タイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法とそれを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法
【課題】精度良く正確にシミュレートすることが可能なタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法とそれを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とを提供することを目的とする。
【解決手段】路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、凸部をタイヤが乗り越える場合にタイヤが突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、第一作用算出工程で算出した作用を突起毎に加算して、タイヤが凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程とを有するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法とする。
【解決手段】路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、凸部をタイヤが乗り越える場合にタイヤが突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、第一作用算出工程で算出した作用を突起毎に加算して、タイヤが凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程とを有するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、そのタイヤ作用力解析方法を用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ロードノイズは、路面の小石などの石塊による強制的な力がタイヤに入力されることが一つの発生要因であると考えられる。タイヤは、石塊から強制的な力を入力されると、変形させられて弾性力を生じる。この変形や弾性力に起因する振動やロードノイズを低減するために、シミュレーションによる解析が用いられる。
【0003】
例えば、周方向に連続する空洞部によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、有限個の要素でモデル化した路面を走行した際の空洞の変形に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが下記特許文献1に開示されている。
【0004】
また、周方向に分割された有限要素によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、有限個の要素でモデル化した路面を走行した際のタイヤモデルの所定の振動周波数特性に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献2に開示されている。
【0005】
また、有限要素によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、単一の突起のある路面を走行した際の各要素に加わる負荷に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献3に開示されている。
【0006】
また、路面の各突起から受ける力に基づいてタイヤ端部の各接触点の振動を求め、その振動と接触点からタイヤ軸への伝達特性に基づいて、タイヤ全体の振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献4と下記特許文献5とに開示されている。
【0007】
また、トレッドを表す2次元のトレッドデータによってモデル化されたタイヤが、多数の微小突起の位置を表す路面形状データに基づいてモデル化された路面を走行する場合に、タイヤの接触面の前後端部から発生する振動を積算して騒音をシミュレートすることが、例えば下記特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−186190号公報
【特許文献2】特開2004−020229号公報
【特許文献3】特開平11−201874号公報
【特許文献4】特開2000−241309号公報
【特許文献5】特開2000−241308号公報
【特許文献6】特許第3595411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
タイヤのロードノイズのシミュレーションにおいては、従来一組の荷重をタイヤの有限要素モデルの少なくとも一つの節点に負荷していた。任意の形状の石塊によるタイヤの経時的な変形や力の経時的な変動については考慮されていない。
【0010】
また、非線形振動計算では、任意の形状の石塊による作用を計算可能であるが、精度良く予測するためには、路面やタイヤの詳細なモデル化が必要となり実用的な計算時間でのタイヤ振動の算出は困難であった。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑み為されたものであって、精度良く正確にシミュレーションすることが可能なタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、それを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、凸部をタイヤが乗り越える場合にタイヤが突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、第一作用算出工程で算出した作用を突起毎に加算して、タイヤが凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、好ましくはタイヤをタイヤの表面において四角形状となる複数の要素が配列された集合体にモデル化するタイヤモデル化工程と、第一作用算出工程で算出した作用を、タイヤモデル化工程に対応した複数の節点に配分する節点配分工程とを有し、第二作用算出工程は、節点配分工程で配分された作用を、複数の突起について各々節点ごとに加算してタイヤが凸部から受ける作用を算出する工程であってもよい。
【0014】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは節点配分工程で配分する節点が、タイヤの表面と突起との作用点に最も近い四つの節点であってもよい。
【0015】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは節点配分工程が、第一作用算出工程で算出した作用を、複数の節点に、作用点からの距離に反比例させて配分する工程であってもよい。
【0016】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは第一作用算出工程で算出するタイヤが突起から受ける作用が、経時的に変動する時間の関数であり、第二作用算出工程で算出したタイヤが凸部から受ける作用を、周波数の関数へとフーリエ変換するフーリエ変換工程を有してもよい。
【0017】
また、この発明にかかるタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法は、上述のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法を用いてもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明により、精度良く正確にシミュレーションすることが可能なタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、それを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】石塊が存在するうねりのある路面をタイヤが転動する状態を説明する概念図である。
