説明

ソーラシミュレータ及び多接合型太陽電池の測定方法

【課題】 多接合型太陽電池の特性を、短時間で測定することができるソーラシミュレータと、これを用いた多接合型太陽電池の測定方法とを提供する。
【解決手段】 本発明の多接合型太陽電池の測定方法は、ハロゲンランプ13からフラッシュ光を発光させパルス波形の頂部が平坦になるように制御する工程と、ハロゲンランプのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦な間に、キセノンランプ14からパルス波形の頂部が平坦で、ハロゲンランプからのフラッシュ光の平坦部分より短いパルスのフラッシュ光を1回以上発光させる工程と、ハロゲンランプとキセノンランプからのフラッシュ光を被測定体としての太陽電池20に照射し、キセノンランプからのフラッシュ光の発光中に、太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を1点又は2点以上で測定する測定工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多接合型太陽電池の電流電圧特性(以下、単に特性ともいう)を高速・高精度に測定するためのソーラシミュレータと、その測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、光起電力素子、光センサーなどの光電変換素子の光電変換特性は、光照射下において、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定することによって測定される。太陽電池の特性測定では、横軸を電圧、縦軸を電流として、収集したデータをプロットすることにより出力特性曲線を得ている。この曲線は一般に、I−Vカーブという。
【0003】
そして、その測定方法としては、照射光として太陽光を利用する方法と、人工光源を利用する方法とがある。このうち人工光源を利用する方法には、定常光の光源を用いる方法とフラッシュ光の光源を用いる方法が、特許文献1,2などにより知られている。
【0004】
定常光を用いる方法は、ランプの点灯開始から、照度が安定するまで数十分以上かかることが多い。また、照度を安定させるため連続点灯を維持しておく必要があるが、そうすると光源を収設した筐体内の温度上昇が著しくなる。また、筐体内の部品は、常時、光に曝されることになるため、光学部品(ミラー、光学フィルター)が劣化する原因となる。等の多くの問題がある。
【0005】
そこで、定常光ではなく、フラッシュ光を発生させることによって、大面積の太陽電池の電流電圧特性を測定する方法が提案されている。フラッシュ光を発生させる疑似太陽光の光源にはキセノンランプが使用されるが、発光時間の比較的長い1回のフラッシュ光を使用する単一フラッシュ光による測定方法と、発光時間の短いフラッシュ光を多数回使用するショートパルスフラッシュ光による測定方法とがある。
【0006】
しかし、単一フラッシュ光による場合は、1回の発光で太陽電池の負荷を掃引してI−V特性曲線を得るために100msecを越える長いパルスを作る必要がある。このような長いパルス発光をするために、1回の発光と次の発光との間の休止時間を長くとらなければならず、測定時間が掛かる。また、長いパルスの点灯をさせるため、光源ランプへの負荷が大きいので、ランプ寿命が短くなる。
【0007】
ショートパルスフラッシュ光を複数回照射する測定方法は、フラッシュ点灯させるため、光源ランプへの負荷が小さいことから、短い間隔で発光させることができる。また、発光時間が短いため、ランプ内部の状況(例えば、温度)が変化しにくいのでピーク照度が安定しやすくなる。被測定体としての太陽電池が、受光する光パルスが短いので、被測定体の温度も上昇しにくくなる。
【0008】
しかしながら、このショートパルスフラッシュ光の波形は、頂部に平坦部を持たない山なり(山のすそ野の幅で、約1msec)の形状である。そのため、1回のフラッシュ点灯においては、1組(照度、太陽電池の出力電流と電圧)のデータしか収集できない。さらに、応答の遅い太陽電池を測定すると、照度波形に太陽電池の出力応答が追従しきれないため、出力が低く測定される場合がある。また測定には、約60〜120回フラッシュする必要があり、測定時間は20〜40秒程度かかる。
【0009】
そこで、特許文献3では、頂部が平坦になるパルス波形のフラッシュ光を発光させて太陽電池に照射し、太陽電池の負荷を制御しながらI−Vカーブを得る方法を提案している。
【0010】
ところで、太陽光のスペクトルは紫外線から赤外線まで幅広く分布しているが、pn接合が1つだけの単接合太陽電池においては、上記の全ての波長の光を発電に利用することはできない。そのため、複数のpn接合を直列に接続した多接合型太陽電池が知られている。多接合型にすることで、広い波長帯域から発電することができ、発電効率を向上させることができる。
【0011】
多接合型の太陽電池は、上層(トップ層)と下層(ボトム層)が電気的には直列接続になっている。トップ層とボトム層では、分光感度が異なる。トップ層は、短波長に感度が強く、ボトム層は長波長に感度が強い。スペクトルが長波長に強くなるとボトム層の電荷が多くなるが、電気的には直列接続となっている為、トップ層の発電量に律則される。このように多接合型太陽電池はスペクトルにより発電量が変化する特性を有している。
【0012】
このような多接合型太陽電池では、上記特許文献1から3に記載したキセノンランプだけの1光源からの光による検査では、次のような問題がある。キセノンランプのスペクトルは、長波長側に強い輝線が多数存在する。通常は、光学フィルタで輝線スペクトル成分を減衰させて使用している。しかし波長820nm、900nm付近に非常に強い輝線が存在し、光学フィルタのみで輝線を除くのは難しい。仮に、800〜900nm付近のボトム層の分光感度が高いと、この輝線によって出力特性が変化する。フィルタは、製造上ロット毎に特性にバラツキが生じる。よって機台毎にこの輝線高さは異なる。多接合型太陽電池のボトム層の上記波長帯に感度を有する場合、機台毎に測定値が異なる結果となる。
