説明

タイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法

【課題】炭酸カルシウムによる低転がり性の向上を図りながら、ゴムに対する補強性能を向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部、特定のジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部、加硫系配合剤を除く配合剤を配合して第1段階の混合操作を行なうことによりマスターバッチを調製し、該マスターバッチに加硫系配合剤を配合して第2段階の混合操作を行なうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、炭酸カルシウムによる低転がり性の向上を図りながら、ゴムに対する補強性能を向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッド用ゴム組成物の補強充填剤として、シリカは転がり抵抗を低減すると共に湿潤路面での制駆動性(ウェット制動性能)を両立させるという特性がある。このため近年、タイヤトレッド用ゴム組成物には、カーボンブラックの一部に代替してシリカが広く使用されるようになっている。
【0003】
同じ転がり抵抗とウェット制動性能の両立を目的として、特許文献1は、タイヤトレッド用ゴム組成物に炭酸カルシウムを配合することを提案している。しかし、炭酸カルシウムはシリカ配合系より低転がり性とウェット制動性能の両立に優れてはいるが、シリカに比べて補強効果が低く、モジュラスや硬度が低くなるという問題があった。シリカについては、シランカップリング剤を併用することにより、シリカの分散性を向上すると共に、ゴムに対する補強性能を向上することが知られている。しかしながら、炭酸カルシウムは、シリカ粒子の表面にあるシラノール基のような活性ヒドロキシル基を持たないため、通常、シランカップリング剤を配合してもカップリング作用が十分に得られない。
【0004】
本発明者は、炭酸カルシウムとゴムとの間にカップリング作用を付与し、補強性能を向上する対策を鋭意検討した結果、特定量のジチオリン酸亜鉛をカップリング剤として配合することにより、炭酸カルシウムによる優れた低転がり性を活かしながら、ゴムに対する補強効果の向上を可能にすることを知見し、以下に説明する発明を得るに至った。
【0005】
ゴム組成物にジチオリン酸亜鉛を配合することについては、特許文献2が存在する。しかし、このゴム組成物では、ジチオリン酸亜鉛を加硫促進剤として使用しているため、炭酸カルシウムとゴムとの間にカップリング作用を付与することによりゴムに対する補強性能を向上するための対策については何ら教えていない。すなわち、本発明者は、炭酸カルシウムを補強充填剤とするトレッド用ゴム組成物について、後述する実験例に示すように、ジチオリン酸亜鉛を炭酸カルシウムを配合する混練り工程で配合するのではなく、特許文献2の記載に従って加硫系配合剤を配合する混合工程で配合した実験を行なってみたが、ゴムに対する効率のよい補強効果は得られなかった。
【特許文献1】特開平11−269307号公報
【特許文献2】特開平11−227409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、炭酸カルシウムによる低転がり性の向上を図りながら、ゴムに対する補強性能を向上するようにしたタイヤトレッド用ゴム組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部含むと共に、該炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング剤として、下記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部含有することを特徴とする。
【化1】

(式中、R及びR′は、互いに同じでも異なってもよく、各々炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【0008】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムを50重量%以上含むとよい。また、ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率は50重量%未満にするとよく、プロセスオイルの配合は0にするとよい。
【0009】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部、下記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部、加硫系配合剤を除く配合剤を配合して混合操作を行なうことによりマスターバッチを調製し、該マスターバッチに加硫系配合剤を配合して混合操作を行なうことを特徴とする。
【化2】

