説明

タイヤ用ゴム組成物

【課題】耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が優れ発熱性の改良されたタイヤ用ゴム組成物を提供することである。
【解決手段】(A)下記の一般式で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物と、(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物と、(C)周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物と、を備えた触媒を用いて1,3−ブタジエンを重合させたハイシスポリブタジエン10〜90重量%と(b)上記の(a)ハイシスポリブタジエン以外のジエン系ゴム90〜10重量%とからなるゴム成分(a)+(b)100重量部に対し、ゴム補強剤(c)1〜100重量部を配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が優れ発熱性の改良されたタイヤ用ゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの重合触媒に関しては、従来数多くの提案がなされており、その幾つかは工業化されている。例えば、高シス-1,4構造の共役ジエン重合体の製造方法としては、チタン、コバルト、ニッケル、ネオジム等の化合物と有機アルミニウムの組合せがよく用いられる。
【0003】
周期律表第3族元素を触媒とする共役ジエンの重合は公知であり、これまでに様々な重合方法が提案されてきた。例えば、特開平6−228221号公報には、原子番号が57〜71または92の金属のうち、少なくとも1種の化合物を担体に担持した共役ジエンの(共)重合用担体担持固体触媒が開示されている。しかしながら、原子番号39であるイットリウム触媒については殆ど記載されていない。
【0004】
特開平7−70143号公報には、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)又はプラセオジム(Pr)と13族元素の有機金属化合物から構成される有機金属錯体が開示されている。しかしながら、イットリウム錯体については重合例が全く記載されていない。
【0005】
特開平7−268013号公報には、ネオジム(Nd)、プラゼオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)およびイットリウム(Y)をアルミニウムアルキルおよびホウ素のトリアルキル誘導体と組み合わせた触媒系が記載されているが、共役ジエン化合物を重合させる方法の例示は、ネオジム、プラゼオジムに限られている。
【0006】
また、特開平8−325330号公報、特開平9−151219号公報、特開平10−60174号公報、特開平11−217465号公報、特開平11−222536号公報には、シス−1,4−ポリブタジエンを製造する触媒となる金属の例示としてイットリウムも挙げられているが、イットリウム触媒を用いた具体的な例示はされていない。
【0007】
また、特開2003−226721号公報には、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、アクチノイドからなる群から選択される元素の化合物を触媒として、シス−1,4−ポリブタジエンを製造する方法が開示されているが、イットリウム触媒を用いた具体的な例示はされておらず、共役ジエン化合物を重合させる方法の例示は、ネオジム、プラゼオジムに限られている。
【0008】
さらに、ポリブタジエンは、いわゆるミクロ構造として、1,4−位での重合で生成した結合部分(1,4−構造)と1,2−位での重合で生成した結合部分(1,2−構造)とが分子鎖中に共存する。1,4−構造は、更にシス構造とトランス構造の二種に分けられる。一方、1,2−構造は、ビニル基を側鎖とする構造をとる。
【0009】
重合触媒や重合条件によって、上記のミクロ構造が異なったポリブタジエンが製造されることが知られており、それらの特性によって種々の用途に使用されている。
【0010】
タイヤの発熱性や耐摩耗性を改良する目的で、天然ゴム等にポリブタジエンゴム(BR)をブレンドすることが広く行われており、BRについても種々の提案がなされている。例えば特開平7−118443号公報には重量平均分子量が50万〜75万で分子量分布が1.5〜3.0で固有粘度が90以上のBRが開示され、特開2001−247721号公報にはシス含量が95%以上で分子量分布が3.5〜6.0のBRが開示されている。
【0011】
