タイヤ成型用金型の内面形状測定方法及び内面形状測定治具
【課題】本発明は、簡易な構成でタイヤ成形用金型の内面形状を精度よく測定できる測定治具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】測定治具は、測定中心軸となる軸シャフト1と、軸シャフト1の両端部において測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された一対の支持フレーム2と、測定中心軸の半径方向に沿って支持フレーム2に移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピン4と、支持フレーム2の間において測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に軸シャフト1に取り付けられるとともに測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アーム3と、回転アーム3の先端部に固定されたダイヤルゲージ5とを備えている。
【解決手段】測定治具は、測定中心軸となる軸シャフト1と、軸シャフト1の両端部において測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された一対の支持フレーム2と、測定中心軸の半径方向に沿って支持フレーム2に移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピン4と、支持フレーム2の間において測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に軸シャフト1に取り付けられるとともに測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アーム3と、回転アーム3の先端部に固定されたダイヤルゲージ5とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成型用金型の内面形状測定方法及び内面形状測定治具に関するものである。更に詳しくは、タイヤ金型の幅方向両端部に設けられた基準径部を基準として、金型内面の形状を測定する方法及び治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤを製造する場合、複数種類のタイヤ構成材を組み合わせて、いわゆる生タイヤを成型した後、加硫機に設けられたトレッドパターン等の模様が内面に形成されたタイヤ成型用金型に生タイヤをセットして加硫して製造される。こうした加硫工程におけるタイヤ成型用金型を用いたモールドタイプとしては、タイヤの幅方向に2分割した金型を用いる2ピースモールドタイプと、タイヤの幅方向の両側に配置される上型及び下型並びにタイヤの円周方向に7〜13個に分割された金型を用いるセクショナルモールドタイプが実用化されている。
【0003】
タイヤ成型用金型は、トレッドパターン等の模様を形成する意匠面の形状が複雑で高強度薄肉部材(サイプブレード)を嵌め込んだ構造を有することから、機械加工による製作ではなく、鋳造製法で製作される場合が多い。鋳造製法では、まず機械加工によりモデルを作成し、作成したモデルに対応して注型転写法でゴム型及び鋳型を順次作成し、作成された鋳型を用いて鋳物を製作する。鋳造製法を採用することで、機械加工では対応しにくいピン角コーナー部、突起形状部のR形状等の形成が容易になり、高強度薄肉部材についても鋳造時の鋳包み製法により対応することができる。
【0004】
こうした鋳造製法による金型製作では、注型転写法による工程において生じる寸法精度の悪化が問題となるため、製作工程の各工程において金型の内面の真円度チェックや内面形状の修正が行われることが多い。セクショナルモールドタイプの金型の場合には、金型が円周方向に分割されているため、半径方向の距離や真円度等を測定する際の基準を設定することが難しく、測定時の型の位置決めや固定が困難であるという問題があった。
【0005】
セクショナルモールドタイプの金型に関する半径方向の距離や真円度の測定技術については、例えば、特許文献1及び2には、タイヤ加硫用金型の分割されたトレッドセグメントを稼働状態と同様に円筒状に整列させ、非接触センサを備えた測定手段を金型の外周面及び保持体の底部を基準に取り付けて、円筒状に配列された金型の中心と測定手段の中心とを同軸となるように配置し、非接触センサを半径方向及び周方向に移動させて中心から半径方向の距離を測定することでトレッドセグメントの内面凹凸を測定した点が記載されている。また、特許文献3には、測定台に被測定物をセットして測定台を回転させながらかつプローブを接触させながら被測定物の表面形状を測定する3次元測定方法が記載されており、特許文献4では、被測定物の表面に対して検出器を接触させながら被測定物の表面の半径方向の凹凸を検出して真円度を測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−257537号公報
【特許文献2】特開2006−289902号公報
【特許文献3】特開2005−326344号公報
【特許文献4】特開2007−113947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した各特許文献に記載された測定方法は、いずれも測定器具が大掛かりなものとなる上、測定開始時に被測定物を位置決めして固定するために時間がかかるといった問題がある。また、タイヤ成型用金型の内面形状を測定する場合に、金型の外周面についてその一部又は全部を機械加工して精度を向上させ、機械加工面を基準に内面形状を測定しなければならず、手間がかかるといった問題がある。すなわち、タイヤ成型用金型として鋳造金型を使用する場合、いわゆる「鋳放し」(鋳造上がり状態)での内面形状の測定ができないため、機械加工により基準面を形成して測定を行う必要がある。
【0008】
タイヤ成型用金型では、必要とされる寸法精度は0.1mm程度であるため、その精度での測定に必要とされる分解能は0.01mm程度であればよい。これは、一般的な精度仕上げ(μmオーダー)に比べて精度に対する許容度が大きいが、こうしたタイヤ成型用金型の仕上げ精度のレベルに対応した簡単な測定方法がないのが現状である。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な測定治具を用いてタイヤ成形用金型の内面形状を精度よく測定できる測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法は、測定中心軸となる軸シャフトから半径方向に沿って基準半径に基づいて位置決めされた支持ピンをタイヤ成型用金型の内面に設定された基準径部に接触させて当該軸シャフトを支持し、前記軸シャフトから半径方向に沿って設定半径に基づいて位置決めされた測定具を前記タイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、前記測定具を前記測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定することを特徴とする。さらに、前記測定具は、被測定面の接触点までの測定半径と前記設定半径との差を測定することを特徴とする。