説明

タクシー料金を事前に決定するシステム及び方法

【課題】 利用者が支払なければならないタクシー料金を目的地に到着する前に決定する。
【解決手段】 タクシー料金事前決定システムは、地図データ記憶域から地図データを読み込み、料金計算データ記憶域から料金計算データを読み込み、出発地に関する出発地データを入力し、目的地に関する目的地データを入力し、読み込まれた地図データ及び料金計算データと、入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、利用者が目的地に到着する前に、目的地に到着するために利用者が支払うべきタクシー料金を算出し、算出されたタクシー料金を、利用者が目的地に到着するために支払うべきタクシー料金として決定し、タクシー料金が決定された後は、タクシーの走行に関わらず、上記決定したタクシー料金を変更しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー料金を決定するための新規な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タクシー料金の算出に関わる技術として、特許文献1〜6の技術が知られている。特許文献1には、タクシー料金の表示に関することが記載されている。特許文献2〜5には、タクシー料金の予測に関することが記載されている。特許文献6には、タクシーの配車や業務管理に関することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−311259号公報
【特許文献2】特開2002−74415号公報
【特許文献3】特開2002−162242号公報
【特許文献4】特開2000−293714号公報
【特許文献5】特開2003−115061号公報
【特許文献6】特開平7−202790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タクシー料金というのは、一般に、タクシーの走行距離と利用者の乗車時間長との両方に基づいて算出されるようになっている。このため、たとえ、いつもの出発地からいつもの目的地まで走行してもらうとしても、その間の交通状態に応じて、乗車時間長が変動するので、タクシー料金が同じになるとは限らない。
【0005】
また、初めての走行ルートで目的地に行く場合、タクシー料金がいくらぐらいになるのかわからない。
【0006】
上記のような課題を解決するために、特許文献1〜6に開示の技術を用いても、結局は単なる料金表示や予測にすぎないので、利用者は、実際に目的地に着いてみないと、支払わなければならない料金が幾らになるのかわからない。
【0007】
従って、本発明の一つの目的は、利用者が支払なければならないタクシー料金を目的地に到着する前に決定することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、後の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの側面に従うタクシー料金事前決定システムは、地図データ記憶域から地図データを読み込む地図データ読込み手段と、料金計算データ記憶域から料金計算データを読み込む料金計算データ読込み手段と、出発地に関する出発地データを入力する出発地データ入力手段と、目的地に関する目的地データを入力する目的地データ入力手段と、料金事前決定手段とを備える。料金事前決定手段は、前記読み込まれた地図データ及び料金計算データと、前記入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出し、前記算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着するために支払うべきタクシー料金として決定する。このタクシー料金事前決定システムでは、前記タクシー料金が決定された後は、前記タクシーの走行(例えば、走行距離及び/又は前記利用者の乗車時間長)に関わらず、前記決定されたタクシー料金は変更されない。
【0010】
ここで、算出されたタクシー料金とは、例えば、タクシー料金の計算結果を意味すると言うことができ、決定されたタクシー料金とは、例えば、算出されたタクシー料金が支払うべき料金であると承認された料金であることを意味すると言うことができる。つまり、例えば、タクシー料金が算出されても、例えばそれが利用者に承認されなければ、タクシー料金の決定とはならないとすることができる。
【0011】
一つの実施態様では、タクシー料金事前決定システムは、前記決定されたタクシー料金を含んだ情報を見積書及び/又は領収書として印刷する印刷手段を更に備えることができる。
【0012】
