説明

センターベアリングサポート

【課題】オイルシールなどの接触式シールを用いることなく、回転軸の停止時にも、センターベアリング4側への泥水等の流入を有効に抑制可能なセンターベアリングサポート1を提供する。
【解決手段】車体側に固定される外環11の内周に、センターベアリング4を保持する内環12がゴム状弾性材料からなる弾性体14を介して設けられたセンターベアリングサポート1において、弾性体14のベロー状屈曲部14cによる凸面に、泥水等の流れを円周方向へ案内するリブ142が形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のプロペラシャフトを、センターベアリングを介して車体側に回転自在かつ弾性的に支持すると共に振動吸収及び緩衝を行うセンターベアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のプロペラシャフトの外周に装着されるセンターベアリングは、センターベアリングサポートを介して車体側に弾性的に支持され、これによって、走行中におけるプロペラシャフト側と車体側との間での振動伝達が低減されるようになっている。
【0003】
図10又は図11に示すように、この種のセンターベアリングサポート100は、車体側の環状のブラケット110に嵌着される外環101と、その内周に配置されセンターベアリング120のアウターレース121に嵌着される内環102と、この内環102に嵌合一体化されて前記アウターレース121を押さえる押さえ環103と、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなり前記外環101と内環102を弾性的に連結するベローズ状の屈曲形状を呈する弾性体104とを備える。
【0004】
そしてこのうち、図10に示すセンターベアリングサポート100は、内環102及び押さえ環103における互いに軸方向反対側の端部102a,103aが、内径側へ屈曲してプロペラシャフト130の外周面と僅かな隙間を介して対向しており、また、この内環102及び押さえ環103における前記端部102a,103aの近傍の筒部内周面にはプロペラシャフト130の外周面に摺動可能に密接されるオイルシール105,106が装着されている。また、プロペラシャフト130の外周面には、内環102及び押さえ環103の端部102a,103aの外径側を包囲するダストカバー107,108が装着されることによって、オイルシール105,106の外側にラビリンスシールLS1,LS2が形成されている。そしてこのような構成によって、自動車の走行中に飛来する泥水や塵埃等が、不図示のグリースが充填されセンターベアリング120が存在する内環102及び押さえ環103の内周空間へ侵入するのを防止している(例えば下記の特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、オイルシール105,106は接触式シールであるため、その緊迫力によってプロペラシャフト130の回転に対する抵抗となってしまい、駆動力のロス、すなわち燃費の悪化を招く。しかもオイルシール105,106を組み込んでいることによって部品点数が多くなり、コストが上昇する問題もある。
【0006】
これに対し、図11に示すセンターベアリングサポート100は、内環102及び押さえ環103における互いに軸方向反対側の端部102b,103bが外径側へ屈曲すると共に、プロペラシャフト130の外周面に装着された一対のダストカバー107,108の内周面に対向していることによって、弾性体104及び内環102の端部102bと、ダストカバー107及びプロペラシャフト130の外周面との間には、ジグザグに屈曲した隙間からなるラビリンスシールLS1が形成され、押さえ環103の端部103bとダストカバー108及びプロペラシャフト130の外周面との間には、ジグザグに屈曲した隙間からなるラビリンスシールLS2が形成されている。そしてこのような構成によって、自動車の走行中に飛来する泥水や塵埃等が、不図示のグリースが充填されセンターベアリング120が存在する内環102及び押さえ環103の内周空間へ侵入しにくいものとなっている(例えば下記の特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、図11の構成のものは、停車時や、パートタイム四輪駆動車における二輪駆動走行時の前輪用プロペラシャフトの停止時に、ラビリンスシールLS1,LS2のシール性が低下する。特に、図中に破線で示すように、泥水が弾性体104のベロー状屈曲部のうちプロペラシャフト130の上側の凸面上部に付着した場合、この泥水が弾性体104の表面を伝い落ちて内環102の内周へ浸入しやすくなる問題が指摘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−286221号公報
