説明

ゼロデッドボリュームを有するミキサ

本発明は、流体を混合するための拡張可能な密閉ボリューム35と、拡張可能な密閉ボリューム35における混合を可能にする可撓性メンブレン40と、を有する、マイクロフルイディクスシステム1であって、マイクロフルイディクスシステム1が更に、表面5の第1の側10を該表面5の第2の側の拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する少なくとも1つのチャネル20、20a、20b、20c、20dを具える該表面5を有し、前記チャネル20、20a、20b、20c、20dが、前記表面5の前記第1の側10を前記チャネル20、20a、20b、20c、20dに流体工学的に結合する第1のチャネル開口と、前記チャネル20、20a、20b、20c、20dを前記拡張可能な密閉ボリューム35に流体工学的に結合する第2のチャネル開口30と、を有し、前記拡張可能なボリューム35が、前記拡張可能なボリューム35に流体がない場合に前記第2のチャネル開口30を閉じる前記可撓性メンブレン40によって規定される、マイクロフルイディクスシステムに関する。本発明は更に、このようなマイクロフルイディクスシステム1を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
−流体を混合するための拡張可能な密閉ボリュームと、
−拡張可能な密閉ボリュームにおける混合を可能にする可撓性メンブレンと、
を有するマイクロフルイディクスシステムに関する。
【0002】
本発明は更に、このようなマイクロフルイディクスシステムを有する装置に関する。
【0003】
本発明は更に、このようなマイクロフルイディクスシステムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
上述したマイクロフルイディクスシステムの1つの具体例は、米国特許出願公開第2005/0019898A1号明細書から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この文書は、2つのダイアフラム領域を含むチャンバを有する流体混合装置を記述している。ダイアフラム領域は、チャンバ内の流体の動きを生成するために、2つの混合ブラダの膨張及び収縮によって、チャンバを出入りする。混合は、混合ブラダ及びダイアフラム領域を動作させることによって得られる流体の動きによってもたらされる。混合は改善されることができるが、混合ブラダ及び混合ブラダを膨張させ収縮させるための関連する手段がボリュームを占有することは、既知の装置の欠点である。流体は、別の流体(空気)と置き換わることを除いては、混合チャンバから除去されることができず、これは、別の流体源及び付加の密閉手段を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、混合特性を改善するマイクロフルイディクスシステムを提供することである。本発明によれば、この目的は、請求項1に記載のマイクロフルイディクスシステムによって実現される。
【0007】
本発明は、1又は複数の流体が、可撓性メンブレンによって閉じられた拡張可能な密閉ボリュームに入るために通るチャネルを有することにより、混合されるべき流体がチャネルを通って拡張可能なボリュームに輸送される際、無秩序なフローパターンが、拡張可能なボリューム内のメンブレンの近傍に生成されるという認識に基づく。無秩序なフローパターンは、拡張可能なボリュームに入る流体の効果的な混合をもたらす。本発明は、拡張可能な密閉ボリュームに入る単一の流体を均質化し、又は2又はそれ以上の異なる流体を混合することを可能にする。本発明に関して、均質化及び混合は、混合という語によって示される単一の概念として考えられる。好適な実施形態において、拡張可能なボリュームが流体で満たされる際のメンブレンの拡張の結果として可撓性メンブレンに生じる張力は、流体が拡張可能なボリュームに入るために通るチャネルの方へ、流体を押し戻す傾向がある。流体を押し戻すこの傾向のため、外部アクチュエーションは要求されない。しかしながら、外部アクチュエーションは、可撓性メンブレンの有無にかかわらず適用されることができる。拡張可能なボリュームを充填すること及び空にすることは、混合の特定の品質のために要求されるのに必要な回数繰り返されることができ、充填の程度は必要に応じて変更されることができる。従って、同じ設計が、アプリケーションに依存して、それぞれ異なるボリュームについて使用されることができる。
【0008】
その結果、本発明によるマイクロフルイディクスシステムは、上述の従来技術において得られる混合と比較して、改善された混合を提供する。更に、本発明は、リザーバ、流体を動かすことによって移動されるガスの排出、又は追加のボリュームを必要としない。密閉ボリュームを拡張可能にすることによって、追加のボリュームが要求されず、すべての流体が、排出なしに又は移動する流体を使用して、システムへ回復されることができる。
【0009】
本発明の付加の利点は、本発明による装置がコンパクトであることである。流体が、拡張可能な密閉ボリュームにない場合、デッドボリュームは本質的にゼロである。
【0010】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの一実施形態は、可撓性メンブレンが第2のチャネル開口をカバーするという点で特徴付けられる。
【0011】
