、ヘリオスタット4の設置の際に、センサーミラー18を赤経方向及び赤緯方向に傾けて、センターMに対する反射点Pの位置を目視することができる。従って、ヘリオスタット4の設置作業が容易である。
【0033】
位置決め作業により、レーザー位置決め治具20が規定する光軸Zが第1焦点Aおよびセンサーミラー18の回転中心を通るようにアライメントされる。すなわち、センサーミラー18の位置にレーザ位置決め治具20が配置され、1つのレーザ光がターゲットAに一時的に仮設された板(図示せず)を指向し、他のレーザー光Zがセンサーミラー18を指向するときに、ターゲットAにおける反射点とセンサーミラー18における反射点Pを視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることができる。したがって、センサーミラー18の回転中心の位置を特定しなくても容易に位置決めをすることが可能になる。
【0034】
また、センサーミラー18からの太陽光Lを光軸として、その光軸上にメインミラー5からの太陽光Lを一致させるようにしたが、メインミラー5からの太陽光Lの集光点と、センサーミラー18からの太陽光Lの光軸を所定角度相違させても良い。要はセンサーミラー18からの太陽光Lがセンサー8にて受光された際に、メインミラー5からの太陽光Lが第1焦点Aに向かえば良い。
【0035】
尚、以上の説明では、メインミラー5の径を50cmにする例を示したが、これに限定されず40〜60cmの径であれば好適である。
【0036】
更に、ビームダウン型の太陽集光装置の例を示したが、本発明のヘリオスタット4はタワー型の太陽集光装置にも使用可能である。
【符号の説明】
【0037】
4 ヘリオスタット
5 メインミラー
8 センサー
11 第1軸
12 フレーム
13 第2軸
18 センサーミラー
20 レーザー位置決め治具
21 レーザー照射部
A 第1焦点
B 第2焦点
L 太陽光
S 太陽
M センター
X 赤経方向
Y 赤緯方向
Z レーザー
P 反射点
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽を追尾しながら、太陽光を反射して一点に集光させることができるセンサー式小型ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光の有効利用のために、太陽を追尾した状態で、複数のメインミラーを同時に制御し、メインミラーで反射した太陽光を一点に集光させる集光装置としてヘリオスタットが知られている。このようなメインミラーの制御は、メインミラーとは別に設けられた一枚のセンサーミラーにて反射された太陽光を利用している。
【0003】
メインミラーに位置固定されたセンサーミラーで反射された太陽光を、集光方向に設置されたセンサーにて受光し、そのセンサーミラーからの太陽光が常にセンサーにて受光されるように、メインミラーの駆動部をフィードバック制御している。センサーミラーとメインミラーは動きが一緒のため、センサーミラーからの太陽光が常に同じ方向に向けば、メインミラーからの太陽光も常に同じ方向を向くようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
センサーミラーにて実質的に平行光である太陽光を反射する反射点は第1軸11と第2軸13の回転中心の近傍ではあるがオフセットしているので、メインミラーの傾斜方向に応じて、センサーミラー内を移動するため、センサーミラーはある程度の大きさを有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3784021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、太陽光の反射点がセンサーミラーの範囲内を移動するにもかかわらず、その反射点を目視することができないため、センサーとヘリオスタットとの設置位置調整が面倒であった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、センサーミラーの反射点を目視でき、ヘリオスタットの設置位置調整を容易にするレーザー位置決め治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、回転自在な第1軸と、第1軸と直交する回転自在な第2軸と、第2軸に支持される複数のメインミラーと、第2軸に中央付近に支持されるセンサーミラーと、センサーミラーとターゲットとの間に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部を備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、レーザ位置決め治具はセンサーミラーの位置に配置され、1つのレーザ光がターゲットを指向し他のレーザ光がセンサーミラーを指向するときに、ターゲットにおける反射点とセンサーミラーにおける反射点を視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、レーザーがHe−Neレーザーであることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、地球