説明

タッチセンサおよびその駆動方法、タッチセンサ付き表示装置、ならびに電子機器

【課題】シンプルな構成により省スペースを実現できるタッチセンサを得る。
【解決手段】相互間に電極間静電容量が形成されるように配置された第1の電極(電極21)および第2の電極(電極22)と、容量素子Cstrと、第1および第2の電極のうちの少なくとも第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して第2の電極と容量素子との間の接続状態を制御する駆動制御部(制御信号生成部5)と、容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する検出部(検出部3およびタッチ判定部4)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部近接物体を検出するタッチセンサに係り、特に静電容量の変化により外部近接物体の検出が可能なタッチセンサおよびその駆動方法、タッチセンサ付き表示装置、ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指等の接触を検出するタッチセンサを表示画面もしくはその周辺部に配置した表示装置が注目されている。このようなタッチセンサを有する表示装置は、キーボードやマウス、キーパッドのような入力装置を必要としないため、コンピュータのほか、携帯電話のような携帯情報端末などでも、使用が拡大する傾向にある。
【0003】
このようなタッチセンサには、例えば、液晶表示部などの表示画面上にタッチセンサを搭載して表示装置を構成し、その表示画面に各種のボタン画像などを表示させることにより情報入力を可能としたものがある(例えば、特許文献1など)。また、例えば、機能を示す記号などを表面に印刷したタッチセンサを液晶表示部などの表示画面の周辺部(額縁領域)に搭載することにより表示装置を構成し、タッチに基づいて表示画面に情報を表示するものや、あるいは、表示画面に表示された情報に基づいて情報を入力するものがある(例えば、非特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−148536号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Xmini製品紹介、[online]、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社、[平成21年11月1日検索]、インターネット<URL:http://www.sonyericsson.co.jp/product/au/xmini/function/usability.html >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯情報端末においては、持ち運びのしやすさや使いやすさの観点から、機器の小型化が望まれており、上述したタッチセンサを有する表示装置においても、表示部の小型化に加え、タッチセンサをいかに省スペースで実現できるかが課題となっている。
【0007】
タッチセンサは、一般に、外部近接物体に対する検出感度が低いため、検出された信号をアンプなどの回路を用いて増幅した後に、外部近接物体の有無を判定する。つまり、このような構成のタッチセンサでは、回路が複雑になるため規模が大きくなり、その結果、省スペースを実現しにくくなる。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外部近接物体に対する検出感度が高く、シンプルな回路構成を有し、省スペースを実現可能なタッチセンサおよびその駆動方法、タッチセンサ付き表示装置、ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチセンサは、第1の電極と、第2の電極と、容量素子と、駆動制御部と、検出部とを備えている。第1の電極と第2の電極との間には静電容量が形成されている。駆動制御部は、第1および第2の電極のうちの少なくとも第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して、第2の電極と容量素子との間の接続状態を制御する。検出部は、容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する。
【0010】
本発明のタッチセンサの駆動方法は、相互間に電極間静電容量が形成される第1および第2の電極のうちの少なくとも第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して第2の電極と容量素子との間の接続状態を制御し、容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出するものである。
【0011】
本発明のタッチセンサ付き表示装置は、画像表示部とタッチセンサ部とが一体に形成されてなる表示パネルを備えている。画像表示部は、複数の表示素子を含み、画像信号に基づく画像表示を行う。タッチセンサ部は、上記本発明のタッチセンサを有し、画像表示部の有効表示領域の外側の額縁領域に配置されている。表示パネルは、例えば、この額縁領域に、他の表示部を有していても良い。この場合、他の表示部は、画像表示部の表示素子と同一構造の表示素子を含むことが望ましい。
【0012】
本発明の電子機器は、上記本発明の撮像機能付き表示装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0013】
本発明のタッチセンサおよびその駆動方法、タッチセンサ付き表示装置、ならびに電子機器では、駆動制御部が第1の電極を駆動すると、第2の電極の電圧が、第1および第2の電極の間の電極間静電容量のカップリングにより、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づき変化する。このとき、外部近接物体が存在すると、この電極間静電容量が変化するため、第2の電極の電圧は外部近接物体の存在の有無に対応したものとなる。この第2の電極を容量素子と接続すると、第2の電極と容量素子との間で電荷が移動する。このように、第1および第2の電極のそれぞれと接地との間に形成される接地容量と、電極間静電容量と、容量素子との間で電荷を相互に移動させることにより、容量素子の電圧が変化する。この容量素子の電圧は、外部近接物体の存在の有無に対応したものであり、この電圧に基づいて外部近接物体が検出される。
【0014】
駆動制御部が第1および第2の電極を駆動する具体例としては、例えば、以下の2つの方法を用いることができる。
【0015】
第1の方法は、第1の電極を駆動電極として駆動する一方、第2の電極を検出電極として利用する方法である。この方法では、駆動制御部は、例えば、以下の2つの動作を行うように制御する。第1の動作は、第1および第2の電極の両方の電圧レベルを初期化すると共に、第2の電極と容量素子との間を非接続状態にするものである。第2の動作は、第1の電極に駆動電圧を印加すると共に、第2の電極と容量素子との間を接続するものである。
【0016】
この方法では、例えば、これらの第1の動作と第2の動作とを繰り返すように制御しても良い。この場合、検出部は、外部近接物体の存在の有無によって容量素子の電圧の変化速度が異なることを利用して、外部近接物体を検出することができる。その際、検出部は、例えば、容量素子の電圧が所定のしきい値に達するまでの時間に基づいて外部近接物体を検出するものでも良い。もしくは、検出部は、第1および第2の動作を所定回数繰り返した時点における容量素子の電圧レベルに基づいて外部近接物体を検出するものでもよい。
【0017】
第2の方法は、第1および第2の電極の両方を駆動電極として駆動すると共に、第2の電極を検出電極として利用する方法である。この方法では、駆動制御部は、例えば、初期化動作と駆動動作とを行うように制御する。初期化動作は、第1および第2の電極の両方の電圧レベルを初期化すると共に、第2の電極と容量素子との間を非接続状態にするものである。駆動動作は、この初期化動作に続いて行うものであり、第1および第2の電極のいずれか一方に第1の駆動電圧を印加する動作と他方に第2の駆動電圧を印加する動作とを交互に行うとともに、第1の電極に第1および第2の駆動電圧を印加する最後の動作において、第2の電極と容量素子との間を接続するものである。
【0018】
この方法の具体例としては、例えば、以下の4つの動作をこの順で繰り返すものがある。第1の動作は初期化動作である。第2の動作は、第2の電極と容量素子の間を非接続状態にしたまま、第1の電極に第1の駆動電圧を印加するものである。第3の動作は、第2の電極と容量素子との間を非接続状態にしたまま、第2の電極に第2の駆動電圧を印加するものである。第4の動作は、第1の電極に第1の駆動電圧を印加すると共に、第2の電極と容量素子との間を接続するものである。この場合も、検出部は、外部近接物体の存在の有無によって容量素子の電圧の変化速度が異なることを利用して、外部近接物体を検出することができる。
【0019】
検出部は、例えば、第1のスイッチング素子と、他の容量素子と、反転回路と、第2のスイッチング素子を有するコンパレータ回路を含んでもよい。第1のスイッチング素子は、コンパレータ回路の入力端子と参照電圧端子との間に配置され、オンオフ制御されるものである。他の容量素子は、一方の端子がコンパレータ回路の入力端子に接続されている。反転回路は、その入力が他の容量素子の他方の端子と接続され、その出力がコンパレータ回路の出力端子に接続されている。第2のスイッチング素子は、反転回路の入出力間に配置され、オンオフ制御されるものである。このコンパレータ回路は、まず、第1および第2のスイッチング素子の双方をオン状態にして、参照電圧端子に印加された参照電圧を参照電圧レベルとして設定する。その後、第1および第2のスイッチング素子の双方をオフ状態にして、コンパレータの入力端子に印加された入力電圧をこの設定された参照電圧レベルと比較し、その結果を出力端子から出力するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明のタッチセンサ、その駆動方法、およびタッチセンサ付き表示装置、ならびに電子機器によれば、相互間に静電容量が形成された2つの電極を用いて、シンプルな構成でタッチセンサを構成したので、外部近接物体に対する高い検出感度と、省スペースを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るタッチセンサ付き表示装置の一構成例を表す平面図である。
【図2】図1に示したセンサ部の電極の一構成例および形成される静電容量を説明するための断面図である。
【図3】タッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図4】図3に示したタッチセンサにおいて、外部近接物体が無い状態における一動作例を表すタイミング波形図である。
【図5】図3に示したセンサ部および検出部において、自己オフセット補正期間の状態について説明するためのブロック図である。
【図6】図3に示したコンパレータ回路の動作原理を説明するための特性図である。
【図7】図3に示したセンサ部および検出部において、タッチ検出期間の状態について説明するためのブロック図である。
【図8】図3に示したタッチセンサにおいて、外部近接物体がある状態における一動作例を表すタイミング波形図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るタッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の他の変形例に係るタッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図11】図10に示したタッチセンサの一動作例を表すタイミング波形図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態のさらに他の変形例に係るタッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るタッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図14】図13に示したタッチセンサにおいて、外部近接物体が無い状態における一動作例を表すタイミング波形図である。