一つの実施態様では、前記タクシー料金事前決定システムは、料金変更要素を入力する料金変更要素入力手段を更に備えることができる。前記料金計算データには、料金変更要素に基づく料金変更ルールを表す料金変更ルールデータが含まれていてもよい。前記料金事前決定手段は、前記入力された料金変更要素と前記読み込まれた料金計算データ中の料金変更ルールデータとに基づいて変更分の料金を決定し、前記決定した変更分の料金に基づいて前記タクシー料金を算出することができる。
【0013】
一つの実施態様では、タクシー料金事前決定システムは、料金事後決定手段と、前記料金事前決定手段と前記料金事後決定手段とを選択的に採用する選択手段とを更に備えることができる。前記料金事後決定手段は、前記利用者が前記目的地に到着するまでのタクシー料金を前記タクシーの走行に応じて算出し、算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着した後に、その目的に到着するために支払うべきタクシー料金として決定することができる。
【0014】
一つの実施態様では、タクシー料金事前決定システムは、複数のタクシーの各々に搭載される端末であるタクシー端末と、前記複数のタクシーの各々に搭載された端末と通信可能なセンタシステムとを備えることができる。前記センタシステムが、前記利用者からタクシーの利用の引合いに関する引合い条件を入力する引合い条件入力手段と、前記入力された引合い条件に基づいて、前記複数のタクシーのうちのどれをいつどこに配車するかの配車条件を決定する配車条件決定手段と、前記決定された配車条件に該当するタクシーのタクシー端末に、前記決定された配車条件を送信する配車条件送信手段とを備えることができる。前記タクシー端末が、配車条件を記憶するための配車条件記憶域と、前記センタシステムから配車条件を受信し、受信した配車条件を前記配車条件記憶域に設定する配車条件設定手段と、前記設定された配車条件を表示する表示手段とを備えることができる。前記料金事前決定手段が、前記配車条件に基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出することができる。
【0015】
上述したタクシー料金事前決定システムが備える複数の手段は、それらの全てがタクシーに搭載される装置に備えられても良いし、その装置と通信可能な別の装置に分散して搭載されてもよい。上述した各手段は、ハードウェア、コンピュータプログラム又はそれらの組み合わせにより構築することができる。コンピュータプログラムは、所定のプロセッサに読み込まれて実行される。また、コンピュータプログラムがプロセッサに読み込まれて行われる情報処理の際、適宜に、メモリ等のハードウェア資源上に存在する記憶域が使用されてもよい。
【0016】
本発明の別の側面に従う方法は、地図データ記憶域から地図データを読み込むステップと、料金計算データ記憶域から料金計算データを読み込むステップと、出発地に関する出発地データを入力するステップと、目的地に関する目的地データを入力するステップと、前記読み込まれた地図データ及び料金計算データと、前記入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出し、前記算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着するために支払うべきタクシー料金として決定するステップとを有し、前記タクシー料金が決定された後は、前記タクシーの走行に関わらず、前記決定したタクシー料金を変更しないことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るタクシー料金事前決定システムのハードウェア構成例の概要を示す。
【0018】
複数のタクシー7、7、…の各々には、カーナビゲーション装置(以下、「カーナビ装置」と略記)39と、カーナビ装置39と通信可能に接続された料金決定装置85とが搭載さされている。料金決定装置85は、通信ネットワーク2を介し、センタシステム3及び/又は事務所端末6との間で情報の送受信を行うことができる。センタシステム3は、通信ネットワーク2を介して、利用者端末5や事務所端末6との間で情報の送受信を行うことができる。
【0019】
カーナビ装置39は、図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から受信するGPS信号に基づいて、タクシー7の現在位置を特定し、特定された現在位置に基づいて案内を行うことができる装置である。カーナビ装置39は、例えば、図示しない地図データ記憶域から地図データを読込み、読み込まれた地図データ上に上記特定された現在位置を表示したり、現在位置から目的地までのルート検索を行ったり、検索されたルートに沿って案内を行ったりすることができる。