さらに、前記支持ピンを仮基準半径に基づいて位置決めして前記基準径部に接触させて前記軸シャフトを支持し、前記設定半径に基づいて位置決めされた前記測定具を被測定面に接触させて接触点までの測定半径と前記設定半径との差分値を測定し、測定された差分値及び前記仮基準半径に基づいて前記基準半径を設定することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定治具は、測定中心軸となる軸シャフトと、前記軸シャフトの両端部において前記測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された支持フレームと、前記測定中心軸の半径方向に沿って前記支持フレームに移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピンと、前記支持フレームの間において前記測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に前記軸シャフトに取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アームと、前記回転アームの先端部に固定された測定具とを備えていることを特徴とする。さらに、前記支持フレームは、中心が前記測定中心軸と一致し、先端に円弧部分を有し、前記円弧部分に前記支持ピンが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、測定中心軸となる軸シャフトに対して位置決めされた支持ピン及び測定具を用い、支持ピンを基準径部に接触させて軸シャフトを支持して測定具をタイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、測定具を測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定するので、簡単な構成の測定治具で精度よく測定ができる。そして、鋳造品や鋳放し状態の半加工品の場合でも金型の被測定面を容易に測定することができる。そのため、仕上げ加工前の加工品の寸法精度の評価や機械加工を行う際の位置決め諸元の最適化を行うことが可能となり、タイヤ成型用金型の寸法精度向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法に用いる測定治具に関し、図1Aはその正面図、図1Bは側面図である。
【図2】タイヤ成型用金型の内面形状測定方法に関する説明図である。
【図3】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図3Aは正面図、図3Bは側面図である。
【図4】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図4Aは正面図、図4Bは側面図である。
【図5】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは側面図である。
【図6】測定治具を用いた測定手順に関する説明図である。
【図7】測定治具を用いた測定手順に関する説明図である。
【図8】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図8Aは正面図、図8Bは側面図である。
【図9】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図9Aは正面図、図9Bは側面図である。
【図10】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図10Aは正面図、図10Bは側面図である。
【図11】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図11Aは正面図、図11Bは側面図である。
【図12】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図12Aは正面図、図12Bは側面図である。
【図13】金型の被測定面にタイヤの幅方向の変形が生じた例に関する斜視図である。
【図14】金型の被測定面に周方向の変形が生じた例に関する斜視図である。
【図15】金型にねじれが生じた例に関する斜視図である。
【図16】金型の形状に関する寸法図である。
【図17】測定結果を示すグラフである。
【図18】測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法に用いる測定治具に関する正面図(図1A)及び側面図(図1B)である。測定治具は、測定中心軸となる軸シャフト1と、軸シャフト1に回動可能に取り付けられる一対の支持フレーム2(必ずしも一対に限定されない)と、支持フレーム2の間において軸シャフト1に回動可能に取り付けられる回転アーム3とを備えている。
【0015】
支持フレーム2は、扇形に形成されており、扇形の中心から一対の半径部分20が所定の中心角度で延設されてその先端を円弧部分21で接続している。扇形の中心には、取付孔22が穿設されており、取付孔22に向かって軸シャフト1を固定する止めネジ23が螺合されている。取付孔22に軸シャフト1の端部を挿着して、軸シャフト1の軸方向及び周方向の適当な位置で止めネジ23により固定することができる。支持フレーム2を軸シャフト1に固定した状態では、支持フレーム2の半径部分20は、軸シャフト1の中心軸Tと直交するように半径方向に沿って設定され、円弧部分21は中心軸Tの周方向と一致するように設定される。
【0016】
支持フレーム2の円弧部分21は、半径部分20に比べて厚く形成されて内側に段差状に突出した形状となっている。そして、円弧部分21の段差状に突出した部分には、支持ピン4を挿着するための複数の支持孔21aが穿設されており、支持フレーム2が軸シャフト1に固定した状態において支持孔21aに挿着された支持ピン4の軸方向が中心軸Tの半径方向と一致するように支持孔21aが正確に穿孔されている。支持孔21aは、支持フレーム2の扇形の中心角を二等分する中心線が交差する位置に設けられており、中心線に対して対称となる位置にそれぞれ対となる複数対の支持孔21aが設けられている。
【0017】
支持ピン4は、丸棒状で先端部が円錐状に尖った形状に形成されており、予め支持孔21aに挿着されたブッシュ40の孔に挿入して先端部を半径方向の外方に向かって円弧部分21から突出するように取り付けられる。ブッシュ40は、円弧部分21の支持孔21aが穿設された部分の内側に形成された孔に挿入されて支持孔21a内にセットされる。そして、ブッシュ40とは反対側から支持孔21aに向かって螺合する止めネジ41がブッシュ40に圧接して支持ピン4が所定位置に固定される。円弧部分21から外方に向かって突出した先端部には圧縮バネ42が挿着されており、圧縮バネ42のさらに外側には圧縮バネ42の抜け止め部材43が止めネジにより先端部に固定されている。圧縮バネ42は抜け止め部材43を外方に向かって押圧するように作用するため、支持ピン4は外方に向かって引っ張られる。後述するように、支持ピン4を位置決めする際に、支持ピン4の先端が位置決め治具に当接した状態となるが、その際に圧縮バネ42による押圧力により支持ピン4が支持孔21a内で不用意に動かないように安定した状態とすることができる。
【0018】
回転アーム3は、細幅の直線溝3aが全長にわたって形成された細長い枠体であり、中央部分がロータ30の回動部に一対の取付ボルト31により固定されている。ロータ30は、軸シャフト1に止めネジ32により固定された固定部に玉軸受を介して取り付けられた回動部を備えており、回動部が中心軸Tを中心に回動可能となっている。ロータ30が軸シャフト1に取り付けられた状態で、回転アーム3の直線溝3aの長手方向は軸シャフト1の中心軸Tと直交する方向に設定されている。そして、取付ボルト31を緩めることで、直交方向に移動可能になり、適当な位置に位置決めすることができる。
【0019】