【図2】石塊を乗り越える場合のタイヤの変形について説明する図である。
【図3】円柱がタイヤに作用する力を説明する概念図である。
【図4】円柱の細分化を概念的に説明する図である。
【図5】細分円柱を用いた石塊のモデル化を模式的に説明する図である。
【図6】タイヤをモデル化したタイヤモデルの典型例を説明する斜視図である。
【図7】タイヤの表面における細分円柱とタイヤとの作用点に近接する四つの節点への力の配分を説明する図である。
【図8】石塊が移動していく場合の節点に働く力の経時的変化を示す図である。
【図9】フーリエ変換する前の節点に作用する力の時間関数を示す図である。
【図10】フーリエ変換した後の節点に作用する力の周波数関数を示す図である。
【図11】本実施形態で説明した処理の流れを説明する図である。
【図12】実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法についての演算処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態で説明するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上の凸部を微小な突起の集合としてモデル化し、微小な突起がタイヤに与える力をタイヤ上の節点に分配する。そして、節点ごとに各突起より加えられる力を積算し、時間の関数である力の変動をフーリエ変換して周波数の関数とする。
【0021】
そしてフーリエ変換した周波数により、タイヤ振動の周波数応答特性を演算する。このタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、タイヤに入力される力を正確に演算できるので、精度良くタイヤに発生する振動等を演算することが可能となる。
【0022】
また、本実施形態で説明するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上に存在する任意形状の石塊(凸部の典型例である。本件の解析ではタイヤ外部の物体によりタイヤが線形的に変形する程度の物体を乗り越えた場合を主に想定している。)が、静止タイヤモデル基準で車速に対応して相対的に移動するものとする。これにより、有限要素法計算に使用する離散的なタイヤモデルに対して、タイヤ接地面近傍に連続的に与えられる入力を考慮した線形振動計算が可能となる。
【0023】
このため、計算モデル上でタイヤが転動及び移動して路面との接触判定を行う非線形振動計算をしなくてもよいので、計算時間の短縮が可能となり好ましい。また、タイヤに入力される力を線形計算により正確に演算できるので、精度良く迅速にタイヤに発生する振動等を演算できることとなり好ましい。
【0024】
そこで、実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法について、図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【0025】
図1は、石塊130が存在するうねり120のある路面を、タイヤ110が転動する状態を説明する概念図である。図1に示すように、タイヤ110は石塊130を乗り越える場合に、石塊130から石塊130の大きさや形状に対応した力学的な作用F1を受ける。実施形態においては、石塊130を画一的な突起に置き換えるのではなく、現実には種々の形状・大きさである石塊130と等価となるように、石塊130を複数の細い円柱状の集合体に置き換える。
【0026】
石塊130を細い円柱状の集合体に置き換えることにより、タイヤ110の任意の部分が石塊130と当接する場合に作用する力を、任意形状の石塊130に対して正確に算出できるようにした。タイヤ110の任意の部分は定常的に路面と接しているわけではなく、石塊130と干渉する位置関係となった場合に、タイヤ110の任意の部分が石塊130と当接して力学的な作用F1を生じる。すなわち、実施形態においては、個々に異なる任意形状の石塊130に対して、適切にシミュレートすることができる。
【0027】
車両が現実の路面を走行する場合に、路面上の小石などの石塊が滑らかな路面から飛び出したような不連続な凹凸路面を通過する状況が生じ得る。従来は、このような走行状況を、有限要素法などの離散的な数値計算法において、実用的な線形振動計算により適切に表現することができなかった。
【0028】
線形振動計算として路面とタイヤとの干渉による作用を表現する方法は、例えば特許文献4や特許文献5で提案されている。しかし、これらの提案においては、路面が間隔を置いて面状に配置された多数の突起の集合体であるとして定義している。
【0029】
すなわち、現実の路面の形状から平均高さを求めて突出部分を抽出し、閾値を用いて対象となる突起を抽出する。そして、対象となる突起の数量をカウントすると共に、対象となる突起の平均寸法を決定する。路面形状の一部を形成する石塊部分の形状は、画一的な突起に置換されており、現実には様々に異なる石塊個々の形状・大きさは反映されない。
【0030】
このため、画一的な突起と見なされた石塊とタイヤとの間での作用については、実計測または有限要素法などを用いた数値計算等で、上述した特許文献により見積もることができると思われる。しかし開示された方法では、石塊個々に異なる任意の形状の石塊とタイヤとの間での作用については、シミュレーションへの反映ができない。
【0031】
具体的には、例えば特許文献4や特許文献5においては、連続的な突起とタイヤとの相対的な移動に対して、有限の大きさの突起がタイヤに作用する位置を一点で代表している。そして、数値計算により得た離散的なタイヤの伝達関数を線形補間することで得られた連続的な伝達関数に、突起を作用させることで、連続的な突起の移動による作用を表現している。
【0032】
突起からタイヤへの作用を一点で代表すると、ある一定の面積を有する現実の突起に対して伝達関数設定間隔が小さい場合に、作用の推定精度を低減させる畏れがある。また、突起からタイヤへの作用を一点で代表すると、ある一定の面積を有する現実の突起に対して伝達関数設定間隔が大きい場合に、線形補間の妥当性を保てなくなる畏れがある。従って、突起が任意形状の場合には、伝達関数を設定する場合に、適切な間隔の決定が困難となる。
【0033】
他方で、例えば非線形振動計算の市販ソフトウェアを利用すれば、任意形状の路面のモデルを作成し、タイヤがその路面を転がりながら移動するシミュレーションが可能なようにも思われる。しかし、突起を含むような現実の路面に対応した路面においては、路面モデルの詳細化と、それに作用するタイヤモデルの詳細化とが必要となることから、実用的な計算時間内でタイヤの振動や騒音などの演算処理が困難であると思われる。
【0034】
実用的な計算時間内でタイヤの振動や騒音などの演算処理ができなければ、路面の小石などによる強制的な入力の影響を考慮したシミュレーションができない。すなわち、ロードノイズの発生要因となる小石などによる強制的な入力の影響を低減させるために、予めどのような調整や対策を施せばよいのか予測することが困難となる。
【0035】
図2は、石塊230を乗り越える場合のタイヤ110の変形について説明する図である。図2から理解されるように、石塊230を乗り越えるタイヤ110は、ベルト210の外側に配置されたトレッド部220が、石塊230と当接する箇所で凹んで相互に作用し合うこととなる。
【0036】
図2に示すタイヤ110の変形状態を、図3に示すようにモデル化して考える。図3は、円柱310がタイヤ110に作用する力F3を説明する概念図である。図3において、円柱310がタイヤ110を押し込む力F3は、弾性力学の公式から下記式(1)で表される。
【0037】
【数1】
【0038】
