説明

ゼラチンで作られた生体吸収性不織布

ゼラチンを含有する繊維原料からなる繊維を含み、繊維に抗微生物効果のある薬剤および/または抗生物質が備えられている不織布、費用効果の大きい方法で十分な強度を有する生体吸収性不織布を製造するという本発明の目的に対して、繊維が回転紡糸法で製造されることを特徴とする。本発明は更に同不織布を製造するための回転紡糸法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼラチンを含む繊維原料の繊維を含み、同繊維に抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が備えられた不織布に関する。本発明は更に不織布を製造するための回転紡糸法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような不織布は、従来技術から既知である。特に、WO2004/002384A1号明細書は、銀を含み、創傷用の包帯(dressing)として使用される不織布を記載している。ポリウレタンまたはポリアクリレートは、そこで繊維材料として提案されている。
【0003】
不織布は、医療用途に使用されることが多い。不織布の原料として存在するウェブに対して、それらを包帯用材料として使用することを可能にする十分な引張強度が、ウォータージェット結合または熱的若しくは化学的結合によって付与される。
【0004】
しかし、機械的または化学的結合法は、繊維の抗微生物処理または抗生物質処理に悪影響を及ぼす可能性がある、即ち、有効物質の作用を阻害する可能性があるまたはそれらを繊維から部分的に脱離させる可能性さえある。従って、結合した不織布を使用に適した状態にするために、複雑で費用のかかる後処理工程を必要とすることが多い。
【0005】
更に、十分な結合を可能にするポリマーを含む繊維原料は創傷に許容されないことが多く、特に生体吸収性ではないということは、不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2004/002384A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は十分な強度を有する生体吸収性不織布を経済的に製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は請求項1の特徴により前述の目的を達成する。
【0009】
これによれば、冒頭に記載した不織布は、繊維が回転紡糸法で製造されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ゼラチンは、驚くほど容易に集積されてウェブを形成することができる生分解性材料であることが分かった。更に、ウェブの繊維どうしは、場合によって互いの間で相境界なしに連続的に移行し、互いに網目構造を形成し、したがって強い結合を形成することが分かった。得られる不織布は、意外なことに、他の結合手段なしで、包帯材料または創傷用包帯として使用するのに十分な高い引張強度を示す。抗微生物効果のある物質および/または抗生物質は、それらの作用に、結合手段による悪影響を受けない。更に、繊維の直径は回転紡糸法によって狭い分布に調節可能であることが分かった。回転紡糸法で、平均0.3〜500μm、平均3〜200μm、更に平均5〜100μmの直径を有する繊維を製造することができ、それらの繊維は、ゼラチンによって互いに部分的網目構造を形成する。繊維の直径の分布が狭いため、費用のかかる追加の結合手段なしに、均質で安定した不織布構造が可能である。
【0011】
その結果、冒頭に記載した目的が達成される。
【0012】
幾つかの繊維は、互いに撚り合わせられていても交絡していてもよく、若しくは撚り構造を有してもよい。撚りまたは交絡は、意外なことに、回転紡糸中に起こり、不織布の強度および延伸挙動(stretching behavior)を更に促進する。
【0013】
幾つかの繊維は、互いに交絡し、1つまたは1つ以上の繊維束を形成していてもよい。個々の繊維の交絡により、これらは集束されて繊維束となり、互いに可逆的に移動することができる。この結果、不織布を破壊することなく延伸することが可能である。延伸中に個々の繊維は実際に引っ張られ、他の繊維に対して移動する。撚りまたは交絡は、繊維が延伸前の位置に戻ることも促進する。従って、不織布は、高い寸法安定性を示す。
【0014】
繊維は、専ら、ゼラチンまたはゼラチンの誘導体から製造されていてもよく、繊維中および/または繊維上に抗微生物物質および/または抗生物質が存在する。このような不織布は、人体の化学物質によって分解されることができ、従って、ほぼ完全に生体吸収性である。この不織布を人体内に導入することができる。
【0015】
抗微生物効果のある物質および/または抗生物質は、繊維内に均質に分配させることができる。この結果、持続性の効果を有する抗微生物効果のある物質および/または抗生物質を徐々に放出することが可能となる。
【0016】
抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が繊維内にナノスケールレベルで存在してもよい。ナノスケール構造は、空間内の少なくとも1つの方向でナノメートルの範囲の寸法を有する任意の形態の領域を意味するものと理解される。この結果、抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が高い移動性を獲得する。ナノスケールレベルで存在する抗微生物物質は、同物質が細菌、ウイルス、真菌または胞子と接触したとき特に高い反応性を示す。更に、不織布は有効物質をそれと接触する媒体に対して非常に容易に放出する。この点で不織布は、抗微生物効果のある物質および/または抗生物質に関する高い放出能力によって傑出している。
【0017】
抗微生物効果のある物質および/または抗生物質は繊維上に分配されていてもよい。これは、人体への迅速な放出を確実にするために、抗微生物効果のある物質および/または抗生物質を不織布に噴霧することを可能にする。
【0018】
抗微生物効果のある物質が銀を含有してもよい。銀はヒトに対してほぼ無毒であるため、抗微生物作用物質として特に適している。更に、銀はアレルゲンとなる可能性が比較的低い。銀は低濃度で長期間にわたって多種類の感染性病原菌に対して殺菌物質として作用する。ほとんどの既知の細菌は銀に対する耐性を示さない。
【0019】
物質は少なくとも1つの亜族元素を含んでもよい。亜族元素は抗微生物効果によって傑出している。このような背景に対して、異なる細菌種を選択的に攻撃するために、複数の亜族元素が共に存在する形態が考えられる。一連の実験で、抗微生物効力に関して使用される物質の順位があることが分かった。これは、次のように表すことができる。銀が最も有効な物質であり、それに、水銀、銅、カドミウム、クロム、鉛、コバルト、金、亜鉛、鉄、および最後にマンガンが続く。このような背景に対して、抗微生物効果を示す主族元素を使用することも考えられる。抗微生物効果のある物質は金銀混合物を含むことができ、或いは専ら金銀混合物で構成することもできる。このタイプの混合物は特に高い抗微生物効果を示す。意外なことに、金の存在によって抗微生物効果が更に増加することが分かった。
【0020】
繊維の少なくとも一部はナノ繊維の形態とすることができる。この形態の不織布は特に軽量で薄く作ることができる。
【0021】
不織布は、乾燥状態での単位面積当たりの比重が140〜180g/mにおける引張強度として0.15N/mm以上、および、水和状態における破断点伸びとして150%、好ましくは200%以上を有し得る。このような不織布は、問題なく巻き取ることができるため、包帯用材料として特に適している。
【0022】
不織布は、DIN9237に従って判定されるパラメータとしての通気率が0.5l/min・cmの開口気孔構造を有することができる。このような不織布は、皮膚が水分を放出し、呼吸することを可能にするため、包帯用材料として特に適している。
【0023】
冒頭に記載した目的は請求項12の特徴によっても達成される。
【0024】
発明のステップに関する反復を避けるため、不織布そのものに関する記載を参照されたい。
【0025】
吐出される繊維を非接触で直接案内することも可能である。繊維が集積装置に到達する前の非接触の規定された案内によって、繊維の改質(modification)が可能とある。例えば、案内の持続時間および案内の方向だけで繊維長、繊維径および繊維構造に影響を及ぼすことができる。方向付けられた非接触の案内によって、案内なしの製造プロセスより均質な繊維スペクトルが生じる。非常に具体的な例として、全ての繊維の特性の分布曲線の幅を案内だけで調節することができる。このため、望ましくない繊維の幾何学的形態を有する繊維の量を著しく減少させることができる。
【0026】
特に有利な設計の構成では、繊維を吸引装置で案内することができる。繊維を気体の流れで搬送することが考えられる。気体の流れが層流であれば繊維を層流の層間で延伸、整形することができる。
【0027】
空気は上記の気体として作用することができる。空気は製造プロセスを大気圧下で実施できるという点で傑出した経済的な気体である。空気の代わりに、他の気体、特に窒素などの不活性ガスを使用することも考えられる。これによって、反応基を含む、または容器を出た後で二次反応する傾向がある繊維原料を処理可能となる。
【0028】
0.3〜500μmの直径を有する繊維を製造することができる。この点に関しては、静電界を使用することなくナノ繊維の製造が可能である。
【0029】
容器の出口領域を通路として構成することができる。ここで、通路は円形、楕円形または長方形のいずれも考えられる。通路の形状だけに基づいて繊維の幾何学的形状に影響を及ぼすことができる。
【0030】