【0020】
料金決定装置85は、タクシー料金を決定することができる装置であり、例えば、POS(point of sales)端末により実現することが考えられる。料金決定装置85は、通信ネットワーク2を介して情報の授受を行うための通信インターフェース装置(以下、通信I/F)21と、後述する見積書や領収書等を印刷するためのプリンタ23と、ICカード或いは磁気カード等のカード型情報記憶装置に対して情報を読み書きするためのカードリーダライタ25とを備えることができる。また、料金決定装置85は、情報を表示するための表示装置17と、人間が料金決定装置85を操作するために使用する操作部(例えば複数のボタン)9と、種々の制御を行う制御装置27と、情報を記憶することができる記憶装置29とを備える。
【0021】
センタシステム3は、制御装置13と、記憶装置15と、入力装置(例えばキーボードやマウス)14と、出力装置(例えば表示装置)16とを備えたコンピュータシステムである。センタシステム3は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバマシン等とすることができる。センタシステム3は、例えば、複数のタクシー7、7、…や、タクシー事業者の各事務所(例えば支店)を管理する管理センタに設置される。
【0022】
利用者端末5は、利用者が利用するコンピュータシステムである。事務所端末6は、事務所に所属する人間が利用するコンピュータシステムである。利用者端末5及び事務所端末6のハードウェア構成は、センタシステム3と同じにすることができる。
【0023】
以上が、本実施形態に係るタクシー料金事前決定システムのハードウェア構成例についての説明である。なお、上述した制御装置13、27は、例えば、CPUであるとすることができる。また、記憶装置15、29は、例えば、メモリ、ハードディスク、光ディスク及び磁気ディスクのうちの少なくとも一つにより実現することができる。
【0024】
以下、上述したハードウェア構成の下で実現される機能について説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るタクシー料金事前決定システムの機能構成例を示すブロック図である。
【0026】
センタシステム3の記憶装置15には、例えば、利用者データ記憶域31、地図データ記憶域33、料金計算データ記憶域35、車両データ記憶域36、交通機関データ記憶域84、見積もりデータ記憶域32及び配車計画結果データ記憶域41が含まれる。
【0027】
利用者データ記憶域31には、利用者に関する利用者データが記憶される。具体的には、例えば、利用者データには、図3Aに例示するように、各利用者毎に、利用者の氏名、住所、電話番号及び契約情報等が書かれる。契約情報は、例えば、タクシーによる送迎に関する契約内容を表した情報であり、具体的には、例えば、契約番号、どこに送るか、どこへ迎えに行くか、所定期間(例えば一月又は一週間)内に何回行うのか等の種々の情報を含んでいる。
【0028】
地図データ記憶域33には、地図データが記憶されている。地図データは、例えば、各地点の位置データ(例えば緯度や経度)や、各交差点(ノード)と他の交差点とのリンク(道路)を表すデータ等を含んでいる。
【0029】
料金計算データ記憶域35には、タクシー料金を算出するために必要な料金算出方法を表した料金計算データが記憶される。具体的には、例えば、料金計算データには、図3Bに例示するように、有料道路に関する料金表データ(例えば、どの高速道路のどこからどこまでが幾らか)や、各時間帯毎における料金ルール(例えば、何時から何時までは単位時間長、単位速度、或いは単位走行距離当たりで幾らか)や、料金変更要素に基づく料金変更ルールなどが含まれている。料金変更ルールは、例えば、何時から何時における時間帯の乗車ではどのぐらい割り増し(或いは割引き)になるかや、所定期間内に何回以上の利用でどのぐらい割引きするか等を表す。
【0030】
車両データ記憶域36には、複数のタクシー7、7、…の各々に関する情報(例えば、車両番号、タクシー7から受信した現在位置、どこの事務所に属するか、何人まで乗ることが可能か)を表した車両データが記憶されている。
【0031】
交通機関データ記憶域84には、タクシー以外の交通機関に関する情報を表す交通機関データが記憶される。交通機関データには、例えば、各交通機関毎に、場所(例えば空港名或いは駅名)、到着予定時刻、出発予定時刻等が記録されている。
【0032】
見積もりデータ記憶域32には、決定された見積もり内容が記述された見積もりデータが記憶される。
【0033】