(式中、R及びR′は、互いに同じでも異なってもよく、各々炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【0010】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法において、ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムを50重量%以上含むように製造するとよい。また、ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率は50重量%未満にするとよく、プロセスオイルの配合は0にするように製造するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部、炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング剤として、特定のジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部含有するようにしたので、ゴムに対する補強性能を向上すると共に、ゴム組成物の優れた低転がり性を達成することができる。
【0012】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法は、ジチオリン酸亜鉛がカップリング剤としてを効率的に機能するようにする製造方法であって、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部と、この炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング剤として、ジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部のほか、加硫系配合剤を除く配合剤を配合して混練りしマスターバッチを調製するようにしたので、ジチオリン酸亜鉛が炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング作用を効率的に進めることによりゴムに対する補強性能を向上すると共に、優れた低転がり性を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、タイヤ用ゴムに配合可能なゴムであればよく、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム等が挙げられ、とりわけスチレンブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、単独又は複数の種類を使用することができる。
【0014】
スチレンブタジエンゴムを主成分にする場合には、その配合量を50重量%以上、より好ましくは65〜100重量%にするとよい。スチレンブタジエンゴムの配合量が、50重量%未満のときは、所望の制動性能が得られない虞がある。
【0015】
また、ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率は50重量%未満、より好ましくは0〜20重量%にするとよい。天然ゴムの比率が50重量%を超えると、早期加硫が著しくなる虞がある。
【0016】
タイヤトレッド用ゴム組成物は、低転がり性を向上するため炭酸カルシウムを使用し、その配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、7〜35重量部であり、好ましくは15〜30重量部にするとよい。炭酸カルシウムが7重量部未満であると、所望の制動性能が得られない。また、35重量部を超えると、低転がり性の向上効果が失われる。また、炭酸カルシウムを使用することにより、シリカを使用する場合と比べて、加硫速度を速くするメリットがあり、加硫工程における生産性を高くすることができる。同時に、スコーチ時間も短くなる傾向があるが、ジチオリン酸亜鉛を除く加硫促進剤の処方を調整することにより、適正にすることができる。
【0017】
本発明において、ジエン系ゴムと炭酸カルシウムのカップリング剤として、下記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛を配合する。ジチオリン酸亜鉛は、炭酸カルシウムと結合し、ジエン系ゴムとの間の親和性を高くし、ゴムに対する補強性能を向上すると共に、転がり抵抗をいっそう低減する。
【化3】

