ソーラーエッチングペーストで形成された太陽電池表面開口を洗浄するための方法
裏面誘電体パッシベーションと、局所裏面電界を伴う裏面コンタクトと、を備える薄いシリコン太陽電池が説明される。詳細には、太陽電池は、50から500マイクロメートルの厚さを有する結晶シリコンウエハから作成されてよい。裏面コンタクトの形成時における変形からシリコンウエハを保護するために、シリコンウエハの少なくとも裏面にバリア層及び誘電体層が貼り付けられる。誘電体層に、少なくとも1つの開口が形成される。開口内に尚且つ誘電体層上に、裏面電界を提供するアルミニウムコンタクトが形成される。アルミニウムコンタクトは、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、次いで摂氏750で熱処理を行うことによって貼り付けられてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府は、特許権者に対し、米国エネルギー省によって与えられた協定第DE−FC36−07GO17023号の条項に定められるような妥当な条件で他者に実施権を付与するように要求するために、本発明における全世界における支払い済み非排他的実施権と、限定された状況下における権利とを有している。
〈本発明の技術分野〉
本発明は、総じて、シリコン太陽電池に関するものである。より詳しくは、本発明は、裏面パッシベーション及び光閉じ込め特性をもたらす裏面すなわち背面のコンタクトを形成することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである。これらのデバイスは、多くは光起電性(PV)電池とも称される。太陽電池は、種々様々な半導体から製造される。代表的な半導体材料の1つは、結晶シリコンである。
【0003】
太陽電池は、3つの主な要素:(1)半導体、(2)半導体接合部、及び(3)導電性コンタクトを有する。シリコンなどの半導体は、n型又はp型にドープすることができる。n型シリコンとp型シリコンとを互いに接触するように形成する場合は、太陽電池内においてそれらが接触する領域が半導体接合部である。半導体は、光を吸収する。光からのエネルギーは、シリコン層内の原子の価電子に伝わることができ、これは、価電子がその束縛状態から脱して正孔を後に残すことを可能にする。これらの光生成電子と正孔とは、p−n接合に伴う電界によって分離される。導電性コンタクトは、電流が太陽電池から外部回路へ流れることを可能にする。
【0004】
図1は、先行技術による太陽電池の基本要素を示している。太陽電池は、シリコンウエハ上に作成することができる。太陽電池5は、p型シリコンベース10と、n型シリコンエミッタ20と、底部導電性コンタクト40と、上部導電性コンタクト50とを含む。p型シリコンベース10とn型シリコンエミッタ20とは、互いに接触して接合部を形成する。n型シリコン20は、上部導電性コンタクト50に結合される。p型シリコン10は、底部導電性コンタクト40に結合される。上部導電性コンタクト50及び底部導電性コンタクト40は、負荷75に電気を供給するために、負荷75に結合される。
【0005】
銀を含む上部導電性コンタクト50(「前面コンタクト」)は、電流が太陽電池5に流れ込むことを可能にする。しかしながら、銀は、光を完全には通さないので、上部導電性コンタクト50は、電池5の表面全体を覆っておらず、したがって、上部導電性コンタクト50は、光が太陽電池5に入ることを可能にするための格子パターンを有する。電子は、底部導電性コンタクト40を通じて正孔と結合する前に、上部導電性コンタクト50から負荷75を通って流れる。
【0006】
底部導電性コンタクト40(「背面コンタクト」すなわち「裏面コンタクト」)は、普通は、アルミニウム−シリコン共晶を含んでいる。この導電性コンタクト40は、導通を最大にするために、p型シリコン10の底面全体を覆うのが通常である。アルミニウムは、アルミニウム−シリコン共晶温度である摂氏577度を大きく上回る摂氏およそ750度の高温でシリコンと合金化される。この合金反応は、高濃度にドープされたp型領域をベースの底部に形成し、そこに強い電界を発生させる。この電界は、裏面コンタクトにおいて正孔と再結合しないように光生成電子をはね返すことによって、光生成電子がより効
率的にp−n接合部に集められるようにするのに有用である。
【0007】
シリコンと導電性コンタクトとの間の界面は、通常は、再結合の高い場所である。例えば、裏面全体に広がるアルミニウム裏面電界の裏面再結合速度は、500センチメートル/秒又はそれを上回ると考えられる。高い裏面再結合速度は、電池効率を減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
裏面コンタクトにおける再結合を減らすために使用されてきた方法の1つは、シリコンウエハの裏面に二酸化シリコンの誘電体層を形成することである。この誘電体層は、パッシベーションを向上させるが、誘電体層からシリコンへの開口をどのように形成するか、そして各窓の大きさ及び間隔をどのように最適化するかなどの、その他の問題を生じる。また、誘電体層は、コンタクト形成時におけるアルミニウムとシリコンとの合金化からシリコンウエハを保護せず、これは、シリコンウエハを変形させることがある。薄膜シリコンウエハは、特に変形しやすい。裏面における再結合を減らすための先行技術による解決策は、薄膜シリコンの変形を抑止する、誘電体開口の大きさ及び間隔を決定する、誘電体開口を洗浄する、並びに誘電体開口に高品質の裏面電界を形成するなどの、その他の課題に適切に対処していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で提示される解決策は、誘電体パッシベーション層と、局所アルミニウム裏面電界を伴う裏面コンタクトと、を備える太陽電池構造を含む。裏面コンタクトを形成するためのプロセスが提供される。一実施形態では、n領域及びp領域を有する薄い結晶ウエハの裏面に、誘電体層が形成される。エッチングペーストをスクリーン印刷し、次いで第1の熱処理を行うことによって、誘電体層に開口が形成される。エッチングペーストによって残された残留物を除去するために、フッ化水素酸溶液が使用されてもよい。裏面コンタクトは、裏面全体にコンタクトペーストをスクリーン印刷し、次いで第2の熱処理を行うことによって形成される。コンタクトペーストは、アルミニウムと、原子百分率1〜12%のシリコンとからなる。コンタクトペースト内のシリコンの存在は、第2の熱処理時におけるシリコンに対するアルミニウムの需要を満たし、局所開口において高品質の裏面電界コンタクトを提供する。アルミニウム内にガラスフリットを少量のみ使用する又は全く使用しないことは、デバイス性能を低下させる誘電体層における深刻なアルミニウムスパイキングを回避するのに役立つ。
【0010】
以上は要約であり、ゆえに、詳細の簡略化、一般化、及び省略を必然的に含む。したがって、当業者ならば、要約が例示目的にすぎず、決して限定的であることを意図していないことがわかる。ひとえに特許請求の範囲によって定められる本開示のその他の態様、発明的特徴、及び利点は、以下に述べられる非限定的な詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】先行技術による太陽電池の断面図である。
【図2】局所裏面電界を伴う裏面コンタクトを形成するためのプロセスの一実施形態についてのフローチャートである。
【図3A】裏面線コンタクトについてのDESSISシミュレーション範囲である。
【図3B】裏面点コンタクトについてのDESSISシミュレーション範囲である。
【図4A】75マイクロメートル幅を有するコンタクトについて間隔対効率を示したDESSIS出力グラフである。
【図4B】150マイクロメートル幅を有するコンタクトについて間隔対効率を示したDESSIS出力グラフである。
【図5A−5D】様々なアルミニウムコンタクトペーストについて、電子顕微鏡で局所裏面電界を見た断面図である。
【図6A】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6B】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6C】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6D】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6E】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図7A】シリコンに対する窓開口が点パターンである一実施形態の底面図である。
