説明

タイヤ化粧用シリコーン組成物及び製造方法

タイヤ化粧用組成物は、タイヤを磨くと共に保護するシリコーンエマルジョン系を含み、同時に当該タイヤに撥水性を与える。幾つかの実施態様では、タイヤ化粧用組成物は、シリコーンミクロエマルジョン、湿潤剤、及び任意にエアゾール系を使用する場合は、フルオロカーボン又は炭化水素噴射剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、自動車、自転車等のタイヤに使用されるタイヤ化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの走行マイル数が増えるのに従って、側壁のゴム表面は、くすんで魅力がなくなることが多い。これは、風、天候、日光、引っ掻き、汚れを取るための研磨、及びその他の化学的、物理的反応等、種々の原因によるものである。現在、これらの逆効果に対処するため、タイヤの化粧処理用の製品が多数市販されている。これらの製品は、以下“化粧製品”と言う。これら製品の多くは、風化してくすんだ外観から新品同様の明るく輝いた状態へと、かっての外観に回復させる。例えば、タイヤ表面を新品同様の明るく輝いた魅力的な外観に回復させるため、従来、シリコーン油の石油蒸留物分散液、或いは乳白色又は不透明な外観を有する水中慣用油型エマルジョン系を使用することが多い。従来、化粧兼外観用の通常のタイヤ化粧配合物は、石油蒸留物中に高粘度シリコーン油及び低粘度シリコーン油の両方をブレンドして含有する製品か、或いは水性系中で製造した乳白色又は不透明な外観を有するシリコーンエマルジョン含有製品である。このようなシリコーン組成物をタイヤ表面に塗布すると、タイヤ表面に形成されたシリコーン層の独特な構造により、所望の輝いた外観を展開する塗膜を形成する。
【0003】
シリコーン油又はシリコーンワックスの有機溶剤溶液又は分散液、及びこの液から界面活性剤を用いて製造した水性エマルジョンは、一般にタイヤ化粧剤として使用されている。これらの光沢出し剤は、タイヤに良好な光沢及び撥水性を与えるが、雨や粉塵により剥がれ易く、その効果は、比較的束の間か、短命である。
更に、水性系タイヤ化粧は、タイヤ表面の表面エネルギーは、水性組成物の表面エネルギーに比べて低いため、タイヤ表面に対する接着力が弱い。その結果、現存の市販のタイヤ化粧製品の殆どは、シリコーン油を炭化水素溶剤中に分散した有機溶剤系を用いている。この有機溶剤系は、タイヤ表面よりも低い表面エネルギーを有する。
【特許文献1】USP 4,600,436
【特許文献2】USP 4,880,557
【特許文献3】USP 4,790,877
【特許文献4】USP 5,378,271
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、タイヤ表面に耐久性で輝いた、はっ水性のある塗膜を付与できる改良タイヤ化粧用組成物、好ましくは水性系タイヤ化粧用組成物が必要である。このようなタイヤ化粧用組成物は、好ましくはシリコーン系である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一実施態様は、シリコーンミクロエマルジョン及び湿潤剤を含有するタイヤ化粧用組成物を提供する。本発明の特定の実施態様では、タイヤ化粧用組成物は、スプレー可能な製品であるが、特に本発明のタイヤ化粧用組成物は、顔料及び光輝き顔料粒子を含有し、又は含有しないゲルベースの製品であってよい。
本発明の他の一実施態様は、タイヤ表面に、シリコーンミクロエマルジョン含有タイヤ化粧用組成物を塗布することを特徴とする、タイヤ上に耐久性で輝いた、撥水性のある塗膜を形成する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明の実施態様の説明
前記必要性は、シリコーンミクロエマルジョン系、湿潤剤、及び任意に、エアゾール系が所望ならば、フルオロカーボン又は炭化水素噴射剤を含有する組成物を提供することにより満足できることが見い出された。幾つかの実施態様では、このシリコーンミクロエマルジョン系に含まれるシリコーン化合物は、タイヤの表面で縮合反応を受けて、当該タイヤと密接した強靭なシリコーン膜を形成できる。このようなシリコーン膜の光沢及び撥水性は、タイヤに非常に輝いた撥水性のある表面を与える。同時に、湿潤剤は、シリコーン化合物の表面張力を低下させ、これによりタイヤ表面に組成物を大きく広げると共に、湿潤させる。
【0007】
他の実施態様では、タイヤ磨き兼保護組成物は、アミノ官能性シリコーン、及び安定なシリコーンミクロエマルジョン系を形成するため、シリコーン化合物を水性系中に乳化させる界面官能価で調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤をベースとするシリコーンミクロエマルジョン系と、シリコーン化合物をタイヤ表面に湿潤させると共に、大きく広げるため、シリコーンミクロエマルジョン系中のシリコーン化合物の表面張力を低下させる湿潤剤とを含有する。タイヤ磨き兼保護組成物は、任意に、エアゾール系が所望ならば、フルオロカーボン又は炭化水素噴射剤を含有する。
【0008】
本発明の実施態様では、タイヤ化粧用組成物は、タイヤ上に、水や洗剤に対し耐洗浄性のある、耐久性で輝いた撥水性塗膜を形成できる。このタイヤ化粧用組成物は、雨天条件下で良好な輝き、耐久性を有すると共に、低い表面張力を有し、これにより光沢の均一なタイヤ表面に一層良好な広がりを可能にする。タイヤ化粧用組成物は、消費者が簡単なスプレーガン(trigger sprayer)、歩行(walk away)法、その他、タイヤ表面にスポンジで塗布するような簡単な塗布法で取り扱える。
【0009】