また、ゴルフボール用ゴム組成物においては、特に、分子量分布が比較的狭く、分子のリニアリティ(線状性)の高いハイシスポリブタジエンは、耐摩耗性、耐発熱性、反発弾性の優れた特性を有する。分子量分布が同程度であるハイシスポリブタジエンのリニアリティの指標としては、Tcp/ML1+4 が用いられる。Tcpは、濃厚溶液中での分子の絡合いの程度を示し、Tcp/ML1+4 が大きい程、分岐度は小さく線状性は大きい。
【0012】
ゴルフボールは、糸巻きとソリッドに分類され、糸巻きボールのソリッドセンターやソリッドボールでは従来ポリブタジエン等の基材ゴムに不飽和カルボン酸金属塩などの不飽和結合を有するモノマーを共架橋剤として配合し、過酸化物および金属酸化物を配合したものが用いられている。
【0013】
ゴルフボールの基材ゴムとして使用されるポリブタジエンゴムは、一般に高反発性と共に加工性の優れたものが要求されているが、ムーニー粘度を高くすると反発性は向上するが加工性が悪化し、分子量分布を広げると加工性は向上するが反発性が低下するという二律背反の関係にある。
【0014】
加工性と反発性とを両立させることを目的として、ポリブタジエンゴムの改良が試みられ種々の提案がなされている。例えば特開昭63−275356号公報、特開平2−177973号公報などには、高ムーニー粘度で分子量分布の広いNi系触媒等で合成されたポリブタジエンゴムが開示されている。特公平6−80123号公報には、低ムーニー粘度のポリブタジエンゴムと高ムーニー粘度のポリブタジエンゴムをブレンド使用する方法等が開示されている。
【0015】
また、ゴルフボール用のゴム基材として、シス含量が97%以上のポリブタジエンゴムを錫化合物で変性したものを用いることが、特開平7−268132号公報に開示されている。しかしながら、従来のハイシスポリブタジエンに較べて、架橋密度において変わらない、さらに耐久性の改良が望まれるところがあった。
【0016】
また、本発明者らによる特開平2001−40040号公報には、1,2−含量を適度に含有するポリブタジエンが飛行距離が大きいゴルフボールとして開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来の共役ジエン重合体のチタン、コバルト、ニッケル系重合用触媒は、1,4−シス構造含有率が低いという問題がある。また、助触媒にメチルアルモキサンを含まないネオジム触媒系は、重合の際の活性が低く、助触媒にメチルアルモキサンを含むネオジム系触媒は、重合の際のアルミ残渣が多いという問題がある。
【0018】
また、タイヤ用ゴム組成物においては、一般にBRは発熱性や耐摩耗性、反発弾性等は優れているが、チップカット性や耐屈曲亀裂成長性が悪いという欠点があり、分子量分布を広くしたり、分岐化すると屈曲亀裂成長性は改善されるものの発熱性や耐摩耗性が低下するという問題がある。
【0019】
さらに、ゴルフボール用ゴム組成物においては、従来よりもさらに高反発性を有し且つ加工性に優れたものが要望されている。
【0020】
そこで、本発明は、1,4−シス構造含有率が高く共役ジエン重合体を製造することができるとともに、重合の際のアルミ残渣が少なく、かつ活性が高い共役ジエン重合体の重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体の製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0021】
また、本発明は、耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が優れ発熱性の改良されたタイヤ用ゴム組成物を提供することを第2の目的とする。
【0022】
さらに、本発明は、硬度や高反発性を維持しつつロール加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、(A)イットリウム化合物と、(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物と、(C)周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物と、を備えたことを特徴とする共役ジエン重合体の重合用触媒である。
【0024】
本発明に係る共役ジエン重合体の重合用触媒は、イットリウム化合物を備えることにより、従来の共役ジエン重合体のチタン、コバルト、ニッケル系重合用触媒に比し1,4−シス構造含有率が高く、助触媒にメチルアルモキサンを含まないネオジム触媒系に比し重合の際の活性が高く、さらに助触媒にメチルアルモキサンを含むネオジム系触媒比し重合の際のアルミ残渣が少ない。また、本発明に係る共役ジエン重合体の重合用触媒は、メタロセン型(Nd,Sm,Gd)触媒系に比し重合の際の活性が高く、また取り扱いが容易で触媒コストが低い。
【0025】
本発明に係る共役ジエン重合体の重合用触媒において、前記(A)イットリウム化合物が、化2で示す嵩高い配位子を有するイットリウム化合物であることが好ましい。
【0026】
【化1】


