説明

センサ検出信号の温度ドリフト補正方法及びその装置

【課題】測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号の温度ドリフトを精度よく解消すること。
【解決手段】センサ11からの検出信号の信号レベルに温度ドリフトを生じさせる要因となる伝送ケーブル19に沿って配設した信号線21の、温度により変動する抵抗値を測定し、信号線21の抵抗値−温度特性から、伝送ケーブル19の全長に亘る周辺温度に対応する温度情報、つまり、周辺温度の基準温度に対する温度差の情報を取得する。そして、温度ドリフト補正装置15のメモリ15bに記憶されている、伝送ケーブル19の長さに適合する温度−ドリフト相関テーブルから、受信装置13が検出する検出信号の信号レベルに生じる温度ドリフト率を特定し、特定した温度ドリフト率に基づき温度ドリフト補正装置15が検出信号の変位出力の信号レベルに、温度ドリフトを解消する補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ検出信号の温度ドリフトを補正する方法とその装置に係り、特に、センサからの検出信号を信号ケーブルを介して受信装置に入力させる際に生じる、信号ケーブルに起因する検出信号の温度ドリフトを補正する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水平型往復動圧縮機等においては、シリンダ内を水平方向に往復動するピストンの外周に、シール用のピストンリングと共に荷重支持用のライダーリングが装着される。このライダーリングはシリンダライナよりも軟質材で作られており、ピストンの往復動に伴う摩耗はシリンダライナでなくライダーリングで積極的に発生する。したがって、保守整備の際の交換アイテムをシリンダライナでなくライダーリングとして、保守整備作業を格段に簡素化することができる。
【0003】
このような事情から、圧縮機のメンテナンスの一環としてライダーリングの摩耗量を知ることが重要である。ライダーリングの摩耗量はセンサによって測定することができ、特に、圧縮機を連続運転しながら測定できる非接触式の摩耗センサを用いることが理想的である(例えば、特許文献1,2)。
【0004】
そして、本出願人も、例えば液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)の貯蔵プラントのような防爆施設において使用するのに適した、ライダーリングの摩耗計測装置を提案している。この摩耗計測装置によれば、圧縮機のセンサからの検出信号を信号ケーブルにて圧縮機から離れた安全な計器室の受信装置に伝送し、その信号レベルからライダーリングの摩耗状態を計器室側で判定するようにしている(以上、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−158304号公報
【特許文献2】実開昭62−193507号公報
【特許文献3】特許第4359759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した摩耗計測装置のセンサのような、測定値に対応する信号レベルの検出信号を出力するセンサについては、温度によって信号レベルがシフトする(温度ドリフト)ことが知られている。このような信号レベルの温度ドリフトは、ライダーリングの摩耗量を実際よりも少ないと判定してしまったり、反対に、ライダーリングが実際よりも摩耗していると判定してしまうという誤判定の元となる。このような誤判定は、ライダーリングの適切な交換時期を見つけ損ねてしまい、圧縮機の適切なメンテナンスを確保する上で好ましくない。
【0007】
しかも、1日の気温分布が春夏秋冬の季節の進行に伴って変化すると、検出信号の信号レベルに生じる温度ドリフトの内容も変化し、信号レベルに基づいたライダーリングの摩耗状態の判定に生じる誤差の内容も変化する。したがって、検出信号の信号レベルからライダーリングの摩耗状態を正確に判定するには、検出信号の温度ドリフトを解消し正しい信号レベルとすることが必要となる。
【0008】
ところで、上述した防爆施設で用いられる圧縮機のライダーリングの摩耗計測装置の場合には、センサから計器室までの距離がときには何百メートルにも及ぶ。したがって、センサから計器室の受信装置に亘って敷設される信号ケーブルの周辺温度に起因する温度ドリフトを、信号ケーブルの敷設経路上の単一箇所に設置した温度センサによる検出温度に基づいて補正するのは無理がある。仮に複数の温度センサを信号ケーブルの敷設経路上に設置できたとしても、各温度センサの設置箇所から計器室までのセンサケーブルの敷設距離が長ければ、センサケーブルに起因する温度ドリフトが温度センサの出力信号にも生じてしまうので、結局元も子もなくなってしまう。
【0009】
このような問題は、ライダーリングの摩耗検出装置のセンサに限らず、測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号の温度ドリフトを解消する際にも同様に発生する。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号の温度ドリフトを精度よく解消することができるセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法と、この方法を実施する際に用いて好適なセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法は、