本発明の実施態様では、タイヤ表面に新品同様の明るく輝いた魅力的な外観を与えると共に、耐水洗浄性及び耐洗剤洗浄性を有する塗膜を形成できるいかなるシリコーンミクロエマルジョンも使用できる。ミクロエマルジョンは、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤により、2種の非混和性液体が熱力学的に安定に分散した分散液である。分散相は、大きさ10〜100μの範囲の小液滴からなる。熱力学的安定性の基準は、実用的な関心のあるミクロエマルジョンを作る多くの特性、即ち、各種成分を共に適切な温度範囲にした時、一定の化学組成及び温度での安定性及びせん断下での安定性を自発的に形成する能力として説明する。小さい分散相(分散層のサイズが小さいこと)から生じる透明性は、多くの消費製品に極めて重要な美的特性である。またミクロエマルジョンは、マクロエマルジョンよりも多孔質材料への浸透性がよく、活性物質の更に均一な分散液を分散相にだけ溶解させ、更にワックスや塗料粒子の場合は、高い光沢度及びフィルム結着性(integrity)を示す。
【0010】
シリコーンミクロエマルジョンの製造に好適な好ましいシリコーン化合物としては、限定されるものではないが、室温での粘度範囲が好ましくは40〜500,000cStのアミノ官能性シリコーン油及び乳化性シリコーン系重合体のブレンドが挙げられる。シリコーンミクロエマルジョンの製造には、室温での粘度が40〜500,000cStの範囲外の他のシリコーン油も使用してよいが、好ましいシリコーン油は、室温での粘度範囲が40〜500,000cStのアミノ官能性シリコーン油である。また、シリコーンミクロエマルジョンの製造には、その他の高分子量シリコーン重合体も使用してよいが、好ましいシリコーン系重合体は、乳化性シリコーン系重合体である。USP 4,600,436、同4,880,557、同4,790,877及び同5,378,271は、シリコーンエマルジョンの製造にシリコーン系重合体を使用することについて検討している。これらの文献は、全体をここに援用する。
【0011】
前記必要性は、本発明の特定の実施態様により満足される。この実施態様は、(1)新品同様の明るく輝いた魅力的なタイヤ外観を与える塗膜を形成できるシリコーン化合物、(2)安定なシリコーンミクロエマルジョン系を形成するため、シリコーン化合物を水性系中に乳化させる界面官能価を有する乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤、及び(3)タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる湿潤剤を含有する。
【0012】
本発明の実施態様は、明るく透明で粘度の低い、スプレー可能のシリコーンミクロエマルジョンタイヤ化粧用製品の製造方法も提供する。この製品は、消費者が、スプレーガン式ボトルを用いて塗布できる。この製品は、スプレー後、タイヤ上に新品同様の明るく輝いた魅力的な外観を与える塗膜を形成できる。
【0013】
本発明の実施態様は、ゲルをベースとするシリコーンミクロエマルジョン組成物の製造方法も提供する。得られた製品は、消費者がスポンジのような塗布器を用いてタイヤ表面に塗布できる。この製品は、タイヤ表面に塗布後、タイヤ上に新品同様の明るく輝いた魅力的な外観を与える塗膜を形成できる。
【0014】
本発明の実施態様は、着色及び光輝き効果を有するゲルベースのシリコーンミクロエマルジョン組成物の製造方法も提供する。得られた製品は、消費者がスポンジのような塗布器を用いてタイヤ表面に塗布できる。この製品は、タイヤ表面に塗布後、着色及び光輝き効果により、タイヤ上に新品同様の明るく輝いた魅力的な外観を与える塗膜を形成できる。
【0015】
好ましいシリコーン化合物は、室温での粘度範囲が40〜500,000cStのアミノ官能性シリコーン油であり、シリコーン系重合体の中でも、乳化性シリコーン系重合体が更に好ましいシリコーン系重合体である。本発明の実施態様では、アミノ官能性以外の官能価を有するシリコーン化合物のような他のシリコーン化合物も、室温での粘度が約40〜500,000cStの範囲であれば、使用できる。本発明のシリコーン化合物は、5〜60重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲で存在する。
【0016】
好適な乳化剤系、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤は、安定した明るい透明な外観を標準貯蔵条件下で長期保存安定性と共に得るため、室温での粘度範囲が40〜500,000cStのアミノ官能性シリコーン油を乳化する能力を持たなければならない。本発明シリコーンミクロエマルジョンの液滴は、エマルジョンが明るく透明に現われるように、可視光の波長よりも小さい。本発明組成物中の乳化剤の含有量は、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0017】