回転アーム3の支持フレーム2と同じ側の先端部には、測定具であるダイヤルゲージ5が取り付けられている。ダイヤルゲージ5は、背面の取付孔にスリーブ50を挿着した取付ボルト51が挿入されており、取付ボルト51の先端部が回転アーム3の直線溝3aに挿入されて取付ナット52により固定されている。ダイヤルゲージ5は、外方に突出するように設けられた測定スピンドル5aの動作方向が中心軸Tの半径方向と一致するように、スリーブ50の長さを調整して回転アーム3との間の間隔が設定されている。ダイヤルゲージ5は、以上のように取り付けられているので、回転アーム3が軸シャフト1の周囲を回動する場合、軸シャフト1の中心軸Tの周方向に沿って回動することになる。また、取付ボルト31を緩めることで回転アーム3が直線溝3aに沿って移動可能とされており、中心軸Tの半径方向の適当な位置にダイヤルゲージ5を位置決めすることができる。そして、ロータ30を固定する止めネジ32を緩めることで、ロータ30は中心軸Tに沿って軸シャフト1上を移動可能であり、中心軸Tに沿う方向の適当な位置に位置決めすることができる。
【0020】
図2は、タイヤ成型用の金型Mの内面形状測定方法に関する説明図である。この例では、金型Mは、セクショナルモールドタイプの分割金型の1つである。タイヤの外周に対応する金型Mの内面は、タイヤの幅方向の両側部分が段差状に内側に向かって突出しており、中央部分がトレッドパターン等の模様を形成する意匠面に形状されている。本測定方法では、両側部分を基準径部S1及びS2とし、意匠面を被測定面S3とする。そして、基準径部S1では、測定中心軸Oを中心とし半径Rsで周方向に円弧を描くように基準ラインを設定し、基準ラインにおいて中心角度θだけ離れた基準点P1及びP2を両側端部にそれぞれ設定する。基準径部S2についても基準径部S1と同様に基準点P3及びP4を設定する。
【0021】
図2Aでは、測定中心軸Oの周方向に沿って被測定面S3に設定された測定ラインL1を示しており、測定ラインL1をタイヤの幅方向に所定間隔ずつずらすことで被測定面S3全体を測定することができる。また、図2Bでは、測定中心軸Oと平行なタイヤの幅方向に沿って被測定面S3に設定された測定ラインL2を示しており、測定ラインL2を周方向に所定間隔ずつずらすことで被測定面S3全体を測定することができる。そして、いずれの場合でも、基準径部S1及びS2から基準半径Rsで設定された測定中心軸Oから測定ラインの測定点までの距離である測定半径を測定することで、金型Mの内面形状を測定することができる。また、被測定面S3に対する測定中心軸Oからの半径として設定半径Rcを予め設定しておき、設定半径Rcとの差を測定することで内面形状を測定することができる。
【0022】
図3から図7は、測定手順に関する説明図である。
軸シャフト1の両側端部にそれぞれ支持フレーム2をネジ止めにより固定し、中央部にロータ30をネジ止めにより固定しておく。支持フレーム2及びロータ30の軸シャフト1周りの位置決めは、軸シャフト1の周りに中心軸Tに沿う条溝等の目印を設けておき、それと合致するようにネジ止めする。固定された支持フレーム2には、予め所定の支持孔に支持ピン4(図1)を取り付けておく。そして、支持ピン4を支持孔に固定する止めネジ41を緩めて支持ピン4が支持孔内を移動可能な状態とし、図3に示すように、軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間にノギス等の位置決め治具100を当接する。位置決め治具100により両者の間の距離を基準半径Rsに軸シャフト1の半径分を加えた値にセットして、支持ピン4を固定する止めネジ41を締め付けて支持ピン4が移動しないように固定する。こうして支持ピン4の先端位置は、軸シャフト1の中心軸Tから基準半径Rsに正確に位置決めされる。残りの支持ピン4についても同様に先端位置を中心軸Tから基準半径Rsに位置決めする。
【0023】
次に、図4に示すように、支持フレーム2の中心角を二等分する中心線が円弧部分と交差する位置に形成された支持孔に原点ピン6を挿着して、軸シャフト1の周面と原点ピン6の先端との間に位置決め治具100を当接する。位置決め治具100により両者の間の距離を設定半径Rcに軸シャフト1の半径分を加えた値にセットして、原点ピン6を固定する止めネジ61を締め付けて原点ピン6が移動しないように固定する。こうして原点ピン6の先端位置は、軸シャフト1の中心軸Tから設定半径Rcに正確に位置決めされる。
【0024】
次に、図5に示すように、ダイヤルゲージ5を先端部に固定した回転アーム3をロータ30に取り付けて、ダイヤルゲージ5の測定スピンドル5aが原点ピン6の半径方向と同一の方向に設定されるように回転アーム3を位置調整する。そして、上面が平面に形成された定盤200の直立支持台201に原点ピン6の先端部を挿入して固定し、定盤200の上面に原点ピン6が垂直に立設するように設定する。原点ピン6を立設させた状態で回転アーム3を上下動させダイヤルゲージ5の半径方向に位置調整を行って測定スピンドル5aが定盤200の上面に当接した状態とし、回転アーム3をロータ30に固定する。そして、ダイヤルゲージ5の目盛をゼロ点に設定することで、測定スピンドル5aの先端が原点ピン6の先端と同じ設定半径Rcに正確に位置決めされた状態で、ダイヤルゲージ5の目盛がゼロ点を指示するようになる。ダイヤルゲージ5のゼロ点設定が完了した後原点ピン6を直立支持台201から外し、原点ピン6を支持フレーム2から取り外して測定治具の準備が完了する。
【0025】
金型Mに測定治具をセットする場合には、一方の支持フレーム2に取り付けた支持ピン4の先端を図2に示す基準径部S1に設置することで基準点P1及びP2が設定され、他方の支持フレーム2に取り付けた支持ピン4の先端を基準径部S2に設置することで基準点P3及びP4が設定される。そのため、軸シャフト1の中心軸Tが測定中心軸Oに対応するように測定治具がセットされる。図6Aは、測定治具を金型Mにセットした状態を示している。この状態では、支持フレーム2の間に配置された回転アーム3の先端部に取り付けたダイヤルゲージ5は、金型Mの被測定面S3に対向配置され、ダイヤルゲージ5の測定スピンドル5aの先端が被測定面S3に接触することで、ゼロ点設定された設定半径Rcと測定半径Rとの差がダイヤルゲージ5の測定目盛に表示されて測定される(図6B参照)。図6Aでは、ロータ30を回転駆動させて回転アーム3を軸シャフト1の周方向に回動させ、図2に示す周方向の測定ラインL1に沿ってダイヤルゲージ5を回動させて測定を行う。図6Cに、その測定結果の一例を示す。設定半径と測定半径との差をグラフで表示することで、測定ラインに沿う内面形状を正確に表示することができる。また、測定された測定半径に基づいて内面形状の曲率を算出することで、被測定面の周方向の曲率が得られる。
【0026】
図7は、図6に示すようにセットされた測定治具を用いてタイヤの幅方向に測定する場合の説明図である。この場合には、回転アーム3を取り付けたロータ30自体を軸シャフト1に沿って移動させる(図7A参照)ことで、図2に示す幅方向の測定ラインL2に沿ってダイヤルゲージ5を移動させて測定することができる(図7B参照)。図7Cに、その測定結果の一例を示す。設定半径と測定半径との差をグラフで表示することで、タイヤの幅方向の内面形状を正確に表示することができる。また、測定された測定半径に基づいて内面形状の曲率を算出することで、被測定面の幅方向の曲率が得られる。
【0027】
以上説明した例では、基準半径Rsが予め設定されているが、基準半径Rsが不明の場合でも測定を行うことができる。即ち図8から図12は、金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順を示している。まず、図8Aに示すように、支持フレーム2に原点ピン6を図4と同様に取り付けて、位置決め治具100により軸シャフト1の周面と原点ピン6の先端との間の距離を設定半径Rcに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して原点ピン6を固定する。これで、軸シャフト1の中心軸から設定半径Rcの距離に原点ピン6の先端を位置決めすることができる。次に、図9A、Bに示すように、図5と同様に、回転アーム3をローラ30に取り付けて定盤200の直立支持台201に原点ピン6の先端部を挿入して固定し、ダイヤルゲージ5のゼロ点設定を行う。これで、ダイヤルゲージ5が設定半径Rcでゼロ点を指示するように設定される。
