説明

タイルユニットの製造方法

【課題】壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットで、ユニット化が容易であり、また、個別のタイルが互いに動かずに被施工面に施工した場合でもタイルの位置ずれのおそれが極めて小さく、また、隣接するタイル間に隙間を形成することができるタイルユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】正面側が凹凸形状に形成され、タイルの厚み方向の両側の面に突出部16、18が裏面から同じ距離の位置に設けられたタイル10を製造するタイル製造工程と、製造されたタイル10を、タイルを収納するための複数の隙間Kが略平行に形成され、該隙間Kにはタイル10に設けられた上記突出部16、18が掛止するための掛止部が複数の隙間Kにおいて同じ高さに設けられたタイル配置具40に配置するタイル配置工程と、タイル配置具40に配置されたタイル10の裏面に網体を接着する網体接着工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルユニットの製造方法に関するものであり、特に、外壁に使用するタイルユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、外壁に使用するタイルは種々存在するが、その中でも、図18に示すように、タイルを壁面に対して直角方向に立設させた状態で施工して使用するタイルが存在する。つまり、タイルは、壁面に対して平行に施工するのが一般的であるが、図18に示す構成においては、タイルBは、その長辺側の端面を壁面H側としてモルタルMにより壁面Hに施工して、壁面に対して直角に施工したものである。このような構成とすることにより、隣接するタイル間の溝部の深さを深くすることができ、奥行き感のある壁面を構築することができる。
【0003】
また、出願人は、特許文献1に記載のタイルを出願している。すなわち、特許文献1において、タイルAは、穴部24と溝部26が設けられた複数の個別タイル20から構成されるタイル本体10と、タイル本体10を構成する複数の個別タイル20を結束する結束具40とを有し、タイル本体10は、結束具40によってタイルAの背面側で結束された状態となっている。
【0004】
また、特許文献2には、建築基材上へのタイルの固定方法において、建築基材上に接着剤をロール塗布する工程と、網目状ネット上に裏足のない複数のタイルが所定の目地間隔で配列固定されたネット付きタイルユニットのネット取付面側を該基材の接着剤塗布面に押圧する工程とを有するものが開示されている。
【特許文献1】特開2007−63946号公報
【特許文献2】特開2005−290974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図18のような壁面を構成するには、タイルBを1つずつ壁面に施工していかなければならず施工が面倒であるという問題があった。また、タイルBは、端部領域において壁面側と固着されているのみであり、壁面との固着領域が小さいため、壁面から剥離するおそれがあるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1のタイルによれば、上記の問題を解決できるものの、線状部材により形成された結束具により結束する作業が面倒でユニット化に手間が掛かり、また、1本の結束具により結束されているので、個別タイルが互いに動くおそれがあり、被施工面に施工した場合に、個別タイルが若干位置ずれするおそれがあった。
【0007】
また、特許文献1のタイルにおいては、個別タイルが積層した状態となり、隣接する個別タイル間に隙間が形成されないため、個々の個別タイル間に目地が形成されず、個々のタイルを壁面に施工したようには見えないという問題がある。つまり、図18の場合には、個々のタイルを隙間を介して形成するので、タイル間に目地が形成されるが、特許文献1の場合には、個別タイル間に目地が形成されない。
【0008】
