説明

センサ

【課題】通気フィルタに付着した水分がセンサ内部へ進入するのを抑制
【解決手段】保持内筒12の後端部38の外周面を覆うように、ゴムパッキン15を保持内筒12に被せる。次に、通気フィルタ13が後端部38の外周面と後端開口36とを覆うように通気フィルタ13を保持内筒12に被せる。さらに、外筒閉塞部31が保持内筒12を覆うとともに外筒筒状部32が後端部38の外周面を取り囲むように、保持外筒14を通気フィルタ13に被せる。これにより、ゴムパッキン15と通気フィルタ13が、保持内筒12の後端部38と外筒筒状部32との間に挟まれた状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気フィルタを介して外気を内部に導入するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、O2ガスやN2ガス等の被測定ガスを検出する長尺状の検出素子と、検出素子を保持する主体金具と、主体金具の後端側に配置されるとともに先端開口部から挿入された検出素子の後端部を内部に収容する外筒とを備えるセンサが知られている。
【0003】
そして、このようなセンサは、外筒の後端開口部を通じて外筒の外部から外筒の内部に配設されて検出素子に接続されるリード線と、外筒の後端開口部の内部に配置されるとともに、リード線の径方向周囲を覆う状態でリード線を保持する弾性部材(以下、グロメットという)とを備えて構成されている。
【0004】
このように構成されたセンサのうちで、例えば酸素センサのように、センサ内部に外気を導入して、導入した外気の物理量を基準として測定対象物の物理量を検出する外気導入型のセンサにおいては、外気をセンサ内部に導入するための貫通孔がグロメットに設けられている。そして、通気性及び防水性を有する通気フィルタが、この貫通孔における後端開口部を覆うように配置される。これにより、通気フィルタを貫通してセンサ内部に水分を通すことなく通気を確保している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−249678号公報 (第2図)
【特許文献2】特開2002−286682号公報 (第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の通気フィルタは、グロメットに設けられた貫通孔の内周面と、貫通孔に挿入される筒状挿入部材との間で挟まれた状態で配置され、通気フィルタの端部がセンサ内部に配置されている。このため、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わり、貫通孔の内周面と通気フィルタとの間の隙間を通って、センサ内部に水分が進入するおそれがあった。
【0007】
また、特許文献2に記載の通気フィルタは、グロメットの上面の略全体を覆う状態で配置され、さらに通気フィルタを覆うように保護部材が設けられている。そして保護部材は外筒とグロメットとの間にて固定されており、通気フィルタの端部は保護部材とグロメットとの外部と閉塞した空間に配置されている。このため、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わり、保護部材とグロメットとの空間に入り込むと、さらに通気フィルタの端部を回り込んで、グロメットの上面と通気フィルタとの間の隙間を通って貫通孔の後端開口部に到達して、センサ内部に水分が進入するおそれがあった。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、通気フィルタに付着した水分が通気フィルタの表面を伝ってセンサ内部へ進入するのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、軸線方向に延びる検出素子の先端を被測定ガスに晒すように検出素子を保持するとともに、自身の軸線方向における後端が開口して形成された軸線方向に延びる筒型形状のケーシングと、外気をケーシング内に導入するために軸線方向に沿って貫通する貫通孔が形成され、ケーシングの後端開口を塞ぐように配置される第1弾性部材とを備えるセンサであって、第1弾性部材の貫通孔の内周面に密着し、自身の後端部が第1弾性部材の後端から突出する筒状の保持内筒と、保持内筒の後端開口を塞ぐフィルタ閉塞部、及びフィルタ閉塞部に接続し、保持内筒の後端部の外周面の少なくとも一部を周方向に取り囲むフィルタ筒状部を備え、通気性及び防水性を有する通気フィルタと、軸線方向に沿って貫通する通気孔を備えると共に、フィルタ閉塞部を覆う外筒閉塞部、及び外筒閉塞部に接続し、フィルタ筒状部の少なくとも一部を周方向に取り囲む外筒筒状部を有する保持外筒と、を有することを特徴とするセンサである。
