説明

タグリーダ

【課題】 受信信号に含まれている搬送波成分だけを選択的に減衰させることができるタグリーダを提供する。
【解決手段】 リーダライタ11の受信回路16に、アノードを共通に接続したダイオード33及びツェナーダイオード34の直列回路を2組逆並列接続して構成し、ツェナー電圧VZを調整することで、受信信号の極性に応じて、当該信号の電圧範囲より、受信回路16の入力電圧許容範囲を減じた値の1/2以下に相当するレベルで搬送波成分を減衰させる波形整形回路15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信タグに搬送波を送信し、その搬送波が前記非接触通信タグによって変調されることで生成される応答信号を受信して復調するタグリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触通信タグシステムは、タグリーダ(若しくはリーダライタ)側が送信する搬送波信号によってRFタグなどの非接触通信タグに動作電力を供給しながら、タグリーダと非接触通信タグとが無線通信を行うようになっている。近年、両者間の通信距離をより長くしたいというニーズが高くなっているため、タグリーダ側の搬送波出力の向上や、受信感度の向上などが望まれている。
【0003】
例えば、タグリーダの復調回路としては、従来、回路構成が簡単である包絡線検波方式が主に採用されていたが、受信感度の向上を図るため、同期検波方式が採用されるようになってきている。ところが、タグリーダが搬送波を高いレベルで出力すると、それに伴いアンテナを介して受信する信号のレベルも上昇するため、同期検波方式を採用した場合は、同期検波回路で演算処理可能な電圧範囲に受信信号レベルを制限しなければならない。
【0004】
ここで、特許文献1には、復調後のベースバンド信号を受信するアンプについて、タグからの応答信号を十分増幅できるようにゲインを上げると、質問器(タグリーダ)が質問信号を送信する場合に受信アンプが飽和することを回避するため、(応答信号の受信時以外である)質問信号の送信時にはスイッチを閉じておき、減衰器(抵抗素子)を有効にする技術が開示されている。
【0005】
この従来技術を、上記の問題を解決するために適用することを想定すると、図9に示すような構成となる。タグリーダ(質問器)1の制御回路2は、送信回路3及びアンテナ4を介してタグ5に搬送波を送信する。すると、タグ5は給電されて動作し、搬送波を負荷変調することで応答する。また、タグリーダ1は、タグ5からの応答信号を常時減衰器6を介して受信するようにして、受信回路7により復調して制御回路2に出力する。即ち、搬送波信号の最大振幅の大きさが問題であるから、受信側の減衰器6は常に有効とする必要がある。
【特許文献1】特開平11−298366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図9のような構成を採用すると、受信信号に含まれる搬送波成分のレベルが低下すると同時に非接触通信タグの応答信号成分も低下してしまうため(図10(a)参照)、その分だけ受信感度が低下することになる。尚、図10(a)に示す波形は、一例としてサブキャリアを用いた負荷変調方式の通信タイプに対応するものである。また、図10(b)には、図10(a)に対応する受信信号の周波数スペクトラムを示す。従って、受信感度低下の影響により、通信距離を長くする効果を十分に得ることができないという問題があった。特に、タグリーダを小型に構成するため受信回路をIC化する場合は、許容電圧範囲が小さくなることから減衰率をより大きくする必要があり、受信感度の低下が著しくなってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、受信信号に含まれている搬送波成分だけを選択的に減衰させることができるタグリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
同期検波方式を採用するタグリーダの場合、受信信号に搬送波信号を乗算するので受信信号振幅を十分に制限する必要がある。そこで、請求項1記載のタグリーダは、受信側に、応答波に含まれる前記搬送波の成分に対する第1の増幅率に対して、応答信号の成分に対する第2の増幅率が大きくなるように設定された非線形増幅手段を具える。即ち、斯様な増幅動作は、専ら受信信号に含まれている搬送波成分を減衰させて、非接触通信タグによる応答信号成分を、タグ応答の変調時の振幅以下の信号を減衰させることで応答信号の成分を減衰させない動作と実質的に等価となる。従って、受信信号波形が整形されることで、タグリーダの受信感度を低下させることなく搬送波成分を抑圧することができ、非接触通信タグとの通信距離をより長く設定することが可能となる。尚、ここで言う「増幅率」には、「1」も含むものとする。
【0009】
