説明

ゾルゲル官能化シリケート触媒およびスカベンジャー

本発明は、金属スカベンジャーおよび触媒として適している材料に関する。これらの材料は、ゾルゲル法において、シリカまたはSBA-15などのシリケート材料を、チオールもしくはアミン、または他の官能化剤で官能化することによって調製される。好ましい態様において、金属はパラジウムであり、官能化剤はチオールである。この材料は、Suzuki-MiyauraおよびMizoroki-Heckカップリング反応の触媒として用いることができる。これらの触媒材料は、金属浸出が極めて低く、非常に安定で、完全に再生利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、金属触媒、ならびに水溶液および有機溶液から金属を除去するためのスカベンジャーに関する。より詳細には、本発明は、ゾルゲル法によって調製された官能化固相担体をベースとする金属触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、その内容の全体を参照により本明細書に組み入れる、2005年3月7日に出願された米国特許出願第60/658,579号の出願日の恩典を主張するものである。
【0003】
発明の背景
金属触媒反応は、有機合成化学者の標準的なレパートリーの一部になっている(Diederich等、1998)。たとえば、パラジウム触媒は、Mizoroki-Heck反応およびSuzuki-Miyaura反応のようなカップリング反応に用いられており、薬学的製品に見出されるような複雑な構造を集成するための一段階法を提供している。これらの反応は、有機電子デバイスに用いる高度に共役した材料の調製にも用いられている(Nielsen、2005)。さらに、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、銅、ニッケル、白金、特にパラジウムなどの金属は、水素化反応および脱ベンジル化反応の触媒として用いられている。そのような金属触媒は際立って有用であるにもかかわらず、著しい欠点があり、すなわち、それらの触媒は、不均一触媒の場合であっても、反応終了時にしばしば有機生成物に残存する(パラジウムに関して、たとえば、Garret等、2004、Rosso等、1997、Konigsberger等、2003参照)。活性医薬品成分においてパラジウムなどの重金属のレベルは厳密に規制されているため、これは医薬品業界では重大な問題である。金属汚染は、金属触媒を用いて調製される香味料、化粧品、香料、および農薬などの汎用化学製品においても問題となり得る。
【0004】
シリカなどの固体担体上でパラジウムを安定化させるか(Mehnert等、1998、Bedford等、2001、Nowotny等、2000)、または生成物が溶解しない別の相でパラジウムを固定化することによって(Rockaboy、2003)、パラジウムの再使用性を改善し、有機生成物の汚染を防ぐ試みがなされてきた。しかしながら、これらの取り組みの多くは、再生利用能が劣り、かつ/または不安定であり、かなりのパラジウムが溶液に浸出するため、不満足なものであることがわかっている。多くの場合、不均一性試験は、負荷触媒が単にPdの高活性可溶性形態、またはPdナノ粒子の貯留層であることを示した(Rockaboy等、2003、Nowotny等、2000、Davies等、2001、Lipshutz等、2003)。近年、SBA-15(Li等、2004)もしくはFSM-16(Shimizu等、2004)などのメソポーラスシリケートにパラジウム層をグラフトするか、または合成中にシリケート材料にパラジウムを混和することによって(Hamza等、2004)、より良好な結果が得られている。
【0005】
反応混合物から金属を分離するために、様々な方法が提案されてきた。たとえば、2,4,6-トリメルカプト-S-トリアジン(TMT)を用いて、溶液からパラジウムを析出させ(Rosso等、1997)、酸抽出(たとえば、乳酸、Chen等、2003)もしくは炭処理(Prasad、2001)を用いて除去することができ、またはパラジウムを溶液に残し、生成物を析出させることができる(Konigsberger等、2003)。しかしながら、そのような方法は規制認可に必要とされる程度まで金属を除去できない可能性があるか、製造方法にさらなる反応段階を追加することになるか(Garrett、2004)、またはその方法が経済的に実行可能でないほど、生成物の著しい損失を生じる可能性がある。
【0006】
環境修復の分野でも、金属、特に水銀などの重金属の分離は問題である。官能化シリケートは、廃水流から水銀などの金属を除去するのに有効である。そのような材料の有効性は、それらが高い多孔性を有し、汚染物質のリガンドへの接近が可能となることに由来すると考えられている。たとえば、PinnavaiaとFryxellはそれぞれ独自に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン修飾メソポーラス材料が水銀の有効な吸着材であることを示している(Feng、1997、Mercier、1997)。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明の一局面によれば、官能化シリケート材料および金属を含む触媒が提供され、該触媒は、以下の段階を含む方法で調製される:
SiA4型のシリケートと、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、Aはそれぞれ独立して、
R、または加水分解性基から選択され、
Rは、Hであるか、または
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換のC1からC4アルキルであってよいアルキル、
いずれも置換または非置換であってよいアリールまたはヘテロアリール、
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
加水分解性基は、OR、リン酸ハロゲン、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、およびスルホナートから選択され、
Rは、上に定義したとおりである、段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;
官能化シリケート材料を、1種または複数の金属と乾燥溶媒との混合物と配合する段階;ならびに
混合物を濾過して、触媒を得る段階。
【0008】
一態様において、シリケートは、(RO)4-qSi-Aq型であり、式中、ROおよびAはそれぞれ上に定義したとおりであるが、ROとAは同じではなく、qは1から3の整数である。
【0009】
他の態様において、シリケートは、テトラエトキシシラン(TEOS)である。
【0010】
他の態様において、シリケートは、シルセスキオキサンである。
【0011】
他の態様において、シロキサンは、式(RO)3Si-R'-Si(OR)3であり、式中、Rは上に定義したとおりであり、R'はアルキルおよびアリールから選択される架橋基である。様々な態様において、架橋基は、メチレン、エチレン、プロピレン、エテニレン、フェニレン、ビフェニレン、ヘテロシクリル、ビアリーレン、ヘテロアリーレン、多環芳香族炭化水素、多環へテロ芳香族、およびヘテロ芳香族から選択される。好ましい態様において、架橋基は、1,4-フェニルであり、シリケートは、1,4-ジシロキシルベンゼンである。
【0012】
他の態様において、本方法は、縮合中に構造規定剤(SDA)を添加して、シリケート材料に多孔性を導入する段階、およびシリケート材料を金属と配合する前に、抽出によってSDAを除去する段階をさらに含む。
【0013】
他の態様において、本方法は、金属を予備結合錯体として提供する段階をさらに含み、ここで予備結合錯体は、一般式AmM[Q-(CH2)n-Si(OR)3]r-mであることができ、式中、AおよびRは上に定義したとおりであり、Qは官能基であり、Mは金属であり、rは金属の配位数であり、mは0からrの整数であり、nは0から12の整数である。
【0014】
他の態様において、本方法は、金属を塩または予備形成ナノ粒子として提供する段階をさらに含む。本方法は、トリアルコキシシラン修飾リガンドで金属ナノ粒子を保護する段階をさらに含むことができる。
【0015】
他の態様において、トリアルコキシシラン修飾リガンド(すなわち、官能化剤)は、[Q-(CH2)p-Si(OR)3]型であり、式中、Qは官能基であり、Rは上に記載したとおりであり、pは1から12の整数である。
【0016】
他の態様において、金属は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金、ならびにそれらの組み合わせから選択される。好ましい態様において、金属は、パラジウムである。
【0017】
他の態様において、官能化剤は、チオール、ジスルフィド、アミン、ジアミン、トリアミン、イミダゾール、ホスフィン、ピリジン、チオ尿素、キノリン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
他の態様において、シリケート材料は、メソポーラスシリケート材料である。
【0019】
他の態様において、シリケート材料は、SBA-15、FSM-16、およびMCM-41から選択される。
【0020】
他の態様において、シリケート材料は、SBA-15である。
【0021】
本発明はさらに、化学反応を触媒する方法であって、該反応に上に記載した触媒を提供する段階を含む方法を提供する。化学反応は、Mizoroki-Heck、Suzuki-Miyaura、Stille、Kumada、Negishi、Sonogashira、Buchwald-Hartwig、およびHiyama反応から選択されるカップリング反応であることができる。他の態様において、化学反応は、ヒドロシリル化反応、水素化反応、および脱ベンジル化反応から選択することができる。
【0022】
本発明はさらに、官能化シリケート材料および金属を含む触媒を調製する方法を提供し、本方法は、以下の段階を含む:
SiA4型のシリケートと、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、Aはそれぞれ独立して、
R、または加水分解性基から選択され、
ここで、Rは、Hであるか、または
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換のC1からC4アルキルであってよいアルキル、
いずれも置換または非置換であってよいアリールまたはヘテロアリール、
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
加水分解性基は、OR、リン酸ハロゲン、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、およびスルホナートから選択され、
Rは、上に定義したとおりである段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;
官能化シリケート材料を、1種または複数の金属と乾燥溶媒との混合物と配合する段階;ならびに
混合物を濾過して、触媒を得る段階。
【0023】
本発明はさらに、以下の段階を含む、溶液から1種または複数の金属を除去する方法を提供する:
官能化シリケート材料を含むスカベンジャーを提供する段階;および
1種または複数の金属がスカベンジャーに捕捉されるように、官能化シリケート材料を溶液と配合する段階であって、
スカベンジャーは、
SiA4型のシリケートと、該金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、Aはそれぞれ独立して、
R、または加水分解性基から選択され、
ここで、Rは、Hであるか、または
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換のC1からC4アルキルであってよいアルキル、
いずれも置換または非置換であってよいアリールまたはヘテロアリール、
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
加水分解性基は、OR、リン酸ハロゲン、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、およびスルホナートから選択され、