の自転軸と平行で且つ軸心を中心に太陽の日周運動に関連する赤経方向で回転自在な第1軸と、第1軸の先端に固定されたコ字形のフレームと、フレームを第1軸と直交する方向で貫通し且つ軸心を中心に太陽の季節運動に関連する赤緯方向で回転自在な第2軸と、第2軸におけるフレームの両外側に支持される複数のメインミラーと、第2軸におけるフレームの内側に支持されるセンサーミラーと、第1軸及び第2軸に対する不動位置に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部とを備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、レーザー位置決め治具が同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射可能であるため、センサーの設置予定位置に当該レーザー位置決め治具を設置し、一方のレーザーをターゲットに向け、他方のレーザーをセンサーミラーに向けると、センサーミラー内におけるレーザーの当たった点が太陽光の反射点であり、その反射点を目視することができる。従って、ヘリオスタットの傾きを変えながら、反射点がセンサーミラーの範囲内から外れないかどうか目視で確認することができ、ヘリオスタットの設置位置調整が容易になる。
【0013】
請求項2の発明によれば、センサーミラーの回転中心の位置を特定しなくても容易にヘリオスタットの位置決めをすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、レーザーがHe−Neレーザーであるため、例えば反射点を赤色で示すことができ、目視しやすい。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、特に、センサーミラーにおける横方向への反射点の移動が赤道儀式のヘリオスタットに用いる場合も、反射点の目視が容易なため、反射点がセンサーミラーから外れないようにヘリオスタットの設置調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ビームダウン型の集光装置を示す側面部。
【図2】ヘリオスタットを示す斜視図。
【図3】ヘリオスタットを示す分解斜視図。
【図4】センサーミラーによる太陽光の反射を示す側面部。
【図5】メインミラーによる太陽光の反射を示す断面図。
【図6】メインミラーの支持構造を示す概略説明図。
【図7】センサーミラーにおける反射点の移動を示す説明図。
【図8】レーザー位置決め治具を示す斜視図。
【図9】レーザー位置決め治具を示す断面図。
【図10】センサーミラーによる太陽の日周運動に関連した赤経方向での反射を示す断面図。
【図11】センサーミラーによる太陽の季節運動に関連した赤緯方向での反射を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図11は、本発明の好適な実施形態を示す図である。図1はビームダウン型の太陽集光装置を示している。中央には楕円鏡1が図示せぬ支持タワーにより所定の高さ位置に下向き状態で設置されている。楕円鏡1はその鏡面形状が回転楕円体の一部で、下方には、共焦点として第1焦点Aと、第2焦点Bが存在する。この楕円鏡1の下方には、太陽光Lを熱エネルギーに変換するための熱変換装置2が設置されており、該熱変換装置2の上部には、テーパ筒状の集光鏡3が設置されている。そして、熱変換装置2の周囲の地上には、楕円鏡1を取り囲んだ状態で、多数のヘリオスタット4が設けられている。
【0018】
各ヘリオスタット4は太陽光Lを必ず第1焦点Aに向かわせるように姿勢制御される。ヘリオスタット4で反射された太陽光Lが第1焦点Aを通過しさえすれば、楕円鏡1で下向きに反射されて、必ず第2焦点Bに集光され、集光鏡3を経由して熱変換装置2に到達する。
【0019】
楕円鏡1で反射された太陽光Lを狭い集光鏡3内に導入するために、ヘリオスタット4で反射される太陽光Lは小さいスポットで集光する必要がある。そのため、この実施形態におけるヘリオスタット4は、メインミラー5が4枚の小型構造になっている。
【0020】
次に、ヘリオスタット4の構造を説明する。ベース6には南側にはバー7が立設され、上端にセンサー8が設けられている。ベース6の北側には支柱9が設けられ、その上端には第1駆動部10が設けられている。第1駆動部10には、地球の自転軸と平行で地面に対して所定の角度を有する第1軸11設けられている。この第1軸11は第1駆動部10により軸心を中心に日周運動に関連する赤経方向X(図6参照)へ回転自在である。
【0021】
第1軸11の先端にはコ字形(U字型)のフレーム12が固定されている。このフレーム12は小型で、その両側のフランジには第1軸11と直交する方向に第2軸13が貫通している。第2軸13は所定径を有する金属パイプで、フランジの外側へ両側が突出している。フレーム12と第2軸13との間には、第2軸13を季節運動に関連する赤緯方向Y(図6参照)へ回転させる第2駆動部14が設けられている。第1軸11の仮想回転軸と第2軸13の仮想回転軸は直交し、仮想回転軸の直交点はメインミラー5の回転中心となる。
【0022】