【図7B】シリコンに対する窓開口が線パターンである一実施形態の底面図である。
【図8】エッチングペーストのスクリーン印刷によって露出された誘電体層の開口を電子顕微鏡で見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、本発明の十分な理解を可能にするために、多くの詳細が示されている。しかしながら、当業者ならば、本発明がこれらの具体的な詳細を示さなくても実施可能であることを理解できる。また、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は詳細に説明されていない。
【0013】
図2は、合金化プロセス時にシリコンウエハを損傷から保護するとともに局所裏面電界をもたらす高品質の裏面コンタクトを形成するためのフローチャートを示している。局所裏面電界(BSF)は、太陽電池の裏面における電子の再結合を減らすのに役立つゆえに、望ましいものである。したがって、太陽電池は、高品質の局所BSFを有する場合に効率が高まる。
【0014】
工程200では、シリコンウエハの上にp型又はn型の層が形成される。シリコンウエハは、結晶質であってよい。シリコンウエハは、200から250マイクロメートルの厚さを有してよい。別の実施形態では、シリコンウエハは、50から500マイクロメートルの厚さを有してよい。シリコンウエハの裏面全体にわたるアルミニウムとシリコンとの合金化は、薄いシリコンウエハを変形させる恐れがある。したがって、工程210では、シリコンウエハの全面にコンタクトを直接形成するのではなく、シリコンウエハの前側及び裏側にバリア層と誘電体層とを成長させる。誘電体層を、一斉に、すなわち同時に成長させてもよい。本発明の一実施形態では、誘電体層は、二酸化シリコンである。本発明の別の実施形態では、誘電体層は、酸化アルミニウムであってもよい。
【0015】
二酸化シリコンは、各側で1000から5000オングストロームの厚さを実現するために、スピンオンプロセスによって形成されてよい。スピンオンプロセスでは、回転するウエハの上に、液状の誘電体が堆積される。スピンオン前駆体は、二酸化シリコンゾルゲルであってよい。二酸化シリコンゾルゲルは、Filmtronics, Inc.から「20B」の名称で市販されている。スピンオンプロセス後、ウエハは、摂氏150から250度の温度で10から20分にわたって乾燥される。二酸化シリコンは、従来のチューブ炉内において、摂氏875から925度の温度で酸素雰囲気内で硬化されてもよい。スピンオンプロセスは、より厚くより均一な二酸化シリコン層の形成を可能にし、これは、誘電体を片面拡散の
ための拡散マスクにする。
【0016】
或いは、二酸化シリコンは、化学気相成長プロセス又はプラズマ化学気相成長(PECVD)プロセスによって形成されてもよい。このようなプロセスは、摂氏300から500度の温度で10から20分間にわたってシラン及び酸素を前駆体として使用してよい。このプロセスのための反応物質を制御するために、反応チャンバが使用されてよい。
【0017】
工程215では、ウエハの前側及び裏側にバリア層が形成される。バリア層は、100から700オングストロームの厚さを有する窒化シリコンであってよい。窒化シリコン層は、PECVDを使用して形成されてよい。シラン及びアンモニアが、それぞれシリコン及び窒化物のPECVD前駆体であってよい。或いは、窒化シリコン層は、適切な反応室内において低圧化学気相成長を使用して形成されてもよい。前面のバリア層は、光を吸収するのに役立つ反射防止被膜となる。バリア層は、また、誘電体層を保護する。裏面にバリア層がないと、裏面誘電体層は、アルミニウムスパイキングを被る場合や空気を通じた不純物に曝される場合がある。更に、誘電体層は、バリア層がないと、スクリーン印刷されたコンタクトの焼成時における高温によって損傷されやすくなる。
【0018】
工程220では、シリコンウエハの裏側の誘電体層及びバリア層に、少なくとも1つの開口が形成される。複数の開口が形成される場合、開口を、シリコンウエハの表面全体に均等に分布させてよい。本発明の一実施形態では、開口は、バリア層にソーラーエッチングペーストを塗布することによって形成される。代表的なソーラーエッチングペーストは、「Solar Etch AX M1」の名称でMerck & Co., Inc.によって製造されるものである。ソーラーエッチングペーストは、前面の誘電体層に開口を形成するために使用されてよい。エッチングペーストは、リン酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、又はフッ化水素アンモニウムを含んでよい。工程220で形成される開口は、点又は線の形状であってよい。
【0019】
ペーストは、誘電体層に開口を形成したい領域のみに塗布されることが望ましい。ペーストは、スクリーン印刷機を使用して塗布されてよい。基板における開口の最適な大きさ及び間隔は、ウエハの抵抗率の関数である。開口の最適な大きさ及び間隔を決定するために、スマート統合システムのためのデバイスシミュレーション(Device Simulations for
Smart Integrated Systems、DESSIS)などのコンピュータプログラムが使用されてよい。DESSISは、コンタクトのタイプ(点又は線)、コンタクトの大きさ(75マイクロメートル又は150マイクロメートル)、及び側方BSF(存在又は不在)を含むパラメータに基づいて、最適な間隔を計算する。シミュレーション範囲は、完全な構造を描写するために周期的に拡張することができる最小単位セルから得られる。シミュレーションの問題を簡単にするため、前面コンタクトパラメータは、前面コンタクトが均一に分布するように定められてよい。このシナリオでは、単位セルの大きさは、DESSISシミュレーションにおける裏面コンタクトの形状によって制御される。
【0020】
線コンタクトについてのシミュレーション範囲が、図3Aに示されている。図3Aのシミュレーション範囲は、p型シリコン300と、n型シリコン310と、誘電体層320と、第1の導電性コンタクト330と、第2の導電性コンタクト360と、局所BSF370とを含む。p型シリコン300は、n型シリコン310、誘電体層320、及び局所BSF370に結合される。局所BSF370は、第2の導電性コンタクト360に結合される。n型シリコン310は、第1の導電性コンタクト330に結合される。
【0021】
同様に、点コンタクトについてのシミュレーション範囲が、図3Bに示されている。図3Bのシミュレーション範囲は、p型シリコン300と、n型シリコン310と、誘電体層320と、第1の導電性コンタクト330と、第2の導電性コンタクト360と、局所
BSF370とを含む。p型シリコン300は、n型シリコン310、誘電体層320、及び局所BSF370に結合される。局所BSF370は、第2の導電性コンタクト360に結合される。n型シリコン310は、第1の導電性コンタクト330に結合される。
【0022】
光学的生成パラメータは、54.7度のファセット角と、率2.0の反射防止膜と、75ナノメートルの厚さとを有するテクスチャ加工されたシリコン表面への均一な光入射を想定して設定されてもよい。入射光は、実際のデバイスでは、前面コンタクトによる遮断のために、およそ8.5%減少するであろう。内部前面反射は、92%に設定されてよい。裏面反射は、85%に設定されてよい。
【0023】
エミッタの分布は、表面におけるピークn型ドープ濃度が1.14×1020/立方センチメートルで接合深さが0.3マイクロメートルのガウス分布であってよく、これは、およそ80オーム/スクエアのシート抵抗を有するエミッタに対応する。或いは、エミッタのシート抵抗は、70から90オーム/スクエアの範囲で可変であってよい。
【0024】
裏面コンタクトにおける局所BSFは、厚さが1.47マイクロメートルで、一定のp型ドープ濃度1×1019/立方センチメートルを有するものと定められてよい。これは、結果として、2.0オームセンチメートルの基板上のコンタクトにおける有効表面再結合速度を、およそ300センチメートル/秒にする。側方BSFについてシミュレーションするために、BSF層を、コンタクトエッジから外側に少なくとも1.3マイクロメートル側方に拡張することができる。側方BSFがない場合についてシミュレーションするために、BSF層を、コンタクト領域のみを覆うように定めることができる。