配車計画結果データ記憶域41には、決定された配車計画結果を表す配車計画結果データが記憶される。配車計画結果データは、例えば、図3Cに例示するように、配車計画結果ID、利用者の出発地(換言すれば、どこに配車するか)、利用者の目的地、経由地、車両情報(例えば、どこからどのタクシーを配車するか)、時間情報(例えば、何時までに出発地へ配車されていなければならないか)、同乗者人数情報(同乗者が何人いるか)等が記録される。
【0034】
制御装置13は、例えば、料金処理部37と、配車計画処理部38とを備える。料金処理部37も配車計画処理部38も、例えば、CPUに読み込まれて動作するコンピュータプログラムであるとすることができる。
【0035】
料金処理部37は、例えば、タクシー料金を算出することができる。具体的には、例えば、料金処理部37は、利用者がタクシー7を利用する前に、タクシー料金の見積もりを表した見積もりデータを作成し、作成した見積もりデータを見積もりデータ記憶域32に格納することができる。
【0036】
配車計画処理部38は、配車計画を実行し、実行した配車計画の結果を表した配車計画結果データを配車計画結果データ記憶域41に格納することができる。
【0037】
カーナビ装置39は、地図データが記憶されている地図データ記憶域51を備え、受信したGPS信号から現在位置を特定することができる。カーナビ装置39は、料金決定装置85からの命令を受け、その命令に従う処理を実行することができる。
【0038】
料金決定装置85の記憶装置29には、上述した料金計算データを記憶する料金計算データ記憶域45と、見積もりデータを記憶する見積もりデータ記憶域88とが備えられる。また、制御装置27は、見積もり処理を行う見積もり処理部83と、通常の方法でタクシー料金を計算する(すなわち、タクシー7の走行に応じてタクシー料金を計算する)通常処理部81と、タクシー料金を見積額に応じて先払いするか或いはタクシーの利用後に払うかの支払い方法に応じて上記処理部83、81を選択的に動作させる処理選択部80とを備える。
【0039】
上述したタクシー料金事前決定システムでは、種々の処理を行うことができる。以下、幾つかの処理について説明する。
【0040】
(1)センタシステム3における見積もり処理。
【0041】
制御装置13は、外部(例えば、センタシステム3のオペレータ、料金決定装置85又は利用者端末5)から、見積もり処理の依頼の入力を受け、それに応答して、見積もり処理を実行する。
【0042】
見積もり処理では、例えば、料金処理部37は、地図データ記憶域33から地図データを読込み、出発地データ(例えば、出発地の位置データ、地名又は住所)と目的地データ(例えば、目的地の位置、地名又は住所)とを入力し、読み込まれた地図データと、入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、出発地から目的地までのルートの道のりを算出する。その際、料金処理部37は、例えば、経由地データ(例えば、経由地の位置データ、地名又は住所)の入力を受けた場合、その経由地データが表す経由地を通過するルートの道のりを算出する。出発地データ、目的地データ及び経由地データのうちの少なくとも一つは、外部(例えば、センタシステム3のオペレータ、料金決定装置85又は利用者端末5)から入力することができる。出発地データは、例えば、料金決定装置85がカーナビ装置39から受信した現在位置データであっても良い。制御装置13は、例えば、車両データ記憶域36内の車両データに記憶されている現在位置データを、その現在位置データに更新してもよい。
【0043】
料金処理部37は、料金計算データ記憶域35から料金計算データを読込み、読み込まれた料金計算データと、算出された道のりとに基づいて、タクシー料金を算出する。その際、例えば、料金処理部37は、料金変更要素の入力を受けた場合、入力された料金変更要素と、料金計算データ中の料金変更ルールとに基づいて、タクシー料金を算出することができる。料金変更要素としては、例えば、時間に関する時間情報(例えば、いつ出発するか及び/又はいつ到着するか)や、利用者データ要素(例えば、電話番号或いは契約番号)がある。
【0044】
また、見積もり処理では、例えば、料金処理部37は、時間貸し情報(例えば、どの地域をいつからどのぐらいの時間走り続けるのか)の入力を受け、その時間貸し情報と、料金計算データとに基づいて、タクシー料金を算出することもできる。
【0045】
また、見積もり処理では、例えば、料金処理部37は、有料道路を走る場合に道路事業者から請求される料金は利用者が実費で支払うためにタクシー料金に含めないようにする等の特定のルールの指定を受け、そのルールと料金計算データとに基づいて、タクシー料金を算出することもできる。
【0046】