【0010】
このように構成されたセンサでは、通気性及び防水性を有する通気フィルタに、保持内筒の後端開口を塞ぐフィルタ閉塞部を備えることにより、通気フィルタを貫通してセンサ内部に水分を通すことなく、通気フィルタを介して外気をセンサ内部に導入することができる。
【0011】
そして通気フィルタは、保持内筒のうち第1弾性部材から突出する後端部の外周面を周方向に取り囲むフィルタ筒状部を備えている。つまり、通気フィルタの端部が第1弾性部材の貫通孔の外に設置されている。このため、通気フィルタにおける保持外筒と対向している側の面(以下、通気フィルタの表面という)に付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わって移動しても、第1弾性部材の貫通孔内に進入することがない。
【0012】
また、保持外筒に備えられる外筒筒状部は、フィルタ筒状部を周方向に取り囲む。つまり、外筒筒状部も、保持内筒のうち第1弾性部材から突出する後端部に配置されており、保持外筒(外筒筒状部)と第1弾性部材とによる外部と閉塞した空間が形成されることがない。よって、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わったとしても、通気フィルタの端部を回り込んで貫通孔の後端開口部に到達して、センサ内部に水分が進入することがない。
【0013】
以上より、通気フィルタに付着した水分がセンサ内へ進入するのを抑制することができる。
なお、保持内筒は第1弾性部材の貫通孔の内周面に密着していればよく、貫通孔よりも保持内筒の外形を若干大きくしておき、貫通孔内に圧入してもよいし、貫通孔よりも保持内筒の外形を同じ大きさ又は若干小さくしておき、第1弾性部材の弾性により両者を密着させてもよい。
【0014】
またフィルタ筒状部は、保持内筒の後端部の外周面の全てを周方向に取り囲んでもよいし、一部(具体的には、保持内筒の後端部の後端側)を周方向に取り囲んでもよい。
さらに、外筒筒状部は、保持内筒の後端部の全てを周方向に取り囲んでもよいが、一部(具体的には、保持内筒の後端部の後端側)を周方向に取り囲んだほうが、第1弾性部材の後端面と非接触となり、第1弾性部材を傷つけることがなく、耐久性を維持できる。
【0015】
また、請求項2に記載のように、外筒筒状部には、フィルタ筒状部を介して保持内筒の後端部に向かって周方向に加締められた加締部を備えていてもよい。
外筒筒状部に加締部を有することで、通気フィルタと保持外筒との隙間が形成されない。よって、通気フィルタの表面に付着した水分が通気フィルタの表面を伝わって移動しても、加締部では水分が移動する経路が形成されないために、通気フィルタの端部を回り込んで、通気フィルタの裏面と保持内筒との隙間を通って貫通孔の後端開口部に到達することがない。
【0016】
なお、加締部は、外筒筒状部の一箇所を周方向に加締めてもよいが、複数箇所を周方向に加締めたほうがよりセンサ内への侵入を抑制することができる。
また、請求項3に記載のように、少なくとも加締部に対応するフィルタ筒状部と保持内筒の後端部との間には、防水性を有する第2弾性部材が配置されるようにしてもよい。
【0017】
このように構成されたセンサでは、外筒筒状部に加締部を形成することにより、フィルタ筒状部と保持内筒の後端部との間に配置された第2弾性部材が、フィルタ筒状部と保持内筒の後端部との間の隙間を埋めることができる。このため、外部から直接、外筒筒状部に被水する水分が、外筒筒状部の端部から通気フィルタの裏面と保持内筒との間の隙間を伝ってセンサ内へ進入するのをさらに抑制することができる。
【0018】
なお、第2弾性部材は加締部に対応する位置にあればよく、保持内筒の後端部の外周を全て覆ってもよい。
また、請求項4に記載のように、通気孔の最小面積よりも貫通孔の最小面積が大きいようにしてもよい。
【0019】
通気フィルタを介して外気がセンサ内部に導入される場合に、通気フィルタに到達する外気の量は、外筒閉塞部に形成された通気孔の最小面積により決まる。一方、通気フィルタを通過してセンサ内部に向かう外気の量は、保持内筒に形成された貫通孔の最小面積により決まる。
【0020】
そこで、通気孔の最小面積よりも貫通孔の最小面積が大きくすることで、通気孔を通り通気フィルタを通過したガスがスムーズにセンサ内部に流れ込む。
なお、通気孔の最小面積や、貫通孔の最小面積とは、通気孔や貫通孔を軸線方向に沿ってみたときの最も小さくなる孔の面積のことを指し、例えば、通気孔や貫通孔が先端側に向かって窄まる錘状に形成されている場合、通気孔や貫通孔が最も小さくなる先端での孔の面積のことを指す。
【0021】