【0025】
その他のパラメータ設定は、50から200マイクロメートルのセル厚さと、1.5から2.5オームセンチメートルの抵抗率と、50,000から70,000センチメートル/秒の前面再結合速度と、40から60センチメートル/秒の誘電体における裏面再結合速度と、0オーム平方センチメートルの接触抵抗とを含んでよい。これらのパラメータを使用し、75マイクロメートル幅を有するコンタクトについてコンタクトの間隔に依存する太陽電池効率を示したDESSIS出力グラフが、図4Aに示され、150マイクロメートル幅を有するコンタクトについてコンタクトの間隔に依存する太陽電池効率を示したDESSIS出力グラフが、図4Bに示されている。
【0026】
エッチングペーストを塗布した後、エッチングペーストは、摂氏300から380度の温度の熱源に30から45秒にわたって晒される。ソーラーエッチングペーストにつながれた熱源は、ペーストの下のバリア層と誘電体層とを溶かし、基板への開口を後に残す。結果として生じる開口内又は開口周辺の残留物を除去するために、フッ化水素酸溶液が使用されてよい。
【0027】
本発明の別の実施形態の場合、誘電体層における開口は、レーザ又は機械的スクライブを使用して形成されてもよい。開口は、裏面表面積の1から10%を占めてもよい。工程220の後、誘電体層は、裏面の残余部分上に存在している。
【0028】
工程230では、原子百分率1から12%のシリコンを含有するアルミニウムペーストによって、裏面コンタクト層が塗布される。本発明の一実施形態では、アルミニウムペーストは、いずれもFerro Corporationから市販されている製品番号:AL 53-090、AL 53-110、AL 53-120、AL 53-130、AL 53-131、又はAL 5540であってよい。本発明の別の実施形態では、アルミニウムペーストは、DuPont Corporation、Cermet Materials, Inc.、Chimet Chemicals、Cixi Lvhuan Healthy Products、Daejoo Electronic Materials、Exojet Electronic、Hamilton Precision Metals, Inc.、Metalor Technologies、PEMCO Corporation、Shanghai Daejoo、Young Solar、又はZhonglian Solar Technologyによって製造さ
れている市販のアルミニウムペーストであってよい。アルミニウムペーストは、有機ビヒクル内に分散されたアルミニウム微粒子を含んでよい。有機ビヒクルは、更に、エチルセルロース又はメチルセルロースなどの結合剤と、テルピネオール又はカルビトールなどの溶媒とを含んでよい。シリコン成分は、結果得られる「コンタクトペースト」が原子百分率1から12%のシリコンを含むように、アルミニウムペーストに加えられる。
【0029】
図5Aから5Dは、アルミニウムペースト内に含まれるシリコン成分が局所BSFの形成を向上させることを示している。BSFの品質は、BSF領域の均一性と厚さとによって定められる。図5A〜5Dは、走査型電子顕微鏡で見た断面図である。図5Aは、フリットを加えたアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Bは、フリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Cは、原子百分率7%のシリコンを有するフリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Dは、原子百分率12%のシリコンを有するフリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5A〜5Dから、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムペーストの方が、シリコン成分を有さないアルミニウムペーストよりも高品質のBSFを生じることが明らかである。局所BSFは、特に、高い抵抗率を有する基板上において、優れたオーミックコンタクトを実現するのに役立つ。
【0030】
更に、局所BSFは、金属界面における高い再結合による影響を最小限に抑えるのに役立つ。裏面全体に広がるアルミニウムBSFの裏面再結合速度は、約500センチメートル/秒である。これに対して、12%のシリコンを有するアルミニウムペーストによって形成された局所アルミニウムBSFによる誘電体裏面パッシベーションは、裏面再結合速度を125センチメートル/秒又はそれ未満に減少させる。
【0031】
アルミニウム及びシリコンを有するコンタクトペーストは、スクリーン印刷機を使用して塗布されてよい。本発明の一実施形態では、コンタクトペーストは、フリットを含まない。本発明の別の実施形態では、コンタクトペーストはフリットが少量である。フリットを含まない又はフリットが少量のアルミニウムは、誘電体層をエッチングすることも阻害することもない。
【0032】
次に、コンタクトペーストに対して熱処理が行われる。工程240では、熱は、摂氏700から900度の温度へ「ランプアップ」される。ピーク温度へのランプアップ時間は、1から5秒である。シリコンは、共晶温度より高い温度でアルミニウムに溶け、これは、アルミニウムとシリコンとの溶融合金を形成する。高速なランプアップ時間は、より均一なBSFの形成に役立つ。ピーク温度に達すると、その温度は、工程250において、3秒以下にわたって維持される。例えば、ピーク温度は、1から3秒にわたって維持されてよい。この短時間におけるピーク温度の維持は、不純物を接合へ拡散しにくくするゆえに、接合リーク電流を抑止するのに役立つ。
【0033】
最後に、温度は、工程260において、摂氏400度又はそれ未満に「ランプダウン」される。ランプダウン時間は、3から6秒である。この高速なランプダウン時間は、強制冷却によって実現されてよい。温度を摂氏400度又はそれ未満に急速にランプダウンするために、例えば、ウエハを高速で熱源から取り除くファン又は駆動ベルトが使用されてよい。
【0034】
高速なランプダウンは、バルク領域におけるパッシベーションを可能にする。本発明の一実施形態では、バリア層は、4×1021から7×1022原子/立方センチメートルの水素濃度を含んでよい。水素は、PECVD前駆体によって窒化シリコン層に組み込まれてよい。したがって、熱処理時に、水素はバリア層から分離される。水素原子は、シリコン内の欠陥に結合することによって、シリコンウエハのバルク領域におけるパッシベーショ
ンを助けることができる。
【0035】
アルミニウムに対するシリコンの溶解度は、合金の温度に比例する。したがって、冷却時は、合金内のシリコンの割合が減少する。溶解物から過剰なシリコンが追い出され、シリコン液界面においてエピタキシャルに再成長する。この再成長層には、凝固温度におけるシリコンに対するアルミニウムの有限固溶度にしたがって、アルミニウムがドープされる。その結果、再成長層は、p+BSF層になる。
【0036】
アルミニウムとシリコンとの組み合わせの代わりに純粋なアルミニウムが使用される場合、アルミニウムは、高温においてシリコンを欲する。その結果、開口内におけるシリコン表面へのシリコンの追い出しが減少する。これは、裏面パッシベーションの質を低下させ、電池性能を下げる。
【0037】
シリコンを有するアルミニウム裏面コンタクトに結合された誘電体層は、絶対的な電池効率を向上させる働きもする。絶対的な電池効率は、入射光をエネルギーに変換する太陽電池の能力によって測定される。全面アルミニウム共晶裏面コンタクトは、約60%の裏面反射率を有する。裏面反射率は、裏面によってシリコン内へ反射される入射光の割合によって定義される。本発明において開示される裏面コンタクトは、85%を超える裏面反射率を生じる。アルミニウムとシリコンとからなる裏面コンタクトに結合された誘電体層は、太陽電池効率を1から2%高める。
【0038】