通路は500μm以内の直径または幅を有することができる。この寸法は、ナノ繊維およびマイクロ繊維の製造に特に有利であることが分かった。複数の通路を互いに1センチメートル離れた距離に配置することができる。また、複数の通路を互いに重ね合わせて複数の列に配置することも考えられる。これによって、繊維原料の処理量を特に簡単に増加させることが可能である。直径を増加または減少させることによって、0.3〜500μmの範囲のナノ繊維またはマイクロ繊維を製造することも可能である。
【0031】
容器を毎分25000回転以下で回転可能とすることもできる。この高い回転速度によって、100nm以下の直径を有するナノ繊維を製造することが可能となる。通常、ナノ繊維は電場を利用した電気紡糸法で製造される。しかし、容器の好適な設計および非常に高い回転速度により、電場なしでナノ繊維を製造することが可能である。回転速度および繊維原料の粘度を選択することによって、比較的大きい直径を有する繊維を製造することもできる。
【0032】
容器は300℃に加熱可能とすることができる。この構成により、好都合に、ほぼ全ての熱可塑性繊維形成材料を繊維原料として使用することが可能となる。ここで、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリラクチド、およびポリヒドロキシ酪酸/ポリヒドロキシ吉草酸のコポリマー、並びに、ショ糖などの天然の糖、または前記物質の混合物を使用することが考えられる。更に、繊維原料は、ポリオレフィンまたは反応性ポリマーを含んでもよい。ここで、ポリプロピレン、アクリル酸をグラフトしたポリプロピレンおよび/または変性ポリプロピレンを使用することが考えられる。ゼラチンなどの生分解性物質を繊維原料として使用することにより、問題なしに処分可能な繊維の製造が可能となる。更に、これらの繊維で、創傷用の包帯または細胞培養培地などの医療用製品を製造することができる。前述した物質は全て、単独でまたは他のものとの混合物として、繊維原料として使用できる。
【0033】
繊維原料を受け取る集積装置が回転容器を備えていてもよい。集積装置は、繊維の集合体(gaze)またはウェブを形成するための繊維を堆積させることができるプラットホームの形態とすることができる。また、集積装置が、円筒体を被覆するための繊維または巻かれたウェブを製造するための繊維を巻き取る回転装置であってもよい。
【0034】
集積装置と容器の間に電位差が存在する構成でもよい。この特定の構成によって、静電気を帯びた繊維の製造が可能となる。
【0035】
更に、ナノ繊維の製造を補助するために電位差を使用することが考えられる。ここで、求心力および電場の効果は相加的である、即ち、繊維原料は先ず求心力によって接線に沿って回転容器から離れて細いフィラメントに紡糸され、更には、任意に電界によって更に開繊される。この点に関して、サブナノメートルの範囲の繊維を製造できる手段で製造プロセスを実現することが考えられる。
【0036】
繊維原料は既に流動化した形態で容器に導入されていてもよい。即ち、これによって、繊維原料を容器外で加熱することにより、連続プロセスを実施することが可能である。しかし、また、繊維原料を容器に導入した後で初めて繊維原料を流動化させることも考えられる。
【0037】
本明細書に記載したタイプの不織布は、その布帛構造および材料組成を非常に容易に変更可能であるため、医療分野に使用することができる。例えば、即ち、繊維布帛構造がヒトの組織と容易に互いに交わって生長(intergrow)可能な場合、創傷用包帯として作用できるように布帛構造を調節することが考えられる。細胞培養培地としての使用などの他の医療用途も考えられる。
【0038】
本明細書に記載の不織布は、十分な安定性があり、消毒効果があるため、特に綿棒または綿球(swab)の製造に適している。
【0039】
不織布を更に処理することか可能である。不織布に対して組換え型成長因子、自己成長因子、特に血小板製剤、接着因子、特にRDGペプチド、および/または自己細胞製剤、特に骨髄穿刺液を供与してあってもよい。
【0040】
本発明の教示を有利に構成し、更に展開させる様々な可能性がある。この目的のため、まず以下の請求項を、次に、図面を参照して以下の本発明による不織布の好ましい実施例の説明を参照されたい。
【0041】
図面を参照した好適な実施例の説明と共に、教示の一般に好適な構成および更なる展開についても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】抗微生物物質として銀がナノスケール粒子の形態で繊維に分配された、ゼラチンを含む不織布のSEM写真である。
【図2】図1の不織布のSEM写真の拡大図である。
【図3】図1の不織布からの直径が4μmの繊維のSEM写真の拡大図である。
【図4】互いに絡み合った繊維を含む繊維束のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
〔実施例1〕
図1および図2による抗微生物物質として銀を含む不織布を以下のように回転紡糸法で製造する。
【0044】