請求項2記載のタグリーダによれば、非線形増幅手段における第1の増幅率を、所定の振幅以下の入力信号に対して実質的に出力振幅を発生しない増幅率に設定し、第2の増幅率を、前記所定の振幅を超える入力信号に対しては出力振幅を発生する増幅率に設定する。換言すれば、斯様な増幅手段は、前記所定の振幅以下の入力信号に対しては不感帯をもっている増幅手段と言うことができる。即ち、応答信号成分は、応答波の包絡線部分に含まれているので、第1,第2の増幅率を上記のように設定することで、応答信号成分に影響を与えることなしに搬送波成分を減衰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、非接触通信タグ及びリーダライタの構成を示す機能ブロック図である。リーダライタ(タグリーダ)11は、マイクロコンピュータで構成される制御回路12,送信回路13,アンテナ(受信手段)14,波形整形回路(非線形増幅手段)15及び受信回路16などで構成されている。
【0011】
送信回路13は、搬送波発生部17,変調回路18,出力回路19によって構成されている。搬送波発生部17が発生した搬送波信号は変調回路18及び受信回路16に供給されており、その搬送波信号は、変調回路18において制御回路12より出力される送信データに応じて変調される。被変調信号は、出力回路19において増幅されると、アンテナ14より電波信号として外部に送信される。
【0012】
一方、アンテナ14を介して受信した信号は、波形整形回路15を介して受信回路16に与えられる。受信回路16は、ミキサ(同期検波手段)20,フィルタ21,アンプ22及び二値化回路23などで構成されている。ミキサ20は、波形整形回路15を介して与えられる受信信号と、送信回路13より供給される搬送波信号とを乗算することで同期検波を行い、検波復調した信号をフィルタ21及びアンプ22を介して二値化回路23に出力する。二値化回路23は、アンプ22より与えられる復調信号に基づいて[1,0]の二値化データを生成すると、制御回路12に出力する。尚、以上の構成は、波形整形回路15を除けば、一般的なリーダライタと変わるところはない。
【0013】
RFタグ(非接触通信タグ)24は、アンテナ25,コンデンサ26,整流回路27,復調部28,制御回路29,メモリ30などで構成されている。RFタグ24は、リーダライタ11に近づくことで、当該リーダライタ11より送信された搬送波信号をアンテナ25を介して受信すると、整流回路27において搬送波信号を整流して動作用電源を生成し、マイクロコンピュータで構成される制御回路29及びその他の構成要素に供給する。また、搬送波信号に重畳されているリーダライタ11からの送信データは復調部28によって復調され、制御回路29に出力される。制御回路29は、動作用電源が供給されて起動すると、リーダライタ11からの送信データを受けてメモリ30に記憶されているデータを読み出す。
【0014】
アンテナ25に対しては、抵抗31及びスイッチ32の直列回路がコンデンサ26と共に並列接続されている。そして、制御回路29は、読み出したデータに応じてスイッチ31を開閉制御して、搬送波信号を負荷変調するようになっている。
図2は、波形整形回路15の具体的な構成を示すものである。波形整形回路15は、アノードが共通に接続されているダイオード33及びツェナーダイオード34の直列回路を、2組逆並列接続して構成されている。尚、受信信号極性の正側,負側に対応するものについて、符号の添え字を夫々「p」,「m」として示している。また、以下の説明において、正側,負側を特に区別する必要がない場合には、符号の添え字を省略する。
【0015】
次に、本実施例の作用について図3も参照して説明する。リーダライタ11の送信回路13が搬送波信号を送信していれば、その搬送波信号は、常時波形整形回路15を介して受信回路16にも与えられることになる。そして、受信される搬送波信号の振幅レベルは、20Vp-p(ピークトゥピーク)を超える場合もある。また、リーダライタ11の受信回路16をICとして構成する場合、その動作電源は3V程度となるから、ミキサ20に入力する受信信号の電圧範囲も3Vp-p以下に制限する必要がある。そこで、波形整形回路15において受信信号の電圧波形を整形することで、上記条件を満たすように電圧範囲を制限する。
【0016】
波形整形回路15に入力される受信信号の極性が正である場合は、ダイオード33p及びツェナーダイオード34pの直列回路側が通電され、受信信号の極性が負である場合は、ダイオード33m及びツェナーダイオード34mの直列回路側が通電される。そして、夫々の場合、ダイオード33の順方向電圧をVF,ツェナーダイオード34のツェナー電圧をVZとすれば、受信信号の電圧波形より(VF+VZ)分の電圧レベルを減じたものが、波形整形回路15より出力されることになる。
【0017】