そこで、本発明は、壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットで、ユニット化が容易であり、また、個別のタイルが互いに動かずに被施工面に施工した場合でもタイルの位置ずれのおそれが極めて小さく、また、隣接するタイル間に隙間を形成することができるタイルユニットの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、複数の略板状のタイルが網体に対して立設した状態で網体に貼着し、複数のタイルが互いに略平行な状態となっているタイルユニットの製造方法であって、タイルにおける網体が貼着される裏面側とは反対側の正面側が凹凸形状に形成され、タイルの厚み方向の両側の面に突出部が裏面から同じ距離の位置に設けられたタイルを製造するタイル製造工程と、製造されたタイルを、タイル配置具で、タイルを収納するための複数の隙間が略平行に形成され、該隙間にはタイルに設けられた上記突出部が掛止するための掛止部が複数の隙間において同じ高さに設けられたタイル配置具に配置するタイル配置工程と、タイル配置具に配置されたタイルの裏面に網体を貼着する網体貼着工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この第1の構成のタイルユニットの製造方法においては、タイルをタイル配置具に配置してタイルの裏面側に網体を貼り付けて行なうので、製造が容易であり、壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットにおいてユニット化を容易に行なうことができる。その際、タイルには突出部が設けられていて、突出部が掛止部に掛止することにより、タイルを同じ高さに配置することができるので、タイルの裏面部の高さを揃えることができ、網体を容易に貼り付けることができる。特に、タイルにおいて正面側が凹凸形状に形成されていても、裏面部の高さを揃えることができ、網体を容易に貼り付けることができる。また、タイル載置具はタイルを収納するための隙間を有しているので、該隙間の間隔を隣接するタイル間に隙間が形成される程度に形成することにより、隣接するタイル間に隙間を形成して目地を形成することができる。
【0011】
また、第2には、上記第1の構成において、上記タイル配置具におけるタイルを収納するための複数の隙間における隣接する隙間の間隔は、タイルを該隙間に配置した場合に、隣接するタイル間に隙間が形成される程度に形成されていることを特徴とする。
【0012】
よって、タイル載置具の隙間に配置した場合に、隣接するタイル間に隙間を形成することができ、タイル間に目地を形成することができる。
【0013】
また、第3には、上記第1又は第2の構成において、上記タイル配置具は、枠状のフレーム部と、タイルを収納するための複数の隙間を形成するための突出棒状部とを有し、該突出棒状部は、フレーム部の内側から突出して形成され、その断面形状は、板状を呈する基端部と、基端部の上面から延設され、突出棒状部間の隙間の側に傾斜面を有し上方に行くほど幅狭に形成されたテーパ状部と、テーパ状部の上面から延設された先端部とを有し、隣接する基端部間の隙間は、タイルにおける突出部よりも先端が挿入可能な幅を有するとともに一対の突出部の位置のタイルの厚みよりも小さな幅を有することにより、上記テーパ状部の傾斜面が上記掛止部として機能し、突出部がテーパ状部の傾斜面に掛止されることを特徴とする。これにより、突出部をテーパ状部の傾斜面に掛止させることにより、タイルを支持してタイルの裏面部の高さを揃えることができる。
【0014】
また、第4には、上記第1から第3までのいずれかの構成において、上記タイル製造工程が、一対の上記タイルの素体となるタイル素体で、略板状を呈し、略中央に平面視が凹凸形状の溝部が形成されるとともに、該溝部を介した両側に上記突出部が形成されたタイル素体を形成するタイル素体形成工程と、該タイル素体を溝部を介して分割する分割工程と、分割工程で形成された分割面を研磨する研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
よって、1つのタイル素体により2つのタイルを形成することができるので、製造コストを抑えることができ、また、分割面を研磨することにより、凹凸形状を多様な形状とすることができ、1つのタイルユニットにおいて、タイルの凹凸形状を多様に形成して意匠性を向上させることができる。
【0016】
また、第5には、上記第4の構成において、タイル素体形成工程において、溝部の形状が異なる複数のタイル素体を用いてタイルユニットを製造することを特徴とする。これにより、1つのタイルユニットにおいて、タイルの凹凸形状を多様に形成して意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に基づくタイルユニットの製造方法によれば、タイルをタイル配置具に配置してタイルの裏面側に網体を貼り付けて行なうので、製造が容易であり、壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットにおいてユニット化を容易に行なうことができる。その際、タイルには突出部が設けられていて、突出部が掛止部に掛止することにより、タイルを同じ高さに配置することができるので、タイルの裏面部の高さを揃えることができ、網体を容易に貼り付けることができる。