【0028】
次に図10A、Bに示すように、支持フレーム2から原点ピン6を外して代わりに支持ピン4を取り付け、位置決め治具100により軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間の距離を仮に決めた仮基準半径Raに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して支持ピン4を固定する。これで、軸シャフト1の中心軸から仮基準半径Raの距離に支持ピン4の先端が位置決めされる。次に、図11A、Bに示すように、金型Mの基準径部S1及びS2(図2参照)にそれぞれ直立支持具300を設置し、直立支持具300の位置決め孔に支持ピン4を挿着して支持ピン4を直立させた状態に設定する。この状態でダイヤルゲージ5の測定スピンドルを被測定面S3に当接させて測定する。そして、設定半径Rcと測定半径との差である差分値Δを測定し、仮基準半径Raに差分値Δを加えた値を基準半径Rsに設定する。次に、図12A、Bに示すように、支持フレーム2にそれぞれ2本の支持ピン4を取り付けた状態で、図3と同様に位置決め治具100により軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間の距離を基準半径Rsに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して支持ピン4を固定する。こうして基準半径を設定した後上述した測定操作を行って被測定面の内面形状を測定する。
【0029】
このように、ダイヤルゲージのゼロ点設定を被測定面に対して設定した設定半径Rcに基づいて行った後基準径部と被測定面との間の相対的な位置関係を測定して基準半径を設定するので、基準半径が不明な場合でも簡単な方法で正確な測定を行うことができる。したがって、「鋳造上がり状態」や「中間加工状態」の金型のように基準径部が明確でない場合でも簡単な測定治具で正確に内面形状を測定することができる。
【0030】
また、「鋳造上がり状態」や「中間加工状態」の金型の場合、被測定面が鋳造変形している場合がある。例えば、図13は、金型の被測定面S3にタイヤの幅方向の変形が生じた例に関する斜視図である。図13Aでは、被測定面S3が内側に向かって凸状に変形しており、中央部分において差分値Xだけ内側に膨らんでいる。図13Bでは、被測定面S3が外側に向かって凹状に変形しており、中央部分において差分値Yだけ外側に凹んでいる。こうした差分値X、Yは、図11に示す差分値Δの測定の際に幅方向にダイヤルゲージを移動させることで測定することができる。そして、図13Aの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ−Xとし、図13Bの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ+Yとして、支持ピンを位置決めして測定を行う。
【0031】
図14は、金型の被測定面S3に周方向の変形が生じた例に関する斜視図である。図14Aでは、被測定面S3が内側に向かって浅くなるように変形しており、中央部分において差分値Xだけ浅くなっている。図14Bでは、被測定面S3が外側に向かって深くなるように変形しており、中央部分において差分値Yだけ深くなっている。こうした差分値X、Yは、図11に示す差分値Δの測定の際に周方向にダイヤルゲージを移動させることで測定することができる。そして、図14Aの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ+Xとし、図14Bの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ−Yとして、支持ピンを位置決めして測定を行う。
【0032】
また、図15に示すように、金型全体にねじれが生じている場合には、測定治具をセットした後に金型に測定治具を設置すると、4本の支持ピンの間にがたつきが生じる。そのため、最初に基準径部と支持ピンとの間の隙間(がたつき量)を隙間ゲージ等により測定し(図15では、隙間A〜Dの測定)、測定したがたつき量に基づいて各支持ピンの位置調整を行う必要がある。図13から図15で説明した事例は、複合して生じる場合が多いため、鋳造品のように中間加工状態での測定に際しては、測定前に支持ピンの位置補正のための仮測定を行い、測定結果に基づいて支持ピンの位置補正を行った後本測定を行うようにすれば、金型の内面形状を正確に測定することができる。
【実施例】
【0033】
セグメント分割数が9個のセクショナルモールドタイプの分割金型を用いて上述した測定治具により内面形状を測定した。金型は、アルミ材質で石膏鋳型を用いセグメント重力鋳造により鋳造した鋳放し状態のものを用いた。図16は、金型の形状に関する寸法図であり、各部位の寸法は以下の通りである。
被測定面のタイヤの幅方向の長さA=215mm
基準径部と外周面との間の長さB=143mm
金型のタイヤの幅方向の長さC=290mm
被測定面と外周面との間の長さD=100mm
基準半径R=317mm
9個の分割金型のそれぞれについて周方向に5箇所及びタイヤの幅方向に5箇所ずつ測定ポイントを設定して測定を行った。測定結果を図17及び図18に示す。図17では、9個の分割金型の周方向の測定データを直線状に配列し、幅方向に所定間隔ずつずらして平面的にグラフ表示している。設定半径との差が0となる面が設計上の設定半径になる。また、図18では、9個の分割金型の周方向の測定データを円状配列してグラフ表示している。こうして得られた測定結果は、加工前の段階での寸法精度の判定や金型の外周面機械加工時での位置基準設定に活用することができ、タイヤ成型用金型の最終的な寸法精度の向上に大きく貢献するものであった。
【0034】
9個の分割金型の測定作業は、約3時間程度で済み、鋳放し状態の金型でも簡単かつ正確に内面形状を測定することができた。また、特許文献1に記載された従来技術により同じ分割金型について測定を試みたが、鋳放し状態の金型の位置決め及び固定が正確に行うことができず、内面形状の測定はできなかった。
【符号の説明】
【0035】
1・・軸シャフト、2・・支持フレーム、3・・回転アーム、4・・支持ピン、5・・ダイヤルゲージ、6・・原点ピン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成型用金型の内面形状測定方法及び内面形状測定治具に関するものである。更に詳しくは、タイヤ金型の幅方向両端部に設けられた基準径部を基準として、金型内面の形状を測定する方法及び治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤを製造する場合、複数種類のタイヤ構成材を組み合わせて、いわゆる生タイヤを成型した後、加硫機に設けられたトレッドパターン等の模様が内面に形成されたタイヤ成型用金型に生タイヤをセットして加硫して製造される。こうした加硫工程におけるタイヤ成型用金型を用いたモールドタイプとしては、タイヤの幅方向に2分割した金型を用いる2ピースモールドタイプと、タイヤの幅方向の両側に配置される上型及び下型並びにタイヤの円周方向に7〜13個に分割された金型を用いるセクショナルモールドタイプが実用化されている。
【0003】
タイヤ成型用金型は、トレッドパターン等の模様を形成する意匠面の形状が複雑で高強度薄肉部材(サイプブレード)を嵌め込んだ構造を有することから、機械加工による製作ではなく、鋳造製法で製作される場合が多い。鋳造製法では、まず機械加工によりモデルを作成し、作成したモデルに対応して注型転写法でゴム型及び鋳型を順次作成し、作成された鋳型を用いて鋳物を製作する。鋳造製法を採用することで、機械加工では対応しにくいピン角コーナー部、突起形状部のR形状等の形成が容易になり、高強度薄肉部材についても鋳造時の鋳包み製法により対応することができる。