Rは、上に定義したとおりである段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階を含む方法で調製される段階。
【0024】
本発明の他の局面によれば、官能化シリケート材料および金属を含む触媒が提供され、触媒は、以下の段階を含む方法によって調製される:
シリケート前駆体と、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa、式中、aは2から4の整数であり、
Gは、これに限定されるものではないが、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、これに限定されるものではないが、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおり))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、またはテトラケイ酸ナトリウムなどの金属シリケート、
(3) カネマイトなどの予備形成シリケート、
(4a) 有機/無機コンポジットポリマー、たとえば、一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサン、式中、
Eは、シリカベース基、たとえば、SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)などの重合性無機基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)などの脂肪族基、および置換または非置換であってよい、-(C6H4)b-などの芳香族基を含む、-(CH)b-または-(C)b-などの不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンなどの有機/無機コンポジットポリマーであり、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、
(5) 有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物、たとえば、TEOSなどの無機シリカ前駆体とE-R''-Eなどのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、またはTEOSとX3Si-R''-Zなどのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートまたはスチレン基などの重合性有機基であり、EおよびR''は上に定義したとおりである)、たとえば、ORMOSIL型材料など、および
(6) 一般式SiO2を有する予備重合シリケートベース材料から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;ならびに
官能化シリケート材料を、乾燥溶媒と、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金から選択される1種または複数の金属、またはそれらの錯体との混合物と配合して、触媒を得る段階。
【0025】
本方法は、配合物を濾過して、触媒を得る段階をさらに含むことができる。
【0026】
一態様において、シルセスキオキサン前駆体は、X3Si-R''-SiX3であり、式中、XおよびR''は上に定義したとおりである。
【0027】
一態様において、金属は、パラジウムである。
【0028】
一態様において、Gは、Me、もしくはPh、またはそれらの組み合わせである。
【0029】
他の態様において、Gは、-(CH2)2-、もしくは-C6H4-、もしくは-C6H4-C6H4-、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Si(OEt)3、またはSi(OMe)3である。
【0030】
官能化剤は、X3-eGeSi-R''-Yの形態で導入することができ、式中、eは0から2の整数であり、R''、G、およびXは上に定義したとおりであり、Yは、これに限定されるものではないが、SH、NH2、PO(OH)2、NHCSNH2、NHCONH2、SG、NHG、PG3、PO(OG)2、NG2、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、POCH2COG、クラウンエーテル、アザまたはポリアザマクロサイクル、およびチアマクロサイクルを含む、以下の任意の元素、S、N、O、C、H、Pをベースとする官能基である。
【0031】
他の態様において、Yは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの芳香族基、またはYが(-CH2)b-H(式中、bは1から20の整数)である脂肪族基であることができる。
【0032】
本方法は、縮合中にポロゲン(porogen)または構造規定剤(SDA)を添加して、シリケート材料に多孔性を導入する段階、およびシリケート材料を金属と配合する前に、SDAを除去する段階をさらに含むことができる。
【0033】
一態様において、SDAは、非イオン界面活性剤である。
【0034】
他の態様において、SDAは、脂肪族アミン、ドデシルアミン、およびα-、β-、またはγ-シクロデキストリンから選択される非イオン界面活性剤である。
【0035】
他の態様において、SDAは、Pluronic123(P123)などの非イオンポリマー界面活性剤である。
【0036】
他の態様において、SDAは、イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせである。
【0037】
他の態様において、SDAは、陽イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせである。
【0038】
他の態様において、SDAは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)などの陽イオン界面活性剤と、C16EO10(Brij5)などの非イオン界面活性剤の組み合わせである。
【0039】
好ましい態様において、SDAは、陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせである。
【0040】
より好ましい態様において、SDAは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と、P123、F127、またはBrij型界面活性剤などのポリエーテル界面活性剤の組み合わせである。
【0041】
最も好ましい態様において、SDAは、SDSとP123の組み合わせである。
【0042】
さらなる態様において、SDAは、1種または複数の界面活性剤と細孔拡張剤の組み合わせである。
【0043】
他の態様において、本方法は、金属をイオン性錯体もしくは共有結合錯体、または予備結合錯体として提供する段階をさらに含み、予備結合錯体は、一般式LmM[Y-(CH2)b-SiX3]r-mであることができ、式中、Xは上に定義したとおりであり、Yは上に定義した官能基であり、Mは金属であり、rは金属の配位数であり、Lは金属のリガンドであり、mは0からrの整数であり、bは1から20の整数である。
【0044】
金属のリガンドは、上にXとして定義した化合物種の1つなどのイオン性リガンド、または非イオン性リガンドであることができ、非イオン性リガンドは、P、S、O、N、C、およびHから選択される。たとえば、そのようなリガンドには、PG3、SG2、OG2、またはNG3を含むことができ、Gは上に定義したとおりであり、Hであることもできる。
【0045】
他の態様において、トリアルコキシシラン修飾リガンド(すなわち、官能化剤)は、[Y-(CH2)b-SiX3]の形態であり、式中、Yは上に定義した官能基であり、bは1から20の整数である。
【0046】
他の態様において、官能化剤は、チオール、ジスルフィド、アミン、ジアミン、トリアミン、イミダゾール、ホスフィン、ピリジン、チオ尿素、キノリン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0047】
他の態様において、本方法は、金属を塩、イオン性錯体、共有結合錯体、または予備形成ナノ粒子として提供する段階をさらに含むことができる。本方法は、トリアルコキシシラン修飾リガンドで金属ナノ粒子を保護する段階をさらに含むことができる。
【0048】
本方法は、安定剤、たとえば、界面活性剤、相間移動触媒、ハロゲン化物イオン、カルボン酸、アルコール、ポリマーを含有する溶液で金属ナノ粒子を個々に調製した後、金属ナノ粒子を吸着する段階を含むこともできる。
【0049】
他の態様において、ナノ粒子は、シリケート合成にSDAとしてSDSを用いる前に、SDS溶液で調製することができ、またはナノ粒子は、シリケート材料の合成が完了した後に導入することができる。
【0050】
他の態様において、シリケート材料は、メソポーラスシリケート材料である。
【0051】
他の態様において、シリケート材料は、SBA-15、FSM-16、およびMCM-41から選択される。
【0052】
他の態様において、シリケート材料は、SBA-15である。
【0053】
他の態様において、シリケート材料は、イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせから調製される。
【0054】
本発明はさらに、化学反応を触媒する方法であって、反応に上に記載した触媒を提供する段階を含む方法を提供する。化学反応は、Mizoroki-Heck、Suzuki-Miyaura、Stille、Kumada、Negishi、Sonogashira、Buchwald-Hartwig、およびHiyama反応から選択されるカップリング反応であることができる。他の態様において、化学反応は、ヒドロシリル化反応、水素化反応、および脱ベンジル化反応から選択することができる。
【0055】
本発明はさらに、官能化シリケート材料および金属を含む触媒を調製する方法を提供し、該方法は、以下の段階を含む:
シリケート前駆体と、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa、式中、aは2から4の整数であり、
Gは、これに限定されるものではないが、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、これに限定されるものではないが、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおり))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、またはテトラケイ酸ナトリウムなどの金属シリケート、
(3) カネマイトなどの予備形成シリケート、
(4a) 有機/無機コンポジットポリマー、たとえば、一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサン、式中、
Eは、シリカベース基、たとえば、SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)などの重合性無機基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)などの脂肪族基、および置換または非置換であってよい、-(C6H4)b-などの芳香族基を含む、-(CH)b-または-(C)b-などの不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンなどの有機/無機コンポジットポリマーであり、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、
(5) 有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物、たとえば、TEOSなどの無機シリカ前駆体とE-R''-Eなどのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、またはTEOSとX3Si-R''-Zなどのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートまたはスチレン基などの重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)、たとえば、ORMOSIL型材料など、および
