ソケット
【課題】 コンタクトに電気抵抗体の機能を付加した改良された回路基板用ソケットを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のソケット100は、長手方向に延在するソケット本体12と、ソケット本体12の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクト110とを有する。メモリモジュール30がソケット本体12に装着されたとき、メモリモジュール30の対向する面に形成された端子38がコンタクト110によって弾性的にかつ電気的に接続される。コンタクト110は、端子38と接続する接点部116、弾性力を生じさせる折り曲げ部114および基部112を有し、コンタクトはバネ性を有する導電性金属から構成される。複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗118が設けられ、基部112からメモリモジュール30の端子38間の電流経路に抵抗118が介在される。
【解決手段】 本発明のソケット100は、長手方向に延在するソケット本体12と、ソケット本体12の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクト110とを有する。メモリモジュール30がソケット本体12に装着されたとき、メモリモジュール30の対向する面に形成された端子38がコンタクト110によって弾性的にかつ電気的に接続される。コンタクト110は、端子38と接続する接点部116、弾性力を生じさせる折り曲げ部114および基部112を有し、コンタクトはバネ性を有する導電性金属から構成される。複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗118が設けられ、基部112からメモリモジュール30の端子38間の電流経路に抵抗118が介在される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を装着するソケットに関し、特に、複数のメモリチップを実装したメモリモジュールを装着するソケット、および当該ソケットを用いたメモリモジュールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ等の半導体メモリチップを回路基板の片面または両面に複数実装することで大記憶容量のメモリモジュールが構成される。こうしたメモリモジュールは、ソケットに実装され、当該ソケットは、マザーボードに実装され、メモリモジュールシステムが構成される。特許文献1ないし3は、メモリモジュールを装着するソケットを開示している。
【0003】
図1(a)は、従来のメモリモジュール用のソケットの構成を示す図、図1(b)は、ソケットを実装するマザーボードの平面図である。ソケット10は、長手方向に細長く延在する電気的絶縁材料から構成されたソケット本体12と、ソケット本体12の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクト14と、ソケット本体12をマザーボード20に固定するためにソケット本体12から下方に延在する複数のポスト16と、ソケット本体12の両端部に回転可能に取り付けられた操作レバー18とを含んで構成される。
【0004】
ソケット本体12には、ほぼ矩形状のメモリモジュールの端部が挿入されるように長手方向に沿って溝12Aが形成され、当該溝12Aと隣接する側壁12Bを介してコンタクトを取り付けるための開口部12Cが形成される(例えば、図6A、6Bなどを参照)。複数のコンタクト14は、溝12Aを挟んで対向するように2列に配置され、コンタクト14の接点部は、挿入されたメモリモジュールを挟持するように構成される。また、コンタクト14の基部は、ソケット本体12の底部から引き出され、この基部は、外側に折り曲げられたものと直線状のものとが長手方向に交互に配置される。その結果、マザーボード20には、図1(b)に示すように、長手方向のピッチが1/2ずれた4列のスルーホール20Aが形成され、コンタクト14の基部は、これらのスルーホール20A内に挿入され、そこではんだ接続される。また、ソケット本体12の両端部と中央の下部には、ポスト16が形成され、当該ポスト16は、マザーボード20の固定用の孔20B内に挿入され、そこではんだやその他の固定手段等により固定される。
【0005】
一対の操作レバー18は、ソケット本体12に回転可能に取り付けられる。メモリモジュールをソケット本体12に取り付けるとき、操作レバー18は外側に開いた位置にあり、メモリモジュールが溝12A内に挿入されると、操作レバー18を閉じる方向に回転させることで、操作レバー18がメモリモジュールをソケット本体12に向けて押し込む。メモリモジュールを取り外すとき、操作レバー18を開く方向に回転させることで、操作レバー18がメモリモジュールをソケット本体12から離脱させる方向に力を与える。
【0006】
図2(a)、(b)は、従来のメモリモジュールシステムのインターフェースを説明する図である。図2(a)に示すように、メモリモジュール30を取り付けたソケット10がマザーボード20上に実装されている。メモリモジュール30は、表面に導電トレース36が形成されたサブボード32を含み、サブボード32の片面または両面に複数のメモリチップ34が実装される。サブボード32の端部には複数の端子が形成され、当該端子は、コンタクト14の接点部に電気的に接続される。また、マザーボード20の表面には導電トレースが形成され、導電トレースによる信号ライン22にはダンピング抵抗24や電子部品26が電気的に接続される。ソケット10の下部から突出したコンタクト14は、信号ライン22を介してダンピング抵抗24および電子部品26に電気的に接続される。
【0007】
図2(b)は、他のインターフェースの例を示す図である。ここでは、マザーボード20のダンピング抵抗24に加えて、メモリモジュール30Aの信号ライン36にもダンピング抵抗24Aが接続されている。また、これ以外に、マザーボード20にダンピング抵抗を設ける代わりに、メモリモジュール30の信号ライン36にダンピング抵抗24Aを形成するものであってもよい。
【0008】
図3は、従来のメモリモジュールシステムの電気的インターフェースの構成を示す図である。電源Vccにより給電されるメモリコントローラ50は、信号ライン52を介して、メモリモジュール60−1、60−2が電気的に接続される。信号ライン52のスタブの分岐部分には、抵抗R2、R3が直列に接続され、さら信号ライン52には抵抗R1、R4が接続される。これらの抵抗R1ないしR4は、信号ライン52を搬送される信号のノイズまたはリンギングを減少または抑制させる。ダンピング抵抗R1〜R4の抵抗値は、伝送する信号の電圧、周波数等の信号ラインの特性に依存するが、数オームないし数十オーム程度の抵抗値が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−298998号公報
【特許文献2】特開2001−110532号公報
【特許文献3】特開2000−173699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のメモリモジュールシステムでは、ダンピング抵抗24、24Aをマザーボード20またはメモリボード32に形成しなければならず、そのための空間をマザーボード20またはメモリボード32に確保する必要がある。このため、メモリモジュールシステムの小型化、薄型化が容易に図ることができないという課題があった。さらに、マザーボード20に実装するソケットの数やメモリモジュールの数が増加すれば、それに応じたダンピング抵抗を信号ライン上に形成しなければならず、メモリモジュールシステムのボード設計が煩雑になるという課題もある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決し、コンタクトに電気抵抗体の機能を付加した改良された回路基板用ソケットを提供することを目的とする。
さらに本発明は、回路基板の構成を簡易にすることができるソケットおよび回路基板システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るソケットは、長手方向に延在するソケット本体と、前記ソケット本体の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクトとを有し、回路基板が前記ソケット本体の長手方向に沿うようにかつ2列のコンタクトの間に装着されたとき、前記回路基板の対向する面の少なくとも一面に形成された端子が前記コンタクトによって弾性的にかつ電気的に接続され、前記複数のコンタクトは、前記端子と接続する接点部、前記接点部から延在し弾性力を生じさせる弾性部および前記弾性部に接続された外部端子部を有し、前記接点部、前記弾性部および前記外部端子部はバネ性を有する導電性金属から構成され、前記複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、前記導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗が設けられ、前記外部端子部から前記回路基板の端子間の電流経路に前記抵抗が介在される。