【0004】
こうした鋳造製法による金型製作では、注型転写法による工程において生じる寸法精度の悪化が問題となるため、製作工程の各工程において金型の内面の真円度チェックや内面形状の修正が行われることが多い。セクショナルモールドタイプの金型の場合には、金型が円周方向に分割されているため、半径方向の距離や真円度等を測定する際の基準を設定することが難しく、測定時の型の位置決めや固定が困難であるという問題があった。
【0005】
セクショナルモールドタイプの金型に関する半径方向の距離や真円度の測定技術については、例えば、特許文献1及び2には、タイヤ加硫用金型の分割されたトレッドセグメントを稼働状態と同様に円筒状に整列させ、非接触センサを備えた測定手段を金型の外周面及び保持体の底部を基準に取り付けて、円筒状に配列された金型の中心と測定手段の中心とを同軸となるように配置し、非接触センサを半径方向及び周方向に移動させて中心から半径方向の距離を測定することでトレッドセグメントの内面凹凸を測定した点が記載されている。また、特許文献3には、測定台に被測定物をセットして測定台を回転させながらかつプローブを接触させながら被測定物の表面形状を測定する3次元測定方法が記載されており、特許文献4では、被測定物の表面に対して検出器を接触させながら被測定物の表面の半径方向の凹凸を検出して真円度を測定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−257537号公報
【特許文献2】特開2006−289902号公報
【特許文献3】特開2005−326344号公報
【特許文献4】特開2007−113947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した各特許文献に記載された測定方法は、いずれも測定器具が大掛かりなものとなる上、測定開始時に被測定物を位置決めして固定するために時間がかかるといった問題がある。また、タイヤ成型用金型の内面形状を測定する場合に、金型の外周面についてその一部又は全部を機械加工して精度を向上させ、機械加工面を基準に内面形状を測定しなければならず、手間がかかるといった問題がある。すなわち、タイヤ成型用金型として鋳造金型を使用する場合、いわゆる「鋳放し」(鋳造上がり状態)での内面形状の測定ができないため、機械加工により基準面を形成して測定を行う必要がある。
【0008】
タイヤ成型用金型では、必要とされる寸法精度は0.1mm程度であるため、その精度での測定に必要とされる分解能は0.01mm程度であればよい。これは、一般的な精度仕上げ(μmオーダー)に比べて精度に対する許容度が大きいが、こうしたタイヤ成型用金型の仕上げ精度のレベルに対応した簡単な測定方法がないのが現状である。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な測定治具を用いてタイヤ成形用金型の内面形状を精度よく測定できる測定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法は、測定中心軸となる軸シャフトから半径方向に沿って基準半径に基づいて位置決めされた支持ピンをタイヤ成型用金型の内面に設定された基準径部に接触させて当該軸シャフトを支持し、前記軸シャフトから半径方向に沿って設定半径に基づいて位置決めされた測定具を前記タイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、前記測定具を前記測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定することを特徴とする。さらに、前記測定具は、被測定面の接触点までの測定半径と前記設定半径との差を測定することを特徴とする。さらに、前記支持ピンを仮基準半径に基づいて位置決めして前記基準径部に接触させて前記軸シャフトを支持し、前記設定半径に基づいて位置決めされた前記測定具を被測定面に接触させて接触点までの測定半径と前記設定半径との差分値を測定し、測定された差分値及び前記仮基準半径に基づいて前記基準半径を設定することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定治具は、測定中心軸となる軸シャフトと、前記軸シャフトの両端部において前記測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された支持フレームと、前記測定中心軸の半径方向に沿って前記支持フレームに移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピンと、前記支持フレームの間において前記測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に前記軸シャフトに取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アームと、前記回転アームの先端部に固定された測定具とを備えていることを特徴とする。さらに、前記支持フレームは、中心が前記測定中心軸と一致し、先端に円弧部分を有し、前記円弧部分に前記支持ピンが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、測定中心軸となる軸シャフトに対して位置決めされた支持ピン及び測定具を用い、支持ピンを基準径部に接触させて軸シャフトを支持して測定具をタイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、測定具を測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定するので、簡単な構成の測定治具で精度よく測定ができる。そして、鋳造品や鋳放し状態の半加工品の場合でも金型の被測定面を容易に測定することができる。そのため、仕上げ加工前の加工品の寸法精度の評価や機械加工を行う際の位置決め諸元の最適化を行うことが可能となり、タイヤ成型用金型の寸法精度向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法に用いる測定治具に関し、図1Aはその正面図、図1Bは側面図である。
【図2】タイヤ成型用金型の内面形状測定方法に関する説明図である。
【図3】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図3Aは正面図、図3Bは側面図である。
【図4】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図4Aは正面図、図4Bは側面図である。
【図5】測定治具を用いた測定手順に関する説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは側面図である。
【図6】測定治具を用いた測定手順に関する説明図である。
【図7】測定治具を用いた測定手順に関する説明図である。
【図8】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図8Aは正面図、図8Bは側面図である。
【図9】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図9Aは正面図、図9Bは側面図である。
【図10】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図10Aは正面図、図10Bは側面図である。
【図11】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図11Aは正面図、図11Bは側面図である。
【図12】金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順に関する説明図であり、図12Aは正面図、図12Bは側面図である。