特に、タイルにおいて正面側が凹凸形状に形成されていても、裏面部の高さを揃えることができ、網体を容易に貼り付けることができる。また、タイル載置具はタイルを収納するための隙間を有しているので、該隙間の間隔を隣接するタイル間に隙間が形成される程度に形成することにより、隣接するタイル間に隙間を形成して目地を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明においては、壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットで、ユニット化が容易であり、また、個別のタイルが互いに動かずに被施工面に施工した場合でもタイルの位置ずれのおそれが極めて小さく、また、隣接するタイル間に隙間を形成することができるタイルユニットの製造方法を提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0019】
本発明の実施例に基づくタイルユニットAは、図1〜図3に示すように、複数のタイル10と、網体30とを有していて、タイル10の裏面が網体30に貼着された構成となっている。図1〜図3の例では、12個のタイル10が網体30に貼着されている。
【0020】
ここで、タイル10は、図4〜図7に示すように、全体に細長の略板状を呈し、基端部12と、板状部14と、突出部16、18とを有している。
【0021】
基端部12は、図7に示すように、その断面形状が、長方形状と台形(具体的には、等脚台形)形状を組み合わせた六角形状を呈し、一方の端部から他方の端部に向けて略同大同形状の断面を有した棒状を呈している。これにより、基端部12は、平面状の裏面部12aと、上面部12bと、下面部12cと、傾斜面12d、12eとを有した構成となっている。
【0022】
また、板状部14は、基端部12の正面部から正面側に向けて形成され、全体に板状を呈し、その背面側の厚みは、基端部12の正面側の厚みと同じであるが、板状部14の厚みは正面側に行くほど徐々に小さくなるように形成されている。つまり、板状部14の上面は、略平面状を呈し、水平面(裏面部12aに直角な平面)に対して傾斜し、同様に、板状部14の下面は、略平面状を呈し、水平面(裏面部12aに直角な平面)に対して傾斜して形成され、板状部14の上面と下面とは、水平方向の仮想の中心面(つまり、タイル10の上下方向の中心位置を通る平面)を介して線対象に形成されている。また、板状部14の正面側の先端は、凹凸形状に形成され、具体的には、波状に形成されている。
【0023】
また、突出部16は、板状部14の上面から上方に突出して形成され、板状部14の一方の端部から他方の端部にまで形成され、その断面形状は、略台形(具体的には、等脚台形)形状に形成されている。つまり、突出部16は、上面部16aと、上面部16aから正面側に傾斜した傾斜面16bと、上面部16aから背面側に傾斜した傾斜面16cとを有している。この突出部16は、基端部12と平行に形成されている。
【0024】
また、突出部18は、板状部14の下面から下方に突出して形成され、板状部14の一方の端部から他方の端部にまで形成され、その断面形状は、略台形(具体的には、等脚台形)形状に形成されている。つまり、突出部18は、下面部18aと、下面部18aから正面側に傾斜した傾斜面18bと、下面部18aから背面側に傾斜した傾斜面18cとを有している。この突出部18は、基端部12と平行に形成されている。
【0025】
この突出部16と突出部18とは、水平方向の仮想の中心面(つまり、タイル10の上下方向の中心位置を通る平面)を介して線対象に形成され、例えば、突出部16と突出部18の正面側の端部の位置は、裏面部12aと平行な平面Hの位置にある。また、突出部16、18の位置の厚さ(突出部16の上面と突出部18の下面との間の長さ)は、基端部12の厚さと略同一となっている。
【0026】
また、板状部14における正面側の端部には波状に凹凸が形成されている。なお、以下で説明するように、タイル10の製造に際しては、板状部14の正面側の端部をランダムに研磨するので、1つのタイルユニットAを構成する複数のタイル10においては、基本的に、波状の凹凸形状は同一には形成されていない。
【0027】
なお、タイルユニットAを構成する複数のタイル10においては、板状部14の正面側の端部の波状の凹凸形状を除いて同一の構成となっている。
【0028】