(6) 一般式SiO2を有する予備重合シリケートベース材料から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;ならびに
官能化シリケート材料を、乾燥溶媒と、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金から選択される1種または複数の金属、またはそれらの錯体との混合物と配合して、触媒を得る段階。
【0056】
本方法は、配合物を濾過して、触媒を得る段階をさらに含むことができる。
【0057】
本発明はさらに、
官能化シリケート材料を含むスカベンジャーを提供する段階、および
1種または複数の金属がスカベンジャーに捕捉されるように、スカベンジャーを溶液と配合する段階
を含む、溶液から1種または複数の金属を除去する方法であって、
スカベンジャーが、以下の段階を含む方法によって調製される方法を提供する:
シリケート前駆体と、1種または複数の金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、
シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa、式中、aは2から4の整数であり、
Gは、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおりである))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、およびテトラケイ酸ナトリウムから選択される金属シリケート、
(3) 予備形成シリケート、
(4a) 一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサンを含む有機/無機コンポジットポリマー、
式中、Eは、式SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)の重合性無機シリカベース基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、式-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)の脂肪族基、および置換または非置換であってよい、式-(C6H4)b-の芳香族基を含む、式-(CH)b-または-(C)b-の不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサンおよびポリアリールシロキサンから選択され、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、有機/無機コンポジットポリマー、
(5) 無機シリカ前駆体と式E-R''-Eのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、または無機シリカ前駆体と式X3Si-R''-Zのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートおよびスチレンから選択される重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)を含む、有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物、ならびに
(6) 一般式SiO2の予備重合シリケートベース材料から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;ならびに
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階。
【0058】
本発明の態様を、添付の図面を参照して、例として以下に記載する。
【0059】
好ましい態様の詳細な説明
略語のリスト
TEOS、テトラエトキシシラン[Si(OEt)4]
MPTMS、メルカプトプロピルトリメトキシシラン[(MeO)3SiCH2CH2CH2SH]
APTES、アミノプロピルトリエトキシシラン[(EtO)3SiCH2CH2CH2NH2]
APTMS、アミノプロピルトリメトキシシラン[(MeO)3SiCH2CH2CH2NH2]
P123、Pluronic-123、EO20PO70EO20、式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである。
F127、EO97PO67EO97、式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである。
SDS、ドデシル硫酸ナトリウム
ORMOSIL、有機修飾シリケート
【0060】
Feng等(1997)、Mercier等(1997)、およびPinnavaia等(2002および2003)は、チオールをグラフトすることによって官能化されたメソポーラス材料を、水銀のスカベンジャーとして使用できることを実証した。その後、Kang等(2003、2004)は除去実験において、シリカ表面にチオール層をグラフトすることによって官能化されたメソポーラスシリカが、Ni、Cu、およびCdなどの他の金属に比べて、PdおよびPtに対して高い親和性を有することを実証した。本発明者らは、パラジウムスカベンジャーとして、ならびにMizoroki-Heck反応およびSuzuki-Miyaura反応のパラジウム触媒としての、官能化シリケート材料の使用を研究した。官能化シリケート材料を2つの方法で調製し、2つの形態の除去および触媒活性を比較した。最初に、SBA-15の表面に3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン層をグラフトすることによって、Kang等(2004)と類似の様式でチオール官能化SBA-15材料(SBA-15-SH)を調製した(詳細は実施例1を参照)。このような方法で調製した材料を、本明細書では「グラフト化」材料、たとえば「グラフト化SBA-15-SH」と称する。次いで、Melero等(2002)に類似の様式でゾルゲルシリケート調製にチオールを組み入れることによって、SBA-15-SH材料を調製した(詳細は実施例2を参照)。このような方法で調製した材料を、本明細書では「ゾルゲル」材料、たとえば「ゾルゲルSBA-15-SH」と称する。パラジウム触媒としてこれらの材料を比較するために、実施例3に記載のとおり材料にパラジウムを添加した。
【0061】
本発明者らは、水溶液および有機(THF)溶液からパラジウム(PdCl2およびPd(OAc)2)を除去するスカベンジャーとして作用するグラフト化SBA-15-SH材料とゾルゲルSBA-15-SH材料の能力を調べ、他のスカベンジャーとそれらの性能を比較した(実施例11参照)。本発明者らは、グラフト化およびゾルゲルSBA-15-SH材料が有効なパラジウムスカベンジャーであり、水溶液および有機溶液からのパラジウム除去において同様の有効性を有することを見出した(表1)。モンモリロナイト粘土と非官能化SBA-15は、実質的にスカベンジャーとして有効ではなかった。メルカプトプロピルトリメトキシシラン(SiO2-SH)で官能化した非晶質シリカ(SiO2)はSBA-15-SHに有効性が最も近く、したがって定量的に試験した(表1)。チオール官能化材料も、補助リガンドに応じて、溶液からPd(0)を除去するのに有効であった。
【0062】
たとえば、Pd(OAc)2は、どちらの形態のSBA-15-SHによっても有効に除去できた(グラフト化:THF中、初濃度530ppm溶液は0.12ppmに低下した;ゾルゲル:THF中、初濃度530ppm溶液は95.5ppbに低下した)。さらに、Pd2dba3(式中、dbaはジベンジリデンアセトン)は、SBA-15-SHによって有効に除去できたが(グラフト化SBA-15を用いて、530ppm溶液は0.2ppmに低下した)、表面にチオールをグラフトすることによって修飾した非晶質シリカは有効でなかった(530ppm溶液は151.5ppmに低下した)。グラフト化SBA-15-SH材料も、表面にチオールをグラフトすることによって修飾した非晶質シリカも、Pd(PPh3)4の除去には有効でなかった(初濃度530ppm溶液は、それぞれ116ppm、および214ppmに低下した)。
【0063】
表1に示したように、高濃度のPd(1500〜2000ppm)では、グラフト化SBA-15-SH材料を用いることによって、添加Pdの約93%が除去された(ゾルゲルSBA-15-SH材料に関しては未判定)。低濃度の初期汚染では、より良好な結果が得られた。約1000ppmのPdを含有する溶液は、グラフト化SBA-15-SHによってPd 1ppm未満に低下し、ゾルゲルSBA-15-SHによって約3ppmに低下したが、これは99.9%超のパラジウム除去に相当する。同じ溶液を非晶質シリカ-SHで処理すると溶液に67ppmのPdが残留したが、この相違の一部は確かにグラフト化SBA-15-SHの2.2mmol/gと比べて非晶質シリカのチオール負荷量が低い(1.3mmol/g)ことに起因するものであり得る。500ppm溶液から開始して、グラフト化またはゾルゲルSBA-15-SHで処理することによって、溶液中のPdの約99.9998%(グラフト化)および99.9975%(ゾルゲル)が除去され、これは1回の処理後にPd含量が500,000分の1に低下したことに相当する。したがって、比較試験で調査したものではないが、ゾルゲルSBA-15-SHスカベンジャーは、Smopex(商標)ファイバー(Johnson Matthey、London、GB)などの、市販されているポリマーをベースとするスカベンジャーと競合し、長い反応時間(最大32時間)と過剰のスカベンジャーを必要とする、MP-TMT(Argonaut、Foster City、CAから入手可能)などの、ポリスチレンをベースとするスカベンジャーより優れていると考えられる。
【0064】
(表1) グラフト化SBA-15-SH、ゾルゲルSBA-15-SH、およびSiO2-SHによるPdの除去a

a PdCl2水溶液(10ml)をシリケート100mgで攪拌しながら1時間処理。全詳細は実施例10を参照のこと。
b 処理前のPd初濃度は848ではなく、795ppmであった。n.d.;未判定
【0065】
しかしながら、驚いたことにパラジウム負荷グラフト化SBA-15材料とゾルゲルSBA-15材料は、それらの触媒活性を比較したとき、同じではなかった。グラフト化SBA-15-SH・Pdの活性は、バッチ間で一貫性がなく、多くのバッチはまったく効果がなかった。対照的に、ゾルゲルSBA-15-SH・Pdは、一貫して非常に有効な触媒であった(表2参照)。グラフト化材料の欠陥の理由は研究中であるが、以下の少なくとも1つに関連する可能性がある。調製中、シリカ表面にグラフトされるチオールの量の制御が困難であること;グラフト化が主としてミクロ孔で起こること;グラフト化チオール層がシリケート材料の表面に悪影響を及ぼすこと;材料全体でチオールの分布が不均一であること;およびPd(II)からPd(0)触媒の還元を促進できないことである。さらに、グラフト化で認められる孔径の減少も、グラフト化触媒で認められる不活性の原因である可能性がある。本発明者らの結果は、ゾルゲルSBA-15-SH・Pd材料の触媒活性が一貫して優れており、生成物の収率が高く、完全に再生利用可能であったことを実証している。さらに、ゾルゲル材料からのパラジウムの浸出は極めて低かった。これらの結果は、SBA-15-SH・Pdなどのゾルゲル金属触媒が、医薬品、汎用化学品、農薬、および電子部品製造などの適用例における生産量の拡大に適していることを示唆している。
【0066】
(表2) 4-ブロモアセトフェノンとフェニルボロン酸のカップリングの触媒としてのグラフト化材料とゾルゲル材料の比較


a 反応は100℃で24時間行った。
b 負荷量はSBA-15 1g当たりチオール2mmolであった。
c 平均ではなく最大値
d 0/0の値は、ミクロ多孔性の算出に用いた方法がこれらの材料に有効ではないことを意味する可能性もある。
e 実験1
f 実験2
n.d.;未判定、n.a.;該当なし
【0067】
本発明は、少なくとも部分的には、ゾルゲル法によって調製された官能化固相担体を用いる金属触媒が、グラフト化などの他の技法によって調製された官能化固相担体を用いる金属触媒より優れているという発見に基づいている。特に、そのような触媒は、金属の浸出が極めて低い。