以上のような方法でタクシー料金が算出された場合、料金処理部37は、見積もりID(例えば番号)を生成し、その見積もりIDと、上記算出されたタクシー料金とを含んだ見積もりデータを作成し、作成した見積もりデータを出力する(例えば表示する)。見積もりデータとしては、例えば、上述した見積もりID及びタクシー料金(換言すれば見積もり金額)の他に、利用者名、電話番号、住所、車両ID、どこに迎えにいくか、出発地、目的地、経由地、有料道路(例えば高速道路)の利用の有無、有料道路を利用する場合にはどこの有料道路を利用するか、その有料道路の料金は幾らであるか、走行距離、乗車時刻、降車時刻、乗車時間長、料金変更情報(例えば、割引き額或いは割り増し額)、タクシー会社情報(例えば名前及び連絡先)のうちの少なくとも一つを含んだ明細とすることができる。また、例えば、所定の契約に従う利用(例えば定期送迎)の場合には、その契約の契約番号等が見積もりデータに含まれても良い。また、例えば、同乗者がいる場合には、同乗者の人数と、その人数に基づく料金変更情報が、見積もりデータに含まれていても良い。
【0047】
料金処理部37は、出力した見積もりデータを承認するか否かの入力を例えば外部から受ける。承認という入力を受けた場合、料金処理部37は、その見積もりデータを見積もりデータ記憶域32に格納する。また、料金処理部37は、その見積もりデータを、利用者端末5に送信しても良いし、見積もりデータに含まれる車両IDに対応するタクシー7の料金決定装置85又は全てのタクシー7の料金決定装置85に、送信してもよい。送信された見積もりデータは、例えば、利用者端末5において、カード型記憶装置に格納されても良いし、料金決定装置85において、見積もりデータ記憶域88に格納されてもよい。以後、例えば、利用者がタクシー7に乗車した際、見積もりデータが格納されたカード型記憶装置を、料金決定装置85のカードリーダライタ25から読み込む、或いは、利用者から通知された見積もりIDをキーに見積もりデータ記憶域88から見積もりデータを検索する等を行うことができる。
【0048】
(2)センタシステム3における配車計画処理。
【0049】
制御装置13が、外部から、配車依頼を受け、その配車依頼に応答して、配車計画処理を実行する。配車計画処理では、例えば、配車計画処理部38が、どこからどこへいつまでにタクシー7を配車するかを計画する。
【0050】
例えば、配車計画処理部38は、配車計画結果データが格納されている配車計画結果データ記憶域41から一又は複数の配車計画結果データを読込み、且つ、車両データ記憶域36から車両データを読み込む。配車計画処理部38は、配車依頼の際に指定された配車日時、目的地データ等と、読み込まれた配車計画結果データ及び車両データとに基づいて、配車可能なタクシー7を特定し、特定されたタクシー7を指定された場所に配車することを表す配車計画結果データを生成し、生成された配車計画結果データを配車計画結果データ記憶域41に格納する。また、配車計画処理部38は、その配車計画結果データを、上記特定されたタクシー7の料金決定装置85に送信する。料金決定装置85は、配車計画結果データを受信して所定の記憶域に格納したり表示したりすることができる。
【0051】
配車計画処理では、例えば、配車計画処理部38は、読み込まれた配車計画結果データから、配車が予定されているタクシーが何であるかを特定することもできる。配車計画処理部38は、例えば、他人と同乗しても良いということが入力された場合には、既に配車が予定されているタクシーの配車の途中で他の利用者を迎えにいくことが走行ルート的に可能かどうかや、未だタクシーに他の利用者を乗せることができるかどうか等を判断し、その判断結果に基づいて、新たに配車計画結果データを生成するのではなく、既に配車が予定されているタクシーの配車計画結果データを更新することもできる。
【0052】
(3)タクシー7における支払い方法選択処理。
【0053】
例えば、タクシー7に乗車した利用者から、運転手が、先払いか後払いかの支払い方法の指定を受け、指定された支払い方法を操作部9から入力する。入力された支払い方法は、操作部9を介して、制御装置27に入力される。制御装置27の処理選択部80は、入力された支払い方法が先払いか後払いかを判断し、後払いと判断された場合には、通常処理部81を起動し、先払いと判断された場合には、見積もり処理部83を起動する。
【0054】
(4)タクシー7における通常処理。
【0055】
上記の支払い方法選択処理において、後払いと判断された場合には、通常処理部81が起動される。通常処理部81は、タクシー7の走行に応じて(例えば、走行距離及び/又は走行時間長に基づいて)、タクシー料金を更新し、例えば目的地に到着する等により支払いの指定を受けることにより、更新後のタクシー料金を、利用者が支払うべき料金として決定する(つまり、その更新後のタクシー料金を確定する)。利用者は、決定されたタクシー料金をタクシー7の運転手に支払うことにより、後払いが済んだことになる。