但し、R,R,Rは水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。
【0027】
また、本発明に係る共役ジエン重合体の重合用触媒において、前記共役ジエン重合体が、シス−1,4構造を90%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンであることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明は、上記重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合することを特徴とする共益ジエン重合体の製造方法であり、その方法で共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することが好ましい。この際、水素化有機金属化合物が、ジアルキルアルミニウムハイドライドであることが好ましい。
【0029】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明は、(a)(A)イットリウム化合物と、(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物と、(C)周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物と、を備えた触媒を用いて1,3−ブタジエンを重合させたハイシスポリブタジエン10〜90重量%と(b)上記の(a)ハイシスポリブタジエン以外のジエン系ゴム90〜10重量%とからなるゴム成分(a)+(b)100重量部に対し、ゴム補強剤(c)1〜100重量部を配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物である。
【0030】
さらに、上記第3の目的を達成するため、本発明は、(A)イットリウム化合物と、(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物と、(C)周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物と、を備えた触媒を用いて1,3−ブタジエンを重合させたハイシスポリブタジエンを含むベースポリマー100重量部に対し、共架橋剤を10〜50重量部を配合してなることを特徴とするゴルフボール用ゴム組成物である。
【0031】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物及びゴルフボール用ゴム組成物において、前記ハイシスポリブタジエンは、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されて重合されていることが好ましく、前記水素化有機金属化合物が、ジアルキルアルミニウムハイドライドであることが好ましい。また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物及びゴルフボール用ゴム組成物において、前記ハイシスポリブタジエンが、シス−1,4構造を90%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上のように本発明によれば、1,4−シス構造含有率が高く共役ジエン重合体を製造することができるとともに、重合の際のアルミ残渣が少なく、かつ活性が高い共役ジエン重合体の重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、耐摩耗性や耐屈曲亀裂成長性が優れ発熱性の改良されたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、硬度や高反発性を維持しつつロール加工性に優れたゴルフボールに好適なゴム組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の触媒系の(A)成分であるイットリウム化合物としては、イットリウムの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、三塩化イットリウム、三臭化イットリウム、三ヨウ化イットリウム、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、酢酸イットリウム、トリフルオロ酢酸イットリウム、マロン酸イットリウム、オクチル酸(エチルヘキサン酸)イットリウム、ナフテン酸イットリウム、バーサチック酸イットリウム、ネオデカン酸イットリウム等のイットリウム塩や、イットリウムトリメトキシド、イットリウムトリエトキシド、イットリウムトリイソプロポキシド、イットリウムトリブトキシド、イットリウムトリフェノキシドなどのアルコキシド、トリスアセチルアセトナトイットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウム、シクロペンタジエニルイットリウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルイットリウムクロライド、トリシクロペンタジエニルイットリウムなどの有機イットリウム化合物、イットリウム塩ピリジン錯体、イットリウム塩ピコリン錯体等の有機塩基錯体、イットリウム塩水和物、イットリウム塩アルコール錯体などが挙げられる。特に、触媒系の(A)成分として、酢酸イットリウム、トリフルオロ酢酸イットリウム、マロン酸イットリウム、オクチル酸(エチルヘキサン酸)イットリウム、ナフテン酸イットリウム、ネオデカン酸イットリウム等のカルボン酸イットリウム、トリスアセチルアセトナトイットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウム等のイットリウム化合物を用いた場合、カルボン酸ネオジムを用いた場合に比して、共役ジエン重合体のシス−1,4含有率が高いという効果を有する。
【0034】
また、化3で示す嵩高い配位子を有するイットリウム化合物を用いることができる。
【0035】
【化2】