また、通気孔や貫通孔は複数個あってもよく、複数個の場合、それぞれの通気孔、または貫通孔の最小面積の合計に相当する。
また、請求項5に記載のように、フィルタ閉塞部と外筒閉塞部との間に設けられ、通気フィルタよりもビッカース硬度が高い網目状のシート部材を有するようにしてもよい。
【0022】
このように構成されたセンサでは、網目状に形成されたシート部材(以下、網目状シート部材という)により通気フィルタの表面が覆われているので、外力により通気フィルタが損傷するのを抑制することができる。なお、網目状シート部材には、網目による開口部が形成されているため、通気フィルタを介したセンサ内への外気の導入は確保される。
【0023】
また、請求項6に記載のように、フィルタ筒状部は、外筒筒状部の先端よりも先端側に露出するようにしてもよい。
このように構成されたセンサでは、加締部によって外筒筒状部がフィルタ筒状部を挟みこんで加締められているかどうかを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】酸素センサ1の全体構成を表す断面図である。
【図2】第1実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図である。
【図3】第1実施形態の保持外筒14の平面図である。
【図4】第2実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図である。
【図5】第2実施形態の保持外筒84の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の酸素センサ1の全体構成を表す断面図、図2はシールユニット10の構成を表す断面図、図3は保持外筒14の平面図である。
【0026】
尚、本実施形態においては、図1中の酸素センサ1の下端側が本発明における「センサの先端側」に相当し、同様に、酸素センサ1の上端側が「センサの後端側」に相当する。
酸素センサ1は、図1に示すように、ZrO2を主成分とする固体電解質体により先端が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2内に配置された軸状のセラミックヒータ3、及び酸素センサ1の内部構造物を収容するとともに酸素センサ1を排気管等の取付部に固定するケーシング4等から構成されている。
【0027】
これらのうちケーシング4は、検出素子2を保持するとともにその検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の上部に延設されて検出素子2との間で基準ガス空間を形成する外筒6とから構成されている。
【0028】
また主体金具5は、円筒状の本体を有して検出素子2を下方から支持する支持部材51、支持部材51の上部に充填される滑石粉末からなる充填部材52、充填部材52を上方から押圧するスリーブ53等を内部に収容する。
【0029】
そして、主体金具5の下端側の内周には、内向き突出した段部54が設けられており、この段部54にパッキン55を介して支持部材51が係止されることにより、検出素子2が下方から支持されている。また、支持部材51の上側における主体金具5の内周面と検出素子2の外周面との間に充填部材52が配設され、さらにこの充填部材52の上側に筒状のスリーブ53及びパッキン56が順次同軸状に内挿された状態で主体金具5の上端部が内方(下方)に加締められることで、充填部材52が加圧充填され、それにより、検出素子2が主体金具5に対してしっかりと固定されている。また、主体金具5の下端側外周には、検出素子2の突出部分を覆うとともに、複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ57,58が溶接によって取り付けられている。
【0030】
そして、主体金具5の上部開口部を覆うように外筒6の下端開口端部が当該主体金具5に外挿された後、この下端開口端部に外方から溶接が施され、外筒6が主体金具5に装着されている。
【0031】
また、外筒6の後端開口61近傍には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7が内挿されている。セパレータ7は、その軸方向中央付近の外周面に外側に突出したフランジ部71を有し、外筒6が外方から加締められることにより、このフランジ部71の下端面が外筒6上部に係止される態様で外筒6内に保持されている。
【0032】
さらに、外筒6の後端開口61には、検出素子2の電極に夫々接続されるリード線21,22及びセラミックヒータ3に接続される一対のリード線(不図示)を夫々外部に引き出すとともに、酸素センサ1内部への水分や油分の侵入を防止するシールユニット10が設けられている。