【図15】図13に示したセンサ部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図16】図13に示したセンサ部において、タッチ検出期間の状態について説明するためのブロック図である。
【図17】図13に示したタッチセンサにおいて、外部近接物体がある状態における一動作例を表すタイミング波形図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態の変形例に係るタッチセンサの一構成例を表すブロック図である。
【図19】図18に示したセンサ部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図20】実施の形態を応用したタッチセンサのうち、応用例1の外観構成を表す平面図である。
【図21】応用例2の外観構成を表す平面図および構成図である。
【図22】応用例3の外観構成を表す平面図および構成図である。
【図23】応用例4の外観構成を表す平面図および構成図である。
【図24】実施の形態を適用したタッチセンサ付き表示装置のうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
【図25】適用例2の外観構成を表す斜視図である。
【図26】適用例3の外観構成を表す斜視図である。
【図27】適用例4の外観構成を表す斜視図である。
【図28】適用例5の外観構成を表す正面図、側面図、上面図および下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.具体的な応用例
4.電子機器への適用例
【0023】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタッチセンサ付き表示装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係るタッチセンサの駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。タッチセンサ付き表示装置1は、表示素子として液晶素子を用いた表示パネルの有効表示領域の外側に、タッチセンサを配置するとともに、そのタッチセンサのタッチ検出領域およびその周辺部に、有効表示領域とは別の表示領域を設けたものである。このタッチセンサ付き表示装置1は、アレイ基板11と、カラーフィルタ基板12と、センサ表示部14と、センサ部2とを備えている。
【0024】
アレイ基板11は、透明基板上に液晶素子を駆動するためのTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)や透明な画素電極などを形成してなる基板である。カラーフィルタ基板12は、透明基板上にカラーフィルタや透明な共通電極などを形成してなる基板である。アレイ基板11とカラーフィルタ基板12との間には、図示しない液晶層が設けられている。アレイ基板11上にはCOG(Chip On Glass)15が配置されている。このCOG15は、画素電極、共通電極やTFTなどを駆動するための回路をチップ化したものである。さらに、COG15には、このほか、後述するように、タッチセンサ用の回路も搭載されている。アレイ基板11には、端子部16が設けられている。この端子部16は、画像を表示するための信号やタッチセンサ用の信号を、外部とやりとりするためのものである。
【0025】
アレイ基板11とカラーフィルタ基板12には、任意の画像を表示するための領域である、有効表示領域13が設けられている。有効表示領域13では、端子部16を介して外部より供給された、画像を表示するための信号に基づいて、画素電極、共通電極やTFTを駆動して液晶層が変調されることにより、表示が行われる。
【0026】
センサ部2は、有効表示領域13の外側に配置され、センサ部2およびその近隣領域(タッチ検出領域)における外部近接物体を検出するものである。センサ部2は、後述するように2つの電極21,22を有しており、外部近接物体の有無に対応してこれらの電極に係る静電容量が変化することを利用して、外部近接物体を検出するように機能するものである。
【0027】
図2は、センサ部2の電極の一構成例を、形成される電気力線および静電容量とともに断面図を用いて表すものであり、(A)は外部近接物体が無い状態を示し、(B)は外部近接物体が有る状態を示す。センサ部2は電極21,22を有する。この電極21,22は、この例では、アレイ基板11上に、互いに離間して配置されるものであり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜によりそれぞれ構成される。なお、電極21,22は、この例のように、アレイ基板上に形成されるのが望ましいが、カラーフィルタ基板上に形成されていてもよい。また、この図では、説明の便宜上、電極21の電圧(電極電圧Vel1)が、電極22の電圧(電極電圧Vel2)よりも高く設定されている。
【0028】
外部近接物体が無い状態では、図2(A)に示したように、電極21から電極22に向かう電気力線が発生し、これに対応して、電極21と電極22との間に静電容量Cmaが形成されている。また、電極21と接地との間には静電容量Cp1が形成され、電極22と接地との間には静電容量Cp2が形成されている。これらの静電容量Cp1,Cp2は、電極21または22と、近隣に配置されている配線などとの間の寄生容量である。
【0029】
一方、外部近接物体(ここでは指)が有る状態では、図2(B)に示したように、電極21から電極22に向かう電気力線が発生するものの、その一部はこの外部近接物体により遮断されるようになる。これに対応して、電極21と電極22との間の静電容量Cmbは、外部近接物体が無い状態における静電容量Cmaと比べて、小さくなる。一方、電極21,22と外部近接物体との間にはそれぞれ電気力線が発生し、電極21と接地との間に、その外部近接物体を介して静電容量Cf1が新たに形成され、電極22と接地との間に、その外部近接物体を介して静電容量Cf2が新たに形成される。よって、電極21と接地との間の静電容量はCp1+Cf1になり、電極22と接地との間の静電容量はCp2+Cf2になる。つまり、外部近接物体が有る状態における、電極21と接地との間の静電容量および電極22と接地との間の静電容量は、外部近接物体が無い状態に比べて大きくなる。
【0030】
センサ部2の近くには、図1に示したように、アレイ基板11上に、検出部3が配置されている。上述したセンサ部2における静電容量の変化は、この検出部3において検出される。
【0031】
センサ表示部14は、センサ部2およびその周辺部に表示を行うためのものであり、有効表示領域13と同一の構造をもつ表示素子(この例では液晶素子)を有している。センサ表示部14では、有効表示領域13と同様に、端子部16を介して外部より供給された、画像を表示するための信号に基づいて、表示が行われる。このセンサ表示部14とセンサ部2により、タッチセンサ付き表示部17が構成される。
【0032】
なお、アレイ基板11の下には、図示しないバックライトが配置され、アレイ基板11に向かって光を射出する。この光が液晶層により変調されることによって、有効表示領域13やセンサ表示部14に画像が表示され、タッチセンサ付き表示装置1は液晶表示装置として機能することとなる。
【0033】
(タッチセンサの回路構成例)
次に、タッチセンサ付き表示装置1のタッチセンサ機能に着目し、その回路構成の一例を説明する。
【0034】
図3は、タッチセンサの回路構成例を表すものである。タッチセンサ10は、上述したセンサ部2および検出部3のほか、タッチ判定部4と、制御信号生成部5と、タイミング制御回路6とを備えている。
【0035】
センサ部2は、上述した電極21,22のほか、スイッチング素子SW1〜SW4を有している。なお、図3では、電極21と電極22との間の静電容量(電極間静電容量)は、外部近接物体が無いときの静電容量Cma(図2(A))と外部近接物体が有るときの静電容量Cmb(図2(B))の総称として、静電容量Cmで示している。また、電極21,22と接地との間の静電容量(接地容量)は、外部近接物体が無いときの静電容量Cp1,Cp2(図2(A))と外部近接物体が有るときの静電容量Cp1+Cf1,Cp2+Cf2(図2(B))の総称として、静電容量Cg1,Cg2でそれぞれ示している。
【0036】
スイッチング素子SW1〜SW3は、電極21,22に電圧を時分割的に印加するものである。スイッチング素子SW1は、接地(GND)と電極21との間に配置され、SW制御信号SCによりオンオフ制御が行われ、電極21に0Vを時分割的に印加する。スイッチング素子SW2は、電圧VDDと電極21との間に配置され、SW制御信号SCBによりオンオフ制御が行われ、電極21に電圧VDDを時分割的に印加する。スイッチング素子SW3は、接地(GND)と電極22との間に配置され、SW制御信号SCによりオンオフ制御が行われ、電極22に0Vを時分割的に印加する。SW制御信号SC,SCBは、後述するように、制御信号生成部5により供給される論理信号であり、SW制御信号SCBはSW制御信号SCを反転したものである。これにより、電極21,22のうちの少なくともどちらか一方に、電圧VDDもしくは0Vを時分割的に印加するようになっている。なお、スイッチング素子SW1〜SW3はそれぞれ、アレイ基板11上にTFTにより形成される。スイッチング素子SW1,SW3としては、例えばnチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTが使用可能であり、スイッチング素子SW2としては、例えばpチャネルMOS型のTFTが使用可能である。
【0037】
スイッチング素子SW4は、後述するように、あらかじめ定められたタイミングで、センサ部2と検出部3とを接続することにより、タッチ検出領域における外部近接物体の有無に関する情報を検出部3に伝える機能を有する。スイッチング素子SW4は、電極22と検出部3の容量素子Cstr(後述)との間に配置され、SW制御信号SCBによりオンオフ制御が行われる。これにより、センサ部2の静電容量Cm,Cg2と、検出部3の容量素子Cstrとの間では、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づいて、スイッチング素子SW4がオン状態になるたびに電荷のやりとりが行われる。なお、スイッチング素子SW4は、アレイ基板11上にTFTにより形成されるものであり、例えばアナログスイッチ(伝送ゲート)が使用可能である。
【0038】
検出部3は、センサ部2から供給される電荷を蓄積し、その蓄積量がある一定量を超えたときに信号を検出信号Vdetとして出力する回路であり、図1に示したように、センサ部2の近くのアレイ基板11上に配置される。検出部3は、容量素子Cstrと、コンパレータ回路30とを有している。
【0039】
容量素子Cstrは、スイッチング素子SW4がオン状態になるたびに、センサ部2と電荷のやりとりを行い、その電荷を蓄積するものである。この容量素子Cstrには、並列にスイッチング素子SW5が接続されている。スイッチング素子SW5は、SW制御信号SAによりオンオフ制御される。SW制御信号SAは、制御信号生成部5(後述)により供給される論理信号であり、容量素子Cstrを放電させるために使用される。具体的には、後述するように、容量素子Cstrへの電荷の蓄積に先立ち、SW制御信号SAによりスイッチング素子SW5がオン状態になり、容量素子Cstrに蓄積された電荷が放電されるようになっている。スイッチング素子SW5は、アレイ基板11上にTFTにより形成されるものであり、例えばnチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTが使用可能である。なお、SW制御信号SAは、後述するコンパレータ回路30のオフセット調整機能にも使用される。
【0040】