【特許文献2】特開2001−280342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、オイルシールなどの接触式シールを用いることなく、回転軸の停止時にも、センターベアリング側への泥水等の流入を有効に抑制可能なセンターベアリングサポートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るセンターベアリングサポートは、車体側に固定される外環の内周に、センターベアリングを保持する内環がゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなる弾性体を介して設けられたセンターベアリングサポートにおいて、前記弾性体のベロー状屈曲部による凸面に、円周方向へ延びるリブが形成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明に係るセンターベアリングサポートは、請求項1に記載の構成において、リブが、弾性体のベロー状屈曲部による凸面の頂部を中心とする適当な径方向幅の領域に、複数条設けられたものである。
【0012】
請求項3の発明に係るセンターベアリングサポートは、請求項1又は2に記載の構成において、弾性体のベロー状屈曲部による凸面のうちセンターベアリングの下側となる位置に、リブと交差する排水溝を形成したものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係るセンターベアリングサポートによれば、泥水が弾性体のベロー状屈曲部のうちセンターベアリングの上側の凸面に付着した場合、重力によるこの泥水の流れはリブによって堰き止められて円周方向へ案内されるので、内環の内周へ向かう流下が抑制されるので、センターベアリング側への泥水の浸入が有効に防止される。
【0014】
請求項2の発明に係るセンターベアリングサポートによれば、弾性体がその屈曲位置が変化するような変形を受けても、リブが複数条設けられているので、いずれかのリブがセンターベアリングの上側の凸面またはそれより上側に保持されやすく、リブによる泥水の堰き止め効果が一層確実に得られる。
【0015】
請求項3の発明に係るセンターベアリングサポートによれば、リブによって円周方向へ案内されながら弾性体の表面をセンターベアリングの下側まで流れ落ちた泥水は、リブと交差する排水溝によって速やかに排出される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るセンターベアリングサポートの第一の実施の形態を、フロント側から見た図である。
【図2】本発明に係るセンターベアリングサポートの第一の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図3】本発明に係るセンターベアリングサポートの第一の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るセンターベアリングサポートの第二の実施の形態を、フロント側から見た図である。
【図5】本発明に係るセンターベアリングサポートの第二の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図6】本発明に係るセンターベアリングサポートの第二の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るセンターベアリングサポートの第二の実施の形態を示す作用説明図である。
【図8】第二の実施の形態における排水溝の形状変更例を、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【図9】第二の実施の形態における排水溝の形状変更例を、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【図10】従来技術に係るセンターベアリングサポートを、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【図11】他の従来技術に係るセンターベアリングサポートを、軸心を通る平面で切断して示す装着状態の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るセンターベアリングサポートの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1〜図3は、第一の実施の形態を示すものである。
【0018】
図1及び図2に示す参照符号1は第一の実施の形態のセンターベアリングサポート、参照符号2はマウント等を介して車体側に固定される環状のブラケット、図2に示す参照符号3はプロペラシャフト、参照符号4はセンターベアリングである。なお、図2における左側が自動車のフロント側、右側がリア側である。