図3は、図10相当図である。図3(a)に示すように、受信信号の電圧振幅をVR,受信回路16の受信可能電圧範囲をVTとすると、ツェナー電圧VZは、以下の関係を満たすように設定する。
(VF+VZ)≦(VR−VT)/2
即ち、受信信号の極性に応じて、当該信号の電圧範囲より、受信回路16の入力電圧許容範囲を減じた値の1/2以下に相当するレベルで搬送波成分を減衰させるようにする。例えばVF=0.7V,VR=20V,VT=3Vであれば、ツェナー電圧VZは、
VZ≦(20−3)/2−0.7=7.8(V)
となるように設定すれば良い。すると、波形整形回路15より出力される電圧波形は、受信信号電圧波形の包絡線に影響を及ぼすことなく、受信可能電圧範囲を超える搬送波成分の振幅を減衰させた波形となる。
【0018】
尚、上述した減衰作用は、一方では増幅作用として見ることが可能である。即ち、受信信号の電圧波形より(VF+VZ)分の電圧レベルを減じる作用は、RFタグ24により送信された応答波に含まれる搬送波成分に対して「1」未満の増幅率(第1の増幅率)で増幅を行うことに等しい。また、前記応答波に含まれる応答信号成分に対しては、増幅率「1」(第2の増幅率)で増幅を行うことに等しい。従って、波形整形回路15を増幅手段として見れば、非線形な増幅作用を行っていることになる。
【0019】
更に言えば、波形整形回路15は、所定の振幅以下の入力信号に対しては出力信号としての振幅が発生しないような増幅率で増幅を行い、前記所定の振幅を超える入力信号に対しては、出力信号としての振幅が発生する増幅率で増幅を行っている、と見ることも可能である。この場合、増幅手段としては、前記所定の振幅以下の入力信号に対しては不感帯を有していることになる。
【0020】
ここで、負荷変調によって波形振幅を変化させるような通信方式の場合、RFタグ24の応答動作により変調された応答信号成分は、受信信号波形の包絡線部分に含まれている。そして、図9に示すように受信信号を減衰器6によって一律に減衰させると、図10に示すように、受信信号に含まれる応答信号成分のレベルも低下するようにその包絡線が変化することになる。これに対して、本実施例の構成では、波形整形回路15によって受信信号に含まれている搬送波成分だけを選択的に減衰させるので、図3(a)に示すように受信信号波形の包絡線は変化せず、図3(b)に示すように応答信号の周波数成分レベルはそのまま維持されている。
【0021】
以上のように本実施例によれば、リーダライタ11の受信回路16に、受信信号の包絡線を変化させずに、専ら受信信号に含まれている搬送波成分を減衰させることで、RFタグ24による応答信号成分を減衰させないように動作する波形整形回路15を設けた。従って、リーダライタ11の受信感度を低下させることなく搬送波成分を選択的に抑圧することができ、RFタグ24との通信距離をより長く設定することが可能となる。そして、受信回路16にミキサ20を備えて同期検波を行うようにしたので、本発明を有効に適用して受信感度を向上させることができる。
【0022】
また、波形整形回路15を、アノードを共通に接続したダイオード33及びツェナーダイオード34の直列回路を2組逆並列接続して構成し、ツェナー電圧VZを調整することで、受信信号の極性に応じて、当該信号の電圧範囲より、受信回路16の入力電圧許容範囲を減じた値の1/2以下に相当するレベルで搬送波成分を減衰させるようにした。従って、交流信号である受信信号の正半波,負半波夫々について、搬送波成分の振幅を受信可能電圧範囲を超える分だけ減衰させることができる。
【0023】
(第2実施例)
図4は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例は、波形整形回路15に替えて、図4に示す波形整形回路(非線形増幅手段)41を用いる部分だけが第1実施例と相違している。波形整形回路41の信号入力端子と信号出力端子との間には、コンデンサ(第1コンデンサ)42p,ダイオード43p,コンデンサ44p(第2コンデンサ)の直列回路が接続されている。そして、ダイオード43pのアノードとグランドとの間には抵抗45p(第1抵抗)が接続され、ダイオード43pのカソードと電圧V1を与える電圧源(波形整形用電圧源)46との間には抵抗47p(第2抵抗)が接続されている。尚、コンデンサ42p,44pは、電位安定用のカップリングコンデンサである。
以上は受信信号の正半波側に対応する回路であり、受信信号の負半波側に対応する回路は、上記と同様の構成を、ダイオード43が逆方向となるようにして、信号入力端子と信号出力端子との間に並列に接続したものとなっている。
【0024】