容量素子Cstrとコンパレータ回路30の間には、スイッチング素子SW8が挿入されており、SW制御信号SBによりオンオフ制御が行われる。SW制御信号SBは、制御信号生成部5(後述)により供給される論理信号である。スイッチング素子SW8は、アレイ基板11上にTFTにより形成されるものであり、例えばアナログスイッチ(伝送ゲート)が使用可能である。
【0041】
コンパレータ回路30は、スイッチング素子SW8を介して、容量素子Cstrに蓄積された電荷を蓄積電圧Vstrとしてモニタし、その電圧レベルとあらかじめ定められたリファレンス電圧Vrefとを比較して、その比較結果を出力する回路である。このコンパレータ回路30は、インバータ回路31,32と、容量素子Ccompと、スイッチング素子SW6,SW7とを有している。スイッチング素子SW6は、リファレンス電圧Vrefをコンパレータ回路30の入力に供給するスイッチであり、SW制御信号SAによりオンオフ制御が行われる。容量素子Ccompは、コンパレータ回路30の入力とインバータ回路31の入力との間に挿入される。インバータ回路31は、入力された信号を反転し出力する回路である。スイッチング素子SW7は、インバータ回路31の入出力間に挿入され、SW制御信号SAによりオンオフ制御が行われる。インバータ回路32は、インバータ回路31から供給される信号を反転し、コンパレータ回路30の出力信号として出力する回路である。この構成により、コンパレータ回路30は、詳細は後述するが、スイッチング素子SW6,SW7がオン状態になったときに、リファレンス電圧Vrefをコンパレータ回路30のしきい値電圧Vthcに設定(自己オフセット調整)し、スイッチング素子SW6,SW7がオフ状態になったときに、コンパレータ回路30の入力(コンパレータ入力電圧Vcomp)とこのしきい値電圧Vthcとを比較するように機能する。なお、スイッチング素子SW6,SW7、およびインバータ回路31,32は、アレイ基板11上にTFTにより形成される。スイッチング素子SW6,7としては、例えばアナログスイッチ(伝送ゲート)が使用可能であり、インバータ回路31,32としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータ回路が使用可能である。
【0042】
タッチ判定部4は、検出部3から供給される検出信号Vdetに基づいて、検出部3の容量素子Cstrへの電荷の蓄積が開始された後、その容量素子Cstrの電荷の蓄積量がある一定量に到達するまでの時間(蓄積時間tstr)を検出することにより、外部近接物体の有無を検出するものである。このタッチ判定部4は、時間計測回路41と、判定回路42と、メモリ43とを有している。
【0043】
時間計測回路41は、検出部3から供給される検出信号Vdetに基づいて、蓄積時間tstrを検出する回路である。この蓄積時間tstrの計測は、例えば、内部で生成されるクロック信号や、もしくは、外部から供給されるクロック信号(図示せず)のパルス数を数える方法などが使用可能である。
【0044】
判定回路42は、時間計測回路41で検出された蓄積時間tstrと、あらかじめ定められたリファレンス時間trefとを比較することにより、外部近接物体の有無を検出する回路である。リファレンス時間trefとしては、例えば、外部近接物体が有るときと無いときとにおける蓄積時間tstrをあらかじめ測定しておき、これらの2条件での蓄積時間tstrの中間値を用いることができる。この動作原理は、後述するように、蓄積時間tstrが外部近接物体の有無により変化することを利用したものである。
【0045】
メモリ43は、判定回路42における外部近接物体の有無に関する判定結果を保持し、タッチ判定出力Voutとして出力するものである。そして、メモリ内の判定結果は、判定回路42が判定するたびに更新されることとなる。
【0046】
制御信号生成部5は、SW制御信号SA,SB,SC,SCBを生成し、センサ部2および検出部3に供給するものである。この制御信号生成部5は、制御信号生成回路50と、インバータ回路51とを有している。制御信号生成回路50は、後述するタイミング制御回路6から供給される制御信号に基づいて、SW制御信号SA,SB,SCを生成するとともに、SW制御信号SA,SBを検出部3に供給し、SW制御信号SCをセンサ部2に供給するようになっている。インバータ回路51は、制御信号生成回路50が生成したSW制御信号SCを反転し、SW制御信号SCBとして出力するとともに、センサ部2に供給するものである。
【0047】
タイミング制御回路6は、タッチ判定部4、および制御信号生成部5に、動作タイミングを指示する制御信号を生成し供給する回路である。
【0048】
なお、タッチ判定部4、制御信号生成部5およびタイミング制御回路6は、図1において、COG15に搭載される。もしくは、これに代えて、アレイ基板11上に、TFTにより形成されてもよい。
【0049】
ここで、電極21は、本発明における「第1の電極」の一具体例に対応し、電極22は、本発明における「第2の電極」の一具体例に対応する。容量素子Cstrは、本発明における「容量素子」の一具体例に対応する。制御信号生成部5およびスイッチング素子SW1〜SW4は、本発明における「駆動制御部」の一具体例に対応する。検出部3およびタッチ判定部4は、本発明における「検出部」の一具体例に対応する。センサ表示部14は、本発明における「他の表示部」の一具体例に対応する。
【0050】
また、スイッチング素子SW6は、本発明における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、スイッチング素子SW7は、本発明における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応する。容量素子Ccompは、本発明における「他の容量素子」の一具体例に対応する。インバータ回路31は、本発明における「反転回路」の一具体例に対応する。
【0051】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態のタッチセンサ付き表示装置1の動作および作用について説明する。
【0052】
(全体動作概要)
アレイ基板11の下にあるバックライトから射出された光は、アレイ基板11とカラーフィルタ基板12の間の液晶層に入射される。COG15は、アレイ基板11の画素電極やTFT、カラーフィルタ基板12の共通電極を駆動し、液晶層を変調する。入射された光の強度は、この液晶層により変調される。これにより、有効表示領域13やセンサ表示部14に画像が表示される。
【0053】
センサ部2は、制御信号生成部5により供給されるSW制御信号SC,SCBに基づいて、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理により、検出部3の容量素子Cstrとの間で、電荷のやり取りを行い、容量素子Cstrに電荷を蓄積する。検出部3のコンパレータ回路30は、容量素子Cstrに蓄積された電荷を蓄積電圧Vstrとしてモニタし、その電圧レベルとリファレンス電圧Vrefとを比較し、その比較結果を検出信号Vdetとして出力する。タッチ判定部4の時間計測回路41は、検出信号Vdetに基づいて、蓄積時間tstrを検出する。判定回路42は、蓄積時間tstrと、あらかじめ定められたリファレンス時間trefとを比較することにより、外部近接物体の有無を判定する。そしてメモリ43は、その判定結果を保持する。
【0054】
(外部近接物体が無いときのタッチセンサ10の動作)
最初に、タッチセンサ10のタッチ検出領域に外部近接物体が無いときにおける動作例を説明する。
【0055】
図4は、本実施の形態に係るタッチセンサ10のタイミング図であり、外部近接物体が無いときの例を表すものである。図4において、(A)はSW制御信号SAの電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SBの電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SCの電圧波形を示し、(D)はSW制御信号SCBの電圧波形を示す。図4(A)〜(D)は、論理信号であるSW制御信号SA,SB,SC,SCBの電圧レベルが、低レベルと高レベルとの間で周期的に変化している様子を示している。なお、SW制御信号SA,SB,SC,SCBにより制御されるスイッチング素子SW1〜8は、説明の便宜上、この論理信号の電圧レベルが高レベルの時にそれぞれオン状態となり、低レベルの時にそれぞれオフ状態になるものとする。また、図4において、(E)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(F)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示し、(G)は蓄積電圧Vstrの波形を示し、(H)はコンパレータ入力電圧Vcompの波形を示し、(I)は検出信号Vdetの波形を示す。
【0056】
タッチセンサ10は、まず、自己オフセット補正期間T0において、コンパレータ回路30の自己オフセット補正を行うとともに、容量素子Cstrを放電する。そして、タッチ検出期間T1において、センサ部2がスイッチト・キャパシタの動作を行うことにより、容量素子Cstrに電荷を蓄積する。その蓄積電荷があらかじめ定められた一定量に到達したときに、検出信号Vdetが変化する。タッチ判定部4は、この検出信号Vdetに基づいて、蓄積時間tstrを検出することにより、外部近接物体の有無を検出する。その後、終了期間T2を経て、自己オフセット補正期間T0へ戻る。タッチセンサ10は、この期間T0〜T2によるサイクルを繰り返すことにより、外部近接物体の有無を継続的に検出する。
【0057】
(自己オフセット補正期間T0)
最初に、検出部3は、コンパレータ回路30の自己オフセット補正を行うとともに、容量素子Cstrを放電する。具体的には、SW制御信号SBの電圧が低レベルになっている期間において、制御信号生成部5が、SW制御信号SAの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(図4(A))。これにより、スイッチング素子SW5がオン状態になり、容量素子Cstrが放電され、蓄積電圧Vstrが0Vになる(図4(G))。また、スイッチング素子SW6,7がオン状態になり、コンパレータ回路30のしきい値電圧Vthcが補正される。
【0058】
次に、コンパレータ回路30のしきい値電圧Vthcの補正について説明する。
【0059】
図5は、自己オフセット補正期間T0における、センサ部2と検出部3の状態を表すものである。スイッチング素子SW6がオン状態になっており、リファレンス電圧Vrefがコンパレータ回路30の入力(図5における容量素子Ccompの左側の端子)に印加される。一方、スイッチング素子SW7もオン状態になっており、これによりインバータ回路31には負帰還パスが形成されている。
【0060】
図6(A)は、インバータ回路31単体の入出力特性例を表すものである。横軸はインバータ回路31の入力電圧Viを示し、縦軸はインバータ回路31の出力電圧Voを示す。特性W1は、インバータ回路31単体における入出力特性の例であり、インバータ回路31のしきい値電圧Vthiを境目として出力電圧Voが反転する様子を示している。スイッチング素子SW7がオン状態になったとき、負帰還により、入力電圧Viと出力電圧Voは等しくなる(Vi=Vo)。このとき、インバータ回路31は、インバータ回路31単体の入出力特性W1と、負帰還の関係式Vi=Voを示す特性W2とが両立する(交差する)、点P1をその動作点とするように動作する。つまり、インバータ回路31の入力(図5における容量素子Ccompの右側の端子)の電圧Viは、インバータ回路31のしきい値電圧Vthiと等しくなる。
【0061】
このようにして、自己オフセット補正期間T0では、容量素子Ccompの両端には、リファレンス電圧Vrefと、インバータ回路31のしきい値電圧Vthiが印加されることとなる。この容量素子Ccompの両端の電位差ΔVcomp=Vref−Vthiは、自己オフセット補正期間T0に続くタッチ検出期間T1では、後述するように、スイッチング素子SW7がオフ状態になることに起因して、維持されることとなる。つまり、容量素子Ccompは、コンパレータ回路30の入力電圧である蓄積電圧Vstrを、電位差ΔVcompの分だけレベルシフトして、インバータ回路31の入力に供給するように機能する。