【0068】
本発明によれば、金属触媒の固相担体は、官能化シリケート材料のゾルゲル合成中にシリケート材料と官能基を配合する、ゾルゲル法を用いて調製される。官能基は、任意でリンカーによって、固相に結合される。官能基は、選択される金属を引きつけて結合するものであり、対象となる金属に基づいて選択される。2種以上の金属が含まれる場合、2種以上の対応する官能基を選択することができる。「金属」という用語は、任意の状態である当該元素、すなわち分子共有結合もしくはイオン錯体、または、たとえばナノ粒子もしくはコロイド分散などの形態である金属自体を意味するものである。この方法で調製された材料を、本明細書では「ゾルゲル」材料と称する。これらの触媒は、主に固相として存在するため、本明細書では「不均一」触媒と称することもある。金属、または複数の金属の組み合わせを、固相のゾルゲル合成中または合成後に、ゾルゲル固相担体と配合することができる。ゾルゲル固相担体を単独で(すなわち、1種または複数の金属と組み合わせずに)、1種または複数の金属のスカベンジャーとして用いることもできる。
【0069】
本発明による触媒の製造に適した固相担体は、シリケート材料と、その金属のリガンドとして作用する官能化剤との一段階共縮合によってシリケート材料を合成する段階、その後、官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階を含む、ゾルゲル法によって調製することができる。
【0070】
本明細書において使用される、「シリカ」および「シリケート」という用語は、同じ意味であるとみなされ、置き換え可能である。シリケート材料は、シリケート前駆体、およびその金属のリガンドである、ある割合の官能化剤を含むことができ、ここでシリケート材料は、以下の任意の前駆体を用いて形成される:
(1) SiG4-aXa、式中、aは2から4の整数であり、
Gは、これに限定されるものではないが、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、これに限定されるものではないが、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおりである))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、またはテトラケイ酸ナトリウムなどの金属シリケート、
(3) カネマイトなどの予備形成シリケート、
(4a) 有機/無機コンポジットポリマー、たとえば、一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサン、
式中、Eは、シリカベース基、たとえば、SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)などの重合性無機基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)などの脂肪族基、および置換または非置換であってよい、-(C6H4)b-の芳香族基を含む、-(CH)b-または-(C)b-などの不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンなどの有機/無機コンポジットポリマーであり、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、
(5) 有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物、たとえば、TEOSなどの無機シリカ前駆体とE-R''-Eなどのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、またはTEOSとX3Si-R''-Zなどのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートまたはスチレン基などの重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)、たとえば、ORMOSIL型材料など、および
(6) 一般式SiO2を有する予備重合シリケートベース材料。
【0071】
一態様において、シルセスキオキサン前駆体は、X3Si-R''-SiX3であり、式中、XおよびR''は上に定義したとおりである。他の態様において、Gは、Me、もしくはPh、またはそれらの組み合わせである。他の態様において、Gは、-(CH2)2-、もしくは-C6H4-、もしくは-C6H4-C6H4-、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Si(OEt)3、またはSi(OMe)3である。他の態様において、シリケート材料は、たとえば、SBA-15、FSM-16、およびMCM-41などのメソポーラスシリケート材料である。好ましい材料は、SBA-15である。
【0072】
官能化剤は、X3-eGeSi-R''-Yの形態で導入することができ、式中、eは0から2の整数であり、R''、G、およびXは上に定義したとおりであり、Yは、これに限定されるものではないが、SH、NH2、PO(OH)2、NHCSNH2、NHCONH2、SG、NHG、PG3、PO(OG)2、NG2、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、POCH2COG、クラウンエーテル、アザまたはポリアザマクロサイクル、およびチアマクロサイクルを含む、以下の任意の元素、S、N、O、C、H、Pをベースとする官能基である。Yは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの芳香族基、またはYが(-CH2)b-H(式中、bは1から20の整数)である脂肪族基であることができる。
【0073】
いくつかの態様において、官能基は、有効なリガンドとなるためにさらなる反応が必要とされる前駆体の形態で提供することができる。好ましい態様において、リガンドはチオールであり、チオール自体として(実施例2)、または金属の添加前にチオールに予め還元されるジスルフィドとして(実施例10)添加することができる。リガンドは、上にXとして定義した化合物種の1つなどのイオン性リガンド、または非イオン性リガンドであることができ、非イオン性リガンドは、P、S、O、N、C、およびHから選択される。たとえば、そのようなリガンドには、PG3、SG2、OG2、またはNG3を含むことができ、ここでGは上に定義したとおりであり、Hであることもできる。他の態様において、トリアルコキシシラン修飾リガンド(すなわち、官能化剤)は、[Y-(CH2)b-SiX3]の形態であり、式中、Yは上に定義した官能基であり、bは1から20の整数である。他の態様において、官能化剤は、チオール、ジスルフィド、アミン、ジアミン、トリアミン、イミダゾール、ホスフィン、ピリジン、チオ尿素、キノリン、またはそれらの組み合わせであることができる。
【0074】
本発明の触媒として用いるシリケート材料の製造方法は、いくつかの態様において、縮合中にポロゲンまたは構造規定剤(SDA)を添加して、シリケート材料に多孔性を導入する段階を含むことができる。そのような態様において、SDAは、官能化シリケート材料を金属と配合する前に、たとえば抽出によって、除去することができる。SDAは、非イオン界面活性剤ポロゲン、あるいは、たとえば脂肪族アミン、ドデシルアミン、またはα-、β-、もしくはγ-シクロデキストリンなどの界面活性剤であることができる。SDAは、Pluronic(商標)123(P123、化学式(EO)20(PO)70(EO)20(式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである))(Aldrich)などの非イオンポリマー界面活性剤であることもできる。さらに、SDAは、たとえばイオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせ、または陽イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせなどの、界面活性剤の組み合わせであることができる。
【0075】
たとえば、SDAは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とP123の組み合わせ、またはCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)などの陽イオン界面活性剤と、Brij5(商標)(C16EO10)などの非イオン界面活性剤の組み合わせであることができる。好ましくは、SDAは、陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の組み合わせである。好ましい態様において、SDAは、SDSと、P123、F127、またはBrij型界面活性剤などのポリエーテル界面活性剤の組み合わせである。より好ましくは、SDAは、SDSとP123の組み合わせである。さらなる態様において、SDAは、1種または複数の界面活性剤と、トリメチルベンゼンなどの細孔拡張剤の組み合わせを含むことができる。
【0076】
いくつかの態様において、触媒の調製中、1種または複数の金属を、LmM[Y-(CH2)b-SiX3]r-m(式中、Xは上に定義したとおりであり、Yは上に定義した官能基であり、Mは金属であり、rは金属の配位数であり、Lは金属のリガンドであり、mは0からrの整数であり、bは1から20、好ましくは2から4の整数である)などの形態の予備結合錯体としてゾルゲル法に組み入れることができる。あるいは、1種または複数の金属は、予め錯体が形成された金属ナノ粒子として組み入れることができる(実施例9参照)。他の態様において、金属は、塩、イオン性錯体、共有結合錯体、または予備形成ナノ粒子として提供することができる。後者の場合、金属ナノ粒子は、好ましくは、[Y-(CH2)b-SiX3](式中、Yは官能基であり、Xは上に記載したとおりであり、bは1から20の整数である)の形態のトリアルコキシシラン修飾リガンドによって、または、これに限定されるものではないが、ホスフィン、チオール、テトラアルキルアンモニウム塩、ハロゲン化物、界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択される交換可能リガンドによって保護される。あるいは、金属ナノ粒子は、予め合成された官能化シリケートの表面に存在するリガンドによって後に置換されるリガンドで保護することができる。この場合、リガンドは、これに限定されるものではないが、ホスフィン、チオール、テトラアルキルアンモニウム塩、ハロゲン化物、界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択することができる。そのような組み合わせは、金属ナノ粒子においてリガンドとして通常用いられており、金属ナノ粒子の望ましくない凝集を防ぐことが目的である(Kim等、2003)。金属ナノ粒子は、安定剤、たとえば、界面活性剤、相間移動触媒、ハロゲン化物イオン、カルボン酸、アルコール、およびポリマーなどを含有する溶液で調製した後、吸着させることができる。他の態様において、ナノ粒子は、シリケート合成にSDAとしてSDSを用いる前に、SDS溶液で調製することができ、またはナノ粒子は、シリケート材料の合成が完了した後に導入することができる。金属は当然ながら、実施例3、5、および7に記載した方法などを用いて、官能化シリケート材料の調製後、官能化シリケート材料と組み合わせることもできる。
【0077】
本発明によって調製された金属触媒は、有効で安定な触媒であり、金属浸出が最小限で、10億分の1の範囲程度に低い可能性があり(最初に添加した触媒の0.001%に相当する)、高い収率をもたらす。したがって、たとえば医薬品業界(Garrett等、2004)、および共役有機材料からの電子デバイスの製造(Nielsen等、2005)など、高純度の反応生成物が所望である場合にはいつでも、これらの触媒は有用である。たとえば、好ましい態様は、Mizoroki-Heck、Suzuki-Miyaura、Stille、Kumada、Negishi、Sonogashira、Buchwald-Hartwig、もしくはHiyamaカップリング反応、またはヒドロシリル化反応、または実際には任意の金属触媒カップリング反応、ならびに水素化および脱ベンジル化反応を触媒するために用いることができる。