但し、図3及び式(1)において、タイヤ110は無限弾性体であると仮定した。また、タイヤ110に対する円柱310の押込み量はδとし、円柱310の半径rはタイヤ110に比較して充分に小さいと仮定した。また、Gはタイヤ110のトレッド部220の横弾性係数である。
【0039】
さらに、図4に示すように半径rの円柱310を細分化して、半径rNのN個の細分円柱410n(nは1〜Nの任意の整数)であると考える。図4は、円柱310の細分化を概念的に説明する図である。N個の細分円柱410nの半径rNは、円柱310がタイヤ110に作用する力F3と、N個の細分円柱410nがタイヤ110に作用する力F3とが同一となるように、下記式(2)により与えられる。
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、任意の大きさを有する石塊130に対応させるために、半径rを円柱310の底面積Aを用いて下記式(3)で表すものとする。
【0042】
【数3】
【0043】
図4に示すようにN個の細分円柱410nは、石塊130の形状をモデル化するのに不足ない程度に必要充分な個数Nで細分化されるものとする。また、N個の細分円柱410nは、円柱310の底面内に均一に配置するものとする。また、石塊130の高さ・形状に対応させて、図5に示すようにN個の細分円柱410n個々の高さhNを決めるものとする。図5は、細分円柱410nを用いた石塊130のモデル化を模式的に説明する図である。
【0044】
一本の細分円柱410nで発生する力FNは、図3のモデルに従ってタイヤ110と細分円柱410nとが干渉する高さδNと半径rNとから上述の式(2)を用いて表すことができる。従って、石塊130により作用する力Fは、下記式(4)のようになる。
【0045】
【数4】
【0046】
図6は、タイヤ110をモデル化したタイヤモデル2の典型例を説明する斜視図である。タイヤモデル2は、解析しようとするタイヤを有限個の小さな要素2a,2b,2c…に分割してモデル化したものである。具体的には、タイヤモデル2は、コンピュータ装置にて取り扱い可能な数値データからなる。数値データには、各要素2a,2b,2c…の節点の番号、座標値、要素形状、材料特性(例えば密度、弾性率、損失正接又は減衰係数)などが含まれる。
【0047】
各要素2a,2b,2c…は、例えば2次元平面としての三角形ないし四角形の面要素が採用される。また、各要素2a,2b,2c…は、好ましくは3次元要素としての複雑な形状を表現するのに適した6面体ソリッド要素が採用される。但し、上述以外にも5面体ソリッド要素または4面体ソリッド要素などを採用してもよく、コンピュータで処理可能な要素とすることができる。
【0048】
また、本実施形態のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法に好適なタイヤモデル2は、図6にも示すようにタイヤ表面を構成するタイヤゴム部分に、タイヤ転動方向に沿って6面体形状または3角柱形状の要素が連続して同心円状に配列されてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法に好適なタイヤモデル2は、同心円状に連続して配列される要素の4角形表面が、典型的にはタイヤ表面に配置されたことを特徴とする空気入りタイヤ・ホイールの有限要素モデルであるものとする。すなわち、タイヤ表面の4角形状の各要素における四隅が、各節点に対応する。
【0050】
図7は、タイヤ110の表面における細分円柱410nとタイヤ110との作用点に近接する四つの節点への力の配分を説明する図である。有限要素モデルなどの離散的な数値モデルを構成する各節点間においても、現実にはタイヤ110と石塊130とが当接して作用する場合が想定される。節点間で、タイヤ110と石塊130の細分円柱410nとが作用する場合には、まず細分円柱410nにより作用する力FNを上述の式(2)で算出する。この場合に、図7にも示すように細分円柱410nによるタイヤ110の押し込み量をδNとする。
【0051】
また、算出した細分円柱410nにより作用する力FNを、細分円柱410nとタイヤ110との作用点に近接した典型的には四つの節点に配分する。四つの節点への配分比率は、作用点と各節点との距離に逆比例して配分するものとする。
【0052】
すなわち、細分円柱410nとタイヤ110との作用点との距離が大きい節点は、作用点との距離が小さい節点よりも小さな比率で配分されることとなる。また、細分円柱410nとタイヤ110との作用点との距離が小さい節点は、作用点との距離が大きい節点よりも大きな比率で配分されることとなる。
【0053】
具体的には図7に示すように、ある時刻tにおいて節点N1,N2,N11,N12の間にある細分円柱410nから力FNがタイヤ110に作用する場合について説明する。細分円柱410nにより作用する力FNは、計算モデルにおいて下記式(5)を満たすように、各節点N1,N2,N11,N12に対して各々F1,F2,F11,F12として配分する。
【0054】
【数5】
【0055】
この場合において、各節点N1,N2,N11,N12に各々配分する力F1,F2,F11,F12の各配分比率は、例えば下記式(6)乃至式(9)に従うものとする。
【0056】
【数6】
【0057】
【数7】
【0058】
【数8】
【0059】
【数9】
【0060】
但し、l=l1+l2であり、w=w1+w2であるものとする。なお、式(6)乃至式(9)は、作用点と節点との距離に逆比例した配分比率の典型例を示す式であり、配分比率はこれに限定されるものではない。
【0061】
また、時刻tの経過とともに細分円柱410nとタイヤ110との相対位置関係が変化し、干渉する高さすなわち細分円柱410nがタイヤ110を押し込む量δNが経時変化する。また、時刻tの経過とともに、各節点と作用点との距離も変わる。作用点はタイヤ110と細分円柱410nとの当接部分とするが、例えば細分円柱410nのタイヤ110の表面位置での当接面の中心としてもよい。
【0062】
従って、任意の節点Niに分配される力Fiは、時間とともに変化することとなる。仮に、節点との距離で決まる力の配分係数をSNとすれば、力Fiは次の式(10)で表すことができる。
【0063】
【数10】
【0064】
また、全ての細分円柱410nから節点Niに分配される力Fi(t)を加算すると、石塊130から節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)となる。すなわち、石塊130から節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)は、下記式(11)により、個々の細分円柱410nからの力Fi(t)の和として得られる。
【0065】
【数11】
【0066】
図8は、石塊130が移動していく場合の節点Niに働く力Fi,allの経時的変化を示す図である。図8から理解されるように、石塊130を細分円柱410nに細分化することによって、モデル化されたタイヤ110の表面の節点N1,N2,N3に作用する力の時間関数を各々計算することができる。
【0067】
次に、石塊130が存在する路面をタイヤ110が転がりながら移動することで発生する力を、定常振動計算において表現する。この実施形態においては、比較的短時間で演算処理が可能な線形振動計算とする。
【0068】
まず、タイヤ110を静止させた状態と見なして、車両の走行方向と逆方向に、走行速度と同一の速度で路面の石塊130を移動させることとする。次に、路面を移動する石塊130によって、静止した状態と見なしたタイヤ110に作用する石塊130からの力の時間的変化Fi,all(t)をフーリエ変換する。
【0069】
すなわち図9に示す時間関数Fi,all(t)をフーリエ変換して、図10に示す周波数関数Fi,all(f)にする。図9は、フーリエ変換する前の節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)示す図である。また、図10は、フーリエ変換した後の節点Niに作用する力の周波数関数Fi,all(f)を示す図である。