コンタクトペースト内の原子百分率1から12%のシリコン添加物は、シリコンのアルミニウムを飽和させる働きをする。アルミニウムは一定のシリコン濃度を有するので、多くのシリコンが、冷却時に溶解物から開口へ追い出される。追い出されたシリコンは、一定のアルミニウム濃度を有しており、シリコン液界面においてエピタキシャルに再成長してp+BSF層を形成する。図5A〜5Dに示される実験室試験の結果は、シリコン添加物によって、6から15マイクロメートルの局所BSF深さが実現可能であることを示している。
【0039】
裏面コンタクトは、従来、シリコンウエハの裏面全体に直接貼り付けていた。アルミニウムペーストにシリコンが追加され、基板の裏面全体に貼り付けられる場合、シリコン基板から溶け出すシリコンが減るため、BSF層の厚さの減少が観測される。したがって、アルミニウムペーストへのシリコンの追加は、従来の通念に反することである。しかしながら、発明者らは、アルミニウムペーストへのシリコンの追加が、局部の開口の形状に対してはBSFの深さを増大させることを発見した。アルミニウムペースト内にシリコンが存在しない場合、開口から離れたところのアルミニウム層は、冷却時に平衡状態を維持するために、原子百分率12%を超えるシリコンを必要とする。これは、開口における再成長に利用可能なシリコンの量を減少させ、結果として局所BSFを薄くする。アルミニウムペーストへのシリコンの追加は、シリコンに対するアルミニウムの需要を満足させる。したがって、開口内のアルミニウムとシリコンとの溶融合金に含まれるシリコンの大半を、再成長のために利用可能であり、結果として局所BSFが厚くなる。
【0040】
BSFの向上に加えて、シリコンを有するコンタクトペーストは、アルミニウムスパイキングを抑止するのに役立つ。アルミニウムに対するシリコンの溶解度は、温度の上昇とともに増大する。シリコンがアルミニウム内に拡散するにつれて、去っていくシリコンによって形成されるボイドに、次々とアルミニウムが入っていく。アルミニウムがシリコンウエハのp−n接合又はp+−p接合を突き抜ける場合、結果として性能が低下する。
【0041】
上述のように、コンタクトペーストは、原子百分率1から12%のシリコンを有するので、アルミニウムは、既に、シリコン原子で飽和されている。したがって、熱処理時に、
シリコン原子が、基板からアルミニウム層内へ拡散することが抑止される。したがって、去っていくシリコンによって基板内にボイドが形成されることはなく、アルミニウムスパイキングが回避される。
【0042】
図6Aから6Dは、作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。図6Aは、拡散層610にドープ基板600が結合されたシリコンウエハを示している。
【0043】
図6Bでは、ドープ基板600に誘電体層620が結合される。また、拡散層610に誘電体層630が結合される。この誘電体層620は、二酸化シリコンであってよい。誘電体層620は、上述のようにスピンオンプロセスによって形成されてよい。
【0044】
図6Cは、誘電体層620に結合されるバリア層640、及び誘電体層630に結合されるバリア層650を示している。バリア層640,650は、PECVDによって形成される窒化シリコンからなってよい。バリア層640,650は、誘電体層を保護する。更に、バリア層650は、太陽電池の前面に反射防止被膜を提供することができる。
【0045】
図6Dは、誘電体層620及びバリア層640における開口625を示している。開口635も、誘電体層630及びバリア層650に形成されてよい。本発明の一実施形態では、開口625及び開口635は、誘電体層にソーラーエッチングペーストを塗布し、次いで誘電体層に熱処理を行うことによって、形成されてよい。熱処理は、摂氏300から380度の温度を含んでよい。熱処理は、ペーストの下の誘電体層を溶かし、図8に示されるように、シリコン810への開口を誘電体層805に形成する。図8は、シリコン810への開口を有する誘電体層805の底面図を示している。本発明の別の実施形態では、開口625及び開口635は、レーザによって形成されてよい。本発明の更に別の実施形態では、開口625及び開口635は、機械的スクライブによって形成されてよい。
【0046】
開口625は、点又は線の形状であってよい。図7Aは、シリコンへの開口725を点パターンで有するバリア層740の底面図を示している。点開口は、方形又は円形の形状を有してよい。図7Bは、シリコンへの開口725を線パターンで有するバリア層740の底面図を示している。
【0047】
図6Eは、開口625を通じて誘電体層620、バリア層640、及びドープ基板600に結合された裏面コンタクト660を示している。この裏面コンタクトは、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムからなってよい。アルミニウムへのシリコンの追加は、6〜15マイクロメートルの深さを有する高品質のBSF670をもたらす。
【0048】
本明細書において、本発明は、その具体的な代表的実施形態を参照して説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に示された、より広範囲の発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がなされえることは明らかである。したがって、明細書及び図面は、限定的意味ではなく例示的であると見なされる。
【技術分野】
【0001】
米国政府は、特許権者に対し、米国エネルギー省によって与えられた協定第DE−FC36−07GO17023号の条項に定められるような妥当な条件で他者に実施権を付与するように要求するために、本発明における全世界における支払い済み非排他的実施権と、限定された状況下における権利とを有している。
〈本発明の技術分野〉
本発明は、総じて、シリコン太陽電池に関するものである。より詳しくは、本発明は、裏面パッシベーション及び光閉じ込め特性をもたらす裏面すなわち背面のコンタクトを形成することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである。これらのデバイスは、多くは光起電性(PV)電池とも称される。太陽電池は、種々様々な半導体から製造される。代表的な半導体材料の1つは、結晶シリコンである。
【0003】
太陽電池は、3つの主な要素:(1)半導体、(2)半導体接合部、及び(3)導電性コンタクトを有する。シリコンなどの半導体は、n型又はp型にドープすることができる。n型シリコンとp型シリコンとを互いに接触するように形成する場合は、太陽電池内においてそれらが接触する領域が半導体接合部である。半導体は、光を吸収する。光からのエネルギーは、シリコン層内の原子の価電子に伝わることができ、これは、価電子がその束縛状態から脱して正孔を後に残すことを可能にする。これらの光生成電子と正孔とは、p−n接合に伴う電界によって分離される。導電性コンタクトは、電流が太陽電池から外部回路へ流れることを可能にする。
【0004】
図1は、先行技術による太陽電池の基本要素を示している。太陽電池は、シリコンウエハ上に作成することができる。太陽電池5は、p型シリコンベース10と、n型シリコンエミッタ20と、底部導電性コンタクト40と、上部導電性コンタクト50とを含む。p型シリコンベース10とn型シリコンエミッタ20とは、互いに接触して接合部を形成する。n型シリコン20は、上部導電性コンタクト50に結合される。p型シリコン10は、底部導電性コンタクト40に結合される。上部導電性コンタクト50及び底部導電性コンタクト40は、負荷75に電気を供給するために、負荷75に結合される。
【0005】
銀を含む上部導電性コンタクト50(「前面コンタクト」)は、電流が太陽電池5に流れ込むことを可能にする。しかしながら、銀は、光を完全には通さないので、上部導電性コンタクト50は、電池5の表面全体を覆っておらず、したがって、上部導電性コンタクト50は、光が太陽電池5に入ることを可能にするための格子パターンを有する。電子は、底部導電性コンタクト40を通じて正孔と結合する前に、上部導電性コンタクト50から負荷75を通って流れる。
【0006】
底部導電性コンタクト40(「背面コンタクト」すなわち「裏面コンタクト」)は、普通は、アルミニウム−シリコン共晶を含んでいる。この導電性コンタクト40は、導通を最大にするために、p型シリコン10の底面全体を覆うのが通常である。アルミニウムは、アルミニウム−シリコン共晶温度である摂氏577度を大きく上回る摂氏およそ750度の高温でシリコンと合金化される。この合金反応は、高濃度にドープされたp型領域をベースの底部に形成し、そこに強い電界を発生させる。この電界は、裏面コンタクトにおいて正孔と再結合しないように光生成電子をはね返すことによって、光生成電子がより効