この実施形態は、拡張可能なボリュームが、可撓性メンブレンによって完全に規定され、それにより、本発明によるマイクロフルイディクスシステムの簡素で容易なアセンブリを可能にするという利点を有する。代替として、可撓性メンブレンは、第2のチャネル開口のチャネル内に位置しうる。
【0012】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、可撓性メンブレンが弾性であるという点で特徴付けられる。
【0013】
この実施形態は、メンブレンが拡張の際に、拡張可能なボリュームから液体を押し出す傾向をもつ力を生成するという利点を有する。これは、(単一サイクルの)混合の後、拡張可能なボリュームから流体を除去するために、流体の別個のアクチュエーションが絶対に必要というわけではないことを意味する。
【0014】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、マイクロフルイディクスシステムが拡張可能な密閉ボリュームに通じる複数のチャネルを有するという点で特徴付けられる。この実施形態は、それが単一チャネルを用いて達成できるフローパターンとは異なる無秩序なフローパターンを可能にするという利点を有する。
【0015】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、複数のチャネルのうち少なくとも1つのチャネルが指向性バルブを有するという点で特徴付けられる。
【0016】
この実施形態は、指向性バルブを有する拡張可能な密閉ボリュームに表面の第1の側を流体工学的に結合する複数のチャネルのうちすべてではなく少なくとも1つが、流体が拡張可能なボリュームに入るために通った経路とは異なる経路に沿って、拡張可能なボリュームから流体を排出することによって、混合の改善を可能にするという利点を有する。
【0017】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、チャネルのジオメトリが混合を改善するように適応されるという点で特徴付けられる。
【0018】
この実施形態は、それが混合の改善を可能にするという利点を有する。混合を改善するためのよく知られた構造は、流れの向きに依存して、流動場の回転をもたらすいわゆるヘリングボーン構造である。
【0019】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、拡張可能な密閉ボリュームが混合を改善するための構造を有するという点で特徴付けられる。
【0020】
この実施形態は、それが混合の改善を可能にするという利点を有する。ヘリングボーン構造のような構造(上述の実施形態を参照)と任意に組み合わせられることができる可能性は、チャネルの拡張された開口として機能するチャンバの下部の1又は複数の溝によって形成される。
【0021】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムの他の実施形態は、可撓性メンブレンが混合を改善するために予め成形されるという点で特徴付けられる。
【0022】
この実施形態は、それが混合の改善を可能にするという利点を有する。予め成形された可撓性メンブレンの一実施形態は、蛇腹とも呼ばれる折り畳まれたバッグのように予め成形されたメンブレンである。更に、メンブレンは、それが、拡張可能な密閉ボリュームに流体を運ぶ1又は複数のチャネルの1又は複数の開口に関して非対称であるという意味において予め成形されることもできる。
【0023】
本発明の目的は、更に、上述の実施形態の任意のものによるマイクロフルイディクスシステムを有する装置によって実現される。
【0024】
本発明によるマイクロフルイディクスシステムを有する装置は、上述の実施形態の任意のものから利益を得る。
【0025】
本発明による装置の実施形態は、装置がカートリッジであり、カートリッジが、カートリッジと共に機能する器具に挿入可能であるという点で特徴付けられる。
【0026】
この実施形態は、カートリッジが例えば分子診断において使用される流体の混合を要求するという利点を有する。その結果、本発明によるマイクロフルイディクスシステムを有するカートリッジが、本発明の上述の実施形態の任意のものから利益を得る。
【0027】
本発明による装置の他の実施形態は、装置が分子診断用の装置であるという点で特徴付けられる。
【0028】
この実施形態は、分子診断用の装置が流体の混合を要求することができるという利点を有する。従って、上述の実施形態によるカートリッジを有する可能性のあるこのような装置は、本発明の上述の実施形態の任意のものから利益を得る。
【0029】
本発明の目的は更に、流体を混合する方法であって、
−マイクロフルイディクスシステムを準備するステップであって、マイクロフルイディクスシステムが、表面の第1の側を、表面の第2の側の拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する少なくとも1つのチャネルを具える該表面を有し、チャネルが、表面の第1の側をチャネルに流体工学的に結合する第1のチャネル開口と、チャネルを拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する第2のチャネル開口と、を有し、拡張可能なボリュームが、拡張可能なボリュームに流体がない場合に第2のチャネル開口を閉じる可撓性メンブレンによって規定される、ステップと、
−表面の第1の側から拡張可能な密閉ボリュームに流体を輸送して、拡張可能な密閉ボリュームを拡張するステップと、