まず、濃度20%のゼラチン溶液を調製する。Gelita AG製のタイプA PIGSKINゼラチンを使用する。ゼラチンを水に加えて攪拌する。ナノスケールの粒子の形態で銀を含有する固形分1000ppmの濃度5%の銀水溶液を、ゼラチン溶液に添加する。RENT ASCIENTIST製のAGPUREタイプの銀水溶液を使用した。これによって、銀50mg/(ゼラチン溶液kg)の最終濃度が得られる。
【0045】
次いで、膨潤させるためにゼラチン溶液を約1時間放置する。その後、ゼラチン溶液を60℃の超音波浴中で溶解させ、約2時間80〜85℃の温度に保つ。ゼラチン溶液中で銀の粒子が凝集体を形成する場合があるが、ゼラチン溶液を攪拌することで溶解させることができる。80〜85℃に温度調整したゼラチン溶液を、蠕動ポンプによって独国特許出願公開第102005048939 A1明細書に基づく回転紡糸装置の容器に繊維原料として供給する。
【0046】
容器は、約120℃の温度を有し、4500rpmの回転速度で回転する。容器には直径0.3mmの穴として構成された複数の開口(cut-outs)がある。繊維原料を、求心力により前記開口を通して押し出して繊維に紡糸し、それを吸引装置で延伸する。吸引装置は容器の下にある。
【0047】
ゼラチンが網目構造を形成すると、ゼラチンを含む抗微生物効果のある生体吸収性不織布、即ち、ゼラチン不織布が得られる。
【0048】
不織布を走査型電子顕微鏡(SEM)で特性評価した。図1〜図3は、本明細書に記載の不織布の種々の倍率におけるSEM写真を示す。ICPに基づく特性評価によれば(EN ISO 11885に基づく)不織布中の銀濃度は44mg/kgである。
【0049】
図2では、特に図の左下四半分で、幾つかの繊維が互いに絡み合っているまたは撚り合わされていることが明らかである。これらの絡み合いの発生は、回転紡糸法で製造される不織布の特徴である。
【0050】
〔実施例2〕
抗生物質を含む不織布を以下のように回転紡糸法で製造する。
【0051】
不織布を製造するために、まず、濃度20%のゼラチン溶液を調製する。実施例1によるタイプA PIGSKINのゼラチンを使用する。ゼラチンを水に加えて攪拌する。膨潤させるためにゼラチン溶液を1時間放置する。その後、ゼラチン溶液を60℃の超音波浴中で溶解させて、80〜85℃の温度に約2時間保つ。
【0052】
80〜85℃に温度調整したゼラチン溶液を蠕動ポンプで、独国特許出願公開第102005048939 A1号明細書による容器に供給する。ゼラチン溶液が開口に入る直前に、ゲンタマイシン溶液(HEXAL AG製のGENTAMICIN 40)の1アンプルをゼラチン溶液と混合する。容器は約120℃の温度を有し、4500rpmの回転速度で回転する。繊維原料を、求心力により、容器の開口から押し出して繊維に紡糸する。繊維を容器の下にある吸引装置で延伸する。ゼラチンが網目構造を形成すると、抗微生物作用を有する抗生物質を含むと同時に生体吸収性の不織布が得られる。
【0053】
〔実施例3〕
後続の抗生物質処理を含む不織布を、以下のように回転紡糸法で製造する。
【0054】
不織布を製造するために、まず濃度20%のゼラチン溶液を調製する。実施例1によるタイプA PIGSKINのゼラチンを使用する。ゼラチンを水に加えて攪拌する。膨潤させるためにゼラチン溶液を1時間放置する。その後、ゼラチン溶液を60℃の超音波浴中で溶解させ、約2時間80〜85℃の温度に保つ。
【0055】
80〜85℃に温度調整したゼラチン溶液を蠕動ポンプで、独国特許出願公開第102005048939 A1号明細書による容器に供給する。容器は120℃の温度を有し、4500rpmの回転速度で回転する。繊維原料を、求心力により、容器の開口から押し出して繊維に紡糸する。繊維を容器の下にある吸引装置で延伸する。ゼラチンが網目構造を形成した後で不織布にゲンタマイシンの溶液を噴霧し、乾燥させる。
【0056】
図4は、実施例1と同様な方法で製造された不織布を示す。この不織布の場合、幾つかの繊維が互いに絡み合って繊維束を形成する。個々の繊維の絡み合いの結果、それらは集束して繊維束を形成し、互いに可逆的に移動できる。これによって、不織布を破壊せずに延伸させることが可能である。延伸の間に個々の繊維は引っ張られ、他の繊維に対して移動する。撚りまたは絡み合いは、繊維が延伸前の位置に戻ることをも促進する。従って、不織布は、高い寸法安定性を示す。
【0057】
本発明の教示の他の有利な構成、および他の展開に関しては、まず明細書の全般を、次に添付された請求項を参照されたい。最後に、特に、純粋にランダムに選択された上記の実施例は、本発明による教示を論述する役割を果たすに過ぎず、前記教示をこれらの実施例に限定するものではないことを強調したい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンを含む繊維原料からなる繊維を含み、前記繊維に抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が備えられている不織布であって、前記繊維が回転紡糸法で製造されていることを特徴とする不織布。
【請求項2】