【0070】
図10に示すような石塊130からタイヤ110の節点に作用する力の周波数関数Fi,all(f)が、静止タイヤに入力されるものとして周波数応答計算をすることができる。周波数応答計算自体の詳細は、既によく知られている方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
【0071】
図11は、本実施形態で説明した処理の流れを説明する図である。図11(a)は、石塊130による不均一かつ画一的ではない凹凸が存在するうねり120のある路面において、タイヤ110が速度vで走行する状態を示している。この場合にタイヤ110は、時間の経過とともに石塊130上を乗り越える。タイヤ110が石塊130を乗り越える場合に作用する力を解析する為に、タイヤ110が静止した状態で石塊130がタイヤ110に近づくものとする。低周波領域の解析については比較的粗いモデルでも可能であるが、高周波領域の解析についてはより精度の高いモデル化が必要である。
【0072】
次に、図11(b)に示すように石塊130をN個の細分円柱に細分化する。この場合に、石塊130の形状を反映させるのに十分な個数Nとする。石塊130とタイヤ110の干渉高さをδNとすると、石塊130による力Fは、N個の細分円柱の力FNの和となる。石塊130による力Fは、上述の式(4)により算出することが可能である。
【0073】
また、図11(c)は、節点間の細分円柱による力FNを、節点と作用点との距離に反比例するように、節点Niに分配する。図11(c)においては、二次元の場合を示しており、節点N1に分配する力は例えばF1=(l2/l)FNとすることができる。また、節点N2に分配する力は例えばF2=(l1/l)FNとすることができる。
【0074】
この場合に、節点N1と節点N2との間の距離をlとすると、l=l1+l2である。時刻tでの石塊130による節点N1に働く力Fi,allは、細分円柱の力の和で上述した式(11)により算出できる。ここで、Sは分担係数でありF1とF2とに対して各々(l2/l),(l1/l)となる。
【0075】
また、図11(d)は、フーリエ変換により時間的な力の変動から周波数領域の変動への変換を説明する図である。図11(d)については、既に説明をしているので説明の重複を避けるためにここでは説明を省略する。周波数領域の変動へとフーリエ変換することで線形計算が可能となり、タイヤ振動シミュレーションをより短時間で処理することができる。また、比較的短時間でのタイヤ振動シミュレーションにより、サスペンションを介した車体の挙動解析をすることも可能となる。
【0076】
図12は、実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法についての演算処理フローを説明する図である。そこで以下図12に示す各ステップごとに、順次処理手順を説明する。また、以下の説明においては、既に上述した説明と重複する部分については、説明の重複を避けるために簡便に説明することとする。
【0077】
(ステップS1210)
タイヤゴム部分がタイヤ転動方向に沿って六面体形状または三角柱形状の要素が連続して同心円状に配列されており、かつその要素の四角形表面がタイヤ表面に配置されている空気入りタイヤ・ホイールの有限要素モデルを作成する。
【0078】
(ステップS1220)
路面上の任意の形状のある石塊を、N個の半径rNの微細円柱の集合体に近似する。また、タイヤが通過する複数の石塊に対して各々、微細円柱の集合体として近似する。
【0079】
(ステップS1230)
車両走行に対応して、静止タイヤ基準で複数の石塊が相対的に移動するものとして、この石塊がタイヤの任意の位置に食い込むと考える。この場合に、ステップS1220で求めた微細円柱の各々の食い込み量δnの時間変化を算出する。各微細円柱がタイヤに与える力を上述した式(4)により算出する。式(4)において、Gはタイヤ表面における石塊が食い込む部分の材料特性値である。
【0080】
(ステップS1240)
ステップS1230で算出した微細円柱がタイヤに食い込む作用点で発生する力を、ステップS1210で作成した離散的なタイヤモデルの微細円柱がタイヤに食い込む位置に最も近いタイヤモデル表面4点に配分する。配分方法は、典型的には上述した式(5)乃至式(9)によるものとする。
【0081】
すべての微細円柱に対して、式(5)乃至式(9)により、ステップS1210で作成した離散的なタイヤモデルの微細円柱がタイヤに食い込む位置に最も近いタイヤモデル表面4点への配分をする。
【0082】
そして、離散的なタイヤモデル表面の点に対して加算することで、ステップS1210の離散的なタイヤモデルの表面点(節点に対応する)各々に与える力の時間関数を算出する。
【0083】
(ステップS1250)
離散的なタイヤモデル表面の点に対して加算することで、ステップS1210の離散的なタイヤモデルの表面点(節点に対応する)各々に与える力の時間関数を算出する。全ての微細円柱について節点への配分加算が完了すれば、ステップS1260へと進む。また、全ての微細円柱について節点への配分加算が完了していなければ、ステップS1230へと戻る。
【0084】
(ステップS1260)
ステップS1250で算出した力をフーリエ変換して周波数領域の力とする。
【0085】
(ステップS1270)
ステップS1210で作成したタイヤ有限要素モデルを用いた線形周波数応答計算の入力として、ステップS1260でフーリエ変換した周波数領域の力を用いる。これにより、路面上の任意の形状の石塊をタイヤが通過する場合のタイヤ・ホイール振動の周波数応答値を算出する。
【0086】
本発明は、本実施形態での説明に限定されることはなく、自明な範囲で適宜その処理を変更して用いることができる。また、上述の各処理は、例えばワークステーション等のシミュレータや各種コンピュータを用いてプログラム処理させてもよい。
【符号の説明】
【0087】
110・・タイヤ、120・・うねり、130・・石塊、210・・ベルト、220・・トレッド部、230・・石塊、310・・円柱、410n・・細分円柱。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、そのタイヤ作用力解析方法を用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ロードノイズは、路面の小石などの石塊による強制的な力がタイヤに入力されることが一つの発生要因であると考えられる。タイヤは、石塊から強制的な力を入力されると、変形させられて弾性力を生じる。この変形や弾性力に起因する振動やロードノイズを低減するために、シミュレーションによる解析が用いられる。
【0003】
例えば、周方向に連続する空洞部によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、有限個の要素でモデル化した路面を走行した際の空洞の変形に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが下記特許文献1に開示されている。
【0004】
また、周方向に分割された有限要素によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、有限個の要素でモデル化した路面を走行した際のタイヤモデルの所定の振動周波数特性に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献2に開示されている。
【0005】
また、有限要素によりモデル化されたタイヤモデルにおいて、単一の突起のある路面を走行した際の各要素に加わる負荷に基づいて、タイヤに発生する振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献3に開示されている。
