タグ装置、品質管理システム、および、品質管理方法
【課題】物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ること。
【解決手段】物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置50において、物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部(センサ50k)と、測定部によって測定された環境情報を記録する記録部(不揮発性メモリ50i)と、記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部(CPU50f)と、算出部によって算出された取引価格に関する情報を表示装置(不揮発性表示部50e)に表示させる表示部(CPU50f)とを有する。
【解決手段】物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置50において、物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部(センサ50k)と、測定部によって測定された環境情報を記録する記録部(不揮発性メモリ50i)と、記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部(CPU50f)と、算出部によって算出された取引価格に関する情報を表示装置(不揮発性表示部50e)に表示させる表示部(CPU50f)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ装置、品質管理システム、および、品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鮮度管理の指標としての魚肉鮮度判定恒数K値を算出し、購入時等において、当該K値に基づいて鮮度を判定することができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−354311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示される技術では、鮮度についてはK値に基づいて判断できるが、取引価格についてはK値からは判断できない。このため、当該K値に基づいて取引価格を決定しようとすると、取引価格を決定するための計算を別途行う必要が生じて煩雑であるという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に得ることが可能なタグ装置、品質管理システム、および、品質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置において、前記物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定された環境情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【0006】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記物品は、複数の流通業者を経由して流通され、前記算出部は、直前の流通業者が保管した際に記録された環境情報に基づいて、つぎの流通業者に対して当該物品を受け渡す際の取引価格を算出することを特徴とする。
この構成によれば、直前の流通業者の保管状況に応じて、つぎの流通業者に物品を受け渡す際の取引価格が算出されるので、保管状況に応じた取引価格を知ることができる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記記録部は、取引価格を決定するための原価と、各流通過程における利益率に関する情報を記録しており、前記算出部は、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報に基づいて前記取引価格を算出することを特徴とする。
この構成によれば、原価と、利益率に関する情報と、環境情報に基づいて取引価格を簡易に算出することができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記表示装置は、タグ装置の本体から着脱可能とされ、表示装置がタグ装置の本体から取り外された場合には、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報を削除することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、消費者に対し物品を売却する際に、表示装置を取り外すことにより、原価、利益率、および、環境情報等の情報を削除し、消費者に不必要な情報を与えることを防止できる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記物品はボトル詰めされたワインであり、前記表示装置は、前記ボトルの底に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、上に向けて配置されることが多いボトルの底に表示装置を配置することにより、視認性を高めることができる。
【0010】
また、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理システムにおいて、前記タグ装置は、前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定された情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【0011】
また、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理方法において、前記タグ装置は、前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定ステップと、前記測定ステップによって測定された情報を記録する記録ステップと、前記記録ステップにおいて記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出ステップと、前記算出ステップによって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示ステップとを有することを特徴とする。
この方法によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の品質管理方法は、品質管理システムの動作として説明する。
【0014】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る品質管理システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、品質管理システムは、ホストコンピュータ10、ネットワーク20、端末装置30−0〜30−7、リーダライタ40−0〜40−7、および、タグ装置50を主要な構成要素としている。
【0015】
ここで、ホストコンピュータ10は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を主要な構成要素とし、HDDに格納されているアプリケーションプログラムを実行することにより、リーダライタ40−0〜40−7によって読み取られた情報を端末装置30−0〜30−7およびネットワーク20を介して取得し、管理する。ホストコンピュータ10は、個々の製造業者との契約により割り当てられた商品ごとの個別情報と品質記録情報とを保存する。また品質記録の問い合わせに対しては予め定められた顧客認証手続きにより、登録のない場合は登録を要求し、正常に登録されている問い合わせ元に対しては品質記録情報などをあらかじめ定められた手順に基づいて開示する。開示する情報やデータの形式などは任意に設定、変更することができる。ネットワーク20は、例えば、インターネットによって構成され、ホストコンピュータ10および端末装置30−0〜30−7の間において情報をパケット化して送受信する。端末装置30−0〜30−7は、前述したホストコンピュータと同様の構成とされ、図示せぬCPU、ROM、RAM、HDD等を主要な構成要素とし、HDDに格納されているアプリケーションプログラムを実行することにより、リーダライタ40−0〜40−7によって読み出された情報を格納するとともに、格納した情報をホストコンピュータ10に転送する。リーダライタ40−0〜40−7は、品質管理の対象となる製品が通過する各流通過程に配備され、製品に付されたタグ装置50に記録された情報を読み出して確認を行うとともに、各流通過程に固有な情報その他をタグ装置50に書き込む処理を行う。なお、リーダライタ40−0〜40−7は筐体に組み込んだハンディターミナルのような形態であったり、あるいは商品の入庫、出庫の検査をするラインに取り付けるモジュール機器のような形態であったりしてもよい。また消費者が使えるようにパーソナルコンピュータの汎用インタフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)等)に接続して使うものでもよい。なお、この実施の形態では、品質管理の対象となる物品はワイン(特に厳格な管理を要求されるAOC(原産地統制呼称ワイン)やVDQS(優良品質限定ワイン)等の高級ワイン)であり、タグ装置50は、後述するようにワインのボトルに取り付けられている。また、端末装置30−0およびリーダライタ40−0は製造業者に配備され、端末装置30−1およびリーダライタ40−1は運送業者に配備され、端末装置30−2,30−3およびリーダライタ40−2,40−3は卸業者に配備され、端末装置30−4およびリーダライタ40−4は運送業者に配備され、端末装置30−5,30−6およびリーダライタ40−5,40−6は小売業者に配備され、端末装置30−7およびリーダライタ40−7は消費者のもとに配備されているものとする。
【0016】
図2は、図1に示すリーダライタ40−0〜40−7の構成例を示す図である。なお、リーダライタ40−0〜40−7は同様の構成とされているので、以下では、これらをリーダライタ40として説明する。リーダライタ40は、図2に示すように、通信部40a、ROM40b、変復調回路40c、入力部40d、RAM40e、CPU40f、表示部40g、I/F(Interface)40hを主要な構成要素としている。ここで、通信部40aは、アンテナを有し、当該アンテナを介してタグ装置50との間で無線によって情報を授受するとともに、電磁誘導によりタグ装置50に電力を給電する。ROM40bは、プログラムおよびデータを格納しており、ROM40bに格納されているこれらのプログラムおよびデータに基づいてCPU40fが処理を実行することにより、装置の各部が制御される。変復調回路40cは、CPU40fから供給された情報に基づいて搬送波を変調し、通信部40aを介してタグ装置50に送信するとともに、タグ装置50から送信され、通信部40aによって受信された搬送波に重畳されている情報を復調してもとの情報を抽出する。入力部40dは、例えば、キーボード等に入力デバイスによって構成され、操作者の操作に応じた情報を生成して出力する。RAM40eは、CPU40fがROM40bに格納されているプログラムを実行する際にワーキングエリアとして使用される。CPU40fは、ROM40bに格納されているプログラムを実行することにより、装置の各部を制御する中央演算ユニットである。表示部40gは、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、CPU40fから供給された情報を表示する。I/F40hは、リーダライタ40との間で情報を授受する際にデータの表現形式を変換する処理を実行する。なお、I/F40hは、例えば、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、または、携帯電話キャリアと接続するための通信回路であってもよい。また、入力部40dおよび表示部40gは、リーダライタ40がパーソナルコンピュータと接続される場合には、パーソナルコンピュータの表示部および入力部を使用するようにしてもよい。
【0017】
図3は、図1に示すタグ装置50の構成例を示す図である。タグ装置50は、図3に示すように、通信部50a、メモリ50b、変復調回路50c、充電監視回路50d、不揮発性表示部50e、CPU50f、バッテリ50g、電源回路50h、不揮発性メモリ50i、時計50j、および、センサ50kを主要な構成要素としている。ここで、通信部50aは、アンテナを有し、当該アンテナを介してリーダライタ40との間で無線によって情報を授受するとともに、電磁誘導によりリーダライタ40から電力を受電する。メモリ50bは、ROMおよびRAM等によって構成され、ROMはプログラムおよびデータを格納しており、これらのプログラムおよびデータに基づいてCPU50fが処理を実行することにより、装置の各部が制御される。また、RAMはCPU50fがROMに格納されているプログラムを実行する際にワーキングエリアとして使用される。変復調回路50cは、CPU50fから供給された情報に基づいて搬送波を変調し、通信部50aを介してリーダライタ40に送信するとともに、リーダライタ40から送信され通信部50aによって受信された搬送波に重畳されている情報を復調してもとの情報を抽出する。充電監視回路50dは、リーダライタ40から送信された電力に基づいてバッテリ50gを充電するとともに、バッテリ50gの充電状態を監視し、監視結果をCPU50fに伝える。不揮発性表示部50eは、例えば、電気泳動方式に基づく表示装置等によって構成され、電源の供給を遮断した後も表示した内容を長期(例えば、2週間)に亘って保持することができる。CPU50fは、メモリ50bに格納されているプログラムを実行することにより、装置の各部を制御する中央演算ユニットである。バッテリ50gは、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池によって構成され、直流電力を発生して電源回路50hに供給する。なお、二次電池の代わりに、例えば、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)等を使用することも可能である。電源回路50hは、バッテリ50gから供給された直流電力の電圧が一定になるように制御するとともに、得られた一定電圧の直流電力を装置の各部に供給する。不揮発性メモリRAM50iは、後述するように、センサ50kによって測定された環境に関するデータ(以下、「環境データ」と称する)および日時データを格納するとともに、管理する対象となる物品であるワインに関する情報を記憶する。時計50jは、例えば、RTC(Real Time Clock)によって構成され、日時情報を生成して出力する。また、時計50jは、設定された日時になるとタイマ割り込みを発生する。センサ50kは、例えば、温度センサ、湿度センサ、傾斜センサ、および、照度センサ等を有し、品質管理の対象となるワインが配置される環境に関する環境データを取得して出力する。なお、温度センサは、ワインが配置される環境の温度を検出し、湿度センサは同環境の湿度を検出し、傾斜センサはワインが充填されたボトルの傾きを検出し、照度センサはワインが配置される環境の照度を検出する。
【0018】
図4は、タグ装置50をボトルワイン70のボトル71に取り付けた例を示す図である。図4の例では、ボトルワイン70のボトル71の内部には液体のワイン73が充填されるとともに、口にはコルク栓72が挿入されている。ボトル71の底部のガラス内にはタグ装置50が封入され、タグ装置50には接続ケーブル55を介して不揮発性表示部50eが接続されている。なお、詳細な図示は省略するが、センサ50kのうち、温度センサについてはボトル71に接触するように配置されており、ボトル71の温度を検出して出力する。湿度センサは、検出部がボトル71の外側に露出するように配置されており、ボトル71が置かれている環境の湿度を検出して出力する。傾斜センサは、例えば、コルク栓72がワイン73によって湿潤した状態となる理想的な角度において出力「0度」が得られるように取り付け角度が調整されている。照度センサは、ボトル71に照射される光の照度が検出できるように、検出部がボトル71の外側に露出するように配置されている。
【0019】
図5は、タグ装置50をボトルワイン80のボトル81に取り付けた他の例を示す図である。図5の例では、ボトルワイン80のボトル81の内部には液体のワイン83が充填されるとともに、口にはコルク栓82が挿入されている。また、ボトル81の底のくぼみ内には、タグ装置50が取り付けられるとともに、樹脂84によってタグ装置50が封止されている。また、タグ装置50には接続ケーブル55を介して不揮発性表示部50eが接続されている。詳細な図示は省略するが、各種センサの配置状態は、前述した場合と同様である。なお、以下では、ボトルワイン70を例に挙げて説明するが、図4または図5のどちらの構成を採用してもよい。