【0078】
本明細書に記載のゾルゲル法を用いて調製される官能化固相担体は、水溶液および有機溶液から、パラジウムおよびルテニウムなどの金属を除去する金属スカベンジャーとしても非常に有効である。本発明によって調製されるスカベンジャーおよび触媒は、デバイスの性能がそれらの製造に用いられるフィルムおよびポリマーの純度に関連する可能性のある(Neilsen等、2005)、電子デバイス製造などの産業においてフィルムおよびポリマーの調製にも有用である。
【0079】
固相担体は、好ましくは高い多孔性を有するシリケート材料である。固相担体は、多孔性が界面活性剤テンプレートもしくはポロゲンによって導入されるか、またはPMO(周期性メソポーラス有機シリカ、Kuroki等、2002)を含むシルセスキオキサンなどの有機/無機コンポジットを含む、多孔性が材料の構造に内在する、任意の材料であることができる。本発明者らは、有機成分と無機成分との間に共有結合が存在しない有機/無機コンポジット材料を想定している。好ましいシリケート材料は、Pluronic123、またはPluronic123とSDSを用いて製造される。
【0080】
官能基は、対象となる1種または複数の金属に応じて、たとえば、アミン、ジアミン、トリアミン、チオール(メルカプト)、チオ尿素、ジスルフィド、イミダゾール、ホスフィン、ピリジン、キノリンなど、およびそれらの組み合わせであることができる。官能基は場合によって、これに限定されるものではないが、アルキル、アルコキシ、アリールなどのリンカーを介して、固相に結合されてもよい。さらに、官能基は、アリル基と表面シラノールの反応によって結合されてもよい(Kapoor等、2005、Aoki等、2002)。好ましい官能基は、チオール、およびアミンであり、官能基とリンカーの組み合わせは、たとえば、それぞれメルカプトプロピル、およびアミノプロピルである。したがって、本発明の官能化シリケートを調製するために、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、および3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を用いることができる。金属は、たとえば、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金、ならびにそれらの組み合わせの任意のものであることができる。好ましい金属は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金であり、パラジウムがより好ましい。
【0081】
好ましい態様において、官能化ゾルゲル材料は、P123、またはP123とSDSの存在下、テトラエトキシシラン(TEOS)から調製され、リガンドはMPTMSである。材料の合成は、いくつかの方法で行うことができる。好ましい方法では、チオールMPTMSを適切な量のTEOSと予め混合し、Pluronic123(P123)などの界面活性剤、酸、および水の予め加熱した混合物に両方を添加する。様々な量のチオール、たとえば、6%、8%、10%、および最大約20%の(重量/TEOS重量)チオールを添加することができ、チオールの量が多いほど規則性の低い材料が生じる。他の態様において、官能化SBA-15はジスルフィド(SBA-15-S-S-SBA-15)から合成され、ジスルフィド結合は開裂して、2つのチオールを提供する(Dufaud等、2003)(実施例10参照)。
【0082】
パラジウム負荷ゾルゲルSBA-15-SH・Pd(調製に関しては、実施例3参照)が触媒として作用する能力を詳細に調べた。SBA-15-SH・Pdの場合、たとえば、官能基はリンカーを介してシリケートに結合されてもよいことを理解されたい。驚いたことに、担体にPdと比べて大過剰にチオールを有した材料であっても(たとえば、10:1)、ブロモおよびクロロ芳香族化合物のSuzuki-Miyaura反応(実施例12)およびMizoroki-Heck反応(実施例13)で高い触媒活性を示し、溶液にPdを浸出しなかった。2%ほどの高い負荷率を用いた場合、反応終了時、溶液には3ppbほどの低いPdが認められ、これは最初に添加された触媒のわずか0.001%に相当した。特に、S:Pd比4:1のゾルゲルSBA-15-SHの結果を表3に示す。チオール:Pd比、2:1から10:1のいずれかを有する触媒に関して、活性に相違は認められなかった。
【0083】
(表3) ゾルゲルSBA-15-SH・PdによるSuzuki-Miyauraカップリングa


a 別に記載のないかぎり、反応条件は次のとおりである。触媒1%、8時間、80℃。転換率および収率は、別に記載のないかぎり、内部標準に対してガスクロマトグラフィー(GC)で求める。
b DMF/H2O比20/1
c 最初に添加したPdに対する%、および濾液のppm。ICPMSで判定。
d 80℃、5時間
e 未判定
f 100℃、2時間
g ブロモベンゼンを用いた。
h 触媒2%、24時間、80℃でクロロアセトフェノンを用いた。
I MPTMSのジスルフィドのゾルゲル取り込みを行い、その後、トリフェニルホスフィンと水でS-S結合を開裂することによって、触媒を調製した。
【0084】
ゾルゲルSBA-15-SH・Pd材料では、ジメチルホルムアミド(DMF)、水、または2種の溶媒の混合物において、高い触媒活性が認められた。最も顕著なことに、極めて低い触媒の浸出が認められた。いずれの場合も、反応終了時に、溶液に存在したPdは1ppm未満であり、一部の例では、3ppb程度の低いPdが認められ、これは最初に添加した触媒のわずか0.001%の損失に相当した。低い転換率(22%、42%)で採取したサンプルは、浸出が増加していないことを示し、触媒が反応後に浸出、再吸着しないことを示した(Lipshutz等、2003、Zhao等、2000)。本明細書において使用される、「転換率」という用語は、触媒反応が進行した程度を意味するものである。
【0085】
ケイ素および硫黄の存在に関しても、濾液を試験した。表3のエントリー4および5に示したように、水で行った反応で両方が観察された。しかしながら、DMFでは、ケイ素と硫黄の浸出は劇的に抑えられたが、わずかに高いPdの浸出が認められた(1%の0.35%、または0.75ppm)(エントリー6)。市販されているシリカゲル負荷チオールを用いた場合(エントリー7および8)、DMF中、80℃で反応性の低下が認められたが(エントリー6)、高い温度では反応性が回復した(90℃、転換率97%、収率92%)。MPTMSのジスルフィドを用い、その後、トリフェニルホスフィンでチオールに還元することによって調製された触媒は、いくらかの活性を示したが、チオール自体の取り込みで認められたものより低かった(エントリー9)。
【0086】
クロロアレーンカップリングには均一触媒がより活性であり(Littke等、2002)、クロロアレーンのSuzuki-Miyaura反応を促進すると報告されている不均一触媒は少数のみであるが(Choudary等、2002、Baleizao等、2004、Wang等、2004)、本発明の触媒では80から100℃の低い温度で反応が認められた(表3、エントリー5、ならびに表4、エントリー1および2)。ヘテロ芳香族基質、たとえば3-ブロモピリジンなど、不活性化基質、たとえば4-ブロモアニソールなど、ならびにクロロアセトフェノンおよびクロロベンゼンでも、良好〜優れた収率でカップリング反応が起こったが(表4)、後者の2種は高い負荷量を必要とした。これらの触媒は、水においても、実質的に活性を失うことなく複数回再使用することができた(表5)。SiO2-SH・Pd触媒では、初回の再使用で活性の小さな損失が認められたが、その後、触媒は完全に再生利用可能であった。水素化などの反応では、金属触媒の酸化状態が変わる可能性がある。たとえば、Pd(II)は低い酸化状態でもPd(0)となる可能性があり、触媒は依然として活性であり、したがって再使用可能である。
【0087】
(表4) Suzuki-Miyauraカップリングの基質範囲a

a 反応は、触媒1%、90℃で15時間、クロロアレーンの場合、触媒2%、100℃で24時間行った。
b 単離収率
【0088】
(表5) 4-ブロモアセトフェノンとフェニルボロン酸のSuzuki-Miyaura反応における触媒の再使用性

【0089】
真に不均一な触媒を使用してSuzuki-Miyaura反応が進行したことを確かめるために、本発明者らはいくつかの試験を行った(実施例14参照)。最初に、微量のPdは高い触媒活性を有することが報告されているため(Arvela等、2005)、本発明者らは500ppbのPd(OAc)2で反応を試み、80℃で8時間後、5%未満の転換率を認めた。次に、本発明者らは熱濾過試験を行い(Sheldon等、1998)、反応開始1時間または3時間後に溶液の半分を濾過した。両方の画分を合計8時間加熱した。これをDMF溶媒で行ったとき、懸濁触媒を含有する画分は転換率97%まで進行し、触媒を含まない画分はさらに1%だけ反応した。4/1のDMF/水では、触媒を含まない画分はさらに5%反応した。最終分割試験を行い、濾過された触媒を入れる第2のフラスコにフェニルボロン酸と炭酸カリウムを入れた。ここでも、わずか5%の追加反応が認められた(図1参照)。
【0090】
最後に、本発明者らは3相試験を行ったが(Davies等、2001、Baleizao等、2004)、この試験では1つの基質をシリカに固定し、この基質の転換は均一触媒の作用に起因した。典型的なSuzuki-Miyaura反応条件下で、約5%の固定化臭化アリールが生成物に転換し、固定化塩化アリールはまったく生成物に転換しなかった。これらの実験は、微量のPdが担体から浸出し、触媒として活性であるが、大部分(すなわち>95%)の触媒作用は、おそらく固定化Pdナノ粒子の形態である真に不均一なPd触媒によって行われ、すなわち浸出が最小限であることを示した。
【0091】
スチレンと4-ブロモアセトフェノン、ブロモおよびヨードベンゼン(2当量)のMizoroki-Heck反応も、ゾルゲルSBA-15-SH・PdおよびSBA-15-NH2・Pdによって触媒された(表6)。この場合も、触媒は良好な活性を示し、Pd浸出は最小限であった(0.25ppm未満、エントリー2および3)。興味深いことに、アミン官能化シリケートも活性触媒であったが、Pd浸出は相当量であり、35ppmであった(エントリー5)。これは最初に添加した触媒のほぼ10%に相当し、Pdの保持にはチオール修飾表面が好ましいことを例示している。
【0092】
(表6) Mizoroki-Heck反応でのゾルゲルSBA-15-NH2・PdおよびSBA-15-SH・Pd触媒a


a 別に記載のないかぎり、反応条件は次のとおりである。120℃、1mmol ハロゲン化物、1.5mmol オレフィン、2mmol NaOAc、DMF、15時間。
b 原子吸光によって判定
n.d.;未判定
【0093】
さらに、El-Safty等(El-Safty、2005)によって記載の方法の変法である液晶テンプレート法で調製されたチオール修飾材料で触媒活性が認められた(実施例8)。シリカ源としてのTMOS(Si(OMe)4)と共に、界面活性剤として非常に短い極性鎖を有するブロックコポリマーテンプレートを用いた(L121、EO5PO70EO5)。文献によれば、得られる材料は立方またはワームホールである。孔直径および安定性を増大するために、合成後、この材料を熱水処理した。この方法でブロックコポリマーP123を用いることもできる。この方法の利点は、この方法を用いて、より短い時間内にモノリス形態で材料を製造できることである。下記の実施例に記載のとおりPdを吸収した後、得られた材料は、4-ブロモアセトフェノンとフェニルボロン酸ピナコールエステルのSuzuki-Miyaura反応に触媒活性を示した。この反応の結果、および液晶テンプレート触媒の物理特性を表7に示す。
【0094】
イオンおよび非イオン界面活性剤の組み合わせによっても、活性触媒が生じた。中性ブロックコポリマー界面活性剤と共にイオン界面活性剤を添加する利点は、同じ(pluronic)界面活性剤と少量の別の界面活性剤、この場合はSDSを用いて、異なる構造(たとえば、六方、立方)および形態を得られることである。
【0095】
