説明

ソバ抽出物含有固形組成物

【課題】 保存性が高く、各成分の薬効を安定して保つことができるソバ抽出物含有固形組成物を提供する。
【解決手段】 ソバの葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部を含む原料を搾汁し、この搾汁液を加熱殺菌した後、乳酸菌により発酵し、この発酵液を凍結乾燥して、ソバ抽出物含有固形組成物を得る。なお、酵母及び乳酸菌により前記発酵を行ってもよい。こうして得られたソバ抽出物含有固形組成物は、必要に応じて錠剤やカプセルの形態にして、アレルギーや生活習慣病の患者の症状改善効果を示す機能性食品して利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソバの葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部を原料として得られるソバ抽出物含有固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ソバは日本人の食生活の中で古くから親しまれた食材である。ソバには、さまざまな生理活性物質が含まれており、例えばその1つであるルチンには、活性酸素を除去する酸化防止作用や、毛細血管を強くしたり、血圧を下げたり、また糖尿病を予防する働きなど、様々な働きがあることが知られている。
【0003】
また、下記特許文献1には、そばの若芽を搾汁して搾汁液を作成し、搾汁液をいったん冷凍して凍結させた後、凍結した搾汁液を解凍し、解凍した搾汁液を常温で保持することにより乳酸菌・酵母発酵させ、搾汁液の上澄み液を分離して得ることを特徴とするソバの芽を原料とするジュースの製造方法が開示されており、このソバの芽ジュースがアレルギー性皮膚炎の沈静、血圧降下、血糖値の降下等の薬効があることが記載されている。
【特許文献1】特開2002−209562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたソバの芽ジュースは、保存性が乏しく、保存期間が経過すると変色して薬効が失われてしまう可能性があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、保存性が高く、各成分の薬効を安定して保つことができるソバ抽出物含有固形組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ソバの生理活性効果を研究する過程で、ソバ全草を粉砕して特定の乳酸菌により乳酸菌発酵して得られる発酵物を凍結乾燥させたものが、安定して優れた生理効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のソバ抽出物含有固形組成物の1つは、ソバの葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部を含む原料を搾汁し、この搾汁液を加熱殺菌した後、乳酸菌により発酵し、この発酵液を凍結乾燥して得られる固形状抽出物を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、酵母及び乳酸菌により前記発酵を行ったものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、錠剤、顆粒剤、細粒剤あるいはカプセルの形態をなすことが好ましい。
【0010】
また、ソバの新若芽を含む原料を用いて得られたものであることが好ましい。また、前記ソバの新若芽は、発芽期間2〜10日のものの混合物であることが好ましい。
【0011】
更に、本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、1日の服用量中に前記固形状抽出物が30〜3,000mg含まれるように調製されていることが好ましい。
【0012】
また、前記乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であることが好ましい。
【0013】
更に植物油を含むことが好ましい。更にまた、β―カロチン及び/又はビタミンDを含むことが好ましい。
【0014】
ソバには、ルチン,ルチン様物質のほかに、オリエンチン、イソオリエンチン,ビテキシン、イソビテキシンの4種類のポリフェノールが含まれている。上記発酵物中に含まれるこれらの発酵成分は、乳酸菌による発酵過程で、その構造が変化し、それによってよりすぐれた生理活性効果がもたらされると考えられる。
【0015】
本発明では、発酵物を凍結乾燥することにより、その生理活性効果が長期にわたり失われず安定なものとなる。また、カプセルや錠剤の形にすることにより、日常的に無理なく摂取でき、アレルギーや生活習慣病の予防や治療に役立てることができる。
【0016】