測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号が信号ケーブルを介して入力される受信側において、前記信号ケーブルの周辺温度の変動により前記入力される検出信号に生じる前記信号レベルの温度ドリフトを補正する方法であって、
前記信号ケーブルに沿って前記センサから前記受信装置に亘って配設した感温素子の、温度により変動する物理量を測定し、
前記感温素子の前記物理量と温度との関係を示す既知の特性に基づいて、前記測定した物理量から前記信号ケーブルの周辺温度に対応する温度情報を取得し、
前記信号レベルの温度ドリフトの内容と前記信号ケーブルの周辺温度との対応関係を示す既知の温度−ドリフト相関情報を用いて、前記取得した温度情報に対応する前記信号ケーブルの周辺温度から、該周辺温度に対応する前記温度ドリフトの内容を特定し、
前記特定した温度ドリフトの内容に基づいた補正を、前記入力される検出信号の前記信号レベルに対して行うようにした、
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置は、
測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号が信号ケーブルを介して入力される受信側において、前記信号ケーブルの周辺温度の変動により前記入力される検出信号に生じる前記信号レベルの温度ドリフトを補正する装置であって、
前記信号ケーブルに沿わせて前記センサから前記受信装置に亘って配設され、自身の物理量が温度により変動する感温素子と、
前記感温素子の物理量を測定し、該測定した物理量から、前記感温素子の前記物理量と温度との関係を示す既知の特性に基づいて、前記信号ケーブルの周辺温度に対応する温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記信号レベルの温度ドリフトの内容と前記信号ケーブルの周辺温度との対応関係を示す温度−ドリフト相関情報を記憶する記憶手段と、
前記温度−ドリフト相関情報を用いて、前記温度情報取得手段が取得した温度情報に対応する前記信号ケーブルの周辺温度から、該周辺温度に対応する前記温度ドリフトの内容を特定する温度ドリフト特定手段と、
前記温度ドリフト特定手段が特定した温度ドリフトの内容に基づいた補正を、前記入力される検出信号の前記信号レベルに対して行う補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法と、請求項5に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置とによれば、センサからの検出信号の信号レベルに温度ドリフトを生じさせる要因となる信号ケーブルに沿って配設した感温素子の、温度により変動する物理量を測定することで、感温素子の物理量−温度特性から、信号ケーブルの全長に亘る周辺温度に対応する温度情報を取得することができる。
【0014】
したがって、この温度情報と温度ドリフトとの相関から特定した温度ドリフトの内容に基づいた補正を、センサから受信側に信号ケーブルを介して入力された検出信号の信号レベルに対して行うことで、測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号の温度ドリフトを受信側において精度よく解消することができる。
【0015】
さらに、請求項2に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法は、請求項1に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、前記温度−ドリフト相関情報として、前記信号ケーブルの周辺温度の基準温度に対する変化量又は変化率と、前記基準温度における前記信号レベルに対する温度ドリフト量又は温度ドリフト率とを対応付けたテーブルを用いるようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置は、請求項5に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、前記温度−ドリフト相関情報が、前記信号ケーブルの周辺温度の基準温度に対する変化量又は変化率と、前記基準温度における前記信号レベルに対する温度ドリフト量又は温度ドリフト率とを対応付けたテーブルであることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法によれば、請求項1に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、また、請求項6に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置によれば、請求項5に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、いずれも、温度−ドリフト相関情報に、信号ケーブルの周辺温度の絶対値ではなく、周辺温度の基準温度に対する変化量又は変化率を用いるので、温度−ドリフト相関情報のデータベース構築時や、温度−ドリフト相関情報を用いてセンサからの検出信号に生じた温度ドリフトの内容を特定する時に、信号ケーブルの周辺温度を絶対値によって取得しなくても済むようになる。