【0013】
好ましくは前記抵抗は、前記接点部に形成された開口部に係合され、前記抵抗は、前記接点部から突出し、前記接点部は、前記抵抗を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能である。好ましくは前記抵抗は、導体と抵抗膜とを含み、導体は、抵抗膜を介して前記接点部に電気的に接続される。好ましくは前記抵抗は、前記導電性金属に積層された電気保護膜および電気抵抗膜から構成される。好ましくは前記電気保護膜および電気抵抗膜は、前記接点部から前記外部端子部の一部までを覆い、前記接点部は、前記電気抵抗膜を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能であり、前記外部端子部の導電性金属が基準電位に接続可能であり、前記外部端子部の電気抵抗膜が信号ラインに接続可能である。好ましくは前記抵抗は、前記接点部の表面を覆う抵抗膜である。好ましくは前記抵抗は、一端が前記ソケット本体に片持ち梁状に固定され、前記接点部と前記回路基板の端子間に介在される。好ましくは前記コンタクトは、前記接点部と前記弾性部とを含む第1のコンタクト部分と、前記外部端子部を含む第2のコンタクト部分とを含み、前記抵抗は、前記第1および第2のコンタクト部分間に電気的に接続される。好ましくは第1のコンタクト部分は、バネ性を有する導電性金属から構成され、第2のコンタクト部分は、第1のコンタクト部分とは異なる導電性金属から構成される。好ましくは前記回路基板は、表面に複数の半導体メモリチップを実装したメモリモジュールである。
【0014】
本発明に係る回路基板システムは、上記特徴を備えたソケットと、前記ソケットに装着され、前記複数のコンタクトの前記接点部に接続される回路基板と、前記ソケットを実装し、前記複数のコンタクトの外部端子部が接続される他の回路基板とを有する。好ましくは前記他の回路基板は、信号ラインと、当該信号ラインから離間された基準電位ラインとを主面に含み、前記外部端子部の導電性金属は前記基準ラインに接続され、前記外部端子の電気抵抗膜は前記信号ラインに接続される。好ましくは前記他の回路基板は、スルーホールを含み、前記外部端子部は、前記スルーホール内に挿入されかつ信号ラインに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンタクトに抵抗機能を付加することで、回路基板に必要とされるダンピング抵抗を削減することができ、回路基板システムの小型化、薄型化を図ることができる。さらに、回路基板のボード設計を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のメモリモジュールのソケットの概略構成を示す図である。
【図2】従来のメモリモジュールシステムのインターフェースを説明する図である。
【図3】従来のメモリモジュールシステムの電気的インターフェースを説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るメモリモジュールシステムの構成を示す概略断面図である。
【図5】、図5(a)は一対のコンタクトを示す平面図、図5(b)ないし(d)は、本発明の第1の実施例に係る抵抗機能付きコンタクトの例を示す図である。
【図6A】本発明の第2の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6B】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6C】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6D】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8A】本発明の第4の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8B】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8C】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8D】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、回路基板上を搬送される信号のノイズまたはリンギング等を抑制するためにダンピング抵抗を必要とする回路基板を装着するソケットに適用される。回路基板は、例えば複数の半導体チップまたは複数のメモリチップを実装したモジュールであることができ、半導体チップまたはメモリチップは、回路基板の表面または内部に形成された導電トレースによる信号ラインを介して電気的にされる。以下、好ましい態様として、メモリモジュールを装着するソケットをマザーボードに実装したメモリモジュールシステムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面のスケールは、実際の製品のスケールを表したものでなく、発明の理解のために誇張した部分を含み得るものであることに留意すべきである。
【実施例】
【0018】
図4は、本発明の実施例に係るメモリモジュールシステムの構成を示す図である。図1、図2で示した構成と同一のものについては同一参照番号を付し、その説明を省略する。本実施例のソケット100は、長手方向に細長く延在するソケット本体12と、ソケット本体12に取り付けられる複数のコンタクト110とを含んで構成される。ソケット100は、コンタクト110が電気抵抗体の機能を有する点を除き、図1、図2に示したソケットと実質的に同様の構成を有している。
【0019】
図5(a)は、信号ライン22に接続される一対のコンタクト110A、110Bを示している。一対のコンタクト110A、コンタクト110Bは、ソケット本体12の溝12Aに挿入されたメモリモジュール30の端部を弾性的に挟持する。メモリモジュール30の片面または両面には、複数の端子が形成され、これらの端子は導電トレースによる信号ラインを介してメモリチップに電気的に接続される。
【0020】
コンタクト110A、110Bは、基部112と、基部112から延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部114と、折り曲げ部114から延在する接点部116とを含んで構成される。コンタクト110Aと110Bは、銅あるいはベリリウム銅などのバネ性を有する導電性金属をスタンピングすることで加工されるが、コンタクト110Aの基部112は、直線状に延在し、図1(b)に示すマザーボード20の外側のスルーホールに挿入されて外側コンタクトとして使用され、コンタクト110Bの基部112は、直角にクランク状に折り曲げられ、マザーボード20の内側のスルーホールに挿入されて内側コンタクトとして使用される。また、後述するように、ソケット100がマザーボード20に表面実装される場合には、コンタクト110A、110Bの基部は、表面実装用に加工される。
【0021】
コンタクト110A、110Bの接点部116には、電気抵抗体として機能する抵抗118が付加され、抵抗118は接点部116に電気的に接続されている。抵抗118は、コンタクト110A、110Bの母材と異なる材料で構成され、抵抗118は、図2(a)、(b)に示したダンピング抵抗24、24Aに置き換わるもの、あるいはダンピング抵抗24、24Aを補完するものである。従って、抵抗118の大きさは、メモリモジュールシステムの信号ラインの特性に応じて決定され、言い換えれば、搬送される信号のノイズやリンギングを抑制または減少させる抵抗値が選択される。なお、ソケット100に取り付けられた複数のコンタクト110は、信号を搬送するために信号ライン22に電気的に接続されるコンタクトの他に、電源Vccやグランドラインに電気的に接続されるコンタクトを含むが、抵抗118は、信号ライン22に接続されるコンタクトに付加される。
【0022】
ソケット本体12の長手方向に沿うように溝12Aが形成され、当該溝12Aの両側に、コンタクト110A、110Bを対とする複数対のコンタクト110が配置される。メモリモジュール30の端部がソケット本体12の溝12A内に差し込まれたとき、各接点部116は、折り曲げ部114の弾性変形により外側に変位し、各接点部116は、抵抗118を介して、メモリモジュール30の片面または両面に形成された端子に接触し電気的接続を得る。図4に示すように、コンタクト110Aの基部112は、ソケット本体12から下方に突出し、マザーボード20の外側のスルーホール内に挿入され、そこではんだ接続されて信号ライン22に電気的に接続される。コンタクト110Bの基部112は、マザーボード20の内側のスルーホール内に挿入され、そこではんだ接続されて図示しない信号ラインに電気的に接続される。
【0023】