タイルユニットAにおいては、正面視において、2つずつ交互に右側と左側に配設され、図1〜図3の例では、正面視において、上から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、10番目のタイル10(以下では「第1タイル群」とする)は、左側に設けられ、上から3番目、4番目、7番目、8番目、11番目、12番目のタイル10(以下では「第2タイル群」とする)は、右側に設けられている。左側に設けられたタイル10は、左右方向には同一の位置に設けられ、右側に設けられたタイル10は、左右方向には同一の位置に設けられている。
【0029】
また、タイルユニットAにおける隣接するタイル10間には隙間Tが形成されていて(図3参照)、隣接するタイル10同士は接触していない。
【0030】
また、網体30は、図8に示すように網状を呈し、具体的には、グラスファイバー製の網状部材であり、全体に略四角形状に形成され、タイルユニットAを構成するタイル10の裏面に貼り付けられている。この網体30は、タイルユニットAを構成する複数のタイル10により構成されたタイル群の外形からはみ出さないように形成されていて、例えば、正面視した場合に、網体30は、隣接するタイル10の隙間を除いて網体30が見えないように構成されている。つまり、網体30は、上下方向には、タイルユニットAにおける上端位置のタイル10の裏面から下端位置のタイル10の裏面に接する長さに形成され、左右方向には、背面視において、第1群のタイルの左端近傍から第2群のタイルの右端近傍にまで形成されている。この網体30と、タイル10とは接着剤により接着されている。
【0031】
上記構成のタイルユニットAの製造方法について、図9を使用して説明する。まず、タイル10のもととなるタイル素体5を形成する(S11、タイル素体形成工程)。すなわち、2つのタイル10が対向した形状のタイル素体5を形成する。このタイル素体5は、図10、図11、図12に示すように、略長方形状の板状を呈し、その相対する長辺に沿って基端部12が設けられ、両側の基端部12からは一対の板状部14が内側に向けて厚さが小さくなるように形成されている。なお、一対の板状部14の先端部分は互いに接続された状態となっている。なお、一対の板状部14の接続部分の上面と下面には、波形に溝部20が形成されている。板状部14の上面の溝部20と下面の溝部20は、同じ位置に形成されていて、両側の溝部20の間の仮想の中心面を介して対称に形成されている。これにより、溝部20の波形と同形状の刃部により溝部20に対して衝撃を加えることにより、タイル素体5が2つに分離する。また、各板状部14の上面には、突出部16が基端部12と平行に設けられ、各板状部14の下面には、突出部18が基端部12と平行に設けられている。なお、図10、図11、図13においては、溝部20を1本の実線により示しているが、この実線に沿って細い溝部が形成されている。
【0032】
このタイル素体5の形成に当たっては、溝部20を有した状態のタイル素体の素地を成形型により形成して焼成することにより形成してもよいし、溝部20を有さない状態のタイル素体を押出し成形により形成し、その後、溝部20を形成した後に、焼成することにより形成してもよい。
【0033】
タイル素体5としては、溝部20の形状が異なる複数種類の形状のものを用意しておくのが好ましい。例えば、溝部20の形状を2種類とし、第1の形状の溝部20を有するタイル素体5と、第2の形状の溝部20を有するタイル素体5を用意する。このようにすることにより、タイル10の正面側の先端の波形形状に多様性を与えることができる。
【0034】
タイル素体5を形成したら、図13に示すように、刃部35によりタイル素体5に衝撃を与えて2つに分割する(S12、分割工程)。すなわち、刃部35における刃本体37は、溝部20と同形状の波形に形成されていて、刃本体37により溝部20の位置に衝撃を与えることにより、タイル素体5を2つに分割する。なお、実際には、刃部35は、刃部35を上下動させる装置に取り付けられていて、該装置にタイル素体5をセットした後に、刃部35を降下させることによりタイル素体5に衝撃が与えられてタイル素体5が溝部20の位置を介して2つに分割される。
【0035】
なお、タイル素体5の溝部20の形状を複数設けている場合には、当然刃部35の刃本体37の波形の形状も複数種類必要となるので、刃本体37の波形形状が異なる複数種類の刃部35を用意することになる。
【0036】
上記のようにタイル素体5を2つに分割したら、分割されたタイルを研磨する(S13、研磨工程)。つまり、タイル10の板状部14の端部をグラインダーにより研磨して、波形に形成する。なお、手作業により研磨することにより、タイル10の板状部14の波形の形状が多様になり、タイルユニットAの意匠性を向上させることができる。以上のようにしてタイル10が製造される。上記ステップS11、S12、S13の工程によって上記タイル製造工程が構成される。
【0037】