【0018】
したがって、信号ケーブルの周辺温度の絶対値を感温素子の物理量から割り出せるように感温素子の寸法を特定する必要がなく、よって、感温素子の寸法上の制約をなくして、信号ケーブルに沿わせてセンサから受信装置に亘り感温素子を配設することを容易にすることができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法は、請求項1又は2に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、前記感温素子として、温度により抵抗値が変化する信号線を用い、前記センサ側を短絡し前記受信側を開放した前記信号線の抵抗値を前記物理量として測定するようにしたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置は、請求項5又は6に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、前記感温素子が、前記センサ側が短絡され前記受信側が開放された、温度により抵抗値が変化する信号線であり、前記温度情報取得手段が、前記信号線の抵抗値を前記物理量として測定する抵抗値測定手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、また、請求項7に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置によれば、請求項5又は6に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、いずれも、信号線が信号ケーブルと同じ周辺温度分布中に晒されて、信号線の抵抗値が信号ケーブルの周辺温度に追従して変化することになる。したがって、信号線の抵抗値に基づいて信号ケーブルの全長に亘る周辺温度に対応する温度情報を容易に取得することができる。
【0022】
さらに、請求項4に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法は、請求項1、2又は3に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、前記センサが、防爆施設に設置された圧縮機のピストンに装着されて前記圧縮機のシリンダと摺接するライダーリングの摩耗検出センサであり、前記受信装置が、前記防爆施設から所定の安全確保距離離間した監視施設に設置されており、前記信号ケーブルが、前記防爆施設から前記監視施設に亘って敷設されていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項8に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置は、請求項5、6又は7に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、前記センサが、防爆施設に設置された圧縮機のピストンに装着されて前記圧縮機のシリンダと摺接するライダーリングの摩耗検出センサであり、前記受信装置及び前記各手段が、前記防爆施設から所定の安全確保距離離間した監視施設に設置されており、前記信号ケーブルが、前記防爆施設から前記監視施設に亘って敷設されていることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法によれば、請求項1、2又は3に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法において、また、請求項8に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置によれば、請求項5、6又は7に記載した本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置において、いずれも、防爆施設から監視施設まで所定の安全確保距離に亘って配設された信号ケーブルの周辺温度分布が全て反映された物理量を、信号ケーブルに沿わせて配設された感温素子が持つことになる。したがって、防爆施設から監視施設までの安全確保距離が長距離に及ぶ場合であっても、感温素子の物理量に基づいて信号ケーブルの全長に亘る周辺温度に対応する温度情報を容易に取得することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法によれば、測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号の温度ドリフトを精度よく解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る温度ドリフト補正方法を適用した温度ドリフト補正装置を有するライダーリング摩耗監視システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のセンサが配置される水平型往復動圧縮機の概略構成を示す説明図である。
【図3】図1の各要素や図2の水平型往復動圧縮機の配置を示す説明図である。