【0020】
図6は、ボトルワイン70に取り付けられたタグ装置50とリーダライタ40との間の通信の形態を示す図である。図6(A)の例では、通信対象となるボトルワイン70が1本の場合であり、このような場合にはボトルワイン70に取り付けられたタグ装置50とリーダライタ40とは1対1の通信を行う。一方、図6(B)に示すように、通信対象となるボトルワイン70が複数存在する場合には、通信モジュール90を介して通信を行うようにしてもよい。すなわち、図6(B)の例では、輸送コンテナのように複数のボトルワイン70が配置されている場合には、コンテナの内部に個々のボトルワイン70と通信可能な通信モジュール90を設置し、外部のリーダライタ40とコンテナ内部のボトルワイン70のタグ装置50との通信を仲介するようにしてもよい。
【0021】
(B)実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。なお、以下では、ボトルワイン70の流通過程と、それぞれの流通過程におけるタグ装置50の動作を説明した後、タグ装置50において実行される処理の詳細について説明する。
【0022】
(B−1)ボトルワインの流通過程における動作
まず、図7を参照して、ボトルワイン70の流通過程と、各流通過程において記録される情報について説明する。まず、エリア0の製造業者では、ワインを製造し、ボトル71に詰めてボトルワイン70とし、出荷可能な状態にする(P1)。ボトル詰めが終了すると、ボトル71に組み込んであるタグ装置50に対して、リーダライタ40−0を用いて、初期情報を書き込む(P2)。初期情報としては、図8に示す情報と、図9に示す情報とが存在する。図8は、初期情報として書き込まれる情報の一例を示している。この例では、初期情報としては、図8(A)に示す商品固有の情報と、図8(B)に示す流通過程における各エリアに関する情報とが存在する。より具体的には、図8(A)に示す例では、「メーカ名」、「商品名」、「製造工場番号」、「製造番号」、および、「商品原価」が存在し、この例では、これらはそれぞれ「ABC」、「DEF」、「ABC12345」、「DEF54321」、および、「100,000」とされている。また、図8(B)に示すように、流通過程における各エリアに関する情報としては、各エリアに配置されたリーダライタ40−0〜40−7が有する「ID」、「エリア番号」、「記録頻度」、「マージン」、および、「通過チェック」が存在する。ここで、「ID」はリーダライタ40−0〜40−7がそれぞれ有する固有の情報であり、タグ装置50の情報を読み書きする際に、リーダライタ40−0〜40−7から送信される。IDを受信したタグ装置50では、格納されているいずれかのIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には正規のリーダライタであるとして、情報の読み書きを開始し、それ以外の場合には読み書きを拒否する。「エリア番号」は、各IDを有するリーダライタが属するエリアの番号である。また、「記録頻度」は、環境データを測定して記録する頻度を示し、例えば、「24h」は24時間で1回記録することを示す。「マージン」は、所定のエリアからつぎのエリアの流通業者にボトルワイン70が引き渡される際の差額金(利ざや)の基準を示す。「通過チェック」は、初期状態では「0」とされ、各リーダライタによって情報の読み書きがなされた場合に「1」に変更され、当該エリアを通過したことを示す。なお、図8(B)の第1行目の情報は、「エリア0」では、リーダライタのIDは「00000」であり、記録頻度は「24h」で1回であり、マージンは「10%」であることを示している。また、この例では、通過チェックは未チェック「0」とされている。
【0023】
図9は、各エリアにおいて測定された環境データの格納状態を示している。この例では、エリア0〜6までの領域が確保されている。エリア0については、測定日時、温度、湿度、傾斜、および、照度を示すデータが格納され、他のエリアについては初期値である「FF」が格納されている。本実施形態では、各エリアに保管される最長の時間と記録頻度が予め分かっていることから、初期情報の書き込み時においては、不揮発性メモリ50iに、エリア毎に必要な領域が確保されるとともに、各領域に対して初期値である「FF」の書き込みが実行される。
【0024】
つまり、図7に示す初期情報の書き込み(P2)時には、リーダライタ40−0によって、図8(A)および(B)に示す情報が、タグ装置50の不揮発性メモリ50iに対して書き込まれるとともに、図9に示すように、各エリアに対応する領域が不揮発性メモリ50iに確保されて初期値「FF」が書き込まれる。また、エリア0を経由したことから、図8(B)に示すエリア0に対応する通過チェックを「0」から「1」に変更する。さらに、このとき、充電監視回路50dは、リーダライタ40−0から送信された電力に基づいて、バッテリ50gを充電し、満充電の状態とする。初期情報が書き込まれると、タグ装置50は、図8(B)の最初に格納されている情報(エリア0の情報)の記録頻度(24h)を取得し、これを時計50jに設定するとともに、消費電力の少ないスリープモードに移行する。その結果、時計50jは24時間毎に割り込みを発生するので、CPU50fは、割り込みが発生すると、スリープモードから通常動作モードに移行し、その時点の日時および環境データを時計50jおよびセンサ50kからそれぞれ取得して不揮発性メモリ50iに格納し、格納が終了するとまたスリープモードに戻る。一方、リーダライタ40−0は、タグ装置50に書き込んだ初期情報を、端末装置30−0に送信する。端末装置30−0では受信した初期情報をデータベースに保存するとともに、ホストコンピュータ10に送信する。ホストコンピュータ10では、受信した情報をデータベースに保存する。初期情報の書き込みが完了すると、ボトルワイン70は、製造業者の倉庫に、例えば、1ヶ月間保管される(P3)。倉庫に保管されている際、タグ装置50は、前述したように、24時間毎にスリープモードから通常動作モードに移行し、環境データと日時データを取得して不揮発性メモリ50iのエリア0に対応する領域に格納し、再度、スリープモードに移行する。このような動作を繰り返すことにより、倉庫に保管されている際の環境データを取得して格納することができる。格納されるデータの具体例としては、図9に示すように「測定日時」、「温度」、「湿度」、「傾斜」、および、「照度」がある。図9の場合、第1行目には「測定日時」として「FST:2008/11/20 5:21」が格納され、「温度」として「13.5」(℃)が格納され、湿度として「60.5」(%)が格納され、傾斜として「20.5」(度)が格納され、照度として「110」(lx)が格納されている。ここで「FST」はFrench Summer Timeの略であり、フランス夏時間であることを示している。なお、ボトルワイン70の運送によってタイムゾーンが変わる場合には、リーダライタ40によって情報を読み書きする際に、時計50jの発生する日時が更新される。
【0025】
センサ50kは、検出された環境データが正常な範囲でない場合には、割り込みを発生し、異常が発生していることをCPU50fに通知する。より詳細には、センサ50kは、例えば、温度に関しては、図10に示すように、検出した温度がワインの保管に最適な12〜14℃の範囲(最適温度範囲Z0)である場合には、割り込みを発生しない。しかしながら、0〜12℃または14〜20℃の範囲(要注意温度範囲Z1,Z3)では、例えば、2時間に1回の割合で割り込みを発生する。また、0℃未満または20℃を超える範囲(危険温度範囲Z2,Z4)では、例えば、1時間に1回の割合で割り込みを発生する。センサ50kから割り込みが発生した場合には、CPU50fは、設定されている記録頻度に拘わらず、センサ50kから取得した環境データと日時データとを不揮発性メモリ50iに記録する。これにより、環境の異常が発生した場合には、異常な状況を逃さずに正確に記録することができる。なお、以上では、温度に関する場合を例に挙げて説明したが、湿度、傾斜、および、照度のそれぞれについても、図10に示すような範囲を設定し、最適範囲を逸脱した場合に、割り込みを発生するようにすればよい。湿度については、例えば、60〜70%を最適範囲とし、70〜80%および50〜60%を要注意範囲とし、80%以上および50%未満を危険意範囲とする。傾斜の場合は、例えば、−5〜+5度の範囲を最適範囲とし、−15〜−5度および+5〜+15度の範囲を要注意範囲とし、−25度未満および+25度以上の範囲を危険範囲とする。照度については、0〜50lxを最適範囲とし、50〜200lxを要注意範囲とし、200lx以上を危険範囲とする。そして、それぞれの検出量について、温度と同様に、範囲毎に異なる頻度で割り込みを発生する。
【0026】
倉庫に保管されたボトルワイン70は、つぎに、運送業者に引き渡される。このとき、運送業者は、リーダライタ40−1によって、出荷情報の書き込みを行う(P4)。より詳細には、リーダライタ40−1からはIDとして「11111」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、つぎのエリアがエリア1であることを認識する。また、記録頻度は「1h」であることを認識するとともに、エリア1を経由したことから、エリア1の通過チェックを「0」から「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア0に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報(例えば、「EF」)を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−1から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、タグ装置50は、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア0の環境データを読み出し、最適範囲を逸脱した回数をカウントする。例えば、温度の場合には、不揮発性メモリ50iに記録されている温度データを参照し、最適温度範囲としての12〜14℃を逸脱した回数をカウントする。このような判定を、全ての環境データに対して実行する。そして、CPU50fは、各データについて、最適範囲を逸脱した回数に対応するポイントを図11に示すテーブルから取得する。例えば、温度に関して、最適範囲を逸脱した回数が0回の場合には、「100」ポイントが取得され、1回の場合には「90」ポイントが取得され、以下、同様にして逸脱回数に対応するポイントが取得される。つぎに、CPU50fは、以下の式に基づいて、全てのポイントの総和としての総ポイントPpを求める。ここで、Ktは温度に関する重み係数であり(0≦Kt≦1)の値をとる。同様に、Kh,Ki,Klは、それぞれ、湿度、傾斜、および、照度に関する重み係数であり、(0≦Kt,Ki,Kl≦1)の値をとる。なお、Kt,Kh,Ki,Klは、それぞれの検出値の重要度に応じてそれぞれの値が設定されるとともに、Kt+Kh+Ki+Kl=1となるように設定される。例えば、重要度がKt>Kh>Ki>Klである場合には、Kt=0.4,Kh=0.3,Ki=0.2,Kl=0.1と設定される。また、Ptは温度に関するポイントであり、最適範囲の逸脱回数に基づいて図11から特定される。同様に、Ph,Pi,Plは湿度、傾斜、および、照度に関するポイントであり、最適範囲の逸脱回数に基づいて図11から特定される。
(数1)
Pp=Kt・Pt+Kh・Ph+Ki・Pi+Kl・Pl・・・(1)
【0027】
つぎに、CPU50fは、不揮発性メモリ50iから図8(B)に示すエリア0に対応するマージンMを取得する。図8(B)の例では、マージンMとして「10%」が取得される。つづいて、CPU50fは、不揮発性メモリ50iから図8(A)に示す商品原価を取得する。この例では、商品原価として「100,000」(円)が取得される。そして、CPU50fは、式(1)で算出された総ポイントPpと、商品原価と、マージンとに基づいて、取引価格を算出する。例えば、温度と照度については最適範囲からの逸脱が0回であり、湿度が1回、傾斜が2回逸脱したとする場合において、総ポイントPpが80と判定されたとすると、100,000×(1+80×0.01×0.1)により、取引価格として108,000が算出される。CPU50fは、このようにして算出した取引価格と、環境データの状態を示す情報とを不揮発性表示部50eに表示する。図12は、不揮発性表示部50eに表示される情報の一例を示している。この例では、「取引価格:108,000」が表示され、「温度:★★★★★」、「湿度:★★★★☆」、「傾斜:★★★☆☆」、および、「照度:★★★★★」が表示されている。ここで、黒い星「★」はそれぞれの環境データが最適範囲に収まる割合を示し、白い星「☆」はそれぞれの環境データが最適範囲を逸脱する割合を示す。このようにして表示された情報を参照することにより、運送業者は取引価格にてボトルワイン70を製造業者から買い取るとともに、保管状況を知ることができる。
【0028】
一方、リーダライタ40−1は、タグ装置50に格納されている情報を取得する。タグ装置50から取得された情報(図8および図9に示す情報)は、端末装置30−1のデータベースに対して登録されるとともに、端末装置30−0およびホストコンピュータ10に対して送信される。そして、端末装置30−0およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。製造業者は端末装置30−0に記録されたデータを参照することにより、自エリアにおける保管状態を知ることができる。また、ホストコンピュータ10にデータを保存することにより、例えば、当該ボトルワインを購入した消費者が流通過程における状況を知ることができる。リーダライタ40−1による情報の読み書きが終了すると、運送業者は、製造業者から卸業者までボトルワインを運送する(P5)。この運送期間は、例えば、5日間程度である。運送の間、タグ装置50は、記録頻度である「1h」に基づいて、1時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア1に対応する領域に格納する。また、環境に異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を詳細に記録する。
【0029】
運送業者によってボトルワイン70が、卸業者に届けられると、卸業者はリーダライタ40−2によって入荷情報の書き込みを行う(P6)。より詳細には、リーダライタ40−2からはIDとして「22222」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア2であることを認識する。また、記録頻度は「24h」であることを認識するとともに、エリア2を経由したことから、エリア2の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア1に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−2から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されている環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア1における総ポイントPpを算出するとともに、エリア0における取引価格と、図8に示すエリア1のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回である場合において、エリア0における取引価格が「108,000」円であるとすると、総ポイントPpは「100」であり、また、エリア1のマージンは「5%」であるので、「113,400」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0030】