フレーム12から外側へ突出した第2軸13の両端には支持パイプ15が直交方向に貫通している。第2軸13と支持パイプ15でH形を形成し、その四隅となる支持パイプ15の両端に円形のメインミラー5がそれぞれ金具16により取り付けられている。メインミラー5は径が50cmで、鏡面が凹球面になっている。メインミラー5の実質的な焦点距離はそれぞれ楕円鏡1の第1焦点Aまでの距離に設定されている。
【0023】
また、このメインミラー5の表面には光触媒層(酸化チタン)が蒸着により形成されている。メインミラー5が小さいため、蒸着釜に入れる際も多数枚を一度に入れて蒸着できるため、コスト的に有利である。
【0024】
フレーム12の内側の第2軸13には一対のブラケット17を介してセンサーミラー18が設けられている。センサーミラー18は横寸法が30cmで、縦寸法が20cmの横長の長方形である。センサーミラー18はメインミラー5に対して位置固定されるため回転中心は一致している。
【0025】
センサーミラー18で反射された太陽光Lはセンサー8により受光される。センサー8は、センサーミラー18と第1焦点Aの間に位置しており、センサーミラー18とセンサー8を結ぶ線の延長線上に第1焦点Aが存在する。従って、センサーミラー18からの太陽光Lを常にセンサー8にて受光されるように反射すると、その太陽光Lはセンサー8の先の第1焦点Aに必ず向かうことになる。第1焦点Aに向かう太陽光Lは、前述のように、楕円鏡1で反射されて必ず第2焦点Bに至る。
【0026】
4枚のメインミラー5は、図5に示すように、センサーミラー18にて反射された太陽光Lを光軸として、その光軸上に集光するように向きが予め調整されている。
【0027】
センサー8の内部には太陽光Lの上下方向及び左右方向での中立位置を検出する光検出素子が十字状に設けられており、センサー8から第1駆動部10及び第2駆動部14へ信号を出力している。センサー8が規定する光軸はセンサーミラー18の回転中心を通るように固定されている。そして、センサーミラー18で反射される太陽光Lが必ずセンサー8にて受光されるように、第1駆動部10及び第2駆動部14をフィードバック制御し、第1軸11及び第2軸13を回転させて、センサーミラー18とメインミラー5の姿勢を一体的に制御している。
【0028】
センサーミラー18は太陽の日周運動に関連する赤経方向Xでは第1軸11を中心に回転し、太陽の季節運動に関連する赤緯方向Yでは第2軸13を中心に回転するため、センサーミラー18の表面で太陽光Lを反射する反射点はセンサーミラー18のセンターMに対してそれぞれ移動する。
【0029】
本実施形態のような赤道儀式のヘリオスタット4の場合は、太陽Sの日周運動の方が季節運動よりも大きく、日周運動に関連する赤経方向Xでの反射点の移動量の方が多い。
【0030】
そのため、センサー8に対するヘリオスタット4の設置調整を正しく行わないと、反射点Pがセンサー8の範囲から外れて、ヘリオスタット4の正しい動作を行うことができない。
【0031】
そのため、この実施形態では、レーザー位置決め治具20を用いる。このレーザー位置決め治具20は、筒形状をしており、同一直線状で互いに反対方向にレーザー光Zを照射自在な一対のレーザー照射部21、22を内部に備えている。レーザーはHe−Neレーザーで、反射点Pが赤色になる。ターゲット(第1焦点A)側の方のレーザー照射部20の方が高出力で、センサーミラー18側が低出力である。ターゲット側の方が照射距離が長いためである。
【0032】
図10及び図11に示すように、ヘリオスタット4の設置の際に、センサーミラー18を赤経方向及び赤緯方向に傾けて、センターMに対する反射点Pの位置を目視することができる。従って、ヘリオスタット4の設置作業が容易である。
【0033】
位置決め作業により、レーザー位置決め治具20が規定する光軸Zが第1焦点Aおよびセンサーミラー18の回転中心を通るようにアライメントされる。すなわち、センサーミラー18の位置にレーザ位置決め治具20が配置され、1つのレーザ光がターゲットAに一時的に仮設された板(図示せず)を指向し、他のレーザー光Zがセンサーミラー18を指向するときに、ターゲットAにおける反射点とセンサーミラー18における反射点Pを視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることができる。したがって、センサーミラー18の回転中心の位置を特定しなくても容易に位置決めをすることが可能になる。
【0034】
また、センサーミラー18からの太陽光Lを光軸として、その光軸上にメインミラー5からの太陽光Lを一致させるようにしたが、メインミラー5からの太陽光Lの集光点と、センサーミラー18からの太陽光Lの光軸を所定角度相違させても良い。要はセンサーミラー18からの太陽光Lがセンサー8にて受光された際に、メインミラー5からの太陽光Lが第1焦点Aに向かえば良い。
【0035】
尚、以上の説明では、メインミラー5の径を50cmにする例を示したが、これに限定されず40〜60cmの径であれば好適である。
【0036】
更に、ビームダウン型の太陽集光装置の例を示したが、本発明のヘリオスタット4はタワー型の太陽集光装置にも使用可能である。
【符号の説明】
【0037】
4 ヘリオスタット
5 メインミラー
8 センサー
11 第1軸
12 フレーム
13 第2軸