【0019】
プロペラシャフト3は、プロペラシャフト本体31と、その外周面に取り付けられたカラー32からなり、このうちプロペラシャフト本体31は、リア側からフロント側へ向けて、複数の段差部31a,31bによって順次大径に形成されており、カラー32は、プロペラシャフト本体31における小径側段差部31aよりリア側の外周面31cに装着され、外周面に、プロペラシャフト本体31における大径側段差部31bと対称の段差部32aが形成されている。
【0020】
センターベアリング4は、互いに同心配置されたアウターレース41及びインナーレース42と、その間に円周方向等間隔で回転自在に保持された多数の鋼球43とからなる既知の構造を有するボールベアリングであり、鋼球43とアウターレース41及びインナーレース42との間は、不図示のグリースにより潤滑されている。
【0021】
第一の実施の形態のセンターベアリングサポート1は、車体側のブラケット2の内周面に圧入嵌着される外環11と、この外環11の内周に配置され、プロペラシャフト3を回転自在に支持するセンターベアリング4のアウターレース41に嵌合される内環12と、この内環12に嵌合一体化されて前記アウターレース41を押さえる押さえ環13と、前記外環11と内環12の間を弾性的に連結する弾性体14とで構成される。
【0022】
外環11、内環12及び押さえ環13は、鋼材等の金属で製作されたものであり、弾性体14は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で成形されたものである。弾性体14の外周端部14aは外環11に一体的に加硫接着され、内周端部14bは、内環12の外周面に一体的に加硫接着され、外周端部14aと内周端部14bの間には、フロント側へ凸の断面略U字形に屈曲したベロー状屈曲部14cが形成されている。
【0023】
弾性体14の内周端部14bには、円錐筒状の緩衝ストッパ141が突出形成されており、その先端が、弾性体14から延びる弾性膜部14dで被覆された外環11の内周面に、所定の距離をもって径方向に対向している。この緩衝ストッパ141は、車体側とプロペラシャフト3との相対的な大振幅の振動変位入力の際に、外環11と内環12との間で変形されることによって緩衝機能を奏するものである。
【0024】
センターベアリング4のアウターレース41は、内環12における軸方向中間部の内周面に圧入されると共に、内環12と押さえ環13によって軸方向両側から挟み込まれ、センターベアリング4のインナーレース42は、プロペラシャフト本体31の外周面に嵌合されると共に、その段差部とカラー32により軸方向両側から挟み込まれている。
【0025】
プロペラシャフト3のプロペラシャフト本体31における大径側段差部31bのリア側には、内環12のフロント側に位置して鋼材等の金属からなるダストカバー5が装着されており、プロペラシャフト3のカラー32における段差部32aのフロント側には、押さえ環13のリア側に位置して鋼材等の金属からなるダストカバー6が装着されている。
【0026】
このうち、フロント側のダストカバー5は、プロペラシャフト本体31及びカラー32との嵌着部から内環12と弾性体14のベロー状屈曲部14cとの間の空間へ向けて、先端側が大径となる円錐筒状に延びるカバー本体部5aを有し、内環12の内径部は、センターベアリング4のアウターレース41との嵌合部からセンターベアリング4のフロント側へ延びて、その端部12aが外径側へ屈曲し、前記カバー本体部5aの内周面と対向している。このため、内環12の端部12a及び弾性体14のベロー状屈曲部14cとダストカバー5及びプロペラシャフト本体31の外周面との間には、ジグザグに屈曲した隙間からなるラビリンスシールLS1が形成されている。
【0027】
また、リア側のダストカバー6は、プロペラシャフト本体31及びカラー32との嵌着部から、内環12への押さえ環13の嵌合部13bとその内径側に位置する押さえ環13の端部13aとの間の空間へ向けて、先端側が大径となる円錐筒状に延びるカバー本体部6aを有し、押さえ環13の内径部は、センターベアリング4のアウターレース41との当接部からセンターベアリング4のリア側へ延びており、その端部13aは外径側へ屈曲して、前記カバー本体部6aの内周面と対向している。このため、押さえ環13の嵌合部13b及び端部13aとダストカバー6及びカラー32の外周面との間には、ジグザグに屈曲した隙間からなるラビリンスシールLS2が形成されている。
【0028】
弾性体14のベロー状屈曲部14cによる凸面の頂部には、円周方向へ連続して延びる一条の環状のリブ142が形成されている。このリブ142は前記凸面に対して垂直に突出し、フロント側を向いている。また、このリブ142の断面の大きさや形状は、ベロー状屈曲部14cの共振を発生するサージング周波数に影響を与えない程度のものとする。