図5(b)ないし(d)は、本実施例のコンタクトの構成例を示す図であり、同図は、図4のA部の拡大図である。図5(b)に示すコンタクトは、接点部116に形成された開口部116Aに、導電性セラミックからなる抵抗120の端部を圧入、カシメ、またはインサート成型することで、抵抗120を接点部116に固定している。導電性セラミックは、例えば、ZrO2−NbCであり、抵抗120の表面には、接点用硬質メッキを施すことができる。こうして、接点部116には、抵抗120の突起物が形成され、接点部116とメモリモジュール30の端子38間の電流経路には抵抗120が介在され、この抵抗120をダンピング抵抗として機能させることができる。
【0024】
図5(c)に示す例では、抵抗130は、導体130Aと、電気抵抗材料から構成された電気抵抗膜130Bとを有する。導体130Aは、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などから構成される。接点部116には、好ましくは窪んだ凹部116Bが形成され、凹部116Bの表面には、スパッタリング等により一定の厚さで電気抵抗膜130Bが形成される。導体130Aは、この凹部116Bに嵌合、カシメ、またはインサート成型により固定され、導体130Aは、電気抵抗膜130Bを介して接点部116に電気的に接続される。電気抵抗膜130Bの材質、および厚さを適宜調整することで、ダンピング抵抗に必要な抵抗値を得ることができる。
【0025】
図5(d)に示す例では、抵抗部140は、導電性樹脂から構成される。導電性樹脂は、例えば、アルミニウム、ステンレス、カーボンなどの導電性粒子が混入された樹脂が用いられる。抵抗140は、接点部116の開口部に嵌合、カシメ、インサート成型することで固定され、その表面には、接点用硬質メッキを施すことができる。こうして、接点部116は、突起状の抵抗140を介して端子38に電気的に接続される。
【0026】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図6Aは、本発明の第2の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。第2の実施例では、コンタクト200は、抵抗を積層するものであり、例えば3層構造から構成される。コンタクト200は、銅やステンレス等のバネ性を有する導電性金属から構成されたコンタクト本体202と、コンタクト本体202上にポリイミドフィルムまたはテフロン(登録商標)のような誘電体を積層した電気保護膜204と、電気保護膜204上にニッケルクロム系、鉄クロム系、またはマンガンなどを積層した電気抵抗膜206とを含んで構成される。
【0027】
マザーボード20上には、信号を搬送する信号ライン22と、グランド電位を供給するグランドライン22Aとが導電トレースによって形成され、コンタクト200は、マザーボード20上に表面実装される。コンタクト本体202は、ソケット本体12の下部において湾曲形状に折り曲げられ、そこから水平に延びる端部202Aを有している。電気保護膜204および電気抵抗膜206は、コンタクト本体202の湾曲された部分まで覆い、すなわち、端部202Aの手前で終端している。電気抵抗膜206が被覆されていないコンタクト本体202の端部202Aは、はんだ等によってグランドライン22Aに接続され、コンタクト本体202を覆っている電気抵抗膜206は、湾曲した部分においてはんだ等により信号ライン22に接続される。一方、コンタクト200の接点部において、電気抵抗膜206は、メモリモジュール30の基板に形成された端子38に接触し端子38に電気的に接続される。接点部と端子38間の接圧は、折り曲げ部の弾性変形により提供される。このように、コンタクト200をグランドラインと信号ラインに接続することで、コンタクト200にはストリップラインL(一点鎖線で示す)が形成され、このストリップラインLの範囲でインピーダンスを付加することができる。
【0028】
図6Bは、第2の実施例に係るソケットの他の表面実装の例を説明する図である。この例では、コンタクト210は、上記の実施例と同様に、コンタクト本体202、電気保護膜204、および電気抵抗膜206の積層構造であるが、V字形状の接点部212が下方に存在するU字形状の折り曲げ部214から延在されており、折り曲げ部214から延在する基部216がソケット本体12の側壁を取り囲むようにU字形状に湾曲され、電気保護膜204および電気抵抗膜206は、U字形状の折り曲げ部214の部分で終端し、それより先の基部216ではコンタクト本体202が露出されている。電気抵抗膜206は、折り曲げ部214の下部においてグランドライン22Aにはんだ等により接続され、コンタクト本体202は、基部216の平坦な端部202Aにおいてグランドライン22Aから離間された信号ライン22にはんだ等によって接続される。
【0029】
図6Cは、第2の実施例のソケットがマザーボードのスルーホールを利用して実装される例を説明する図である。マザーボード20の表面には、信号ライン22が形成され、裏面には、導電性ランド22Bが形成され、信号ライン22および導電性ランド22Bにつながるスルーホールが形成される。コンタクト220の基部は、ソケット本体12から下方に延在しスルーホール内に挿入される。電気抵抗膜206は、はんだ等によって信号ライン22および導電性ランド22Bに接続される。本例の場合、コンタクト本体202は、端子38との間で接圧を生じさせるバネ性を有する材料から構成されればよく、必ずしも電気的に導電性の材料である必要はない。
【0030】
図6Dは、図6Cのスルーホールの実装を改良したものである。コンタクト230は、コンタクト本体202、電気保護膜204および電気抵抗膜206を有し、コンタクト230の基部において、電気保護膜204および電気抵抗膜206は、コンタクト本体202から剥離または離脱される。コンタクト本体202は、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、はんだ等によってグランドライン22Aに電気的に接続され、他方、電気保護膜204および電気抵抗膜206はマザーボード20の表面上を延在し、延在した部分は、はんだ232によって信号ライン22に電気的に接続される。こうして、コンタクト230には、ストリップラインL(一点鎖線で示す)が形成され、この範囲Lでインピーダンスを付加することができる。本例の場合、コンタクト本体202は、バネ性を有する導電性材料から構成される。
【0031】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図7は、本発明の第3の実施例に係るソケットの要部を示す断面図である。第3の実施例では、コンタクト300は、銅または銅合金等のバネ性を有する導電性金属から構成される。コンタクト300は、直線状に延びる基部302と、基部302から延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部304と、折り曲げ部304から延在するV字形状の接点部306とを有する。基部302は、ソケット本体12から下方に延在し、マザーボード20に形成されたスルーホール内に挿入され、信号ライン22にはんだ等によって電気的に接続される。さらに、基部302は、マザーボード20の底面の導電性ランド22Bにはんだ等によって接続されるようにしてもよい。また、接点部306の両面には、電気抵抗材料からなる電気抵抗膜306Aがコーティングされ、電気抵抗膜306Aは、折り曲げ部304によって与えられた弾性力によりメモリモジュール30の端子38に押し付けられ、端子38に電気的に接続される。電気抵抗膜306Aの材質、膜厚等を調整することで、信号ライン22から端子38に至る経路に直列にダンピング抵抗の機能を付加することができる。なお、電気抵抗膜306Aは、接点部306の片面にのみ形成されるようにしてもよい。
【0032】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図8Aは、第4の実施例に係るソケットのコンタクトを示す断面図である。本実施例のコンタクト400は、コンタクト本体402と、電気抵抗材料に導電性フィルムなどを用いて構成される電気抵抗部材404とを有する。コンタクト本体402は、上記の実施例と同様に、基部と、基部から延在するU字形状に折り曲げられた折り曲げ部と、折り曲げ部から延在する接点部とを有する。電気抵抗部材から構成される抵抗404の一方の端部は、ソケット本体12の溝12Aに隣接する側壁12Bの孔内に挿入され、片持ち梁上に支持され、抵抗404は、コンタクト本体402の接点部とメモリモジュール30の端子38との間に介在される。抵抗404の材質、膜厚等を調整することで、信号ライン22と端子38との間の電流経路にダンピング抵抗を付加することができる。なお、電気抵抗部材404の形状、大きさ等は、仕様に応じて適宜選択される。
【0033】
図8Bは、第4の実施例の他の例を示す図である。コンタクト420は、第1のコンタクト部分422と、第2のコンタクト部分424と、抵抗426とを有する。第1のコンタクト部分422は、ソケット本体12の開口部12C内に挿入される第1の端部422Aと、ソケット本体12の底面からクランク状に折り曲げられた折り曲げ部と、折り曲げ部から直線状に延在する第2の端部422Bとを有し、第2の端部422Bは、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、はんだ等によって信号ライン22および/または導電性ランド22Bに接続される。