但し、R,R,Rは水素、または炭素数1〜12の置換基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。
【0036】
,R,Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−プロペニル基、アリル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、フェネチル基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、フェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。
【0037】
上記のイットリウム化合物としては、イットリウムの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、トリス(アセチルアセトナト)イットリウム、トリス(ヘキサンジオナト)イットリウム、トリス(ヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ジメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(トリメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(テトラメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ペンタメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリス(ヘキサメチルヘプタンジオナト)イットリウム、トリスアセトアセタトイットリウム、などのイットリウム化合物、などが挙げられる。特に、触媒系の(A)成分として、このような嵩高い配位子を有するイットリウムを用い場合、同様に嵩高い配位子を有するネオジムを用いた場合に比して、活性が高いという効果を有する。
【0038】
本発明の触媒系の(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物において、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレ−ト、テトラ(フルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレ−ト、テトラ(トルイル)ボレ−ト、テトラ(キシリル)ボレ−ト、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレ−ト、テトラフルオロボレ−ト、ヘキサフルオロホスフェ−トなどが挙げられる。
【0039】
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0040】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
【0041】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0042】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0043】
該イオン性化合物は、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる
【0044】
中でも、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
また、(B)成分として、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R')O−) n で示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R' は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/ 又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R' として、はメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
【0046】
それらの中でも、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0047】
また、縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に該トリアルキルアルミニウムが縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ−ルなどが挙げられる。
【0048】
本発明における触媒系の(C)成分である周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物としては、例えば、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム等が用いられる。これらの化合物の内で好ましいのは、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムクロライド、アルキルマグネシウムブロマイド、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等である。
【0049】
具体的な化合物としては、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ヘキシルマグネシウムアイオダイドなどのアルキルマグネシウムハライドを挙げることができる。
【0050】
さらに、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、エチルヘキシルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウムを挙げることができる。
【0051】
さらに、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジオクチル亜鉛、ジデシル亜鉛などのトリアルキル亜鉛を挙げることができる。
【0052】
さらに、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0053】
さらに、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物も挙げることができる。
【0054】
これらの周期律表第2族、12族、13族元素の有機金属化合物は、単独で用いることもできるが、2種類以上併用することも可能である。
【0055】
上述した触媒を用いて共役ジエンの重合を行うことができるが、得られる共役ジエン重合体の分子量調節剤としては、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物を用いることができる。
【0056】
本発明における分子量調節剤の(2)水素化金属化合物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ガリウム、シラン、ゲルマン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、などが挙げられる。
【0057】
また、本発明における分子量調節剤の(3)水素化有機金属化合物としては、メチルボラン、エチルボラン、プロピルボラン、ブチルボラン、フェニルボランなどのアルキルボラン、ジメチルボラン、ジエチルボラン、ジプロピルボラン、ジブチルボラン、ジフェニルボランなどのジアルキルボラン、メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、ブチルアルミニウムジハイドライド、フェニルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムジハイドライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシランなどのシラン類、メチルゲルマン、エチルゲルマン、プロピルゲルマン、ブチルゲルマン、フェニルゲルマン、ジメチルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジプロピルゲルマン、ジブチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、トリメチルゲルマン、トリエチルゲルマン、トリプロピルゲルマン、トリブチルゲルマン、トリフェニルゲルマンなどのゲルマン類、などが挙げられる。
【0058】
これらの中でも、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライドが好ましく、ジエチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0059】
触媒成分の添加順序は、特に、制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
【0060】
(1)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0061】
(2)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、上述した分子量調節剤を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0062】
(3)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(A)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(B)成分を添加する。
【0063】
(4)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(B)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(A)成分を添加する。
【0064】
(5)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加した後、上述した分子量調節剤を添加する。
【0065】
また、各成分をあらかじめ熟成して用いてもよい。中でも、(A)成分と(C)成分を熟成することが好ましい。
【0066】
熟成条件としては、不活性溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマ−の存在下又は不存在に(A)成分と(C)成分を混合する。熟成温度は−50〜80℃、好ましくは−10〜50℃であり、熟成時間は0.01〜24時間、好ましくは0.05〜5時間、特に好ましくは0.1〜1時間である。
【0067】
本発明においては、各触媒成分を無機化合物、又は有機高分子化合物に担持して用いることもできる。
【0068】
共役ジエン化合物モノマ−としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンを主成分とする共役ジエン化合物モノマ−が好ましい。
【0069】
これらのモノマ−成分は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
ここで重合すべき共役ジエン化合物モノマ−とは、モノマ−の全量であっても一部であってもよい。モノマ−の一部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマ−あるいは残部のモノマ−溶液と混合することができる。共役ジエンの他に、エチレン、プロピレン、アレン、1−ブテン、2−ブテン、1,2−ブタジエン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのオレフィン化合物等を含んでいてもよい。
【0071】