率的にp−n接合部に集められるようにするのに有用である。
【0007】
シリコンと導電性コンタクトとの間の界面は、通常は、再結合の高い場所である。例えば、裏面全体に広がるアルミニウム裏面電界の裏面再結合速度は、500センチメートル/秒又はそれを上回ると考えられる。高い裏面再結合速度は、電池効率を減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
裏面コンタクトにおける再結合を減らすために使用されてきた方法の1つは、シリコンウエハの裏面に二酸化シリコンの誘電体層を形成することである。この誘電体層は、パッシベーションを向上させるが、誘電体層からシリコンへの開口をどのように形成するか、そして各窓の大きさ及び間隔をどのように最適化するかなどの、その他の問題を生じる。また、誘電体層は、コンタクト形成時におけるアルミニウムとシリコンとの合金化からシリコンウエハを保護せず、これは、シリコンウエハを変形させることがある。薄膜シリコンウエハは、特に変形しやすい。裏面における再結合を減らすための先行技術による解決策は、薄膜シリコンの変形を抑止する、誘電体開口の大きさ及び間隔を決定する、誘電体開口を洗浄する、並びに誘電体開口に高品質の裏面電界を形成するなどの、その他の課題に適切に対処していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で提示される解決策は、誘電体パッシベーション層と、局所アルミニウム裏面電界を伴う裏面コンタクトと、を備える太陽電池構造を含む。裏面コンタクトを形成するためのプロセスが提供される。一実施形態では、n領域及びp領域を有する薄い結晶ウエハの裏面に、誘電体層が形成される。エッチングペーストをスクリーン印刷し、次いで第1の熱処理を行うことによって、誘電体層に開口が形成される。エッチングペーストによって残された残留物を除去するために、フッ化水素酸溶液が使用されてもよい。裏面コンタクトは、裏面全体にコンタクトペーストをスクリーン印刷し、次いで第2の熱処理を行うことによって形成される。コンタクトペーストは、アルミニウムと、原子百分率1〜12%のシリコンとからなる。コンタクトペースト内のシリコンの存在は、第2の熱処理時におけるシリコンに対するアルミニウムの需要を満たし、局所開口において高品質の裏面電界コンタクトを提供する。アルミニウム内にガラスフリットを少量のみ使用する又は全く使用しないことは、デバイス性能を低下させる誘電体層における深刻なアルミニウムスパイキングを回避するのに役立つ。
【0010】
以上は要約であり、ゆえに、詳細の簡略化、一般化、及び省略を必然的に含む。したがって、当業者ならば、要約が例示目的にすぎず、決して限定的であることを意図していないことがわかる。ひとえに特許請求の範囲によって定められる本開示のその他の態様、発明的特徴、及び利点は、以下に述べられる非限定的な詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】先行技術による太陽電池の断面図である。
【図2】局所裏面電界を伴う裏面コンタクトを形成するためのプロセスの一実施形態についてのフローチャートである。
【図3A】裏面線コンタクトについてのDESSISシミュレーション範囲である。
【図3B】裏面点コンタクトについてのDESSISシミュレーション範囲である。
【図4A】75マイクロメートル幅を有するコンタクトについて間隔対効率を示したDESSIS出力グラフである。
【図4B】150マイクロメートル幅を有するコンタクトについて間隔対効率を示したDESSIS出力グラフである。
【図5A−5D】様々なアルミニウムコンタクトペーストについて、電子顕微鏡で局所裏面電界を見た断面図である。
【図6A】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6B】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6C】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6D】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図6E】裏面コンタクト作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。
【図7A】シリコンに対する窓開口が点パターンである一実施形態の底面図である。
【図7B】シリコンに対する窓開口が線パターンである一実施形態の底面図である。
【図8】エッチングペーストのスクリーン印刷によって露出された誘電体層の開口を電子顕微鏡で見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、本発明の十分な理解を可能にするために、多くの詳細が示されている。しかしながら、当業者ならば、本発明がこれらの具体的な詳細を示さなくても実施可能であることを理解できる。また、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は詳細に説明されていない。
【0013】
図2は、合金化プロセス時にシリコンウエハを損傷から保護するとともに局所裏面電界をもたらす高品質の裏面コンタクトを形成するためのフローチャートを示している。局所裏面電界(BSF)は、太陽電池の裏面における電子の再結合を減らすのに役立つゆえに、望ましいものである。したがって、太陽電池は、高品質の局所BSFを有する場合に効率が高まる。
【0014】
工程200では、シリコンウエハの上にp型又はn型の層が形成される。シリコンウエハは、結晶質であってよい。シリコンウエハは、200から250マイクロメートルの厚さを有してよい。別の実施形態では、シリコンウエハは、50から500マイクロメートルの厚さを有してよい。シリコンウエハの裏面全体にわたるアルミニウムとシリコンとの合金化は、薄いシリコンウエハを変形させる恐れがある。したがって、工程210では、シリコンウエハの全面にコンタクトを直接形成するのではなく、シリコンウエハの前側及び裏側にバリア層と誘電体層とを成長させる。誘電体層を、一斉に、すなわち同時に成長させてもよい。本発明の一実施形態では、誘電体層は、二酸化シリコンである。本発明の別の実施形態では、誘電体層は、酸化アルミニウムであってもよい。
【0015】
二酸化シリコンは、各側で1000から5000オングストロームの厚さを実現するために、スピンオンプロセスによって形成されてよい。スピンオンプロセスでは、回転するウエハの上に、液状の誘電体が堆積される。スピンオン前駆体は、二酸化シリコンゾルゲルであってよい。二酸化シリコンゾルゲルは、Filmtronics, Inc.から「20B」の名称で市販されている。スピンオンプロセス後、ウエハは、摂氏150から250度の温度で10から20分にわたって乾燥される。二酸化シリコンは、従来のチューブ炉内において、摂氏875から925度の温度で酸素雰囲気内で硬化されてもよい。スピンオンプロセスは、より厚くより均一な二酸化シリコン層の形成を可能にし、これは、誘電体を片面拡散の
ための拡散マスクにする。
【0016】
或いは、二酸化シリコンは、化学気相成長プロセス又はプラズマ化学気相成長(PECVD)プロセスによって形成されてもよい。このようなプロセスは、摂氏300から500度の温度で10から20分間にわたってシラン及び酸素を前駆体として使用してよい。このプロセスのための反応物質を制御するために、反応チャンバが使用されてよい。
【0017】
工程215では、ウエハの前側及び裏側にバリア層が形成される。バリア層は、100から700オングストロームの厚さを有する窒化シリコンであってよい。窒化シリコン層は、PECVDを使用して形成されてよい。シラン及びアンモニアが、それぞれシリコン及び窒化物のPECVD前駆体であってよい。或いは、窒化シリコン層は、適切な反応室内において低圧化学気相成長を使用して形成されてもよい。前面のバリア層は、光を吸収するのに役立つ反射防止被膜となる。バリア層は、また、誘電体層を保護する。裏面にバリア層がないと、裏面誘電体層は、アルミニウムスパイキングを被る場合や空気を通じた不純物に曝される場合がある。更に、誘電体層は、バリア層がないと、スクリーン印刷されたコンタクトの焼成時における高温によって損傷されやすくなる。