本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、冷え性,しもやけの予防,肌あれ、乾燥肌、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患の改善,静脈瘤の改善,育毛・増毛効果,肩こり,腰痛,関節炎の解消,血圧の正常化、動脈硬化改善,気管支喘息の改善,貧血予防,生理痛の緩和,生理前の胸の張りの緩和,生理による於血の正常化,不眠症の改善,血流改善,血行促進作用,虫刺されによるかゆみ止め,視力向上,人工透析患者に対する効果として貧血防止作用,カリウム低下作用,体重維持、体調維持作用など幅広い生理作用を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のソバ抽出物含有固形組成物の原料として用いられるソバは、タデ科ソバ属の一年生草本であり、その葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部が用いられ、ソバの葉、茎及び根を含む全草を用いることもできる。本発明においては、ソバの新若芽の葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部、あるいはソバの新若芽の全草が好ましく用いられる。なお、本発明において、ソバの新若芽(スプラウト)とは、通常、発芽してから5〜14日目のソバを意味し、草丈が5〜20cmのものが好ましく用いられる。
【0018】
また、ソバには、普通ソバ(学名:ファゴピルム・エスクレンツム(Fagopyrum esculeentum))の他、ダッタンソバ(学名:ファゴピルム・タータリクム(Fagoryrum tataricum))や、シャクチリソバ(宿根ソバ)(学名:ファゴピルム・サイモスム(Fagopyrum cymosum))等があるが、本発明においては上記いずれのソバを用いることができる。
【0019】
また、ソバの葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部を含む原料を発酵する際に用いられる乳酸菌としては、特に限定されないが、例えば、ラクトバチルス属に属する乳酸菌として、ラクトバチルス・プランタルム(Lakutobacillus plantarum、例えばATCC 8014, IFO 3074, IFO 12006, IFO 12519 等)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lacobacillus fermentum)等が例示できる。また、ストレプトコッカス属に属する乳酸菌として、ストレプトコッカス・ラクティスStreptococcus lactis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus )等が例示できる。これらの乳酸菌は、ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ等の製造に用いられている菌であり、一般に入手可能な菌である。
【0020】
これらの中でも、本発明では、ラクトバチルス・プランタルムが好ましく用いられる。ラクトバチルス・プランタルムは,植物乳酸菌とも呼ばれており,ソバの葉,茎及び根から選ばれた少なくとも一部を含む原料を効率よく発酵させることができる。また、ラクトバチルス・プランタルムと、他の乳酸菌とを併用してもよい。
【0021】
なお、乳酸菌発酵する前に酵母によりアルコール発酵させてもよい。アルコール発酵を行うことにより、有害菌の除去が可能になるので、殺菌温度を低下させることができ、更には、酵母の代謝物により、乳酸菌の発酵を容易に行うことができるようになる。なお、酵母としては、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を用いることができる。
【0022】
本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、具体的には以下のようにして得ることができる。すなわち、そばの種子を発芽させて発育させた3〜20cm程度の茎を有するそばの若芽を洗浄し、ミキサー等により粉砕し、搾汁することによって搾汁(青汁)を得る。
【0023】
次いで、得られた搾汁液を加熱殺菌し、必要に応じて酵母を接種してアルコール発酵を行った後、乳酸菌を接種して乳酸菌発酵を行う。加熱殺菌は100℃以下で行うことが好ましく、70〜85℃で5〜10分間行うことがより好ましい。アルコール発酵は、25〜30℃で3〜20日間発酵させればよい。また、乳酸菌発酵は、発酵液のpHが、3.5程度になるまで行うことが好ましく、通常、15〜37℃、好ましくは20〜28℃で、3〜14日間発酵させる。
【0024】