次に、タイル10をフレーム状のタイル配置具40に配置する(S14、タイル配置工程)。このタイル配置具40は、図14、図15、図17に示すように、フレーム部50と、突出棒状部60とを有している。
【0038】
フレーム部50は、フレーム本体52と、把手部54とを有し、フレーム本体52は、方形枠部52aと、突出枠部52bとを有している。
【0039】
この方形枠部52aは、互いに平行な長辺部52a−1と、互いに平行で長辺部52a−1と直角な短辺部52a−2とから構成されている。また、突出枠部52bは、横方向部52b−1と縦方向部52b−2とから構成された枠状部であり、方形枠部52aの角部においては、1つの横方向部52b−1と1つの縦方向部52b−2とから突出した枠状に形成され、方形枠部52aの角部以外の部分においては、2つの横方向部52b−1と1つの縦方向部52b−2とから突出した枠状に形成されている。この突出枠部52bは、方形枠部52aの長辺部52a−1に沿って所定間隔おきに形成されていて、一方の長辺部52a−1と他方の長辺部52a−1とでは、長辺の方向(Y1−Y2方向)に沿って、突出枠部52bは交互に形成され、短辺方向(X1−X2方向)には、一方の長辺部52a−1に突出枠部52bが形成されている場合には、他方の長辺部52a−1には突出枠部52bは形成されていない。複数の突出枠部52bにおけるX1−X2方向の長さとY1−Y2方向の長さは同一に形成されている。なお、方形枠部52aの角部の突出枠部52bにおいては、方形枠部52aの厚みを含めたY1−Y2方向の長さS2が、他の突出枠部52bのY1−Y2方向の長さS1と同一となっている。図14、図15の例では、突出枠部52bは、長辺部52a−1に沿ってそれぞれ6つ設けられている。
【0040】
また、把手部54は、フレーム本体52の短辺部52a−2の外側に設けられていて、略板状を呈している。
【0041】
また、突出棒状部60は、フレーム本体52の内側の面からX1−X2方向に棒状に突出して形成されている。この突出棒状部60の断面形状は、図17に示すように形成され、幅広の板状を呈する基端部62と、基端部62の上端から上方にテーパ状を呈するテーパ状部64と、幅狭の板状を呈する先端部66とを有している。そして、隣接する突出棒状部60間には隙間Kが形成されていて、該隙間Kの位置にタイル10が収納可能に形成されている。つまり、図17に示すように、タイル10の突出部16、18がテーパ状部64の上端の位置に当接して掛止され(つまり、テーパ状部64が上記掛止部に当たる)、隣接する2つの突出棒状部60によって支持される。この突出棒状部60は、図14に示すように、1つの突出枠部52b(ただし、角部の突出枠部52bを除く)に対して3つの突出棒状部60(図14では、60−1で示した突出棒状部)が設けられていて(ただし、1つの突出枠部52bに対して両側の2つの突出棒状部60においては、テーパ状部64の一方の傾斜面64aが突出枠部52bのY1−Y2方向の幅よりもはみ出ている)、1つの突出枠部52bに対して、タイル10を収納する隙間Kが2つ形成されている。なお、角部の突出枠部52bからは2つの突出棒状部60(図14では、60−3で示した突出棒状部)が形成され、また、短辺部52a−2の内側には、テーパ状部64の傾斜面64aと同様の傾斜面70が形成されているので、角部の突出枠部52bに対して、タイル10を収納する隙間Kが2つ形成されている。
【0042】
また、2つの突出枠部52b間には、1つの突出棒状部60(図14では、60−2で示した突出棒状部)が形成されていて、2つの突出枠部52bの間の位置にもタイル10を収納する隙間Kが2つ形成されている。
【0043】
なお、突出棒状部60のテーパ状部64の傾斜面64aの上端位置と短辺部52a−2の内側の傾斜面の上端位置とは、同じ高さに形成されていて、これにより、隙間Kに収納されたタイル10は同じ高さに支持されることになる。
【0044】
また、フレーム本体52における長辺部52a−1の内側の面と、該内側の面に対向する突出枠部52bの内側の面との間の距離は、タイル10の長手方向の長さよりも若干大きく形成され、これにより、タイル10の長手方向の長さと略同一の長さの収納空間(つまり、この収納空間は、隣接する突出棒状部60間の隙間Kや突出棒状部60と短辺部52a−2間の隙間Kを含む空間である)が形成され、タイル10がX1−X2方向にほとんどずれることなく収納することができる。
【0045】
また、突出棒状部60の幅(特に、先端部66のY1−Y2方向の幅)は、タイル10をタイル配置具40に配置した場合に、隣接するタイル10間に隙間Tが形成される程度の長さとなっている(図16参照)。
【0046】