本発明の実施態様では、湿潤剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、組成物がタイヤ表面を湿潤させる程度まで低下させる能力を持たねばならない。湿潤剤は、シリコーンミクロエマルジョンに可溶性であることが好ましい。好ましい湿潤剤としては、限定されるものではないが、ノニオン性高分子弗素化炭化水素湿潤剤、アニオン性ホスフェートフルオロ界面活性剤、アニオン性カルボン酸リチウムフルオロ界面活性剤、ノニオン性エトキシル化フルオロ界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン湿潤剤、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン湿潤剤、又は有機変性ポリシロキサンブレンド型湿潤剤が挙げられる。本発明組成物中の湿潤剤の含有量は、0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜2.5重量%の範囲である。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、シリコーンミクロエマルジョン系は、エアゾール系が所望ならば、更にフルオロカーボン又は炭化水素噴射剤を含有する。このエアゾール系に好ましい噴射剤の例としては、限定されるものではないが、1,1−ジフルオロエタン、1,1、1−トリフルオロエタン、ジフルオロメタン、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンが挙げられる。1,1,1,2−テトラフルオロエタンは、エアゾール配合物を使用する環境保護局で承認され、非オゾン破壊性物質として含まれているので、更に好ましい。しかし、1,1,1,2−テトラフルオロエタンが唯一の好適な噴射剤を意味すると解釈すべきではない。環境保護局で承認されていないが、本発明の実施態様では、以上に挙げた他のフルオロカーボン噴射剤も使用できる。実際に、燃焼性が主要な関心事でない所では、本発明の実施態様ではフルオロカーボン噴射剤の他に、或いは代りに炭化水素噴射剤も使用してよい。
【0019】
本発明の特定の実施態様では、水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンのような生体保護化学保存剤又は殺生剤を添加する。
【0020】
エアゾール型の製品では、タイヤ化粧用組成物が缶に入っている場合、錆の発生が潜在的な問題である。好適な腐蝕防止剤としては、限定されるものではないが、トリエタノールアミンジノニルナフタレン、トリエタノールアミンほう酸塩、トリエタノールアミン燐酸塩、アンモニア、トリエタノールアミン及びカプリロアンフォプリオネート(amphoprionate)が挙げられる。しかし、他の公知のいずれの腐蝕防止剤も使用できる。腐蝕防止剤は、単独で、又は各種割合で組合せて使用できる。他の幾つかの実施態様では、エアゾール缶内のタイヤ化粧用組成物の凝固点を下げるため、凝固点降下剤を添加する。好適な凝固点降下剤としては、限定されるものではないが、エチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられる。しかし、他の凝固点降下剤も使用してよい。凝固点降下剤は、単独で、又は各種割合で組合せて使用できる。
【0021】
特定の実施態様では、タイヤ化粧用組成物の発泡を防止するため、タイヤ化粧用組成物に消泡剤を添加する。好適な消泡剤としては、限定されるものではないが、シリコーン系消泡剤、鉱油系消泡剤、及び気泡破壊性重合体と疎水性固体(ポリユリア)との混合物からなる消泡系が挙げられる。シリコーン系消泡剤の例は、シリカ充填ポリジメチルシロキサン及びポリエーテル変性ポリシロキサンである。本発明の実施態様では、シリカ充填ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
【0022】
本発明の特定の実施態様では、種々の着色効果を与えるため、シリコーンミクロエマルジョン系ゲル型タイヤ化粧用製品に、酸化鉄及びマイカ片、又は二酸化チタン及びマイカ片、又は二酸化チタン、酸化第二錫、及びマイカ片のような顔料を添加してよい。更に、特定の実施態様では、きらきらした光輝き効果を伝えるため、シリコーンミクロエマルジョン系ゲル型タイヤ化粧用製品に、着色ポリエチレンテレフタレートからなる精密切断金属光輝き粒子、或いはアルミ蒸着PVCフィルム又は熱硬化架橋エポキシ系を被覆した超薄厚アルミ箔のような他の幾つかの種類の精密切断フィルム/箔光輝き粒子、或いは他の幾つかの種類の精密切断の輝いた金属蒸着ポリエステルフィルム光輝き粒子を添加する。着色及び光輝き効果は、前記顔料及び光輝き材を一緒に組合せることにより、単一製品中で達成できる。
【0023】
本発明のタイヤ化粧用組成物は、PVCボトル或いはPETボトル、又はエアゾール缶に貯蔵してよい。
本発明の一実施態様は、前述のようなシリコーンミクロエマルジョン系を含む組成物の使用法を提供する。この組成物は、タイヤに塗布して、耐久性で輝いた、撥水性、即ち、耐水性及び耐洗剤性のある塗膜を形成する。
本発明を更に十分説明するため、以下に実施例を示す。
【実施例1】
【0024】
実施例
実施例1
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化したアミノ官能性シリコーンをベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。ノニオン性高分子弗素化炭化水素界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。発泡を避けるため、シリカ充填ポリジメチルシロキサン消泡剤を250ppm重量添加した。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。この組成物は、スプレーガンで塗布した。
【実施例2】
【0025】
実施例2
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化したアミノ官能性シリコーンをベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。アニオン性ホスフェートフルオロ界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。発泡を避けるため、シリカ充填ポリジメチルシロキサン消泡剤を250ppm重量添加した。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。この組成物は、スプレーガンで塗布した。