【図4】図2のピストンの往復動に伴い図1のセンサに発生する変位出力とこの変位出力に応じて変換されて図1のセンサから出力される検出信号との信号レベルの推移を示す説明図である。
【図5】図3のメモリに記憶される温度−ドリフト相関テーブルの内容をグラフ形式にて示す説明図である。
【図6】図3のCPUがメモリに記憶されたプログラムにしたがって実行する温度ドリフト補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は本発明に係る温度ドリフト補正方法を適用した温度ドリフト補正装置を有するライダーリング摩耗監視システムの一実施形態を示す概略構成図、図2は図1のセンサが配置される水平型往復動圧縮機の概略構成を示す説明図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1は、ライダーリング摩耗センサ(請求項中のセンサに相当、以下、「センサ」と略記する。)11と、受信装置13と、温度ドリフト補正装置15と、警報設定器17とを有している。センサ11と受信装置13とは伝送ケーブル19(請求項中の信号ケーブルに相当)によって接続されている。また、センサ11と温度ドリフト補正装置15との間には信号線21(請求項中の感温素子に相当)が敷設されている。
【0030】
センサ11は、図2に示すように、水平型往復動圧縮機(以下、「圧縮機」と略記する。)100のシリンダ101の外周壁に形成した取付孔103に取り付けられる。シリンダ101にはピストン105が収容されている。このピストン105は、図2中の実線で示す位置と破線で示す位置との間でシリンダ101内を往復動できるように構成されている。ピストン105の外周面には、ピストン105の前後をシールするための不図示のピストンリングが装着されていると共に、ピストン105の荷重を支持するためのライダーリング107が装着されている。センサ11は、ピストン105の外周面と対向するように配置されている。
【0031】
本実施形態のセンサ11は、背景技術の欄で特許文献3として説明した本出願人の提案による特許第4359759号公報の「ライダーリングの摩耗計測装置」の計測原理で、ライダーリング107の摩耗量を検出するものである。
【0032】
詳しくは、図1に示すように、センサ11は、センサヘッド11aと、伝送器11bと、センサヘッド11a及び伝送器11b間を接続するフレキシブルケーブル11cとを有している。センサヘッド11aは、受信装置13から伝送器11bに供給される高周波電流によりピストン105の外周面に発生する渦電流の強さを検出するコイル(図示せず)を有している。コイルが検出する渦電流の強さは、ピストン105の外周面からセンサヘッド11aまでの距離L(図2参照、請求項中の測定対象の測定値に相当)の変化によって変動する。この渦電流の強さは、コイルのインダクタンス変化としてセンサヘッド11aにより検出される。
【0033】
伝送器11bは、フレキシブルケーブル11cと共に並列共振回路を構成するコンデンサ(図示せず)と、この並列共振回路の共振特性の変化を検出するためのハーフブリッジ回路(図示せず)とを有している。また、伝送器11bは、受信装置13から供給される高周波電流をターミネートするための終端装置等を有している。
【0034】
以上のように構成されたセンサ11は、伝送器11bのコンデンサとフレキシブルケーブル11cとの容量和で形成される並列共振回路により、センサヘッド11aのコイルで検出されたインダクタンス変化を共振特性の変化に置き換える。そして、置き換えた共振特性を示す検出信号を、フレキシブルケーブル11cから伝送器11bを介して受信装置13に出力する。即ち、センサ11が出力する検出信号は、ピストン105の外周面からセンサヘッド11aまでの距離L(図2参照)を示す信号であり、ライダーリング107の摩耗に伴う距離Lの変化を受信装置13で検出することで、ライダーリング107の摩耗量を受信装置13が算出することができる。
【0035】
上述した圧縮機100は、例えば液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)の貯蔵プラントのような防爆構造を必要とする施設において使用される。したがって、圧縮機100と共に防爆施設に設置されるセンサ11についても、センサヘッド11aや伝送器11bのハウジング等に防爆構造が採用されている。
【0036】
図3は図1のの各要素や図2の水平型往復動圧縮機の配置を示す説明図である。図3に示すように、受信装置13は、伝送ケーブル19によってセンサ11と接続されている。この受信装置13は、圧縮機100やセンサ11が設置される防爆施設Aから安全確保に必要な所定距離離間した監視施設Bに設置される。防爆施設Aと監視施設Bとの間に確保される所定距離(請求項中の所定の安全確保距離に相当)は、長い場合には400mにも達することがある。したがって、従来のライダーリング摩耗監視システムではコルゲートケーブルが伝送ケーブル19として用いられる。これは、伝送ケーブル19の敷設環境温度の変動を原因とするセンサ11の検出信号の温度ドリフトを少しでも生じにくくするためである。しかし、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、コルゲートチューブを持たない安価なケーブルを伝送ケーブル19として用いている。これは、後述するように、伝送ケーブル19の敷設環境温度の変動により生じるセンサ11の検出信号の温度ドリフトを温度ドリフト補正装置15で補正するからである。