一方、リーダライタ40−2は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−2のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−1およびホストコンピュータ10に対して送信する。端末装置30−1およびホストコンピュータ10には同様のデータが登録される。これにより、運送業者は端末装置30−1に記録されたデータを参照することにより、自エリアにおける保管状態を知ることができる。また、ホストコンピュータ10にはそれまでの流通過程における保管状況が累積的に保存されるため、当該ボトルワインを購入した消費者が流通過程における状況を知ることができる。リーダライタ40−2による情報の読み書きが終了すると、卸業者は、運送業者から引き渡されたボトルワイン70を一時的に保管する(P7)。この一時保管期間は、例えば、1週間程度である。一時保管の間、タグ装置50は、24時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行し、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア2に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を詳細に記録する。
【0031】
一時保管期間が終了すると、卸業者は、市場の流通状況や小売店舗の在庫状況により卸業者所有の倉庫にボトルワイン70を保管する。このとき、卸売業者は、倉庫に保管する前に、リーダライタ40−3によって入庫情報の書き込みを行う(P8)。より詳細には、リーダライタ40−3からはIDとして「33333」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア3であることを認識する。また、記録頻度は「168h」であることを認識するとともに、エリア3を経由したことから、エリア3の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア2に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−3から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。なお、エリア2からエリア3への移動は、同一業者内における移動であることから、取引価格は算出されない。すなわち、CPU50fは、図8(B)に示すマージンが「−」となっていることから、取引価格の算出および表示を行わない。
【0032】
一方、リーダライタ40−3は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−3のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−2およびホストコンピュータ10に対して送信する。端末装置30−2およびホストコンピュータ10には同様のデータが登録される。リーダライタ40−3による情報の読み書きが終了すると、卸業者は、ボトルワイン70を倉庫に保管する(P9)。この保管期間は、例えば、最長で4ヶ月程度である。保管の間、タグ装置50は、168時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア3に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。なお、当該保管期間中の記録頻度は1週間に1回と非常に長いため、記録と記録の間に異常が発生することも考えられるが、そのような場合であってもセンサ50kからの割り込みによって、当該異常は1時間に1回または2時間に1回の頻度で記録される。
【0033】
卸業者の倉庫に保管されたボトルワイン70は、つぎに、運送業者に引き渡される。このとき、運送業者は、リーダライタ40−4によって、出荷情報の書き込みを行う(P10)。より詳細には、リーダライタ40−4からはIDとして「44444」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア4であることを認識する。また、記録頻度は「1h」であることを認識するとともに、エリア4を経由したことから、エリア4の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア3に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−4から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア2,3の環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア2,3における総ポイントPpを算出するとともに、エリア1における取引価格と図8(B)に示すエリア3のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア0における取引価格が「113,400」円である場合、エリア3のマージンは「20%」であるので、「136,080」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア2,3の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0034】
一方、リーダライタ40−4は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−4のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−3およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−3およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−4による情報の読み書きが終了すると、運送業者は、卸業者のもとから、小売業者のもとまでボトルワイン70を運送する(P11)。この運送期間は、例えば、5日間程度である。運送の間、タグ装置50は、1時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア4に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。
【0035】
運送業者によってボトルワイン70が、小売業者に届けられると、小売業者はリーダライタ40−5によって入荷情報の書き込みを行う(P12)。より詳細には、リーダライタ40−5からはIDとして「55555」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア5であることを認識する。また、記録頻度は「24h」であることを認識するとともに、エリア5を経由したことから、エリア5の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア4に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−5から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア4の環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア4における総ポイントPpを算出するとともに、エリア3における取引価格と図8(B)に示すエリア4のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア3における取引価格が「136,080」円である場合、エリア4のマージンは「5%」であるので、「142,884」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア4の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0036】
一方、リーダライタ40−5は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−5のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−4およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−4およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−5による情報の読み書きが終了すると、小売業者は、運送業者から引き渡されたボトルワイン70を陳列して販売する(P13)。この陳列販売期間は、例えば、2週間程度である。陳列販売の間、タグ装置50は、24時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア5に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。
【0037】
陳列販売されているボトルワイン70が消費者によって購入される際には、小売店では、リーダライタ40−6によって販売情報の書き込みを行う(P14)。より詳細には、リーダライタ40−6からはIDとして「66666」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア6であることを認識する。また、記録頻度は「168h」であることを認識するとともに、エリア6に入ったことから、エリア6の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア5に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−6から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア5の環境データに基づいて取引価格(小売価格)を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア5における総ポイントPpを算出するとともに、エリア4における取引価格と図8(B)に示すエリア5のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア4における取引価格が「142,884」円である場合、エリア5のマージンは「10%」であるので、「157,172」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア5の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0038】
一方、リーダライタ40−6は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−6のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−5およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−5およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−6による情報の読み書きが終了すると、消費者は、小売業者から購入したボトルワイン70を自宅のワインセラー等に保管し、消費する(P15)。この保管消費期間は、例えば、1ヶ月程度である。保管されている間、タグ装置50は、168時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア6に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。このように、消費者のもとにおいても、環境データを記録することにより、例えば、ワインの品質に対するクレームが消費者からなされた場合であっても、タグ装置50に記録されている環境データを参照することにより、消費者の保管状況が適切であったか否かを知り、クレームに対して適切に対応することができる。
【0039】
(B−3)タグ装置において実行される処理
図13〜図15は、タグ装置50において実行される処理の一例を示す図である。より詳細には、図13はタグ装置50において実行される処理のメインの処理を説明するフローチャートであり、図14は図13に示すステップS11の処理の詳細を示すフローチャートであり、図15は図14に示すステップS40の処理の詳細を説明するフローチャートである。図11の処理が開始されると、ステップS10において、CPU50fは、リーダライタ40から書き込みの要求がなされたか否かを判定し、書き込みの要求がなされたと判定した場合(ステップS10;Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10;No)にはステップS12に進む。ステップS11では、図14に示す書き込み処理が実行され、データの書き込みと、バッテリの充電その他の処理が実行される。なお、書き込み処理の詳細については、図14を参照して後述する。
【0040】
ステップS12では、時計50jからタイマ割り込みが発生したか否かを判定し、タイマ割り込みが発生した場合(ステップS12;Yes)にはステップS13に進み、それ以外の場合(ステップS12;No)にはステップS17に進む。より詳細には、時計50jは、図8(B)に示すように、エリア毎に予め定められた所定の間隔で割り込みを発生するので、割り込みが発生した場合には、ステップS13に進む。具体的には、エリア0では24時間毎に、また、エリア1では1時間毎に割り込みが発生するので、その際にはステップS13に進む。
【0041】
ステップS13では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。なお、スリープモードとは、割り込みの受付機能を動作状態とし、他の機能を停止している状態であり、消費電力が非常に少ない動作モードである。また、通常動作モードとは、CPU50fの全ての機能が動作可能な状態で、スリープモードに比較すると消費電力は大きい。なお、機能を停止するのではなく、スリープモードでは、例えば、動作クロックの周波数を下げることにより、消費電力を削減したり、機能の停止とクロック周波数の低下を組み合わせたりすることも可能である。
【0042】
ステップS14では、CPU50fは、環境データと日時データを取得する。すなわち、CPU50fは、センサ50kから環境データを取得し、時計50jから日時データを取得する。ステップS15では、CPU50fは、取得した環境データと日時データを不揮発性メモリ50iの対応する領域に格納する。すなわち、CPU50fは、取得した環境データと日時データを現在のエリアに対応する領域の最初に現れる「FF」に対して上書きする。ステップS16では、CPU50fは、通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0043】
ステップS17では、CPU50fは、センサ50kから割り込みが発生したか否かを判定し、割り込みが発生した場合(ステップS17;Yes)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS17;No)にはステップS22に進む。より詳細には、センサ50kは、検出した環境データが要注意範囲内である場合には、例えば、2時間に1回の頻度で割り込みを発生し、検出した環境データが危険範囲内である場合には、例えば、1時間に1回の頻度で割り込みを発生する。したがって、CPU50fは、割り込みが発生した場合には、ステップS18に進む。
【0044】
ステップS18では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。ステップS19では、CPU50fは、環境データと日時データを取得する。すなわち、CPU50fは、センサ50kから環境データを取得し、時計50jから日時データを取得する。ステップS20では、CPU50fは、取得した環境データと日時データを不揮発性メモリ50iの対応する領域に格納する。すなわち、CPU50fは、取得した環境データと日時データを現在のエリアに対応する領域の最初に現れる「FF」に対して上書きする。ステップS21では、CPU50fは、通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0045】
ステップS22では、CPU50fは、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS22;No)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS22;Yes)には処理を終了する。
【0046】
つぎに、図14を参照して、図13のステップS11に示す「書き込み処理」の詳細について説明する。この処理が開始されると、ステップS30では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。ステップS31では、CPU50fは、充電監視回路50dを制御して、バッテリ50gの充電を開始する。これにより、充電監視回路50dは、通信部50aを介してリーダライタ40から受信した電力により、バッテリ50gを充電する。