重合方法は、特に制限はなく、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマ−そのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
【0072】
中でも、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
【0073】
重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間が特に好ましい。
【0074】
所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
【0075】
本発明で得られる共役ジエン重合体としては、好ましくは、シス−1,4構造を90%以上、さらに好ましくは92%以上、特に好ましくは96%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンが挙げられる。また、該共役ジエン重合体の[η]としては、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1.5〜5に制御することができる。
【0076】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物において、前記(a)以外のジエン系ゴム(b)としては、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、乳化重合若しくは溶液重合スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
【0077】
また、これらゴムの誘導体、例えば錫化合物で変性されたポリブタジエンゴムやエポキシ変性、シラン変性、マレイン酸変性された上記ゴムなども用いることができ、これらのゴムは単独でも、二種以上組み合せて用いても良い。
【0078】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の(c)成分のゴム補強剤としては、各種のカーボンブラックやホワイトカーボン、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤や、シンジオタクチック1,2ポリブタジエン、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、クマロンインデン樹脂及び石油樹脂等の有機補強剤などがある。特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックで、例えば、FEF,FF,GPF,SAF,ISAF,SRF,HAF等が挙げられる。
【0079】
シンジオタクチック1,2ポリブタジエンでは融点が110℃以上のものが好ましい。シンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、例えば、特開平9〜20811号公報に記載されている懸濁重合法によって製造できる。ブタジエンの存在下、コバルト化合物、第I〜III族の有機金属化合物または水素化金属化合物、並びにケトン、カルボン酸エステル、ニトリル、スルホキシド、アミド及び燐酸エステルからなる群から選ばれた化合物を接触させて得られた熟成液(A成分)、並びに、二硫化炭素、イソチオシアン酸フェニル及びキサントゲン酸化合物からなる群から選ばれた化合物(B成分)からなる触媒を用いて製造できる。融点は、ケトン、カルボン酸エステル、ニトリル、スルホキシド、アミド及び燐酸エステルからなる群から選ばれた化合物によって調節することができ、好ましくは110〜200℃、特に好ましくは130〜160℃のものを用いることができる。
また、可溶性コバルト−有機アルミニウム化合物−二硫化炭素−融点調節剤からなる触媒系からなる溶液重合法を用いてもよい。
【0080】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の混合割合は、特定のハイシスポリブタジエン(a) 10〜90重量%と、(a)以外のジエン系ゴム(b) 90〜10重量%とからなるゴム成分(a)+(b) 100重量部とゴム補強剤(c) 1〜100重量部である。
【0081】
好ましくは、特定のハイシスポリブタジエン(a) 20〜80重量%と、
(a)以外のジエン系ゴム(b) 80〜20重量%とからなるゴム成分(a)+(b) 100重量部とゴム補強剤(c) 5〜80重量部である。
【0082】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、前記各成分を通常行われているバンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機などを用いて混練りすることで得られる。
【0083】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸など、通常ゴム業界で用いられる配合剤を混練してもよい。
【0084】
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。
【0085】
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などが用いられる。
【0086】
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
【0087】
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
【0088】
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい。
【0089】
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物に配合される共架橋剤は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の1価または2価の金属塩であることが好ましく、その具体例としては、たとえばジアクリル酸亜鉛、塩基性メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛などが挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままで基材ゴムなどと混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛などの金属酸化物を練り混んだゴム組成物中にアクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム組成物中でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。
【0090】
上記共架橋剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜50重量部であることが好ましい。共架橋剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋が充分に進行せず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、共架橋剤の配合量が上記範囲より多くなると、コンプレッションが大きくなりすぎるため打球感が悪くなる。
【0091】
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物において、ゴム質部分を構成することになるゴム組成物には、上記の共架橋剤以外にも、パーオキサイド類が必須成分として配合されることが好ましい。
【0092】
このパーオキサイド類は、ゴムおよび共架橋剤の架橋、グラフト、重合などの開始剤として作用する。このパーオキサイド類の好適な具体例としては、たとえばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0093】
このパーオキサイド類の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましい。ハーオキサイド類の配合量が上記範囲より少ない場合は、架橋などを充分に進行させることができず、その結果、反撥性能が低下して、飛距離が小さくなり、耐久性も悪くなる。また、パーオキサイド類の配合量が上記範囲より多くなると、オーバーキュアー(過架橋)となって脆くなるため、耐久性が悪くなる。
【0094】
本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物には、共架橋剤がジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛の場合に架橋助剤としても作用する酸化亜鉛を配合してもよいし、さらに必要に応じて、硫酸バリウムなどの充填剤、酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛などの添加剤などを配合しても良い。
【実施例】
【0095】
次に、本発明に係る共役ジエン重合体の重合用触媒を用いて、共役ジエン重合体として、ブタジエンを製造した実施例について説明する。重合条件並びに重合結果については、表1〜7に示す。
【0096】
ミクロ構造は赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0097】
固有粘度([η])は、ポリマーのトルエン溶液を使用して、30℃で測定した。
【0098】
(実施例1)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0099】
(実施例2)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0100】
(実施例3)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(5mol/L)の添加量を1.2mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0101】
(比較例1)
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの代わりにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いた以外は、実施例3と同様に重合を行った。重合体は全く得られなかった。
【0102】
(実施例4)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(5mol/L)の添加量を2.4mlとしたほかは、実施例3と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0103】
(比較例2)
トリエチルアルミニウム(TEA)の代わりにメチルアルモキサンを用い、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを用いなかった以外は、実施例4と同様に重合を行った。重合体は全く得られなかった。
【0104】
(実施例5)
イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)の添加量を0.8mlとしたほかは、実施例2と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0105】
(実施例6)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を3.2mlとしたほかは、実施例5と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0106】
(実施例7)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を4.8mlとしたほかは、実施例5と同様に重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0107】
【表1】