【0037】
受信装置13は、発振器(図示せず)を有している。この発振器の発振周波数により受信装置13で生成される高周波電流は、ピストン105の外周面に渦電流を発生させるために、伝送ケーブル19を介してセンサ11の伝送器11bに供給される。また、受信装置13は、安全保持回路13aを有している。この安全保持回路13aは、高耐圧コンデンサと抵抗とを有している。この高耐圧コンデンサと抵抗とにより安全保持回路13aは、発振器が発振する高周波に対しては低リアクタンス、低周波数の電源周波数に対しては高リアクタンスとなる。したがって、安全保持回路13aは高周波と低周波との間にバリアを形成する。
【0038】
また、受信装置13は、センサ11からの検出信号を伝送ケーブル19を介して受信する。そして、受信した検出信号の信号レベルを検出する。
【0039】
図4は受信装置が検出するセンサからの検出信号の信号レベルを示す説明図である。受信装置13が検出するセンサ11からの検出信号の信号レベルは、図4中の実線で示すように矩形波状に変化する。このうち、信号レベルが高い飽和出力の部分は、センサ11のセンサヘッド11aがピストン105の外周面と対向していない(図2の実線で示す位置にピストン105がある)状態を示している。また、信号レベルが低い変位出力の部分は、センサヘッド11aがピストン105の外周面と対向している(図2の破線で示す位置にピストン105がある)状態を示している。
【0040】
図1に示す受信装置13は、センサ11からの検出信号のボトムホールド回路(図示せず)を有している。このボトムホールド回路は、検出信号中の変位出力の信号レベル(請求項中の信号レベルに相当)をホールドする。受信装置13は、ボトムホールド回路がホールドした変位出力の信号レベルを示す信号を、温度ドリフト補正装置15に出力する。この出力信号に基づいて、ピストン105の外周面からセンサヘッド11aまでの距離L(図2参照)を算出することができる。そして、算出した距離Lに基づいて、ライダーリング107の摩耗量を算出することができる。
【0041】
ところで、受信装置13が検出するセンサ11からの検出信号中の変位出力の信号レベルは、伝送ケーブル19が敷設される防爆施設A及び監視施設B(図3参照)間の環境温度(請求項中の信号ケーブルの周辺温度に相当)の変化の影響による温度ドリフトを含んでいる。そこで、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、この温度ドリフトを解消する補正を、後述する温度ドリフト補正装置15において行うようにしている。
【0042】
図3に示すように、信号線21は、センサ11と受信装置13との間で伝送ケーブル19に沿うように、センサ11と温度ドリフト補正装置15との間に敷設されている。信号線21は、銅を芯線とする2芯以上の被覆ケーブルによって構成されている。信号線21に存在する芯線のうち2本は、センサ11側の端部において短絡されており、温度ドリフト補正装置15側の端部において開放されている。したがって、信号線21は、温度ドリフト補正装置15側を始端及び終端とする1本の銅線を有していることになる。
【0043】
2本の芯線を短絡させて1本にした銅線を有する信号線21の抵抗値は、伝送ケーブル19に沿って信号線21が敷設されている防爆施設A及び監視施設B間の環境温度によって変化する。したがって、信号線21の銅線に通電すると、環境温度に対応する信号線21の抵抗値に応じた電圧降下が、銅線の始端及び終端間に生じる。
【0044】
温度ドリフト補正装置15は、電流検出回路15a、メモリ15b(請求項中の記憶手段に相当)、及び、CPU15cを有している。電流検出回路15aは、信号線21の銅線の始端及び終端間に既知の電圧を印加し銅線を流れる電流を検出する。
【0045】
メモリ15bは、CPU15cが実行するプログラムの他、信号線21の抵抗値と信号線21が敷設されている防爆施設A及び監視施設B間の環境温度との相関を示す抵抗値−環境温度相関テーブルや、センサ11からの検出信号中に含まれる温度ドリフトを解消するために用いる温度−ドリフト相関テーブル(請求項中の温度−ドリフト相関情報)を記憶している。
【0046】
図5は温度−ドリフト相関テーブルの元となる両者の関係を示すサンプルのグラフである。このグラフは、ピストン105の外周面からセンサヘッド11aまでの距離L(図2参照)を固定した場合の、伝送ケーブル19が敷設される防爆施設A及び監視施設B間の環境温度と、受信装置13が検出する変位出力の信号レベルに生じる温度ドリフトとの関係を示すものである。
【0047】
具体的には、図5のグラフの横軸は、基準温度に対する防爆施設及び監視施設間の環境温度の温度差を示している。また、縦軸は、受信装置13が検出する変位出力の、基準温度に対する温度ドリフト率を示している。そして、図5のグラフには、長さが異なる2種類の伝送ケーブル19のそれぞれについて、基準温度(例えば20°C)に対する環境温度の温度差と変位出力の温度ドリフト率とをプロットしている。
【0048】