【0047】
ステップS32では、CPU50fは、初期情報の書き込みであるか否かを判定する。すなわち、CPU50fは、リーダライタ40−0からの書き込み要求である場合(ステップS32;Yes)にはステップS33に進み、それ以外の場合(ステップS32;No)にはステップS35に進む。ステップS33では、CPU50fは、通信部50aおよび変復調回路50cを介して初期情報をリーダライタ40−0から取得する。そしてステップS34に進み、取得した初期情報を不揮発性メモリ50iに書き込む。その結果、図8(A),(B)に示す情報が不揮発性メモリ50iに書き込まれる。なお、このとき、環境データを格納する領域を確保するとともに、初期値である「FF」を書き込む。
【0048】
ステップS35では、CPU50fは、リーダライタ40からIDを取得する。具体的には、リーダライタ40が正規のものである場合には、CPU50fは、図8(B)に示すいずれかのIDを取得する。ステップS36では、CPU50fは、ステップS35で取得したIDと、図8(B)に示す情報を比較し、対応するエリアを特定する。例えば、ステップS35で取得したIDが「11111」である場合には、エリア1が特定される。なお、一致するIDが存在しない場合には、正規のリーダライタではないとして書き込み処理を中止するようにしてもよい。ステップS37では、特定されたエリアの通過チェックを“1”に変更する。具体的には、ステップS36においてエリア1が特定されたとすると、エリア1に対応する通過チェック(図8(B)参照)を「1」に変更する。ステップS38では、CPU50fは、1つ前のエリアの温度データの末尾にEOF(End of File)を示す情報(例えば、EF)を書き込む。具体的には、ステップS36においてエリア1が特定されたとすると、1つ前のエリアであるエリア0の温度データの末尾に“EF”が重ね書きされる。なお、現在のエリアがエリア0の場合には、書き込みは行わない。
【0049】
ステップS39では、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記憶されている1つ前のエリアの環境データおよび日時データを、当該ボトルワイン70の製造番号とともに、変復調回路40cおよび通信部40aを介してリーダライタ40に対して送信する。なお、現在のエリアがエリア0の場合には、送信は行わない。リーダライタ40では、環境データおよび日時データを関連する端末装置30およびホストコンピュータ10に送信する。端末装置30およびホストコンピュータ10は、受信した環境データおよび日時データをデータベースに記録する。ステップS40では、CPU50fは、環境データについての評価をし、取引価格を算出する環境データ評価処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図15を参照して後述する。
【0050】
ステップS41では、CPU50fは、現在のエリアに対応する記録頻度を、不揮発性メモリ50iの図8(B)に示す情報から取得し、時計50jに対して設定する。具体的には、例えば、現在のエリアが「エリア1」である場合には、記録頻度として「1h」が不揮発性メモリ50iから取得され、時計50jに設定される。その結果、時計50jは、1時間に1回の割合で割り込みを発生するので、CPU50fは、割り込みに応じて温度データおよび日時データを取得して不揮発性メモリ50iに記録する。なお、タイムゾーンが変化した場合には、時計50jの設定を変更するようにしてもよい。例えば、タイムゾーンがFST(フランス夏時間)からJT(日本標準時間)に変化した場合には、時計50jの設定を日本標準時間に変更する。
【0051】
ステップS42では、CPU50fは、充電監視回路50dに対して、充電が終了したか否かを問い合わせ、充電が終了していない場合(ステップS42;No)には同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS42;Yes)にはステップS43に進む。ステップS43では、CPU50fは、動作モードを通常動作モードからスリープモードに移行し、もとの処理に復帰(リターン)する。
【0052】
つぎに、図15を参照して、図14に示す環境データ評価処理の詳細について説明する。このフローチャートの処理が開始されると、ステップS50では、CPU50fは、環境データを不揮発性メモリ50iから取得する。ステップS51では、CPU50fは、各環境データについて、最適範囲逸脱回数を取得する。すなわち、環境データのそれぞれについて、最適範囲を逸脱した回数をカウントし、それぞれの逸脱回数を取得する。ステップS52では、CPU50fは、各環境データについてのポイントPを図11に示すテーブルから取得する。より詳細には、CPU50fは、ステップS51において取得した各環境データについての最適範囲の逸脱回数に基づいて、図11に示すテーブルからポイントPt,Ph,Pi,Plをそれぞれ取得する。ステップS53では、当該エリアのマージンMを図8(B)に示すテーブルから取得する。例えば、エリア0からエリア1へ移行する場合には、エリア0のマージンMとして10%が取得される。ステップS54では、CPU50fは、取引価格を計算する。すなわち、CPU50fは、ステップS52で取得したポイントPt,Ph,Pi,Plと、重み係数Kt,Kh,Ki,Klとを式(1)に適用して総ポイントPpを計算する。そして、CPU50fは、直前のエリアにおける取引価格Vpと、総ポイントPpと、マージンMとに基づいて、取引価格Vを以下の式(2)に基づいて算出する。
(数2)
V=Vp×(1+Pp×0.01×M)・・・(2)
【0053】
なお、Vpとしては、エリア0の場合には、図8(A)に示される商品原価が使用され、エリア1以降では、直前のエリアにおいて算出された取引価格が使用される。例えば、エリア0において、Ppが100である場合には、V=Vp×(1+Pp×0.01×M)=100,000×(1+100×0.01×0.1)=110,000となる。また、その後、エリア1においてPpが100とされた場合には、V=Vp×(1+Pp×0.01×M)=110,000×(1+100×0.01×0.05)=115,500となる。
【0054】
ステップS55では、CPU50fは、ステップS54で計算した取引価格を不揮発性表示部50eに表示する。また、ステップS56では、CPU50fは、環境データを不揮発性表示部50eに表示する。その結果、例えば、図12に示すような情報が不揮発性表示部50eに表示される。
【0055】
以上の実施形態によれば、各流通過程において、ボトルワイン70の保管状態に応じて取引価格を自動的に決定するようにしたので、保管が適切に行われた場合には流通業者に対して相応の対価を支払うことができるため、品質管理へのインセンティブを高めることができる。また、保管が適切に行われなかった場合には、流通業者に対する対価の支払いを減らすとともに、品質管理の状況に応じた妥当な価格で消費者に販売することができる。
【0056】
また、不揮発性表示部50eを設け、取引価格と環境データに関する情報を表示するようにしたので、流通過程の各業者は、取引価格と保管状態とを容易に知ることができる。また、不揮発性表示部50eをボトル71の底部に設けるようにしたので、コルク栓72が下になるように保管されるボトルワイン70において、表示されている内容を簡単に視認することができる。
【0057】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、以上の実施の形態では、ホストコンピュータ10は1台とし、端末装置30−0〜30−7およびリーダライタ40−0〜40−7はそれぞれ8台としたが、これ以外の台数であってもよい。
また、流通拠点としては、図8に示す5カ所を例に挙げて説明したが、これ以外の流通拠点が含まれるようにしてもよい。また、流通拠点がこれよりも少なくてもよい。
【0058】
また、以上の実施の形態では、不揮発性メモリ50iに記録される情報としては、日時データと温度、湿度、傾斜、照度データの5種類としたが、これ以外の情報を含むようにしてもよい。具体的な例としては、例えば、気圧センサまたは衝撃センサを設け、これらによって検出された情報を取得して不揮発性メモリ50iに記録するようにしてもよい。これらのセンサを設けることにより、例えば、ボトルワインが、常圧とは異なる気圧にさらされて液漏れを生じたり、あるいは、ボトルに強い衝撃が加わったりしていないかを知ることができる。また、タグ装置50を備える対象の物品として、ボトルワインを例に挙げて説明したが、これ以外の物品に備えるようにしてもよい。
【0059】
また、以上の実施形態では、タグ装置50は、正規のリーダライタ以外からアクセスされた場合はアクセスを受け付けないようにしたが、不正なアクセスがなされた場合は、CPU50fが不揮発性メモリ50iに格納されている情報を自動的に削除するようにしてもよい。そのような方法によれば、不正アクセス等から情報を確実に保護することができる。
【0060】
また、不揮発性表示部50eを着脱可能な構成としてもよい。具体的には、タグ装置50と不揮発性表示部50eとを接続する接続ケーブル55の途中にコネクタを設け、当該コネクタにより不揮発性表示部50eを、タグ装置50から着脱可能な構成としてもよい。これにより、例えば、運送業者から小売業者にボトルワイン70が受け渡された後に、当該不揮発性表示部50eを取り外して商品を陳列するようにすれば、消費者に必要以上の情報が知られることを防止できる。また、接続ケーブル55に、接続の有無を検出するための検出線を設け、不揮発性表示部50eが取り外された場合には、検出線が導通状態から遮断状態となることを検出し、不揮発性メモリ50iに記録されているデータを消去するようにしてもよい。そのような構成によれば、ボトルワイン70を購入した消費者が、不揮発性メモリ50iに記録されているデータを不必要に読み出して利用することを防止できる。
【0061】
また、以上の実施形態では、取引価格と環境データに関する情報を、不揮発性表示部50eに文字として表示するようにしたが、例えば、一次元または二次元バーコードとして表示するようにしてもよい。このような構成によれば、表示されている情報を不用意に読み取られてしまうことを防止できる。また、取引価格と環境データとを、例えば、暗号にて表示するようにしてもよい。そのような構成によっても、表示されている情報を不用意に読み取られてしまうことを防止できる。
【0062】
また、以上の実施形態では、保管状態に応じてマージンを増減するようにしたが、例えば、エリア毎に予め定められた利益額を、保管状態に応じて増減するようにしてもよい。例えば、エリア0からエリア1に移行する際には、エリア0の業者の最大利益額を、例えば、10,000円に設定し、保管状態に応じてこの金額から減額するようにしてもよい。
【0063】
また、以上の実施形態では、取引価格を不揮発性表示部50eに表示するのみとしたが、例えば、当該取引価格に基づく決済を自動的に実行するようにしてもよい。すなわち、タグ装置50において算出された取引価格を、リーダライタ40を介して取得し、端末装置30またはホストコンピュータ10において電子決済を行うようにしてもよい。
【0064】
また、タグ装置50を耐タンパ構造とすることにより、不揮発性メモリ50iに格納されている情報に対する保護を強化するようにしてもよい。より詳細には、タグ装置50の図3に示す回路が封入された保護層が破壊された場合には、回路または回路パターンが動じに破壊されるようにする。これにより、保護層を破壊して、内部の回路を解析することを不可能にすることができるので、不揮発性メモリ50iに格納されている情報の保護を一層強めることができる。また、図9(A)に示す情報については、出荷後に書き換えられることはないので、不揮発性メモリ50iではなく、書き換え不能なROM40bに記録することにより、不正な改変を防止できる。
【0065】
また、以上の実施形態では、タグ装置50および不揮発性表示部50eを、ボトル71,81の底部に設けるようにしたが、例えば、コルク栓72,82内にタグ装置50を設けるとともコルク栓72,82の表面に不揮発性表示部50eを設けたり、ボトル71,81の側部にタグ装置50および不揮発性表示部50eを設けたりするようにしてもよい。
【0066】
また、以上の実施の形態では、非接触型のタグを例に説明したが、接触型のタグであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態の品質管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すリーダライタの構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示すタグ装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】ワインのボトルの底にタグ装置を取り付けた例である。
【図5】ワインのボトルの底にタグ装置を取り付けた他の例である。
【図6】リーダライタとタグ装置の通信の態様を示す図である。
【図7】ボトルワインの流通の過程を示す図である。
【図8】不揮発性メモリに書き込まれる初期情報の一例である。
【図9】不揮発性メモリに書き込まれるデータの一例である。
【図10】ワインの保管温度を示す図である。
【図11】最適範囲逸脱回数とポイントとの関係を示す図である。
【図12】不揮発性表示部に表示される情報の一例である。
【図13】タグ装置において実行される処理の一例である。
【図14】図12のステップS11の処理の詳細を説明する図である。
【図15】図13のステップS40の処理の詳細を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
10…ホストコンピュータ、20…ネットワーク、30−0〜30−7…端末装置、40−0〜40−7…リーダライタ、50…タグ装置、50a…通信部、50b…ROM、50c…変復調回路、50d…充電監視回路、50e…RAM、50f…CPU、50g…バッテリ、50h…電源回路、50i…不揮発性メモリ、50j…時計、50k…センサ、70,80…ボトルワイン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ装置、品質管理システム、および、品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鮮度管理の指標としての魚肉鮮度判定恒数K値を算出し、購入時等において、当該K値に基づいて鮮度を判定することができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−354311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示される技術では、鮮度についてはK値に基づいて判断できるが、取引価格についてはK値からは判断できない。このため、当該K値に基づいて取引価格を決定しようとすると、取引価格を決定するための計算を別途行う必要が生じて煩雑であるという問題点がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に得ることが可能なタグ装置、品質管理システム、および、品質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置において、前記物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定された環境情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【0006】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記物品は、複数の流通業者を経由して流通され、前記算出部は、直前の流通業者が保管した際に記録された環境情報に基づいて、つぎの流通業者に対して当該物品を受け渡す際の取引価格を算出することを特徴とする。
この構成によれば、直前の流通業者の保管状況に応じて、つぎの流通業者に物品を受け渡す際の取引価格が算出されるので、保管状況に応じた取引価格を知ることができる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記記録部は、取引価格を決定するための原価と、各流通過程における利益率に関する情報を記録しており、前記算出部は、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報に基づいて前記取引価格を算出することを特徴とする。