タイル配置具40は以上のように構成されているので、タイル10を収納する隙間Kにタイル10を収納することにより、タイル10を2つずつ交互に右側と左側に配設され、かつ、タイル10は同じ高さに支持されることになる。
【0047】
なお、図14に示すタイル配置具40においては、タイル10を収納するための隙間Kが計24個設けられていて、図1〜図3に示すタイルユニットAとの関係では、2つ分のタイルユニットAに対応するタイル10が収納可能に形成されている。なお、このタイル配置具40は、上記のように構成されているので、平面視において、点対称に形成されているといえる。
【0048】
タイル10をタイル配置具40に配置するに当たっては、タイル10の板状部14の先端を下向きにして収納空間内に収納して配置していく。すると、タイル10はタイル配置具40内に同じ高さに配置されるので、タイル10の基端部12の裏面部12a(つまり、タイル10の裏面部)の高さも同じ高さとなる。
【0049】
タイル10をタイル配置具40に配置したら、タイル10の基端部12の裏面部12aに網体30を貼着する(S15、網体貼着工程)。網体30を貼り付けるに当たっては、網体30の接着面に接着剤を塗布してタイル10の基端部12の裏面部12aに貼り付ける。なお、タイル配置具40は、タイルユニットA2つ分のタイル10を収納できるので、タイル配置具40に配置されたタイル10における一方の端部のタイル10から他方の端部のタイル10まで帯状に網体を貼付した後に2つのタイルユニットAの境界位置で網体を切断してもよいし、1つのタイルユニットAに対応した長さの網体を2つ用意しておき、2つの網体をタイル配置具40に配置されたタイル10に貼付するようにしてもよい。以上のようにして、タイルユニットAが製造される。
【0050】
タイルユニットAを施工する際には、タイルユニットAの裏面側(つまり、網体30が貼着されている側)を被施工面側(例えば、壁面側)として施工する。つまり、被施工面とタイルユニットAの裏面側との間に接着剤又はモルタルを設けて被施工面にタイルユニットAを接着させる。なお、タイルユニットAを施工する方向としては、タイル10の長手方向を水平方向にする。なお、タイル10の長手方向を水平方向以外(例えば、垂直方向)としてもよい。
【0051】
また、複数のタイルユニットAを施工する場合には、タイルユニットAにおいては複数のタイル10間に隙間Tが形成されているので、隣接するタイルユニットAの端に位置するタイル10は隙間を介して施工するのが好ましい。例えば、タイルユニットAをタイル10の長手方向を水平方向として施工する場合に、タイルユニットA(これを第1タイルユニット)の上側に施工するタイルユニットA(これを第2タイルユニットとする)においては、下端に位置するタイル10を第1タイルユニットの上端のタイル10と隙間を介して施工する。
【0052】
また、あるタイルユニットAのタイル10の長手方向に隣接して他のタイルユニットAを施工する場合には、タイル10の端部同士を接触させて施工すればよい。この場合に、タイルユニットAにおいては、タイル10が右側と左側とに交互に配設されているので、タイル10の長手方向に隣接するタイル10との境界を見えにくくして見栄えをよくすることができる。
【0053】
以上のように、本実施例のタイルユニットの製造方法によれば、タイル10をタイル配置具40に配置してタイル10の裏面側に網体30を貼り付けて行なうので、製造が容易であり、壁面に対して直角方向に施工するタイルを複数有するタイルユニットにおいてユニット化を容易に行なうことができる。その際、タイル10には、突出部16、18が設けられていて、これらの突出部16、18がフレーム部50の突出棒状部60の所定位置(テーパ状部64の上端)に当接して掛止することにより、タイル10を同じ高さに配置することができるので、タイル10の裏面部の高さを揃えることができ、網体30を容易に貼り付けることができる。特に、複数のタイルにおいて正面側の形状が不揃いな場合でも、裏面部の高さを揃えることができ、網体30を容易に貼り付けることができる。
【0054】
また、以上のようにして製造したタイルユニットAにおいては、タイル10の裏面部が網体30に接着されているので、タイル10の位置ずれのおそれがない。また、タイル配置具40は、タイル10を配置した場合に、隣接するタイル10間に隙間Tが形成されるように形成されているので、タイルユニットAにおいて隣接するタイル10間に隙間を形成することができ、隣接するタイル10間に目地を形成することができる。
【0055】
なお、上記の説明においては、タイル10の先端の形状が波状であるものとして説明したが、波状以外の凹凸形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例に基づくタイルユニットの前方斜視図である。