【0062】
図6(B)は、タッチ検出期間T1におけるコンパレータ回路30の入出力特性例を表すものである。横軸はコンパレータ回路30の入力電圧Vcompを示し、縦軸はコンパレータ回路30の出力電圧である検出信号Vdetの電圧を示す。コンパレータ回路30の入出力特性(特性W3)は、リファレンス電圧Vrefを境目として、検出信号Vdetが変化する様子を示している。この特性が実現されるのは、以下の理由による。すなわち、例えば、コンパレータ回路30の入力電圧Vcompが、リファレンス電圧Vrefと同じ電圧である場合、上述した容量素子Ccompによるレベルシフトにより、インバータ回路31の入力電圧ViにはVthi(=Vref−ΔVcomp)が供給される。インバータ回路31は、この電圧を境目として反転し(図6(A))、インバータ回路31の後段のインバータ回路32も、これに対応して反転する。よって、コンパレータ回路30の入出力特性は、図6(B)に示したように、リファレンス電圧Vrefを境目として、その出力電圧である検出信号Vdetの電圧が変化することとなる。このことは、リファレンス電圧Vrefがコンパレータ回路30のしきい値電圧Vthcに設定される(自己オフセット調整)ことを意味している。
【0063】
このように、コンパレータ回路30の自己オフセット補正と、容量素子Cstrの放電とが終了した後、制御信号生成部5は、SW制御信号SAの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(図4(A))。以上で、自己オフセット補正期間T0が終了する。なお、この自己オフセット補正期間T0の動作は、外部近接物体の有無に影響されずに、同じように行われる。
【0064】
(タッチ検出期間T1)
次に、センサ部2は、スイッチト・キャパシタの動作を行うことにより、容量素子Cstrへの電荷の蓄積を開始する。具体的には、まず、SW制御信号SAの電圧が低レベルになっている期間において、制御信号生成部5が、SW制御信号SBの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(図4(B))。これによりスイッチング素子SW8がオン状態となり、容量素子Cstrの蓄積電荷に対応する電圧が、蓄積電圧Vstrとしてコンパレータ回路30の入力に供給されるようになる。つまり、蓄積電圧Vstrはタッチ検出期間T1の開始とともに0Vとなる(図4(G))。さらに、コンパレータ回路30は、入力された蓄積電圧Vstrがリファレンス電圧Vrefに比べて低いため、低レベル(0V)を出力する(図4(I))。一方、これらと同時に、制御信号生成部5は、SW制御信号SC,SCBの電圧を周期的に変化させ始める(図4(C),(D))。すなわち、タッチ検出期間T1の開始と同時に、まず、制御信号生成部5は、SW制御信号SCを低レベルから高レベルに変化させるとともに(図4(C))、SW制御信号SCBを高レベルから低レベルに変化させ(図4(D))、その状態を一定時間維持する(第1の期間T11)。その後、制御信号生成部5は、SW制御信号SCを高レベルから低レベルに変化させるとともに(図4(C))、SW制御信号SCBを低レベルから高レベルに変化させ(図4(D))、その状態を一定時間維持する(第2の期間T12)。制御信号生成部5は、タッチ検出時間T1の間、この第1の期間T11と第2の期間T12とを交互に繰り返すように、SW制御信号SC,SCBを生成し出力する。
【0065】
図7は、タッチ検出期間T1における、センサ部2と検出部3の状態を表すものであり、(A)は第1の期間T11における状態を示し、(B)は第2の期間T12における状態を示す。
【0066】
第1の期間T11では、図7(A)に示したように、スイッチング素子SW1,SW3はオン状態になっており、スイッチング素子SW2,SW4はオフ状態になっている。これにより、電極21,22には、ともに0Vが印加(初期化)される(図4(E),(F))。
【0067】
第2の期間T12では、図7(B)に示したように、スイッチング素子SW2,SW4はオン状態になっており、スイッチング素子SW1,SW3はオフ状態になっている。これにより、電極21には電圧VDDが印加される(図4(E))。このとき、静電容量Cm,Cg2の電荷の一部が、スイッチング素子SW4を介して、過渡的な蓄積電流Istrとして容量素子Cstrに流れ込む。そして、蓄積電圧Vstrは、過渡的な蓄積電流Istrとして流れ込んだ電荷の分だけ上昇する(図4(G))。
【0068】
その後、この第1の期間T11と第2の期間T12とが交互に繰り返されることにより、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づいて、第2の期間T12において、スイッチング素子SW4がオン状態になるたびに、容量素子Cstrには電荷が蓄積され、それに伴い、蓄積電圧Vstrが上昇する(図4(G))。
【0069】
そして、この蓄積電圧Vstr(コンパレータ入力電圧Vcomp)が、リファレンス電圧Vrefの電圧レベルを超えるようになると、コンパレータ回路30が、これらの比較結果(検出信号Vdet)として高レベル電圧を出力する(図4(I))。つまり、検出信号Vdetは、容量素子Cstrへの電荷の蓄積が開始された後、容量素子Cstrの電荷の蓄積量がある一定量(Cstr×Vref)に到達するまでの時間(蓄積時間tstr)、低レベルを維持する。タッチ判定部4は、検出信号Vdetに基づいて、この蓄積時間tstrを検出し、これを利用して外部近接物体の有無を検出する。
【0070】
(終了期間T2)
最後に、センサ部2がスイッチト・キャパシタの動作を終了するとともに、次のサイクルの準備を行う。具体的には、まず、制御信号生成部5が、SW制御信号SC,SCBの周期的な変化を停止させる(図4(C),(D))。そして、制御信号生成部5が、SW制御信号SBの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(図4(B))。これによりスイッチング素子SW8がオフ状態となり、容量素子Cstrとコンパレータ回路30とが切り離される。
【0071】
その後、所定の期間が経過したのち、タッチセンサ10は、上述した自己オフセット補正期間T0へ移行する。そして、タッチセンサ10は、この期間T0〜T2のサイクルを繰り返すように動作する。
【0072】
(外部近接物体が有るときのタッチセンサ10の動作)
次に、タッチセンサ10のタッチ検出領域に外部近接物体が有るときにおける、タッチ検出期間T1の動作例を説明する。なお、自己オフセット補正期間T0と終了期間T2の動作については、外部近接物体の有無に依らず同じであるため、説明を省略する。
【0073】
外部近接物体が有るときでも、センサ部2および検出部3は、外部近接物体が無いときと同様に、タッチ検出期間T1において、図7に示したように動作する。しかしながら、第2の期間T12における、過渡的な蓄積電流Istrは、外部近接物体の有無により異なる。
【0074】
図2に示したように、タッチセンサ10のタッチ検出領域での外部近接物体の有無により、静電容量Cm,Cg1,Cg2は変化する。すなわち、静電容量Cmに関しては、外部近接物体が有るときの値(静電容量Cmb)は、外部近接物体が無いときの値(静電容量Cma)よりも小さくなる。また、静電容量Cg1,Cg2に関しては、外部近接物体が有るときの値(Cp1+Cf1,Cp2+Cf2)は、外部近接物体が無いときの値(Cp1,Cp2)よりも大きくなる。これにより、外部近接物体が有るときの過渡的な蓄積電流Istrは、外部近接物体が無いときに比べ小さくなる。
【0075】
図8は、本実施の形態に係るタッチセンサ10のタイミング図の一例であり、外部近接物体があるときの例を表すものである。図8において、(A)はSW制御信号SAの電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SBの電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SCの電圧波形を示し、(D)はSW制御信号SCBの電圧波形を示し、(E)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(F)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示し、(G)は蓄積電圧Vstrの波形を示し、(H)はコンパレータ入力電圧Vcompの波形を示し、(I)は検出信号Vdetの波形を示す。
【0076】
外部近接物体が有る場合、第2の期間T12において、過渡的な蓄積電流Istrが少なくなり、これが流れ込む容量素子Cstrにおける電荷の蓄積量も減少し、これに伴い、蓄積電圧Vstrの上昇量もまた減少する。このタッチ検出期間T1では、第1の期間T11と第2の期間T12とが交互に繰り返されることにより、第2の期間T12のたびに、蓄積電圧Vstrが上昇するが、外部近接物体がある場合には、その蓄積電圧Vstrの変化速度が遅くなることとなる。これに起因して、外部近接物体がある場合は、蓄積時間tstrが長くなる(図8(I))。
【0077】
以上に示したように、蓄積時間tstrは、外部近接物体の有無に応じて変化する。よって、タッチ判定部4の判定回路42は、蓄積時間tstrと、あらかじめ定められたリファレンス時間trefとを比較することにより、外部近接物体の有無を判定することができる。
【0078】
[効果]
以上のように本実施の形態では、外部近接物体の有無を、2つの電極21,22の間の静電容量Cmの変化を利用して検出するようにしたので、1つの電極の静電容量の変化を利用する場合に比べて、例えばアレイ基板11上の配線など、周辺部の導電物質による影響を小さくすることができ、小型化や感度の向上を実現することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、センサ部2の近傍に検出部3を配置するようにしたので、センサ部2と検出部3との間の配線の寄生容量が減るとともに、クロストークによる雑音の混入も最小限にすることができる。その結果、感度の高い複雑なセンサ構造を用いることなく、また、アンプなどを設けることもなく、シンプルな構造のセンサ部2から供給される微小な信号に基づいて、外部近接物体の有無を検出することができ、小型化やコストの削減を実現することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、外部近接物体の検出方法として、スイッチト・キャパシタを用い、また、検出回路として、自己オフセット補正機能付きのコンパレータ回路30を用いている。これにより、瞬間的なノイズや、TFTの製造プロセスに起因する素子ばらつきに対する耐性が強くなり、小型かつシンプルな回路構成を実現することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、以上のようにシンプルな構成のセンサ部と検出部とを用いてタッチセンサを構成したので、省スペース化を実現でき、これを用いてタッチセンサ付き表示装置を構成した場合には、額縁領域の狭いタッチセンサ付き表示装置を実現できる。
【0082】
さらに、本実施の形態では、タッチセンサ付き表示装置を構成した場合において、センサ部と検出部とを、液晶表示装置(有効表示領域)と同じアレイ基板上に形成し、その他の必要な回路をCOGに搭載するようにしたので、部品点数を削減しコストを削減するとともに、その額縁領域を狭くすることができる。