−輸送された流体を、拡張可能な密閉ボリュームから表面の第1の側に戻して、拡張可能なボリュームをその元のボリュームに戻すステップと、
を含む方法によって実現される。
【0030】
本発明による方法の実施形態は、流体を輸送するステップ及び戻すステップが、所望のレベルの混合を達成するために必要とされる回数繰り返されるという点で特徴付けられる。
【0031】
この実施形態は、所望のレベルの混合が達成されるまで、混合が複数の混合サイクルを経験することによって繰り返されることができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示す図。
【図2】複数のチャネルを有する、本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示す図。
【図3】指向性バルブを有する、本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示す図。
【図4】本発明による方法の一実施形態を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示している。図1aは、本発明によるマイクロフルイディクスシステム1の側面図を概略的に示している。マイクロフルイディクスシステム1は表面5を有し、表面5は、第1の側10及び第2の側15を有する。表面5は更に、チャネル20を有する。チャネル20は、表面5の第1の側10をチャネル20に流体工学的に結合する第1のチャネル開口25を有する。チャネル20は更に、チャネル20を拡張可能な密閉ボリューム35に流体工学的に結合する第2のチャネル開口30を有する。メンブレン40は、第2のチャネル開口30をカバーし、拡張可能なボリューム35を規定する。代替として、バルーンのように拡張することが可能であって、第2のチャネル開口30のところに又は開口30内(図示せず)に位置付けられるメンブレンが、無秩序なフローを生成するために適切である。マイクロフルイディクスシステム1は更に、混合されるべき流体を、チャネル20及び拡張可能な密閉ボリューム35の方へ輸送するためのチャネル45を有する。図1は、流体がチャネル45及びチャネル20を通って拡張可能な密閉ボリューム35の方へ輸送される時点でのマイクロフルイディクスシステム1を示している。拡張可能な密閉ボリューム35に入った後、流体は、無秩序なフローパターンでフローする。これは、チャネル20の通過及びメンブレン40の影響の結果であり、それにより、流体が、拡張可能なボリューム35によって占有されるボリュームに広がるようにする。無秩序なフローパターンは、矢印50によって示される。無秩序なフローパターンは、チャネルから事実上無限のチャンバへ遷移する際の延伸的な流動場によってもたらされる。流体がチャネルを出て拡張可能なボリュームに一旦入ると、主なフロー方向が変えられると同時に、チャネル内の主なフロー方向に対し垂直な方向に拡張する、拡張可能なボリュームは、無秩序なフローパターンを生成するのに適している。これは特に、拡張可能なボリュームに通じるチャネルの開口が拡張可能なボリュームの対称軸に配されない場合にあてはまる。チャネルの直径の約10倍の直径を有するメンブレンは、特に、拡張された状態の拡張可能なボリュームの高さがチャネル高さより5〜10倍高い場合に無秩序なフローを生成するのに適している。本発明のすべての実施形態に当てはまるように、第1の側10を拡張可能なボリューム35に流体工学的に結合する1又は複数のチャネル20は、混合を改善するために適応されうる。チャネル20は例えば1又は複数の突出部(図示せず)を有することができる。チャネルを流れる流体は、突出部に沿って移動しなければならず、その結果、混合は、図1aに示される本発明の基本的な実施形態と比べて、改善される。別のオプションは、表面上の拡張可能な密閉チャンバ内に、可撓性メンブレンと向き合う構造を有することである。このような構造は、流体フローに、ゆえに混合に影響を与える。このような構造は、可撓性メンブレンの拡張に関して非対称性を生じさせるために使用されることができる。更に、構造は、同様に使用されることができるヘリングボーン構造のようなものである。上述のオプションは、任意の組み合わせにおいて使用されてもよい。
【0034】
図1bは、図1aと同じ機構を示している。しかしながら、本図には、流体が、拡張可能な密閉ボリューム35から出てチャネル20及びチャネル45を通って流れる時点でのマイクロフルイディクスシステム1が示されている。流体が、拡張可能なボリューム35から流れ出るにつれて、ボリュームのサイズが低減される。図において、これは、メンブレン40がほぼ直接的に第2のチャネル開口30上にあるという事実によって説明される。これは、流体が拡張可能な密閉ボリューム35にない場合に、ボリューム35によって占有される空間が本質的にゼロであることを示す。従って、本発明による混合装置は、ほぼゼロのデッドボリュームを有する。それゆえ、装置はコンパクトである。更に、本発明によるマイクロフルイディクスシステム1は、高価な材料又はアクチュエーション手段を要求しない。その結果、本発明によるマイクロフルイディクスシステム1は、安価に製造されることができる。
【0035】