この発酵液をろ過して上清部分を集め、濃縮した後、凍結乾燥することにより、本発明のソバ抽出物含有固形組成物を得ることができる。乾燥方法による差異を有効成分であるポリフェノールを測定して比較してみたところ、凍結乾燥で得られた粉末では、7900mg/100gであるのに対して、噴霧乾燥で得られたソバの若芽抽出エキスのポリフェノールは、凍結乾燥品の60%以下の4500mg/100gであり、凍結乾燥が、噴霧乾燥より優れていることがわかった。
【0025】
このソバ抽出物含有固形組成物は、例えば、適当な添加剤、賦形剤等を加え、練合、造粒し、顆粒剤、細粒剤とすることができる。また、かかる顆粒剤あるいは細粒剤に適当な滑沢剤を加え、打錠することにより錠剤とすることもできる。
【0026】
上記添加剤、賦形剤としては、例えば、デンプン、乳糖、白糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等の賦形剤;アカシア、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸,ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等の滑沢剤;加工デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤、更には,香料,甘味剤等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、例えば植物油,脂肪酸トリグリセライドのような脂肪酸エステル等の油性成分に溶解させ、ゼラチン等の皮膜によりソフトカプセル状の形態とすることもできる。そのような植物油としては,大豆油、ゴマ油、亜麻仁油、コーン油等を挙げることができる。
【0028】
こうして得られた本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、前述したような様々な生理活性効果をもたらす機能性食品として利用することができる。
【0029】
本発明が提供する機能性食品におけるソバ抽出物含有固形組成物の含有量は,一概に限定することはできない。しかしながら、ソバ抽出物含有固形組成物がそばの若芽における
搾汁の発酵液を凍結乾燥して得た粉末であることから、そばの有効成分がそのまま含有されたものである。したがって,例えば軟カプセルとしての形態を有する機能性食品の場合には、そのカプセルの重量として400mg中、例えば、内容物として200〜300mgを含有させ、この内容物中にソバ抽出物含有固形組成物を50〜150mg程度含有させることが好ましい。
【0030】
このようにして得られた本発明の機能性食品は,そばの若芽を原料としてなおかつ乳酸発酵をさせていることからルチン,ポリフェノール,各種ビタミン類はじめ、鉄、カルシウム、カリウム,マグネシウム、亜鉛等の金属を豊富に含むものであり,それらが相まって体内で吸収しやすいものとなり、種々の効能を発揮する。アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症の予防、、アレルギー性鼻炎予防、糖尿病予防、動脈効果予防、血流改善による冷え性、しもやけの予防、血圧正常化、静脈瘤の予防、育毛促進作用など幅広い生理作用を示す。
【0031】
本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、生理活性効果を得るために、該組成物の固形分換算で,1人1日当たり30〜3000mg摂取することが好ましく、200〜1000mgの摂取が更に好ましい。
【0032】
また、本発明のソバ抽出物含有固形組成物は、種々の飲食品に添加して摂取することもできる。飲食品中への添加量は,該飲食品中の固形分全体に対し0.1〜50質量%とすることが好ましい。1〜30質量%とすることが更に好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0034】
実施例1(ソバの若芽抽出エキスの製造)
そばの種子を水に浸漬させ、水耕栽培用の苗床に種をまき、発芽させ、茎が15cm程度までに伸長した段階で収穫した。収穫したソバの若芽の根の部分を取り除き、よく洗浄した。70℃で5分間殺菌処理を行った後、適量の水を加えてミキサーにより粉砕して溶液状にした。次いで、搾り機により搾汁液を得た。搾汁液は、適当な網目を用いた濾過により未破砕の葉などを取り除いた。10Kgのそばの若葉から0.9Lの搾汁液がえられた。
【0035】
得られた搾汁液を80℃で5分殺菌後、予め前培養したラクトバチルス・プランタルムを加えて25℃で1週間発酵させた。得られた発酵物は、80℃で30分加熱殺菌した後、遠心分離、濾過により不溶物を除去した後、上清を濃縮・凍結乾燥してソバ抽出物含有固形組成物を得た。
【0036】
実施例2(ソフトカプセルの製造)
実施例1で得られたソバ抽出物含有固形組成物を用いて、表1の処方によりゼラチン皮膜でソフトカプセル剤を製造した。