【0013】
この問題に対し、特許文献4では、ハロゲンランプとキセノンランプの2つの光源を備えたソーラーシミュレータを提案している。ここでは、ハロゲンランプの光とキセノンランプの光を、それぞれの光学的なフィルタを通過させ、キセノンランプで波長の短い光を照射し、ハロゲンランプによって波長の長い光を照射することで、上記輝線の影響を低減した状態で多接合型太陽電池の出力特性を測定することができる。
【0014】
また各光源の出力を変えることで、長波長のスペクトルと短波長のスペクトルのバランスを変えることが可能である。これによって微妙なスペクトルバランスの調整をした出力特性も可能である。
【特許文献1】特許第2886215号公報
【特許文献2】特開2003−31825号公報
【特許文献3】特開2007−88419号公報
【特許文献4】特許第3500352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし従来の測定方法では、ハロゲンランプをその発光波形の頂部が数秒間平坦になるように発光させ、同時にキセノンランプをショートパルスにて数十回発光させていた。したがってハロゲンランプの長時間発光によりその光学フィルタが加熱されるので、その加熱防止のため次の発光のために5〜10数秒の休止時間ののちハロゲンランプとキセノンランプを発光させる。このようなサイクルを4〜5回繰り返えす必要があった。このため出力特性の測定に時間が掛かり測定のみで60〜120秒かかるという問題があった。
【0016】
またハロゲンランプの発光は、その発光指令を出力した後すぐに点灯せずその点灯までの時間がバラツク性質がある。したがってハロゲンランプの発光回数を増やすことは、点灯のタイミングがバラツキ測定時間の無駄が生じることになる。
【0017】
このためこれまでハロゲンランプとキセノンランプを使用した多接合型太陽電池用の2光源ソーラシミュレータは、研究開発用途のみに使用が限定されていた。
【0018】
本発明は、斯かる問題の解決を図ったもので、多接合型太陽電池の特性を、短時間で測定することができるソーラシミュレータと、これを用いた多接合型太陽電池の測定方法とを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の問題を解決するために本発明のソーラシミュレータは、第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長帯域を持つ第2の光源と、前記第1の光源からのフラッシュ光の強度を測定する照度検出器と、該照度検出器の測定によって前記第1の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する波形制御装置と、前記第2の光源からのフラッシュ光の強度を測定する照度検出器と、該照度検出器の測定によって前記第2の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する波形制御装置と、測定対象となる太陽電池に負荷を与える負荷回路と、装置全体を制御する制御装置とを有し、前記制御装置が、前記第1の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦な間に、前記第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光より短いパルスのフラッシュ光を1回以上発光させることを特徴としている。
【0020】
前記制御装置が、前記第1の光源のフラッシュ光と、前記第2の光源のフラッシュ光とを重ねたフラッシュ光を複数回繰り返す構成としたり、前記第1の光源のフラッシュ光の所定の波長を通過させて測定対象となる太陽電池に照射する第1の光学的なフィルタと、前記第2の光源のフラッシュ光の所定の波長を通過させて測定対象となる太陽電池に照射する第2の光学的なフィルタと、を有する構成としたり、前記制御装置が、負荷回路によって、前記太陽電池の負荷を掃引できる構成としたり、前記第2の光源が波形制御装置を有し、前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように前記波形制御装置が、フィードフォワード制御するFF制御部を有する構成としたり、前記波形制御装置が、フィードバック制御するFB制御部を有する構成としたりすることができる。
【0021】
上記の問題を解決するために本発明の多接合型太陽電池の測定方法は、第1の光源からフラッシュ光を発光させてその強度を照度検出器で測定し、前記第1の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する工程と、第1の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦な間に、第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光の平坦部分より短いパルスのフラッシュ光を1回以上発光させる工程と、前記第1と第2の光源からのフラッシュ光を被測定体としての太陽電池に照射し、前記第2の光源からのフラッシュ光の発光中に、前記太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を1点又は2点以上で測定する測定工程と、を有することを特徴としている。
【0022】