このような温度−ドリフト相関テーブルは、次のようにして構築することができる。即ち、ピストン105の外周面からセンサヘッド11aまでの距離L(図2参照)を既知の値で固定した状態で、信号線21の抵抗値と信号線21が敷設されている防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の温度変化に対する、受信装置13が検出する検査信号中の変位出力の信号レベルの変化をサンプリングする。
【0049】
ここで、環境温度の温度変化に対する変位出力の信号レベルの変化は、防爆施設A及び監視施設B間の距離、つまり、伝送ケーブル19の長さによって異なる。そのため、伝送ケーブル19の長さ、環境温度、受信装置13が検出する検査信号中の変位出力の信号レベルによって、サンプリングした内容を仕分ける。そして、仕分けした各サンプリング内容に基づいて、伝送ケーブル19の長さ別で、かつ、環境温度の範囲別の、環境温度の温度変化に対する変位出力の信号レベルの変化の相関を求める。
【0050】
これにより、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の基準温度に対する温度差と、その温度差における変位出力の信号レベルの温度ドリフト率との相関を示す、図5のグラフに示す多数のプロット点を得る。このようにして得たプロット点の集合によって、伝送ケーブル19の長さ別の温度−ドリフト相関テーブルを構成することができる。
【0051】
なお、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の基準温度に対する温度差は、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の基準温度に対する変化率に変えてもよく、また、センサ11からの検出信号における変位出力の信号レベルの温度ドリフト率は温度ドリフト量に変えてもよい。
【0052】
したがって、温度ドリフト補正装置15のメモリ15bには、このようにして構成された伝送ケーブル19の長さ別の温度−ドリフト相関テーブルが記憶される。
【0053】
ちなみに、伝送ケーブル19の長さ別の温度−ドリフト相関テーブルの代わりに、伝送ケーブル19の長さ別の、基準温度に対する環境温度の温度差と変位出力の温度ドリフト率との相関を示す数式を、温度−ドリフト相関情報としてメモリ15bに記憶させるようにしてもよい。この数式は、図5のグラフの伝送ケーブル長毎の各プロット点に最小二乗法等を適用して近似曲線化又は近似直線化することで求めることができる。
【0054】
CPU15cには、センサ11からの検出信号中の変位出力の信号レベルを示す信号が、受信装置13から入力される。また、CPU15cには、電流検出回路15aが検出した信号線21の銅線を流れる電流値を示す信号が入力される。
【0055】
次に、CPU15cがメモリ15bに記憶されたプログラムにしたがって実行する温度ドリフト補正処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、CPU15cは、センサ11からの検出信号中の変位出力の信号レベルを示す信号が、受信装置13から入力されたか否かを確認する(ステップS1)。入力されていない場合は(ステップS1でNO)、入力されるのを待機する。
【0056】
変位出力の信号レベルを示す信号が受信装置13から入力された場合は(ステップS1でYES)、CPU15cは、電流検出回路15aからの入力信号によって示される電流値と、電流検出回路15aが信号線21の銅線に印加した電圧値とから、信号線21の抵抗値を算出する(ステップS3)。そして、算出した抵抗値を用いてCPU15cは、メモリ15bの抵抗値−環境温度相関テーブルを参照し、信号線21が敷設されている防爆施設A及び監視施設B間の環境温度を検出する(ステップS5)。
【0057】
さらに、CPU15cは、検出した環境温度と基準温度との温度差に基づいて、メモリ15bの温度−ドリフト相関テーブルを参照し、受信装置13が検出する変位出力の基準温度に対する温度ドリフト率を検出する(ステップS7)。そして、検出した温度ドリフト率を解消するように、ステップS1で入力されたセンサ11からの検出信号中の変位出力の信号レベルを補正する(ステップS9)。最後に、補正後の変位出力の信号レベルを、警報設定器17(図1参照)や上位制御盤23(図3参照)に出力する(ステップS11)。その後、一連の処理を終了する。以後、ステップS1〜ステップS11の処理を繰り返し実行する。
【0058】
以上の説明で明らかなように、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、図6のフローチャートにおけるステップS3が、請求項中の抵抗値測定手段に相当する処理となっている。そして、このステップS3と図6中のステップS5とによって、請求項中の温度情報取得手段に対応する処理が構成されている。また、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、図6中のステップS7が、請求項中の温度ドリフト特定手段に対応する処理となっている。さらに、本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、図6中のステップS9が、請求項中の補正手段に相当する処理となっている。
【0059】