【0108】
(実施例8)
イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液を添加した後の攪拌時間を10分としたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0109】
(実施例9)
イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液を添加した後の攪拌時間を20分としたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0110】
(実施例10)
イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液を添加した後の攪拌時間を30分としたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表2に示した。
【0111】
【表2】

【0112】
(実施例11)
トリエチルアルミニウム(TEA)の代わりにジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)を用いたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0113】
(実施例12)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を3mlとしたほかは、実施例11と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0114】
(実施例13)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0115】
(実施例14)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を6mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0116】
【表3】

【0117】
(実施例15)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1ml、ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0118】
(実施例16)
ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)の添加量を0.8mlとしたほかは、実施例15と同様に重合を行った。重合活性が極めて高く25分で重合を停止した。重合結果を表4に示した。
【0119】
(実施例17)
ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)の添加量を2mlとしたほかは、実施例15と同様に重合を行った。重合結果を表4に示した。
【0120】
(実施例18)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)0.8mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)0.8mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4ml、ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)0.16mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0121】
(実施例19)
ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)の添加量を0.32mlとしたほかは、実施例18と同様に重合を行った。重合活性が極めて高く21分で重合を停止した。重合結果を表4に示した。
【0122】
(実施例20)
ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)の添加量を0.8mlとしたほかは、実施例18と同様に重合を行った。重合結果を表4に示した。
【0123】
(実施例21)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)0.4mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)0.4mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2ml、ジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(1mol/L)0.16mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0124】
(実施例22)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.8mlとしたほかは、実施例21と同様に重合を行った。重合結果を表4に示した。
【0125】
(実施例23)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を2mlとしたほかは、実施例21と同様に重合を行った。重合結果を表4に示した。
【0126】
【表4】

【0127】
(実施例24)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、水素ガスを分圧で1.0Kg/cm張り込み、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表5に示した。
【0128】
(実施例25)
水素ガスの分圧で2.75Kg/cmとしたほかは、実施例24と同様に重合を行った。重合結果を表5に示した。
【0129】
【表5】

【0130】
(実施例26)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、水素化リチウムアルミニウムのトルエンスラリー(30g/L)2.5ml、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、イットリウムトリイソプロポキシドのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0131】
(実施例27)
水素化リチウムアルミニウムのトルエンスラリー添加量を5mlとしたほかは、実施例26と同様に重合を行った。重合結果を表6に示した。
【0132】
【表6】