前記第1の光源からフラッシュ光を複数回発光させ、その都度、前記第2の光源からのフラッシュ光を1回だけ発光させることとしたり、前記第1の光源からのフラッシュ光を第1の光学的なフィルタを通過させて特定の波長帯を通過させる工程と、前記第2の光源からのフラッシュ光を第2の光学的なフィルタを通過させて特定の波長帯を通過させる工程と、を有する構成としたり、前記太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を1点又は2点以上で測定する測定工程が、太陽電池の負荷を掃引して太陽電池から出力される電流と電圧を2点以上で測定する工程である構成としたり、前記測定工程に先だって、前記第1の光源と第2の光源からのフラッシュ光を太陽電池に照射し、前記負荷を制御して前記太陽電池の特性値の概略値を求める予備測定工程を有する構成としたり、前記第1の光源がフラッシュ光を1回発光させ、該フラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になる間に、第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光の平坦部分より短いパルスのフラッシュ光を複数回以上発光させる構成としたり、前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように、フィードフォワード制御する構成としたり、前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように、さらにフィードバック制御する構成としたりすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のソーラーシミュレータによれば、以下のようにして多接合型太陽電池の測定を行う。第1の光源から頂部の平坦なパルス波形の比較的長いフラッシュ光を発光し、第2の光源が第1の光源の平坦な部分と重なるように、かつ、第1の光源のフラッシュ光の平坦部分より短いフラッシュ光を発光する。第2の光源のフラッシュ光も頂部が平坦なものである。そして、波長の長いフラッシュ光と波長の短いフラッシュ光とが同時に発光している間は、重なった2つのフラッシュ光の強度が一定になっている。この状態のときに、太陽電池の特性を測定することで、短時間に測定することができる。太陽電池の特性は、負荷回路により太陽電池に与える負荷を変化させ、負荷の変化に応じて太陽電池の電流と電圧が変化するのを測定することでI−Vカーブとして求められる。太陽電池の応答が遅い場合は、第2のフラッシュ光の平坦部の長さを長くし、応答が早い場合は、短くして測定する。
【0024】
第1の光源からのフラッシュ光を、第1の光学的なフィルタに通し、第2の光源からのフラッシュ光を、第2の光学的なパスフィルタに通すことで、第1の光源と第2の光源のフラッシュ光の光を、強度の安定した、波長部分に限定することができる。
【0025】
第2の光源の1つのフラッシュ光で、1点の負荷についてだけ測定してもよく、1つのフラッシュ光で負荷を掃引することで、多数点について、測定してもよい。
【0026】
太陽電池の特性を測定する前に、予備的な測定をして、概略の特性を掴んでおくと、効率的に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明のソーラシミュレータの構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明のソーラシミュレータ10は、箱状のフレーム11と、この内部を2つに仕切る仕切板12を有している。そして、仕切板12によって、フレーム11内を光学的に独立し、上面側が開放された2つの室に仕切っている。2つの室の一方の室には、第1の光源としてのハロゲンランプ13を設け、他方の室には第2の光源としてのキセノンランプ14が設けられている。
【0029】
ハロゲンランプ13は、ガラス管内に窒素やアルゴンなどの不活性ガスとともに微量のハロゲン化物(ヨウ素・臭素・塩素・フッ素)を封入した白熱電球である。
【0030】
キセノンランプ14は、キセノンガスが封入された放電管を有するランプである。このキセノンランプでは、蓄電器に蓄電した電気をトリガ信号によって急激にランプ内の巻線に流すことによってキセノンガスを瞬間的に発光させ、フラッシュ光を得る。
【0031】
反射板17、18はハロゲンランプ13又はキセノンランプ14の反射光をムラなく被測定物に照射するためのものである。
【0032】
仕切板12の上方には、透明なアクリル板19がほぼ水平に設けられ、このアクリル板19の上には、第1の光学的なフィルタ15と、第2の光学的なフィルタ16が載置されている。フレーム11の上部は、透明なアクリル板11aになっている。このアクリル板11aの上に被測定対象である太陽電池20を載置し、測定する。
【0033】
フレーム11の上部には、照度検出器21a、21bがあり、照度検出器21aはハロゲンランプ13の照度を測定し、照度検出器21bはキセノンランプ14の照度を測定する。なお、照度検出器21aはキセノンランプ14の光を受光できないようになっており、照度検出器21bはハロゲンランプ13の光を受光できないようになっている。
【0034】
またハロゲンランプの発光は安定的なので、中央上部に1個だけ照度検出器を設け、ハロゲンランプのみ点灯時にハロゲンランプの照度を制御し、キセノンランプ発光している時はキセノンランプの照度を制御する構成とすることも可能である。
【0035】
またさらに照度検出器は、キセノンランプの照度制御専用に1個、ハロゲンランプの照度制御専用に1個、両者の発光光を受光しその照度を制御するために1個、このように合計3個使用する構成とすることも可能である。
【0036】
上記の態様でフラッシュ点灯されるハロゲンランプ13のフラッシュ光は、第1の光学的なフィルタ15を透過する。第1の光学的なフィルタ15では、ハロゲンランプ13の光のうち、波長の短い部分をカットし、長い帯域の光だけを通過させる。
【0037】
第1の光学的なフィルタ15を通過したハロゲンランプ13のフラッシュ光の照度は、図1に例示したように、ハロゲンランプ13の光を受光可能な位置に設けられた照度検出器21aによって検出される。
【0038】
第2の光学的なフィルタ16を透過したキセノンランプ14のフラッシュ光の光の照度は、照度検出器21bによって検出される。