【0034】
第2のコンタクト部分424は、ソケット本体12の側面12Dに当接される基部と、基部から延在するU字形状の折り曲げ部と、折り曲げ部から延在する接点部とを有する。
第1のコンタクト部分422の第1の端部422Aには、バネ性を付与するための突起部が形成され、また、第2のコンタクト部分424の基部にも同様にバネ性を付与するための突起部が形成され、これらの両突起部の間に抵抗426が圧入、嵌合され、抵抗426は、第1および第2のコンタクト部分422、424に電気的に接続される。こうして、信号ライン22から、第1のコンタクト部分422、抵抗426、第2のコンタクト部分424、端子38を介してメモリモジュール30のメモリチップまでの電流経路が形成される。なお、抵抗426は、図8Aに示したような導電性フィルム、導電性セラミックのような材料から構成するようにしてもよいし、抵抗426は、第1および第2のコンタクト部分の両端部にはんだによって接続されるようにしてもよい。本例によれば、ピン毎に抵抗426を容易に変更することができる。
【0035】
図8Cは、第4の実施例の他の構成例を示す図である。コンタクト440は、第1のコンタクト部分442と、第2のコンタクト部分444と、抵抗446とを有する。ソケット本体12の開口部12Cに臨む側面12Dには、導電性フィルム等の電気抵抗材料がメッキ、コーティング、またはスクリーン印刷され、抵抗446が形成される。
【0036】
第1のコンタクト部分442は、バネ性が生じるような第1の端部442Aを含み、第1の端部442Aは、抵抗446に接触される。さらに第1のコンタクト部分442は、ソケット本体12の開口部12Cから下方に向けて延在する延在部と、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、信号ライン22および/または導電ランド22Bと接続される第2の端部442Bとを有する。第2のコンタクト部分444は、開口部12C内に位置する基部444Aと、基部444Aから斜め方向に延在する延在部444Bと、延在部444BからU字形状に折り曲げられた折り曲げ部444Cと、折り曲げ部444Cから延在しV字形状に折り曲げられた接点部444Dとを有する。折り曲げ部444Cは、抵抗446と端子38との間に第2のコンタクト部分444が挟持されるように弾性を付与し、これにより、延在部444Bが抵抗446に電気的に接続され、接点部444Dがメモリモジュール30の端子38に電気的に接続される。
【0037】
図8Dは、第4の実施例の他の構成例を示す図である。コンタクト460は、第1のコンタクト部分462と、第2のコンタクト部分464と、抵抗466とを有する。第1のコンタクト部分462の第1の端部462Aは、ソケット本体12の孔内に挿入されそこに固定され、第2の端部462Bは、マザーボード20のスルーホール内に挿入され信号ライン22および/または導電ランド22Bと電気的に接続される。
【0038】
第2のコンタクト部分464は、基部464Aと、基部464Aからほぼ直線状に延在する延在部464Bと、延在部464Bから延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部464Cと、折り曲げ部464Cに接続されたV字形状の接点部464Dとを有する。折り曲げ部464Cは、側面12Dと端子38との間に第2のコンタクト部分464が挟持されるように弾性を付与し、すなわち、接点部464Dが端子38に弾性的に接触し、延在部464Bが側面12Dに弾性的に支持される。
【0039】
第1のコンタクト部分462の第1の端部462Aには、接圧を生じさせるような突起部が形成され、第2のコンタクト部分464の基部464Aには、接圧を生じさせるような突起部が形成され、両突起部は、対向した位置にあり、両突起部の間に、導電セラミックなどの電気抵抗材料からなる抵抗466が弾性的に支持されるように介在される。好ましくは、抵抗466の端部は、ソケット本体12から突出し、抜き差しすることが可能である。抵抗466は、好ましくは、基部464Aと第1の端部462Aとの間に一定の接圧で電気的に接続される。本例によれば、コンタクト460の実装後またはソケットをマザーボード20へ実装後に、抵抗466を着脱することで抵抗466を容易に変更することができる。
【0040】
第4の実施例によれば、コンタクトをメモリモジュールに接触する側と、マザーボードに接続する側に分離し、その間に電気抵抗材料を挿入するようにしたので、接点部側の第1のコンタクト部分には接触力を発生するバネ材料を用いるが、第2のコンタクト部分は、電気抵抗体として接続される材料であればよいので、第1のコンタクト部材と同じ材料でなくてもよい。このように本実施例によれば、コンタクトに所定の電気抵抗を付加することにより、マザーボードまたはサブボード上の電気抵抗体(ダンピング抵抗)を削減することができ、部品点数の減少、マザーボードおよびメモリモジュールシステムの小型化が可能になる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10:ソケット
12:ソケット本体
12A:溝
12B:側壁
12C:開口部
12D:側面
14:コンタクト
20:マザーボード(回路基板)
22:信号ライン
22A:グランドライン
22B:導電性ランド
24、24A:ダンピング抵抗
30:メモリモジュール
38:端子
100:ソケット
110、110A、110B:コンタクト
112、444A、464A:基部
114、444C、464C:折り曲げ部
116、444D、464D:接点部
118、404、426、446、466:抵抗
202:コンタクト本体
204:電気保護膜
206:電気抵抗膜
300、400、420、440、460:コンタクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を装着するソケットに関し、特に、複数のメモリチップを実装したメモリモジュールを装着するソケット、および当該ソケットを用いたメモリモジュールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ等の半導体メモリチップを回路基板の片面または両面に複数実装することで大記憶容量のメモリモジュールが構成される。こうしたメモリモジュールは、ソケットに実装され、当該ソケットは、マザーボードに実装され、メモリモジュールシステムが構成される。特許文献1ないし3は、メモリモジュールを装着するソケットを開示している。
【0003】
図1(a)は、従来のメモリモジュール用のソケットの構成を示す図、図1(b)は、ソケットを実装するマザーボードの平面図である。ソケット10は、長手方向に細長く延在する電気的絶縁材料から構成されたソケット本体12と、ソケット本体12の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクト14と、ソケット本体12をマザーボード20に固定するためにソケット本体12から下方に延在する複数のポスト16と、ソケット本体12の両端部に回転可能に取り付けられた操作レバー18とを含んで構成される。
【0004】
ソケット本体12には、ほぼ矩形状のメモリモジュールの端部が挿入されるように長手方向に沿って溝12Aが形成され、当該溝12Aと隣接する側壁12Bを介してコンタクトを取り付けるための開口部12Cが形成される(例えば、図6A、6Bなどを参照)。複数のコンタクト14は、溝12Aを挟んで対向するように2列に配置され、コンタクト14の接点部は、挿入されたメモリモジュールを挟持するように構成される。また、コンタクト14の基部は、ソケット本体12の底部から引き出され、この基部は、外側に折り曲げられたものと直線状のものとが長手方向に交互に配置される。その結果、マザーボード20には、図1(b)に示すように、長手方向のピッチが1/2ずれた4列のスルーホール20Aが形成され、コンタクト14の基部は、これらのスルーホール20A内に挿入され、そこではんだ接続される。また、ソケット本体12の両端部と中央の下部には、ポスト16が形成され、当該ポスト16は、マザーボード20の固定用の孔20B内に挿入され、そこではんだやその他の固定手段等により固定される。
【0005】
一対の操作レバー18は、ソケット本体12に回転可能に取り付けられる。メモリモジュールをソケット本体12に取り付けるとき、操作レバー18は外側に開いた位置にあり、メモリモジュールが溝12A内に挿入されると、操作レバー18を閉じる方向に回転させることで、操作レバー18がメモリモジュールをソケット本体12に向けて押し込む。メモリモジュールを取り外すとき、操作レバー18を開く方向に回転させることで、操作レバー18がメモリモジュールをソケット本体12から離脱させる方向に力を与える。
【0006】