【0018】
工程220では、シリコンウエハの裏側の誘電体層及びバリア層に、少なくとも1つの開口が形成される。複数の開口が形成される場合、開口を、シリコンウエハの表面全体に均等に分布させてよい。本発明の一実施形態では、開口は、バリア層にソーラーエッチングペーストを塗布することによって形成される。代表的なソーラーエッチングペーストは、「Solar Etch AX M1」の名称でMerck & Co., Inc.によって製造されるものである。ソーラーエッチングペーストは、前面の誘電体層に開口を形成するために使用されてよい。エッチングペーストは、リン酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、又はフッ化水素アンモニウムを含んでよい。工程220で形成される開口は、点又は線の形状であってよい。
【0019】
ペーストは、誘電体層に開口を形成したい領域のみに塗布されることが望ましい。ペーストは、スクリーン印刷機を使用して塗布されてよい。基板における開口の最適な大きさ及び間隔は、ウエハの抵抗率の関数である。開口の最適な大きさ及び間隔を決定するために、スマート統合システムのためのデバイスシミュレーション(Device Simulations for
Smart Integrated Systems、DESSIS)などのコンピュータプログラムが使用されてよい。DESSISは、コンタクトのタイプ(点又は線)、コンタクトの大きさ(75マイクロメートル又は150マイクロメートル)、及び側方BSF(存在又は不在)を含むパラメータに基づいて、最適な間隔を計算する。シミュレーション範囲は、完全な構造を描写するために周期的に拡張することができる最小単位セルから得られる。シミュレーションの問題を簡単にするため、前面コンタクトパラメータは、前面コンタクトが均一に分布するように定められてよい。このシナリオでは、単位セルの大きさは、DESSISシミュレーションにおける裏面コンタクトの形状によって制御される。
【0020】
線コンタクトについてのシミュレーション範囲が、図3Aに示されている。図3Aのシミュレーション範囲は、p型シリコン300と、n型シリコン310と、誘電体層320と、第1の導電性コンタクト330と、第2の導電性コンタクト360と、局所BSF370とを含む。p型シリコン300は、n型シリコン310、誘電体層320、及び局所BSF370に結合される。局所BSF370は、第2の導電性コンタクト360に結合される。n型シリコン310は、第1の導電性コンタクト330に結合される。
【0021】
同様に、点コンタクトについてのシミュレーション範囲が、図3Bに示されている。図3Bのシミュレーション範囲は、p型シリコン300と、n型シリコン310と、誘電体層320と、第1の導電性コンタクト330と、第2の導電性コンタクト360と、局所
BSF370とを含む。p型シリコン300は、n型シリコン310、誘電体層320、及び局所BSF370に結合される。局所BSF370は、第2の導電性コンタクト360に結合される。n型シリコン310は、第1の導電性コンタクト330に結合される。
【0022】
光学的生成パラメータは、54.7度のファセット角と、率2.0の反射防止膜と、75ナノメートルの厚さとを有するテクスチャ加工されたシリコン表面への均一な光入射を想定して設定されてもよい。入射光は、実際のデバイスでは、前面コンタクトによる遮断のために、およそ8.5%減少するであろう。内部前面反射は、92%に設定されてよい。裏面反射は、85%に設定されてよい。
【0023】
エミッタの分布は、表面におけるピークn型ドープ濃度が1.14×1020/立方センチメートルで接合深さが0.3マイクロメートルのガウス分布であってよく、これは、およそ80オーム/スクエアのシート抵抗を有するエミッタに対応する。或いは、エミッタのシート抵抗は、70から90オーム/スクエアの範囲で可変であってよい。
【0024】
裏面コンタクトにおける局所BSFは、厚さが1.47マイクロメートルで、一定のp型ドープ濃度1×1019/立方センチメートルを有するものと定められてよい。これは、結果として、2.0オームセンチメートルの基板上のコンタクトにおける有効表面再結合速度を、およそ300センチメートル/秒にする。側方BSFについてシミュレーションするために、BSF層を、コンタクトエッジから外側に少なくとも1.3マイクロメートル側方に拡張することができる。側方BSFがない場合についてシミュレーションするために、BSF層を、コンタクト領域のみを覆うように定めることができる。
【0025】
その他のパラメータ設定は、50から200マイクロメートルのセル厚さと、1.5から2.5オームセンチメートルの抵抗率と、50,000から70,000センチメートル/秒の前面再結合速度と、40から60センチメートル/秒の誘電体における裏面再結合速度と、0オーム平方センチメートルの接触抵抗とを含んでよい。これらのパラメータを使用し、75マイクロメートル幅を有するコンタクトについてコンタクトの間隔に依存する太陽電池効率を示したDESSIS出力グラフが、図4Aに示され、150マイクロメートル幅を有するコンタクトについてコンタクトの間隔に依存する太陽電池効率を示したDESSIS出力グラフが、図4Bに示されている。
【0026】
エッチングペーストを塗布した後、エッチングペーストは、摂氏300から380度の温度の熱源に30から45秒にわたって晒される。ソーラーエッチングペーストにつながれた熱源は、ペーストの下のバリア層と誘電体層とを溶かし、基板への開口を後に残す。結果として生じる開口内又は開口周辺の残留物を除去するために、フッ化水素酸溶液が使用されてよい。
【0027】
本発明の別の実施形態の場合、誘電体層における開口は、レーザ又は機械的スクライブを使用して形成されてもよい。開口は、裏面表面積の1から10%を占めてもよい。工程220の後、誘電体層は、裏面の残余部分上に存在している。
【0028】
工程230では、原子百分率1から12%のシリコンを含有するアルミニウムペーストによって、裏面コンタクト層が塗布される。本発明の一実施形態では、アルミニウムペーストは、いずれもFerro Corporationから市販されている製品番号:AL 53-090、AL 53-110、AL 53-120、AL 53-130、AL 53-131、又はAL 5540であってよい。本発明の別の実施形態では、アルミニウムペーストは、DuPont Corporation、Cermet Materials, Inc.、Chimet Chemicals、Cixi Lvhuan Healthy Products、Daejoo Electronic Materials、Exojet Electronic、Hamilton Precision Metals, Inc.、Metalor Technologies、PEMCO Corporation、Shanghai Daejoo、Young Solar、又はZhonglian Solar Technologyによって製造さ
れている市販のアルミニウムペーストであってよい。アルミニウムペーストは、有機ビヒクル内に分散されたアルミニウム微粒子を含んでよい。有機ビヒクルは、更に、エチルセルロース又はメチルセルロースなどの結合剤と、テルピネオール又はカルビトールなどの溶媒とを含んでよい。シリコン成分は、結果得られる「コンタクトペースト」が原子百分率1から12%のシリコンを含むように、アルミニウムペーストに加えられる。
【0029】
図5Aから5Dは、アルミニウムペースト内に含まれるシリコン成分が局所BSFの形成を向上させることを示している。BSFの品質は、BSF領域の均一性と厚さとによって定められる。図5A〜5Dは、走査型電子顕微鏡で見た断面図である。図5Aは、フリットを加えたアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Bは、フリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Cは、原子百分率7%のシリコンを有するフリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5Dは、原子百分率12%のシリコンを有するフリットを含まないアルミニウムペーストで形成された局所BSFである。図5A〜5Dから、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムペーストの方が、シリコン成分を有さないアルミニウムペーストよりも高品質のBSFを生じることが明らかである。局所BSFは、特に、高い抵抗率を有する基板上において、優れたオーミックコンタクトを実現するのに役立つ。