【0039】
本発明のソーラシミュレータ10では、ハロゲンランプ13から第1の光学的なフィルタ15を透過した光と、キセノンランプ14から第2の光学的なフィルタ16を透過した光の双方を受光可能な位置に、測定対象としての太陽電池20を配置している。
【0040】
図2は本発明のソーラシミュレータ10のブロック図である。本発明のソーラシミュレータでは、太陽電池20から出力される電流・電圧を可変にする。そのため当該太陽電池20の出力端子に負荷回路22の電子負荷22aを接続する。なお、電子負荷22aを備えた負荷回路22において、22bは直流電源、22cはシャント抵抗である。電子負荷22aと直流電源22bをバイポーラ電源等に置き換えても実施可能である。
【0041】
上記の太陽電池20が出力する電流と電圧、及び、照度検出器21a、21bから検出される照度のデータは、本発明のソーラシミュレータ10におけるデータ収集システムにより収集する。このデータ収集システムとしては、図2に例示したように、データ処理ボード23aとアナログ出力ボード23bを備えたパソコン23を使用している。このパソコン23は、ソーラシミュレータ10全体の制御装置となっている。データ収集ボード24は、各部から受信したアナログ出力信号をデータ処理ボード23aで処理可能な信号に変換するものである。なお、25はパソコン23からのデータを電子負荷22aに付与するために接続された電子負荷指令回路である。
【0042】
制御装置としてのパソコン23は、ハロゲンランプ13とキセノンランプ14の点灯のタイミングおよびそれぞれの点灯パルスの長さ等を、予めプログラムされた内容にしたがって制御する。
【0043】
パソコン23は、ソーラシミュレータ10全体の制御装置としての他に、ハロゲンランプ13の波形制御装置を兼ねている。照度検出器21aは、第1の光学的なフィルタ15を通過したハロゲンランプ13のフラッシュ光の照度を検出し、その結果の照度信号をデータ収集ボード24を経由してパソコン23に入力する。パソコン23には、ハロゲンランプ13の制御に必要な電圧と照度の関係についてのデータが記憶されている。このデータに基づいて、ハロゲンランプ13のパルス波形の頂部が平坦になるように、アナログ出力ボード23bを介して電源回路13aが出力する電圧をリアルタイムで制御して、照度を一定にする。電源回路13aには直流電源13bが接続され、電源回路13aによって電圧が変えられてハロゲンランプ13に印加される。
【0044】
また、パソコン23は、ハロゲンランプ13のフラッシュ光が、照度を一定に保っている間に、キセノンランプ14を点灯し、キセノンランプ14からフラッシュ光が照射されるようにタイミングの調整を行う。
【0045】
図3は、キセノンランプ14によるフラッシュ光の波形図である。キセノンランプ14の電源回路14aには、キセノンランプ14の波形制御装置として、図4に例示したような複数のコイルLとコンデンサCを使用したパルス幅制御回路14b(又は、パルス幅延長回路)が接続されている。
【0046】
キセノンランプ14には、上述したパルス幅制御回路14bが接続されているので、パルス波形の頂部を平坦にすることができる。ここで、個々のコンデンサCとコイルLの容量は、照度波形の上部平坦部の平坦度が望ましい形になるように決定される。これによってキセノンランプ14は、光パルス波形の上部平坦部の長さt1を、約1msec以上となるように制御してキセノンランプ14をフラッシュ発光させることができる。
【0047】
図5及び図6は、キセノンランプ14によるフラッシュ光のパルス波形の頂部を平坦にする別の実施例を説明する図である。図5は、キセノンランプの点灯制御回路のブロック図で、図6は、図5のコントローラ(波形制御装置)の機能構成例を表す図である。
【0048】
図5は、図2におけるキセノンランプ14、電源回路14a、及びパルス幅制御回路14bと置き換わるもので、これらに照度検出器21bと制御装置としてのパソコン23とを付加している。図5に示すように、キセノンランプ14には、照度検出器21b、パワースイッチング素子30、高電圧電源33、蓄電器31及びコントローラ34が設けられている。
【0049】
キセノンランプ14には、トリガ回路32が接続され、このトリガ回路32にキセノンランプ14の巻線35が接続されている。キセノンランプ14の一方の電極には高電圧電源33の一方の電極が接続され、キセノンランプ14の他方の電極には、パワースイッチング素子30を介して高電圧電源33の他方の電極に接続されている。パワースイッチング素子30は、コントローラ34で制御され、コントローラ34はパソコン23で制御される。
【0050】
トリガ回路32は、トランスを含み、キセノンランプ14に巻かれた巻線35に高電圧のトリガ信号を出力する。このトリガ回路32は、パソコン23からの制御によってトリガ信号を出力する。
【0051】
照度検出器21bは、キセノンランプ14から発せられたフラッシュ光の照度を測定し、検出信号をコントローラ34へ出力する。
【0052】
蓄電器31はコンデンサ31aを含み、高電圧電源33により蓄電される。この蓄電器31はキセノンランプ14に電圧を印加するとともに、キセノンランプ14が放電する際に電流を放出する。高電圧電源33はパソコン23からの制御を受けて蓄電器31に蓄電をする。
【0053】
また、蓄電器31は、スイッチによりコンデンサ31aと接続/解放されるコンデンサ群31bを含み、蓄電容量を切り替え可能としている。コンデンサ群31bは、複数のコンデンサが並列に接続されたものである。
【0054】
コントローラ34は、キセノンランプ14の下流側(接地側)に設けられたパワースイッチング素子30をスイッチング駆動することで、蓄電器31から放出されてキセノンランプ14を流れる電流の量を制御する。このコントローラ34は、例えば、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)で構成することができる。このコントローラ34の具体的な機能については、図6で説明する。