【0133】
(実施例28)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、オクチル酸イットリウムのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で25分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。分子量が高すぎてミクロ構造、固有粘度の測定ができていない。
【0134】
(実施例29)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を3ml、重合時間を30分としたほかは、実施例28と同様に重合を行った。重合結果を表7に示した。
【0135】
(実施例30)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例25と同様に重合を行った。重合結果を表7に示した。
【0136】
(実施例31)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を3mlとしたほかは、実施例25と同様に重合を行った。重合結果を表7に示した。
【0137】
(実施例32)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を5mlとしたほかは、実施例25と同様に重合を行った。重合結果を表7に示した。
【0138】
【表7】

【0139】
(実施例33)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(40mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.2mlを添加して重合を開始した。40℃で20分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0140】
(実施例34)
トリエチルアルミニウム(TEA)の添加量をトルエン溶液(5mol/L)1.2ml、重合時間を30分としたほかは、実施例33と同様に重合を行った。重合結果を表8に示した。
【0141】
(実施例35)
トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(40mmol/L)の添加量を0.5ml、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)の添加量を0.1ml、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を1ml、重合時間を30分としたほかは、実施例33と同様に重合を行った。重合結果を表8に示した。
【0142】
(実施例36)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を2mlとしたほかは、実施例35と同様に重合を行った。重合結果を表8に示した。
【0143】
(実施例37)
トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を2mlとしたほかは、実施例35と同様に重合を行った。重合結果を表8に示した。
【0144】
【表8】

【0145】
(実施例38)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(40mmol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.4mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0146】
(実施例39)
トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(40mmol/L)の添加量を1ml、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)の添加量を0.2ml、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を0.5mlとしたほかは、実施例38と同様に重合を行った。重合結果を表9に示した。
【0147】
(実施例40)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を1mlとしたほかは、実施例39と同様に重合を行った。重合結果を表9に示した。
【0148】
(実施例41)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を2mlとしたほかは、実施例39と同様に重合を行った。重合結果を表9に示した。
【0149】
(実施例42)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を3.2mlとしたほかは、実施例39と同様に重合を行った。重合結果を表9に示した。
【0150】
【表9】

【0151】
(実施例43)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表10及び表11に示した。
【0152】
(実施例44)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)0.7mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表10に示した。
【0153】
(実施例45)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)2mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(4mmol/L)10mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表10に示した。
【0154】
(実施例46)
トリエチルアルミニウム(TEA)の添加量をトルエン溶液(1mol/L)3mlとしたほかは、実施例45と同様に重合を行った。重合結果を表10に示した。
【0155】
(実施例47)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)0.7mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(4mmol/L)10mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表10に示した。
【0156】
(実施例48)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、二硫化炭素(CS)のトルエン溶液(0.2mol/L)0.06ml、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表11に示した。
【0157】
(実施例49)
二硫化炭素(CS)の添加量をトルエン溶液(0.2mol/L)0.12mlとしたほかは、実施例48と同様に重合を行った。重合結果を表11に示した。
【0158】
(実施例50)
二硫化炭素(CS)の添加量をトルエン溶液(0.2mol/L)0.24mlとしたほかは、実施例48と同様に重合を行った。重合結果を表11に示した。
【0159】
【表10】

【0160】
【表11】

【0161】
次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムの代わりにネオデカン酸(Nd(Ver))とした他は、実施例36及び41それぞれと同様の重合を行ない比較例3及び4の重合を行なった。その結果を表12に示す。表12に示すようにトリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムを用いた場合の方が、ネオデカン酸を用いた場合に比し、重合の際の活性が高いことが分かる。
【0162】
【表12】