図2(a)、(b)は、従来のメモリモジュールシステムのインターフェースを説明する図である。図2(a)に示すように、メモリモジュール30を取り付けたソケット10がマザーボード20上に実装されている。メモリモジュール30は、表面に導電トレース36が形成されたサブボード32を含み、サブボード32の片面または両面に複数のメモリチップ34が実装される。サブボード32の端部には複数の端子が形成され、当該端子は、コンタクト14の接点部に電気的に接続される。また、マザーボード20の表面には導電トレースが形成され、導電トレースによる信号ライン22にはダンピング抵抗24や電子部品26が電気的に接続される。ソケット10の下部から突出したコンタクト14は、信号ライン22を介してダンピング抵抗24および電子部品26に電気的に接続される。
【0007】
図2(b)は、他のインターフェースの例を示す図である。ここでは、マザーボード20のダンピング抵抗24に加えて、メモリモジュール30Aの信号ライン36にもダンピング抵抗24Aが接続されている。また、これ以外に、マザーボード20にダンピング抵抗を設ける代わりに、メモリモジュール30の信号ライン36にダンピング抵抗24Aを形成するものであってもよい。
【0008】
図3は、従来のメモリモジュールシステムの電気的インターフェースの構成を示す図である。電源Vccにより給電されるメモリコントローラ50は、信号ライン52を介して、メモリモジュール60−1、60−2が電気的に接続される。信号ライン52のスタブの分岐部分には、抵抗R2、R3が直列に接続され、さら信号ライン52には抵抗R1、R4が接続される。これらの抵抗R1ないしR4は、信号ライン52を搬送される信号のノイズまたはリンギングを減少または抑制させる。ダンピング抵抗R1〜R4の抵抗値は、伝送する信号の電圧、周波数等の信号ラインの特性に依存するが、数オームないし数十オーム程度の抵抗値が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−298998号公報
【特許文献2】特開2001−110532号公報
【特許文献3】特開2000−173699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のメモリモジュールシステムでは、ダンピング抵抗24、24Aをマザーボード20またはメモリボード32に形成しなければならず、そのための空間をマザーボード20またはメモリボード32に確保する必要がある。このため、メモリモジュールシステムの小型化、薄型化が容易に図ることができないという課題があった。さらに、マザーボード20に実装するソケットの数やメモリモジュールの数が増加すれば、それに応じたダンピング抵抗を信号ライン上に形成しなければならず、メモリモジュールシステムのボード設計が煩雑になるという課題もある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決し、コンタクトに電気抵抗体の機能を付加した改良された回路基板用ソケットを提供することを目的とする。
さらに本発明は、回路基板の構成を簡易にすることができるソケットおよび回路基板システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るソケットは、長手方向に延在するソケット本体と、前記ソケット本体の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクトとを有し、回路基板が前記ソケット本体の長手方向に沿うようにかつ2列のコンタクトの間に装着されたとき、前記回路基板の対向する面の少なくとも一面に形成された端子が前記コンタクトによって弾性的にかつ電気的に接続され、前記複数のコンタクトは、前記端子と接続する接点部、前記接点部から延在し弾性力を生じさせる弾性部および前記弾性部に接続された外部端子部を有し、前記接点部、前記弾性部および前記外部端子部はバネ性を有する導電性金属から構成され、前記複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、前記導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗が設けられ、前記外部端子部から前記回路基板の端子間の電流経路に前記抵抗が介在される。
【0013】
好ましくは前記抵抗は、前記接点部に形成された開口部に係合され、前記抵抗は、前記接点部から突出し、前記接点部は、前記抵抗を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能である。好ましくは前記抵抗は、導体と抵抗膜とを含み、導体は、抵抗膜を介して前記接点部に電気的に接続される。好ましくは前記抵抗は、前記導電性金属に積層された電気保護膜および電気抵抗膜から構成される。好ましくは前記電気保護膜および電気抵抗膜は、前記接点部から前記外部端子部の一部までを覆い、前記接点部は、前記電気抵抗膜を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能であり、前記外部端子部の導電性金属が基準電位に接続可能であり、前記外部端子部の電気抵抗膜が信号ラインに接続可能である。好ましくは前記抵抗は、前記接点部の表面を覆う抵抗膜である。好ましくは前記抵抗は、一端が前記ソケット本体に片持ち梁状に固定され、前記接点部と前記回路基板の端子間に介在される。好ましくは前記コンタクトは、前記接点部と前記弾性部とを含む第1のコンタクト部分と、前記外部端子部を含む第2のコンタクト部分とを含み、前記抵抗は、前記第1および第2のコンタクト部分間に電気的に接続される。好ましくは第1のコンタクト部分は、バネ性を有する導電性金属から構成され、第2のコンタクト部分は、第1のコンタクト部分とは異なる導電性金属から構成される。好ましくは前記回路基板は、表面に複数の半導体メモリチップを実装したメモリモジュールである。
【0014】
本発明に係る回路基板システムは、上記特徴を備えたソケットと、前記ソケットに装着され、前記複数のコンタクトの前記接点部に接続される回路基板と、前記ソケットを実装し、前記複数のコンタクトの外部端子部が接続される他の回路基板とを有する。好ましくは前記他の回路基板は、信号ラインと、当該信号ラインから離間された基準電位ラインとを主面に含み、前記外部端子部の導電性金属は前記基準ラインに接続され、前記外部端子の電気抵抗膜は前記信号ラインに接続される。好ましくは前記他の回路基板は、スルーホールを含み、前記外部端子部は、前記スルーホール内に挿入されかつ信号ラインに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンタクトに抵抗機能を付加することで、回路基板に必要とされるダンピング抵抗を削減することができ、回路基板システムの小型化、薄型化を図ることができる。さらに、回路基板のボード設計を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のメモリモジュールのソケットの概略構成を示す図である。
【図2】従来のメモリモジュールシステムのインターフェースを説明する図である。
【図3】従来のメモリモジュールシステムの電気的インターフェースを説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るメモリモジュールシステムの構成を示す概略断面図である。
【図5】、図5(a)は一対のコンタクトを示す平面図、図5(b)ないし(d)は、本発明の第1の実施例に係る抵抗機能付きコンタクトの例を示す図である。
【図6A】本発明の第2の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6B】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6C】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図6D】本発明の第2の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8A】本発明の第4の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8B】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8C】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【図8D】本発明の第4の実施例に係る他のコンタクトの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、回路基板上を搬送される信号のノイズまたはリンギング等を抑制するためにダンピング抵抗を必要とする回路基板を装着するソケットに適用される。回路基板は、例えば複数の半導体チップまたは複数のメモリチップを実装したモジュールであることができ、半導体チップまたはメモリチップは、回路基板の表面または内部に形成された導電トレースによる信号ラインを介して電気的にされる。以下、好ましい態様として、メモリモジュールを装着するソケットをマザーボードに実装したメモリモジュールシステムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面のスケールは、実際の製品のスケールを表したものでなく、発明の理解のために誇張した部分を含み得るものであることに留意すべきである。