【0083】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、スイッチング素子SW1,SW3の一端を接地(GND)に接続し、またスイッチング素子SW2の一端を電圧VDDに接続するようにしたが、それに限定されるものではない。また、上記の実施の形態では、容量素子Cstrの一端を接地(GND)に接続するようにしたが、それに限定されるものではない。例えば、図9に示したように、スイッチング素子SW1,SW3の一端を電圧VDDに接続し、スイッチング素子SW2の一端を接地(GND)に接続し、さらに容量素子Cstrの一端を電圧VDDに接続するようにしても良い。この例では、タッチ検出期間T1においてスイッチト・キャパシタの動作を行う際、蓄積電圧Vstrは、電圧VDDから少しずつ下降するように動作する。これにより、コンパレータ回路30の出力である検出信号Vdetは、上記実施の形態と反転した波形となる。タッチ判定部4Bの時間計測回路41Bは、この反転した波形に基づいて、蓄積時間tstrを測定する回路である。なお、この場合は、スイッチング素子SW1,SW3,SW5としては、例えばpチャネルMOS型のTFTが使用可能であり、スイッチング素子SW2としては、例えばnチャネルMOS型のTFTが使用可能である。その他は、上記実施の形態と同様である。
【0084】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、タッチ検出期間T1における蓄積電圧Vstrの変化速度を、蓄積電圧Vstrがある一定値に到達する時間(蓄積時間tstr)として測定したが、これに代えて、蓄積電圧Vstrの変化速度を、蓄積開始後のある所定のタイミングにおける蓄積電圧Vstrの電圧値として測定してもよい。以下、本変形例について詳細に説明する。
【0085】
図10は、本変形例に係るタッチセンサ10Cの一構成例を表すものである。なお、上記実施の形態に係るタッチセンサ10と実質的に同一の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0086】
タッチセンサ10Cは、検出部3C、タッチ判定部4C、制御信号生成部5C、タイミング制御回路6Cを備えている。検出部3Cは、S/H(Sample and Hold)回路33とADC(Analog to Digital Converter)回路34を有しており、制御信号生成部5Cから供給される読込制御信号SDに基づいて蓄積電圧Vstrをサンプリングし、ADC回路34でデジタル信号に変換し、その結果を検出コードCdetとして出力するものである。なお、ここでは、説明の便宜上ADC回路のデジタル出力のビット幅は2ビットとしているが、これに限定されるものではなく、例えば4ビットや8ビットなど、ビット幅を増やし、より高い精度で蓄積電圧VstrをA/D変換するようにしてもよい。タッチ判定部4Cは、判定回路42Cを有しており、この判定回路42Cが、検出部3Cから供給される検出コードCdetとあらかじめ定められたリファレンスコードCrefとを比較することにより、外部近接物体の有無を検出するものである。
【0087】
図11は、本実施の形態に係るタッチセンサ10Cのタイミング図を表すものである。図11において、(A)はSW制御信号SAの電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SCの電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SCBの電圧波形を示し、(D)は読込制御信号SDの電圧波形を示し、(E)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(F)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示し、(G)は蓄積電圧Vstrの波形を示し、(H)はADC入力電圧Vadcの波形を示し、(I)は検出信号Vdetの波形を示す。なお、タッチセンサ10Cの動作は、センサ部2に関しては、本実施の形態に係るタッチセンサ10と同じである(図11(B),(C),(E)〜(G))。
【0088】
タッチセンサ10Cは、まず、準備期間T0cにおいて、容量素子Cstrを放電するとともに、SW制御信号SAに基づいて、S/H回路33の状態を初期化する(図11(H))。その後、タッチ検出期間T1cにおいて、本実施の形態に係るタッチセンサ10と同様に、センサ部2がスイッチト・キャパシタの動作を行うことにより、容量素子Cstrに電荷を蓄積し、それに対応して蓄積電圧Vstrが上昇する(図11(G))。そして、タッチ検出期間T1が開始された後、ある一定の時間を経たタイミングにおいて、ある幅を持つパルスが読込制御信号SDとして供給され、これに基づいて、S/H回路33が蓄積電圧Vstrをサンプリングし、その後その状態を維持する(図11(H))。ADC回路34はこの電圧をA/D変換し、検出コードCdetとして出力する(図11(I))。タッチ判定部4Cは、この検出コードCdetに基づいて、外部近接物体の有無を検出する。その後、タッチセンサ10Cは、準備期間T0cへ戻る。タッチセンサ10は、この期間T0〜T2によるサイクルを繰り返すことにより、外部近接物体の有無を継続的に検出する。
【0089】
本変形例に係るタッチセンサ10Cでは、本実施の形態に係るタッチセンサ10と異なり、ある所定のタイミングにおける蓄積電圧Vstrを測定することにより、外部近接物体の有無を検出している。よって、単に外部近接物体があるかどうかだけでなく、外部近接物体のタッチ検出領域への近接の度合いも検出することができる。特に、ADC回路34として、より高分解能の変換特性を有するものを用いた場合には、蓄積電圧Vstrをより高精度で測定できるため、より高い精度で近接の度合いを検出できるようになる。
【0090】
なお、同様の動作は、図12に示したタッチセンサ10Dでも実現することができる。タッチセンサ10Dは、タッチセンサ10Cにおいて、ADC回路34の前に配置されたS/H回路33の代わりに、ADC回路34の後ろにラッチ回路35を設けたものであり、その他の構成は同じである。ラッチ回路35は、読込制御信号SDによりラッチされ、SW制御信号SAにより初期化されるものである。つまり、タッチセンサ10Cとタッチセンサ10Dとは、ある所定のタイミングにおける蓄積電圧Vstrをサンプリングし維持するという機能ブロックを、ADC回路34の前段に配置(図10におけるS/H回路33)するか、後段に配置するか(図12におけるラッチ回路35)の違いであり、本質的には同じものである。よって、タッチセンサ10Dにおいても、外部近接物体のタッチ検出領域への近接の度合いも検出することができる。
【0091】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタッチセンサ付き表示装置について説明する。本実施の形態は、図1に示したタッチセンサ付き表示装置を構成するタッチセンサにおいて、センサ部の電極21,22の駆動方法が、上記第1の実施の形態と異なるものである。すなわち、上記第1の実施の形態(図3)では、制御信号生成部5およびセンサ部2を用いて、電極21のみを駆動電極として動作するタッチセンサ10を構成したが、これに代えて、本実施の形態では、制御信号生成回路8およびセンサ部7を用いて、電極21,22の両方を駆動電極として動作するタッチセンサ90を構成している。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図3)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチセンサ付き表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0092】
[構成例]
(タッチセンサの回路構成例)
図13は、タッチセンサ90の回路構成例を表すものである。タッチセンサ90は、センサ部7と、制御信号生成部8とを備えている。
【0093】
センサ部7は、電極21,22と、スイッチング素子SW11〜SW14を有している。
【0094】
スイッチング素子SW11〜SW13は、電極21,22に電圧を時分割的に印加するものである。スイッチング素子SW11は、電圧VDDと電極21との間に配置され、SW制御信号SC11によりオンオフ制御が行われ、電極21に電圧VDDを時分割的に印加する。スイッチング素子SW12は、接地(GND)と電極21との間に配置され、SW制御信号SC12によりオンオフ制御が行われ、電極21に0Vを時分割的に印加する。スイッチング素子SW13は、電圧VDDと電極22との間に配置され、SW制御信号SC13によりオンオフ制御が行われ、電極22に電圧VDDを時分割的に印加する。SW制御信号SC11〜SC13は、後述するように、制御信号生成回路8により供給される論理信号であり、電極21,22のうちの少なくともどちらか一方に、電圧VDDもしくは0Vを時分割的に印加するようになっている。なお、スイッチング素子SW11〜SW13はそれぞれ、アレイ基板11上にTFTにより形成される。スイッチング素子SW11,SW13としては、例えばpチャネルMOS型のTFTが使用可能であり、スイッチング素子SW12としては、例えばnチャネルMOS型のTFTが使用可能である。
【0095】
スイッチング素子SW14は、後述するように、あらかじめ定められたタイミングで、センサ部7と検出部3とを接続することにより、タッチ検出領域における外部近接物体の有無に関する情報を検出部3に伝える機能を有する。スイッチング素子SW14は、電極22と検出部7の容量素子Cstrとの間に配置され、SW制御信号SC14によりオンオフ制御が行われる。これにより、センサ部7の静電容量Cm,Cg2と、検出部3の容量素子Cstrとの間では、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づいて、スイッチング素子SW14がオン状態になるたびに電荷のやりとりが行われる。SW制御信号SC14は、制御信号生成回路8(後述)により供給される論理信号である。なお、スイッチング素子SW14は、アレイ基板11上にTFTにより形成されるものであり、例えばアナログスイッチ(伝送ゲート)が使用可能である。
【0096】
制御信号生成回路8は、タイミング制御回路6に基づいて、SW制御信号SA,SB,SC11〜SC14を生成するとともに、SW制御信号SA,SBを検出部3に供給し、SW制御信号SC11〜SC14をセンサ部7に供給するものである。
【0097】
[動作および作用]
(外部近接物体が無いときのタッチセンサ90の動作)
図14は、本実施の形態に係るタッチセンサ90のタイミング図であり、外部近接物体が無いときの例を表すものである。図14において、(A)はSW制御信号SAの電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SBの電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SC11の電圧波形を示し、(D)はSW制御信号SC12の電圧波形を示し、(E)はSW制御信号SC13の電圧波形を示し、(F)はSW制御信号SC14の電圧波形を示す。図13(A)〜(F)は、論理信号であるSW制御信号SA,SB,SC11〜SC14の電圧レベルが、低レベルと高レベルとの間で周期的に変化している様子を示している。なお、SW制御信号SA,SB,SC11〜SC14により制御されるスイッチング素子SW1〜SW8は、説明の便宜上、この論理信号の電圧レベルが高レベルの時にそれぞれオン状態となり、低レベルの時にそれぞれオフ状態になるものとする。また、図14において、(G)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(H)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示し、(I)は蓄積電圧Vstrの波形を示し、(J)はコンパレータ入力電圧Vcompの波形を示し、(K)は検出信号Vdetの波形を示す。
【0098】
本実施の形態におけるタッチセンサ90の動作は、タッチ検出期間T1eの動作のみが、上記第1の実施の形態のタッチ検出期間T1(図4)と異なっている。つまり、自己オフセット期間T0および終了期間T2の動作については、上記第1の実施の形態におけるタッチセンサ10の対応する動作(図4の期間T0,T2)と同様である。
【0099】
(タッチ検出期間T1e)