図3に示す警報設定器17は、温度ドリフト補正装置15から入力される補正後の変位出力の信号レベルを、ライダーリング107が交換を要する摩耗量に至った場合に相当する警報レベルと比較し、この警報レベルに達した(警報レベルまで低下した)場合に、音声や表示等によって、ライダーリング107の交換を促す警報を出力する。
【0060】
上位制御盤23は、例えば分散制御システム(DCS)によって構成される。上位制御盤23は、温度ドリフト補正装置15から入力される補正後の変位出力の信号レベルに基づいて、ライダーリング107の摩耗量を算出し、その経時変化の傾向管理データベースを構築するためのデータプロファイリング等を行う。本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1では、温度ドリフト補正装置15を新たに設けることになるので、上位制御盤23が行うデータプロファイリングを、温度ドリフト補正装置15において行うようにして、上位制御盤23の負担を少なくすることもできる。
【0061】
このように構成された本実施形態のライダーリング摩耗監視システム1によれば、センサ11からの検出信号の信号レベルに温度ドリフトを生じさせる要因となる伝送ケーブル19に沿って配設した信号線21の、温度により変動する抵抗値を測定することで、信号線21の抵抗値−温度特性から、伝送ケーブル19の全長に亘る周辺温度に対応する温度情報、つまり、周辺温度の基準温度に対する温度差の情報を取得することができる。
【0062】
したがって、温度ドリフト補正装置15のメモリ15bに記憶されている、伝送ケーブル19の長さ、つまり、防爆施設A及び監視施設B間の距離に適合する温度−ドリフト相関テーブルから、受信装置13が検出する検出信号の信号レベルに生じる温度ドリフト率を特定することができる。そして、特定した温度ドリフト率に基づき温度ドリフト補正装置15が検出信号の変位出力の信号レベルに対して行う補正によって、伝送ケーブル19の周辺温度に起因して検出信号の信号レベルに生じた温度ドリフトを、精度よく解消することができる。
【0063】
なお、温度ドリフト補正装置15のメモリ15bに記憶させる温度−ドリフト相関テーブルは、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の絶対値と、その環境温度における変位出力の信号レベルの、基準温度における信号レベルに対する温度ドリフト量又は温度ドリフト率との相関を示すものとしてもよい。
【0064】
しかし、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の絶対値ではなく、本実施形態のように、防爆施設A及び監視施設B間の環境温度の基準温度に対する温度差とすれば、温度−ドリフト相関テーブルの構築時又はその相関を示す数式の特定時や、温度−ドリフト相関テーブルを用いてセンサ11からの検出信号に生じた温度ドリフトの内容を特定する時に、伝送ケーブル19の周辺温度を絶対値によって取得しなくても済むようになる。
【0065】
したがって、伝送ケーブル19の周辺温度の絶対値を信号線21の抵抗値から割り出せるように信号線21(又は伝送ケーブル19)の寸法を特定する必要がなく、よって、信号線21の寸法上の制約をなくして、伝送ケーブル19に沿わせて防爆施設A及び監視施設B間に信号線21を配設することを容易にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では信号線21を伝送ケーブル19に沿わせて配設するものとしたが、信号線21に代えて、センサ11側の端部を閉塞し温度ドリフト補正装置15側の端部を開放させた導圧管を伝送ケーブル19に沿わせて配設する構成としてもよい。その場合には、温度ドリフト補正装置15において、電流検出回路15aの代わりに圧力検出回路を設け、これを用いて導圧管の開放端における導圧管内の圧力を検出することになる。この圧力も、伝送ケーブル19の周辺温度に応じて変化するので、導圧管内圧力に基づいて伝送ケーブル19の周辺温度を算出し、本実施形態と同様の温度ドリフト補正を行う構成とすることができる。
【0067】
さらに、本実施形態では、防爆施設Aに設置した圧縮機100のライダーリング107の摩耗量を検出するセンサ11の受信装置13が設置される監視施設Bにおいて、伝送ケーブル19の周辺温度の変化により生じる、センサ11からの検出信号の信号レベルの温度ドリフトを補正する場合について説明した。
【0068】
しかし、本発明は、測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号が信号ケーブルを介して入力される受信側において、信号ケーブルの周辺温度の変動により受信側に入力される検出信号に生じる信号レベルの温度ドリフトを補正する際に、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 ライダーリング摩耗監視システム
11 センサ
11a センサヘッド
11b 伝送器
11c フレキシブルケーブル
13 受信装置
13a 安全保持回路
15 温度ドリフト補正装置
15a 電流検出回路
15b メモリ
15c CPU
17 警報設定器
19 伝送ケーブル
21 信号線
23 上位制御盤
100 圧縮機
101 シリンダ
103 取付孔
105 ピストン