【0006】
また、路面の各突起から受ける力に基づいてタイヤ端部の各接触点の振動を求め、その振動と接触点からタイヤ軸への伝達特性に基づいて、タイヤ全体の振動をシミュレートすることが、例えば下記特許文献4と下記特許文献5とに開示されている。
【0007】
また、トレッドを表す2次元のトレッドデータによってモデル化されたタイヤが、多数の微小突起の位置を表す路面形状データに基づいてモデル化された路面を走行する場合に、タイヤの接触面の前後端部から発生する振動を積算して騒音をシミュレートすることが、例えば下記特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−186190号公報
【特許文献2】特開2004−020229号公報
【特許文献3】特開平11−201874号公報
【特許文献4】特開2000−241309号公報
【特許文献5】特開2000−241308号公報
【特許文献6】特許第3595411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
タイヤのロードノイズのシミュレーションにおいては、従来一組の荷重をタイヤの有限要素モデルの少なくとも一つの節点に負荷していた。任意の形状の石塊によるタイヤの経時的な変形や力の経時的な変動については考慮されていない。
【0010】
また、非線形振動計算では、任意の形状の石塊による作用を計算可能であるが、精度良く予測するためには、路面やタイヤの詳細なモデル化が必要となり実用的な計算時間でのタイヤ振動の算出は困難であった。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑み為されたものであって、精度良く正確にシミュレーションすることが可能なタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、それを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、凸部をタイヤが乗り越える場合にタイヤが突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、第一作用算出工程で算出した作用を突起毎に加算して、タイヤが凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、好ましくはタイヤをタイヤの表面において四角形状となる複数の要素が配列された集合体にモデル化するタイヤモデル化工程と、第一作用算出工程で算出した作用を、タイヤモデル化工程に対応した複数の節点に配分する節点配分工程とを有し、第二作用算出工程は、節点配分工程で配分された作用を、複数の突起について各々節点ごとに加算してタイヤが凸部から受ける作用を算出する工程であってもよい。
【0014】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは節点配分工程で配分する節点が、タイヤの表面と突起との作用点に最も近い四つの節点であってもよい。
【0015】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは節点配分工程が、第一作用算出工程で算出した作用を、複数の節点に、作用点からの距離に反比例させて配分する工程であってもよい。
【0016】
また、この発明にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、さらに好ましくは第一作用算出工程で算出するタイヤが突起から受ける作用が、経時的に変動する時間の関数であり、第二作用算出工程で算出したタイヤが凸部から受ける作用を、周波数の関数へとフーリエ変換するフーリエ変換工程を有してもよい。
【0017】
また、この発明にかかるタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法は、上述のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法を用いてもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明により、精度良く正確にシミュレーションすることが可能なタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法と、それを用いたタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】石塊が存在するうねりのある路面をタイヤが転動する状態を説明する概念図である。
【図2】石塊を乗り越える場合のタイヤの変形について説明する図である。
【図3】円柱がタイヤに作用する力を説明する概念図である。
【図4】円柱の細分化を概念的に説明する図である。
【図5】細分円柱を用いた石塊のモデル化を模式的に説明する図である。
【図6】タイヤをモデル化したタイヤモデルの典型例を説明する斜視図である。
【図7】タイヤの表面における細分円柱とタイヤとの作用点に近接する四つの節点への力の配分を説明する図である。
【図8】石塊が移動していく場合の節点に働く力の経時的変化を示す図である。
【図9】フーリエ変換する前の節点に作用する力の時間関数を示す図である。
【図10】フーリエ変換した後の節点に作用する力の周波数関数を示す図である。
【図11】本実施形態で説明した処理の流れを説明する図である。
【図12】実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法についての演算処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態で説明するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上の凸部を微小な突起の集合としてモデル化し、微小な突起がタイヤに与える力をタイヤ上の節点に分配する。そして、節点ごとに各突起より加えられる力を積算し、時間の関数である力の変動をフーリエ変換して周波数の関数とする。
【0021】
そしてフーリエ変換した周波数により、タイヤ振動の周波数応答特性を演算する。このタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、タイヤに入力される力を正確に演算できるので、精度良くタイヤに発生する振動等を演算することが可能となる。
【0022】
また、本実施形態で説明するタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法は、路面上に存在する任意形状の石塊(凸部の典型例である。本件の解析ではタイヤ外部の物体によりタイヤが線形的に変形する程度の物体を乗り越えた場合を主に想定している。)が、静止タイヤモデル基準で車速に対応して相対的に移動するものとする。これにより、有限要素法計算に使用する離散的なタイヤモデルに対して、タイヤ接地面近傍に連続的に与えられる入力を考慮した線形振動計算が可能となる。
【0023】
このため、計算モデル上でタイヤが転動及び移動して路面との接触判定を行う非線形振動計算をしなくてもよいので、計算時間の短縮が可能となり好ましい。また、タイヤに入力される力を線形計算により正確に演算できるので、精度良く迅速にタイヤに発生する振動等を演算できることとなり好ましい。
【0024】
そこで、実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法について、図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【0025】
図1は、石塊130が存在するうねり120のある路面を、タイヤ110が転動する状態を説明する概念図である。図1に示すように、タイヤ110は石塊130を乗り越える場合に、石塊130から石塊130の大きさや形状に対応した力学的な作用F1を受ける。実施形態においては、石塊130を画一的な突起に置き換えるのではなく、現実には種々の形状・大きさである石塊130と等価となるように、石塊130を複数の細い円柱状の集合体に置き換える。