図1cは、図1aに示される機構の上面図を示している。混合されるべき流体は、チャネル45及びチャネル20を通って拡張可能な密閉ボリューム35の方へ輸送される。拡張可能なボリューム35内部の流体の影響下において、メンブレン40は、矢印55によって示されるように拡張する。メンブレン40の機械的特性は、エラストマから粘弾性まで、要求に依存して変えられることができる。非エラストマの設計においては、拡張可能なボリューム35に入ってくる流体の影響下においてメンブレン40の拡張は、チャネル20の方へ流体を押し戻す、流体に対するメンブレン40の合成力を生じさせない。その場合、流体の別個のアクチュエーションが、拡張可能なボリューム35から流体を除去するために必要とされる。しかしながら、メンブレン4が弾性である場合、メンブレン40の拡張は、結果的に、メンブレン40の合成力を流体に生じさせ、流体をチャネル20の方へ押し戻す。その場合、拡張可能なボリューム35から流体を除去するために、別個のアクチュエーションが絶対に必要というわけではない。
【0036】
図2は、複数のチャネルを有する本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示している。本図のほとんどの構成要素は、図1に示される構成要素と同じである。同じ構成要素は、同じの参照符号を与えられている。しかしながら、本図において、本発明によるマイクロフルイディクスシステム1は、表面5の第1の側10を、拡張可能な密閉ボリューム35に流体工学的に結合する複数のチャネル20a−dを有する。複数のチャネルを有することは、混合効果を向上させる。それぞれ異なるチャネル20a−20dは、任意には、(本図のチャネル45のような)それぞれ異なる供給チャネルに接続されることができ、異なるソース(本図に示されない)から来る流体の混合を可能にする。その場合、本図のチャネル45のような1又は複数のチャネルが、本発明による装置に存在し、それらのチャネルの1又は複数が、本図のチャネル20a−20dのように、拡張可能なボリュームに結合される1又は複数のチャネルに結合される。言い換えると、単一の供給チャネルは、拡張可能な密閉ボリューム(図示せず)に流体を運ぶ複数のチャネルに接続されることができる。その場合、単一の供給チャネルは、分岐して、拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合される複数のチャネルに入る。複数のこのような供給チャネルが存在しうる。要するに、1つの選択肢は、単一の供給チャネル45が分岐して、拡張可能なボリューム35に結合される複数のチャネル20a−20dに入る本図の「シャワーヘッド」構造を有することである。別のオプションは、複数の供給チャネル45を有することである。それらの複数の供給チャネル45の1又は複数が分岐して、複数のチャネル20a−20dに入ることができる。
【0037】
図3は、指向性バルブを有する本発明によるマイクロフルイディクスシステムを概略的に示している。本図のほとんどの構成要素は、図2に示される構成要素と同じである。同じ構成要素は、同じ参照数字を与えられている。しかしながら、本図において、チャネル20a及びチャネル20dは、各々、指向性バルブを有する。チャネル20aは、指向性バルブ60aを有し、チャネル20dは、指向性バルブ60dを有する。本実施形態において、指向性バルブは、流体が拡張可能なボリュームに流入する際に開き、流体が逆方向に流れる際に閉じる、可撓性メンバ(フラップ)として設計されている。指向性バルブの別の例は、流体が一方向に流れることを可能にし、流体圧力が逆方向を向く際に閉じる、空洞内のボールによって形成される。指向性バルブのこれら及び他の例は、当業者に知られている。指向性バルブ60a及び60dの結果として、流体は、チャネル20a及びチャネル20dを通って拡張可能なボリューム35に入ることができる。しかしながら、流体は、同じチャネルを通って拡張可能なボリューム35を去ることができない。1又は複数のチャネル20(図1及び図2参照)を使用することによって、及び/又はすべてではないが1又は複数のチャネル20(本図を参照)の指向性バルブを使用することにより、それ自体の混合特性を各々が具えるそれぞれ異なるフローパターンが、達成されることができる。特定のアプリケーションの混合要求や複数のチャネル20又は指向性バルブ60の望ましさ又は入手しやすさに依存して、適切な設計が選択されることができる。
【0038】
図4は、本発明による方法の実施形態を概略的に示している。ステップ65において、本発明の実施形態の任意のものによるマイクロフルイディクスシステムが準備される。次に、ステップ70において、混合されるべき流体が、拡張可能な密閉ボリュームの方へ及びその中に輸送される。拡張可能なボリュームに入ってくる流体の影響下で、拡張可能なボリュームが拡張する。流体がチャネルを通じて拡張可能なボリュームに入るので、拡張可能なボリュームを規定する可撓性メンブレンの存在のため、無秩序なフローパターンが、拡張可能なボリューム内部に構成され、その結果、流体の混合を生じさせる。可撓性メンブレンの弾性特性に起因する合成力の影響下で又は別個のアクチュエーションの影響下で、流体は、拡張可能なボリュームから戻される。これは、ステップ75において行われる。この発明による方法の一実施形態により、ステップ70及びステップ75は、要求されるレベルの混合を達成するのに必要な回数繰り返されることができる。本図において、これは、破線の矢印80によって示されている。
【0039】