【図2】本発明の実施例に基づくタイルユニットの後方斜視図である。
【図3】図1におけるP−P断面図である。
【図4】タイルの前方斜視図である。
【図5】タイルの後方斜視図である。
【図6】タイルの平面図である。
【図7】タイルの側面図である。
【図8】網体の正面図である。
【図9】タイルユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【図10】タイル素体の構成を示す斜視図である。
【図11】タイル素体の構成を示す平面図である。
【図12】タイル素体の構成を示す側面図である。
【図13】タイルの製造工程を説明するための説明図である。
【図14】フレームの平面図である。
【図15】タイルユニットの製造工程を説明するための説明図である。
【図16】フレームにタイルを配置した状態を示す平面図である。
【図17】フレームにタイルを配置した状態を示す要部断面図である。
【図18】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
A タイルユニット
5 タイル素体
10 タイル
12、62 基端部
12d、12e、16b、16c、18b、18c、64a、70 傾斜面
14 板状部
16、18 突出部
30 網体
40 タイル配置具
50 フレーム部
52 フレーム本体
52a 方形枠部
52b 突出枠部
54 把手部
60 突出棒状部
62 基端部
64 テーパ状部
66 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の略板状のタイルが網体に対して立設した状態で網体に貼着し、複数のタイルが互いに略平行な状態となっているタイルユニットの製造方法であって、
タイルにおける網体が貼着される裏面側とは反対側の正面側が凹凸形状に形成され、タイルの厚み方向の両側の面に突出部が裏面から同じ距離の位置に設けられたタイルを製造するタイル製造工程と、
製造されたタイルを、タイル配置具で、タイルを収納するための複数の隙間が略平行に形成され、該隙間にはタイルに設けられた上記突出部が掛止するための掛止部が複数の隙間において同じ高さに設けられたタイル配置具に配置するタイル配置工程と、
タイル配置具に配置されたタイルの裏面に網体を貼着する網体貼着工程と、
を有することを特徴とするタイルユニットの製造方法。
【請求項2】
上記タイル配置具におけるタイルを収納するための複数の隙間における隣接する隙間の間隔は、タイルを該隙間に配置した場合に、隣接するタイル間に隙間が形成される程度に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項3】
上記タイル配置具は、枠状のフレーム部と、タイルを収納するための複数の隙間を形成するための突出棒状部とを有し、該突出棒状部は、フレーム部の内側から突出して形成され、その断面形状は、板状を呈する基端部と、基端部の上面から延設され、突出棒状部間の隙間の側に傾斜面を有し上方に行くほど幅狭に形成されたテーパ状部と、テーパ状部の上面から延設された先端部とを有し、隣接する基端部間の隙間は、タイルにおける突出部よりも先端が挿入可能な幅を有するとともに一対の突出部の位置のタイルの厚みよりも小さな幅を有することにより、上記テーパ状部の傾斜面が上記掛止部として機能し、突出部がテーパ状部の傾斜面に掛止されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項4】
上記タイル製造工程が、
一対の上記タイルの素体となるタイル素体で、略板状を呈し、略中央に平面視が凹凸形状の溝部が形成されるとともに、該溝部を介した両側に上記突出部が形成されたタイル素体を形成するタイル素体形成工程と、
該タイル素体を溝部を介して分割する分割工程と、
分割工程で形成された分割面を研磨する研磨工程と、
を有することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項5】
タイル素体形成工程において、溝部の形状が異なる複数のタイル素体を用いてタイルユニットを製造することを特徴とする請求項4に記載のタイルユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−108603(P2009−108603A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282143(P2007−282143)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(593100503)杉江製陶株式会社 (4)
【Fターム(参考)】