【0026】
石塊130を細い円柱状の集合体に置き換えることにより、タイヤ110の任意の部分が石塊130と当接する場合に作用する力を、任意形状の石塊130に対して正確に算出できるようにした。タイヤ110の任意の部分は定常的に路面と接しているわけではなく、石塊130と干渉する位置関係となった場合に、タイヤ110の任意の部分が石塊130と当接して力学的な作用F1を生じる。すなわち、実施形態においては、個々に異なる任意形状の石塊130に対して、適切にシミュレートすることができる。
【0027】
車両が現実の路面を走行する場合に、路面上の小石などの石塊が滑らかな路面から飛び出したような不連続な凹凸路面を通過する状況が生じ得る。従来は、このような走行状況を、有限要素法などの離散的な数値計算法において、実用的な線形振動計算により適切に表現することができなかった。
【0028】
線形振動計算として路面とタイヤとの干渉による作用を表現する方法は、例えば特許文献4や特許文献5で提案されている。しかし、これらの提案においては、路面が間隔を置いて面状に配置された多数の突起の集合体であるとして定義している。
【0029】
すなわち、現実の路面の形状から平均高さを求めて突出部分を抽出し、閾値を用いて対象となる突起を抽出する。そして、対象となる突起の数量をカウントすると共に、対象となる突起の平均寸法を決定する。路面形状の一部を形成する石塊部分の形状は、画一的な突起に置換されており、現実には様々に異なる石塊個々の形状・大きさは反映されない。
【0030】
このため、画一的な突起と見なされた石塊とタイヤとの間での作用については、実計測または有限要素法などを用いた数値計算等で、上述した特許文献により見積もることができると思われる。しかし開示された方法では、石塊個々に異なる任意の形状の石塊とタイヤとの間での作用については、シミュレーションへの反映ができない。
【0031】
具体的には、例えば特許文献4や特許文献5においては、連続的な突起とタイヤとの相対的な移動に対して、有限の大きさの突起がタイヤに作用する位置を一点で代表している。そして、数値計算により得た離散的なタイヤの伝達関数を線形補間することで得られた連続的な伝達関数に、突起を作用させることで、連続的な突起の移動による作用を表現している。
【0032】
突起からタイヤへの作用を一点で代表すると、ある一定の面積を有する現実の突起に対して伝達関数設定間隔が小さい場合に、作用の推定精度を低減させる畏れがある。また、突起からタイヤへの作用を一点で代表すると、ある一定の面積を有する現実の突起に対して伝達関数設定間隔が大きい場合に、線形補間の妥当性を保てなくなる畏れがある。従って、突起が任意形状の場合には、伝達関数を設定する場合に、適切な間隔の決定が困難となる。
【0033】
他方で、例えば非線形振動計算の市販ソフトウェアを利用すれば、任意形状の路面のモデルを作成し、タイヤがその路面を転がりながら移動するシミュレーションが可能なようにも思われる。しかし、突起を含むような現実の路面に対応した路面においては、路面モデルの詳細化と、それに作用するタイヤモデルの詳細化とが必要となることから、実用的な計算時間内でタイヤの振動や騒音などの演算処理が困難であると思われる。
【0034】
実用的な計算時間内でタイヤの振動や騒音などの演算処理ができなければ、路面の小石などによる強制的な入力の影響を考慮したシミュレーションができない。すなわち、ロードノイズの発生要因となる小石などによる強制的な入力の影響を低減させるために、予めどのような調整や対策を施せばよいのか予測することが困難となる。
【0035】
図2は、石塊230を乗り越える場合のタイヤ110の変形について説明する図である。図2から理解されるように、石塊230を乗り越えるタイヤ110は、ベルト210の外側に配置されたトレッド部220が、石塊230と当接する箇所で凹んで相互に作用し合うこととなる。
【0036】
図2に示すタイヤ110の変形状態を、図3に示すようにモデル化して考える。図3は、円柱310がタイヤ110に作用する力F3を説明する概念図である。図3において、円柱310がタイヤ110を押し込む力F3は、弾性力学の公式から下記式(1)で表される。
【0037】
【数1】
【0038】
但し、図3及び式(1)において、タイヤ110は無限弾性体であると仮定した。また、タイヤ110に対する円柱310の押込み量はδとし、円柱310の半径rはタイヤ110に比較して充分に小さいと仮定した。また、Gはタイヤ110のトレッド部220の横弾性係数である。
【0039】
さらに、図4に示すように半径rの円柱310を細分化して、半径rNのN個の細分円柱410n(nは1〜Nの任意の整数)であると考える。図4は、円柱310の細分化を概念的に説明する図である。N個の細分円柱410nの半径rNは、円柱310がタイヤ110に作用する力F3と、N個の細分円柱410nがタイヤ110に作用する力F3とが同一となるように、下記式(2)により与えられる。
【0040】
【数2】
【0041】
ここで、任意の大きさを有する石塊130に対応させるために、半径rを円柱310の底面積Aを用いて下記式(3)で表すものとする。
【0042】
【数3】
【0043】
図4に示すようにN個の細分円柱410nは、石塊130の形状をモデル化するのに不足ない程度に必要充分な個数Nで細分化されるものとする。また、N個の細分円柱410nは、円柱310の底面内に均一に配置するものとする。また、石塊130の高さ・形状に対応させて、図5に示すようにN個の細分円柱410n個々の高さhNを決めるものとする。図5は、細分円柱410nを用いた石塊130のモデル化を模式的に説明する図である。
【0044】
一本の細分円柱410nで発生する力FNは、図3のモデルに従ってタイヤ110と細分円柱410nとが干渉する高さδNと半径rNとから上述の式(2)を用いて表すことができる。従って、石塊130により作用する力Fは、下記式(4)のようになる。
【0045】
【数4】
【0046】
図6は、タイヤ110をモデル化したタイヤモデル2の典型例を説明する斜視図である。タイヤモデル2は、解析しようとするタイヤを有限個の小さな要素2a,2b,2c…に分割してモデル化したものである。具体的には、タイヤモデル2は、コンピュータ装置にて取り扱い可能な数値データからなる。数値データには、各要素2a,2b,2c…の節点の番号、座標値、要素形状、材料特性(例えば密度、弾性率、損失正接又は減衰係数)などが含まれる。
【0047】
各要素2a,2b,2c…は、例えば2次元平面としての三角形ないし四角形の面要素が採用される。また、各要素2a,2b,2c…は、好ましくは3次元要素としての複雑な形状を表現するのに適した6面体ソリッド要素が採用される。但し、上述以外にも5面体ソリッド要素または4面体ソリッド要素などを採用してもよく、コンピュータで処理可能な要素とすることができる。
【0048】
また、本実施形態のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法に好適なタイヤモデル2は、図6にも示すようにタイヤ表面を構成するタイヤゴム部分に、タイヤ転動方向に沿って6面体形状または3角柱形状の要素が連続して同心円状に配列されてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法に好適なタイヤモデル2は、同心円状に連続して配列される要素の4角形表面が、典型的にはタイヤ表面に配置されたことを特徴とする空気入りタイヤ・ホイールの有限要素モデルであるものとする。すなわち、タイヤ表面の4角形状の各要素における四隅が、各節点に対応する。
【0050】