【0055】
パワースイッチング素子30は、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)で構成される。また、パワースイッチング素子30はパワートランジスタやパワーMOSFETであってもよい。
【0056】
また、パワースイッチング素子30と並列に設けられた抵抗36は、パワースイッチング素子30がオフの場合でもキセノンランプ14に一定量の電流が流れるようにするために設けられている。
【0057】
図6により波形制御装置としてのコントローラ34の機能を説明する。コントローラ34は、第1加算部41、フィードバック制御部(FB制御部)43、フィードフォワード制御部(FF制御部)45、第2加算部47及び駆動部49を機能的に有する。これらの機能構成は、コントローラ34がメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現する。
【0058】
第1加算部41は、フラッシュ光の目標照度と、照度検出器21bが検出した現在照度との誤差量を表す誤差信号を生成して、FB制御部43へ出力する。フラッシュ光の目標照度は、パソコン23により設定される。なお、照度検出器21bからの検出信号は、AD変換器(図示せず)によりデジタル信号に変換されて、第1加算部41に入力される。
【0059】
FB制御部43は、第1加算部41から入力された誤差信号に基づき、照度の誤差量を抑制する制御信号を生成して、第2加算部47へ出力する。このFB制御部43の感度関数は、照度の誤差量が0となる点を安定点とし、照度の誤差量に応じたゲインを有するように作成される。このFB制御部43の感度関数は、パソコン23により設定される。
【0060】
FF制御部45は、キセノンランプ14から発せられたフラッシュ光の照度が閾値を越えた場合に、メモリ(図示せず)に格納された制御パターンに従って、制御信号を第2加算部47へ出力する。この制御パターンは、フラッシュ光が目標照度で一定時間維持されるように定められており、パソコン23によりメモリ(図示せず)に格納される。
【0061】
このFF制御部45は、照度検出器21bが検出するフラッシュ光の照度が閾値を越えた場合をフィードフォワード制御(開ループ制御)の契機としているが、これに限らず、例えば、トリガ信号が出力されたことを表すタイミング信号をトリガ回路32又はパソコン23から受信するようにして、このタイミング信号の受信をフィードフォワード制御の契機としてもよい。
【0062】
第2加算部47は、FB制御部43から出力された制御信号と、FF制御部45から出力された制御信号とを加算して駆動部49へ出力する。
【0063】
駆動部49は第2加算部47から入力される制御信号に応じて、パワースイッチング素子30をスイッチング駆動する。具体的には、駆動部49はパルス幅変調(PWM)によりパワースイッチング素子30に出力するパルス波のデューティー比を変化させることでキセノンランプ14に流れる電流の量を制御する。第2加算部47から入力される制御信号は、パルス波のデューティー比に対応する。
【0064】
そして、デューティー比を最大値まで増加させた後は、デューティー比を最大値のまま暫く保つことで、キセノンランプ14の放電を完了させる。FF制御部45は、このようにフィードフォワード制御を行うことで、キセノンランプ14のフラッシュ光のパルス波形の頂部を目標の照度で一定時間に渡り一定値に維持することができる。このようなフィードフォワード制御は応答性が早いことから、フラッシュ光を目標照度に維持することが容易である。
【0065】
なお、FF制御部45は、上述したように照度検出器21bが検出するフラッシュ光の照度が閾値を越えた時点で(すなわち、最大照度に到達する前に)動作状態に移るが、フラッシュ光の照度が閾値に到達するタイミングまでデューティー比を0としたまま待機する。
【0066】
FB制御部43は、FF制御部45がデューティー比を漸増させる期間、フラッシュ光が目標照度で維持されるようにフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御により、フラッシュ光の照度を目標照度で安定させることができる。パソコン23は、フラッシュ光が目標照度で維持されている間に、太陽電池20の電流・電圧特性を計測する。
【0067】
なお、光パルスの幅t1は、被測定体である太陽電池の応答性に配慮して、適宜に決定することができる。一般に、太陽電池の応答性が速い場合、図2に示したパルス波形の上部平坦部は1msec程度と短くすることができ、応答性が遅い場合は、長くすることになる。著しく応答性が遅い太陽電池の場合には、一例として100msec程度となるように調整してもよい。
【0068】
光パルスのt1の長さが約1〜20msecの場合、キセノンランプのみであればフラッシュ点灯サイクルt2を、約0.5〜1.5secにすることは可能である。フラッシュ点灯サイクルを適切にすることでキセノンランプ14の温度が過熱せずに安定した照度を得ることができる。
【0069】
なお、大電流を出力できる直流電源を用いて、キセノンランプ14をフラッシュ点灯させる方式で光パルス幅を拡張しても、本発明の測定方法を実施するソーラシミュレータの光源として使用することは可能である。
【0070】
一方、ハロゲンランプ13は、その性質上、短時間の点灯は困難で、0.5secから数秒間の点灯となる。ただし、上述したように、照度検出器21aと制御装置(パソコン23)とによって、パルスの頂部を平坦にすることができる。
【0071】
図7は、ハロゲンランプ13の頂部を平坦にしたフラッシュ光のパルスの例である。頂部の平坦部分の長さT1は、0.5sec程度としている。T1が0.5sec程度の場合は、フラッシュ光の間隔T2は5〜10secで、ハロゲンランプ13の照射光による光学部品、被測定太陽電池等の温度上昇の影響を受けないようにすることができる。