【0029】
また、弾性体14のベロー状屈曲部14cによる凸面のうちセンターベアリング4の真下となる位置には、排水溝143が形成されている。この排水溝143は、ベロー状屈曲部14cの肉厚よりも浅く、すなわち非貫通で、リブ142と交差するように、言い換えればリブ142を分断するように上下方向へ延びている。そしてこの排水溝143は、内径側(上側)で幅が広く、外径側(下側)で幅が狭く形成されている。
【0030】
以上の構成を備えるセンターベアリングサポート1は、センターベアリング4を介してプロペラシャフト3を車体側のブラケット2に弾性的にかつ回転自在に支持するもので、回転するプロペラシャフト3に振動が発生した場合、内環12と外環11との相対偏心運動に伴って弾性体14のベロー状屈曲部14cが反復的に屈伸し、車体側への振動伝達を有効に絶縁することができる。
【0031】
ここで、フロント側又はリア側からセンターベアリング4へ浸入しようとする泥水等は、ジグザグに屈曲したラビリンスシールLS1又はLS2を通らなければならないため、きわめて浸入しにくいものとなっている。また、ダストカバー5,6のカバー本体部5a,6aが先端側で大径となる円錐筒状に形成されているので、プロペラシャフト3と共に回転することによって振り切り作用を発生し、泥水等の浸入を有効に阻止する。
【0032】
しかも、ラビリンスシールLS1又はLS2は非接触式のシールであるため、オイルシールのような接触式シールを設けた場合のような摺動抵抗による燃費の悪化を招くことはない。
【0033】
また、停車時や、パートタイム四輪駆動車における二輪駆動走行時の前輪用プロペラシャフトの停止等には、上述のようなダストカバー5,6の回転による振り切り作用がなくなるために、ラビリンスシールLS1,LS2のシール性は低下するが、このような状況下で、図2に符号Dで示すように、泥水が、弾性体14のベロー状屈曲部14cのうち例えばセンターベアリング4(プロペラシャフト3)の上側かつリブ142の外径側の面に付着した場合、重力によるこの泥水Dの流下はリブ142によって堰き止められて、図1に破線矢印Fで示すように、このリブ142によって円周方向へ案内されながらセンターベアリング4の真下となる位置へ達して滴下するので、内環12側への流れ込みが抑制され、センターベアリング4側への泥水の浸入が有効に防止される。
【0034】
同様に、停車時や、パートタイム四輪駆動車における二輪駆動走行時の前輪用プロペラシャフトの停止等において、図2に符号Dで示すように、泥水が、弾性体14のベロー状屈曲部14cのうち例えばセンターベアリング4(プロペラシャフト3)の上側かつリブ142の内径側の面に付着した場合、この泥水Dはベロー状屈曲部14cの内径部の斜面から内環12の端部12aの外周面へ流れ落ちて、図1に破線矢印Fで示すようにこの内環12の端部12aによって円周方向へ案内されながらセンターベアリング4の下側へ流れ、そこからさらにベロー状屈曲部14cの内周部の斜面を排水溝143側へ流れ、この排水溝143を通過して滴下するので、内環12側への流下が抑制され、センターベアリング4側への泥水の浸入が有効に防止される。なお、排水溝143は、内径側(上側)で幅が広くなっているため、その上側からの泥水が流れ込みやすくなっている。
【0035】
したがって、停車時や、パートタイム四輪駆動車における二輪駆動走行時の前輪用プロペラシャフトの停止時であっても、センターベアリング4を潤滑するグリースに泥水や塵埃が混入して、このセンターベアリング4が損傷したり劣化したりするのを有効に防止することができる。
【0036】
また、排水溝143は、当該センターベアリングサポート1をブラケット2に装着する際の円周方向位置決め手段として利用することができる。この場合、具体的には例えば、装着用の治具に突起を設けて、これを排水溝143に嵌合させることで、円周方向の位置決めを行うことができる。
【0037】
さらに、排水溝143は外径側(下側)で幅が狭く形成されているため、車両走行時に路面からの泥水の跳ね上げ等による下方からの泥水浸入も有効に抑制される。
【0038】
次に図4〜図6は、本発明に係るセンターベアリングサポートの第二の実施の形態を示すものである。
【0039】
この第二の実施の形態において、上述した第一の実施の形態と異なるところは、リブ142が複数条(図示の例では142a〜142cの3条)設けられており、詳しくは、これらのリブ142(142a〜142c)が、弾性体14のベロー状屈曲部14cにおける凸面の頂部を中心とする適当な径方向幅の領域に互いに同心的に設けられたことにある。この場合、排水溝143は、すべてのリブ142a〜142cと交差するように、すなわちすべてのリブ142a〜142cを分断するように上下方向へ延びている。その他の部分は、基本的に第一の実施の形態と同様に構成することができる。