【実施例】
【0018】
図4は、本発明の実施例に係るメモリモジュールシステムの構成を示す図である。図1、図2で示した構成と同一のものについては同一参照番号を付し、その説明を省略する。本実施例のソケット100は、長手方向に細長く延在するソケット本体12と、ソケット本体12に取り付けられる複数のコンタクト110とを含んで構成される。ソケット100は、コンタクト110が電気抵抗体の機能を有する点を除き、図1、図2に示したソケットと実質的に同様の構成を有している。
【0019】
図5(a)は、信号ライン22に接続される一対のコンタクト110A、110Bを示している。一対のコンタクト110A、コンタクト110Bは、ソケット本体12の溝12Aに挿入されたメモリモジュール30の端部を弾性的に挟持する。メモリモジュール30の片面または両面には、複数の端子が形成され、これらの端子は導電トレースによる信号ラインを介してメモリチップに電気的に接続される。
【0020】
コンタクト110A、110Bは、基部112と、基部112から延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部114と、折り曲げ部114から延在する接点部116とを含んで構成される。コンタクト110Aと110Bは、銅あるいはベリリウム銅などのバネ性を有する導電性金属をスタンピングすることで加工されるが、コンタクト110Aの基部112は、直線状に延在し、図1(b)に示すマザーボード20の外側のスルーホールに挿入されて外側コンタクトとして使用され、コンタクト110Bの基部112は、直角にクランク状に折り曲げられ、マザーボード20の内側のスルーホールに挿入されて内側コンタクトとして使用される。また、後述するように、ソケット100がマザーボード20に表面実装される場合には、コンタクト110A、110Bの基部は、表面実装用に加工される。
【0021】
コンタクト110A、110Bの接点部116には、電気抵抗体として機能する抵抗118が付加され、抵抗118は接点部116に電気的に接続されている。抵抗118は、コンタクト110A、110Bの母材と異なる材料で構成され、抵抗118は、図2(a)、(b)に示したダンピング抵抗24、24Aに置き換わるもの、あるいはダンピング抵抗24、24Aを補完するものである。従って、抵抗118の大きさは、メモリモジュールシステムの信号ラインの特性に応じて決定され、言い換えれば、搬送される信号のノイズやリンギングを抑制または減少させる抵抗値が選択される。なお、ソケット100に取り付けられた複数のコンタクト110は、信号を搬送するために信号ライン22に電気的に接続されるコンタクトの他に、電源Vccやグランドラインに電気的に接続されるコンタクトを含むが、抵抗118は、信号ライン22に接続されるコンタクトに付加される。
【0022】
ソケット本体12の長手方向に沿うように溝12Aが形成され、当該溝12Aの両側に、コンタクト110A、110Bを対とする複数対のコンタクト110が配置される。メモリモジュール30の端部がソケット本体12の溝12A内に差し込まれたとき、各接点部116は、折り曲げ部114の弾性変形により外側に変位し、各接点部116は、抵抗118を介して、メモリモジュール30の片面または両面に形成された端子に接触し電気的接続を得る。図4に示すように、コンタクト110Aの基部112は、ソケット本体12から下方に突出し、マザーボード20の外側のスルーホール内に挿入され、そこではんだ接続されて信号ライン22に電気的に接続される。コンタクト110Bの基部112は、マザーボード20の内側のスルーホール内に挿入され、そこではんだ接続されて図示しない信号ラインに電気的に接続される。
【0023】
図5(b)ないし(d)は、本実施例のコンタクトの構成例を示す図であり、同図は、図4のA部の拡大図である。図5(b)に示すコンタクトは、接点部116に形成された開口部116Aに、導電性セラミックからなる抵抗120の端部を圧入、カシメ、またはインサート成型することで、抵抗120を接点部116に固定している。導電性セラミックは、例えば、ZrO2−NbCであり、抵抗120の表面には、接点用硬質メッキを施すことができる。こうして、接点部116には、抵抗120の突起物が形成され、接点部116とメモリモジュール30の端子38間の電流経路には抵抗120が介在され、この抵抗120をダンピング抵抗として機能させることができる。
【0024】
図5(c)に示す例では、抵抗130は、導体130Aと、電気抵抗材料から構成された電気抵抗膜130Bとを有する。導体130Aは、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などから構成される。接点部116には、好ましくは窪んだ凹部116Bが形成され、凹部116Bの表面には、スパッタリング等により一定の厚さで電気抵抗膜130Bが形成される。導体130Aは、この凹部116Bに嵌合、カシメ、またはインサート成型により固定され、導体130Aは、電気抵抗膜130Bを介して接点部116に電気的に接続される。電気抵抗膜130Bの材質、および厚さを適宜調整することで、ダンピング抵抗に必要な抵抗値を得ることができる。
【0025】
図5(d)に示す例では、抵抗部140は、導電性樹脂から構成される。導電性樹脂は、例えば、アルミニウム、ステンレス、カーボンなどの導電性粒子が混入された樹脂が用いられる。抵抗140は、接点部116の開口部に嵌合、カシメ、インサート成型することで固定され、その表面には、接点用硬質メッキを施すことができる。こうして、接点部116は、突起状の抵抗140を介して端子38に電気的に接続される。
【0026】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図6Aは、本発明の第2の実施例に係るソケットのコンタクトの構成を示す概略断面図である。第2の実施例では、コンタクト200は、抵抗を積層するものであり、例えば3層構造から構成される。コンタクト200は、銅やステンレス等のバネ性を有する導電性金属から構成されたコンタクト本体202と、コンタクト本体202上にポリイミドフィルムまたはテフロン(登録商標)のような誘電体を積層した電気保護膜204と、電気保護膜204上にニッケルクロム系、鉄クロム系、またはマンガンなどを積層した電気抵抗膜206とを含んで構成される。
【0027】
マザーボード20上には、信号を搬送する信号ライン22と、グランド電位を供給するグランドライン22Aとが導電トレースによって形成され、コンタクト200は、マザーボード20上に表面実装される。コンタクト本体202は、ソケット本体12の下部において湾曲形状に折り曲げられ、そこから水平に延びる端部202Aを有している。電気保護膜204および電気抵抗膜206は、コンタクト本体202の湾曲された部分まで覆い、すなわち、端部202Aの手前で終端している。電気抵抗膜206が被覆されていないコンタクト本体202の端部202Aは、はんだ等によってグランドライン22Aに接続され、コンタクト本体202を覆っている電気抵抗膜206は、湾曲した部分においてはんだ等により信号ライン22に接続される。一方、コンタクト200の接点部において、電気抵抗膜206は、メモリモジュール30の基板に形成された端子38に接触し端子38に電気的に接続される。接点部と端子38間の接圧は、折り曲げ部の弾性変形により提供される。このように、コンタクト200をグランドラインと信号ラインに接続することで、コンタクト200にはストリップラインL(一点鎖線で示す)が形成され、このストリップラインLの範囲でインピーダンスを付加することができる。
【0028】
図6Bは、第2の実施例に係るソケットの他の表面実装の例を説明する図である。この例では、コンタクト210は、上記の実施例と同様に、コンタクト本体202、電気保護膜204、および電気抵抗膜206の積層構造であるが、V字形状の接点部212が下方に存在するU字形状の折り曲げ部214から延在されており、折り曲げ部214から延在する基部216がソケット本体12の側壁を取り囲むようにU字形状に湾曲され、電気保護膜204および電気抵抗膜206は、U字形状の折り曲げ部214の部分で終端し、それより先の基部216ではコンタクト本体202が露出されている。電気抵抗膜206は、折り曲げ部214の下部においてグランドライン22Aにはんだ等により接続され、コンタクト本体202は、基部216の平坦な端部202Aにおいてグランドライン22Aから離間された信号ライン22にはんだ等によって接続される。
【0029】
図6Cは、第2の実施例のソケットがマザーボードのスルーホールを利用して実装される例を説明する図である。マザーボード20の表面には、信号ライン22が形成され、裏面には、導電性ランド22Bが形成され、信号ライン22および導電性ランド22Bにつながるスルーホールが形成される。コンタクト220の基部は、ソケット本体12から下方に延在しスルーホール内に挿入される。電気抵抗膜206は、はんだ等によって信号ライン22および導電性ランド22Bに接続される。本例の場合、コンタクト本体202は、端子38との間で接圧を生じさせるバネ性を有する材料から構成されればよく、必ずしも電気的に導電性の材料である必要はない。