【0072】
次に、本発明のソーラシミュレータで多接合型太陽電池の測定をする方法を説明する。まず、第1の光源としてのハロゲンランプ13と、第2の光源としてのキセノンランプ14の照度の設定をする。
【0073】
照度の設定は、次のように行う。測定対象となる太陽電池20が配置される位置に、太陽電池20に代えて基準となる太陽電池を配置し、照度検出器21a、21bを所定の位置に配置する。ここで、太陽電池20及び基準太陽電池は、トップ層用とボトム層用である。各々の基準太陽電池には、ハロゲンランプ13とキセノンランプ14のそれぞれについて、規定照度(1000W/m)での短絡電流Isc又は最大電力Pmaxの校正データを有している。この校正データを、データ処理ボード23aに設定しておく。
【0074】
また、ハロゲンランプ13とキセノンランプ14のそれぞれについて、一般的に知られている照度と太陽電池出力Isc,Pmaxの相関関係をパソコン23のソフトウエアに組み込んでおく。上述した基準太陽電池を測定した段階において、基準太陽電池の測定結果と校正データとから、照度検出器21a、21bでの目標照度を相関関係式から演算して記憶させる。基準太陽電池の次測定において、照度検出器21a、21bでの照度を、この目標照度となるようにランプ電圧が制御されて測定が実行されるので、基準太陽電池の測定結果は校正データに近いデータで測定される。従来、試行錯誤を繰り返して照度設定をしていたのが、非常に少ない回数で照度設定が可能となる。
【0075】
本実施例として、データ処理ボード23aは、予め設定している規定照度(1000W/m)と照度検出器21a、21bに検出された照度をパソコン23の演算部で比較する。そして、演算部での演算結果に基づき、光源であるハロゲンランプ13とキセノンランプ14への印加電圧を制御するアナログ出力ボード23bの出力指令を制御して照度を図3、図5の点線に示す範囲内(ここでは、±1%)に入るように調整する。なお、アナログ出力ボード23bは、図4のパルス幅制御回路14bのコンデンサCへの充電電圧を制御する直流電源22bと、前記の照度の演算結果から、この直流電源22bへの充電電圧を制御する制御信号を出力する信号出力部を具備している。また、アナログ出力ボード23bは、ハロゲンランプ13の電源回路13aがハロゲンランプ13に印加する電圧を制御する信号出力部も備えている。
【0076】
このようにしてハロゲンランプ13とキセノンランプ14の照度の設定ができると、これら2つの光源から太陽電池20に照射される光のスペクトル分布も決定されることになる。
【0077】
検出照度が規定値と同じか規定値に近ければ(この範囲を許容範囲という)、次に、太陽電池20の出力測定に移行する。
【0078】
基準太陽電池に代えて、測定対象となる太陽電池20をセットする。そして、ハロゲンランプ13をフラッシュ点灯し、ハロゲンランプ13のフラッシュ光の頂部が平坦なタイミングで、キセノンランプ14を発光させる。
【0079】
図8は、ハロゲンランプ13のフラッシュ光の頂部が平坦なタイミングで、キセノンランプ14を発光させた状態を示す。2つのフラッシュ光の平坦な部分が重なったとき、太陽電池の測定をすることになる。
【0080】
図8のようなフラッシュ光を1回フラッシュして測定を行うが、照度検出器21a、21bによる検出照度が規定値に対して、許容範囲から外れて高かったり、低かったりする場合は、フラッシュ毎にランプ電圧を増減して、照度が規定値(許容範囲を含む)になるように自動的に制御される。本発明の実施例では、許容範囲としては、±1〜5%を目安としている。予め、ランプ電圧に関して照度がどのように変化するかの特性を把握しておくことで、ランプ電圧によって照度を調整することができる。
【0081】
照度が規定値に近い場合、太陽電池20に接続されている電子負荷22aをその電子負荷指令回路25からの出力によって制御して太陽電池20から出力される電流を加減する。
【0082】
電子負荷指令回路25は、電子負荷22aを、連続的に加減することで掃引するか、又はステップ状に変化させる。パソコン23とデータ収集ボード24を主体とするデータ収集システムは、ハロゲンランプ13とキセノンランプ14の1回のフラッシュ光の間で、照度のデータ、及び、I−Vカーブのための太陽電池20の出力電流、電圧のデータを100〜200組程度収集することができる。
【0083】
予備測定(これについては後述する)として、第1の光源としてのハロゲンランプ13を発光させ、続いてキセノンランプ14を発光させる。その後、本測定として、同様にハロゲンランプ13とキセノンランプ14を発光させる。予備測定と本測定にてハロゲンランプ13とキセノンランプ14の同時発光を2回行うことで出力特性の測定が可能である。このような測定方法により測定時間は、約5秒となる。したがってハロゲンランプ13の発光時間が短いので、光学部品の温度上昇を抑えることができる。また被測定太陽電池の温度上昇が少なくてすむので、より正確な出力特性の測定が可能となる。
【0084】
なお、本発明では、測定に先だって、予備的な測定を行うことが望ましい。予備測定では、本測定と同じフラッシュ発光を行う。このフラッシュ発光では、掃引速度を早くして、電子負荷22aを広範囲に変化させ、測定対象となる太陽電池20の短絡電流Iscと開放電圧Vocの概略値を求める。この概略値を求めることで、電子負荷22aの掃引範囲を特定することができ、本測定の際の掃引速度を遅くすることが可能となる。この予備的なフラッシュ発光は、複数フラッシュで行っても良い。複数フラッシュで行うことにより、より概略値の精度を上げることが可能となり、次の本測定において、より被測定体である太陽電池の特性に適した負荷の掃引が可能となる。
【0085】