上述した実施形態は、本発明を制限するものではなく、説明するものであり、当業者であれば、添付の請求項の範囲を逸脱することなく多くの代替の実施形態を設計することが可能であることに注意すべきである。請求項において、括弧の中に置かれる任意の参照符号は、請求項を制限するものとして解釈されるべきでない。「含む、有する(comprising)」という語は、請求項に列挙されるもの以外の構成要素又はステップの存在を除外しない。構成要素に先行する「a」又は「an」という語は、このような構成要素の複数の存在を除外しない。幾つかの手段を列挙するシステム請求項において、これらの手段の幾つかは、コンピュータ可読ソフトウェア又はハードウェアの同じ1つのアイテムによって具体化されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【図1a】

【図1b】

【図1c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を混合するための拡張可能な密閉ボリュームと、
前記拡張可能な密閉ボリュームにおける混合を可能にする可撓性メンブレンと、
を有するマイクロフルイディクスシステムであって、前記マイクロフルイディクスシステムが更に、
表面の第1の側を、該表面の第2の側の前記拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する少なくとも1つのチャネルを具える該表面を有し、
前記チャネルは、前記表面の前記第1の側を前記チャネルに流体工学的に結合する第1のチャネル開口と、前記チャネルを前記拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する第2のチャネル開口と、を有し、
前記拡張可能なボリュームは、前記拡張可能なボリュームに流体がない場合に前記第2のチャネル開口を閉じる前記可撓性メンブレンによって規定される、マイクロフルイディクスシステム。
【請求項2】
前記可撓性メンブレンは前記第2のチャネルをカバーする、請求項1に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項3】
前記可撓性メンブレンが弾性である、請求項1又は2に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項4】
前記マイクロフルイディクスシステムは、前記拡張可能な密閉ボリュームにつながる複数のチャネルを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項5】
前記複数のチャネルのうち少なくとも1つが指向性バルブを有する、請求項4に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項6】
前記チャネルのジオメトリは、混合を改善するように適応されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項7】
前記拡張可能な密閉ボリュームは、混合を改善するための構造を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項8】
前記可撓性メンブレンは、混合を改善するように予め成形されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマイクロフルイディクスシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のマイクロフルイディクスシステムを有する装置。
【請求項10】
前記装置がカートリッジであり、前記カートリッジは、該カートリッジと共に機能する器具に挿入可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、分子診断用の装置である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
流体を混合する方法であって、
マイクロフルイディクスシステムを準備するステップであって、前記マイクロフルイディクスシステムが、表面の第1の側を、該表面の第2の側の拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する少なくとも1つのチャネルを具える該表面を有し、前記チャネルが、前記表面の前記第1の側を前記チャネルに流体工学的に結合する第1のチャネル開口と、前記チャネルを前記拡張可能な密閉ボリュームに流体工学的に結合する第2のチャネル開口と、を有し、前記拡張可能なボリュームが、前記拡張可能なボリュームに流体がない場合に前記第2のチャネル開口を閉じる可撓性メンブレンによって規定される、ステップと、
前記表面の前記第1の側から前記拡張可能な密閉ボリュームに流体を輸送して、前記拡張可能な密閉ボリュームを拡張するステップと、
前記輸送された流体を、前記拡張可能な密閉ボリュームから前記表面の前記第1の側に戻して、前記拡張可能な密閉ボリュームをその元のボリュームに戻すステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記流体の前記輸送及び戻しは、所望のレベルの混合を達成するのに必要な回数繰り返される、請求項11に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−524899(P2012−524899A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506617(P2012−506617)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051671
【国際公開番号】WO2010/122464
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】