【0030】
更に、局所BSFは、金属界面における高い再結合による影響を最小限に抑えるのに役立つ。裏面全体に広がるアルミニウムBSFの裏面再結合速度は、約500センチメートル/秒である。これに対して、12%のシリコンを有するアルミニウムペーストによって形成された局所アルミニウムBSFによる誘電体裏面パッシベーションは、裏面再結合速度を125センチメートル/秒又はそれ未満に減少させる。
【0031】
アルミニウム及びシリコンを有するコンタクトペーストは、スクリーン印刷機を使用して塗布されてよい。本発明の一実施形態では、コンタクトペーストは、フリットを含まない。本発明の別の実施形態では、コンタクトペーストはフリットが少量である。フリットを含まない又はフリットが少量のアルミニウムは、誘電体層をエッチングすることも阻害することもない。
【0032】
次に、コンタクトペーストに対して熱処理が行われる。工程240では、熱は、摂氏700から900度の温度へ「ランプアップ」される。ピーク温度へのランプアップ時間は、1から5秒である。シリコンは、共晶温度より高い温度でアルミニウムに溶け、これは、アルミニウムとシリコンとの溶融合金を形成する。高速なランプアップ時間は、より均一なBSFの形成に役立つ。ピーク温度に達すると、その温度は、工程250において、3秒以下にわたって維持される。例えば、ピーク温度は、1から3秒にわたって維持されてよい。この短時間におけるピーク温度の維持は、不純物を接合へ拡散しにくくするゆえに、接合リーク電流を抑止するのに役立つ。
【0033】
最後に、温度は、工程260において、摂氏400度又はそれ未満に「ランプダウン」される。ランプダウン時間は、3から6秒である。この高速なランプダウン時間は、強制冷却によって実現されてよい。温度を摂氏400度又はそれ未満に急速にランプダウンするために、例えば、ウエハを高速で熱源から取り除くファン又は駆動ベルトが使用されてよい。
【0034】
高速なランプダウンは、バルク領域におけるパッシベーションを可能にする。本発明の一実施形態では、バリア層は、4×1021から7×1022原子/立方センチメートルの水素濃度を含んでよい。水素は、PECVD前駆体によって窒化シリコン層に組み込まれてよい。したがって、熱処理時に、水素はバリア層から分離される。水素原子は、シリコン内の欠陥に結合することによって、シリコンウエハのバルク領域におけるパッシベーショ
ンを助けることができる。
【0035】
アルミニウムに対するシリコンの溶解度は、合金の温度に比例する。したがって、冷却時は、合金内のシリコンの割合が減少する。溶解物から過剰なシリコンが追い出され、シリコン液界面においてエピタキシャルに再成長する。この再成長層には、凝固温度におけるシリコンに対するアルミニウムの有限固溶度にしたがって、アルミニウムがドープされる。その結果、再成長層は、p+BSF層になる。
【0036】
アルミニウムとシリコンとの組み合わせの代わりに純粋なアルミニウムが使用される場合、アルミニウムは、高温においてシリコンを欲する。その結果、開口内におけるシリコン表面へのシリコンの追い出しが減少する。これは、裏面パッシベーションの質を低下させ、電池性能を下げる。
【0037】
シリコンを有するアルミニウム裏面コンタクトに結合された誘電体層は、絶対的な電池効率を向上させる働きもする。絶対的な電池効率は、入射光をエネルギーに変換する太陽電池の能力によって測定される。全面アルミニウム共晶裏面コンタクトは、約60%の裏面反射率を有する。裏面反射率は、裏面によってシリコン内へ反射される入射光の割合によって定義される。本発明において開示される裏面コンタクトは、85%を超える裏面反射率を生じる。アルミニウムとシリコンとからなる裏面コンタクトに結合された誘電体層は、太陽電池効率を1から2%高める。
【0038】
コンタクトペースト内の原子百分率1から12%のシリコン添加物は、シリコンのアルミニウムを飽和させる働きをする。アルミニウムは一定のシリコン濃度を有するので、多くのシリコンが、冷却時に溶解物から開口へ追い出される。追い出されたシリコンは、一定のアルミニウム濃度を有しており、シリコン液界面においてエピタキシャルに再成長してp+BSF層を形成する。図5A〜5Dに示される実験室試験の結果は、シリコン添加物によって、6から15マイクロメートルの局所BSF深さが実現可能であることを示している。
【0039】
裏面コンタクトは、従来、シリコンウエハの裏面全体に直接貼り付けていた。アルミニウムペーストにシリコンが追加され、基板の裏面全体に貼り付けられる場合、シリコン基板から溶け出すシリコンが減るため、BSF層の厚さの減少が観測される。したがって、アルミニウムペーストへのシリコンの追加は、従来の通念に反することである。しかしながら、発明者らは、アルミニウムペーストへのシリコンの追加が、局部の開口の形状に対してはBSFの深さを増大させることを発見した。アルミニウムペースト内にシリコンが存在しない場合、開口から離れたところのアルミニウム層は、冷却時に平衡状態を維持するために、原子百分率12%を超えるシリコンを必要とする。これは、開口における再成長に利用可能なシリコンの量を減少させ、結果として局所BSFを薄くする。アルミニウムペーストへのシリコンの追加は、シリコンに対するアルミニウムの需要を満足させる。したがって、開口内のアルミニウムとシリコンとの溶融合金に含まれるシリコンの大半を、再成長のために利用可能であり、結果として局所BSFが厚くなる。
【0040】
BSFの向上に加えて、シリコンを有するコンタクトペーストは、アルミニウムスパイキングを抑止するのに役立つ。アルミニウムに対するシリコンの溶解度は、温度の上昇とともに増大する。シリコンがアルミニウム内に拡散するにつれて、去っていくシリコンによって形成されるボイドに、次々とアルミニウムが入っていく。アルミニウムがシリコンウエハのp−n接合又はp+−p接合を突き抜ける場合、結果として性能が低下する。
【0041】
上述のように、コンタクトペーストは、原子百分率1から12%のシリコンを有するので、アルミニウムは、既に、シリコン原子で飽和されている。したがって、熱処理時に、
シリコン原子が、基板からアルミニウム層内へ拡散することが抑止される。したがって、去っていくシリコンによって基板内にボイドが形成されることはなく、アルミニウムスパイキングが回避される。
【0042】
図6Aから6Dは、作成プロセスの各段階におけるシリコンウエハの一実施形態を示した断面図である。図6Aは、拡散層610にドープ基板600が結合されたシリコンウエハを示している。
【0043】
図6Bでは、ドープ基板600に誘電体層620が結合される。また、拡散層610に誘電体層630が結合される。この誘電体層620は、二酸化シリコンであってよい。誘電体層620は、上述のようにスピンオンプロセスによって形成されてよい。
【0044】
図6Cは、誘電体層620に結合されるバリア層640、及び誘電体層630に結合されるバリア層650を示している。バリア層640,650は、PECVDによって形成される窒化シリコンからなってよい。バリア層640,650は、誘電体層を保護する。更に、バリア層650は、太陽電池の前面に反射防止被膜を提供することができる。
【0045】
図6Dは、誘電体層620及びバリア層640における開口625を示している。開口635も、誘電体層630及びバリア層650に形成されてよい。本発明の一実施形態では、開口625及び開口635は、誘電体層にソーラーエッチングペーストを塗布し、次いで誘電体層に熱処理を行うことによって、形成されてよい。熱処理は、摂氏300から380度の温度を含んでよい。熱処理は、ペーストの下の誘電体層を溶かし、図8に示されるように、シリコン810への開口を誘電体層805に形成する。図8は、シリコン810への開口を有する誘電体層805の底面図を示している。本発明の別の実施形態では、開口625及び開口635は、レーザによって形成されてよい。本発明の更に別の実施形態では、開口625及び開口635は、機械的スクライブによって形成されてよい。
【0046】