【実施例3】
【0026】
実施例3
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化した乳化性シリコーン系重合体をベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。ノニオン性高分子弗素化炭化水素界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。発泡を避けるため、シリカ充填ポリジメチルシロキサン消泡剤を250ppm重量添加した。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。この組成物は、スプレーガンで塗布した。
【実施例4】
【0027】
実施例4
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化した乳化性シリコーン系重合体をベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。アニオン性ホスフェートフルオロ界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。発泡を避けるため、シリカ充填ポリジメチルシロキサン消泡剤を250ppm重量添加した。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。この組成物は、スプレーガンで塗布した。
【実施例5】
【0028】
実施例5
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化したアミノ官能性シリコーンをベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。ノニオン性高分子弗素化炭化水素界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。発泡を避けるため、シリカ充填ポリジメチルシロキサン消泡剤を250ppm重量添加した。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。このタイヤ化粧用組成物は、エアゾール缶に貯蔵した。非オゾン破壊性物質として分類され、エアゾール配合物を使用する環境保護局で承認されている1,1,1,2−テトラフルオロエタンを20重量%及びトリエタノールアミンジノニルナフタレン腐蝕防止剤を1重量%添加した。
【実施例6】
【0029】
実施例6
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化したアミノ官能性シリコーンをベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。ノニオン性高分子弗素化炭化水素界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。この組成物は、“明るく透明な”比較的高粘度のシリコーンミクロエマルジョン系ゲル型タイヤ化粧製品である。この製品は、消費者がスポンジのような塗布器でタイヤ表面に簡単に塗布できる。
【実施例7】
【0030】
実施例7
本発明に従って製造した一例のタイヤ化粧用組成物の芯組成物は、慎重に調節した乳化剤、即ち、界面活性剤及び補助界面活性剤で乳化したアミノ官能性シリコーンをベースとするシリコーンミクロエマルジョンである。これら界面活性剤の組合せは、アミノ官能性シリコーンを乳化して、安定した明るい透明な外観が得られる乳化能力を有する。分散相は、小液滴からなり、半透明性及び明澄性は、小さい分散相から生じる。ノニオン性高分子弗素化炭化水素界面活性剤を0.1重量%添加した。この界面活性剤は、タイヤ化粧用組成物の表面張力を、タイヤ表面又はシリコーン系タイヤ化粧材料で予備処理したタイヤ表面を湿潤させると共に、スプレー吹付けが可能な程度まで低下させる能力を有し、またシリコーンミクロエマルジョンと相溶できる。この水ベース系に存在する可能性がある微生物に起因する潜在的な微生物学問題を防止するため、生体保護化学保存剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジンを0.20重量%添加した。着色効果を得るため、二酸化チタンと少量の酸化第二錫及び水酸化クロムを被覆したマイカ片からなる顔料を0.4重量%添加した。光輝き効果を得るため、熱硬化架橋エポキシ系で着色被覆した精密切断0.001インチ厚の金属真空蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる光輝き材を1.0重量%添加した。この組成物は、着色及び光輝き効果を有する“明るく透明な”比較的高粘度のシリコーンミクロエマルジョン系ゲル型タイヤ化粧用製品である。この製品は、消費者がスポンジのような塗布器でタイヤ表面に簡単に塗布できる。
【0031】
以上、例示したように、本発明の実施態様では、限定されるものではないが、任意に着色及び光輝き効果と共に、タイヤ表面に新品同様の明るく輝いた魅力的な外観を与える等の利点の1つ以上が得られる。