幾つかの繊維が互いに撚り合わせられている、または絡み合っていること、或いは撚り構造を有することを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
幾つかの繊維が互いに絡み合って1つまたは複数の繊維束を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の不織布。
【請求項4】
前記繊維が、専ら、ゼラチンまたはゼラチンの誘導体から製造されており、前記繊維中および/または前記繊維上に抗微生物物質および/または抗生物質が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項5】
前記抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が前記繊維中に均質に分配されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項6】
前記抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が前記繊維中にナノスケールレベルで存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項7】
前記抗微生物効果のある物質および/または抗生物質が前記繊維上に分配されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項8】
前記抗微生物効果のある物質が銀を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項9】
前記繊維の少なくとも一部がナノ繊維の形態であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項10】
乾燥状態での単位面積当たりの比重が140〜180g/mにおける引張強度として0.15N/mm以上、および、水和状態における破断点伸びとして150%、好ましくは200%以上を特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項11】
0.5l/min・cmの通気率を有する開口気孔構造を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の不織布を製造するための回転紡糸法であって、繊維原料を容器に導入し、前記容器を回転させ、流動化した繊維原料を求心力により前記容器から繊維の形態で吐出する回転紡糸法。
【請求項13】
前記吐出される繊維が、方向付けられた、非接触の方式で案内されることを特徴とする請求項12に記載の回転紡糸法。
【請求項14】
前記吐出される繊維が吸引装置によって案内されることを特徴とする請求項12または13に記載の回転紡糸法。
【請求項15】
0.3〜500μmの直径を有する繊維が製造されることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の回転紡糸法。
【請求項16】
前記容器の出口領域が500μm以下の直径を有する通路の形態であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の回転紡糸法。
【請求項17】
前記容器が、毎分25000回転以下で回転可能であることを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の回転紡糸法。
【請求項18】
前記容器が300℃に加熱可能であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の回転紡糸法。
【請求項19】
前記繊維が集積装置上に集積され、前記集積装置と前記容器の間に電位差が存在することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の回転紡糸法。
【請求項20】
創傷治癒のための薬物を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の不織布の使用。
【請求項21】
綿棒を製造するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の不織布の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−539347(P2010−539347A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525246(P2010−525246)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007757
【国際公開番号】WO2009/036958
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510057615)カール・フロイデンベルク・カー・ゲー (19)
【Fターム(参考)】