【0037】
【表1】

【0038】
上記成分を加温して均一に混合し、ソフトカプセルの製造法に準じ、一粒中にソバ抽出物含有固形組成物84mgを含有する上記組成250mgを内容物とし、ゼラチン皮膜で被覆した400mg重量のソフトカプセルを得た。
【0039】
試験例1(血圧低下作用)
実施例2で得られたソフトカプセルを血圧の高めのヒト(収縮期血圧、平均138、拡張期血圧、平均95)20人に1日12粒づつ摂取させたところ、4週間後、収縮期血圧が平均130に、拡張期血圧が平均84に低下した。したがって、血圧の低下作用が認められた。
【0040】
試験例2(アトピーの症状改善)
実施例2で得られたカプセルをアトピー性皮膚炎の患者6名に5粒づつ30日間飲用させ、アンケートによりアトピー性皮膚炎の改善効果を調べた。その結果、著しく悪くなった…0名、少し悪くなった…0名、変わらない…1名、少しよくなった…4名、著しくよくなった…1名であった。したがって、アトピー性皮膚炎の症状の改善が認められた。
【0041】
試験例3(抹消血流改善効果 冷え症:その1)
実施例2で得られたカプセルを9名の冷え性に悩んでいる女性を対象に1日20カプセルを飲用してもらい、飲用前及び飲用後30分後の2回、フューチャー・ウエイブ社製BCチェッカーにより,右足の親指における末梢血流循環状態を測定した。
【0042】
なお、被験者にはインフォームド・コンセントによる説明を充分に行い、その承諾の上に試験を行った(以後の試験も同様である)。
【0043】
BCチェッカーは、末梢血流循環について,加速度脈波波形パターンにより、末梢血液循環の評価を行うもので、波形パターンをA〜G(そのなかで更に細分化)に分け、更にこれをスコア化(−120〜+120までの範囲でスコア化)し、年齢と共に,波形パターンとスコアで末梢血液の循環を評価するシステムである。
【0044】
・ 波形パターンの評価
波形パターンの評価は、以下のとおりである。
A:通常元気な若者にみられる波形で,血液循環がよい状態。
B:血液循環が不十分になっていく経過の中でみられるが、まだよい状態(但し,20代でこの波形を示す場合は要注意である)。
C:血液循環が不十分になってきた状態を示し,特に30代までの人でこの波形を示す
場合は要注意である。
D〜G:血液循環がかなり悪い状態を示す。
【0045】
・ スコアの評価
加速度脈波加齢指数として、一般に−120から+120の値をとり、上記の波形との
関係で,波形がA+に近いほど高いスコアになり、G−に近いほど低いスコアになる。
【0046】
また、同じ波形でもスコアが+120と+100の場合は、+120の方がより血液
循環が良好な状態を示すこととなる。その結果を表2に、まとめて示した。
【0047】
【表2】

【0048】
表2の結果からも判明するように、冷え症をうったえている女性全員が,本発明のそば抽出物含有固形組成物をソフトカプセル形態で飲用することにより,末梢血流の循環が改善され、いわゆる「血液さらさら」の状態を取り戻すことができた。
【0049】
また、飲用直後から,身体がぽかぽかと温まり,発汗性があると体感した報告がなされた。
【0050】
試験例4(末梢血流改善効果 冷え症:その2)
実施例2で得られたソバ抽出物含有固形組成物を含むソフトカプセル剤を冷え症で悩んでいる8人の女性に1日12カプセルを14日間飲用してもらい,飲用前,飲用中の4日目及び10日目、ならびに飲用修了後3日目(飲用開始後17日目)に、BCチエッカー(フューチャー・ウエイブ社製)により,右足の親指における末梢血流循環を測定した。
【0051】
なお,評価の基準は,試験例4と同様である。その結果を表3に示した。
【0052】
【表3】

【0053】
被験者のいずれも、末梢血流の循環が改善されており,それに伴い,冷え症が改善されていることが判明した。
【0054】
試験例5(末梢血流改善効果 肌荒れ/ 乾燥肌)
実施例2で得られたソバ抽出物含有固形組成物を含むソフトカプセル剤を肌荒れ/ 乾燥肌に悩んでいる女性8名を対象に,1日12カプセル、14日間飲用してもらい、飲用前,飲用中4日目、及び10日目、ならびに飲用終了後3日目(飲用開始後17日目)に、BCチェッカー(フューチャー・ウエイブ社製)により、右足の親指における末梢血流循環を測定した。
【0055】
なお、評価基準は,実施例5と同様である。また、肌荒れ/ 乾燥肌に対する自己評価を試みた。その結果を表4に示した。