この構成によれば、原価と、利益率に関する情報と、環境情報に基づいて取引価格を簡易に算出することができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記表示装置は、タグ装置の本体から着脱可能とされ、表示装置がタグ装置の本体から取り外された場合には、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報を削除することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、消費者に対し物品を売却する際に、表示装置を取り外すことにより、原価、利益率、および、環境情報等の情報を削除し、消費者に不必要な情報を与えることを防止できる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記物品はボトル詰めされたワインであり、前記表示装置は、前記ボトルの底に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、上に向けて配置されることが多いボトルの底に表示装置を配置することにより、視認性を高めることができる。
【0010】
また、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理システムにおいて、前記タグ装置は、前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定部と、前記測定部によって測定された情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【0011】
また、本発明は、物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理方法において、前記タグ装置は、前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定ステップと、前記測定ステップによって測定された情報を記録する記録ステップと、前記記録ステップにおいて記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出ステップと、前記算出ステップによって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示ステップとを有することを特徴とする。
この方法によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品の保管状況を反映した当該物品の取引価格を簡易に知ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の品質管理方法は、品質管理システムの動作として説明する。
【0014】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る品質管理システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、品質管理システムは、ホストコンピュータ10、ネットワーク20、端末装置30−0〜30−7、リーダライタ40−0〜40−7、および、タグ装置50を主要な構成要素としている。
【0015】
ここで、ホストコンピュータ10は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を主要な構成要素とし、HDDに格納されているアプリケーションプログラムを実行することにより、リーダライタ40−0〜40−7によって読み取られた情報を端末装置30−0〜30−7およびネットワーク20を介して取得し、管理する。ホストコンピュータ10は、個々の製造業者との契約により割り当てられた商品ごとの個別情報と品質記録情報とを保存する。また品質記録の問い合わせに対しては予め定められた顧客認証手続きにより、登録のない場合は登録を要求し、正常に登録されている問い合わせ元に対しては品質記録情報などをあらかじめ定められた手順に基づいて開示する。開示する情報やデータの形式などは任意に設定、変更することができる。ネットワーク20は、例えば、インターネットによって構成され、ホストコンピュータ10および端末装置30−0〜30−7の間において情報をパケット化して送受信する。端末装置30−0〜30−7は、前述したホストコンピュータと同様の構成とされ、図示せぬCPU、ROM、RAM、HDD等を主要な構成要素とし、HDDに格納されているアプリケーションプログラムを実行することにより、リーダライタ40−0〜40−7によって読み出された情報を格納するとともに、格納した情報をホストコンピュータ10に転送する。リーダライタ40−0〜40−7は、品質管理の対象となる製品が通過する各流通過程に配備され、製品に付されたタグ装置50に記録された情報を読み出して確認を行うとともに、各流通過程に固有な情報その他をタグ装置50に書き込む処理を行う。なお、リーダライタ40−0〜40−7は筐体に組み込んだハンディターミナルのような形態であったり、あるいは商品の入庫、出庫の検査をするラインに取り付けるモジュール機器のような形態であったりしてもよい。また消費者が使えるようにパーソナルコンピュータの汎用インタフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)等)に接続して使うものでもよい。なお、この実施の形態では、品質管理の対象となる物品はワイン(特に厳格な管理を要求されるAOC(原産地統制呼称ワイン)やVDQS(優良品質限定ワイン)等の高級ワイン)であり、タグ装置50は、後述するようにワインのボトルに取り付けられている。また、端末装置30−0およびリーダライタ40−0は製造業者に配備され、端末装置30−1およびリーダライタ40−1は運送業者に配備され、端末装置30−2,30−3およびリーダライタ40−2,40−3は卸業者に配備され、端末装置30−4およびリーダライタ40−4は運送業者に配備され、端末装置30−5,30−6およびリーダライタ40−5,40−6は小売業者に配備され、端末装置30−7およびリーダライタ40−7は消費者のもとに配備されているものとする。
【0016】
図2は、図1に示すリーダライタ40−0〜40−7の構成例を示す図である。なお、リーダライタ40−0〜40−7は同様の構成とされているので、以下では、これらをリーダライタ40として説明する。リーダライタ40は、図2に示すように、通信部40a、ROM40b、変復調回路40c、入力部40d、RAM40e、CPU40f、表示部40g、I/F(Interface)40hを主要な構成要素としている。ここで、通信部40aは、アンテナを有し、当該アンテナを介してタグ装置50との間で無線によって情報を授受するとともに、電磁誘導によりタグ装置50に電力を給電する。ROM40bは、プログラムおよびデータを格納しており、ROM40bに格納されているこれらのプログラムおよびデータに基づいてCPU40fが処理を実行することにより、装置の各部が制御される。変復調回路40cは、CPU40fから供給された情報に基づいて搬送波を変調し、通信部40aを介してタグ装置50に送信するとともに、タグ装置50から送信され、通信部40aによって受信された搬送波に重畳されている情報を復調してもとの情報を抽出する。入力部40dは、例えば、キーボード等に入力デバイスによって構成され、操作者の操作に応じた情報を生成して出力する。RAM40eは、CPU40fがROM40bに格納されているプログラムを実行する際にワーキングエリアとして使用される。CPU40fは、ROM40bに格納されているプログラムを実行することにより、装置の各部を制御する中央演算ユニットである。表示部40gは、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、CPU40fから供給された情報を表示する。I/F40hは、リーダライタ40との間で情報を授受する際にデータの表現形式を変換する処理を実行する。なお、I/F40hは、例えば、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、または、携帯電話キャリアと接続するための通信回路であってもよい。また、入力部40dおよび表示部40gは、リーダライタ40がパーソナルコンピュータと接続される場合には、パーソナルコンピュータの表示部および入力部を使用するようにしてもよい。
【0017】
図3は、図1に示すタグ装置50の構成例を示す図である。タグ装置50は、図3に示すように、通信部50a、メモリ50b、変復調回路50c、充電監視回路50d、不揮発性表示部50e、CPU50f、バッテリ50g、電源回路50h、不揮発性メモリ50i、時計50j、および、センサ50kを主要な構成要素としている。ここで、通信部50aは、アンテナを有し、当該アンテナを介してリーダライタ40との間で無線によって情報を授受するとともに、電磁誘導によりリーダライタ40から電力を受電する。メモリ50bは、ROMおよびRAM等によって構成され、ROMはプログラムおよびデータを格納しており、これらのプログラムおよびデータに基づいてCPU50fが処理を実行することにより、装置の各部が制御される。また、RAMはCPU50fがROMに格納されているプログラムを実行する際にワーキングエリアとして使用される。変復調回路50cは、CPU50fから供給された情報に基づいて搬送波を変調し、通信部50aを介してリーダライタ40に送信するとともに、リーダライタ40から送信され通信部50aによって受信された搬送波に重畳されている情報を復調してもとの情報を抽出する。充電監視回路50dは、リーダライタ40から送信された電力に基づいてバッテリ50gを充電するとともに、バッテリ50gの充電状態を監視し、監視結果をCPU50fに伝える。不揮発性表示部50eは、例えば、電気泳動方式に基づく表示装置等によって構成され、電源の供給を遮断した後も表示した内容を長期(例えば、2週間)に亘って保持することができる。CPU50fは、メモリ50bに格納されているプログラムを実行することにより、装置の各部を制御する中央演算ユニットである。バッテリ50gは、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池によって構成され、直流電力を発生して電源回路50hに供給する。なお、二次電池の代わりに、例えば、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)等を使用することも可能である。電源回路50hは、バッテリ50gから供給された直流電力の電圧が一定になるように制御するとともに、得られた一定電圧の直流電力を装置の各部に供給する。不揮発性メモリRAM50iは、後述するように、センサ50kによって測定された環境に関するデータ(以下、「環境データ」と称する)および日時データを格納するとともに、管理する対象となる物品であるワインに関する情報を記憶する。時計50jは、例えば、RTC(Real Time Clock)によって構成され、日時情報を生成して出力する。また、時計50jは、設定された日時になるとタイマ割り込みを発生する。センサ50kは、例えば、温度センサ、湿度センサ、傾斜センサ、および、照度センサ等を有し、品質管理の対象となるワインが配置される環境に関する環境データを取得して出力する。なお、温度センサは、ワインが配置される環境の温度を検出し、湿度センサは同環境の湿度を検出し、傾斜センサはワインが充填されたボトルの傾きを検出し、照度センサはワインが配置される環境の照度を検出する。
【0018】
図4は、タグ装置50をボトルワイン70のボトル71に取り付けた例を示す図である。図4の例では、ボトルワイン70のボトル71の内部には液体のワイン73が充填されるとともに、口にはコルク栓72が挿入されている。ボトル71の底部のガラス内にはタグ装置50が封入され、タグ装置50には接続ケーブル55を介して不揮発性表示部50eが接続されている。なお、詳細な図示は省略するが、センサ50kのうち、温度センサについてはボトル71に接触するように配置されており、ボトル71の温度を検出して出力する。湿度センサは、検出部がボトル71の外側に露出するように配置されており、ボトル71が置かれている環境の湿度を検出して出力する。傾斜センサは、例えば、コルク栓72がワイン73によって湿潤した状態となる理想的な角度において出力「0度」が得られるように取り付け角度が調整されている。照度センサは、ボトル71に照射される光の照度が検出できるように、検出部がボトル71の外側に露出するように配置されている。
【0019】
図5は、タグ装置50をボトルワイン80のボトル81に取り付けた他の例を示す図である。図5の例では、ボトルワイン80のボトル81の内部には液体のワイン83が充填されるとともに、口にはコルク栓82が挿入されている。また、ボトル81の底のくぼみ内には、タグ装置50が取り付けられるとともに、樹脂84によってタグ装置50が封止されている。また、タグ装置50には接続ケーブル55を介して不揮発性表示部50eが接続されている。詳細な図示は省略するが、各種センサの配置状態は、前述した場合と同様である。なお、以下では、ボトルワイン70を例に挙げて説明するが、図4または図5のどちらの構成を採用してもよい。
【0020】
図6は、ボトルワイン70に取り付けられたタグ装置50とリーダライタ40との間の通信の形態を示す図である。図6(A)の例では、通信対象となるボトルワイン70が1本の場合であり、このような場合にはボトルワイン70に取り付けられたタグ装置50とリーダライタ40とは1対1の通信を行う。一方、図6(B)に示すように、通信対象となるボトルワイン70が複数存在する場合には、通信モジュール90を介して通信を行うようにしてもよい。すなわち、図6(B)の例では、輸送コンテナのように複数のボトルワイン70が配置されている場合には、コンテナの内部に個々のボトルワイン70と通信可能な通信モジュール90を設置し、外部のリーダライタ40とコンテナ内部のボトルワイン70のタグ装置50との通信を仲介するようにしてもよい。
【0021】
(B)実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。なお、以下では、ボトルワイン70の流通過程と、それぞれの流通過程におけるタグ装置50の動作を説明した後、タグ装置50において実行される処理の詳細について説明する。
【0022】
(B−1)ボトルワインの流通過程における動作
まず、図7を参照して、ボトルワイン70の流通過程と、各流通過程において記録される情報について説明する。まず、エリア0の製造業者では、ワインを製造し、ボトル71に詰めてボトルワイン70とし、出荷可能な状態にする(P1)。ボトル詰めが終了すると、ボトル71に組み込んであるタグ装置50に対して、リーダライタ40−0を用いて、初期情報を書き込む(P2)。初期情報としては、図8に示す情報と、図9に示す情報とが存在する。図8は、初期情報として書き込まれる情報の一例を示している。この例では、初期情報としては、図8(A)に示す商品固有の情報と、図8(B)に示す流通過程における各エリアに関する情報とが存在する。より具体的には、図8(A)に示す例では、「メーカ名」、「商品名」、「製造工場番号」、「製造番号」、および、「商品原価」が存在し、この例では、これらはそれぞれ「ABC」、「DEF」、「ABC12345」、「DEF54321」、および、「100,000」とされている。また、図8(B)に示すように、流通過程における各エリアに関する情報としては、各エリアに配置されたリーダライタ40−0〜40−7が有する「ID」、「エリア番号」、「記録頻度」、「マージン」、および、「通過チェック」が存在する。ここで、「ID」はリーダライタ40−0〜40−7がそれぞれ有する固有の情報であり、タグ装置50の情報を読み書きする際に、リーダライタ40−0〜40−7から送信される。IDを受信したタグ装置50では、格納されているいずれかのIDと一致するか否かを判定し、一致する場合には正規のリーダライタであるとして、情報の読み書きを開始し、それ以外の場合には読み書きを拒否する。「エリア番号」は、各IDを有するリーダライタが属するエリアの番号である。また、「記録頻度」は、環境データを測定して記録する頻度を示し、例えば、「24h」は24時間で1回記録することを示す。「マージン」は、所定のエリアからつぎのエリアの流通業者にボトルワイン70が引き渡される際の差額金(利ざや)の基準を示す。「通過チェック」は、初期状態では「0」とされ、各リーダライタによって情報の読み書きがなされた場合に「1」に変更され、当該エリアを通過したことを示す。なお、図8(B)の第1行目の情報は、「エリア0」では、リーダライタのIDは「00000」であり、記録頻度は「24h」で1回であり、マージンは「10%」であることを示している。また、この例では、通過チェックは未チェック「0」とされている。