タッチ検出期間T1eでは、センサ部7は、スイッチト・キャパシタの動作を行うことにより、容量素子Cstrへの電荷の蓄積を開始する。具体的には、まず、SW制御信号SAの電圧が低レベルになっている期間において、制御信号生成回路8が、SW制御信号SBの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(図14(B))。これによりスイッチング素子SW8がオン状態となり、容量素子Cstrの電圧が、蓄積電圧Vstrとしてコンパレータ回路30の入力に供給されるようになる。容量素子Cstrは、タッチ検出期間T1eに先立つ自己オフセット補正期間T0において放電されるため、この蓄積電圧Vstrはタッチ検出期間T1eの開始とともに0Vとなる(図14(I))。さらに、コンパレータ回路30は、入力された蓄積電圧Vstr(コンパレータ入力電圧Vcomp)がリファレンス電圧Vrefに比べて低いため、低レベル(0V)を出力する(図14(K))。一方、これらと同時に、制御信号生成回路8は、SW制御信号SC11〜SC14の電圧を周期的に変化させ始める(図14(C)〜(F))。すなわち、まず、制御信号生成回路8は、SW制御信号SC11,SC13を低レベルから高レベルに変化させるとともに(図14(C),(E))、SW制御信号SC12,SC14を高レベルから低レベルに変化させ(図14(D),(F))、その状態を一定時間維持する(第1の期間T11e)。次に、制御信号生成回路8は、SW制御信号SC11,SC13を高レベルから低レベルに変化させるとともに(図14(C),(E))、SW制御信号SC12を低レベルから高レベルに変化させ(図14(D))、その状態を一定時間維持する(第2の期間T12e)。その後、制御信号生成回路8は、SW制御信号SC13を低レベルから高レベルに変化させるとともに(図14(E))、SW制御信号SC12を高レベルから低レベルに変化させ(図14(D))、その状態を一定時間維持する(第3の期間T13e)。そして、制御信号生成回路8は、SW制御信号SC13を高レベルから低レベルに変化させるとともに(図14(E))、SW制御信号SC12,SC14を低レベルから高レベルに変化させ(図14(D),(F))、その状態を一定時間維持する(第4の期間T14e)。制御信号生成回路8は、タッチ検出時間T1eの間、これらの4つの期間T11e〜T14eからなる一連の動作を繰り返すように、SW制御信号SC11〜SC14を生成し出力する。
【0100】
次に、図15および図16を参照して、期間T11e〜T14eにおけるセンサ部7の詳細動作について説明する。
【0101】
図15は、期間T11e〜T14eにおけるセンサ部7の動作のタイミング図を表すものである。図15において、(A)はSW制御信号SC11の電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SC12の電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SC13の電圧波形を示し、(D)はSW制御信号SC14の電圧波形を示し、(E)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(F)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示す。なお、ここでは説明の便宜上、センサ部7と検出部3とは、スイッチング素子SW14の状態に依らず切断されているとする。つまり、センサ部7の電極22から検出部3の容量素子Cstrへのいかなる蓄積電流も流れないとする。
【0102】
図16は、タッチ検出期間T1eにおける、センサ部7の状態を表すものであり、(A)は第1の期間T11eにおける状態を示し、(B)は第2の期間T12eにおける状態を示し、(C)は第3の期間T13eにおける状態を示し、(D)は第4の期間T14eにおける状態を示す。
【0103】
第1の期間T11eでは、図16(A)に示したように、スイッチング素子SW11,SW13はオン状態になっており、スイッチング素子SW12,SW14はオフ状態になっている。これにより、電極21,22には、ともに電圧VDDが印加(初期化)される(図15(E),(F))。
【0104】
第2の期間T12eでは、図16(B)に示したように、スイッチング素子SW12はオン状態になっており、スイッチング素子SW11,SW13,SW14はオフ状態になっている。これにより、電極21には0Vが印加される(図15(E))。このとき、静電容量Cg2の電荷の一部(電荷量Q12e)が、電流として過渡的に静電容量Cmに流れ込む(図16(B))。これにより、電極21の電極電圧Vel1が0Vに下がるのに応じて、電極22の電極電圧Vel2も下がるものの、0Vにはならず、電圧ΔV1になる(図15(F))。言い換えれば、電極22の電極電圧Vel2は、電極21の電極電圧Vel1よりも電圧ΔV1だけ高くなる。
【0105】
第3の期間T13eでは、図16(C)に示したように、スイッチング素子SW13はオン状態になっており、スイッチング素子SW11,SW12,SW14はオフ状態になっている。これにより、電極22には電圧VDDが印加される(図15(F))。このとき、静電容量Cmの電荷の一部(電荷量Q13e)が、電流として過渡的に静電容量Cg1に流れ込む(図16(C))。これにより、電極22の電極電圧Vel2が電圧VDDに上がるのに応じて、電極21の電極電圧Vel1も上がるものの、電圧VDDにはならず、電圧VDD−ΔV2になる(図15(E))。言い換えれば、電極22の電極電圧Vel2は、電極21の電極電圧Vel1よりも電圧ΔV2だけ高くなる。この電圧ΔV2は、電荷量Q12eと、電荷量Q13eとの和に対応するものである。
【0106】
第4の期間T14eでは、図16(D)に示したように、スイッチング素子SW12,SW14はオン状態になっており、スイッチング素子SW11,SW13はオフ状態になっている。これにより、電極21には0Vが印加される(図15(E))。このとき、静電容量Cg2の電荷の一部(電荷量Q14e)が、電流として過渡的に静電容量Cmに流れ込む(図16(D))。これにより、電極21の電極電圧Vel1が0Vに下がるのに応じて、電極22の電極電圧Vel2も下がるものの、0Vにはならず、電圧ΔV3になる(図15(F))。言い換えれば、電極22の電極電圧Vel2は、電極21の電極電圧Vel1よりも電圧ΔV3だけ高くなる。この電圧ΔV3は、電荷量Q12e、電荷量Q13e、および電荷量Q14eの和に対応するものである。
【0107】
このように、第2の期間T12eから第4の期間T14eの各期間では、静電容量Cmと静電容量Cg1,Cg2に起因する過渡電流がながれ、電極電圧Vel1と電極電圧Vel2とに電圧差が生ずるようになる。さらに、期間が進むごとにその電圧差は増幅され、電極22の電極電圧Vel2は、電極21の電極電圧Vel1よりも少しずつ大きくなっていく(図15(E),(F))。
【0108】
以上では、説明の便宜上、センサ部7と検出部3とは、スイッチング素子SW14の状態に依らず切断されているとしたが、実際には、第4の期間T14eにおいて、センサ部7の電極22は、検出部3の容量素子Cstrと接続される。これにより、電極電圧Vel2が増幅された電極22から、静電容量Cm,Cg2の電荷の一部が、スイッチング素子SW14を介して、過渡的な蓄積電流Istrとして容量素子Cstrに流れ込む。そして、蓄積電圧Vstrは、過渡的な蓄積電流Istrとして流れ込んだ電荷の分だけ上昇する(図14(I))。
【0109】
その後、第1の期間T11e〜第4の期間T14eからなる一連の動作が繰り返されることにより、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づいて、第4の期間T14eにおいて、スイッチング素子SW14がオン状態になるたびに、容量素子Cstrには電荷が蓄積され、それに伴い、蓄積電圧Vstrが上昇する(図14(I))。
【0110】
そして、この蓄積電圧Vstr(コンパレータ入力電圧Vcomp)が、リファレンス電圧Vrefの電圧レベルを超えるようになると、コンパレータ回路30が、これらの比較結果(検出信号Vdet)として高レベル電圧を出力する(図14(K))。つまり、検出信号Vdetは、容量素子Cstrへの電荷の蓄積が開始された後、容量素子Cstrの電荷の蓄積量がある一定量(Cstr×Vref)に到達するまでの時間(蓄積時間tstr)、低レベルを維持する。タッチ判定部4は、検出信号Vdetに基づいて、この蓄積時間tstrを検出し、これを利用して外部近接物体の有無を検出する。
【0111】
(外部近接物体が有るときのタッチセンサ90の動作)
次に、タッチセンサ90のタッチ検出領域に外部近接物体が有るときにおける、タッチ検出期間T1eの動作例を説明する。
【0112】
外部近接物体が有るときでも、センサ部2は、外部近接物体が無いときと同様に、タッチ検出期間T1eにおいて、図14および図15に示したように動作する。しかしながら、第2の期間T12e、第3の期間T13eおよび第4の期間T14eで発生する過渡電流は、外部近接物体の有無により異なり、結果として、電圧ΔV1〜ΔV3もまた異なるものとなる。
【0113】
図2に示したように、タッチセンサ10のタッチ検出領域での外部近接物体の有無により、静電容量Cm,Cg1,Cg2は変化する。すなわち、静電容量Cmに関しては、外部近接物体が有るときの値(静電容量Cmb)は、外部近接物体が無いときの値(静電容量Cma)よりも小さくなる。また、静電容量Cg1,Cg2に関しては、外部近接物体が有るときの値(Cp1+Cf1,Cp2+Cf2)は、外部近接物体が無いときの値(Cp1,Cp2)よりも大きくなる。これにより、外部近接物体が有るときの上記の電圧ΔV1〜ΔV3は、外部近接物体が無いときに比べ大きくなる。よって、第4の期間T14eにおいて、電極22から容量素子Cstrに流れる過渡的な蓄積電流Istrもまた、外部近接物体が無いときに比べ大きくなる。
【0114】
図17は、本実施の形態に係るタッチセンサ90のタイミング図の一例であり、外部近接物体があるときの例を表すものである。図17において、(A)はSW制御信号SAの電圧波形を示し、(B)はSW制御信号SBの電圧波形を示し、(C)はSW制御信号SC11の電圧波形を示し、(D)はSW制御信号SC12の電圧波形を示し、(E)はSW制御信号SC13の電圧波形を示し、(F)はSW制御信号SC14の電圧波形を示し、(G)は電極21の電極電圧Vel1の波形を示し、(H)は電極22の電極電圧Vel2の波形を示し、(I)は蓄積電圧Vstrの波形を示し、(J)はコンパレータ入力電圧Vcompの波形を示し、(K)は検出信号Vdetの波形を示す。
【0115】
外部近接物体がある場合には、例えば、第4の期間T14eにおいて、過渡的な蓄積電流Istrが多くなり、これが流れ込む容量素子Cstrにおける電荷の蓄積量も多くなり、これに伴い、蓄積電圧Vstrの上昇量もまた大きくなる。このタッチ検出期間T1eでは、第1の期間T11e〜第4の期間T14eからなる一連の動作が繰り返されることにより、第4の期間T14eのたびに、蓄積電圧Vstrが上昇するが、外部近接物体がある場合には、その蓄積電圧Vstrの変化速度が早くなることとなる。これに起因して、外部近接物体がある場合は、蓄積時間tstrが短くなる(図17(K))。
【0116】
以上に示したように、蓄積時間tstrは、外部近接物体の有無に応じて変化する。よって、タッチ判定部4の判定回路は、蓄積時間tstrと、あらかじめ定められたリファレンス時間trefとを比較することにより、外部近接物体の有無を判定することができる。
【0117】
[効果]
以上のように本実施の形態では、第1の電極および第2の電極の両方を駆動電極とし、これらの電極の間で複数回スイッチト・キャパシタ動作を繰り返すようにしたので、外部近接物体の有無に対応した情報が増幅され、小さい電極によりセンサ部を構成した場合でも、精度よく外部近接物体の有無を検出することができる。特に、小さい電極を有するセンサ部を用いてタッチセンサ付き表示装置を構成した場合は、センサ部を小型化できるため、その額縁領域を狭くすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0118】
[変形例2−1]