【0056】
(5)タクシー7における見積もり処理。
【0057】
上記の支払い方法選択処理において、先払いと判断された場合には、見積もり処理部83が起動される。見積もり処理部83は、上述した料金処理部37と同様の見積もり処理を実行することができる。その際、例えば、見積もり処理部83は、カーナビ装置39に道のりを算出させ、算出された道のりを取得しても良いし、カーナビ装置39が有する地図データ記憶域51から地図データを読み込んで、道のりの算出を行っても良い。また、見積もり処理部83は、見積もり処理の際、カーナビ装置39から現在位置データを取得し、取得された現在位置データを出発地データとしても良い。
【0058】
見積もり処理部83は、作成された見積もりデータを、表示装置17に表示したり、プリンタ23により印刷したりすることもできる(図4Aに、見積もりデータに基づいて作成された見積書の印刷結果の一例を示す)。見積もり処理部83は、例えば、作成された見積もりデータの承認が得られた場合、或いは、センタシステム3において承認済みの見積もりデータを取得した場合(例えば、見積もりIDを検索キーに見積もりデータ記憶域88から見積もりデータを取得した場合)、その見積もりデータに含まれるタクシー料金を、利用者が支払うべき料金として決定する(つまり、そのタクシー料金を確定する)。利用者は、決定されたタクシー料金をタクシー7の運転手に支払うことにより、先払いが済んだことになる。
【0059】
制御装置27は、見積もりデータに含まれるタクシー料金の支払いを受けた旨の入力を例えば運転手から受けた場合、見積もりデータに含まれるタクシー料金が確定したものとしての処理を実行することができる。例えば、見積もり処理部83は、見積もりデータに含まれる情報の全て又は一部を記載したものを領収書としてプリンタ23から印刷することができる(図4Bに、見積もりデータに基づいて作成された領収書の印刷結果の一例を示す)。また、例えば、制御装置27は、支払い済みを意味するデータと、支払い済みの見積もりデータに関する情報(例えば、見積もりデータの全部又は見積もりID)とをセンタシステム3に送信する。センタシステム3では、受信した情報に基づいて、決済処理(例えば財務処理)を実行することができる。また、例えば、制御装置27は、タクシー7の走行に応じてタクシー料金を算出し(つまり、通常処理部81によってタクシー料金を算出し)、その結果に関する情報(例えば、走行距離及び/又は走行時間長とタクシー料金)をセンタシステム3に送信しても良い(但し、算出されたタクシー料金が、先に支払われた(見積もられ決済された)タクシー料金を超えることがあっても利用者に請求されない)。その場合、センタシステム3は、受信したその情報に基づいて、料金計算データ記憶域35内の料金計算データ等、見積もり処理の際に利用するデータを更新してもよい。それにより、今後の見積もり処理の正確性を高めることができる。
【0060】
以上、上述した実施形態によれば、利用者は、複数の支払い方法の中から所望の支払い方法を選択し、選択した支払い方法で、タクシー料金を支払うことができる。その際、先払いを選んだ場合、利用者は、乗車時間長が交通渋滞等により長くなっても一旦払った料金よりも多くの料金を請求されることがないので、安心して乗っていることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るタクシー料金事前決定システムのハードウェア構成例の概要を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るタクシー料金事前決定システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図3】図3Aは、利用者データの構成例を示す。図3Bは、料金計算データの構成例を示す。図3Cは、配車計画結果データの構成例を示す。
【図4】図4Aは、見積書の印刷結果の一例を示す。図4Bは、領収書の印刷結果の一例を示す。
【符号の説明】
【0063】
3…センタシステム 5…利用者端末 6…事務所端末 7…タクシー 9…操作部 13…制御装置 14…入力装置 15…記憶装置 16…出力装置 17…表示装置 21…通信インターフェース装置(通信I/F) 23…プリンタ 25…カードリーダライタ 27…制御装置 29…記憶装置 31…利用者データ記憶域 32、88…見積もりデータ記憶域 33、51…地図データ記憶域 35、45…料金計算データ記憶域 36…車両データ記憶域 37…料金処理部 38…配車計画処理部 39…カーナビ装置 41…配車計画結果データ記憶域 80…処理選択部 81…通常処理部 83…見積もり処理部 85…料金決定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ記憶域から地図データを読み込む地図データ読込み手段と、