【0023】
図9は、各エリアにおいて測定された環境データの格納状態を示している。この例では、エリア0〜6までの領域が確保されている。エリア0については、測定日時、温度、湿度、傾斜、および、照度を示すデータが格納され、他のエリアについては初期値である「FF」が格納されている。本実施形態では、各エリアに保管される最長の時間と記録頻度が予め分かっていることから、初期情報の書き込み時においては、不揮発性メモリ50iに、エリア毎に必要な領域が確保されるとともに、各領域に対して初期値である「FF」の書き込みが実行される。
【0024】
つまり、図7に示す初期情報の書き込み(P2)時には、リーダライタ40−0によって、図8(A)および(B)に示す情報が、タグ装置50の不揮発性メモリ50iに対して書き込まれるとともに、図9に示すように、各エリアに対応する領域が不揮発性メモリ50iに確保されて初期値「FF」が書き込まれる。また、エリア0を経由したことから、図8(B)に示すエリア0に対応する通過チェックを「0」から「1」に変更する。さらに、このとき、充電監視回路50dは、リーダライタ40−0から送信された電力に基づいて、バッテリ50gを充電し、満充電の状態とする。初期情報が書き込まれると、タグ装置50は、図8(B)の最初に格納されている情報(エリア0の情報)の記録頻度(24h)を取得し、これを時計50jに設定するとともに、消費電力の少ないスリープモードに移行する。その結果、時計50jは24時間毎に割り込みを発生するので、CPU50fは、割り込みが発生すると、スリープモードから通常動作モードに移行し、その時点の日時および環境データを時計50jおよびセンサ50kからそれぞれ取得して不揮発性メモリ50iに格納し、格納が終了するとまたスリープモードに戻る。一方、リーダライタ40−0は、タグ装置50に書き込んだ初期情報を、端末装置30−0に送信する。端末装置30−0では受信した初期情報をデータベースに保存するとともに、ホストコンピュータ10に送信する。ホストコンピュータ10では、受信した情報をデータベースに保存する。初期情報の書き込みが完了すると、ボトルワイン70は、製造業者の倉庫に、例えば、1ヶ月間保管される(P3)。倉庫に保管されている際、タグ装置50は、前述したように、24時間毎にスリープモードから通常動作モードに移行し、環境データと日時データを取得して不揮発性メモリ50iのエリア0に対応する領域に格納し、再度、スリープモードに移行する。このような動作を繰り返すことにより、倉庫に保管されている際の環境データを取得して格納することができる。格納されるデータの具体例としては、図9に示すように「測定日時」、「温度」、「湿度」、「傾斜」、および、「照度」がある。図9の場合、第1行目には「測定日時」として「FST:2008/11/20 5:21」が格納され、「温度」として「13.5」(℃)が格納され、湿度として「60.5」(%)が格納され、傾斜として「20.5」(度)が格納され、照度として「110」(lx)が格納されている。ここで「FST」はFrench Summer Timeの略であり、フランス夏時間であることを示している。なお、ボトルワイン70の運送によってタイムゾーンが変わる場合には、リーダライタ40によって情報を読み書きする際に、時計50jの発生する日時が更新される。
【0025】
センサ50kは、検出された環境データが正常な範囲でない場合には、割り込みを発生し、異常が発生していることをCPU50fに通知する。より詳細には、センサ50kは、例えば、温度に関しては、図10に示すように、検出した温度がワインの保管に最適な12〜14℃の範囲(最適温度範囲Z0)である場合には、割り込みを発生しない。しかしながら、0〜12℃または14〜20℃の範囲(要注意温度範囲Z1,Z3)では、例えば、2時間に1回の割合で割り込みを発生する。また、0℃未満または20℃を超える範囲(危険温度範囲Z2,Z4)では、例えば、1時間に1回の割合で割り込みを発生する。センサ50kから割り込みが発生した場合には、CPU50fは、設定されている記録頻度に拘わらず、センサ50kから取得した環境データと日時データとを不揮発性メモリ50iに記録する。これにより、環境の異常が発生した場合には、異常な状況を逃さずに正確に記録することができる。なお、以上では、温度に関する場合を例に挙げて説明したが、湿度、傾斜、および、照度のそれぞれについても、図10に示すような範囲を設定し、最適範囲を逸脱した場合に、割り込みを発生するようにすればよい。湿度については、例えば、60〜70%を最適範囲とし、70〜80%および50〜60%を要注意範囲とし、80%以上および50%未満を危険意範囲とする。傾斜の場合は、例えば、−5〜+5度の範囲を最適範囲とし、−15〜−5度および+5〜+15度の範囲を要注意範囲とし、−25度未満および+25度以上の範囲を危険範囲とする。照度については、0〜50lxを最適範囲とし、50〜200lxを要注意範囲とし、200lx以上を危険範囲とする。そして、それぞれの検出量について、温度と同様に、範囲毎に異なる頻度で割り込みを発生する。
【0026】
倉庫に保管されたボトルワイン70は、つぎに、運送業者に引き渡される。このとき、運送業者は、リーダライタ40−1によって、出荷情報の書き込みを行う(P4)。より詳細には、リーダライタ40−1からはIDとして「11111」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、つぎのエリアがエリア1であることを認識する。また、記録頻度は「1h」であることを認識するとともに、エリア1を経由したことから、エリア1の通過チェックを「0」から「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア0に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報(例えば、「EF」)を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−1から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、タグ装置50は、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア0の環境データを読み出し、最適範囲を逸脱した回数をカウントする。例えば、温度の場合には、不揮発性メモリ50iに記録されている温度データを参照し、最適温度範囲としての12〜14℃を逸脱した回数をカウントする。このような判定を、全ての環境データに対して実行する。そして、CPU50fは、各データについて、最適範囲を逸脱した回数に対応するポイントを図11に示すテーブルから取得する。例えば、温度に関して、最適範囲を逸脱した回数が0回の場合には、「100」ポイントが取得され、1回の場合には「90」ポイントが取得され、以下、同様にして逸脱回数に対応するポイントが取得される。つぎに、CPU50fは、以下の式に基づいて、全てのポイントの総和としての総ポイントPpを求める。ここで、Ktは温度に関する重み係数であり(0≦Kt≦1)の値をとる。同様に、Kh,Ki,Klは、それぞれ、湿度、傾斜、および、照度に関する重み係数であり、(0≦Kt,Ki,Kl≦1)の値をとる。なお、Kt,Kh,Ki,Klは、それぞれの検出値の重要度に応じてそれぞれの値が設定されるとともに、Kt+Kh+Ki+Kl=1となるように設定される。例えば、重要度がKt>Kh>Ki>Klである場合には、Kt=0.4,Kh=0.3,Ki=0.2,Kl=0.1と設定される。また、Ptは温度に関するポイントであり、最適範囲の逸脱回数に基づいて図11から特定される。同様に、Ph,Pi,Plは湿度、傾斜、および、照度に関するポイントであり、最適範囲の逸脱回数に基づいて図11から特定される。
(数1)
Pp=Kt・Pt+Kh・Ph+Ki・Pi+Kl・Pl・・・(1)
【0027】
つぎに、CPU50fは、不揮発性メモリ50iから図8(B)に示すエリア0に対応するマージンMを取得する。図8(B)の例では、マージンMとして「10%」が取得される。つづいて、CPU50fは、不揮発性メモリ50iから図8(A)に示す商品原価を取得する。この例では、商品原価として「100,000」(円)が取得される。そして、CPU50fは、式(1)で算出された総ポイントPpと、商品原価と、マージンとに基づいて、取引価格を算出する。例えば、温度と照度については最適範囲からの逸脱が0回であり、湿度が1回、傾斜が2回逸脱したとする場合において、総ポイントPpが80と判定されたとすると、100,000×(1+80×0.01×0.1)により、取引価格として108,000が算出される。CPU50fは、このようにして算出した取引価格と、環境データの状態を示す情報とを不揮発性表示部50eに表示する。図12は、不揮発性表示部50eに表示される情報の一例を示している。この例では、「取引価格:108,000」が表示され、「温度:★★★★★」、「湿度:★★★★☆」、「傾斜:★★★☆☆」、および、「照度:★★★★★」が表示されている。ここで、黒い星「★」はそれぞれの環境データが最適範囲に収まる割合を示し、白い星「☆」はそれぞれの環境データが最適範囲を逸脱する割合を示す。このようにして表示された情報を参照することにより、運送業者は取引価格にてボトルワイン70を製造業者から買い取るとともに、保管状況を知ることができる。
【0028】
一方、リーダライタ40−1は、タグ装置50に格納されている情報を取得する。タグ装置50から取得された情報(図8および図9に示す情報)は、端末装置30−1のデータベースに対して登録されるとともに、端末装置30−0およびホストコンピュータ10に対して送信される。そして、端末装置30−0およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。製造業者は端末装置30−0に記録されたデータを参照することにより、自エリアにおける保管状態を知ることができる。また、ホストコンピュータ10にデータを保存することにより、例えば、当該ボトルワインを購入した消費者が流通過程における状況を知ることができる。リーダライタ40−1による情報の読み書きが終了すると、運送業者は、製造業者から卸業者までボトルワインを運送する(P5)。この運送期間は、例えば、5日間程度である。運送の間、タグ装置50は、記録頻度である「1h」に基づいて、1時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア1に対応する領域に格納する。また、環境に異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を詳細に記録する。
【0029】
運送業者によってボトルワイン70が、卸業者に届けられると、卸業者はリーダライタ40−2によって入荷情報の書き込みを行う(P6)。より詳細には、リーダライタ40−2からはIDとして「22222」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア2であることを認識する。また、記録頻度は「24h」であることを認識するとともに、エリア2を経由したことから、エリア2の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア1に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−2から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されている環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア1における総ポイントPpを算出するとともに、エリア0における取引価格と、図8に示すエリア1のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回である場合において、エリア0における取引価格が「108,000」円であるとすると、総ポイントPpは「100」であり、また、エリア1のマージンは「5%」であるので、「113,400」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0030】
一方、リーダライタ40−2は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−2のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−1およびホストコンピュータ10に対して送信する。端末装置30−1およびホストコンピュータ10には同様のデータが登録される。これにより、運送業者は端末装置30−1に記録されたデータを参照することにより、自エリアにおける保管状態を知ることができる。また、ホストコンピュータ10にはそれまでの流通過程における保管状況が累積的に保存されるため、当該ボトルワインを購入した消費者が流通過程における状況を知ることができる。リーダライタ40−2による情報の読み書きが終了すると、卸業者は、運送業者から引き渡されたボトルワイン70を一時的に保管する(P7)。この一時保管期間は、例えば、1週間程度である。一時保管の間、タグ装置50は、24時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行し、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア2に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を詳細に記録する。
【0031】
一時保管期間が終了すると、卸業者は、市場の流通状況や小売店舗の在庫状況により卸業者所有の倉庫にボトルワイン70を保管する。このとき、卸売業者は、倉庫に保管する前に、リーダライタ40−3によって入庫情報の書き込みを行う(P8)。より詳細には、リーダライタ40−3からはIDとして「33333」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア3であることを認識する。また、記録頻度は「168h」であることを認識するとともに、エリア3を経由したことから、エリア3の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア2に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−3から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。なお、エリア2からエリア3への移動は、同一業者内における移動であることから、取引価格は算出されない。すなわち、CPU50fは、図8(B)に示すマージンが「−」となっていることから、取引価格の算出および表示を行わない。
【0032】
一方、リーダライタ40−3は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−3のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−2およびホストコンピュータ10に対して送信する。端末装置30−2およびホストコンピュータ10には同様のデータが登録される。リーダライタ40−3による情報の読み書きが終了すると、卸業者は、ボトルワイン70を倉庫に保管する(P9)。この保管期間は、例えば、最長で4ヶ月程度である。保管の間、タグ装置50は、168時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア3に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。なお、当該保管期間中の記録頻度は1週間に1回と非常に長いため、記録と記録の間に異常が発生することも考えられるが、そのような場合であってもセンサ50kからの割り込みによって、当該異常は1時間に1回または2時間に1回の頻度で記録される。
【0033】