【0030】
図6Dは、図6Cのスルーホールの実装を改良したものである。コンタクト230は、コンタクト本体202、電気保護膜204および電気抵抗膜206を有し、コンタクト230の基部において、電気保護膜204および電気抵抗膜206は、コンタクト本体202から剥離または離脱される。コンタクト本体202は、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、はんだ等によってグランドライン22Aに電気的に接続され、他方、電気保護膜204および電気抵抗膜206はマザーボード20の表面上を延在し、延在した部分は、はんだ232によって信号ライン22に電気的に接続される。こうして、コンタクト230には、ストリップラインL(一点鎖線で示す)が形成され、この範囲Lでインピーダンスを付加することができる。本例の場合、コンタクト本体202は、バネ性を有する導電性材料から構成される。
【0031】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図7は、本発明の第3の実施例に係るソケットの要部を示す断面図である。第3の実施例では、コンタクト300は、銅または銅合金等のバネ性を有する導電性金属から構成される。コンタクト300は、直線状に延びる基部302と、基部302から延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部304と、折り曲げ部304から延在するV字形状の接点部306とを有する。基部302は、ソケット本体12から下方に延在し、マザーボード20に形成されたスルーホール内に挿入され、信号ライン22にはんだ等によって電気的に接続される。さらに、基部302は、マザーボード20の底面の導電性ランド22Bにはんだ等によって接続されるようにしてもよい。また、接点部306の両面には、電気抵抗材料からなる電気抵抗膜306Aがコーティングされ、電気抵抗膜306Aは、折り曲げ部304によって与えられた弾性力によりメモリモジュール30の端子38に押し付けられ、端子38に電気的に接続される。電気抵抗膜306Aの材質、膜厚等を調整することで、信号ライン22から端子38に至る経路に直列にダンピング抵抗の機能を付加することができる。なお、電気抵抗膜306Aは、接点部306の片面にのみ形成されるようにしてもよい。
【0032】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図8Aは、第4の実施例に係るソケットのコンタクトを示す断面図である。本実施例のコンタクト400は、コンタクト本体402と、電気抵抗材料に導電性フィルムなどを用いて構成される電気抵抗部材404とを有する。コンタクト本体402は、上記の実施例と同様に、基部と、基部から延在するU字形状に折り曲げられた折り曲げ部と、折り曲げ部から延在する接点部とを有する。電気抵抗部材から構成される抵抗404の一方の端部は、ソケット本体12の溝12Aに隣接する側壁12Bの孔内に挿入され、片持ち梁上に支持され、抵抗404は、コンタクト本体402の接点部とメモリモジュール30の端子38との間に介在される。抵抗404の材質、膜厚等を調整することで、信号ライン22と端子38との間の電流経路にダンピング抵抗を付加することができる。なお、電気抵抗部材404の形状、大きさ等は、仕様に応じて適宜選択される。
【0033】
図8Bは、第4の実施例の他の例を示す図である。コンタクト420は、第1のコンタクト部分422と、第2のコンタクト部分424と、抵抗426とを有する。第1のコンタクト部分422は、ソケット本体12の開口部12C内に挿入される第1の端部422Aと、ソケット本体12の底面からクランク状に折り曲げられた折り曲げ部と、折り曲げ部から直線状に延在する第2の端部422Bとを有し、第2の端部422Bは、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、はんだ等によって信号ライン22および/または導電性ランド22Bに接続される。
【0034】
第2のコンタクト部分424は、ソケット本体12の側面12Dに当接される基部と、基部から延在するU字形状の折り曲げ部と、折り曲げ部から延在する接点部とを有する。
第1のコンタクト部分422の第1の端部422Aには、バネ性を付与するための突起部が形成され、また、第2のコンタクト部分424の基部にも同様にバネ性を付与するための突起部が形成され、これらの両突起部の間に抵抗426が圧入、嵌合され、抵抗426は、第1および第2のコンタクト部分422、424に電気的に接続される。こうして、信号ライン22から、第1のコンタクト部分422、抵抗426、第2のコンタクト部分424、端子38を介してメモリモジュール30のメモリチップまでの電流経路が形成される。なお、抵抗426は、図8Aに示したような導電性フィルム、導電性セラミックのような材料から構成するようにしてもよいし、抵抗426は、第1および第2のコンタクト部分の両端部にはんだによって接続されるようにしてもよい。本例によれば、ピン毎に抵抗426を容易に変更することができる。
【0035】
図8Cは、第4の実施例の他の構成例を示す図である。コンタクト440は、第1のコンタクト部分442と、第2のコンタクト部分444と、抵抗446とを有する。ソケット本体12の開口部12Cに臨む側面12Dには、導電性フィルム等の電気抵抗材料がメッキ、コーティング、またはスクリーン印刷され、抵抗446が形成される。
【0036】
第1のコンタクト部分442は、バネ性が生じるような第1の端部442Aを含み、第1の端部442Aは、抵抗446に接触される。さらに第1のコンタクト部分442は、ソケット本体12の開口部12Cから下方に向けて延在する延在部と、マザーボード20のスルーホール内に挿入され、信号ライン22および/または導電ランド22Bと接続される第2の端部442Bとを有する。第2のコンタクト部分444は、開口部12C内に位置する基部444Aと、基部444Aから斜め方向に延在する延在部444Bと、延在部444BからU字形状に折り曲げられた折り曲げ部444Cと、折り曲げ部444Cから延在しV字形状に折り曲げられた接点部444Dとを有する。折り曲げ部444Cは、抵抗446と端子38との間に第2のコンタクト部分444が挟持されるように弾性を付与し、これにより、延在部444Bが抵抗446に電気的に接続され、接点部444Dがメモリモジュール30の端子38に電気的に接続される。
【0037】
図8Dは、第4の実施例の他の構成例を示す図である。コンタクト460は、第1のコンタクト部分462と、第2のコンタクト部分464と、抵抗466とを有する。第1のコンタクト部分462の第1の端部462Aは、ソケット本体12の孔内に挿入されそこに固定され、第2の端部462Bは、マザーボード20のスルーホール内に挿入され信号ライン22および/または導電ランド22Bと電気的に接続される。
【0038】
第2のコンタクト部分464は、基部464Aと、基部464Aからほぼ直線状に延在する延在部464Bと、延在部464Bから延在しU字形状に折り曲げられた折り曲げ部464Cと、折り曲げ部464Cに接続されたV字形状の接点部464Dとを有する。折り曲げ部464Cは、側面12Dと端子38との間に第2のコンタクト部分464が挟持されるように弾性を付与し、すなわち、接点部464Dが端子38に弾性的に接触し、延在部464Bが側面12Dに弾性的に支持される。
【0039】
第1のコンタクト部分462の第1の端部462Aには、接圧を生じさせるような突起部が形成され、第2のコンタクト部分464の基部464Aには、接圧を生じさせるような突起部が形成され、両突起部は、対向した位置にあり、両突起部の間に、導電セラミックなどの電気抵抗材料からなる抵抗466が弾性的に支持されるように介在される。好ましくは、抵抗466の端部は、ソケット本体12から突出し、抜き差しすることが可能である。抵抗466は、好ましくは、基部464Aと第1の端部462Aとの間に一定の接圧で電気的に接続される。本例によれば、コンタクト460の実装後またはソケットをマザーボード20へ実装後に、抵抗466を着脱することで抵抗466を容易に変更することができる。
【0040】
第4の実施例によれば、コンタクトをメモリモジュールに接触する側と、マザーボードに接続する側に分離し、その間に電気抵抗材料を挿入するようにしたので、接点部側の第1のコンタクト部分には接触力を発生するバネ材料を用いるが、第2のコンタクト部分は、電気抵抗体として接続される材料であればよいので、第1のコンタクト部材と同じ材料でなくてもよい。このように本実施例によれば、コンタクトに所定の電気抵抗を付加することにより、マザーボードまたはサブボード上の電気抵抗体(ダンピング抵抗)を削減することができ、部品点数の減少、マザーボードおよびメモリモジュールシステムの小型化が可能になる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10:ソケット
12:ソケット本体
12A:溝
12B:側壁
12C:開口部
12D:側面
14:コンタクト
20:マザーボード(回路基板)