上記実施の形態では、タッチ検出期間T1eは、4つの期間T11e〜T14eを有し、これを繰り返すものとしたが、これに限定されるものではなく、n個の期間(nは自然数)を有し、これを繰り返すものとしても良い。nが偶数の場合には、回路構成は、本実施の形態(n=4)におけるタッチセンサ90(図13)と同様のものを用いることができ、そのタイミング図は、図14,15と同様のものを用いることができる。具体的には、そのタイミング図は、図14,15における第2の期間T12eおよび第3の期間T13eを、必要な回数だけ交互に追加したものを用いることができる。例えば、n=6の場合は、タッチ検出期間T1eは、6つの期間(T11e、T12e、T13e、T12e、T13e、T14e)を有し、これを繰り返すものである。一方、nが奇数の場合には、その回路構成は、例えば、図18に示したものになる。
【0119】
図18は、nが奇数の場合のタッチセンサの回路構成例を表すものである。タッチセンサ90Fは、センサ部7Fと、駆動信号生成回路8Fとを有する。その他の構成は、本実施の形態(図13)と同様である。センサ部7Fは、電極21,22と、スイッチング素子SW21〜SW24とを有している。スイッチング素子SW21は、接地(GND)と電極21との間に配置され、SW制御信号SC21によりオンオフ制御が行われ、電極21に接地(GND)を時分割的に印加する。スイッチング素子SW22は、電圧VDDと電極22との間に配置され、SW制御信号SC22によりオンオフ制御が行われ、電極22に電圧VDDを時分割的に印加する。スイッチング素子SW23は、接地(GND)と電極22との間に配置され、SW制御信号SC23によりオンオフ制御が行われ、電極22に接地(GND)を時分割的に印加する。スイッチング素子SW24は、電極22と検出部7の容量素子Cstrとの間に配置され、SW制御信号SC24によりオンオフ制御が行われる。信号生成回路8Fは、タイミング制御回路6に基づいて、SW制御信号SA,SB,SC21〜SC24を生成するとともに、SW制御信号SA,SBを検出部3に供給し、SW制御信号SC21〜SC24をセンサ部7Fに供給するものである。
【0120】
図19は、n=5の場合のセンサ部7Fの動作のタイミング図を表すものである。この場合、5つの期間は、T11f、T12f、T13f、T14f、T15fからなる。電極21の電極電圧Vel1と電極22の電極電圧Vel2との電圧差Vel2−Vel1は、第2の期間T12fにおいて電圧ΔV1となり、第3の期間T13fにおいて電圧ΔV2となり、第4の期間T14fにおいて電圧ΔV3となり、第5の期間T15fにおいて電圧ΔV4となることにより、電極22の電極電圧Vel2を増幅するとともに、電極22から容量素子Cstrに過渡的な蓄積電流Istrを流し込み、これにより容量素子Cstrに電荷が蓄積される。そして、第1の期間T11f〜第5の期間T15fからなる一連の動作が繰り返されることにより、いわゆるスイッチト・キャパシタの動作原理に基づいて、第5の期間T15fにおいて、スイッチング素子SW24がオン状態になるたびに、容量素子Cstrには電荷が蓄積され、それに伴い、蓄積電圧Vstrが上昇する。
【0121】
このように、第1の電極および第2の電極の間におけるスイッチト・キャパシタ動作の繰り返し回数は、任意の回数に設定することができる。よって、この繰り返し回数を増やすことにより、外部近接物体の有無に対応した情報が増幅され、さらに精度よく外部近接物体の有無を検出することができる。
【0122】
[変形例2−2]
本実施の形態におけるタッチセンサは、第1の実施の形態と同様に、蓄積電圧Vstrの変化速度を、ある一定のタイミングにおける蓄積電圧Vstrの電圧値として測定してもよい。その際、図10や図12に示したように、ADC回路を用いて検出部を構成してもよい。
【0123】
<3.具体的な応用例>
次に、図20〜図23を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチセンサおよびタッチセンサ付き表示装置の具体的な応用例について説明する。
【0124】
(応用例1)
図20(A),(B)は、携帯情報端末110の表示動作およびタッチセンサ動作の一例を表すものである。タッチセンサ付き表示部17Aは、図20(A)に示したように、主画面100の額縁領域に配置されており、例えば、主画面100に表示された内容に従い、ユーザがタッチセンサ付き表示部17Aを用いて情報を入力できるようになっている。タッチセンサ付き表示部17Aは、図1に示したものと同様に、センサ部2およびセンサ表示部14を有している。このタッチセンサ付き表示部17Aは、省スペース性の観点から、主画面100(有効表示領域)と同じアレイ基板に形成されることが望ましく、特に、そのセンサ表示部14は、主画面100と同一の構造の表示素子をもつことが望ましい。具体的には、主画面100が液晶素子を用いている場合には、そのセンサ表示部14は、液晶素子により表示を行うものが望ましい。
【0125】
携帯情報端末110は、主画面100に表示された内容に従い、対応するタッチセンサ付き表示部17Aにタッチすることにより情報を入力する機能を有する。例えば、図20(A)では、ユーザは、タッチセンサ付き表示部17Aをタッチすることにより、4つの機能のうち1つを選択することができる。また、図20(B)では、例えば携帯情報端末110が音を出力する機能を有している場合などにおいて、ユーザは、複数のタッチセンサ付き表示部17Aにまたがって指をスライドして動かすことにより、音量を調節することができる。このように、携帯情報端末110では、主画面100に表示する内容を変更することにより、その表示内容に応じた様々な情報を、タッチセンサ付き表示部17Aを用いて入力することができる。
【0126】
(応用例2)
図21は、携帯情報端末120の表示動作およびタッチセンサ動作の一例を表すものであり、(A)は携帯情報端末120の平面図を示し、(B)はタッチセンサ付き表示部17Bの構成例を示す。タッチセンサ付き表示部17Bは、図21(A)に示したように、主画面100および副画面101に隣接する場所に配置されており、例えば、ユーザが、主画面100もしくは副画面101に表示された内容に従ってタッチセンサ付き表示部17Bを用いて情報を入力し、あるいは、タッチセンサ付き表示部17Bを用いて情報を入力しながら、主画面100および副画面101における表示を確認できるようになっている。タッチセンサ付き表示部17Bは、図21(B)に示したように、センサ部2および表示素子102を有している。表示素子102は、図1のセンサ表示部14を構成する一表示要素である。これらは、タッチセンサ付き表示部17Bにおいてマトリックス状に配置されており、表示の自由度をある程度確保するとともに、タッチ位置の検出の機能も有するようになっている。このタッチセンサ付き表示部17Bは、省スペース性の観点から、少なくとも副画面101(有効表示領域)と同じ基板上に形成されることが望ましく、副画面101と同一の構造の表示素子をもつことが望ましい。さらに、センサ表示部14は、副画面101だけでなく主画面100(有効表示領域)と同じ基板上に形成されても良く、センサ表示部14、主画面100、および副画面101が、お互いに同一の構造の表示素子を持つことが望ましい。
【0127】
携帯情報端末120は、この例では、主画面100もしくは副画面101に表示された内容に従い、タッチセンサ表示部17Bに表示されたボタンにより、情報を入力する機能を有する。また、携帯情報端末101と同様に、主画面100もしくは副画面101において表示する内容を変更することにより、その表示内容に応じた様々な情報を入力することができる。さらに、タッチセンサ表示部17B自体の表示内容を変更することにより、例えば、ユーザがより直感的に操作方法を理解できるようにすることが可能である。また、タッチ位置の検出機能を利用することにより、例えば、タッチセンサ表示部17Bに複数のボタンを表示し、複数の情報を入力できるようにすることも可能である。
【0128】
(応用例3)
図22は、携帯情報端末130の表示動作およびタッチセンサ動作の一例を表すものであり、(A)は携帯情報端末130の平面図を示し、(B)はタッチセンサ付き表示部17Cの構成例を示す。タッチセンサ付き表示部17Cは、図22(A)に示したように、主画面100および副画面101に隣接する場所に配置されている。タッチセンサ付き表示部17Cの構成は、図22(B)に示したように、タッチセンサ付き表示部17B(図21(B))と同様であり、表示の自由度をある程度確保するとともに、タッチ位置の検出の機能も有するようになっている。
【0129】
携帯情報端末130は、この例では、主画面100もしくは副画面101に表示された内容に従い、タッチセンサ表示部17Cに表示された4つの方向を示す選択スイッチにより、情報を入力する機能を有する。これにより、選択スイッチの数に依存せずに、より多くの情報を入力することが可能となる。
【0130】
(応用例4)
図23は、携帯情報端末140の表示動作およびタッチセンサ動作の一例を表すものであり、(A)は携帯情報端末140の平面図を示し、(B)はタッチセンサ付き表示部17Dの構成例を示す。タッチセンサ付き表示部17Dは、図23(A)に示したように、主画面100および副画面101に隣接する場所に配置されている。さらに、携帯情報端末140には、タッチセンサ付き表示部17Dとは別の情報入力機能をもつタッチセンサ付き表示部(この例ではタッチセンサ付き表示部17C)も配置されている。タッチセンサ付き表示部17Dの構成は、図23(B)に示したように、タッチセンサ付き表示部17B(図21(B)),17C(図22(B))と同様であり、表示の自由度をある程度確保するとともに、タッチ位置の検出の機能も有するようになっている。
【0131】
携帯情報端末140は、主画面100もしくは副画面101に表示された内容に従い、タッチセンサ表示部17C,17Dを用いて情報を入力する機能を有する。例えば、図23(B)では、例えば携帯情報端末140が主画面100に写真を表示する機能を有している場合などにおいて、ユーザは、タッチセンサ付き表示部17Dに表示されたリング状の図形をなぞることにより、いわゆるロータリースイッチとして、その写真の一部を拡大もしくは縮小して表示するように指示することができる。また、携帯情報端末140では、複数のタッチセンサ表示部17C,17Dを設けることにより、様々な情報を並行して入力することが可能になる。
【0132】
また、いずれの携帯情報端末においても、タッチセンサ付き表示部の機能を固定せずに、携帯情報端末における操作内容によって、例えば、ボタン(図21(B))の機能と選択スイッチ(図22(B))の機能とを切り替えることにより、情報入力の自由度はより高いものとなる。これにより、特に、小型もしくは多機能な携帯情報端末においては、そのユーザーインターフェースが大幅に向上することとなる。
【0133】
<4.電子機器への適用例>
次に、図24〜図28を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチセンサ付き表示装置の電子機器への適用例について説明する。上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0134】
(適用例1)
図24は、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係るタッチセンサ付き表示装置により構成されている。
【0135】
(適用例2)
図25は、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係るタッチセンサ付き表示装置により構成されている。
【0136】
(適用例3)
図26は、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係るタッチセンサ付き表示装置により構成されている。
【0137】
(適用例4)
図27は、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係るタッチセンサ付き表示装置により構成されている。
【0138】
(適用例5)