【図13】金型の被測定面にタイヤの幅方向の変形が生じた例に関する斜視図である。
【図14】金型の被測定面に周方向の変形が生じた例に関する斜視図である。
【図15】金型にねじれが生じた例に関する斜視図である。
【図16】金型の形状に関する寸法図である。
【図17】測定結果を示すグラフである。
【図18】測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るタイヤ成型用金型の内面形状測定方法に用いる測定治具に関する正面図(図1A)及び側面図(図1B)である。測定治具は、測定中心軸となる軸シャフト1と、軸シャフト1に回動可能に取り付けられる一対の支持フレーム2(必ずしも一対に限定されない)と、支持フレーム2の間において軸シャフト1に回動可能に取り付けられる回転アーム3とを備えている。
【0015】
支持フレーム2は、扇形に形成されており、扇形の中心から一対の半径部分20が所定の中心角度で延設されてその先端を円弧部分21で接続している。扇形の中心には、取付孔22が穿設されており、取付孔22に向かって軸シャフト1を固定する止めネジ23が螺合されている。取付孔22に軸シャフト1の端部を挿着して、軸シャフト1の軸方向及び周方向の適当な位置で止めネジ23により固定することができる。支持フレーム2を軸シャフト1に固定した状態では、支持フレーム2の半径部分20は、軸シャフト1の中心軸Tと直交するように半径方向に沿って設定され、円弧部分21は中心軸Tの周方向と一致するように設定される。
【0016】
支持フレーム2の円弧部分21は、半径部分20に比べて厚く形成されて内側に段差状に突出した形状となっている。そして、円弧部分21の段差状に突出した部分には、支持ピン4を挿着するための複数の支持孔21aが穿設されており、支持フレーム2が軸シャフト1に固定した状態において支持孔21aに挿着された支持ピン4の軸方向が中心軸Tの半径方向と一致するように支持孔21aが正確に穿孔されている。支持孔21aは、支持フレーム2の扇形の中心角を二等分する中心線が交差する位置に設けられており、中心線に対して対称となる位置にそれぞれ対となる複数対の支持孔21aが設けられている。
【0017】
支持ピン4は、丸棒状で先端部が円錐状に尖った形状に形成されており、予め支持孔21aに挿着されたブッシュ40の孔に挿入して先端部を半径方向の外方に向かって円弧部分21から突出するように取り付けられる。ブッシュ40は、円弧部分21の支持孔21aが穿設された部分の内側に形成された孔に挿入されて支持孔21a内にセットされる。そして、ブッシュ40とは反対側から支持孔21aに向かって螺合する止めネジ41がブッシュ40に圧接して支持ピン4が所定位置に固定される。円弧部分21から外方に向かって突出した先端部には圧縮バネ42が挿着されており、圧縮バネ42のさらに外側には圧縮バネ42の抜け止め部材43が止めネジにより先端部に固定されている。圧縮バネ42は抜け止め部材43を外方に向かって押圧するように作用するため、支持ピン4は外方に向かって引っ張られる。後述するように、支持ピン4を位置決めする際に、支持ピン4の先端が位置決め治具に当接した状態となるが、その際に圧縮バネ42による押圧力により支持ピン4が支持孔21a内で不用意に動かないように安定した状態とすることができる。
【0018】
回転アーム3は、細幅の直線溝3aが全長にわたって形成された細長い枠体であり、中央部分がロータ30の回動部に一対の取付ボルト31により固定されている。ロータ30は、軸シャフト1に止めネジ32により固定された固定部に玉軸受を介して取り付けられた回動部を備えており、回動部が中心軸Tを中心に回動可能となっている。ロータ30が軸シャフト1に取り付けられた状態で、回転アーム3の直線溝3aの長手方向は軸シャフト1の中心軸Tと直交する方向に設定されている。そして、取付ボルト31を緩めることで、直交方向に移動可能になり、適当な位置に位置決めすることができる。
【0019】
回転アーム3の支持フレーム2と同じ側の先端部には、測定具であるダイヤルゲージ5が取り付けられている。ダイヤルゲージ5は、背面の取付孔にスリーブ50を挿着した取付ボルト51が挿入されており、取付ボルト51の先端部が回転アーム3の直線溝3aに挿入されて取付ナット52により固定されている。ダイヤルゲージ5は、外方に突出するように設けられた測定スピンドル5aの動作方向が中心軸Tの半径方向と一致するように、スリーブ50の長さを調整して回転アーム3との間の間隔が設定されている。ダイヤルゲージ5は、以上のように取り付けられているので、回転アーム3が軸シャフト1の周囲を回動する場合、軸シャフト1の中心軸Tの周方向に沿って回動することになる。また、取付ボルト31を緩めることで回転アーム3が直線溝3aに沿って移動可能とされており、中心軸Tの半径方向の適当な位置にダイヤルゲージ5を位置決めすることができる。そして、ロータ30を固定する止めネジ32を緩めることで、ロータ30は中心軸Tに沿って軸シャフト1上を移動可能であり、中心軸Tに沿う方向の適当な位置に位置決めすることができる。
【0020】
図2は、タイヤ成型用の金型Mの内面形状測定方法に関する説明図である。この例では、金型Mは、セクショナルモールドタイプの分割金型の1つである。タイヤの外周に対応する金型Mの内面は、タイヤの幅方向の両側部分が段差状に内側に向かって突出しており、中央部分がトレッドパターン等の模様を形成する意匠面に形状されている。本測定方法では、両側部分を基準径部S1及びS2とし、意匠面を被測定面S3とする。そして、基準径部S1では、測定中心軸Oを中心とし半径Rsで周方向に円弧を描くように基準ラインを設定し、基準ラインにおいて中心角度θだけ離れた基準点P1及びP2を両側端部にそれぞれ設定する。基準径部S2についても基準径部S1と同様に基準点P3及びP4を設定する。
【0021】
図2Aでは、測定中心軸Oの周方向に沿って被測定面S3に設定された測定ラインL1を示しており、測定ラインL1をタイヤの幅方向に所定間隔ずつずらすことで被測定面S3全体を測定することができる。また、図2Bでは、測定中心軸Oと平行なタイヤの幅方向に沿って被測定面S3に設定された測定ラインL2を示しており、測定ラインL2を周方向に所定間隔ずつずらすことで被測定面S3全体を測定することができる。そして、いずれの場合でも、基準径部S1及びS2から基準半径Rsで設定された測定中心軸Oから測定ラインの測定点までの距離である測定半径を測定することで、金型Mの内面形状を測定することができる。また、被測定面S3に対する測定中心軸Oからの半径として設定半径Rcを予め設定しておき、設定半径Rcとの差を測定することで内面形状を測定することができる。
【0022】
図3から図7は、測定手順に関する説明図である。
軸シャフト1の両側端部にそれぞれ支持フレーム2をネジ止めにより固定し、中央部にロータ30をネジ止めにより固定しておく。支持フレーム2及びロータ30の軸シャフト1周りの位置決めは、軸シャフト1の周りに中心軸Tに沿う条溝等の目印を設けておき、それと合致するようにネジ止めする。固定された支持フレーム2には、予め所定の支持孔に支持ピン4(図1)を取り付けておく。そして、支持ピン4を支持孔に固定する止めネジ41を緩めて支持ピン4が支持孔内を移動可能な状態とし、図3に示すように、軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間にノギス等の位置決め治具100を当接する。位置決め治具100により両者の間の距離を基準半径Rsに軸シャフト1の半径分を加えた値にセットして、支持ピン4を固定する止めネジ41を締め付けて支持ピン4が移動しないように固定する。こうして支持ピン4の先端位置は、軸シャフト1の中心軸Tから基準半径Rsに正確に位置決めされる。残りの支持ピン4についても同様に先端位置を中心軸Tから基準半径Rsに位置決めする。
【0023】