【0163】
次に、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の実施例について具体的に説明する。ミクロ構造は赤外吸収スペクトル分析及び固有粘度は、同様に測定した。
【0164】
分子量(Mw,Mn)は、GPC法:HLC−8220(東ソー社製)で測定し、標準ポリスチレン換算により算出した。
【0165】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS6300に準拠して測定した。
【0166】
ダイ・スウェル;加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec-1のせん断速度で押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定して求めた。
【0167】
ランボーン摩擦性は、JIS−K6264に規定されている測定法に従って、スリップ率20%で測定し、比較例1を100として指数で示した(指数は大きいほど良好)。
【0168】
屈曲亀裂成長試験は、JIS K6260に規定された測定法に従って、ストローク30mmで5万回屈曲後の亀裂長さを測定し、比較例1を100として指数で示した(指数は大きいほど良好)。
【0169】
発熱量・永久歪;JIS K6265に規定されている測定方法に準じて測定した。
【0170】
(重合例1)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、オクチル酸イットリウムのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表13に示した。
【0171】
(重合例2)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表13に示した。
【0172】
(重合例3)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を3mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表13に示した。
【0173】
(重合例4)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を5mlとしたほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表13に示した。
【0174】
(重合例5)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を1.9mlとし、オクチル酸イットリウムに替えてトリス(2.2.6.6−テトラメチル-3.5-ヘプタンジオナート)イットリウムのトルエン溶液(0.1mol/L)を0.8ml添加したほかは、実施例1と同様に重合を行った。重合結果を表13に示した。
【0175】
【表13】

【0176】
(実施例51〜53)
表14の配合表に従ってプラストミルで重合例No.5のBR、天然ゴム、カーボンブラック、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施し、配合ゴムを作製した。この配合ゴムを用い、ムーニー粘度、ダイ・スウェルを測定した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫し加硫物を得た後、物性測定を行った。
押出物の寸法安定性が優れると共に、耐摩耗性、耐屈曲亀裂成長性が良好で、発熱特性(発熱量、永久歪)が大幅に改良されている。
【0177】
(比較例5,6)
重合例No.5のBRに替えてBR150,BR150L(宇部興産社製ハイシスポリブタジエンゴム)を使用したほかは、実施例51〜53と同様に行った。
【0178】
【表14】

【0179】
次に、本発明に係るゴルフボール用ゴム組成物の実施例について具体的に説明する。。重合条件並びに重合結果については表15にまとめて記載した。また、ミクロ構造は赤外吸収スペクトル分析、固有粘度([η])及び素ゴム、配合物のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、同様に測定した。
【0180】
ロール加工性は、50℃の6インチロールに配合物を巻付け、その巻付き状態を目視で観察して判定した。
【0181】
硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従って、デュロメーター式(タイプD)で測定した。
【0182】
引張強度は、JIS−K6251に規定されている測定法に従って、3号ダンベルで引張速度500mm/minで測定した。
【0183】
反発弾性は、JIS−K6251に規定されている測定法に従って、トリプソ式で測定した。
【0184】
(実施例54)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)3mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、オクチル酸イットリウムのトルエン溶液(0.1mol/L)2mlを添加して40℃まで加温した。3分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)1mlを添加して重合を開始した。40℃で30分重合後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表15に示した。
【0185】
(実施例55)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(1mol/L)の添加量を4mlとしたほかは、実施例54と同様に重合を行った。重合結果を表15に示した。
【0186】
(実施例56)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を3mlとしたほかは、実施例54と同様に重合を行った。重合結果を表15に示した。
【0187】
(実施例57)
ジエチルアルミニウムハイドライド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)の添加量を5mlとしたほかは、実施例54と同様に重合を行った。重合結果を表15に示した。
【0188】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記の一般式で表される嵩高い配位子を有するイットリウム化合物と、(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物と、(C)周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物と、を備えた触媒を用いて1,3−ブタジエンを重合させたハイシスポリブタジエン10〜90重量%と
(b)上記の(a)ハイシスポリブタジエン以外のジエン系ゴム90〜10重量%とからなるゴム成分(a)+(b)100重量部に対し、
ゴム補強剤(c)1〜100重量部を配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
【化1】


(但し、R,R,Rは、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−プロペニル基、アリル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基、フェネチル基を表し、Oは酸素原子を表し、Yはイットリウム原子を表す。)
【請求項2】
前記ハイシスポリブタジエンは、(1)水素、(2)水素化金属化合物、(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されて重合されていることを特徴とする請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記水素化有機金属化合物が、ジアルキルアルミニウムハイドライドであることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ハイシスポリブタジエンが、シス−1,4構造を90%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のタイヤ用ゴム組成物。


【公開番号】特開2011−132530(P2011−132530A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25311(P2011−25311)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【分割の表示】特願2006−515467(P2006−515467)の分割
【原出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】