図7は、タイヤ110の表面における細分円柱410nとタイヤ110との作用点に近接する四つの節点への力の配分を説明する図である。有限要素モデルなどの離散的な数値モデルを構成する各節点間においても、現実にはタイヤ110と石塊130とが当接して作用する場合が想定される。節点間で、タイヤ110と石塊130の細分円柱410nとが作用する場合には、まず細分円柱410nにより作用する力FNを上述の式(2)で算出する。この場合に、図7にも示すように細分円柱410nによるタイヤ110の押し込み量をδNとする。
【0051】
また、算出した細分円柱410nにより作用する力FNを、細分円柱410nとタイヤ110との作用点に近接した典型的には四つの節点に配分する。四つの節点への配分比率は、作用点と各節点との距離に逆比例して配分するものとする。
【0052】
すなわち、細分円柱410nとタイヤ110との作用点との距離が大きい節点は、作用点との距離が小さい節点よりも小さな比率で配分されることとなる。また、細分円柱410nとタイヤ110との作用点との距離が小さい節点は、作用点との距離が大きい節点よりも大きな比率で配分されることとなる。
【0053】
具体的には図7に示すように、ある時刻tにおいて節点N1,N2,N11,N12の間にある細分円柱410nから力FNがタイヤ110に作用する場合について説明する。細分円柱410nにより作用する力FNは、計算モデルにおいて下記式(5)を満たすように、各節点N1,N2,N11,N12に対して各々F1,F2,F11,F12として配分する。
【0054】
【数5】
【0055】
この場合において、各節点N1,N2,N11,N12に各々配分する力F1,F2,F11,F12の各配分比率は、例えば下記式(6)乃至式(9)に従うものとする。
【0056】
【数6】
【0057】
【数7】
【0058】
【数8】
【0059】
【数9】
【0060】
但し、l=l1+l2であり、w=w1+w2であるものとする。なお、式(6)乃至式(9)は、作用点と節点との距離に逆比例した配分比率の典型例を示す式であり、配分比率はこれに限定されるものではない。
【0061】
また、時刻tの経過とともに細分円柱410nとタイヤ110との相対位置関係が変化し、干渉する高さすなわち細分円柱410nがタイヤ110を押し込む量δNが経時変化する。また、時刻tの経過とともに、各節点と作用点との距離も変わる。作用点はタイヤ110と細分円柱410nとの当接部分とするが、例えば細分円柱410nのタイヤ110の表面位置での当接面の中心としてもよい。
【0062】
従って、任意の節点Niに分配される力Fiは、時間とともに変化することとなる。仮に、節点との距離で決まる力の配分係数をSNとすれば、力Fiは次の式(10)で表すことができる。
【0063】
【数10】
【0064】
また、全ての細分円柱410nから節点Niに分配される力Fi(t)を加算すると、石塊130から節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)となる。すなわち、石塊130から節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)は、下記式(11)により、個々の細分円柱410nからの力Fi(t)の和として得られる。
【0065】
【数11】
【0066】
図8は、石塊130が移動していく場合の節点Niに働く力Fi,allの経時的変化を示す図である。図8から理解されるように、石塊130を細分円柱410nに細分化することによって、モデル化されたタイヤ110の表面の節点N1,N2,N3に作用する力の時間関数を各々計算することができる。
【0067】
次に、石塊130が存在する路面をタイヤ110が転がりながら移動することで発生する力を、定常振動計算において表現する。この実施形態においては、比較的短時間で演算処理が可能な線形振動計算とする。
【0068】
まず、タイヤ110を静止させた状態と見なして、車両の走行方向と逆方向に、走行速度と同一の速度で路面の石塊130を移動させることとする。次に、路面を移動する石塊130によって、静止した状態と見なしたタイヤ110に作用する石塊130からの力の時間的変化Fi,all(t)をフーリエ変換する。
【0069】
すなわち図9に示す時間関数Fi,all(t)をフーリエ変換して、図10に示す周波数関数Fi,all(f)にする。図9は、フーリエ変換する前の節点Niに作用する力の時間関数Fi,all(t)示す図である。また、図10は、フーリエ変換した後の節点Niに作用する力の周波数関数Fi,all(f)を示す図である。
【0070】
図10に示すような石塊130からタイヤ110の節点に作用する力の周波数関数Fi,all(f)が、静止タイヤに入力されるものとして周波数応答計算をすることができる。周波数応答計算自体の詳細は、既によく知られている方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
【0071】
図11は、本実施形態で説明した処理の流れを説明する図である。図11(a)は、石塊130による不均一かつ画一的ではない凹凸が存在するうねり120のある路面において、タイヤ110が速度vで走行する状態を示している。この場合にタイヤ110は、時間の経過とともに石塊130上を乗り越える。タイヤ110が石塊130を乗り越える場合に作用する力を解析する為に、タイヤ110が静止した状態で石塊130がタイヤ110に近づくものとする。低周波領域の解析については比較的粗いモデルでも可能であるが、高周波領域の解析についてはより精度の高いモデル化が必要である。
【0072】
次に、図11(b)に示すように石塊130をN個の細分円柱に細分化する。この場合に、石塊130の形状を反映させるのに十分な個数Nとする。石塊130とタイヤ110の干渉高さをδNとすると、石塊130による力Fは、N個の細分円柱の力FNの和となる。石塊130による力Fは、上述の式(4)により算出することが可能である。
【0073】
また、図11(c)は、節点間の細分円柱による力FNを、節点と作用点との距離に反比例するように、節点Niに分配する。図11(c)においては、二次元の場合を示しており、節点N1に分配する力は例えばF1=(l2/l)FNとすることができる。また、節点N2に分配する力は例えばF2=(l1/l)FNとすることができる。
【0074】
この場合に、節点N1と節点N2との間の距離をlとすると、l=l1+l2である。時刻tでの石塊130による節点N1に働く力Fi,allは、細分円柱の力の和で上述した式(11)により算出できる。ここで、Sは分担係数でありF1とF2とに対して各々(l2/l),(l1/l)となる。
【0075】
また、図11(d)は、フーリエ変換により時間的な力の変動から周波数領域の変動への変換を説明する図である。図11(d)については、既に説明をしているので説明の重複を避けるためにここでは説明を省略する。周波数領域の変動へとフーリエ変換することで線形計算が可能となり、タイヤ振動シミュレーションをより短時間で処理することができる。また、比較的短時間でのタイヤ振動シミュレーションにより、サスペンションを介した車体の挙動解析をすることも可能となる。
【0076】
図12は、実施形態にかかるタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法についての演算処理フローを説明する図である。そこで以下図12に示す各ステップごとに、順次処理手順を説明する。また、以下の説明においては、既に上述した説明と重複する部分については、説明の重複を避けるために簡便に説明することとする。
【0077】
(ステップS1210)
タイヤゴム部分がタイヤ転動方向に沿って六面体形状または三角柱形状の要素が連続して同心円状に配列されており、かつその要素の四角形表面がタイヤ表面に配置されている空気入りタイヤ・ホイールの有限要素モデルを作成する。
【0078】
(ステップS1220)
路面上の任意の形状のある石塊を、N個の半径rNの微細円柱の集合体に近似する。また、タイヤが通過する複数の石塊に対して各々、微細円柱の集合体として近似する。
【0079】