次に、図4に示すように、支持フレーム2の中心角を二等分する中心線が円弧部分と交差する位置に形成された支持孔に原点ピン6を挿着して、軸シャフト1の周面と原点ピン6の先端との間に位置決め治具100を当接する。位置決め治具100により両者の間の距離を設定半径Rcに軸シャフト1の半径分を加えた値にセットして、原点ピン6を固定する止めネジ61を締め付けて原点ピン6が移動しないように固定する。こうして原点ピン6の先端位置は、軸シャフト1の中心軸Tから設定半径Rcに正確に位置決めされる。
【0024】
次に、図5に示すように、ダイヤルゲージ5を先端部に固定した回転アーム3をロータ30に取り付けて、ダイヤルゲージ5の測定スピンドル5aが原点ピン6の半径方向と同一の方向に設定されるように回転アーム3を位置調整する。そして、上面が平面に形成された定盤200の直立支持台201に原点ピン6の先端部を挿入して固定し、定盤200の上面に原点ピン6が垂直に立設するように設定する。原点ピン6を立設させた状態で回転アーム3を上下動させダイヤルゲージ5の半径方向に位置調整を行って測定スピンドル5aが定盤200の上面に当接した状態とし、回転アーム3をロータ30に固定する。そして、ダイヤルゲージ5の目盛をゼロ点に設定することで、測定スピンドル5aの先端が原点ピン6の先端と同じ設定半径Rcに正確に位置決めされた状態で、ダイヤルゲージ5の目盛がゼロ点を指示するようになる。ダイヤルゲージ5のゼロ点設定が完了した後原点ピン6を直立支持台201から外し、原点ピン6を支持フレーム2から取り外して測定治具の準備が完了する。
【0025】
金型Mに測定治具をセットする場合には、一方の支持フレーム2に取り付けた支持ピン4の先端を図2に示す基準径部S1に設置することで基準点P1及びP2が設定され、他方の支持フレーム2に取り付けた支持ピン4の先端を基準径部S2に設置することで基準点P3及びP4が設定される。そのため、軸シャフト1の中心軸Tが測定中心軸Oに対応するように測定治具がセットされる。図6Aは、測定治具を金型Mにセットした状態を示している。この状態では、支持フレーム2の間に配置された回転アーム3の先端部に取り付けたダイヤルゲージ5は、金型Mの被測定面S3に対向配置され、ダイヤルゲージ5の測定スピンドル5aの先端が被測定面S3に接触することで、ゼロ点設定された設定半径Rcと測定半径Rとの差がダイヤルゲージ5の測定目盛に表示されて測定される(図6B参照)。図6Aでは、ロータ30を回転駆動させて回転アーム3を軸シャフト1の周方向に回動させ、図2に示す周方向の測定ラインL1に沿ってダイヤルゲージ5を回動させて測定を行う。図6Cに、その測定結果の一例を示す。設定半径と測定半径との差をグラフで表示することで、測定ラインに沿う内面形状を正確に表示することができる。また、測定された測定半径に基づいて内面形状の曲率を算出することで、被測定面の周方向の曲率が得られる。
【0026】
図7は、図6に示すようにセットされた測定治具を用いてタイヤの幅方向に測定する場合の説明図である。この場合には、回転アーム3を取り付けたロータ30自体を軸シャフト1に沿って移動させる(図7A参照)ことで、図2に示す幅方向の測定ラインL2に沿ってダイヤルゲージ5を移動させて測定することができる(図7B参照)。図7Cに、その測定結果の一例を示す。設定半径と測定半径との差をグラフで表示することで、タイヤの幅方向の内面形状を正確に表示することができる。また、測定された測定半径に基づいて内面形状の曲率を算出することで、被測定面の幅方向の曲率が得られる。
【0027】
以上説明した例では、基準半径Rsが予め設定されているが、基準半径Rsが不明の場合でも測定を行うことができる。即ち図8から図12は、金型の基準半径が不明の場合の測定治具のセット手順を示している。まず、図8Aに示すように、支持フレーム2に原点ピン6を図4と同様に取り付けて、位置決め治具100により軸シャフト1の周面と原点ピン6の先端との間の距離を設定半径Rcに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して原点ピン6を固定する。これで、軸シャフト1の中心軸から設定半径Rcの距離に原点ピン6の先端を位置決めすることができる。次に、図9A、Bに示すように、図5と同様に、回転アーム3をローラ30に取り付けて定盤200の直立支持台201に原点ピン6の先端部を挿入して固定し、ダイヤルゲージ5のゼロ点設定を行う。これで、ダイヤルゲージ5が設定半径Rcでゼロ点を指示するように設定される。
【0028】
次に図10A、Bに示すように、支持フレーム2から原点ピン6を外して代わりに支持ピン4を取り付け、位置決め治具100により軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間の距離を仮に決めた仮基準半径Raに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して支持ピン4を固定する。これで、軸シャフト1の中心軸から仮基準半径Raの距離に支持ピン4の先端が位置決めされる。次に、図11A、Bに示すように、金型Mの基準径部S1及びS2(図2参照)にそれぞれ直立支持具300を設置し、直立支持具300の位置決め孔に支持ピン4を挿着して支持ピン4を直立させた状態に設定する。この状態でダイヤルゲージ5の測定スピンドルを被測定面S3に当接させて測定する。そして、設定半径Rcと測定半径との差である差分値Δを測定し、仮基準半径Raに差分値Δを加えた値を基準半径Rsに設定する。次に、図12A、Bに示すように、支持フレーム2にそれぞれ2本の支持ピン4を取り付けた状態で、図3と同様に位置決め治具100により軸シャフト1の周面と支持ピン4の先端との間の距離を基準半径Rsに軸シャフト1の半径分を加えた値に設定して支持ピン4を固定する。こうして基準半径を設定した後上述した測定操作を行って被測定面の内面形状を測定する。
【0029】
このように、ダイヤルゲージのゼロ点設定を被測定面に対して設定した設定半径Rcに基づいて行った後基準径部と被測定面との間の相対的な位置関係を測定して基準半径を設定するので、基準半径が不明な場合でも簡単な方法で正確な測定を行うことができる。したがって、「鋳造上がり状態」や「中間加工状態」の金型のように基準径部が明確でない場合でも簡単な測定治具で正確に内面形状を測定することができる。
【0030】
また、「鋳造上がり状態」や「中間加工状態」の金型の場合、被測定面が鋳造変形している場合がある。例えば、図13は、金型の被測定面S3にタイヤの幅方向の変形が生じた例に関する斜視図である。図13Aでは、被測定面S3が内側に向かって凸状に変形しており、中央部分において差分値Xだけ内側に膨らんでいる。図13Bでは、被測定面S3が外側に向かって凹状に変形しており、中央部分において差分値Yだけ外側に凹んでいる。こうした差分値X、Yは、図11に示す差分値Δの測定の際に幅方向にダイヤルゲージを移動させることで測定することができる。そして、図13Aの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ−Xとし、図13Bの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ+Yとして、支持ピンを位置決めして測定を行う。
【0031】
図14は、金型の被測定面S3に周方向の変形が生じた例に関する斜視図である。図14Aでは、被測定面S3が内側に向かって浅くなるように変形しており、中央部分において差分値Xだけ浅くなっている。図14Bでは、被測定面S3が外側に向かって深くなるように変形しており、中央部分において差分値Yだけ深くなっている。こうした差分値X、Yは、図11に示す差分値Δの測定の際に周方向にダイヤルゲージを移動させることで測定することができる。そして、図14Aの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ+Xとし、図14Bの場合には、基準半径Rs=Ra+Δ−Yとして、支持ピンを位置決めして測定を行う。