こうして短絡電流Iscと開放電圧Vocの概略値が求められたら、I−Vカーブ作成のためのフラッシュ発光を行う。1フラッシュ点灯で電子負荷を掃引し、I−Vカーブの100〜200ポイントのデータを得る。そして、光パルスがその波形における上部平端部の終端に近くなった時点で、データ収集を中止し、ハロゲンランプ13とキセノンランプ14を一端休止させる。その間に、次の1フラッシュ点灯のために、ランプ電圧の制御を行う。予め定めた休止時間が経過した後、次の1フラッシュ点灯を行い、上述した手順と同じようにして照度の比較をし、次の出力特性のデータの収集を行い、これを繰り返す。各フラッシュ光での測定点は、一部がオーバーラップするようにすることで、接続を容易にすることができる。本発明の実施例では、2回のフラッシュ発光により400ポイントでのデータの収集ができ、I−Vカーブを得ることができる。したがって、予備測定に2回のフラッシュ発光を使用したとしても、合計で4回のフラッシュ発光で測定が完了する。
【0086】
本発明の測定方法によれば、ハロゲンランプ13を0.5秒点灯する場合、5〜10秒のインターバルで点灯しても、ランプ温度の上昇の影響を受けないことが分かった。そのため、予備測定を含めて4回のフラッシュ発光を行っても、20〜40秒のサイクルで測定できることになる。本測定は、被測定体である太陽電池の応答に応じて、フラッシュ回数を数回まで増やして測定することも可能である。
【0087】
図9は、ハロゲンランプ13の1回のフラッシュ光の間に、キセノンランプ14のフラッシュ光を複数回発光して行う測定方法を説明する図である。この場合、ハロゲンランプ13の点灯時間は0.5〜数秒の範囲とする。ハロゲンランプ13を数秒点灯した場合、次に点灯するまでに長い時間を要する。また光学部品や被測定太陽電池の温度が上昇しやすい。したがって、この方法を採用する場合は、ハロゲンランプ13の点灯は1回に限定した方がよい。
【0088】
以上によって、被測定体である太陽電池20の出力測定に必要な点数分のデータ収集を行い、収集したデータからI−Vカーブが作成される。本発明において、照度の確認,制御のための発光回数、短絡電流検出のための発光回数、I−Vデータ測定のための発光回数は、いずれも上記例に限られるものではない
【0089】
また、実施例において、電子負荷22aの制御においては、電流を制御する他に、電圧を制御する方式を用いることもできる。また、データ収集過程において、経過時間における照度信号を逐次記録し、前記時間に対応する太陽電池20の電流、電圧信号を記録することがある。この記録データの演算に基づいて照度に対する被測定体の出力応答遅れを算出することができる。前記出力応答遅れに応じて、掃引速度、フラッシュ数を演算して増減させることで、応答遅れに適した測定を行うことも可能である。
【0090】
なお、上記実施例では、1フラッシュ発光で電子負荷22aを掃引して多点のデータを取得したが、これに限定されるものではない。たとえば、1フラッシュ光の間では電子負荷の掃引をせず、1フラッシュ発光で1点のデータを取得するようにしてもよい。応答が非常に遅い太陽電池を測定する場合は、1フラッシュ中、電子負荷22aの制御状態を一定に維持して、被測定体太陽電池からの出力が飽和する光パルス後半部において、データを収集する。太陽電池の応答性に応じて光パルス波形の上部平坦部の長さを長くする。たとえば、標準で4msecであった平坦部の時間を8〜10msecにする。逆に、応答の早い太陽電池を測定する場合は、平坦部の時間を1msecにすることもできる。
【0091】
通常のショートパルスフラッシュ光では、パルス波形に平坦部がないので、応答の
遅い太陽電池は測定できなかったが、本発明では、パルス波形に平坦部があるので、応答
の遅い太陽電池でも正確な測定が可能である。
【0092】
反対に、1回のフラッシュ光の平坦時間を、たとえば、10msec以上に長くして、1
回のフラッシュ光で400ポイント以上のデータを取得することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のソーラシミュレータの構成を示す断面図である。
【図2】本発明のソーラシミュレータのブロック図である。
【図3】キセノンランプによるフラッシュ光の波形図である。
【図4】複数のコイルLとコンデンサCを使用したパルス幅制御回路の一例を示す図である。
【図5】キセノンランプの点灯制御回路のブロック図である。
【図6】図5のコントローラ(波形制御装置)の機能構成例を表す図である。
【図7】ハロゲンランプの頂部を平坦にしたフラッシュ光のパルスの例である。
【図8】ハロゲンランプのフラッシュ光の頂部が平坦なタイミングで、キセノンランプを発光させた状態を示す図である。
【図9】ハロゲンランプの1回のフラッシュ光の間に、キセノンランプのフラッシュ光を複数回発光して行う測定方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0094】
10 ソーラシミュレータ
13 ハロゲンランプ(第1の光源)
14 キセノンランプ(第2の光源)
14b パルス幅制御回路(第2の光源の波形制御装置)
15 第1の光学的なフィルタ
16 第2の光学的なフィルタ
20 太陽電池
21a 照度検出器(第1の光源用)
21b 照度検出器(第2の光源用)
22 負荷回路
22a 電子負荷
23 パソコン(制御装置、第1の光源の波形制御装置)
31 蓄電器
31a コンデンサ
31b コンデンサ群
32 トリガ回路
34 コントローラ(第2の光源の波形制御装置)
43 FB制御部