18 センサーミラー
20 レーザー位置決め治具
21 レーザー照射部
A 第1焦点
B 第2焦点
L 太陽光
S 太陽
M センター
X 赤経方向
Y 赤緯方向
Z レーザー
P 反射点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な第1軸と、第1軸と直交する回転自在な第2軸と、第2軸に支持される複数のメインミラーと、第2軸に中央付近に支持されるセンサーミラーと、センサーミラーとターゲットとの間に固定されセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部を備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、
同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とするレーザー位置決め治具。
【請求項2】
1つのレーザー光がターゲットを指向し他のレーザー光がセンサーミラーを指向するときに、ターゲットにおける反射点とセンサーミラーにおける反射点を視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることを特徴とする請求項1記載のレーザー位置決め治具。
【請求項3】
レーザーがHe−Neレーザーであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレーザー位置決め治具。
【請求項4】
地球の自転軸と平行で且つ軸心を中心に太陽の日周運動に関連する赤経方向で回転自在な第1軸と、第1軸の先端に固定されたコ字形のフレームと、フレームを第1軸と直交する方向で貫通し且つ軸心を中心に太陽の季節運動に関連する赤緯方向で回転自在な第2軸と、第2軸におけるフレームの両外側に支持される複数のメインミラーと、第2軸におけるフレームの内側に支持されるセンサーミラーと、第1軸及び第2軸に対する不動位置に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部とを備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、
同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とするレーザー位置決め治具。
【請求項1】
回転自在な第1軸と、第1軸と直交する回転自在な第2軸と、第2軸に支持される複数のメインミラーと、第2軸に中央付近に支持されるセンサーミラーと、センサーミラーとターゲットとの間に固定されセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部を備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、
同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とするレーザー位置決め治具。
【請求項2】
1つのレーザー光がターゲットを指向し他のレーザー光がセンサーミラーを指向するときに、ターゲットにおける反射点とセンサーミラーにおける反射点を視認することにより、センサー制御式ヘリオスタットの位置決めをすることを特徴とする請求項1記載のレーザー位置決め治具。
【請求項3】
レーザーがHe−Neレーザーであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレーザー位置決め治具。
【請求項4】
地球の自転軸と平行で且つ軸心を中心に太陽の日周運動に関連する赤経方向で回転自在な第1軸と、第1軸の先端に固定されたコ字形のフレームと、フレームを第1軸と直交する方向で貫通し且つ軸心を中心に太陽の季節運動に関連する赤緯方向で回転自在な第2軸と、第2軸におけるフレームの両外側に支持される複数のメインミラーと、第2軸におけるフレームの内側に支持されるセンサーミラーと、第1軸及び第2軸に対する不動位置に固定されてセンサーミラーにて反射された太陽光を受光するセンサーと、センサーミラーにて反射された太陽光が常にセンサーにて受光されるように第1軸及び第2軸を回転制御する駆動部とを備えたセンサー制御式ヘリオスタットに用いられるレーザー位置決め治具であって、
同一直線状で互いに反対方向にレーザー光を照射自在な一対のレーザー照射部を備えたことを特徴とするレーザー位置決め治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−33092(P2013−33092A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168337(P2011−168337)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(390013033)三鷹光器株式会社 (114)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(390013033)三鷹光器株式会社 (114)
【Fターム(参考)】
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