22:信号ライン
22A:グランドライン
22B:導電性ランド
24、24A:ダンピング抵抗
30:メモリモジュール
38:端子
100:ソケット
110、110A、110B:コンタクト
112、444A、464A:基部
114、444C、464C:折り曲げ部
116、444D、464D:接点部
118、404、426、446、466:抵抗
202:コンタクト本体
204:電気保護膜
206:電気抵抗膜
300、400、420、440、460:コンタクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在するソケット本体と、
前記ソケット本体の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクトとを有し、
回路基板が前記ソケット本体の長手方向に沿うようにかつ2列のコンタクトの間に装着されたとき、前記回路基板の対向する面の少なくとも一面に形成された端子が前記コンタクトによって弾性的にかつ電気的に接続され、
前記複数のコンタクトは、前記端子と接続する接点部、前記接点部から延在し弾性力を生じさせる弾性部および前記弾性部に接続された外部端子部を有し、前記接点部、前記弾性部および前記外部端子部はバネ性を有する導電性金属から構成され、
前記複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、前記導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗が設けられ、前記外部端子部から前記回路基板の端子間の電流経路に前記抵抗が介在される、ソケット。
【請求項2】
前記抵抗は、前記接点部に形成された開口部に係合され、前記抵抗は、前記接点部から突出し、前記接点部は、前記抵抗を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能である、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記抵抗は、導体と抵抗膜とを含み、導体は、抵抗膜を介して前記接点部に電気的に接続される、請求項1または2に記載のソケット。
【請求項4】
前記抵抗は、前記導電性金属に積層された電気保護膜および電気抵抗膜から構成される、請求項1に記載のソケット。
【請求項5】
前記電気保護膜および電気抵抗膜は、前記接点部から前記外部端子部の一部までを覆い、前記接点部は、前記電気抵抗膜を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能であり、前記外部端子部の導電性金属が基準電位に接続可能であり、前記外部端子部の電気抵抗膜が信号ラインに接続可能である、請求項4に記載のソケット。
【請求項6】
前記抵抗は、前記接点部の表面を覆う抵抗膜である、請求項1に記載のソケット。
【請求項7】
前記抵抗は、一端が前記ソケット本体に片持ち梁状に固定され、前記接点部と前記回路基板の端子間に介在される、請求項1に記載のソケット。
【請求項8】
前記コンタクトは、前記接点部と前記弾性部とを含む第1のコンタクト部分と、前記外部端子部を含む第2のコンタクト部分とを含み、前記抵抗は、前記第1および第2のコンタクト部分間に電気的に接続される、請求項1に記載のソケット。
【請求項9】
第1のコンタクト部分は、バネ性を有する導電性金属から構成され、第2のコンタクト部分は、第1のコンタクト部分とは異なる導電性金属から構成される、請求項8に記載のソケット。
【請求項10】
前記回路基板は、表面に複数の半導体メモリチップを実装したメモリモジュールである、請求項1ないし9いずれか1つに記載のソケット。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか1つに記載のソケットと、
前記ソケットに装着され、前記複数のコンタクトの前記接点部に接続される回路基板と、
前記ソケットを実装し、前記複数のコンタクトの外部端子部が接続される他の回路基板とを有する、回路基板システム。
【請求項12】
前記他の回路基板は、信号ラインと、当該信号ラインから離間された基準電位ラインとを主面に含み、前記外部端子部の導電性金属は前記基準ラインに接続され、前記外部端子の電気抵抗膜は前記信号ラインに接続される、請求項11に記載の回路基板システム。
【請求項13】
前記他の回路基板は、スルーホールを含み、前記外部端子部は、前記スルーホール内に挿入されかつ信号ラインに電気的に接続される、請求項11に記載の回路基板システム。
【請求項1】
長手方向に延在するソケット本体と、
前記ソケット本体の長手方向に沿って2列に配置された複数のコンタクトとを有し、
回路基板が前記ソケット本体の長手方向に沿うようにかつ2列のコンタクトの間に装着されたとき、前記回路基板の対向する面の少なくとも一面に形成された端子が前記コンタクトによって弾性的にかつ電気的に接続され、
前記複数のコンタクトは、前記端子と接続する接点部、前記接点部から延在し弾性力を生じさせる弾性部および前記弾性部に接続された外部端子部を有し、前記接点部、前記弾性部および前記外部端子部はバネ性を有する導電性金属から構成され、
前記複数のコンタクトのうち信号搬送に用いられるコンタクトには、前記導電性金属と異なる電気抵抗材料からなる抵抗が設けられ、前記外部端子部から前記回路基板の端子間の電流経路に前記抵抗が介在される、ソケット。
【請求項2】
前記抵抗は、前記接点部に形成された開口部に係合され、前記抵抗は、前記接点部から突出し、前記接点部は、前記抵抗を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能である、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記抵抗は、導体と抵抗膜とを含み、導体は、抵抗膜を介して前記接点部に電気的に接続される、請求項1または2に記載のソケット。
【請求項4】
前記抵抗は、前記導電性金属に積層された電気保護膜および電気抵抗膜から構成される、請求項1に記載のソケット。
【請求項5】
前記電気保護膜および電気抵抗膜は、前記接点部から前記外部端子部の一部までを覆い、前記接点部は、前記電気抵抗膜を介して前記回路基板の端子に電気的に接続可能であり、前記外部端子部の導電性金属が基準電位に接続可能であり、前記外部端子部の電気抵抗膜が信号ラインに接続可能である、請求項4に記載のソケット。
【請求項6】
前記抵抗は、前記接点部の表面を覆う抵抗膜である、請求項1に記載のソケット。
【請求項7】
前記抵抗は、一端が前記ソケット本体に片持ち梁状に固定され、前記接点部と前記回路基板の端子間に介在される、請求項1に記載のソケット。
【請求項8】
前記コンタクトは、前記接点部と前記弾性部とを含む第1のコンタクト部分と、前記外部端子部を含む第2のコンタクト部分とを含み、前記抵抗は、前記第1および第2のコンタクト部分間に電気的に接続される、請求項1に記載のソケット。
【請求項9】
第1のコンタクト部分は、バネ性を有する導電性金属から構成され、第2のコンタクト部分は、第1のコンタクト部分とは異なる導電性金属から構成される、請求項8に記載のソケット。
【請求項10】
前記回路基板は、表面に複数の半導体メモリチップを実装したメモリモジュールである、請求項1ないし9いずれか1つに記載のソケット。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか1つに記載のソケットと、
前記ソケットに装着され、前記複数のコンタクトの前記接点部に接続される回路基板と、
前記ソケットを実装し、前記複数のコンタクトの外部端子部が接続される他の回路基板とを有する、回路基板システム。
【請求項12】
前記他の回路基板は、信号ラインと、当該信号ラインから離間された基準電位ラインとを主面に含み、前記外部端子部の導電性金属は前記基準ラインに接続され、前記外部端子の電気抵抗膜は前記信号ラインに接続される、請求項11に記載の回路基板システム。
【請求項13】
前記他の回路基板は、スルーホールを含み、前記外部端子部は、前記スルーホール内に挿入されかつ信号ラインに電気的に接続される、請求項11に記載の回路基板システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公開番号】特開2012−212630(P2012−212630A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78596(P2011−78596)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(508205349)センサータ テクノロジーズ マサチューセッツ インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(508205349)センサータ テクノロジーズ マサチューセッツ インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
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