107 ライダーリング
A 防爆施設
B 監視施設
L ピストン外周面からセンサヘッドまでの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号が信号ケーブルを介して入力される受信側において、前記信号ケーブルの周辺温度の変動により前記入力される検出信号に生じる前記信号レベルの温度ドリフトを補正する方法であって、
前記信号ケーブルに沿って前記センサから前記受信装置に亘って配設した感温素子の、温度により変動する物理量を測定し、
前記感温素子の前記物理量と温度との関係を示す既知の特性に基づいて、前記測定した物理量から前記信号ケーブルの周辺温度に対応する温度情報を取得し、
前記信号レベルの温度ドリフトの内容と前記信号ケーブルの周辺温度との対応関係を示す既知の温度−ドリフト相関情報を用いて、前記取得した温度情報に対応する前記信号ケーブルの周辺温度から、該周辺温度に対応する前記温度ドリフトの内容を特定し、
前記特定した温度ドリフトの内容に基づいた補正を、前記入力される検出信号の前記信号レベルに対して行うようにした、
ことを特徴とするセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法。
【請求項2】
前記温度−ドリフト相関情報として、前記信号ケーブルの周辺温度の基準温度に対する変化量又は変化率と、前記基準温度における前記信号レベルに対する温度ドリフト量又は温度ドリフト率とを対応付けたテーブルを用いるようにしたことを特徴とする請求項1記載のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法。
【請求項3】
前記感温素子として、温度により抵抗値が変化する信号線を用い、前記センサ側を短絡し前記受信側を開放した前記信号線の抵抗値を前記物理量として測定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法。
【請求項4】
前記センサは、防爆施設に設置された圧縮機のピストンに装着されて前記圧縮機のシリンダと摺接するライダーリングの摩耗検出センサであり、前記受信装置は、前記防爆施設から所定の安全確保距離離間した監視施設に設置されており、前記信号ケーブルは、前記防爆施設から前記監視施設に亘って敷設されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のセンサ検出信号の温度ドリフト補正方法。
【請求項5】
測定対象の測定値に応じた信号レベルでセンサから出力された検出信号が信号ケーブルを介して入力される受信側において、前記信号ケーブルの周辺温度の変動により前記入力される検出信号に生じる前記信号レベルの温度ドリフトを補正する装置であって、
前記信号ケーブルに沿わせて前記センサから前記受信装置に亘って配設され、自身の物理量が温度により変動する感温素子と、
前記感温素子の物理量を測定し、該測定した物理量から、前記感温素子の前記物理量と温度との関係を示す既知の特性に基づいて、前記信号ケーブルの周辺温度に対応する温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記信号レベルの温度ドリフトの内容と前記信号ケーブルの周辺温度との対応関係を示す温度−ドリフト相関情報を記憶する記憶手段と、
前記温度−ドリフト相関情報を用いて、前記温度情報取得手段が取得した温度情報に対応する前記信号ケーブルの周辺温度から、該周辺温度に対応する前記温度ドリフトの内容を特定する温度ドリフト特定手段と、
前記温度ドリフト特定手段が特定した温度ドリフトの内容に基づいた補正を、前記入力される検出信号の前記信号レベルに対して行う補正手段と、
を備えることを特徴とする検出信号の温度ドリフト補正装置。
【請求項6】
前記温度−ドリフト相関情報は、前記信号ケーブルの周辺温度の基準温度に対する変化量又は変化率と、前記基準温度における前記信号レベルに対する温度ドリフト量又は温度ドリフト率とを対応付けたテーブルであることを特徴とする請求項5記載の検出信号の温度ドリフト補正装置。
【請求項7】
前記感温素子は、前記センサ側が短絡され前記受信側が開放された、温度により抵抗値が変化する信号線であり、前記温度情報取得手段は、前記信号線の抵抗値を前記物理量として測定する抵抗値測定手段を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置。
【請求項8】
前記センサは、防爆施設に設置された圧縮機のピストンに装着されて前記圧縮機のシリンダと摺接するライダーリングの摩耗検出センサであり、前記受信装置及び前記各手段は、前記防爆施設から所定の安全確保距離離間した監視施設に設置されており、前記信号ケーブルは、前記防爆施設から前記監視施設に亘って敷設されていることを特徴とする請求項5、6又は7記載のセンサ検出信号の温度ドリフト補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−202978(P2011−202978A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67941(P2010−67941)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】