45 FF制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長帯域を持つ第2の光源と、前記第1の光源からのフラッシュ光の強度を測定する照度検出器と、該照度検出器の測定によって前記第1の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する波形制御装置と、前記第2の光源からのフラッシュ光の強度を測定する照度検出器と、該照度検出器の測定によって前記第2の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する波形制御装置と、測定対象となる太陽電池に負荷を与える負荷回路と、装置全体を制御する制御装置とを有し、前記制御装置が、前記第1の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦な間に、前記第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光より短いパルスのフラッシュ光を1回以上発光させることを特徴とするソーラシミュレータ。
【請求項2】
前記制御装置が、前記第1の光源のフラッシュ光と、前記第2の光源のフラッシュ光とを重ねたフラッシュ光を複数回繰り返すことを特徴とするソーラシミュレータ。
【請求項3】
前記第1の光源のフラッシュ光の所定の波長を通過させて測定対象となる太陽電池に照射する第1の光学的なフィルタと、前記第2の光源のフラッシュ光の所定の波長を通過させて測定対象となる太陽電池に照射する第2の光学的なフィルタと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のソーラシミュレータ。
【請求項4】
前記制御装置が、前記負荷回路によって、前記太陽電池の負荷を掃引できることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のソーラシミュレータ。
【請求項5】
前記第2の光源が波形制御装置を有し、前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように前記波形制御装置が、フィードフォワード制御するFF制御部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のソーラシミュレータ。
【請求項6】
前記波形制御装置が、フィードバック制御するFB制御部を有することを特徴とする請求項5に記載のソーラシミュレータ。
【請求項7】
第1の光源からフラッシュ光を発光させてその強度を照度検出器で測定し、前記第1の光源からのフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように制御する工程と、第1の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦な間に、第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光の平坦部分より短いパルスのフラッシュ光を1回以上発光させる工程と、前記第1と第2の光源からのフラッシュ光を被測定体としての太陽電池に照射し、前記第2の光源からのフラッシュ光の発光中に、前記太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を1点又は2点以上で測定する測定工程と、を有することを特徴とする多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項8】
前記第1の光源からフラッシュ光を複数回発光させ、その都度、前記第2の光源からのフラッシュ光を1回だけ発光させることを特徴とする請求項7に記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項9】
前記第1の光源からのフラッシュ光を第1の光学的なフィルタを通過させて特定の波長帯を通過させる工程と、前記第2の光源からのフラッシュ光を第2の光学的なフィルタを通過させて特定の波長帯を通過させる工程と、を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項10】
前記太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を1点又は2点以上で測定する測定工程が、太陽電池の負荷を掃引して太陽電池から出力される電流と電圧を2点以上で測定する工程であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項11】
前記測定工程に先だって、前記第1の光源と第2の光源からのフラッシュ光を太陽電池に照射し、前記負荷を制御して前記太陽電池の特性値の概略値を求める予備測定工程を有することを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項12】
前記第1の光源がフラッシュ光を1回発光させ、該フラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になる間に、第2の光源からパルス波形の頂部が平坦で、前記第1の光源からのフラッシュ光の平坦部分より短いパルスのフラッシュ光を複数回以上発光させることを特徴とする請求項7に記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項13】
前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように、フィードフォワード制御することを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載の多接合型太陽電池の測定方法。
【請求項14】
前記第2の光源のフラッシュ光のパルス波形の頂部が平坦になるように、さらにフィードバック制御することを特徴とする請求項13に記載の多接合型太陽電池の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−27826(P2010−27826A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186780(P2008−186780)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】