(式中、R及びR′は、互いに同じでも異なってもよく、各々炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【0018】
ジチオリン酸亜鉛の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し、0.1〜1.2重量部であり、好ましくは0.3〜1.0重量部にするとよい。ジチオリン酸亜鉛が0.1重量部未満であると、ゴムに対する補強効果が十分に得られずモジュラス(100%及び300%伸張時応力)が低くなると共に、低転がり性を向上する効果が十分に得られない。また、ジチオリン酸亜鉛が1.2重量部を超えると、スコーチ時間が短くなり、早期加硫を起こしやすくなる。
【0019】
本発明で使用するジチオリン酸亜鉛を表す前記式(I)において、R,R′がアルキル基である場合には、炭素数は1〜12であり、好ましくは4〜10であり、より好ましくは4〜8にするとよい。R,R′がアリール基である場合には、炭素数は6〜10であり、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアリール基であってもよい。また、R及びR′は互いに同じ置換基であることが好ましい。
【0020】
このようなジチオリン酸亜鉛としては、例えば、O,O′−ジメチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジエチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−t−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ビス(4−メチルペンチル)ジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジフェニルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジシクロヘキシルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。中でも、O,O′−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O′−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は単独又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0021】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ、プロセスオイルの配合を増減することによっても、ゴムに対する補強性能をより高くすることができる。例えば、プロセスオイルの配合を低減するか又は0にするとよい。プロセスオイルを配合しないことにより、特にゴム組成物の硬度を高くすることができる。ここでプロセスオイルは、ゴム組成物の加工性を向上させる配合剤のことをいい、例えば、パラフィンオイル、アロマオイル、ナフテンオイルなどを例示することができる。
【0022】
また、カーボンブラックの配合量、或いはカーボンブラックとシリカとの合計配合量を調整することによりゴム組成物の機械的特性を調節する場合、一般には、カーボンブラックやシリカを増量すると転がり抵抗が悪化する傾向があるが、本発明では、炭酸カルシウムを併用するため、転がり抵抗の悪化を抑制することができる。カーボンブラックの配合量或いはカーボンブラックとシリカとの合計配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、ジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは50〜80重量部、より好ましくは60〜70重量部にするとよい。カーボンブラックの配合量或いはカーボンブラックとシリカとの合計配合量が50重量部未満のときは、ゴム組成物の補強効果が十分に得られない。また、逆に80重量部を超えると、転がり抵抗が悪化する。
【0023】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、タイヤトレッド用ゴムコンパウンドに通常用いられる配合剤を必要に応じて使用することができる。配合剤としては、カーボンブラックやシリカのほか、各種充填剤、加硫剤、加硫促進助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、着色剤、粘着付与剤、などを例示することができる。これらの配合剤の配合量及び配合方法は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量及び配合方法とすることができる。
【0024】
本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、上述したように前記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛がジエン系ゴムと炭酸カルシウムとの間のカップリング剤として効率的に機能するようにする方法である。すわわち、第1段階の混合操作において、ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部、前記式(I)のジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部、加硫系配合剤を除く配合剤を配合してマスターバッチを調製し、得られたマスターバッチに、加硫系配合剤を配合して第2段階の混合操作を行なう。このようにジチオリン酸亜鉛を他の加硫系配合剤と区分するように逐次的にゴム組成物を製造することにより、ジチオリン酸亜鉛が炭酸カルシウムの粒子表面に効率的にカップリング作用を行ない、ゴムに対する補強性能を向上すると共に、低転がり性を向上することができる。
【0025】
したがって、ジチオリン酸亜鉛は、加硫系配合剤を配合する前の第1段階の混合操作において、ジエン系ゴム及び炭酸カルシウムと共に配合して混練し均一に分散させることにより、カップリング剤としての機能を効率的に発現する。すなわち、ジチオリン酸亜鉛を他の加硫系配合剤と同じタイミングで配合した場合には、炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング剤としての機能を十分に発揮することができない。
【0026】
本発明の製造方法において、加硫系配合剤を除く配合剤としては、カーボンブラックのほか、各種の充填剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、着色剤、粘着付与剤などを例示することができ、充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。加硫系配合剤としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛を除く加硫促進剤、加硫剤などを例示することができる。
【0027】
本発明の製造方法において、ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムを50重量%以上、より好ましくは65〜100重量%含有するように製造するとよい。ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率は50重量%未満、より好ましくは0〜20重量%にするとよい。また、プロセスオイルの配合は0にするとよい。これら構成成分の配合量が好適である理由は、前述した理由と同じである。
【0028】
本発明により得られたタイヤトレッド用ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッドに好適に使用することができる。このタイヤトレッド用ゴム組成物から成形されたタイヤトレッドは、転がり抵抗を低減することができる。同時に、従来のタイヤトレッドとほぼ同レベルの機械的特性を有している。
【0029】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
表1,2に示す配合からなる13種類のゴム組成物(実施例1〜5、比較例1〜8)のうち、それぞれ第一段混合の欄に示した成分を秤量し、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、温度設定80℃、回転数65rpmの条件で4分間混練し、マスターバッチを調製し、バンバリーミキサーの外に放出した。得られたマスターバッチを室温冷却した後、8インチのオープンロール(温度設定60℃)に供し、表1,2の第二段混合の欄に示した加硫系配合剤を投入し、左右各10回切り返しすることにより、タイヤトレッド用ゴム組成物を製造した。なお、炭酸カルシウム配合系(実施例1〜4、比較例1〜5及び8)、シリカ配合系(比較例6及び7)及び炭酸カルシウム/シリカ併用系(実施例5)の相互間において、それぞれのカーボンブラック及びオイルの配合量は、それぞれの硬度がほぼ同レベルになるように増減させた。
【0031】
得られたタイヤトレッド用ゴム組成物のスコーチ時間を下記の方法で測定すると共に、その残りを所定の金型中で、160℃、15分間加硫して加硫ゴムシートを作製し、下記に示す方法により硬度、100%伸張時応力、300%伸張時応力、動的粘弾性(tanδ)及びウェット摩擦力(ウェット制動性能)をそれぞれ測定した。
【0032】
スコーチ時間
得られたゴム組成物を用いて、JIS K6300に準拠し、温度125℃にて粘度が5ムーニー単位上昇する時間[分]を測定し、表1,2に示した。スコーチ時間が短いほど、早期加硫を起こしやすいことを意味する。
【0033】
硬度
得られた加硫ゴムシートの硬度を、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。得られた結果は、表1では比較例1を100とし、表2では比較例8を100とする指数として表1,2に示した。指数が大きいほど硬度が高いことを意味する。
【0034】
100%伸張時応力及び300%伸張時応力
得られた加硫ゴムシートを用いて、JIS K6251に準拠する引張り試験片を作成し、同試験法に準拠して、500mm/分の引張速度にて引張試験を行い、100%伸張時応力及び300%伸張時応力を測定した。得られた結果は、それぞれ表1では比較例1を100とし、表2では比較例8を100とする指数として表1,2に示した。指数が大きいほど100%伸張時応力及び300%伸張時応力が高いことを意味する。
【0035】
動的粘弾性(tanδ)
得られた加硫ゴムシートの動的粘弾性を、上島製作所社製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、伸長変形歪率10±2%、振動数20Hzの条件下で測定し、温度60℃における損失正接(tanδ)を求めた。得られた結果は、表1では比較例1を100とし、表2では比較例8を100とする指数として表1,2に示した。tanδの指数が小さいほど低転がり性に優れることを意味する。
【0036】
ウェット摩擦力
得られた加硫ゴム試験片のウェット摩擦力を、ブリティッシュスタンダードポータブルスキッドテスター(スタンレイ・ロンドン社製)を用いて、湿潤路面の条件下で、ASTM E−303−83の方法に準拠して測定した。得られた結果は、表1では比較例1を100とし、表2では比較例8を100とする指数として表1,2に示した。数値が大きい程、ウェット制動性能に優れることを意味する。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
NR:天然ゴム、RSS#3
E−SBR:油展スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 9528R(SBR100重量部に対し37.5重量部の油展品。110重量部のE−SBRは80重量部のSBRを含み、82.5重量部のE−SBRは60重量部のSBRを含む。)
カーボンブラック:キャボットジャパン社製ショウブラックN339
炭酸カルシウム:白石工業社製白艶華CC
シリカ:日本シリカ工業社製ニップシールVN3
ZnDTP:ジチオリン酸亜鉛(主成分はO,O′−ジブチルジチオリン酸亜鉛)、ラインケミー社製レノキュア TP/S
シランカップリング剤:デクサ社製Si69
酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
ステアリン酸:日本油脂社製ビーズステアリン酸
老化防止剤:フレキシス社製6PDD
ワックス:大内新興化学工業社製サンノック
オイル:富士興産社製アロマオイル
硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
加硫促進剤−1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
加硫促進剤−2:住友化学社製ソクシノールD−G