本発明を少数の限られた実施態様で説明したが、変化や変形は存在し得る。例えば不燃性で無毒で環境にやさしい噴射剤が好ましいが、3つの全ての要件を満足しない噴射剤も本発明の幾つかの実施態様では、なお使用できる。本発明は、タイヤの化粧利用について説明したが、タイヤだけに限定されるものではない。むしろ、本発明は、最近の自動車や他のオンロード用自動車に見られる自動車の他の外面及び内面に塗布可能である。これらの表面は、外面を塗料、金属、ビニル、その他の仕上げ材で被覆した金属又は繊維強化プラスチック本体パネルを含む。これら多くの自動車は、金属バンパーや、通常、クロムメッキ又は他の輝いた銀色の金属をメッキしたトリムを含む。付属の特許請求の範囲は、これら全ての変形及び変化を本発明の範囲に入るものとして、カバーすることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンミクロエマルジョン及び湿潤剤を含有するタイヤ化粧用組成物。
【請求項2】
前記シリコーンミクロエマルジョンが、室温での粘度が約40〜500,000cStの範囲のアミノ官能性シリコーン油を含有する請求項1に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項3】
前記シリコーンミクロエマルジョンが、シリコーン系重合体、更に好ましくは乳化性シリコーン系重合体を含有する請求項1又は2に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項4】
前記シリコーンミクロエマルジョンが、室温での粘度が約40〜500,000cStの範囲のアミン官能価以外の官能価を有するシリコーン油を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項5】
前記組成物のシリコーン化合物を乳化する界面官能価を有する界面活性剤及び補助界面活性剤を更に含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項6】
前記湿潤剤が、タイヤ化粧の表面張力を低下させる請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項7】
前記湿潤剤が、ノニオン性高分子弗素化炭化水素湿潤剤、アニオン性ホスフェートフルオロ界面活性剤、アニオン性カルボン酸リチウムフルオロ界面活性剤、ノニオン性エトキシル化フルオロ界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン湿潤剤、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン湿潤剤及び有機変性ポリシロキサンブレンド湿潤剤よりなる群から選ばれる請求項6に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項8】
更に消泡剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項9】
前記消泡剤が、シリカ充填ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、及び気泡破壊性重合体と疎水性固体(ポリユリア)との混合物よりなる群から選ばれる請求項8に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項10】
更に噴射剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項11】
前記噴射剤が、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1、1−トリフルオロエタン、ジフルオロメタン、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロエタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる請求項10に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項12】
更に腐蝕防止剤を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項13】
前記腐蝕防止剤が、トリエタノールアミンジノニルナフタレン、トリエタノールアミンほう酸塩、トリエタノールアミン燐酸塩、アンモニア、トリエタノールアミン、カプリロアンフォプリオネート及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項12に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項14】
更に凝固点降下剤を含有する請求項1〜13のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項15】
前記凝固点降下剤が、エチレングリコール及びプロピレングリコールよりなる群から選ばれる請求項14に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項16】
前記化粧組成物が、PVCプラスチックボトルに貯蔵される請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項17】
前記化粧組成物が、PETプラスチックボトルに貯蔵される請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項18】
前記化粧組成物が、エアゾール缶に貯蔵される請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項19】
前記化粧組成物が、スプレー可能な製品である請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項20】
前記化粧組成物が、ゲルベースの製品である請求項1〜15のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項21】