次に、第2実施例の作用について説明する。波形整形回路41の信号入力端子に与えられる受信信号が正極性の場合、ダイオード43pが導通する。すると、波形整形回路41の信号出力端子の電位は、ダイオード43pの順方向電圧VF分低下すると共に、更にカソード側の電圧源46の電圧V1分低下する。また、受信信号が負極性の場合はダイオード43m側が導通することで、負半波側についても対称な減衰作用となる。ここで、電圧源46の電圧V1は、第1実施例におけるツェナー電圧VZと同様にして決定すれば良い。そして、正側,負側の回路が同時に動作する結果、夫々の回路の出力電圧は信号出力端子において合成され、電圧振幅は1/2となる。
【0025】
以上のように構成した第2実施例によれば、電圧原46の電圧V1を適宜設定することで、受信信号波形に含まれている搬送波成分の減衰量(即ち、第1の増幅率)を適切に調整することができる。
【0026】
(第3実施例)
図5は本発明の第3実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分についてのみ説明する。第3実施例の波形整形回路(非線形増幅手段)48は、波形整形回路41における抵抗45pに対して並列に、アノードがグランド側となるようにダイオード49pを接続し、また、抵抗47mに対して並列に、カソードが電圧源46側となるようにダイオード49mを接続したものである。
【0027】
次に、第3実施例の作用について説明する。例えば、波形整形回路48の正側について見ると、ダイオード49pのカソード電位が負側に振れた場合はダイオード49pが導通するので、カソード電位は(グランドレベル+VF)となる。即ち、入力信号波形は、(グランドレベル+VF)が振幅の下限となるように正側にシフトされる。その際、入力信号振幅は、順方向電圧VF分だけ減衰する。また、ダイオード49mは、アノード電位が正側に振れた場合に導通し、アノード電位は(V1+VF)となる。その場合も、入力信号振幅の上限は順方向電圧VF分だけ減衰する。
【0028】
そして、上記の作用に第2実施例の波形整形回路41と同様の作用が加わるため、受信信号に含まれる搬送波成分を、その極性に応じて(VS+2VF)分減衰させることができる。また、波形整形回路48の場合、正側,負側の各回路における信号振幅は倍電圧回路的な動作によって第2実施例の場合に比較して約2倍となり、それらが信号出力端子において合成される。結果として、波形整形回路48の出力電圧振幅は、波形整形回路41に比較して2倍となる。
【0029】
(第4実施例)
図6及び図7は本発明の第4実施例を示すものであり、第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。第4実施例の波形整形回路(非線形増幅手段)51は、プッシュプル接続されたPNPトランジスタ52p,NPNトランジスタ52mを出力段に配置して構成されている。トランジスタ52p,52mのエミッタは、何れも抵抗53p,53mを介して信号入力端子に接続されており、コレクタは信号出力端子に共通に接続されている。また、信号入力端子とトランジスタ52pのベースとの間には、抵抗54p,ダイオード55pの直列回路が接続されている。トランジスタ52pのベースとグランドとの間には、抵抗56p及びコンデンサ57pの並列回路が接続されている。一方、トランジスタ52m側についても、上記と略対称に構成される回路が接続されているが、ダイオード55mの方向はダイオード55pと逆になっている。
【0030】
次に、第4実施例の作用について説明する。この波形整形回路51では、ダイオード55及びコンデンサ57によってピークホールド回路58を構成しており、入力信号電圧レベルをピーホールドするようになっている。例えば、正側に対応する回路において、トランジスタ52pのベース電位(ピークホールド電圧)を検波電圧Vpとし、抵抗56pの端子電圧をVRとすると、
Vp=Vin−VR−VF
となる。そして、トランジスタ52pのエミッタ電位は、検波電圧Vpにベース−エミッタ間Vbeを加えたものとなるので、エミッタ抵抗53pには、入力電圧Vinと、(Vp+Vbe)との差に応じた電流が流れる。従って、信号出力端子であるトランジスタ52pのコレクタには、(Vin−Vp−Vbe)を増幅した電圧が出力される。即ち、受信信号に含まれる搬送波成分は(Vp+Vbe)だけ減衰される。
【0031】
尚、負側の回路についても動作は対称であり、負側の入力電圧Vinに対して(VR+VF)だけ上回る検波電圧Vmがコンデンサ57mによってピークホールドされ、トランジスタ52mのエミッタ電位は、検波電圧VmよりVbeを減じたものとなるので、トランジスタ52mのエミッタには、(Vin+Vbe+Vp)を増幅した電圧が出力される。
そして、トランジスタ52の増幅作用の結果、応答信号によって搬送波が振幅変調されることで包絡線に落差がある部分は、その落差がより大きくなるように増幅されるため、図7(a)に示すように、入力信号に含まれているRFタグ24の応答信号成分は増幅される(包絡線の変化分がより大きくなっている。つまり、第2の増幅率が「1」を超えていることになる)。即ち、図7(b)に示すように、受信信号に含まれる搬送波信号成分のレベルが低下するのに対し、応答信号成分のレベルは上昇するようになる。