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部含むと共に、該炭酸カルシウムとジエン系ゴムとのカップリング剤として、下記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部含有するタイヤトレッド用ゴム組成物。
【化1】

(式中、R及びR′は、互いに同じでも異なってもよく、各々炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【請求項2】
前記ジエン系ゴムが、スチレンブタジエンゴムを50重量%以上含む請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率が、50重量%未満である請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
プロセスオイルの配合が、0である請求項1,2又は3に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
ジエン系ゴム100重量部に対し、炭酸カルシウムを7〜35重量部、下記式(I)で表されるジチオリン酸亜鉛を0.1〜1.2重量部、加硫系配合剤を除く配合剤を配合して混合操作を行なうことによりマスターバッチを調製し、該マスターバッチに加硫系配合剤を配合して混合操作を行なうタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
【化2】

(式中、R及びR′は、互いに同じでも異なってもよく、各々炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表わす。)
【請求項6】
前記ジエン系ゴムが、スチレンブタジエンゴムを50重量%以上含む請求項5に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
前記ジエン系ゴム中の天然ゴムの比率が、50重量%未満である請求項5又は6に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
プロセスオイルの配合が、0である請求項5,6又は7に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法。

【公開番号】特開2009−179658(P2009−179658A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17824(P2008−17824)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】