卸業者の倉庫に保管されたボトルワイン70は、つぎに、運送業者に引き渡される。このとき、運送業者は、リーダライタ40−4によって、出荷情報の書き込みを行う(P10)。より詳細には、リーダライタ40−4からはIDとして「44444」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア4であることを認識する。また、記録頻度は「1h」であることを認識するとともに、エリア4を経由したことから、エリア4の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア3に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−4から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア2,3の環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア2,3における総ポイントPpを算出するとともに、エリア1における取引価格と図8(B)に示すエリア3のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア0における取引価格が「113,400」円である場合、エリア3のマージンは「20%」であるので、「136,080」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア2,3の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0034】
一方、リーダライタ40−4は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−4のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−3およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−3およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−4による情報の読み書きが終了すると、運送業者は、卸業者のもとから、小売業者のもとまでボトルワイン70を運送する(P11)。この運送期間は、例えば、5日間程度である。運送の間、タグ装置50は、1時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア4に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。
【0035】
運送業者によってボトルワイン70が、小売業者に届けられると、小売業者はリーダライタ40−5によって入荷情報の書き込みを行う(P12)。より詳細には、リーダライタ40−5からはIDとして「55555」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア5であることを認識する。また、記録頻度は「24h」であることを認識するとともに、エリア5を経由したことから、エリア5の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア4に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−5から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア4の環境データに基づいて取引価格を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア4における総ポイントPpを算出するとともに、エリア3における取引価格と図8(B)に示すエリア4のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア3における取引価格が「136,080」円である場合、エリア4のマージンは「5%」であるので、「142,884」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア4の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0036】
一方、リーダライタ40−5は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−5のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−4およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−4およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−5による情報の読み書きが終了すると、小売業者は、運送業者から引き渡されたボトルワイン70を陳列して販売する(P13)。この陳列販売期間は、例えば、2週間程度である。陳列販売の間、タグ装置50は、24時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア5に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。
【0037】
陳列販売されているボトルワイン70が消費者によって購入される際には、小売店では、リーダライタ40−6によって販売情報の書き込みを行う(P14)。より詳細には、リーダライタ40−6からはIDとして「66666」が送信されるので、これを受信したタグ装置50では、図8(B)に示す情報を参照し、IDが一致することから、正規のリーダライタであるとして認証するとともに、エリア6であることを認識する。また、記録頻度は「168h」であることを認識するとともに、エリア6に入ったことから、エリア6の通過チェックを「1」に変更する。さらに、図9に示すエリア5に対応する領域の最後に「End of File」を示す情報を格納する。さらに、タグ装置50の充電監視回路50dは、リーダライタ40−6から送信された電力によりバッテリ50gを満充電の状態にする。また、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記録されているエリア5の環境データに基づいて取引価格(小売価格)を計算する。詳細には、前述した式(1)に基づいて、エリア5における総ポイントPpを算出するとともに、エリア4における取引価格と図8(B)に示すエリア5のマージンに基づいて、取引価格を計算する。例えば、最適範囲を逸脱した回数が全て0回であることから総ポイントPpが「100」であり、エリア4における取引価格が「142,884」円である場合、エリア5のマージンは「10%」であるので、「157,172」円が取引価格として算出される。不揮発性表示部50eには、このようにして算出された取引価格とともに、エリア5の環境データに関する情報が、図12の場合と同様に表示される。
【0038】
一方、リーダライタ40−6は、タグ装置50に格納されている情報を取得し、端末装置30−6のデータベースに対して登録するとともに、端末装置30−5およびホストコンピュータ10に対して送信する。そして、端末装置30−5およびホストコンピュータ10に対しても同様のデータが登録される。リーダライタ40−6による情報の読み書きが終了すると、消費者は、小売業者から購入したボトルワイン70を自宅のワインセラー等に保管し、消費する(P15)。この保管消費期間は、例えば、1ヶ月程度である。保管されている間、タグ装置50は、168時間に1回の頻度で、スリープモードから通常動作モードに移行して、環境データおよび日時データを取得し、図9のエリア6に対応する領域に格納する。また、環境の異常が発生した場合には、センサ50kからの割り込みに基づいて、異常な環境の状況を正確に記録する。このように、消費者のもとにおいても、環境データを記録することにより、例えば、ワインの品質に対するクレームが消費者からなされた場合であっても、タグ装置50に記録されている環境データを参照することにより、消費者の保管状況が適切であったか否かを知り、クレームに対して適切に対応することができる。
【0039】
(B−3)タグ装置において実行される処理
図13〜図15は、タグ装置50において実行される処理の一例を示す図である。より詳細には、図13はタグ装置50において実行される処理のメインの処理を説明するフローチャートであり、図14は図13に示すステップS11の処理の詳細を示すフローチャートであり、図15は図14に示すステップS40の処理の詳細を説明するフローチャートである。図11の処理が開始されると、ステップS10において、CPU50fは、リーダライタ40から書き込みの要求がなされたか否かを判定し、書き込みの要求がなされたと判定した場合(ステップS10;Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10;No)にはステップS12に進む。ステップS11では、図14に示す書き込み処理が実行され、データの書き込みと、バッテリの充電その他の処理が実行される。なお、書き込み処理の詳細については、図14を参照して後述する。
【0040】
ステップS12では、時計50jからタイマ割り込みが発生したか否かを判定し、タイマ割り込みが発生した場合(ステップS12;Yes)にはステップS13に進み、それ以外の場合(ステップS12;No)にはステップS17に進む。より詳細には、時計50jは、図8(B)に示すように、エリア毎に予め定められた所定の間隔で割り込みを発生するので、割り込みが発生した場合には、ステップS13に進む。具体的には、エリア0では24時間毎に、また、エリア1では1時間毎に割り込みが発生するので、その際にはステップS13に進む。
【0041】
ステップS13では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。なお、スリープモードとは、割り込みの受付機能を動作状態とし、他の機能を停止している状態であり、消費電力が非常に少ない動作モードである。また、通常動作モードとは、CPU50fの全ての機能が動作可能な状態で、スリープモードに比較すると消費電力は大きい。なお、機能を停止するのではなく、スリープモードでは、例えば、動作クロックの周波数を下げることにより、消費電力を削減したり、機能の停止とクロック周波数の低下を組み合わせたりすることも可能である。
【0042】
ステップS14では、CPU50fは、環境データと日時データを取得する。すなわち、CPU50fは、センサ50kから環境データを取得し、時計50jから日時データを取得する。ステップS15では、CPU50fは、取得した環境データと日時データを不揮発性メモリ50iの対応する領域に格納する。すなわち、CPU50fは、取得した環境データと日時データを現在のエリアに対応する領域の最初に現れる「FF」に対して上書きする。ステップS16では、CPU50fは、通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0043】
ステップS17では、CPU50fは、センサ50kから割り込みが発生したか否かを判定し、割り込みが発生した場合(ステップS17;Yes)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS17;No)にはステップS22に進む。より詳細には、センサ50kは、検出した環境データが要注意範囲内である場合には、例えば、2時間に1回の頻度で割り込みを発生し、検出した環境データが危険範囲内である場合には、例えば、1時間に1回の頻度で割り込みを発生する。したがって、CPU50fは、割り込みが発生した場合には、ステップS18に進む。
【0044】
ステップS18では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。ステップS19では、CPU50fは、環境データと日時データを取得する。すなわち、CPU50fは、センサ50kから環境データを取得し、時計50jから日時データを取得する。ステップS20では、CPU50fは、取得した環境データと日時データを不揮発性メモリ50iの対応する領域に格納する。すなわち、CPU50fは、取得した環境データと日時データを現在のエリアに対応する領域の最初に現れる「FF」に対して上書きする。ステップS21では、CPU50fは、通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0045】
ステップS22では、CPU50fは、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS22;No)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS22;Yes)には処理を終了する。
【0046】
つぎに、図14を参照して、図13のステップS11に示す「書き込み処理」の詳細について説明する。この処理が開始されると、ステップS30では、CPU50fは、動作モードをスリープモードから通常動作モードに移行する。ステップS31では、CPU50fは、充電監視回路50dを制御して、バッテリ50gの充電を開始する。これにより、充電監視回路50dは、通信部50aを介してリーダライタ40から受信した電力により、バッテリ50gを充電する。
【0047】
ステップS32では、CPU50fは、初期情報の書き込みであるか否かを判定する。すなわち、CPU50fは、リーダライタ40−0からの書き込み要求である場合(ステップS32;Yes)にはステップS33に進み、それ以外の場合(ステップS32;No)にはステップS35に進む。ステップS33では、CPU50fは、通信部50aおよび変復調回路50cを介して初期情報をリーダライタ40−0から取得する。そしてステップS34に進み、取得した初期情報を不揮発性メモリ50iに書き込む。その結果、図8(A),(B)に示す情報が不揮発性メモリ50iに書き込まれる。なお、このとき、環境データを格納する領域を確保するとともに、初期値である「FF」を書き込む。
【0048】
ステップS35では、CPU50fは、リーダライタ40からIDを取得する。具体的には、リーダライタ40が正規のものである場合には、CPU50fは、図8(B)に示すいずれかのIDを取得する。ステップS36では、CPU50fは、ステップS35で取得したIDと、図8(B)に示す情報を比較し、対応するエリアを特定する。例えば、ステップS35で取得したIDが「11111」である場合には、エリア1が特定される。なお、一致するIDが存在しない場合には、正規のリーダライタではないとして書き込み処理を中止するようにしてもよい。ステップS37では、特定されたエリアの通過チェックを“1”に変更する。具体的には、ステップS36においてエリア1が特定されたとすると、エリア1に対応する通過チェック(図8(B)参照)を「1」に変更する。ステップS38では、CPU50fは、1つ前のエリアの温度データの末尾にEOF(End of File)を示す情報(例えば、EF)を書き込む。具体的には、ステップS36においてエリア1が特定されたとすると、1つ前のエリアであるエリア0の温度データの末尾に“EF”が重ね書きされる。なお、現在のエリアがエリア0の場合には、書き込みは行わない。
【0049】
ステップS39では、CPU50fは、不揮発性メモリ50iに記憶されている1つ前のエリアの環境データおよび日時データを、当該ボトルワイン70の製造番号とともに、変復調回路40cおよび通信部40aを介してリーダライタ40に対して送信する。なお、現在のエリアがエリア0の場合には、送信は行わない。リーダライタ40では、環境データおよび日時データを関連する端末装置30およびホストコンピュータ10に送信する。端末装置30およびホストコンピュータ10は、受信した環境データおよび日時データをデータベースに記録する。ステップS40では、CPU50fは、環境データについての評価をし、取引価格を算出する環境データ評価処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図15を参照して後述する。
【0050】
ステップS41では、CPU50fは、現在のエリアに対応する記録頻度を、不揮発性メモリ50iの図8(B)に示す情報から取得し、時計50jに対して設定する。具体的には、例えば、現在のエリアが「エリア1」である場合には、記録頻度として「1h」が不揮発性メモリ50iから取得され、時計50jに設定される。その結果、時計50jは、1時間に1回の割合で割り込みを発生するので、CPU50fは、割り込みに応じて温度データおよび日時データを取得して不揮発性メモリ50iに記録する。なお、タイムゾーンが変化した場合には、時計50jの設定を変更するようにしてもよい。例えば、タイムゾーンがFST(フランス夏時間)からJT(日本標準時間)に変化した場合には、時計50jの設定を日本標準時間に変更する。
【0051】
ステップS42では、CPU50fは、充電監視回路50dに対して、充電が終了したか否かを問い合わせ、充電が終了していない場合(ステップS42;No)には同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS42;Yes)にはステップS43に進む。ステップS43では、CPU50fは、動作モードを通常動作モードからスリープモードに移行し、もとの処理に復帰(リターン)する。