料金計算データ記憶域から料金計算データを読み込む料金計算データ読込み手段と、
出発地に関する出発地データを入力する出発地データ入力手段と、
目的地に関する目的地データを入力する目的地データ入力手段と、
前記読み込まれた地図データ及び料金計算データと、前記入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出し、前記算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着するために支払うべきタクシー料金として決定する料金事前決定手段と
を備え、前記タクシー料金が決定された後は、前記タクシーの走行に関わらず、前記決定したタクシー料金を変更しないことを特徴とする、
タクシー料金事前決定システム。
【請求項2】
前記決定されたタクシー料金を含んだ情報を見積書及び/又は領収書として印刷する印刷手段を更に備える請求項1記載のタクシー料金事前決定システム。
【請求項3】
料金変更要素を入力する料金変更要素入力手段を更に備え、
前記料金計算データには、料金変更要素に基づく料金変更ルールを表す料金変更ルールデータが含まれており、
前記料金事前決定手段は、前記入力された料金変更要素と前記読み込まれた料金計算データ中の料金変更ルールデータとに基づいて変更分の料金を決定し、前記決定した変更分の料金に基づいて前記タクシー料金を算出する、
請求項1又は請求項2に記載のタクシー料金事前決定システム。
【請求項4】
前記利用者が前記目的地に到着するまでのタクシー料金を前記タクシーの走行に応じて算出し、算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着した後に、その目的に到着するために支払うべきタクシー料金として決定する料金事後決定手段と、
前記料金事前決定手段と前記料金事後決定手段とを選択的に採用する選択手段と
を更に備える請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のタクシー料金事前決定システム。
【請求項5】
複数のタクシーの各々に搭載される端末であるタクシー端末と、
前記複数のタクシーの各々に搭載された端末と通信可能なセンタシステムと
を備え、
前記センタシステムが、
前記利用者からタクシーの利用の引合いに関する引合い条件を入力する引合い条件入力手段と、
前記入力された引合い条件に基づいて、前記複数のタクシーのうちのどれをいつどこに配車するかの配車条件を決定する配車条件決定手段と、
前記決定された配車条件に該当するタクシーのタクシー端末に、前記決定された配車条件を送信する配車条件送信手段と
を備え、
前記タクシー端末が、
配車条件を記憶するための配車条件記憶域と、
前記センタシステムから配車条件を受信し、受信した配車条件を前記配車条件記憶域に設定する配車条件設定手段と、
前記設定された配車条件を表示する表示手段と
を備え、
前記料金事前決定手段が、前記配車条件に基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出する、
タクシー料金事前決定システム。
【請求項6】
地図データ記憶域から地図データを読み込むステップと、
料金計算データ記憶域から料金計算データを読み込むステップと、
出発地に関する出発地データを入力するステップと、
目的地に関する目的地データを入力するステップと、
前記読み込まれた地図データ及び料金計算データと、前記入力された出発地データ及び目的地データとに基づいて、利用者が前記目的地に到着する前に、前記目的地に到着するために前記利用者が支払うべきタクシー料金を算出し、前記算出されたタクシー料金を、前記利用者が前記目的地に到着するために支払うべきタクシー料金として決定するステップと
を有し、前記タクシー料金が決定された後は、前記タクシーの走行に関わらず、前記決定したタクシー料金を変更しないことを特徴とする、
タクシー料金事前決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−259864(P2006−259864A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73263(P2005−73263)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】