同じ量のP123を用い、Chen等(Chen、2005)の方法に基づいて材料を調製した。この場合、SDSによってP123から立方構造が得られるが、これは通常F127などの他の界面活性剤によって得られるものである。TEOSとMPTMSを同時に共縮合すると良好な材料を得られないことがわかったが、これはおそらくMPTMSの縮合がより速いためであろう。したがって、TEOSをまず添加し、次いでメルカプトトリメトキシシランが添加されるように、手順が変更された(Margolese、2000)。
【0096】
興味深いことに、同じ方法であるが、エージング中に攪拌して材料を調製したとき、触媒活性は認められなかった。さらに、低量のP123で調製した材料も、触媒活性を示さなかった。実施例6および8に記載のとおり調製した材料の特性および触媒活性を表7に示す。
【0097】
(表7) 代替条件下で調製された材料の窒素吸着データおよび触媒活性

【0098】
引用した文献はすべて全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0099】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【0100】
実施例1. グラフト化SBA-15-SHの調製
SBA-15(Zhao等、1998a、b)またはSiO2(1g)の乾燥トルエン(30ml)懸濁液に、N2雰囲気下、(CH3O)3Si(CH2)3SH(1ml、5.3mmol)およびピリジン(1ml、12.3mmol)を滴加した。得られた混合物を115℃で24時間還流した。冷却後、懸濁液を濾過し、固体残留物をメタノール、エーテル、アセトン、およびヘキサンで洗浄して、未反応チオールを除去した。得られた固体を室温で真空乾燥して、白色粉末を得た。SBA-15-SHのBrauner Emmet Teller(BET)表面積は410m2/gであり、硫黄の元素分析は2.2mmol/gであり、SiO2-SHのBET表面積は297m2/gであり、硫黄の元素分析は1.3mmol/gである。
【0101】
実施例2. ゾルゲルSBA-15-SHの調製
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)官能化SBA-15材料の合成は、純シリカSBA-15の合成(Zhao等、1998a、b)と同様に行ったが、ただしMelero等(2002)に記載のとおり、様々な量のMPTMSを添加した。トリブロックコポリマーPluronic 123(P123、化学式(EO)20(PO)70(EO)20を有する(式中、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドである))(Aldrich)の存在下、予め混合したテトラエトキシシラン(TEOS)と様々な割合のMPTMSを一段階共縮合することによってサンプルを合成した。P123 4g、2M HCl 120ml、および蒸留水30mlと共に様々な比率のTEOS:MPTMSを用いた。TEOS:MPTMSのモル比は、式TEOS yモル、およびMPTMS(0.041-y)モルに従い、yは0.041、0.0385、0.0376、0.0368、0.0347であり、これはそれぞれMPTMS濃度0、6、8、10、15モル%に相当する。80℃で48時間エージングした後、固体サンプルを濾過し、エタノールで洗浄し、室温で真空乾燥した。70℃で3日間、エタノール抽出を用いて、界面活性剤P123の除去を行った。
【0102】
実施例3. SBA-15-SH・Pdの調製
0.05MのPd(OAc)2乾燥THF溶液50mlを、不活性雰囲気下、シュレンクフラスコで調製した。これにSBA-15-SHまたはSiO2-SH 1gを添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、固体触媒を濾過し、THFで洗浄し、室温で真空乾燥した。
【0103】
実施例4. ゾルゲルSBA-15-NH2の調製
3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)官能化SBA-15材料の合成は、純シリカSBA-15の合成と同様に行ったが、ただし様々な量のAPTMSを添加した(Wang等(2005)参照)。トリブロックコポリマーPluronic 123(P123)の存在下、予め混合したトリエトキシシラン(TEOS)と様々な割合のAPTMSを一段階共縮合することによってサンプルを合成した。P123 4g、2M HCl 120ml、および蒸留水30mlと共に様々な比率のTEOS:APTMSを用いた。TEOS:APTMSのモル比は、式TEOS bモル、およびAPTMS(0.041-b)モルに従い、bは0.041、0.0385、0.0376、0.0368、0.0347であり、これはそれぞれAPTMS濃度0、6、8、10、15モル%に相当する。80℃で48時間エージングした後、固体サンプルを濾過し、エタノールで洗浄し、室温で真空乾燥した。70℃で3日間、エタノール抽出を用いて、界面活性剤P123の除去を行った。
【0104】
実施例5. SBA-15-NH2・Pdの調製
0.05MのPd(OAc)2乾燥THF溶液50mlを、不活性雰囲気下、シュレンクフラスコで調製した。これにSBA-15-NH2 1gを添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。固体触媒を濾過し、THFで洗浄し、室温で真空乾燥した。
【0105】
実施例6. 界面活性剤P123とSDSの混合物を用いるチオール修飾材料の調製
30℃で3〜4時間、密閉ガラス瓶で攪拌しながら、水52mlおよび24gの2M HCl溶液(37%HCl 5mlおよび水25ml)に、P123(2.0385g)およびSDS(0.2298g)を溶解した。
【0106】
その後、その透明溶液にTEOS(3.9968g)を添加した。混合物を30℃で3時間攪拌した。次いで、得られた白色溶液に、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、0.25ml)を添加した。混合物を30℃で24時間(TEOS添加後)攪拌し、その後、100℃でさらに24時間エージングした。固体を濾過によって回収し、水200mlおよびエタノール200mlで洗浄した。
【0107】
エタノール150mlと37%HCl 1.5mlの混合物に固体を注ぎ入れ、60℃で4時間攪拌することによって、界面活性剤を抽出した。固体を濾過によって回収し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄、その後、150℃で1時間乾燥した。1.6968gの無色の粉末を回収した。
【0108】
実施例7. 界面活性剤P123とSDSの混合物を用いて調製されたチオール修飾材料からのPd触媒の調製
酢酸パラジウム17.0mg(0.076mmol)をカラム乾燥THF12mlに溶解した。得られた溶液をアルゴン雰囲気下で15分間攪拌して、確実に溶解を完了させた。その後、P123/SDSテンプレートチオール修飾シリケート248.8mgをその溶液に添加し、アルゴン下、室温で1時間攪拌した。1時間後、焼結ガラス漏斗を用いて触媒を濾過し、バイアルにかき取り、高真空下で一晩乾燥した。
【0109】
実施例8. 液晶テンプレートとしてL121を用いるチオール修飾材料の調製
40℃で5分間、ロータリーエバポレーターに連結した丸底フラスコで、L121(EO5PO70EO5、2.2860g)をメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、0.1955g)およびTMOS(Si(OMe)4、2.3356g)と混合した。その後、pH=1.3でHCl溶液1.4mlを添加した。40℃で10分間攪拌した後(ゾルゲルが透明のとき)、系を最初は430mmHgで10分間、次いで150mmHgで10分間、真空下に置いた。得られた固体を40℃で24時間、開口フラスコで硬化させた。その後、水55mlを加え、95℃で24時間硬化させて、固体を熱水処理した。固体を濾過によって回収し、水で洗浄し、室温で乾燥させた。
【0110】
エタノール300mlと37%HCl 3mlの混合物に得られた固体を注ぎ入れ、60℃で4時間攪拌することによって、界面活性剤を抽出した。固体を濾過によって回収し、エタノール、次いでジエチルエーテルで洗浄した。固体を150℃で1時間乾燥した。1.6994gの無色の粉末を回収した。
【0111】
実施例9a. Pd源として安定化Pdナノ粒子を用いるPd-修飾チオール含有(Pd-SBA-15-SH/NH2)メソポーラス材料の合成
酢酸パラジウムの乾燥THF0.05M溶液(50ml)に室温で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)0.05gを添加して、黒褐色の溶液を得たが、これはパラジウムナノ粒子の形成を示唆した。これらのパラジウムナノ粒子を、様々な比率の有機可溶性メルカプトプロピルトリエトキシシランまたはアミノプロピルトリエトキシシランで処理した。その後、アルカンチオール/アミン安定化パラジウム粒子の形成が完了するまで、混合物を室温で速やかに攪拌した。溶媒を蒸発させて、安定化Pdナノ粒子を得た。第2のフラスコでP123[(EO)20(PO)70(EO)20](4g)をH2O(120ml)および2M HCl(30ml)に溶解し、35℃に19時間加熱した。この溶液10mlを前もって調製したMPTMSまたはAPTMSで安定化したパラジウムナノ粒子に添加した。その後、TEOS(0.0385モル)をこの混合物に添加し、結果として得られた合わせたTEOS/Pdナノ粒子混合物を残存するP123/H2O/HCl混合物に添加した。80℃で48時間エージングした後、固体サンプルを濾過し、エタノールで洗浄し、室温で真空乾燥した。70℃で3日間、エタノール抽出を用いて、界面活性剤P123の除去を行った。
【0112】
実施例9b. 液晶テンプレートとしてL121を用いて製造されたチオール修飾材料からのPd触媒の調製
酢酸パラジウム16.6mg(0.074mmol)を乾燥THF12mlに溶解した。得られた溶液をアルゴン雰囲気下で15分間攪拌して、確実に溶解を完了させた。その後、液晶テンプレートチオール修飾シリケート253.4mgをその溶液に添加し、アルゴン下、室温で1時間攪拌した。1時間後、焼結ガラス漏斗を用いて触媒を濾過し、バイアルにかき取り、高真空下で一晩乾燥した。
【0113】
実施例10. ビス(トリメトキシシリル)プロピルジスルフィド官能化SBA-15の合成
ビス(トリメトキシシリル)プロピルジスルフィド(BTMSPD)官能化SBA-15の合成は、SBA-15の合成と同様に行ったが、ただし混合物をトリブロックコポリマーPluronic 123(P123)に添加する前に、BTMSPDを様々な量のテトラエトキシシラン(TEOS)と予め混合した。4gのP123を用いたとき、それぞれの混合物のモル組成は、TEOS x:BTMSPD(0.041-x):HCl 0.24:H2O 8.33であり、xが0.00125である場合、BTMSPDに相当した(たとえば、1:3 BTMSPDは、モル比BTMSPD:TEOS=1:3で合成されたサンプルを表す)。70℃で3日間、エタノール抽出することによって、界面活性剤P123の除去を行った。固体サンプルを濾過し、エタノールで洗浄し、室温で真空乾燥した。
【0114】
PPh3/H2Oによるビス(トリメトキシシリル)プロピルジスルフィド官能化SBA-15のSBA-SHへの還元(Overman等、1974)
ビス(トリメトキシシリル)プロピルジスルフィド官能化SBA-15(500mg)および過剰のトリフェニルホスフィン(0.78g、3mmol)をジオキサン15mlに溶解し、不活性雰囲気下、水2mlを添加した。得られた混合物を60℃で15時間攪拌した。その後、溶媒を濾過し、エタノールおよびH2Oで洗浄し、真空下で乾燥した。
【0115】
実施例11. 除去試験
100mg量のチオール修飾シリケートを既知濃度の酢酸Pd(II)または塩化Pd(II)溶液10mlと共に1時間攪拌した。その後、45mm/25mmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを通して、その溶液を濾過し、上澄み液に残存するPd(II)濃度を誘導結合プラズマ質量分析法(ICPMS)で測定した。担体100mgおよび0.01M Pd(II)溶液10mlを用いて、1時間、非官能化SBA-15およびK-10モンモリロナイトでブランク実験を行った。結果を表1に示す。