【0033】
このシールユニット10は、図2に示すように、外筒6の後端開口61を塞ぐ円柱状のグロメット11と、このグロメット11の中央を軸方向に貫通する貫通孔41に嵌挿可能な保持内筒12と、保持内筒12の後端開口36を塞ぐ通気フィルタ13と、通気フィルタ13を保護する保持外筒14と、外部からの水分の浸入を阻止するためのゴムパッキン15とから構成されている。
【0034】
これらのうちグロメット11は、フッ素ゴムからなり、上記貫通孔41と、リード線21,22及びヒータ用リード線を挿通するための4つの挿通孔42(図1,2中では2つのみ示す)とが形成されている。尚、4つの挿通孔42は、中央に配置された貫通孔41を取り囲むように配置される。
【0035】
また保持内筒12は、貫通孔41内に配置されている先端部37と、グロメット11の後端面30から突出している後端部38とから構成される。
さらに保持内筒12の先端には、グロメット11からの抜け防止の係止部39を備えている。
【0036】
また通気フィルタ13は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の未焼成成形体を、PTFEの融点よりも高い加熱温度で一軸方向に延伸することにより得られる多孔質繊維構造体(例えば、商品名:ゴアテックス(ジャパンゴアテックス(株)))により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ気体(空気、水蒸気等)の透過は許容する通気フィルタとして構成されている。
【0037】
この通気フィルタ13は、保持内筒12の後端開口36を塞ぐフィルタ閉塞部23と、フィルタ閉塞部23の周縁から先端側に延び、保持内筒12の後端部38の周方向を取り囲むフィルタ筒状部24とから構成される。
【0038】
また保持外筒14は、外筒閉塞部31と外筒筒状部32を有する有底筒状に形成されている。そして保持外筒14の外筒閉塞部31は、通気フィルタ13のフィルタ閉塞部23を塞ぐことができる大きさで形成されている。また外筒閉塞部31には、図2,3に示すように、保持内筒12の後端開口36の開口面積と比べて十分小さい開口面積を有する複数の通気孔33が形成されている。したがって、複数の通気孔33の開口面積の総和より、保持内筒12の後端開口36の開口面積の方が大きい。
【0039】
そして外筒筒状部32には、フィルタ筒状部24を介して、保持内筒12に向かって加締められた加締部26を有する。
またゴムパッキン15は、加締部26に対応する位置に、保持内筒12の外周面に密着して覆うことができる直径を有する円筒形状に形成されている。
【0040】
そして、これらグロメット11、保持内筒12、通気フィルタ13、保持外筒14、及びゴムパッキン15を例えば以下に示すように組み付けることにより、シールユニット10を形成する。
【0041】
まず、保持内筒12の後端部38の外周面を覆うように、円筒形状のゴムパッキン15を保持内筒12に被せる。次に、通気フィルタ13が保持内筒12の後端部38の外周面と後端開口36とを覆うように通気フィルタ13を保持内筒12に被せる。さらに、外筒閉塞部31が保持内筒12を覆うとともに外筒筒状部32が保持内筒12の後端部38の外周面を取り囲むように、有底筒状の保持外筒14を通気フィルタ13に被せる。
【0042】
これにより、ゴムパッキン15と通気フィルタ13が、保持内筒12の後端部38と保持外筒14の外筒筒状部32との間に挟まれた状態となる。そして、この状態で保持外筒14の外筒筒状部32を介して径方向に加締め、加締部26を形成する。こうして、保持外筒14の外筒筒状部32と通気フィルタ13とが密着するとともに通気フィルタ13とゴムパッキン15とが密着し、通気フィルタ13が、後端開口36を塞いだ状態で固定される。
【0043】
その後、保持内筒12をグロメット11の貫通孔41に挿入し、シールユニット10を作成する。
そして、このように形成されたシールユニット10が、外筒6の後端開口61の内側に配置され、グロメット11が、外筒6を介して径方向に加締められる。こうして、外筒6及びグロメット11が密着し、そのシール性がより確実なものとされる。そして、この通気フィルタ13により通気性及び防水性を保持しつつ、大気側から保持内筒12の内部に形成された通気経路を介して基準ガス空間に空気が導入される。
【0044】
このように構成された酸素センサ1では、通気性及び防水性を有する通気フィルタ13に、保持内筒12の後端開口36を塞ぐフィルタ閉塞部23を備えることにより、通気フィルタ13を貫通してセンサ内部に水分を通すことなく、通気フィルタ13を介して外気をセンサ内部に導入することができる。
【0045】