【0032】
以上のように第4実施例によれば、波形整形回路51は、正側,負側ピークホールド回路58p,58mによって、入力信号電圧を所定レベルだけ減衰させると共に2つのトランジスタ52p,52mのベース電位を、入力信号の極性に応じて夫々ピークホールドする。そして、出力段に配置されるトランジスタ52p,52mは、ベース電位と、エミッタに抵抗53p,53mを介して印加される受信信号電圧との差に応じて、RFタグ24の応答信号成分をなす受信信号の包絡線の変化分を増幅する。従って、受信信号に含まれる搬送波成分を、抵抗54の端子電圧及びダイオード55の順方向電圧分だけ減衰させると共に、応答信号成分を増幅することができる。
【0033】
(第5実施例)
図8は本発明の第5実施例を示すものであり、第4実施例と異なる部分についてのみ説明する。第5実施例の波形整形回路(非線形増幅手段)61は、第5実施例の波形整形回路51における抵抗56(p,m)をダイオード62(p,m)に置き換え、ピークホールド回路63(p,m)を構成したものである。第4実施例においては、抵抗56の端子電圧VRは、当該抵抗56を介して流れる電流に依存して変動する。これに対して、第5実施例の波形整形回路61では、抵抗56をダイオード62に置き換えたことで、端子電圧VRは一定の順方向電圧VFとなる。従って、入力信号振幅が変化する場合でも、出力信号の振幅変化を抑制することができる。
【0034】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例に限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
第1実施例において、ダイオード33及びツェナーダイオード34を、カソードを共通に接続しても良い。
第4,第5実施例において、バイポーラトランジスタに替えてFETを使用しても良い。
変調方式は振幅変調に限ることなく、位相変調であっても良い。
リーダライタに限ることなく、データの読取り機能だけを備えたタグリーダに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例であり、非接触通信タグ及びリーダライタの構成を示す機能ブロック図
【図2】波形整形回路の具体的構成を示す図
【図3】(a)は、波形整形回路の入力側と出力側とにおける受信信号波形を示す図、(b)は(a)に対応する受信信号の周波数スペクトラムを示す図
【図4】本発明の第2実施例を示す図2相当図
【図5】本発明の第3実施例を示す図2相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図2相当図
【図7】図3相当図
【図8】本発明の第5実施例を示す図2相当図
【図9】従来技術を示す図1相当図
【図10】図3相当図
【符号の説明】
【0036】
図面中、11はリーダライタ(タグリーダ)、13は送信回路、14はアンテナ(受信手段)、15は波形整形回路(非線形増幅手段)、16は受信回路、20はミキサ(同期検波手段)、24はRFタグ(非接触通信タグ)、41は波形整形回路(非線形増幅手段)、48は波形整形回路(非線形増幅手段)、51は波形整形回路(非線形増幅手段)、61は波形整形回路(非線形増幅手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信タグに搬送波を送信し、前記搬送波が前記非接触通信タグ内おいて応答信号により変調され、送信された前記搬送波の成分及び前記応答信号の成分を含む応答波を受信する受信手段と、送信した搬送波を混合して同期検波を行う同期検波手段とを具えたタグリーダにおいて、
前記応答波に含まれる前記搬送波の成分に対する第1の増幅率に対して、前記応答信号の成分に対する第2の増幅率が大きくなるように設定された非線形増幅手段を具え、
前記非線形増幅手段を、前記受信手段と前記同期検波手段との間に接続したことを特徴とするタグリーダ。
【請求項2】
前記非線形増幅手段が有する前記第1の増幅率は、所定の振幅以下の入力信号に対して実質的に出力振幅を発生しない増幅率であり、前記第2の増幅率は、前記所定の振幅を超える入力信号に対しては出力振幅を発生する増幅率であるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のタグリーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−74579(P2006−74579A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257136(P2004−257136)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】