【0116】
実施例12. Suzuki-Miyauraカップリングの実験手順
ハロゲン化アリール(1mmol)、フェニルボロン酸(1.5mmol)、炭酸カリウム(2mmol)、ヘキサメチルベンゼン、0.5mmol(GC分析の内部標準として)、およびパラジウム触媒(1%)を封管で混合した。この反応混合物に溶媒(H2O、またはDMF、またはDMF/H2O混合物(20:1))5mlを添加し、不活性雰囲気下、所望の温度で攪拌した。反応完了後(GCで判定)、触媒を濾過し、反応混合物を水に注ぎ入れた。水相をCH2Cl2で抽出した。乾燥後、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0117】
実施例13. Mizoroki-Heckカップリングの実験手順
ハロゲン化アリール(1mmol)を封管でDMF 5ml中のスチレン1.5mmol、酢酸ナトリウム2mmol、および0.5〜1.0%Pd-シリケート触媒と混合した。窒素パージ後、反応混合物を120℃に加熱した。反応完了後(GCで判定)、反応物を冷却し、濾過によって触媒を除去し、触媒をCH2Cl2で洗浄した。無機塩を水およびCH2Cl2による抽出で除去した。乾燥し、有機層を濃縮した後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0118】
実施例14. 不均一性試験
ClPhCONH@SiO2およびBrPhCONH@SiO2の合成手順
スキーム1. アミノプロピル修飾シリカへのp-クロロまたはp-ブロモベンゾイルアミドのアンカー手順

【0119】
シリカゲル負荷基質を調製するBaleizao等(2004)の手順に従って、対応するアシルクロリドの溶液(p-クロロベンゾイルアミド、0.919g、5.25mmol、またはp-ブロモベンゾイルアミド、1.15g、5.25mmol)を、窒素雰囲気下、アミノプロピルトリエトキシシラン修飾シリカ(1g、以下の合成を参照)およびピリジン(404μl、5mmol)と共に丸底フラスコで乾燥THF(10ml)に溶解した。得られた懸濁液を40℃で12時間攪拌し、その後、濾過し、5%(v/v)HCl水溶液20mlで3回洗浄、次いで、0.02MのK2CO3水溶液20mlで2回洗浄、蒸留水で2回洗浄し、エタノール20mlで2回洗浄した。得られた固体を大過剰のジクロロメタンで洗浄し、風乾した。BrPhCONH@SiO2の場合、1.178gが回収され、ClPhCONH@SiO2の場合、1.13gが回収された。本明細書において使用される、「@」という用語は、リガンドがシリケート表面にアンカーされている事実を指すものであり、好ましくは化学(たとえば、共有)結合を伴う。
【0120】
3相試験
4-クロロアセトフェノンまたは4-ブロモアセトフェノン(0.25mmol)、フェニルボロン酸(0.37mmol、1.5当量)、およびK2CO3(0.5mmol、2当量)の水溶液を、SBA-15-SH・Pd触媒、およびClPhCONH@SiO2またはBrPhCONH@SiO2(250mg)の存在下、クロロ基質の場合、100℃で24時間、またはブロモ基質の場合、80℃で5時間もしくは13時間攪拌した。その後、上澄みをGCで分析し、熱い間に固体を真空下、濾過によって分離し、エタノールで洗浄、ジクロロメタンでさらに抽出した。
【0121】
その後、90℃で3日間、KOHのエタノール/水2M溶液(EtOH 10ml、H2O 5ml中1.68g)で加水分解した。得られた溶液を10% HCl v/v(9.1ml)で中和し、CH2Cl2、次いで酢酸エチルで抽出し、濃縮して、得られた混合物を1H NMRで分析した。
【0122】
p-ブロモアセトフェノンとBrPhCONH@SiO2の反応では、通常の反応条件後(5時間、80℃)、97:3の比で未反応p-ブロモ安息香酸とp-フェニル安息香酸が認められた(均一Pdによるカップリングに起因すると思われる)。さらに、2種の可溶性試薬のカップリングから50%のp-フェニルアセトフェノンが認められ、活性触媒の存在を示唆した。これは本発明者らが通常この時点で認める転換率よりわずかに低かったため(大量のシリカ負荷基質の存在下で攪拌が困難なためであると本発明者らは考えた)、本発明者らは13時間反応を繰り返した。この時点で、本発明者らは均一試薬の転換率97%、p-ブロモ安息香酸とp-フェニル安息香酸の比93:7を認めた。
【0123】
100℃、24時間、水でのp-クロロアセトフェノンとClPhCONH@SiO2の反応では、可溶性反応対による反応は転換率80%に進行し、p-フェニル安息香酸は検出されなかった。
【0124】
アミノプロピル修飾シリカの合成
SiO2(10g)の乾燥トルエン(30ml)懸濁液に、N2雰囲気下、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)(16ml、90mmol)およびピリジン(10ml、123mmol)を滴加した。得られた混合物を24時間還流した。その後、懸濁液を濾過し、ジクロロメタンで24時間ソックスレー抽出した。得られた固体を室温で真空乾燥して、11.8gの白色粉末を得た。
【0125】
反応の様々な時点での熱濾過
SBA-15-SH・Pd(1mol%)、4-ブロモアセトフェノン(199mg、1mmol)、フェニルボロン酸(182mg、1.5mmol)、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、内部標準としてヘキサメチルベンゼン(81mg、0.5mmol)、および5mlのDMF/H2O(20:1)または純水を封管に取り、不活性雰囲気下、80℃で攪拌した。この段階で、80℃で45μmのフィルターを用い、所望の時間間隔で反応混合物を濾別し、溶液のPd浸出をICPMSで分析した。生成物の転換率をガスクロマトグラフィーで分析し、それを以下の表に示す。
【0126】
水では、示した時点で、本発明者らは以下の転換率および浸出を認めた。
45分、転換率42%、0.17ppm
2時間、転換率62%、0.17ppm
【0127】
DMF/水において、本発明者らは低い転換率でPd浸出の急上昇を認めなかったことにも留意されたい。
1時間、転換率22%、0.27ppm
3時間、転換率56%、0.34ppm
8時間、転換率98%、0.54ppm
【0128】
熱濾過(分割試験)
SBA-15-SH・Pd(1mol%)、4-ブロモアセトフェノン(199mg、1mmol)、フェニルボロン酸(182mg、1.5mmol)、炭酸カリウム(276mg、2mmol)、内部標準としてヘキサメチルベンゼン(81mg、0.5mmol)、および5mlのDMF/H2O(4:1)を、空気に暴露されることなく反応物が濾過される、2つの分離チャンバーの間にフィルターを有する特別に設計されたシュレンクフラスコで混合した。反応物を不活性雰囲気下、80℃で攪拌し、1時間後(転換率12%)、80℃でシュレンク焼結ガラスフィルターを通して、溶液の半分を別のフラスコに濾過した。さらに、両方の画分を不活性雰囲気下、80℃でさらに7時間加熱し、生成物をGCで分析した。懸濁触媒を含有する画分は転換率97%まで進行し、触媒を含まない画分はさらに5%だけ反応した(すなわち、総転換率17%)。
【0129】
濾過後、溶液に十分な試薬を確実に存在させるために、反応は上述の4:1のDMF/水で行い、反応物を濾過したフラスコにもフェニルボロン酸(20mg)、および炭酸カリウム(60mg)を充填した。この場合、1時間後、転換率は9%であり、反応物を2つに分割し、7時間後、シリケート含有画分は転換率92%に進行し、シリケートを含まない画分は14%であった。
【0130】
等価物
当業者は本明細書に記載した態様の等価物を認識するであろう。そのような等価物は本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に包含される。
【0131】
参考文献


【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】SBA-15-SH・Pdで触媒された4-ブロモアセトフェノンとフェニルボロン酸との反応における不均一Pdの存在を判定する分割試験の結果を示すプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化シリケート材料および金属を含む触媒であって、以下の段階を含むゾルゲル法によって調製された触媒:
シリケート前駆体と、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、
シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa:
式中、aは2から4の整数であり、
Gは、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおりである))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、およびテトラケイ酸ナトリウムから選択される金属シリケート、
(3) 予備形成シリケート、
(4a) 一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサンを含む有機/無機コンポジットポリマー:
式中、Eは、式SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)の重合性無機シリカベース基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、式-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)の脂肪族基、および置換または非置換であってよい、式-(C6H4)b-の芳香族基を含む、式-(CH)b-または-(C)b-の不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサンおよびポリアリールシロキサンから選択され、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、有機/無機コンポジットポリマー、ならびに
(5) 無機シリカ前駆体と式E-R''-Eのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、または無機シリカ前駆体と式X3Si-R''-Zのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートおよびスチレンから選択される重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)を含む、有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;ならびに
官能化シリケート材料を、乾燥溶媒と、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金から選択される1種または複数の金属、またはそれらの錯体との混合物と配合して触媒を得る段階。
【請求項2】
方法が、配合物を濾過して触媒を得る段階をさらに含む、請求項1記載の触媒。
【請求項3】
Gが、Me、Ph、-(CH2)2-、-C6H4-、-C6H4-C6H4-、およびそれらの組み合わせから選択され、Eが、Si(OEt)3、またはSi(OMe)3である、請求項1記載の触媒。
【請求項4】
シロキサンが、式X3Si-R''-SiX3であり、式中、Xは請求項1に定義したとおりであり、R''はアルキルおよびアリールから選択される架橋基である、請求項1記載の触媒。
【請求項5】
架橋基が、メチレン、エチレン、プロピレン、エテニレン、フェニレン、ビフェニレン、ヘテロシクリル、ビアリーレン、ヘテロアリーレン、多環芳香族炭化水素、多環へテロ芳香族、およびヘテロ芳香族から選択される、請求項4記載の触媒。
【請求項6】
架橋基が、1,4-フェニルであり、シリケートが、1,4-ジシロキシルベンゼンである、請求項4記載の触媒。
【請求項7】
シリケート前駆体が、シルセスキオキサンである、請求項1記載の触媒。
【請求項8】
シリケート前駆体が、加水分解安定性ケイ素-炭素結合を含有する、請求項1記載の触媒。
【請求項9】
シリケート前駆体が、テトラエトキシシラン(TEOS)である、請求項1記載の触媒。