前記ゲルベースの製品が、顔料及び光輝き顔料粒子を含有する請求項20に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物をタイヤ表面の塗膜形成に使用する方法。
【請求項23】
前記塗膜が、耐久性で輝いて及び/又は撥水性である請求項22に記載のタイヤ化粧用組成物の使用法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温での粘度が約40〜500,000cStの範囲のアミノ官能性シリコーン油を含有するシリコーンミクロエマルジョン、タイヤ化粧の表面張力を低下させる湿潤剤及び組成物のシリコーン化合物を乳化する界面官能価を有する乳化剤系を含有するタイヤ化粧用組成物。
【請求項2】
前記シリコーンミクロエマルジョンが乳化性シリコーン系重合体を含む請求項1に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項3】
前記湿潤剤が、ノニオン性高分子弗素化炭化水素湿潤剤、アニオン性ホスフェートフルオロ界面活性剤、アニオン性カルボン酸リチウムフルオロ界面活性剤、ノニオン性エトキシル化フルオロ界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン湿潤剤、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサン湿潤剤、又は有機変性ポリシロキサンブレンド湿潤剤よりなる群から選ばれる請求項1に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項4】
更に消泡剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項5】
前記消泡剤が、シリカ充填ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、又は気泡破壊性重合体と疎水性固体(ポリユリア)との混合物よりなる群から選ばれる請求項4に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項6】
更に噴射剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項7】
前記噴射剤が、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1、1−トリフルオロエタン、ジフルオロメタン、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロエタン、又は1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる請求項6に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項8】
更に腐蝕防止剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項9】
前記腐蝕防止剤が、トリエタノールアミンジノニルナフタレン、トリエタノールアミンほう酸塩、トリエタノールアミン燐酸塩、アンモニア、トリエタノールアミン、カプリロアンフォプリオネート、又はそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項8に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項10】
更に凝固点降下剤を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項11】
前記凝固点降下剤が、エチレングリコール又はプロピレングリコールよりなる群から選ばれる請求項10に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項12】
前記化粧組成物が、PVCプラスチックボトル又はPETプラスチックボトルに貯蔵される請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項13】
前記化粧組成物が、エアゾール缶に貯蔵される請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項14】
前記化粧組成物が、スプレー可能な製品である請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項15】
前記化粧組成物が、ゲルベースの製品である請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項16】
前記ゲルベースの製品が、顔料及び光輝き顔料粒子を含有する請求項15に記載のタイヤ化粧用組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のタイヤ化粧用組成物をタイヤ表面の塗膜形成に使用する方法。
【請求項18】
前記塗膜が、耐久性で輝いて及び/又は撥水性である請求項17に記載のタイヤ化粧用組成物の使用法。

【公表番号】特表2006−512429(P2006−512429A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555797(P2004−555797)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/037938
【国際公開番号】WO2004/048461
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】