そして通気フィルタ13は、保持内筒12のうちグロメット11から突出する後端部38の外周面を周方向に取り囲むフィルタ筒状部24を備えている。つまり、通気フィルタ13の端部がグロメット11の貫通孔41の外に設置されている。このため、通気フィルタ13における保持外筒14と対向している側の面(以下、通気フィルタの表面という)に付着した水分が、通気フィルタ13の表面を伝わって移動しても、グロメット11の貫通孔41内に進入することがない。
【0046】
また、保持外筒14に備えられる外筒筒状部32は、フィルタ筒状部24を周方向に取り囲む。つまり、外筒筒状部32も、保持内筒12のうちグロメット11から突出する後端部38に配置されており、保持外筒14とグロメット11とによる外部と閉塞した空間が形成されることがない。よって、通気フィルタ13に付着した水分が、通気フィルタ13の表面を伝わったとしても、通気フィルタ13の端部を回り込んで、貫通孔41の後端開口部に到達して、酸素センサ1内部に水分が進入することがない。
【0047】
以上より、通気フィルタ13に付着した水分が酸素センサ1内へ進入するのを抑制することができる。
なお、保持外筒14の外筒閉塞部31には外気を導入する通気孔33が形成されている。このため、保持外筒14の外筒閉塞部31が通気フィルタ13の後端側の表面上を覆っていても、通気フィルタ13を介した酸素センサ1内への外気の導入は確保される。
【0048】
また、外筒筒状部32には、フィルタ筒状部24を介して保持内筒12の後端部38に向かって周方向に加締められた加締部26を備えている。
このため、加締部26により通気フィルタ13と保持外筒14との隙間が形成されていない。よって、通気フィルタ13の表面に付着した水分が通気フィルタ13の表面を伝わって移動しても、加締部26では水分が移動する経路が形成されないために、通気フィルタ13の端部を回り込んで、通気フィルタ13の裏面と保持内筒12との隙間を通って貫通孔41の後端開口部に到達することがない。
【0049】
また、通気フィルタ13と保持内筒12の後端部38との間に、ゴムパッキン15が配置されている。このため、外筒筒状部32に加締部26を形成することにより、フィルタ筒状部24と保持内筒12の後端部38との間に配置されたゴムパッキン15が、フィルタ筒状部24と保持内筒12の後端部38との間の隙間を埋めることができる。これにより、外部から直接、外筒筒状部32に被水する水分が、外筒筒状部32の端部から通気フィルタ13の裏面と保持内筒12との間の隙間を伝って酸素センサ1内へ進入するのをさらに抑制することができる。
【0050】
以上説明した実施形態において、酸素センサ1は本発明におけるセンサ、グロメット11は本発明における第1弾性部材、ゴムパッキン15は本発明における第2弾性部材である。
【0051】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態について図面をもとに説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0052】
図4は第2実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図、図5は第2実施形態の保持外筒14の平面図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、図4に示すように、保持内筒12、通気フィルタ13、保持外筒14の代わりに保持内筒72、通気フィルタ17、保持外筒84を備える点と、メッシュ18が追加された点である。
【0053】
まず保持内筒72は、保持内筒12に形成された係止部19の変わりに、先端部77に縮径部79が形成されている。この縮径部79にグロメット11が入り込むことで抜け止め機能をはたしている。
【0054】
また第2実施形態の保持外筒84は、複数の通気孔33の代わりに、1つの通気孔34が形成されている点以外は第1実施形態の保持外筒14と同一である。なお本実施形態では、通気孔34の開口は、保持内筒72の後端開口36と略等しい直径を有する円形状に形成されている(図5を参照)。
【0055】
また通気フィルタ17は、グロメット11、保持内筒72、通気フィルタ17、保持外筒84、及びゴムパッキン15を組み付けることによりシールユニット10が形成された状態では、図4に示すように、保持外筒84の外筒筒状部32の端縁部からはみ出した状態となる。
【0056】
またメッシュ18は、網目状に形成されたシート部材であり、本実施形態では例えばSUSメッシュで構成されている。そしてメッシュ18は、フィルタ閉塞部63を覆うように、保持外筒84の外筒閉塞部81と通気フィルタ17との間に配置される。
【0057】