【0052】
つぎに、図15を参照して、図14に示す環境データ評価処理の詳細について説明する。このフローチャートの処理が開始されると、ステップS50では、CPU50fは、環境データを不揮発性メモリ50iから取得する。ステップS51では、CPU50fは、各環境データについて、最適範囲逸脱回数を取得する。すなわち、環境データのそれぞれについて、最適範囲を逸脱した回数をカウントし、それぞれの逸脱回数を取得する。ステップS52では、CPU50fは、各環境データについてのポイントPを図11に示すテーブルから取得する。より詳細には、CPU50fは、ステップS51において取得した各環境データについての最適範囲の逸脱回数に基づいて、図11に示すテーブルからポイントPt,Ph,Pi,Plをそれぞれ取得する。ステップS53では、当該エリアのマージンMを図8(B)に示すテーブルから取得する。例えば、エリア0からエリア1へ移行する場合には、エリア0のマージンMとして10%が取得される。ステップS54では、CPU50fは、取引価格を計算する。すなわち、CPU50fは、ステップS52で取得したポイントPt,Ph,Pi,Plと、重み係数Kt,Kh,Ki,Klとを式(1)に適用して総ポイントPpを計算する。そして、CPU50fは、直前のエリアにおける取引価格Vpと、総ポイントPpと、マージンMとに基づいて、取引価格Vを以下の式(2)に基づいて算出する。
(数2)
V=Vp×(1+Pp×0.01×M)・・・(2)
【0053】
なお、Vpとしては、エリア0の場合には、図8(A)に示される商品原価が使用され、エリア1以降では、直前のエリアにおいて算出された取引価格が使用される。例えば、エリア0において、Ppが100である場合には、V=Vp×(1+Pp×0.01×M)=100,000×(1+100×0.01×0.1)=110,000となる。また、その後、エリア1においてPpが100とされた場合には、V=Vp×(1+Pp×0.01×M)=110,000×(1+100×0.01×0.05)=115,500となる。
【0054】
ステップS55では、CPU50fは、ステップS54で計算した取引価格を不揮発性表示部50eに表示する。また、ステップS56では、CPU50fは、環境データを不揮発性表示部50eに表示する。その結果、例えば、図12に示すような情報が不揮発性表示部50eに表示される。
【0055】
以上の実施形態によれば、各流通過程において、ボトルワイン70の保管状態に応じて取引価格を自動的に決定するようにしたので、保管が適切に行われた場合には流通業者に対して相応の対価を支払うことができるため、品質管理へのインセンティブを高めることができる。また、保管が適切に行われなかった場合には、流通業者に対する対価の支払いを減らすとともに、品質管理の状況に応じた妥当な価格で消費者に販売することができる。
【0056】
また、不揮発性表示部50eを設け、取引価格と環境データに関する情報を表示するようにしたので、流通過程の各業者は、取引価格と保管状態とを容易に知ることができる。また、不揮発性表示部50eをボトル71の底部に設けるようにしたので、コルク栓72が下になるように保管されるボトルワイン70において、表示されている内容を簡単に視認することができる。
【0057】
(C)変形実施の態様
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
例えば、以上の実施の形態では、ホストコンピュータ10は1台とし、端末装置30−0〜30−7およびリーダライタ40−0〜40−7はそれぞれ8台としたが、これ以外の台数であってもよい。
また、流通拠点としては、図8に示す5カ所を例に挙げて説明したが、これ以外の流通拠点が含まれるようにしてもよい。また、流通拠点がこれよりも少なくてもよい。
【0058】
また、以上の実施の形態では、不揮発性メモリ50iに記録される情報としては、日時データと温度、湿度、傾斜、照度データの5種類としたが、これ以外の情報を含むようにしてもよい。具体的な例としては、例えば、気圧センサまたは衝撃センサを設け、これらによって検出された情報を取得して不揮発性メモリ50iに記録するようにしてもよい。これらのセンサを設けることにより、例えば、ボトルワインが、常圧とは異なる気圧にさらされて液漏れを生じたり、あるいは、ボトルに強い衝撃が加わったりしていないかを知ることができる。また、タグ装置50を備える対象の物品として、ボトルワインを例に挙げて説明したが、これ以外の物品に備えるようにしてもよい。
【0059】
また、以上の実施形態では、タグ装置50は、正規のリーダライタ以外からアクセスされた場合はアクセスを受け付けないようにしたが、不正なアクセスがなされた場合は、CPU50fが不揮発性メモリ50iに格納されている情報を自動的に削除するようにしてもよい。そのような方法によれば、不正アクセス等から情報を確実に保護することができる。
【0060】
また、不揮発性表示部50eを着脱可能な構成としてもよい。具体的には、タグ装置50と不揮発性表示部50eとを接続する接続ケーブル55の途中にコネクタを設け、当該コネクタにより不揮発性表示部50eを、タグ装置50から着脱可能な構成としてもよい。これにより、例えば、運送業者から小売業者にボトルワイン70が受け渡された後に、当該不揮発性表示部50eを取り外して商品を陳列するようにすれば、消費者に必要以上の情報が知られることを防止できる。また、接続ケーブル55に、接続の有無を検出するための検出線を設け、不揮発性表示部50eが取り外された場合には、検出線が導通状態から遮断状態となることを検出し、不揮発性メモリ50iに記録されているデータを消去するようにしてもよい。そのような構成によれば、ボトルワイン70を購入した消費者が、不揮発性メモリ50iに記録されているデータを不必要に読み出して利用することを防止できる。
【0061】
また、以上の実施形態では、取引価格と環境データに関する情報を、不揮発性表示部50eに文字として表示するようにしたが、例えば、一次元または二次元バーコードとして表示するようにしてもよい。このような構成によれば、表示されている情報を不用意に読み取られてしまうことを防止できる。また、取引価格と環境データとを、例えば、暗号にて表示するようにしてもよい。そのような構成によっても、表示されている情報を不用意に読み取られてしまうことを防止できる。
【0062】
また、以上の実施形態では、保管状態に応じてマージンを増減するようにしたが、例えば、エリア毎に予め定められた利益額を、保管状態に応じて増減するようにしてもよい。例えば、エリア0からエリア1に移行する際には、エリア0の業者の最大利益額を、例えば、10,000円に設定し、保管状態に応じてこの金額から減額するようにしてもよい。
【0063】
また、以上の実施形態では、取引価格を不揮発性表示部50eに表示するのみとしたが、例えば、当該取引価格に基づく決済を自動的に実行するようにしてもよい。すなわち、タグ装置50において算出された取引価格を、リーダライタ40を介して取得し、端末装置30またはホストコンピュータ10において電子決済を行うようにしてもよい。
【0064】
また、タグ装置50を耐タンパ構造とすることにより、不揮発性メモリ50iに格納されている情報に対する保護を強化するようにしてもよい。より詳細には、タグ装置50の図3に示す回路が封入された保護層が破壊された場合には、回路または回路パターンが動じに破壊されるようにする。これにより、保護層を破壊して、内部の回路を解析することを不可能にすることができるので、不揮発性メモリ50iに格納されている情報の保護を一層強めることができる。また、図9(A)に示す情報については、出荷後に書き換えられることはないので、不揮発性メモリ50iではなく、書き換え不能なROM40bに記録することにより、不正な改変を防止できる。
【0065】
また、以上の実施形態では、タグ装置50および不揮発性表示部50eを、ボトル71,81の底部に設けるようにしたが、例えば、コルク栓72,82内にタグ装置50を設けるとともコルク栓72,82の表面に不揮発性表示部50eを設けたり、ボトル71,81の側部にタグ装置50および不揮発性表示部50eを設けたりするようにしてもよい。
【0066】
また、以上の実施の形態では、非接触型のタグを例に説明したが、接触型のタグであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態の品質管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すリーダライタの構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示すタグ装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】ワインのボトルの底にタグ装置を取り付けた例である。
【図5】ワインのボトルの底にタグ装置を取り付けた他の例である。
【図6】リーダライタとタグ装置の通信の態様を示す図である。
【図7】ボトルワインの流通の過程を示す図である。
【図8】不揮発性メモリに書き込まれる初期情報の一例である。
【図9】不揮発性メモリに書き込まれるデータの一例である。
【図10】ワインの保管温度を示す図である。
【図11】最適範囲逸脱回数とポイントとの関係を示す図である。
【図12】不揮発性表示部に表示される情報の一例である。
【図13】タグ装置において実行される処理の一例である。
【図14】図12のステップS11の処理の詳細を説明する図である。
【図15】図13のステップS40の処理の詳細を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
10…ホストコンピュータ、20…ネットワーク、30−0〜30−7…端末装置、40−0〜40−7…リーダライタ、50…タグ装置、50a…通信部、50b…ROM、50c…変復調回路、50d…充電監視回路、50e…RAM、50f…CPU、50g…バッテリ、50h…電源回路、50i…不揮発性メモリ、50j…時計、50k…センサ、70,80…ボトルワイン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置において、
前記物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された環境情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、
を有することを特徴とするタグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタグ装置において、
前記物品は、複数の流通業者を経由して流通され、
前記算出部は、直前の流通業者が保管した際に記録された環境情報に基づいて、つぎの流通業者に対して当該物品を受け渡す際の取引価格を算出する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタグ装置において、
前記記録部は、取引価格を決定するための原価と、各流通過程における利益率に関する情報を記録しており、
前記算出部は、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報に基づいて前記取引価格を算出する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のタグ装置において、
前記表示装置は、タグ装置の本体から着脱可能とされ、
表示装置がタグ装置の本体から取り外された場合には、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報を削除する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタグ装置において、
前記物品はボトル詰めされたワインであり、
前記表示装置は、前記ボトルの底に配置されている、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項6】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理システムにおいて、
前記タグ装置は、
前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、
を有することを特徴とする品質管理システム。
【請求項7】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理方法において、
前記タグ装置は、
前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによって測定された情報を記録する記録ステップと、
前記記録ステップにおいて記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示ステップと、
を有することを特徴とする品質管理方法。
【請求項1】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置において、
前記物品が置かれる環境に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された環境情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された環境情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、
を有することを特徴とするタグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタグ装置において、
前記物品は、複数の流通業者を経由して流通され、
前記算出部は、直前の流通業者が保管した際に記録された環境情報に基づいて、つぎの流通業者に対して当該物品を受け渡す際の取引価格を算出する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタグ装置において、
前記記録部は、取引価格を決定するための原価と、各流通過程における利益率に関する情報を記録しており、
前記算出部は、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報に基づいて前記取引価格を算出する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のタグ装置において、
前記表示装置は、タグ装置の本体から着脱可能とされ、
表示装置がタグ装置の本体から取り外された場合には、前記記録部に記録されている前記原価と、前記利益率に関する情報と、前記環境情報を削除する、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタグ装置において、
前記物品はボトル詰めされたワインであり、
前記表示装置は、前記ボトルの底に配置されている、
ことを特徴とするタグ装置。
【請求項6】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理システムにおいて、
前記タグ装置は、
前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示部と、
を有することを特徴とする品質管理システム。
【請求項7】
物品に付され、当該物品が置かれる環境に関する情報を記録するタグ装置によって物品の品質を管理する品質管理方法において、
前記タグ装置は、
前記物品が置かれている環境に関する情報を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによって測定された情報を記録する記録ステップと、
前記記録ステップにおいて記録された環境に関する情報に基づいて、取引価格を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出された前記取引価格に関する情報を表示装置に表示させる表示ステップと、
を有することを特徴とする品質管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−100420(P2010−100420A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275245(P2008−275245)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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