(ステップS1230)
車両走行に対応して、静止タイヤ基準で複数の石塊が相対的に移動するものとして、この石塊がタイヤの任意の位置に食い込むと考える。この場合に、ステップS1220で求めた微細円柱の各々の食い込み量δnの時間変化を算出する。各微細円柱がタイヤに与える力を上述した式(4)により算出する。式(4)において、Gはタイヤ表面における石塊が食い込む部分の材料特性値である。
【0080】
(ステップS1240)
ステップS1230で算出した微細円柱がタイヤに食い込む作用点で発生する力を、ステップS1210で作成した離散的なタイヤモデルの微細円柱がタイヤに食い込む位置に最も近いタイヤモデル表面4点に配分する。配分方法は、典型的には上述した式(5)乃至式(9)によるものとする。
【0081】
すべての微細円柱に対して、式(5)乃至式(9)により、ステップS1210で作成した離散的なタイヤモデルの微細円柱がタイヤに食い込む位置に最も近いタイヤモデル表面4点への配分をする。
【0082】
そして、離散的なタイヤモデル表面の点に対して加算することで、ステップS1210の離散的なタイヤモデルの表面点(節点に対応する)各々に与える力の時間関数を算出する。
【0083】
(ステップS1250)
離散的なタイヤモデル表面の点に対して加算することで、ステップS1210の離散的なタイヤモデルの表面点(節点に対応する)各々に与える力の時間関数を算出する。全ての微細円柱について節点への配分加算が完了すれば、ステップS1260へと進む。また、全ての微細円柱について節点への配分加算が完了していなければ、ステップS1230へと戻る。
【0084】
(ステップS1260)
ステップS1250で算出した力をフーリエ変換して周波数領域の力とする。
【0085】
(ステップS1270)
ステップS1210で作成したタイヤ有限要素モデルを用いた線形周波数応答計算の入力として、ステップS1260でフーリエ変換した周波数領域の力を用いる。これにより、路面上の任意の形状の石塊をタイヤが通過する場合のタイヤ・ホイール振動の周波数応答値を算出する。
【0086】
本発明は、本実施形態での説明に限定されることはなく、自明な範囲で適宜その処理を変更して用いることができる。また、上述の各処理は、例えばワークステーション等のシミュレータや各種コンピュータを用いてプログラム処理させてもよい。
【符号の説明】
【0087】
110・・タイヤ、120・・うねり、130・・石塊、210・・ベルト、220・・トレッド部、230・・石塊、310・・円柱、410n・・細分円柱。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、
前記凸部をタイヤが乗り越える場合に前記タイヤが前記突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、
前記第一作用算出工程で算出した作用を前記突起毎に加算して、前記タイヤが前記凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程と、
を有することを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記タイヤを、前記タイヤの表面において四角形状となる複数の要素が配列された集合体にモデル化するタイヤモデル化工程と、
前記第一作用算出工程で算出した作用を、前記タイヤモデル化工程に対応した複数の節点に配分する節点配分工程と、を有し
前記第二作用算出工程は、
前記節点配分工程で配分された作用を、前記複数の突起について各々前記節点ごとに加算して前記タイヤが前記凸部から受ける作用を算出する工程である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項3】
請求項2に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記節点配分工程で配分する節点は、前記タイヤの表面と前記突起との作用点に最も近い四つの節点である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記節点配分工程は、
前記第一作用算出工程で算出した作用を、前記複数の節点に、前記タイヤの表面と前記突起との作用点からの距離に反比例させて配分する工程である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記第一作用算出工程で算出する前記タイヤが前記突起から受ける作用は、経時的に変動する時間の関数であり、
前記第二作用算出工程で算出した前記タイヤが前記凸部から受ける作用を、周波数の関数へとフーリエ変換するフーリエ変換工程を有する
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法によるタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の解析方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する突起細分化工程と、
前記凸部をタイヤが乗り越える場合に前記タイヤが前記突起から受ける作用を算出する第一作用算出工程と、
前記第一作用算出工程で算出した作用を前記突起毎に加算して、前記タイヤが前記凸部から受ける作用を算出する第二作用算出工程と、
を有することを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記タイヤを、前記タイヤの表面において四角形状となる複数の要素が配列された集合体にモデル化するタイヤモデル化工程と、
前記第一作用算出工程で算出した作用を、前記タイヤモデル化工程に対応した複数の節点に配分する節点配分工程と、を有し
前記第二作用算出工程は、
前記節点配分工程で配分された作用を、前記複数の突起について各々前記節点ごとに加算して前記タイヤが前記凸部から受ける作用を算出する工程である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項3】
請求項2に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記節点配分工程で配分する節点は、前記タイヤの表面と前記突起との作用点に最も近い四つの節点である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記節点配分工程は、
前記第一作用算出工程で算出した作用を、前記複数の節点に、前記タイヤの表面と前記突起との作用点からの距離に反比例させて配分する工程である
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法において、
前記第一作用算出工程で算出する前記タイヤが前記突起から受ける作用は、経時的に変動する時間の関数であり、
前記第二作用算出工程で算出した前記タイヤが前記凸部から受ける作用を、周波数の関数へとフーリエ変換するフーリエ変換工程を有する
ことを特徴とするタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のタイヤの有限要素モデルを用いたタイヤ作用力解析方法によるタイヤ振動またはタイヤ騒音の解析方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の解析方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−230641(P2010−230641A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89742(P2009−89742)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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