【請求項10】
シリケート材料が、メソポーラスシリケート材料を含む、請求項1記載の触媒。
【請求項11】
方法が、
縮合中に構造規定剤(SDA)を添加して、シリケート材料に多孔性を導入する段階、および
シリケート材料を金属と配合する前にSDAを除去する段階
をさらに含む、請求項1記載の触媒。
【請求項12】
SDAが、ポロゲンおよび/または界面活性剤である、請求項11記載の触媒。
【請求項13】
SDAが、非イオン界面活性剤である、請求項11記載の触媒。
【請求項14】
SDAが、脂肪族アミン、ドデシルアミン、およびα-、β-、またはγ-シクロデキストリンから選択される非イオン界面活性剤である、請求項11記載の触媒。
【請求項15】
SDAが、非イオンポリマー界面活性剤である、請求項11記載の触媒。
【請求項16】
SDAが、2種以上の界面活性剤を含む、請求項11記載の触媒。
【請求項17】
SDAが、イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤、または陰イオン界面活性剤および非イオン界面活性剤を含む、請求項11記載の触媒。
【請求項18】
SDAが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、P123、F127、およびBrij型界面活性剤から選択される2種以上の界面活性剤を含む、請求項11記載の触媒。
【請求項19】
SDAが、1種または複数の界面活性剤、および細孔拡張剤を含む、請求項11記載の触媒。
【請求項20】
SDAが、SDSおよびP123を含む、請求項11記載の触媒。
【請求項21】
界面活性剤が、トリブロックコポリマーである、請求項11記載の触媒。
【請求項22】
方法が、塩、イオン性錯体、非イオン性錯体、または予備結合錯体として金属を提供する段階をさらに含む、請求項1記載の触媒。
【請求項23】
予備結合錯体が、一般式LmM[Y-(CH2)b-SiX3]r-mであり、式中、Xは請求項1に定義したとおりであり、YはS、N、O、C、H、およびPから選択される元素をベースとする官能基であり、Mは金属であり、rは金属の配位数であり、Lは金属のリガンドであり、mは0からrの整数であり、bは1から20の整数である、請求項22記載の触媒。
【請求項24】
bが、2から4の整数である、請求項23記載の触媒。
【請求項25】
金属が、パラジウムである、請求項1記載の触媒。
【請求項26】
官能化剤が、式X3-aGaSi-R''-Yであり、式中、R''、G、X、およびaは請求項1に定義したとおりであり、YはS、N、O、C、H、もしくはP、またはそれらの組み合わせを含む官能基である、請求項1記載の触媒。
【請求項27】
官能基Yが、SH、NH2、PO(OH)2、NHCSNH2、NHCONH2、SG、NHG、PG3、PO(OG)2、NG2、SG2、OG2、NG3、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアゾール、POCH2COG、クラウンエーテル、アザ、ポリアザマクロサイクル、チアマクロサイクル、およびそれらの組み合わせから選択され、Gは請求項1に定義したとおりであるか、またはGはHである、請求項26記載の触媒。
【請求項28】
Yが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、およびピレンから選択される芳香族基であるか、またはYが-(CH2)b-H(式中、bは1から20の整数)である脂肪族基である、請求項27記載の触媒。
【請求項29】
官能化剤が、チオール、ジスルフィド、アミン、ジアミン、トリアミン、イミダゾール、ホスフィン、ピリジン、チオ尿素、キノリン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の触媒。
【請求項30】
官能化剤がジスルフィドである、請求項1記載の触媒。
【請求項31】
官能化剤が、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランのジスルフィドである、請求項1記載の触媒。
【請求項32】
方法が、金属吸着前にジスルフィド結合を還元する段階をさらに含む、請求項31記載の触媒。
【請求項33】
官能化剤の濃度が、最大20mol%である、請求項1記載の触媒。
【請求項34】
官能化剤の濃度が、最大約15mol%である、請求項1記載の触媒。
【請求項35】
官能化剤の濃度が、約6から8mol%である、請求項1記載の触媒。
【請求項36】
官能化剤が、アミンである、請求項1記載の触媒。
【請求項37】
アミンが、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)である、請求項36記載の触媒。
【請求項38】
化学反応を触媒する方法であって、該反応に請求項1記載の触媒を提供する段階を含む方法。
【請求項39】
化学反応が、カップリング反応、ヒドロシリル化反応、水素化反応、および脱ベンジル化反応から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
化学反応が、Mizoroki-Heck、Suzuki-Miyaura、Stille、Kumada、Negishi、Sonogashira、Buchwald-Hartwig、およびHiyamaから選択されるカップリング反応である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
官能化シリケート材料および金属を含む触媒を調製するゾルゲル法であって、以下の段階を含む方法:
シリケート前駆体と、金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、
シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa:
式中、aは2から4の整数であり、
Gは、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおりである))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、およびテトラケイ酸ナトリウムから選択される金属シリケート、
(3) 予備形成シリケート、
(4a) 一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサンを含む有機/無機コンポジットポリマー:
式中、Eは、式SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)の重合性無機シリカベース基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、式-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)の脂肪族基、および置換または非置換であってよい、式-(C6H4)b-の芳香族基を含む、式-(CH)b-または-(C)b-の不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサンおよびポリアリールシロキサンから選択され、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、有機/無機コンポジットポリマー、ならびに
(5) 無機シリカ前駆体と式E-R''-Eのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、または無機シリカ前駆体と式X3Si-R''-Zのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートおよびスチレンから選択される重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)を含む、有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階;ならびに
官能化シリケート材料を、乾燥溶媒と、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄、銀、および金から選択される1種または複数の金属、またはそれらの錯体との混合物と配合して触媒を得る段階。
【請求項42】
配合物を濾過して触媒を得る段階をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
官能化シリケート材料を含むスカベンジャーを提供する段階;および
1種または複数の金属がスカベンジャーに捕捉されるように、スカベンジャーを溶液と配合する段階
を含む、溶液から1種または複数の金属を除去する方法であって、
スカベンジャーが、以下の段階を含むゾルゲル法によって調製される方法:
シリケート前駆体と、1種または複数の金属のリガンドである、ある割合の官能化剤との一段階共縮合によって、官能化シリケート材料を合成する段階であって、
シリケート前駆体は、
(1) SiG4-aXa:
式中、aは2から4の整数であり、
Gは、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルキル、
直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、1から20個の炭素原子を有するアルケニル、
置換または非置換であってよい、アリールまたはヘテロアリール、ならびに
アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスホナート、ホスフィナート、ヘテロシクリル、およびそれらのエステルから選択される有機基であり、
Xは、アルコキシ(OG(Gは上に定義したとおりである))、ハロゲン、アリル、ホスフェート、リン酸エステル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、サルフェート、および、スルホナートから選択される、縮合を受けることのできる基である、
(2) オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジケイ酸ナトリウム、およびテトラケイ酸ナトリウムから選択される金属シリケート、
(3) 予備形成シリケート、
(4a) 一般構造E-R''-Eのシルセスキオキサンを含む有機/無機コンポジットポリマー:
式中、Eは、式SiX3(式中、Xは上に定義したとおりである)の重合性無機シリカベース基であり、
R''は、直鎖、分岐、または環状、置換または非置換であってよい、式-(CH2)b-(式中、bは1から20の整数)の脂肪族基、および置換または非置換であってよい、式-(C6H4)b-の芳香族基を含む、式-(CH)b-または-(C)b-の不飽和脂肪族基から選択される、
(4b) ポリアルキルシロキサンおよびポリアリールシロキサンから選択され、ポリマーの構造は-[SiG2O]z-であり、式中、Gは上に定義したとおりであり、zは10から200の整数である、有機/無機コンポジットポリマー、ならびに
(5) 無機シリカ前駆体と式E-R''-Eのシルセスキオキサン前駆体との共縮合、または無機シリカ前駆体と式X3Si-R''-Zのシロキサン末端有機重合性基との共縮合によって調製されたコンポジット(式中、Zはアクリレートおよびスチレンから選択される重合性有機基であり、X、E、およびR''は上に定義したとおりである)を含む、有機ポリマーおよび無機ポリマーの混合物から選択され、
官能化剤は、E-R''-Yであり、式中、EおよびR''は上に定義したとおりであり、Yは、S、N、O、C、H、P、またはそれらの組み合わせを含む官能基である段階;ならびに
官能化シリケート材料を濾過し、乾燥する段階。

【図1】
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【公表番号】特表2008−535645(P2008−535645A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500019(P2008−500019)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000332
【国際公開番号】WO2006/094392
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】