【0032】
また、図15に示すように、金型全体にねじれが生じている場合には、測定治具をセットした後に金型に測定治具を設置すると、4本の支持ピンの間にがたつきが生じる。そのため、最初に基準径部と支持ピンとの間の隙間(がたつき量)を隙間ゲージ等により測定し(図15では、隙間A〜Dの測定)、測定したがたつき量に基づいて各支持ピンの位置調整を行う必要がある。図13から図15で説明した事例は、複合して生じる場合が多いため、鋳造品のように中間加工状態での測定に際しては、測定前に支持ピンの位置補正のための仮測定を行い、測定結果に基づいて支持ピンの位置補正を行った後本測定を行うようにすれば、金型の内面形状を正確に測定することができる。
【実施例】
【0033】
セグメント分割数が9個のセクショナルモールドタイプの分割金型を用いて上述した測定治具により内面形状を測定した。金型は、アルミ材質で石膏鋳型を用いセグメント重力鋳造により鋳造した鋳放し状態のものを用いた。図16は、金型の形状に関する寸法図であり、各部位の寸法は以下の通りである。
被測定面のタイヤの幅方向の長さA=215mm
基準径部と外周面との間の長さB=143mm
金型のタイヤの幅方向の長さC=290mm
被測定面と外周面との間の長さD=100mm
基準半径R=317mm
9個の分割金型のそれぞれについて周方向に5箇所及びタイヤの幅方向に5箇所ずつ測定ポイントを設定して測定を行った。測定結果を図17及び図18に示す。図17では、9個の分割金型の周方向の測定データを直線状に配列し、幅方向に所定間隔ずつずらして平面的にグラフ表示している。設定半径との差が0となる面が設計上の設定半径になる。また、図18では、9個の分割金型の周方向の測定データを円状配列してグラフ表示している。こうして得られた測定結果は、加工前の段階での寸法精度の判定や金型の外周面機械加工時での位置基準設定に活用することができ、タイヤ成型用金型の最終的な寸法精度の向上に大きく貢献するものであった。
【0034】
9個の分割金型の測定作業は、約3時間程度で済み、鋳放し状態の金型でも簡単かつ正確に内面形状を測定することができた。また、特許文献1に記載された従来技術により同じ分割金型について測定を試みたが、鋳放し状態の金型の位置決め及び固定が正確に行うことができず、内面形状の測定はできなかった。
【符号の説明】
【0035】
1・・軸シャフト、2・・支持フレーム、3・・回転アーム、4・・支持ピン、5・・ダイヤルゲージ、6・・原点ピン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定中心軸となる軸シャフトから半径方向に沿って基準半径に基づいて位置決めされた支持ピンをタイヤ成型用金型の内面に設定された基準径部に接触させて当該軸シャフトを支持し、
前記軸シャフトから半径方向に沿って設定半径に基づいて位置決めされた測定具を前記タイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、前記測定具を前記測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定するタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項2】
前記測定具は、被測定面の接触点までの測定半径と前記設定半径との差を測定する請求項1に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項3】
前記支持ピンを仮基準半径に基づいて位置決めして前記基準径部に接触させて前記軸シャフトを支持し、前記設定半径に基づいて位置決めされた前記測定具を被測定面に接触させて接触点までの測定半径と前記設定半径との差分値を測定し、測定された差分値及び前記仮基準半径に基づいて前記基準半径を設定する請求項1又は2に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項4】
測定中心軸となる軸シャフトと、前記軸シャフトの両端部において前記測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された支持フレームと、前記測定中心軸の半径方向に沿って前記支持フレームに移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピンと、前記支持フレームの間において前記測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に前記軸シャフトに取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アームと、前記回転アームの先端部に固定された測定具とを備えているタイヤ成型用金型の内面形状測定治具。
【請求項5】
前記支持フレームは、中心が前記測定中心軸と一致し、先端に円弧部分を有し、前記円弧部分に前記支持ピンが取り付けられている請求項4に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定治具。
【請求項1】
測定中心軸となる軸シャフトから半径方向に沿って基準半径に基づいて位置決めされた支持ピンをタイヤ成型用金型の内面に設定された基準径部に接触させて当該軸シャフトを支持し、
前記軸シャフトから半径方向に沿って設定半径に基づいて位置決めされた測定具を前記タイヤ成型用金型の被測定面に接触させ、前記測定具を前記測定中心軸の軸方向及び/又は周方向に移動させて被測定面の形状を測定するタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項2】
前記測定具は、被測定面の接触点までの測定半径と前記設定半径との差を測定する請求項1に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項3】
前記支持ピンを仮基準半径に基づいて位置決めして前記基準径部に接触させて前記軸シャフトを支持し、前記設定半径に基づいて位置決めされた前記測定具を被測定面に接触させて接触点までの測定半径と前記設定半径との差分値を測定し、測定された差分値及び前記仮基準半径に基づいて前記基準半径を設定する請求項1又は2に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定方法。
【請求項4】
測定中心軸となる軸シャフトと、前記軸シャフトの両端部において前記測定中心軸を中心に回動可能に取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された支持フレームと、前記測定中心軸の半径方向に沿って前記支持フレームに移動可能に取り付けられて先端を基準半径に位置決めする支持ピンと、前記支持フレームの間において前記測定中心軸を中心に回動可能で軸方向に沿って移動可能に前記軸シャフトに取り付けられるとともに前記測定中心軸の軸方向と直交する方向に延設された回転アームと、前記回転アームの先端部に固定された測定具とを備えているタイヤ成型用金型の内面形状測定治具。
【請求項5】
前記支持フレームは、中心が前記測定中心軸と一致し、先端に円弧部分を有し、前記円弧部分に前記支持ピンが取り付けられている請求項4に記載されたタイヤ成型用金型の内面形状測定治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−103198(P2012−103198A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253864(P2010−253864)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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