【0040】
詳しくは、リブ142aは、ベロー状屈曲部14cにおける凸面の頂部よりも外径側にあり、リブ142bは、ベロー状屈曲部14cにおける凸面の頂部にほぼ沿って延びており、リブ142cは、ベロー状屈曲部14cにおける凸面の頂部よりも内径側にある。そしてこれらのリブ142a〜142cはいずれも、第一の実施の形態におけるリブ142と同様、上側からの泥水の流れを堰き止めて円周方向へ流れを案内する作用を有するものであり、複数条設けたことによってその作用が一層確実に発揮される。
【0041】
これは、例えばセンターベアリング4(プロペラシャフト3)より上側で、ベロー状屈曲部14cにおける凸面の頂部よりも外径側(上側)に付着した泥水が、最外周のリブ142aを乗り越えて流下したとしても、この泥水はリブ142bで堰き止められて円周方向へ流れが案内され、さらにこのリブ142bを乗り越えて流下したとしても、さらにリブ142cで堰き止められて円周方向へ流れが案内されるからである。
【0042】
また、例えば図7に一点鎖線で示すように、内環12に対して外環11が相対的にフロント側へ変位したような場合、これに伴って変形を受ける弾性体14のベロー状屈曲部14cにおける屈曲位置(凸面の頂部)は外径側へ移動するが、この状態では最外周のリブ142aが凸面の頂部付近に位置することになるので、リブ142aによって泥水の堰きとめ及び円周方向への案内作用が発揮される。
【0043】
また、図7に二点鎖線で示すように、内環12に対して外環11が相対的にリア側へ変位したような場合、これに伴って変形を受ける弾性体14のベロー状屈曲部14cにおける屈曲位置(凸面の頂部)は内径側へ移動するが、この状態ではすべてのリブ142a〜142cが凸面の頂部付近及びその外径側に位置することになるので、これらのリブ142a〜142cによって安定した泥水の堰き止め及び円周方向への案内作用が発揮される。
【0044】
なお、上述した各形態において、図には排水溝143の溝底はほぼ鉛直に延びるものとして示されているが、図8あるいは図9に示すような形状としても良い。このうち図8に示す例は、排水溝143が弾性体14の凸面の頂部より下側で短く上側で長くなるように、その溝底143aを傾斜させることによって、排水性を向上させると共に下方からの泥水浸入の抑制を図ったものであり、図9に示す排水溝143は、その溝底143aを弾性体14のベロー状屈曲部14cにおける凸面と対応するような湾曲形状とすることで、排水溝143の形成による弾性体14のばね特性変化や耐久性低下を軽微に抑えたものである。
【0045】
また、図1あるいは図4のように、排水溝143は、内径側(上側)で幅が広く、外径側(下側)で幅が狭く形成すると共に、溝底143aを図8に示すような傾斜状あるいは図9に示すような湾曲形状とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 センターベアリングサポート
11 外環
12 内環
13 押さえ環
14 弾性体
14c ベロー状屈曲部
142,142a〜142c リブ
143 排水溝
2 ブラケット
3 プロペラシャフト
4 センターベアリング
5,6 ダストカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に固定される外環の内周に、センターベアリングを保持する内環がゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなる弾性体を介して設けられたセンターベアリングサポートにおいて、前記弾性体のベロー状屈曲部による凸面に、円周方向へ延びるリブが形成されたことを特徴とするセンターベアリングサポート。
【請求項2】
リブが、弾性体のベロー状屈曲部による凸面の頂部を中心とする適当な径方向幅の領域に、複数条設けられたことを特徴とする請求項1に記載のセンターベアリングサポート。
【請求項3】
弾性体のベロー状屈曲部による凸面のうちセンターベアリングの下側となる位置に、リブと交差する排水溝を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のセンターベアリングサポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−64438(P2013−64438A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203047(P2011−203047)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】