【0056】
【表4】

【0057】
表4の結果からは,良好に末梢血流の循環が改善されていることが判明した。また,試験修了後において、被験者の肌荒れ/乾燥肌の改善の有無を自己評価によるアンケート調査で調べたところ,約半数の被験者に肌荒れ/乾燥肌の改善が認められた。
【0058】
試験例5(末梢血流改善効果 高血圧症)
実施例2で得られたソバ抽出物含有固形組成物を含むソフトカプセル剤を血圧の高めの男性7名(医療機関からの処方による,降圧剤を服用していない者)を対象に,1日12カプセルを14日間飲用してもらい,飲用前,飲用中4日目及び10日目、ならびに飲用終了後3日目(飲用開始後17日目)に,最高血圧,最低血圧を測定し,その血圧降下作用を検討した。その結果を表5に示した。表中の結果からは,血圧降下作用はあまり明確には出ていないが,飲用中において,血圧の低下傾向が認められた。
【0059】
なお,同時にBCチェッカー(フューチャー・ウエイブ社製)による末梢血流循環を測定したところ,末梢血流循環の改善が認められていた。その結果を表6に示した。












【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
試験例6(末梢血流改善効果 静脈瘤)
実施例2で得られたソバ抽出物含有固形組成物を含むソフトカプセル剤を、静脈瘤に悩んでいる5名の女性に1日12カプセルを14日間飲用してもらい,飲用前,飲用中4日目及び10日目,並びに飲用終了後3日目(飲用開始後17日目)に、BCチェッカー(フューチャー・ウエイブ社製)により,右足の親指における末梢血流循環を測定した。その結果を表7に示した。
【0063】
【表7】

【0064】
表7に示した結果からも、末梢血流の循環は改善された。なお、静脈瘤の消失は明確に認められなかった。
【0065】
以上に記載した試験例1〜6の実際の飲用試験において、本発明のソバ抽出物含有固形組成物を飲用し始めてから14日間は,加速度脈波加齢指数(スコア)である末梢血管の数値が高くなっていることから,血流改善作用があることが確認された。また、本発明のソバ抽出物含有固形組成物の飲用を中止後においては、スコアが飲用中と比較して下がったことから,本発明のソバ抽出物含有固形組成物は毎日飲用するのが好ましいものと判断された。
【0066】
また、本発明のソバ抽出物含有固形組成物の飲用により、末梢血流のスコアに変化があり,波形も安定していることから,末梢血管の血流が一定化していくものと思われる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、喘息等のアレルギーや、高血圧、糖尿病などの生活習慣病に対して高い治療効果、予防効果を期待できるソバ抽出物含有固形組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソバの葉、茎及び根から選ばれた少なくとも一部を含む原料を搾汁し、この搾汁液を加熱殺菌した後、乳酸菌により発酵し、この発酵液を凍結乾燥して得られる固形状抽出物を含有することを特徴とするソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項2】
酵母及び乳酸菌により前記発酵を行ったものである請求項1記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項3】
錠剤、顆粒剤、細粒剤あるいはカプセルの形態をなす請求項1又は2記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項4】
ソバの新若芽を含む原料を用いて得られた請求項1〜3のいずれか1つに記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項5】
前記ソバの新若芽は、発芽期間2〜10日のものの混合物である請求項記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項6】
1日の服用量中に前記固形状抽出物が30〜3,000mg含まれるように調製されている請求項1〜5のいずれか1つに記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項7】
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)である請求項1〜6のいずれか1つに記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項8】
更に植物油を含む請求項1〜7のいずれか1つに記載のソバ抽出物含有固形組成物。
【請求項9】
更に、β―カロチン及び/又はビタミンDを含む請求項1〜8のいずれか1つに記載のソバ抽出物含有固形組成物。

【公開番号】特開2006−76904(P2006−76904A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260620(P2004−260620)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(396020279)三生医薬株式会社 (11)
【Fターム(参考)】