図28は、上記実施の形態等のタッチセンサ付き表示装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係るタッチセンサ付き表示装置により構成されている。
【0139】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびにそれらの具体的な応用例および電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0140】
上記実施の形態等では、有効表示領域13およびセンサ表示部14の表示素子として、ともに液晶素子を用いるとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、ともに有機EL(Electro Luminescence)素子などのEL素子を用いてもよい。また、有効表示領域13とセンサ表示部14とで、別の構造をもつ表示素子を用いても良い。
【0141】
上記実施の形態等では、センサ表示部14は有効表示領域13と同様に表示を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、センサ表示部14の表示内容が固定されていてもよい。この場合、例えば、センサ表示部14は、液晶を介さずにバックライトから光を射出し、センサ表示部14の表面に配置されたカバー部材にあらかじめ印刷された、機能を示す記号などを通して表示を行うものであってもよい。また、省スペース性が重要でない場合には、例えば、センサ表示部14は、発光ダイオードを新たに設け、その発光ダイオードから光を射出し、同様にあらかじめ印刷された記号などを通して表示を行うものであってもよい。
【0142】
上記実施の形態等では、センサ表示部14を設けるとしたが、これを設けなくても良い。この場合でも、センサ部2や検出部3を同じアレイ基板11上に形成することにより、小型化が実現できる。
【符号の説明】
【0143】
1…タッチセンサ付き表示装置、2,2B,7,7F…センサ部、3,3B,3C,3D…検出部、4,4B,4C…タッチ判定部、5,5C…制御信号生成部、6,6C…タイミング制御回路、8,8F,50,50C…制御信号生成回路、10,10B,10C,10D、90,90F…タッチセンサ、11…アレイ基板、12…カラーフィルタ基板、13…有効表示領域、14…センサ表示部、15…COG、16…端子部、17,17A,17B,17C,17D…タッチセンサ付き表示部、21,22…電極、30…コンパレータ回路、31,32,51…インバータ回路、33…S/H回路、34…ADC回路、35…ラッチ回路、41,41B…時間計測回路、42,42C…判定回路、43…メモリ、100…主画面、101…副画面、102A,102B…表示素子、110,120,130,140…携帯情報端末、Cdet…検出コード、Ccomp,Cstr…容量素子、Cf1,Cf2,Cg,Cm,Cma,Cmb,Cp1,Cp2…静電容量、GND…接地、Istr…過渡電流、P1…点、Q12e,Q13e,Q14e…電荷量、SA,SB,SC,SCB,SC11〜SC14,SC21〜SC24…SW制御信号、SD…読込制御信号、SW1〜SW8,SW11〜SW14、SW21〜SW24…スイッチング素子、T0…自己オフセット補正期間、T0c…準備期間、T1,T1c,T1e…タッチ検出期間、T11,T12,T11e,T12e,T13e,T14e…期間、T2…終了期間、Tstr…蓄積時間、Vcomp…コンパレータ入力電圧、VDD…電源、Vdet…検出信号、Vel1,Vel2…電極電圧、Vi…入力電圧、Vo…出力電圧、Vout…タッチ判定出力、Vref…リファレンス電圧、Vstr…蓄積電圧、Vthi,Vthc…しきい値、W1〜W3…特性、ΔVcomp…電位差、ΔV1〜ΔV4…電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互間に電極間静電容量が形成されるように配置された第1の電極および第2の電極と、
容量素子と、
前記第1および第2の電極のうちの少なくとも前記第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して前記第2の電極と前記容量素子との間の接続状態を制御する駆動制御部と、
前記容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する検出部と
を備えたタッチセンサ。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記第1の電極を駆動電極として駆動する一方、前記第2の電極を検出電極として利用する
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記駆動制御部は、
前記第1および第2の電極の両方の電圧レベルを初期化すると共に、前記第2の電極と前記容量素子との間を非接続状態にする第1の動作と、
前記第1の電極に駆動電圧を印加すると共に、前記第2の電極と前記容量素子との間を接続する第2の動作と
を行うように制御する請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記容量素子の電圧が所定のしきい値に達するまで前記第1および第2の動作を繰り返すように制御を行い、
前記検出部は、前記容量素子の電圧が前記しきい値に達するまでの時間に基づいて前記外部近接物体を検出する
請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記第1および第2の動作を所定回数繰り返すように制御を行い、
前記検出部は、前記第1および第2の動作の前記所定回数の繰り返しが終了した時点における前記容量素子の電圧レベルに基づいて前記外部近接物体を検出する
請求項3に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記第1および第2の電極の両方を駆動電極として駆動すると共に、前記第2の電極を検出電極としても利用する
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記駆動制御部は、
前記第1および第2の電極の両方の電圧レベルを初期化すると共に、前記第2の電極と前記容量素子との間を非接続状態にする初期化動作と、
前記初期化動作に続き、前記第2の電極と前記容量素子との間を非接続状態にしたまま、前記第1および第2の電極のいずれか一方に第1の駆動電圧を印加する動作と前記第1および第2の電極の他方に第2の駆動電圧を印加する動作とを交互に行い、前記第1の電極に前記第1もしくは第2の駆動電圧を印加する最後の動作において前記第2の電極と前記容量素子との間を接続する駆動動作と
を行うように制御する
請求項6に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記駆動制御部は、
前記初期化動作としての第1の動作と、
前記第2の電極と前記容量素子との間を非接続状態にしたまま、前記第1の電極に第1の駆動電圧を印加する第2の動作と、
前記第2の電極と前記容量素子との間を非接続状態にしたまま、前記第2の電極に第2の駆動電圧を印加する第3の動作と、
前記第1の電極に第1の駆動電圧を印加するとともに、第2の電極と前記容量素子との間を接続する第4の動作と
を、この順序で繰り返す
請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記検出部は、
入力端子と参照電圧端子との間に配置され、オンオフ制御される第1のスイッチング素子と、
2つの端子のうちの片方が前記入力端子に接続された他の容量素子と、
入力が前記他の容量素子の他方の端子と接続され、出力が出力端子に接続された反転回路と、
前記反転回路の入出力間に配置され、オンオフ制御される第2のスイッチング素子と
を有するコンパレータ回路を含み、
前記コンパレータ回路は、前記第1および第2のスイッチング素子の双方をオン状態にした後にオフ状態に変化させると共に、そのオフ状態において前記入力端子に印加された入力電圧を、前記参照電圧端子に印加された参照電圧と比較し、その結果を前記出力端子より出力する
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
相互間に電極間静電容量が形成されるように配置された第1および第2の電極のうちの少なくとも前記第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して前記第2の電極と容量素子との間の接続状態を制御し、
前記容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する
タッチセンサの駆動方法。
【請求項11】
前記第1および第2の電極の初期化と前記第1の電極へのタッチ検出用の駆動電圧の印加とを交互に行うと共に前記第1の電極への前記駆動電圧の印加に同期して前記第2の電極に前記容量素子を接続する、という一連の動作を1回以上繰り返すことにより、前記第1および第2の電極のそれぞれと接地との間に形成される接地容量と、前記電極間静電容量と、前記容量素子との間で電荷を相互に移動させて前記容量素子の電圧を変化させ、
前記外部近接物体の存在の有無によって前記容量素子の電圧の変化速度が異なることを利用して、前記外部近接物体を検出する
請求項10に記載のタッチセンサの駆動方法。
【請求項12】
前記第1および第2の電極を初期化したのち、前記第1および第2の電極のいずれか一方に第1の駆動電圧を印加する動作と他方に第2の駆動電圧を印加する動作とを交互に行い、前記第1の電極に前記第1もしくは第2の駆動電圧を印加する最後の動作において前記第2の電極と前記容量素子との間を接続する、という一連の動作を1回以上繰り返すことにより、前記第1および第2の電極のそれぞれと接地との間に形成される接地容量と、前記電極間静電容量と、前記容量素子との間で電荷を相互に移動させて前記容量素子の電圧を変化させ、
前記外部近接物体の存在の有無によって前記容量素子の電圧の変化速度が異なることを利用して、前記外部近接物体を検出する
請求項10に記載のタッチセンサの駆動方法。
【請求項13】
複数の表示素子を含み、画像信号に基づく画像表示を行う画像表示部と、この画像表示部の有効表示領域の外側の額縁領域に位置するタッチセンサ部とが一体に形成されてなる表示パネルを備え、
前記タッチセンサ部が、
相互間に電極間静電容量が形成されるように配置された第1の電極および第2の電極と、
容量素子と、
前記第1および第2の電極のうちの少なくとも前記第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して前記第2の電極と前記容量素子との間の接続状態を制御する駆動制御部と、
前記容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する検出部と
を有する
タッチセンサ付き表示装置。
【請求項14】
前記表示パネルは、前記額縁領域に、前記画像表示部の前記表示素子と同一構造の表示素子を含む他の表示部を有する
請求項13に記載のタッチセンサ付き表示装置。
【請求項15】
外部近接物体を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサを通じて入力された情報に基づいて所定の処理を行う処理部と
を備え、
前記タッチセンサが、
相互間に電極間静電容量が形成されるように配置された第1の電極および第2の電極と、
容量素子と、
前記第1および第2の電極のうちの少なくとも前記第1の電極を駆動すると共に、この第1の電極の駆動動作と同期して前記第2の電極と前記容量素子との間の接続状態を制御する駆動制御部と、
前記容量素子の電圧の変化の仕方に基づいて外部近接物体を検出する検出部と
を有する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−138692(P2011−138692A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298106(P2009−298106)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】