このように構成された酸素センサ1では、メッシュ18により通気フィルタ17の表面が覆われているので、外力により通気フィルタ17が損傷するのを抑制することができる。なお、メッシュ18には、網目による開口が形成されている。このため、通気フィルタ17を介した酸素センサ1内への外気の導入は確保される。
【0058】
また通気フィルタ17のフィルタ筒状部64は、外筒筒状部82の先端よりも先端側に露出する。このため、加締部26によって外筒筒状部82がフィルタ筒状部64を挟みこんで加締められているかどうかを容易に判断することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、酸素センサに利用されるシールユニット10を示したが、酸素センサに限定されるものではなく、通気フィルタを介して外気をセンサ内部に導入する方式のセンサであればよい。
【0060】
また上記実施形態では、筒型の検出素子2であったが、これに限られず、板型の検出素子であってもよい。
また、保持外筒14の外筒筒状部32と保持内筒12の後端部38とを溶接することにより、保持外筒14を保持内筒12に対して固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…酸素センサ、2…検出素子、3…セラミックヒータ、4…ケーシング、5…主体金具、6…外筒、7…セパレータ、10…シールユニット、11…グロメット、12…保持内筒、13…通気フィルタ、14…保持外筒、15…ゴムパッキン、17…通気フィルタ、18…メッシュ、23…フィルタ閉塞部、24…フィルタ筒状部、26…加締部、31…外筒閉塞部、32…外筒筒状部、33,34…通気孔、36…後端開口、37…先端部、38…後端部、39…係止部、41…貫通孔、42…挿通孔、61…後端開口、63…フィルタ閉塞部、64…フィルタ筒状部、72…保持内筒、77…先端部、79…縮径部、81…外筒閉塞部、82…外筒筒状部、84…保持外筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる検出素子の先端を被測定ガスに晒すように前記検出素子を保持するとともに、自身の前記軸線方向における後端が開口して形成された前記軸線方向に延びる筒型形状のケーシングと、
外気を前記ケーシング内に導入するために前記軸線方向に沿って貫通する貫通孔が形成され、前記ケーシングの後端開口を塞ぐように配置される第1弾性部材と
を備えるセンサであって、
前記第1弾性部材の前記貫通孔の内周面に密着し、自身の後端部が前記第1弾性部材の後端から突出する筒状の保持内筒と、
前記保持内筒の後端開口を塞ぐフィルタ閉塞部、及び前記フィルタ閉塞部に接続し、前記保持内筒の前記後端部の外周面の少なくとも一部を周方向に取り囲むフィルタ筒状部を備え、通気性及び防水性を有する通気フィルタと、
前記軸線方向に沿って貫通する通気孔を備えると共に、前記フィルタ閉塞部を覆う外筒閉塞部、及び前記外筒閉塞部に接続し、前記フィルタ筒状部の少なくとも一部を周方向に取り囲む外筒筒状部を有する保持外筒と、を有する
ことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記外筒筒状部には、前記フィルタ筒状部を介して前記保持内筒の前記後端部に向かって周方向に加締められた加締部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
少なくとも前記加締部に対応する前記フィルタ筒状部と前記保持内筒の前記後端部との間には、防水性を有する第2弾性部材が配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記通気孔の最小面積よりも前記貫通孔の最小面積が大きい
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のセンサ。
【請求項5】
前記フィルタ閉塞部と前記外筒閉塞部との間に設けられ、前記通気フィルタよりもビッカース硬度が高い網目状のシート部材を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のセンサ。
【請求項6】
前記フィルタ筒状部は、前記外筒筒状部の先端よりも先端側に露出する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−44053(P2010−44053A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133243(P2009−133243)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】