開口625は、点又は線の形状であってよい。図7Aは、シリコンへの開口725を点パターンで有するバリア層740の底面図を示している。点開口は、方形又は円形の形状を有してよい。図7Bは、シリコンへの開口725を線パターンで有するバリア層740の底面図を示している。
【0047】
図6Eは、開口625を通じて誘電体層620、バリア層640、及びドープ基板600に結合された裏面コンタクト660を示している。この裏面コンタクトは、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムからなってよい。アルミニウムへのシリコンの追加は、6〜15マイクロメートルの深さを有する高品質のBSF670をもたらす。
【0048】
本明細書において、本発明は、その具体的な代表的実施形態を参照して説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に示された、より広範囲の発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がなされえることは明らかである。したがって、明細書及び図面は、限定的意味ではなく例示的であると見なされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法は、50から200マイクロメートルの厚さを有する薄いシリコンウエハのドープ基板上に拡散層を形成すること、を備え、前記シリコンウエハは、面及び裏面を有し、
前記方法は、
前記シリコンウエハの前記裏面上にスピンオン誘電体層を形成すること、
前記スピンオン誘電体層上にバリア層を形成すること、
前記バリア層の表面積の1から10%にエッチングペーストを塗布すること、
前記エッチングペーストに摂氏300から380度の温度で第1の熱処理を行うこと、
フッ化水素酸を含む溶液によって開口から残留物を除去すること、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の熱処理は、30から45秒の期間にわたって行われる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記第1の熱処理に続いて前記シリコンウエハの前記裏面にコンタクトペーストを塗布することを備える方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記コンタクトペーストは、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムペーストである、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
更に、前記コンタクトペーストに摂氏700から900度のピーク温度で第2の熱処理を行うことを備える方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記第2の熱処理は、前記ピーク温度で1から3秒にわたって行われる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、更に、
スマート統合システムのためのデバイスシミュレーション(Device Simulations for Smart Integrated Systems、DESSIS)を使用して、前記誘電体層の表面積の一部へのエッチングペーストの塗布を決定することを備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、更に、
エッチングペーストの塗布を決定するために、DESSISにパラメータを入力することを備え、前記パラメータは、エミッタシート抵抗、電池厚さ、抵抗率、前面再結合速度、前記誘電体における裏面再結合速度、及び接触抵抗を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記エミッタシート抵抗は、70から90オーム/スクエアであり、前記電池厚さは、90から200マイクロメートルであり、前記抵抗率は、1.5から2.5オームセンチメートルであり、前記前面再結合速度は、50,000から70,000センチメートル/秒であり、前記誘電体の前記裏面再結合速度は、40から60センチメートルであり、前記接触抵抗は、0オーム平方センチメートルである、方法。
【請求項1】
方法は、50から200マイクロメートルの厚さを有する薄いシリコンウエハのドープ基板上に拡散層を形成すること、を備え、前記シリコンウエハは、面及び裏面を有し、
前記方法は、
前記シリコンウエハの前記裏面上にスピンオン誘電体層を形成すること、
前記スピンオン誘電体層上にバリア層を形成すること、
前記バリア層の表面積の1から10%にエッチングペーストを塗布すること、
前記エッチングペーストに摂氏300から380度の温度で第1の熱処理を行うこと、
フッ化水素酸を含む溶液によって開口から残留物を除去すること、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の熱処理は、30から45秒の期間にわたって行われる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記第1の熱処理に続いて前記シリコンウエハの前記裏面にコンタクトペーストを塗布することを備える方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記コンタクトペーストは、原子百分率1から12%のシリコンを有するアルミニウムペーストである、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
更に、前記コンタクトペーストに摂氏700から900度のピーク温度で第2の熱処理を行うことを備える方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記第2の熱処理は、前記ピーク温度で1から3秒にわたって行われる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、更に、
スマート統合システムのためのデバイスシミュレーション(Device Simulations for Smart Integrated Systems、DESSIS)を使用して、前記誘電体層の表面積の一部へのエッチングペーストの塗布を決定することを備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、更に、
エッチングペーストの塗布を決定するために、DESSISにパラメータを入力することを備え、前記パラメータは、エミッタシート抵抗、電池厚さ、抵抗率、前面再結合速度、前記誘電体における裏面再結合速度、及び接触抵抗を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記エミッタシート抵抗は、70から90オーム/スクエアであり、前記電池厚さは、90から200マイクロメートルであり、前記抵抗率は、1.5から2.5オームセンチメートルであり、前記前面再結合速度は、50,000から70,000センチメートル/秒であり、前記誘電体の前記裏面再結合速度は、40から60センチメートルであり、前記接触抵抗は、0オーム平方センチメートルである、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図5A−5D】
【図8】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図5A−5D】
【図8】
【公表番号】特表2010−527147(P2010−527147A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507449(P2010−507449)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/005869
【国際公開番号】WO2009/008945
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/005869
【国際公開番号】WO2009/008945
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】
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